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特許7208752医療用観察システム、医療用観察装置、および制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-11
(45)【発行日】2023-01-19
(54)【発明の名称】医療用観察システム、医療用観察装置、および制御方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 90/50 20160101AFI20230112BHJP
   B25J 9/06 20060101ALN20230112BHJP
【FI】
A61B90/50
B25J9/06 B
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2018179644
(22)【出願日】2018-09-26
(65)【公開番号】P2020048729
(43)【公開日】2020-04-02
【審査請求日】2021-08-10
(73)【特許権者】
【識別番号】313009556
【氏名又は名称】ソニー・オリンパスメディカルソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】廣瀬 憲志
【審査官】和田 将彦
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/169650(WO,A1)
【文献】特開2010-110878(JP,A)
【文献】特開2001-054889(JP,A)
【文献】特表2017-512553(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 90/50
A61B 1/00
B25J 9/00 - 9/22
B25J 13/00 - 13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
観察対象を撮像する撮像デバイスと、
複数のリンクが関節部によって互いに連結されて構成され、回転軸における回転動作により少なくとも7以上の自由度を有すると共に、前記撮像デバイスを支持するアームと、
前記アームの動作を制御するアーム制御部と、
を備え、
前記アームは、6つの受動的に回転動作する受動回転軸の回転動作により実現される6自由度と、1以上の能動的に回転動作する能動回転軸の回転動作により実現される1以上の自由度とを有し、
前記アーム制御部は、前記アームの姿勢が所定の状態となることが回避されるように、前記能動回転軸を回転動作させ、
前記撮像デバイスが支持される側から数えて、1番目の回転軸である第1軸、2番目の回転軸である第2軸、および3番目の回転軸である第3軸は、前記受動回転軸であり、
前記能動回転軸は、前記撮像デバイスが支持される側から数えて4番目以降の回転軸であり、
前記受動回転軸は、前記能動回転軸の回転動作による前記撮像デバイスの移動を吸収し、前記撮像デバイスの撮像範囲の変化を回避するように、回転動作する、医療用観察システム
【請求項2】
前記所定の状態は、
前記アームにおいて前記撮像デバイスが支持される側から数えて1番目の回転軸である第1軸が、前記アームにおいて前記撮像デバイスが支持される側から数えて2番目の回転軸である第2軸と前記アームにおいて前記撮像デバイスが支持される側から数えて3番目の回転軸である第3軸とにより規定される平面上に存在する状態である、または、
前記第1軸が、前記第2軸と前記第3軸とにより規定される平面と平行な平面上に存在する状態である、請求項1に記載の医療用観察システム
【請求項3】
前記所定の状態は、前記撮像デバイスが支持される側から数えて、1番目の回転軸である第1軸、2番目の回転軸である第2軸、および3番目の回転軸である第3軸それぞれの回転動作により実現される自由度の数が減っている、特異状態である、請求項1または2に記載の医療用観察システム
【請求項4】
前記第1軸の姿勢は、前記能動回転軸の回転動作によって変化しない、請求項1~3のいずれか1つに記載の医療用観察システム
【請求項5】
前記アーム制御部は、前記第3軸が水平となるように、前記能動回転軸を回転動作させる、請求項1~4のいずれか1つに記載の医療用観察システム
【請求項6】
前記アーム制御部は、
前記第2軸の回転角度を検出する角度センサの検出結果に基づいて、前記アームの姿勢が前記所定の状態に近づいているかを判定し、
前記所定の状態に近づいていると判定した場合に、前記能動回転軸を回転動作させる、請求項のいずれか1つに記載の医療用観察システム
【請求項7】
前記アーム制御部は、
ある時点に検出された前記第2軸の回転角度が、設定されている第1の範囲に含まれる場合、または、
ある時点に検出された前記第2軸の回転角度と、検出された前記第2軸の回転角度の時間変化とに基づいて、検出される前記第2軸の回転角度が前記第1の範囲に含まれると推
定された場合に、前記アームの姿勢が前記所定の状態に近づいていると判定する、請求項に記載の医療用観察システム
【請求項8】
前記アーム制御部は、前記第2軸の回転角度が、設定されている第1の範囲に含まれないように、前記能動回転軸を回転動作させる、請求項またはに記載の医療用観察システム
【請求項9】
前記アーム制御部は、前記第2軸の回転角度を検出する角度センサの検出結果に基づいて、前記第2軸の回転角度が設定されている第2の範囲を維持するように、前記能動回転軸を回転動作させる、請求項のいずれか1つに記載の医療用観察システム
【請求項10】
6つの前記受動回転軸のうち、前記撮像デバイスが支持される側から数えて、1番目の回転軸である第1軸、2番目の回転軸である第2軸、および3番目の回転軸である第3軸は、支持される前記撮像デバイスのチルト動作に関する前記受動回転軸であり、
6つの前記受動回転軸のうち、前記第1軸、前記第2軸、および前記第3軸以外の3つの回転軸は、支持される前記撮像デバイスの3次元位置を規定する前記受動回転軸である、請求項1~のいずれか1つに記載の医療用観察システム
【請求項11】
少なくとも1つ以上の前記受動回転軸に対応する前記関節部には、
前記受動回転軸にかかるトルクを検出するトルクセンサと、
前記トルクセンサの検出結果により制御されるアクチュエータと、
が配置され、
前記トルクセンサおよび前記アクチュエータが配置される前記関節部に対応する前記受動回転軸は、前記トルクセンサの検出結果に応じた前記アクチュエータの受動的な動作により、受動的に回転動作する、請求項1~10のいずれか1つに記載の医療用観察システム
【請求項12】
前記トルクセンサは、重力により発生する回転トルクと、前記アームに加わる外力とを検出し、
前記アクチュエータは、検出された前記重力により発生する回転トルクを打ち消すように、検出された前記外力に従って受動的に動作する、請求項11に記載の医療用観察システム
【請求項13】
前記アームは、少なくとも1つ以上の前記受動回転軸の回転動作により実現される自由度に対して、重力による回転モーメントを打ち消すカウンタウエイトを備える、請求項1~12のいずれか1つに記載の医療用観察システム
【請求項14】
前記受動回転軸、および1以上の前記能動回転軸それぞれには、回転軸上に、それぞれの回転軸が保持する医療用観察装置の構造体の重心が乗っている、請求項13に記載の医療用観察システム
【請求項15】
前記撮像デバイスは、内視鏡または顕微鏡である、請求項1~14のいずれか1つに記載の医療用観察システム。
【請求項16】
複数のリンクが関節部によって互いに連結されて構成され、回転軸における回転動作により少なくとも7以上の自由度を有すると共に、撮像デバイスを支持するアームと、
前記アームの動作を制御するアーム制御部と、
を備え、
前記アームは、6つの受動的に回転動作する受動回転軸の回転動作により実現される6自由度と、1以上の能動的に回転動作する能動回転軸の回転動作により実現される1以上の自由度とを有し、
前記アーム制御部は、前記アームの姿勢が所定の状態となることが回避されるように、前記能動回転軸を回転動作させ、
前記撮像デバイスが支持される側から数えて、1番目の回転軸である第1軸、2番目の回転軸である第2軸、および3番目の回転軸である第3軸は、前記受動回転軸であり、
前記能動回転軸は、前記撮像デバイスが支持される側から数えて4番目以降の回転軸であり、
前記受動回転軸は、前記能動回転軸の回転動作による前記撮像デバイスの移動を吸収し、前記撮像デバイスの撮像範囲の変化を回避するように、回転動作する、医療用観察装置。
【請求項17】
複数のリンクが関節部によって互いに連結されて構成され、回転軸における回転動作により少なくとも7以上の自由度を有すると共に、撮像デバイスを支持するアームを備えた医療用観察装置が実行する制御方法であって、
前記アームは、6つの受動的に回転動作する受動回転軸の回転動作により実現される6自由度と、1以上の能動的に回転動作する能動回転軸の回転動作により実現される1以上の自由度とを有し、
前記撮像デバイスが支持される側から数えて、1番目の回転軸である第1軸、2番目の回転軸である第2軸、および3番目の回転軸である第3軸は、前記受動回転軸であり、
前記能動回転軸は、前記撮像デバイスが支持される側から数えて4番目以降の回転軸であり、
当該制御方法は、
前記アームの姿勢が所定の状態となることが回避されるように、前記能動回転軸を回転動作させるステップを含み、
前記受動回転軸は、前記能動回転軸の回転動作による前記撮像デバイスの移動を吸収し、前記撮像デバイスの撮像範囲の変化を回避するように、回転動作する、制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、医療用保持装置、および医療用観察装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、医療現場においては、例えば、脳神経外科手術などの微細手術(マイクロサージャリ)をサポートするためや、内視鏡手術を行うために、患部などの観察対象を拡大観察することが可能な医療用観察装置が用いられる場合がある。医療用観察装置としては、例えば、光学式の顕微鏡を備える医療用観察装置と、電子撮像式の顕微鏡として機能する撮像デバイスを備える医療用観察装置とが挙げられる。以下では、上記光学式の顕微鏡を備える医療用観察装置を「光学式の医療用観察装置」と示す。また、以下では、上記撮像デバイスを備える医療用観察装置を、「電子撮像式の医療用観察装置」または単に「医療用観察装置」と示す場合がある。また、以下では、医療用観察装置が備える撮像デバイスにより観察対象が撮像された撮像画像(動画像、または、静止画像。以下、同様とする。)を「医療用撮像画像」と示す。
【0003】
電子撮像式の医療用観察装置では、撮像デバイスの高画質化が進んでおり、また、撮像された画像が表示される表示装置の高画質化も進んでいる。これらにより、光学式の医療用観察装置による観察と同程度の画質を有する医療用撮像画像を、表示装置の表示画面に表示することが可能となっている。また、電子撮像式の医療用観察装置を用いる使用者(例えば、術者や術者の助手などの医療従事者。以下、同様とする。)は、光学式の医療用観察装置を用いる場合のように光学式の顕微鏡を構成する接眼レンズを覗き込む必要はないので、撮像デバイスの位置をより自由に移動させることが可能である。そのため、電子撮像式の医療用観察装置が用いられることによって微細手術などをより柔軟にサポートすることができるという利点があり、医療現場での電子撮像式の医療用観察装置の利用が進んでいる。
【0004】
一方、複数の軸を有するマニピュレータの制御に関する技術が開発されている。7軸マニピュレータの制御に関する技術としては、例えば下記の特許文献1に記載の技術が挙げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2001-300871号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のように、電子撮像式の医療用観察装置の使用者は撮像デバイスの位置を自由に移動させることが可能であるので、使用者は、撮像デバイスの位置を移動させることにより撮像範囲を変えることが可能である。しかしながら、撮像デバイスを支持するアームの姿勢によってはアームの自由度が減るため、“使用者がアームの姿勢を手動で変えなければ、所望の撮像範囲が撮像されるように撮像デバイスを移動させることができない事態”が生じる可能性がある。また、上記のような事態が生じる場合には、医療用観察装置を用いる使用者の利便性が低下する可能性がある。
【0007】
また、例えば内視鏡ホルダやエクソスコープなどのような、任意の医療用機器を支持するアームを有する既存の医療用保持装置においても、同様に“医療用機器を移動させることができない事態”が生じる可能性があり、医療用保持装置を用いる使用者の利便性が低下する可能性がある。ここで、医療用保持装置が有するアームにより支持される医療用機器が撮像デバイスである場合、医療用保持装置は、医療用観察装置として機能する。
【0008】
本開示では、使用者の利便性の向上を図ることが可能な、新規かつ改良された医療用保持装置、および医療用観察装置を提案する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示によれば、複数のリンクが関節部によって互いに連結されて構成され、回転軸における回転動作により少なくとも7以上の自由度を有すると共に、医療用機器を支持するアームと、上記アームの動作を制御するアーム制御部と、を備え、上記アームは、6つの受動的に回転動作する受動回転軸の回転動作により実現される6自由度と、1以上の能動的に回転動作する能動回転軸の回転動作により実現される1以上の自由度とを有し、上記アーム制御部は、上記アームの姿勢が所定の状態となることが回避されるように、上記能動回転軸を回転動作させる、医療用保持装置が、提供される。
【0010】
また、本開示によれば、観察対象を撮像する撮像デバイスと、複数のリンクが関節部によって互いに連結されて構成され、回転軸における回転動作により少なくとも7以上の自由度を有すると共に、上記撮像デバイスを支持するアームと、上記アームの動作を制御するアーム制御部と、を備え、上記アームは、6つの受動的に回転動作する受動回転軸の回転動作により実現される6自由度と、1以上の能動的に回転動作する能動回転軸の回転動作により実現される1以上の自由度とを有し、上記アーム制御部は、上記アームの姿勢が所定の状態となることが回避されるように、上記能動回転軸を回転動作させる、医療用観察装置が、提供される。
【発明の効果】
【0011】
本開示によれば、使用者の利便性の向上を図ることができる。
【0012】
なお、上記の効果は必ずしも限定的なものではなく、上記の効果とともに、または上記の効果に代えて、本明細書に示されたいずれかの効果、または本明細書から把握されうる他の効果が奏されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】第1の実施形態に係る医療用観察システムの構成の一例を示す説明図である。
図2】第1の実施形態に係る医療用観察装置が備える撮像デバイスの構成の一例を説明するための説明図である。
図3】第1の実施形態に係る医療用観察装置の構成の一例を示す機能ブロック図である。
図4】本実施形態に係る制御方法の概要を説明するための説明図である。
図5】本実施形態に係る制御方法に係る処理の第1の例によるアームの動作の一例を示す説明図である。
図6】本実施形態に係る制御方法に係る処理の第2の例によるアームの動作の一例を示す説明図である。
図7】第2の実施形態に係る医療用観察システムの構成の一例を示す説明図である。
図8】第3の実施形態に係る医療用観察システムの構成の一例を示す説明図である。
図9】第4の実施形態に係る医療用観察システムの構成の一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に添付図面を参照しながら、本開示の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0015】
また、以下では、下記に示す順序で説明を行う。
1.本実施形態に係る医療用観察システム、および本実施形態に係る制御方法
[1]第1の実施形態に係る医療用観察システム
[1-1]表示装置
[1-2]医療用観察装置
[2]本実施形態に係る制御方法
[2-1]本実施形態に係る制御方法の概要
[2-2]本実施形態に係る制御方法に係る処理
[2-3]本実施形態に係る制御方法が適用されることにより、第1の実施形態に係る医療用観察装置において奏される効果の一例
[3]第2の実施形態に係る医療用観察システム
[3-1]第2の実施形態に係る医療用観察システムの構成
[3-2]本実施形態に係る制御方法が適用されることにより、第2の実施形態に係る医療用観察装置において奏される効果の一例
[4]第3の実施形態に係る医療用観察システム
[4-1]第3の実施形態に係る医療用観察システムの構成
[4-2]本実施形態に係る制御方法が適用されることにより、第3の実施形態に係る医療用観察装置において奏される効果の一例
[5]第4の実施形態に係る医療用観察システム
[5-1]第4の実施形態に係る医療用観察システムの構成
[5-2]本実施形態に係る制御方法が適用されることにより、第4の実施形態に係る医療用観察装置において奏される効果の一例
2.本実施形態に係るプログラム
【0016】
(本実施形態に係る医療用観察システム、および本実施形態に係る制御方法)
以下、本実施形態に係る医療用保持装置の一例を説明しつつ、本実施形態に係る制御方法について説明する。
【0017】
以下では、本実施形態に係る医療用保持装置が、電子撮像式の医療用観察装置である場合、すなわち、撮像デバイス(医療用機器の一例)を支持するアームを有する医療用観察装置である場合を、例に挙げる。なお、本実施形態に係る医療用保持装置は、電子撮像式の医療用観察装置に限られない。例えば、本実施形態に係る医療用保持装置は、光学式の医療用観察装置や、エクソスコープ、内視鏡ホルダなどの、医療用機器を支持するアームを有する任意の医療用装置に、適用することができる。
【0018】
また、以下では、医療用観察装置として機能する本実施形態に係る医療用保持装置が本実施形態に係る制御方法に係る処理を行う場合、すなわち、本実施形態に係る医療用保持装置が医療用制御装置として機能する場合について説明する。なお、本実施形態に係る医療用観察システムにおいて、医療用制御装置として機能する装置は、本実施形態に係る医療用保持装置に限られない。例えば、本実施形態に係る医療用観察システムでは、メディカルコントローラなどの本実施形態に係る制御方法に係る処理を行うことが可能な任意の装置が、医療用制御装置として機能しうる。
【0019】
[1]第1の実施形態に係る医療用観察システム
図1は、第1の実施形態に係る医療用観察システム1000の構成の一例を示す説明図である。医療用観察システム1000は、例えば、医療用観察装置100A(医療用保持装置の一例。以下、他の実施形態に係る医療用観察装置についても同様とする。)と、表示装置200とを有する。
【0020】
なお、第1の実施形態に係る医療用観察システムは、図1に示す例に限られない。
【0021】
例えば、第1の実施形態に係る医療用観察システムは、医療用観察装置100Aにおける各種動作を制御する医療用制御装置(図示せず)を、さらに有していてもよい。図1に示す医療用観察システム1000では、後述するように、医療用観察装置100Aが本実施形態に係る制御方法に係る処理を行う制御部(後述する)を備えることにより、医療用観察装置100Aが医療用制御装置の機能を有している例を示している。
【0022】
医療用制御装置(図示せず)としては、例えば、“メディカルコントローラ”や、“サーバなどのコンピュータ”など、本実施形態に係る制御方法に係る処理を行うことが可能な任意の機器が、挙げられる。また、医療用制御装置は、例えば、上記のような機器に組み込むことが可能な、IC(Integrated Circuit)であってもよい。
【0023】
また、第1の実施形態に係る医療用観察システムは、医療用観察装置100Aと表示装置200とを複数有する構成であってもよい。医療用観察装置100Aを複数有する場合、医療用観察装置100Aそれぞれにおいて、後述する医療用観察装置100Aにおける制御方法に係る処理が行われる。また、第1の実施形態に係る医療用観察システムが医療用観察装置100Aと表示装置200とを複数有する構成である場合、医療用観察装置100Aと表示装置200とが一対一に対応付けられていてもよいし、複数の医療用観察装置100Aが1つの表示装置200に対応付けられていてもよい。複数の医療用観察装置100Aが1つの表示装置200に対応付けられている場合、表示装置200では、例えば切り替え操作などが行われることによって、どの医療用観察装置100Aにおいて撮像された医療用撮像画像を表示画面に表示させるのかが、切り替えられる。
【0024】
上述した第1の実施形態に係る医療用観察システムの変形例は、後述する他の実施形態に係る医療用観察システムにおいても、同様である。
【0025】
以下、医療用観察システム1000を構成する各装置について、説明する。
【0026】
[1-1]表示装置200
表示装置200は、医療用観察システム1000における表示手段であり、医療用観察装置100Aからみて外部の表示デバイスに該当する。表示装置200は、例えば、医療用観察装置100Aにおいて撮像された医療用撮像画像(動画像、または、静止画像)や、UI(User Interface)に係る画像などの、様々な画像を表示画面に表示する。また、表示装置200は、任意の方式により3D表示が可能な構成を有していてもよい。表示装置200における表示は、例えば、医療用観察装置100A、または、医療用制御装置(図示せず)によって制御される。
【0027】
医療用観察システム1000において表示装置200は、手術室の壁面や天井、床面などの、手術室内において術者などの手術に関わる者により視認されうる任意の場所に設置される。表示装置200としては、例えば、液晶ディスプレイや有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイ、CRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイなどが挙げられる。
【0028】
なお、表示装置200は、上記に示す例に限られない。
【0029】
例えば、表示装置200は、ヘッドマウントディスプレイやアイウェア型の装置などのような、術者などが身体に装着して用いる任意のウェアラブル装置であってもよい。
【0030】
表示装置200は、例えば、表示装置200が備えているバッテリなどの内部電源から供給される電力、または、接続されている外部電源から供給される電力などによって、駆動する。
【0031】
[1-2]医療用観察装置100A
医療用観察装置100Aは、電子撮像式の医療用観察装置である。例えば手術時に医療用観察装置100Aが用いられる場合、術者(医療用観察装置100Aの使用者の一例)は、医療用観察装置100Aにより撮像されて、表示装置200の表示画面に表示された医療用撮像画像を参照しながら術部(患部)を観察し、当該術部に対して、術式に応じた手技などの各種処置を行う。
【0032】
図1に示すように、医療用観察装置100Aは、例えば、ベース102と、アーム104Aと、撮像デバイス106とを備える。
【0033】
また、図1では示していないが、医療用観察装置100Aは、例えば、MPU(Micro Processing Unit)などの演算回路で構成される、1または2以上のプロセッサ(図示せず)と、ROM(Read Only Memory。図示せず)と、RAM(Random Access Memory。図示せず)と、記録媒体(図示せず)と、通信デバイス(図示せず)とを、備えていてもよい。医療用観察装置100Aは、例えば、医療用観察装置100Aが備えているバッテリなどの内部電源から供給される電力、または、接続されている外部電源から供給される電力などによって、駆動する。
【0034】
プロセッサ(図示せず)は、医療用観察装置100Aにおける制御部(後述する)として機能する。ROM(図示せず)は、プロセッサが使用するプログラムや演算パラメータなどの制御用データを記憶する。RAM(図示せず)は、プロセッサにより実行されるプログラムなどを一時的に記憶する。
【0035】
記録媒体(図示せず)は、医療用観察装置100Aにおける記憶部(図示せず)として機能する。記録媒体には、例えば、本実施形態に係る制御方法に係るデータや、各種アプリケーションなどの、様々なデータが記憶される。ここで、記録媒体としては、例えば、ハードディスクなどの磁気記録媒体や、フラッシュメモリなどの不揮発性メモリなどが挙げられる。また、記録媒体は、医療用観察装置100Aから着脱可能であってもよい。
【0036】
通信デバイス(図示せず)は、医療用観察装置100Aが備える通信手段であり、表示装置200などの外部装置と、無線または有線で通信を行う役目を果たす。ここで、通信デバイスとしては、例えば、IEEE802.15.1ポートおよび送受信回路(無線通信)や、IEEE802.11ポートおよび送受信回路(無線通信)、通信アンテナおよびRF回路(無線通信)、あるいはLAN端子および送受信回路(有線通信)などが挙げられる。
【0037】
[1-2-1]ベース102
ベース102は、医療用観察装置100Aの基台であり、アーム104Aの一端が接続されて、アーム104Aと撮像デバイス106とを支持する。
【0038】
また、ベース102には例えばキャスタが設けられ、医療用観察装置100Aは、キャスタを介して床面と接地する。キャスタが設けられることにより、医療用観察装置100Aは、キャスタによって床面上を容易に移動することが可能である。
【0039】
[1-2-2]アーム104A
アーム104Aは、複数のリンクが関節部によって互いに連結されて構成される。アーム104Aは、後述する回転軸における回転動作により少なくとも7以上の自由度を有する。アーム104Aが有する7以上の自由度には、6つの受動回転軸の回転動作により実現される6自由度と、1以上の能動回転軸の回転動作により実現される1以上の自由度とが含まれる。図1に示す例は、後述するように7自由度を有する構成の一例である。
【0040】
本実施形態に係る受動回転軸とは、受動的に回転動作する回転軸である。回転軸が受動的に回転動作することには、例えば、“回転軸に加わる力によって回転軸が回転動作すること”と、“受動回転軸に対応する関節部に設けられるアクチュエータが、回転軸にかかるトルクの検出結果に応じて受動的に動作することにより、回転軸が回転動作すること”とが、含まれる。ここで、回転軸にかかるトルクは、例えば、受動回転軸に対応する関節部に設けられるトルクセンサにより検出される。トルクセンサは、重力により発生する回転トルクと、アームに加わる外力とを検出する。そして、アクチュエータは、検出された重力により発生する回転トルクを打ち消すように、検出された外力に従って受動的に動作する。
【0041】
本実施形態に係る能動回転軸とは、能動的に回転動作する回転軸である。回転軸が能動的に回転動作することには、例えば“能動回転軸に対応する関節部に設けられるアクチュエータが、本実施形態に係る制御方法に係る処理によって能動的に動作することにより、回転軸が回転動作すること”が含まれる。
【0042】
また、アーム104Aは、撮像デバイス106を支持する。アーム104Aにより支持される撮像デバイス106は、アーム104Aにより支持される医療用機器の一例である。アーム104Aにより支持された撮像デバイス106は3次元的に移動可能であり、移動後の撮像デバイス106は、アーム104Aによって、位置および姿勢が保持される。
【0043】
より具体的には、アーム104Aは、例えば、複数の関節部110a、110b、110c、110d、110e、110f、110gと、関節部110a、110b、110c、110d、110e、110f、110gによって連結される複数のリンク112a、112b、112c、112d、112eとを有する。関節部110a、110b、110c、110d、110e、110f、110gそれぞれの回転可能範囲は、アーム104Aの所望の動きが実現されるように、設計段階や製造段階などにおいて任意に設定される。
【0044】
つまり、図1に示す医療用観察装置100Aでは、アーム104Aを構成する7つの関節部110a、110b、110c、110d、110e、110f、110gに対応する7つの回転軸(第1軸O1、第2軸O2、第3軸O3、第4軸O4、第5軸O5、第6軸O6、および第7軸O7)によって、撮像デバイス106の移動に関して7自由度が実現されている。
【0045】
第1軸O1は、アーム104Aにおいて撮像デバイス106が支持される側から数えて1番目の回転軸である。第2軸O2は、アーム104Aにおいて撮像デバイス106が支持される側から数えて2番目の回転軸である。第3軸O3は、アーム104Aにおいて撮像デバイス106が支持される側から数えて3番目の回転軸である。第7軸O7は、アーム104Aにおいて撮像デバイス106が支持される側から数えて4番目の回転軸である。第4軸O4は、アーム104Aにおいて撮像デバイス106が支持される側から数えて5番目の回転軸である。第5軸O5は、アーム104Aにおいて撮像デバイス106が支持される側から数えて6番目の回転軸である。第6軸O6は、アーム104Aにおいて撮像デバイス106が支持される側から数えて7番目の回転軸である。
【0046】
より具体的には、図1に示す医療用観察装置100Aでは、6つの関節部110a、110b、110c、110e、110f、110gに対応する6つの回転軸(第1軸O1、第2軸O2、第3軸O3、第4軸O4、第5軸O5、および第6軸O6)が、受動回転軸として機能する。6つの受動回転軸(第1軸O1、第2軸O2、第3軸O3、第4軸O4、第5軸O5、および第6軸O6)によって、医療用観察装置100Aでは、並進3自由度、および回転3自由度の6自由度の動きが実現される。
【0047】
また、図1に示す医療用観察装置100Aでは、1つの関節部110dに対応する1つの回転軸(第7軸O7)が、能動回転軸として機能する。つまり、図1では、能動回転軸として機能する回転軸が、撮像デバイス106(アーム104Aにより支持される医療用機器の一例。以下、同様とする。)が支持される側から数えて4番目の回転軸である例を示している。なお、本実施形態に係るアーム104Aにおいて能動回転軸として機能する回転軸は、図1に示す例に限られない。例えば、能動回転軸として機能する回転軸は、撮像デバイス106(医療用機器の一例)が支持される側から数えて4番目以降の回転軸であればよい。能動回転軸として機能する回転軸の他の例については、後述する。
【0048】
例えば、能動回転軸に対応する関節部110dには、アクチュエータ(図示せず)が設けられ、関節部110dに対応する第7軸O7は、アクチュエータの駆動によって回転する。能動回転軸である第7軸O7を回転動作させるアクチュエータの駆動は、例えば、後述する制御部として機能するプロセッサ、または、外部の医療用制御装置(図示せず)によって制御される。能動回転軸に対応する関節部に設けられるアクチュエータは、医療用観察装置100Aが備えるアクチュエータであってもよいし、医療用観察装置100Aの外部のアクチュエータであってもよい。
【0049】
上述したように、受動回転軸に対応する関節部110a、110b、110c、110e、110f、110gの一部または全部には、トルクセンサ(図示せず)と、アクチュエータ(図示せず)とが設けられていてもよい。受動回転軸に対応する関節部の一部にのみトルクセンサとアクチュエータとが設けられる構成の一例を挙げると、“関節部110e、110f、110gにトルクセンサとアクチュエータとが設けられ、関節部110a、110b、110cにトルクセンサとアクチュエータとが設けられない構成”が、挙げられる。受動回転軸に対応する関節部に設けられるトルクセンサは、医療用観察装置100Aが備えるトルクセンサであってもよいし、医療用観察装置100Aの外部のトルクセンサであってもよい。また、受動回転軸に対応する関節部に設けられるアクチュエータは、医療用観察装置100Aが備えるアクチュエータであってもよいし、医療用観察装置100Aの外部のアクチュエータであってもよい。
【0050】
また、受動回転軸に対応する関節部110a、110b、110c、110e、110f、110gの一部または全部には、対応する回転軸における回転角度をそれぞれ検出することが可能な角度センサ(図示せず)が、設けられる。医療用観察装置100Aでは、少なくとも、関節部110bに対応する第2軸O2の回転角度を検出する角度センサが設けられる。角度センサは、医療用観察装置100Aが備える角度センサであってもよいし、医療用観察装置100Aの外部の角度センサであってもよい。本実施形態に係る角度センサとしては、例えば、ロータリエンコーダや角速度センサなどの、回転軸における回転角度を得ることが可能な任意のセンサが、挙げられる。
【0051】
関節部110aは、略円柱形状を有し、関節部110aの先端部分(図1における下端部分)で、撮像デバイス106(図1における撮像デバイス106の上端部分)を、撮像デバイス106の中心軸と平行な回転軸(第1軸O1)まわりに回動可能なように支持する。ここで、図1に示す医療用観察装置100Aでは、第1軸O1が撮像デバイス106における光軸と一致するように構成されている。換言すると、第1軸O1は、撮像デバイス106の光軸と同軸である。つまり、図1に示す第1軸O1まわりに撮像デバイス106を回動させることによって、撮像デバイス106により撮像された医療用撮像画像は、視野が回転するように変更される画像となる。なお、医療用観察装置100Aの構成が、第1軸O1が撮像デバイス106の光軸と同軸である構成に限られないことは、言うまでもない。
【0052】
リンク112aは、略棒状の部材であり、関節部110aを固定的に支持する。リンク112aは、例えば、第1軸O1と直交する方向に延伸され、関節部110bに接続される。
【0053】
関節部110bは、略円柱形状を有し、リンク112aを、第1軸O1と直交する回転軸(第2軸O2)まわりに回動可能なように支持する。また、関節部110bには、リンク112bが固定的に接続される。
【0054】
リンク112bは、一辺が第2軸O2と直交する方向に延伸する略L字形状の部材であり、リンク112bには、関節部110bと関節部110cとがそれぞれ接続される。
【0055】
関節部110cは、略円柱形状を有し、リンク112bを、少なくとも第2軸O2と互いに直交する回転軸(第3軸O3)まわりに回動可能なように支持する。また、関節部110cは、リンク112cを介して関節部110dと接続される。
【0056】
ここで、第2軸O2および第3軸O3まわりにアーム104Aの先端側(撮像デバイス106が設けられる側)が回動することによって、撮像デバイス106が回転するように撮像デバイス106を移動させることができる。なお、第2軸O2および第3軸O3まわりの回動が微小な場合には、医療用撮像画像の視野が平面内で移動しているようにみえる。また、上述したように、医療用観察装置100Aでは、第1軸O1まわりに撮像デバイス106が回動することによって、医療用撮像画像の視野が回転する。
【0057】
よって、医療用観察装置100Aにおいて、第1軸O1、第2軸O2、および第3軸O3(アーム104Aにおいて撮像デバイス106が支持される側から数えて1番目の回転軸、2番目の回転軸、および3番目の回転軸)は、撮像デバイス106のチルト動作に関する回転軸であるといえる。第1軸O1、第2軸O2、および第3軸O3それぞれの回転軸上には、それぞれに接続される各リンクの重心が乗っている。第1軸O1、第2軸O2、および第3軸O3それぞれの回転軸上に重心が乗る構成とすることによって、重力による回転モーメントを打ち消すためのアクチュエータが不要となる。
【0058】
関節部110dは、リンク112cを介して関節部110cと接続され、リンク112bを、第3軸O3と直交する回転軸(第7軸O7)まわりに回動可能なように支持する。上述したように、図1に示す例では、関節部110dに対応する第7軸O7は、能動回転軸である。
【0059】
リンク112cは、関節部110cを介してリンク112bと接続され、関節部110eを介してリンク112dと接続される。
【0060】
関節部110eは、リンク112cを、第3軸O3と直交する回転軸(第4軸O4)まわりに回動可能なように支持する。関節部110eには、リンク112dが接続される。
【0061】
リンク112dは、関節部110eを介してリンク112cと接続され、関節部110fを介してリンク112eと接続される。
【0062】
関節部110fは、リンク112dの一端を、第4軸O4と平行な回転軸(第5軸O5)まわりに回動可能なように支持する。また、関節部110fには、リンク112eの一端が接続される。
【0063】
ここで、第4軸O4および第5軸O5は、撮像デバイス106を垂直方向に移動させうる回転軸である。第4軸O4および第5軸O5まわりにアーム104Aの先端側(撮像デバイス106が設けられる側)が回動することによって、撮像デバイス106の垂直方向の位置が変わる。よって、第4軸O4および第5軸O5まわりにアーム104Aの先端側(撮像デバイス106が設けられる側)が回動することによって、撮像デバイス106と、患者の術部などの観察対象との距離を変えることが、可能となる。
【0064】
リンク112eは、一辺が鉛直方向に延伸するとともに他辺が水平方向に延伸する略L字形状を有する第1の部材と、当該第1の部材の水平方向に延伸する部位から鉛直下向きに延伸する棒状の第2の部材とが、組み合わされて構成される部材である。リンク112eの第1の部材の鉛直方向に延伸する部位には、関節部110fが固定的に接続される。また、リンク112eの第2の部材には、関節部110gが接続される。
【0065】
関節部110gには、リンク112eとベース102とが接続される。関節部110gは、リンク112eを、鉛直方向と平行な回転軸(第6軸O6)まわりに回動可能なように支持する。ここで、リンク112eが第6軸O6まわりに回動することによって、撮像デバイス106は水平方向に移動する。また、上記のように、第4軸O4および第5軸O5は、撮像デバイス106を垂直方向に移動させうる回転軸である。よって、医療用観察装置100Aにおいて、第4軸O4、第5軸O5、および第6軸O6(アーム104Aが有する6つの受動回転軸のうち、第1軸O1、第2軸O2、および第3軸O3以外の3つの回転軸)は、撮像デバイス106の3次元位置を規定する受動回転軸であるといえる。
【0066】
アーム104Aが上記に示す構成を有することによって、医療用観察装置100Aでは、撮像デバイス106の移動に関して7自由度が実現される。
【0067】
なお、アーム104Aの構成は、上記に示す例に限られない。
【0068】
例えば、アーム104Aの関節部110a、110b、110c、110d、110e、110f、110gの一部または全部には、対応する回転軸における回転を規制するブレーキ(図示せず)が設けられる。アーム104Aの関節部の一部にのみブレーキが設けられる構成の一例を挙げると、“関節部110a、110b、110c、110dにブレーキが設けられ、関節部110e、110f、110gにブレーキが設けられない構成”が、挙げられる。本実施形態に係るブレーキとしては、例えば、機械的に駆動するブレーキや、電気的に駆動する電磁ブレーキなど、任意の方式のブレーキが挙げられる。
【0069】
上記ブレーキ(図示せず)の駆動は、例えば、後述する制御部として機能するプロセッサ、または、外部の医療用制御装置(図示せず)によって制御される。上記ブレーキの駆動が制御されることにより、医療用観察装置100Aでは、アーム104Aの動作モードが設定される。アーム104Aの動作モードとしては、例えば、全固定モード、一部固定モード、およびフリーモードが挙げられる。なお、能動回転軸である第7軸の回転を規制するブレーキは、例えば、設定されている動作モードによらず、本実施形態に係る制御方法に係る処理により規制が解除されない限り、第7軸の回転を規制する。つまり、アーム104Aの動作モードは、例えば、受動回転軸に設けられるブレーキの動作を規定するものである。
【0070】
ここで、本実施形態に係る全固定モードとは、例えば、アーム104Aが有する全ての受動回転軸に対応する関節部にブレーキ(図示せず)が設けられている場合に、全ての受動回転軸における回転がブレーキにより規制される動作モードである。アーム104Aが有する全ての受動回転軸における回転がブレーキにより規制されることにより、撮像デバイス106の位置および姿勢が固定される。つまり、アーム104Aが全固定モードとなることによって、医療用観察装置100Aの動作状態は、撮像デバイス106の位置および姿勢が固定される固定状態となる。
【0071】
また、本実施形態に係る一部固定モードとは、例えば、アーム104Aが有する受動回転軸に対応する関節部のうちの一部の関節部に設けられているブレーキ(図示せず)により、当該一部の関節部に対応する受動回転軸における回転がブレーキにより規制される動作モードである。例えば“アーム104Aが有する受動回転軸に対応する関節部の一部にのみブレーキが設けられる構成であるときに、回転がブレーキにより規制される場合”における動作モードは、一部固定モードに該当する。アーム104Aが有する一部の受動回転軸における回転がブレーキにより規制されることにより、撮像デバイス106の位置および姿勢が一部固定される。一例を挙げると、一部固定モードが設定される場合、第1軸O1、第2軸O2および第3軸O3における回転動作が可能となり、他の受動回転軸における回転動作が制限される。なお、一部固定モードが設定される場合の制限の例が、上記に示す例に限られないことは、言うまでもない。
【0072】
また、本実施形態に係るフリーモードとは、上記ブレーキが解除されることにより、アーム104Aに設けられる各受動回転軸が自由に回転可能となる動作モードである。例えば、フリーモードでは、術者による直接的な操作によって撮像デバイス106の位置および姿勢を調整することが可能となる。ここで、本実施形態に係る直接的な操作としては、例えば、“術者が手で撮像デバイス106を把持し、当該撮像デバイス106を直接移動させる操作”が、挙げられる。
【0073】
[1-2-3]撮像デバイス106
撮像デバイス106は、アーム104Aにより支持され、例えば患者の術部などの観察対象を撮像する。撮像デバイス106における撮像は、例えば、後述する制御部として機能するプロセッサ、または、外部の医療用制御装置(図示せず)によって制御される。
【0074】
撮像デバイス106は、例えば電子撮像式の顕微鏡に対応する構成を有する。
【0075】
図2は、本実施形態に係る医療用観察装置100Aが備える撮像デバイス106の構成の一例を説明するための説明図である。図2は、第1軸O1と撮像デバイス106の光軸とが同軸であり、かつ、撮像デバイス106の光軸が鉛直方向の下向きを向いている場合を示している。
【0076】
図2に示す撮像デバイス106は、例えば、撮像部材120と、略円筒形状を有する筒状部材122とを有し、撮像部材120は、筒状部材122内に設けられる。
【0077】
筒状部材122の下端(図2における下側の端)の開口面には、例えば、撮像部材120を保護するためのカバーガラス(図示せず)が設けられる。
【0078】
また、例えば筒状部材122の内部には光源(図示せず)が設けられ、撮像時には、当該光源からカバーガラス越しに被写体に対して照明光が照射される。照明光が照射された被写体からの反射光(観察光)が、カバーガラス(図示せず)を介して撮像部材120に入射することにより、撮像部材120によって被写体を示す画像信号(医療用撮像画像を示す画像信号)が得られる。
【0079】
撮像部材120としては、各種の公知の電子撮像式の顕微鏡部に用いられている構成を適用することが可能である。
【0080】
一例を挙げると、撮像部材120は、例えば、光学系120aと、光学系120aを通過した光により観察対象の像を撮像する撮像素子を含むイメージセンサ120bとで構成される。光学系120aは、例えば、対物レンズ、ズームレンズおよびフォーカスレンズなどの1または2以上のレンズとミラーなどの光学素子で構成される。イメージセンサ120bとしては、例えば、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)やCCD(Charge Coupled Device)などの撮像素子を複数用いたイメージセンサが、挙げられる。
【0081】
イメージセンサ120bは、例えば4K、8Kなどの、いわゆる高解像度での撮像が可能な数の画素を有していてもよい。撮像部材120が高解像度での撮像が可能に構成されることにより、所定の解像度(例えば、Full HD画質など)を確保しつつ、例えば50インチ以上などの大画面の表示画面を有する表示装置200に画像を表示させることが可能となるので、当該表示画面を見る者の視認性が向上する。また、撮像部材120が高解像度での撮像が可能に構成されることにより、撮像画像が電子ズーム機能によって拡大されて表示装置200の表示画面に表示されたとしても、所定の解像度を確保することが可能となる。さらに、電子ズーム機能を用いて所定の解像度が確保される場合には、撮像部材120における光学ズーム機能の性能を抑えることが可能となるので、撮像部材120の光学系をより簡易にすることができる。そして、撮像部材120の光学系がより簡易となることによって、撮像デバイス106をより小型に構成することが可能となる。
【0082】
撮像部材120は、光学系120aおよびイメージセンサ120bで構成される撮像デバイスを、2つ以上有することにより、いわゆるステレオカメラとして機能する。
【0083】
撮像部材120を構成する撮像デバイスには、ズーム機能(光学ズーム機能と電子ズーム機能との一方または双方)、AF(Auto Focus)機能などの、一般的に電子撮像式の顕微鏡部に備えられる1または2以上の機能が搭載される。
【0084】
撮像デバイス106には、例えば、撮像デバイス106の動作を制御するための各種の操作デバイスが設けられる。例えば図2では、ズームスイッチ124と、フォーカススイッチ126と、動作モード設定スイッチ128とが、撮像デバイス106に設けられている。なお、ズームスイッチ124、フォーカススイッチ126、および動作モード設定スイッチ128が設けられる位置と形状とが、図2に示す例に限られないことは、言うまでもない。
【0085】
ズームスイッチ124とフォーカススイッチ126とは、撮像デバイス106における撮像条件を調整するための操作デバイスの一例である。
【0086】
ズームスイッチ124は、例えば、ズーム倍率(拡大率)を大きくするズームインスイッチ124aと、ズーム倍率を小さくするズームアウトスイッチ124bとで構成される。ズームスイッチ124に対する操作が行われることによりズーム倍率が調整されて、ズームが調整される。
【0087】
フォーカススイッチ126は、例えば、観察対象(被写体)までの焦点距離を遠くする遠景フォーカススイッチ126aと、観察対象までの焦点距離を近くする近景フォーカススイッチ126bとで構成される。フォーカススイッチ126に対する操作が行われることにより焦点距離が調整されて、フォーカスが調整される。
【0088】
動作モード設定スイッチ128は、撮像デバイス106におけるアーム104Aの動作モードを設定するための操作デバイスの一例である。動作モード設定スイッチ128に対する操作が行われることにより、アーム104Aの動作モードが変更される。動作モード設定スイッチ128に対する操作が行われることにより変更される動作モードとしては、例えば全固定モードとフリーモードとが挙げられる。また、動作モード設定スイッチ128に対する操作が行われることにより、全固定モード、一部固定モード、およびフリーモードのうちのいずれかの動作モードに変更されてもよい。
【0089】
動作モード設定スイッチ128に対する操作の一例としては、動作モード設定スイッチ128を押下する操作が、挙げられる。例えば、術者が動作モード設定スイッチ128を押下している間、アーム104Aの動作モードがフリーモードとなり、術者が動作モード設定スイッチ128を押下していないときには、アーム104Aの動作モードが全固定モードとなる。また、例えば、“術者が、設定されている所定の時間内に、動作モード設定スイッチ128を押下し、離し、再度押下した場合”、再度押下されている間、アーム104Aの動作モードは、一部固定モードとなる。なお、動作モード設定スイッチ128に対する操作の例、および操作に応じた動作モードの例が、上記に示す例に限られないことは、言うまでもない。
【0090】
撮像デバイス106には、各種操作デバイスに対する操作を行う操作者が操作を行う際の操作性や利便性などをより高めるために、例えば、滑り止め部材130と、突起部材132とが設けられる。
【0091】
滑り止め部材130は、例えば操作者が筒状部材122を手などの操作体で操作を行う際に、操作体の滑りを防止するために設けられる部材である。滑り止め部材130は、例えば、摩擦係数が大きい材料で形成され、凹凸などのより滑りにくい構造を有する。
【0092】
突起部材132は、操作者が筒状部材122を手などの操作体で操作を行う際に、当該操作体が光学系120aの視野を遮ってしまうことや、当該操作体で操作を行う際に、カバーガラス(図示せず)に当該操作体が触れることにより当該カバーガラスが汚れることなどを、防止するために設けられる部材である。
【0093】
なお、滑り止め部材130および突起部材132それぞれが設けられる位置と形状とが、図2に示す例に限られないことは、言うまでもない。また、撮像デバイス106には、滑り止め部材130と突起部材132との一方または双方が設けられていなくてもよい。
【0094】
撮像デバイス106における撮像により生成された画像信号(画像データ)は、例えば後述する制御部として機能するプロセッサにおいて、画像処理が行われる。本実施形態に係る画像処理としては、例えば、ガンマ補正、ホワイトバランスの調整、電子ズーム機能に係る画像の拡大または縮小、または、画素間補正などの各種処理のうちの、1または2以上の処理が、挙げられる。なお、本実施形態に係る医療用観察システムが、医療用観察装置100Aにおける各種動作を制御する医療用制御装置(図示せず)を有する場合には、本実施形態に係る画像処理は、当該医療用制御装置において行われてもよい。
【0095】
医療用観察装置100Aは、例えば、表示制御信号と、上記のような画像処理が行われた画像信号とを、表示装置200に送信する。
【0096】
表示制御信号と画像信号とが表示装置200に送信されることによって、表示装置200の表示画面には、観察対象が撮像された医療用撮像画像(例えば、術部が撮像された撮像画像)が、光学ズーム機能と電子ズーム機能との一方または双方によって所望の倍率に拡大または縮小されて表示される。
【0097】
医療用観察装置100Aは、例えば図1図2を参照して示したハードウェア構成を有する。
【0098】
なお、本実施形態に係る医療用観察装置のハードウェア構成は、図1図2を参照して示した構成に限られない。
【0099】
例えば、本実施形態に係る医療用観察装置は、ベース102を備えず、手術室などの天井や壁面などにアーム104Aが直接取り付けられる構成であってもよい。例えば、天井にアーム104Aが取り付けられる場合には、本実施形態に係る医療用観察装置は、アーム104Aが天井から吊り下げられる構成となる。
【0100】
また、図1では、アーム104Aが、撮像デバイス106の駆動に関して、7自由度(6つの受動回転軸による6自由度および1つの能動回転軸による1自由度)が実現されるように構成されている例を示しているが、アーム104Aの構成は、撮像デバイス106の駆動に関する自由度が7自由度となる構成に限られない。例えば、アーム104Aは、2つ以上の能動回転軸を有することによって、8自由度以上を有していてもよい。アーム104Aが8自由度以上を有する場合、各能動回転軸は、撮像デバイス106が支持される側から数えて4番目以降の回転軸となる。
【0101】
また、図1図2では、撮像デバイス106の動作を制御するための各種の操作デバイスが、撮像デバイス106に設けられる例を示しているが、図1図2に示す操作デバイスのうちの一部または全部は、撮像デバイス106に設けられなくてもよい。一例を挙げると、撮像デバイス106の動作を制御するための各種の操作デバイスは、本実施形態に係る医療用観察装置を構成する撮像デバイス106以外の他の部位に設けられていてもよい。また、他の例を挙げると、撮像デバイス106の動作を制御するための各種の操作デバイスは、フットスイッチや、リモートコントローラなどのハンドスイッチなど、任意の外部の操作デバイスであってもよい。
【0102】
また、撮像デバイス106は、複数の観察モードを切り替えることが可能な構成であってもよい。本実施形態に係る観察モードとしては、例えば、自然光で撮像を行う観察モード、特殊光で撮像を行う観察モード、画像強調観察技術を利用して撮像を行う観察モードなどが、挙げられる。本実施形態に係る特殊光とは、例えば、近赤外線の波長帯域の光や、5-ALA(5-Aminolevulinic Acid)を用いた蛍光観察の蛍光波長帯域の光など、特定の波長帯域の光である。
【0103】
複数の観察モードを切り替えることが可能な撮像デバイス106の構成の一例としては、例えば、“特定の波長帯域の光を透過させ、他の波長帯域の光を透過させないフィルタと、当該フィルタを光路上に選択的に配置する移動機構と、を備える構成”が、挙げられる。本実施形態に係るフィルタが透過させる特定の波長帯域としては、例えば、近赤外線の波長帯域(例えば、約0.7[マイクロメートル]~2.5[マイクロメートル]の波長帯域)や、5-ALAを用いた蛍光観察による蛍光波長帯域(例えば、約0.6[マイクロメートル]~0.65[マイクロメートル]の波長帯域)、ICG(Indocyanine Green)の蛍光波長帯域(例えば、約0.82[マイクロメートル]~0.85[マイクロメートル]の波長帯域)などが、挙げられる。
【0104】
なお、撮像デバイス106には、透過させる波長帯域が異なる複数のフィルタが設けられていてもよい。また、上記では、フィルタが光路上に配置されることにより、特定の波長帯域の光で撮像が行われる例を示したが、特定の波長帯域の光で撮像を行うための撮像デバイス106の構成が、上記に示す例に限られないことは、言うまでもない。
【0105】
次に、図1に示す医療用観察装置100Aを、機能ブロックを用いて説明する。図3は、本実施形態に係る医療用観察装置100Aの構成の一例を示す機能ブロック図である。
【0106】
医療用観察装置100Aは、例えば、アーム部152と、撮像部154と、通信部156と、制御部158とを備える。
【0107】
アーム部152は、アーム104Aで構成され、撮像部154を構成する撮像デバイス106を支持する。
【0108】
撮像部154は、撮像デバイス106で構成され、観察対象を撮像する。撮像部154における撮像は、例えば制御部158によって制御される。
【0109】
通信部156は、医療用観察装置100Aが備える通信手段であり、表示装置200などの外部装置と無線または有線で通信を行う役目を果たす。通信部156は、例えば上述した通信デバイス(図示せず)で構成される。通信部156における通信は、例えば制御部158によって制御される。
【0110】
制御部158は、例えば上述したプロセッサ(図示せず)で構成され、医療用観察装置100A全体を制御する役目を果たす。また、制御部158は、後述する制御方法に係る処理を主導的に行う役目を果たす。なお、制御部158における制御方法に係る処理は、複数の処理回路(例えば、複数のプロセッサなど)で分散して行われてもよい。
【0111】
より具体的には、制御部158は、例えば、撮像制御部160と、アーム制御部162と、表示制御部164とを有する。
【0112】
撮像制御部160は、撮像部154を構成する撮像デバイス106を制御する。撮像デバイス106の制御としては、例えば、少なくともズーム機能(光学ズーム機能および電子ズーム機能)を含む、AF機能の制御などの一般的に電子撮像式の顕微鏡部に備えられる1または2以上の機能の制御が、挙げられる。
【0113】
アーム制御部162は、アーム部152を構成するアーム104Aの駆動を制御する。アーム104Aの駆動の制御の一例としては、例えば、“能動回転軸に対応する関節部110dに対応するアクチュエータ(図示せず)に対して、駆動を制御する制御信号を印加すること”などが挙げられる。
【0114】
また、アーム制御部162は、後述する制御方法に係る処理を行う役目を果たす。本実施形態に係る制御方法に係る処理の一例については、後述する。
【0115】
表示制御部164は、例えば、表示制御信号と画像信号とを通信部156を構成する通信デバイス(図示せず)に伝達し、表示制御信号と画像信号とを表示装置200に対して送信させることによって、表示装置200における表示を制御する。なお、通信部156における通信の制御は、制御部158を構成する通信制御部(図示せず)により行われてもよい。
【0116】
制御部158は、例えば、アーム制御部162を有することにより、本実施形態に係る制御方法に係る処理を主導的に行う役目を果たす。また、制御部158は、例えば、撮像制御部160、アーム制御部162、および表示制御部164を有することによって、医療用観察装置100A全体を制御する役目を果たす。
【0117】
なお、制御部158の機能構成は、図3に示す例に限られない。
【0118】
例えば、制御部158は、本実施形態に係る制御方法に係る処理の切り分け方に応じた構成など、医療用観察装置100Aが有する機能の切り分け方に応じた、任意の構成を有することが可能である。
【0119】
医療用観察装置100Aは、例えば図3に示す構成によって、後述する本実施形態に係る制御方法に係る処理を行う。
【0120】
なお、本実施形態に係る医療用観察装置の機能構成は、図3に示す構成に限られない。
【0121】
例えば、本実施形態に係る医療用観察装置は、図3に示す撮像制御部160、アーム制御部162、および表示制御部164のうちの一部または全部を、制御部158とは個別に備える(例えば、別の処理回路で実現する)ことができる。
【0122】
また、本実施形態に係る医療用観察装置において本実施形態に係る制御方法に係る処理を実現するための機能構成は、図3に示す構成に限られず、例えば、本実施形態に係る医療用観察装置は、本実施形態に係る制御方法に係る処理の切り分け方に応じた機能構成をとることが可能である。
【0123】
また、上述したように、本実施形態に係る医療用観察装置は、本実施形態に係る医療用保持装置の一例であり、アーム部152を構成するアーム104Aにより支持される撮像デバイス106は、取り外し可能な外部の撮像デバイスであってもよい。また、外部の撮像デバイスが取り外された状態であるとき、本実施形態に係る医療用観察装置は、撮像部154を備えていない状態となる。
【0124】
また、例えば、通信部156と同様の機能、構成を有する外部の通信デバイスを介して外部装置と通信を行う場合には、本実施形態に係る医療用観察装置は、通信部156を備えていなくてもよい。
【0125】
また、本実施形態に係る医療用観察システムが、医療用制御装置(図示せず)を有する構成であり、本実施形態に係る医療用観察装置が当該医療用制御装置により制御される場合、本実施形態に係る医療用観察装置は、制御部158を備えていなくてもよい。
【0126】
ここで、医療用制御装置(図示せず)は、例えば、制御部158と同様の機能、構成を有する制御部を備えることによって、後述する本実施形態に係る制御方法に係る処理を行い、また、本実施形態に係る医療用観察装置が備えるアーム部152や撮像部154などの各構成要素における動作を制御する。医療用制御装置は、備えている通信デバイス、または、接続されている外部の通信デバイスを介して、本実施形態に係る医療用観察装置と通信を行うことによって、本実施形態に係る医療用観察装置が備える各構成要素における動作を制御する。
【0127】
さらに、本実施形態に係る医療用観察システムが、医療用制御装置(図示せず)を有する構成であり、本実施形態に係る医療用観察装置が当該医療用制御装置により制御される場合、本実施形態に係る医療用観察装置は、制御部158の一部の機能を有さない構成をとることも可能である。
【0128】
上述した医療用観察装置100Aの機能構成(変形例も含む)は、後述する他の実施形態に係る医療用観察システムを構成する医療用観察装置にも適用される。
【0129】
[2]本実施形態に係る制御方法
次に、本実施形態に係る制御方法について、説明する。以下では、本実施形態に係る制御方法に係る処理を、第1の実施形態に係る医療用観察システム1000を構成する医療用観察装置100A(より具体的には、例えば制御部158が有するアーム制御部162)が行う場合を例に挙げる。なお、上述したように、本実施形態に係る医療用観察システムにおいて、本実施形態に係る制御方法に係る処理は、医療用制御装置(図示せず)により行われてもよい。
【0130】
[2-1]本実施形態に係る制御方法の概要
アーム104Aの動作モードがフリーモードである場合、医療用観察装置100Aの使用者は撮像デバイス106の位置を自由に移動させることが可能である。しかしながら、上述したように、撮像デバイス106を支持するアーム104Aの姿勢によってはアーム104Aの自由度が減る場合がある。アーム104Aの自由度が減った場合には、“使用者がアームの姿勢を手動で変えなければ、所望の撮像範囲が撮像されるように撮像デバイスを移動させることができない事態”が生じる可能性がある。そして、上記のような事態が生じる場合には、医療用観察装置を用いる使用者の利便性が低下する可能性がある。
【0131】
図4は、本実施形態に係る制御方法の概要を説明するための説明図であり、アーム104Aのうち、撮像デバイス106が支持される側から第3軸O3までの一部を示している。図4のAは、アーム104Aの姿勢の第1の例を示している。図4のBは、アーム104Aの姿勢の第2の例を示しており、図4のCは、アーム104Aの姿勢の第3の例を示している。
【0132】
図4のAに示す第1の例に係る姿勢では、第1軸O1、第2軸O2、および第3軸O3が直交状態である。このとき、第1軸O1における回転動作により医療用観察画像は回転し、第2軸O2における回転動作により撮像デバイス106の撮像範囲は上下方向(鉛直方向。以下、同様とする。)に移動し、第3軸O3における回転動作により撮像デバイス106の撮像範囲は左右方向(鉛直方向と直交する方向。以下、同様とする。)に移動する。図4のAに示す第1の例に係る姿勢では、自由度は減らず、自由度に不足はない。
【0133】
図4のBに示す第2の例に係る姿勢は、図4のAに示す第1の例に係る姿勢から、第2軸O2が90[°]回転した姿勢である。このとき、第1軸O1における回転動作および第3軸O3における回転動作により医療用観察画像は回転する。また、第2軸O2における回転動作により撮像デバイス106の撮像範囲が上下方向に移動する場合、図4のBに示す第2の例に係る姿勢では、撮像デバイス106の撮像範囲を左右方向に移動させる移動成分が存在しないこととなる。つまり、図4のBに示す第2の例に係る姿勢では、図4のAに示す第1の例に係る姿勢における自由度よりも自由度が減り、自由度に不足が生じる。
【0134】
図4のCに示す第3の例に係る姿勢は、図4のBに示す第2の例に係る姿勢から、第1軸O1および第3軸O3が90[°]回転した姿勢である。このとき、図4のBに示す第2の例に係る姿勢と同様に、第1軸O1における回転動作および第3軸O3における回転動作により医療用観察画像は回転する。また、第2軸O2における回転動作により撮像デバイス106の撮像範囲が左右方向に移動する場合、図4のCに示す第3の例に係る姿勢では、撮像デバイス106の撮像範囲を上下方向に移動させる移動成分が存在しないこととなる。つまり、図4のCに示す第3の例に係る姿勢では、図4のAに示す第1の例に係る姿勢における自由度よりも自由度が減り、自由度に不足が生じる。
【0135】
例えば、図4のBに示す第2の例に係る姿勢や図4のCに示す第3の例に係る姿勢となった場合、術者などの使用者は、手動でリンク112bを第3軸O3まわりに回転させれば、第2軸O2が相対的に回転することにより所望の回転自由度を得ることができる。しかしながら、手動でリンク112bを第3軸O3まわりに回転させるときには、使用者は、両手を用いて操作を行う必要がある場合があり、使用者が煩わしさを感じる恐れがある。
【0136】
そこで、医療用観察装置100Aは、アーム104Aの姿勢が所定の状態となることが回避されるように、アーム104Aの動作を制御することによって自動的に自由度を確保する。
【0137】
医療用観察装置100Aは、例えば、アーム104Aの動作モードがフリーモードである場合に、アーム104Aの姿勢に応じたアーム104Aの動作の制御を行う。なお、医療用観察装置100Aは、アーム104Aの動作モードによらずに、アーム104Aの姿勢に応じてアーム104Aの動作の制御を行ってもよい。
【0138】
本実施形態に係る所定の状態とは、アーム104Aの姿勢によって一部の自由度が失われている状態である。具体的には、所定の状態は、第1軸O1が、第2軸O2と第3軸O3それぞれの回転動作により実現される自由度の数が減っている、特異状態である。別の表現で表すと、アーム104Aの姿勢が所定の状態であるとは、例えば、図4のBに示す第2の例に係る姿勢や図4のCに示す第3の例に係る姿勢のように“第1軸O1が、第2軸O2と第3軸O3とにより規定される平面上に存在する状態であること”、または、“第1軸O1が、第2軸O2と第3軸O3とにより規定される平面と平行な平面上に存在する状態であること”をいう。
【0139】
図4のB、図4のCに示すように、“第1軸O1が、第2軸O2と第3軸O3とにより規定される平面上に存在する状態”、または、“第1軸O1が、第2軸O2と第3軸O3とにより規定される平面と平行な平面上に存在する状態”が、所定の状態に該当する。つまり、アーム104Aの姿勢が所定の状態にあるとき、第1軸O1と第3軸O3とがなす角度は、0[°]となる。
【0140】
また、例えば図1に示すように、第2軸O2の回転角度は、第1軸O1と第3軸O3とがなす角度に該当する(以下、同様とする。)。つまり、アーム104Aの姿勢が所定の状態にあるとき、第2軸O2の回転角度は、0[°]となる。
【0141】
医療用観察装置100Aは、例えば、アーム104Aの姿勢が所定の状態に近づいている場合に、所定の状態が回避されるように能動回転軸を回転動作させることによって、自由度を確保する。アーム104Aの姿勢が所定の状態に近づいている場合とは、アーム104Aの姿勢が所定の状態となりそうな場合である。
【0142】
医療用観察装置100Aは、例えば、関節部110bに対応する第2軸O2の回転角度を検出する角度センサ(図示せず)の検出結果に基づいて、アーム104Aの姿勢が所定の状態に近づいているか否かを判定する。例えば、医療用観察装置100Aは、ある時点に検出された第2軸O2の回転角度が第1の範囲に含まれた場合に、アーム104Aの姿勢が所定の状態に近づいていると判定する。また、医療用観察装置100Aは、例えば、ある時点に検出された第2軸O2の回転角度と、第2軸O2の回転角度の時間変化とに基づいて、将来の時点に検出される第2軸O2の回転角度が第1の範囲に含まれると推定された場合に、アーム104Aの姿勢が所定の状態に近づいていると判定することも可能である。
【0143】
上述したように、アーム104Aの姿勢が所定の状態である場合とは、第2軸O2の回転角度が0[°]である場合に該当する。よって、本実施形態に係る第1の範囲としては、下記に示す例が挙げられる。ここで、E1、E2は、設計段階などにおいて設定される、“0”または“0より大きい実数”である。E1の値とE2の値とは、同一であってもよいし、異なっていてもよい。
・0-E1<(第2軸O2の回転角度)<0+E2
・0-E1≦(第2軸O2の回転角度)<0+E2
・0-E1<(第2軸O2の回転角度)≦0+E2
・0-E1≦(第2軸O2の回転角度)≦0+E2
【0144】
なお、アーム104Aの姿勢が所定の状態に近づいていることを判定する方法は、上記に示す例に限られない。
【0145】
例えば、第1軸O1~第7軸O7(全ての受動回転軸および全ての能動回転軸の一例)それぞれの回転角度を検出する角度センサ(図示せず)が設けられる場合、検出された回転角度に基づいて、アーム104Aの姿勢を特定すること(またはアーム104Aの姿勢を推定すること。以下、同様とする。)ができる。よって、医療用観察装置100Aは、例えば、アーム104Aの姿勢を特定することによって、アーム104Aの姿勢が所定の状態に近づいているかを判定することが可能である。なお、アーム104Aの姿勢の特定方法(またはアーム104Aの姿勢の推定方法)は、上記に示す例に限られず、医療用観察装置100Aは、アーム104Aの姿勢を特定することが可能な任意の方法により、アーム104Aの姿勢を特定してもよい。
【0146】
以下では、“医療用観察装置100Aが、第2軸O2の回転角度を検出する角度センサ(図示せず)の検出結果に基づいて、アーム104Aの姿勢が所定の状態に近づいているか否かを判定する場合”を、例に挙げる。
【0147】
アーム104Aの姿勢が所定の状態に近づいていると判定されると、医療用観察装置100Aは、能動回転軸である第7軸O7に対応する関節部110dに設けられるアクチュエータ(図示せず)を動作させて第7軸O7を回転動作させることによって、所定の状態を回避させる。
【0148】
なお、医療用観察装置100Aにおける能動回転軸の制御は、上記に示す例に限られない。例えば、医療用観察装置100Aは、例えば、アーム104Aの姿勢が維持されるように能動回転軸を回転動作させることによって、所定の状態を回避させることも可能である。
【0149】
上記のようなアーム104Aの動作の制御により所定の状態が回避させることによって、アーム104Aの自由度は自動的に確保されるので、上述したような使用者が感じうる煩わしさは低減される。したがって、医療用観察装置100Aは、使用者の利便性の向上を図ることができる。
【0150】
[2-2]本実施形態に係る制御方法に係る処理
次に、図1に示す構成の医療用観察装置100Aに適用される場合を例に挙げて、本実施形態に係る制御方法に係る処理について、より具体的に説明する。上述したように、医療用観察装置100Aでは、例えばアーム制御部162によって制御方法に係る処理が行われる。
【0151】
上述したように、医療用観察装置100Aは、アーム104Aの姿勢が所定の状態となることが回避されるように、能動回転軸を回転動作させる。具体的には、医療用観察装置100Aは、例えば、下記の(A)に示す第1の例に係る処理、または、下記の(B)に示す第2の例に係る処理を行うことによって、所定の状態を回避させる。
【0152】
(A)制御方法に係る処理の第1の例
医療用観察装置100Aは、第2軸O2の回転角度を検出する角度センサ(図示せず)の検出結果に基づいて、アーム104Aの姿勢が所定の状態に近づいているかを判定する。そして、医療用観察装置100Aは、所定の状態に近づいていると判定した場合に、能動回転軸を回転動作させる。医療用観察装置100Aは、第2軸O2の回転角度が設定されている第1の範囲に含まれないように、能動回転軸を回転動作させる。上述したように、医療用観察装置100Aは、検出された第2軸O2の回転角度に基づきアーム104Aの姿勢が所定の状態に近づいているかを判定し、所定の状態に近づいていると判定した場合に、能動回転軸を回転動作させる。
【0153】
図5は、本実施形態に係る制御方法に係る処理の第1の例によるアーム104Aの動作の一例を示す説明図である。図5では、アーム104Aのうち、撮像デバイス106が支持される側から第5軸O5に対応する関節部110fまでの一部を示している。図5のAは、所定の状態に近づいていると判定されない場合におけるアーム104Aの姿勢の一例を示している。図5のBは、姿勢が所定の状態であるアーム104Aの一例を示している。図5のCは、所定の状態が回避されるように能動回転軸が回転動作された場合におけるアーム104Aの姿勢の一例を示している。図5のA、図5のB、および図5のCに示す“a”は、第1軸O1と第3軸O3とがなす角度を示している。上述したように、第1軸O1と第3軸O3とがなす角度aは、角度センサにより検出される第2軸O2の回転角度に該当する。
【0154】
アーム104Aの姿勢が、図5のAに示す姿勢から図5のBの矢印Ar1に示すように変化すると、第1軸O1と第3軸O3とがなす角度aは、徐々に小さくなり、やがて0[°]となる。上述したように、第1軸O1と第3軸O3とがなす角度aが0[°]である場合とは、アーム104Aの姿勢が所定の状態にある場合であり、このとき、アーム104A全体として自由度が1自由度失われた状態となる。つまり、第1軸O1と第3軸O3とがなす角度aが0[°]である場合、アーム104Aでは、支持される撮像デバイス106を移動させることができない方向が存在する。
【0155】
そこで、医療用観察装置100Aは、第1軸O1と第3軸O3とがなす角度aに基づき所定の状態に近づいていると判定した場合、図5のCの矢印Ar2に示すように、能動回転軸である第7軸O7を回転動作させる。
【0156】
具体的には、医療用観察装置100Aは、受動回転軸である第3軸O3が水平となるように、能動回転軸である第7軸O7を回転動作させる。ここで、第3軸O3が水平となることには、“医療用観察装置100Aが配置される空間の床面(または地面)に対して、第3軸O3が完全に水平であること”と、“医療用観察装置100Aが配置される空間の床面(または地面)に対して、第3軸O3が略水平(完全には水平ではないが、水平とみなせる状態。以下、同様とする。)であること”とが、含まれる。
【0157】
例えば図5のCに示すように、能動回転軸である第7軸O7が回転動作することによって、第1軸O1と第3軸O3とがなす角度aは、第7軸O7が回転動作する前よりも大きくなり、その結果、アーム104Aが所定の状態となることが回避される。
【0158】
また、医療用観察装置100Aが能動回転軸である第7軸O7を回転動作させた場合、1または2以上の受動回転軸は、能動回転軸の回転動作による撮像デバイス106の移動を吸収するように、回転動作する。
【0159】
上記のように、1または2以上の受動回転軸が、能動回転軸の回転動作に伴い受動的に回転動作することによって、第1軸O1の姿勢は、能動回転軸の回転動作によって変化しない。つまり、医療用観察装置100Aでは、アーム104Aにより支持される撮像デバイス106の姿勢は、能動回転軸の回転動作の前後で変化しない。よって、医療用観察装置100Aが能動回転軸である第7軸O7を回転動作させた場合であっても、アーム104Aにより支持される撮像デバイス106の撮像範囲は変化せず、能動回転軸の回転動作の前後で観察対象の同一の部分が撮像される。また、医療用観察装置100Aが能動回転軸である第7軸O7を回転動作させた場合であっても、表示装置200の表示画面に表示される医療用撮像画像は観察対象の同一の部分を示すので、能動回転軸の回転動作が、術者の医療行為を妨げる可能性は低い。
【0160】
(B)制御方法に係る処理の第2の例
医療用観察装置100Aは、例えば、アーム104Aの姿勢が維持されるように能動回転軸を回転動作させる。医療用観察装置100Aは、第2軸O2の回転角度が、設定されている第2の範囲を維持するように、能動回転軸を回転動作させる。
【0161】
本実施形態に係る第2の範囲とは、“医療用観察装置100A(医療用保持装置の一例)を使用する使用者が、アーム104Aにより支持される撮像デバイス106(アーム104Aにより支持される医療用機器の一例)を操作しやすい範囲”である。第2の範囲は、例えば設計段階などにおいて設定される。使用者がアーム104Aにより支持される撮像デバイス106を操作しやすいときにおける、第2軸O2の回転角度としては、90[°]が挙げられる。よって、第2の範囲としては、例えば下記に示す例が挙げられる。ここで、E3、E4は、設計段階などにおいて設定される、“0”または“0より大きい実数”である。E3の値とE4の値とは、同一であってもよいし、異なっていてもよい。なお、第2の範囲の例が、下記に示す例に限られないことは、言うまでもない。
・90-E3<(第2軸O2の回転角度)<90+E4
・90-E3≦(第2軸O2の回転角度)<90+E4
・90-E3<(第2軸O2の回転角度)≦90+E4
・90-E3≦(第2軸O2の回転角度)≦90+E4
【0162】
図6は、本実施形態に係る制御方法に係る処理の第2の例によるアーム104Aの動作の一例を示す説明図である。図6では、アーム104Aのうち、撮像デバイス106が支持される側から第5軸O5に対応する関節部110fまでの一部を示している。図6のAは、所定の状態に近づいていると判定されない場合におけるアーム104Aの姿勢の一例を示している。図6のBは、所定の状態に近づいていると判定される場合におけるアーム104Aの姿勢の一例を示している。図6のCは、所定の状態が回避されるように能動回転軸が回転動作された場合におけるアーム104Aの姿勢の一例を示している。図6のA、図6のB、および図6のCに示す“a”は、第1軸O1と第3軸O3とがなす角度を示している。上述したように、第1軸O1と第3軸O3とがなす角度aは、角度センサにより検出される第2軸O2の回転角度に該当する。
【0163】
アーム104Aの姿勢が、図6のAに示す姿勢から図6のBに示す姿勢に変化する場合には、第1軸O1と第3軸O3とがなす角度aは、徐々に小さくなる。図6のAに示す姿勢から図6のBに示す姿勢への変化は、例えば、術者が撮像デバイス106を観察対象の術部に近づけようとする場合に生じる。
【0164】
そこで、医療用観察装置100Aは、第1軸O1と第3軸O3とがなす角度aの変化が検出された場合に、図6のCの矢印Ar1に示すように、能動回転軸である第7軸O7を回転動作させる。具体的には、医療用観察装置100Aは、上記第1の例に係る処理と同様に、受動回転軸である第3軸O3が水平となるように、能動回転軸である第7軸O7を回転動作させる。
【0165】
例えば図6のCに示すように、能動回転軸である第7軸O7が回転動作することによって、第1軸O1と第3軸O3とがなす角度aは、第7軸O7が回転動作する前よりも大きくなり、その結果、アーム104Aが所定の状態となることが回避される。
【0166】
また、医療用観察装置100Aが能動回転軸である第7軸O7を回転動作させた場合、1または2以上の受動回転軸は、能動回転軸の回転動作による撮像デバイス106の移動を吸収するように、回転動作する。よって、上記第1の例に係る処理が行われる場合と同様に、能動回転軸の回転動作が、術者の医療行為を妨げる可能性は低い。
【0167】
さらに、図6のA、図6のCに示すように、能動回転軸である第7軸O7の回転動作によって、第1軸O1の姿勢は変化しない。
【0168】
[2-3]本実施形態に係る制御方法が適用されることにより、第1の実施形態に係る医療用観察装置100Aにおいて奏される効果の一例
本実施形態に係る制御方法が用いられることによって、医療用観察装置100Aでは、例えば下記に示す効果が奏される。なお、本実施形態に係る制御方法が用いられることにより医療用観察装置100Aにおいて奏される効果が、下記に示す例に限られないことは、言うまでもない。
・第1軸O1と第3軸O3とがなす角度aが、所定の角度以下にならないことによって、アーム104Aにより支持される撮像デバイス106を用いた観察の自由度を確保することが可能となる。
・第1軸O1と第3軸O3とがなす角度aが所定の角度を維持するように制御されることによって、アーム104Aの高い操作性を維持することが可能となる。
・第1軸O1、第2軸O2、および第3軸O3それぞれの回転軸上に重心が乗る構成とすることによって、重力による回転モーメントを打ち消すためのアクチュエータが不要となる。よって、アクチュエータが不要となる分、医療用観察装置100Aの構成をより簡略化することが可能である。
【0169】
[3]第2の実施形態に係る医療用観察システム
次に、第2の実施形態に係る医療用観察システムについて、説明する。以下では、第1の実施形態に係る医療用観察システム1000(変形例も含む。)と異なる点について説明し、実質的に同一の点については、説明を省略する。
【0170】
[3-1]第2の実施形態に係る医療用観察システムの構成
図7は、第2の実施形態に係る医療用観察システム2000の構成の一例を示す説明図である。医療用観察システム2000は、例えば、医療用観察装置100Bと、表示装置200とを有する。
【0171】
医療用観察装置100Bの構成は、下記の点が図1に示す第1の実施形態に係る医療用観察装置100Aと異なり、他の点は、実質的に同一である。
・第1軸O1~第7軸O7(全ての受動回転軸および全ての能動回転軸の一例)それぞれに対応する関節部には、トルクセンサ(図示せず)、アクチュエータ(図示せず)、および角度センサ(図示せず)が設けられる。各関節部に設けられるトルクセンサの一部または全部は、医療用観察装置100Bが備えるトルクセンサであってもよいし、医療用観察装置100Bの外部のトルクセンサであってもよい。各関節部に設けられるアクチュエータの一部または全部は、医療用観察装置100Bが備えるアクチュエータであってもよいし、医療用観察装置100Bの外部のアクチュエータであってもよい。各関節部に設けられる角度センサの一部または全部は、医療用観察装置100Bが備える角度センサであってもよいし、医療用観察装置100Bの外部の角度センサであってもよい。
・医療用観察装置100Bが備えるアーム104Bを構成するリンク112b’の形状が、医療用観察装置100Aが備えるアーム104Aを構成するリンク112bの形状と異なっている。そのため、医療用観察装置100Bでは、第1軸O1、第2軸O2、および第3軸O3それぞれの回転軸上に、それぞれに接続される各リンクの重心が乗っていない。
【0172】
医療用観察装置100Bが備えるアーム104Bには、第1軸O1~第7軸O7それぞれの回転角度を検出する角度センサ(図示せず)が設けられるので、各角度センサの検出結果に基づき、アーム104Bの姿勢を特定することが可能である。また、アーム104Bの姿勢が所定の状態となり易くなる場合としては、上述した第1の実施形態より、“第1軸O1が垂直から水平方向に傾斜した場合”と、“第1軸O1の移動に伴いアーム104Bが変形し、リンク112b’が水平から垂直方向に傾斜した場合”とが挙げられる。
【0173】
よって、医療用観察装置100Bは、アーム104Bの姿勢が所定の状態となり易くなる場合の姿勢を検出し、当該姿勢が検出された場合に、アーム104Bの姿勢が所定の状態となることが回避されるように、能動回転軸である第7軸O7を回転動作させる。
【0174】
医療用観察装置100Bは、例えば第1の実施形態に係る医療用観察装置100Aと同様に、第3軸O3が水平となるように、能動回転軸である第7軸O7を回転動作させる。第3軸O3が水平となるように第7軸O7が回転動作することによって、医療用観察装置100Bでは、リンク112b’が水平に近づくようにアーム104Bの姿勢が変化する。そして、医療用観察装置100Bでは、アーム104Bの姿勢が、リンク112b’が水平(または略水平)となる状態に維持される。また、このとき、第1軸O1の姿勢は、能動回転軸である第7軸O7の回転動作によって変化しない。なお、医療用観察装置100Bは、リンク112b’を水平(または略水平)に維持させることに限られず、アーム104Bの姿勢が所定の状態となることが回避されるように、リンク112b’を任意の状態に維持させてもよい。
【0175】
また、医療用観察装置100Bが能動回転軸である第7軸O7を回転動作させた場合、第1の実施形態に係る医療用観察装置100Aと同様に、1または2以上の受動回転軸は、能動回転軸の回転動作による撮像デバイス106の移動を吸収するように、回転動作する。よって、医療用観察装置100Bにおける能動回転軸の回転動作が、術者の医療行為を妨げる可能性は低い。
【0176】
[3-2]本実施形態に係る制御方法が適用されることにより、第2の実施形態に係る医療用観察装置において奏される効果の一例
本実施形態に係る制御方法が用いられることによって、医療用観察装置100Bでは、例えば下記に示す効果が奏される。なお、本実施形態に係る制御方法が用いられることにより医療用観察装置100Bにおいて奏される効果が、下記に示す例に限られないことは、言うまでもない。
・医療用観察装置100Bは、アーム104Bの姿勢の検出結果に基づいて、アーム104Bの姿勢が所定の状態となることが回避されるように、能動回転軸を回転動作させる。よって、医療用観察装置100Bは、アーム104Bの姿勢を操作性の良い姿勢に維持することができる。
・能動回転軸である第7軸O7を回転動作させることにより、リンク112b’の姿勢が一定に維持されるので、術者などの使用者は、操作中の干渉や、表示装置200の表示画面に表示されている医療用観察画像を観察する際における、アーム104Bによる視野のケラレなどを気にしなくてよい。
・第1軸O1、第2軸O2、および第3軸O3それぞれの回転軸上に、それぞれに接続される各リンクの重心が乗っていないので、任意の形状でアーム104Bを構成することができる。
【0177】
[4]第3の実施形態に係る医療用観察システム
次に、第3の実施形態に係る医療用観察システムについて、説明する。以下では、第1の実施形態に係る医療用観察システム1000(変形例も含む。)と異なる点について説明し、実質的に同一の点については、説明を省略する。
【0178】
[4-1]第3の実施形態に係る医療用観察システムの構成
図8は、第3の実施形態に係る医療用観察システム3000の構成の一例を示す説明図である。医療用観察システム3000は、例えば、医療用観察装置100Cと、表示装置200とを有する。
【0179】
医療用観察装置100Cの構成は、下記の点が図1に示す第1の実施形態に係る医療用観察装置100Aと異なり、他の点は、実質的に同一である。
・アーム104Cは、リンク112fおよびリンク112gをさらに備え、リンク112c、リンク112d、リンク112f、およびリンク112gによって、第4軸O4と第5軸O5との間が平行リンクで構成される。
・上記平行リンクには、カウンタウエイト114が設けられ、アーム104Cは、第7軸O7が所定の角度で第4軸O4、第5軸O5のバランスをとるように構成される。つまり、医療用観察装置100Cが備えるアーム104Cは、少なくとも1つ以上の受動回転軸の回転動作により実現される自由度に対して、重力による回転モーメントを打ち消すカウンタウエイト114を備える。
【0180】
医療用観察装置100Cは、上記のように、アーム104Cにカウンタウエイト114が設けられる構成である点、すなわちアーム104Cがバランスアームである点が、第1の実施形態に係る医療用観察装置100Aと異なる。その一方で、本実施形態に係る制御方法が適用されることにより実現される医療用観察装置100Cの動作は、第1の実施形態に係る医療用観察装置100Aにおける動作と同様である。つまり、医療用観察装置100Cは、第1の実施形態に係る医療用観察装置100Aと同様に、アーム104Cの姿勢が所定の状態となることが回避されるように、能動回転軸である第7軸O7を回転動作させる。
【0181】
[4-2]本実施形態に係る制御方法が適用されることにより、第3の実施形態に係る医療用観察装置において奏される効果の一例
本実施形態に係る制御方法が用いられることによって、医療用観察装置100Cでは、例えば下記に示す効果が奏される。なお、本実施形態に係る制御方法が用いられることにより医療用観察装置100Cにおいて奏される効果が、下記に示す例に限られないことは、言うまでもない。
・アーム104Cはバランスアームであるので、カウンタバランスによってアンバランス量が抑えられ、その結果、アクチュエータ(図示せず)の出力を抑えることができる。
・アーム104Cはバランスアームであるので、例えば、アーム104Cの第4軸O4、第5軸O5、第6軸O6それぞれに対応する関節部に設けられるアクチュエータ(図示せず)、トルクセンサ(図示せず)を、ブレーキ(図示せず)に置き換えることが可能である。よって、医療用観察装置100Cでは、アクチュエータを削減し、アクチュエータの制御負荷を削減することが可能である。
【0182】
[5]第4の実施形態に係る医療用観察システム
次に、第4の実施形態に係る医療用観察システムについて、説明する。以下では、第3の実施形態に係る医療用観察システム3000と異なる点について説明し、実質的に同一の点については、説明を省略する。
【0183】
[5-1]第4の実施形態に係る医療用観察システムの構成
図9は、第4の実施形態に係る医療用観察システム4000の構成の一例を示す説明図である。医療用観察システム4000は、例えば、医療用観察装置100Dと、表示装置200とを有する。
【0184】
医療用観察装置100Dの構成は、下記の点が図8に示す第3の実施形態に係る医療用観察装置100Cと異なり、他の点は、実質的に同一である。
・アーム104Dは、第7軸O7の位置が、第3の実施形態に係る医療用観察装置100Cが備えるアーム104Cと異なっている。具体的には、アーム104Dでは、関節部110dに代えて関節部110hが設けられ、その結果、第5軸O5に垂直な位置に第7軸O7がある。アーム104Dでは、第7軸O7によって、第5軸O7が支えていたリンク112dは回転可能な状態で保持される。
・アーム104Dは、アーム104Cと同様にバランスアームである。しかしながら、アーム104Dでは、第1軸O1~第7軸O7(全ての受動回転軸および全ての能動回転軸の一例)、すなわち、全ての回転軸上に、それぞれの回転軸が保持する医療用観察装置100Dの構造体の重心が乗っている。よって、アーム104Dでは、各軸の回転によって重心ズレは発生せず、常にバランスが取れている。
【0185】
医療用観察装置100Dは、上記のように、バランスアームの構成が医療用観察装置100Cと異なる。その一方で、本実施形態に係る制御方法が適用されることにより実現される医療用観察装置100Dの動作は、第3の実施形態に係る医療用観察装置100Cにおける動作と同様である。つまり、医療用観察装置100Dは、第3の実施形態に係る医療用観察装置100Cと同様に、すなわち、第1の実施形態に係る医療用観察装置100Aと同様に、アーム104Dの姿勢が所定の状態となることが回避されるように、能動回転軸である第7軸O7を回転動作させる。
【0186】
また、医療用観察装置100Dが備えるアーム104Dにおいて、第1軸O1~第6軸O6それぞれの回転角度を検出する角度センサ(図示せず)が設けられる場合には、各角度センサの検出結果に基づき、アーム104Dの姿勢を特定することが可能である。よって、医療用観察装置100Dは、第2の実施形態に係る医療用観察装置100Bと同様に、アーム104Dの姿勢の検出結果に基づいて、アーム104Dの姿勢が所定の状態となることが回避されるように、能動回転軸を回転動作させてもよい。医療用観察装置100Bと同様にアーム104Dの動作が制御される場合、アーム104Dの姿勢は、例えばリンク112bが水平(または略水平)となるように、所定の姿勢に維持される。
【0187】
[5-2]本実施形態に係る制御方法が適用されることにより、第4の実施形態に係る医療用観察装置において奏される効果の一例
本実施形態に係る制御方法が用いられることによって、医療用観察装置100Dでは、例えば下記に示す効果が奏される。なお、本実施形態に係る制御方法が用いられることにより医療用観察装置100Dにおいて奏される効果が、下記に示す例に限られないことは、言うまでもない。
・アーム104Dは、完全バランスが可能であるため、アーム104Dの各回転軸にアクチュエータを設けなくても、軽い操作性(小さな力で操作できる操作性)を実現することができる。
【0188】
(本実施形態に係るプログラム)
コンピュータシステムを、本実施形態に係る医療用保持装置として機能させるためのプログラム(例えば、本実施形態に係る制御方法に係る処理を実行することが可能なプログラム)が、コンピュータシステムにおいてプロセッサなどにより実行されることによって、使用者の利便性の向上を図ることができる。ここで、本実施形態に係るコンピュータシステムとしては、単体のコンピュータ、または、複数のコンピュータが挙げられる。本実施形態に係るコンピュータシステムによって、本実施形態に係る制御方法に係る一連の処理が行われる。
【0189】
また、コンピュータシステムを、本実施形態に係る医療用観察装置(または、本実施形態に係る制御装置)として機能させるためのプログラムが、コンピュータシステムにおいてプロセッサなどにより実行されることによって、上述した本実施形態に係る制御方法が適用される各実施形態において奏される効果を、奏することができる。
【0190】
以上、添付図面を参照しながら本開示の好適な実施形態について詳細に説明したが、本開示の技術的範囲はかかる例に限定されない。本開示の技術分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到しうることは明らかであり、これらについても、当然に本開示の技術的範囲に属するものと了解される。
【0191】
例えば、上記では、コンピュータシステムを、本実施形態に係る医療用保持装置として機能させるためのプログラム(コンピュータプログラム)が提供されることを示したが、本実施形態は、さらに、上記プログラムを記憶させた記録媒体も、併せて提供することができる。
【0192】
上述した構成は、本実施形態の一例を示すものであり、当然に、本開示の技術的範囲に属するものである。
【0193】
また、本明細書に記載された効果は、あくまで説明的または例示的なものであって限定的ではない。つまり、本開示に係る技術は、上記の効果とともに、または上記の効果に代えて、本明細書の記載から当業者には明らかな他の効果を奏しうる。
【0194】
なお、以下のような構成も本開示の技術的範囲に属する。
(1)
複数のリンクが関節部によって互いに連結されて構成され、回転軸における回転動作により少なくとも7以上の自由度を有すると共に、医療用機器を支持するアームと、
前記アームの動作を制御するアーム制御部と、
を備え、
前記アームは、6つの受動的に回転動作する受動回転軸の回転動作により実現される6自由度と、1以上の能動的に回転動作する能動回転軸の回転動作により実現される1以上の自由度とを有し、
前記アーム制御部は、前記アームの姿勢が所定の状態となることが回避されるように、前記能動回転軸を回転動作させる、医療用保持装置。
(2)
前記所定の状態は、
前記アームにおいて前記医療用機器が支持される側から数えて1番目の回転軸である第1軸が、前記アームにおいて前記医療用機器が支持される側から数えて2番目の回転軸である第2軸と前記アームにおいて前記医療用機器が支持される側から数えて3番目の回転軸である第3軸とにより規定される平面上に存在する状態である、または、
前記第1軸が、前記第2軸と前記第3軸とにより規定される平面と平行な平面上に存在する状態である、(1)に記載の医療用保持装置。
(3)
前記所定の状態は、前記医療用機器が支持される側から数えて、1番目の回転軸である第1軸、2番目の回転軸である第2軸、および3番目の回転軸である第3軸それぞれの回転動作により実現される自由度の数が減っている、特異状態である、(1)または(2)に記載の医療用保持装置。
(4)
前記医療用機器が支持される側から数えて、1番目の回転軸である第1軸、2番目の回転軸である第2軸、および3番目の回転軸である第3軸は、前記受動回転軸であり、
前記能動回転軸は、前記医療用機器が支持される側から数えて4番目以降の回転軸である、(1)~(3)のいずれか1つに記載の医療用保持装置。
(5)
前記第1軸の姿勢は、前記能動回転軸の回転動作によって変化しない、(4)に記載の医療用保持装置。
(6)
前記アーム制御部は、前記第3軸が水平となるように、前記能動回転軸を回転動作させる、(4)または(5)に記載の医療用保持装置。
(7)
前記受動回転軸は、前記能動回転軸の回転動作による前記医療用機器の移動を吸収するように、回転動作する、(4)~(6)のいずれか1つに記載の医療用保持装置。
(8)
前記アーム制御部は、
前記第2軸の回転角度を検出する角度センサの検出結果に基づいて、前記アームの姿勢が前記所定の状態に近づいているかを判定し、
前記所定の状態に近づいていると判定した場合に、前記能動回転軸を回転動作させる、(4)~(7)のいずれか1つに記載の医療用保持装置。
(9)
前記アーム制御部は、
ある時点に検出された前記第2軸の回転角度が、設定されている第1の範囲に含まれる場合、または、
ある時点に検出された前記第2軸の回転角度と、検出された前記第2軸の回転角度の時間変化とに基づいて、検出される前記第2軸の回転角度が前記第1の範囲に含まれると推定された場合に、前記アームの姿勢が前記所定の状態に近づいていると判定する、(8)に記載の医療用保持装置。
(10)
前記アーム制御部は、前記第2軸の回転角度が、設定されている第1の範囲に含まれないように、前記能動回転軸を回転動作させる、(8)または(9)に記載の医療用保持装置。
(11)
前記アーム制御部は、前記第2軸の回転角度を検出する角度センサの検出結果に基づいて、前記第2軸の回転角度が設定されている第2の範囲を維持するように、前記能動回転軸を回転動作させる、(4)~(7)のいずれか1つに記載の医療用保持装置。
(12)
6つの前記受動回転軸のうち、前記医療用機器が支持される側から数えて、1番目の回転軸である第1軸、2番目の回転軸である第2軸、および3番目の回転軸である第3軸は、支持される前記医療用機器のチルト動作に関する前記受動回転軸であり、
6つの前記受動回転軸のうち、前記第1軸、前記第2軸、および前記第3軸以外の3つの回転軸は、支持される前記医療用機器の3次元位置を規定する前記受動回転軸である、(1)~(11)のいずれか1つに記載の医療用保持装置。
(13)
少なくとも1つ以上の前記受動回転軸に対応する前記関節部には、
前記受動回転軸にかかるトルクを検出するトルクセンサと、
前記トルクセンサの検出結果により制御されるアクチュエータと、
が配置され、
前記トルクセンサおよび前記アクチュエータが配置される前記関節部に対応する前記受動回転軸は、前記トルクセンサの検出結果に応じた前記アクチュエータの受動的な動作により、受動的に回転動作する、(1)~(12)のいずれか1つに記載の医療用保持装置。
(14)
前記トルクセンサは、重力により発生する回転トルクと、前記アームに加わる外力とを検出し、
前記アクチュエータは、検出された前記重力により発生する回転トルクを打ち消すように、検出された前記外力に従って受動的に動作する、(13)に記載の医療用保持装置。
(15)
前記アームは、少なくとも1つ以上の前記受動回転軸の回転動作により実現される自由度に対して、重力による回転モーメントを打ち消すカウンタウエイトを備える、(1)~(14)のいずれか1つに記載の医療用保持装置。
(16)
前記受動回転軸、および1以上の前記能動回転軸それぞれには、回転軸上に、それぞれの回転軸が保持する前記医療用保持装置の構造体の重心が乗っている、(15)に記載の医療用保持装置。
(17)
前記アームにより支持される前記医療用機器をさらに備える、(1)~(16)のいずれか1つに記載の医療用保持装置。
(18)
観察対象を撮像する撮像デバイスと、
複数のリンクが関節部によって互いに連結されて構成され、回転軸における回転動作により少なくとも7以上の自由度を有すると共に、前記撮像デバイスを支持するアームと、
前記アームの動作を制御するアーム制御部と、
を備え、
前記アームは、6つの受動的に回転動作する受動回転軸の回転動作により実現される6自由度と、1以上の能動的に回転動作する能動回転軸の回転動作により実現される1以上の自由度とを有し、
前記アーム制御部は、前記アームの姿勢が所定の状態となることが回避されるように、前記能動回転軸を回転動作させる、医療用観察装置。
【符号の説明】
【0195】
100A、100B、100C、100D 医療用観察装置
102 ベース
104A、104B、104C、104D アーム
106 撮像デバイス
110a、110b、110c、110d、110e、110f、110g 関節部
112a、112b、112c、112d、112e、112f、112g リンク
120 撮像部材
122 筒状部材
124 ズームスイッチ
126 フォーカススイッチ
128 動作モード設定スイッチ
152 アーム部
154 撮像部
156 通信部
158 制御部
160 撮像制御部
162 アーム制御部
164 表示制御部
200 表示装置
1000、2000、3000、4000 医療用観察システム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9