(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-11
(45)【発行日】2023-01-19
(54)【発明の名称】固体酸化物形燃料電池とこれに用いる集電部形成用材料
(51)【国際特許分類】
H01M 8/0206 20160101AFI20230112BHJP
H01M 8/0215 20160101ALI20230112BHJP
H01M 8/0223 20160101ALI20230112BHJP
H01M 8/12 20160101ALI20230112BHJP
【FI】
H01M8/0206
H01M8/0215
H01M8/0223
H01M8/12 101
H01M8/12 102B
(21)【出願番号】P 2018204989
(22)【出願日】2018-10-31
【審査請求日】2021-09-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000004293
【氏名又は名称】株式会社ノリタケカンパニーリミテド
(73)【特許権者】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】株式会社アイシン
(74)【代理人】
【識別番号】100117606
【氏名又は名称】安部 誠
(72)【発明者】
【氏名】岩井 広幸
(72)【発明者】
【氏名】青山 恵梨佳
(72)【発明者】
【氏名】舟山 ほなみ
(72)【発明者】
【氏名】三浦 和宏
【審査官】川口 由紀子
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-030991(JP,A)
【文献】特表2003-510788(JP,A)
【文献】特開2002-280026(JP,A)
【文献】特開2003-346843(JP,A)
【文献】特開2005-050636(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 8/0206
H01M 8/0215
H01M 8/0223
H01M 8/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料極と、空気極とが、固体電解質層を介して対向している発電体と、
前記燃料極および前記空気極のうちの少なくとも一方の表面に配置された集電部と、
を備え、
前記集電部は、
銀および銀合金のうちの少なくとも一方の銀含有材料と、ペロブスカイト型酸化物と、を含む焼結体であり、
導電率が、8000S/cmを超えており、
焼結されている前記銀含有材料の電子顕微鏡観察に基づく平均円相当径が、2.9μm以下であ
り、ここで、前記平均円相当径とは、前記電子顕微鏡を用いて断面を観察した画像から前記銀含有材料を構成する複数の粒子を抽出し、粒子解析を行って1粒子あたりの面積を円の面積であると仮定したときの直径を算出した後、当該直径を面積で重み付けした値をいい、
前記銀含有材料の前記平均円相当径をDs1(μm)とし、前記ペロブスカイト型酸化物の電子顕微鏡観察に基づく個数基準の平均粒子径をDs2(μm)としたときに、前記Ds1と前記Ds2とが、次の関係:10≦(Ds1/Ds2)≦20;を満たす、
固体酸化物形燃料電池。
【請求項2】
前記集電部において、前記銀含有材料の割合が、50質量%を超えている、
請求項1に記載の固体酸化物形燃料電池。
【請求項3】
前記集電部の平均厚みTが、100μm以下であり、かつ、
前記導電率(S/cm)と前記平均厚みT(cm)との積が、30(S/cm)・cm以上である、
請求項1または2に記載の固体酸化物形燃料電池。
【請求項4】
前記ペロブスカイト型酸化物が、一般式:ABO
3;で表され、AサイトにLaおよびSrを含み、BサイトにCoを含む、酸化物である、
請求項1~
3のいずれか1項に記載の固体酸化物形燃料電池。
【請求項5】
前記空気極がペロブスカイト型酸化物を含み、
前記空気極の表面に前記集電部が配置されている、
請求項1~
4のいずれか1項に記載の固体酸化物形燃料電池。
【請求項6】
前記発電体が、円筒形状の前記燃料極の表面に、前記固体電解質層と前記空気極とがこの順に積層されて構成されており、
前記空気極の表面に、前記集電部が配置されている、
請求項1~
5のいずれか1項に記載の固体酸化物形燃料電池。
【請求項7】
銀および銀合金のうちの少なくとも一方の銀含有材料と、
ペロブスカイト型酸化物と、
を含み、
前記銀含有材料と前記ペロブスカイト型酸化物との配合比率が、質量基準で、70:30~80:20であり、
前記銀含有材料の電子顕微鏡観察に基づく個数基準の平均粒子径をD1(μm)とし、
前記ペロブスカイト型酸化物の電子顕微鏡観察に基づく個数基準の平均粒子径をD2(μm)としたときに、前記D1と前記D2とが、
次の関係:D2≦0.5μm;4≦(D1/D2);をいずれも満たしている、
固体酸化物形燃料電池の集電部形成用材料。
【請求項8】
前記D1/D2が、次の関係:4≦(D1/D2)≦6;を満たしている、
請求項
7に記載の集電部形成用材料。
【請求項9】
前記ペロブスカイト型酸化物が、一般式:ABO
3;で表され、AサイトにLaおよびSrを含み、BサイトにCoを含む、酸化物である、
請求項
7または8に記載の集電部形成用材料。
【請求項10】
分散媒およびバインダを含み、ペースト状に調製されている、
請求項
7~
9のいずれか1項に記載の集電部形成用材料。
【請求項11】
固体酸化物形燃料電池の空気極の表面に空気極集電部を形成するために用いられる、
請求項
7~
10のいずれか1項に記載の集電部形成用材料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固体酸化物形燃料電池とこれに用いる集電部形成用材料に関する。
【背景技術】
【0002】
固体酸化物形燃料電池(SOFC:Solid Oxide Fuel Cell,以下、単に「SOFC」という。)は、種々のタイプの燃料電池の中でも発電効率が高く、環境への負荷も低いことから、次世代のエネルギー供給源として開発が進められている。SOFCは、燃料極(アノード)と空気極(カソード)とが固体電解質層を介して対向した構造の発電体を有している。発電体で生成された電力は、空気極および燃料極の集電端子を介して外部に取り出される。これに関連して、特許文献1~6には、空気極および/または燃料極の表面に集電部を設け、当該集電部を介して発電体から電力を取り出すことが開示されている。例えば特許文献1には、銀含有材料とペロブスカイト型酸化物粉体とを含んだ空気極用の集電部形成用材料、およびこれを用いてなる空気極集電部が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2005-050636号公報
【文献】特開2010-140895号公報
【文献】特開2004-355814号公報
【文献】特開2004-165074号公報
【文献】特開2006-139966号公報
【文献】特開2010-118338号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
SOFCの集電部に対しては、より一層抵抗を低減して、集電効率を高めることが求められている。加えて、SOFCでは、例えば10万時間を超える長期の使用も見込まれる。このため、使用に伴う経時劣化、例えば、空気極、燃料極および集電部の少なくとも1つの抵抗の増加を抑えて、高い発電性能を安定的に維持することも求められている。
【0005】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、集電効率が高く、かつ使用に伴う抵抗増加を抑制することのできる集電部を備えたSOFCを提供することである。また、本発明の他の目的は、このようなSOFCの集電部を形成するための集電部形成用材料を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明により、燃料極と、空気極とが、固体電解質層を介して対向している発電体と、上記燃料極および上記空気極のうちの少なくとも一方の表面に配置された集電部と、を備える固体酸化物形燃料電池が提供される。上記集電部は、銀および銀合金のうちの少なくとも一方の銀含有材料と、ペロブスカイト型酸化物と、を含む焼結体であり、導電率が8000S/cmを超えており、焼結されている上記銀含有材料の電子顕微鏡観察に基づく平均円相当径が、2.9μm以下である。
【0007】
上記集電部では、Ag粒子間のネットワークが良好に発達し、所定値以上の導電率が実現されている。また、上記集電部では、焼結状態における銀含有材料の平均円相当径が小さく抑えられている。このことにより、上記集電部を備えるSOFCでは、オーミック抵抗が小さく抑えられると共に、SOFCの使用に伴う抵抗増加を抑制して、電力損失を抑えることができる。したがって、ここに開示されるSOFCは、良好な発電特性を長期にわたって発揮することができる。
【0008】
ここに開示される好適な一態様では、上記集電部において、上記銀含有材料の割合が、50質量%を超えている。これにより、集電部の導電率を一層向上して、電力損失をより良く抑えることができる。
【0009】
ここに開示される好適な一態様では、上記集電部の平均厚みTが、100μm以下であり、かつ、上記導電率(S/cm)と上記平均厚みT(cm)との積が、30(S/cm)・cm以上である。これにより、例えば円筒型のSOFCのように集電部を厚めに形成する場合においても、集電部の導電率を向上して、集電効率をより良く高めることができる。
【0010】
ここに開示される好適な一態様では、上記銀含有材料の上記平均円相当径をDs1(μm)とし、上記ペロブスカイト型酸化物の電子顕微鏡観察に基づく個数基準の平均粒子径をDs2(μm)としたときに、上記Ds1と上記Ds2とが、次の関係:10≦(Ds1/Ds2)≦20;を満たしている。これにより、SOFCの初期特性と耐久特性とをより高いレベルでバランスすることができる。
【0011】
ここに開示される好適な一態様では、上記ペロブスカイト型酸化物が、一般式:ABO3;で表され、AサイトにLaおよびSrを含み、BサイトにCoを含む、酸化物である。これにより、ここに開示される技術の効果をより良く発揮することができる。
【0012】
ここに開示される好適な一態様では、上記空気極がペロブスカイト型酸化物を含み、上記空気極の表面に上記集電部が配置されている。これにより、空気極と集電部との熱膨張率の整合性や一体性を高めることができ、SOFCの耐久性、例えばヒートサイクル耐性をより良く向上することができる。
【0013】
ここに開示される好適な一態様では、上記発電体が、円筒形状の上記燃料極の表面に、上記固体電解質層と上記空気極とがこの順に積層されて構成されており、上記空気極の表面に、上記集電部が配置されている。
【0014】
また、本発明により、銀および銀合金のうちの少なくとも一方の銀含有材料と、ペロブスカイト型酸化物と、を含む固体酸化物形燃料電池の集電部形成用材料が提供される。上記銀含有材料の電子顕微鏡観察に基づく個数基準の平均粒子径をD1(μm)とし、上記ペロブスカイト型酸化物の電子顕微鏡観察に基づく個数基準の平均粒子径をD2(μm)としたときに、上記D1と上記D2とが、次の関係:D2≦0.5μm;4≦(D1/D2);をいずれも満たしている。
【0015】
上記集電部形成用材料では、ペロブスカイト型酸化物の平均粒子径D2が小さく抑えられ、かつ、当該平均粒子径D2に対する銀含有材料の平均粒子径D1の比(D1/D2)が所定値以上に調整されている。この集電部形成用材料を用いてSOFCの集電部を形成することで、集電部のオーム抵抗を低減することができ、かつ、より高い発電性能を長期にわたって実現することができる。
【0016】
ここに開示される好適な一態様では、上記銀含有材料と上記ペロブスカイト型酸化物との合計を100質量%としたときに、上記銀含有材料の割合が、50質量%を超えている。これにより、集電効率がより良く高められた集電部を実現することができる。
【0017】
ここに開示される好適な一態様では、上記銀含有材料と上記ペロブスカイト型酸化物との配合比率が、70:30~80:20である。これにより、オーム抵抗の低減と、SOFCの発電性能の維持とをより高いレベルでバランスすることができる。
【0018】
ここに開示される好適な一態様では、上記D1/D2が、次の関係:4≦(D1/D2)≦6;を満たしている。これにより、導電性とガス透過性とが高いレベルでバランスされた集電部を実現することができる。
【0019】
ここに開示される好適な一態様では、上記ペロブスカイト型酸化物が、一般式:ABO3;で表され、AサイトにLaおよびSrを含み、BサイトにCoを含む、酸化物である。これにより、ここに開示される技術の効果をより良く発揮することができる。
【0020】
ここに開示される好適な一態様では、分散媒およびバインダを含み、ペースト状に調製されている。これにより、所望の位置に所望のサイズで集電部を簡便に形成し得る。
【0021】
ここに開示される好適な一態様では、固体酸化物形燃料電池の空気極の表面に空気極集電部を形成するために用いられる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】一実施形態に係るSOFCを模式的に示す側面図である。
【
図2】
図1の(II)の部分を模式的に示す部分断面図である。
【
図3】他の一実施形態に係るSOFCを模式的に示す断面図である。
【
図4】集電部のSEM観察画像であり、(A)は例1、(B)は比較例2、(C)は比較例4のものである。
【
図5】平均円相当径の求め方を説明するための説明図であって、(A)は、SEM観察画像の一例、(B)~(D)は解析結果の一例である。
【
図6】平均円相当径の算出式の一例を説明するための模式図である。
【
図7】インピーダンス測定で得られたBode Plotであり、(A)は例1、(B)は比較例6のものである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、適宜図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態を説明する。なお、本明細書において特に言及している事項以外の事柄であって本発明の実施に必要な事柄(例えば、SOFCの製造プロセス等)は、当該分野における従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。本発明は、本明細書に開示されている内容と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。また、以下の図面において、同じ作用を奏する部材・部位には同じ符号を付して説明し、重複する説明は省略または簡略化することがある。なお、本明細書において数値範囲を示す「X~Y(ただし、X,Yは、任意の値。)」との表記は、「X以上Y以下」を意味するものとする。
【0024】
<固体酸化物形燃料電池>
まず、本実施形態の固体酸化物形燃料電池(SOFC)について説明する。
図1は、一実施形態に係るSOFC50を模式的に示す側面図である。
図2は、
図1の(II)の部分を模式的に示す部分断面図である。なお、
図1,2において、符号Lは、SOFC50の長軸方向を表し、符号Dは、長軸方向Lに直交する方向であって、SOFC50の径方向を表すものとする。ただし、これは説明の便宜上の方向であって、設置形態等を何ら限定するものではない。
【0025】
SOFC50は、全体形状が円筒型である。SOFC50は、燃料極(アノード)10と、固体電解質層20と、空気極(カソード)30と、を備えた発電体40と、燃料極10の表面に配置された燃料極集電部10eと、空気極30の表面に配置された空気極集電部30eと、を有している。発電体40は、燃料極10と空気極30とが固体電解質層20を介して対向された構造を有する。なお、発電体40は、上記以外の層をさらに備えていてもよい。発電体40は、物理的に一体化されている。SOFC50では、燃料極10が、固体電解質層20や空気極30に比べて厚めに形成されている。SOFC50は、所謂、燃料極支持型(ASC:Anode-Supported Cell)である。
【0026】
燃料極10は、SOFC50を支持する支持体としての役割と、電極として役割とを併せ持っている。燃料極10は、ここでは中空の円筒形状である。中空の部分は、SOFC50の発電時に、燃料ガスの流路となる。なお、燃料極10の形状は、SOFC50の形状に応じて適宜選択することができる。燃料極10は、発電体40に供給される燃料ガスの流通が可能なように多孔質構造とされている。燃料極10は、ここでは径方向Dにおいて気孔率が均質な単層構造である。ただし、燃料極10は、2層構造、あるいは3層以上の構造であってもよい。燃料極10の平均厚み(径方向Dの長さ)は、取扱い性や耐久性(強度保持性)を向上する観点から、例えば、0.1mm以上、0.5mm以上、1mm以上であってもよい。また、ガス拡散性を向上する観点や、抵抗を低減する観点から、例えば、10mm以下、5mm以下であってもよい。
【0027】
燃料極10の構成材料は特に限定されず、従来この種のSOFCの燃料極に用いられる材料のうちの1種または2種以上であってよい。一例として、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、金(Au)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、ルテニウム(Ru)、コバルト(Co)、ランタン(La)、ストロンチウム(Sr)、チタン(Ti)等の金属や、これらの金属の1種以上を含む金属酸化物が挙げられる。なかでもNiは、他の金属に比べて安価であり、且つ高い触媒活性を示す(燃料ガスとの反応性が十分に大きい)ことから好ましい。
【0028】
さらに、例えば、上述のような金属または金属酸化物と、後述する固体電解質層20の構成材料(典型的には酸化物イオン伝導体)とを混合した複合材料を用いることもできる。一例として、ニッケル系の金属材料(例えばNiO)と安定化ジルコニア(例えば、イットリア安定化ジルコニア(YSZ))とのサーメットが挙げられる。金属または金属酸化物と、酸化物イオン伝導体複合材料との混合比は、特に限定されないが、質量比で、概ね90:10~40:60、例えば80:20~45:55としてもよい。これにより、電気伝導性と耐久性とをより高いレベルで両立することができる。
【0029】
燃料極集電部10eは、燃料極10の長軸方向Lの両端にそれぞれ配置されている。発電体40からの電力の取り出しは、燃料極集電部10eを介して行われる。燃料極集電部10eは、複数個のSOFC50を相互に電気的に接続して、高出力なスタック等を形成する場合にも用いられる。燃料極集電部10eは、例えば、燃料極10の露出した部分に金属製のキャップを被せることによって形成されている。ただし、燃料極集電部10eは、例えば、後述する空気極集電部30eと同じ材料で形成されていてもよい。
【0030】
固体電解質層20は、燃料極10の少なくとも一部の表面に配置されている。固体電解質層20の形状は、例えば燃料極10の形状に応じて適宜変更することができる。固体電解質層20は、酸素イオンを伝導させる役割と、燃料ガスと酸素含有ガスとを分離する役割とを併せ持っている。固体電解質層20は、燃料極10を流通する燃料ガスと空気極30を流通する酸素含有ガスとの隔壁となるように、緻密に構成されている。固体電解質層20は、燃料極10および空気極30に比べて相対的に薄膜状に形成されている。固体電解質層20の平均厚み(径方向Dの長さ)は、ガスのリークやクラック等の不具合の発生を抑制する観点から、例えば、0.1μm以上、1μm以上、5μm以上であってもよい。また、抵抗を低減する観点から、例えば、50μm以下、40μm以下、20μm以下であってもよい。
【0031】
固体電解質層20の構成材料は特に限定されず、従来この種のSOFCの固体電解質層に用いられる材料のうちの1種または2種以上であってよい。一例として、酸化物イオン伝導体が挙げられる。酸化物イオン伝導体としては、例えば、ジルコニウム(Zr)、セリウム(Ce)、マグネシウム(Mg)、スカンジウム(Sc)、チタン(Ti)、アルミニウム(Al)、イットリウム(Y)、カルシウム(Ca)、ガドリニウム(Gd)、サマリウム(Sm)、バリウム(Ba)、ランタン(La)、ストロンチウム(Sr)、ガリウム(Ga)、ビスマス(Bi)、ニオブ(Nb)、タングステン(W)等の元素を含む酸化物が挙げられる。
【0032】
より具体的には、例えば、イットリア(Y2O3)、カルシア(CaO)、スカンジア(Sc2O3)、マグネシア(MgO)、イッテルビア(Yb2O3)、エルビア(Er2O3)等の安定化剤で結晶構造を安定化させたジルコニア(ZrO2)や、ガドリニア(Gd2O3)、ランタニア(La2O3)、サマリア(Sm2O3)、イットリア(Y2O3)等のドープ剤をドープしたセリウム酸化物(CeO2)等が挙げられる。なかでも、YSZ(Yttria stabilized zirconia)やGDC(Gadolinium doped Ceria)が好ましい。安定化剤やドープ剤の含有割合は特に限定されないが、酸化物イオン伝導体全体を100mol%としたときに、凡そ5~20mol%であることが好ましい。
【0033】
空気極30は、固体電解質層20の少なくとも一部の表面に配置されている。空気極30の形状は、例えば固体電解質層20の形状に応じて適宜変更することができる。空気極30は、ここでは外気に露出した構造となるように構成されている。空気極30は、発電体40に供給される酸素含有ガス(典型的には空気)の流通が可能なように多孔質構造とされている。空気極30の気孔率は、ガス拡散性を向上する観点から、例えば、5体積%以上、10体積%以上、15体積%以上であってもよい。また、強度を高める観点から、例えば、50体積%以下、40体積%以下、30体積%以下であってもよい。空気極30の平均厚み(径方向Dの長さ)は、高い触媒活性を得る観点から、例えば、1μm以上、5μm以上、10μm以上であってもよい。また、ガス拡散性を向上する観点や、抵抗を低減する観点から、例えば、200μm以下、100μm以下であってもよい。
【0034】
空気極30の構成材料は特に限定されず、従来この種のSOFCの空気極に用いられる材料のうちの1種または2種以上であってよい。一例として、一般式:ABO3;で表されるペロブスカイト型酸化物が挙げられる。Aサイトは、ランタノイド元素(Ln)の1種または2種以上、例えば、ランタン(La)、セリウム(Ce)、サマリウム(Sm)、ネオジウム(Nd)、ガドリニウム(Gd)等、を含んでいる。Aサイトは、Ln以外の元素、例えば、1価のアルカリ金属元素や、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)、バリウム(Ba)等の2価のアルカリ土類金属元素(Ae)等、をさらに含んでもよい。Bサイトは、遷移金属元素の1種または2種以上、例えば、チタン(Ti)、クロム(Cr)、マンガン(Mn)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)等、を含んでいる。Bサイトは、遷移金属元素以外の元素、例えば、3価以上の金属元素であって、典型金属や希土類に分類される金属元素等、をさらに含んでもよい。
【0035】
ペロブスカイト型酸化物の具体例としては、例えば、LaCoO3、(LaSr)CoO3、(LaSr)(CoFe)O3等のランタンコバルタイト系材料;(LaSr)(CoFe);(LaSr)MnO3、(LaCa)MnO3等のランタンマンガネート系材料;(LaSr)(TiFe)O3等のランタンチタネート系材料;等が挙げられる。なかでも、Aサイトにランタン(La)およびストロンチウム(Sr)を含み、Bサイトに少なくともコバルト(Co)を含むランタンストロンチウムコバルタイト系材料が好ましく、特には、Aサイトにランタン(La)およびストロンチウム(Sr)を含み、Bサイトにコバルト(Co)およびフェライト(Fe)を含むランタンストロンチウムコバルトフェライト系材料が好ましい。
【0036】
空気極集電部30eは、空気極30の少なくとも一部の表面に配置されている。空気極集電部30eは、SOFC50の外表面の一部を構成している。空気極集電部30eは、空気極30に沿って長軸方向Lに長く形成されている。空気極集電部30eは、ここでは空気極30よりも長軸方向Lの長さが短く、空気極30の一部の表面に配置されている。発電体40からの電力の取り出しは、空気極集電部30eを介して行われる。また、空気極集電部30eは、複数個のSOFC50を相互に電気的に接続して、高出力なスタック等を形成する場合にも用いられる。
【0037】
空気極集電部30eは、発電体40に供給される酸素含有ガス(典型的には空気)の流通が可能なように多孔質構造とされている。空気極集電部30eの気孔率は、空気極30の気孔率より高くてもよく、空気極30の気孔率と同じであってもよく、空気極30の気孔率より低くてもよい。空気極集電部30eの平均厚み(径方向Dの長さ)は、抵抗を低減する観点から、例えば、10μm以上、20μm以上、25μm以上であってもよい。空気極集電部30eの平均厚みは、空気極30の平均厚みよりも厚くてもよい。また、空気極集電部30eの平均厚みは、ガス透過性を向上する観点から、例えば、300μm以下、200μm以下、150μm以下、100μm以下、さらには90μm以下であってもよい。本実施形態の空気極集電部30eは、銀含有材料とペロブスカイト型酸化物とを含んでいる。銀含有材料とペロブスカイト型酸化物とは一体的に焼結されており、焼結体の形態をなしている。
【0038】
銀含有材料は、銀および銀合金のうちの少なくとも一方である。銀含有材料は、銀と銀合金との混合物であってもよい。銀合金としては、例えば、銀-パラジウム(Ag-Pd)合金、銀-白金(Ag-Pt)合金、銀-銅(Ag-Cu)合金等が挙げられる。銀合金は複合体であってもよい。銀含有材料は、例えば、銀以外の銅や銀合金等の金属から構成されるコアと、当該コアを覆う銀からなるシェルと、を備えるコアシェル粒子であってもよい。銀含有材料は、その全体を100質量%としたときに、銀が50質量%を超えていることが好ましく、なかでも、銀が80質量%以上、90質量%以上、95質量%以上、例えば98質量%以上であることが好ましい。これにより、空気極集電部30eの抵抗を一層低減して、SOFC50の電力損失をより良く抑えることができる。
【0039】
空気極集電部30eに含まれる銀含有材料は、焼結前の状態(例えば、集電部形成用材料に含まれる状態)に比べて、粒子間の間隙が小さくなるように形状が変化している。銀含有材料は、例えば焼結に伴って複数の粒子同士が融合し、一体化された状態であり得る。言い換えれば、複数の粒子がシンタリングやネッキングして、1つの粒子を構成している状態であり得る。このため、空気極集電部30eに含まれる銀含有材料は、典型的には焼結前の状態に比べて相対的にサイズが大きくなっている。ここに開示される技術において、銀含有材料は、電子顕微鏡観察に基づく平均円相当径(以下、焼結前の粒径と区別するために、「焼結粒径」という。)Ds1が2.9μm以下である。このことにより、SOFC50の抵抗増加を抑制して、良好な発電特性を長期にわたって実現することができる。
【0040】
銀含有材料の焼結粒径Ds1は、例えば、2.7μm以下であってもよい。これにより、空気極集電部30eで銀含有材料がより良く分散される結果、銀含有材料の粒子間のネットワークが一層良好に発達して、空気極集電部30eの導電率をより良く向上することができる。また、銀含有材料の焼結粒径Ds1は、概ねミクロンオーダー、例えば、1μmを超えて、2μm以上、2.1μm以上、2.2μm以上であってもよい。これにより、上記した抵抗増加を抑制する効果をより良く発揮することができる。
【0041】
なお、銀含有材料の焼結粒径Ds1は、電子顕微鏡観察で得られた画像を解析することによって求めることができる。詳細な算出方法については、実施例の欄で後述する。また、銀含有材料の焼結粒径Ds1は、後述する集電部形成用材料の調整、例えば、(a)集電部形成用材料における銀含有材料とペロブスカイト型酸化物との配合割合、(b)集電部形成用材料として用いる銀含有材料の平均粒子径D1、(c)集電部形成用材料として用いるペロブスカイト型酸化物の平均粒子径D2、(d)集電部形成用材料として用いる銀含有材料の平均粒子径D1とペロブスカイト型酸化物の平均粒子径D2との比、(e)集電部形成用材料として用いるペロブスカイト型酸化物の結晶子径、等を調整することによって実現することができる。
【0042】
ペロブスカイト型酸化物は、次のうちの少なくとも1つ:(1)空気極30と熱膨張率を整合して、一体性を高める機能;(2)銀含有材料の凝集やシンタリングを抑制して、銀含有材料の粒子サイズを均質に維持する機能;(3)供給ガスに含まれる不純物をトラップして、空気極30の構成材料に組成のずれが生じることを抑制する機能;を有する。上記(3)に関し、SOFC50の使用温度域において、供給ガスに含まれる不純物は、酸素含有ガスと固体電解質層20と空気極30との三相界面に拡散することがある。これにより、空気極30のペロブスカイト型酸化物が不純物と反応し、組成がずれる(変化する)ことがある。その結果、空気極30の触媒活性が低下して、SOFC50の発電効率が低下することがある。空気極集電部30eにペロブスカイト型酸化物を含むことで、銀含有材料の不純物が三相界面に拡散する前に捕捉することができ、このような不具合を未然防止することができる。
【0043】
ペロブスカイト型酸化物としては、特に限定されず、空気極30に使用し得るものとして例示した材料の中から、1種または2種以上を適宜用いることができる。空気極30との熱膨張率の整合性や一体性を高める観点からは、空気極集電部30eに、空気極30と同種のペロブスカイト型酸化物を含むことが好ましい。一例として、空気極30がランタンコバルタイト系材料を含む場合、例えば、空気極30におけるランタンコバルタイト系材料の含有割合が、概ね50質量%以上、例えば80質量%以上の場合、空気極集電部30eにもランタンコバルタイト系材料を含むことが好ましい。このことにより、SOFC50の耐久性(例えばヒートサイクル耐性)をより良く向上することができる。
【0044】
ランタンコバルタイト系材料の一好適例として、次の一般式(1):
(LaαAe1-α)(CoβBI
1-β)O3-δ ・・・(1);
で表される複合酸化物が挙げられる。なお、上記一般式(1)のδは、電荷の中性条件を満たすように定まる値、典型的には-1.2≦δ≦1.2、例えば-1≦δ≦1である。
また、αは、0<α≦1を満たす実数である。αは、典型的には0.3≦α≦0.9であり、好ましくは0.4≦α≦0.8、例えば0.5≦α≦0.7である。0<αのとき、Aeは、アルカリ土類金属元素の1種または2種以上である。なかでも、Srを含むことが好ましい。言い換えれば、一般式ABO3の、AサイトにLaおよびSrを含み、BサイトにCoを含む酸化物、すなわち、ランタンストロンチウムコバルタイト系材料が好ましい。
【0045】
また、βは、0<β≦1を満たす実数である。βは、典型的には0.01≦β≦0.9であり、好ましくは0.05≦β≦0.8、例えば0.1≦β≦0.3である。β<1のとき、BIは、上記Bサイトに含まれ得る元素として例示したなかで、Co以外の元素の1種または2種以上である。なかでも、Ni、Ti、Feのうちの少なくとも1種を含むことが好ましく、特にはFeを含むことが好ましい。例えば、一般式ABO3の、AサイトにLaおよびSrを含み、BサイトにCoおよびFeを含む酸化物、すなわち、ランタンストロンチウムコバルトフェライト系材料が好ましい。
【0046】
空気極集電部30eに含まれるペロブスカイト型酸化物の平均粒子径(以下、焼結前の粒径と区別するために、「焼結粒径」という。)は、空気極集電部30eで銀含有材料の粒子間のネットワークを良好に発達させる観点から、典型的には、銀含有材料の焼結粒径Ds1よりも小さい。ペロブスカイト型酸化物の焼結粒径Ds2は、空気極集電部30eの集電効率を高める観点から、空気極30に含まれるペロブスカイト型酸化物の平均粒子径よりも小さくてもよい。ペロブスカイト型酸化物の焼結粒径Ds2は、焼結前の状態と概ね同様である。ペロブスカイト型酸化物の焼結粒径Ds2は、例えば、0.05μm以上、0.1μm以上、0.15μm以上であって、0.3μm以下、0.25μm以下、0.21μm以下であってもよい。ペロブスカイト型酸化物の焼結粒径Ds2を所定値以上とすることで、空気極集電部30eのガス透過性を高めることができる。ペロブスカイト型酸化物の焼結粒径Ds2を所定値以下とすることで、上記した銀含有材料の粒子サイズを均質に維持する機能および不純物をトラップする機能のうちの少なくとも一方をより良く発揮することができる。
【0047】
銀含有材料の焼結粒径Ds1(μm)と、ペロブスカイト型酸化物の焼結粒径Ds2(μm)との比(Ds1/Ds2)は、銀含有材料の粒子間のネットワークを良好に発達させて、集電効率を高める観点から、例えば、9.5以上、10以上、11以上、例えば12以上であってもよい。また、Ds1/Ds2は、空気極集電部30eのガス透過性を高める観点から、例えば、50以下、30以下、20以下であってもよい。このような比の範囲とすることで、SOFC50の初期特性と耐久特性とを高いレベルでバランスすることができる。
【0048】
空気極集電部30eは、銀含有材料を主体として(言い換えれば、質量割合が最も大きな成分として)構成されていることが好ましい。このことにより、空気極集電部30eの導電率を向上して、集電効率をより良く高めることができる。特に限定されるものではないが、空気極集電部30eの全体を100質量%としたときに、銀含有材料の割合は、例えば、50質量%を超え、60質量%以上、70質量%以上、80質量%以上であって、95質量%以下、90質量%以下、85質量%以下であるとよい。また、空気極集電部30eの全体を100質量%としたときに、ペロブスカイト型酸化物の割合は、5質量%以上、10質量%以上、15質量%以上であって、40質量%以下、30質量%以下、20質量%以下であるとよい。また、空気極集電部30eは、上記した銀含有材料とペロブスカイト型酸化物とに加えて、さらに他の材料を含んでいてもよい。
【0049】
また、銀含有材料とペロブスカイト型酸化物との合計を100質量%としたときに、銀含有材料の割合は、50質量%を超えているとよい。銀含有材料とペロブスカイト型酸化物との含有比率は、例えば、銀含有材料:ペロブスカイト型酸化物=60:40~95:5、65:35~90:10、70:30~80:20であってもよい。これにより、空気極集電部30eにおいて、高い集電効率を長期にわたってより良く維持することができる。したがって、SOFC50の初期特性と耐久特性とを高いレベルでバランスすることができる。
【0050】
空気極集電部30eは、700℃における直流4端子法に基づく導電率が、8000S/cmを超えており、例えば、9000S/cm以上、9500S/cm以上、10000S/cm以上であるとよい。導電率はより高い方が好ましく、その上限は特に限定されないが、一例では、100000S/cm以下、50000S/cm以下、例えば20000S/cm以下であってもよい。また、空気極集電部30eは、導電率(S/cm)と平均厚みT(cm)との積((S/cm)・cm)が、例えば、30以上、35以上、40以上、50以上であるとよい。これにより、空気極集電部30eの集電効率をより良く高めることができる。上限は特に限定されないが、一例では、1000以下、500以下、例えば200以下であってもよい。
【0051】
なお、上記した導電率、および/または、導電率(S/cm)と平均厚みT(cm)との積は、後述する集電部形成用材料の調整、例えば、(a)集電部形成用材料における銀含有材料とペロブスカイト型酸化物との配合割合、(b)集電部形成用材料として用いる銀含有材料の平均粒子径D1、(c)集電部形成用材料として用いるペロブスカイト型酸化物の平均粒子径D2、(d)集電部形成用材料として用いる銀含有材料の平均粒子径D1とペロブスカイト型酸化物の平均粒子径D2との比、(e)集電部形成用材料として用いるペロブスカイト型酸化物の結晶子径、等を調整することによって実現することができる。
【0052】
SOFC50は、発電時には、600℃以上、例えば600~900℃程度の高温域にまで昇温される。かかる温度域において、SOFC50の燃料極10の中空の部分には、燃料ガス、例えば水素(H2)が供給される。また、空気極30は、酸素(O2)を含む気体、例えば空気に曝される。このように、固体電解質層20の一方の表面と他方の表面とに酸素分圧の異なるガスが供給されることにより、発電体40の燃料極10側と空気極30側とで酸素濃度差が生じる。すると、空気極30では酸素が分解されて、酸素イオンが形成される。酸素イオンは空気極30から燃料極10に向けて、固体電解質層20の内部を移動する。燃料極10では、酸素イオンと燃料ガスとが反応して水(H2O)が生成されるとともに、電子が放出される。これにより、電気エネルギーが生成される。
【0053】
以上のように、SOFC50の空気極集電部30eでは、Ag粒子間のネットワークが良好に発達し、所定値以上の導電率が実現されている。また、空気極集電部30eでは、銀含有材料の平均円相当径が小さく抑えられている。このことにより、SOFC50では、空気極集電部30eの形成によってオーミック抵抗が小さく抑えられると共に、耐久後も抵抗が増加し難くなり、電力損失を抑制することができる。したがって、SOFC50は、良好な発電特性を長期にわたって発揮することができる。
【0054】
なお、本実施形態では、ここに開示される集電部が空気極30のみの表面に設けられている。しかし、これには限定されない。ここに開示される集電部は、例えば、燃料極10および空気極30の表面にそれぞれ設けられていてもよく、燃料極10のみの表面に設けられていてもよい。
【0055】
また、本実施形態では、SOFC50の全体形状が円筒型である。また、SOFC50が、燃料極支持型である。しかし、SOFCの全体形状や支持体についてはこれに限定されない。SOFCは、例えば、従来公知の平板型(Planar)、MOLB型、縦縞円筒型(Tubular)、あるいは円筒型の周側面を垂直に押し潰した扁平円筒型(Flat tubular)、一体積層型等であってもよい。また、SOFCは、例えば、空気極を厚めに形成した、所謂、空気極支持型(CSC:Cathode-Supported Cell)であってもよく、固体電解質層を厚めに形成した、所謂、電解質支持型(ESC:Electrolyte-Supported Cell)等であってよい。また、SOFCは、燃料極の固体電解質層と反対側の表面に多孔質な金属シートを備えたメタルサポート型(MSC:Metal-Supported Cell)であってもよい。
【0056】
図3は、他の一実施形態に係るSOFC50Aを模式的に示す断面図である。SOFC50Aは、全体形状が平板型である。SOFC50Aは、発電体40Aを備えている。発電体40Aは、燃料極10Aと、固体電解質層20Aと、空気極30Aと、を備えている。燃料極10Aは、相対的に固体電解質層20Aから遠い側に配置されている燃料極支持体12Aと、相対的に固体電解質層20に近い側に配置される燃料極活性層14Aと、を備えた2層構造である。燃料極活性層14Aには、図示しない燃料極集電部が配置されている。また、固体電解質層20Aと空気極30Aとの間には、両者の界面を安定化するための反応抑止層22Aが配置されている。空気極30Aには、空気極集電部30eAが配置されている。このようなSOFC50Aもまた、好適に用いることができる。
【0057】
<集電部形成用材料>
上記した空気極集電部30eの形成には、以下に示すような集電部形成用材料を好適に用いることができる。ここに開示される集電部形成用材料は、粉末状の銀含有材料と、粉末状のペロブスカイト型酸化物と、を含んでいる。
【0058】
銀含有材料は、銀および銀合金のうちの少なくとも一方であればよい。銀含有材料の種類については、空気極集電部30eで既に述べているため、ここでは説明を省略する。銀含有材料の平均粒子径D1は、上記した焼結粒径Ds1の範囲を満たす観点から、2.9μm以下であり、例えば、1.5μm以下、1μm以下であるとよい。銀含有材料の平均粒子径D1は、空気極集電部30eにおいて銀含有材料の粒子間のネットワークを良好に発達させる観点から、ペロブスカイト型酸化物の平均粒子径D2よりも大きくてもよい。銀含有材料の平均粒子径D1は、例えば、0.1μm以上、0.3μm以上、0.5μm以上であってもよい。
【0059】
ペロブスカイト型酸化物の種類については、空気極集電部30eで既に述べているため、ここでは説明を省略する。ペロブスカイト型酸化物の平均粒子径D2は、空気極集電部30eにおいて銀含有材料の粒子間のネットワークを良好に発達させる観点から、銀含有材料の平均粒子径D1よりも小さくてもよい。ペロブスカイト型酸化物の平均粒子径D2は、集電効率を高める観点から、空気極30の形成用材料として用いられるペロブスカイト型酸化物の平均粒子径よりも小さくてもよい。ペロブスカイト型酸化物の平均粒子径D2は、空気極集電部30eにおいて、上記した銀含有材料の粒子サイズを均質に維持する機能および不純物をトラップする機能のうちの少なくとも一方をより良く発揮する観点から、0.5μm以下であり、例えば、0.4μm以下、0.3μm以下、0.25μm以下、0.21μm以下であってもよい。ペロブスカイト型酸化物の平均粒子径D2は、空気極集電部30eのガス透過性を高める観点から、例えば、0.01μm以上、0.05μm以上、0.1μm以上であってもよい。
【0060】
銀含有材料の平均粒子径D1(μm)と、ペロブスカイト型酸化物の平均粒子径D2(μm)との比(D1/D2)は、空気極集電部30eにおいて銀含有材料の粒子間のネットワークを良好に発達させる観点から、4以上であり、例えば5以上であってもよい。D1/D2は、空気極集電部30eの均質性を高める観点や、空気極集電部30eが緻密になり過ぎることを抑制する観点から、例えば、10以下、6以下であってもよい。このような比の範囲とすることで、導電性とガス透過性とが高いレベルでバランスされた空気極集電部30eを形成することができる。
【0061】
ペロブスカイト型酸化物の結晶子径は、例えば、5以上、10以上、14以上であって、50以下、30以下、24以下であってもよい。これにより、導電性と耐久性とが高いレベルでバランスされた空気極集電部30eを形成することができる。なお、ペロブスカイト型酸化物の結晶子径は、X線回折で得られたX線回折パターンの半値幅から、シェラーの式に基づいて求めることができる。詳細な算出方法については、実施例の欄で後述する。
【0062】
銀含有材料とペロブスカイト型酸化物との合計を100質量%としたときに、銀含有材料の割合は、50質量%を超えているとよい。銀含有材料とペロブスカイト型酸化物との含有比率は、例えば、銀含有材料:ペロブスカイト型酸化物=60:40~95:5、65:35~90:10、70:30~80:20であってもよい。これにより、導電性と耐久性とが高いレベルでバランスされた空気極集電部30eを形成することができる。
【0063】
集電部形成用材料は、上記した銀含有材料とペロブスカイト型酸化物とに加えて、さらに他の材料を含んでいてもよい。例えば、分散媒およびバインダを含み、ペースト状(インク状、スラリー状、サスペンション状を包含する。)に調製されていてもよい。分散媒としては、従来この種の用途に用いられている溶媒を特に制限なく使用することができる。一例として、ターピネオール、メンタノール、ジヒドロターピネオール等のアルコール系溶媒;エチレングリコール、ジエチレングリコール誘導体等のグリコールエーテル系溶媒;トルエン、キシレン等の炭化水素系溶媒;等の有機溶媒が挙げられる。バインダとしては、従来この種の用途に用いられている化合物を特に制限なく使用することができる。一例として、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等のセルロース系高分子化合物;アクリル系樹脂;エポキシ系樹脂;フェノール系樹脂;等が挙げられる。集電部形成用材料は、さらに、例えば、造孔材(気孔形成材)、可塑剤、酸化防止剤、増粘剤、分散剤等の各種添加剤を含んでいてもよい。
【0064】
空気極集電部30eは、上述の集電部形成用材料を用いて、例えば以下のように形成することができる。すなわち、まず、上記した銀含有材料とペロブスカイト型酸化物と分散媒とバインダとを混合して、ペースト状に調製する。ペースト状に調製する際には、例えば、従来公知のボールミルやロールミル等を用いることができる。次に、ペースト状に調製した集電部形成用材料を、塗布または印刷等の手法によって、空気極30の表面の所望の位置に付与する。次に、これを銀含有材料が焼結可能な温度、例えば800~1000℃で焼成する。このことによって、分散媒とバインダとを焼きとばす。以上のようにして、空気極30の表面に、銀含有材料とペロブスカイト型酸化物との焼結体からなる空気極集電部30eを形成することができる。
【0065】
以下、本発明に関する幾つかの試験例を説明するが、本発明をかかる試験例に示すものに限定することを意図したものではない。
【0066】
[集電部形成用材料の用意]
まず、Ag粉末(平均粒子径D1:0.9μm)と、一般式:La0.6Sr0.4Co0.2Fe0.8O3(以下、単に「LSCF」と記載する。)で示されるペロブスカイト型酸化物の粉末(平均粒子径D2:0.15~0.48μm)と、を用意した。なお、LSCFの平均粒子径は、φ5mmのジルコニアボールを用いたボールミルで一次粉砕した後、φ1mmのビーズを用いたビーズミルで二次粉砕することによって調整した。そして、Ag粉末とペロブスカイト型酸化物とを表1に示す配合比率(質量比)で混合して、粉末状の集電部形成用材料(例1~5、比較例1~4)を得た。また、比較例5では、上記Ag粉末のみを集電部形成用材料とした。
【0067】
表1には、Ag粉末の平均粒子径D1とLSCFの平均粒子径D2との比(D1/D2)、および、LSCFの結晶子径Sをあわせて示す。なお、平均粒子径D1,D2と結晶子径Sについては、下記に示す方法で測定・算出した。
【0068】
(1)平均粒子径D1,D2
まず、Ag粉末およびLSCF粉末を、それぞれ、電界放出型走査電子顕微鏡(Field Emission - Scanning Electron Microscope:FE-SEM)で観察した。なお、SEM観察は、日立ハイテクノロジーズ製のSU8200を用い、加速電圧を10kVとして、1万倍の倍率で行った。そして、得られたSEM観察画像から、画像解析によって複数(ここでは100個以上)の粒子の円相当径を求め、個数基準の平均粒子径を算出した。
【0069】
(2)結晶子径
各例のLSCFについて、X線回折分析を行った。粉末X線回折装置は、株式会社リガク製のRINT-TTRIIIを用い、分析条件は以下のとおりとした。
励起X線:CuKα(波長λ=1.54056Å),50kV,50mA
測定範囲:2θ=10~60°、ステップ幅:0.01°
スキャンスピード:5°/min
【0070】
そして、得られたXRD回折パターンの2θ=43°付近にみられるLa0.6Sr0.4Co0.2Fe0.8O3のメインピークの半値全幅(FWHM)から、次のシェラー(Scherrer)の式:S=Kλ/(β×cosθ);に基づき、LSCF相の平均結晶子径を算出した。なお、式中、Sは平均結晶子径を、KはScherrer定数(0.92)を、λは使用X線の波長を、βは回折線(回折ピーク)の半値全幅を、θは回折角を表している。
【0071】
[SOFCの作製]
上記で用意した集電部形成用材料を用いて、
図3に示すような評価用のSOFCを作製した。具体的には、まず、酸化ニッケル(NiO,平均粒子径:0.5μm)粉末と、8%イットリア安定化ジルコニア(8YSZ,平均粒子径:0.5μm)粉末とを、60:40の質量比で混合して、燃料極形成用の混合粉末を用意した。そして、この混合粉末と、造孔材(炭素成分)と、バインダ(ポリビニルブチラール;PVB)と、可塑剤と、分散媒(キシレン)とを、48~58:5~15:8.5:4.5:24の質量比で混練することにより、ペースト状の燃料極支持体形成用の組成物を調製した。次に、この組成物を、ドクターブレード法によりキャリアシート上に塗布し、乾燥することを繰り返して、厚みが0.5~1.0mmの燃料極支持体グリーンシートを成形した。次に、上記NiO粉末と、上記8YSZ粉末と、バインダ(エチルセルロース;EC)と、分散媒(ターピネオール;TE)とを、48:32:2:18の質量比で混合することにより、燃料極形成用の組成物を調製した。次に、この組成物を燃料極支持体グリーンシートの上にスクリーン印刷し、乾燥させて、厚み10μmの燃料極グリーンシートを形成した。
【0072】
次に、固体電解質材料としての8YSZ(平均粒子径:0.5μm)粉末と、バインダ(EC)と、分散媒(TE)とを、65:4:31の質量比で混練することにより、固体電解質層形成用の組成物を調製した。次に、この組成物を燃料極グリーンシートの上にスクリーン印刷し、乾燥させて、厚み10μmの固体電解質層グリーンシートを形成した。次に、反応抑止層材料としての10%ガドリニウムドープセリア粉末(10GDC,平均粒子径:0.5μm)と、バインダ(EC)と、分散媒(TE)とを、65:4:31の質量比で混練することにより、反応抑止層用の組成物を調製した。次に、この組成物を固体電解質層グリーンシートの上にスクリーン印刷し、乾燥させることで、厚み5μmの反応抑止層グリーンシートを形成した。
【0073】
次に、上記で積層成形したグリーンシート(燃料極支持体/燃料極/固体電解質層/反応抑止層グリーンシート)を円形に切り抜き、1350℃で共焼成することで、燃料極支持体と燃料極と固体電解質層と反応抑止層とがこの順に積層され一体化されたSOFCのハーフセル(焼成体)を得た。なお、焼成後のハーフセルの形状は、直径20mmの円形とした。
【0074】
次に、空気極材料としてのLSCF粉末(La0.6Sr0.4Co0.2Fe0.8O3)と、バインダ(EC)と、分散媒(TE)とを、80:3:17の質量比で混合することにより、空気極形成用の組成物を調製した。次に、この組成物を上記ハーフセルの反応抑止層上にスクリーン印刷法で円形のシート状に供給し、乾燥させることで、空気極グリーンシートを形成した。次に、空気極グリーンシートをハーフセルと共に1100℃で焼成して、空気極を形成した。
【0075】
次に、上記で用意した集電部形成用材料(例1~5、比較例1~5)と、バインダ(EC)と、分散媒(TE)とを、80:3:17の質量比で混合することにより、集電部形成用の組成物を調製した。次に、この組成物を空気極の上にスクリーン印刷し、乾燥させた後、850℃で焼成して、空気極集電部を形成した。これにより、各例のSOFC(例1~5、比較例1~5)を作成した。なお、表1には、焼成後の空気極集電部の平均厚み(μm)を示す。また比較用として、空気極集電部を有しないSOFC(比較例6)をあわせて作製した。
【0076】
【0077】
[空気極集電部の物性測定]
(1)FE-SEM観察
上記したFE-SEMを用い、加速電圧を10kVとして、1万倍の倍率で空気極集電部の表面を観察し、その微構造を確認した。一例として、
図4にSEM観察画像を示す。
図4(A)は、例1の結果であり、
図4(B)は、比較例2の結果であり、
図4(C)は、比較例4の結果である。このSEM観察画像では、明るく見えている粒子がAgであり、暗く見えている粒子がLSCFである。
【0078】
(2)Ag粒子の平均円相当径の算出
図5は、平均円相当径Ds1の求め方を説明するための説明図である。
ここでは、まず、クロスセクションポリッシャ(商標)を用い、各例のSOFCの空気極集電部について断面出しを行った。次に、上記したFE-SEMを用い、加速電圧を10kVとして、空気極集電部の断面を、1万倍の倍率でそれぞれ観察した。SEM観察画像の一例を、
図5(A)に示す。このSEM観察画像では、観察視野の全部が空気極集電部によって占められている。
【0079】
次に、得られたSEM観察画像を、画像処理ソフト(ここでは、オープンソースのImageJ)で画像解析した。具体的には、まず、上記SEM観察画像を自動で3値化処理して、AgとLSCFと空隙とを区分けした。次に、この画像を自動で2値化処理して、
図5(B)に示すように、Agを黒色とする白黒画像に変換した。次に、Watershed細分化の処理を行って、
図5(C)に示すように、自動で各粒子を分割した。次に、
図5(D)に示すように、Analyze Particlesの処理を行って、自動で粒子解析を行い、1粒子あたりの面積を算出した。
【0080】
次に、上記面積が円の面積であると仮定した時の直径を自動で算出した。そして、この直径を面積で重みづけして、Ag粒子の平均円相当径(円相当の平均粒子径)Ds1を算出した。具体的な例として、例えば
図6の模式図に示すようなA~Dの4つの粒子の平均円相当径Ds1は、次の式:Ds1=(S
Ad
A+S
Bd
B+S
Cd
C+S
Dd
D)/(S
A+S
B+S
C+S
D);で算出することができる。なお、式中、S
A,S
B,S
C,S
Dは、各粒子の面積を表し、d
A,d
B,d
C,d
Dは、各粒子の直径を表している。
【0081】
(3)導電率測定
直流4端子法を用いて、温度700℃で空気極集電部の導電率(S/cm)を測定した。結果を表1に示す。また、表1には、導電率と上記平均厚みとの積をあわせて示す。
【0082】
上記(1)~(3)の物性測定(すなわち、FE-SEM観察と、Ag粒子の平均円相当径の算出と、導電率測定)の結果、例1の空気極集電部では、Ag粒子が良く分散された状態で焼結されており、Ag粒子の平均円相当径が相対的に小さいことがわかった。また、Ag粒子間のネットワークが良好に発達しており、導電率が高いことがわかった。これに対し、比較例2の空気極集電部では、AgとLSCFとの配合比率が例1と同じであるにもかかわらず、Ag粒子同士が固まって平均円相当径が相対的に大きくなっていた。また、Ag粒子間のネットワークが一部寸断されており、導電率が低かった。また、比較例4の空気極集電部では、比較例2よりもさらにAg粒子の平均円相当径が大きくなっていた。
【0083】
[SOFCのオーム抵抗]
まず、上記で用意したSOFCの燃料極支持体と空気極集電部(ただし、空気極集電部を有しない比較例6では、空気極そのもの)とに、それぞれ、集電用のPtメッシュを当接させて、電流の配流を担わせた。次に、下記の条件でSOFCを運転し、インピーダンス測定によって、電流密度が0.5A/cm2のときのオーム抵抗を測定した。結果を、表1の「初期のオーム抵抗」の欄に示す。
燃料極供給ガス:25℃加湿水素ガス(200ml/min)
空気極供給ガス:空気(200ml/min)
運転温度:700℃
【0084】
表1に示すように、例1~5、比較例4,5では、空気極集電部を有しない比較例6と比べて、相対的にオーム抵抗が低減されていた。この原因としては、例えば、空気極集電部でAg粒子間のネットワークが良好に発達し、空気極集電部の導電率が高くなったこと等が考えられる。これに対して、比較例1~3では、相対的にオーム抵抗が高かった。この原因としては、例えば、(1)空気極集電部でAg粒子間のネットワークが十分に発達しておらず、空気極集電部の導電率が低くなったことや、(2)空気極と空気極集電部との接触抵抗が増大したこと、等が考えられる。
【0085】
[SOFCの抵抗増加]
また、各例のSOFCを上記と同じ条件で、電流密度が0.5A/cm
2となるように200時間の連続運転を行い、100Hz付近の抵抗成分(空気極の活性に相当する抵抗成分)の推移から、抵抗増加を算出した。結果を、表1の「耐久後の抵抗増加」の欄に示す。また、一例として、
図7には、インピーダンス測定で得られたBode Plotを示している。
図7(A)は例1の結果であり、
図7(B)は、比較例6の結果である。
図7において、縦軸は、-Z’’の大きさ(Ω・cm
2)であり、横軸は周波数(Hz)である。
【0086】
表1および
図7に示すように、例1~5、比較例1~3では、空気極集電部を有しない比較例6と比べて、耐久後の100Hzの-Z’’の増加が抑えられていた。各例の差異は空気極集電部のみであることから、空気極集電部によって100Hzの抵抗成分の増加が抑制されたと考えられる。これに対して、比較例4,5では、耐久後の100Hzの-Z’’の増加が相対的に高かった。
【0087】
この理由について明らかにする必要はないが、本発明者らは、空気極集電部の導電率を上記範囲とし、かつ、空気極集電部におけるAgの焼結粒径Ds1を2.9μm以下とすることで、(1)空気極集電部でのAgの分散性が向上し、ミクロな電流集中が抑制された結果、電流分布が均質になった(電流分布のバラつきが抑えられた)こと、(2)SOFCの使用温度域において、Agの凝集やシンタリングが抑制され、Agの粒子サイズを均質に維持することができたこと、(3)供給ガスに含まれる不純物をトラップして、空気極材料の組成のずれを抑制することができたこと、等が一因ではないかと考えている。
また、上記のような(SOFCの抵抗成分の増加を抑制することのできる)空気極集電部は、上記D1/D2比が4以上となるAg粉末とLSCFとを含んだ空気極集電部形成用材料を用いることで実現することができた。
【0088】
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
【符号の説明】
【0089】
10、10A 燃料極(アノード)
20、20A 固体電解質層
30、30A 空気極(カソード)
30e、30eA 空気極集電部
40、40A 発電体
50、50A 固体酸化物形燃料電池(SOFC)