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▶ オリンパステルモバイオマテリアル株式会社の特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-11
(45)【発行日】2023-01-19
(54)【発明の名称】骨プレートおよび骨プレートシステム
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/80 20060101AFI20230112BHJP
   A61B 17/86 20060101ALI20230112BHJP
【FI】
A61B17/80
A61B17/86
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2018516275
(86)(22)【出願日】2016-05-11
(86)【国際出願番号】 JP2016064069
(87)【国際公開番号】W WO2017195307
(87)【国際公開日】2017-11-16
【審査請求日】2019-05-09
【審判番号】
【審判請求日】2020-12-25
(73)【特許権者】
【識別番号】304050912
【氏名又は名称】オリンパステルモバイオマテリアル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118913
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 邦生
(72)【発明者】
【氏名】黒田 宏一
(72)【発明者】
【氏名】浦田 光也
【合議体】
【審判長】佐々木 一浩
【審判官】倉橋 紀夫
【審判官】宮部 愛子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/146866(WO,A1)
【文献】特開2014-50722(JP,A)
【文献】特表2014-513999(JP,A)
【文献】特表2014-522673(JP,A)
【文献】特表2015-524316(JP,A)
【文献】国際公開第2012/042592(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/80
A61B 17/86
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
高位脛骨骨切り術用の骨プレートであって、
脛骨の内側面に形成された切り込みよりも低位の前記脛骨の斜め前方内側面に、該脛骨の長手方向に沿って固定される帯板状の本体部と、
前記切り込みよりも高位の前記脛骨の内側面に、該脛骨の長手方向に交差する方向に沿って固定される横行部と、
前記本体部と前記横行部とを連結する連結部と、
前記横行部、前記本体部および前記連結部に相互に間隔をあけて配列され、板厚方向に貫通する複数のネジ孔と、を備え、
前記複数のネジ孔が、前記連結部に設けられた第1のネジ孔と、前記本体部のうち前記切り込みに最も近い位置に設けられた第2のネジ孔と、前記横行部に設けられて前記本体部の長手方向に交差する方向に間隔をあけて配置された複数の第4のネジ孔と、を有し、
前記本体部、前記連結部および前記横行部が、前記脛骨の長手方向に沿う軸線回りにねじれるように連続する曲面形状を有し、
前記第1のネジ孔の軸線および前記第2のネジ孔の軸線が、相互にねじれの位置に配置され、かつ、相互に略平行な第1の平面および第2の平面にそれぞれ配置され、前記骨プレートを装着した前記脛骨を前方または後方から見たときに互いに略平行となり、
該第1の平面および前記第2の平面は、前記複数の第4のネジ孔の配列方向を規定する直線に沿う方向に見た側面視において、前記骨プレートにおける長手方向上端部と下端部とを結ぶ直線と前記下端部側において80°以上95°以下の角度をなして交差し、
前記第1のネジ孔の軸線は、開大された前記切り込みの高位側の骨切り面に対して平行になる方向に配置され、
前記第2のネジ孔の軸線は、開大された前記切り込みの低位側の骨切り面から離間する方向に配置されている骨プレート。
【請求項2】
前記本体部の長手軸方向に前記第2のネジ孔に対して間隔をあけて配置された第3のネジ孔と、をさらに備え、
前記第3のネジ孔の軸線が、前記第1の平面および前記第2の平面に対して略平行である第3の平面に配置される請求項1の骨プレート。
【請求項3】
前記複数の第4のネジ孔の配列方向を規定する直線と前記第4のネジ孔の軸線方向とを含む第4の平面に対して傾斜した前記第1の平面に沿って前記第1のネジ孔の軸線が配置されている請求項1または請求項2に記載の骨プレート。
【請求項4】
前記連結部が、前記横行部に対して折曲形成され、
前記連結部の前記横行部に対する折曲角度が175°±10°である請求項1から3のいずれかに記載の骨プレート。
【請求項5】
長手方向の全長が90mm以上110mm以下、望ましくは95mm以上105mm以下であり、前記第1のネジ孔と前記第2のネジ孔との間の距離が24mm以上34mm以下、望ましくは24mm以上30mm以下である請求項1から4のいずれかに記載の骨プレート。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれかに記載の骨プレートと、
該骨プレートの前記複数のネジ孔のそれぞれに締結され、前記骨プレートを前記脛骨に固定する複数のスクリュと、を備える骨プレートシステム。
【請求項7】
前記骨プレートの板厚が3±1mmであり、
前記複数のスクリュにより前記骨プレートを締結した状態において、前記骨プレートの前記横行部から長手軸方向に30~50mm離間した位置に、前記長手軸の鉛直荷重が前記複数のスクリュに加えられたときの前記骨プレートおよび前記複数のスクリュの撓み量が、0.15mm±0.1mm/kgfとなる、請求項6に記載の骨プレートシステム。
【請求項8】
前記骨プレートおよび前記スクリュが、生体適合性の高い材料、好ましくはチタン系合金、コバルトクロム合金、もしくはステンレスからなる請求項6または7に記載の骨プレートシステム。
【請求項9】
前記スクリュが、ガイドピンを貫通可能な貫通孔を有する中空スクリュであり、
前記スクリュの山径の太さがφ5.0mm以上5.8mm以下、谷径の太さがφ4.5mm以上5.3mm以下であり、
前記中空スクリュの中空軸径がφ1.8mm以上2.8mm以下である請求項6から8のいずれかに記載の骨プレートシステム。
【請求項10】
前記骨プレートにおける長手方向上端部と下端部とを結ぶ直線と、前記第1の平面および前記第2の平面がなす角度が、好ましくは84°以上91°以下であり、前記第4の平面とのなす角度が、74°以上80°以下、好ましくは75°以上79°以下である請求項6から9のいずれかに記載の骨プレートシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、骨プレートおよび骨プレートシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、骨折や骨切り部を固定し、骨治癒、骨接合を促すために、骨プレートとこの骨プレートを骨に固定するためのスクリュと有する骨プレートシステムが用いられている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
このような骨プレートシステムは、例えば、変形膝関節症の高位脛骨骨切り術(HTO:High Tibial Osteotomy)に用いられる。高位脛骨骨切り術とは、O脚変形のために内側に偏る荷重の方向を、自分の骨を切り、少し角度を変えることにより矯正してアライメントを整え、外側に移動させる手術である。
高位脛骨骨切り術にはいくつかの種類があり、脛骨の内側から外側に向かって骨を切り、切込みを開大して台形または楔型の人工骨等を挿入することで角度を矯正するオープンウエッジ(Open Wedge HTO)法、脛骨の外側から骨を楔型に切り取り、短縮させて角度を矯正するクローズドウエッジ法(Closed Wedge HTO)等が知られている。
【0004】
特許文献1には、主としてオープンウエッジ法に用いられる骨プレートシステムが開示されている。オープンウエッジ法による高位脛骨骨切り術では、脛骨の内側を外側に向かって骨に切り込みを入れ、この切り込みを開大した開大部に略楔形の人工骨を挿入した後、開大部を跨ぐようにして骨プレートを配置する。こうして配置された骨プレートは、スクリュにより脛骨に固定される。
【0005】
特許文献2には、大腿骨や脛骨等の長骨が骨折した際に、骨折した各部分を修復固定するのに用いられる骨プレートシステムが開示されている。特許文献2の骨プレートシステムでは、骨プレートをスクリュにより骨端部に固定する際に、スクリュの軸線方向を回転して変更できるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】国際公開番号WO2015/146866号公報
【文献】特許第4368560号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
骨プレートをスクリュにより脛骨に固定する際には、開大部に挿入された人工骨が脱落せずに確実に保持される必要がある。また、高位脛骨骨切り術の施術後約1年~2年にわたる長い矯正期間の間、患者は骨プレートを脛骨に固定したまま直立したり、歩行したり、場合によってはより激しい活動をしたりすることとなる。骨プレートの脛骨に対する固定性が阻害されると、骨プレートやスクリュ周りの組織を損傷して骨折を誘発したり、治療効果を低下させたりする恐れがある。このため、骨プレートの脛骨に対する固定性が重要となる。
【0008】
挿入された人工骨の脱落を防止しながら骨プレートの脛骨への固定性を確保するために、特許文献1の骨プレートシステムでは、骨プレート1の板厚方向に対してネジ孔が傾斜してねじ切りされており、骨プレートの厚さ方向に対して傾斜する方向にスクリュが締結されている。このようにして骨プレートが脛骨に締め付け固定されると、図7に示すように、骨プレートが外側に張り出しやすくなり、外側に張り出した骨プレートが皮膚を刺激してそれにより痛みが生じやすくなる。
【0009】
特許文献2の骨プレートは、本体部が平板状に構成されているので、脛骨に対する固定性に劣る。特許文献2の骨プレートシステムでは、骨プレートを骨端部に固定する際に、スクリュの軸線方向を変更可能となっているが、骨プレートの固定性を考慮して最適なスクリュの最適な挿入角度をその都度決定するのでは手技が煩雑になるうえ、挿入角度を誤るとスクリュが海綿骨を突き破って、破砕骨折を招いたり、重要な組織を傷つけるなどの問題を引き起こす恐れがある。
【0010】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであって、骨プレートの脛骨に対する固定性および安定性を向上するために最適化した構造を有する骨プレートおよび骨プレートシステムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一態様は、高位脛骨骨切り術用の骨プレートであって、脛骨の内側面に形成された切り込みよりも低位の前記脛骨の斜め前方内側面に、該脛骨の長手方向に沿って固定される帯板状の本体部と、前記切り込みよりも高位の前記脛骨の内側面に、該脛骨の長手方向に交差する方向に沿って固定される横行部と、前記本体部と前記横行部とを連結する連結部と、前記横行部、前記本体部および前記連結部に相互に間隔をあけて配列され、板厚方向に貫通する複数のネジ孔と、を備え、前記複数のネジ孔が、前記連結部に設けられた第1のネジ孔と、前記本体部に設けられた第2のネジ孔と、を有し、前記本体部、前記連結部および前記横行部が、前記脛骨の長手方向に沿う軸線回りにねじれるように連続する曲面形状を有し、前記第1のネジ孔の軸線が配置される第1の平面と、前記第2のネジ孔の軸線が配置される第2の平面は、互いに略平行であり、前記骨プレートにおける長手方向上端部と下端部とを結ぶ直線と、前記第1の平面および前記第2の平面とがなす角度が80°以上95°以下であり、前記第1のネジ孔の軸線と前記第2のネジ孔の軸線とがねじれの位置に配置され、前記第1のネジ孔の軸線は、開大された前記切り込みの高位側の骨切り面に対して平行になる方向に配置され、前記第2のネジ孔の軸線は、開大された前記切り込みの低位側の骨切り面から離間する方向に配置されている骨プレートである。
【0012】
本態様によれば、第1のネジ孔に締結されたスクリュの軸線を有する第1の平面と、第2のネジ孔に締結されたスクリュの軸線の軸線を含む第2の平面は略平行となるとともに、第1のネジ孔に締結されたスクリュの軸線と第2のネジ孔に締結されたスクリュの軸線とは、互いにねじれの位置となる。
【0013】
また、連結部に設けた第1のネジ孔に挿入されるスクリュは、骨切り部の骨切面の直上において、骨切面に対して略平行となるように挿入される。そして、本体部に設けた第2のネジ孔に挿入されるスクリュは、骨切り部直下において、第1のネジ孔に挿入されるスクリュと略平行となるよう挿入される。
このとき、骨切り部直下に配置された本体部に挿入されるスクリュの先端は、骨切り部の骨切り面に対して非平行となる方向、換言すると、骨切り部の骨切り面から離間する方向に締結されることとなるので、スクリュの先端が骨切り面を突き抜けたりすること無しに、矯正角度を広くとることができる。
【0014】
また、スクリュ抜去後には、それまで締結されていたスクリュの位置にスクリューホールが開いて海綿骨内に空間ができるため脛骨の荷重強度が弱まるが、本願実施例においては、ねじれの位置にスクリューホールができるため、スクリューホールがねじれの位置にない場合に比べ、脛骨にかかる鉛直方向の荷重を分散させることができ、海綿骨の破断骨折を防ぐことができる。
【0015】
また、本体部、連結部および横行部が、脛骨の長手方向に平行な軸線回りにねじれるように連続する曲面形状を有しているので、骨プレートを脛骨の側面形状に沿うように配置することができる。
さらに、脛骨の厚みのある方向に長いスクリュを締結することができるので、それにより固定性を向上させることができる。
【0016】
上記態様においては、前記本体部の長手軸方向に前記第2のネジ孔に対して間隔をあけて配置された第3のネジ孔と、を更を有し、前記第3のネジ孔の軸線が配置される第3の平面は、前記第1の平面と前記第2の平面にそれぞれ互いに略平行であることとしてもよい。
このようにすることで、第1の平面と第2の平面のみならず、第3のネジ孔に締結されたスクリュの軸線を有する第3の平面も互いに略平行となるので、第3のネジ孔に挿入されるスクリュにより、術者がスクリュの方向を視認しやすく、挿入方向のミスが生じにくいことから、より強固に骨プレートを脛骨に締結することができる。
【0017】
上記態様においては、前記横行部に設けられて前記本体部の長手方向に交差する方向に間隔をあけて配置された複数の第4のネジ孔と、をさらに備え、前記複数の第4のネジ孔の配列方向を規定する直線と前記第4のネジ孔の軸線方向とを含む第4の平面に対して傾斜した前記第1の平面に沿って前記第1のネジ孔の軸線が配置されていることとしてもよい。
このようにすることで、連結部に設けた第1のネジ孔に挿入されるスクリュの先端が、横行部に設けた第4のネジ孔に挿入されるスクリュの先端に接近するよう傾斜して挿入されるので、脛骨に対してより強固にねじ止め固定することができる。
【0018】
上記態様においては、第1のネジ孔の軸線、第2のネジ孔の軸線、第4のネジ孔の軸線および前記第4のネジ孔の軸線が、それぞれ、骨プレートの板厚方向に対して略直交となるよう配置されてもよい。 このように構成されているので、適度な厚みを持った骨プレートに対してスクリュをしっかりと締結することができ、骨プレートの脛骨に対する固定性をさらに高めることができる。
【0019】
上記態様においては、前記曲面形状が、前記本体部の長手軸に平行な軸線回りに18.7°±10°ねじれていることとしてもよい。
このように構成されているので、骨プレートを脛骨の側面にぴったりと沿わせて配置することができる。
【0020】
上記態様においては、前記連結部が、前記横行部に対して折曲形成され、前記連結部の前記横行部に対する折曲角度が175°±10°であってもよい。
このように構成されているので、連結部に挿入されたスクリュの先端と、横行部に挿入されたスクリュの先端が干渉することを防ぎながら、骨プレートの脛骨に対するフィット性を高めることができる。更に、骨折を生じやすい骨切面付近とスクリュまでの距離が長くとられることから、安定的に固定されやすい。
【0021】
上記態様においては、長手方向の全長が90mm以上110mm以下、望ましくは95mm以上105mm以下であり、前記第1のネジ孔と前記第2のネジ孔との間の距離が24mm以上34mm以下、望ましくは24mm以上30mm以下であることとしてもよい。
【0022】
このようにすることで、患者の体格の違いに起因する脛骨の長さの違いや、矯正量の違いにかかわらず、骨プレートを脛骨の内側面にぴったりと沿わせて配置することができる。
また、第1のネジ孔と第2のネジ孔との間の距離が、従来の骨プレートにおけるネジ孔間隔よりも広くされているため、脛骨の長い患者にも対応できるのみならず、脛骨の短い患者においても、骨切面付近において骨プレートを外方に張り出すことなし固定でき、張り出した骨プレートの皮膚への刺激に起因する痛みを防ぐことができる。さらに、骨折を生じやすい骨切面付近とスクリュまでの距離が長くとられることから、安定的に固定されやすい。
【0023】
上記態様においては、前記骨プレートの板厚が3±1mmであり、前記複数のスクリュにより前記骨プレートを締結した状態において、前記骨プレートの前記横行部から前記横行部の長手軸方向に30~50mm離間した位置に、前記長手軸方向の鉛直荷重が加えられたときの前記骨プレートの撓み量が、0.15mm±0.1mm/kgfであってもよい。
【0024】
このように骨プレートの撓み量を調整したことで、骨プレート装着中の脛骨に対するストレスシールディング(骨に荷重が加わりにくくなる現象)を抑制することができ、人工骨を挿入した開大部における骨再生を促進させることができる。
【0025】
本発明の他の態様は、上記いずれかの骨プレートと、該骨プレートの前記複数のネジ孔のそれぞれに締結され、前記骨プレートを前記脛骨に固定する複数のスクリュと、を備えている骨プレートシステムを提供する。
【0026】
上記態様によれば、第1のネジ孔に締結されるスクリュと第2のネジ孔に締結されるスクリュとが、それぞれ互いに略平行となる平面上であって、第1のスクリュの軸線と第2のスクリュの軸線とがねじれの位置となるように配置されることとなるので、第2のネジ孔に締結されるスクリュの先端が、骨切り部の骨切り面から離間する方向に締結され、スクリュが骨切り面を突き抜けることが無く矯正角度を広くとることができる。
【0027】
また、このようにスクリュを締結することで、骨密度の低い部分や膝窩動脈などの重要な組織を避けてスクリュを締結することができる。
さらに、骨プレートが脛骨頭に対して外側に張り出すのを防ぐことができるので、骨プレートの張り出しによる皮膚への刺激に起因する痛みの発生を防ぐことができる。
【0028】
また、プレート装着中の患者が歩く等して鉛直方向に負荷がかかった場合であっても、荷重のかかる方向を分散でき、より効果的に荷重を吸収することができる。
さらに、スクリュ抜去後の脛骨の海綿骨内におけるスクリューホールの軸線方向も互いにねじれの位置となるので、スクリューホールの軸線方向がねじれの位置にない場合に比べ、脛骨にかかる鉛直方向の荷重を分散させることができ、海綿骨の破断骨折を防ぐことができる。
さらにまた、脛骨の厚みのある方向にスクリュを締結することができるので、長いスクリュを用いることができ、それにより固定性を向上させることができる。
【0029】
上記態様において、前記骨プレートおよび前記スクリュが、生体適合性の高い材料、好ましくはチタン系合金、コバルトクロム合金、もしくはステンレスから構成されていてもよい。
このように、十分な強度及び弾性を備えた生体適合性の高い材質のインプラントを用いることができる。
【0030】
上記態様においては、前記スクリュが、ガイドピンを貫通可能な貫通孔を有する中空スクリュであり、前記スクリュの山径の太さがφ5.0mm以上5.8mm以下、谷径の太さがφ4.5mm以上5.3mm以下であり、前記中空スクリュの中空軸径がφ1.8mm以上2.8mm以下であってもよい。
【0031】
上記態様においては、年単位にわたる長期間の間骨プレートがスクリュにより脛骨にネジ止め固定されることを想定して、鉛直方向の荷重を十分に吸収してスクリュが折れることがない太さに設計されている。また、このような範囲に設定することで、例えば骨端部においては、中空穴の先端部に骨が入り込むことにより、固定性を向上させることができる。
また、骨プレート抜去後の脛骨海綿骨内に生じるスクリューホールによる悪影響を最小限に留めることができる。
骨プレートの本体部と横行部とがねじれて配置されているので、スクリュの締結方向も一様では無く、スクリュの固定方向を誤りやすいが、上記態様においては、スクリュは、ガイドピンを貫通可能な貫通孔を有するので、スクリュに設けた貫通孔を利用して、ガイドピンをガイドとしてスクリュを締結していくことができ、締結作業の作業性を向上することができる。
【0032】
上記態様において、前記骨プレートにおける長手方向上端部と下端部とを結ぶ直線と、前記第1の平面および前記第2の平面とがなす角度が、80°以上95°以下、好ましくは84°以上91°以下であり、前記第4の平面とがなす角度が、74°以上80°以下、好ましくは75°以上79°以下であることとしてもよい。
【0033】
このように構成されているので、患者の体格の大きさ違いに起因する脛骨の長さの違いや、矯正量の違いにかかわらず、骨プレートを脛骨の内側面にぴったりと沿わせて配置することができる。
また、関節面を突き破ることがなく、かつ、人工骨や骨欠損部と干渉することがない最適な範囲にスクリュを挿入することができる。
【0034】
上記態様においては、前記横行部、前記連結部、および前記第1のネジ孔および前記第4のネジ孔に締結される複数のスクリュからなる第1のスクリュ群を含有する第1のブロックと、前記本体部と、前記第2のネジ孔および前記第3のネジ孔に締結される複数のスクリュからなる第2のスクリュ群を含有する第2のブロックと、を備え、前記骨プレートの前記横行部から長手軸方向に30~50mm離間した位置において、前記第1のブロックから前記第2のブロックに対して鉛直荷重が相対的に加えられたときに、前記第1のブロックが前記第2のブロックに対して、前記鉛直荷重方向に0.15mm±0.1mm/kgfで変位して撓みを生じる弾性を有することとしてもよい。
このように骨プレートシステムの撓み量を調整したことで、骨プレート装着中の脛骨に対するストレスシールディング(骨に荷重が加わりにくくなる現象)を抑制することができ、人工骨を挿入した開大部における骨再生を促進させることができる。
【発明の効果】
【0035】
本発明によれば、長期間の脛骨への固定性を向上させるために最適化した骨プレートおよび骨プレートシステムを提供することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1A】本発明の一実施形態に係る骨プレートシステムを示す全体図である。
図1B図1の骨プレートと、骨プレートに設けたネジ孔に挿入されたスクリュの位置関係を示す全体図である。
図1C図1の骨プレートと、骨プレートに設けたネジ孔に挿入されたスクリュの位置関係を示す平面図である。
図2A図1の骨プレートシステムに用いられる本発明の一実施形態に係る骨プレートを示す正面図である。
図2B図2Aの骨プレートを示す側面図である。
図2C図2Aの骨プレートを示す正面図である。
図3図2Aの骨プレートに設けられたネジ孔とスクリュとの関係を示す部分的な縦断面図である。
図4A】横行部と連結部の側面図における部分的拡大図である。
図4B】横行部と連結部の側面図における傾斜関係をより詳細に示した部分的拡大図である。
図5A図1の骨プレートシステムに用いられるスクリュにガイドピンを挿入した場合を示す図である。
図5B図5Aのスクリュ頭部の拡大図である。
図6図1の骨プレートの変形例を示す全体図である。
図7】従来技術における骨プレートシステムを示す全体図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
本発明の一実施形態に係る骨プレート1および骨プレートシステム2について、図面を参照して以下に説明する。
本実施形態に係る骨プレートシステム2は、図1Aに示されるように、骨プレート1と、該骨プレート1を脛骨Xの高位側面に固定するための複数のスクリュ3と、脛骨Xの内側面側から外側に向かって形成された切り込みに挿入される人工骨4とを備えている。
【0038】
本実施形態に係る骨プレート1は、変形膝関節症の高位脛骨骨切り術において、骨切り後の脛骨Xの高位内側面に固定される細長い帯板状の部材であり、脛骨Xの骨幹部から端部に向かって移行する位置の脛骨X側面の湾曲した表面形状に沿わせることができるように、代表的な表面形状に合わせて微妙に湾曲した形状を有している。
【0039】
この骨プレート1は、図2A図2Bおよび図2Cに示されるように、細長い帯板状の本体部1aと、該本体部1aの長手方向に交差する方向に延びる横行部1bと、本体部1aと横行部1bとを連結する連結部1cとを備え、全体としては略T字形状に形成されている。連結部1cは、図2Cに示されるように、本体部1aの一端から一方向に湾曲するとともに先端の横行部1bに向かって本体部1aの長手軸回りにねじれた形状(ねじれ角度は18.7°±10°)とされている。本体部1aは、脛骨Xの形状に沿う所定の曲率で湾曲する略弓形の断面を有している。
【0040】
骨プレート1の本体部1aには、図2Aに示されるように、長手方向に間隔をあけて複数のネジ孔5が設けられている。なお、図2Aには、4つのネジ孔5a、5b、5c、5dが本体部1aに設けられた例が示されている。また、横行部1bには、本体部1aの長手方向に交差する方向に間隔をあけて複数のネジ孔6が設けられている。なお、図2Aでは3つのネジ孔6a、6b、6cが横行部1bに設けられた例が示されている。また、連結部1cには、ネジ孔5および6(6b)に対して上記長手方向に間隔をあけて配置された1つのネジ孔7が設けられている。
ネジ孔5,6,7は、図3に示されるように、一側から他側に向かって板厚方向にスクリュ3が挿入されるようになっている。このとき、スクリュ3の軸線Dは、骨プレート1の板面に対して直交する。
なお、図3には、一例として横行部1bのネジ孔6の場合を示しているが、本体部1aおよび連結部1cのネジ孔5,7も同様の構成である。
【0041】
本体部1aに設けられたネジ孔5aおよび5cには、それぞれスクリュ3cおよび3eが挿入され、連結部1cに設けられたネジ孔7には、スクリュ3bが挿入される。また、横行部1bのネジ孔6a、6b、6cには、スクリュ3aが挿入される。
このとき、スクリュ3bの軸線Aは、図1Bに示されるように、ネジ孔6a、6b、6cの配列方向を規定する直線とネジ孔6a、6b、6cにそれぞれ挿入されたスクリュ3aの軸線Dとを含む第4の平面δに対して傾斜した第1の平面上αに配置され、スクリュ3cの軸線Bおよびスクリュ3eの軸線Cは、それぞれ第1の平面αに略平行な第2の平面βおよび第3の平面γ上に配置されることとなる。そして、図1Cに示されるように、スクリュ3bの軸線Aとスクリュ3cの軸線Bは互いにねじれの位置に配置されるので、脛骨Xの関節面に投影されるスクリュ3bの軸線Aとスクリュ3cの軸線Bとはたがいに交差するのみならず、骨プレート1を装着した脛骨Xを前方または後方から見たときには、ちょうど互いに略平行となるような位置関係となる。
【0042】
また、図1Bに示されるように、骨プレート1における長手方向上端部と下端部とを結ぶ直線Lと第1の平面αがなす角度、直線Lと第2の平面βがなす角度および、直線Lと第3の平面γがなす角度は、それぞれ、80°以上95°以下、好ましくは84°以上91°以下になるよう設計されている。また、直線Lと第4の平面δとのなす角度は、74°以上80°以下、好ましくは75°以上79°以下となるよう設計されている。
【0043】
このように構成された本実施形態に係る骨プレート1および骨プレートシステム2の作用について、以下に説明する。
本実施形態に係る骨プレートシステム2を用いて変形膝関節症の高位脛骨骨切り術を行うには、脛骨Xの内側面から外側に向かって、脛骨Xの長手軸に対して傾斜する方向に切り込みを形成し、所定の器具を用いて切り込みを開大する。そして、図1Aに示されるように、開大された開大部8に、楔形状の人工骨4を挿入した状態で、脛骨Xの斜め前方内側面に骨プレート1の本体部1aをあてがい、開大部8を跨ぐようにして脛骨Xに骨プレート1を配置する。より具体的には、図1Aに示されるように、横行部1bおよび連結部1cが切り込みの上切断面Y1の上内側面にあてがわれ、本体部1aが切り込みの下切断面Y2の上内側面にあてがわれる。
【0044】
そして、この後に、開大部8内に楔形状の人工骨4を挿入した後、各ネジ孔5,6,7には、外側から内側に向かって板厚方向にスクリュ3を貫通させて脛骨Xに締結していく。これにより、開大された切り込みの上下の脛骨Xは、切り込みを跨いでスクリュ3により固定された骨プレート1と、開大部8内に挿入される人工骨4とによって、切り込みを縮小させる方向にかかる鉛直荷重Wを支持することができる。
【0045】
本体部1aのネジ孔5aに挿入されるスクリュ3cと、連結部1cのネジ孔7に挿入されるスクリュ3bは、図1Bおよび図1Cに示されるように、互いに略平行となる平面上であって、互いにねじれの位置となる配置で脛骨Xに締結されている。このため、脛骨Xの関節面に投影されるスクリュ3bの軸線Aとスクリュ3cの軸線Bとはたがいに交差するのみならず、骨プレート1を装着した脛骨Xを前方または後方から見たときには、ちょうど互いに略平行となるような位置関係で締結される。
これにより、切り込みの下切断面Y2の直下において、本体部1aのネジ孔5aに挿入されたスクリュ3cの先端は、図1Aに示されるように、下切断面Y2から離間する方向に締結されることとなる。このため、スクリュ3cの先端が下切断面Y2を突き抜けて人工骨4に突き刺さってしまうことが無く、矯正角度を広くとることができる。
【0046】
また、骨密度の低い部分や膝窩動脈などの重要な組織を避けて脛骨に骨プレートを固定することができる。
【0047】
また、本実施形態に係る骨プレート1によれば、開大部8を挟んで脛骨Xに固定される本体部1aと横行部1bとが、連結部1cによって相互にねじれた位置に配置され、本体部1aは脛骨Xの斜め前方内側面に固定されるのに対し、横行部1bは脛骨Xの内側面に固定される。その結果、骨プレート1を装着した矯正中の患者が直立したり、歩行等したりして脛骨Xに鉛直荷重Wが作用しても、骨プレート1を板厚方向に湾曲させずに済む。
このため、骨プレート1が脛骨頭に対して外側に張り出すのを防ぐことができ、骨プレート1の張り出しによる皮膚への刺激に起因する痛みの発生を防ぐことができる。
【0048】
また、矯正終了後、骨プレート1およびスクリュ3を抜去した後には、脛骨Xにスクリューホールが開くので、脛骨の荷重強度が弱まり、海綿骨の破断骨折を生じる恐れがある。しかし、本実施形態においては、脛骨Xのねじれの位置にスクリューホールが開くこととなるので、脛骨にかかる鉛直方向の荷重Wを分散させることができ、例えば、脛骨Xのねじれの位置ではない位置にスクリューホールが開く場合に比べ、海綿骨に破断骨折が生じる可能性を減らすことができるという利点がある。
【0049】
また、ネジ孔6の軸線D,ネジ孔7の軸線A、ネジ孔5の軸線Bが、それぞれ、骨プレート1の板厚方向に対して略直交となるようねじ切りされているので、適度な厚みを持った骨プレート1に対してスクリュ3を脛骨Xに対し、しっかりと締結することができ、骨プレート1の脛骨Xに対する固定性をさらに高めることができる。
【0050】
連結部1cは、図4Aに示されるように、横行部1bに対して折曲角度175°±10°で折曲形成されている。このため、連結部1cのネジ孔7に挿入されるスクリュ3bの軸線Bは、図4Bに示されるように、横行部1bのネジ孔6に挿入されるスクリュ3aの軸線Aに対して折曲角度175°±10の分だけ上向きに挿入されることとなる。
このように構成されているので、連結部1cに挿入されたスクリュ3bの先端と、横行部1bに挿入されたスクリュ3aの先端が干渉することを防ぎながら、骨プレート1の脛骨Xに対するフィット性を高めることができる。
【0051】
なお、本実施形態に係る骨プレート1は、本体部1aから連結部1cにかけて、緩やかなくの字形となるように形成することで、脛骨へのフィッティング性をより高め、骨切面や脛骨後方の軟部組織にスクリュが突入しないように最適化することができる。
例えば、図2Aに示される実施例においては、本体部1aの下端からネジ孔5aの中心を結ぶ直線と、ネジ孔5aの中心から連結部1c中心を結ぶ直線とがなす角度を165°±10°とすることで緩やかなくの字形に形成している。また、ネジ孔5aの中心から連結部1c中心を結ぶ直線と、横行部1bに設けた複数の(図2Aにおいては3つの)ネジ孔6の配列方向を規定する直線とがなす角度を93°±10°とすることで、さらに脛骨へのフィッティング性を高めている。
【0052】
さらに、本体部1a、連結部1c、横行部1bは、脛骨の長手方向に平行な軸線回りにねじれるように連続する曲面形状により、骨プレート1を脛骨Xの側面形状に沿わせて配置することができる。
なお、曲面形状は、図2Cに示すように、脛骨Xの側面形状を考慮し、本体部1aの長手軸に平行な軸線回りに18.7°±10°ねじれた形状であることが望ましい。
【0053】
従来、スクリュ3は、脛骨Xの厚みがそれほどない方向に締結されていたため、必然的に短いスクリュ3を用いざるを得なかったが、本実施形態によれば、脛骨Xの厚みのある方向に長いスクリュ3を締結することができるので、骨粗鬆症等により骨質が良好ではなく、固定条件が悪い場合であっても、海綿骨を健全な状態に維持しながら固定性を向上させることができるという利点もある。
【0054】
連結部1cは、図4Aおよび図4Bに示されるように、横行部1bに対して、例えば175°±10°の角度で折曲形成することで、連結部1cのネジ孔7に挿入されたスクリュ3bの先端が、横行部1bのネジ孔6に挿入されたスクリュ3aの先端に干渉することを防ぐことができる。
【0055】
本実施形態に用いられる骨プレート1は長手方向の全長が90mm以上110mm以下であり、95mm以上105mm以下とすることが望ましい・また、ネジ孔7とネジ孔5aとの間の距離は24mm以上34mm以下であり、24mm以上30mm以下とすることが望ましい。
【0056】
このようにすることで、患者の体格の違いに起因する脛骨Xの長さの違いや矯正量の違いにかかわらず、骨プレート1を脛骨Xの内側面にぴったりと沿わせて配置することができる。
また、連結部1cのネジ孔7と本体部1aのネジ孔5aとの間の距離が、従来の骨プレート1に比べて広くとられているため、脛骨Xの長い患者にも対応しやすい。脛骨Xの短い患者においても、骨切面付近において骨プレート1を外方に張り出さずに固定できるので、張り出した骨プレート1による皮膚への刺激に起因する痛みを防ぐことができる。
【0057】
本願実施形態に用いられる骨プレート1は、板厚が3±1mmとされている。また、ネジ孔7とネジ孔5aとの間の脛骨Xを開大して空間を形成した後に骨プレート1を締結した状態で、骨プレート1の横行部1bから横行部の長手軸方向に30~50mm離間した位置に長手軸方向の鉛直荷重Wが加えられたときの長手軸方向への骨プレート1の撓み量が、0.15mm±0.1mm/kgfの範囲内に収まるよう設計されている。
【0058】
このように骨プレート1の撓み量を調整することで、骨プレート1を装着した矯正中の脛骨Xに対するストレスシールディング(骨に荷重が加わりにくくなる現象)を抑制することができ、人工骨4を挿入した開大部8における骨再生をよりいっそう促進することができる。
【0059】
また、脛骨Xに締結されたスクリュ3bと、スクリュ3cとが、脛骨Xの関節面に投影したときに交差するよう構成されているので、骨プレート1を装着した矯正中の患者の脛骨Xに鉛直荷重Wが作用しても、荷重Wの作用する方向を分散でき、効果的に荷重を吸収することができる。例えば、スクリュの交差の角度を、5°~25°、望ましくは10°~20°以下とすることが好ましい。
【0060】
骨プレート1およびスクリュ3は、生体適合性の高い金属材料から形成される。このような材料は、人体に配置した場合であっても、人体に対する安全性は比較的高い。
骨プレート1およびスクリュ3に使用される生体適合材料としては、長期間にわたる十分な強度や弾性を確保できるチタン系合金が最適である。もちろん、生体適合材料としてはチタン合金に限るものではなく、これ以外にも、コバルトクロム合金、ステンレス等、その他の材料を用いることもできる。
【0061】
本実施形態のスクリュ3は、図5Aおよび図5Bに示されるように、ガイドピン9を貫通可能な貫通孔10を有する中空のスクリュ3であり、スクリュ3の山径の太さdをφ5.0mm以上5.8mm以下、谷径の太さdをφ4.5mm以上5.3mm以下、スクリュ3の中空軸径dをφ1.8mm以上2.8mm以下としてもよい。
【0062】
本実施形態のスクリュ3は、年単位にわたる長期間の間、骨プレート1を脛骨Xに締結固定することを想定して、鉛直方向の荷重Wを十分に吸収しても折れることがない太さに設計されている。このような範囲に設定することで、例えば骨端部においては、中空穴の先端部に骨が入り込むことにより、固定性を向上させることができる。
また、スクリュ3の太さが太くなりすぎることが無いので、骨プレート1抜去後の脛骨Xの海綿骨内に生じるスクリューホールによる悪影響を最低限に留めることができる。
【0063】
骨プレート1の本体部1aと横行部1bとがねじれて配置されているので、スクリュ3の締結方向も一様では無く、スクリュの固定方向を誤りやすいが、本実施形態においては、スクリュ3は、ガイドピン9を貫通可能な貫通孔10を有するので、スクリュ3に設けた貫通孔10を利用して、ガイドピン9をガイドとしてスクリュ3を締結していくことができ、締結作業の作業性を向上することができる。
【0064】
また、図1Bに示すように、骨プレート1における長手方向上端部と下端部とを結ぶ直線と、第4の平面δとがなす角度を、74°以上80°以下、好ましくは75°以上79°以下とすることで、患者の体格の大きさ違いに起因する脛骨Xの長さの違いや、矯正量の違いにかかわらず、骨プレート1を脛骨Xの内側面にぴったりと沿わせて配置することができる。さらに、関節面を突き破ることがなく、かつ、人工骨4や骨欠損部と干渉することがない最適な範囲にスクリュ3を挿入することができる。
【0065】
また、図6に示されるように、横行部1b、連結部1c、およびネジ孔6,7に締結される複数のスクリュ3からなる第1のスクリュ群G1を含有する剛性の第1のブロックB1と、本体部1および、ネジ孔5a,5cに締結される複数のスクリュ3からなる第2のスクリュ群G2を含有する剛性の第2のブロックB2とを規定し、第1のブロックB1と第2のブロックB2との間に空間を形成するよう離間させたうえ、第1のブロックB1における骨プレート1の横行部1bから横行部の長手軸方向に30~50mm離間した位置において、第1のブロックB1から第2のブロックB2に対して鉛直荷重Wが相対的に加えられたときに、第1のブロックB1が第2のブロック2に対して、鉛直荷重方向に0.15mm±0.1mm/kgfで変位して撓みを生じる弾性を有する骨プレートシステムを設計することとしてもよい。 また、骨プレート1の横行部1bが、図1Bに示されるようにネジ孔6a、6b、6cの配列方向を規定する直線の周りに横行部1bが回転する方向に撓むのが望ましいが、連結部が撓みやすい方向に撓んでもよい。
このような設計によっても、骨プレート1を装着した矯正中の脛骨Xに対するストレスシールディングの抑制効果を高めることが可能である。
【符号の説明】
【0066】
1 骨プレート
1a 本体部
1b 横行部
1c 連結部
2 骨プレートシステム
3 スクリュ
3b スクリュ(第1のスクリュ)
3c スクリュ(第2のスクリュ)
4 人工骨(人工骨部材)
5 ネジ孔
5a ネジ孔(第2のネジ孔)
5c ネジ孔(第3のネジ孔)
6 ネジ孔(第4のネジ孔)
7 ネジ孔(第1のネジ孔)
8 開大部
9 ガイドピン
10 貫通孔
X 脛骨
第1の軸線 A
第2の軸線 B
第3の軸線 C
第4の軸線 D
第1の平面 α
第2の平面 β
第3の平面 γ
第4の平面 δ
第1のスクリュ群 G1
第2のスクリュ群 G2
第1のブロック B1
第2のブロック B2
図1A
図1B
図1C
図2A
図2B
図2C
図3
図4A
図4B
図5A
図5B
図6
図7