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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-11
(45)【発行日】2023-01-19
(54)【発明の名称】高所作業車
(51)【国際特許分類】
   B66F 9/24 20060101AFI20230112BHJP
   B66F 11/04 20060101ALI20230112BHJP
【FI】
B66F9/24 H
B66F11/04
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019013387
(22)【出願日】2019-01-29
(65)【公開番号】P2020121826
(43)【公開日】2020-08-13
【審査請求日】2022-01-19
(73)【特許権者】
【識別番号】597165618
【氏名又は名称】株式会社ネクスコ東日本エンジニアリング
(73)【特許権者】
【識別番号】000002358
【氏名又は名称】新明和工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121500
【弁理士】
【氏名又は名称】後藤 高志
(74)【代理人】
【識別番号】100121186
【弁理士】
【氏名又は名称】山根 広昭
(72)【発明者】
【氏名】福馬 誠士
(72)【発明者】
【氏名】菅原 剛
(72)【発明者】
【氏名】松島 弘幸
(72)【発明者】
【氏名】高山 英孝
【審査官】太田 義典
(56)【参考文献】
【文献】実開平07-021700(JP,U)
【文献】特開2017-216933(JP,A)
【文献】実開平07-028199(JP,U)
【文献】実開平02-010399(JP,U)
【文献】特開2000-327284(JP,A)
【文献】特開平08-123548(JP,A)
【文献】実開平07-004496(JP,U)
【文献】特開2006-131370(JP,A)
【文献】米国特許第04979588(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0187712(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66F 9/00-11/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行可能な車体と、
前記車体上に設けられ、昇降可能な作業台と、
前記車体の側方に位置する物体に当接可能な当接部を有し、前記車体から側方に向かって張り出し可能に設けられ、前記車体に対して回転可能なアーム部材と、
前記アーム部材の回転位置を検出する位置検出手段と、
前記車体または前記作業台に設けられ、作業者に警告を行う警告手段と、
前記位置検出手段によって検出された前記回転位置に応じて前記警告手段を制御する制御手段と、
を備え、
前記制御手段は、前記位置検出手段によって検出された前記回転位置が所定の回転範囲から外れた場合、前記警告手段によって作業者に警告を行う、高所作業車。
【請求項2】
前記制御手段は、前記回転位置が前記回転範囲を上回って外れた場合と、前記回転範囲を下回って外れた場合とで、前記警告手段を異なる態様で作動させて作業者に警告を行う、請求項1に記載された高所作業車。
【請求項3】
走行可能な車体と、
前記車体上に設けられ、昇降可能な作業台と、
前記車体の側方に位置する物体に当接可能な当接部を有し、前記車体から側方に向かって張り出し可能に設けられ、前記車体に対して回転可能なアーム部材と、
前記アーム部材の回転位置を検出する位置検出手段と、
下端に操舵可能な作業用車輪を有し、前記作業用車輪を地面に接地させた状態で、前記車体を持ち上げ支持可能なジャッキと、
前記位置検出手段によって検出された前記回転位置に応じて前記作業用車輪を操舵する制御手段と、
を備え、
前記ジャッキによって前記車体が持ち上げ支持された状態で前記作業用車輪によって前記車体が走行するとき、前記制御手段は、前記位置検出手段によって検出された前記回転位置が所定の回転範囲から外れた場合、前記回転位置が前記回転範囲内になるように前記作業用車輪を操舵させる、高所作業車。
【請求項4】
前記作業台を昇降させる昇降装置を備え、
前記作業台は、
前記昇降装置に連結された固定部と、
前記固定部から前記車体の側方に向かって引き出し可能なスライド部と、
を備え、
前記アーム部材が前記物体に当接したとき、前記車体の側方に引き出された前記スライド部は、前記アーム部材の上方に位置している、請求項1から3までの何れか1つに記載された高所作業車。
【請求項5】
前記車体から前記車体の側方に向かって張り出すようにスライド可能に設けられたスライド部材を備え、
前記アーム部材は、前記スライド部材に略水平面上に回転可能に支持され、前記車体と前記物体との距離に応じて前記回転位置が変更される、請求項1から4までの何れか1つに記載された高所作業車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高所作業車に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、高所作業を行う際に使用される高所作業車が知られている。高所作業車の一例として、特許文献1には、走行可能な車両と、車両の上部に配置され、昇降可能な作業台と、下端に移動用車輪が設けられ、下方に伸縮可能なアウトリガジャッキと、移動用車輪の操作が行われる操作レバーと、を備えた高所作業車が開示されている。なお、特許文献1に開示された高所作業車において、移動用車輪とは、高所作業を行う際に、車両を移動させるときに使用される車輪であり、車両に設けられた通常の車輪とは異なるものである。
【0003】
特許文献1に開示された高所作業車では、高所作業を行う際、移動用車輪が地面に接地するようにアウトリガジャッキを車両の下方に張り出させ、車両を安定支持させる。この状態で移動用車輪を駆動させることで、作業台を下降および上昇させることなく、そのまま車両を移動させて別の作業位置に高所作業車を移動させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2015-86050号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記高所作業車を用いてトンネルの内壁(側壁)作業を行う際、車両をトンネルの側壁に近づけた状態で移動用車輪によって車両を移動させることがある。このとき、車両が側壁に近づき過ぎると、車両が側壁に接触するおそれがある。一方、車両が側壁から遠過ぎると、作業台が側壁から離れたり、隣接車線に車両が進入したりするおそれがある。そのため、側壁に接触しない範囲で、車両を側壁に近づけた状態を維持しながら移動させることが望まれる。しかしながら、トンネル内は薄暗いため、車両と側壁との距離を作業者が目視で確認することが困難であった。
【0006】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、側方に位置する物体に近づけて作業を行う際、物体との距離を所定の範囲内に保つことが可能な高所作業車を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る高所作業車は、車体と、作業台と、アーム部材と、位置検出手段と、警告手段と、制御手段とを備えている。前記車体は、走行可能なものである。前記作業台は、前記車体上に設けられ、昇降可能である。前記アーム部材は、前記車体の側方に位置する物体に当接可能な当接部を有し、前記車体から側方に向かって張り出し可能に設けられ、前記車体に対して回転可能である。前記位置検出手段は、前記アーム部材の回転位置を検出する。前記警告手段は、前記車体または前記作業台に設けられ、作業者に警告を行う。前記制御手段は、前記位置検出手段によって検出された前記回転位置に応じて前記警告手段を制御する。前記制御手段は、前記位置検出手段によって検出された前記回転位置が所定の回転範囲から外れた場合、前記警告手段によって作業者に警告を行う。
【0008】
上記高所作業車によれば、車体の側方に位置する物体にアーム部材の当接部を当接させながら、車体を移動させる。このとき、位置検出手段によってアーム部材の回転位置を検出することで、車体と物体との距離を推定することができる。アーム部材の回転位置が所定の回転範囲から外れている場合には、車体が物体に対して近づき過ぎている、または、車体が物体から離れ過ぎていると判定され、警告手段によって作業者に警告される。よって、車体が物体に近づき過ぎること、および、物体から離れ過ぎていることを作業者に知らせることができる。また、作業者は、警告手段によって警告されたとき、アーム部材の回転位置が所定の回転範囲内になるように車体を操縦することで、車体と物体との距離を所定の範囲内に保つことができる。
【0009】
本発明の好ましい一態様によれば、前記制御手段は、前記回転位置が前記回転範囲を上回って外れた場合と、前記回転範囲を下回って外れた場合とで、前記警告手段を異なる態様で作動させて作業者に警告を行う。
【0010】
上記態様によれば、例えばアーム部材の回転位置が所定の回転範囲を上回って外れた場合には、車体が物体に近づき過ぎていると判定され、上記回転位置が回転範囲を下回って外れた場合には、車体が物体にから離れ過ぎていると判定される。よって、上記回転位置が回転範囲を上回って外れた場合と下回って外れた場合とで、警告手段を異なる態様で作動させて警告を行うことで、車体が物体に近づき過ぎなのか、または、物体から離れ過ぎなのかを区別して作業者に直感的に警告することができる。
【0011】
本発明に係る他の高所作業車は、車体と、作業台と、アーム部材と、位置検出手段と、ジャッキと、制御手段と、を備えている。前記車体は、走行可能なものである。前記作業台は、前記車体上に設けられ、昇降可能である。前記アーム部材は、前記車体の側方に位置する物体に当接可能な当接部を有し、前記車体から側方に向かって張り出し可能に設けられ、前記車体に対して回転可能である。前記位置検出手段は、前記アーム部材の回転位置を検出する。前記ジャッキは、下端に操舵可能な作業用車輪を有し、前記作業用車輪を地面に接地させた状態で、前記車体を持ち上げ支持可能である。前記制御手段は、前記位置検出手段によって検出された前記回転位置に応じて前記作業用車輪を操舵する。前記ジャッキによって前記車体が持ち上げ支持された状態で前記作業用車輪によって前記車体が走行するとき、前記制御手段は、前記位置検出手段によって検出された前記回転位置が所定の回転範囲から外れた場合、前記回転位置が前記回転範囲内になるように前記作業用車輪を操舵させる。
【0012】
上記他の高所作業車によれば、車体の側方に位置する物体にアーム部材を当接させながら、車体を移動させる。このとき、位置検出手段によってアーム部材の回転位置を検出することで、車体と物体との距離を推定することができる。アーム部材の回転位置が所定の回転範囲から外れている場合には、車体が物体に対して近づき過ぎている、または、車体が物体から離れ過ぎていると判定され、制御手段によってアーム部材の回転位置が回転範囲内になるように作業用車輪を操舵させる。よって、車体と物体との距離を所定の範囲内に自動で保つことができる。
【0013】
本発明の好ましい他の一態様によれば、前記高所作業車は、前記作業台を昇降させる昇降装置を備えている。前記作業台は、前記昇降装置に連結された固定部と、前記固定部から前記車体の側方に向かって引き出し可能なスライド部と、を備えている。前記アーム部材が前記物体に当接したとき、前記車体の側方に引き出された前記スライド部は、前記アーム部材の上方に位置している。
【0014】
上記態様によれば、作業者が作業台に搭乗して作業をする際、スライド部を車体の側方にスライドさせることで、作業者の足場を広くすることができる。このような状態において、作業者が車体を移動させているとき、スライド部によってスライド部の下方の視界が遮られるため、作業者が車体と物体との間の距離を目視し難い。しかしながら、車体が物体に近づき過ぎている場合、または、物体から離れ過ぎている場合には、警告手段によって作業者に警告される、または、アーム部材の回転位置が回転範囲内になるように作業用車輪が自動で操舵される。よって、車体が物体に近づき過ぎること、および、物体から離れ過ぎることを抑制することができる。
【0015】
本発明の好ましい他の一態様によれば、前記高所作業車は、前記車体から前記車体の側方に向かって張り出すようにスライド可能に設けられたスライド部材を備えている。前記アーム部材は、前記スライド部材に略水平面上に回転可能に支持され、前記車体と前記物体との距離に応じて前記回転位置が変更される。
【0016】
上記態様によれば、スライド部材を車体の側方に張り出させた状態で、アーム部材の当接部を物体に当接させることで、位置検出手段によってアーム部材の回転位置を検出することができる。当接部を物体に当接させないときには、スライド部材が車幅内に収まるようにスライド部材をスライドさせる。このことによって、作業時のみ、スライド部材を車体の側方に張り出させることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、側方に位置する物体に近づけて作業を行う際、物体との距離を所定の範囲内に保つことが可能な高所作業車を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】一実施形態に係る高所作業車の側面図である。
図2】上記高所作業車の平面図である。
図3】上記高所作業車の背面図である。
図4】作業台の平面図であり、スライド部を車体の側方に張り出した状態を示す模式図である。
図5図4のV-V断面における断面図である。
図6】上記高所作業車の制御系統を示すブロック図である。
図7】車体と監査路との距離に応じて警告を発する手順を示したフローチャートである。
図8】上記高所作業車の平面図であり、車体が監査路から離れ過ぎた状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照しながら、本発明の一実施形態について説明する。ただし、以下に説明する実施形態は、当然ながら本発明を限定することを意図したものではない。
【0020】
以下の説明では、高所作業車100の前、後、左、右、上、下は、それぞれ高所作業車100の運転席に座った運転手から見たときの前、後、左、右、上、下を意味するものとする。図面中の符号F、Rr、L、R、U、Dは、それぞれ前、後、左、右、上、下を意味するものとする。ただし、これら方向は説明の便宜上定めた方向に過ぎず、高所作業車100の設置態様を何ら限定するものではない。
【0021】
高所作業車100は、図1に示すように、車体10と、作業台20と、昇降装置35と、アウトリガ40F、40Rと、距離判定機構50と、作業時操作装置70(図2参照)と、警告灯75(図2参照)と、警告ブザー77(図2参照)と、制御装置80(図6参照)と、を備えている。高所作業車100は、様々な高所作業時に利用されるものであり、例えば図3に示すように、トンネル5内での内壁作業時に利用される。
【0022】
車体10は、走行可能に構成されており、具体的には、図1に示すように、シャシフレーム11と、シャシフレーム11に支持されたキャブ12と、を備えている。シャシフレーム11には、走行用の前輪13および後輪14が配設されている。キャブ12の内部には、図示しない運転席が設けられている。図2に示すように、キャブ12の左右両側には、後方および後側方を確認するためのミラー15が設けられている。
【0023】
作業台20は、作業者が搭乗可能に構成されており、具体的には、図1に示すように、昇降装置35に連結された固定部20aと、固定部20aに対して左右方向にスライド可能に取り付けられたスライド部20bとを備えている。作業台20は、固定部20aとスライド部20bとによって箱状に形成されている。固定部20aは、昇降装置35に連結された矩形状の固定床板21と、固定床板21の前端から上方に延びた固定前板22と、固定床板21の後端から上方に延びた固定後板23と、固定床板21の右端から上方に延びた固定右板24(図2参照)とを有している。スライド部20bは、図4おおび図5に示すように、固定床板21に対して左右方向にスライド可能に取り付けられたスライド床板31と、スライド床板31の左端から上方に延びたスライド左板32とを有している。このスライド部20bは、作業台20に設けられたスライドシリンダ(図示せず)によって、固定部20aに格納された格納位置P1と、車幅よりも左方に張り出した張出位置P2との間でスライド可能である。格納位置P1にスライド部20bを配置することで、スライド部20bを車幅内に収めることができる。一方、張出位置P2にスライド部20bを張り出させることで、作業台20の床面積(搭乗した作業者の移動範囲)を拡大させることができる。なお、スライド部20bは、上記スライドシリンダによって格納および張り出しを行う構成に代えて、手動で格納および張り出しを行う構成であってもよい。
【0024】
図1に示すように、昇降装置35は、車体10のシャシフレーム11の上方に設けられており、具体的には、シザースリンク機構36と、このシザースリンク機構36に接続され、シザースリンク機構36を作動させて作業台20を昇降させる昇降シリンダ37とを有している。高所作業を行う場合、作業台20に作業者が搭乗した状態で昇降装置35を作動させて、図2の破線で示すように、作業台20を所望の高所に移動させる。なお、ここでは、昇降装置35は、シザース式の昇降装置であるが、伸縮ムーブ式、屈折ムーブ式、垂直マスト式などの他の形式の昇降装置であってもよい。
【0025】
前側アウトリガ40Fは、ジャッキの一例であり、図1に示すように、シャシフレーム11に結合されたアウタポスト41と、アウタポスト41内を上下方向にスライド可能なインナポスト42と、インナポスト42を上下方向にスライドさせるジャッキシリンダ43と、インナポスト42の下端に設けられた前側作業用車輪44とを有し、前輪13および後輪14の間に左右一対に配設されている。前側作業用車輪44は、左右方向に延びた回転軸(図示せず)を中心に前後に回転可能に設けられており、前側アウトリガ40Fに備えられた駆動モータ48(例えば油圧モータ、図6参照)によって回転駆動される。また、前側作業用車輪44は、水平面内で旋回させて転舵可能に設けられており、前側アウトリガ40Fに備えられた操舵シリンダ49(例えば油圧シリンダ、図6参照)により転舵する。後側アウトリガ40Rは、駆動モータ48および操舵シリンダ49を備えていない点(すなわち、後側作業用車輪45が回転駆動および転舵しない点)を除いて、前側アウトリガ40Fと同様に構成されている。すなわち、後側アウトリガ40Rは、アウタポスト41と、インナポスト42と、ジャッキシリンダ43と、インナポスト42の下端に設けられた後側作業用車輪45とを有し、後輪14の後方に左右一対に配設されている。アウトリガ40F、40Rは、ジャッキシリンダ43を伸長させて作業用車輪44、45を地面に接地させることで、高所作業を行う際、車体10を持ち上げて安定支持することができる。
【0026】
作業用車輪44、45は、高所作業時、車体10が持ち上げ支持されている状態のままで、車体10を移動させるための車輪である。ここでは、前側作業用車輪44が駆動輪で、後側作業用車輪45が従動輪の構成を例示しているが、前側作業用車輪44を従動輪とし、後側作業用車輪45を駆動輪としてもよいし、前側作業用車輪44および後側作業用車輪45の両方を駆動輪としてもよい。
【0027】
図2に示すように、距離判定機構50は、車体10と車体10の側方(ここでは左方)に位置する物体(例えば監査路8)との間の距離を、所定の距離の範囲に維持する機構である。距離判定機構50は、図1に示すように、前輪13と後輪14との間に設けられている。距離判定機構50は、図2に示すように、シャシフレーム11に結合された筒状のベース部材51と、ベース部材51に対して左右方向にスライド可能に挿入されたスライド部材52と、スライド部材52の先端(ここでは、左端)に水平面内で回転可能に取り付けられたアーム部材53と、アーム部材53の回転軸部分に取り付けられた位置検出センサ56と、を備えている。ここで、水平面とは地面に対して略平行な面のことをいう。水平面には、水平面から多少傾いた面も含まれる。この距離判定機構50は、シャシフレーム11に設けられたスライドシリンダ55によって、スライド部材52、アーム部材53および位置検出センサ56が一体となって、ベース部材51に対して左右方向にスライドされる。
【0028】
スライド部材52は、左右方向に延びた棒状の部材であり、後述する接触ローラ54が左側のミラー15の内側(車幅内)に収まる位置と、左側のミラー15よりも左方に突出する位置との間で左右方向にスライド可能である。アーム部材53は、左右方向に延びた棒状の部材であり、スライド部材52の左端部分に上下方向に延びた第1回転軸57を介してスライド部材52に取り付けられている。アーム部材53は、スライド部材52に対して、水平面内で回転可能に支持されている。ここでは、スライド部材52とアーム部材53との接続部分(ここでは、第1回転軸57)には、アーム部材53の左端を左方に向けて(詳しくは、スライド部材52と略平行になるように)付勢するねじりばね59が取り付けられている。このことによって、接触ローラ54が車体10の側方に位置する物体に押し付けられる。
【0029】
アーム部材53は、当接部の一例である接触ローラ54を有しており、接触ローラ54は、アーム部材53の先端に取り付けられている。具体的には、接触ローラ54は、アーム部材53の先端部分に上下方向に延びた第2回転軸58を介して取り付けられており、アーム部材53に回転可能に支持されている。
【0030】
位置検出センサ56は、位置検出手段の一例であり、例えばひずみゲージまたはエンコーダを用いて構成されている。位置検出センサ56は、第1回転軸57部分に取り付けられ、アーム部材53の回転角度(例えば角度R1)を検出する。角度R1は、例えばアーム部材53がスライド部材52と平行になる(接触ローラ54が、車体10の側方に位置する物体に接触していないフリー状態の)位置を原点位置としたとき、原点位置からのアーム部材53の回転角度として定義される。なお、位置検出センサ56は、ひずみゲージやエンコーダに限定されず、リミットスイッチであってもよい。この場合、回転角度に対応させて複数のリミットスイッチを配置することで、アーム部材53がどの回転範囲に位置するかを段階的に検出することができる。また、位置検出センサ56の位置は、第1回転軸57部分に限定されない。また、角度R1の定義は上記に限定されず、接触ローラ54が物体に接触していない状態(原点位置)に対するアーム部材53の回転角度として定義すればよい。
【0031】
作業時操作装置70は、作業台20の固定前板22の左部に取り付けられており、作業台20に搭乗した作業者が操作することで、作業台20を昇降させたり車体10を移動させたりする操作などを行う装置である。作業時操作装置70は、前側作業用車輪44を回転駆動および操舵する操作レバー71と、昇降装置35を昇降させる操作レバー71(図示せず)などを備えている。なお、作業時操作装置70の設置位置は固定前板22に限定されず、例えばスライド左板32に設けられていてもよい。
【0032】
警告灯75および警告ブザー77は、警告手段の一例であり、図2に示すように、作業時操作装置70の操作レバー71に隣接させて設けられている。そのため、操作レバー71を操作する作業者に警告が伝わりやすい。警告灯75は、例えばフルカラーLEDを用いて構成されており、車体10が左方の物体に近づき過ぎたとき、または、物体から離れ過ぎたときに点滅または点灯するように制御されて、作業者に視覚的に警告するものである。警告ブザー77は、車体10が左方の物体に近づき過ぎたとき、または、物体から離れ過ぎたときに警告音を発するように制御されて、作業者に聴覚的に警告するものである。なお、警告灯75および警告ブザー77の設置位置は作業時操作装置70に限定されず、作業台20に搭乗する作業者にとって見やすい、または、聞こえやすい位置に設置するとよい。
【0033】
制御装置80は、制御手段の一例であり、例えば、中央演算処理装置(以下、CPUという)と、CPUが実行するプログラムなどを格納したROMと、RAMなどを備えている。制御装置80は、図6に示すように、位置検出センサ56および作業時操作装置70からの入力信号に基づいて、昇降シリンダ37、駆動モータ48、操舵シリンダ49、スライドシリンダ55、警告灯75よび警告ブザー77の作動の制御を行う。
【0034】
制御装置80は、記憶部81と、角度算出部82と、判定部83と、警告通知部85と、自動操舵部91と、を備えている。そして、判定部83は、第1判定部84と、第2判定部88とを備えている。警告通知部85は、第1警告通知部86と、第2警告通知部90とを備えている。これら各部は、プロセッサ、および、回路などによって実現可能なものであってもよい。なお、これら各部の具体的な説明は後述する。
【0035】
次に、以上のように構成される高所作業車100を用いて、トンネルの側壁の高所作業を行う場合について説明する。ここでは、図3に示すように、地面から所定の高さの監査路8を備えたトンネル5における高所作業について説明する。まず、車体10の左方に位置する監査路8に対して適切な距離をおいて高所作業車100を停車させる。このとき、図1の破線のように、アウトリガ40F、40Rを下方に伸長させて作業用車輪44、45を地面に接地させ、前輪13および後輪14を地面から浮かせる。このようにして車体10を安定支持させた状態で、図3の破線のように、昇降装置35により作業台20を所望の位置に上昇させ、作業台20に搭乗した作業者がトンネル5の側壁に関する作業を行う。この位置での作業を終え、車体10を前方に移動させて次の作業位置に移るとき、作業台20に搭乗した作業者が操作レバー71(図2参照)を操作して、前側作業用車輪44の回転駆動により車体10を前方に移動させる。この移動時に、監査路8に車体10が近づき過ぎると監査路8に接触し、監査路8から車体10が離れ過ぎると右側の車線に車体10が進入する。そのため、監査路8と車体10との距離を維持させながら車体10を移動させることが求められる。
【0036】
しかしながら、トンネル5内は薄暗いことが多く、図5に示すように、特にスライド部20bを張出位置P2に張り出した状態で移動させる場合、スライド部20bが監査路8と車体10との隙間の真上に位置するため、作業者は監査路8との隙間を目視で確認することが困難である。そこで、図2に示すように、アーム部材53を左方にスライドさせて接触ローラ54を監査路8に押し付けた状態で、車体10を前方に移動させる。このとき、車体10と監査路8との距離に応じて、アーム部材53が回転して角度R1が変化し、この角度R1に応じて警告を行うことで監査路8との距離の維持が容易になる。
【0037】
次に、角度R1に応じて警告を発する手順(制御装置80で実行される処理)について、図7のフローチャートを用いて説明する。図7のフローチャートのステップS101~ステップS109は、車体10が作業用車輪44、45によって移動している際に、所定の間隔で発生する割り込み処理によって処理されるものである。なお、本実施形態では、図2に示すように、車体10が前進する場合と、車体10が後進する場合とで、アーム部材53の回転方向が異なる。例えば、車体10が前進する場合には、アーム部材53は、図2の実線で示すように、スライド部材52よりも後方に向かって回転する。一方、車体10が後進する場合には、アーム部材53は、図2の破線で示すように、スライド部材52よりも前方に向かって回転する。
【0038】
まず、図7に示すように、ステップS101では、角度算出部82に対して割込み信号が送信され、角度算出部82は、上記割込み信号を受信したあと、位置検出センサ56に位置検出信号を送信する。位置検出信号を受信した位置検出センサ56は、アーム部材53の回転位置を検出し、その検出結果を角度算出部82に送信する。角度算出部82は、検出されたアーム部材53の回転位置に基づいて、アーム部材53の成す角度R1を算出し、次にステップS103に進む。ここで、角度R1が取り得る範囲は、略0度から略90度の間の角度である。例えば、車体10の前進時では、角度R1は、原点位置から反時計回りにおける回転角度のことである。車体10の後進時では、角度R1は、原点位置から時計回りにおける回転角度のことである。このことによって、車体10の前進および後進のどちらの場合にも、車体10と監査路8との距離に応じた角度R1を算出可能な構成になっている。なお、角度算出部82によって算出された角度R1は、記憶部81に記憶される。
【0039】
ステップS103に進むと、第1判定部84において、上記ステップS101で算出された角度R1を、記憶部81に予め記憶された所定の第1角度R11と比較することで、図8に示すように、車体10が監査路8から離れ過ぎているか否かを判定する。ここで、第1角度R11は、許容される上限値としての距離(車体10と監査路8の距離)に対応した回転角度であり、これを下回る角度R1の場合、車体10が右側の車線に進入するおそれがある。ここで、第1判定部84における処理を詳細に説明すると、まず、角度算出部82から送信される角度R1(第1判定信号)を受信した後、記憶部81から第1角度R11を読み出して、角度R1と第1角度R11とを比較する。比較の結果、第1角度R11≦角度R1、すなわち、車体10が監査路8から離れ過ぎていないと判定される場合には、次にステップS107に進む。一方、第1角度R11>角度R1、すなわち、車体10が監査路8から離れ過ぎていると判定される場合には、次にステップS105に進む。なお、第1角度R11は、車体10および作業台20の大きさや、スライド部材52の左方への突出位置、および、アーム部材53の長さなどに応じて適宜決定される角度であり、例えば0度~20度である。
【0040】
ステップS103からステップS105に進むと、第1警告通知部86は、警告灯75および警告ブザー77に警告動作を行わせ、作業者に警告する。第1警告通知部86における処理を詳細に説明すると、第1判定部84から送信される第1警告信号を受けて、警告灯75および警告ブザー77に作動信号を出力することで、警告灯75を点灯させると共に、警告ブザー77から警告音を発生させる。このことによって、このまま車体10を移動させた場合には、右側の車線に進入するおそれがあることを作業者に知らせて、注意を促すことができる。なお、このステップS105における第1警告通知部86による警告後、または、警告と同時に、制御装置80によって前側作業用車輪44の回転駆動を停止させる制御や、自動操舵部91によって監査路8との距離を維持するように(この場合、監査路8に近づくように)前側作業用車輪44を操舵する制御を行ってもよい。このような制御を行うことによって、車体10が右側の車線に進入することを確実に回避することができる。
【0041】
ステップS103からステップS107に進むと、第2判定部88において、上記ステップS101で算出された角度R1と、記憶部81に予め記憶された第2角度R12とを比較することで、図2に示すように、車体10が監査路8に近づき過ぎているか否かを判定する。ここで、第2角度R12は、許容される下限値としての距離に対応した回転角度であり、角度R1が第2角度R12を上回る場合、車体10が監査路8に接触するおそれがある。第2判定部88における処理を詳細に説明すると、まず、角度算出部82から送信される角度R1(第2判定信号)を受信した後、記憶部81から第2角度R12を読み出して、角度R1と第2角度R12とを比較する。比較の結果、角度R1≦第2角度R12、すなわち、車体10が監査路8に近づき過ぎていないと判定される場合には、フローは終了される。一方、角度R1>第2角度R12、すなわち、車体10が監査路8に近づき過ぎていると判定される場合には、次にステップS109に進む。なお、第2角度R12は、第1角度R11と同様に、車体10の大きさやアーム部材53の長さなどに応じて適宜決定される角度であり、例えば70度~90度である。
【0042】
ステップS107からステップS109に進むと、第2警告通知部90は、警告灯75および警告ブザー77に警告作動を行わせることで、作業者に警告する。ここで、第2警告通知部90における処理を詳細に説明すると、第2判定部88から送信される第2警告信号を受けて、警告灯75および警告ブザー77に作動信号を出力することで、警告灯75を点灯させると共に、警告ブザー77から警告音を発生させる。このことによって、このまま車体10を移動させた場合には、監査路8に車体10が接触するおそれがあることを作業者に知らせて、注意を促すことができる。ここでの警告灯75および警告ブザー77の具体的な警告態様(警告灯75の色や警告ブザーの音色)は、ステップS105での態様と同一であってもよく、異なっていてもよい。ステップS105とは異なる警告態様とすることで、監査路8に近づき過ぎなのか、監査路8から離れ過ぎなのかを区別して、直感的に作業者に警告することができる。
【0043】
なお、このステップS109における第2警告通知部90による警告後、または、警告と同時に、制御装置80によって前側作業用車輪44の回転駆動を停止させる制御や、自動操舵部91によって監査路8との距離を維持するように(この場合、監査路8から遠ざかるように)前側作業用車輪44を操舵する制御を行ってもよい。このような制御を行うことによって、監査路8に車体10が接触することを確実に回避することができる。
【0044】
以上の結果、角度R1が第1角度R11と第2角度R12との間の角度である場合、すなわち、車体10が右側の車線に進入したり監査路8に接触したりするおそれが現時点ではないと推定される場合には、警告灯75および警告ブザー77を作動させない。このとき作業者は、車体10と監査路8との距離が維持されていると判断して操作レバー71の操作を継続し、前側作業用車輪44の回転駆動によって車体10を前方に移動させることができる。
【0045】
以上、本実施形態では、制御装置80は、位置検出センサ56によって検出されたアーム部材53の回転位置に応じて警告灯75および警告ブザー77を制御する。制御装置80は、位置検出センサ56によって検出された上記回転位置が所定の回転範囲から外れた場合、警告灯75および警告ブザー77によって作業者に警告を行う。このことによって、図2に示すように、車体10の側方に位置する物体(例えば監査路8)に接触ローラ54を当接させながら、車体10を移動させる。このとき、位置検出センサ56によってアーム部材53の回転位置を検出することで、車体10と物体との距離を推定することができる。アーム部材53の回転位置が所定の回転範囲(ここでは、第1角度R11より大きく第2角度R12より小さい範囲)から外れている場合には、車体10が物体に対して近づき過ぎている、または、車体10が物体から離れ過ぎていると判定され、警告灯75および警告ブザー77によって作業者に警告される。よって、車体10が物体に近づき過ぎること、および、物体から離れ過ぎることを作業者に知らせることができる。また、作業者は、警告灯75および警告ブザー77によって警告されたとき、アーム部材53の回転位置が所定の回転範囲内になるように車体10を操縦することで、車体10と物体との距離を所定の範囲内に保つことができる。
【0046】
図1に示すように、アウトリガ40F、40Rによって車体10が持ち上げ支持された状態で作業用車輪44、45によって車体10が走行するとき、制御装置80は、位置検出センサ56によって検出されたアーム部材53の回転位置が所定の回転範囲から外れた場合、上記回転位置が上記回転範囲内になるように作業用車輪44を操舵させる。このことによって、車体10が物体に対して近づき過ぎている、または、車体10が物体から離れ過ぎていると判定され場合には、上記回転位置が回転範囲内になるように作業用車輪44が操舵される。よって、車体10と物体との距離を所定の範囲内に自動で保つことができる。
【0047】
制御装置80は、アーム部材53の回転位置が所定の回転範囲を上回って外れた場合(ここでは、角度R1が第2角度R12よりも大きい場合)と、上記回転範囲を下回って外れた場合(ここでは、角度R1が第1角度R11よりも小さい場合)とで、警告灯75および警告ブザー77を異なる態様で作動させて作業者に警告を行う。ここでは、アーム部材53の回転位置が所定の回転範囲を上回って外れた場合には、図2に示すように、車体10が物体から近づき過ぎていると判定され、上記回転位置が回転範囲を下回って外れた場合には、図8に示すように、車体10が物体から離れ過ぎていると判定される。よって、上記回転位置が回転範囲を上回って外れた場合と下回って外れた場合とで、警告灯75および警告ブザー77を異なる態様で作動させて警告を行うことで、車体10が物体に近づき過ぎなのか、または、物体から離れ過ぎなのかを区別して作業者に直感的に警告することができる。
【0048】
作業台20は、図4および図5に示すように、昇降装置35に連結された固定部20aと、固定部20aから車体10の側方に向かって引き出し可能なスライド部20bと、を備えている。アーム部材53の接触ローラ54が物体に当接したとき、車体10の側方に引き出されたスライド部20bは、アーム部材53の上方に位置している。作業者が作業台20に搭乗して作業をする際、スライド部20bを車体10の側方にスライドさせることで、作業者の足場を広くすることができる。このような状態において、作業者が車体10を移動させているとき、スライド部20bによって視界が遮られるため、作業者が車体10と物体との間の距離を目視し難い。しかしながら、車体10が物体に近づき過ぎている場合、または、物体から離れ過ぎている場合には、警告灯75および警告ブザー77によって作業者に警告され、かつ、アーム部材53の回転位置が回転範囲内になるように作業用車輪44が操舵される。よって、車体10が物体に近づき過ぎること、および、物体から離れ過ぎることを抑制することができる。
【0049】
アーム部材53は、図2に示すように、車体10から車体10の側方に張り出すようにスライド可能なスライド部材52に対して略水平面上に回転可能に支持され、車体10と物体との距離に応じて回転位置が変更される。このことによって、スライド部材52を車体10の側方に張り出させた状態で、接触ローラ54を物体に当接させることで、位置検出センサ56によってアーム部材53の回転位置を検出することができる。接触ローラ54を物体に当接させないときには、スライド部材52が車幅内に収まるようにスライド部材52をスライドさせる。このことによって、作業時のみ、スライド部材52を車体10の側方に張り出させることができる。
【0050】
接触ローラ54は、アーム部材53の先端部分に回転可能に設けられている。このことによって、作業時、接触ローラ54を物体に接触させながら、車体10を移動させる際、接触ローラ54が回転しながら物体に接触し続ける。よって、接触ローラ54によって物体に傷が付くことを抑制することができる。また、接触ローラ54と物体との摩擦抵抗を小さくすることができるため、作業時、車体10をスムーズに移動させることができる。
【0051】
本実施形態では、車体10の左方に位置する物体(ここでは、監査路8)との距離を維持するために、左方に突出可能な距離判定機構50を例示して説明したが、車体10の右方に位置する物体との距離を維持する場合には、距離判定機構50を右方に突出可能に設けるとよい。また、左右どちらの物体にも対応させる場合には、左方に突出可能な距離判定機構50と右方に突出可能な距離判定機構50とを設けるとよい。
【0052】
本実施形態では、基準となる物体(監査路8)に接触ローラ54を接触させる構成を例示して説明したが、物体との接触(摺動)抵抗をなるべく抑えることができる構成であれば、この構成に限定されない。例えば、接触ローラ54の代わりにゴム部材を用いて、このゴム部材をアーム部材53の先端に回転不能に固定する構成であってもよい。
【0053】
本実施形態では、作業時操作装置70、警告灯75および警告ブザー77を作業台20に搭載した構成を例示したが、これらの搭載位置は特に限定されない。例えばキャブ12内に搭載して、キャブ12内の作業者が作業時操作装置70を操作できるようにするとともに、車体10と物体との距離が適切でないと判定される場合に、キャブ12内の作業者に対して警告できるようにしてもよい。
【0054】
本実施形態では、監査路8との距離を維持する場合について説明したが、本発明に係る高所作業車を用いることで、道路に沿って設けられた構造物、例えばガードレール、ガードパイプ、ガードケーブルなどとの距離を維持しながら移動することが可能である。
【符号の説明】
【0055】
10 車体
20 作業台
20a 固定部
20b スライド部
35 昇降装置
40F、40R アウトリガ(ジャッキ)
44、45 作業用車輪
52 スライド部材
53 アーム部材
54 接触ローラ(当接部)
56 位置検出センサ(位置検出手段)
75 警告灯(警告手段)
77 警告ブザー(警告手段)
80 制御装置(制御手段)
100 高所作業車
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8