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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-11
(45)【発行日】2023-01-19
(54)【発明の名称】計測システム
(51)【国際特許分類】
   G01B 11/00 20060101AFI20230112BHJP
【FI】
G01B11/00 H
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019017448
(22)【出願日】2019-02-01
(65)【公開番号】P2020125934
(43)【公開日】2020-08-20
【審査請求日】2021-12-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000145806
【氏名又は名称】株式会社小野測器
(74)【代理人】
【識別番号】100099748
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 克志
(72)【発明者】
【氏名】楠美 貴大
【審査官】國田 正久
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/207983(WO,A1)
【文献】特開2011-188378(JP,A)
【文献】特開2017-181314(JP,A)
【文献】特開平10-170333(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
計測を行う計測システムであって、
複数のチャンネルを備えた計測装置と、
計測対象物の表面もしくは当該表面近くに配列された、所定の測定対象を測定する複数のセンサと、
前記計測対象物と前記配列された複数のセンサとを共に撮影するカメラとを備え、
前記複数のセンサは、前記計測装置の各チャンネルにそれぞれ接続し、
前記複数のセンサの各々は、発光する発光部を有し、
前記計測装置は、
順次、前記各チャンネルについて、当該チャンネルに接続したセンサの発光部を所定の点灯パターンで点灯し、前記カメラで撮影した画像である撮影画像中に現れる前記点灯パターンを認識し、当該点灯パターンを認識した前記撮影画像中の位置を、当該チャンネルに接続されたセンサに対応する前記撮影画像中の位置として算定するセンサ位置算定手段と、
各チャンネルに前記センサから入力した測定値を、当該チャンネルに接続した前記センサの位置として前記センサ位置算定手段が算定した前記撮影画像中の位置の測定値として用いて、各センサで測定した測定値の前記撮影画像上の分布を算出し、算出した分布を表す画像である分布画像を、前記カメラが撮影した撮影画像上に、当該撮影画像が視認可能できる形態で重畳した画像である分布提示画像を作成する分布提示画像作成手段を有することを特徴とする計測システム。
【請求項2】
請求項1記載の計測システムであって、
前記センサ位置算定手段は、前記各チャンネルについて、順次、当該チャンネルに接続したセンサの発光部を当該チャンネルの識別を表す点灯パターンで点灯することを特徴とする計測システム。
【請求項3】
計測を行う計測システムであって、
複数のチャンネルを備えた計測装置と、
計測対象物の表面もしくは当該表面近くに配列された、所定の測定対象を測定する複数のセンサと、
前記計測対象物と前記配列された複数のセンサとを共に撮影するカメラとを備え、
前記複数のセンサは、前記計測装置の各チャンネルにそれぞれ接続し、
前記複数のセンサの各々は、発光する発光部を有し、
前記計測装置は、
前記各チャンネルに接続したセンサの発光部を、当該チャンネルの識別を表す前記チャンネル毎に異なる点灯パターンで点灯し、前記カメラで撮影した画像である撮影画像中に現れる前記各点灯パターンを認識し、点灯パターンを認識した前記撮影画像中の位置を、当該点灯パターンが識別を表すチャンネルに接続されたセンサに対応する前記撮影画像中の位置として算定するセンサ位置算定手段と、
各チャンネルに前記センサから入力した測定値を、当該チャンネルに接続した前記センサの位置として前記センサ位置算定手段が算定した前記撮影画像中の位置の測定値として用いて、各センサで測定した測定値の前記撮影画像上の分布を算出し、算出した分布を表す画像である分布画像を、前記カメラが撮影した撮影画像上に、当該撮影画像が視認可能できる形態で重畳した画像である分布提示画像を作成する分布提示画像作成手段を有することを特徴とする計測システム。
【請求項4】
請求項3記載の計測システムであって、
前記センサ位置算定手段は、2以上の前記チャンネルに接続した2以上のセンサの発光部を、同時に、当該チャンネルの識別を表す前記チャンネル毎に異なる点灯パターンで点灯し、前記カメラで撮影した前記撮影画像中に現れる前記各点灯パターンを認識し、点灯パターンを認識した前記撮影画像中の位置を、当該点灯パターンが識別を表すチャンネルに接続されたセンサに対応する前記撮影画像中の位置として算定することを特徴とする計測システム。
【請求項5】
請求項1、2、3または4記載の計測システムであって、
前記センサは異なる方向を向いた複数の面を備えた外形を有し、前記発光部は、前記複数の面のうちの2以上の面の少なくとも一部が発光するように設けられていることを特徴とする計測システム。
【請求項6】
請求項1、2、3、4または5記載の計測システムであって、
前記複数のセンサが測定する前記所定の測定対象は、音と加速度と温度と磁気と電波とのうちのいずれかであることを特徴とする計測システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のセンサを用いて計測を行う技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
複数のセンサを用いて計測を行う技術としては、マルチチャンネルの計測装置の各チャンネルに接続した複数のセンサを異なる位置に配置し、各センサで測定した各位置の測定値から、測定量の空間的な分布を計測する技術が知られている(たとえば、特許文献1、2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2012-130028号公報
【文献】特開1998-170333号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
複数のセンサを用いて測定量の空間的な分布を計測する場合、当該分布の算出には、各センサの測定値がどの位置の測定値であるかを計測装置に識別させるために、測定者自身が、各センサの位置と当該センサを接続した計測装置のチャンネルとの対応を管理し、計測装置に設定する必要がある。
【0005】
そして、このことが多数のセンサを用いた計測を行う場合などに、測定者の過大な負担やミスを招く要因となり、また多くの作業時間を要していた。
そこで、本発明は、マルチチャンネルの計測装置の各チャンネルに接続した複数のセンサを異なる位置に配置して行う計測における、各センサの位置と当該センサを接続した計測装置のチャンネルとの対応の管理を容易化することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題達成のために、本発明は、複数のチャンネルを備えた計測装置の各チャンネルにそれぞれ接続した複数のセンサを用いて計測を行う計測システムに、カメラを備えると共に、前記センサに、発光する発光部を設け、前記計測装置に、順次、前記各チャンネルについて、当該チャンネルに接続したセンサの発光部を所定の点灯パターンで点灯し、前記カメラで撮影した画像中に現れる前記点灯パターンを認識し、当該点灯パターンを認識した前記画像中の位置を、当該チャンネルに接続されたセンサに対応する前記画像中の位置として算定するセンサ位置算定手段を設けたものである。
【0007】
ここで、この計測システムは、前記センサ位置算定手段において、前記各チャンネルについて、順次、当該チャンネルに接続したセンサの発光部を当該チャンネルの識別を表す点灯パターンで点灯するように構成してもよい。
【0008】
また、前記課題達成のために、本発明は、複数のチャンネルを備えた計測装置の各チャンネルにそれぞれ接続した複数のセンサを用いて計測を行う計測システムに、カメラを備えると共に、前記センサに、発光する発光部を設け、前記計測装置に、前記各チャンネルに接続したセンサの発光部を、当該チャンネルの識別を表す前記チャンネル毎に異なる点灯パターンで点灯し、前記カメラで撮影した画像中に現れる前記各点灯パターンを認識し、点灯パターンを認識した前記画像中の位置を、当該点灯パターンが識別を表すチャンネルに接続されたセンサに対応する前記画像中の位置として算定するセンサ位置算定手段を設けたものである。
【0009】
ここで、この計測システムは、前記センサ位置算定手段において、2以上の前記チャンネルに接続した2以上のセンサの発光部を、同時に、当該チャンネルの識別を表す前記チャンネル毎に異なる点灯パターンで点灯し、前記カメラで撮影した画像中に現れる前記各点灯パターンを認識し、点灯パターンを認識した前記画像中の位置を、当該点灯パターンが識別を表すチャンネルに接続されたセンサに対応する前記画像中の位置として算定するように構成してもよい。
【0010】
以上のような計測システムによれば、計測装置が、各チャンネルに接続したセンサの位置を、カメラで撮影した画像から自動的に識別するので、試験者の各センサの位置と当該センサを接続した計測装置のチャンネルとの対応の管理が容易化される。
【0011】
また、このような計測システムは、前記計測装置に、各チャンネルに前記センサから入力した測定値を、当該チャンネルに接続した前記センサの位置として前記センサ位置算定手段が算定した前記画像中の位置に対応する測定値として用いて、各センサで測定した所定の測定値の分布を算出する分布算出手段を設けてもよい。
【0012】
また、このような計測システムは、前記計測装置に、各チャンネルに前記センサから入力した測定値を、当該チャンネルに接続した前記センサの位置として前記センサ位置算定手段が算定した前記画像中の位置の測定値として用いて、各センサで測定した所定の測定値の前記画像上の分布を算出し、前記画像上で当該分布を表す分布図を作成する分布図作成手段を設けてもよい。
【0013】
また、前記センサを、異なる方向を向いた複数の面を備えた外形を有するものとして、前記発光部を、前記複数の面のうち、2以上の面の少なくとも一部が発光するように設けてもよい。
【0014】
このようにすることにより、センサの向きによらずに、前記発光部の発光を前記カメラで捉えることができる。
【発明の効果】
【0015】
以上のように、本発明によれば、マルチチャンネルの計測装置の各チャンネルに接続した複数のセンサを異なる位置に配置して行う計測における、各センサの位置と当該センサを接続した計測装置のチャンネルとの対応の管理を容易化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の実施形態に係る計測システムの構成を示すブロック図である。
図2】本発明の実施形態に係るセンサを示す図である。
図3】本発明の実施形態に係るセンサと電源ユニットの構成を示す図である。
図4】本発明の実施形態に係るセンサとカメラの配置例を示す図である。
図5】本発明の実施形態に係るセンサ配置同定処理を示すフローチャートである。
図6】本発明の実施形態に係る点灯パターンを示す図である。
図7】本発明の実施形態に係る解析装置の表示例を示す図である。
図8】本発明の実施形態に係るセンサの他の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明に係る計測システムの実施形態について、センサとしてマイクロホンを用いる場合を例に説明する。
図1に、本実施形態に係る計測システムの構成を示す。
図示するように、計測システムは、マイクロホンである複数のセンサ1、各センサ1に対応して設けられた定電圧電源をセンサ1に供給する電源ユニット2、カメラ3、入力ユニット4、解析装置5を備えている。
【0018】
入力ユニット4は、Ch1からChnまでのn個のチャンネルを備えており、各チャンネルには電源ユニット2を介してセンサ1を接続することができる。
そして、入力ユニット4は、各チャンネルにおいてセンサ1から電源ユニット2を介して入力する音信号を取得し、解析装置5に出力する。
また、入力ユニット4は、各チャンネルから定電流電源を供給することができ、電源ユニット2は入力ユニット4から供給される定電流電源を定電圧電源に変換してセンサ1に供給するユニットである。
【0019】
解析装置5は、たとえば、コンピュータであり、音の分布を表す音マップの作成を含む、入力ユニット4から入力する各チャンネルの音信号の各種解析を行う。
図2に、本実施形態に係るセンサ1の外観を示す。
ここで、図2aはセンサ1の前面を表し、図2bはセンサ1の上面を表し、図2cはセンサ1の右側面を表し、図2dはセンサ1の左側面を表し、図2eはセンサ1の下面を表し、図2fはセンサ1を斜視図を表す。
【0020】
図示するように、センサ1は直方体形状を有し、測定値を検出するセンサ素子を収容している。また、センサ1の後部には、センサ1を電源ユニット2に接続するためのケーブル6が連結されている。
【0021】
センサ1に収容されたセンサ素子は、センサ1の上面の中央部に設けられた収音孔11から取り込んだ音を電気信号に変換する。
また、センサ1には、センサ1の前面、上面、下面、左側面、右側面の前端部を形成する発光部12が設けられており、発光部12はセンサ1に収容したLED等の光源からの光を透過することにより、センサ1の前面、上面、下面、左側面、右側面の前端部を発光させる。
【0022】
図3に、センサ1と電源ユニット2の電気的構成を示す。
図示するように、センサ1は、センサ素子101、発光部12の光源となるLED102、抵抗103を備えている。センサ素子101は、電源ラインVとグランドラインGと信号ラインSに接続しており、内蔵したMEMSトランスデューサ等で音を電気信号に変換した音信号を、電源ラインVに供給される定電圧電源を用いて増幅して信号ラインSに出力する。
【0023】
また、LED102のカソードは信号ラインSに接続され、LED102のアノードは抵抗103の一端に接続され、抵抗103の他端はグランドラインGに接続されている。
次に、入力ユニット4の各チャンネルは、定電流電源供給と信号受信の用途を兼ねるI/Sコンタクトと、計測時にグランド電位に設定されるCコンタクトを備えている。
次に、電源ユニット2は、センサ1のグランドラインGを入力ユニット4のCコンタクトに中継するG-Cラインと、センサ1の信号ラインSを入力ユニット4のI/Sコンタクトに中継するS-I/Sラインを備えている。
【0024】
また、電源ユニット2は、抵抗値の大きな抵抗21を介してS-I/Sラインに接続した定電圧変換回路22を備えており、定電圧変換回路22は、入力ユニット4のI/SコンタクトからS-I/Sラインに供給される定電流電源を定電圧電源に変換して、センサ1の電源ラインVに供給する。
【0025】
さて、入力ユニット4は動作モードとして、計測モードと発光制御モードとを備えている。
計測モードに設定されているとき、入力ユニット4は、Cコンタクトをグランド電位に設定し、I/Sコンタクトから定電流電源を供給する。I/Sコンタクトから定電流電源が供給されると、電源ユニット2の定電圧変換回路22によって定電圧電源がセンサ素子101に供給され、センサ素子101は、音信号を信号ラインSに出力する。このとき、信号ラインSからグランドラインGに向かう電流はLED102によって阻止され流れることはない。そして、入力ユニット4は、I/Sコンタクトに定電流電源と重畳した形態で電源ユニット2を介してセンサ1から入力する音信号を受信する。
【0026】
次に、発光制御モードに設定されているときには、入力ユニット4は、解析装置5からの制御に従って、発光部12の光源となるLED102の点灯/消灯を行う。
LED102の点灯は、入力ユニット4において、I/Sコンタクトをグランド電位に設定し、Cコンタクトから定電流電源を供給することにより行う。I/Sコンタクトがグランド電位に設定されCコンタクトから定電流電源が供給されると、センサ1のグランドラインGの電位が信号ラインSより高くなり、抵抗103を介してLED102に電流が流れ、LED102が点灯する。
【0027】
また、LED102の消灯は、入力ユニット4において、Cコンタクトをグランド電位に設定し、I/Sコンタクトから定電流電源を供給すること、もしくは、I/Sコンタクトをグランド電位に設定したまま、Cコンタクトからの定電流電源の供給を停止することにより行う。
【0028】
次に、計測時のセンサ1とカメラ3の配置例を図4に示す。
図示した例は、計測対象物400の発生する騒音の分布を計測する場合であり、この場合、試験者は、計測開始に先立って、複数のセンサ1を、計測対象物400の表面または表面近くの異なる位置に配置する。また、カメラ3を、計測対象物400と全てのセンサ1が撮影できる位置と向きに設置する。
【0029】
試験者は、複数のセンサ1とカメラ3を配置し、各センサ1を入力ユニット4のチャンネルに接続したならば、解析装置5にセンサ配置同定処理を行わせ、各センサ1が接続されている入力ユニット4のチャンネルと各センサ1の位置との対応を識別させる。
【0030】
図5に、この解析装置5が行うセンサ配置同定処理の手順を示す。ここで、チャンネル番号をiとする。
図示するように、解析装置5は、センサ配置同定処理において、まず、入力ユニット4を発光制御モードに設定する(ステップ502)。
そして、センサ1を接続したチャンネルの数をnとして、1からnまでの各iについて以下の処理を行う。
まず、カメラ3で撮影した画像中に表れるi番目の点灯パターンを認識する処理を開始する(ステップ506)。
ここで、i番目の点灯パターンの例を図6に示す。
図中の「on」が点灯で「off」が消灯を表す。
i番目の点灯パターンは、リーダRと、プリアンブルPaと、データDとより構成される。
リーダRは一定期間の点灯であり、プリアンブルPaは同期信号であり所定時間t毎の点灯と消灯の所定回数の繰り返しである。また、このリーダRとプリアンブルPaは、各点灯パターンについて共通である。
【0031】
そして、データDは、固定長(図では3ビット)のバイナリデータの各ビットの値を、点灯を1とし消灯を0として表している。また、各ビットに対応する点灯/消灯のタイミングは、プリアンブルPaの同期信号に同期したタイミングとなっている。すなわち、プリアンブルPaの点灯から消灯への最後の変化タイミングから所定時間t毎に、各ビットに対応する点灯期間/消灯期間の中央が現れるようになっている。
【0032】
そして、i番目の点灯パターンの、データDのバイナリデータは、チャンネル番号を表しており、i番目の点灯パターンであれば値iを表している。図示した例では、データDは"101"であるので、データDはチャンネル番号5を表している。
【0033】
ステップ506で開始するカメラ3で撮影した画像中に表れるi番目の点灯パターンを認識する処理では、画像中の各位置についてリーダRに対応する点灯の発生を監視し、リーダRに対応する点灯を検出したならば、リーダRに対応する点灯を検出した位置でのプリアンブルPaの点灯/消灯のタイミングを検出して、データDの各ビットのラッチタイミングを設定し、設定したラッチタイミングで、当該位置での点灯/消灯を3ビット分検出し、検出した3ビットのデータが「i」であれば、i番目の点灯パターンを認識し、認識した点灯パターンが現れた画像中の位置を、i番目の点灯パターンが現れた画像中の位置とする。
【0034】
ここで、図2に示したように、本実施形態では、センサ1の前面、上面、下面、左側面、右側面の一部が発光するように発光部12を設けているので、センサ1の取付の向きによらずに、発光部12の点灯パターンをカメラ3で捉えることができる。
【0035】
図5に戻り、i番目のチャンネルに接続されているセンサ1の発光部12をi番目の点灯パターンで点灯させる(ステップ508)。i番目の点灯パターンを認識する処理を開始したならば、i番目の点灯パターンの認識が成功するまで(ステップ510)、入力ユニット4を制御する。
【0036】
そして、カメラ3で撮影した画像中のi番目の点灯パターンの認識に成功したならば(ステップ510)、i番目のチャンネルに接続されているセンサ1の発光部12を消灯し(ステップ512)、認識に成功したi番目の点灯パターンが現れたカメラ3で撮影した画像中の位置を、i番目のチャンネルに接続されているセンサ1の位置として登録する(ステップ514)。
【0037】
そして、1からnまでの各iについて、ステップ506からステップ514の処理が終了したら、入力ユニット4を計測モードに設定し(ステップ520)、センサ配置同定処理を終了する。
【0038】
以上、解析装置5が行うセンサ配置同定処理について説明した。
このように、本実施形態では、センサ配置同定処理によって、各チャンネルに接続したセンサ1の位置を、カメラ3で撮影した画像から自動的に識別して登録するので、試験者自身が、各センサ1の位置と当該センサ1を接続した計測装置のチャンネルとの対応を調査して管理する必要が無くなる。
【0039】
試験者は、以上のように解析装置5にセンサ配置同定処理を行わせたならば、計測対象物400や環境の状態を所定の計測用の状態に設定し、解析装置5に計測の開始を指示する。
【0040】
入力ユニット4は、計測の開始を指示されたら、計測の終了を指示されるまで、各チャンネルにセンサ1から入力される音信号を取得し、解析装置5に出力する。
解析装置5は、入力ユニット4から入力される各チャンネルの音信号をリアルタイムに解析したり、入力ユニット4から入力される各チャンネルの音信号を蓄積した上で解析したりする。
【0041】
各チャンネルの音信号の解析において、音の空間的な解析を行う場合には、解析装置5は、上述したセンサ配置同定処理で各チャンネルのセンサ1の位置として登録されたカメラ3で撮影した画像中の位置を、当該チャンネルの音信号が表す音の測定位置に対応する画像中の位置、または、当該画像中の位置に映り込む実空間上の位置として解析を行う。
【0042】
図7は、このような音の空間的な解析の一つである、音の空間的な分布を表す音マップの作成例を示しており、例では、カメラ3で撮影した計測対象物400の画像のレイヤ上に、各チャンネルの音信号が表す音が当該チャンネルのセンサ1の位置として登録された画像中の位置の音であるものとして求めた画像中の各位置の音の大きさを、当該位置の輝度/カラーで表す輝度マップ/カラーマップの画像のレイヤを重畳して音マップとしている。
【0043】
以上、本発明の実施形態について説明した。
以上の実施形態では、図2に示したようにセンサ1の前面、上面、下面、左側面、右側面の前端部が一体として発光するように発光部12を設けたが、発光部12は、図8に示すように、センサ1の前面、上面、下面、左側面、右側面のそれぞれに設けるようにしてもよい。また、この場合に、各発光部12は、共通の光源を用いて発光するものとしてもよいし、それぞれ個別の光源を用いて発光するものとしてもよい。
【0044】
また、実施形態では、図3に示したように入力ユニット4の音信号の取得に用いる各チャンネルのCコンタクトとI/Sコンタクトを、センサ1の発光部12の電力供給や点灯/消灯の制御にも併用したが、センサ1の発光部12の電力供給や点灯/消灯の制御は、別途専用線をセンサ1と入力ユニット4との間に設け、当該専用線を用いて、センサ1の発光部12の電力供給や点灯/消灯の制御を行うようにしてもよい。
【0045】
また、実施形態のセンサ配置同定処理は、チャンネル毎にセンサ1の発光部12を異なる点灯パターンで点灯したが、これは、各チャンネルのセンサ1の発光部12を同じ共通の点灯パターンで点灯するようにしてもよい。すなわち、センサ配置同定処理のステップ506で、この共通の点灯パターンを認識する処理を開始し、ステップ508で各チャンネルのセンサ1の発光部12を共通の点灯パターンで点灯するようにしてよい。
【0046】
また、実施形態のセンサ配置同定処理は、センサ1を接続したチャンネルの数をnとして、1からnまでの各iについて、各i番目のチャンネルのセンサ1の発光部12を相互に異なるi番目の点灯パターンで同じ期間中に点灯し、カメラ3で撮影した画像中の各i番目の点灯パターンを各々認識し、認識したi番目の点灯パターンが現れたカメラ3で撮影した画像中の位置を、i番目のチャンネルに接続されているセンサ1の位置として登録する処理としてもよい。また、この場合には、1からnまでの各iチャンネルのセンサ1の発光部12をi番目の点灯パターンで同時に点灯させている期間中にカメラ3で撮影した画像を録画し、録画した画像に対して、各i番目の点灯パターンを各々認識して、認識した画像中の位置を登録する処理を行うようにしてもよい。
【0047】
また、実施形態は、解析装置5において、無入力や過大入力等の異常値が検出されたチャンネルのセンサ1の発光部12を、エラーを示す所定の点灯パターンで点灯する処理も行うようにしてよい。
【0048】
また、実施形態は、センサ1がマイクロホンである場合を例にとり説明したが、本実施形態は、センサ1が、加速度センサや温度センサや磁気センサや電波センサ等のマイクロホン以外のセンサである場合にも同様に適用することができる。また、計測に用いる複数のセンサ1が同種のセンサ1でない場合にも同様に適用することができる。
【符号の説明】
【0049】
1…センサ、2…電源ユニット、3…カメラ、4…入力ユニット、5…解析装置、6…ケーブル、11…収音孔、12…発光部、21…抵抗、22…定電圧変換回路、101…センサ素子、102…LED、103…抵抗、400…計測対象物。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8