(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-11
(45)【発行日】2023-01-19
(54)【発明の名称】価格算出装置、コンピュータプログラム及び価格算出方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 30/0283 20230101AFI20230112BHJP
G06Q 30/0203 20230101ALI20230112BHJP
【FI】
G06Q30/02 490
G06Q30/02 312
(21)【出願番号】P 2019176598
(22)【出願日】2019-09-27
【審査請求日】2021-07-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000208891
【氏名又は名称】KDDI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【氏名又は名称】小林 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100114937
【氏名又は名称】松本 裕幸
(72)【発明者】
【氏名】田中 実
【審査官】松田 岳士
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-130045(JP,A)
【文献】特開2002-269255(JP,A)
【文献】特開2004-078463(JP,A)
【文献】特開2005-174044(JP,A)
【文献】特開2002-117309(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品又はサービスである商品の価格を算出する価格算出装置において、
ユーザに前記商品の第1価格を提示する第1価格提示部と、
前記ユーザから前記第1価格に対する満足度の入力を受け付ける満足度受付部と、
前記ユーザが過去に前記商品を購入した実績の有無を判定する判定部と、
前記判定部による判定結果及び前記満足度に基づいて前記商品の第2価格を算出する価格算出部と、
前記商品を購入したユーザのユーザ識別情報を記憶するユーザ情報記憶部と、を備え、
前記判定部は、前記満足度の入力を受け付けたユーザから受信したユーザ識別情報と前記ユーザ情報記憶部に記憶されるユーザ識別情報とに基づいて前記ユーザの前記商品の購入実績の有無を判定し、
前記価格算出装置は、前記商品の購入実績有りと判定された購入済ユーザの満足度と、前記商品の購入実績無しと判定された未購入ユーザの満足度とを区別して記憶する満足度情報記憶部をさらに備え、
前記価格算出部は、前記購入済ユーザの満足度と前記未購入ユーザの満足度とをそれぞれ異なる算入方法により前記第2価格を算出する、
価格算出装置。
【請求項2】
前記価格算出部は、前記購入済ユーザの満足度又は前記未購入ユーザの満足度のいずれか一方のみを使用して前記第2価格を算出する、
請求項
1に記載の価格算出装置。
【請求項3】
前記満足度受付部は、前記商品の購入タイミングに前記満足度の入力を受け付ける、
請求項1
又は2のいずれか1項に記載の価格算出装置。
【請求項4】
前記満足度受付部は、前記商品の提供前まで前記満足度の入力を受け付ける、
請求項1
又は2のいずれか1項に記載の価格算出装置。
【請求項5】
前記満足度受付部は、前記商品の競合価格を提示し、前記満足度の入力を受け付ける、
請求項1から
4のいずれか1項に記載の価格算出装置。
【請求項6】
前記満足度受付部は、前記商品の時系列の価格変動情報を提示し、前記満足度の入力を受け付ける、
請求項1から
5のいずれか1項に記載の価格算出装置。
【請求項7】
前記第2価格に算入された前記購入済ユーザの満足度と前記未購入ユーザの満足度とを前記第2価格と共に提示する第2価格提示部をさらに備える、
請求項
1から
6のいずれか1項に記載の価格算出装置。
【請求項8】
前記商品の需要と供給の状況を示す需要供給情報を記憶する需要供給情報記憶部をさらに備え、
前記価格算出部は、前記商品の需要と供給の状況に基づいて集計された前記満足度に基づいて前記商品の第2価格を算出する、
請求項1から
7のいずれか1項に記載の価格算出装置。
【請求項9】
前記満足度受付部は、前記商品の提供前の前記第1価格に対する提供前満足度と前記商品の提供後の前記第2価格に対する提供後満足度との入力を受け付け、
前記価格算出部は、前記提供前満足度と前記提供後満足度との比較結果に基づいて前記商品の第3価格を算出する、
請求項1から
8のいずれか1項に記載の価格算出装置。
【請求項10】
コンピュータに、
ユーザに物品又はサービスである商品の第1価格を提示する価格提示ステップと、
前記ユーザから前記第1価格に対する満足度の入力を受け付ける満足度受付ステップと、
前記ユーザが過去に前記商品を購入した実績の有無を判定する判定ステップと、
前記判定ステップによる判定結果及び前記満足度に基づいて前記商品の第2価格を算出する価格算出ステップと、
を実行させるためのコンピュータプログラム
であって、
前記コンピュータは、前記商品を購入したユーザのユーザ識別情報を記憶するユーザ情報記憶部を備え、
前記判定ステップは、前記満足度の入力を受け付けたユーザから受信したユーザ識別情報と前記ユーザ情報記憶部に記憶されるユーザ識別情報とに基づいて前記ユーザの前記商品の購入実績の有無を判定し、
前記コンピュータは、前記商品の購入実績有りと判定された購入済ユーザの満足度と、前記商品の購入実績無しと判定された未購入ユーザの満足度とを区別して記憶する満足度情報記憶部をさらに備え、
前記価格算出ステップは、前記購入済ユーザの満足度と前記未購入ユーザの満足度とをそれぞれ異なる算入方法により前記第2価格を算出する、
コンピュータプログラム。
【請求項11】
物品又はサービスである商品の価格を算出する価格算出装置が、ユーザに前記商品の第1価格を提示する価格提示ステップと、
前記価格算出装置が、前記ユーザから前記第1価格に対する満足度の入力を受け付ける満足度受付ステップと、
前記価格算出装置が、前記ユーザが過去に前記商品を購入した実績の有無を判定する判定ステップと、
前記価格算出装置が、前記判定ステップによる判定結果及び前記満足度に基づいて前記商品の第2価格を算出する価格算出ステップと、
を含む価格算出方法
であって、
前記価格算出装置は、前記商品を購入したユーザのユーザ識別情報を記憶するユーザ情報記憶部を備え、
前記判定ステップは、前記満足度の入力を受け付けたユーザから受信したユーザ識別情報と前記ユーザ情報記憶部に記憶されるユーザ識別情報とに基づいて前記ユーザの前記商品の購入実績の有無を判定し、
前記価格算出装置は、前記商品の購入実績有りと判定された購入済ユーザの満足度と、前記商品の購入実績無しと判定された未購入ユーザの満足度とを区別して記憶する満足度情報記憶部をさらに備え、
前記価格算出ステップは、前記購入済ユーザの満足度と前記未購入ユーザの満足度とをそれぞれ異なる算入方法により前記第2価格を算出する、
価格算出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、価格算出装置、コンピュータプログラム及び価格算出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1には、商品価格の条件に基づいて商品が提供された消費者の商品についての満足度を測定し、商品価格の条件と測定された満足度に基づいて商品の料金を算出して提示する料金提示装置の技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上述した従来技術では、商品価格の条件に基づいて商品が提供された消費者の商品についての満足度は商品の料金の算出に反映されるが、商品が未提供である消費者についてはその商品価格の条件に対する満足度が反映されない。
【0005】
本発明は、このような事情を考慮してなされたものであり、その目的は、ユーザの商品購入実績の有無を区別して商品についてのユーザの満足度を商品の価格の算出に反映させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本発明の一態様は、物品又はサービスである商品の価格を算出する価格算出装置において、ユーザに前記商品の第1価格を提示する第1価格提示部と、前記ユーザから前記第1価格に対する満足度の入力を受け付ける満足度受付部と、前記ユーザが過去に前記商品を購入した実績の有無を判定する判定部と、前記判定部による判定結果及び前記満足度に基づいて前記商品の第2価格を算出する価格算出部と、前記商品を購入したユーザのユーザ識別情報を記憶するユーザ情報記憶部と、を備え、前記判定部は、前記満足度の入力を受け付けたユーザから受信したユーザ識別情報と前記ユーザ情報記憶部に記憶されるユーザ識別情報とに基づいて前記ユーザの前記商品の購入実績の有無を判定し、前記価格算出装置は、前記商品の購入実績有りと判定された購入済ユーザの満足度と、前記商品の購入実績無しと判定された未購入ユーザの満足度とを区別して記憶する満足度情報記憶部をさらに備え、前記価格算出部は、前記購入済ユーザの満足度と前記未購入ユーザの満足度とをそれぞれ異なる算入方法により前記第2価格を算出する、価格算出装置である。
(2)本発明の一態様は、前記価格算出部は、前記購入済ユーザの満足度又は前記未購入ユーザの満足度のいずれか一方のみを使用して前記第2価格を算出する、上記(1)の価格算出装置である。
(3)本発明の一態様は、前記満足度受付部は、前記商品の購入タイミングに前記満足度の入力を受け付ける、上記(1)又は(2)のいずれかの価格算出装置である。
(4)本発明の一態様は、前記満足度受付部は、前記商品の提供前まで前記満足度の入力を受け付ける、上記(1)又は(2)のいずれかの価格算出装置である。
(5)本発明の一態様は、前記満足度受付部は、前記商品の競合価格を提示し、前記満足度の入力を受け付ける、上記(1)から(4)のいずれかの価格算出装置である。
(6)本発明の一態様は、前記満足度受付部は、前記商品の時系列の価格変動情報を提示し、前記満足度の入力を受け付ける、上記(1)から(5)のいずれかの価格算出装置である。
(7)本発明の一態様は、前記第2価格に算入された前記購入済ユーザの満足度と前記未購入ユーザの満足度とを前記第2価格と共に提示する第2価格提示部をさらに備える、上記(1)から(6)のいずれかの価格算出装置である。
(8)本発明の一態様は、前記商品の需要と供給の状況を示す需要供給情報を記憶する需要供給情報記憶部をさらに備え、前記価格算出部は、前記商品の需要と供給の状況に基づいて集計された前記満足度に基づいて前記商品の第2価格を算出する、上記(1)から(7)のいずれかの価格算出装置である。
(9)本発明の一態様は、前記満足度受付部は、前記商品の提供前の前記第1価格に対する提供前満足度と前記商品の提供後の前記第2価格に対する提供後満足度との入力を受け付け、前記価格算出部は、前記提供前満足度と前記提供後満足度との比較結果に基づいて前記商品の第3価格を算出する、上記(1)から(8)のいずれかの価格算出装置である。
【0007】
(10)本発明の一態様は、コンピュータに、ユーザに物品又はサービスである商品の第1価格を提示する価格提示ステップと、前記ユーザから前記第1価格に対する満足度の入力を受け付ける満足度受付ステップと、前記ユーザが過去に前記商品を購入した実績の有無を判定する判定ステップと、前記判定ステップによる判定結果及び前記満足度に基づいて前記商品の第2価格を算出する価格算出ステップと、を実行させるためのコンピュータプログラムであって、前記コンピュータは、前記商品を購入したユーザのユーザ識別情報を記憶するユーザ情報記憶部を備え、前記判定ステップは、前記満足度の入力を受け付けたユーザから受信したユーザ識別情報と前記ユーザ情報記憶部に記憶されるユーザ識別情報とに基づいて前記ユーザの前記商品の購入実績の有無を判定し、前記コンピュータは、前記商品の購入実績有りと判定された購入済ユーザの満足度と、前記商品の購入実績無しと判定された未購入ユーザの満足度とを区別して記憶する満足度情報記憶部をさらに備え、前記価格算出ステップは、前記購入済ユーザの満足度と前記未購入ユーザの満足度とをそれぞれ異なる算入方法により前記第2価格を算出する、コンピュータプログラムである。
【0008】
(11)本発明の一態様は、物品又はサービスである商品の価格を算出する価格算出装置が、ユーザに前記商品の第1価格を提示する価格提示ステップと、前記価格算出装置が、前記ユーザから前記第1価格に対する満足度の入力を受け付ける満足度受付ステップと、前記価格算出装置が、前記ユーザが過去に前記商品を購入した実績の有無を判定する判定ステップと、前記価格算出装置が、前記判定ステップによる判定結果及び前記満足度に基づいて前記商品の第2価格を算出する価格算出ステップと、を含む価格算出方法であって、前記価格算出装置は、前記商品を購入したユーザのユーザ識別情報を記憶するユーザ情報記憶部を備え、前記判定ステップは、前記満足度の入力を受け付けたユーザから受信したユーザ識別情報と前記ユーザ情報記憶部に記憶されるユーザ識別情報とに基づいて前記ユーザの前記商品の購入実績の有無を判定し、前記価格算出装置は、前記商品の購入実績有りと判定された購入済ユーザの満足度と、前記商品の購入実績無しと判定された未購入ユーザの満足度とを区別して記憶する満足度情報記憶部をさらに備え、前記価格算出ステップは、前記購入済ユーザの満足度と前記未購入ユーザの満足度とをそれぞれ異なる算入方法により前記第2価格を算出する、価格算出方法である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ユーザの商品購入実績の有無を区別して商品についてのユーザの満足度を商品の価格の算出に反映させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】一実施形態に係る価格提示システムの構成例を示すブロック図である。
【
図2】一実施形態に係る価格算出装置の構成例を示すブロック図である。
【
図3】一実施形態に係る同じ商品の需要供給状況の例を示す図表である。
【
図4】一実施形態に係る価格算出方法の手順の例を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照し、本発明の実施形態について説明する。
図1は、一実施形態に係る価格提示システムの構成例を示すブロック図である。
図1に示される価格提示システム1において、価格算出装置3は、通信ネットワークを介してユーザ端末5及び提供者端末7と通信を行う。ユーザ端末5は、価格提示サービスのユーザの通信端末である。提供者端末7は、代価をもらって商品を提供する提供者の通信端末である。商品は、物品又はサービスである。
【0012】
価格算出装置3は、商品の価格を算出する装置である。
図2を参照して、本実施形態に係る価格算出装置3を説明する。
図2は、本実施形態に係る価格算出装置の構成例を示すブロック図である。
図2において、価格算出装置3は、第1価格提示部31と、満足度受付部32と、判定部33と、価格算出部34と、第2価格提示部35と、購入受付部36と、記憶部100とを備える。記憶部100は、各種の情報を記憶する。記憶部100は、ユーザ情報101と、商品情報102と、満足度情報103と、需要供給情報104とを記憶する。
【0013】
価格算出装置3の各機能は、価格算出装置3がCPU(Central Processing Unit:中央演算処理装置)及びメモリ等のコンピュータハードウェアを備え、CPUがメモリに格納されたコンピュータプログラムを実行することにより実現される。なお、価格算出装置3として、汎用のコンピュータ装置を使用して構成してもよく、又は、専用のハードウェア装置として構成してもよい。例えば、価格算出装置3は、インターネット等の通信ネットワークに接続されるサーバコンピュータを使用して構成されてもよい。また、価格算出装置3の各機能はクラウドコンピューティングにより実現されてもよい。また、価格算出装置3として、例えばWWWシステム等を利用してウェブサイトを開設するように構成してもよい。
【0014】
第1価格提示部31は、ユーザに商品の第1価格を提示する。第1価格提示部31は、商品の第1価格を示す情報をユーザ端末5へ送信する。第1価格は、第1価格を提示する時点における商品の予定の価格である。第1価格は、例えば、市場の価格に基づいたものであってもよく、又は、商品の提供者が希望する価格であってもよい。
【0015】
満足度受付部32は、ユーザから第1価格に対する満足度の入力を受け付ける。満足度は、例えば、多段階で表される。例えば、満足度は、5段階「5:大変満足である」、「4:まあまあ満足である」、「3:普通である」、「2:少し不満足である」及び「1:大変不満足である」で表される。満足度受付部32は、ユーザ端末5から、第1価格に対する満足度を示す情報を受信する。
【0016】
ここで、ユーザから第1価格に対する満足度の入力を受け付ける方法(満足度入力受付方法)の例を説明する。
【0017】
(満足度入力受付方法の例1)
満足度受付部32は、商品の購入タイミングに第1価格に対する満足度の入力を受け付ける。商品の購入タイミングは、ユーザが商品の購入を申し込むタイミングであって、代金が決済されるタイミングとは同じであってよく又は異なっていてもよい。満足度入力受付方法の例1によれば、商品を購入する意思があるユーザ(商品の購入に積極的なユーザ)をターゲットにして第1価格に対する満足度の入力を受け付けることができる。逆に、それほど商品を購入する意思がないユーザ(商品の購入に消極的なユーザ)からの第1価格に対する満足度の入力を避けることができる。これにより、第1価格に対する満足度の収集データとして、商品の購入に積極的なユーザについてのデータとして精度を高めることができる。
【0018】
(満足度入力受付方法の例2)
満足度受付部32は、商品の提供前まで、第1価格に対する満足度の入力を受け付ける。商品の提供前までとは、ユーザが商品の購入した後に、当該商品を実際にユーザに提供するまでのことを言う。商品の提供前までとは、例えば、商品(物品)を発送する日時までであってもよく、又は、商品(サービス)が利用される日時までであってもよい。満足度入力受付方法の例2によれば、商品の購入実績が無いユーザから、当該商品を利用する前に、第1価格に対する満足度を取得することができる。これにより、商品の購入実績が無いユーザから、商品を利用した結果の評価に依存しない、単に第1価格に対する満足度を取得することができる。
【0019】
(満足度入力受付方法の例3)
満足度受付部32は、商品の競合価格を提示し、第1価格に対する満足度の入力を受け付ける。競合価格は、同様の商品の市場の価格である。満足度入力受付方法の例3によれば、ユーザが市場の価格を踏まえた上で第1価格の評価を行うことができる。これにより、市場の価格に基づいた「第1価格に対する満足度」を取得することができる。
【0020】
(満足度入力受付方法の例4)
満足度受付部32は、商品の時系列の価格変動情報を提示し、第1価格に対する満足度の入力を受け付ける。価格変動情報は、時系列に沿った価格の情報であって、同様の商品の市場の価格について価格変動を示す価格変動情報や価格変動の範囲を示す価格変動範囲情報などである。満足度入力受付方法の例4によれば、ユーザが市場の価格変動の状況を踏まえた上で第1価格の評価を行うことができる。これにより、市場の価格変動の状況に基づいた「第1価格に対する満足度」を取得することができる。
【0021】
以上が本実施形態に係る満足度入力受付方法の例の説明である。
【0022】
説明を
図2に戻す。
判定部33は、ユーザが過去に商品を購入した実績(商品購入実績)の有無を判定する。各ユーザがどの商品を購入したかを示す商品購入実績情報は、ユーザ情報101に格納されている。商品購入実績情報は、ユーザが購入した商品を示す情報(例えば商品名など)や購入日時などを含む情報である。
【0023】
ユーザ情報101は、ユーザの識別情報(ユーザID)及び商品購入実績情報などを含む情報である。
【0024】
判定部33は、第1価格に対する満足度の入力を受け付けたユーザから受信したユーザIDとユーザ情報101に記憶されるユーザIDとに基づいて、当該ユーザの商品の購入実績の有無を判定する。具体的には、ユーザ情報101において、ユーザから受信したユーザIDに該当する商品購入実績情報の中に、第1価格の対象の商品が有る場合に商品購入実績有りと判定し、第1価格の対象の商品が無い場合に商品購入実績無しと判定する。
【0025】
価格算出部34は、判定部33による商品購入実績の有無の判定結果及び第1価格に対する満足度に基づいて、商品の第2価格を算出する。第2価格の算出結果は、商品情報102に含められる。
【0026】
商品情報102は、各商品の商品名、商品の内容及び価格情報(第1価格、第2価格の算出結果等)などを含む情報である。
【0027】
第2価格提示部35は、商品の第2価格を提供者やユーザに提示する。第2価格提示部35は、商品の第2価格を示す情報を提供者端末7やユーザ端末5へ送信する。
【0028】
購入受付部36は、ユーザから商品の購入申し込みを受け付ける。購入受付部36は、ユーザ端末5から、商品の購入申し込みを示す情報を受信する。
【0029】
ここで、商品の第2価格の算出方法(第2価格算出方法)の例を説明する。
【0030】
(第2価格算出方法の例1)
価格算出部34は、満足度情報103に基づいて、商品の第2価格を算出する。満足度情報103は、満足度受付部32により受付けられた商品の第1価格に対する満足度であって、商品の購入実績有りと判定されたユーザ(以下、購入済ユーザと称する)の満足度と、商品の購入実績無しと判定されたユーザ(以下、未購入ユーザと称する)の満足度とが区別された情報である。価格算出部34は、購入済ユーザの満足度と未購入ユーザの満足度とをそれぞれ異なる算入方法により第2価格を算出する。
【0031】
購入済ユーザの満足度は、実際に商品を利用して判断した商品の価値に基づいた満足度であると考えられる。一方、未購入ユーザの満足度は、まだ商品を利用していないので、第1価格と市場の価格との比較を主な判断の根拠にした満足度であると考えられる。例えば、未購入ユーザの満足度に比して購入済ユーザの満足度の方が高い場合、購入済ユーザの満足度には、未購入ユーザには分からない付加価値が反映されていると考えられる。このため、購入済ユーザの満足度と未購入ユーザの満足度とでは、第2価格の算出において扱いを変えることが好ましい。
【0032】
例えば、価格算出部34は、購入済ユーザの満足度と未購入ユーザの満足度とでそれぞれ異なる重み係数を適用して第2価格を算出してもよい。重み係数は、予め固定値が設定されてもよく、又は、購入済ユーザの満足度と未購入ユーザの満足度とに応じて決定されてもよい。
【0033】
例えば、価格算出部34は、未購入ユーザの満足度に比して購入済ユーザの満足度の方が一定以上高い場合、例えば5段階の満足度において3段階以上高い場合、購入済ユーザの満足度を低く扱うように、購入済ユーザの満足度の重み係数と未購入ユーザの満足度の重み係数とを決定する。これにより、第2価格が第1価格に比して突飛な価格として算出されることを回避するようにする。
【0034】
例えば、購入済ユーザの満足度よりも未購入ユーザの満足度を高く扱うように、又は、未購入ユーザの満足度よりも購入済ユーザの満足度を高く扱うように、予め、重み係数が固定値として設定されてもよい。これにより、商品施策のターゲットとするユーザ(例えば、初めて商品を購入するユーザ)の満足度を優先的に第2価格に反映させることができる。
【0035】
また、重み係数は、購入済ユーザ及び未購入ユーザの各割合に応じて決定されてもよい。満足度情報103には、満足度を入力した購入済ユーザの数と未購入ユーザの数とを含める。価格算出部34は、満足度を入力した購入済ユーザの数と未購入ユーザの数とに基づいて、購入済ユーザの満足度の重み係数と未購入ユーザの満足度の重み係数とを決定する。例えば、購入済ユーザと未購入ユーザとのうち割合が多い方のユーザの満足度を高く扱うように、購入済ユーザの満足度の重み係数と未購入ユーザの満足度の重み係数とを決定してもよい。
【0036】
(第2価格算出方法の例2)
価格算出部34は、満足度情報103に基づいて、購入済ユーザの満足度又は未購入ユーザの満足度のいずれか一方のみを使用して第2価格を算出する。例えば、価格算出装置3は、ホテルの宿泊代金(ルームチャージ)について第2価格を算出する場合、同じ部屋タイプの第2価格として、購入済ユーザの満足度のみを使用して算出する第2価格(購入済ユーザ)と、未購入ユーザの満足度のみを使用して算出する第2価格(未購入ユーザ)とをそれぞれ算出する。第2価格(購入済ユーザ)と第2価格(未購入ユーザ)とは、それぞれに、購入済ユーザ(お得意様)の満足度のみに基づいた第2価格(購入済ユーザ)であること、未購入ユーザ(はじめてのお客様)の満足度のみに基づいた第2価格(未購入ユーザ)であることが明示されて、提供者やユーザに提示される。
【0037】
(第2価格算出方法の例3)
価格算出部34は、商品の需要と供給の状況に基づいて集計された第1価格に対する満足度に基づいて第2価格を算出する。需要供給情報104は、各商品の需要と供給の状況を示す情報である。例えば、需要供給情報104は、商品の提供可能数、商品の提供可能数に対する予約率、購入日から提供日までに要する商品待ちの日数、競合価格などの情報である。
【0038】
価格算出部34は、需要供給情報104で示される商品の需要と供給の状況(需要供給状況)に基づいて、同じ需要供給状況下でユーザから入力された当該商品の第1価格に対する満足度を集計する。価格算出部34は、需要供給状況毎に、集計結果の満足度に基づいて第2価格を算出する。
【0039】
第1価格に対する満足度は、その入力時点における需要供給状況に左右される可能性がある。
図3は、同じ商品の需要供給状況の例を示す図表である。
図3において、ユーザa,b,c,dは同じ購入日であるので購入時の需要供給状況は同じであるが、購入実績の有無の違いによって第1価格に対する満足度が異なっている。このため、購入実績有りのユーザa,cと購入実績無しのユーザb,dとを区別して集計した満足度を、それぞれ第2価格の算出に使用することは好ましい。
【0040】
一方、ユーザa及びユーザeは購入実績有りのユーザであるが、それぞれ購入日が異なり、各購入日における需要供給状況(購入時の提供可能数や購入時の競合価格等)が異なっている。このため、購入実績有りのユーザa,eであっても、需要供給状況毎に満足度の集計グループを設け、ユーザaとユーザeとを別個の集計グループにして集計した満足度を、それぞれ第2価格の算出に使用することは好ましい。
第2価格算出方法の例3によれば、第1価格に対する満足度が入力された時点の需要供給状況を第2価格に反映させることができる。
【0041】
以上が本実施形態に係る第2価格算出方法の例の説明である。
【0042】
なお、第2価格提示部35は、第2価格に算入された購入済ユーザの満足度と未購入ユーザの満足度とを第2価格と共に提示してもよい。第2価格提示部35は、商品の第2価格と、第2価格に算入された購入済ユーザの満足度及び未購入ユーザの満足度とを示す情報を提供者端末7やユーザ端末5へ送信する。これにより、例えば、提供者は、ある第2価格に対して、購入済ユーザ(お得意様)と未購入ユーザ(はじめてのお客様)とを区別してそれぞれの第1価格に対する満足度を認識することができる。これは、第1価格についての分析に活用することができる。
【0043】
また、満足度受付部32は、商品の提供前の第1価格に対する満足度(以下、提供前満足度と称する)と商品の提供後の第2価格に対する満足度(以下、提供後満足度と称する)との入力を受け付けてもよい。価格算出部34は、提供前満足度と提供後満足度との比較結果に基づいて商品の第3価格を算出してもよい。第3価格の算出結果は、商品情報102に含められる。第2価格提示部35は、商品の第3価格を提供者やユーザに提示してもよい。第2価格提示部35は、商品の第3価格を示す情報を提供者端末7やユーザ端末5へ送信する。
【0044】
購入済ユーザは、実際に商品を利用して判断した商品の価値を踏まえた上で価格に対する満足度を評価していると考えられるので、商品の提供前後で価格に対する満足度に大きな変化がないと想定することができる。一方、未購入ユーザは、商品の提供前における商品への期待と、商品の提供後における実際に利用した商品の価値との間で乖離が発生する場合があるので、商品の提供前後で価格に対する満足度に大きな変化が現れる可能性があると想定することができる。このため、提供前満足度と提供後満足度とを区別して商品の第3価格を算出することは好ましい。また、提供前満足度と提供後満足度とを区別するユーザを未購入ユーザのみに限定してもよい。
【0045】
また、価格算出装置3は、第2価格を実際の価格として決定して提示してもよい。例えば、第2価格が電子商取引の価格に設定されてもよい。
また、価格算出装置3は、ユーザに価格を提示する際に、満足度の変化の状況を価格と共に提示してもよい。満足度の変化の状況は、例えば、「満足度が上昇している」、「満足度が横這いである」、「満足度が下降している」などである。ユーザに対して満足度の変化の状況を価格と共に提示することにより、提示した価格に対するユーザの理解が得られやすいという効果を奏する。例えば、提示された価格が以前の価格よりも上がっていても、満足度が上昇していることがユーザに認識されたならば、その価格の上昇についてもユーザの理解が得られやすい。
【0046】
次に
図4を参照して、本実施形態に係る価格算出方法を説明する。
図4は、本実施形態に係る価格算出方法の手順の例を示すシーケンス図である。
【0047】
(ステップS1) 価格算出装置3は、ある商品(以下、商品Xと称する)の商品情報(商品の商品名及び内容)と第1価格を示す第1価格情報とをユーザAのユーザ端末5へ送信する。ユーザAは、ユーザ端末5が受信した商品情報及び第1価格情報によって、商品Xの商品名及び内容と当該商品Xの第1価格とを認識する。
【0048】
(ステップS2) 価格算出装置3は、ユーザAのユーザ端末5に対して、商品Xの第1価格に対する満足度の入力を依頼する満足度入力依頼を行う。
【0049】
(ステップS3) ユーザAは、ユーザ端末5により商品Xの第1価格に対する満足度を入力する。価格算出装置3は、ユーザAのユーザ端末5から、商品Xの第1価格に対する満足度を示す情報を受信する。
【0050】
(ステップS4) ユーザAは、ユーザ端末5により商品Xの購入を申し込む。価格算出装置3は、ユーザAのユーザ端末5から、商品Xの購入申し込みを示す情報及びユーザIDを受信する。
【0051】
上記したステップS1からステップS4までは、複数のユーザに対して実行される。
【0052】
(ステップS5) 価格算出装置3は、上記したステップS1からステップS4までにより各ユーザから収集された商品Xの第1価格に対する満足度と、当該各ユーザの商品Xの購入実績の有無の判定結果とに基づいて、商品Xの第2価格を算出する。価格算出装置3は、商品Xの第2価格の算出結果を保持する。
【0053】
(ステップS6) 価格算出装置3は、商品Xの商品情報(商品の商品名及び内容)と上記ステップS5で算出された商品Xの第2価格を示す第2価格情報とをユーザBのユーザ端末5へ送信する。ユーザBは、ユーザ端末5が受信した商品情報及び第2価格情報によって、商品Xの商品名及び内容と当該商品Xの第2価格とを認識する。
【0054】
なお、商品Xの第2価格は、商品Xの提供者に提示されてもよい。
価格算出装置3は、商品Xの第2価格を示す第2価格情報を商品Xの提供者の提供者端末7へ送信する。
【0055】
本実施形態によれば、ユーザの商品購入実績の有無を区別して商品についてのユーザの満足度を商品の価格の算出に反映させることができる。
【0056】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
【0057】
また、上述した各装置の機能を実現するためのコンピュータプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行するようにしてもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものであってもよい。
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、フラッシュメモリ等の書き込み可能な不揮発性メモリ、DVD(Digital Versatile Disc)等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。
【0058】
さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(例えばDRAM(Dynamic Random Access Memory))のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。
また、上記プログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。
また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良い。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であっても良い。
【符号の説明】
【0059】
1…価格提示システム、3…価格算出装置、5…ユーザ端末、7…提供者端末、31…第1価格提示部、32…満足度受付部、33…判定部、34…価格算出部、35…第2価格提示部、36…購入受付部、100…記憶部