(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-11
(45)【発行日】2023-01-19
(54)【発明の名称】含フッ素スルフィド化合物の製造方法
(51)【国際特許分類】
C07C 319/20 20060101AFI20230112BHJP
C07C 323/03 20060101ALI20230112BHJP
C07B 61/00 20060101ALN20230112BHJP
【FI】
C07C319/20
C07C323/03
C07B61/00 300
(21)【出願番号】P 2020511063
(86)(22)【出願日】2019-03-29
(86)【国際出願番号】 JP2019013915
(87)【国際公開番号】W WO2019189716
(87)【国際公開日】2019-10-03
【審査請求日】2021-09-21
(31)【優先権主張番号】P 2018069465
(32)【優先日】2018-03-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000157119
【氏名又は名称】関東電化工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100120112
【氏名又は名称】中西 基晴
(74)【代理人】
【識別番号】100120754
【氏名又は名称】松田 豊治
(72)【発明者】
【氏名】柏倉 亘
(72)【発明者】
【氏名】池谷 慶彦
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 湧貴
【審査官】神野 将志
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第06316636(US,B1)
【文献】東ドイツ国経済特許第274820(DD,A1)
【文献】特表2001-514645(JP,A)
【文献】特開2009-167187(JP,A)
【文献】TRUCE,WILLIAM E.,Chlorination of dimethyl sulfide and some of its derivatives with sulfuryl chloride and thionyl chlo,JOURNAL OF THE AMERICAN CHEMICAL SOCIETY,1952年,74,3594-3599
【文献】SAINT-JALMES,LAURENT,Selective aliphatic fluorination by halogen exchange in mild conditions,JOURNAL OF FLUORINE CHEMISTRY,2006年,127,85-90
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
CH
3
-S-CCl
3
で表される含塩素スルフィド化合物とフッ素化剤とを反応させることを含む、
CH
3
-S-CF
3
で表される含フッ素スルフィド化合物の製造方法であって、
前記反応を活性炭に担持されている金属フッ化物触媒、活性炭に担持されている金属塩化物触媒、及び活性炭に担持されている金属触媒からなる群から選ばれる少なくとも1種の存在下で行う、方法。
【請求項2】
前記フッ素化剤がフッ化水素である、請求項
1に記載の含フッ素スルフィド化合物の製造方法。
【請求項3】
前記活性炭に担持されている金属フッ化物触媒、活性炭に担持されている金属塩化物触媒、及び活性炭に担持されている金属触媒からなる群から選ばれる少なくとも1種がCrF
3/Cである、請求項
2に記載の含フッ素スルフィド化合物の製造方法。
【請求項4】
前記含塩素スルフィド化合物に対してフッ素化剤が物質量比で1.0~20.0当量使用される、請求項
1~3のいずれか1項に記載の含フッ素スルフィド化合物の製造方法。
【請求項5】
前記反応が50~350℃の温度で行われる、請求項
1~4のいずれか1項に記載の含フッ素スルフィド化合物の製造方法。
【請求項6】
前記含塩素スルフィド化合物と前記フッ素化剤とを気化させて反応器に供給する、請求項
1~5のいずれか1項に記載の含フッ素スルフィド化合物の製造方法。
【請求項7】
前記活性炭に担持されている金属フッ化物触媒、活性炭に担持されている金属塩化物触媒、及び活性炭に担持されている金属触媒からなる群から選ばれる少なくとも1種が、活性炭に担持されている、フッ化クロム、フッ化ニッケル、フッ化銅、フッ化銀、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、フッ化セシウム、塩化クロム、塩化ニッケル、クロム、銅、亜鉛、銀、マグネシウム、チタンからなる群から選ばれる少なくとも1種である、請求項
1~2及び4~6のいずれか1項に記載の含フッ素スルフィド化合物の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、含フッ素スルフィド化合物の新規な製造方法に関する。本発明の方法により得られる含フッ素スルフィド化合物(含フッ素チオエーテルともいう)は、特殊半導体用途向けのガスとして、また、農薬、電解液等に利用されるスルホン化合物へ誘導可能な中間体として有用である。
【背景技術】
【0002】
含フッ素チオエーテルは、例えば特許文献1に見られるように、半導体用途向けドライエッチングガスとして有用である。また、特許文献2に示されるようなトリフルオロメチルチオ基は、医農薬化合物に見られる有用な置換基である。また、特許文献3では含フッ素チオエーテルは電解液に好適に使用されるスルホン化合物へ誘導可能な中間体でもある。
【0003】
これら含フッ素チオエーテルの合成法としては従来、特許文献2に示されるようなチオホスゲンを用いた反応や特許文献3に記載のチオール類とオレフィンとの付加反応などが知られており、近年ではトリフルオロメチルチオ基を導入する試薬も活発に研究開発がなされている。チオホスゲンやチオールなどの硫黄化合物は強い毒性、悪臭が酷いといった問題やトリフルオロメチルチオ基導入試薬は高価である為、工業化が難しいといった課題がある。
【0004】
ハロゲン交換を用いた含フッ素チオエーテルの合成法は、芳香族スルフィドを合成する例に限ると数多くの報告例がある。例えば、特許文献4に見られるように、2-(トリクロロメチルチオ)ビフェニルをフッ素化剤と反応させると、2-(トリフルオロメチルチオ)ビフェニルが合成できる。また、非特許文献1では、4-(トリフルオロメチルチオ)アニリンを合成する工程において、トリクロロメチルチオ基を三フッ化アンチモンを用いてトリフルオロメチルチオ基へ変換している。
【0005】
脂肪族スルフィドのハロゲン交換反応による含フッ素チオエーテルの合成例としては、非特許文献2に示されているようなフッ素化剤((HF)10-Pyridine)を用いてトリクロロメチルチオ基をトリフルオロメチルチオ基へと変換する例があるが、この例は、フッ素化剤を15当量以上必要とすることやフッ素化剤を合成する為にHFと有機塩基化合物を混合して調合する必要があり製造工程数が増える、有機塩基化合物が廃棄物となる、などの問題を抱えている。
【0006】
鎖状硫黄化合物を金属フッ化物を用いてトリフルオロメチルチオ基へ変換する方法について、非特許文献3ではビス-(トリクロロメチル)ジスルフィドをフッ化カリウムを用いてハロゲン交換反応を行っている。金属フッ化物を用いたハロゲン交換反応では、金属フッ化物が化学量論量以上必要としており、反応後には副生物として金属塩化物などが溶媒とのスラリーとして生じる。また、金属フッ化物は用いる粒径や形状、水分の含有量によって反応性が大きく変わるために、工業的に原料として用いることも難しい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特許第3109253号公報
【文献】再公表WO2016/076183号
【文献】特開2012-87092号公報
【文献】特開平11-49742号公報
【非特許文献】
【0008】
【文献】Asian Journal of Chemistry (2017),29(1), 91-93.
【文献】Journal of Fluorine Chemistry (2006), (127), 85-90.
【文献】Synthesis (1972), (6), 310.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、含フッ素スルフィド化合物、特に水素及びフッ素を含有したスルフィド化合物を、簡便に低コスト且つ工業的に製造する方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は以下のものを提供する。
[1]
下記式(1):
【0011】
【化1】
(式中、A
1及びA
2は、独立して、炭素数1~3の置換されていてもよい炭化水素基であり、n及びmはA
1及びA
2に結合している塩素原子の数を表し、n+m=1~13を満たす。)
で表される含塩素スルフィド化合物とフッ素化剤とを反応させることを含む、
下記式(2):
【0012】
【化2】
(式中、A
3及びA
4は、独立して、炭素数1~3の置換されていてもよい炭化水素基であり、n及びmはA
3及びA
4に結合しているフッ素原子の数を表し、n+m=1~13を満たす。)
で表される含フッ素スルフィド化合物の製造方法。
[2]
前記式(1)で表される含塩素スルフィド化合物が、下記式(3):
【0013】
【化3】
(式中、A
1は炭素数1~3の置換されていてもよい炭化水素基であり、Xは塩素原子もしくはフッ素原子であり、nはA
1に結合している塩素原子の数を表し、0~6であり、ただし、nが0であるとき、少なくとも1つのXは塩素原子である。)
で表され、
前記式(2)で表される含フッ素スルフィド化合物が、下記式(4):
【化4】
(式中、A
1は炭素数1~3の置換されていてもよい炭化水素基であり、nはA
1に結合しているフッ素原子の数を表し、0~6である。)
で表される、[1]に記載の含フッ素スルフィド化合物の製造方法。
[3]
前記反応を金属触媒の存在下で行う、[1]又は[2]に記載の含フッ素スルフィド化合物の製造方法。
[4]
前記金属触媒が活性炭に担持されている、[1]~[3]のいずれか1項に記載の含フッ素スルフィド化合物の製造方法。
[5]
前記反応が50~350℃の温度で行われる、[1]~[4]のいずれか1項に記載の含フッ素スルフィド化合物の製造方法。
[6]
前記含塩素スルフィド化合物と前記フッ素化剤とを気化させて反応器に供給する、[1]~[5]のいずれか1項に記載の含フッ素スルフィド化合物の製造方法。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、含フッ素スルフィド化合物、特に水素及びフッ素を含有したスルフィド化合物を、簡便に低コスト且つ工業的に製造できる。特に本発明の方法は、式(1)で表される含塩素スルフィド化合物とフッ素化剤とを混合することで行うことができ、生成物における式(2)で表される含フッ素スルフィド化合物の選択率も高い。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】実施例で使用した含フッ素スルフィド化合物の製造装置の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(作用)
本発明は、前記式(1)で表される含塩素スルフィド化合物とフッ素化剤とを反応させることを含む、前記式(2)で表される含フッ素スルフィド化合物の製造方法である。本発明の方法は、フッ素化剤により式(1)の化合物中の塩素原子がフッ素原子に置換されて式(2)の化合物が選択的に得られる。これまでのところ、前記式(1)で表される含塩素スルフィド化合物の塩素原子をフッ素化剤によりフッ素原子に置換した例は報告されておらず、本発明ではさらに式(2)の化合物が高選択率で得られるので、新規且つ有用な発明である。
【0017】
(出発原料)
式(1)において、A1及びA2は、独立して、炭素数1~3の置換されていてもよい炭化水素基であり、n及びmはこれら炭化水素基に結合している塩素原子の数を特定している。n+m=1~13を満たすので、nとmの両方が0になることはなく、また、A1及びA2の全ての置換基が塩素原子となることもない。
【0018】
炭素数1~3の置換されていてもよい炭化水素基としては、例えば、炭素数1~3の置換されていてもよいアルキル基、炭素数2~3の置換されていてもよいアルケニル基、炭素数1~3の置換されていてもよいアルキルエーテル基、炭素数1~3の置換されていてもよいアルキルエステル基などが挙げられる。炭素数1~3の置換されていてもよいアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、これらアルキル基の水素原子の一部が、フッ素、塩素、臭素又はヨウ素などの置換基で置換された基が挙げられる。炭素数2~3の置換されていてもよいアルケニル基としては、例えば、ビニル基、アリル基、これらアルケニル基の水素原子の一部が、フッ素、塩素、臭素又はヨウ素などの置換基で置換された基が挙げられる。式(1)において塩素原子の数のみ明記しているが、置換基の種類としては、ハロゲン原子の他に、水酸基、などが挙げられる。
【0019】
式(1)の化合物のさらに好ましい例として、式(3)で表される化合物が挙げられる。A1は炭素数1~3の置換されていてもよい炭化水素基であり、式(1)について説明したとおりである。Xは塩素原子もしくはフッ素原子であり、炭化水素基に結合した塩素原子の数を表するnは0~6である。式(3)の化合物も塩素原子を少なくとも1つ有するので、nが0であるとき、少なくとも1つのXは塩素原子であることが必要である。
【0020】
式(1)の化合物の具体例としては、
CH3-S-CCl3、CH3-S-CHCl2、CH3-S-CH2Cl、CH2Cl-S-CH2Cl、CH2Cl-S-CHCl2、CH2Cl-S-CCl3、CHCl2-S-CCl3、CHCl2-S-CHCl2;
CH3CH2-S-CCl3、CH3CH2-S-CHCl2、CH3CH2-S-CH2Cl;
n-Pr-S-CCl3、n-Pr-S-CHCl2、n-Pr-S-CH2Cl;
i-Pr-S-CCl3、i-Pr-S-CHCl2、i-Pr-S-CH2Cl;
CH3-S-CCl2CCl3、CH3-S-CCl2CHCl2、CH3-S-CCl2CH2Cl;
CH3CH2-S-CCl2CCl3、CH3CH2-S-CCl2CHCl2、CH3CH2-S-CCl2CH2Cl;
n-Pr-S-CCl2CCl3、n-Pr-S-CCl2CHCl2、n-Pr-S-CCl2CH2Cl;
i-Pr-S-CCl2CCl3、i-Pr-S-CCl2CHCl2、i-Pr-S-CCl2CH2Cl;
CH2=CH-S-CCl3
などが挙げられるが、これらに限定されない。ここで、n-Prはノルマルプロピル基、i-Prはイソプロピル基を意味する。
【0021】
(生成物)
反応が進行すると、出発原料の塩素原子がフッ素原子に置換されるので、式(2)において、A3及びA4の炭素数1~3の置換されていてもよい炭化水素基、n及びmは、A1及びA2について説明したとおりである。出発原料が式(3)で表される化合物である場合は、生成物は式(4)で表される化合物となる。式(4)において、A1の炭素数1~3の置換されていてもよい炭化水素基、X及びnは、式(3)について説明したとおりである。生成物の具体例としては、式(1)の化合物の具体例において塩素原子を全てフッ素原子に置換した化合物が挙げられる。
【0022】
(反応条件)
本発明の反応は、無触媒でも、触媒の存在下でも、行うことができるが、より高い選択率を得るために触媒の存在下で行うことが好ましい。触媒としては、当業界においてフッ素化剤とともに用いられる触媒を例示でき、例えば、フッ化クロム、フッ化ニッケル、フッ化銅、フッ化銀、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、フッ化セシウムなどの金属フッ化物;塩化クロム、塩化ニッケルなどの金属塩化物;クロム、銅、亜鉛、銀、マグネシウム、チタンなどの金属触媒などの触媒が挙げられる。触媒は、担体に担持されていてもよく、担体としては、活性炭、アルミナ、ゼオライトなどが挙げられる。触媒の量(担持触媒の場合、担体の量を含む)は、出発原料の量に対して微量でよいが、通常、出発原料の単位時間当たりの流量が、40~500g/hrの場合に30~400g程度の量を反応器に装填する。
【0023】
反応温度は、50~350℃の温度、特に、100~250℃の温度で行うことが望ましい。温度が低すぎると反応が進行せず、高すぎると副生成物が多く生成する。本発明は、50~350℃の温度範囲で行うことができるので、特殊な装置が必要というわけでもなく、反応装置のランニングコストの面でも有利である。
【0024】
出発原料とフッ素化剤は、これら材料の物性に応じて液体状態でも気体状態でも供給することができる。常圧での沸点が100~250℃である材料については、反応温度まで加熱する過程で気化できるので、これらの材料は気体状態で反応させることが有利である。出発原料とフッ素化剤との量比は、出発原料中の塩素を全てフッ素に変換するためのフッ素化剤の理論量を1当量として、出発原料に対してフッ素化剤が物質量比で1当量以上となるように設定し、物質量比で1.0~20.0当量が好ましく、2.0~4.0当量がより好ましい。例えば、フッ素化剤としてフッ化水素(HF)を使用し、出発原料とHFを共に気体として反応させる場合、体積比は当量比と考えることができるので、出発原料中の塩素を全てフッ素に変換するためのフッ素化剤の理論量を1当量として、体積比で1.0~20.0当量が好ましく、2.0~4.0当量がより好ましい。
【実施例】
【0025】
本発明を以下の例により説明するが、本発明の範囲は以下の例に限定されるものではない。
(実施例1)
下記反応式で表される反応を行った。
【0026】
【0027】
図1で示される反応装置に所定量のフッ素化剤(フッ化水素:HF)と出発原料(トリクロロメチルメチルスルフィド:CH
3-S-CCl
3)を後述する調製方法により得た三フッ化クロムの活性炭担持触媒(CrF
3/C)を充填したフッ素化反応器に導入した。出発原料の沸点は常圧で150℃なので、液状の出発原料を反応器手前の蒸発器において300℃のヒーター温度で加熱して気化させた。フッ化水素の沸点は常圧で20℃なので、必要に応じて加熱して気化させた。気体状態の出発原料の流れとフッ素化剤の流れを反応器手前で合流させて反応器に供給した。反応器の外周はマントルヒーターで所定の反応温度に加熱した。反応器出口を出た生成物ガスは、水へ通気(バブリング)させることで酸成分を除去し、モレキュラーシーブ(MS)塔を通過させることにより水分を除去し、粗生成物として回収した。反応器出口・モレキュラーシーブ(MS)塔後のサンプリング箇所から生成ガスの組成を分析した後に粗ガスの捕集を行った。
【0028】
触媒の調整方法
純水<1000g>と塩化クロム(III)・六水和物<500g>を室温でよく混合させ、塩化クロム水溶液を得る。この塩化クロム水溶液と活性炭<900g>を混合して、活性炭に12時間かけて塩化クロムを全量含浸させる。その後、窒素を導入しながら60~80℃で含浸させた活性炭を2日間乾燥させる。その後にN
2を導入しながら200℃まで昇温させて加熱する。乾燥した塩化クロム(III)活性炭<1.3kg>を
図1に示す反応器に入れて、窒素を吹き込みながら300℃で乾燥する(N
2:1~10m
3)。300℃で加熱しながらHFを20~40g/h(10時間かけて1~1.5m
3)で導入する。使用後の触媒は再生処理により再生して再度使用することもできる。
【0029】
生成ガスの分析条件
ガスクロマトグラフィー分析(GC分析) <ガス分析>
カラム:Porapak-Q(3φmm×3m)
カラム温度: 50~200℃(5℃/min)
キャリアガス:He
キャリアガス流量: 50mL/min
注入/検出温度: 200℃
検出器: TCD
GC純度については、ガスクロマトグラフィー分析結果において、目的物(フッ素化物)を示すピーク面積を基準として純度を求めた。
【0030】
実施例1の結果を下記表1に示す。
【0031】
【0032】
表1から、捕集シリンダーに回収した粗生成物中の目的化合物(トリフルオロメチルメチルスルフィド:CH3-S-CF3)の純度は93%(GC換算)であった。
【0033】
実施例1の結果から、反応温度を200℃付近に設定することで目的物のCH3-S-CF3の選択率を高くできることがわかった。