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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-11
(45)【発行日】2023-01-19
(54)【発明の名称】質量流量制御器の受動減衰システム
(51)【国際特許分類】
   G05D 7/06 20060101AFI20230112BHJP
【FI】
G05D7/06 Z
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2020519356
(86)(22)【出願日】2018-10-04
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-12-17
(86)【国際出願番号】 US2018054419
(87)【国際公開番号】W WO2019071010
(87)【国際公開日】2019-04-11
【審査請求日】2021-07-14
(31)【優先権主張番号】62/568,152
(32)【優先日】2017-10-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】16/151,099
(32)【優先日】2018-10-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】591203428
【氏名又は名称】イリノイ トゥール ワークス インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100112357
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 繁樹
(74)【代理人】
【識別番号】100160705
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】トラバーズ シュミット
(72)【発明者】
【氏名】チア ワン
(72)【発明者】
【氏名】ロナルド カイル スミス
(72)【発明者】
【氏名】セドリック アラゴーナ
【審査官】影山 直洋
(56)【参考文献】
【文献】特表2007-506926(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05D 7/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
質量流量制御器であって、
流体を受け取るように構成された入口と、
前記流体が該質量流量制御器を通過する際の流路と、
前記流路を通る前記流体の質量流量に対応する信号を提供するように構成された質量流量センサと、
該質量流量制御器の出口から出る前記流体の流れを制御するように構成された制御弁と、
前記制御弁によってもたらされる流体の流れにより引き起こされる振動を散逸させるように構成された受動減衰システムと
収納部分を有する弁基部と、
を備え
前記受動減衰システムは、前記弁基部の前記収納部分と前記制御弁のダイアフラム裏材との間に減衰パッドを更に備える、
質量流量制御器。
【請求項2】
前記受動減衰システムは、減衰ワッシャーを更に備える、請求項に記載の質量流量制御器。
【請求項3】
前記受動減衰システムは、前記減衰パッドと前記弁基部との間に1つ以上のプランジャボールを更に備える、請求項に記載の質量流量制御器。
【請求項4】
前記1つ以上のプランジャボールは、前記弁基部に連結される、請求項に記載の質量流量制御器。
【請求項5】
前記プランジャボールは、ばね付勢される、請求項に記載の質量流量制御器。
【請求項6】
前記プランジャボールは、ステンレス鋼又は他の金属若しくは合金から作製される、請求項に記載の質量流量制御器。
【請求項7】
前記受動減衰システムは、前記減衰パッドと前記弁基部との間に波形ばねを更に備える、請求項に記載の質量流量制御器。
【請求項8】
質量流量制御器であって、
流体を受け取るように構成された入口と、
前記流体が該質量流量制御器を通過する際の流路と、
前記流路を通る前記流体の質量流量に対応する信号を提供するように構成された質量流量センサと、
該質量流量制御器の出口から出る前記流体の流れを制御するように構成された制御弁と、
固定本体の収納部分と前記制御弁との間にある減衰パッドと、
を備える、質量流量制御器。
【請求項9】
前記減衰パッドは、前記固定本体の収納部分と前記制御弁の裏材プレートとの間にある、請求項に記載の質量流量制御器。
【請求項10】
前記減衰パッドと前記固定本体との間にワッシャーを更に備える、請求項に記載の質量流量制御器。
【請求項11】
前記ワッシャーと前記固定本体との間にばね装置を更に備える、請求項10に記載の質量流量制御器。
【請求項12】
前記減衰パッドは、前記制御弁からおおよそ前記固定本体まで延在する、請求項に記載の質量流量制御器。
【請求項13】
質量流量制御器であって、
流体を受け取るように構成された入口と、
前記流体が該質量流量制御器を通過する際の流路と、
前記流路を通る前記流体の質量流量に対応する信号を提供するように構成された質量流量センサと、
前記質量流量制御器の出口から出る前記流体の流れを制御するように構成された制御弁と、
弁基部の収納部分と前記制御弁との間にあるばね装置と、
を備える、質量流量制御器。
【請求項14】
前記ばね装置は、前記弁基部の前記収納部分とダイアフラム裏材との間にある、請求項13に記載の質量流量制御器。
【請求項15】
前記ばね装置は、1つ以上のプランジャボールを備える、請求項13に記載の質量流量制御器。
【請求項16】
前記ばね装置は、1つ以上の波形ばねを備える、請求項13に記載の質量流量制御器。
【請求項17】
前記ばね装置とダイアフラム裏材との間にワッシャーを更に備える、請求項13に記載の質量流量制御器。
【請求項18】
前記ばね装置とダイアフラム裏材との間に減衰パッドを更に備える、請求項13に記載の質量流量制御器。
【請求項19】
質量流量センサ技術は、熱式の質量流量制御器に用いられる熱センサと、圧力センサ及び流れレストリクタを用いて流れを計算する圧力式の質量流量制御器と、流れ検知用のコリオリ管を用いるコリオリ式の質量流量制御器とからなる、請求項1に記載の質量流量制御器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本願は、「PASSIVE DAMPING SYSTEM FOR MASS FLOW CONTROLLER」と題する2017年10月4日に出願された米国仮特許出願第62/568,152号に対する優先権を主張する。その内容全体が全ての目的で引用することにより本明細書の一部をなす。
【0002】
本開示は、包括的には、質量流量制御器の動作中に発生する非線形アーチファクトに関し、特に、質量流量制御器の動作中に発生する非線形アーチファクトを効率的かつ効果的に減衰させる受動減衰システムに関する。
【背景技術】
【0003】
本明細書に開示の主題は、包括的には、質量流量制御器のシステム及び動作に関し、より詳細には、質量流量制御器が被る振動を受動的に減衰させることに関する。
【0004】
多くの工業プロセスは、様々なプロセス流体の精密な制御を必要とする。例えば、半導体産業では、質量流量計(MFM)を用いて、プロセスチャンバに導入されるプロセス流体の量が精密に測定される。質量流量の測定に加えて、質量流量制御器(MFC)を用いると、プロセスチャンバに導入されるプロセス流体の量が精密に測定及び制御される。流体という用語は、本明細書において用いられる場合、流量の制御が重要となり得る任意のタイプの気体、液体、又は蒸気に当てはまることを理解されたい。
【0005】
単一のMFCの流量は、数立方センチメートル毎分から数百リットル毎分にわたって変化することができ、圧力条件は、大気圧未満から100PSIAまでの範囲とすることができ、気体は、ヘリウムから比較的重い六フッ化硫黄の範囲とすることができる。そのような広範な対照条件は、広い周波数領域(例えば、400Hz~1000Hz)にわたる振動を引き起こす、MFCの弁キャビティにおける流れダイナミクスを生じ得る。これらの周波数のうちの1つ以上において、MFCは、流体がMFCの制御弁を通って流れる際に普遍的な共振振動を被り得る。流体の流れダイナミクスによって起こるこの振動は、流れ励振がMFCシステムの固有周波数に近づくと、MFC全体に伝達される。MFCに印加されるそのような振動は、MFCの制御される流量の正確性を制限する可能性がある。
【発明の概要】
【0006】
本開示は、質量流量制御器の一部と相互作用し、制御器の弁の動作中にもたらされる非線形アーチファクトを減衰させるように構成された受動減衰システムを記載する。
【0007】
1つの態様において、本開示は、質量流量制御器であって、流体を受け取るように構成された入口と、前記流体が該質量流量制御器を通過する際の流路と、前記流路を通る前記流体の質量流量に対応する信号を提供するように構成された質量流量センサと、該質量流量制御器の出口から出る前記流体の流れを制御するように構成された制御弁と、前記制御弁においてもたらされる流体の流れにより引き起こされる振動を散逸させるように構成された受動減衰システムとを備える、質量流量制御器に関する。
【0008】
いくつかの実施形態において、質量流量制御器は、収納部分を有する弁基部を更に備える。これらの実施形態において、前記受動減衰システムは、前記弁基部の前記収納部分と前記制御弁のダイアフラム裏材との間に減衰パッドを更に備える。いくつかの特定の実施形態において、前記受動減衰システムは、減衰ワッシャーを更に備える。いくつかの特定の実施形態において、前記受動減衰システムは、前記減衰パッドと前記弁基部との間に1つ以上のプランジャボールを更に備える。いくつかの特定の実施形態において、前記プランジャボールは、ばね付勢される。いくつかの特定の実施形態において、前記プランジャボールは、ステンレス鋼又は他の金属から作製される。いくつかの特定の実施形態において、前記受動減衰システムは、前記減衰パッドと前記弁基部との間に波形ばねを更に備える。
【0009】
別の態様において、本開示は、質量流量制御器であって、流体を受け取るように構成された入口と、前記流体が該質量流量制御器を通過する際の流路と、前記流路を通る前記流体の質量流量に対応する信号を提供するように構成された質量流量センサと、該質量流量制御器の出口から出る前記流体の流れを制御するように構成された制御弁と、固定本体の収納部分と前記制御弁との間にある減衰パッドとを備える、質量流量制御器に関する。いくつかの実施形態において、前記減衰パッドは、前記固定本体の収納部分と前記制御弁の裏材プレートとの間にある。さらに、前記減衰パッドと前記固定本体との間のワッシャー。いくつかの特定の実施形態において、前記ワッシャーと前記固定本体との間のばね装置。いくつかの特定の実施形態において、前記減衰パッドは、前記制御弁からおおよそ前記固定本体まで延在する。
【0010】
更なる一態様において、本開示は、質量流量制御器であって、流体を受け取るように構成された入口と、前記流体が該質量流量制御器を通過する際の流路と、前記流路を通る前記流体の質量流量に対応する信号を提供するように構成された質量流量センサと、前記質量流量制御器の出口から出る前記流体の流れを制御するように構成された制御弁組立体と、弁基部の収納部分と前記制御弁との間にあるばね装置とを備える、質量流量制御器に関する。いくつかの特定の実施形態において、前記ばね装置は、前記弁基部の前記収納部分とダイアフラム裏材との間にある。いくつかの特定の実施形態において、前記ばね装置は、1つ以上のプランジャボールを備える。いくつかの特定の実施形態において、前記ばね装置は、1つ以上の波形ばねを備える。いくつかの特定の実施形態において、前記ばね装置とダイアフラム裏材との間のワッシャー。いくつかの特定の実施形態において、前記ばね装置とダイアフラム裏材との間の減衰パッド。
【0011】
更なる実施形態、利点、及び新規の特徴が詳細な説明に記載される。
【0012】
本開示の主題の例示的な実施形態を、添付の図面を参照して以下で詳細に説明する。添付の図面は、引用することにより本明細書の一部をなす。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】開示の一実施形態に係る受動減衰システムを備える質量流量制御器を示す図である。
図2】開示の一実施形態に係る図1の受動減衰システムのプランジャボール実施形態を示す図である。
図3】開示の一実施形態に係る図1の受動減衰システムのばね付勢実施形態を示す図である。
図4】一実施形態に係る図1の受動減衰システムのソフトワッシャー実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
開示の実施形態は、質量流量制御器の制御弁において流体の流れダイナミクスにより引き起こされる振動を低減することによって、質量流量制御器の正確性を向上させるシステムを備える。開示の実施形態及びその利点は、図面の図1図4を参照して最もよく理解される。開示の実施形態は、何らかの特定のタイプの質量流量感知技術に制限されないものであり得る。上記質量流量感知技術には、熱センサを用いる熱式の方法、圧力センサ及び流れレストリクタを用いて流れを計算する圧力式の方法、並びにコリオリ式感知方法を含むことができる。開示の実施形態の他の特徴及び利点は、当業者が添付の図面及び以下の詳細な説明を検討すると明らかになるであろう。全てのそのような付加的な特徴及び利点は、開示の実施形態の範囲内に含まれることが意図される。さらに、示される図は例示にすぎず、異なる実施形態が実施される場合がある環境、アーキテクチャ、設計又はプロセスに関するいかなる制限も主張又は暗示することは意図していない。
【0015】
図1は、開示の実施形態に係る熱式質量流量制御器(MFC)100の一例を示しているが、他のタイプの質量流量感知方法を含むことができる。質量流量制御器100は、MFC100の構成要素が取り付けられるプラットフォームであるブロック110を備える。熱式質量流量計140、及び制御弁170を含む弁組立体150が、流体入口120と流体出口130との間でブロック110に取り付けられる。熱式質量流量計140は、通常、流体の大部分が流れるバイパス142と、流体のより少ない部分が流れる熱式流量センサ146とを含む。バイパス142は、様々な既知の流量で質量流量センサを流れる流体とバイパス142を流れる流体との間の適切な関係を求めるように、既知の流体で調整され、それにより、熱式流量センサ出力信号から、流量計を通る総流量を求めることができる。そして、熱式流量センサ146及びバイパス142を制御弁170及び制御電子回路160に接続し、その後、再び、既知の条件下で調整することができる。そして、制御電子回路160及び制御弁170の応答は、設定値又は入力圧力の変化に対するシステムの全体的な応答が既知であり、その応答を用いて所望の応答を提供するようにシステムを制御することができるように、特徴付けられる。
【0016】
熱式流量センサ146は、取付けプレート108に取り付けられたセンサハウジング102(熱式流量センサ146を示すために取り除かれて示されている部分)内に収容される。熱式流量センサ146は、通常キャピラリーチューブと呼ばれる小さな直径のチューブであり、センサ入口部分146A、センサ出口部分146B、及び周囲に2つの抵抗コイル又は巻線147、148が配置されているセンサ測定部分146Cを備える。動作時、センサ測定部分146Cと熱接触している2つの抵抗巻線147、148に電流が与えられる。抵抗巻線147、148における電流は、測定部分146Cを流れる流体を、バイパス142を流れる流体の温度より高い温度まで加熱する。巻線147、148の抵抗は、温度によって変化する。流体がセンサ導管を流れる際、熱が上流の抵抗器147から下流の抵抗器148に向かって伝達され、温度差はセンサを通る質量流量に比例する。
【0017】
2つの抵抗巻線147、148から、センサを通る流量に関連する電気信号が導出される。電気信号は、抵抗巻線の抵抗の差から、又は各巻線を特定の温度で維持するために各抵抗巻線に与えられるエネルギーの量の差から等、多数の異なる方法で導出することができる。熱式質量流量計における流体の流量と相関する電気信号を求めることができる様々な方法の例については、例えば、引用することにより本明細書の一部をなす、所有者が共通の米国特許第6,845,659号に記載されている。信号処理の後に抵抗巻線147、148から導出される電気信号は、センサ出力信号を含む。
【0018】
センサ出力信号を質量流量計における質量流量と相関させて、電気信号が測定されるときに流体流量を求めることができる。センサ出力信号を、通常、最初にセンサ146における流量と相関させ、次いで、バイパス142における質量流量と相関させることにより、流量計を通る総流量を求めることができ、それに従って制御弁170を制御することができる。センサ出力信号と流体流量との間の相関は、複雑であり、流体種、流量、入口及び/又は出口圧力、温度等を含む多数の動作条件によって決まる。
【0019】
生のセンサ出力を流体流量に相関させるプロセスは、質量流量制御器の調整及び/又は較正を必要とする。例えば、センサ部分に既知の量の既知の流体を流し、流体流量を正確に表す応答を提供するようにいくつかの特定の信号処理パラメーターを調整することにより、質量流量センサを調整することができる。例えば、センサ出力の0V~5V等、指定された電圧範囲が、ゼロからセンサに対する範囲の最上値までの流量範囲に対応するように、出力を正規化することができる。センサ出力の変化が流量の変化に線形に対応するように、出力もまた線形にすることができる。例えば、出力が線形にされる場合、流体出力を2倍にすることにより、電気出力が2倍になる。センサの動的応答、すなわち、流量又は圧力変化が求められるときに発生する圧力又は流量の変化の不正確な影響が求められ、それによりこうした影響を補償することができる。
【0020】
エンドユーザによって使用される流体のタイプが、調整及び/又は較正で使用される流体のタイプと異なる場合、又はエンドユーザによって使用される、入口及び出口圧力、温度、流量の範囲等の動作条件が、調整及び/又は較正で使用されるものと異なる場合、質量流量制御器の動作は一般に質が低下する。この理由で、流量計は、追加の流体(「代用流体」と呼ぶ)及び/又は動作条件を用いて調整又は較正することができ、十分な応答を提供するために必要ないかなる変化も、ルックアップテーブルに格納される。本発明の譲受人によって所有されかつ引用することにより本明細書の一部をなす、「Flow Sensor Signal Conversion」と題するWang他の米国特許第7,272,512号は、使用される各異なるプロセス流体に対して装置を較正するために代用流体を必要とするのではなく、異なるガスの特性を用いて応答を調整するシステムを記載している。
【0021】
さらに、質量流量制御器100は、限定されないが通常はバイパス142の上流のいずれかの箇所において、流路内の圧力を測定するために流路に結合された圧力変換器112を含むことができる。圧力変換器112は、圧力を示す圧力信号を提供する。開示する実施形態によれば、圧力変換器112を用いて、流量測定中に圧力が測定される。
【0022】
制御電子回路160は、所望の質量流量を示す設定値と、センサ導管内を流れる流体の実際の質量流量を示す質量流量センサからの電気流量信号とに従って、制御弁170の位置を制御する。そして、比例制御、積分制御、比例-積分(PI)制御、微分制御、比例-微分(PD)制御、積分-微分(ID)制御及び比例-積分-微分(PID)制御等、従来のフィードバック制御方法を用いて、質量流量制御器における流体の流量が制御される。流体の所望の質量流量を示す設定値信号と質量流量センサによって検知される実際の質量流量に関連するフィードバック信号との差である誤差信号に基づいて、制御信号(例えば、制御弁駆動信号)が生成される。制御弁は、主流体流路(通常、バイパス及び質量流量センサの下流)内に配置され、主流体流路を通って流れる流体の質量流量を変化させるように調整する(例えば、開閉する)ことができ、この制御は、質量流量制御器100によって与えられる。
【0023】
図示する例では、流量は、導体158によって電圧信号として閉ループシステムコントローラ160に供給される。信号は、増幅され、処理され、流量を変更するように導体159を用いて制御弁組立体150に供給される。この目的で、コントローラ160は、質量流量センサ140からの信号を所定値と比較し、それに従って、所望の流量を達成するように比例弁170を調節する。
【0024】
制御弁170は、2標準リットル毎分以上の流量で動作するように構成されたピエゾ式又は他の技術の弁とすることができる。質量流量制御器100の制御弁170において流体の流れダイナミクスにより引き起こされる振動によって生じる不正確さを回避するために、受動減衰システム180を、制御弁170において実装することができる。受動減衰システム180(その実施形態は、図2図4を参照して詳細に後述される)は、制御弁170の動作によってもたらされる、流れにより引き起こされる振動が、質量流量制御器100の他の部分に伝達されることを低減又は排除する機構を提供する。受動減衰システム180は、振動エネルギーが質量流量制御器100の他の部分に伝達される前に、振動エネルギーを散逸させる。受動減衰システム180の複数の構成が想定される。例えば、受動減衰システム180は、質量流量制御器100を通る流体の流れによって発生する振動を散逸させるために、制御弁170の周りに1つ以上のばね付勢プランジャボールを配置するもの、制御弁170の周りにばねを配置するもの、及び/又は制御弁170の周りに高減衰ソフトワッシャーを配置するものを含むことができる。本明細書において用いられる場合、受動的という用語は、システムが、電気的制御を伴わず、完全に機械的なものであることを意味する。
【0025】
図2は、開示の一実施形態に係る受動減衰システム180のプランジャボール実施形態180Aを示している。プランジャボール実施形態180Aは、1つ以上のばね付勢プランジャ200を備える。ばね付勢プランジャ200は、プランジャハウジング202を備える。ばね204がプランジャハウジング202内に配置され、方向220においてプランジャボール208に力を与える。プランジャボール208は、減衰パッド212に隣接して配置されるワッシャー210に当接する。制御弁組立体150において振動が生じると、ばね204によってプランジャボール208に与えられたばね力が、ワッシャー210及び減衰パッド212に伝達される。ばね力は、制御弁組立体150において生じる振動エネルギーが減衰パッド212の変形によって散逸されるように、減衰パッド212の位置を保持するのに十分である。制御弁170が開放されると(例えば、制御弁170が方向206に移動すると)、ばね付勢プランジャ200によって生じるばね力は、制御弁170のアクチュエータの上昇力によって相殺され、このとき、制御弁170のアクチュエータの上昇ストロークに対する影響力は最小限である。
【0026】
概して、ばね付勢プランジャ200は、任意の振動源と、質量流量制御器100の固定された取付け要素との間に設置することができる。例えば、ばね付勢プランジャ200は、質量流量制御器100のダイアフラム裏材222と弁基部230との間に位置することができる。ダイアフラム226は、ダイアフラム裏材222の下かつ制御弁170の上にある。流体の流れは、ダイアフラム226及び制御弁170のステムの振動を引き起こす可能性があり、それにより、ダイアフラム裏材222の振動を引き起こす可能性がある。この特定の実施形態では、プランジャボール実施形態180Aは、弁基部230の収納部分228A内に設置される。収納部分228Aは、弁基部230の一部をフライス加工して得ることができる。この特定の実施形態では、減衰パッド212は、ダイアフラム裏材222と相互作用し、ばね付勢プランジャ200は、弁基部230に固定される。いずれの場合も、ワッシャー210は、減衰パッド212とばね付勢プランジャ200との間に位置することができる。振動エネルギーがダイアフラム裏材222から受動減衰システム180内に散逸されると、制御弁170の全振動は、著しく低減し、質量流量制御器100全体の共振モードの励起が回避される。
【0027】
ばね付勢プランジャ200及びワッシャー210は、ステンレス鋼又は他の材料から作製することができる。減衰パッド212は、ポリウレタンゴム又は他の弾性材料から作製することができる。プランジャボール実施形態180Aは、1つ以上のばね付勢プランジャ200を備える。一実施形態において、プランジャボール実施形態180Aは、3つ~6つ以上のばね付勢プランジャ200を備える。
【0028】
図3は、開示の一実施形態に係る受動減衰システム180のばね付勢実施形態180Bを示している。ばね付勢実施形態180Bは、1つ以上のばね300を備える。ばね300は、波形ばねとすることができる。波形ばねとは、本明細書において用いられる場合、ばねにばね作用を与えるためにばねに付加される波形を有する平角線から作製されたばねである。波形ばねは、他のワイヤ形状(例えば、円筒形、直方形等)から作製することもできる。他の実施形態において、ばね300は、減衰コーティングを有するコイルばねとすることができる。減衰コーティングは、制御弁170から振動エネルギーを散逸させるためのダンパーとして機能することができる。ばね300は、方向320においてワッシャー310に力を与える。ワッシャー310は、減衰パッド312に隣接して位置する。制御弁170において振動が生じると、ばね300によって与えられたばね力が、ワッシャー310及び減衰パッド312に力を与える。ばね力は、振動エネルギーが減衰パッド312の変形によって散逸されるように、減衰パッド312の位置を保持するのに十分である。制御弁170が開放されると(例えば、制御弁170が方向306に移動すると)、ばね300によって生じるばね力は、制御弁170のアクチュエータの上昇力によって相殺され、このとき、制御弁170のアクチュエータの上昇ストロークに対する影響力は最小限である。
【0029】
概して、ばね300は、任意の振動源と、質量流量制御器100の固定された取付け要素との間に設置することができる。例えば、ばね300は、質量流量制御器100のダイアフラム裏材222と弁基部230との間に位置することができる。この特定の実施形態では、ばね付勢実施形態180Bは、弁基部230の収納部分228B内に設置される。収納部分228Bは、弁基部230の一部をフライス加工して得ることができる。制御弁170が開放されると(例えば、方向306に移動すると)、ばね300は、弁基部230に当接し、ばね300に対する固定フレームを提供することができる。振動エネルギーがダイアフラム裏材222から受動減衰システム180B内に散逸されると、制御弁170の全振動は、著しく低減し、質量流量制御器100全体の共振モードの励起が回避される。
【0030】
ばね300及びワッシャー310は、ステンレス鋼又は他の材料から作製することができる。減衰パッド312は、ポリウレタンゴム又は他の弾性材料から作製することができる。ばね付勢実施形態180Bは、1つ以上のばね300を備える。図示の実施形態では、ばね付勢実施形態180Bは、制御弁170の周りに配置された単一のばね300を備える。
【0031】
図4は、一実施形態に係る受動減衰システム180のソフトワッシャー実施形態180Cを示している。ソフトワッシャー実施形態180Cは、ソフトワッシャー400を備える。ソフトワッシャー400は、ポリウレタンゴム又は他の同様の弾性材料から作製することができる。ソフトワッシャー400は、制御弁170が方向406に移動することによって開放すると、方向420において制御弁170に力を与えることができる。制御弁170において振動が生じると、ソフトワッシャー400によって与えられる力は、制御弁170のダイアフラム裏材222への裏側支持を提供する。ソフトワッシャー400は、ソフトワッシャー400の変形によって弁組立体150に生じる振動エネルギーを散逸させる。制御弁170が開放すると(例えば、制御弁170が方向406に移動すると)、方向420においてソフトワッシャー400によって生じる力は、制御弁170のアクチュエータの上昇力によって相殺され、このとき、制御弁170のアクチュエータの上昇ストロークに対する影響力は最小限である。
【0032】
概して、ソフトワッシャー400は、任意の振動源と、質量流量制御器100の固定された取付け要素との間に設置することができる。例えば、ソフトワッシャー400は、質量流量制御器100のダイアフラム裏材222と弁基部230との間に位置することができる。この特定の実施形態では、ソフトワッシャー400は、弁基部230の収納部分228C内に設置される。制御弁170が開放されると(例えば、方向406に移動すると)、ソフトワッシャー400は、弁基部228に当接し、ソフトワッシャー400に対する固定フレームを提供することができる。振動エネルギーがダイアフラム裏材222から受動減衰システム180内に散逸されると、制御弁170の全振動は、著しく低減し、質量流量制御器100全体の共振モードの励起が回避される。
【0033】
ソフトワッシャー400は、ポリウレタンゴム又は他の弾性材料から作製することができる。ソフトワッシャー実施形態180Cは、1つ以上のソフトワッシャー400を備える。図示の実施形態では、ソフトワッシャー実施形態180Bは、制御弁170の周りに配置された単一のソフトワッシャー400を備える。減衰ワッシャーのデュロメータ硬さは、材料が周囲環境からの振動を減衰する効力に基づき、このデュロメータ硬さは、特定の質量流量制御器用途に対して特有とすることができる。収納部分228Cは、特定の用途の要件に応じて様々な幅及び深さを有することができる。本明細書に記載される減衰システム、すなわち実施形態180A~180Cは、任意の固定又は剛性の本体と、質量流量制御器内の発振又は振動源との間に位置することができることが理解されるべきである。
【0034】
特定の実施形態を詳細に上述したが、この記載は例示目的のものにすぎない。したがって、上述した多くの態様は、別段明記されない限り、必須又は本質的な要素としては意図されないことが理解されるべきである。当業者であれば、本開示の利益を有することで、添付の特許請求の範囲に規定された実施形態の趣旨及び範囲から逸脱することなく、上述したものに加えて、例示の実施形態の開示の態様の変形形態、及び開示の態様に対応する同等の構成要素又は作用をもたらすことができる。添付の特許請求の範囲の範囲は、そのような変形形態及び同等の構造を包含するように、最も広い解釈が与えられるべきである。
[構成1]
質量流量制御器であって、
流体を受け取るように構成された入口と、
前記流体が該質量流量制御器を通過する際の流路と、
前記流路を通る前記流体の質量流量に対応する信号を提供するように構成された質量流量センサと、
該質量流量制御器の出口から出る前記流体の流れを制御するように構成された制御弁と、
前記制御弁によってもたらされる流体の流れにより引き起こされる振動を散逸させるように構成された受動減衰システムと、
を備える、質量流量制御器。
[構成2]
収納部分を有する弁基部を更に備える、構成1に記載の質量流量制御器。
[構成3]
前記受動減衰システムは、前記弁基部の前記収納部分と前記制御弁のダイアフラム裏材との間に減衰パッドを更に備える、構成2に記載の質量流量制御器。
[構成4]
前記受動減衰システムは、減衰ワッシャーを更に備える、構成3に記載の質量流量制御器。
[構成5]
前記受動減衰システムは、前記減衰パッドと前記弁基部との間に1つ以上のプランジャボールを更に備える、構成3に記載の質量流量制御器。
[構成6]
前記1つ以上のプランジャボールは、前記弁基部に連結される、構成5に記載の質量流量制御器。
[構成7]
前記プランジャボールは、ばね付勢される、構成5に記載の質量流量制御器。
[構成8]
前記プランジャボールは、ステンレス鋼又は他の金属若しくは合金から作製される、構成6に記載の質量流量制御器。
[構成9]
前記受動減衰システムは、前記減衰パッドと前記弁基部との間に波形ばねを更に備える、構成3に記載の質量流量制御器。
[構成10]
質量流量制御器であって、
流体を受け取るように構成された入口と、
前記流体が該質量流量制御器を通過する際の流路と、
前記流路を通る前記流体の質量流量に対応する信号を提供するように構成された質量流量センサと、
該質量流量制御器の出口から出る前記流体の流れを制御するように構成された制御弁と、
固定本体の収納部分と前記制御弁との間にある減衰パッドと、
を備える、質量流量制御器。
[構成11]
前記減衰パッドは、前記固定本体の収納部分と前記制御弁の裏材プレートとの間にある、構成10に記載の質量流量制御器。
[構成12]
前記減衰パッドと前記固定本体との間にワッシャーを更に備える、構成10に記載の質量流量制御器。
[構成13]
前記ワッシャーと前記固定本体との間にばね装置を更に備える、構成12に記載の質量流量制御器。
[構成14]
前記減衰パッドは、前記制御弁からおおよそ前記固定本体まで延在する、構成10に記載の質量流量制御器。
[構成15]
質量流量制御器であって、
流体を受け取るように構成された入口と、
前記流体が該質量流量制御器を通過する際の流路と、
前記流路を通る前記流体の質量流量に対応する信号を提供するように構成された質量流量センサと、
前記質量流量制御器の出口から出る前記流体の流れを制御するように構成された制御弁と、
弁基部の収納部分と前記制御弁との間にあるばね装置と、
を備える、質量流量制御器。
[構成16]
前記ばね装置は、前記弁基部の前記収納部分とダイアフラム裏材との間にある、構成15に記載の質量流量制御器。
[構成17]
前記ばね装置は、1つ以上のプランジャボールを備える、構成15に記載の質量流量制御器。
[構成18]
前記ばね装置は、1つ以上の波形ばねを備える、構成15に記載の質量流量制御器。
[構成19]
前記ばね装置とダイアフラム裏材との間にワッシャーを更に備える、構成15に記載の質量流量制御器。
[構成20]
前記ばね装置とダイアフラム裏材との間に減衰パッドを更に備える、構成15に記載の質量流量制御器。
[構成21]
質量流量センサ技術は、熱式の質量流量制御器に用いられる熱センサと、圧力センサ及び流れレストリクタを用いて流れを計算する圧力式の質量流量制御器と、流れ検知用のコリオリ管を用いるコリオリ式の質量流量制御器とからなる、構成1に記載の質量流量制御器。
図1
図2
図3
図4