(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-11
(45)【発行日】2023-01-19
(54)【発明の名称】分析測定を行うための方法及びデバイス
(51)【国際特許分類】
G01N 21/78 20060101AFI20230112BHJP
【FI】
G01N21/78 A
(21)【出願番号】P 2020543765
(86)(22)【出願日】2019-02-18
(86)【国際出願番号】 EP2019053993
(87)【国際公開番号】W WO2019158761
(87)【国際公開日】2019-08-22
【審査請求日】2022-02-17
(32)【優先日】2018-02-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】591003013
【氏名又は名称】エフ.ホフマン-ラ ロシュ アーゲー
【氏名又は名称原語表記】F. HOFFMANN-LA ROCHE AKTIENGESELLSCHAFT
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100141977
【氏名又は名称】中島 勝
(74)【代理人】
【識別番号】100150810
【氏名又は名称】武居 良太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100197169
【氏名又は名称】柴田 潤二
(72)【発明者】
【氏名】ベルント リムブルク
【審査官】田中 洋介
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-098645(JP,A)
【文献】特表2009-533654(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第19852504(DE,A1)
【文献】特表2018-514756(JP,A)
【文献】特表2008-527976(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/00-21/958
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
分析測定を行うための方法であって、以下の工程:
a)少なくとも1つのカメラ(114)を有する少なくとも1つの携帯デバイス(112)を提供すること;
b)色変化検出反応を行うように構成された少なくとも1つの試験ストリップ(118)を提供し、少なくとも1つのサンプルを、前記サンプル中の少なくとも1つの分析物を検出するための少なくとも1つの試験化学物質を含有する、前記試験ストリップ(118)の少なくとも1つの試験フィールド(120)に適用すること;
c)前記カメラ(114)を用いることによって、前記試験ストリップ(118)の少なくとも一部の、複数のピクセルを備えた少なくとも1つの画像(124)を取得すること;
d)前記画像(124)中の少なくとも1つの対象領域(128)を決定し、第一のサブセットのピクセルを前記対象領域(128)と関連付けること;
e)前記第一のサブセットのピクセル内の色分布を評価し、前記第一のサブセットのピクセル中の異常値を除外すること;
f)前記対象領域(128)内の、前記対象領域(128)よりも小さい面積を有する少なくとも1つの対象サブ領域(134)を決定し、第二のサブセットのピクセルを前記対象サブ領域(134)と関連付けること;
g)前記第一のサブセットのピクセルの前記色分布の少なくとも1つの平均値と前記第二のサブセットのピクセルの色分布の少なくとも1つの平均値とを比較することによって、前記画像(124)の均質性に関する均質性情報の少なくとも1つの項目を判断すること、
を含
み、
ここで前記方法が、さらに、以下:
-前記第一のサブセットのピクセル内のピクセル数を少なくとも1つの閾値と比較し、それによって、前記対象領域(128)のサイズの充分度に関するサイズ充分度情報の少なくとも1つの項目が判断されるものであり、ここでサイズ充分度情報の前記少なくとも1つの項目が、前記対象領域(128)が不充分なサイズであることを示す場合、前記分析測定を行うための前記方法は中止される;及び
-工程e)で前記異常値を除外する前の前記第一のサブセットのピクセル中の前記ピクセル数を、工程e)で前記異常値を除外した後の前記第一のサブセットのピクセル中の前記ピクセル数と比較することであって、ここで工程e)で異常値を除外した後の第一のサブセットのピクセル中のピクセル数が、工程e)で異常値を除外する前の第一のサブセットのピクセル中のピクセル数の所定のパーセントよりも小さい場合、分析測定を行うための方法は中止される、
の少なくとも1つを含む、方法。
【請求項2】
前記方法がさらに:
h)均質性情報の前記少なくとも1つの項目が、前記画像(124)が前記分析測定を行うのに不適当であることを示す場合、前記分析測定を行うための前記方法を中止すること;及び
i)均質性情報の前記少なくとも1つの項目が、前記画像(124)が前記分析測定を行うのに適していることを示す場合、前記画像(124)を評価し、少なくとも1つの分析情報を誘導すること、
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記方法工程g)が、前記第一のサブセットのピクセルの前記色分布の前記平均値と前記第二のサブセットのピクセルの前記色分布の前記平均値との間の差異の絶対値を、少なくとも1つの閾値と比較することを含む、請求項1又は2の何れか一項に記載の方法。
【請求項4】
前記差異の前記絶対値が前記閾値よりも小さい場合、又は前記差異の前記絶対値が前記閾値を超えない場合、均質性情報の前記少なくとも1つの項目が、前記画像(124)が前記分析測定を行うのに適していることを示す、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
工程e)が、少なくとも2つの色座標に対して、前記色分布を評価することを含み、工程g)が、前記少なくとも2つの色座標のすべてに対して独立して行われ、均質性情報の少なくとも1つの項目が、前記少なくとも2つの色座標の各々に対して判断される、請求項1から4の何れか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記試験ストリップが、少なくとも1つの試験フィールド(120)及び少なくとも1つの参照色フィールドを備え、工程c)は、前記少なくとも1つの画像(124)が、前記試験フィールド(120)の少なくとも1つの画像(124)若しくは少なくとも1つの部分画像(124)、及び前記参照色フィールド(121)の少なくとも1つの画像若しくは少なくとも1つの部分画像を含有するように行われ、工程d)からg)が、前記試験フィールド(120)の前記画像(124)又は部分画像、及び前記参照色フィールド(121)の前記画像(124)又は部分画像(124)の両方に対して行われ、前記参照色フィールド(121)が、少なくとも1つの白色フィールドを含有する、請求項1から5の何れか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記第一のサブセットのピクセル中の異常値の前記除外が、前記色分布のヒストグラム分析又は百分位数分析の一方又は両方を用いることによって行われるように、工程e)が行われる、請求項1から6の何れか一項に記載の方法。
【請求項8】
工程e)が、[p
1-Δp
1,p
2+Δp
2]の許容区間から外れた色を有するピクセルを除外することを含み、p
1は下限百分位数、p
2は上限百分位数、及びΔp
1、Δp
2は、正の許容範囲である、請求項1から7の何れか一項に記載の方法。
【請求項9】
Δp
1=f
1・(p
2-p
1)、
及びΔp
2=f
2・(p
2-p
1)、
であり、f
1、f
2は、正の許容範囲である、請求項7又は8の何れか一項に記載の方法。
【請求項10】
工程d)が、前記試験フィールド(120)、前記試験フィールド(120)の一部、参照色フィールド(121)、参照色フィールド(121)の一部、から成る群より選択される少なくとも1つの項目を前記画像(124)中で識別するためのパターン認識法を用いることによって、前記対象領域(128)を決定することを含む、請求項1から9の何れか一項に記載の方法。
【請求項11】
請求項1から
10の何れか一項に記載の方法
の少なくとも方法工程d)、e)、f)、及びg)を行うためのコンピュータで実行可能な命令を含み、コンピュータ又はコンピュータネットワーク上で実行される、コンピュータプログラム。
【請求項12】
分析測定を行うための携帯デバイス(112)であって、少なくとも1つのカメラ(114)を有し、少なくとも1つの分析測定を、以下の工程:
A)前記カメラ(114)を用いることによって、試験ストリップ(118)の少なくとも一部の、複数のピクセルを備えた少なくとも1つの画像(124)を取得すること;
B)前記画像(124)中の少なくとも1つの対象領域(128)を決定し、第一のサブセットのピクセルを前記対象領域(128)と関連付けること;
C)前記第一のサブセットのピクセル内の色分布を評価し、前記第一のサブセットのピクセル中の異常値を除外すること;
D)前記対象領域(128)内の、前記対象領域(128)よりも小さい面積を有する少なくとも1つの対象サブ領域(134)を決定し、第二のサブセットのピクセルを前記対象サブ領域(134)と関連付けること;
E)前記第一のサブセットのピクセルの前記色分布の少なくとも1つの平均値と前記第二のサブセットのピクセルの色分布の少なくとも1つの平均値とを比較することによって、前記画像(124)の均質性に関する均質性情報の少なくとも1つの項目を判断すること、
を用いて行うように構成された、携帯デバイス(112)
であって、
以下:
-前記第一のサブセットのピクセル内のピクセル数を少なくとも1つの閾値と比較し、それによって、前記対象領域(128)のサイズの充分度に関するサイズ充分度情報の少なくとも1つの項目が判断されるものであり、ここでサイズ充分度情報の前記少なくとも1つの項目が、前記対象領域(128)が不充分なサイズであることを示す場合、前記分析測定を行うことを中止する;及び
-工程e)で前記異常値を除外する前の前記第一のサブセットのピクセル中の前記ピクセル数を、工程e)で前記異常値を除外した後の前記第一のサブセットのピクセル中の前記ピクセル数と比較することであって、ここで工程e)で異常値を除外した後の第一のサブセットのピクセル中のピクセル数が、工程e)で異常値を除外する前の第一のサブセットのピクセル中のピクセル数の所定のパーセントよりも小さい場合、分析測定を行うことが中止される、
の少なくとも1つが実現される、携帯デバイス(112)。
【請求項13】
分析測定を行うためのキット(148)であって、前記キット(148)は:
- 携帯デバイス(112)に関する
請求項
12に記載の
携帯デバイス(112);及び
- 色変化検出反応を行うように構成され、サンプル中の少なくとも1つの分析物を検出するための少なくとも1つの試験化学物質を含有する少なくとも1つの試験フィールド(120)を有する、少なくとも1つの試験ストリップ(118)、
を備えている、キット(148)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、分析測定を行うための方法に関する。本発明はさらに、本発明に従う方法を実行するためのプログラム手段を有するコンピュータプログラムに関する。さらに、本発明は、分析測定を行うための携帯デバイス及びキットに関する。本発明に従う方法、コンピュータプログラム、携帯デバイス、及びキットは、1又は複数の体液中の1又は複数の分析物を定性的に又は定量的に検出する目的で、医療診断に用いることができる。しかし、本発明の他の用途分野も可能である。
【背景技術】
【0002】
医療診断の分野では、多くの場合、血液、間質液、尿、唾液、又は他の種類の体液などの体液のサンプル中の1又は複数の分析物を検出する必要がある。検出されるべき分析物の例は、グルコース、トリグリセリド、乳酸、コレステロール、又はこれらの体液中に典型的に存在する他の種類の分析物である。分析物の濃度及び/又は存在に従い、必要に応じて適切な処理が選択され得る。
【0003】
一般に、当業者に公知のデバイス及び方法は、検出されるべき分析物の存在下で光学的に検出可能な検出反応などの1又は複数の検出可能な検出反応を起こすことができる1又は複数の試験化学物質を備えた試験素子を利用するものである。これらの試験化学物質に関して、例えば、J. Hoenes et al.: The Technology Behind Glucose Meters: Test Strips, Diabetes Technology & Therapeutics, Volume 10, Supplement 1, 2008, S-10 to S-26、が参照され得る。他の種類の試験化学物質も可能であり、本発明を実施するために用いられ得る。
【0004】
典型的には、試験化学物質における1又は複数の光学的に検出可能な変化が、これらの変化から検出されるべき少なくとも1つの分析物の濃度を得るために、モニタリングされる。試験フィールドの光学的特性の少なくとも1つの変化を検出するために、様々な種類の検出器が本技術分野において知られている。したがって、試験フィールドを照らすための様々な種類の光源、さらには様々な種類の検出器が公知である。光ダイオードなどの単一の検出器に加えて、複数の感光性デバイスを有する検出器アレイを用いた様々な種類のデバイスも公知である。したがって、国際公開第2007/115732(A1)号パンフレットには、液体サンプル中の分析物の濃度を特定するためのシステムが開示されている。このシステムは、試験素子の検出領域の部分領域から放射される光強度を検出するための検出ユニットを備える。システムは、さらに、検出された光強度に対する頻度分布を特定する評価ユニットも備える。同様に、欧州特許第1359409(A2)号明細書には、生理学的サンプル中の分析物の濃度を特定するための装置が開示されている。この装置は、少なくとも1つの光源、及び検出器アレイを含む。
【0005】
さらに、検出器アレイを用いる場合、検出器アレイによって取得された画像中のエラー及びアーチファクトを検出するための方法が、本技術分野において公知である。したがって、欧州特許第1359409(A2)号明細書には、複数の異なる検出器領域の各々に充分な量のサンプルが存在するかどうかを判断するための手段が開示されており、充分なサンプルを有すると判断された領域から検出された光のみが、分析物の濃度を特定するために用いられる。同様に、国際公開第2007/115732(A1)号パンフレットでは、評価ユニットは、頻度分布に基づいて選択された光強度から、分析物の濃度を特定しており、頻度分布は、少なくとも1つの参照領域の湿潤されていない部分領域によって生じる少なくとも1つの第一の極大、及び湿潤された部分領域によって生じる第二の極大を有する。さらなる例として、米国特許第6993172(B2)号明細書には、フィーチャ及びフィーチャバックグラウンドに対応する、分子アレイのスキャン画像の領域内に含まれるピクセルベースのシグナル強度データを用いて、フィーチャ及びフィーチャバックグラウンドが不均一なシグナル強度を有するかどうか、したがって、異常値のフィーチャ及び異常値のフィーチャバックグラウンドであるかどうか、を判断するための方法及びシステムが開示されている。
【0006】
例えば、米国特許出願公開第2015/308961(A1)号明細書には、異なる照明条件下で行うことができる化学試験パッド及び分析物の滴定の比色定量について記載されている。1つの実施形態では、定量された色と比較して滴定を判断するための一式の参照色を選択するためにデジタル画像を取得し、利用する際の照明条件が推定される。別の実施形態では、異なる照明条件による複数の比較が行われ、最も高い信頼水準の結果が、滴定を判断するために選択される。
【0007】
独国特許出願公開第19630160(A1)号明細書には、試験素子の供給ゾーンに充分な量のサンプル液が均一に適用されたかどうかを判断するための手段を有する、試験素子を評価するための分析システムが開示されている。第一の実施形態では、分析システムは、試験素子の供給ゾーン又は評価ゾーンの領域を照らす、互いに分離されている又は少なくとも完全には重なり合わない少なくとも2つの光源を備える。さらに、分析システムは、少なくとも2つの光源を互いに別々に作動させることができる制御ユニット、評価ゾーンから反射した光又は評価ゾーンを透過した光を検出して、光強度に対応した出力シグナルを供給する少なくとも1つのセンサー、及び評価ユニット、を備える。
【0008】
米国特許出願公開第2016/153912(A1)号明細書には、体液の少なくとも1つのサンプル中の少なくとも1つの分析物を検出するための方法が開示されている。この場合、少なくとも1つの試験素子が用いられ、少なくとも1つの試験化学物質を備えた少なくとも1つの試験フィールドを有する少なくとも1つの試験素子が用いられ、試験化学物質は、分析物の存在下で少なくとも1つの光学的に検出可能な検出反応を起こすように構成されている。方法は、少なくとも1つの画像検出器を用いることによって、試験フィールドの画像の画像シーケンスを取得することを含む。各画像は、複数のピクセルを備えている。方法はさらに、画像シーケンスの画像中の試験フィールドの少なくとも1つの特徴的なフィーチャを検出することを含む。方法はさらに、特徴的なフィーチャを用いることによって、画像シーケンス中の画像検出器と試験フィールドとの間の相対的な位置変化を補正し、それによって、補正画像のシーケンスを得ることを含む。
【0009】
分析測定を評価する目的でカメラを有する家庭用電気製品を用いることに関連する利点にも関わらず、いくつかの技術的課題は依然として存在する。具体的には、欠陥のある又は理想的ではない評価領域の測定値は、現在のところ、一般的には、廃棄されるか、又は特定の欠陥の発生に限定され、例えば欧州特許第1359409(A2)号明細書から知られるサンプルが不充分である領域は分析物濃度の特定に用いられない方法などがある。そのような測定値を廃棄する一般的な手法は、一般に、ユーザー及び/又は患者に対して著しい不都合をもたらし得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
したがって、家庭用電気製品の携帯デバイス、具体的にはスマートフォン又はタブレット型コンピュータなどの分析測定に特化されていない多目的携帯デバイスなどの携帯デバイスを用いた分析測定の上記で述べた技術的課題に対処する方法及びデバイスを提供することが望ましい。具体的には、利用可能な携帯デバイスに広く適用可能であり、測定精度及びユーザーにとっての利便性を向上するのに適している方法及びデバイスが提案されるべきである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この問題は、独立請求項の特徴を備えた方法及びデバイスによって対処される。独立して、又は何れかの任意の組み合わせで実現され得る有利な実施形態を、従属請求項に挙げる。
【0012】
以下で用いられる場合、「有する」、「備える」、若しくは「含む」の用語、又はそれらの何れかの任意の文法的変形語は、非排他的に用いられる。したがって、これらの用語は、この文脈で記載された実体中に、これらの用語によって導入された特徴以外に他のさらなる特徴が存在しないという状態、及び1又は複数のさらなる特徴が存在するという状態の両方を意味し得る。例えば、「AはBを有する」、「AはBを備える」、及び「AはBを含む」の表現は、B以外に、他の要素がAに存在しないという状態(すなわち、Aは、唯一かつ排他的にBから成る状態)、並びにB以外に、要素C、要素C及びD、又はなおさらなる要素などの1若しくは複数のさらなる要素が実体Aに存在するという状態の両方を意味し得る。
【0013】
さらに、特徴若しくは要素が1回又は2回以上存在し得ることを示す「少なくとも1つの」、「1又は複数の」の用語、又は類似の表現が、対応する特徴又は要素を導入する際に、典型的には、1回のみ用いられることには留意されたい。以下では、ほとんどの場合、対応する特徴又は要素に言及する際、対応する特徴又は要素が1回又は2回以上存在し得る場合であっても、「少なくとも1つの」又は「1又は複数の」の表現は繰り返されない。
【0014】
さらに、以下で用いられる場合、「好ましくは」、「より好ましくは」、「特には」、「より特には」、「具体的には」、「より具体的には」の用語、又は類似の用語は、別の選択肢としての可能性を制限することなく、所望に応じて存在してよい特徴と合わせて用いられる。したがって、これらの用語によって導入される特徴は、所望に応じて存在してよい特徴であり、いかなる形であっても、請求項の範囲を限定することを意図するものではない。本発明は、当業者であれば認識されるように、別の選択肢としての特徴を用いることによって実施されてもよい。同様に、「本発明の実施形態では」又は類似の表現によって導入される特徴は、本発明の別の選択肢としての実施形態に関していかなる限定もすることなく、本発明の範囲に関していかなる限定もすることなく、及び導入される特徴を、本発明の他の所望に応じて存在してよい若しくは必須の特徴と合わせて組み合わせる可能性に関していかなる限定もすることなく、所望に応じて存在してよい特徴であることを意図している。
【0015】
第一の態様では、分析測定を行うための方法が開示される。方法は、例えば与えられた順序で行われてよい以下の工程を含む。しかし、異なる順序も可能であることには留意されたい。さらに、方法工程の1若しくは複数を1回、又は繰り返し行うことも可能である。さらに、方法工程の2つ以上を同時に、又は時間的に重なり合った形で行うことが可能である。方法は、列挙していないさらなる方法工程も含み得る。
【0016】
一般に、分析測定を行うための方法は、以下の工程:
a)少なくとも1つのカメラを有する少なくとも1つの携帯デバイスを提供すること;
b)色変化検出反応を行うように構成された少なくとも1つの試験ストリップを提供し、少なくとも1つのサンプルを、試験ストリップに、具体的には、サンプル中の少なくとも1つの分析物を検出するための少なくとも1つの試験化学物質を含有する、試験ストリップの少なくとも1つの試験フィールドに、適用すること
c)カメラを用いることによって、試験ストリップの少なくとも一部の、複数のピクセルを備えた少なくとも1つの画像を取得すること;
d)画像中の少なくとも1つの対象領域を決定、具体的には識別し、第一のサブセットのピクセルを対象領域と関連付けること;
e)第一のサブセットのピクセル内の色分布を評価し、第一のサブセットのピクセル中の異常値を除外すること;
f)対象領域内の、対象領域よりも小さい面積を有する少なくとも1つの対象サブ領域を決定、具体的には識別し、第二のサブセットのピクセルを対象サブ領域と関連付けること;
g)第一のサブセットのピクセルの色分布の少なくとも1つの平均値と第二のサブセットのピクセルの色分布の少なくとも1つの平均値とを比較することによって、画像の均質性に関する均質性情報の少なくとも1つの項目を判断すること、
を含む。
【0017】
「分析測定」の用語は、本明細書で用いられる場合、広い意味の用語であり、当業者にとって一般的で慣習的な意味が与えられるべきであり、特別の又は特に変更された意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定されないが、任意のサンプル中の少なくとも1つの分析物の定量的及び/又は定性的な特定を意味し得る。例えば、サンプルは、血液、間質液、尿、唾液、又は他の種類の体液などの体液を含み得る。分析測定の結果は、例えば、分析物の濃度、及び/又は特定されるべき分析物の存在若しくは非存在であってよい。具体的には、例えば、分析測定は、血糖値測定であってよく、したがって、分析測定の結果は、例えば、血糖濃度であってよい。
【0018】
「分析物」の用語は、本明細書で用いられる場合、広い意味の用語であり、当業者にとって一般的で慣習的な意味が与えられるべきであり、特別の又は特に変更された意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定されないが、1若しくは複数の特定の化学化合物、並びに/又は検出及び/若しくは測定されるべき他のパラメータを意味し得る。例えば、少なくとも1つの分析物は、グルコース、コレステロール、又はトリグリセリドのうちの1又は複数など、代謝に関与する化学化合物であり得る。加えて又は別の選択肢として、pH値を例とする他の種類の分析物又はパラメータが特定されてもよい。
【0019】
工程a)では、少なくとも1つのカメラを有する携帯デバイスが提供される。「携帯デバイス」の用語は、本明細書で用いられる場合、広い意味の用語であり、当業者にとって一般的で慣習的な意味が与えられるべきであり、特別の又は特に変更された意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定されないが、携帯電子デバイスを、より具体的には、携帯電話又はスマートフォンなどの携帯通信用デバイスを意味し得る。加えて又は別の選択肢として、以下でさらに詳細に概説されるように、携帯デバイスは、少なくとも1つのカメラを有するタブレット型コンピュータ又は別の種類のポータブルコンピュータも意味し得る。
【0020】
本明細書でさらに用いられる場合、「カメラ」の用語は、広い意味の用語であり、当業者にとって一般的で慣習的な意味が与えられるべきであり、特別の又は特に変更された意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定されないが、1又は複数の画像などの空間分解光学データを記録するように構成されたデバイスを意味し得る。カメラは、具体的には、1又は複数のCCD及び/又はCMOSチップなどの1又は複数のカメラチップ又はイメージングデバイスを備えていてよい。カメラは、一般に、ピクセルなどの画像センサーの1次元又は2次元アレイを備えていてよい。例えば、カメラは、各次元に少なくとも10ピクセルなど、少なくとも1つの次元に少なくとも10ピクセルを備えていてよい。しかし、他のカメラも利用可能であることには留意されたい。本発明は、具体的には、ノートブック型コンピュータ、タブレット、又は具体的には、スマートフォンなどの携帯電話、などの携帯用途に通常用いられるカメラに適用可能であるべきである。したがって、具体的には、カメラは、少なくとも1つのカメラの他に1又は複数のデータプロセッサなどの1又は複数のデータ処理デバイスを備える携帯デバイスの一部であってよい。しかし、他のカメラも利用可能である。カメラは、少なくとも1つのカメラチップ又はイメージングチップの他に、1又は複数のレンズを例とする1又は複数の光学素子などのさらなる素子を備えていてよい。例えば、カメラは、カメラに対して固定して調節された少なくとも1つのレンズを有する固定焦点カメラであってよい。しかし、別の選択肢として、カメラは、自動又は手動で調節可能である1又は複数の可変レンズを備えていてもよい。
【0021】
カメラは、具体的には、カラーカメラであってよい。したがって、各ピクセルなどについて、三色R、G、Bに対する明度などの色情報が提供され得る、又は生成され得る。各ピクセルに対して四色など、これより多い数の明度も利用可能である。カラーカメラは、一般的に当業者に公知である。したがって、例えば、カメラチップの各ピクセルは、1つのピクセルが赤色(R)用、1つのピクセルが黄色(G)用、及び1つのピクセルが青色(B)用のような色記録ピクセルなどの3つ以上の異なる色センサーを有し得る。R、G、B用などのピクセルの各々において、対応する色の強度に応じて、0~255の範囲内のデジタル値などの値がピクセルによって記録され得る。R、G、Bなどの三色系を用いる代わりに、例えば、C、M、Y、Kなどの四色系が用いられてもよい。ピクセルの色感度は、カラーフィルターによって、又はカメラピクセルに用いられるセンサー素子の適切な固有の感度によって作り出され得る。これらの技術は、一般的に当業者に公知である。
【0022】
工程b)では、少なくとも1つの試験ストリップが提供される。「試験ストリップ」の用語は、本明細書で用いられる場合、広い意味の用語であり、当業者にとって一般的で慣習的な意味が与えられるべきであり、特別の又は特に変更された意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定されないが、色変化検出反応を行うように構成された任意の素子又はデバイスを意味し得る。試験ストリップは、特には、少なくとも1つの分析物を検出するための少なくとも1つの試験化学物質を含有する試験フィールドを有してよい。例えば、試験素子は、少なくとも1つのキャリアなどの少なくとも1つの基板を備えてよく、少なくとも1つの試験フィールドがそれに適用されている、又はそれに組み込まれている。例えば、少なくとも1つのキャリアは、条片の形状であってよく、それによって、試験素子は試験ストリップとなる。これらの試験ストリップは、一般に、広く用いられており、入手可能である。1つの試験ストリップは、単一の試験フィールド、又は同一若しくは異なる試験化学物質が含まれた複数の試験フィールドを有していてもよい。
【0023】
本明細書でさらに用いられる場合、「試験フィールド」の用語は、広い意味の用語であり、当業者にとって一般的で慣習的な意味が与えられるべきであり、特別の又は特に変更された意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定されないが、まとまった量(coherent amount)の試験化学物質を意味し得るものであり、丸形状、多角形状、又は長方形状のフィールドを例とする、物質の1又は複数の層を有し、試験フィールドの少なくとも1つの層がそこに備えられた試験化学物質を有するフィールド、などである。反射特性などの特定の光学特性を提供する、サンプルを拡げるための拡がり特性を提供する、又は細胞成分などのサンプルの粒子状成分の分離のためなどの分離特性を提供する他の層が存在してもよい。
【0024】
「試験化学物質」の用語は、本明細書で用いられる場合、広い意味の用語であり、当業者にとって一般的で慣習的な意味が与えられるべきであり、特別の又は特に変更された意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定されないが、分析物の存在下で検出反応を行うのに適する化学化合物、又は化学化合物の混合物などの複数の化学化合物を意味し得るものであり、検出反応は、光学的手段などの特定の手段によって検出可能である。検出反応は、具体的には、分析物特異的であってよい。試験化学物質は、本発明の場合、具体的には、分析物の存在下で色を変化させる色変化試験化学物質など、光学的試験化学物質であってよい。色変化は、具体的には、サンプル中に存在する分析物の量に依存してよい。試験化学物質は、例えば、グルコースオキシダーゼ及び/又はグルコースデヒドロゲナーゼなどの少なくとも1つの酵素を含んでよい。加えて、1又は複数の染料、メディエーター、及び同種のものなどの他の成分が存在してもよい。試験化学物質は、一般に、当業者に公知であり、 J. Hones et al.: Diabetes Technology and Therapeutics, Vol. 10, Supplement 1, 2008, pp.10-26が参照され得る。しかし、他の化学物質も利用可能である。
【0025】
工程c)では、少なくとも1つの画像が、カメラを用いて取得される。「画像」の用語は、本明細書で用いられる場合、広い意味の用語であり、当業者にとって一般的で慣習的な意味が与えられるべきであり、特別の又は特に変更された意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定されないが、カメラチップのピクセルなどのイメージングデバイスからの複数の電子読み取り値など、カメラを用いて記録されたデータ又は情報を意味し得る。したがって、例えば、画像は、データの1次元又は2次元アレイを備えていてよい。したがって、画像自体は、ピクセルを備えていてよく、画像のピクセルは、例えば、カメラチップのピクセルに対応している。したがって、「ピクセル」に言及する場合、カメラチップの単一ピクセルによって生成された画像情報の単位、又は直接にカメラチップの単一ピクセル、の何れかが参照される。
【0026】
工程d)では、画像内の少なくとも1つの対象領域が決定され、具体的には、識別される。「対象領域」の用語は、本明細書で用いられる場合、広い意味の用語であり、当業者にとって一般的で慣習的な意味が与えられるべきであり、特別の又は特に変更された意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定されないが、より大きいデータセット内のデータのサブセットを意味し得るものであり、サブセットは、特定の目的のために識別される。例えば、この用語は、ある特定の目的のために決定された、画像内の少なくとも1つの部分画像又は領域を意味し得る。
【0027】
さらに、第一のサブセットのピクセルが、対象領域と関連付けられる。本明細書で用いられる場合、「サブセットのピクセル」の用語は、広い意味の用語であり、当業者にとって一般的で慣習的な意味が与えられるべきであり、特別の又は特に変更された意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定されないが、画像又は写真内のピクセルなどの部分量の写真要素を意味し得る。本発明の文脈において、サブセットのピクセルは、具体的には、画像内の対象領域を表示するのに関与する画像内のある量のピクセルであってよい。
【0028】
工程e)では、第一のサブセットのピクセル内の色分布が評価される。本明細書で用いられる場合、「色分布」の用語は、広い意味の用語であり、当業者にとって一般的で慣習的な意味が与えられるべきであり、特別の又は特に変更された意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定されないが、画像中などのある定められたデータセット中における色の分布を意味し得る。色分布は、具体的には、色座標系中のある色範囲セットの各々のピクセル数をカウントすることによって得られるヒストグラム、例えば画像ヒストグラム、で表されてよい。本明細書で用いられる場合、「色座標系」の用語は、広い意味の用語であり、当業者にとって一般的で慣習的な意味が与えられるべきであり、特別の又は特に変更された意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定されないが、試験フィールドの色又はカメラによって記録された画像の色などの物体の色を、数学的又は物理的などの方法によって特徴付けることができる任意の座標系を意味し得る。CIEによって定められる色座標系など、様々な色座標系が、一般に当業者に公知である。色座標は、全体として、3又は4つの基底ベクトルを定めることなどによって、色空間に拡がり得る又は色空間を定め得る。
【0029】
さらに、第一のサブセットのピクセル中の異常値が除外される。「異常値」の用語は、本明細書で用いられる場合、広い意味の用語であり、当業者にとって一般的で慣習的な意味が与えられるべきであり、特別の又は特に変更された意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定されないが、統計的に異常なデータ点又は値を意味し得る。具体的には、異常値は、データセット中のほとんどの他のデータ点を表す統計的パターンにフィットしないデータセット中の値であってよい。したがって、例えば、どのデータ点が正常でどのデータ点が異常値であるかを判断するために、百分位数閾値を決定することなどによる百分位数法が用いられてもよい。加えて又は別の選択肢として、正常データポイント及び異常値を定めるために、単純な閾値手順などの他の手段が用いられてもよい。
【0030】
例えば、正常データポイントは、下限百分位数閾値に等しい若しくはそれよりも上、及び/又は上限百分位数閾値に等しい若しくはそれよりも下、であってよい。したがって、異常値は、下限百分位数閾値よりも下、及び/又は上限百分位数閾値よりも上であるデータポイントであってよい。特に、下限百分位数閾値は、例えば、>第0百分位数~第35百分位数の範囲であってよく、この場合第0百分位数は、この百分位数閾値より下にはデータ点が存在しないことを示し、好ましくは第5百分位数~第30百分位数、より好ましくは第15百分位数~第25百分位数の範囲であってよく、さらにより好ましくは、下限百分位数閾値は、特に、第25百分位数であってよい。さらに、特に加えて、及び/又は下限百分位数閾値と組み合わせて、異常値は、特に、上限百分位数閾値よりも上のデータ点であってもよい。特に、上限百分位数閾値は、例えば、第65百分位数~<第100百分位数の範囲であってよく、この場合第100百分位数は、すべてのデータ点がこの百分位数閾値又はそれより下に含まれることを示し、好ましくは第70百分位数~第95百分位数、より好ましくは第75百分位数~第85百分位数の範囲であってよく、さらにより好ましくは、上限百分位数閾値は、特に、第75百分位数であってよい。具体的には、上記で示されるように、どのデータ点が正常でどのデータ点が異常値であるかを判断するために、上記で定める下限百分位数閾値及び上記で定める上限百分位数閾値の何れかの組み合わせが用いられてもよい。
【0031】
工程f)は、対象領域内の、対象領域よりも小さい面積を有する少なくとも1つの対象サブ領域を決定、具体的には識別することを含む。具体的には、第二のサブセットのピクセルが、対象サブ領域と関連付けられる。
【0032】
工程g)では、第一のサブセットのピクセルの色分布の少なくとも1つの平均値と第二のサブセットのピクセルの色分布の少なくとも1つの平均値とが比較される。それによって、画像の均質性に関する均質性情報の少なくとも1つの項目が判断される。「平均値」の用語は、本明細書で用いられる場合、広い意味の用語であり、当業者にとって一般的で慣習的な意味が与えられるべきであり、特別の又は特に変更された意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定されないが、データセット中のすべての値を用いて算出された値又は数など、データセット中のすべての値を代表する値又は数を意味し得るものであり、その値は、例えば、データセット中の値全体のおよそ中間を表している。具体的には、平均値は、算術平均値、幾何平均値、又はメジアンから成る群より選択されてよい。具体的には、平均値は、不連続データセットの値の合計を不連続データセットの値の数で除することによって算出され得る。例えば、本発明の場合、色分布の平均値は、具体的には、あるセットのピクセル内のピクセルの色を合計し、その結果をそのセットのピクセル内のピクセルの数で除することによって算出され得る。他の算出方法も可能であり、例えば、ピクセルのすべて若しくは一部を個別に重み付けする又はランク付けするなどである。
【0033】
「均質性情報の項目」の用語は、本明細書で用いられる場合、広い意味の用語であり、当業者にとって一般的で慣習的な意味が与えられるべきであり、特別の又は特に変更された意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定されないが、任意の系の均質性に関する指標、定量、又は情報を意味し得る。具体的には、本発明の場合、この用語は、携帯デバイスのカメラを用いて取得された画像の均質性に関する指標又は情報を意味し得る。均質性情報の項目は、例えば、「均質」又は「不均質」、「適している」又は「適していない」/「不適当」のうちの1又は複数を示すなど、ブーリアン又はデジタル情報であってよい。したがって、例えば、第一のサブセットのピクセルの色分布の平均値が第二のサブセットのピクセルの色分布の平均値と比較されて、分析測定において許容される最大許容差を超える値で互いに異なることが見出され得る場合、その画像は、分析測定を行うのに不適当であり得る。例えば、第一及び第二のサブセットのピクセルの色分布の平均値が、血糖値測定において許容される最大許容差を超えて異なる場合、その画像は、血糖値測定を行うのに不適当であると見出され得るものであり、したがって、均質性情報の項目は、その画像が「適していない」ことを示し得る。しかし、別の選択肢として、上記で既に概説したように、均質性は、定量されてもよい。
【0034】
「均質性」の用語は、本明細書で用いられる場合、広い意味の用語であり、当業者にとって一般的で慣習的な意味が与えられるべきであり、特別の又は特に変更された意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定されないが、例えば色の類似性、具体的にはピクセルの色の類似性など、特徴又は特性の均一性を意味し得る。均質性は、例えば、値の分布の広さを示すことによって定量され得る。例えば、均質性は、色座標系内での色の間の距離で示され得る。
【0035】
本発明の第一の態様に従う方法は、以下の工程:
h)均質性情報の少なくとも1つの項目が、画像が分析測定を行うのに不適当であることを示す場合、分析測定を行うための方法を中止すること;及び
i)均質性情報の少なくとも1つの項目が、画像が分析測定を行うのに適していることを示す場合、その画像を評価し、少なくとも1つの分析情報、具体的には、サンプル中の少なくとも1つの分析物の濃度に関する情報の少なくとも1つの項目を誘導すること、
を含むことによってさらに精密化することができる。
【0036】
方法は、例えば、分析測定を行うのに「適している」又は「適していない」を例とする上記で述べたものなどのデジタル情報若しくはブーリアン情報であってよい又はデジタル情報若しくはブーリアン情報を含んでよい均質性情報の少なくとも1つの項目を利用してよい。この均質性情報に応じて、方法は、工程h)及びi)の間で枝分かれしてよく、この場合、均質性に関する質問が、例えば「if…」ルーチン、「if…else…」ルーチン、又は同種のものとしてプログラムされてもよい。
【0037】
「少なくとも1つの分析物の濃度に関する情報の項目」の用語は、本明細書で用いられる場合、広い意味の用語であり、当業者にとって一般的で慣習的な意味が与えられるべきであり、特別の又は特に変更された意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定されないが、任意のサンプル中の少なくとも1つの分析物の濃度に関する指標又は情報を意味し得る。例えば、サンプル中の少なくとも1つの分析物の濃度に関する情報の項目は、具体的には、血液サンプル中の血糖濃度であってよい。
【0038】
さらに、方法工程g)は、第一のサブセットのピクセルの色分布の平均値と第二のサブセットのピクセルの色分布の平均値との間の差異の絶対値を、少なくとも1つの閾値と比較することを含んでよい。「差異」の用語は、本明細書で用いられる場合、広い意味の用語であり、当業者にとって一般的で慣習的な意味が与えられるべきであり、特別の又は特に変更された意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定されないが、少なくとも2つの値又は数の間の絶対的相違又はギャップを意味し得る。具体的には、例えば第一のサブセットのピクセルの色分布の平均値と第二のサブセットのピクセルの色分布の平均値との間の差異など、色分布の値間の差異は、色座標系内の色分布の値間の距離を示し得る。この距離は、例えば、ヒストグラム内のステップの数などの「カウント」で与えられてよく、及び/又は示されてよく、具体的には、距離は、色座標系内の予め定められたステップサイズを有するカウントの絶対数によって示されてよい。
【0039】
「比較する」の用語は、限定されないが、第一の値が第二の値若しくは同種のものに対して小さい、大きい、又は等しいかどうかを単に判断するプロセスを意味し得る。加えて又は別の選択肢として、値間の差異は、定量されてもよい。比較に関する他の手段が用いられてもよく、それによって、一般に、比較されるべき値間の関係性に関する情報が生成される。
【0040】
「閾値」の用語は、本明細書で用いられる場合、広い意味の用語であり、当業者にとって一般的で慣習的な意味が与えられるべきであり、特別の又は特に変更された意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定されないが、系内の限界及び/又は境界を示す任意の値を意味し得る。閾値は、例えば、それより下では何かが当てはまる可能性があり、それより上ではそれが当てはまらない可能性がある値及び/又はレベルを示し得る。具体的には、本発明において、閾値は、それより下では画像が分析測定を行うのに適している可能性があり、それより上では画像が適していない可能性がある値であり得る。特に、閾値は、例えば、均質情報の項目を判断する場合に用いられ得る。例えば、均質性情報の少なくとも1つの項目は、差異の絶対値、具体的には、第一のサブセットのピクセルの色分布の平均値と第二のサブセットのピクセルの色分布の平均値との間の差異の絶対値が、閾値よりも小さい場合、又はその差異の絶対値が閾値を超えない場合、画像が分析測定を行うのに適していることを示し得る。
【0041】
具体的には、方法は、分析測定の最小精度を定めることを含んでよい。特に、方法は、色分布と分析物測定との間の、具体的には対象領域の色分布の平均値とサンプル中の分析物濃度との間の確定可能な関係性を用いることで分析測定の最小精度を閾値に変換することによって、閾値を決定することをさらに含んでよい。
【0042】
さらに、方法工程e)は、少なくとも2つの色座標に対して色分布を評価することを含んでよい。より好ましくは、方法工程e)は、少なくとも3つの色座標に対して色分布を評価することを含んでよい。特に、色分布は、少なくとも2つの色座標に対して、より好ましくは少なくとも3つの色座標に対して、例えば互いに独立した方法などによって独立して評価されてよい。例えば、色分布は、例えば赤色に対する値を示す、第一の色座標に対して、及び例えば黄色に対する値を示す、第二の色座標に対して、及び例えば青色に対する値を示す、第三の色座標に対して、時間的に連続する形で評価されてよい。
【0043】
具体的には、方法工程g)は、少なくとも2つの色座標のすべてに対して独立して行われてよい。例えば、第一のサブセットのピクセルの色分布の平均値及び第二のサブセットのピクセルの色分布の平均値は、少なくとも2つの色座標のすべてに対して独立して、特には独立した方法で、比較されてよい。例えば、色分布の平均値は、少なくとも2つの色座標のすべてに対して、時間的に連続する形で比較されてよい。
【0044】
特に、均質性情報の少なくとも1つの項目は、少なくとも2つの色座標の各々に対して判断されてよい。具体的には、画像の均質性は、各色座標に対して別々に評価されてよい。特に、第一の色座標に対して判断された均質性情報の項目が、画像が分析測定を行うのに適していないことを示す場合、画像は、一般に、分析測定を行うのに適していないと示されてよい。
【0045】
例えば、第一のサブセットのピクセルの色分布の平均値と第二のサブセットのピクセルの色分布の平均値との間の差異の絶対値が、少なくとも2つの色座標の各々に対して、少なくとも1つの閾値と独立して比較されてよい。
【0046】
さらに、試験ストリップは、少なくとも1つの試験フィールド及び少なくとも1つの参照色フィールドを含んでよい。具体的には、方法工程c)は、少なくとも1つの画像が、試験フィールドの少なくとも1つの画像若しくは少なくとも1つの部分画像、及び参照色フィールドの少なくとも1つの画像若しくは少なくとも1つの部分画像を含有するように行われてよい。特に、方法工程d)からg)は、試験フィールドの画像又は部分画像、及び参照色フィールドの画像又は部分画像の両方に対して、具体的には独立して、行われてよい。
【0047】
例えば、参照色フィールドは、少なくとも1つの白色フィールドを含有してよい。具体的には、参照色フィールドは、白色、特に、所定の白色又は白色の階調を有する少なくとも1つのフィールドを備えていてよい。例えば、参照色フィールドは、特に、基材又は試験ストリップキャリアの色などの試験ストリップの色を有していてよい。したがって、例えば、参照色フィールドは、単に、試験ストリップキャリアを例とする基材自体であってもよい。
【0048】
具体的には、対象領域及び対象サブ領域は、各々、長方形状、正方形状、丸形状、円形状、並びにこれらの引き算による及び/又は組み合わせによる形状、から成る群より独立して選択される形状を有してよい。
【0049】
さらに、方法工程e)は、許容区間(acceptance interval)から外れた色、具体的には色座標を有するピクセルを除外することを含んでよい。特に、[p1-Δp1,p2+Δp2]の許容区間から外れた色を有するピクセルが、除外されてよく、p1は下限百分位数、p2は上限百分位数、及びΔp1、Δp2は、正の許容範囲である。
【0050】
特に、p1は、色分布の25%分位数であってよく、p2は、色分布の75%分位数であってよい。具体的には、25%分位数は、「下限分位数」と称されてもよく、同様に75%分位数は、「上限分位数」と称されてもよい。
【0051】
例えば、Δp1及びΔp2は、以下の式を用いて表すことができ、式(1)及び式(2)としてさらに言及されてよく:
Δp1=f1・(p2-p1) (1)
及びΔp2=f2・(p2-p1) (2)
式中、f1、f2は、正の許容係数であり、具体的にはf1、f2≧1、より具体的には1.0≦f1、f2≦2.0、より具体的には1.3≦f1、f2≦1.7、より具体的にはf1、f2=1.5である。
【0052】
特に、許容区間は、[p1-1.5・L,p2+1.5・L]であってよく、Lは、分位数p1から分位数p2までの範囲である。具体的には、p1が25%分位数であり、p2が75%分位数である特定の場合、範囲Lは、四分位範囲(IQR)であってよく、したがって、例えば、L=IQRである。
【0053】
さらに、方法工程d)は、試験フィールド、試験フィールドの一部、参照色フィールド、参照色フィールドの一部、から成る群より選択される少なくとも1つの項目を画像中で識別するためのパターン認識法を用いることによって、対象領域を決定することを含んでよい。
【0054】
具体的には、対象領域の中心は、画像内の試験フィールドの中心又は参照色フィールドの中心に位置していてよい。「中心」の用語は、本明細書で用いられる場合、広い意味の用語であり、当業者にとって一般的で慣習的な意味が与えられるべきであり、特別の又は特に変更された意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定されないが、形態又は物体の中央を示す点又は位置を意味し得る。具体的には、中心は、円若しくは球内の円周又は表面のすべての点から等距離にある点、又は正多角形内のすべての頂点から等距離にある点であってもよい。
【0055】
例えば、試験フィールド又は参照色フィールドの少なくとも1つのエッジ、好ましくは試験フィールド又は参照色フィールドのすべてのエッジは、対象領域から除かれてよい。特に、試験フィールド又は参照色フィールドのエッジ及び頂点は、対象領域内に含まれなくてよい。
【0056】
特に、対象サブ領域の中心は、対象領域の中心に位置してよい。
【0057】
さらに、方法は、第一のサブセットのピクセル内のピクセル数を少なくとも1つの閾値と比較することを含んでよく、それによって、対象領域のサイズの充分度に関するサイズ充分度情報の少なくとも1つの項目が判断される。加えて、方法は、サイズ充分度情報の少なくとも1つの項目が、対象領域が不充分なサイズであることを示す場合、分析測定を行うための方法を中止することを含んでよい。特に、サイズ充分度情報の少なくとも1つの項目が、対象領域が不充分なサイズであることを示す場合、分析測定を行うための方法は中止されてよい。
【0058】
例えば、閾値は、絶対閾値、相対閾値から成る群より選択されてよく、具体的には、相対閾値は、第一のサブセットのピクセル中のピクセル数に依存する。
【0059】
さらに、方法は、方法工程e)で異常値を除外する前の第一のサブセットのピクセル中のピクセル数を、工程e)で異常値を除外した後の第一のサブセットのピクセル中のピクセル数と比較することを含んでよい。
【0060】
特に、工程e)で異常値を除外した後の第一のサブセットのピクセル中のピクセル数が、工程e)で異常値を除外する前の第一のサブセットのピクセル中のピクセル数の所定のパーセントよりも小さい場合、分析測定を行うための方法は中止されてよい。
【0061】
本発明のさらなる態様では、本明細書で述べる実施形態の何れか1つに従う方法を行うためのコンピュータで実行可能な命令を含むコンピュータプログラムが開示される。具体的には、コンピュータで実行可能な命令は、方法工程d)、e)、f)、及びg)、並びに所望に応じて工程h)及びi)のうちの1又は複数を行うのに適していてよい。特に、プログラムは、コンピュータ又はコンピュータネットワーク上で、具体的には、少なくとも1つのカメラを有する携帯デバイスのプロセッサ上で実行される。
【0062】
したがって、一般的に述べると、コンピュータプログラムであって、プログラムがコンピュータ又はコンピュータネットワーク上で実行される場合に、本明細書に含まれる実施形態の1又は複数において本発明に従う方法を行うためのコンピュータで実行可能な命令を含む、コンピュータプログラムが、本明細書で開示され、提案される。具体的には、コンピュータプログラムは、コンピュータで読み取り可能なデータキャリア上に記憶されてよい。したがって、具体的には、上記で述べた方法工程の1つ、複数、又はさらにはすべてが、コンピュータ又はコンピュータネットワークを用いることによって、好ましくはコンピュータプログラムを用いることによって、行われてよい。コンピュータは、具体的には、携帯デバイス中に完全に又は部分的に一体化されていてよく、コンピュータプログラムは、具体的には、ソフトウェアアプリとして組み入れられていてよい。しかし、別の選択肢として、コンピュータの少なくとも一部は、携帯デバイスの外部に位置していてもよい。
【0063】
さらに、コンピュータ又はコンピュータネットワークのワーキングメモリ又はメインメモリなど、コンピュータ又はコンピュータネットワークにロードした後、本明細書で開示される実施形態の1又は複数に従う方法を、具体的には上記で述べた方法工程の1又は複数を実行することができる、データ構造が記憶されたデータキャリアが、本明細書で開示され、提案される。
【0064】
さらに、プログラムがコンピュータ又はコンピュータネットワーク上で実行された場合に、本明細書で開示される実施形態の1又は複数に従う方法を行うための、機械で読み取り可能なキャリア上に記憶されたプログラムコード手段を有するコンピュータプログラム製品が、本明細書で開示され、提案される。本明細書で用いられる場合、コンピュータプログラム製品は、売買可能な製品としてのプログラムを意味する。製品は、一般に、紙のフォーマットなどの任意のフォーマットに、又はコンピュータで読み取り可能なデータキャリア上に存在してよい。具体的には、コンピュータプログラム製品は、データネットワークを通して配布されてもよい。
【0065】
そして、本明細書で開示される実施形態の1又は複数に従う方法を、具体的には上記で述べた方法工程の1又は複数を行うための、コンピュータシステム又はコンピュータネットワークによって読み取り可能な命令を含有する変調データ信号が、本明細書で開示され、提案される。
【0066】
具体的には、本明細書において、さらに:
・ 少なくとも1つのプロセッサを備え、プロセッサは、本明細書で述べる実施形態の1つに従う方法を行うように構成されている、コンピュータ又はコンピュータネットワーク、
・ コンピュータ上で実行されている間に、本明細書で述べる実施形態の1つに従う方法を行うように構成されている、コンピュータでロード可能なデータ構造、
・ コンピュータ上で実行されている間に、本明細書で述べる実施形態の1つに従う方法を行うように構成されている、コンピュータプログラム、
・ コンピュータプログラムであって、コンピュータプログラムがコンピュータ又はコンピュータネットワーク上で実行されている間に本明細書で述べる実施形態の1つに従う方法を行うためのプログラム手段を備えた、コンピュータプログラム、
・ コンピュータへ読み込み可能な記憶媒体上に記憶された上記の実施形態に従うプログラム手段を備えた、コンピュータプログラム、
・ 記憶媒体であって、データ構造が、記憶媒体上に記憶され、データ構造は、コンピュータ又はコンピュータネットワークのメイン記憶域及び/又はワーキング記憶域にロードされた後に、本明細書で述べる実施形態の1つに従う方法を行うように構成されている、記憶媒体、並びに
・ 記憶媒体上に記憶することができる又は記憶されたプログラムコード手段を有し、プログラムコード手段がコンピュータ上又はコンピュータネットワーク上で実行された場合に、本明細書で述べる実施形態の1つに従う方法を行うためのものである、コンピュータプログラム製品、
が開示される。
【0067】
本発明のさらなる態様では、分析測定を行うための携帯デバイスが開示される。携帯デバイスは、少なくとも1つのカメラを有する。携帯デバイスは、少なくとも1つの分析測定を、以下の工程:
A)カメラを用いることによって、試験ストリップの少なくとも一部の、複数のピクセルを備えた少なくとも1つの画像を取得すること;
B)画像中の少なくとも1つの対象領域を決定、具体的には識別し、第一のサブセットのピクセルを対象領域と関連付けること;
C)第一のサブセットのピクセル内の色分布を評価し、第一のサブセットのピクセル中の異常値を除外すること;
D)対象領域内の、対象領域よりも小さい面積を有する少なくとも1つの対象サブ領域を決定、具体的には識別し、第二のサブセットのピクセルを対象サブ領域と関連付けること;並びに
E)第一のサブセットのピクセルの色分布の少なくとも1つの平均値と第二のサブセットのピクセルの色分布の少なくとも1つの平均値とを比較することによって、画像の均質性に関する均質性情報の少なくとも1つの項目を判断すること、
を用いて行うように構成されている。
【0068】
本明細書で用いられる用語及び考え得る定義のほとんどについては、上記の方法の記述内容が参照され得る。
【0069】
携帯デバイスは、少なくとも1つのプロセッサを備えていてよい。具体的には、プロセッサは、工程B)~E)を行うようにプログラムされていてよい。
【0070】
考え得る定義又は実施形態については、上記で与えられる方法の記述内容が参照され得る。したがって、特に、携帯デバイスは、具体的にはプロセッサを用いることによって、上記で述べた又は以下でさらに詳細に述べる実施形態の何れか1つに従う分析測定を行うための方法を行うように構成されていてよい。
【0071】
本発明のさらなる態様では、分析測定を行うためのキットが開示される。キットは:
- 少なくとも1つの携帯デバイス;及び
- 色変化検出反応を行うように構成された少なくとも1つの試験ストリップ、具体的には、光学試験ストリップ、具体的には、少なくとも1つの試験フィールドを有し、試験フィールドは、サンプル中の少なくとも1つの分析物を検出するための少なくとも1つの試験化学物質を含有している、試験ストリップ、
を備える。
【0072】
ここでも、用語の考え得る定義又は考え得る実施形態については、上記で与えられる、又は以下でさらに詳細に述べる記述内容が参照され得る。
【0073】
本発明に従う方法及びデバイスは、分析測定のための公知の方法及びデバイスと比較して、数多くの利点を提供することができる。したがって、具体的には、本発明で提案される分析測定を行うためのプロセスは、本技術分野で公知の他のプロセスと比較して、時間の掛からないプロセスであり得る。特に、本発明は、分析測定を行うために、僅かに不完全な画像、又は例えば試験フィールド若しくは参照色フィールドなどの欠陥のある又は理想的ではない評価領域を含有する画像の使用を可能とし得るものである。本発明は、本発明でなければ廃棄されていたはずの画像の使用を可能とし得るものであり、したがって、公知の方法及びデバイスと比較して、時間が掛からず、より実用的に分析測定を行うための手段を提供する。
【0074】
さらに、本発明は、本技術分野から公知のプロセスと比較して、分析測定を行うプロセスの信頼性及び使いやすさを向上することができる。具体的には、本発明は、分析測定を行うためのコンピュータで実行可能な命令を含む、アプリを例とするアプリケーションの信頼性及び使いやすさを、公知のアプリ又はコンピュータプログラムと比較して向上することができる。特に、本発明は、不完全な画像又は欠陥のある若しくは理想的ではない評価領域を含有する画像を能動的に改善することを可能とし得るものであり、したがって、そのような画像の使用が可能となる。例えば、分析測定を行うために取得された画像を能動的に改善することによって、本発明は、分析測定を行うプロセスの信頼性及び有用性を高めることができる。
【0075】
さらなる考え得る実施形態を除外することなくまとめると、以下の実施形態が想定され得る。
【0076】
実施形態1. 分析測定を行うための方法であって、以下の工程:
a)少なくとも1つのカメラを有する少なくとも1つの携帯デバイスを提供すること;
b)色変化検出反応を行うように構成された少なくとも1つの試験ストリップを提供し、少なくとも1つのサンプルを、試験ストリップに、具体的には、サンプル中の少なくとも1つの分析物を検出するための少なくとも1つの試験化学物質を含有する、試験ストリップの少なくとも1つの試験フィールドに、適用すること;
c)カメラを用いることによって、試験ストリップの少なくとも一部の、複数のピクセルを備えた少なくとも1つの画像を取得すること;
d)画像中の少なくとも1つの対象領域を決定、具体的には識別し、第一のサブセットのピクセルを対象領域と関連付けること;
e)第一のサブセットのピクセル内の色分布を評価し、第一のサブセットのピクセル中の異常値を除外すること;
f)対象領域内の、対象領域よりも小さい面積を有する少なくとも1つの対象サブ領域を決定、具体的には識別し、第二のサブセットのピクセルを対象サブ領域と関連付けること;
g)第一のサブセットのピクセルの色分布の少なくとも1つの平均値と第二のサブセットのピクセルの色分布の少なくとも1つの平均値とを比較することによって、画像の均質性に関する均質性情報の少なくとも1つの項目を判断すること、
を含む、方法。
【0077】
実施形態2. さらに:
h)均質性情報の少なくとも1つの項目が、画像が分析測定を行うのに不適当であることを示す場合、分析測定を行うための方法を中止すること;及び
i)均質性情報の少なくとも1つの項目が、画像が分析測定を行うのに適していることを示す場合、その画像を評価し、少なくとも1つの分析情報、具体的には、サンプル中の少なくとも1つの分析物の濃度に関する情報の少なくとも1つの項目を誘導すること、
を含む、実施形態1に記載の方法。
【0078】
実施形態3. 方法工程g)が、第一のサブセットのピクセルの色分布の平均値と第二のサブセットのピクセルの色分布の平均値との間の差異の絶対値を、少なくとも1つの閾値と比較することを含む、実施形態1又は実施形態2の何れか1つに記載の方法。
【0079】
実施形態4. 差異の絶対値が閾値よりも小さい場合、又は差異の絶対値が閾値を超えない場合、均質性情報の少なくとも1つの項目は、画像が分析測定を行うのに適していることを示す、実施形態3に記載の方法。
【0080】
実施形態5. 方法が、分析測定の最小精度を定めることを含み、方法がさらに、色分布と分析物測定との間の、具体的には対象領域の色分布の平均値とサンプル中の分析物濃度との間の確定可能な関係性を用いることで分析測定の最小精度を閾値に変換することによって、閾値を決定することをさらに含む、実施形態3又は実施形態4の何れか1つに記載の方法。
【0081】
実施形態6. 工程e)が、少なくとも2つの色座標に対して、より好ましくは少なくとも3つの色座標に対して、具体的には独立して、色分布を評価することを含む、実施形態1から実施形態5の何れか1つに記載の方法。
【0082】
実施形態7. 工程g)が、少なくとも2つの色座標のすべてに対して独立して行われる、実施形態6に記載の方法。
【0083】
実施形態8. 均質性情報の少なくとも1つの項目が、少なくとも2つの色座標の各々に対して判断される、実施形態7に記載の方法。
【0084】
実施形態9. 試験ストリップが、少なくとも1つの試験フィールド及び少なくとも1つの参照色フィールドを備え、工程c)が、少なくとも1つの画像が、試験フィールドの少なくとも1つの画像若しくは少なくとも1つの部分画像、及び参照色フィールドの少なくとも1つの画像若しくは少なくとも1つの部分画像を含有するように行われ、工程d)からg)が、試験フィールドの画像又は部分画像、及び参照色フィールドの画像又は部分画像の両方に対して、具体的には独立して、行われる、実施形態1から実施形態8の何れか1つに記載の方法。
【0085】
実施形態10. 参照色フィールドが、少なくとも1つの白色フィールドを含有する、実施形態9に記載の方法。
【0086】
実施形態11. 対象領域及び対象サブ領域が、各々、長方形状、正方形状、丸形状、円形状、並びにこれらの引き算による及び/又は組み合わせによる形状、から成る群より独立して選択される形状を有している、実施形態1から実施形態10の何れか1つに記載の方法。
【0087】
実施形態12. 第一のサブセットのピクセル中の異常値の除外が、色分布のヒストグラム分析又は百分位数分析の一方又は両方を用いることによって行われるように、工程e)が行われる、実施形態1から実施形態11の何れか1つに記載の方法。
【0088】
実施形態13. 工程e)が、[p1-Δp1,p2+Δp2]の許容区間から外れた色、具体的には色座標を有するピクセルを除外することを含み、p1は下限百分位数、p2は上限百分位数、及びΔp1、Δp2は、正の許容範囲である、実施形態1から実施形態12の何れか1つに記載の方法。
【0089】
実施形態14. p1が、色分布の25%分位数であり、p2が、色分布の75%分位数である、実施形態13に記載の方法。
【0090】
実施形態15.
Δp1=f1・(p2-p1)、
及びΔp2=f2・(p2-p1)、
であり、式中、f1、f2は、正の許容係数であり、具体的にはf1、f2≧1、より具体的には1.0≦f1、f2≦2.0、より具体的には1.3≦f1、f2≦1.7、より具体的にはf1、f2=1.5である、実施形態13又は実施形態14の何れか1つに記載の方法。
【0091】
実施形態16. p1が、色分布の25%分位数であり、p2が、色分布の75%分位数であり、許容区間が、[p1-1.5・L,p2+1.5・L]であり、Lは、分位数p1から分位数p2までの範囲である、実施形態15に記載の方法。
【0092】
実施形態17. 工程d)が、試験フィールド、試験フィールドの一部、参照色フィールド、参照色フィールドの一部、から成る群より選択される少なくとも1つの項目を画像中で識別するためのパターン認識法を用いることによって、対象領域を決定することを含む、実施形態1から実施形態16の何れか1つに記載の方法。
【0093】
実施形態18. 対象領域の中心が、画像内の試験フィールドの中心又は参照色フィールドの中心に位置している、実施形態17に記載の方法。
【0094】
実施形態19. 試験フィールド又は参照色フィールドの少なくとも1つのエッジ、好ましくは試験フィールド又は参照色フィールドのすべてのエッジが、対象領域から除かれる、実施形態17又は実施形態18の何れか1つに記載の方法。
【0095】
実施形態20. 対象サブ領域の中心が、対象領域の中心に位置している、実施形態18又は実施形態19の何れか1つに記載の方法。
【0096】
実施形態21. 方法が、さらに、第一のサブセットのピクセル内のピクセル数を少なくとも1つの閾値と比較することを含み、それによって、対象領域のサイズの充分度に関するサイズ充分度情報の少なくとも1つの項目が判断され、サイズ充分度情報の少なくとも1つの項目が、対象領域が不充分なサイズであることを示す場合、分析測定を行うための方法は中止される、実施形態1から実施形態20の何れか1つに記載の方法。
【0097】
実施形態22. 閾値が、絶対閾値、相対閾値から成る群より選択され、具体的には、相対閾値は、第一のサブセットのピクセル中のピクセル数に依存する、実施形態21に記載の方法。
【0098】
実施形態23. 方法が、さらに、工程e)で異常値を除外する前の第一のサブセットのピクセル中のピクセル数を、工程e)で異常値を除外した後の第一のサブセットのピクセル中のピクセル数と比較することを含む、実施形態1から実施形態22の何れか1つに記載の方法。
【0099】
実施形態24. 工程e)で異常値を除外した後の第一のサブセットのピクセル中のピクセル数が、工程e)で異常値を除外する前の第一のサブセットのピクセル中のピクセル数の所定のパーセントよりも小さい場合、分析測定を行うための方法は中止される、実施形態23に記載の方法。
【0100】
実施形態25. 実施形態1から実施形態24の何れか1つに記載の方法を行うための、具体的には、方法工程d)、e)、f)、及びg)、並びに所望に応じて工程h)及びi)のうちの1又は複数を行うための、コンピュータで実行可能な命令を含むコンピュータプログラムであって、プログラムは、コンピュータ又はコンピュータネットワーク上で、具体的には、少なくとも1つのカメラを有する携帯デバイスのプロセッサ上で実行される、コンピュータプログラム。
【0101】
実施形態26. 分析測定を行うための携帯デバイスであって、少なくとも1つのカメラを有し、少なくとも1つの分析測定を、以下の工程:
A)カメラを用いることによって、試験ストリップの少なくとも一部の、複数のピクセルを備えた少なくとも1つの画像を取得すること;
B)画像中の少なくとも1つの対象領域を決定、具体的には識別し、第一のサブセットのピクセルを対象領域と関連付けること;
C)第一のサブセットのピクセル内の色分布を評価し、第一のサブセットのピクセル中の異常値を除外すること;
D)対象領域内の、対象領域よりも小さい面積を有する少なくとも1つの対象サブ領域を決定、具体的には識別し、第二のサブセットのピクセルを対象サブ領域と関連付けること;並びに
E)第一のサブセットのピクセルの色分布の少なくとも1つの平均値と第二のサブセットのピクセルの色分布の少なくとも1つの平均値とを比較することによって、画像の均質性に関する均質性情報の少なくとも1つの項目を判断すること、
を用いて行うように構成された、携帯デバイス。
【0102】
実施形態27. 工程B)~E)を行うようにプログラムされた少なくとも1つのプロセッサを備える、実施形態26に記載の携帯デバイス。
【0103】
実施形態28. 携帯デバイスが、具体的にはプロセッサを用いることによって、実施形態1から実施形態24の何れか1つに記載の方法を行うように構成されている、実施形態26又は実施形態27の何れか1つに記載の携帯デバイス。
【0104】
実施形態29. 分析測定を行うためのキットであって、キットは:
- 実施形態26から実施形態28の何れか1つに記載の少なくとも1つの携帯デバイス;及び
- 色変化検出反応を行うように構成された少なくとも1つの試験ストリップ、具体的には、光学試験ストリップ、具体的には、少なくとも1つの試験フィールドを有し、試験フィールドは、サンプル中の少なくとも1つの分析物を検出するための少なくとも1つの試験化学物質を含有している、試験ストリップ、
を備える、キット。
【0105】
図面の簡単な説明
さらなる所望に応じて存在してよい特徴及び実施形態が、続いての実施形態の記述において、好ましくは従属請求項と合わせて、より詳細に開示される。それに関して、当業者であれば認識されるように、対応する所望に応じて存在してよい特徴が、単独で、さらには任意の何れかの実行可能な組み合わせで実現され得る。本発明の範囲は、好ましい実施形態によって限定されない。実施形態は、図面で模式的に示される。それに関して、これらの図面中の同一の符号は、同一の、又は機能的に同等の要素を意味する。
【図面の簡単な説明】
【0106】
【
図1】
図1は、分析測定を行うための方法のフローチャートを示す。
【
図2】
図2は、分析測定を行うための方法のフローチャートを示す。
【
図3】
図3は、分析測定を行うためのキット及び携帯デバイスの実施形態の透視図を示す。
【
図4】
図4は、携帯デバイスによって取得された画像の実施形態を示す。
【
図5A】
図5Aは、携帯デバイスによって取得された画像の実施形態及び決定された対象領域を示す。
【
図6A】
図6Aは、携帯デバイスによって取得された画像の実施形態及び決定された対象領域を示す。
【
図7】
図7は、携帯デバイスによって取得された画像の実施形態、及び決定された対象領域、さらには決定された対象サブ領域を示す。
【
図8】
図8は、携帯デバイスによって取得された画像の実施形態、及び決定された対象領域、さらには決定された対象サブ領域を示す。
【発明を実施するための形態】
【0107】
図1では、分析測定を行うための方法の実施形態のフローチャートが示される。方法は、工程a)(方法工程110)少なくとも1つのカメラ114を有する少なくとも1つの携帯デバイス112を提供すること、を含む。例えば、
図3に示されるように、少なくとも1つのカメラ114を有する携帯デバイス112が提供されてよい。方法はさらに、工程b)(方法工程116)色変化検出反応を行うように構成された少なくとも1つの試験ストリップ118を提供し、試験ストリップ118に、少なくとも1つのサンプルを適用すること、を含む。サンプルは、具体的には、サンプル中の少なくとも1つの分析物を検出するための少なくとも1つの試験化学物質を含有する少なくとも1つの試験フィールド120に適用されてよい。具体的には、
図3に示されるように、試験ストリップ118及び試験フィールド120が提供されてよい。加えて、試験ストリップ118は、さらに、参照色フィールド121を備えていてもよい。
【0108】
方法はさらに、工程c)(方法工程122)カメラ114を用いることによって、試験ストリップ118の少なくとも一部の少なくとも1つの画像124を取得すること、を含む。具体的には、画像124は、例えば
図4に示されるように取得されてよい。画像124は、複数のピクセルを備えている。さらに、方法は、工程d)(方法工程126)画像124中の少なくとも1つの対象領域128を決定、具体的には識別し、第一のサブセットのピクセルを対象領域128と関連付けること、を含む。具体的には、対象領域128は、例えば
図5Aに示されるように決定されてよい。
【0109】
方法はさらに、工程e)(方法工程130)第一のサブセットのピクセル内の色分布を評価し、第一のサブセットのピクセル中の異常値を除外すること、を含む。さらに、方法は、工程f)(方法工程132)対象領域128内の、対象領域128よりも小さい面積を有する少なくとも1つの対象サブ領域134を決定、具体的には識別し、第二のサブセットのピクセルを対象サブ領域134と関連付けること、を含む。方法はさらに、工程g(方法工程136)第一のサブセットのピクセルの色分布の少なくとも1つの平均値と第二のサブセットのピクセルの色分布の少なくとも1つの平均値とを比較することによって、画像124の均質性に関する均質性情報の少なくとも1つの項目を判断すること、を含む。
【0110】
図2に示されるように、分析測定を行うための方法の実施形態は、追加として、枝分かれ点138を含んでよい。枝分かれ点138は、第一の枝分かれ140と第二の枝分かれ142との間での決定など、条件質問を示してよい。例えば、条件質問は、均質性情報の項目を利用してもよい。均質性情報の項目は、「適している」(「y」)又は「適していない」(「n」)などの画像124の均質性に関するブーリアン情報を含んでいてよい。第一の枝分かれ140は、画像124が分析測定を行うのに不適当であることを示しており、したがって、第一の枝分かれ140は、工程h)(方法工程144)均質性情報の少なくとも1つの項目が、画像124が分析測定を行うのに不適当であることを示す場合、分析測定を行うための方法を中止すること、に繋がってよい。具体的には、均質性情報の項目が、画像124が血糖値測定を行うのに「不適当である」ことを示す場合、血糖値測定は行われなくてよい。
【0111】
第二の枝分かれ142は、画像124が分析測定を行うのに適していることを示す。したがって、第二のブロンズ(bronze)は、工程i)(方法工程146)均質性情報の少なくとも1つの項目が、画像124が分析測定を行うのに適していることを示す場合、その画像124を評価し、少なくとも1つの分析情報、具体的には、サンプル中の少なくとも1つの分析物の濃度に関する情報の少なくとも1つの項目を誘導すること、に繋がってよい。具体的には、均質性情報の項目が、画像124が血糖値測定を行うのに「適している」ことを示す場合、血糖値測定が行われてよい。具体的には、サンプル中の少なくとも1つの分析物の濃度に関する情報の少なくとも1つの項目が、画像124から誘導されてよい。
【0112】
図3には、分析測定を行うためのキット148及び携帯デバイスの実施形態が、透視図で示される。キット148は、少なくとも1つの携帯デバイス112及び色変化検出反応を行うように構成された少なくとも1つの試験ストリップ118を備える。カメラ114を有する携帯デバイス112は、さらに、プロセッサ149を備えていてよい。携帯デバイス112は、具体的にはプロセッサ149を用いることによって、
図1及び2に示される方法を行うように構成されていてよい。試験ストリップ118は、具体的には、光学試験ストリップであってよい。特に、上記で述べたように、試験ストリップ118は、具体的には、少なくとも1つの試験フィールド120を有してよく、試験フィールド120は、サンプル中の少なくとも1つの分析物を検出するための少なくとも1つの試験化学物質を含有する。
【0113】
携帯デバイス112は、
図3に示されるように、カメラ114を用いることによって、試験ストリップ118の少なくとも一部の少なくとも1つの画像124を取得してよい。携帯デバイス112によって取得された画像124の実施形態が、
図4に示される。具体的には、画像124は、複数のピクセルを備えている。
図4に示されるように、試験ストリップ118の少なくとも一部の画像124は、例えば、試験ストリップ118に対する損傷部150、及び/又は試験フィールド120若しくは参照色フィールド121内の汚染された又は汚れた領域152など、様々な欠陥のある又は理想的ではない評価領域を示す場合がある。
【0114】
さらに、
図5Aに示されるように、少なくとも1つの対象領域128が、画像124内で決定されてよく、第一のサブセットのピクセルが、対象領域128と関連付けられる。対象領域128は、例えば破線で示される、長方形状から円形状を引き算した形状を有してよい。例えば、参照色フィールド121内の汚染された又は汚れた領域152が、対象領域128内に存在し得る。
図5Aに示される汚染された又は汚れた領域152は、特に、赤色の血痕であり得る。
図5Aに示される対象領域128に対応するヒストグラムは、
図5Bに示される。ヒストグラムは、例えば赤色に対する値を示す色座標などの1つの色座標に基づいていてよい。具体的には、ヒストグラムは、ピクセルの赤色の値(横軸)に対するピクセルの数(縦軸)を示してよい。図から分かるように、いくつかのピクセルは、例えば横軸上の120~170カウントの値を有するピクセルなど、横軸上のおよそ180カウントの値を有する大部分のピクセルよりも濃い階調の赤色を示している。したがって、
図5Aに示される対象領域と比較すると、より濃い階調の赤色を示すピクセルは、明らかに、対象領域128内の汚染された又は汚れた、特に赤色の血痕によって汚染された又は汚れた領域152と関連付けられてよい。
【0115】
第一のサブセットのピクセル内の色分布を評価し、第一のサブセットのピクセル中の異常値を除外した後、参照色フィールド121内の汚染された又は汚れた領域152、特に赤色の血痕は、
図6Aに示されるように、もはや対象領域128内には存在しないであろう。
図6Aに示される対象領域128に対応するヒストグラムは、
図6Bに示される。ヒストグラムは、
図6Bに示されるように、赤色に対する値を示す色座標に基づいており、
図6Aに示される対象領域128内のピクセルの赤色の値(横軸)に対するピクセルの数(縦軸)を示している。図から分かるように、対象領域128は、例えば横軸上の120~170カウントの値を有するピクセルなど、より濃い階調の赤色を示すピクセルをもはや含んでいない。
【0116】
対象サブ領域134が、対象領域128内に決定されてもよい。対象サブ領域134は、具体的には、
図7及び8に示されるように、対象領域128よりも小さい面積を有する。特に、
図7に示されるように、対象サブ領域134は、例えば、対象サブ領域128とは異なる形状を有してよい。
【符号の説明】
【0117】
110 工程a)少なくとも1つのカメラを有する少なくとも1つの携帯デバイスを提供すること
112 携帯デバイス
114 カメラ
116 工程b)色変化検出反応を行うように構成された少なくとも1つの試験ストリップを提供し、少なくとも1つのサンプルを試験ストリップに適用すること
118 試験ストリップ
120 試験フィールド
121 参照色フィールド
122 工程c)カメラを用いることによって、試験ストリップの少なくとも一部の少なくとも1つの画像を取得すること
124 画像
126 工程d)画像中の少なくとも1つの対象領域を決定すること
128 対象領域
130 工程e)第一のサブセットのピクセル内の色分布を評価し、第一のサブセットのピクセル中の異常値を除外すること
132 工程f)対象領域内の、対象領域よりも小さい面積を有する少なくとも1つの対象サブ領域を決定し、第二のサブセットのピクセルを対象サブ領域と関連付けること
134 対象サブ領域
136 工程g)第一のサブセットのピクセルの色分布の少なくとも1つの平均値と第二のサブセットのピクセルの色分布の少なくとも1つの平均値とを比較することによって、画像の均質性に関する均質性情報の少なくとも1つの項目を判断すること
138 枝分かれ点
140 第一の枝分かれ
142 第二の枝分かれ
144 工程h)均質性情報の少なくとも1つの項目が、画像が分析測定を行うのに不適当であることを示す場合、分析測定を行うための方法を中止すること
146 工程i)均質性情報の少なくとも1つの項目が、画像が分析測定を行うのに適していることを示す場合、その画像を評価し、少なくとも1つの分析情報、具体的には、サンプル中の少なくとも1つの分析物の濃度に関する情報の少なくとも1つの項目を誘導すること
148 キット
149 プロセッサ
150 損傷部
152 汚れた領域