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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-11
(45)【発行日】2023-01-19
(54)【発明の名称】車両充電装置及び機械式駐車装置
(51)【国際特許分類】
   E04H 6/42 20060101AFI20230112BHJP
   E04H 6/18 20060101ALI20230112BHJP
【FI】
E04H6/42 Z
E04H6/18 606Z
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021140667
(22)【出願日】2021-08-31
【審査請求日】2022-10-31
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000141521
【氏名又は名称】株式会社技研製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100113549
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 守
(74)【代理人】
【識別番号】100115808
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 真司
(74)【代理人】
【識別番号】100169199
【弁理士】
【氏名又は名称】石本 貴幸
(72)【発明者】
【氏名】岡村 幸英
(72)【発明者】
【氏名】高橋 一成
(72)【発明者】
【氏名】西原 竜也
【審査官】土屋 保光
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-206823(JP,A)
【文献】特開2011-117158(JP,A)
【文献】特開2011-094434(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04H 6/00 - 6/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下移動する搬送装置によって車両を所定階まで搬送し、前記所定階に設けられた所定の格納部へ前記搬送装置から前記車両を移動させて格納する機械式駐車装置の車両充電装置であって、
前記車両の充電ケーブルが接続される充電部と、
前記搬送装置に設けられ、前記充電部と接続する配置部と、
前記格納部に設けられ、前記充電部と接続して前記充電ケーブルへ電力を供給する給電部と、
を備え、
前記車両が前記搬送装置によって搬送される場合に前記充電部は前記配置部と接続し、前記搬送装置から前記格納部へ前記車両を移動させることで前記充電部と前記給電部とが接続し、前記充電部と前記給電部とが接続した後に前記充電部と前記配置部とが非接続となる、車両充電装置。
【請求項2】
前記車両を入庫する場合、
前記車両が載置された前記搬送装置は、前記所定階へ移動すると前記車両を載置した状態で前記格納部まで伸長し、前記格納部に対して下方向に相対移動することで前記格納部へ前記車両を移動させた後に収縮し、
前記充電部は、前記搬送装置が伸長することで前記給電部と接続し、前記搬送装置が前記格納部に対して下方向へ相対移動することで前記配置部とは非接続となる、
請求項1に記載の車両充電装置。
【請求項3】
前記車両を出庫する場合、
前記搬送装置は、出庫する前記車両が格納されている前記所定階へ移動すると前記格納部まで伸長し、前記格納部に対して上方向に相対移動することで前記格納部から前記車両を移動させた後に収縮し、
前記充電部は、前記搬送装置が前記格納部に対して上方向へ相対移動することで前記配置部と接続し、前記搬送装置が収縮することで前記給電部とは非接続となる、
請求項1又は請求項2に記載の車両充電装置。
【請求項4】
前記充電部は、下面で前記配置部と接続し、前記搬送装置から前記格納部への前記車両の移動方向で前記給電部と接続する、請求項2又は請求項3に記載の車両充電装置。
【請求項5】
前記配置部は、前記搬送装置に載置される前記車両の下側であって、前記車両の前輪近傍に設けられる、請求項1から請求項4の何れか1項に記載の車両充電装置。
【請求項6】
前記格納部は、
前記車両の両側面に対して平行方向に延伸する一対の本体部と
前記車両の各車輪を前記車両の前後方向で支持するために、前記本体部に対して直交方向に設けられる複数の車輪支持部材と、
を備え、
前記搬送装置は、前記車両を載置して前記格納部まで移動する載置部に前記車輪支持部材が上下方向に通過する間隙が形成される、
請求項1から請求項5の何れか1項に記載の車両充電装置。
【請求項7】
上下移動する搬送装置によって車両を所定階まで搬送し、前記所定階に設けられた所定の格納部へ前記搬送装置から前記車両を移動させて格納する機械式駐車装置であって、
前記車両の充電ケーブルが接続される充電部と、
前記搬送装置に設けられ、前記充電部と接続する配置部と、
前記格納部に設けられ、前記充電部と接続して前記充電ケーブルへ電力を供給する給電部と、
を備え、
前記車両が前記搬送装置によって搬送される場合に前記充電部は前記配置部と接続し、前記搬送装置から前記格納部へ前記車両を移動させることで前記充電部と前記給電部とが接続し、前記充電部と前記給電部とが接続した後に前記充電部と前記配置部とが非接続となる、機械式駐車装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両充電装置及び機械式駐車装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電気自動車や充電可能なハイブリッド自動車(PHV:Plug-in Hybrid Vehicle)の普及に伴い、入庫した車両に充電を行う充電装置を備える機械式駐車装置が開発されている。
【0003】
特許文献1から6には、パレットに車両を載置した搬送装置が車両の格納部へ移動し、パレットと共に車両を格納部に格納する機械式駐車装置の充電装置が記載されている。このような機械式駐車装置は、車両の充電ケーブルが接続される充電用接点がパレットに固定されている。そして、車両が載置されたパレットが格納部に格納されると共に、パレットの充電用接点と格納部に設けられた給電用接点とが接続され、格納部で車両に充電が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2002-004620号公報
【文献】特開2010-084491号公報
【文献】特開2013-160024号公報
【文献】特開2014-134079号公報
【文献】特開2015-040421号公報
【文献】特開2016-200001号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、機械式駐車装置には、パレットと共に車両を格納部に格納するのではなく、車両のみを搬送装置から格納部へ受け渡すものがある。このような機械式駐車装置では、パレットに固定した充電用接点を用いることはできない。
【0006】
そこで本発明は、車両のみを搬送装置から格納部へ受け渡す機械式駐車装置であっても格納する車両に充電を行なえる、車両充電装置及び機械式駐車装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の車両充電装置は、上下移動する搬送装置によって車両を所定階まで搬送し、前記所定階に設けられた所定の格納部へ前記搬送装置から前記車両を移動させて格納する機械式駐車装置の車両充電装置であって、前記車両の充電ケーブルが接続される充電部と、前記搬送装置に設けられ、前記充電部と接続する配置部と、前記格納部に設けられ、前記充電部と接続して前記充電ケーブルへ電力を供給する給電部と、を備え、前記車両が前記搬送装置によって搬送される場合に前記充電部は前記配置部と接続し、前記搬送装置から前記格納部へ前記車両を移動させることで前記充電部と前記給電部とが接続し、前記充電部と前記給電部とが接続した後に前記充電部と前記配置部とが非接続となる。
【0008】
本構成の充電部は、車両が搬送装置によって搬送される際に、搬送装置に設けられている配置部と接続している。搬送装置から格納部へ車両を移動させることで格納部に設けられている給電部と接続し、充電部と給電部とが接続した後に充電部と配置部とが非接続となる。
【0009】
これにより、搬送装置に配置されていた充電部は、車両が格納部に格納されると共に格納部に移動し、充電部に接続された充電ケーブルを介して給電部から車両への充電が行われる。従って、車両のみを搬送装置から格納部へ受け渡す機械式駐車装置であっても、格納する車両に充電を行なえる。
【0010】
本発明の車両充電装置において、前記車両を入庫する場合、前記車両が載置された前記搬送装置は、前記所定階へ移動すると前記車両を載置した状態で前記格納部まで伸長し、前記格納部に対して下方向に相対移動することで前記格納部へ前記車両を移動させた後に収縮し、前記充電部は、前記搬送装置が伸長することで前記給電部と接続し、前記搬送装置が前記格納部に対して下方向へ相対移動することで前記配置部とは非接続となってもよい。
【0011】
本構成によれば、車両を入庫する場合、搬送装置から格納部へ車両を移動させるための搬送装置の伸長動作に伴って充電部と給電部とが接続し、搬送装置の下方向への相対移動に伴って充電部と配置部とが非接続となる。従って、本構成は、充電部と給電部との接続及び充電部と配置部との非接続を実現するための専用の構成が不要となる。
【0012】
本発明の車両充電装置において、前記車両を出庫する場合、前記搬送装置は、出庫する前記車両が格納されている前記所定階へ移動すると前記格納部まで伸長し、前記格納部に対して上方向に相対移動することで前記格納部から前記車両を移動させた後に収縮し、前記充電部は、前記搬送装置が前記格納部に対して上方向へ相対移動することで前記配置部と接続し、前記搬送装置が収縮することで前記給電部とは非接続となってもよい。
【0013】
本構成によれば、車両を出庫する場合には、搬送装置の上方向への相対移動に伴って充電部と配置部とが接続し、格納部から搬送装置へ車両を移動させるための搬送装置の収縮動作に伴って充電部と給電部とが非接続となる。従って、本構成は、充電部と給電部との接続及び充電部と配置部との非接続を実現するための専用の構成が不要となる。
【0014】
本発明の車両充電装置において、前記充電部は、下面で前記配置部と接続し、前記搬送装置から前記格納部への前記車両の移動方向で前記給電部と接続してもよい。
【0015】
本構成によれば、充電部は搬送装置に設けられた配置部及び格納部に設けられた給電部との接続又は非接続を、簡易な構成で実現できる。
【0016】
本発明の車両充電装置において、前記配置部は、前記搬送装置に載置される前記車両の下側であって、前記車両の前輪近傍に設けられてもよい。
【0017】
本構成によれば、車両の乗員にとって利便性の高い位置に配置部が設けられる。
【0018】
本発明の車両充電装置において、前記格納部は、前記車両の両側面に対して平行方向に延伸する一対の本体部と、前記車両の各車輪を前記車両の前後方向で支持するために、前記本体部に対して直交方向に設けられる複数の車輪支持部材と、を備え、前記搬送装置は、前記車両を載置して前記格納部まで移動する載置部に前記車輪支持部材が上下方向に通過する間隙が形成されてもよい。
【0019】
本構成によれば、所謂、くし歯式の機械式駐車装置であっても格納する車両に充電を行なえる。
【0020】
本発明の機械式駐車装置は、上下移動する搬送装置によって車両を所定階まで搬送し、前記所定階に設けられた所定の格納部へ前記搬送装置から前記車両を移動させて格納する機械式駐車装置であって、前記車両の充電ケーブルが接続される充電部と、前記搬送装置に設けられ、前記充電部と接続する配置部と、前記格納部に設けられ、前記充電部と接続して前記充電ケーブルへ電力を供給する給電部と、を備え、前記車両が前記搬送装置によって搬送される場合に前記充電部は前記配置部と接続し、前記搬送装置から前記格納部へ前記車両を移動させることで前記充電部と前記給電部とが接続し、前記充電部と前記給電部とが接続した後に前記充電部と前記配置部とが非接続となる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、車両のみを搬送装置から格納部へ受け渡す機械式駐車装置であっても格納する車両に充電を行なえる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1図1は、本実施形態の駐車場の透視斜視図である。
図2図2は、本実施形態の駐車場の正面方向の断面図である。
図3図3は、本実施形態の入出庫室の上面概略図である。
図4図4は、本実施形態の搬送装置の上面概略図である。
図5図5は、本実施形態の搬送装置の伸長状態を示す上面概略図である。
図6図6は、駐車室パレット及びスライド部の上面図である。
図7図7は、本実施形態の搬送装置から駐車室パレットへの車両の格納工程を示す図である。
図8図8は、本実施形態の車両充電装置の概略構成図である。
図9図9は、本実施形態の充電ボックスの移動工程を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。なお、以下に説明する実施形態は、本発明を実施する場合の一例を示すものであって、本発明を以下に説明する具体的構成に限定するものではない。本発明の実施にあたっては、実施形態に応じた具体的構成が適宜採用されてよい。
【0024】
図1及び図2を参照して、本実施形態の機械式駐車場(以下「駐車場」という。)10の概略構成を説明する。図1は、本実施形態の駐車場10の透視斜視図である。図2は、本実施形態の駐車場10の正面方向の断面図である。
【0025】
本実施形態の駐車場10は、車両12を格納する複数の格納部14を備える躯体16が地下に埋設される地下駐車場である。なお、本実施形態の駐車場10に格納される車両12は特に限定されないが、電気自動車や充電可能なハイブリッド自動車(PHV:Plug-in Hybrid Vehicle)が最も適している。また、これに限らず、駐車場10は、ホイールベースの長さが特定の長さとされた一定の規格の自動車のみを格納するように設計されてもよい。このように設計することで、駐車場10全体や駐車場10を構成する内部機械装置の部品数を低減し、簡素化できる。
【0026】
図1に示すように、駐車場10は、地上から地下にかけて筒状に形成された躯体16の内部に複数の格納部14が階層的に設けられて構成される。躯体16は、複数の杭を円形に並べて打設することで全体として円筒状に形成されている。図1,2の例では、格納部14が5層とされているが、これに限らず、格納部14は複数層であればよい。また、躯体16は、杭を打設することで形成されるだけでなく、コンクリートや鉄骨を用いて形成されてもよい。
【0027】
躯体16の地上レベルの開口には、蓋板18が被せられている。蓋板18の上には、円筒状の躯体16の中央に建屋20が設けられている。建屋20には、車両12が入場又は出場する車両入出口22が設けられ、その内部は入出庫室24(図3参照)となっている。
【0028】
躯体16の内部には、車両12を載置させる搬送装置30が備えられ、蓋板18には、搬送装置30に対応する位置に開口が形成されている。このため、建屋20は、少なくとも蓋板18の開口を囲うように配置される。車両12の乗員は、入庫時に車両12を運転して建屋20へ進入させ、建屋20内に位置している搬送装置30に駐車をして降車する。また、出庫時には、建屋20内に位置している搬送装置30に載置されている車両12に乗員が乗り込み運転をして建屋20から退出する。
【0029】
搬送装置30は、車両12が載置されて昇降路29内を上下移動する。昇降路29は、躯体16の中央領域において搬送装置30が上下移動するための空間である。搬送装置30は、昇降路29の周りに放射状に設けられている複数の格納部14との間で車両12の受け渡しを行う。
【0030】
すなわち、駐車場10は、車両12の入庫時には、上下移動する搬送装置30によって車両12を所定階まで搬送し、所定階に設けられた所定の格納部14へ搬送装置30から車両12を移動させて格納する。一方、車両12の出庫時に駐車場10は、出庫させる車両12が格納されている格納部14まで搬送装置30を移動させ、格納部14から搬送装置30へ車両12を移動させる。そして、搬送装置30は、車両12を建屋20まで搬送する。
【0031】
なお、搬送装置30は、任意の方向に回転可能とされ、出庫のために格納部14から建屋20まで移動させた車両12の正面を車両入出口22に向けることができる。また、車両12が格納される格納部14は、車両12を入庫させる際に、従来既知の方法によって決定される。
【0032】
次に搬送装置30の詳細について図3から図5を参照して説明する。図3は入出庫室24の上面概略図であり、図4は搬送装置30の上面概略図であり、図5は搬送装置30の伸長状態を示す上面概略図である。
【0033】
入出庫室24には、上述のように搬送装置30が配置され、図3の矢印方向から車両12が入室し、搬送装置30に車両12が載置される。なお、図3において斜線でハッチングされた領域は蓋板18に対応しており、斜線でハッチングされた領域以外が搬送装置30であり、上下移動を行う。
【0034】
また、入室した車両12の前面と対向する位置にある入出庫室24内の壁には、モニタ31が設置される。モニタ31には、入出庫室24内に設置されたカメラで撮影された車両12の正確な位置や、前輪の嵌まり込み(後述)の成否や、それに伴う前進・後退の指示が表示される。
【0035】
搬送装置30は、車両12が載置される本体部32、及び乗員が車両12に乗降する領域であるデッキ部34を備える。本体部32はデッキ部34を介して、支持部材35(図4参照)に支持され、支持部材35にワイヤー(不図示)が取り付けられる。ワイヤーの他端にはカウンターウェイトが取り付けられ、これにより搬送装置30は上下移動する。
【0036】
図5に示されるように搬送装置30の本体部32は、スライド部36とターンデッキ部38とを備える。ターンデッキ部38は、本体部32を回転させる機構を備え、その上面にスライド部36が設けられる。
【0037】
スライド部36は、車両12が載置され、ターンデッキ部38から図5の矢印方向に移動する。このスライド部36の移動により、搬送装置30は伸長し、格納部14への車両12の移動及び格納部14からの車両12の移動を行う。
【0038】
スライド部36は、車両12の前輪が載置される領域に間隙(以下「スリット」という。)40Aが形成され、後輪が載置される領域に間隙(以下「スリット」という。)40Bが形成される。スライド部36は、2つのスリット40Bの間隔よりも2つのスリット40Aの間隔のほうが広く設定されている。また、車両12の前輪が載置される2つのスリット40Aの間の部分は、スライド部36の他の部分よりも一段低く窪んだ凹形状になっている。この窪みに車両12の前輪が嵌まり込むことでスライド部36における車両12の移動が制限され、車両12がスライド部36から落下することを防止する。このため、車両12の乗員は、入出庫室24内に配置された搬送装置30に対して、スライド部36の窪みに前輪が嵌り込むように車両12を載置する。なお、以下の説明では、スリット40Aとスリット40Bとを区別しない場合には、単にスリット40という。また、一つの車輪に対応するスリット40の数は、少なくとも2つであり、例えば一つの車輪に対して3つ以上のスリット40が形成されてもよい。
【0039】
また、車両12の乗員がスライド部36の窪みに前輪が嵌まり込んだことの確認のため、スリット40Aの近傍(窪み部分の両端など)にタイヤ検知センサを設けても良い。これにより、前輪が嵌まり込んでいるか否かをセンサで検知し、嵌まり込んでいない場合には音声や画像で車両12の乗員にアナウンスすることで、車両12の落下などの事故を確実に防ぐことができる。
【0040】
次に図6,7を参照して、本実施形態の搬送装置30から駐車室パレット50への車両12の格納について説明する。駐車室パレット50は、格納部14の各々に設けられており、一台ずつ車両12が載置可能とされる、所謂、くし歯式のパレットである。
【0041】
本実施形態の駐車室パレット50は、図6(A)に示されるように、一対の本体部52と複数の車輪支持部材54とで形成される。一対の本体部52は、車両12の両側面に対して平行方向に延伸する。複数の車輪支持部材54は、車両12の各車輪を車両12の前後方向で支持するために、本体部52に対して直交方向に設けられる。そして、スライド部36のスリット40は、車輪支持部材54が上下方向に通過する間隙として形成される。
【0042】
なお、車輪支持部材54は、本体部52に対して付け替えが可能とされてもよい。例えば、駐車室パレット50をホイールベースのより長い車両12、ホイールベースのより短い車両12に対応させるために本体部52に対する車輪支持部材54の取付位置が適宜変更可能とされてもよい。
【0043】
次に、搬送装置30から駐車室パレット50への車両12の格納工程について説明する。搬送装置30が車両12を格納する所定階まで移動すると、車両12が載置されたスライド部36が格納部14の駐車室パレット50に向かって移動(伸長)する(図7(A))。
【0044】
スライド部36は、スリット40と車輪支持部材54とが合致する位置まで移動すると伸長が停止する(図7(B))。
【0045】
スライド部36の伸長が停止すると、搬送装置30が下方向へ移動する(図7(C))。このとき、駐車室パレット50の車輪支持部材54が、スライド部36のスリット40を通過する。
【0046】
搬送装置30の下方向への移動に伴いスライド部36が駐車室パレット50よりも下側に位置すると、スライド部36から駐車室パレット50へ車両12が移動することとなる(図7(D))。
【0047】
その後、スライド部36がターンデッキ部38へ戻るために収縮し(図7(E))、搬送装置30から格納部14への車両12の移動が完了する(図7(F))。車両12の移動が完了すると、搬送装置30は入出庫室24に戻るが、これに限らず、搬送装置30は、出庫待ちとなっている車両12が格納されている格納階へ移動してもよい。
【0048】
なお、出庫のために格納部14から搬送装置30へ車両12を移動させる場合には、搬送装置30は、図7(A)から図7(F)の動作とは逆の動作を行う。
【0049】
ここで、本実施形態の駐車場10は、上述のように、電気自動車や充電可能なハイブリッド自動車も格納可能とされている。このため、本実施形態の駐車場10は、格納部14に格納している電気自動車等への充電を可能としている。
【0050】
図8を参照して、本実施形態の駐車場10における車両充電装置60について説明する。図8は、本実施形態の車両充電装置60を構成する充電ボックス62、配置部64及び充電ボックス受け部66の概略側面図である。なお、図8の紙面右方向が格納部14の格納される車両12の前方方向に対応する。
【0051】
充電ボックス62は、車両12の充電ケーブル68が接続される充電部である。なお、充電ケーブル68と充電ボックス62との接続及び接続解除は、車両12の乗員によって行われる。
【0052】
充電ボックス62は、配置部64又は充電ボックス受け部66と接続可能とされている。一例として、充電ボックス62は、下面で配置部64と接続し、搬送装置30から格納部14への車両12の移動方向で充電ボックス受け部66と接続する。
【0053】
なお、充電ボックス62と充電ボックス受け部66との接続は、機械的な接続だけでなく電気的な接続も兼ねている。このため、充電ボックス受け部66には電力供給ピン70が設けられ、電力供給ピン70が充電ボックス62に設けられたピン挿入部72に挿入されることで、充電ボックス62と充電ボックス受け部66とが嵌合されると共に、電気的に接続される。
【0054】
また、充電ケーブル68にはコントローラが付属されている場合がある。このため、充電ボックス62には、このコントローラを取り付けるための取付部が設けられてもよい。
【0055】
配置部64は、搬送装置30に設けられ充電ボックス62と接続することで、充電ボックス62を搬送装置30に配置する部材である。配置部64には、配置ピン65が設けられており、この配置ピン65が充電ボックス62と嵌合する。なお、本実施形態の配置ピン65は2本とされるが、これは一例であり、充電ボックス62を支えることができれば、1本でもよいし、3本以上でもよい。また、充電ボックス62にピンを設けて配置部64と嵌合させても良い。さらに、配置部64と充電ボックス62が着脱可能であればピンによる嵌合方式に限らず、スライド嵌合方式でも良いし、嵌合方式ではなくアーム等による把持・挟持方式や磁気等による着脱方式であっても良い。
【0056】
配置部64は、図6(B)に示されるように、スライド部36(搬送装置30)に載置される車両12の下側であって、車両12の前輪近傍に設けられる。この配置位置は、後述するように、車両12の乗員が配置部64に充電ボックス62を接続させるにあたり、利便性の高い位置である。また、配置部64は、スライド部36に設けられるとこにより、スライド部36の伸縮に伴い移動する。
【0057】
充電ボックス受け部66は、格納部14に設けられ、充電ボックス62と接続して充電ケーブル68へ電力を供給する給電部である。充電ボックス受け部66は、図6(A)に示されるように、スライド部36に配置されている配置部64の位置に対応するように、駐車室パレット50毎に配置される。そして、充電ボックス受け部66は、駐車場10から電力が供給されることで、接続した充電ボックス62を介して充電ケーブル68で電力を供給する。
【0058】
本実施形態の充電ボックス受け部66には、接続した充電ボックス62の両側面及び上面を覆うカバー部材74が設けられる。カバー部材74は、充電ボックス62と充電ボックス受け部66との接続箇所、換言すると、電気的な接点部に埃やゴミ等が付着することを防止する。また、カバー部材74は、電力供給ピン70がピン挿入部72に挿入されるためのガイドの役割も有している。
【0059】
このような車両充電装置60の構成により、車両12が搬送装置30によって搬送される場合に充電ボックス62は配置部64と接続し、搬送装置30から駐車室パレット50(格納部14)へ車両12を移動させることで充電ボックス62と充電ボックス受け部66とが接続する。そして、充電ボックス62と充電ボックス受け部66とが接続した後に充電ボックス62と配置部64とが非接続となる。
【0060】
これにより、搬送装置30に配置されていた充電ボックス62は、車両12が格納部14に格納されると共に格納部14(駐車室パレット50)に移動することとなる。そして、充電ボックス62が充電ボックス受け部66と接続することで、充電ボックス62に接続された充電ケーブル68を介してから車両12へ充電が行われる。従って、車両12のみを搬送装置30から格納部14へ受け渡す駐車場10であっても、格納する車両12に充電を行なえる。
【0061】
次に、図9を参照して、本実施形態の駐車場10における充電ボックス62の移動工程を説明する。なお、図9の紙面右方向が格納部14の格納される車両12の前方方向に対応する。
【0062】
まず、車両12を入庫する場合、車両12は入出庫室24内の搬送装置30に載置される。入出庫室24内の所定位置には複数の充電ボックス62が配置されている。車両12の乗員は入出庫室24において充電ボックス62を配置部64に接続させ、充電ボックス62に充電ケーブル68を接続する。
【0063】
乗員が入出庫室24から退室すると、搬送装置30は車両12を格納する所定階へ移動する。
【0064】
車両12が載置された搬送装置30は、所定階へ移動すると車両12を載置した状態でスライド部36が駐車室パレット50まで伸長する(図9(A))。充電ボックス62は、スライド部36が伸長することで充電ボックス受け部66と接続する(図9(B))。
【0065】
次に、搬送装置30は、駐車室パレット50に対して下方向に移動することで駐車室パレット50へ車両を移動させた後に、スライド部36が収縮する。搬送装置30が駐車室パレット50に対して下方向へ移動することで、充電ボックス62と配置部64とは非接続となる(図9(C))。
【0066】
以上説明したように、車両12を入庫する場合には、搬送装置30から駐車室パレット50へ車両12を移動させるための搬送装置30の伸長動作に伴って充電ボックス62と充電ボックス受け部66とが接続する。そして、搬送装置30の下方向への移動に伴って充電ボックス62と配置部64とが非接続となる。従って、本実施形態の駐車場10は、充電ボックス62と充電ボックス受け部66との接続及び充電ボックス62と配置部64との非接続を実現するための専用の構成が不要となる。
【0067】
一方、車両12を出庫する場合は、車両12を入庫する場合とは動作が逆となる。
【0068】
搬送装置30は、出庫する車両12が格納されている所定階へ移動すると駐車室パレット50までスライド部36が伸長する。このとき、スライド部36は、駐車室パレット50の下側に位置する。そして、駐車室パレット50に対して上方向に搬送装置30が移動することで駐車室パレット50からスライド部36へ車両12が移動する。従って、充電ボックス受け部66と接続している充電ボックス62は、搬送装置30が駐車室パレット50に対して上方向へ移動することで配置部64と接続する。
【0069】
搬送装置30は、駐車室パレット50からスライド部36へ車両12を移動させた後に収縮する。搬送装置30が収縮することで充電ボックス62と充電ボックス受け部66とは非接続となる。これにより、配置部64と接続した充電ボックス62は、車両12と共に搬送装置30へ移動し、搬送装置30は入出庫室24まで移動する。
【0070】
搬送装置30が入出庫室24に到達すると、車両12の乗員は入出庫室24へ入室し、充電ボックス62から充電ケーブル68を引き抜く。その後、乗員は充電ボックス62を配置部64から引き抜き、充電ボックス62を入出庫室24内の所定位置へ戻す。このよう処理が終了した後に、乗員は車両12を出庫する。
【0071】
このように、車両12を出庫する場合には、搬送装置30の上方向への移動に伴って充電ボックス62と配置部64とが接続する。そして、駐車室パレット50から搬送装置30へ車両12を移動させるための搬送装置30の収縮動作に伴って充電ボックス62と充電ボックス受け部66とが非接続となる。
【0072】
なお、本実施形態の駐車場10は、充電ボックス62と充電ボックス受け部66とが確実に接続して電気的に接続されているか否かを確認するために、充電ボックス受け部66から充電ボックス62へ微小電流を流してもよい。微小電流が流れれば、充電ボックス62と充電ボックス受け部66とが確実に接続しているとし、充電が開始される。一方、微小電流が流れなければ、充電ボックス62と充電ボックス受け部66とが接続していないとし、充電は行われない。
【0073】
また、乗員が充電ボックス62に充電ケーブル68を差し込む場合に、駐車場10は音声等によって充電ケーブル68を十分に充電ボックス62へ差し込むことを報知してもよい。さらに、出庫時に駐車場10は、乗員が充電ボックス62から充電ケーブル68を引き抜き、充電ボックス62を所定位置へ戻すことを報知してもよい。
【0074】
以上、本発明を、上記実施形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されない。発明の要旨を逸脱しない範囲で上記実施形態に多様な変更又は改良を加えることができ、該変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0075】
本実施形態では、駐車場10を躯体16が地下に埋設される地下駐車場とする形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。駐車場10は、躯体16が地上に配置されてもよい。この形態の場合、入出庫室24は躯体16の最下層に配置される。また、躯体16は一部の下層が地下に埋設される形態とされてもよい。
【0076】
また、本実施形態では、搬送装置30が駐車室パレット50に対して上下方向へ移動することで車両12を移動させる形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。搬送装置30と駐車室パレット50は上下方向に相対移動すればよく、駐車室パレット50が搬送装置30に対して上下方向へ移動することで車両12を移動させてもよい。
【0077】
また、本実施形態では、車両12が格納部14へ格納される際に、車両12が前後方向へ移動する形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。車両12が格納部14へ格納される際に、車両12が横方向へ移動、すなわち水平移動する形態としてもよい。この形態の場合、充電ボックス62と充電ボックス受け部66とが車両12の水平移動方向で接続されるように、充電ボックス62、配置部64、及び充電ボックス受け部66とが配置される。
【0078】
また、本実施形態では、充電ボックス62が入出庫室24の所定位置へ配置され、車両12の出庫時に所定位置へ戻す形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、充電ボックス62は、駐車場10に入庫する車両12毎に提供され、充電ボックス62を車両12の所有者が管理する形態としてもよい。この形態は、例えば、駐車場10を月極め契約している車両12に適用される。一方、時間貸しの車両12に対しては適用されず、時間貸しの車両12に対しては所定位置に配置されている充電ボックス62を使用するという形態とされてもよい。
【符号の説明】
【0079】
10 駐輪場
12 車両
14 格納部
30 搬送装置
36 スライド部(載置部)
60 車両充電装置
62 充電ボックス(充電部)
64 配置部
66 充電ボックス受け部(給電部)
68 充電ケーブル
【要約】      (修正有)
【課題】車両のみを搬送装置から格納部へ受け渡す機械式駐車装置であっても格納する車両に充電を行なえる、車両充電装置及び機械式駐車装置を提供する。
【解決手段】車両充電装置60において充電ボックス62は、車両が搬送装置によって搬送される際に、搬送装置に設けられている配置部64と接続している。そして、充電ボックス62は、搬送装置から格納部へ車両を移動させることで格納部に設けられている充電ボックス受け部66と接続する。充電ボックス62と充電ボックス受け部66とが接続した後に充電ボックス62と配置部64とが非接続となる。
【選択図】図9
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9