(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-11
(45)【発行日】2023-01-19
(54)【発明の名称】瘻を形成するためのデバイスおよび方法
(51)【国際特許分類】
A61B 18/14 20060101AFI20230112BHJP
A61B 17/3209 20060101ALI20230112BHJP
A61B 17/11 20060101ALI20230112BHJP
A61B 18/24 20060101ALI20230112BHJP
A61M 1/36 20060101ALI20230112BHJP
【FI】
A61B18/14
A61B17/3209
A61B17/11
A61B18/24
A61M1/36 143
(21)【出願番号】P 2021142989
(22)【出願日】2021-09-02
(62)【分割の表示】P 2019191074の分割
【原出願日】2011-11-16
【審査請求日】2021-09-02
(32)【優先日】2010-11-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】513114032
【氏名又は名称】ティーブイエー メディカル, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ゲイリー エイチ. ミラー
(72)【発明者】
【氏名】アダム エル. ベルマン
(72)【発明者】
【氏名】ウィリアム イー. コーン
(72)【発明者】
【氏名】ダナ アール. メスター
(72)【発明者】
【氏名】ダミアン エー. ジェリック
【審査官】石川 薫
(56)【参考文献】
【文献】特表2002-514111(JP,A)
【文献】特表2008-502453(JP,A)
【文献】特開2010-017211(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 18/14
A61B 17/3209
A61B 17/11
A61B 18/24
A61M 1/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
2本の血管の間に瘻を形成するためのシステムであって、カテーテル本体を備えるカテーテルと、前記カテーテル本体に結合された瘻形成要素と、前記瘻形成要素の位置を示す方向インジケータを備えるマーカーとを備え
、
前記マーカーは、第1のカットアウト領域および第2のカットアウト領域を備え、前記瘻形成要素は、アブレーション面を備え、前記アブレーション面は、前記第1および第2のカットアウト領域に垂直な方向を向く、システム。
【請求項2】
前記マーカーは、前記カテーテルの回転方向整列を示す、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記マーカーは、前記カテーテル本体のまわりに周方向に配設されたマーカーバンドである、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記マーカーは、前記カテーテル本体の外面に結合される、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記マーカーは、前記カテーテル本体の内部に配設される、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記第1および第2のカットアウト領域の重複セグメントは、前記カテーテルの回転方向整列を示す、請求項
1に記載のシステム。
【請求項7】
前記第1および第2のカットアウト領域が実質的に重なり合うときに、前記カテーテルは、前記瘻形成要素を活性化することに適した回転方位にある、請求項
1に記載のシステム。
【請求項8】
第2のカテーテルをさらに備え、前記第2のカテーテルは、前記第2のカテーテルの位置を示す方向インジケータを備えるマーカーを備える、請求項1に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、米国仮特許出願第61/414,357号(2010年11月16日出願)の優先権を主張し、この出願はその全体が参照することにより本明細書に援用される。
【0002】
(技術分野)
本発明は、瘻を形成するためのデバイスおよび方法に関する。このデバイスおよび方法は、2本の血管の間に瘻を形成するために使用することができる。
【背景技術】
【0003】
(背景)
瘻とは、一般に、2つの臓器の間に形成される通路のことである。2本の血管の間に瘻を形成することは、1つ以上の有益な機能を有することができる。たとえば、動脈と静脈との間に瘻を形成することによって、血液透析患者の血管系にアクセスできるようにすることができる。具体的には、動脈と静脈の間に瘻を形成することによって、血液は、毛細血管を避けながら血管を急速に流れることができる。次に、血液を循環系から引き込み、血液に透析装置を通過させて、血液を身体に戻すために、針、カテーテル、またはその他のカニューレを瘻の近くの血管に挿入することができる。瘻によって提供される高速な流れは、効果的な血液透析を実現することができる。完成した瘻においては、瘻を通る流量は、約300~500ml/分程度であってもよく、300~1500ml/分程度またはこれ以上であってもよい。
【0004】
他の場合、瘻を2本の静脈の間に形成して、静静脈瘻(veno-venous fistula)を形成することができる。このような静静脈瘻は、門脈圧亢進症を治療するよう支援するために使用することができる。具体的には、肝硬変またはその他の肝臓疾患によって、腸から肝臓まで流れ出る門脈を通る流れに対する抵抗が増加する場合がある。この抵抗増加によって血管が大きく膨張することがあるが、この膨張した血管が自然に破裂する場合がある。この望ましくない転帰を防止するよう支援するために、瘻を門脈と主要分枝のうちの1つとの間に形成し、それによって門脈内の静脈圧を低下させることができる。したがって、2本の血管の間に瘻を形成するための改善された方法を見つけることが有用なことがある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書で説明するのは、2本以上の血管の間に瘻を形成するためのデバイスおよび方法である。一般に、本明細書で説明するデバイスは、1つ以上のカテーテルを備える。各カテーテルは、一般に、遠位端と、中間部分と、近位端とを備える。カテーテルの近位端は、1つ以上のハンドルまたはアダプタを備えることができ、このハンドルまたはアダプタは、カテーテルを制御または操作するために使用することができる。このハンドルまたはアダプタは、デバイス(たとえば、電気的リード、ガイドワイヤ)または物質(たとえば、造影剤流体、灌流液など)をカテーテルに導入するための1つ以上のポートを備えることができる。このハンドルまたはアダプタは、1つのカテーテルを別のカテーテルに対して整列するよう支援するために使用できる1つ以上の整列突起を追加で備えることができる。
【0006】
本明細書で説明するカテーテルのいくつかの変形形態では、このカテーテルは、1つのカテーテルを別のカテーテルに対してまたは解剖学的構造に対して整列させるよう支援する1つ以上の整列要素を備えることができる。この整列要素は、1本または複数の血管内で1つ以上のカテーテルを整列させるよう支援することができる任意の適切な要素または構造であることができる。いくつかの変形形態では、整列要素のうちの1つ以上は、1つ以上の磁気的整列要素を備えることができる。この磁気的整列要素は、血管系を通してカテーテルを前進させることを支援するために使用することができ、血管系内で2つ以上のカテーテルを近付けるために使用することもでき、または2つ以上のカテーテルを軸方向におよび/または回転方向に整列させるために使用することもできる。磁気的整列要素は、1つ以上の配列に編成されてもよく、編成されなくてもよく、各磁気的整列要素は、任意の適切な大きさまたは形状を有することができる。いくつかの変形形態では、1つ以上の磁気的整列要素は、半円筒状であってもよく、円筒状であってもよく、環状形状であってもよい。他の変形形態では、1つ以上の整列要素は、棒状であってもよく、ビレット状であってもよく、箱形であってもよい。
【0007】
他の変形形態では、カテーテルは、1つ以上のマーカーを備えることができる。これらの変形形態のうちのいくつかでは、このマーカーは、直接的に可視化することができる。これらの変形形態のうちのいくつかでは、カテーテルは、その一部分に沿って1つ以上のマーカーバンドを備えることができる。他の変形形態では、このマーカーは、(たとえば、蛍光透視法、X線、または超音波による可視化により)間接的に可視化することができる。これらの変形形態のうちのいくつかでは、デバイスは、1つ以上のカテーテルの回転方向の整列を可能にすることができる1つ以上のマーカーバンドを備えることができる。
【0008】
本明細書で説明するデバイスおよび方法のいくつかの変形形態では、カテーテルは、複数の血管の間に瘻を形成するための1つ以上の要素を備えることができる。この瘻形成要素は、2本の血管の間に穿孔を形成することに適した任意の機構であることができる。たとえば、いくつかの変形形態では、カテーテルは、たとえば、ブレード、針、ランセットなどの1つ以上の機械的切断要素を備えることができる。他の変形形態では、カテーテルは、2本の血管の間の組織をアブレーションするかまたは別の態様で蒸散させるための1つ以上の電極を備えることができる。いくつかの変形形態では、この電極は、組織をアブレーションするための1つ以上のアブレーション面を備える。いくつかの変形形態では、このアブレーション面は、カテーテルの表面と同一平面にある。他の変形形態では、このアブレーション面は、カテーテルの表面から突出することができる。さらに他の変形形態では、このアブレーション面は、カテーテルの表面に対して陥凹していることができる。さらに他の変形形態では、このアブレーション面は、カテーテルの表面に対して調整可能であることができる。
【0009】
本明細書で説明するデバイスおよび方法のいくつかの変形形態では、カテーテルは、1つ以上の拡張可能な構造を備えることができる。このカテーテルは、任意の数の拡張可能な構造(たとえば、ゼロ、1つ、2つ、または3つ以上)を備えることができ、各拡張可能な構造は、任意の適切な拡張可能な構造(たとえば、バルーン、拡張可能なケージ、メッシュなど)であることができる。この1つ以上の拡張可能な構造は、カテーテルを組織壁と並置して(in apposition with)設置するよう支援するために使用することができる。他の変形形態では、1つ以上の拡張可能な構造は、血管の1つ以上の部分を膨張させるために使用することができる。さらに他の変形形態では、1つ以上の拡張可能な構造は、瘻の大きさを拡張するかまたは別の態様で修正するために使用することができる。さらに他の変形形態では、拡張可能な構造は、1本または複数の血管にRFエネルギーを送達するように活性化できる1つ以上の電極を備えることができ、それによって、血管を通る血流を制限することができる。加えて、または代替として、拡張可能な構造は、血管系内の特定の位置にカテーテルを少なくとも一時的に係留することを支援することができる。
【0010】
いくつかの変形形態では、カテーテルは、第1の血管の一部分を第2の血管に接合するかまたは別の態様で固定するための1つ以上の構成要素を備えることができる。いくつかの変形形態では、カテーテルは、電気エネルギー、超音波エネルギー、またはレーザエネルギーを組織に供給するように構成された1つ以上の構成要素(たとえば、電極)を備えることができる。他の変形形態では、カテーテルは、第1の血管と第2の血管との間に接着剤を送達するように構成された1つ以上の針を備えることができる。さらに他の変形形態では、カテーテルは、第1の血管および第2の血管の組織内に1つ以上のバーブ(barb)、ステープル、または他のインプラントを展開するように構成されることができる。
一実施形態において、例えば、以下の項目が提供される。
(項目1)
2本の血管の間に瘻を形成するためのシステムであって、
カテーテル本体と、リードワイヤと、少なくとも1つの整列要素とを備える第1のカテーテルを備え、該リードワイヤは、扁平な構成と、該リードワイヤの少なくとも一部分がカテーテル本体から離れるように延在する延在位置との間で移動可能である、システム。
(項目2)
第2のカテーテルをさらに備える、項目1に記載のシステム。
(項目3)
前記第2のカテーテルは、陥凹領域を備える、項目2に記載のシステム。
(項目4)
前記陥凹領域は、ポケットであり、該ポケットは、リードワイヤが前記第1のカテーテルの前記カテーテル本体から離れるように延在するとき、リードワイヤの少なくとも一部分を受容するように構成される、項目3に記載のシステム。
(項目5)
前記第2のカテーテルは、少なくとも1つの整列要素を備え、前記第1のカテーテルの前記少なくとも1つの整列要素と該第2のカテーテルの該少なくとも1つの整列要素とが、該第1のカテーテルと該第2のカテーテルとを整列させるように構成されることにより、リードワイヤが該第1のカテーテルの前記カテーテル本体から離れるように延在するとき、リードワイヤは、少なくとも部分的にポケットに入る、項目4に記載のシステム。
(項目6)
前記ポケットは、前記第2のカテーテルのカテーテル本体内に少なくとも部分的に収容されるネスティング材の中に形成される、項目4に記載のシステム。
(項目7)
前記ポケットは、前記第2のカテーテルのカテーテル本体内に少なくとも部分的に収容される電極の中に形成される、項目4に記載のシステム。
(項目8)
前記ポケットは、絶縁材料によって少なくとも部分的にコーティングされる、項目4に記載のシステム。
(項目9)
前記コーティングは、多孔性である、項目8に記載のシステム。
(項目10)
前記リードワイヤは、前記第1のカテーテルの前記カテーテル本体の内部に少なくとも部分的に収容される第1のセグメントと、該第1のセグメントの遠位端から延在する第1の角度付きセグメントと、該第1の角度付きセグメントの遠位端から延在する第2の角度付きセグメントとを備える、項目1に記載のシステム。
(項目11)
少なくとも1つの絶縁材料が、前記リードワイヤの前記第1のセグメントおよび前記第1の角度付きセグメントを被覆する、項目10に記載のシステム。
(項目12)
少なくとも1つの絶縁材料が、前記リードワイヤの前記第1のセグメントを被覆し、該リードワイヤの前記第1の角度付きセグメントを部分的に被覆する、項目10に記載のシステム。
(項目13)
第1の血管と第2の血管との間に瘻を形成する方法であって、
第1のカテーテルを該第1の血管の中に前進させるステップであって、該第1のカテーテルは、カテーテル本体と、リードワイヤと、少なくとも1つの整列要素とを備え、該リードワイヤは、扁平な位置と、該リードワイヤの少なくとも一部分がカテーテル本体から離れるように延在する延在位置との間で移動可能である、ステップと、
第2のカテーテルを該第2の血管の中に前進させるステップであって、該第2の血管は、少なくとも1つの整列要素を備える、ステップと、
リードワイヤが該第2のカテーテルと整列させられるように、該第1のカテーテルと該第2のカテーテルとを配置するステップと、
該リードワイヤを扁平な位置から延在位置まで移動させるステップと、
該瘻を形成するために、組織を該リードワイヤを用いてアブレーションするステップと
を含む、方法。
(項目14)
前記第2のカテーテルは、ポケットを備え、第1のカテーテルと第2のカテーテルとを配置するステップが、リードワイヤをポケットと整列させるステップを含む、項目13に記載の方法。
(項目15)
前記第2のカテーテルは、バルーンを備え、組織を前記リードワイヤを用いてアブレーションするステップは、該バルーンを該リードワイヤを用いて穿刺するステップを含む、項目13に記載の方法。
(項目16)
前記第1の血管は、静脈であり、前記第2の血管は、動脈である、項目13に記載の方法。
(項目17)
前記第1の血管および前記第2の血管の外部に接地電極を設置するステップをさらに含み、組織をアブレーションするステップは、前記リードワイヤと該接地電極との間に電流を通すステップを含む、項目13に記載の方法。
(項目18)
前記リードワイヤは、前記第1のカテーテルの前記カテーテル本体の内部に少なくとも部分的に収容される第1のセグメントと、該第1のセグメントの遠位端から延在する第1の角度付きセグメントと、該第1の角度付きセグメントの遠位端から延在する第2の角度付きセグメントとを備える、項目13に記載の方法。
(項目19)
少なくとも1つの絶縁材料が、前記リードワイヤの前記第1のセグメントおよび前記第1の角度付きセグメントを被覆する、項目18に記載の方法。
(項目20)
少なくとも1つの絶縁材料が、前記リードワイヤの前記第1のセグメントを被覆し、該リードワイヤの前記第1の角度付きセグメントを部分的に被覆する、項目18に記載の方法。
(項目21)
前記第1のカテーテルは、形状変更要素を備え、前記方法は、該第1のカテーテルの該形状変更要素を用いて該第1のカテーテルの形状を変化させることによって、前記第1の血管を再配置するステップをさらに含む、項目13に記載の方法。
(項目22)
前記第2のカテーテルは、形状変更要素を備え、前記方法は、該第2のカテーテルの該形状変更要素を用いて該第2のカテーテルの形状を変化させることによって、前記第2の血管を再配置するステップをさらに含む、項目21に記載の方法。
(項目23)
前記第2のカテーテルは、少なくとも1つの拡張可能な部材を備え、前記第1のカテーテルと該第2のカテーテルとを配置するステップは、該第2のカテーテルを前記第2の血管に対して適所に保持するために、該第2のカテーテルの該少なくとも1つの拡張可能な部材を拡張するステップを含む、項目22に記載の方法。
(項目24)
前記第1のカテーテルは、少なくとも1つの拡張可能な部材を備え、該第1のカテーテルと前記第2のカテーテルとを配置するステップは、該第1のカテーテルを前記第1の血管に対して適所に保持するために、該第1のカテーテルの該少なくとも1つの拡張可能な部材を拡張するステップを含む、項目21に記載の方法。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1A】
図1Aは、本明細書で説明するカテーテルの一変形形態の遠位部分の斜視図である。
【
図1B】
図1Bは、本明細書で説明するカテーテルの一変形形態の遠位部分の斜視図である。
【
図1C】
図1Cは、本明細書で説明するカテーテルの一変形形態の遠位部分の斜視図である。
【
図2】
図2は、本明細書で説明するカテーテルの変形形態の遠位部分を示す図である。
【
図3】
図3は、本明細書で説明するカテーテルの変形形態の遠位部分を示す図である。
【
図4】
図4は、本明細書で説明するカテーテルの変形形態の遠位部分を示す図である。
【
図5】
図5は、本明細書で説明するカテーテルの変形形態の遠位部分を示す図である。
【
図6A】
図6Aは、本明細書で説明するカテーテルの変形形態の遠位部分を示す図である。
【
図6B】
図6Bは、本明細書で説明するカテーテルの変形形態の遠位部分を示す図である。
【
図7A】
図7Aは、本明細書で説明するカテーテルの変形形態の遠位部分を示す図である。
【
図7B】
図7Bは、本明細書で説明するカテーテルの変形形態の遠位部分を示す図である。
【
図8】
図8は、本明細書で説明するカテーテルの変形形態の遠位部分を示す図である。
【
図9A】
図9Aは、1つ以上の拡張可能な部材を備える、本明細書で説明するカテーテルの変形形態を示す図である。
【
図9B】
図9Bは、1つ以上の拡張可能な部材を備える、本明細書で説明するカテーテルの変形形態を示す図である。
【
図9C】
図9Cは、1つ以上の拡張可能な部材を備える、本明細書で説明するカテーテルの変形形態を示す図である。
【
図9D】
図9Dは、1つ以上の拡張可能な部材を備える、本明細書で説明するカテーテルの変形形態を示す図である。
【
図10A】
図10Aは、1つ以上の拡張可能な部材を備える、本明細書で説明するカテーテルの変形形態を示す図である。
【
図10B】
図10Bは、1つ以上の拡張可能な部材を備える、本明細書で説明するカテーテルの変形形態を示す図である。
【
図10C】
図10Cは、1つ以上の拡張可能な部材を備える、本明細書で説明するカテーテルの変形形態を示す図である。
【
図11】
図11は、1つ以上の拡張可能な部材を備える、本明細書で説明するカテーテルの変形形態を示す図である。
【
図12】
図12は、1つ以上の拡張可能な部材を備える、本明細書で説明するカテーテルの変形形態を示す図である。
【
図13A】
図13Aは、本明細書で説明するカテーテルの一変形形態の近位部分を示す図である。
【
図13B】
図13Bは、本明細書で説明するカテーテルの一変形形態の近位部分を示す図である。
【
図14A】
図14Aは、マーカーバンドを備えるカテーテルの一変形形態の斜視図である。
【
図15A】
図15Aは、本明細書で説明するカテーテルの近位部分の一変形形態を示す図である。
【
図15B】
図15Bは、本明細書で説明するカテーテルの近位部分の一変形形態を示す図である。
【
図16A】
図16Aは、本明細書で説明するカテーテルの別の変形形態を示す図である。
【
図16B】
図16Bは、本明細書で説明するカテーテルの別の変形形態を示す図である。
【
図17A】
図17Aは、血管系を通してカテーテルを前進させることを支援するために外部磁石が使用できる方法を示す図である。
【
図17B】17Bは、血管系を通してカテーテルを前進させることを支援するために外部磁石が使用できる方法を示す図である。
【
図18】
図18Aは、平坦なアブレーション面を有する電極を備えるカテーテルの一変形形態を示す図である。
図18Bは、平坦なアブレーション面を有する電極を備えるカテーテルの一変形形態を示す図である。
【
図19】
図19は、本明細書で説明するカテーテルの変形形態の遠位部分を示す図である。
【
図20】
図20は、本明細書で説明するカテーテルの変形形態の遠位部分を示す図である。
【
図21A】
図21Aは、本明細書で説明するカテーテルの変形形態の遠位部分を示す図である。
【
図21B】
図21Bは、本明細書で説明するカテーテルの変形形態の遠位部分を示す図である。
【
図22】
図22は、本明細書で説明するカテーテルの変形形態の遠位部分を示す図である。
【
図23】
図23は、本明細書で説明するカテーテルの変形形態の遠位部分を示す図である。
【
図24A】
図24Aは、本明細書で説明するカテーテルの変形形態の遠位部分を示す図である。
【
図24B】
図24Bは、本明細書で説明するカテーテルの変形形態の遠位部分を示す図である。
【
図25A】
図25Aは、本明細書で説明するカテーテルの一変形形態の遠位部分の部分断面図である。
【
図26A】
図26Aは、本明細書で説明するカテーテルの一変形形態の遠位部分を示す図である。
【
図27A】
図27Aは、本明細書で説明するカテーテルの一変形形態の斜視図である。
【
図27B】
図27Bは、本明細書で説明するカテーテルの一変形形態の斜視図である。
【
図27C】
図27Cは、血管内に設置された、本明細書で説明するカテーテルの一変形形態を示す図である。
【
図27D】
図27Dは、血管内に設置された、本明細書で説明するカテーテルの一変形形態を示す図である。
【
図28A】
図28Aは、本明細書で説明するカテーテルと共に使用することに適した電極の一変形形態を示す図である。
【
図29A】
図29Aは、本明細書で説明するカテーテルと共に使用することに適した電極の一変形形態を示す図である。
【
図30】
図30は、本明細書で説明するカテーテルの変形形態を示す図である。
【
図32】
図32は、本明細書で説明するカテーテルの変形形態を示す図である。
【
図34】
図34は、本明細書で説明するカテーテルの変形形態を示す図である。
【
図36】
図36は、本明細書で説明するカテーテルの変形形態を示す図である。
【
図38B】
図38Bは、ブレードを備えるカテーテルの一変形形態の断側面図である。
【
図40A】
図40Aは、第1の血管を第2の血管に接合するためのデバイスおよび方法の変形形態を示す図である。
【
図40B】
図40Bは、第1の血管を第2の血管に接合するためのデバイスおよび方法の変形形態を示す図である。
【
図41】
図41は、第1の血管を第2の血管に接合するためのデバイスおよび方法の変形形態を示す図である。
【
図42】
図42は、第1の血管を第2の血管に接合するためのデバイスおよび方法の変形形態を示す図である。
【
図43】
図43は、光ファイバを備えるカテーテルの変形形態を示す図である。
【
図44】
図44は、光ファイバを備えるカテーテルの変形形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本明細書で説明するのは、瘻を形成するためのデバイスおよび方法である。いくつかの変形形態では、このデバイスおよび方法は、2本の血管の間に瘻を(たとえば、動脈と静脈との間に動静脈瘻を、または2本の静脈の間に静静脈瘻を)形成するために使用されることができる。一般に、このような瘻を2本の血管の間に形成するために、1つ以上のカテーテルが、低侵襲性の様式で血管系を通して標的場所に前進させられる。いくつかの場合、単一のカテーテルは、隣接する血管と共に瘻を形成するために血管内に設置されることができる。他の場合、複数のカテーテルを備えるシステムは、瘻を形成するために使用されることができる。たとえば、いくつかの場合では、カテーテルは、2本の血管のそれぞれの中に設置されることができる。これらの場合、以下でより詳細に説明するように、各カテーテルが同じ構成の要素を有しても有さなくてもよく、いくつかのカテーテルは、他のカテーテルとは異なり、および/または他のカテーテルと相補的であることができることを理解されたい。
【0013】
以下でより詳細に説明するように、本明細書で説明するカテーテルの1つまたはその組み合わせは、瘻を形成するために使用されることができる。一般に、各カテーテルは、近位端と、遠位端と、近位端と遠位端とを接続する中間部分とを有する。近位端は、1つ以上のアダプタまたはハンドルを備えることができ、このアダプタまたはハンドルは、血管系内でのカテーテルの前進、配置、および制御を補助するよう支援するために利用することができ、カテーテルの1つもしくは複数の構成要素を作動させるおよび/または1つもしくは複数の流体もしくは物質をカテーテル内におよび/もしくはこれを通して導入するためにさらに使用することができる。カテーテルは、瘻形成を補助できる1つ以上の要素を備えることができる。いくつかの変形形態では、カテーテルの1つ以上の部分(たとえば、遠位端および/または中間部分)は、このカテーテルを、関係する血管内に配置された別のカテーテルと整列させるよう支援する、および/またはカテーテル(および血管)同士をより接近させることができる、1つ以上の整列要素(たとえば、1つ以上の磁石)を備えることができる。加えて、または代替として、カテーテルの1つ以上の部分(たとえば、遠位端および/または中間部分)は、瘻を形成するための1つ以上の機構を備えることができる。
【0014】
カテーテルは、カテーテルに沿ってまたはこれを通して少なくとも部分的に延在する1つ以上の内腔または通路をさらに備えることができ、カテーテルに沿ってまたはこれを通して少なくとも部分的に1つ以上のガイドワイヤ、1つ以上の薬剤または流体(たとえば、造影剤、灌流液)、これらの組み合わせなどを通過させるために使用することができる。カテーテルの遠位先端は、カテーテルの前進を補助し、および/または非侵襲的であるように構成されることができる。いくつかの変形形態では、この先端は、カテーテルをガイドワイヤ上で前進させるための1つ以上の迅速交換部分(rapid exchange portion)または他の内腔を備えることがで きる。さらに他の変形形態では、この先端部分は、カテーテルに取り付けられたまたは別の態様にこれと一体的に形成されたガイドワイヤを有することができる。
【0015】
加えて、いくつかの変形形態では、カテーテルは、カテーテルを血管内に配置するよう支援することができる1つ以上の外部の拡張可能な要素(たとえば、バルーン、拡張可能なケージ、メッシュなど)をさらに備えることができる。加えて、または代替として、この1つ以上の拡張可能な要素は、(たとえば、血管を通る血流を一時的に塞ぐことによって、血管の1つ以上の部分を膨張させることによって、血管の1つ以上の部分を収縮させることなどによって)1本または複数の血管を通る血液の流れに影響を及ぼすことができる。いくつかの場合、1つ以上の拡張可能な要素は、カテーテルの一部分を血管に対して一時的に係留する働きをすることができる。カテーテルが1つ以上の形状変更要素を備える変形形態では、以下でより詳細に説明するように、カテーテルの一部分を血管に対して一時的に係留するための拡張可能な要素を使用することによって、カテーテルの形状を変えることを補助することができる。本明細書で説明するカテーテルは、前述の要素の任意の組み合わせを有することができることを理解されたい。これらの要素のそれぞれについて、以下でより詳細に説明する。
【0016】
図1A~1Cは、瘻の形成に使用することに適したカテーテル(100)の例示的な変形形態を示す。具体的には、
図1Aは、スリーブ(106)がカテーテル(100)の少なくとも一部分を被覆するカテーテル(100)の遠位部分(108)の斜視図を示す。
図1Bは、スリーブ(106)が部分的に透過的であるように示される、カテーテル(100)の部分透過図を示す。
図1Cは、スリーブ(106)およびカテーテル本体が部分的に透過的であるように示される、カテーテル(100)の部分斜視図を示す。これらの図に示されるように、カテーテル(100)は、露出したアブレーション面(105)とそれに取り付けられたリードワイヤ(104)とを有する電極(102)を備えることができる。同様にこれらの図に示されているのは、近位係留磁石(anchoring magnet)(116)、遠位係留磁石(118)、ならびに第1のアパーチャおよび第2のアパーチャ(それぞれ(112)および(114))とを含む迅速交換部分(110)であり、これらのそれぞれについて以下でより詳細に説明する。カテーテル(100)を使用して瘻を形成するために、電極(102)のアブレーション面(105)は、標的組織と電気的に接触して設置されることができ、組織をアブレーションするかまたは蒸散させるために電流を電極(102)に供給されることができる。個別のカテーテル構成要素および方法については、以下でより詳細に説明する。
【0017】
(瘻の形成)
上記で述べたように、本明細書で説明するカテーテルは、瘻を形成するための1つ以上の要素を備えることができる。これらの瘻形成要素は、たとえば、1つ以上の電気的機構(たとえば、1つ以上の電極または電気焼灼デバイス)、1つ以上の機械的機構(たとえば、1つ以上の切断ブレード、ランセット、針など)、1つ以上の化学的機構(たとえば、1つ以上の酵素放出デバイス)、低温焼灼(cryogenic-cautery)デバイス、レーザアブレーションデバイス(たとえば、1つ以上の光ファイバレーザ光源)、これらの組み合わせなどの、隣接する血管の間の組織の切断、アブレーション、蒸散、分解、または別の態様での除去が可能な任意の構造または機構を利用することができる。カテーテルは、任意の適切な数(たとえば、ゼロ、1つ、2つ、3つ、または4つ以上)のこれらの瘻形成要素およびこれらの瘻形成要素の任意の適切な組み合わせを有することができ、これらの瘻形成要素は、カテーテルの任意の適切な部分(たとえば、遠位端、中間部分、これらの組み合わせ)の中またはその上にあってよい。カテーテルが2つ以上の瘻形成要素を備える変形形態では、複数の瘻形成要素は、複数の瘻を同時にまたは順次形成することができる。他の変形形態では、複数の瘻形成要素は、相互作用して単一の瘻を形成することができる。
【0018】
複数のカテーテルを備えるシステムを使用して2本の血管の間に瘻を作製する変形形態では、各カテーテルは瘻形成要素を備えることができるが、これを備える必要はない。実際に、これらの変形形態のうちのいくつかでは、1つのカテーテルのみが、瘻形成要素を備えることができる。これらの場合のうちのいくつかでは、他のカテーテルは、依然としてカテーテルを整列させるおよび/または血管同士を接近させることを支援することができるが、組織の除去に直接的に寄与しないことがある。複数のカテーテルが各々瘻形成要素を備える変形形態では、これらのカテーテルは、相補的な瘻形成要素を有することができる。たとえば、2つ以上のカテーテルが電極を備える変形形態では、以下でより詳細に説明するように、あるカテーテルは、活性電極として作用する電極を備えることができるが、別のカテーテルは、不動態電極または接地電極として作用する電極を備えることができる。
【0019】
(電極)
上記で述べたように、本明細書で説明するカテーテルのいくつかの変形形態では、カテーテルは、瘻形成において使用するための1つ以上の電極を備えることができる。一般に、これらの変形形態では、カテーテルは、電極本体と、それに取り付けられた、電極を電気外科用ジェネレータに接続するための少なくとも1つのリードワイヤまたはその他の導体とを備えることができる。いくつかの変形形態では、リードワイヤの1つ以上の部分は、組織をアブレーションする電極として作用することができる。以下でより詳細に説明するように、カテーテルは、任意の適切な数の電極(たとえば、ゼロ、1つ、2つ、または3つ以上)を有することができ、各電極は、カテーテルの長さに沿って任意の適切な地点(すなわち、遠位端、中間部分など)に配置されることができ、任意の適切な大きさおよび形状を有することができる。電極は、直流発電機と共に使用するとき、それが使用される方法に応じて活性電極(たとえば、電流が電極に供給されて組織をアブレーションする)または不動態接地電極(たとえば、電流が電極から接地場所に運ばれる)のどちらかとして作用することができることを理解されたい。活性電極を有するカテーテルを、1つ以上の不動態接地電極を有するカテーテルと共に使用するとき、電気エネルギーは、活性電極から介在組織を通って不動態電極まで流れる傾向を有することができる。このようにして、電極対は、周囲組織へのエネルギー損失を防止するよう支援することができる。
【0020】
いくつかの場合では、1つ以上の電極は、電気外科用ジェネレータ、電源、または交流を生成するように構成されたその他の波形発生器に接続されることができる。これらの変形形態のうちのいくつかでは、2つ以上の電極は、発生器の双極性出力に接続されることができる。他の変形形態では、1つ以上の電極は、発生器の単極性出力に接続されることができる。これらの変形形態のうちのいくつかにおいて、第1の電極が発生器のアクティブ出力に取り付けられ、リターン電極(たとえば、大きな金属プレートまたは可撓性の金属被覆されたパッド)は、患者に一時的に取り付けられるかまたは固定され、発生器のリターン出力に接続されることができる。これらの変形形態のうちの他の形態では、2つ以上の電極が発生器のアクティブ出力に取り付けられることができ、リターン電極は、患者に一時的に取り付けられるかまたは固定され、発生器のリターン出力に接続されることができる。さらに他の変形形態では、「焦点単極性(focus monopolar)」構成において、第1の電極は、発生器のアクティブ出力に取り付けられることができ、第2の電極は、発生器のリターン出力に取り付けられることができる。
【0021】
一般に、各電極の少なくとも一部分は、(たとえば、カテーテル本体内の1つ以上のアパーチャまたは開口を通して)周囲環境に露出されることができる。この露出面は、周囲組織(たとえば、血管壁)または流体と接触するように構成されることができ、組織のアブレーションまたは蒸散を容易にするためにアブレーション面を介して電流を組織に供給するおよび/またはこれから運ぶことができるようにアブレーション面として作用することができる。いくつかの変形形態では、アブレーション面が組織と接触しないように、アブレーション面は(たとえば、シースまたは管類によって)一時的に被覆されることができる。これらの場合、一時的な被覆は、アブレーション面を周囲環境に露出させるために移動させられるかまたは外されことができる。他の変形形態では、アブレーション面は、一時的に凹まされるかまたはカテーテル内に保持されることができ、これらの場合のうちのいくつかでは、組織と接触するためにカテーテルから外に前進させられることができる。アブレーション面は移動可能である必要はなく、その代わりに、カテーテルに対して固定されてもよい。加えて、または代替として、いくつかの変形形態では、以下でより詳細に説明するように、露出された電極面は、2つの電極間の直接接触を防止しながら電極面へのまたはそれからの電流の伝導を可能にする多孔性コーティングを備えることができる。電極は、任意の適切な材料または材料の組み合わせから作製されることができる。いくつかの変形形態では、電極は、1つ以上の高融点金属を含むことができる。たとえば、電極は、タングステン、モリブデン、ニオブ、タンタル、レニウム、これらの組み合わせ、またはこれらの合金を含むことができる。
【0022】
電極のアブレーション面は、組織のアブレーションに適した任意の形状または大きさを有することができる。たとえば、アブレーション面は、楕円形、円形、方形、三角形、五角形、六角形、多角形、不規則な形状などであることができる。代替として、または加えて、以下でより詳細に説明するように、アブレーション面は、粗面であってもよく、別の態様でパターン形成されてもよい。アブレーション面がカテーテル本体内の1つ以上のアパーチャまたは開口を通して露出される変形形態では、これらのアパーチャまたは開口は、アブレーション面の大きさおよび形状を少なくとも部分的に画定することができる。カテーテルがネスティング材(nesting material)を備える変形形態では、以下でより詳細に説明するように、このネスティング材は、アブレーション面の大きさおよび形状を少なくとも部分的に画定することができる。アブレーション面の大きさおよび形状は、結果として形成される瘻の大きさおよび形状を決定するよう支援することができる。アブレーション面は、任意の適切な長さ(たとえば、約0.0625インチ、約0.1875インチ、約0.05インチから約0.2インチの間、約0.05インチから約0.075インチの間、約0.15インチから約0.2インチの間など)および任意の適切な幅(たとえば、約0.0313インチ、約0.0625インチ、約0.025インチから約0.075インチの間、約0.025から約0.05インチの間、約0.05から約0.075インチの間など)を有することができる。アブレーション面が円形、円筒状、または半球状である変形形態では、アブレーション面は、任意の適切な半径(たとえば、約0.03インチ、約0.04インチ、約0.05インチなど)を有することができる。電極の一部分がカテーテルの一部分から延在する変形形態では、以下でより詳細に説明するように、アブレーション面は、任意の適切な高さ(たとえば、約0.25mm、約0.5mm、約0.75mm、約1mm、約0.1から約1.5mmの間、約0.25から約1mmの間、約0.25から約0.75mmの間、約1.5mmより大きい、など)を有することができる。
【0023】
瘻を形成するために2つ以上の電極を一緒に使用するとき、この2つ以上の電極は、異なる大きさを有することができる。たとえば、いくつかの変形形態では、より大きなアブレーション面(たとえば、約0.2インチ×約0.05インチの方形のアブレーション面)を有する第1の電極は、動脈内に設置されることができ、より小さなアブレーション面(たとえば、約0.1インチ×約0.05インチの方形のアブレーション面)を有する第2の電極は、静脈内に設置さることができる。これらの変形形態では、動脈と静脈との間に瘻を形成するためにある一定の電力(たとえば、40W)のRF信号(たとえば、正弦波形など)を電極に印加すると、第2の電極は、そのアブレーション面が第1の電極より小さいために、第1の電極より大きな電流密度を有することができる。これによって、瘻の形成が静脈内で開始し、動脈を通って伝播することができる。瘻の指向的な形成は、動脈と静脈との間に瘻が完全に形成されていないときに、血管外漏出(たとえば、周囲組織への血液損失)を防止するよう支援することができる(動脈内において部分的な瘻形成が始まることは、静脈内において部分的な瘻形成が始まることよりも血管外漏出の大きなリスクを有することがあるからである)。
【0024】
いくつかの変形形態では、アブレーション面は、カテーテル本体の外表面と同一平面にあることができる。
図2は、アブレーション面(205)を有する電極本体(202)を備えるカテーテル(200)の1つのこのような変形形態を示す。同様にこの図に示されているのは、リードワイヤ(204)、近位係留磁石(206)、および遠位係留磁石(208)である。
図2に示されるように、アブレーション面(205)は、カテーテル(200)を通して露出することができ、カテーテル(200)の外表面と実質的に同一平面にあることができる。電極本体(202)は、
図2では、丸い方形のアブレーション面(205)を持つ円筒状の電極本体(202)を有するように示されているが、上記で述べたアブレーション面などの任意の適切な形状のアブレーション面(205)を有することができることを理解されたい。カテーテル(200)は、
図2では、近位係留磁石(206)と遠位係留磁石(208)とを備えるように示されているが、カテーテル(200)は、以下でより詳細に説明する任意の整列要素または整列要素の組み合わせを有してもよいし、いかなる整列要素も備えなくてもよいことを理解されたい。
【0025】
図2に示されるように、アブレーション面(205)は、カテーテル(200)と同一平面にあることができ、したがって丸い面を有することができる。本明細書で説明するデバイスの他の変形形態では、カテーテルは電極を備えることができ、この電極では、アブレーション面の1つ以上の部分は平坦であることができる。たとえば、
図18Aおよび18Bは、平坦なアブレーション面を有するカテーテルの2つの変形形態の端面図を示す。
図18Aは、カテーテル本体(1802)と、平坦なアブレーション面(1806)を備える電極(1804)とを備えるカテーテル(1800)の第1の変形形態を示す。平坦なアブレーション面(1806)は、電極(1804)と組織(図示せず)の間により良い組織の付着をもたらすことを支援することができる。具体的には、それぞれ平坦なアブレーション面(アブレーション面(1806)などの)を有する電極を備える2つのカテーテルが、異なる血管内に設置され、(たとえば、以下でより詳細に説明する整列要素または形状変化部材の1つ以上によって)より接近させられると、2つのアブレーション面によって、血管組織は、それらの間で少なくとも一時的に平坦化されることができる。これによって、平坦化された組織の電気的分離が増加する(たとえば、活性電極に供給される電流は、接地電極に伝わるときに、他の流体または周囲組織に失われるより、平坦化された組織を通過する可能性が高くなる)ことができ、これは、瘻形成を補助することができる。
【0026】
図18Aに示されるアブレーション面(1806)の変形形態は、カテーテル本体(1802)の外表面と完全には同一平面になくてもよいが、この図に示す平坦なアブレーション面(1806)の平面は、カテーテル本体(1802)の縁部を越えて突出してはいない。しかし、他の変形形態では、平坦なアブレーション面は、カテーテル本体へ陥凹してもよいし、カテーテル本体から突出してもよい。たとえば、
図18Bは、カテーテル本体(1810)と、平坦なアブレーション面(1814)を備える電極(1812)とを備える、カテーテル(1808)の別の変形形態を示す。この図に示されるように、アブレーション面(1814)の平面は、カテーテル本体(1810)から距離(x)だけ突出することができる。この距離(x)は、たとえば、約0.25mm、約0.5mm、約0.75mm、約1mm、約0.1から約1.5mmの間、約0.25から約1mmの間、約0.25から約0.75mmの間などの任意の適切な距離であることができる。カテーテル(1808)が別のカテーテルの方へ持ってこられると、突出しているアブレーション面(1814)を組織に圧入することができ、これが、組織とアブレーション面の付着を増加させることを支援することができ、これにより、組織アブレーションを補助することができる。いくつかの変形形態では、電極は、距離(x)が調整可能であるように構成されることができる。たとえば、これらの変形形態では、デバイスの1つ以上の部分(たとえば、ロッド、リードワイヤ、またはその他の作動機構)は、デバイスの突出を調整することができる。たとえば、いくつかの変形形態では、距離(x)は、約0mmから約1.5mmの間、約0mmから約1.0mmの間、約0mmから約0.5mmの間、約0.25mmから約0.75mmの間などで調整可能であることができる。アブレーション面は、後退位置および突出位置から移動するように構成できることも理解されたい。
【0027】
いくつかの変形形態では、電極の1つ以上のアブレーション面はパターン形成することができるが、パターン形成する必要はない。
図28Aは、表面(2802)を備える電極(2800)の第1の変形形態を示す。この図に示されるように、表面(2802)は平坦であることができ、導電材料から作製されることができる。表面(2802)は、電極(2800)が本明細書で説明するカテーテルの1つ以上と一緒に使用されるとき、アブレーション面として作用することができる。たとえば、
図28Bは、カテーテル本体(2808)内部のネスティング材(2806)内に少なくとも部分的に収容された電極(2800)を備えるカテーテル(2804)の一変形形態を示す。この図に示されるように、表面(2802)は、アブレーション面として作用することができる。カテーテル(2804)は、
図28Bでは、電極(2800)の近位方向と遠位方向との両方にある(以下でより詳細に説明する)複数のカップリング磁石(2810)を備えるように示されているが、以下でより詳細に説明する任意の適切な整列要素または整列要素の組み合わせを備えることができることを理解されたい。
【0028】
図29Aは、パターン形成された面(2902)を備える電極(2900)の第2の変形形態を示す。この図に示されているように、電極(2900)は、導電材料から作製された本体(2904)を備えることができる。本体(2904)の第1の側面は、複数の突起(2908)を画定できる複数のチャネル(2906)を備えることができ、複数の突起(2908)は、それぞれ隆起面(2910)を有する。チャネル(2906)は、たとえば、1つ以上のセラミック材料、パリレン、1つ以上のポリマー樹脂(たとえば、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、1つ以上のフェノール樹脂など)、シリカ、1つ以上の金属酸化物(たとえば、酸化アルミニウム)、これらの組み合わせなどの非導電性封入剤材料(図示せず)を用いて少なくとも部分的に満たすことができる。たとえば、
図29Bは、カテーテル本体(2915)内部のネスティング材(2913)内に少なくとも部分的に収容された電極(2900)を備えるカテーテル(2912)の一変形形態を示す。この図に示されているように、封入剤材料(2914)が、電極(2900)のチャネルを満たすことにより、封入剤材料(2914)および隆起面(2910)は、パターン形成された平坦な面(2902)を形成することができる。パターン形成された面(2902)は、すぐ後で説明するように、カテーテル本体(2915)を通して露出されことができ、アブレーション面として作用することができる。カテーテル(2912)は、
図29Bでは、電極(2900)の近位方向と遠位方向の両方にある(以下でより詳細に説明する)複数のカップリング磁石(2916)を備えるように示されているが、以下でより詳細に説明する任意の適切な整列要素または整列要素の組み合わせを備えることができることを理解されたい。
【0029】
パターン形成された面(2902)がアブレーション面として使用されるとき、突起(2908)の隆起面(2910)は、組織に電気エネルギーを伝導することが可能であり得るが、一方、封入剤材料(2914)は、それを通るエネルギーの流れを防止するかまたは制限することができる。パターン形成された面(2902)の一部分のみが、隆起面(2910)を介して導電性であり得るので、パターン形成された面(2902)によって提供される有効電極面積が減少する。電力出力が電極に印加されるとき、有効電極面積の減少により、電極の導電性部分(たとえば、電極(2900)の導電性の隆起面(2910))における電流密度を増加させ得る。電流は、隆起面(2910)の縁部において高まることができ、電流密度が増加することによって、電極間における電流アーキングを促進することができ、これが、組織のアブレーションまたは蒸散を補助することができる。
【0030】
突起(2908)(および、その隆起面(2910))は、
図29Aおよび29Bでは、断面領域が三角形または四角形であるように示されているが、たとえば方形、台形、円、楕円、多角形、不規則な外形を有する形状などの任意の適切な1つ以上の断面形状を有することができる。突起(2908)およびチャネル(2906)は、任意の適切な方法で形成することができる。いくつかの変形形態では、1つ以上のチャネルが、突起(2908)を画定するために、材料のブロック(
図28Aおよび28Bに関して上記で説明した電極(2800)など)内に(たとえば、切断、エッチング、カービングなどによって)形成されることができる。他の変形形態では、1つ以上の突起が、ベース部材から分離して形成されることができ、次に、ベース部材に取り付けられることができる。
【0031】
カテーテルが平坦なアブレーション面を備える変形形態では、この平坦なアブレーション面は、任意の適切な断面形状(たとえば、円、楕円、三角形、正方形、長方形、五角形、六角形、他の多角形、不規則な形状など)を有することができる。加えて、または代替として、このアブレーション面は、上記でより詳細に説明したものなど、パターン形成されることができる。
図3は、カテーテル(300)から突出した六角形のアブレーション面(311)を有する電極本体(310)を備えるカテーテル(300)の一変形形態を示す。同様にこの図に示されているのは、近位係留磁石(302)、遠位係留磁石(304)、内腔(308)、および同心の導電体(314)であり、これらのそれぞれについて以下でより詳細に説明する。加えて、
図18Aおよび18Bでは、平坦なアブレーション面(1806)および(1814)はそれぞれカテーテル本体(それぞれ(1802)および(1804))と平行であるように示されているが、平坦なアブレーション面はカテーテル本体に対してある角度をなすことができることを理解されたい。電極は、カテーテル本体から突出しているが平坦な面を備えないアブレーション面を有することができることも理解されたい。たとえば、
図1A~1Cに示され、上記でより詳細に説明したカテーテル(100)のアブレーション面(103)などのいくつかの変形形態では、アブレーション面は半球状であり得る。
【0032】
電極本体の1つ以上の部分がカテーテル本体から突出する変形形態では、カテーテルの1つ以上の部分がテーパ状であることにより、カテーテルが血管を通して前進させられるとき、突出したアブレーション面(またはその縁部)によって生じさせられることがある外傷を減少させることを助ける。いくつかの変形形態では、アブレーション面自体がテーパ状にされることができる。他の変形形態では、カテーテル本体または電極ネスティング材(以下でより詳細に説明する)などの1つ以上の追加の構成要素が、アブレーション面までテーパ状であることができる。たとえば、
図4は、カテーテル(400)の表面から突出したアブレーション面(404)を有する電極(402)を備える一変形形態のカテーテル(400)を示す。同様にこの図に示されているのは、電極(402)を部分的に被覆するネスティング材(406)である。
図4に示されるように、ネスティング材(406)は、カテーテル(400)の表面からアブレーション面(404)までテーパ状であることができ、これは、組織の外傷を最小にするよう支援することができる。
【0033】
すぐ上で述べたように、いくつかの変形形態では、電極の1つ以上の部分は、ネスティング材によって少なくとも部分的に被覆されるかまたは収容されることができる。実際、これらの変形形態のうちのいくつかでは、アブレーション面を除く電極本体全体は、ネスティング材によって被覆される。このネスティング材は、いくつかの有用な目的を果たすことができる。すぐ上で述べたように、このネスティング材は、血管を通してカテーテルを前進させるときに電極によってなされる組織の損傷を防止するよう支援することができる。いくつかの変形形態では、このネスティング材は、カテーテルの1つ以上の他の要素(たとえば、1つ以上の整列要素など)に対して電極を適所に保持することができる。加えて、いくつかの場合、このネスティング材は、周囲組織またはカテーテルの他の部分から電極本体を絶縁することができ、これによって、カテーテルの他の部分を保護するかまたは遮蔽することができる。たとえば、ネスティング材により提供される熱絶縁によって、電極により生成され得る熱から他のカテーテル構成要素を保護することができる。加えて、または代替として、ネスティング材により提供される電気絶縁は、カテーテルの他のパーツまたは周囲組織への電流損失を最小にするよう支援することができる。ネスティング材は、任意の耐熱材料および/または電気抵抗性材料で作製することができる。適切なネスティング材の例としては、セラミック材料、パリレン、1つ以上のポリマー樹脂(たとえば、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、1つ以上のフェノール樹脂など)、シリカ、1つ以上の金属酸化物(たとえば、酸化アルミニウム)、これらの組み合わせなどがあるが、これらに限定されない。いくつかの場合、ネスティング材は、固体機械加工され(machined solid)てもよいし、型成形されてもよい。他の場合、ネスティング材は、電極の1つ以上の部分にプラズマ溶射されてもよいし、コーティングされてもよいし、別の態様で堆積されてもよい。電極の1つ以上の部分がカテーテルに対して移動可能である変形形態では、ネスティング材もカテーテルに対して移動可能であってもよく、移動可能でなくてもよいことも理解されたい。ネスティング材および電極は協調して移動することができるが、協調して移動する必要はない。これらの変形形態のうちのいくつかでは、ネスティング材の1つ以上のピース/部分は、電極と共に移動することができるが、ネスティング材の1つ以上のピース/部分は、カテーテルに対して固定されたままである。加えて、ネスティング材は、以下でより詳細に説明するように、1つ以上の整列要素(たとえば、1つ以上の磁石)を収容するかまたは別の態様で保持するように構成されることができる。
【0034】
いくつかの変形形態では、ネスティング材が、方向付けられた熱放散を提供することにより、熱はアブレーション面の縁部から離れるようにアブレーション面の中心に向かって方向付けられることができる。たとえば、ネスティング材は、異なる熱伝達特性を有する種々の材料で作製されることができ、その場合、アブレーション面の縁部近くのネスティング材は熱伝達に対して耐性を持つ材料で作製されることができるが、アブレーション面の中心近くのネスティング材は、効率的な熱伝達特性を有する材料で作製されることができる。アブレーション面の縁部と中心との間の中間位置は、中間の熱伝達特性を有することができる。代替として、ネスティング材は、アブレーション面の縁部から中心まで密度が変化する単一材料で作製されることができ、たとえば、縁部領域の材料は、中心領域の材料の密度よりも大きな密度を有することができる。任意の適切な熱および/または電流のネスティング材および構成は、電極を活性化した結果であり得る温度および/または電流を方向付けるかまたは別の態様で調節するために使用されることができる。
【0035】
上記で述べたように、ネスティング材は、電極本体の1つ以上の部分を遮蔽するかまたはこれを周囲組織から絶縁するよう支援することができる。カテーテル本体は、ネスティング材の1つ以上の部分を被覆することができるが、カテーテル本体がこれを被覆する必要はない。たとえば、
図19は、カテーテル(1900)の一変形形態を示す。この図に示されているのは、遠位カテーテル本体(1902)、近位カテーテル本体(1904)、ならびに電極(1908)およびカップリング磁石(1910)を収容するネスティング材(1906)である。これらの変形形態では、近位カテーテル本体(1904)および遠位カテーテル本体(1902)は、ネスティング材(1906)の少なくとも一部分の周囲がカテーテル本体によって被覆されないように、ネスティング材(1906)に取り付けられることができる。これらの場合、ネスティング材(1906)および電極(1908)の直径が増加させられることができ、これによって、カテーテル(1900)の全体の直径を増加させることなく、電極(1908)のアブレーション面の大きさを増加させることができる。
【0036】
本明細書で説明するカテーテルの他の変形形態では、アブレーション面は、カテーテルの表面の中に少なくとも部分的に陥凹させられることができる。一部の場合、電極面と血管壁との間の直接接触は、組織アブレーション中にこの面上に炭素析出を生じさせ得る。したがって、凹部アブレーション面は、アブレーション面と血管壁の間の離間をもたらすことによって、アブレーション面上での炭素蓄積を最小にしながら組織をアブレーションするよう支援し得る。具体的には、カテーテルを血管壁に対して設置すると、血液または他の流体を凹部部分に一時的に閉じ込めることができる。血液は、アブレーション面上での炭素蓄積を伴わずにアブレーションエネルギーを血管壁に移すことを支援するための効率的な伝導媒体となることができ、これは、電極の劣化を防止するかまたは別の態様で減少させることを支援することができる。
図5は、陥凹電極アブレーション面(504)を有する電極(502)を備えるカテーテル(500)の一変形形態を示す。同様にこの図に示されているのは、電極(502)を少なくとも部分的に被覆するネスティング材(506)である。前述のように、ネスティング材(506)は、アブレーション面(504)および電極(502)をカテーテル(500)の残りの構成要素から分離および絶縁するよう支援することができる。アパーチャの大きさ、形状、および深さは、一部には、カテーテル(500)の陥凹部分に保持されるかまたは別の態様で閉じ込められる血液の所望量によって決定することができる。
【0037】
本明細書で説明する電極は、上記の変形形態では、単一のアブレーション面を有するように示されているが、複数のアブレーション面を有することができることを理解されたい。各電極は、1つ、2つ、3つ、または4つ以上のアブレーション面を有することができ、各アブレーション面は、カテーテル本体に対して任意の適切な設置を有することができる。たとえば、いくつかの変形形態では、電極は、カテーテルの第1の側面にある第1のアブレーション面と、カテーテルの第1の側面に沿って第1のアブレーション面の遠位または近位にある第2のアブレーション面とを有することができる。これは、第1のアブレーション面と第2のアブレーション面との間隔に応じて、2つの瘻の形成または1つの瘻の拡大に寄与することができる。他の変形形態では、2つ以上のアブレーション面は、カテーテルの異なる側面にあることができ、たとえば、第1のアブレーション面はカテーテルの一部分にあることができ、第2のアブレーション面は、第1のアブレーション面から約10°、約20°、約30°、約45°、約60°、約90°、約120°、約150°、約180°、約200°、約300°などにあることができる。
【0038】
加えて、いくつかの変形形態では、電極本体の少なくとも一部分は、ネスティング材の内部に収容されることができる。これらの変形形態では、電極の収容される部分は、任意の適切な大きさまたは形状を有することができる。たとえば、
図2に示されるカテーテル(200)の変形形態では、電極本体(202)は、カテーテル本体内に収容される円筒状部分(204)を備える。代替として、この収容される部分は、方形の断面、三角形の断面、楕円形の断面、卵形の断面、多角形の断面、または不規則な断面を有する細長い形状であることができる。さらに他の変形形態では、電極のこの収容される部分は、半円筒形であってもよく、四分の一の円筒形であってもよく、円筒形の別の適切なわずかな部分であってもよい。たとえば、
図6Aは、カテーテル(600)の1つのこのような変形形態を示し、カテーテル(600)は、アブレーション面(603)を有する電極本体(602)と、リードワイヤ(605)と、近位係留磁石(604)と、遠位係留磁石(606)と、内腔(608)とを備える。この変形形態では、電極本体(602)の収容される部分は、半円筒状であることができる。より詳細に説明するように、半円筒状の電極本体を有する変形形態は、内腔(608)にそのそばを通過させることができる。他の変形形態では、電極は、それを通るアパーチャを有することができ、したがって、カテーテルの内腔は電極を通過することができる。たとえば、
図3に示され以下でより詳細に説明するカテーテル(300)の変形形態では、電極本体(310)は、その中に画定されたアパーチャを有するように示され、したがって、内腔(308)は電極本体(310)を通過することができる。
【0039】
上記で説明したカテーテルの変形形態の多くは、カテーテル本体に対して固定して取り付けられた1つ以上の電極を有するように示されているが、本明細書で説明する電極(またはその1つ以上の部分)は、カテーテル本体に対して調整可能または別の態様で移動可能であることもできることを理解されたい。たとえば、電極は、血管を通して標的部位にカテーテルを前進させるときに電極のアブレーション面がカテーテルと実質的に同一平面にあるかまたはその内部に陥凹できるように配置されることができ、その後に、カテーテル本体から突出するように調整されることができる。いくつかの場合、電極本体全体が調整可能であることができるが、他の場合には、電極の一部分のみが調整可能である。電極を調整するために、たとえば、ばね機構などの任意の適切な機構を使用することができる。
【0040】
図7Aおよび7Bは、移動可能な電極(702)とスリーブ(704)とを備えるカテーテル(700)の一変形形態を示す。この図に示されているように、電極(702)は、ばねワイヤ電極を含むことができ、このばねワイヤ電極は、電極(702)がカテーテル内に保たれる(
図7Aに示すような)後退(retracted)構成と、電極(702)がカテーテル(700)の表面から突出する(
図7Bに示すような)突出構成との間で移動可能であることができる。電極(702)は、カテーテルから突出するように自然に偏向させられてもよく、また偏向させられなくてもよい。電極(702)が、
図7Aおよび7Bに示される変形形態などで、カテーテルから突出するように自然に偏向させられるとき、電極(702)を後退構成に保持するかまたは維持するために、ある構造を使用することができる。たとえば、スリーブ(704)は、電極(702)の突出を制御するために使用することができる。スリーブ(704)は、
図7Aに示されるように、電極(702)を後退構成に保持するために遠位方向に前進させられることができる。スリーブ(704)は、次に、電極(702)を露出させるために近位方向に撤退させられることができ、次いで、
図7Bに示されるように、自然に突出構成に移動することができる。電極(702)は、カテーテル(700)の表面から任意の適切な量(たとえば、約0.1mmから約1mmの間、約0.25mm、約0.5mm、約0.75mm、約1.0mmなど)突出することができる。
【0041】
電極は、
図7Aおよび7Bでは、突出構成に自然に偏向させられるように示されているが、後退構成と突出構成の間で手動で調整可能であることができる。たとえば、
図8は、ワイヤ(804)によって作動できる板ばね電極(802)を有するカテーテル(800)の1つのこのような変形形態を示す。この図に示されているように、ワイヤ(804)は、ロッド(806)内に摺動可能に配設されることができる。ワイヤ(804)を移動させることによって、電極(802)を後退構成と突出構成の間で遷移させることができる。電極(802)の突出の量は、少なくとも一部は、ワイヤ(806)の移動の量によって決定されることができ、電極の展開に関して使用者によるさらなる制御を可能にする。他の変形形態では、ワイヤ(804)はロッド(806)に取り付けることができ、ロッド(806)は、ワイヤ(804)を前進させるかまたは後退させるためにカテーテル(800)内で移動可能であることができる。これらの変形形態では、電極(802)の突出の量は、少なくとも一部は、ロッド(806)の移動の量によって決定することができる。
【0042】
電極がばね電極または別の展開可能な電極を含む変形形態では、電極の1つ以上の部分は、上記で説明したネスティング材などのネスティング材によって被覆されることができる。
図20は、展開可能な電極(2002)を備えるカテーテル(2000)の1つのこのような変形形態を示す。この図に示されているように、カテーテル(2000)は、カテーテル本体(2001)と、電極(2002)と、遠位カップリング磁石配列(2004)とを備えることができる。電極(2002)の少なくとも一部分は、絶縁材料(2006)で被覆する/コーティングされることができ、したがって、電極(2002)の被覆されていない部分(2008)は、アブレーション面として作用することができる。電極(2002)の絶縁される部分は、任意の適切な方法(たとえば、プラズマ溶射、フレームスプリング(flame spring)、浸漬コーティングなど)でコーティングされることができ、絶縁材料(2006)は、上記で説明したネスティング材のうちの1つ以上などの任意の適切な材料であることができる。ロッド、硬化されたリードワイヤ、または他の作動機構(図示せず)は、電極(2002)がカテーテル本体(2001)内に収容されるかまたはこれと同一平面にある扁平な(low-profile)構成(図示せず)と、
図20に示す展開された構成との間で、電極(2002)を移動させるために使用することができる。展開された構成に電極(2002)を移動させるために、作動機構は、電極(2002)がカテーテル本体(2001)から離れるように屈曲するか、撓曲するか、または別の態様で変形するように、電極(2002)を圧縮することができる。いくつかの場合、電極(2002)は、カテーテル本体(2001)から離れるように自然に屈曲するかまたは撓曲することができ、作動機構(またはスリーブ)は、電極(2002)を扁平な構成に移動させるために使用されることができることも理解されたい。
【0043】
カテーテルが展開可能な電極を備える変形形態では、上記でより詳細に説明したように、電極の1つ以上のアブレーション面はパターン形成されることができることを理解されたい。
図30は、展開可能な電極(3002)を備えるカテーテル(3000)の1つのこのような変形形態を示す。この図に示されているように、カテーテルは、第1の電極部分(3003)と第2のパターン形成された電極部分(3004)とを有する電極(3002)と、カテーテル本体(3006)と、カップリング磁石(3010)を収容しトラック(3012)を有するネスティング材(3008)とを備えることができる。電極(3002)は、電極(3002)がネスティング材(3008)のトラック(3012)内に含まれる後退位置から前進させられることができる。電極(3002)を展開するために、第1の電極部分(3003)は、
図20に関連して上記で説明した電極(2002)と同様に、カテーテル本体(3006)から離れるように屈曲するかまたは撓曲するように構成されることができる。第2の電極部分(3004)は、第1の電極部分(3003)がカテーテル本体(3006)から離れるように屈曲するかまたは撓曲するときに、第2の電極部分(3004)がカテーテル本体(3006)から延在するように、第1の電極部分(3003)に取り付けられることができる。第2の電極部分(3004)は、
図29Aおよび29Bに関して上記で説明した電極(2900)のパターン形成された面(2902)などの1つ以上のパターン形成された面を備えることができる。いくつかの変形形態では、第1の電極部分(3003)の少なくとも一部分は、上記で説明したネスティング材のうちの1つ以上などの1つ以上の絶縁材料で被覆されるかまたは別の態様でコーティングされることができる。カテーテル(3000)は、
図30では、電極(2900)から遠位方向にある2つのカップリング磁石(3010)を有するように示されているが、以下でより詳細に説明する整列要素などの任意の整列要素または整列要素の組み合わせを備えることができることを理解されたい。
【0044】
上記で述べたように、カテーテルが電極を備える変形形態では、このカテーテルは、電流を電極にまたはこれから運ぶために電極を電流源または接地源に電気的に接合できるワイヤまたはその他の導電性構造をさらに備えることができる。いくつかの変形形態では、以下でより詳細に説明するように、ワイヤまたは導電性構造の1つ以上の部分は、組織をアブレーションするための電極として作用することができる。ワイヤは、カテーテルの内部に、カテーテルの外部に、またはこれらの組み合わせで配設されることができる。ワイヤがカテーテルの外部に配設されるいくつかの変形形態では、ワイヤは、カテーテルの壁に埋め込まれるか、カテーテルの外面に沿って取り付けられるか、および/またはシースまたは別の非導電材料(上記でより詳細に説明した1つ以上のネスティング材など)によって少なくとも部分的に被覆されることができる。たとえば、
図1A~1Cに示され以下でより詳細に説明するカテーテル(100)の変形形態では、ワイヤ(104)は、カテーテルの外面に沿って少なくとも部分的に位置することができる。この図に示されているように、ワイヤは、スリーブ(106)によって周囲組織からさらに遮蔽されることができる。
【0045】
他の変形形態では、ワイヤは、カテーテル内に少なくとも部分的に配設されることができる。これらの変形形態のうちのいくつかでは、ワイヤは、デバイスの1つ以上の部分の周囲に配設されることができる同心の導電体を備えることができる。たとえば、
図3に示され上記でより詳細に説明したカテーテル(300)の変形形態では、同心の導電体(314)は、電極(310)に接続されることができる。この図に示されているように、同心の導電体(314)は、内腔(308)の一部分の周囲に配設されることができる。同心の導電体(314)は、編組材料であってもよく、編組材料でなくてもよく、銅、金、プラチナなどの任意の適切な導電材料で作製されることができる。
【0046】
いくつかの変形形態では、ワイヤは、パリレン、セラミック、ポリテトラフルオロエチレン(polytetrafluroethylene)、ポリエーテルエーテルケトン、フッ化エチレン-プロピレンなどの非導電材料によって電気的に絶縁されることができる。電気絶縁は、いくつかの有用な目的を果たすことができる。いくつかの場合では、絶縁は、ワイヤからの電流損失を防止するよう支援することができる。他の場合、絶縁は、組織またはデバイスのその他の構成要素と意図せず接触することからワイヤを保護することができる。本明細書で説明するカテーテルのいずれも、上記で説明したような任意の電極もしくは電極の組み合わせ、任意のワイヤもしくは導電材料、および/または任意の絶縁材料もしくはネスティング材を備えることができることを理解されたい。
【0047】
ワイヤは、RFエネルギーを電極に供給するための1つ以上の発生器に動作可能に接続されることができる。この発生器は、任意の適切な電流を、組織をアブレーション可能な電極に供給することができる。いくつかの変形形態では、発生器は、約10Wから約300Wの間の電力を供給するように構成されることができる。他の変形形態では、発生器は、約100Wから約200Wの間の電力を供給するように構成されることができる。いくつかの変形形態では、発生器は、パルス電流を生成するように構成されることができる。これらの変形形態のうちのいくつかでは、パルス電流の振幅は、パルス間で変化することができる。他の変形形態では、発生器は、交流を生成するように構成されることができる。これらの変形形態では、上記でより詳細に説明したように、1つ以上の電極は、発生器の双極性出力または単極性出力に取り付けられることができる。発生器が交流を生成するように構成された変形形態では、電流は、たとえば約300kHzから約9.5MHzなどの任意の適切な周波数範囲を有することができる。発生器は、複数の電力出力を提供するように構成されることができることも理解されたい。たとえば、いくつかの変形形態では、発生器は、(以下でより詳細に説明するように)血管組織を融合するために第1の出力を供給するように構成されることができ、組織をアブレーションするかまたは蒸散させるために第2の出力を供給するように構成されることができる。
【0048】
上記で述べたように、リードワイヤの1つ以上の部分は、組織をアブレーションするかまたは蒸散させるための電極として作用することができる。たとえば、
図21Aおよび21Bは、カテーテル(2100)の1つのこのような変形形態を示す。この図に示されているように、カテーテル(2100)は、遠位カテーテル本体(2102)と、近位カテーテル本体(2104)と、カップリング磁石(2108)およびトラック(2110)を備えるネスティング材(2106)と、リードワイヤ(2112)とを備える。これらの変形形態では、リードワイヤ(2112)の少なくとも一部分は、被覆されていなくてもよく(たとえば、1つ以上の絶縁コーティング、ネスティング材、または他の非導電材料によって電気的に絶縁されていない)、したがって、リードワイヤ(2112)の露出した部分は、組織をアブレーションするか、蒸散するか、または別の態様で除去するために電流を送達できるアブレーション面として作用することができる。加えて、リードワイヤ(2112)の遠位部分は、カテーテル(2100)から離れるように偏向させられることができ、3つの位置の間で移動可能であることができる。第1の位置(図示せず)において、リードワイヤ(2112)は、カテーテル(2100)内に保持されるかまたは別の態様で収容されることができ、これによって、血管系を通ってのカテーテル(2100)の扁平状態の前進を可能にすることができる。次に、リードワイヤ(2112)は、
図21Aに示されるように、リードワイヤ(2112)の偏向によってリードワイヤ(2112)の遠位部分がトラック(2110)を通ってカテーテル(2100)から突出するように、前進させられる(または、いくつかの場合では、撤退させられる)ことができる。いくつかの場合、この偏向は、血管組織(図示せず)に対してリードワイヤ(2112)を付勢するかまたは別の態様で押圧することができる。次に、電流をリードワイヤ(2112)に供給して、血管組織をアブレーションすることができる。血管組織がアブレーションされるとき、リードワイヤ(2112)の偏向は、組織を貫くリードワイヤ(2112)の遠位部分を引き続き付勢することができ、そこで、リードワイヤ(2112)の偏向は、隣接する血管の中の第2のカテーテルの1つ以上の部分(たとえば、上記で説明した電極などの、平坦なアブレーション面を備える電極など)と接触することができる。加えて、リードワイヤ(2112)は、
図21Bに示されるように、リードワイヤ(2112)を第2の位置に移動させるためにアブレーション中にさらに前進させられる(または撤退させられる)ことができる。リードワイヤ(2112)を移動させるとき、リードワイヤ(2112)は、組織内の道(tract)または経路をアブレーションするために血管組織を横切って移動することができ、これによって、瘻の形成を容易にすることができる。アブレーションに続いて、リードワイヤ(2112)は、次に、その元の扁平な構成(または異なる扁平な構成)に戻されることができ、カテーテルは再配置されるかまたは外されることができる。
【0049】
図31Aおよび31Bは、カテーテル(3100)の別の変形形態を示す。具体的には、
図31Aはカテーテル(3100)の斜視図を示し、カテーテル(3100)は、カテーテル本体(3102)と、トラック(3106)を有するネスティング材(3104)と、カップリング磁石(3108)と、成形されたリードワイヤ(3110)とを備える。
図31Bは、カテーテル本体(3102)が外されたカテーテル(3100)を示す。
図31Bに追加的に示されているのは、係留磁石(3112)である。
図21Aおよび21Bに関連して上記で説明したリードワイヤ(2112)と同様に、リードワイヤ(3110)の少なくとも一部分は、被覆されていなくてもよく、したがって、組織をアブレーションするまたは蒸散させるアブレーション面として作用することができる。加えて、リードワイヤ(3110)の遠位部分は、カテーテル(3100)から離れるように偏向するように構成されることができ、3つの位置の間で移動可能であることができる。第1の位置(図示せず)では、リードワイヤ(3110)は、カテーテル(3100)内に(たとえばネスティング材(3104)および/またはカテーテル本体(3102)内に)保持されるかまたは別の態様で収容されることができ、これによって、血管系を通ってのカテーテル(3100)の扁平状態の前進を可能にすることができる。次に、リードワイヤ(3110)は、
図31Aおよび31Bに示されるように、リードワイヤ(3110)の偏向によってリードワイヤ(3110)の遠位部分がカテーテル本体(3102)から離れるよう偏向させられるように、撤退させられる(または、いくつかの場合では、前進させられる)ことができる。これらの図に示されるように、リードワイヤ(3110)は、カテーテル本体(3102)内に少なくとも部分的に収容される第1のセグメント(3114)と、第1のセグメント(3114)の遠位端から延在する第1の角度付きセグメント(3116)と、第1の角度付きセグメント(3116)の遠位端から延在する第2の角度付きセグメント(3118)とを備えることができる。第1の角度付きセグメント(3116)は、第1のセグメント(3114)から第1の角度(θ
1)で延在することができ、それにより、リードワイヤ(3110)がカテーテル本体(3102)から離れるように偏向するとき、第1の角度付きセグメント(3116)は、カテーテル本体(3102)から第1の角度(θ
1)で離れるように角度を付けられる。第1の角度(θ
1)は、任意の適切な角度(たとえば、約30度、約45度、約60度、約30度から約60度の間、約15度から約75度の間など)であることができる。第2の角度付きセグメント(3118)は、第1の角度付きセグメント(3116)に対して第2の角度(θ
2)で角度を付けられることができる。第2の角度(θ
2)は、任意の適切な角度(たとえば、約100度、約135度、約170度、約100度から約170度の間など)であることができる。
図31Aおよび31Bに示される変形形態では、リードワイヤ(3110)は、リードワイヤ(3110)が偏向するときに第2の角度部分(3118)がカテーテル本体(3102)の長手方向軸とほぼ平行であり、カテーテル本体(3102)からある距離(x)だけ分離されているように構成されることができる。距離(x)は、アブレーション中に血管の組織を通って少なくとも部分的に延在することに適切な任意の値(たとえば、1mm未満、約1mmから約2mmの間、約1mmから約3mmの間、約4mmより大きいなど)であることができる。
【0050】
血管(図示せず)の内部にカテーテル(3100)を設置し、リードワイヤ(3110)がカテーテル(3100)から外に延在するとき、リードワイヤ(3110)の第1の角度付きセクション(3116)および第2の角度付きセクション(3118)は、血管の組織の中へと偏向させられることができる。組織をアブレーションするためにリードワイヤ(3110)が使用されるとき、この偏向は、リードワイヤ(3110)が血管組織を押し分けて進むかまたは別の態様で血管組織をアブレーションすることができる。リードワイヤ(3110)が血管組織を通過すると、リードワイヤ(3110)は、以下でより詳細に説明するように、隣接する血管内に設置された第2のカテーテル(図示せず)の1つ以上の部分と接触することができる。いくつかの変形形態では、リードワイヤ(3110)は、リードワイヤ(3110)をカテーテルに対して摺動させて第3の位置(図示せず)に至らせるために、アブレーション中にさらに撤退させられる(または前進させられる)ことができる。リードワイヤ(3110)を移動させるとき、リードワイヤ(3110)は、組織内の道または経路をアブレーションするために血管組織を横断して移動させられることができ、これによって、瘻の形成を促進することができる。アブレーションに続いて、リードワイヤ(3110)は、次に、(たとえば、カテーテル本体(3102)に対してリードワイヤ(3110)を撤退させることによって)扁平状態に戻されることができ、カテーテルは再配置されるかまたは外されることができる。
【0051】
リードワイヤ(3110)の1つ以上の部分は、1つ以上の絶縁材料を用いてコーティングされるかまたは別の態様で被覆されることができる。たとえば、
図31Aおよび31Bに示されるように、絶縁材料(3122)は、リードワイヤ(3110)を少なくとも部分的に被覆することができる。絶縁材料は、リードワイヤの任意の適切な1つ以上の部分を被覆することができる。たとえば、
図31Aおよび31Bに示される変形形態では、絶縁材料(3122)は、第1のセグメント(3114)および第1の角度付きセグメント(3116)を被覆することができるが、第2の角度付きセグメント(3118)は被覆しなくてもよい。他の変形形態では、絶縁材料(3122)は、第1のセグメント(3114)を被覆し、第1の角度付きセグメント(3116)を部分的にのみ被覆することができ、したがって、第2の角度付きセグメント(3118)および第1の角度付きセグメント(3116)の一部分は、被覆されていない状態のままである。これらの変形形態では、第2の角度付きセグメント(3118)および第1の角度付きセグメント(3116)の被覆されていない部分は、アブレーション面として作用することができる。絶縁材料(3122)がリードワイヤ(3110)の複数のセグメントを被覆するとき、同じ材料が各セグメントを被覆してもよく、異なる絶縁材料が異なるセグメントを被覆してもよい。絶縁材料(3122)は、上記で説明した材料などの任意の適切な1つ以上の材料を備えることができる。いくつかの変形形態では、絶縁材料(3122)は、ポリエーテルエーテルケトンを含むことができる。
【0052】
図32は、第1のセグメント(3204)と第1の角度付きセグメント(3206)と第2の角度付きセグメント(3208)とを有するリードワイヤ(3202)を備えるカテーテル(3200)の別の変形形態を示す。この図に示されているように、カテーテル(3200)は、陥凹領域(3212)を有するカテーテル本体(3210)を備えることができる。カテーテル(3200)は、内腔(3214)またはカテーテル本体(3210)を通って延在する他の通路を備えることができる。内腔(3214)は、陥凹領域(3212)の近位方向および遠位方向の両方にカテーテル本体(3210)を通って延在してもよく、陥凹領域(3212)の近位方向にのみカテーテル本体(3210)を通って延在するだけでもよい。
図31Aおよび31Bに関連して上記で説明したリードワイヤ(3110)と同様に、リードワイヤ(3202)の少なくとも一部分は被覆されていなくてもよく、リードワイヤ(3202)は、扁平な構成と、第1の角度付きセグメント(3206)が第1のセグメント(3204)およびカテーテル本体(3210)から離れるように角度を付ける偏向構成から移動可能であることができる。扁平な構成であるとき、第1の角度付きセグメント(3206)および第2の角度付きセグメント(3208)は、内腔(3214)内に少なくとも部分的に拘束されることができる。いくつかの変形形態では、第1の角度付きセグメント(3206)および/または第2の角度付きセグメント(3208)の少なくとも一部分は、陥凹領域(3212)の遠位方向に内腔(3214)の一部分に一時的に収容されることができる。これらの変形形態では、リードワイヤ(3202)は、内腔(3214)から第1の角度付きセグメント(3206)および第2の角度付きセグメント(3208)を解放するためにカテーテル本体(3210)に対して撤退させられることができ、これによって、これらのセグメントは、上記で説明したようにカテーテル本体(3210)から離れるように偏向することができる。他の変形形態では、第1の角度付きセグメント(3206)および/または第2の角度付きセグメント(3208)の少なくとも一部分は、陥凹領域(3212)の近位方向に内腔(3214)の一部分に一時的に収容することができる。これらの変形形態では、リードワイヤ(3202)は、内腔(3214)から第1の角度付きセグメント(3206)および第2の角度付きセグメント(3208)を解放するために撤退させることができる。
【0053】
図32に示されるように、絶縁材料(3216)(上記で説明した絶縁材料のうちの1つ以上など)は、第1のセグメント(3204)を被覆することができ、第1の角度付きセグメント(3206)を部分的に被覆し、第2の角度付きセグメント(3208)および第1の角度付きセグメント(3206)の一部分を露出させたままの状態にしておくことができる。いくつかの変形形態では、1つ以上の絶縁材料は、第2の角度付きセグメント(3208)も部分的に被覆することができるが、部分的に被覆することは必要ではない。第1の角度付きセグメント(3206)および第2の角度付きセグメント(3208)の露出した部分は、組織をアブレーションするまたは蒸散させるアブレーション面として作用することができる。カテーテル本体(3210)は、アブレーション中にリードワイヤ(3202)によって発生させられる熱およびエネルギーからカテーテル本体(3210)を保護し、いくつかの場合では、この熱およびエネルギーの向きを変えることを支援することができる、1つ以上の絶縁ネスティング材(図示せず)またはコーティング剤も含むことができる。
【0054】
加えて、いくつかの変形形態では、リードワイヤ(3202)は、リードワイヤ(3202)をカテーテルに対して摺動させるために、アブレーション中にさらに撤退させられる(または前進させられる)ことができる。リードワイヤ(3202)を移動させるとき、リードワイヤ(3202)は、組織内の道または経路をアブレーションするために血管組織を横断して移動させられることができ、これによって、瘻の形成を容易にすることができる。アブレーションに続いて、リードワイヤ(3202)は、次に、たとえば、第1の角度付きセグメント(3206)および第2の角度付きセグメント(3208)が内腔(3214)の中に引き込まれるようにリードワイヤ(3202)を撤退させることによって、扁平な構成に戻されることができる。
【0055】
上記で述べたように、いくつかの変形形態では、第1のカテーテルの電極のアブレーション面の1つ以上の部分は、アブレーション中に血管組織を通って延在するかまたは別の態様で前進させられることができる。第2のカテーテルを隣接する血管内に設置するとき、このように血管組織を通して前進させることによって、アブレーション面を第2のカテーテルの1つ以上の部分と接触させることができる。第2のカテーテルが、露出した導電性面を有する電極を備えるとき、各カテーテルの電極間の直接接触によって、エネルギー源(たとえば、電気外科用ジェネレータ)を止めるかまたは別の態様で組織アブレーションを中止させることができる。他の場合、第1のカテーテルの電極と第2のカテーテルの電極とが接触することによって、第2のカテーテルの1つ以上の構成要素を損傷する可能性がある。したがって、いくつかの変形形態では、アブレーションを中止したりまたはカテーテルの1つ以上の部分を別の態様で損傷したりすることなく活性電極との接触に対応できる1つ以上のセクションを含むようにカテーテルが構成されることが望ましいことがある。
【0056】
図33Aおよび33Bは、カテーテル(3300)の1つのこのような変形形態を示す。
図33Aにここで示されているように、カテーテル(3300)は、カテーテル本体(3302)と、ポケット(3306)を有するネスティング材(3304)と、カップリング磁石(3308)と、電極(3310)とを備えることができる。
図33Bは、カテーテル本体(3302)が外されたカテーテル(3300)を示す。この図に追加で示されているのは、係留磁石(3312)である。一般に、ポケット(3306)は、第2のカテーテルから電極の一部分を受容するように構成されることができる。たとえば、カテーテル(3300)を血管(図示せず)内に設置し、第2のカテーテルを隣接する血管内に設置するとき、カテーテル(3300)は、ポケット(3306)が第2のカテーテルの電極(図示せず)と整列できるように、第2のカテーテルに対して配置することができる。整列は、以下でより詳細に説明するように、カテーテル(3300)の整列要素(たとえば、カップリング磁石(3308)および/または係留磁石(3312))と第2のカテーテルの対応する整列要素との引力(attraction)の結果としてもたらされることができる。アブレーション中に、第2のカテーテルの電極は血管の間を通過することができ、そこでポケット(3306)によって受容されることができる。ネスティング材(3304)は、電極がポケット(3306)によって受容されるときに電極によって送達されるエネルギーがカテーテル(3300)を損傷しないように、絶縁材料から形成するかまたは絶縁材料でコーティングすることができる。
【0057】
ポケット(3306)は、上記でより詳細に説明したように、任意の適切な電極を受容するように構成されることができる。たとえば、いくつかの変形形態では、ポケット(3306)は、
図21Aおよび21Bに関連して上記で説明したカテーテル(2100)のワイヤ(2112)、
図31Aおよび31Bに関して上記で説明したカテーテル(3100)のリードワイヤ(3110)、
図32Aおよび32Bに関連して上記で説明したリードワイヤ(3202)などのリードワイヤの一部分を受容するように構成されることができる。たとえば、いくつかの変形形態では、カテーテル(3300)および(3100)のカップリング磁石および係留磁石は、カテーテル(3300)および(3100)が隣接する血管内に設置されるときにカテーテル(3300)のポケット(3306)がトラック(3106)に対して実質的に整列されることができるように構成されることができる。リードワイヤ(3110)の遠位部分をトラック(3106)から偏向するようにリードワイヤ(3110)を前進させる(または撤退させる)とき、リードワイヤ(3110)は、以下でより詳細に説明するように、血管組織をアブレーションするように活性化することができる。リードワイヤ(3110)が組織を通してアブレーションすると、リードワイヤ(3110)の1つ以上の部分(たとえば、第2の角度付き部分(3118))は、ポケット(3306)に入るかまたは別の態様でポケット(3306)によって受容されることができる。
【0058】
カテーテル(3300)は、
図33Aおよび33Bでは、電極(3310)を有するように示されているが、電極を備える必要はない。電極(3310)を含む変形形態では、電極(3310)は、第2のカテーテルの活性電極(たとえば、上記で説明したカテーテル(3100)のリードワイヤ(3110))のための不動態接地電極またはその逆として作用することができ、これは、組織のアブレーションを補助することができる。本明細書で説明するカテーテルは、
図33Aおよび33Bでは、2つの電極(3310)を有するように示されているが、任意の適切な数の電極(たとえば、ゼロ、1つ、2つ、または3つ以上の電極)を備えることができることを理解されたい。たとえば、
図34は、単一の電極(3402)を備えるカテーテル(3400)の1つのこのような変形形態を示す。同様にこの図に示されているのは、カテーテル本体(3404)と、ポケット(3408)を有し電極(3402)およびカップリング磁石(3410)を収容するネスティング材(3406)である。ポケット(3408)は、上記でより詳細に説明したように、第2のカテーテルの電極の1つ以上の部分を受容するように構成されることができる。
図34に示されるカテーテル(3400)の変形形態では、電極(3402)はポケット(3408)の近位にあるが、他の変形形態では、電極(3402)はポケット(3408)の遠位に配置することができる。
【0059】
いくつかの変形形態では、カテーテルは、電極内に形成されたポケットを備えることができる。
図35Aおよび35Bは、カテーテル(3500)の1つのこのような変形形態を示す。
図35Aに示されるように、カテーテルは、カテーテル本体(3501)と、ネスティング材(3502)とを備えることができる。ネスティング材(3502)は、その中に電極(3504)およびカップリング磁石(3506)を収容することができる。
図35Bは、カテーテル本体(3501)が外されたカテーテル(3500)を示し、係留磁石(3510)をさらに示す。ポケット(3508)は、電極(3504)内に形成されることができ、第2のカテーテルから電極の一部分を受容するように構成されることができる。いくつかの変形形態では、ポケット(3508)は、ポケット(3508)の表面上に1つ以上の絶縁コーティング(たとえば、高融点金属酸化物コーティング)を堆積することによって電気的および/または熱的に絶縁されることができ、これによって、ポケット(3508)が直接的な電気接続を提供することなく、ポケット(3508)は、電極の少なくとも一部分を受容して、これと接触することができる。他の変形形態では、ポケット(3508)は、外部電極との直接的な物理的接触なしに、ポケット(3508)を通る電気伝導を可能にするように構成されることができる。たとえば、これらの変形形態のうちのいくつかでは、ポケット(3508)は、多孔性絶縁コーティング(たとえば、多孔性金属酸化物コーティング)で被覆するかまたは別の態様でコーティングすることができる。ポケット(3508)が、電極(たとえば、上記で説明したリードワイヤ電極のうちの1つ以上)を受容するとき、多孔性コーティングによって、電極間の直接的な物理ポケットなしでポケット(3508)を通る電気伝導を可能にすることができ、これによって、アブレーションの短絡または中断を防止することができる。
【0060】
加えて、この箇所の付近で説明したカテーテルの変形形態ではそれぞれ、第2のカテーテルから電極を受容するためのポケットを備えているが、本明細書で説明するカテーテルはポケットを備える必要はないことを理解されたい。実際、いくつかの変形形態では、デバイスの1つ以上の部分は、第2のカテーテルの1つ以上の電極との直接的な接触を可能にするために電気的に絶縁するかまたは部分的に電気的に絶縁することができる。たとえば、
図36は、カテーテル(3600)の1つのこのような変形形態を示す。この図に示されているように、カテーテル(3600)は、カテーテル本体(3602)と、ネスティング材(3604)とを備えることができる。ネスティング材(3604)は、その中に電極(3606)およびカップリング磁石(3608)を収容することができる。電極(3606)は、1つ以上のコーティングされたセグメント(3610)をさらに備えることができる。コーティングされたセグメント(3610)は、(上記でより詳細に説明したような)絶縁コーティングまたは部分的に絶縁するコーティング(たとえば、すぐ上で述べたような多孔性コーティング)を備えることができる。カテーテル(3600)は、第2のカテーテル(図示せず)と相互作用することができ、したがって、カテーテルを隣接する血管内に設置するとき、第2のカテーテルの電極は、アブレーション中に血管組織を通って延在し、デバイスを損傷したり短絡させたりすることなくコーティングされたセグメント(3610)と接触することができる。
図36に示される電極(3606)のコーティングされたセグメント(3610)は、電極の残りに対して凹所をなすことができるが、いくつかの変形形態では、コーティングされたセグメント(3610)は、電極(3606)のコーティングされていない部分に対して同一平面にあることができることも理解されたい。
【0061】
(機械的切断要素)
いくつかの変形形態では、カテーテルは、1つ以上の機械的切断要素を備えることができる。たとえば、いくつかの変形形態では、カテーテルは、組織を切断するかまたは別の態様で切り離すために前進させられるかまたはカテーテルから別の態様で延ばされることができるブレードを備えることができる。
図22は、トラック(2202)とブレード(2204)とを備えるネスティング材(2201)を備えるカテーテル(2200)の1つのこのような変形形態を示す。ブレード(2204)は、任意の適切な形状および構成(たとえば、単一の縁部、二重の縁部、先が尖っている、丸いなど)を有することができる。ブレード(2204)は、組織を切断するかまたは別の態様で切り離すためにブレード(2204)がトラック(2202)を通して展開されることができるように、回転可能に、並進可能に(translatably)、または別の態様でカテーテル(2200)に結合されることができる。いくつかの変形形態では、ブレード(2204)は、組織を切断するかまたは別の態様で切り離すためにカテーテル(2200)に対して振動するように構成されることができる。ブレード(2204)は、任意の適切な機構(たとえば、1つ以上の機械的アクチュエータ、磁石ベースのアクチュエータ、電子アクチュエータなど)によって展開されることができ、カテーテルの扁平状態の前進または撤退を可能にするためにトラック(2202)の中に撤退させられることができる。いくつかの変形形態では、以下でより詳細に説明するように、ブレード(2204)は、別の血管内の対応するカテーテル内の1つ以上のバルーンに穴を開けるまたは穿刺するために使用されることができる。加えて、いくつかの変形形態では、ブレード(2204)は、上記でより詳細に説明した電極のような電極としてブレード(2204)が作用できるように、電気外科用ジェネレータに電気的に接続されることができる。
【0062】
図37Aおよび37Bは、カテーテル(3700)の一変形形態の断面斜視図を示し、カテーテル(3700)から外にブレード(3702)を前進させることができる機構を示す。カテーテル(3700)は、カテーテル本体(3705)内に凹部(3704)を備えることができる。ブレード(3702)は、ブレード(3702)を凹部(3704)内に収容する(
図37Aに示されるように)扁平な構成から、ブレード(3702)を凹部(3704)から前進させる(
図37Bに示されるように)切断構成まで移動可能であることができる。カテーテル(3700)は、回転アーム(3706)と活性化ワイヤ(3708)とを備えることができ、これは、以下でより詳細に説明するように、後退構成と切断構成との間でブレード(3702)を移動させることを支援することができる。また、
図37Aおよび37Bに示されているのは、ブレード(3702)の近位および遠位にあるカップリング磁石(3710)であるが、カテーテル(3700)は、整列要素を備える必要がないか、または、以下でより詳細に説明するような任意の適切な整列要素または整列要素の組み合わせを備えることができることを理解されたい。
【0063】
図37Aおよび37Bに示されるように、回転アーム(3706)は、回転アーム(3706)の第1の端部またはその近くの第1の転心(3712)でブレード(3702)に旋回自在に接続されることができ、回転アーム(3706)の第2の端部またはその近くの第2の転心(3714)でカテーテル本体(3705)に旋回自在に接続されることもできる。本明細書で説明する転心は、1つ以上のピン、突起、2つの部材の間の回転運動を可能にする他の構造を備えることができる。たとえば、
図37Aおよび37Bに示されるように、第2の転心(3714)は、ピン(3716)を備えることができる。いくつかの変形形態では、第2の転心(3714)は、カテーテル本体(3705)の長手方向軸に沿って移動するようにさらに構成されることができる。たとえば、第2の転心(3714)のピン(3716)は、ピン(3716)がトラック(3718)およびカテーテル本体(3705)に対して回転および摺動の両方を行うことができるように、カテーテル本体(3705)内のトラック(3718)内に摺動可能に配設されることができる。ブレード(3702)は、さらに、第3の転心(3720)でカテーテル本体(3705)に旋回自在に接続されることができる。加えて、活性化ワイヤ(3708)は、その第2の端部またはその近くで回転アーム(3706)に接続されることができる。たとえば、
図37Aおよび37Bに示されるカテーテル(3700)の変形形態では、活性化ワイヤ(3708)は、ピン(3716)の一部分に取り付けられることができる。
【0064】
活性化ワイヤ(3708)は、後退位置(
図37Aに示す)と拡張された切断位置(
図37Bに示す)との間でブレード(3702)を移動させるために操作されることができる。活性化ワイヤ(3708)は、カテーテル(3702)の長手方向軸に対して近位方向に引っ張られることができ、これによって、第2の転心(3714)がカテーテル本体に対して近位方向に摺動することができる。第2の転心(3714)が第3の転心(3720)の方へ近位方向に移動すると、回転アーム(3706)およびブレード(3702)はそれぞれ、
図37Bに示されるように、カテーテル本体(3705)から離れるように回転することができる。カテーテル(3700)を血管内に設置するとき、ブレード(3702)が切断位置に回転することによって、ブレード(3702)は血管組織を切断するかまたは別の態様で切り離すことができる。ブレード(3702)を後退位置に戻すために、活性化ワイヤ(3708)は、カテーテル(3700)に対して遠位方向に前進させることができ、これによって、第3の転心(3720)を離れるように第2の転心(3714)を移動させることができ、これにより、カテーテル本体の方へ逆に回転させるように回転アーム(3706)およびブレード(3702)を回転させることができる。いくつかの変形形態では、カテーテル(3700)は、活性化ワイヤを遠位方向に前進させると、回転アーム(3706)およびブレード(3702)がブレードを延在位置に回転させるが、活性化ワイヤを近位方向に撤退すると、回転アーム(3706)およびブレード(3702)がブレード(3702)を後退位置に回転させるように構成できることも理解されたい。
【0065】
図38Aおよび38Bは、ブレード(3802)を備えるカテーテル(3800)の別の変形形態を示す。
図38Aの斜視図に示されるように、カテーテル(3800)は、カテーテル本体(3804)と、ブレード(3802)がそれを通って延在することができるカテーテル本体(3804)内の凹部(3806)とを備えることができる。同様にこの図に示されているのは、凹部(3806)の両側にあるガイドプレート(3810)と、活性化ワイヤ(3814)である。
図38Bは、カテーテル(3800)の長手方向軸に沿った断側面図を示す。この図に示されているように、ブレード(3802)は、ガイドプレート(3810)のうちの1つ以上に転心(3812)において旋回可能に取り付けられることができる。いくつかの変形形態では、転心(3812)は、すぐ上で述べたように、1つ以上のピンまたは突起を備えることができる。
【0066】
図38Bに示されるように、活性化ワイヤ(3814)の遠位部分は、ブレード(3802)に取り付けることができ、カテーテル本体(3804)内の内腔(3816)または他の通路を通って延在することができる。活性化ワイヤ(3814)の近位部分は、内腔(3816)内で活性化ワイヤ(3814)を撤退するまたは前進させるために操作することができ、この動きによって、ブレード(3802)が転心(3812)に対して回転することができる。
図38Aおよび38Bに示される変形形態では、活性化ワイヤ(3814)を撤退すると、ブレード(3802)は、(
図38Aに示されるように)カテーテル本体(3804)から外側に回転することができるが、活性化ワイヤ(3814)を前進させると、ブレード(3802)は、(
図38Bに示されるなどの)後退位置に回転することができる。
【0067】
カテーテル(3800)を血管(図示せず)の中に前進させるとき、カテーテル(3800)は、カテーテル本体(3804)内の後退位置にあるブレード(3802)と共に前進させられることができる。カテーテル(3800)を血管内に配置するとき、使用者は、プルワイヤを撤退させるかまたは別の態様で後退させて、ブレード(3802)を延在位置まで回転させることができ、それによって、ブレード(3802)は、組織を切断するかまたは別の態様で切り離すことができる。ブレード(3802)が延在位置にあるとき、任意選択で、カテーテルを血管に対して移動させて、組織をさらに切断するかまたは別の態様で切り離すことができる。加えて、または代替として、転心(3812)は、カテーテル本体(3804)に対して移動可能であることができ、したがって、転心(3812)およびブレード(3802)は、カテーテル本体(3804)の長手方向軸に沿って並進することができる。ブレード(3802)による切断操作に続いて、活性化ワイヤ(3814)を前進させて、ブレード(3802)を後退位置に戻すことができる。カテーテル(3800)は、任意選択で、別の場所で組織を切断するかまたは切り離すために再配置されるかおよび再活性化されることもでき、または、カテーテル(3800)は、血管から取り除かれることができる。カテーテル(3800)は、上記では、活性化ワイヤ(3814)を撤退させると、ブレード(3802)がカテーテル本体(3804)から延在し、活性化ワイヤ(3814)を前進させると、ブレード(3802)がカテーテル本体(3804)に後退するように構成されるように示されているが、カテーテル(3800)は、活性化ワイヤ(3814)を前進させると、ブレード(3802)がカテーテル本体(3804)から延在することができ、活性化ワイヤ(3814)を撤退させると、ブレード(3802)がカテーテル本体(3804)に後退できるように構成されることができるを理解されたい。
【0068】
図39A~39Cは、ブレード(3902)を備えるカテーテル(3900)のさらに別の変形形態を示す。
図39Aは、ブレード(3902)が延在位置にあり、カテーテル本体(3906)内の凹部(3904)から延在している、カテーテル(3900)の一部分の斜視図を示す。
図39Bおよび39Cは、その長手方向軸に沿ったカテーテル(3900)の断側面図を示す。この図に示されているように、ブレード(3902)は、第1のワイヤ部分(3908)および第2のワイヤ部分(3910)に取り付けられることができる。第1のワイヤ部分は、接続点(3914)において並進ワイヤ(3912)に取り付けられるかまたは別の態様で係合されることができる。これらの変形形態のうちのいくつかでは、第1のワイヤ部分(3908)および第2のワイヤ部分(3910)は、形状記憶材料を含むことができ、
図39Cに示されるように、第1のワイヤ部分(3908)および第2のワイヤ部分(3910)がブレード(3902)を並進ワイヤ(3912)から離れるように延在位置の方へ偏向させるように構成されることができる。
図39Bに示されるように、ブレード(3902)を延在位置から後退位置まで移動させるために、第2のワイヤ部分(3910)は、接続点(3914)から矢印(3916)の方向に引き離されることができる。このため、第1のワイヤ部分(3908)および第2のワイヤ部分(3910)は少なくとも部分的に直線状になることができ、これによって、ブレード(3902)をカテーテル本体(3906)の中に撤退させることができる。第2のワイヤ部分(3910)は、ブレード(3902)を後退位置に保持するために、並進ワイヤ(3912)に対してロックするかまたは別の態様で固定することができる。
【0069】
瘻を形成することを補助する目的でブレード(3902)を使用するために、カテーテル(3900)を血管(図示せず)内に前進させ、ブレード(3902)を後退位置に置くことができる。ブレード(3902)は、(たとえば、1つ以上の整列要素、可視化方法などを使用して)配置されると、延在位置に移動することができる。これを行うため、第2のワイヤ部分(3910)は、並進ワイヤ(3912)に対してロック解除されることができ、これにより、第1のワイヤ部分(3908)および第2のワイヤ部分(3910)が外側に偏った位置に戻り、それによって、
図39Cに示されるようにブレード(3902)を延在位置まで延在させることができる。いくつかの変形形態では、使用者は、ブレード(3902)を延在位置に偏向させることを支援するために、第2のワイヤ部分(3910)を接続点(3914)の方へ前進させるかまたは別の態様で移動させることができる。ブレード(3902)がカテーテル本体(3906)から延在するとき、ブレード(3902)は、組織を切断するかまたは別の態様で切り離すことができる。いくつかの変形形態では、第2のワイヤ部分(3910)は、ブレード(3902)を延在位置に保持するために、並進ワイヤ(3912)に対してロックされるかまたは別の態様で固定されることができる。並進ワイヤ(3912)は、カテーテル本体(3906)から延在させられると、カテーテルの長手方向軸に沿ってブレード(3902)を並進させるためにカテーテル本体(3906)に対して前進させられるかまたは撤退させられることができ、これによって、ブレード(3902)は、組織のより大きな道を切断することができる。加えて、または代替として、カテーテル(3900)は、血管に対して前進させられるかまたは撤退させられることができ、そのとき、ブレード(3902)は延在させられて組織のより大きな道を切断する。次に、第2のワイヤ部分(3910)は、ブレード(3902)を後退位置に戻すために、並進ワイヤ(3912)および接続点(3914)に対して撤退させられることができ、カテーテル(3900)は、再配置されるかまたは外されることができる。
【0070】
上記で説明したカテーテルの変形形態は、本明細書を通じて説明するさらなるデバイス特徴のいずれかを含むことができるブレードを備えることを理解されたい。たとえば、カテーテルは、1つ以上の整列要素を備えることができる。これらの変形形態では、カテーテルは、1つ以上の係留磁石および/または1以上のカップリング磁石を備えることができる。加えて、または代替として、カテーテルは、以下でより詳細に説明するように、1つ以上の形状変更要素および/または1つ以上のマーカーを備えることができる。
【0071】
(レーザエネルギー)
いくつかの変形形態では、本明細書で説明するカテーテルは、瘻形成中に組織を蒸散するかまたは別の態様で除去するために、組織にレーザエネルギーを送達するように構成されることができる。一般に、これらのカテーテルの変形形態は、カテーテルの近位部分からカテーテルの遠位部分まで走行できる光ファイバを備えることができる。光ファイバの近位部分は、レーザ発生器に動作可能に接続される(たとえば、SMAコネクタなどを介して)ことができる。レーザ発生器によって生成されるレーザエネルギーは、光ファイバを伝搬するかまたは別の態様で通過することができ、組織を蒸散するために組織に光ファイバから送達されることができる。いくつかの変形形態では、カテーテルは、1つ以上のレンズ、鏡、ディフューザ、および/または光ファイバから組織に向かって光を向け直すことができる他の構成要素を備えることができる。
【0072】
レーザ発生器は、任意の適切なレーザエネルギーを生成するように構成されることができる。いくつかの変形形態では、高い吸水率を有する波長を有する光エネルギーを生成することが望ましいことがあり、これによって、血管組織によるエネルギー吸収を促進することができる。いくつかの変形形態では、レーザ発生器は、赤外線エネルギーを生成するように構成されることができる。適切な波長の例としては、約730ナノメートル、約680ナノメートルから約780ナノメートルの間、約820ナノメートル、約750ナノメートルから約870ナノメートルの間、約930ナノメートル、約880ナノメートルから約980ナノメートルの間、約970ナノメートル、約920ナノメートルから約1020ナノメートルの間、約1200ナノメートル、約1150ナノメートルから約1250ナノメートルの間、約1450ナノメートル、約1400ナノメートルから約1500ナノメートルの間、約1950ナノメートル、約1900ナノメートルから約2000ナノメートルの間、約2900ナノメートル、約2850ナノメートルから約2950ナノメートルの間などがあるが、これらに限定されない。適切なレーザ発生器の例としては、ダイオードレーザ、ダイオード励起レーザ、Nd-YAGレーザなどがあるが、これらに限定されない。
【0073】
図43は、レーザエネルギーを組織に送達するように構成されることができるカテーテル(4300)の一変形形態の遠位部分を示す。この図に示されているように、カテーテル(4300)は、カテーテル本体(4302)と、光ファイバ(4304)と、洗浄内腔(4306)とを備えることができる。この図に示されているように、光ファイバ(4304)は、カテーテル本体(4302)の長手方向軸(4310)に沿って走行することができ、光ファイバ(4304)の遠位部分は、光ファイバ(4304)の遠位端をカテーテル本体(4302)の側面から外に向けるように屈曲することができる。光ファイバ(4304)の遠位部分は、カテーテル本体(4302)の長手方向軸(4310)に対して任意の角度(θ)で屈曲することができる。いくつかの変形形態では、角度(θ)は、約45度であることができる。他の変形形態では、角度(θ)は約90度であることができる。さらに他の変形形態では、角度(θ)は、約45度から約90度の間であることができる。さらに他の変形形態では、角度(θ)は、約45度より小さくてもよいし、約90度より大きくてもよい。
【0074】
光ファイバ(4304)の遠位端がカテーテル本体(4302)の側面に向けられるとき、レーザエネルギーは、光ファイバ(4304)を通過してカテーテル本体(4302)の側面から出ることができ、そこで、レーザエネルギーは組織を蒸散するか、アブレーションするか、または別の態様で除去することができる。いくつかの変形形態では、組織の蒸散時に光ファイバ(4304)の遠位端と組織との間に気体(たとえば、二酸化炭素)または流体(たとえば、生理食塩水)を通過させることが望ましいことがある。したがって、いくつかの変形形態では、1つ以上の流体が、洗浄内腔(4306)を介してカテーテル本体(4302)を通過し、光ファイバ(4304)と組織(図示せず)との間に送達されることができる。この気体または流体は、組織の蒸散時に連続的または断続的に導入されることができ、周囲組織の過熱または損傷を最小にするかまたは別の態様で防止するよう支援することができる。
【0075】
加えて、いくつかの変形形態では、光ファイバ(4304)の出力を組織から離間させることが望ましいことがある。いくつかの場合では、光ファイバの出力を組織から離間させることによって、提供されるレーザエネルギーの電力密度および/または形成される瘻の大きさに影響を及ぼすことができる。いくつかの変形形態では、カテーテルは、光ファイバ(3404)の端部とカテーテル本体(4302)の側壁との間に間隙(4308)を備えることができる。間隙(4308)は、任意の適切な量(たとえば、約0.5mm、約1mm、約1.5mm、約0.5mmから約1.5mmの間、約1.5mmより大きい、など)だけ、カテーテル本体(4302)の側壁から光ファイバ(3404)の端部を分離することができる。加えて、光ファイバ(4304)の出力と組織との間に気体または流体を送達するために洗浄内腔(4306)を使用する変形形態では、気体または流体は、間隙(4308)にまたはこれを通して送達されることができる。
【0076】
上記で述べたように、いくつかの変形形態では、カテーテルは、光ファイバを通過する光を変更するかまたは別の態様で向け直すために1つ以上のレンズ、ディフューザ、鏡などを備えることができる。たとえば、
図44は、光ファイバ(4404)を通して提供されるレーザエネルギーを向け直すことができるディフューザ(4410)を備えるカテーテル(4400)の一変形形態を示す。この図に示されているように、カテーテル(4400)は、カテーテル本体(4402)と、洗浄内腔(4406)と、光ファイバ(4404)と、ディフューザ(4410)とを備えることができる。ディフューザ(4410)は、光ファイバ(4404)の遠位端にまたはその近傍に取り付けられることができ、カテーテル本体(4402)の側面から外に光ファイバ(4404)からの光を向け直すことができる。いくつかの変形形態では、カテーテル本体(4402)内の間隙(4408)は、ディフューザ(4410)の出力を組織から分離することができる。加えて、洗浄内腔(4406)は、すぐ上で述べたように、ディフューザ(4410)と組織(図示せず)との間に流体を通過させるために配置されることができる。
【0077】
(整列要素)
いくつかの変形形態では、本明細書で説明するカテーテルは、血管系内に設置されると、カテーテルを整列させるかまたは別の態様で再配置するよう支援する1つ以上の整列要素を備えることができる。たとえば、いくつかの場合では、整列要素は、2つ以上のカテーテル(および、カテーテルと共に、2本以上の血管)をより接近させることを支援することができる。他の場合、整列要素は、1つ以上のカテーテルが別のカテーテル(または別の複数のカテーテル)に対して適切な軸方向整列または回転方向整列にあることを確実にするよう支援することができる。カテーテルおよび血管の適切な位置を確保することによって、上記で説明した瘻形成要素の1つ以上を用いて瘻を形成することを容易にするよう支援することができる。いくつかの変形形態では、カテーテルは、突出部、溝、平坦な面などの機械的整列特徴を備えることができ、この機械的整列特徴は、別のカテーテル上の1つ以上の整列特徴と相互作用してもよいし、相互作用しなくてもよい。加えて、または代替として、カテーテルは、別のカテーテルの1つ以上の磁気構成要素または本体から外側に配置された1つ以上の磁石と相互作用できる1つ以上の磁気構成要素を有することができる。さらに他の変形形態では、カテーテルは、使用者が1つ以上のカテーテルを整列するよう支援することができる1つ以上のマーカーを備えることができる。さらに他の変形形態では、カテーテルは、カテーテルの配置を調整するための1つ以上の形状変化部材を備えることができる。本明細書で説明する各カテーテルは、以下で説明する任意の整列要素または整列要素の組み合わせを備えることができ、カテーテルが瘻形成要素を備える変形形態では、上記でより詳細に説明した任意の瘻形成要素または要素の組み合わせを備えることができることを理解されたい。
【0078】
(磁石)
上記で述べたように、カテーテルは、1つ以上の磁気整列構成要素を備えることができる。これらの磁気整列構成要素は、血管内にカテーテルを配置するかまたは整列するよう支援するために、1つ以上の追加の要素(たとえば、第2のカテーテルの1つ以上の部分、本体から外側に設置された1つ以上の磁石またはその他の構成要素)に誘引されることができる。たとえば、以下でより詳細に説明するように、本体の外部に設置された1つ以上の磁石は、血管系を通してカテーテルを前進させやすくするよう支援するために、カテーテルの磁気整列構成要素と相互作用することができる。他の場合、カテーテルは、第2のカテーテルの1つ以上の部分の方へカテーテルを引き寄せ、それによってカテーテルをより接近させる働きをする1つ以上の「係留」磁気整列要素を備えることができる。他の変形形態では、カテーテルは、1つ以上の「カップリング」磁気整列要素を備えることができ、この要素は、カテーテルの表面を回転方向に(および/または軸方向に)方向付けるか、および/またはカテーテルの表面を第2のカテーテルの1つ以上の表面または部分と嵌合させる働きをすることができる。
【0079】
カテーテルは、任意の数(たとえば、ゼロ、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、または8つ以上など)の別個の磁石を備えることができる。各磁気構成要素は、任意の適切な磁石または磁気材料であることができる。たとえば、いくつかの変形形態では、カテーテルは、1つ以上の希土類磁石(たとえば、ネオジム磁石またはサマリウムコバルト磁石)および/または1つ以上の選択的に活性化される電磁石を備えることができる。カテーテルが複数の磁石を備える変形形態では、これらの磁石は、1つ以上の配列にグループ化されることができる。これらの磁気配列は、カテーテル(またはこれらの組み合わせ)の内部または外部にあることができ、カテーテルの長さに沿って任意の場所に配置されることができる。2つ以上のカテーテルが磁石または磁石配列を備えるとき、各磁石または磁石配列は、第2のカテーテルからの1つ以上の磁石または磁石配列と整列するように構成または配設されることができる。各磁石は、任意の適切な方法でカテーテル内またはその上に固定されることができる。たとえば、いくつかの変形形態では、1つ以上の磁石は、カテーテルに埋め込まれるか、付着されるか、またはその中に摩擦嵌合されることができる。各磁石は、任意の適切な直径(たとえば、約0.075インチ、約0.080インチ、約0.029インチ、約0.110インチなど)または長さ(たとえば、約5mm、約10mm、約15mm、約20mmなど)を有することができ、隣接する磁石から任意の適切な距離(たとえば、約1mm、約5mmなど)だけ分離されることができる。いくつかの変形形態では、配列の磁石は、交互に変化している極性(たとえば、各磁石は、隣接するすべての磁石と反対の極性を有する)、一致している極性、またはこれらの組み合わせを有することができる。他の変形形態では、カテーテルの1つ以上の部分は、磁気材料から作製されることができ、および/または1つ以上の磁気粒子/材料が埋め込まれることができる。
【0080】
各磁石は、カテーテルの内部または外部に設置されることに適した任意の形状を有することができる。磁石は、円筒状、半円筒状、チューブ状、箱形などであることができる。たとえば、
図2に示され上記でより詳細に説明したカテーテル(200)の変形形態では、カテーテル(200)は、近位係留磁石配列(206)と遠位係留磁石配列(208)とを備えることができ、これらの磁石配列のそれぞれの磁石は円筒状である。代替として、
図6Aに示されるカテーテル(600)の変形形態では、カテーテル(600)は、近位係留磁石配列(604)と遠位係留磁石配列(606)とを備えることができ、これらの磁石配列の各々の磁石は半円筒状である。半円筒状磁石はカテーテル(600)の内部の一部分のみを占有するので、これらの変形形態では、内腔および/またはリードワイヤ(内腔(608)およびリードワイヤ(605)など)は、係留磁石配列のそばをまたはそれに沿って通過することができる。
【0081】
近位磁石アセンブリ(604)および遠位磁石アセンブリ(606)の磁石は、
図6Aでは、各半円筒形の頂端(apex)がアブレーション面(603)と整列するように構成されるように示されているが、磁石は瘻形成構成要素に対して任意の方法で配置されることができることを理解されたい。たとえば、
図6Bは、カテーテル(610)の別の変形形態を示し、カテーテル(610)は、アブレーション面(613)を有する電極本体(612)と、近位係留磁石配列(614)と、遠位係留磁石配列(616)と、リードワイヤ(615)と、内腔(618)とを備える。この変形形態では、近位係留磁石配列(614)および遠位係留磁石配列(616)の各磁石の頂端は、アブレーション面(613)と直角をなすことができる。アブレーション面(613)に対して磁石の方位を変えることは、血管内に設置されるとき、カテーテル(610)と別のカテーテル(図示せず)との間の磁力の強度に影響を及ぼすことができる。各個別の磁石または係留磁石配列は、アブレーション面(613)に対して任意の回転方向配置を有することができ、アブレーション面(613)は、別の磁石または磁石の配列と同じ回転方向位置であってもよく、同じでなくてもよいことを理解されたい。
【0082】
いくつかの変形形態では、1つ以上の磁石は、それを通る1つ以上の内腔または通路を有することができ、それによって、カテーテルの1つ以上の他の構成要素(たとえば、リードワイヤ、作動機構、内腔、これらの組み合わせなど)は磁石を通過することができる。たとえば、
図3に示されるカテーテル(300)の変形形態では、カテーテル(300)は、チューブ状磁石を有する近位係留磁石配列および遠位係留磁石配列(それぞれ(302)および(304))を備える。この図に示されているように、同心の導電体(314)は、近位係留磁石配列(302)の磁石を通過することができ、内腔(308)は、近位係留磁石配列および遠位係留磁石配列(それぞれ(302)および(304))の磁石を通過することができる。
【0083】
いくつかの変形形態では、1つ以上の磁気整列構成要素は、1つ以上の箱形磁石(たとえば、略方形の断面を有する磁石)を備えることができる。
図23は、カテーテル(2300)の1つのこのような変形形態を示す。この図に示されているのは、先端(2302)、遠位係留磁石配列(2304)、近位係留磁石配列(2306)、およびネスティング材(2308)であり、ネスティング材(2308)は、カップリング磁石(2310)と、アブレーション面(2312)を持つ電極本体(図示せず)と、マーカー(2316)とを備える。カテーテル(2300)は、カテーテル本体(または上記で説明したカテーテルセグメントなどの複数のカテーテルセグメント)をさらに備えるが、カテーテル本体は、カテーテル(2300)の内部構成要素を強調するために、
図23には示されていない。加えて、カテーテル(2300)は、
図23では、カップリング磁石(2310)とマーカー(2316)(これらのそれぞれについては、以下でより詳細に説明する)とを備えるように示されているが、カップリング磁石(2310)とマーカー(2316)とを備える必要はない。
【0084】
図23に示されるように、遠位係留磁石配列(2304)は、円筒状の係留磁石(2316)と箱形の係留磁石(2314)とを備え、近位係留磁石配列(2306)は、箱形の係留磁石(2314)を備えている。係留磁石配列は、上記で説明した磁石の1つ以上などの任意の適切な磁石の組み合わせを有することができることを理解されたい。カテーテル(2300)の箱形磁石(2314)などの1つ以上の箱形磁石を備える変形形態では、箱形磁石は、カテーテルを第2のカテーテルにより接近させるよう支援することができるが、第2のカテーテルに対してカテーテルを回転可能に方向付けるよう支援することもできる。具体的には、2つの箱形磁石が別個のカテーテルと関連付けられているとき、2つの磁石の間の引力強度は、2つの磁石が整列させられているとき最大となることができる。たとえば、以下に示すカテーテル(2300)の変形形態では、箱形磁石(2314)の前面(2320)は、別の血管内のカテーテルの別の箱形磁石(図示せず)の前面と整列することができる。具体的には、磁石の間の引力は、前面が互いに整列しているときに最大となることができ、したがって、磁石は、整列位置まで自然に回転するかまたは回転を促進することができる。
【0085】
カテーテルがネスティング材を備える変形形態では、このネスティング材は、ネスティング材の表面または一部分を別のカテーテルまたはデバイスの1つ以上の部分に一時的に磁気によってカップリングするための1つ以上のカップリング磁石を収容することができる。具体的には、カップリング磁石は、各カテーテルの表面が他と整列しているときに2つのカテーテルの間の引力が最大になるように構成されることができる。たとえば、上記の
図23に示されるカテーテル(2300)の変形形態では、ネスティング材(2308)は、カップリング磁石(2310)を備えている。これらの場合、カップリング磁石(2310)の長手方向軸は、カテーテルの長手方向軸に対して略直角であることができる。加えて、カップリング磁石(2310)は、別のカテーテル(図示せず)のカップリング磁石の平坦な組み合わせ面を誘引することができる平坦な組み合わせ面を有することができる。平坦なアブレーション面に関連して上記でより詳細に説明したように、カップリング磁石の平坦な組み合わせ面は、2つのカテーテルの間の組織を平坦化する働きをすることができ、これは、アブレーション面によるアブレーションを補助することができる。
【0086】
図23におけるネスティング材(2308)は、アブレーション面(2314)の両側に単一のカップリング磁石(2310)を収容するように示されているが、カテーテルは、任意の適切な数のカップリング磁石を備えることができることを理解されたい。
図24Aおよび24Bは、カップリング磁石を備えるカテーテルの2つのこのような変形形態を示す。
図24Aは、カテーテル(2400)の第1の変形形態を示す。この図に示されているのは、カテーテル本体(2402)と、電極(2408)および遠位カップリング磁石配列(2412)を収容するネスティング材(2406)であり、電極(2408)は、アブレーション面(2410)を備える。遠位カップリング磁石配列(2412)は、
図24Aでは、2つのカップリング磁石(2414)を備えるように示されているが、任意の適切な数(たとえば、1つ、2つ、または3つ以上)のカップリング磁石(2414)を備えることができる。他の変形形態では、ネスティング材は、複数のカップリング磁石配列を備えることができる。たとえば、
図24Bは、カテーテル本体(2418)と、アブレーション面(2424)を有する電極(2422)を収容するネスティング材(2420)と、近位カップリング磁石配列(2426)と、遠位カップリング磁石配列(2428)とを備えるカテーテル(2416)の変形形態を示す。カップリング磁石配列の各々は、すぐ上で述べたように、任意の適切な数のカップリング磁石(2430)を備えることができる。
【0087】
図24Aおよび24Bに関連して上記で説明したカテーテル(2400)および(2416)などのいくつかの変形形態では、カテーテルは、カテーテル本体の遠位端近傍に瘻形成要素を設置できるように構成されることができる。組織構造、妨害物、または血管をより接近させることができることを制限する他の障害の近くに瘻を形成することが望ましいときに、これらの変形形態に特別な有用性を見出すことができる。
【0088】
カテーテルが電磁石の配列を備える変形形態では、この電磁石は、別個に活性化されてもよいし、グループとして活性化されてよい。たとえば、磁石配列の電磁石は、たとえば、遠位磁石を活性化する前に近位磁石を活性化できるか、全ての他の磁石を順番に活性化できるなど、別の磁気デバイスに関する特定の整列方位を確実にするよう支援するために一度に1つ活性化されることができる。代替として、2つ以上の磁石は、別の磁気デバイスにしっかりと取り付けやすくするために同時に活性化されることができる。
【0089】
(形状変更要素)
いくつかの変形形態では、カテーテルは、2本以上の血管を接近させるための1つ以上の形状変更要素を備えることができる。これらの変形形態では、形状変更要素は、血管系を通してカテーテルを前進させる間、第1の構成を有することができる。カテーテルが標的場所に到達すると、形状変更要素は、第2の構成に変わることができ、これによって、カテーテルの全体的な形状を変えることができる。カテーテルが形状を変更すると、カテーテルは、血管の1つ以上の部分を移動させるかまたは再構成されることができ、これは、その部分または血管の一部分を第2の血管の1つ以上の部分により接近させることを支援することができる。カテーテルの形状は、任意の適切な方法で変えることができる。いくつかの変形形態では、カテーテルは、1つ以上のプルワイヤを備えることができ、このプルワイヤは、引かれるかまたは押されて、カテーテルを偏向させるかまたは別の態様でカテーテルの形状を変えることができる。他の変形形態では、以下でより詳細に説明するように、カテーテルは、カテーテルの形状を変更することができる1つ以上の成形されたワイヤを備えることができる。
【0090】
図25A~25Dは、カテーテル(2500)の一変形形態を示す。具体的には、
図25Aは、カテーテル(2500)の部分断面領域を示す。この図に示されているのは、カテーテル本体(2502)、カップリング磁石(2508)とアブレーション面(2506)を備える電極本体(図示せず)とを収容するネスティング材(2504)、成形されたリードワイヤ(2510)、直線化(straightening)カニューレ(2512)、およびトルク伝達シース(2514)である。カテーテル本体(2502)の一部分は、カテーテル(2500)の他の要素を説明することを支援するために、
図25Aには示されていない。カテーテル(2500)は、
図25Aでは、アブレーション面(2506)を画定するためにネスティング材(2504)内に収容された電極を有するように示されているが、上記でより詳細に説明した瘻形成要素などの任意の適切な瘻形成要素を備えることができる。そのうえ、カテーテル(2500)は、
図25Aでは、複数のカップリング磁石(2508)を備えるように示されているが、複数のカップリング磁石(2508)を備える必要はない。カテーテルが1つ以上の磁石を備える変形形態では、カテーテルは、上記で説明したものなど、任意の磁石または磁石の組み合わせを備えることができる。最後に、カテーテル(2500)は、トルク伝達シース(2514)を備えてもよいし、備えなくてもよく、トルク伝達シース(2514)は、以下でより詳細に説明するように、カテーテルを回転させることを支援することができる。
【0091】
成形されたリードワイヤ(2510)は、カテーテル(2500)の形状を変更するために使用されることができる。具体的には、成形されたリードワイヤ(2510)は、1つ以上の屈曲または曲線を備えるように予備形成されることができる。直線化カニューレ(2512)は、成形されたリードワイヤ(2510)の屈曲および曲線を一時的に直線状にするかまたは別の態様で拘束するために、リードワイヤ(2510)の上を前進させられ、それによって、
図25Bに示されるように、カテーテル(2500)の遠位部分を略直線状にすることができる。カテーテル(2500)は、血管(図示せず)の中に前進させられることができ、その地点で、直線化カニューレ(2512)を撤退させることができる。成形されたリードワイヤ(2510)は、それが撤退させられると、その元の構成に戻ることができ、それにより、カテーテル(2500)は、
図25Cに示されるように、形状を変更することができる。カテーテル(2500)を血管内に設置するとき、この形状変更によって、1本または複数の血管の形状を変えることができる。たとえば、
図25Dは、2つのカテーテル(2518)および(2520)を隣接する血管(2522)内に設置した一変形形態を示す。この図に示されているように、カテーテル(2518)および(2520)は、すぐ上で説明したカテーテル(2500)の構成要素を備えることができる。カテーテル(2518)および(2520)のそれぞれの直線化カニューレ(図示せず)を撤退させたとき、各カテーテルのリードワイヤは、屈曲した/湾曲した構成をとることができ、それによってカテーテルのそれぞれの遠位部分が互いの方へ屈曲または撓曲し、それによって、
図25Dに示されるように、血管(2522)の一部分を近付けることができる。次に、1つ以上の瘻形成要素は、隣接する血管(2522)の間に瘻を形成するために活性化されることができる。
【0092】
成形されたリードワイヤ(2510)は、電流を電極にまたはこれから運ぶためにリードワイヤとして作用することができるが、そのように作用する必要はない。実際、いくつかの変形形態では、デバイスは、成形されたワイヤと、別個のリードワイヤとを備えることができる。カテーテルが電極を備えない変形形態では、このカテーテルは、成形されたワイヤを備えるが、リードワイヤは備えなくてもよい。いくつかの変形形態では、成形された部材がカテーテルの外部にあってもよいことも理解されたい。これらの変形形態のうちのいくつかでは、成形された部材は、上記で説明したものなどの1つ以上のシースまたは他の被覆によって少なくとも部分的に被覆されることができる。任意の適切な成形された構造は本明細書で説明するカテーテルの形状を変えるために使用されることができることも理解されたい。
【0093】
カテーテルが1つ以上の拡張可能な構造(たとえば、バルーンなど)を備える変形形態では、以下でより詳細に説明するように、この拡張可能な構造は、血管内にカテーテルを配置するよう支援するために形状変更部材と一緒に使用されることができる。たとえば、
図25A~25Dに関して上記で説明したカテーテル(2500)の変形形態では、カテーテル(2500)は、1つ以上の膨張させることが可能なバルーンなどの1つ以上の拡張可能な構造(図示せず)をさらに備えることができる。これらの拡張可能な構造は、血管に対して適所にカテーテル(2500)を一時的に保持するために、血管の内部において拡張されることができる。カテーテル本体(2502)を屈曲した構成と直線状の構成との間で移動させるために、成形されたリードワイヤ(2510)および直線化カニューレ(2512)が使用されるとき、拡張可能な構造と周囲組織との間の接触は、カテーテル本体(2502)と一緒に血管を移動させることを支援することができる。いくつかの変形形態では、カテーテル(2500)は、単一の拡張可能な構造を備えることができ、この拡張可能な構造は、成形されたリードワイヤ(2510)の屈曲の近位または遠位にあることができる。他の変形形態では、カテーテル(2500)は、成形されたリードワイヤ(2510)の屈曲の両側に1つ以上の拡張可能な構造を備えることができる。成形されたリードワイヤが複数の屈曲を備える変形形態では、拡張可能な構造は、屈曲のすべての近位および/または遠位に配置されてもよく、屈曲のいくつかの近位および/または遠位に配置されてもよく、いずれの屈曲の近位および/または遠位にも配置されなくてもよい。拡張可能な構造は、任意の適切な形状変更要素(たとえば、成形されたワイヤ、プルワイヤなど)と一緒に使用されることができ、および任意の適切な方法でカテーテル本体と血管組織との間に一時的な取り付けおよび/または固定を提供するために使用されることができることも理解されたい。
【0094】
(マーカー)
本明細書で説明するカテーテルは、その配置および/または方向付けの間、カテーテルの1つ以上の部分の可視化を可能にすることができる1つ以上のマーカーを備えることができる。いくつかの変形形態では、マーカーは、直接的に可視化することができる。他の変形形態では、このマーカーは、(たとえば、超音波、蛍光透視法、および/またはX線による可視化により)間接的に可視化することができる。マーカーは、カテーテルに対して任意の場所、たとえば、カテーテルの1つ以上の表面、カテーテルの内部にあることができる。いくつかの変形形態では、カテーテルの1つ以上の部分は、エコー源性材料またはX線撮影材料から作製されることができる。マーカーは、任意の適切な方法によって、たとえば、機械的な取り付け(たとえば、カテーテル、円周周辺の一部分に埋め込まれるなど)、接着結合、溶接、はんだ付け、これらの組み合わせなどによってカテーテルに取り付けられることができる。
【0095】
図14A~14Dは、マーカーバンド(1402)を備えるカテーテル(1400)の一変形形態を示す。同様に
図14Aに示されているのは、係留磁石(1410)と、ネスティング材(1406)によって部分的に被覆されたアブレーション面(1408)を備える電極(1404)である。カテーテル(1400)は、任意の適切な数のマーカーバンド(1402)を備えることができ、各マーカーバンド(1402)は、カテーテル(1400)の中またはその上の任意の適切な場所に配置されることができる。マーカーバンド(1402)は、実践者が1つ以上のイメージング技法によりカテーテルの位置を決定するよう支援することができるカットアウト領域を備えることができる。具体的には、
図14Bは、第1のカットアウト領域(1412)と第2のカットアウト領域(1414)とを備える1つのマーカーバンド(1402)の斜視図を示す。第1のカットアウト領域(1412)および第2のカットアウト領域(1414)は、
図14B~14Dでは同じ形状を有するように示されているが、同じ形状を有する必要はない。マーカーバンド(1402)を(たとえば、超音波または蛍光透視法によって)可視化するとき、使用者は、第1のカットアウト領域(1412)と第2のカットアウト領域(1414)との重複セグメント(1416)によって形成されるネガティブスペースを見ることができることがある。この重複セグメント(1416)の形状は、カテーテル(1400)(およびそれと共に、マーカーバンド(1402))を回転させるにつれて変化してよい。最終的に、マーカーバンド(1402)の回転は、
図14Dに示されるように、第1のカットアウト領域(1412)と第2のカットアウト領域(1414)とが完全にまたは実質的に重なり合う点に到達することができる。マーカーバンド(1402)がこの「整列」構成に到達したとき(または、関連するカテーテル上の2つのマーカーがそれぞれ「整列」構成にあるとき)、使用者は、カテーテルが瘻形成要素を活性化することに適した回転方位にあることを知ることができる。たとえば、
図14Aに示されるカテーテルの変形形態では、アブレーション面(1408)は、アブレーション面(1408)がカットアウト領域に垂直な方向を向くようにマーカーバンド(1402)に対して配置することができる。第2の組のマーカーバンド(図示せず)を有する第2のカテーテル(図示せず)と一緒に使用されるとき、各カテーテルのマーカーバンドは、1つ以上の瘻形成要素が瘻を形成するために適切に配置されるようにカテーテルを回転方向および/または軸方向に配置するために使用されることができる。
【0096】
カットアウト領域は、
図14A~14Dでは、2つの小葉(bi-lobular)形状を有するように示されているが、任意の形状または形状の組み合わせ、たとえば、方形、円形、楕円形、複数の小葉(multi-lobular)形状、英数字のシンボル、1つ以上の対称軸を有する(たとえば、左右対称の)任意の形状などであることができる。いくつかの変形形態では、カットアウト領域は、方向性形状を有することができ、方向性形状は、電極のアブレーション面の場所を示すテーパ状の部分、たとえば、鋭角の頂点を有する多角形、矢印、などを有することができる。第1のカットアウト領域と第2のカットアウト領域とは、互いに同じ形状を有してもよく、それぞれ異なる形状を有してもよい。他の方位マーカーまたはインジケータは、必要に応じて、以下に説明するようにカテーテルおよび/または電極上に設けられることができる。
図14A~14Dでは、カテーテルがマーカーバンドを備えるように示されているが、本明細書で説明するカテーテルは、間接的な可視化が可能な任意のマーカーを備えることができることを理解されたい。
【0097】
他の変形形態では、カテーテルは、2つ以上のカテーテルを互いに対して整列するよう支援することができる1つ以上の視覚的マーカーを備えることができる。たとえば、
図15Aおよび15Bは、カテーテル(1500)を方向付けることを支援することができる側方ストライプ(1504)を備えるカテーテル(1500)の一変形形態を示す。具体的には、側方ストライプ(1504)は、瘻形成要素(1508)に対して既知の場所を有する視覚的マーカーであることができる。たとえば、
図15Aおよび15Bに示される変形形態では、側方ストライプ(1504)は、瘻形成要素(1508)と長手方向に整列させられている。カテーテル(1500)の遠位端が本体内に設置されている(したがって、直接的に視覚化することはできない)とき、側方ストライプ(1504)(少なくとも部分的に本体の外部にある状態のままであることができる)は、瘻形成要素(1508)の回転方向の方向付けに関する視覚的表示を与えることができる。
図15Bに示されるように、2つのカテーテル(1500)が2本の血管(図示せず)の中に設置されるとき、側方ストライプ(1504)の相対的配置により、2つのカテーテルの相対的な配置が表示されることができる。たとえば、
図15Bに示されるように、各カテーテル(1500)の側方ストライプ(1504)が互いの真向かいにあるとき、各カテーテル(1500)の瘻形成要素(1508)は、瘻形成要素の活性化のための適切な方向付けにあることができる。側方ストライプ(1504)は、任意の適切な方法(たとえば、インクによるマーキング、テクスチャリング、1つ以上の着色接着剤などの適用によって)でカテーテル(1500)に適用されることができる。
【0098】
(外部の配置)
本明細書で説明するカテーテルのいくつかの変形形態では、カテーテルは、1つ以上のバルーンまたはその他の拡張可能な構造を備えることができる。これらの拡張可能な構造は、1つ以上の機能を果たすことができる。いくつかの場合、拡張可能な構造は、1つ以上の血管壁に対して電極面(またはその他の瘻形成要素)を並置するよう支援することができる。この並置は、組織を一時的に平坦化するかまたは別の態様で再配置することを支援することができ、その区域から血液を追い出す働きをすることができる。加えて、瘻形成中、拡張可能な部材は、拡張可能な部材が血管壁から外されるとき、組織に対して瘻形成要素を引き続き付勢することができる。いくつかの変形形態では、拡張可能な構造は、血管を通る血流を依然として可能にしながら、カテーテルと血管壁との間の並置を提供するよう支援するように構成されることができる。いくつかの場合では、1つ以上の拡張可能な構造は、瘻の大きさまたは形状を修正するかまたは別の態様で変えることを支援することができる。さらに他の場合、拡張可能な構造は、1本または複数の血管の一部分を膨張させるか、縮小させるか、または別の態様で変位させるために使用されることができる。これらの変形形態のうちのいくつかでは、この変位は、血管の一部分を皮膚表面により近付けることを支援することができる。さらに他の変形形態では、上記で述べたように、1つ以上の拡張可能な構造は、血管に対して適所にカテーテルを保持するために使用されることができ、血管を再配置することを補助することができる。
【0099】
上述のように、本明細書で説明するカテーテルのいくつかの変形形態では、カテーテルは、1つ以上のバルーンを備えることができる。たとえば、
図9A~9Dは、バルーンを備えるカテーテルの種々の図を示す。いくつかの変形形態では、バルーンは、カテーテルの一部分(たとえば、アブレーション面またはその他の瘻形成要素)を押して血管壁と接触させるように構成されることができる。たとえば、
図9Aは、バルーン(902)と、露出したアブレーション面(904)を有する電極本体(図示せず)とを備えるカテーテル(900)の一変形形態を示す。バルーン(902)は、扁平状態の前進のための展開されていない圧壊(collapsed)構成(図示せず)と、展開された拡張構成(
図9Aに示す)とを有することができる。
図9Aに示される変形形態では、バルーン(902)は、血管内でバルーン(902)を拡張することによりアブレーション面(904)を血管壁に対して偏向させるか、押圧するか、または別の態様で押すことができるように、アブレーション面(904)から離れる方向にカテーテル(900)に非同心状に装着されることができる。平坦なアブレーション面を有するカテーテルの変形形態では、バルーン(902)を拡張させることは、アブレーション面に対して組織を平坦化するよう支援することができる。加えて、バルーン(902)は、組織をアブレーションするか、蒸散するか、または別の態様で除去すると、血管壁に対しておよびこれを通してアブレーション面(904)を引き続き付勢することによって、瘻形成を補助することができる。さらに他の場合、バルーン(902)を拡張させることは、アブレーション面(904)の近くから血液を追い出すよう支援することができ、これにより、アブレーション中、血液への電流損失を最小にすることができる。カテーテルが陥凹電極を備える場合、上記でより詳細に説明したように、バルーンを拡張することによって、他の血液を陥凹部分内に閉じ込めながら、その区域からいくらかの血液を追い出すことができる。カテーテル(900)が1つ以上の形状変更要素を備える場合、バルーン(902)と周囲の血管(図示せず)との係合は、カテーテル(900)を適所に保持するよう支援することができ、さらに、カテーテル(900)が形状を変更するとき、血管組織を再配置することを補助することができる。
【0100】
図9Aでは、カテーテルがバルーン(902)を有するように示されているが、本明細書で説明するカテーテルは、任意の適切な1つ以上の拡張可能な構造(たとえば、1つ以上の拡張可能なケージ、メッシュ、足場(scaffold)、ストラットなど)を使用して、これらの機能のうちの1つ以上を達成できることを理解されたい。本明細書で説明するバルーンは、任意の適切な1つ以上の形状(たとえば、円筒状、半円筒状、円形、台形、方形、そのわずかな部分など)を有することができ、任意の適切な材料または材料の組み合わせ(たとえば、1つ以上の非弾性材料、弾性材料、または半弾性材料)で作製されることができる。
【0101】
加えて、
図9Aでは、バルーン(902)は、カテーテル(900)の、アブレーション面(904)の反対側に装着されるように示されているが、バルーン(902)は、カテーテル(900)に対して任意の態様で配置されることができることを理解されたい。たとえば、いくつかの変形形態では、バルーン(またはその他の拡張可能な構造)は、それを拡張することにより血管の方向性膨満を作り出すように配置されることができる。たとえば、
図9Bは、バルーン(912)と電極(図示せず)のアブレーション面(914)とを備えるカテーテル(910)の1つのこのような変形形態を示す。この図に示されているように、バルーン(912)は、アブレーション面(914)が向く方向に対してほぼ直交する方向にバルーン(912)が拡張するように、カテーテル(910)上に配置されることができる。カテーテル(910)が血管内に設置され、アブレーション面(914)が隣接する血管内の別のカテーテルと整列しているとき、バルーン(912)を拡張することによって、血管の上に重なる皮膚に向かって血管の方向性膨満を引き起こすことができ、それにより、その皮膚を膨満させることができる。この膨満は、使用者にバルーン(912)の場所についての視覚的表示を与えることができ、それによって、使用者またはオペレータは、本体の外部からバルーンおよび血管の位置を見つけることができる。この視覚化された場所は、使用者が(たとえば、針で穿刺することなどによって)外部から血管にアクセスできる部位を提供することができる。
【0102】
いくつかの場合では、バルーンまたはその他の拡張可能な構造は、血管を通る血液の流れを変更するか、および/または調節するよう支援することができる。たとえば、いくつかの変形形態では、バルーンを拡張することによって、血管の1つ以上の部分を膨張させることができ、それにより、血管のその部分を通る血流の増加を促進することができる。他の変形形態では、拡張可能な要素は、血管を一時的に塞ぐこともでき、またはそれを通る血流を低下させることもできる。これらの変形形態のうちのいくつかでは、拡張可能な要素は、1つ以上の電極を備えることができ、この電極は、血管の一部分を通る血流を低下させることを支援するために使用されることができる。
図9Cは、アブレーション面(932)とバルーン(934)とを備えるカテーテル(930)の1つのこのような変形形態を示す。この図に示されているように、バルーン(934)は、カテーテル(930)のまわりに同心状に配置され、バルーン(934)上に配設された複数の電極(936)を備えることができる。
図9Cでは、バルーン(934)はカテーテル(900)上でアブレーション面(932)に対して遠位方向にあるように示されているが、バルーン(934)は、アブレーション面(932)に対して近位方向に設置されることができ、および/またはアブレーション面(932)から離れるように非同心状に装着されることができることを理解されたい。実際、いくつかの変形形態では(以下により詳細に説明するように)、カテーテルは、アブレーション面の近位と遠位との両方にバルーンを備えることができ、そのバルーンの各々は、1つ以上の電極を備えることができる。バルーン(934)は、
図9Cでは、周方向に配設された複数の電極(936)を有するように示されているが、任意の適切な数(たとえば、ゼロ、1つ、2つ、3つ、または4つ以上)の電極を備えることができ、各電極は、バルーン(934)に完全にまたは部分的に外接されることができる。
【0103】
バルーン(934)は、血管内で拡張させらせて、その血管を一時的に塞ぐことができる。加えて、電極(936)のうちの1つ以上は、血管を部分的に収縮させて、血管の少なくとも一部分を通る流れを減少させるために、活性化されることができる。具体的には、電気エネルギーを血管壁に送達して壊死および/または増殖細胞応答を誘発することができ、それにより血管の内径を減少させることができ、それによって、その血管を通る血流を低下させる。
【0104】
すぐ上で説明したバルーンは、瘻に対する血流を変更するか、または別の態様で調節するために使用されることができる。
図9Dは、瘻に対する血流に影響を与えるためにカテーテル(930)をどのように使用できるかについての一例を示す。この図に示されているように、カテーテル(930)は、対応する静血管(942)の近傍にある動血管(940)の中を前進させられることができる。第2のカテーテル(図示せず)は、静血管(942)の中に設置されることができ、1つ以上の整列要素(図示せず)は、動血管(940)と静血管(942)とを接近させることを支援するために使用されることができる。アブレーション面(932)は、(矢印(932)によって示されるように)血液が流れることができる動静脈瘻を形成するために活性化される(単独で、または他のカテーテルの1つ以上の電極と一緒に)ことができる。矢印(941)は動血管(940)内の血流の方向を示し、矢印(943)は静血管(942)内の血流の方向を示す。
図9Dに示されるように、カテーテル(930)は(すなわち、血流と反対の)方向に動血管(940)の中に前進させらせることができ、その結果、バルーン(934)は、アブレーション面(932)および結果として生成される瘻の上流にある。これらの場合、バルーン(934)は、動血管を少なくとも部分的に塞ぎ、それを通る動脈血流を一時的に妨げるかまたは低下させるために、その動血管(940)内において拡張されることができ、それによって、瘻形成中、電流損失を防止するよう支援することができる。加えて、電極(936)は、周囲組織を損傷するか、または瘢痕化するために活性化されることができ、それによって、それを通る流れを減少させることができる。これは、盗血症候群などの瘻形成に関する1つ以上の潜在的な合併症を防止するよう支援するために使用されることができる。たとえば、盗血症候群は、動脈と静脈との間に瘻が形成されたときに発生することがあり、結果として生成される瘻を血流がある一定の速度で通ることによって、動脈内の瘻の遠位方向/下流を流れる血液が不十分となる。この結果、組織壊死をもたらし得、四肢の損失を防止するために追加の外科的手技を必要であることがある。したがって、電極(936)は、静脈を通る流れを減少させるために活性化されることができ、これによって瘻を通る流れを減少させることができ、それにより、盗血症候群の可能性を低下させることができる。
【0105】
バルーン(934)は、
図9Dでは、後方に動くように進められ、アブレーション面(932)の上流にあるように示されているが、代替として、アブレーション面(932)および結果として生成される瘻の下流にあることができる。これらの変形形態のうちのいくつかでは、カテーテル(930)は、動血管(940)の中に前方に(すなわち、血液の流れと共に)動くように進められることができる。他の変形形態では、カテーテルは、後方に動くように進められることはできるが、バルーンはアブレーション面に対してカテーテル上に近位方向にあることができる。さらに他の変形形態では、カテーテルは、上流位置と下流位置との間のバルーンの配置を変更するために血管内で移動させられることができ、また、その逆も可能である。バルーンが動血管(940)内の下流に設置されるとき、そのバルーンは、それを通る血流を増加させるように血管(940)を膨張させるために拡張されることができ、またはそれを通る血流を減少させるために1つ以上の電極を使用して収縮されることができる。動血管(940)の下流部分を膨張させることによって、瘻から離れるように血流の流れを変えることができるが、下流部分の収縮は、瘻を通る血流を増加させることを助長することができる。1つ以上のバルーンおよび/電極は、静血管の一部分を膨張および/または収縮させるために、その静血管内で瘻に対して上流または下流に設置できることを理解されたい。以下でより詳細に説明するように、動脈および/または静脈の膨張または収縮は、瘻の完成(maturation)を補助し、および/または静脈性高血圧を防止するよう支援することができる。
【0106】
図9A~9Dでは、カテーテルが単一のバルーンを有するように示されているが、本明細書で説明するカテーテルは、任意の適切な数のバルーン、拡張可能な部材、またはこれらの組み合わせを有することができることを理解されたい。実際には、説明するカテーテルは、血管内にカテーテルを配置し、血管壁に対して電極アブレーション面を付勢し、および/または標的血管部位の近くの血流を調節するための複数の拡張可能な部材を備えることができる。
図10Aは、アブレーション面(1006)と、このアブレーション面の近位にあり、周囲の電極(1008)を備える第1のバルーン(1002)と、アブレーション面の遠位にある第2のバルーン(1004)とを備えるカテーテル(1000)の1つのこのような変形形態を示す。
図10Aでは、第1のバルーン(1002)のみが電極(1008)を有するように示されているが、バルーンのうちの任意のもの(たとえば、バルーンのいずれも該当しない、第1のバルーン(1002)のみ、第2のバルーン(1004)のみ、または第1のバルーン(1002)と第2のバルーン(1004)との両方)が任意の適切な数の電極(たとえば、1つ、2つ、3つ、または4つ以上の電極)を備えることができることを理解されたい。第1のバルーン(1002)および第2のバルーン(1004)は、血管内の血流を調節するために個別に作動することができる。たとえば、カテーテル(1000)は、静脈(図示せず)に挿入されることができ、静脈内での血流の方向は矢印(1001)によって表されている。第2のバルーン(1004)は、静脈の下流部分を膨張させるために拡張されることができるが、第1のバルーン(1002)の周囲の電極(1008)は、静脈を収縮させるために活性化されることができる。他の場合、第2のバルーン(1004)が上流部分を膨張させるために使用されることができ、第1のバルーン(1002)が下流部分を収縮させることができるように、カテーテル(1000)を反対方向に挿入することができる(または、バルーンを別の態様で配置することができる)。さらに他の場合、バルーンは、上流部分および下流部分の両方を膨張させるように構成されてもよいし、上流部分および下流部分の両方を収縮させるように構成されてもよい。この場合も、任意の1つ以上の拡張可能な構造がカテーテルによって利用されることができることを理解されたい。
【0107】
図10Bは、アブレーション面(1016)を有する電極と近位バルーン(1012)と遠位バルーン(1014)とを備えるカテーテル(1010)の別の変形形態を示す。近位バルーン(1012)は、体積が固定された本体を備えることができ、バルーン(1012)の一部分の周囲に円周方向の帯状電極(1118)をさらに備えることができる。円周方向の帯状電極(1118)は、拡張可能な部材を用いて拡張または圧壊することができる。
図10Cは、遠位バルーン(1024)と近位の拡張可能なワイヤループ(1022)とアブレーション面(1026)とを有するカテーテル(1020)のさらに別の変形形態を示す。ワイヤループ(1022)は、展開されていない扁平な構成(図示せず)と展開された拡張構成(
図10Cに示される)の間で移動可能であることができる。ワイヤループ(1022)は、任意の適切な機構(たとえば、蝶番式の半径方向ストラット、コイル機構など)を使用して、展開されていない構成と展開された構成との間で移動することができ、RFエネルギーが、上記で説明したように、組織の壊死を誘発するためにワイヤループ(1022)に印加されることができる。
【0108】
いくつかの変形形態では、瘻が形成されると、1つ以上のバルーンまたはその他の拡張可能な構造は、瘻の大きさまたは形状を修正するために使用されることができる。たとえば、
図11は、カテーテル(1100)の1つのこのような変形形態を示す。この図に示されているように、カテーテル(1100)は、電極のアブレーション面(1102)と、側方伸展バルーン(1104)とを備えることができる。側方伸展バルーン(1104)は、2つ以上の方向に拡張するように構成されることができ、瘻の大きさまたは形状を変えるために使用されることができる。具体的には、アブレーション面(1102)(または別の適切な瘻形成要素)は、2本の血管(図示せず)の間に瘻(図示せず)を形成するために使用されることができ、その後で、瘻に隣接してまたはその近傍に側方伸展バルーン(1104)を配置するために、カテーテル(1100)を移動させることができる。次に、バルーン(1104)は、拡張させられることができ、バルーン(1104)の一部分が瘻の中に押し入り、それによって、その大きさおよび/または形状を変更することができる。バルーン(1104)は、体積の固定された構造であってもよく、1つ以上の弾性材料または半弾性材料から作製されてもよい。側方伸展バルーン(1104)は、2つ以上の別個のバルーンを含むことができることも理解されたい。加えて、側方伸展バルーン(1104)は、拡張度を調節するためにプリーツ(1106)またはその他の表面修飾を備えることができ、標的血管部位における血管壁への牽引取り付けまたは摩擦取り付けも提供することができる。たとえば、
図11に示される変形形態では、プリーツ(1106)は、その組織を移動または調整するよう支援するために瘻を取り囲む組織と係合することができる。
【0109】
本明細書で説明するカテーテルの他の変形形態では、カテーテルは、それを通る血流を可能にするように構成されることができる1つ以上のバルーンを備えることができる。たとえば、
図12は、複数のリング状のバルーン(1202)を備えるカテーテル(1200)の別の変形形態を示す。同様にこの図に示されているのは、電極のアブレーション面(1204)である。これらの変形形態では、上記でより詳細に説明したように、バルーン(1202)の拡張により、アブレーション面(1204)と血管壁(図示せず)の並置および血液変位の増加を可能にすることができる。加えて、リング状バルーン(1202)のそれぞれの内部の内腔(1208)は、それに血液を通過させることができる。このようにして、カテーテル(1200)は、それを通る血流に実質的に影響を及ぼすことなく血管(図示せず)の内部に長期間にわたって置くことができる。たとえば、いくつかの場合、カテーテル(1200)を血管内に長期間にわたって置くことが必要なことがあり、その間、血管を通るすべての血流をブロックすることが実行可能でないことがある。バルーン(1202)のうちの1つ以上は、上記でより詳細に説明したように、血管の1つ以上の部分を膨張させ、および/または血管を収縮させることを支援する1つ以上の電極を備えることができるように構成されることもできることを理解されたい。
【0110】
いくつかの変形形態では、カテーテルの1つ以上のバルーンは、造影剤材料を運ぶかまたは造影剤材料を用いて膨張させられ、カテーテルの可視化に役立つことができる。いくつかの変形形態では、これらのバルーンのうちの1つ以上は、造影剤を血管に放出するために穴を開けらえるかまたは別の態様で穿刺されることができ、これは、瘻が適切に形成されているかどうかを評価するために使用されることができる。たとえば、
図26Aおよび26Bは、カテーテル(2600)の1つのこのような変形形態を示す。この図に示されているように、カテーテル(2600)は、遠位バルーン(2604)と中央バルーン(2606)と近位バルーン(2608)とを有するカテーテル本体(2602)を備えることができる。カテーテル(2600)は、上記で説明した要素などの1つ以上の形状変更要素または整列要素を追加で備えることができる。加えて、カテーテル(2600)は、
図26Aおよび26Bでは、3つのバルーンを有するように示されているが、任意の適切な数のバルーン(たとえば、1つ、2つ、3つ、または4つ以上)を備えることができる。バルーン(2604)、(2606)、および(2608)のそれぞれは、
図26Aおよび26Bでは、カテーテル本体(2602)の周囲に同心状に装着されるように示されているが、これらのバルーンは、上記でより詳細に説明した方法などの任意の1つ以上の適切な方法で装着されることができる。
【0111】
カテーテル(2600)を血管(図示せず)内に設置するとき、遠位バルーン(2604)、中央バルーン(2606)、および近位バルーン(2608)を膨張させることができる。これらのバルーンは、1つ以上の任意の適切な流体(たとえば、生理食塩水、水、1つ以上の造影剤溶液など)を使用して膨張させられることができる。いくつかの変形形態では、3つのバルーンすべては同じ流体で膨張させられる。他の変形形態では、遠位バルーン(2604)および近位バルーン(2608)は、第1の流体(たとえば、第1の造影剤溶液)で膨張させられるが、中央バルーン(2606)は、第2の流体(たとえば、より高いまたはより低い造影剤濃度を有する第2の造影剤溶液)で膨張させられる。さらに他の変形形態では、各バルーンは異なる溶液により膨張させられる。バルーンが膨張させられると、近位バルーン(2608)および/または遠位バルーン(2604)は、血管の内面と係合し、それによって流体流を防止することができる。たとえば、血管内に血液の流れに対して上流に近位バルーン(2608)を設置する場合、近位バルーン(2608)の膨張によって、血管を通る血流を一時的に停止することができる。
【0112】
いくつかの場合、
図26Bに示されるように、第2のカテーテル(2610)は、隣接する血管(図示せず)内に設置されることができる。第2のカテーテル(2610)は、上記でより詳細に説明したものなどの、カテーテル本体(2611)と、リードワイヤ電極(2612)を収容するネスティング材(2614)とを備えることができる。第2のカテーテル(2610)は、
図26Bでは、リードワイヤ電極(2612)を備えるように示されているが、上記でより詳細に説明した瘻形成要素などの任意の適切な瘻形成要素を備えることができることを理解されたい。これらの場合のうちいくつかでは、ネスティング材(2614)は、中央バルーン(2606)と軸方向も整列および回転方向の整列をすることができ、電流が、カテーテルの間の血管組織をアブレーションするためにリードワイヤ電極(2612)に印加され、それによって瘻を形成する(図示せず)ことができるように、カテーテル(2600)および第2のカテーテル(2610)は、(たとえば、上記で説明した整列要素などの1つ以上の整列要素を使用して)整列させられることができる。瘻の形成中またはその後に、リードワイヤ電極(2612)の1つ以上の部分は、中央バルーン(2606)から1つ以上の流体を放出するために、中央バルーン(2606)を穿刺するか、穴を開けるか、または別の態様で貫通することができる。この流体が1つ以上の造影剤溶液を含むとき、この流体は瘻を通過するので、(たとえば、蛍光透視法によって)見されることができる。このようにして、造影剤流体が血管の間を通るとき、使用者は、流体が瘻を流れることを可能にする態様において瘻が形成されていると判断することが可能なことがある。中央バルーン(2606)は、上記では穿刺されると説明されているが、カテーテル(2600)の1つ以上のバルーンはすべて瘻形成要素によって穴を開けられるかまたは穿刺されることができることを理解されたい。
【0113】
(カテーテル本体)
本明細書を通じて説明するカテーテルは、血管系の少なくとも一部分を通しての前進に適した任意の細長い本体であることができる。このカテーテルは、中空であってもよく、部分的に中空であってもよく、および/または部分的に中実であってもよい。カテーテルの1つもしくは複数の部分は可撓性もしくは半可撓性であってもよく、1つもしくは複数の部分は剛性もしくは半剛性であってもよく、および/またはカテーテルの1つもしくは複数の部分は、可撓性構成と剛性構成との間で変化してもよい。カテーテルの可撓性部分があることによって、カテーテルは、蛇行する血管を通って所望の標的部位に到達することができる。本明細書で説明するカテーテルは、任意の材料または材料の組み合わせから作製されることができる。たとえば、カテーテルは、1つもしくは複数の金属もしくは金属合金(たとえば、ニッケルチタン合金、銅-亜鉛-アルミニウム-ニッケル合金、銅-アルミニウム-ニッケル合金など)および/または1つもしくは複数のポリマー(たとえば、シリコーン、ポリ塩化ビニル、ラテックス、ポリウレタン、ポリエチレン、PTFE、ナイロンなど)を含むことができる。カテーテルは、任意の適切な寸法を有することができる。たとえば、カテーテルは、本体の外部の箇所から標的場所までカテーテルを前進させることができる任意の適切な長さを有することができる。カテーテルは、たとえば、約5.7フレンチ、約6.1フレンチ、約7フレンチ、約8.3フレンチ、約5フレンチから約9フレンチの間、約5フレンチから約7フレンチの間、約6フレンチから約9フレンチの間などの、血管内での使用に適した任意の直径を有することができる。
【0114】
本明細書で説明するカテーテルのいくつかの変形形態は、カテーテルの長さを通って少なくとも部分的に延在する内腔、スリット、または通路を有することができる。内腔は、デバイスの一部分を通して1つ以上のデバイス(たとえば、ガイドワイヤ)および/または1つ以上の物質(たとえば、造影剤溶液、灌流液、1つ以上の薬剤含有溶液など)を通過させるために使用されることができる。たとえば、
図3に示され上記でより詳細に説明したカテーテル(300)の変形形態は、それを通る内腔(308)を備える。内腔は、
図3では、磁石を同心状に通過させるように示されているが、デバイスのその他の構成要素に対して任意の配置を有することができることを理解されたい。たとえば、
図6Aに示されるカテーテル(600)の変形形態では、内腔(608)は、近位係留磁石(604)および遠位係留磁石(606)の1つ以上の磁石の隣に延在することができる。さらに他の変形形態では、内腔は、カテーテルの外側面に沿って取り付けるかまたは別の態様で通ることができる。
【0115】
内腔は、カテーテル本体の内部に少なくとも部分的に収容するとき、カテーテルの任意の1つ以上の部分の間を通過することができる。たとえば、すぐ上で説明した変形形態では、内腔は、カテーテルの最も遠位の先端から出ることができる。他の変形形態では、内腔の一方の端部は、カテーテルの中間部分にあることができる。いくつかの変形形態では、内腔は、いくつかの副内腔に分割することができる。たとえば、
図16Aおよび16Bはそれぞれ、カテーテル(1600)の一変形形態の斜視図および部分透過図を示す。これらの図に示されているのは、主内腔(1610)を有するカテーテル(1600)であり、主内腔(1610)は、カテーテルの遠位先端(1601)において、第1の内腔(1602)、第2の内腔(1604)、第3の内腔(1606)、および第4の内腔(1608)にさらに分割される。主内腔(1610)は、任意の適切な数の内腔(たとえば、2つ、3つ、4つ、または5つ以上)に分割することができ、これらの内腔のそれぞれは、カテーテル上の任意の適切な箇所に端部を有することができる。主内腔が2つ以上の内腔に分かれる変形形態では、この2つ以上の内腔は、1つ以上の流体またはその他の物質を2つ以上の箇所に同時に供給することができる。
【0116】
本明細書を通じて説明するカテーテルは、任意の適切な先端部分を有することができる。いくつかの変形形態では、先端は、カテーテルの前進中の組織の外傷を最小にするよう支援するように、丸くするかまたは別の態様で鈍端である(blunted)ことができる。加えて、または代替として、遠位先端は、少なくとも部分的にテーパ状にされることができる。テーパ状の先端は、カテーテルが血管系を通ることを助けることができ、および/または前進中に血管を膨張させることを支援することができる。カテーテルの先端は、カテーテル本体の残りの部分と一体であってもよく、カテーテル本体に接合された別個の構成要素であってもよい。これらの変形形態のうちのいくつかでは、カテーテルの先端は、(たとえば、ねじ嵌め、スナップ嵌め、摩擦嵌めなどによって)カテーテルに着脱自在に取り付けることができ、これによって、使用者は、所与の患者または血管に適した先端部分を選択することができる。
【0117】
カテーテルの先端部分は、カテーテルを血管系へ案内するよう支援することができる。いくつかの変形形態では、内腔は、カテーテルを通ってカテーテルの先端まで通すことができる。これらの変形形態では、ガイドワイヤは内腔を通ることができ、カテーテルは、ガイドワイヤの上を標的場所まで前進させられることができる。他の変形形態では、ガイドワイヤは、カテーテルの先端に固定して取り付けることができる。たとえば、
図16Aおよび16Bに示され上記でより詳細に説明したカテーテル(1600)の変形形態では、先端(1601)は、先端(1601)に取り付けられ、これから延在するガイドワイヤ(1612)を備えることができる。ガイドワイヤ(1612)は、血管系へ前進させられて、カテーテルを標的場所に案内するよう支援することができる。さらに他の変形形態では、先端は、迅速交換部分を備えることができる。たとえば、上記で
図1A~1Cに示されるカテーテル(100)の変形形態では、カテーテル(100)の先端は、互いに連通する第1のアパーチャおよび第2のアパーチャ(それぞれ(112)および(114))を有する迅速交換部分(100)を備える。ガイドワイヤ(図示せず)は第1のアパーチャ(112)および第2のアパーチャ(114)を通ることができ、したがって、迅速交換部分(100)(および迅速交換部分(100)と共に、カテーテル(100))は、ガイドワイヤに沿って標的場所に前進させられることができる。迅速交換部分(100)は、
図1A~1Cでは、カテーテル(100)の先端にあるように示されているが、カテーテル(100)の長さに沿った任意の適切な箇所にあってもよいことを理解されたい。
【0118】
本明細書で説明するカテーテルのいくつかの変形形態は、ねじれ伝達シースを備えることができる。カテーテルの長さが増加するにつれて、近位端に加えられる1つ以上の回転力によってカテーテルの遠位端を回転させる能力が低下することがある。ねじれ伝達問題を防止するよう支援するために、カテーテルは、カテーテル上またはその中に配設されたトルク伝達シースを備えることができる。ねじれ伝達シースは、回転力に抵抗できる任意の硬い材料または硬化した材料(たとえば、ステンレス鋼、形状記憶合金、および種々のプラスチック)から作製されることができ、これによって、実践者は、カテーテルを血管に挿入するとき、カテーテルの遠位部分の場所および回転方位を調整することができる。
【0119】
いくつかの変形形態では、カテーテルは、1つ以上の吸引ポートを備えることができる。これらの変形形態では、これらの吸引ポートは、血液またはその他の流体を血管の一部分から除去するために使用することができる。たとえば、
図27A~27Dは、吸引ポート(2702)を備えるカテーテル(2700)の一変形形態を示す。
図27Aはカテーテル(2700)の斜視図を示し、カテーテル(2700)は、吸引ポート(2702)と、スリーブ(2704)と、ばね電極(2708)およびカップリング磁石(2710)を収容するネスティング材(2706)と、近位バルーン(2712)と、遠位バルーン(2714)とを備える。カテーテル(2700)は、
図27Aでは、ばねワイヤ電極(2708)とカップリング磁石(2710)とを有するように示されているが、上記でより詳細に説明した瘻形成要素や整列要素などの瘻形成要素および/または整列要素の任意の適切な組み合わせを備えることができる。スリーブ(2704)は、
図27Bに示されるように、カテーテル(2700)の1つ以上の構成要素を被覆するために前進させられることができ、これは、組織を通るカテーテル(2700)の扁平状態の前進を促進するよう支援することができる。
【0120】
カテーテル(2700)を血管内に設置すると、吸引ポート(2702)は、瘻形成の前またはその間に血液および/または他の任意の流体を血管の一部分から一時的に除去するために、近位バルーン(2712)および遠位バルーン(2714)と共に使用されることができる。たとえば、
図27Cおよび27Dは、カテーテル(2700)を使用して瘻(図示せず)を形成できる1つの方法を示す。
図27Cに示されるように、カテーテル(2700)は静脈(2716)に前進させることができるが、第2のカテーテル(2718)は動脈(2720)に前進させることができる。第2のカテーテル(2718)は、平坦な電極のアブレーション面(図示せず)を備えてもよいし、上記でより詳細に説明した瘻形成要素などの別の適切な瘻形成要素を備えてもよいし、または瘻形成要素を備えなくてもよい。カテーテル(2700)の前進中に、スリーブ(2704)は、スリーブ(2704)がカテーテル(2700)の1つ以上の要素を被覆する前進位置にあることができる。たとえば、スリーブ(2704)は、ばねワイヤ電極(2708)(
図27Cおよび27Dには示されていない)を被覆して、ばねワイヤ電極を扁平な構成に保持することができる。
【0121】
カテーテルを前進させると、スリーブ(2704)が撤退させられて、カテーテルの1つ以上の構成要素を暴露にすることができる。たとえば、スリーブ(2704)を撤退させると、ばねワイヤ電極(2708)(
図27Cおよび27Dには示されていない)は、カテーテルから第2のカテーテル(2718)の方へ(いくつかの場合では、第2のカテーテル(2718)の1つ以上の瘻形成要素の方へ)延在することができる。加えて、1つ以上の整列要素は、第2のカテーテル(2718)に対してカテーテル(2700)を配置するよう支援することができる。たとえば、
図27Cに示されるように、カップリング磁石(2710)は、第2のカテーテル(2718)の1つ以上のカップリング磁石(図示せず)に誘引され、これと整列させられて、第2のカテーテル(2718)に対してばねワイヤ電極(
図27Cおよび27Dには示されていない)を方向付けることができる。カテーテルが適所にあり、適切に整列させられると、
図27Cに示されるように、近位バルーン(2712)および遠位バルーン(2714)を膨張させることができる。いくつかの場合では、バルーン(2712)および(2714)は、カテーテル(2700)を血管に対して適所に保持することができる。加えて、各バルーンは、血管のその部分を血管の残りの部分に対して一時的に密封することができる。
【0122】
近位バルーン(2712)および遠位バルーン(2714)が膨張させられると、近位バルーン(2712)と遠位バルーン(2714)との間の流体を静脈(2716)から除去するように、真空またはその他の吸引を吸引ポート(2702)に適用することができる。近位バルーン(2712)および遠位バルーン(2714)が静脈(2716)内で密封を作り出す場合、
図27Dに示されるように、吸引によって、静脈(2716)の一部分がカテーテル(2700)の周囲に圧壊することもある。この時点で、電流が、ばねワイヤ電極(2708)に供給されることができる(さらに、いくつかの場合では、カテーテル間の組織をアブレーションするおよび/または蒸散させるために、第2のカテーテル(2718)の接地電極によって運ばれる)。他の場合、電流は、第2のカテーテル(2718)の活性電極(図示せず)に供給され、ばねワイヤ電極(2708)によって運ぶことができる。加えて、血液またはその他の流体は吸引部分(2702)によって静脈(2716)から除去されるので、組織のアブレーション中の周囲流体への電流損失を減少させることができる。カテーテル(2700)および(2718)は、
図27Cおよび27Dでは、それぞれ静脈(2716)および動脈(2720)内に設置されているように示されているが、これらのカテーテルは任意の適切な血管内に設置されることができることを理解されたい。いくつかの変形形態では、カテーテル(2700)は動脈内に設置されることができ、第2のカテーテル(2718)は静脈内に設置されることができる。さらに他の変形形態では、両方のカテーテルは静脈内に設置される。両方のカテーテルは吸引ポートを備えることができることも理解されたい。
【0123】
(近位アダプタ)
本明細書で説明するカテーテルは、その近位端に1つ以上の近位アダプタおよび/またはハンドルを備えることができる。これらの要素は、カテーテルを前進させるかまたは整列させ、1つもしくは複数の瘻形成要素を活性化させ、および/またはカテーテルに、もしくはカテーテルを通して、1つもしくは複数の流体もしくは物質を送達するよう支援することができる。
図13Aおよび13Bは、本明細書で説明するカテーテルと共に使用することに適したアダプタの2つの変形形態を示す。
図13Aは、アダプタ(1302)を備えるカテーテル(1300)の一変形形態を示す。カテーテル(1300)は、上記で説明した瘻形成要素や整列特徴などの任意の適切な瘻形成要素(複数可)および/または整列特徴(複数可)を備えることができる。この図に示されているように、アダプタ(1302)は、第1のポート(1306)と、第2のポート(1308)と、第3のポート(1312)とを備える。アダプタは、
図13Aでは、3つのポートを有するように示されているが、任意の適切な数のポート(たとえば、ゼロ、1つ、2つ、3つ、または4つ以上)を備えることができ、各ポートは、任意の有用な機能(たとえば、カテーテルへのまたはカテーテルを通しての1つ以上の要素または物質の導入)を果たすことができる。たとえば、
図13Aに示される変形形態では、第1のポート(1306)は、流体または物質(たとえば、造影剤、洗浄剤、治療薬、および/または静脈内輸液)を内腔(図示せず)に導入するために使用されることができ、液体源またはガス状流体源(たとえば、流体ポンプ、シリンジなど)に接続されることができる。同様に、第2のポート(1308)は、電流を電極(図示せず)に送るための電気外科用リード(1320)の導入を可能にすることができる。カテーテル(1300)が電極を備えない変形形態では、任意の適切な制御要素(たとえば、プッシュロッド、プルワイヤなど)は、瘻の形成を制御するためにポートを介してカテーテルに入ることができる。最後に、第3のポート(1312)は、1つ以上のデバイス(たとえば、ガイドワイヤ)が止血弁(1316)を介してカテーテルを通過することを可能にすることができる。第3のポート(1312)は、
図13Aでは、止血弁(1316)を有するように示されているが、そのような弁を有する必要はない。近位アダプタのポートのそれぞれは、単一の内腔に集束されてもよく、異なる内腔へのアクセスを提供してもよいことを理解されたい。可視化ポート、アクチュエータポート、吸引ポートなど、他の機能のための追加のポートを必要に応じて設けることができる。ポートは、ねじ付きコネクタ、ルアーコネクタなどの任意の適切な接続形式形状因子を有することができる。
【0124】
図13Bは、カテーテル(1318)の別の変形形態を示す。この図に示されているように、カテーテル(1318)は、
図13Aに示されるカテーテル(1300)の変形形態と同じ近位アダプタを備え、したがって同じ参照ラベルを
図13Bに示される変形形態に使用する。
図13Bに追加で示されるのは、スリーブ(1322)であり、スリーブ(1322)は、カテーテルの一部分に設けられることができ、電極のアブレーション面(1304)と血管壁(図示せず)との接触を調節するために使用されることができる。スリーブ(1322)の位置は、少なくとも一部は、ハブ(1324)によって制御されることができる。使用者は、ハブ(1324)を操作して、カテーテル(1300)に対して近位方向または遠位方向にスリーブ(1322)を移動させることができる。これによって、スリーブ(1322)は、電極のアブレーション面(1304)を覆ったり露出させたりすることができる。
【0125】
アダプタのいくつかの変形形態は、実践者が1つのカテーテルを別のカテーテルに対して方向付けることを支援することができる1つ以上の整列特徴を備える。たとえば、
図15Aおよび15Bに示され上記でより詳細に説明したアダプタ(1502)の変形形態は、整列突起(1506)を備えることができ、整列突起(1506)の回転方位は、瘻形成アセンブリの電極のアブレーション面の対応する回転方位にマッピングされる。たとえば、2つのカテーテル(1500)を2本の隣接する血管(図示せず)内に設置するとき、各カテーテル(1500)の整列突起(1506)を互いと整列して、カテーテル上のそれぞれの瘻形成構成要素(1508)を整列することができる。
【0126】
本明細書で説明するカテーテルのいずれも、上記で説明したような瘻形成要素、整列要素、カテーテル本体、近位アダプタ、および/または拡張可能な構造の任意の組み合わせを備え、カテーテルまたはカテーテルの組み合わせは、任意の適切な方法で瘻を形成するために使用されることができることを理解されたい。
【0127】
(システム)
本明細書で同様に説明するのは、複数の血管の間に瘻を形成するためのシステムである。一般に、このシステムは、1つ以上の瘻形成要素を備えることができる第1のカテーテルを備えることができる。この第1のカテーテルは、上記でより詳細に説明したような瘻形成要素のいずれかまたは瘻形成要素の組み合わせを備えることができる。たとえば、いくつかの変形形態では、第1のカテーテルは、上記でより詳細に説明した電極構造のいずれかを備えることができる1つ以上の電極を備えることができる。いくつかの変形形態では、第1のカテーテルは、上記でより詳細に説明したブレードのうちの1つ以上などの1つ以上の機械的切断要素を備えることができる。加えて、または代替として、第1のカテーテルは、レーザエネルギーを組織に送達するために使用されることができる1つ以上の光ファイバを備えることができる。第1のカテーテルが電極ベースの瘻形成要素を備える変形形態では、システムは、1つ以上の接地電極を備えることができ、接地電極は、いくつかの変形形態では、患者の体外に配置されることができる。
【0128】
いくつかの変形形態では、第1のカテーテルは、1つ以上の整列要素を備えることができる。いくつかの変形形態では、第1のカテーテルは、第1のカテーテルの形状を変更するために使用されることができる1つ以上の形状変更要素を備えることができる。これらの変形形態のうちのいくつかでは、第1のカテーテルは、上記でより詳細に説明したような成形されたワイヤおよび/または1つ以上のプルワイヤを備えることができる。加えて、または代替として、第1のカテーテルは、上記でより詳細に説明したマーカーなどの1つ以上のマーカーを備えることができる。加えて、または代替として、第1のカテーテルは、1つ以上の磁石を備えることができる。これらの変形形態では、第1のカテーテルは、整列磁石および/またはカップリング磁石の任意の組み合わせを備えることができる。いくつかの変形形態では、第1のカテーテルは、瘻形成要素の近位に1つ以上の磁石配列を備えることができる。加えて、または代替として、第1のカテーテルは、瘻形成要素の遠位に1つ以上の磁石配列を備えることができる。
【0129】
上記でより詳細に説明したように、第1のカテーテルは、任意の適切なカテーテル本体を備えることができる。いくつかの変形形態では、第1のカテーテルは、カテーテル本体を通って少なくとも部分的に延在する1つ以上の内腔を備えることができる。いくつかの変形形態では、第1のカテーテルは、ガイドワイヤの上を、またはこれに沿って前進するように構成されることができる。いくつかの変形形態では、第1のカテーテルは、ガイドワイヤが通過できる内腔を備えることができる。他の変形形態では、第1のカテーテルは、迅速交換部分を備えることができる。加えて、いくつかの変形形態では、上記でより詳細に説明したように、第1のカテーテルは、1つ以上の拡張可能な要素を備えることができる。いくつかの変形形態では、第1のカテーテルは、1つ以上のバルーンを備えることができる。これらの変形形態のうちのいくつかでは、第1のカテーテルは、瘻形成要素の近位に1つ以上のバルーンを備えることができ、および/または瘻形成要素の遠位に1つ以上のバルーンを備えることができる。
【0130】
いくつかの変形形態では、システムは、第2のカテーテルをさらに備えることができる。いくつかの変形形態では、この第2のカテーテルは、瘻形成要素を備えることができるが、瘻形成要素を備える必要はない。第2のカテーテルが瘻形成要素を備える変形形態では、上記でより詳細に説明したように、第2のカテーテルは、瘻形成要素のいずれかまたは瘻形成要素の組み合わせを備えることができる。たとえば、いくつかの変形形態では、第2のカテーテルは、上記でより詳細に説明した電極構造のいずれかを備えることができる1つ以上の電極を備えることができる。いくつかの変形形態では、第2のカテーテルは、上記でより詳細に説明したブレードのうちの1つ以上などの1つ以上の機械的切断要素を備えることができる。加えて、または代替として、第2のカテーテルは、レーザエネルギーを組織に送達するために使用できる1つ以上の光ファイバを備えることができる。第2のカテーテルの瘻形成要素は、第1のカテーテルの瘻形成要素と同じであってもよく、第1のカテーテルの瘻形成要素と異なってもよい。
【0131】
いくつかの変形形態では、第1のカテーテルは、瘻形成中に血管組織を通って延在するように構成された電極(たとえば、以下でより詳細に説明するワイヤ電極または他の展開可能な電極のうちの1つ以上)を備えることができ、第2のカテーテルは、アブレーション中に第1のカテーテルの電極の1つ以上の部分を受容するかまたは別の態様でこれと接触するように構成されることができる。いくつかの変形形態では、第2のカテーテルは、上記でより詳細に説明したように、第1のカテーテルの電極の一部分を受容するための1つ以上の凹部またはポケットを備えることができる。いくつかの変形形態では、第2のカテーテルの電極は、瘻形成中に第1のカテーテルの電極を受容するように構成されることができる。いくつかの変形形態では、電極または他の受容面は、上記でより詳細に説明した絶縁コーティングなどの1つ以上の絶縁コーティングを備えることができる。
【0132】
いくつかの変形形態では、第2のカテーテルは、1つ以上の整列要素を備えることができる。いくつかの変形形態では、第2のカテーテルは、第2のカテーテルの形状を変えるために使用できる1つ以上の形状変更要素を備えることができる。これらの変形形態のうちのいくつかでは、第2のカテーテルは、上記でより詳細に説明したように、成形されたワイヤおよび/または1つ以上のプルワイヤを備えることができる。加えて、または代替として、第2のカテーテルは、上記でより詳細に説明したマーカーなどの1つ以上のマーカーを備えることができる。加えて、または代替として、第2のカテーテルは、1つ以上の磁石を備えることができる。これらの変形形態では、第2のカテーテルは、整列磁石および/またはカップリング磁石の任意の組み合わせを備えることができる。いくつかの変形形態では、第2のカテーテルは、瘻形成要素の近位に1つ以上の磁石配列を備えることができる。加えて、または代替として、第2のカテーテルは、瘻形成要素の遠位に1つ以上の磁石配列を備えることができる。第1のカテーテルと第2のカテーテルの両方が整列要素を備える変形形態では、これらのカテーテルは、同じ構成の整列要素を備えてもよいし、異なる構成の整列要素を備えてもよい。
【0133】
上記でより詳細に説明したように、第2のカテーテルは、任意の適切なカテーテル本体を備えることができる。いくつかの変形形態では、第2のカテーテルは、カテーテル本体を通って少なくとも部分的に延在する1つ以上の内腔を備えることができる。いくつかの変形形態では、第2のカテーテルは、ガイドワイヤの上を、またはこれに沿って前進するように構成されることができる。いくつかの変形形態では、第2のカテーテルは、ガイドワイヤが通過できる内腔を備えることができる。他の変形形態では、第2のカテーテルは、迅速交換部分を備えることができる。加えて、いくつかの変形形態では、上記でより詳細に説明したように、第2のカテーテルは、1つ以上の拡張可能な要素を備えることができる。いくつかの変形形態では、第2のカテーテルは、1つ以上のバルーンを備えることができる。第2のカテーテルが瘻形成要素を備える変形形態では、第2のカテーテルは、瘻形成要素の近位に1つ以上のバルーンを備えることができ、および/または瘻形成要素の遠位に1つ以上のバルーンを備えることができる。
【0134】
(方法)
本明細書において説明する方法は、2本の密接に関連する血管の間(たとえば、静脈と動脈との間、2本の静脈の間など)に瘻を作製するために利用されることができる。一般に、これらの方法では、1つ以上の瘻形成要素は、血液が2本の隣接する血管の間を直接流れることができるように、2本の血管の間に穴を開けるか、穿孔するか、または別の態様で通路を作製するために活性化されることができる。このような瘻を形成すると、血管を接続または接合する別個のデバイスまたは構造(たとえば、縫合、ステント、シャントなど)を必要とすることなく、止血をもたらすことができる。
【0135】
一般に、本明細書で説明する方法は、第1のカテーテルを用いて第1の血管にアクセスするステップと、この第1のカテーテルを血管内の標的場所に前進させるステップとを含む。これらの方法のうちのいくつかにおいて、第2のカテーテルを用いて第2の血管にアクセスし、第2の血管内の標的場所まで前進させる。これらの方法のうちのいくつかにおいて、第1のカテーテルは動脈の中に前進させられ、第2のカテーテルは静脈の中に前進させられる。他の方法において、第1のカテーテルは、第1の静脈の中に前進させられ、第2のカテーテルは、第2の静脈の中に前進させられる。さらに他の方法において、第1のカテーテルは、第1の動脈の中に前進させられ、第2のカテーテルは第2の動脈に中に前進させられる。第1のカテーテルおよび/または第2のカテーテルは、Seldinger法またはその他の類似した技法を使用するなどの任意の適切な方法において前進させられることができる。前進は、間接的な可視化の下で(たとえば、蛍光透視法、X線、または超音波を介して)行われてもよく、行わなくてもよい。第1のカテーテルと第2のカテーテルとは、同じ方法で前進させられてもよく、異なる方法で前進させられもよい。カテーテルの1つがガイドワイヤの上を前進するように構成される変形形態(たとえば、
図1A~1Cに関連して上記で説明したカテーテル(100))では、カテーテルは、ガイドワイヤに沿って前進させられることができる。カテーテルのうちの1つが、その先端に固定して取り付けられたガイドワイヤを有する変形形態(たとえば、
図16Aおよび16Bに関連して上記で説明したカテーテル(1600))では、ガイドワイヤは、血管系を通して標的場所に前進させられることができる。他の変形形態では、1つ以上の外部磁石は、標的部位にカテーテルを前進させるか、または配置するよう支援することができる。たとえば、
図17Aおよび17Bは、それぞれ、血管(1704)内でカテーテル(1702)を前進させることを支援するために使用されることができる外部磁石(1700)の斜視図および側面図を示す。外部磁石(1700)は、カテーテルの任意の適切な部分(たとえば、固定されたガイドワイヤ(1706)、1つ以上の磁気整列要素など)と相互作用して、カテーテル(1702)と外部磁石(1700)との間に引力を生じさせることができる。この引力は、前進中にカテーテルを引っ張る、押す、または別の態様で操作するために使用されることができる。
【0136】
第1のカテーテルおよび/または第2のカテーテルをそれぞれの血管内で前進させると、カテーテルは、血管内におけるカテーテルの配置および/または互いに対する血管の配置に影響を及ぼすように調整することができる。第1のカテーテルを第1の血管の中に前進させ、第2のカテーテルを第2の血管の中に前進させた変形形態では、第1のカテーテルおよび第2のカテーテルは、第1のカテーテルの少なくとも一部分と第2のカテーテルの少なくとも一部分を互いに向かって持ってくるように調整されることができ、これは、複数の血管をより接近させる働きをすることができる。いくつかの変形形態では、第1のカテーテルまたは第2のカテーテルのそれぞれは、上記でより詳細に説明した磁気整列要素などの1つ以上の磁気整列要素を備えることができる。磁気整列要素は、第1のカテーテルと第2のカテーテルの間に引力を生じさせることができ、これによって、カテーテルを互いに向かって引くことができる。いくつかの場合では、この引力は、第1のカテーテルと第2のカテーテルの間の組織を圧縮することに十分であることができる。たとえば、上記で説明したように、第1のカテーテルおよび第2のカテーテルが平坦なアブレーション面を備える変形形態では、引力は、アブレーション面の間の血管組織を平坦化および/または圧縮することができる。他の変形形態では、第1のカテーテルおよび/または第2のカテーテルは、
図25A~25Dのカテーテル(2500)に関連して説明した形状変更部材などの1つ以上の形状変更部材を備えることができ、方法は、形状変更部材を使用して第1のカテーテルおよび/または第2のカテーテルの形状を変更するステップを含む。第1のカテーテルおよび/または第2のカテーテルの形状を変更するステップは、上記で説明したように、第1の血管と第2の血管とを接近させることを支援することができる。加えて、形状変更は、上記で述べたように、第1の血管と第2の血管との間の組織を圧縮する働きをすることもできる。
【0137】
いくつかの変形形態では、第1のカテーテルおよび第2のカテーテルを調整するステップは、カテーテルを軸方向におよび/または回転方向に整列させるステップを含むことができる。たとえば、カテーテルは、特定の場所に瘻を形成するために第1のカテーテルまたは第2のカテーテルのどちらかの瘻形成要素を配置するように方向付けることができる。第1のカテーテルと第2のカテーテルの両方が瘻形成要素(たとえば、活性電極および接地電極)を備える変形形態では、カテーテルは、これらの瘻形成要素を整列させるように方向付けられることができる。カテーテルは、任意の適切な方法で整列させられることができる。第1のカテーテルおよび/または第2のカテーテルが上記で説明したマーカーなどの1つ以上のマーカーを備える変形形態では、マーカーは、カテーテルが互いに対して適切な軸方向および/または半径方向の方向付けを有することを確実にするために(たとえば、蛍光透視法、X線などによって)見られることができる。加えて、第1のカテーテルおよび/または第2のカテーテルが1つ以上の磁気整列要素(たとえば、上記でより詳細に説明したように、1つ以上のカップリング磁石)を備える変形形態では、磁気整列要素は、第1のカテーテルを第2のカテーテルに対して軸方向におよび/または回転方向に方向付けるために使用されることができる。
【0138】
加えて、いくつかの変形形態では、上記で説明したバルーンまたは拡張可能な部材などの1つ以上のバルーンまたは拡張可能な部材は、第1のカテーテルおよび/または第2のカテーテルを配置するよう支援するために使用することができ、または第1のカテーテルおよび/または第2のカテーテルを血管内の適所に保持する働きをすることができる。たとえば、いくつかの変形形態では、カテーテルの1つのバルーンまたは拡張可能な部材を拡張することによって、血管の内部と係合することができ、それにより、そのカテーテルを血管内の適所に保持することができる。他の方法では、バルーンまたは拡張可能な部材を拡張させることによって、瘻形成要素を血管組織に対して偏向させるかまたは別の態様で押し付けることができ、それにより、瘻形成を補助することができる。
【0139】
1つ以上のカテーテルを配置および調整すると、1つ以上の瘻形成要素は、2本の血管の間に瘻を作製するために使用されることができる。たとえば、いくつかの変形形態では、第1のカテーテルおよび第2のカテーテルのうちの一方は、瘻形成要素(たとえば、電極、切断ブレードなど)を備えているが、他方のカテーテルは瘻形成要素を備えていない。他の変形形態では、両方のカテーテルが瘻形成要素を備えている。これらの変形形態のうちのいくつかでは、第1のカテーテルおよび第2のカテーテルの瘻形成要素は、異なる瘻を形成する働きをする。他の変形形態では、第1のカテーテルおよび第2のカテーテルの瘻形成要素は、同じ瘻を形成するために相互作用する。たとえば、いくつかの変形形態では、第1のカテーテルおよび第2のカテーテルは、それぞれ、少なくとも1つの電極を備える。これらの方法では、電流は、カテーテルの一方の1つ以上の電極に供給されることができ、電流は、他方のカテーテルの1つ以上の電極によって運ばれることができ、電流が電極を通過するとき、組織をアブレーションするかまたは別の態様で蒸散させることができる。上記で説明した電極の任意の適切な組み合わせは、瘻を形成するために利用されることができる。上記で説明した方法などの他の方法では、瘻の形成は、第1のカテーテルまたは第2のカテーテルのバルーンを穿刺するかまたはこれに穴を開けるステップを含み、これによって、1つ以上の造影剤溶液を血管の中に放出させることができる。加えて、いくつかの変形形態では、バルーンは、瘻を形成した後に瘻を修正するために使用されることができる。
【0140】
加えて、1つ以上のバルーンが、瘻に対する血流に影響を及ぼすために活性化されることができる。たとえば、動静脈瘻を形成する変形形態では、動脈および/または静脈の1つ以上の部分を膨張させることが有益なことがある。具体的には、動静脈瘻の上流にある動脈の部分が、瘻を通る流れを増加させるために拡張させられることができる。代替として、または加えて、瘻の下流にある静脈の一部分が、瘻を通る流れを増加させることを支援するために膨張させられることができる。いくつかの変形形態では、拡張可能な部材の1つ以上の部分は、それを通る流れを減少させるために、血管の一部分において壊死または腫脹を誘発するための電極を備えることができる。たとえば、いくつかの変形形態では、瘻の上流にある静脈の一部分は、静脈性高血圧を最小にするために少なくとも部分的に塞がれることができる。
【0141】
上記で説明したカテーテルのいずれもが、上記の方法を使用して瘻を形成するために使用されることができることを理解されたい。たとえば、いくつかの変形形態では、第1のカテーテルを第1の血管の中に前進させることができ、この第1のカテーテルは、上記でより詳細に説明した瘻形成要素などの1つ以上の瘻形成要素を備えることができる。たとえば、いくつかの変形形態では、第1のカテーテルは、1つ以上のブレードまたはその他の機械的切断要素を備えることができる。これらの変形形態のうちのいくつかでは、第1のカテーテルは、それぞれ、
図22、37、38、および39に関連して上記で説明したカテーテル(2200)、(3700)、(3800)、および/または(3900)のブレード機構のうちの1つ以上を備えることができる。他の変形形態では、第1のカテーテルは、1つ以上の電極を備えることができる。この電極は、上記でより詳細に説明したアブレーション面などの1つ以上のアブレーション面を備えることができる。いくつかの変形形態では、電極はリードワイヤを備えることができ、リードワイヤの一部分は、アブレーション面として作用する。たとえば、第1のカテーテルは、それぞれ、
図21、31、および32に関連して上記で説明したカテーテル(2100)、(3100)、および/または(3200)のリードワイヤ電極のうちの1つ以上を備えることができる。さらに他の変形形態では、第1のカテーテルは、1つ以上の光ファイバまたはレーザエネルギーを血管組織に送達するためのその他の部材を備えることができる。いくつかの変形形態では、第1のカテーテルは、2つ以上の瘻形成要素の組み合わせを備えることができることを理解されたい。第1のカテーテルの瘻形成部材は、第1の血管と第2の隣接する血管との間に瘻を形成するために活性化されるかまたは別の態様で使用されることができる。
【0142】
いくつかの変形形態では、第2のカテーテルは、第2の血管内に設置されることができる。いくつかの変形形態では、第2のカテーテルは、瘻形成要素(上記でより詳細に説明した瘻形成要素のうちの1つ以上のなどの)を備えることができるが、瘻形成要素を備える必要はない。第1のカテーテルが1つ以上の電極を備える変形形態では、第2のカテーテルも1つ以上の電極を備えることができる。これらの変形形態のうちのいくつかでは、電流は、組織のアブレーション中、第1のカテーテルの電極と第2のカテーテルの電極との間を通過することができる。第1のカテーテルの瘻形成要素が組織の瘻の形成中に血管組織を通って延在するかまたは別の態様で移動するように構成される変形形態(たとえば、ブレードまたはその他の機械的切断デバイス、上記で説明した電極のうちの1つ以上)では、第2のカテーテルは、組織を通過するときに第1のカテーテルの瘻形成要素と接触するかまたは別の態様で受容するための1つ以上のセクションまたは要素を備えることができる。たとえば、いくつかの変形形態では、第2のカテーテルは、それぞれ、カテーテル(3300)、(3400)、(3500)、および(3600)ならびに
図33A~33B、34、35A~35B、および36に関連して上記で説明したポケットやコーティングされた部分などの、1つ以上のポケットまたはコーティングされた部分を備えることができる。これらの変形形態のうちのいくつかでは、ポケットまたはコーティングされた部分は、血管組織を通過するときに第1のカテーテルの電極を受容するかまたは別の態様でこれと接触するように構成されることができる。いくつかの変形形態では、第1のカテーテルの電極は、第2のカテーテルの1つ以上の電極と接触するように配置されることができる。これらの変形形態のうちのいくつかでは、電極は、1つ以上のコーティングされた部分を備えることができる。これらの変形形態のうちのいくつかでは、コーティングされた部分は多孔性コーティングを備えることができ、したがって、電流は電極の間の多孔性コーティングを通過することができるが、2つの電極の間の直接的な物理的接触は防止されることができる。加えて、または代替として、いくつかの変形形態では、瘻形成要素(たとえば、電極、機械的切断ブレード)を前進させると、バルーンのうちの1つ以上を穿刺するかまたは別の態様でこれに穴を開けることができるように、第2のカテーテルは、1つ以上のバルーン(たとえば、
図26Aおよび26Bに関連して上記で説明したカテーテル(2600)の遠位バルーン(2604)、中央バルーン(2606)、および近位バルーン(2608)など)を備えることができる。いくつかの変形形態では、これによって、それから1つ以上の流体(たとえば、造影剤溶液)を放出することができる。
【0143】
いくつかの変形形態では、第2の血管に開口を形成する前に第1の血管に開口を形成するよう、瘻を指向的に形成することが望ましいことがある。たとえば、動脈と静脈との間に瘻を形成する変形形態では、静脈において瘻の形成を開始することが望ましいことがある。これらの変形形態では、開口を動脈に形成する前に、開口を静脈に形成することができる。瘻の構築中に、1つ以上のカテーテルが正常に動作せず、したがって完全な瘻が形成されない場合、この指向的な瘻形成によって、対応する開口を静脈内に形成せずに開口を動脈内に形成することを防止することができる。完全に瘻を形成せずに開口を動脈内に形成すると、動脈圧によって血液が血管の周囲の血管外の空間に押し込まれることがあり、いくつかの場合、修復するために外科手技を必要とすることがある。反対に、完全に瘻を形成せずに開口を静脈内に形成すると、何らかの血管外出血が生じることがあるが、静脈圧は有意な出血が発生しない程度に十分に低くあるので、これにより、血管が自身を治癒することを可能にすることができる。上記では、静脈から動脈に指向的に瘻を形成するために使用されるように説明したが、一部の場合には、動脈から静脈に、第1の静脈から第2の静脈に、または第1の動脈から第2の動脈に、指向的に瘻を形成することが望ましいことがあることも理解されたい。さらに他の変形形態では、カテーテルは、第1の血管および第2の血管を通る瘻をほぼ同時に形成するように構成されることができる。
【0144】
第1の血管(たとえば、静脈)から第2の血管(たとえば、動脈)に指向的に瘻を形成するために、第1のカテーテルは、第1の血管内に設置されることができる瘻形成要素を備える。この瘻形成要素は、上記でより詳細に説明した任意の適切な瘻形成要素であることができる。いくつかの変形形態では、第2のカテーテルは、第2の血管内に設置されることができる。瘻形成要素がブレードまたはその他の機械的切断機構を備える変形形態では、ブレードは、第1の血管の組織に穴を開けるか、穿刺するか、または別の態様で通過するように活性化されることができる。ブレードが第1の血管の組織を通過するとき、ブレードは、第2の血管の組織も切断することができる。第1のカテーテルが1つ以上の電極を備える変形形態では、これらの電極は、第1の血管から第2の血管まで指向的に瘻を形成することができる。いくつかの変形形態では、電極は、(たとえば、電流発生器の単極性出力を介して)電流発生器に接続されることができ、アブレーション面は、第2の血管の方に向けられることができる。これらの変形形態のうちのいくつかでは、接地電極は、患者の体外に設置されることができ、電流は、第1のカテーテルの電極を介して組織に印加されることができる。第1の血管の組織は、電極のより近くにあるので、第2の血管の組織よりも迅速にアブレーションまたは蒸散されることができる。加えて、電極が組織を通って延在するように構成される変形形態では、電極は、最初に第1の血管の組織と接触してアブレーションしてから、第2の血管の組織と接触してアブレーションすることができる。加えて、いくつかの変形形態では、この指向的な瘻形成は、第2の血管に形成される開口よりも大きい開口を第1の血管に形成することができる。これは、第1の血管が静脈であり、第2の血管が動脈である場合に有用であることがある。より大きな開口は、小さな開口よりも小さい血流に対する抵抗を提供することができるので、より大きな開口を静脈内に形成すると、動脈から静脈に流れやすくすることができ、これによって、血液が瘻を通って血管外空間に血管外漏出する可能性を減少させることができる。
【0145】
上記で述べたように、第1のカテーテルを第1の血管内に設置し、第2のカテーテルを第2のカテーテル内に設置すると、第1のカテーテルと第2のカテーテルとは、1つ以上の整列要素を使用して整列させられることができる。第1のカテーテルおよび第2のカテーテルは、上記でより詳細に説明したように、任意の整列要素または整列要素の組み合わせを備えることができる。いくつかの変形形態では、第1のカテーテルおよび/または第2のカテーテルは、瘻形成要素の近位に1つ以上のカップリング磁石を備えることができる。加えて、または代替として、第1のカテーテルおよび/または第2のカテーテルは、瘻形成要素の遠位に1つ以上のカップリング磁石を備えることができる。加えて、または代替として、第1のカテーテルおよび/または第2のカテーテルは、瘻形成要素の近位に1つ以上の係留磁石を備えることができる。加えて、または代替として、第1のカテーテルおよび/または第2のカテーテルは、瘻形成要素の遠位に1つ以上の係留磁石を備えることができる。第1のカテーテルを第1の血管内に設置し、第2のカテーテルを第2の血管内に設置するとき、第1のカテーテルの整列要素と第2のカテーテルの整列要素とは、第1の血管と第2の血管とをより接近させることを支援するように相互作用することができる。他の場合、整列要素は、第1のカテーテルの瘻形成要素(上記で説明した瘻形成要素など)を第2の血管の組織および/または第2のカテーテルの1つ以上の部分(たとえば、瘻形成要素、ポケットなど)の方に向けるために使用されることができる。
【0146】
いくつかの場合では、第1の血管を第2の血管に対して適所に保持することが望ましいことがある。したがって、本明細書で説明するいくつかの方法では、第1の血管の少なくとも一部分は、第2の血管の少なくとも一部分に対して接合または固定されることができる。いくつかの変形形態では、第1の血管と第2の血管とは、瘻の形成の前に接合されることができる。他の変形形態では、第1の血管の一部分は、瘻の形成中に第2の血管に接合されることができる。さらに他の変形形態では、第1の血管と第2の血管とは、瘻の形成の後に接合されることができる。第1の血管が、瘻の形成の前に、第2の血管に接合されるかまたはこれに対して固定されるとき、この接続は、瘻の形成中の第1の血管と第2の血管との間の相対的な移動を最小にするよう支援することができる。加えて、第1の血管と第2の血管との間の接続は、瘻の形成後の第1の血管と第2の血管との間の相対的な移動を防止するよう支援することができ、これによって、血液が瘻から血管外空間に血管外漏出しうる可能性を減少させることができる。
【0147】
第1の血管を第2の血管に対して接合するかまたは別の態様で固定する方法では、血管は、任意の適切な方法で接合されることができる。いくつかの変形形態では、1つ以上のカテーテルは、第1の血管の一部分を第2の血管の一部分と融合させるために、電気エネルギー、超音波エネルギー、またはレーザエネルギーを血管に送達するように構成されることができる。いくつかの場合では、このようにエネルギーを適用することによって、血管壁内のタンパク質の変性が生じることがあり、エネルギーの適用後に、各血管壁の変性タンパク質が絡み合うことがあり、これは、血管を融合させる働きをすることができる。
【0148】
図40Aおよび40Bは、第1の血管(4000)が第2の血管(4002)に接合されることができる1つの方法を示す。第1の血管(4000)は動脈または静脈であってもよく、第2の血管(4002)も動脈または静脈であってもよい。
図40Aに示されるように、第1のカテーテル(4004)は第1の血管(4000)の中に前進させられることができ、第2のカテーテル(4006)は第2の血管(4002)の中に前進させられることができる。第1のカテーテル(4004)および第2のカテーテル(4006)は、それぞれ、電極(4008)を備えることができる。いくつかの変形形態では、第1のカテーテル(4004)および第2のカテーテル(4006)は、血管の中に前進させられると、第1の血管(4000)を第2の血管(4002)により接近させるように操作されることができる。いくつかの変形形態では、上記でより詳細に説明した整列要素などの、第1のカテーテルおよび第2のカテーテルの1つ以上の整列要素(図示せず)は、血管同士をより接近させることを支援することができる。カテーテルを配置すると、エネルギーを電極(4008)のうちの1つ以上を介して血管組織に送達することができ、これによって、血管組織の融合領域(4010)を作製することができる。融合領域(4010)は、第1の血管(4000)を第2の血管(4002)に対して適所に保持する働きをすることができる。電極(4008)は、任意の適切な大きさまたは形状の融合領域(4010)を形成することができる。いくつかの変形形態では、電極(4008)は、方形の融合領域(4010)を形成するように構成されることができる。他の変形形態では、電極は、円形または楕円形の融合領域(4010)を形成するように構成されることができる。
【0149】
他の変形形態では、1つ以上の生体適合性接着剤を第1の血管および第2の血管に適用することができる。いくつかの変形形態では、針またはその他の送達デバイスは、第1の血管および第2の血管の近傍に配置されるように皮膚を通して導入されことができ、第1の血管と第2の血管とを接続するために接着剤を注入することができる。これらの変形形態では、1つ以上の整列要素を備える第1のカテーテルを第1の血管内に設置することができ、1つ以上の整列要素を備える第2のカテーテルを第2の血管内に設置することができ、整列要素(たとえば、1つ以上の磁石および/または1つ以上の形状変更部分)は、第1の血管と第2の血管とをより接近させる働きをすることができ、したがって、接着剤によって第1の血管と第2の血管とが結合されて接近位置に保持される。
【0150】
他の変形形態では、血管のうちの1つに設置されたカテーテルは、1つ以上の生体適合性接着剤を送達するために使用されることができる。
図41は1つのこのような方法を示しており、この方法では、第1のカテーテル(4100)を第1の血管(4102)に導入されることができる。いくつかの変形形態では、第2のカテーテル(4104)は、第2の血管(4106)に導入されることができる。これらの変形形態では、第1のカテーテル(4100)および第2のカテーテル(4104)は、それぞれ、上記でより詳細に説明したように血管同士をより接近させる働きをすることができる1つ以上の整列要素を備えることができる。第1のカテーテル(4100)は、第1の血管(4102)の組織を通して穿刺するために第1のカテーテル(4100)から前進させられることができる針(4106)を備えることができる。針(4106)の遠位端を血管(4102)から外に前進させると、接着剤(4108)が、針(4106)から第1の血管(4102)と第2の血管(4106)の間に送達されて血管を接合することができる。
【0151】
さらに他の変形形態では、カテーテルは、第1の血管を第2の血管に接続するために、1つ以上のバーブ、ステープル、または他のインプラントを送達することができる。
図42は1つのこのような方法を示しており、この方法では、第1のカテーテル(4200)を第1の血管(4202)に導入することができる。いくつかの変形形態では、第2のカテーテル(4204)は、第2の血管(4206)に導入されることができる。これらの変形形態では、第1のカテーテル(4200)および第2のカテーテル(4204)は、それぞれ、上記でより詳細に説明したように血管同士をより接近させる働きをすることができる1つ以上の整列要素を備えることができる。第1のカテーテル(4200)は、そこから1つ以上のバーブ(4108)、ステープル(4110)、または他のインプラントを展開するように構成されることができる。バーブ(4108)、ステープル(4110)、または他のインプラントは、第1の血管(4202)の組織を少なくとも部分的に通って、さらに第2の血管(4206)の組織を少なくとも部分的に通って送達されることができ、第1の血管(4202)の組織を第2の血管(4206)の組織に対して適所に保持する働きをすることができる。カテーテル(4200)は、
図42では、バーブ(4108)およびステープル(4110)の両方を送達するために使用するように示されているが、1つ以上のバーブ、1つ以上のステープル、1つ以上の複数の追加のインプラント、またはこれらの組み合わせを送達するように構成されることができる。
【0152】
1つ以上のカテーテルが、第1の血管を第2の血管に接合するかまたは別の態様で接続するために使用されるとき、1つ以上の同じカテーテルが第1の血管と第2の血管との間に瘻を形成するためにも使用されることができることを理解されたい。いくつかの変形形態では、第1の血管と第2の血管とを接合するために使用される同じ機構も、瘻を形成するために使用されることができる。たとえば、カテーテルが電極を備える変形形態では、同じ電極が、血管組織を融合させる(たとえば、第1の電力出力を電極に印加するとき)ため、および2本の血管の間に瘻を作製する(たとえば、第2の電力出力を電極に印加するとき)ための両方に使用されることができる。他の変形形態では、カテーテルは、2本の血管を接合するための第1の構成要素と、上記でより詳細に説明した瘻形成要素などの別個の瘻形成要素とを備えることができる。