(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-11
(45)【発行日】2023-01-19
(54)【発明の名称】シリーズハイブリッド式ストラドルドビークル
(51)【国際特許分類】
B62M 23/02 20100101AFI20230112BHJP
B62J 41/00 20200101ALI20230112BHJP
【FI】
B62M23/02 110
B62J41/00
(21)【出願番号】P 2021514160
(86)(22)【出願日】2020-04-14
(86)【国際出願番号】 JP2020016383
(87)【国際公開番号】W WO2020213590
(87)【国際公開日】2020-10-22
【審査請求日】2021-10-18
(31)【優先権主張番号】P 2019080268
(32)【優先日】2019-04-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000010076
【氏名又は名称】ヤマハ発動機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001531
【氏名又は名称】弁理士法人タス・マイスター
(72)【発明者】
【氏名】金子 京平
(72)【発明者】
【氏名】北村 直樹
(72)【発明者】
【氏名】竹本 靖史
【審査官】塩澤 正和
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-133019(JP,A)
【文献】特開2008-247166(JP,A)
【文献】国際公開第2013/098895(WO,A1)
【文献】特開2006-290295(JP,A)
【文献】登録実用新案第3159814(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62M 23/02
B62J 41/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリーズハイブリッド式鞍乗型車両であって
、
フレームと、
前記フレームに支持される発電用エンジン及び前記発電用エンジンからの出力によって駆動され発電する発電機を有する発電ユニットと、
前記フレームに支持されたフロントサスペンションに回転可能に支持され、前記発電用エンジンからの動力が機械的に伝達されないように設けられた前輪と、
前記フレームに支持されたリアアームに回転可能に支持され、前記シリーズハイブリッド式鞍乗型車両の進行方向において、前端が前記前輪の後端よりも後方に位置し、前記発電用エンジンからの動力が機械的に伝達されないように回転可能に設けられた後輪と、
前記フレーム、前記フロントサスペンション又は前記リアアームに支持され、前記発電機で発電された電力の供給を受けて前記前輪及び後輪の少なくとも一方を駆動輪として駆動する駆動モータを含むモータユニットと、
前記発電機から前記駆動モータに供給する電力を制御するインバータを含むコントロールユニットと、
前記シリーズハイブリッド式鞍乗型車両は、前記進行方向における前記前輪の前端よりも後方において、少なくとも一部に
前記シリーズハイブリッド式鞍乗型車両の走行風が当たるように配置され、前記発電用エンジンを冷却するエンジンラジエータと、
前記エンジンラジエータと比較して、大きな冷却面積を有し、前記進行方向における前記前輪の前端よりも後方において、少なくとも一部に
前記走行風が当たるように配置され、前記発電用エンジンからの動力の機械的伝達無しで前記駆動輪を駆動する駆動モータ及び/又は前記インバータを冷却する非補強電動機ラジエータと、
を備える
シリーズハイブリッド式鞍乗型車両。
【請求項2】
請求項1に記載のシリーズハイブリッド式鞍乗型車両であって
、
バッテリを有し、
前記コントロールユニットは、前記発電機から前記バッテリ及び/又は前記駆動モータに供給する電力を制御するコンバータを含み、前記非補強電動機ラジエータは、前記発電機及び/又は前記コンバータを冷却する
シリーズハイブリッド式鞍乗型車両。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のシリーズハイブリッド式鞍乗型車両であって、
前記非補強電動機ラジエータ及び前記エンジンラジエータは、前記非補強電動機ラジエータの少なくとも一部及び前記エンジンラジエータの少なくとも一部のうち、少なくとも一方が、前記シリーズハイブリッド式鞍乗型車両を左右方向に見て、前記前輪の後輪郭線と、前記フレームの前輪郭線との間に位置するように配置される
シリーズハイブリッド式鞍乗型車両。
【請求項4】
請求項1から3の何れか1項に記載のシリーズハイブリッド式鞍乗型車両であって、
前記非補強電動機ラジエータ及び前記エンジンラジエータは、前記非補強電動機ラジエータ及び前記エンジンラジエータのそれぞれが有する冷却面が、前記シリーズハイブリッド式鞍乗型車両の前後方向に延びる直線を法線とする面と交わるように配置される
シリーズハイブリッド式鞍乗型車両。
【請求項5】
請求項1から4の何れか1項に記載のシリーズハイブリッド式鞍乗型車両であって、
前記走行風を前記非補強電動機ラジエータまで導くダクトを備える
シリーズハイブリッド式鞍乗型車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シリーズハイブリッド式鞍乗型車両に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、発電ユニットとモータユニットとを有する鞍乗型車両が記載されている。特許文献1の鞍乗型車両は、発電ユニットにより発電した電力をモータユニットに供給することにより駆動輪を駆動するシリーズハイブリッド方式の車両である。シリーズハイブリッド方式の車両は、発電ユニットの発電用エンジンにより発電機を駆動して発電を行い、発電機により発電された電力及び/又はバッテリからの電力をモータユニットの駆動モータに供給することにより駆動モータに駆動輪を駆動させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示されたようなシリーズハイブリッド式鞍乗型車両では、駆動モータを適切な温度に冷却することができると共に、駆動モータに用いられる冷却システムの配置の自由度を高くすることが望まれている。
【0005】
本発明の目的は、駆動モータを適切な温度に冷却することができ、かつ、駆動モータを冷却するための冷却システムの配置の自由度が高いシリーズハイブリッド式鞍乗型車両を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、シリーズハイブリッド式鞍乗型車両の駆動モータの冷却について検討した。
【0007】
シリーズハイブリッド式鞍乗型車両のモータユニットの駆動モータは、発電機及びバッテリの少なくとも何れかから電力の供給を受ける。この時、シリーズハイブリッド式鞍乗型車両の駆動モータは、バッテリのみから電力の供給を受ける場合がある。この場合、シリーズハイブリッド式鞍乗型車両の発電ユニットは、常時発電を行うわけではない。従って、シリーズハイブリッド式鞍乗型車両の発電用エンジンは、常時駆動しているわけではない。これに対し、通常、シリーズハイブリッド式鞍乗型車両の駆動モータは、走行中、常に駆動している。従って、シリーズハイブリッド式鞍乗型車両の駆動モータは、走行中、常時冷却されることが求められる。通常、モータの冷却の目標温度は、エンジンの冷却の目標温度よりも低い。
【0008】
ここで、特許文献1に記載のシリーズハイブリッド式鞍乗型車両では、駆動モータが空冷方式で冷却されている。空冷により駆動モータを冷却する場合、例えば、ファンが取り付けられる。ファンは、ファンからの風が駆動モータに届くように配置されなければならない。そのため、ファンは、例えば、駆動モータから比較的近い位置に配置される。例えば、ファンが駆動モータに直接的に取り付けられる場合もある。
【0009】
通常、シリーズハイブリッド式鞍乗型車両は、発電用エンジンに加え、発電機及び駆動モータを備える。シリーズハイブリッド式鞍乗型車両は、更に、バッテリを備える場合もある。このように、シリーズハイブリッド式鞍乗型車両では、通常、比較的大型の装置が複数設けられる。さらに、シリーズハイブリッド式鞍乗型車両自体への要求特性として、運転者による操作に対する応答性、機動性及び軽快性が求められる。そのため、シリーズハイブリッド式鞍乗型車両は、装置の設置スペースを広く確保することが困難である。限られたスペースに比較的大型の装置が複数設けられる状況下では、各装置の配置の自由度が低くなる。そのため、全体としての大型化を抑制乃至防止しつつ、ファンからの風が駆動モータに充分に届くようにファン及び駆動モータを配置することは困難である。
【0010】
そこで、本発明者らは、走行中、駆動モータを冷却するように、駆動モータを水冷方式により冷却することを検討した。
冷却システムを水冷化すると、ラジエータが必要となる。特に、シリーズハイブリッド式鞍乗型車両においては、駆動モータは、走行中において、常時又は実質的に常時、冷却されることが求められる。そのため、ラジエータも大型化が求められる場合がある。しかし、水冷の場合、ラジエータは、冷却対象となる駆動モータから離れた位置に配置されることができる。
【0011】
駆動モータが駆動されることにより、シリーズハイブリッド式鞍乗型車両は走行する。つまり、シリーズハイブリッド式鞍乗型車両の走行時に、駆動モータの冷却が必要となる。走行時には、走行風が生じる。従って、走行風を利用して、駆動モータのラジエータを冷却することができる。この場合、ラジエータの設置場所は、走行風が当たる位置であれば、自由に設定されることができる。よって、シリーズハイブリッド式鞍乗型車両の冷却システムをこのように構成することにより、冷却システムの配置の自由度が高まる。また、シリーズハイブリッド式鞍乗型車両のモータユニットをコンパクトにでき、設計の自由度も高めることができる。駆動モータを走行中常時冷却することができるので、駆動モータを発電用エンジンの冷却目標温度よりも低いモータに適した温度に常時冷却することができる。
【0012】
このような構成により、シリーズハイブリッド式鞍乗型車両において、駆動モータを常時目標温度にまで冷却することができ、かつ、配置の自由度が高く、コンパクト化された冷却システムを作成することができる。
【0013】
以上の知見に基づいて完成した本発明のシリーズハイブリッド式鞍乗型車両は、次の構成を備える。
(1) シリーズハイブリッド式鞍乗型車両であって、
前記シリーズハイブリッド式鞍乗型車両は、
フレームと、
前記フレームに支持される発電用エンジン及び前記発電用エンジンからの出力によって駆動され発電する発電機を有する発電ユニットと、
前記フレームに支持されたフロントサスペンションに回転可能に支持され、前記発電用エンジンからの動力が機械的に伝達されないように設けられた前輪と、
前記フレームに支持されたリアアームに回転可能に支持され、前記シリーズハイブリッド式鞍乗型車両の進行方向において、前端が前記前輪の後端よりも後方に位置し、前記発電用エンジンからの動力が機械的に伝達されないように回転可能に設けられた後輪と、
前記フレーム、前記フロントサスペンション又は前記リアアームに支持され、前記発電機で発電された電力の供給を受けて前記前輪及び後輪の少なくとも一方を駆動輪として駆動する駆動モータを含むモータユニットと、
前記発電機から前記駆動モータに供給する電力を制御するインバータを含むコントロールユニットと、
前記進行方向における前記前輪の前端よりも後方において、少なくとも一部に前記シリーズハイブリッド式鞍乗型車両の走行風が当たるように配置され、前記発電用エンジンからの動力の機械的伝達無しで前記駆動輪を駆動する駆動モータ及び/又は前記インバータを冷却する非補強電動機ラジエータと、
を備える。
【0014】
(1)のシリーズハイブリッド式鞍乗型車両は、フレームと、発電ユニットと、後輪と、前輪と、モータユニットと、コントロールユニットと、非補強電動機ラジエータとを備える。
発電ユニットは、発電用エンジンと、発電機とを有する。発電用エンジンは、フレームに支持される。発電機は、発電用エンジンからの出力によって駆動され発電する。前輪は、フロントサスペンションを介して回転可能に支持される。後輪は、フレームに支持されたリアアームに回転可能に支持される。前輪及び後輪は、発電用エンジンからの動力が機械的に伝達されないように設けられる。フロントサスペンションは、フレームに支持される。フロントサスペンションの一例としては、フロントフォークが挙げられる。フロントフォークは、フレームに回転可能に支持される。リアアームは、フレームに支持される。モータユニットは、フレーム、リアアーム又はフロントサスペンションに支持される。モータユニットは、発電機で発電された電力の供給を受けて前輪及び後輪の少なくとも一方を駆動輪として駆動する駆動モータを含む。コントロールユニットは、発電機から駆動モータに供給する電力を制御するインバータを含む。非補強電動機ラジエータは、シリーズハイブリッド式鞍乗型車両の進行方向における前輪の前端よりも後方において、少なくとも一部にシリーズハイブリッド式鞍乗型車両の走行風が当たるように配置される。
【0015】
(1)のシリーズハイブリッド式鞍乗型車両によれば、非補強電動機ラジエータは、非補強電動機ラジエータの少なくとも一部にシリーズハイブリッド式鞍乗型車両の車体の走行風が当たる位置に配置されればよい。非補強電動機ラジエータの配置は、モータユニットの位置による制約を受け難い。非補強電動機ラジエータの配置の自由度を向上させることが可能となる。よって、(1)のシリーズハイブリッド式鞍乗型車両によれば、冷却システムの配置の自由度が高い。また、モータユニットをコンパクトに設計できる。
また、シリーズハイブリッド式鞍乗型車両の駆動モータ及び/又はインバータは、走行中常時冷却されることが求められる又は好ましい。走行時には、常時又は実質的に常時、走行風が生じる。走行風は、例えば、車両の走行によって車体が受ける風である。非補強電動機ラジエータは、走行時に、常時又は実質的に常時、走行風を受けるように設置される。(1)のシリーズハイブリッド式鞍乗型車両によれば、駆動モータ及び/又はインバータは、例えば発電用エンジンの冷却目標温度よりも低い駆動モータ及び/又はインバータに適した温度にまで、走行風を利用して、常時又は実質的に常時、冷却することができる。
よって、(1)のシリーズハイブリッド式鞍乗型車両によれば、駆動モータ及び/又はインバータを、走行中、常時又は実質的に常時、適切な温度にまで冷却することができ、かつ、配置の自由度が高く、コンパクト化された冷却システムを実現することができる。
【0016】
本発明の一つの観点によれば、シリーズハイブリッド式鞍乗型車両は、以下の構成を採用できる。
(2) (1)のシリーズハイブリッド式鞍乗型車両であって、
前記シリーズハイブリッド式鞍乗型車両は、バッテリを有し、
前記コントロールユニットは、前記発電機から前記バッテリ及び/又は前記駆動モータに供給する電力を制御するコンバータを含み、
前記非補強電動機ラジエータは、前記発電機及び/又は前記コンバータを冷却する。
【0017】
(2)のシリーズハイブリッド式鞍乗型車両では、非補強電動機ラジエータが、発電機及び発電機からバッテリ及び/又は駆動モータに供給する電力を制御するコンバータの少なくとも何れかを冷却する。即ち、(2)のシリーズハイブリッド式鞍乗型車両では、駆動モータ及び/又はインバータを冷却する非補強電動機ラジエータが、発電機及びコンバータの少なくとも何れかを冷却する。従って、(2)のシリーズハイブリッド式鞍乗型車両では、非補強電動機ラジエータが、電気部品を効率よく適切な温度にまで冷却することができ、かつ、配置の自由度が高く、コンパクト化された冷却システムを実現することができる。
【0018】
本発明の一つの観点によれば、シリーズハイブリッド式鞍乗型車両は、以下の構成を採用できる。
(3) (1)又は(2)のシリーズハイブリッド式鞍乗型車両であって、
前記シリーズハイブリッド式鞍乗型車両は、前記進行方向における前記前輪の前端よりも後方において、少なくとも一部に前記走行風が当たるように配置され、前記発電用エンジンを冷却するエンジンラジエータを備える。
【0019】
(3)のシリーズハイブリッド式鞍乗型車両は、発電用エンジンを冷却するエンジンラジエータを備える。(3)のシリーズハイブリッド式鞍乗型車両の非補強電動機ラジエータ及びエンジンラジエータは、シリーズハイブリッド式鞍乗型車両の進行方向における前輪の前端よりも後方において、少なくとも一部に走行風が当たる位置に配置される。これにより、(3)のシリーズハイブリッド式鞍乗型車両では、発電用エンジンについても、常時又は実質的に常時、目標温度まで冷却することが容易になる。また、(3)のシリーズハイブリッド式鞍乗型車両では、必ずしも、直接的に発電用エンジンにファン等の冷却システムを取り付ける必要がない。そのため、発電ユニットが小型化され得る。従って、(3)のシリーズハイブリッド式鞍乗型車両では、駆動モータを走行中常時モータに適した目標温度にまで冷却することができ、かつ、エンジンの冷却も含めた冷却システムの配置の自由度を高めることができる。
【0020】
本発明の一つの観点によれば、シリーズハイブリッド式鞍乗型車両は、以下の構成を採用できる。
(4) (3)のシリーズハイブリッド式鞍乗型車両であって、
前記非補強電動機ラジエータは、前記エンジンラジエータと比較して、大きな冷却面積を有する。
【0021】
(4)のシリーズハイブリッド式鞍乗型車両によれば、非補強電動機ラジエータは、エンジンラジエータと比較して、大きな冷却面積を有する。これにより、(4)のシリーズハイブリッド式鞍乗型車両によれば、走行時、常時又は実質的に常時、駆動輪を駆動するモータユニットを発電用エンジンの目標温度よりも低い温度まで効率よく冷却できる。
【0022】
本発明の一つの観点によれば、シリーズハイブリッド式鞍乗型車両は、以下の構成を採用できる。
(5) (3)又は(4)のシリーズハイブリッド式鞍乗型車両であって、
前記非補強電動機ラジエータ及び前記エンジンラジエータは、前記非補強電動機ラジエータの少なくとも一部及び前記エンジンラジエータの少なくとも一部のうち、少なくとも一方が、前記シリーズハイブリッド式鞍乗型車両を左右方向に見て、前記前輪の後輪郭線と、前記フレームの前輪郭線との間に位置するように配置される。
【0023】
(5)のシリーズハイブリッド式鞍乗型車両によれば、非補強電動機ラジエータの少なくとも一部及びエンジンラジエータの少なくとも一部のうち、少なくとも一方が、シリーズハイブリッド式鞍乗型車両を左右方向に見て、前輪の後輪郭線と、フレームの前輪郭線との間に位置するように配置される。これにより、(5)のシリーズハイブリッド式鞍乗型車両では、非補強電動機ラジエータ及びエンジンラジエータを直接走行風が当たる位置に配置でき、効率よくモータユニットを冷却することができる。
【0024】
本発明の一つの観点によれば、シリーズハイブリッド式鞍乗型車両は、以下の構成を採用できる。
(6) (3)から(5)の何れか1のシリーズハイブリッド式鞍乗型車両であって、
前記非補強電動機ラジエータ及び前記エンジンラジエータは、前記非補強電動機ラジエータ及び前記エンジンラジエータのそれぞれが有する冷却面が、前記シリーズハイブリッド式鞍乗型車両の前後方向に延びる直線を法線とする面と交わるように配置される。
【0025】
(6)のシリーズハイブリッド式鞍乗型車両によれば、非補強電動機ラジエータ及びエンジンラジエータのそれぞれが有する冷却面は、シリーズハイブリッド式鞍乗型車両の車体の前後方向に延びる直線を法線とする面と交わる。これにより、(6)のシリーズハイブリッド式鞍乗型車両は、非補強電動機ラジエータ及びエンジンラジエータを、空気抵抗を抑制しつつシリーズハイブリッド式鞍乗型車両の車体の直接走行風が当たる位置に配置できる。これにより、(6)のシリーズハイブリッド式鞍乗型車両は、効率よくモータユニットを冷却することができる。ラジエータの冷却面は、冷却のための風を受ける面である。冷却のための風は、例えば、走行風である。言い換えれば、冷却面は、冷却機能に係る部分の表面である。外枠等は、冷却面に含まれない。なお、ラジエータの冷却面積とは、ラジエータの放熱面積をいう。ラジエータの冷却面積は、例えば、冷却面の法線方向(走行風が冷却面に向かう方向)に見た時の冷却面の面積が大きいほど大きくなる。また、ラジエータの冷却面積は、当該法線方向におけるラジエータの厚さが大きいほど大きくなる。即ち、冷却面の面積は、ラジエータの冷却面積(放熱面積)とは異なる。
【0026】
本発明の一つの観点によれば、シリーズハイブリッド式鞍乗型車両は、以下の構成を採用できる。
(7) (1)から(6)の何れか1のシリーズハイブリッド式鞍乗型車両であって、
前記シリーズハイブリッド式鞍乗型車両は、
前記走行風を前記非補強電動機ラジエータまで導くダクトを備える。
【0027】
(7)のシリーズハイブリッド式鞍乗型車両によれば、走行風は、シリーズハイブリッド式鞍乗型車両に設けられたダクトにより非補強電動機ラジエータまで導かれる。これにより、(7)のシリーズハイブリッド式鞍乗型車両によれば、例えばシリーズハイブリッド式鞍乗型車両を前方に見て車輪又はフロントサスペンションの奥であっても、ダクトを利用して車体の走行風が当たる位置に非補強電動機ラジエータを配置できる。これにより、(7)のシリーズハイブリッド式鞍乗型車両は、効率よくモータユニットを冷却することができる。
【0028】
本明細書にて使用される専門用語は特定の実施例のみを定義する目的であって発明を制限する意図を有しない。本明細書にて使用される用語「及び/又は」は一つの、又は複数の関連した列挙された構成物のあらゆる又は全ての組み合わせを含む。本明細書中で使用される場合、用語「含む、備える(including)」「含む、備える(comprising)」又は「有する(having)」及びその変形の使用は、記載された特徴、工程、操作、要素、成分及び/又はそれらの等価物の存在を特定するが、ステップ、動作、要素、コンポーネント、及び/又はそれらのグループのうちの1つ又は複数を含むことができる。本明細書中で使用される場合、用語「取り付けられた」、「接続された」、「結合された」及び/又はそれらの等価物は広く使用され、直接的及び間接的な取り付け、接続及び結合の両方を包含する。更に、「接続された」及び「結合された」は、物理的又は機械的な接続又は結合に限定されず、直接的又は間接的な電気的接続又は結合を含むことができる。他に定義されない限り、本明細書で使用される全ての用語(技術用語および科学用語を含む)は、本発明が属する当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。一般的に使用される辞書に定義された用語のような用語は、関連する技術及び本開示の文脈における意味と一致する意味を有すると解釈されるべきであり、本明細書で明示的に定義されていない限り、理想的又は過度に形式的な意味で解釈されることはない。本発明の説明においては、多数の技術及び工程が開示されていると理解される。これらの各々は個別の利益を有し、それぞれは、他の開示された技術の1つ以上、又は、場合によっては全てと共に使用することもできる。従って、明確にするために、この説明は、不要に個々のステップの可能な組み合わせを全て繰り返すことを控える。それにもかかわらず、明細書及び特許請求の範囲は、そのような組み合わせが全て本発明及び請求項の範囲内にあることを理解して読まれるべきである。
本明細書では、新しいシリーズハイブリッド式鞍乗型車両について説明する。以下の説明では、説明の目的で、本発明の完全な理解を提供するために多数の具体的な詳細を述べる。しかしながら、当業者には、これらの特定の詳細なしに本発明を実施できることが明らかである。本開示は、本発明の例示として考慮されるべきであり、本発明を以下の図面又は説明によって示される特定の実施形態に限定することを意図するものではない。
【0029】
シリーズハイブリッド式鞍乗型車両(straddled vehicle)とは、運転者がサドルに跨って着座する形式のビークルをいう。シリーズハイブリッド式鞍乗型車両としては、例えば、スクータ型、モペット型、オフロード型、オンロード型の自動二輪車が挙げられる。また、シリーズハイブリッド式鞍乗型車両としては、自動二輪車に限定されず、例えば、自動三輪車、ATV(All-Terrain Vehicle)等であってもよい。自動三輪車は、2つの前輪と1つの後輪とを備えていてもよく、1つの前輪と2つの後輪とを備えていてもよい。シリーズハイブリッド式鞍乗型車両の駆動輪は、後輪であってもよく、前輪であってもよい。また、シリーズハイブリッド式鞍乗型車両の駆動輪は、後輪及び前輪の双方であってもよい。
【0030】
また、シリーズハイブリッド式鞍乗型車両は、リーン姿勢で旋回可能に構成されていることが好ましい。リーン姿勢で旋回可能に構成されたシリーズハイブリッド式鞍乗型車両は、カーブの内方向に傾いた姿勢で旋回するように構成される。これにより、リーン姿勢で旋回可能に構成されたシリーズハイブリッド式鞍乗型車両は、旋回時にシリーズハイブリッド式鞍乗型車両に加わる遠心力に対抗する。リーン姿勢で旋回可能に構成されたシリーズハイブリッド式鞍乗型車両としては、例えば、自動二輪車及び自動三輪車が挙げられる。リーン姿勢で旋回可能に構成されたシリーズハイブリッド式鞍乗型車両では、軽快性が求められるため、発進の操作に対する進行の応答性が重要視される。
【0031】
シリーズハイブリッド式鞍乗型車両では、駆動輪は、駆動モータから出力されたパワーによって駆動される。駆動輪は、クランク軸からの動力を伝達する経路から切り離されている。そのため、駆動輪は、発電用エンジンにより出力されるパワーが機械的に伝達されないように構成されている。即ち、本開示におけるシリーズハイブリッド式鞍乗型車両は、所謂シリーズ・パラレルハイブリッド式鞍乗型車両を含まない。
【0032】
フレームは、シリーズハイブリッド式鞍乗型車両の主要部品等を支持する土台となり、シリーズハイブリッド式鞍乗型車両の骨格をなす部分である。フレームは、シリーズハイブリッド式鞍乗型車両の前輪、後輪及び発電用エンジンからの加重を受ける。フレームは、複数の剛性を有する部品を組み合わせて構成してもよい。
【0033】
発電用エンジンは、ガスの燃焼によって生じるパワーをクランク軸のトルク及び回転速度として出力する往復動機関である。発電用エンジンは、例えば、単気筒エンジン及び2以上の気筒を有するエンジンを含む。また、発電用エンジンは、ガスの燃焼によって生じるパワーをクランク軸のトルク及び回転速度として出力する往復動機関の他、例えば、ロータリーエンジン、及びガスタービンエンジンがあげられるが、これらに限定されない。
【0034】
発電機は、発電が可能な回転電機である。発電機は、始動モータと異なる回転電機であってもよい。発電機は、アウターロータ型でもよく、また、インナーロータ型でもよい。また、発電機は、ラジアルギャップ型でなく、アキシャルギャップ型でもよい。一つの実施形態によれば、発電機では、ロータが、永久磁石を備えている。
【0035】
モータユニットは、発電機から供給される電力を受けて、回転パワーとして出力する部品である。モータユニットは、駆動モータを備える。モータユニットは、駆動モータの他に、減速機、チェーン用のドライブスプロケット、又はチェーンベルト用のプーリを備えていてもよい。モータユニットは、例えばフレームに支持される。モータユニットは、例えばリアアームに支持されてもよい。モータユニットがリアアームに支持される場合、例えば、減速機はリアアームに組み込まれてもよい。モータユニットがリアアームに支持される場合、駆動モータの出力軸は、後輪の中心軸と、減速機を介さずに直接接続されていてもよい。モータユニットは、例えばフロントサスペンションに支持されてもよい。モータユニットがフロントサスペンションに支持される場合、駆動モータの出力軸は、前輪の中心軸と、減速機を介さずに直接接続されていてもよい。
【0036】
駆動モータは、モータ動作が可能な回転電機である。駆動モータは、例えば発電とモータ動作の双方が可能な回転電機であってもよい。駆動モータは、アウターロータ型でもよく、また、インナーロータ型でもよい。また、駆動モータは、ラジアルギャップ型でなく、アキシャルギャップ型でもよい。一つの実施形態によれば、駆動モータでは、ロータが、永久磁石を備えている。
【0037】
非補強(unsupported)電動機は、単独でパワーを出力するモータである。非補強電動機は、エンジンが出力するパワーを直接アシストするモータではなく、また、エンジンが出力するパワーにより直接アシストされないモータである。非補強電動機は、例えば駆動モータである。詳細には、非補強電動機は、シリーズハイブリッド式鞍乗型車両の駆動モータである。但し、非補強電動機は、発電用エンジンが駆動させた発電機から出力された電力により駆動されてもよい。また、非補強電動機は、駆動輪からの回転力が伝達されることにより発電をしてもよい。
【0038】
駆動輪は、後輪であってもよく、前輪であってもよい。また、駆動輪は、後輪及び前輪の双方であってもよい。
【0039】
フロントサスペンションは、前輪とフレーム構造体とをつなぐ部品である。フロントサスペンションは、前輪を回転可能に支持する。フロントサスペンションの一例としてのフロントフォークは、フレーム構造体に回転可能に支持される。フロントサスペンションは、減衰器を含む。減衰器は、前輪から入力される振動及び/又は衝撃を吸収する。
【0040】
ラジエータは、冷却液の熱を放熱する熱交換器である。ラジエータは、シリーズハイブリッド式鞍乗型車両が走行を停止しているときにラジエータを冷却する冷却用ファンを有していてもよい。但し、走行風が当たる位置に配置されているラジエータは、仮に冷却用ファンが停止していても、シリーズハイブリッド式鞍乗型車両が走行している場合に走行風が当たる。つまり、走行風が当たる位置は、例え冷却用ファンが停止していても、シリーズハイブリッド式鞍乗型車両が走行している場合に風が当たる位置である。
逆に、冷却用ファンが停止すると風の当たりが止まるような位置は、走行風が当たる位置に含まれない。走行風が当たる位置は、シリーズハイブリッド式鞍乗型車両を前面に見た場合に、視認できる位置に限られない。例えば、走行風が当たる位置は、鞍乗型車両を前面に見た場合に、前輪又はサスペンションより後方の位置であってもよい。但し、走行風が当たる位置は、前後方向で当該位置よりも前方に風が通る空間が設けられている位置である。走行風が当たる位置は、シリーズハイブリッド式鞍乗型車両が走行している場合に走行風圧を受ける位置であることが好ましい。
非補強電動機ラジエータは、非補強電動機を冷却するラジエータである。即ち、非補強電動機ラジエータは、駆動モータを冷却するラジエータである。但し、非補強電動機ラジエータは、非補強電動機以外の電気部品を冷却してもよい。例えば、非補強電動機ラジエータは、非補強電動機を制御するインバータ、発電機及び発電機を制御するコンバータを冷却してもよい。
【0041】
支持するとは、支持する部品が支持される部品の荷重を受けることをいう。支持されるとは、支持される部品が支持する部品に荷重をかけることをいう。支持する部品と支持される部品の接点は、例えば、固定されていてもよい。支持する部品と支持される部品は、例えば、揺動可能に接続されていてもよい。また、支持する部品と支持される部品は、例えば、回転可能に接続されていてもよい。支持する部品と支持される部品の接続部分は、直接部品同士が接続されていてもよい。支持する部品と支持される部品の接続部分は、例えば弾性部材、リンク機構等を介して部品同士が接続されていてもよい。
【発明の効果】
【0042】
本発明によれば、駆動モータを常時目標温度にまで冷却することができ、かつ、配置の自由度が高く、コンパクト化できる駆動モータの冷却システムを有するシリーズハイブリッド式鞍乗型車両を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【
図1】本発明の第1の実施形態に係るシリーズハイブリッド式鞍乗型車両を示す外観図である。
【
図2】本発明の第2の実施形態に係るシリーズハイブリッド式鞍乗型車両を示す外観図である。
【
図3】本発明の第3の実施形態に係るシリーズハイブリッド式鞍乗型車両を示す外観図である。
【
図4】本発明の第4の実施形態に係るシリーズハイブリッド式鞍乗型車両を示す外観図である。
【
図5】本発明の第5の実施形態に係るシリーズハイブリッド式鞍乗型車両を示す外観図である。
【
図6】本発明の第6の実施形態に係るシリーズハイブリッド式鞍乗型車両を示す外観図である。
【
図7】本発明の第7の実施形態に係るシリーズハイブリッド式鞍乗型車両を示す外観図である。
【
図8】本発明の第8の実施形態に係るシリーズハイブリッド式鞍乗型車両を示す外観図である。
【
図9】本発明の第9の実施形態に係るシリーズハイブリッド式鞍乗型車両を示す外観図である。
【
図10】本発明の第10の実施形態に係るシリーズハイブリッド式鞍乗型車両を示す外観図である。
【発明を実施するための形態】
【0044】
以下、本発明を、好ましい実施形態に基づいて図面を参照しつつ説明する。
【0045】
[第1実施形態]
第1実施形態について説明する。
図1は、本発明の第1実施形態に係るシリーズハイブリッド式鞍乗型車両1を示す外観図である。
図1は、シリーズハイブリッド式鞍乗型車両1の左右方向において左方向の車体カバーを外した状態を示している。
図1を参照して、本実施形態のシリーズハイブリッド式鞍乗型車両1の概要を説明する。
図1における矢印Fは、シリーズハイブリッド式鞍乗型車両1における前方向を示している。前方向は、シリーズハイブリッド式鞍乗型車両1が走行する方向である。矢印Bは、後方向を示している。矢印F及び矢印Bは、シリーズハイブリッド式鞍乗型車両1における前後方向FBを表している。前方向F、後方向B、及び前後方向FBは、シリーズハイブリッド式鞍乗型車両1の直立状態における水平面と平行である。矢印Uは上方向を示している。矢印Dは下方向を示している。矢印U及び矢印Dは、シリーズハイブリッド式鞍乗型車両1における上下方向UDを表している。上方向U、下方向D及び上下方向UDは、シリーズハイブリッド式鞍乗型車両1の直立状態における鉛直方向と平行である。
本明細書において、シリーズハイブリッド式鞍乗型車両1が有する装置についての方向は、シリーズハイブリッド式鞍乗型車両1に取り付けられた状態での上述した方向で説明される。
【0046】
本実施形態のシリーズハイブリッド式鞍乗型車両1(以下、鞍乗型車両1とする)は、発電用エンジンにより発電機を駆動し、発電機の電力により、駆動輪を駆動する。
図1の鞍乗型車両1は、フレーム11を備える。フレーム11は、鞍乗型車両1の骨格をなし、鞍乗型車両1の搭載部品を支持する土台となる。
鞍乗型車両1は、フロントフォーク21と、前輪22とを備える。前輪22は、フロントフォーク21に回転可能に支持される。フロントフォーク21は、フレーム11に回転可能に支持される。フロントフォーク21は、フロントサスペンションの一例である。即ち、フロントサスペンションは、前輪22を回転可能に支持し、フレーム11に支持される。
鞍乗型車両1は、リアアーム31と後輪32とを備える。後輪32は、リアアーム31に回転可能に支持される。後輪32の前端は、前輪22の後端よりも後方に位置する。
【0047】
鞍乗型車両1は、発電ユニット40を備える。発電ユニット40は、発電用エンジン41と、発電機42とを含む。
発電ユニット40は、モータユニット50とは別体である。発電ユニット40は、フレーム11及びモータユニット50の少なくとも一つに支持される。
発電用エンジン41は、図示しない回転可能なクランク軸を有する。発電用エンジン41は、ガスの燃焼によって生じるパワーをクランク軸のトルク及び回転速度として出力する。発電用エンジン41が出力するパワー(動力)は、エンジンパワーである。但し、発電用エンジン41は、出力したエンジンパワー(動力)を、前輪22及び後輪32に機械的に伝達しない。
発電機42は、クランク軸と連動するよう設けられている。発電機42は、発電用エンジン41からの出力によって駆動され発電し、発電した電力を駆動モータ51に供給する。
【0048】
鞍乗型車両1は、モータユニット50を備える。モータユニット50は、駆動モータ51と、ギアボックス53とを含む。
駆動モータ51は、発電ユニット40から供給される電力の供給を受けてパワーを出力し、出力したパワーにより後輪32を駆動する。後輪32は、駆動モータから出力されたパワーのみによって、発電用エンジン41からの動力の機械的伝達無しに駆動される。本実施形態において、後輪32は、駆動輪である。駆動モータ51は、エンジンから出力される機械的パワーによりアシストされる電動機ではない。即ち、駆動モータ51は、非補強電動機である。なお、駆動モータ51もまた、エンジン41をアシストしない。
ギアボックス53は、駆動モータ51から出力されたパワーを所定の変速比により変速して、駆動輪である後輪32に伝達する。ギアボックス53は、フレーム11にリジッドに固定され、且つリアアーム31を揺動可能に支持する。
【0049】
モータユニット50は、フレーム11に固定される。モータユニット50は、リアアーム31を揺動可能に支持する。モータユニット50と、フレーム11とは、一体となって、フロントフォーク21を介して、前輪22からの荷重を受け、リアアーム31を介して、後輪32からの荷重を受ける。
【0050】
鞍乗型車両1は、コントロールユニット52を備える。コントロールユニット52は、インバータ521を備える。インバータ521は、発電ユニット40から駆動モータ51に供給する電力を制御する。
【0051】
鞍乗型車両1は、バッテリ60を備える。バッテリ60は、発電機42で発電された電力の少なくとも一部を蓄え、蓄えられた電力を駆動モータ51に供給できるように駆動モータ51と電気的に接続される。
【0052】
鞍乗型車両1は、非補強電動機ラジエータ71を備える。非補強電動機ラジエータ71は、鞍乗型車両1の非補強電動機であるモータユニット50の駆動モータ51及び/又はコントロールユニット52のインバータ521を冷却するためのラジエータである。鞍乗型車両1の駆動モータ51及び/又はインバータ521は水冷式である。非補強電動機ラジエータ71は、鞍乗型車両1の前後方向FB即ち進行方向において前輪22の前端よりも後方Bであって、鞍乗型車両1の走行風が当たる位置に配置される。非補強電動機ラジエータ71は、冷却面71aを有する。非補強電動機ラジエータ71は、冷却面71aが走行風を受けるように配置される。
【0053】
非補強電動機ラジエータ71とコントロールユニット52及びモータユニット50とは、冷却水ホース711により接続され、非補強電動機ラジエータ71から冷却水がインバータ521及び駆動モータ51に供給される。モータユニット50と非補強電動機ラジエータ71とは、冷却水ホース712により接続され、駆動モータ51から冷却水が非補強電動機ラジエータ71に供給される。非補強電動機ラジエータ71に戻った冷却水は、再び冷却される。
【0054】
[第2実施形態]
第2実施形態について説明する。第2実施形態は、第1実施形態と、発電ユニット40、モータユニット50の配置方法及びリアアーム31の支持方法が異なる。
図2は、本発明の第2実施形態に係る鞍乗型車両1を示す外観図である。
図2の鞍乗型車両1は、左右方向において左方向の車体カバーを外した状態を示している。以下、第1実施形態と異なる部分について説明する。
【0055】
本実施形態のモータユニット50のギアボックス53は、リアアーム31を構成する。この時、駆動モータ51は、リアアーム31を構成するギアボックス53に固定される。フレーム11は、リアアーム31を揺動可能に支持する。フレーム11は、フロントフォーク21を介して、前輪22からの荷重を受け、リアアーム31を介して、後輪32からの荷重を受ける。本実施形態の発電ユニット40は、フレーム11に支持される。発電ユニット40は、ラバーブッシュ等の弾性部材及びリンク部材を含む取付具44を介して、フレーム11に支持される。
【0056】
[第3実施形態]
第3実施形態について説明する。第3実施形態は、第1実施形態又は第2実施形態において、非補強電動機ラジエータ71が、更に発電機及びコントロールユニットのコンバータの少なくとも何れかを冷却するように構成される。
図3は、本発明の第3実施形態に係る鞍乗型車両1を示す外観図である。
図3の鞍乗型車両1は、左右方向において左方向の車体カバーを外した状態を示している。以下、第1実施形態又は第2実施形態と異なる部分について説明する。
【0057】
コントロールユニット52は、コンバータ522を備える。コンバータ522は、発電ユニット40の発電機42からバッテリ60及び/又は駆動モータ51に供給する電力を制御する。
非補強電動機ラジエータ71は、モータユニット50の駆動モータ51及び/又はコントロールユニット52のインバータ521の他、発電ユニット40の発電機42及び/又はコントロールユニット52のコンバータ522も冷却する。非補強電動機ラジエータ71とモータユニット50とは、冷却水ホース711により接続され、非補強電動機ラジエータ71から冷却水がモータユニット50内のコントロールユニット52及び駆動モータ51に供給される。モータユニット50と発電機42とは、冷却水ホース712により接続され、モータユニット50から冷却水が発電機42に供給される。発電機42と非補強電動機ラジエータ71とは、冷却水ホース713により接続され、発電機42から冷却水が非補強電動機ラジエータ71に供給される。非補強電動機ラジエータ71に戻った冷却水は、再び冷却される。本実施形態において、非補強電動機ラジエータ71の水温は、60℃に設定されている。
【0058】
[第4実施形態]
第4実施形態について説明する。第4実施形態は、第1実施形態から第3実施形態の何れかにおいて、更にエンジンラジエータを有するように構成される。
図4は、本発明の第4実施形態に係る鞍乗型車両1を示す外観図である。ここで、
図4(a)は、鞍乗型車両1の正面図であり、
図4(b)は、鞍乗型車両1の左側面図である。なお、
図4(a)は、説明のため、フロントフォーク及び前輪を破線で示している。また、
図4(a)及び
図4(b)の鞍乗型車両1は、車体カバーを外した状態を示している。
リーン車両に乗車したライダーの右方向と左方向を
図4(a)に表す矢印Rと矢印Lで示す。矢印L及び矢印Rは、鞍乗型車両1における左右方向LRを表している。以下、第1の実施形態から第3実施形態の何れかと異なる部分について説明する。
【0059】
鞍乗型車両1は、エンジンラジエータ72を備える。エンジンラジエータ72は、鞍乗型車両1の発電用エンジン41を冷却するためのラジエータである。鞍乗型車両1は、発電用エンジン41を冷却するエンジンラジエータ72を有しているため、鞍乗型車両1の発電用エンジン41は水冷式である。エンジンラジエータ72は、鞍乗型車両1の進行方向において前輪22の前端よりも後方であって、鞍乗型車両1の走行風が当たる位置に配置される。エンジンラジエータ72は、冷却面72aを有する。エンジンラジエータ72は、冷却面72aが走行風を受けるように配置される。
エンジンラジエータ72と発電用エンジン41とは、冷却水ホース721により接続され、エンジンラジエータ72から冷却水が発電用エンジン41に供給される。発電用エンジン41とエンジンラジエータ72とは、冷却水ホース722により接続され、発電用エンジン41から冷却水がエンジンラジエータ72に供給される。エンジンラジエータ72に戻った冷却水は、再び冷却される。本実施形態において、エンジンラジエータ72の水温は、80℃に設定されている。
【0060】
シリーズハイブリッド式鞍乗型車両である鞍乗型車両1の駆動モータ51は、走行中、常に駆動している。そのため、非補強電動機ラジエータ71は、走行中、常に冷却される必要がある。従って、非補強電動機ラジエータ71の冷却面71aは、鞍乗型車両1の走行風を受けるように配置される。
【0061】
また、本実施形態においては、非補強電動機ラジエータ71の水温を、エンジンラジエータ72の水温よりも低い60℃としている。ラジエータの水温を低くすると、ラジエータの水温と外気温との差が小さくなり、ラジエータの冷却効率が悪くなる。そのため、ラジエータの水温を低くしたい場合、ラジエータの冷却面積を大きくする必要がある。従って、非補強電動機ラジエータ71は、水温が非補強電動機ラジエータ71の水温よりも高いエンジンラジエータ72と比較して大きな冷却面積を有する。また、冷却面71aの面積は、冷却面72aの面積よりも大きい。これにより、非補強電動機ラジエータ71の水温は、エンジンラジエータ72の水温よりも低くすることができる。従って、非補強電動機ラジエータ71は、目標温度が低いモータユニット50にも対応できる。
【0062】
ここで、鞍乗型車両1の非補強電動機ラジエータ71及びエンジンラジエータ72の配置について説明する。
図4(a)において、非補強電動機ラジエータ71及びエンジンラジエータ72は、鞍乗型車両1を前後方向FBに見て、前輪22よりも後ろ方向Bであり、且つフレーム11の前輪郭線を構成する縁部に配置される。この時、非補強電動機ラジエータ71及びエンジンラジエータ72は、上下方向UDに並んで配置され、非補強電動機ラジエータ71は、エンジンラジエータ72よりも下方向Dに配置される。また、非補強電動機ラジエータ71及びエンジンラジエータ72は、ともに上下方向UDより左右方向LRの方が長い。
図4(b)において、非補強電動機ラジエータ71の少なくとも一部及びエンジンラジエータ72の少なくとも一部のうち、少なくとも一方が、鞍乗型車両1を左右方向LRに見て、前輪22の後輪郭線と、フレーム11の前輪郭線との間に配置される。この時、非補強電動機ラジエータ71及びエンジンラジエータ72は、各々の冷却面を鞍乗型車両1の進行方向(前方向F)に向くように配置される。
【0063】
このように非補強電動機ラジエータ71及びエンジンラジエータ72を配置することにより、鞍乗型車両1の前輪22とフレーム11との間の狭いスペースに配置できる。また、より冷却が必要な非補強電動機ラジエータ71を、より走行風の当たる鞍乗型車両下部に優先的に配置することができる。
【0064】
[第5実施形態]
第5実施形態について説明する。第5実施形態では、第4実施形態の非補強電動機ラジエータとエンジンラジエータの配置位置を以下のように変更している。
図5は、本発明の第
5実施形態に係る鞍乗型車両1を示す外観図である。
図5(a)は、鞍乗型車両1の正面図であり、
図5(b)は、鞍乗型車両1の左側面図である。なお、
図5(a)は、説明のため、フロントフォーク及び前輪を破線で示している。また、
図5(a)及び
図5(b)の鞍乗型車両1は、車体カバーを外した状態を示している。以下、第4実施形態と異なる部分について説明する。
【0065】
図5(a)において、非補強電動機ラジエータ71及びエンジンラジエータ72は、鞍乗型車両1を前後方向FBに見て、前輪22よりも後ろ方向Bであり、且つフレーム11の前輪郭線を構成する縁部に配置される。非補強電動機ラジエータ71は、冷却面71aを有する。非補強電動機ラジエータ71は、冷却面71aが走行風を受けるように配置されている。エンジンラジエータ72は、冷却面72aを有する。エンジンラジエータ72は、冷却面72aが走行風を受けるように配置されている。この時、非補強電動機ラジエータ71及びエンジンラジエータ72は、上下方向UDに並んで配置され、非補強電動機ラジエータ71は、エンジンラジエータ72よりも下方向Dに配置される。また、非補強電動機ラジエータ71は、上下方向UDより左右方向LRの方が長い。これに対し、エンジンラジエータ72は、上下方向UDより左右方向LRの方が短い。更に、エンジンラジエータ72は、左右方向LRにおけるエンジンラジエータ72の中心を通り鉛直方向に延びる中心線を、鞍乗型車両1の中心線からずらすように配置される。
図5(b)において、非補強電動機ラジエータ71の少なくとも一部及びエンジンラジエータ72の少なくとも一部のうち、少なくとも一方が、鞍乗型車両1を左右方向LRに見て、前輪22の後輪郭線と、フレーム11の前輪郭線との間に配置される。また、冷却面71aは、冷却面72aよりも大きい。
このように非補強電動機ラジエータ71及びエンジンラジエータ72を配置することにより、より冷却が必要な非補強電動機ラジエータ71を、より走行風の当たる鞍乗型車両下部に優先的に配置することができる。更に、エンジンラジエータ72を、発電用エンジン41から延びる排気管43を避けるようにして配置することができる。
【0066】
[第6実施形態]
第6実施形態について説明する。第6実施形態では、第4実施形態の非補強電動機ラジエータとエンジンラジエータの配置位置を以下のように変更している。
図6は、本発明の第
6実施形態に係る鞍乗型車両1を示す外観図である。
図6(a)は、鞍乗型車両1の左側面図であり、
図6(b)は、鞍乗型車両1の右側面図である。なお、
図6(a)及び
図6(b)の鞍乗型車両1は、車体カバーを外した状態を示している。第4実施形態と異なる部分について説明する。
【0067】
図6(b)において、非補強電動機ラジエータ71は、非補強電動機ラジエータ71の冷却面71aが、鞍乗型車両1の前後方向FBに延びる直線Nを法線とする面Sと交わるように配置される。非補強電動機ラジエータ71は、第1の方向及び第1の方向と反対の第2の方向からなる鞍乗型車両1の左右方向LRにおける鞍乗型車両1の車体の第1の方向を向いた面に沿って配置される。より詳細には、非補強電動機ラジエータ71は、鞍乗型車両1の左右方向LRにおける鞍乗型車両1の右方向Rを向いた面に沿って配置される。冷却面71aは、右方向Rを向いている。また、
図6(a)において、エンジンラジエータ72は、エンジンラジエータ72の冷却面72aが、鞍乗型車両1の前後方向FBに延びる直線Nを法線とする面Sと交わるように配置される。エンジンラジエータ72は、左右方向LRにおける鞍乗型車両1の車体の第2の方向を向いた面に沿って配置される。より詳細には、エンジンラジエータ72は、鞍乗型車両1の左右方向LRにおける鞍乗型車両1の左方向Lを向いた面に沿って配置される。冷却面72aは、左方向Lを向いている。また、冷却面71aは、冷却面72aよりも大きい。
【0068】
このように非補強電動機ラジエータ71及びエンジンラジエータ72を配置することで、非補強電動機ラジエータ71及びエンジンラジエータ72を鞍乗型車両1の車体の直接走行風が当たる位置に配置できる。また、非補強電動機ラジエータ71及びエンジンラジエータ72が、効率よくモータユニット50及び発電用エンジン41を冷却することができる。
【0069】
[第7実施形態]
第7実施形態について説明する。第7実施形態は、第4実施形態の非補強電動機ラジエータとエンジンラジエータの配置位置を以下のように変更している。
図7は、本発明の第7実施形態に係る鞍乗型車両1を示す外観図である。
図7(a)は、鞍乗型車両1の正面図であり、
図7(b)は、鞍乗型車両1の左側面図である。なお、
図7(a)は、説明のため、フロントフォーク及び前輪を破線で示している。また、
図7(a)及び
図7(b)の鞍乗型車両1は、車体カバーを外した状態を示している。以下、第4実施形態と異なる部分について説明する。
【0070】
本実施形態においては、鞍乗型車両1の非補強電動機ラジエータ71とエンジンラジエータ72とを単一のラジエータ73にすることができる。
図7(a)において、ラジエータ73は、鞍乗型車両1を前後方向FBに見て、前輪22よりも後方向Bであり、且つフレーム11の前輪郭線を構成する縁部に配置される。
図7(b)において、ラジエータ73は、少なくとも一部が、鞍乗型車両1を左右方向LRに見て、前輪22の後輪郭線と、フレーム11の前輪郭線との間に配置される。この時、ラジエータ73は、冷却する面を鞍乗型車両1の進行方向(前方向F)に向くように配置する。
本変形例においては、ラジエータ73からの冷却水は、モータユニット50及び発電機42を冷却したのち、発電用エンジン41に供給されて発電用エンジン41を冷却し、再びラジエータ73に戻る。
【0071】
このようにラジエータ73を配置することにより、ラジエータ73を鞍乗型車両1の前輪22とフレーム11との間の狭いスペースに配置できる。また、例えば
図4で説明した非補強電動機ラジエータ71及びエンジンラジエータ72を単一のラジエータ73としているため、冷却システムの部品点数を抑えて簡略化することができる。
【0072】
[第8実施形態]
第8実施形態について説明する。第8実施形態では、第1実施形態から第3実施形態の何れかの発電ユニット40の発電用エンジン41を、空冷エンジンに変更している。
図8は、本発明の第8実施形態に係る鞍乗型車両1を示す右側面図である。
図8は、鞍乗型車両1の車体カバーを外した状態を示している。以下、第1実施形態から第3実施形態の何れかと異なる部分について説明する。
【0073】
鞍乗型車両1は、発電ユニット40を備える。発電ユニット40は、発電用エンジン41を含む。そのため、本実施形態の鞍乗型車両1は、エンジンラジエータを備えていない。発電用エンジン41は、鞍乗型車両1の走行風が当たる位置に配置され、走行風により直接冷却される。即ち、発電用エンジン41は、自然空冷方式により冷却される。
【0074】
鞍乗型車両1のモータユニット50の駆動モータ51は、発電機42及びバッテリ60の少なくとも何れかから電力の供給を受ける。この時、鞍乗型車両1の駆動モータ51は、バッテリ60のみから電力の供給を受ける場合がある。このため、鞍乗型車両1の発電ユニット40は、常時発電を行うわけではない。即ち、鞍乗型車両1の発電用エンジン41は、常時駆動しているわけではない。
【0075】
また、鞍乗型車両1の発電用エンジン41の冷却目標温度は、駆動モータ51の目標温度より高くてよい。従って、本実施形態の鞍乗型車両1の発電用エンジン41は、空冷式であっても発電用エンジン41の冷却目標温度まで常時冷却することは可能である。
【0076】
ここで、鞍乗型車両1の非補強電動機ラジエータ71の配置方法について説明する。
図8において、非補強電動機ラジエータ71は、鞍乗型車両1を前後方向FBに見て、前輪22よりも後方向Bであり、且つフレーム11の前輪郭線を構成する縁部に配置される。また、非補強電動機ラジエータ71は、少なくとも一部が、鞍乗型車両1を左右方向LRに見て、前輪22の後輪郭線と、フレーム11の前輪郭線との間に配置される。この時、非補強電動機ラジエータ71は、冷却する面を鞍乗型車両1の進行方向(前方向F)に向くように配置される。
本実施形態においては、非補強電動機ラジエータ71からの冷却水は、モータユニット50及び発電機42を冷却したのち、再び非補強電動機ラジエータ71に戻る。
【0077】
本実施形態においては、ラジエータは非補強電動機ラジエータ71のみになるため、鞍乗型車両におけるラジエータ配置の自由度が高まる。また、ラジエータは一つであるため、冷却システムの部品点数を抑えて簡略化することができる。
【0078】
(変形例)
本実施形態においては、発電用エンジン41を空冷式としている。この時、本実施形態における変形例として、発電用エンジン41のクランク軸端部に冷却用のファンを設ける。これにより、発電用エンジン41を冷却用のファンにより冷却する。即ち、発電用エンジン41は、強制空冷方式により冷却される。
また、本実施形態の鞍乗型車両1の他の変形例として、非補強電動機ラジエータ71を、第1の方向及び前記第1の方向と反対の第2の方向からなる鞍乗型車両1の左右方向における鞍乗型車両1の車体の第1の方向又は第2の方向に配置する。より詳細には、非補強電動機ラジエータ71を、鞍乗型車両1の左右方向LRにおける鞍乗型車両1の右方向R又は左方向Lの面に配置する。
【0079】
[第9実施形態]
第9実施形態について説明する。第9実施形態は、第4施形態において、更に走行風を取り込むダクトを設置した例である。
図9は、本発明の第9実施形態に係る鞍乗型車両1を示す右側面図である。
図9は、鞍乗型車両1の車体カバーを外した状態を示している。以下、第4実施形態と異なる部分について説明する。
【0080】
鞍乗型車両1は、非補強電動機ラジエータ71を備える。非補強電動機ラジエータ71は、少なくとも一部が、鞍乗型車両1を左右方向LRに見て、前輪22の後輪郭線と、フレーム11の前輪郭線との間に配置される。
鞍乗型車両1は、エンジンラジエータ72を備える。エンジンラジエータ72は、少なくとも一部が、鞍乗型車両1を左右方向LRに見て、前輪22の後輪郭線と、フレーム11の前輪郭線との間に配置される。
鞍乗型車両1は、ダクト74を備える。ダクト74は、鞍乗型車両1のフロントフォーク21のジョイント部21aの下に流入する空気を、非補強電動機ラジエータ71の冷却面まで導くように配置される。
鞍乗型車両1は、ダクト74をこのように配置することにより、走行風を、鞍乗型車両1の非補強電動機ラジエータ71まで導くことができる。
【0081】
[第10実施形態]
第10実施形態について説明する。第10実施形態は、第8実施形態において、更に走行風を取り込むダクトを設置した例である。
図10は、本発明の第10実施形態に係る鞍乗型車両1を示す右側面図である。
図10は、鞍乗型車両1の車体カバーを外した状態を示している。以下、第8実施形態と異なる部分について説明する。
【0082】
鞍乗型車両1は、非補強電動機ラジエータ71を備える。非補強電動機ラジエータ71は、少なくとも一部が、鞍乗型車両1を左右方向LRに見て、前輪22の後輪郭線と、フレーム11の前輪郭線との間に配置される。
鞍乗型車両1は、ダクト74を備える。ダクト74は、鞍乗型車両1のフロントフォーク21のジョイント部21aの下に流入する空気を、非補強電動機ラジエータ71の冷却面まで導くように配置される。
鞍乗型車両1は、ダクト74をこのように配置することにより、走行風を、鞍乗型車両1の非補強電動機ラジエータ71まで導くことができる。
【0083】
本発明は、以下の構成を採用することもできる。以下の構成の根拠は、上述した実施形態である。
(8) (1)のシリーズハイブリッド式鞍乗型車両であって、
前記発電用エンジンは、前記走行風により直接冷却される。
【0084】
(8)のシリーズハイブリッド式鞍乗型車両によれば、発電用エンジンは、走行風により直接冷却される。即ち、(8)のシリーズハイブリッド式鞍乗型車両によれば、発電用エンジンは、自然空冷方式により冷却される。これにより、(8)のシリーズハイブリッド式鞍乗型車両は、発電用エンジンの冷却装置を小型化することができる。
【0085】
(9) (1)のシリーズハイブリッド式鞍乗型車両であって、
前記発電用エンジンは、冷却用のファンを有する。
【0086】
(9)のシリーズハイブリッド式鞍乗型車両によれば、発電用エンジンは、冷却用のファンからの風により冷却される。即ち、(9)のシリーズハイブリッド式鞍乗型車両によれば、発電用エンジンは、強制空冷方式により冷却される。これにより、(9)のシリーズハイブリッド式鞍乗型車両は、より効果的な冷却を行うことができる。
【0087】
(10) (1)のシリーズハイブリッド式鞍乗型車両であって、
前記非補強電動機ラジエータは、前記発電用エンジンを冷却する。
【0088】
(10)のシリーズハイブリッド式鞍乗型車両によれば、非補強電動機ラジエータは、発電用エンジンを冷却する。これにより、(10)のシリーズハイブリッド式鞍乗型車両は、モータユニットと発電用エンジンを、一つの非補強電動機ラジエータで冷却することができる。従って、(10)のシリーズハイブリッド式鞍乗型車両は、モータユニットと発電用エンジンの冷却装置を、コンパクトに設計できる。
【0089】
(11) (1)及び(8)乃至(10)のいずれか1つのシリーズハイブリッド式鞍乗型車両であって、
前記非補強電動機ラジエータは、前記非補強電動機ラジエータの少なくとも一部が前記シリーズハイブリッド式鞍乗型車両を左右方向に見て、前記前輪の後輪郭線と、前記フレームの前輪郭線との間に位置するように配置される。
【0090】
(11)のシリーズハイブリッド式鞍乗型車両によれば、非補強電動機ラジエータは、シリーズハイブリッド式鞍乗型車両を左右方向に見て、前輪の後輪郭線と、フレームの前輪郭線との間に配置される。これにより、(11)のシリーズハイブリッド式鞍乗型車両は、非補強電動機ラジエータをフレームの直接走行風が当たる位置に配置でき、効率よくモータユニットを冷却することができる。
【0091】
(12) (1)及び(8)乃至(10)のいずれか1つのシリーズハイブリッド式鞍乗型車両であって、
前記非補強電動機ラジエータは、冷却面が、第1の方向及び前記第1の方向と反対の第2の方向からなる前記シリーズハイブリッド式鞍乗型車両の左右方向における前記シリーズハイブリッド式鞍乗型車両の車体の前記第1の方向又は前記第2の方向を向くように配置される。
【0092】
(12)のシリーズハイブリッド式鞍乗型車両によれば、ラジエータは、シリーズハイブリッド式鞍乗型車両の左右方向におけるシリーズハイブリッド式鞍乗型車両の車体の右方向又は左方向の面に配置される。これにより、(12)のシリーズハイブリッド式鞍乗型車両は、ラジエータをシリーズハイブリッド式鞍乗型車両の車体の直接走行風が当たる位置に配置でき、効率よくモータユニットを冷却することができる。
【0093】
(13) (1)及び(8)乃至(10)のいずれか1つのシリーズハイブリッド式鞍乗型車両であって、
前記走行風は、前記シリーズハイブリッド式鞍乗型車両に設けられたダクトにより前記ラジエータまで導かれる。
【0094】
(13)のシリーズハイブリッド式鞍乗型車両によれば、走行風は、シリーズハイブリッド式鞍乗型車両に設けられたダクトによりラジエータまで導かれる。これにより、(13)のシリーズハイブリッド式鞍乗型車両は、ラジエータをシリーズハイブリッド式鞍乗型車両の車体の直接走行風が当たる位置に配置でき、効率よくモータユニットを冷却することができる。
【符号の説明】
【0095】
1、100、200 鞍乗型車両
11、111、211 フレーム
21、121、221 フロントフォーク
22、122、222 前輪
31 リアアーム
32 後輪
40、140、240 発電ユニット
41、141、241 発電用エンジン
42、142、242 発電機
50、150、250 モータユニット
51、151、251 駆動モータ
60、161、261 バッテリ
71、171、271 非補強電動機ラジエータ
72 エンジンラジエータ
73 ラジエータ