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特許7209094情報処理装置、情報処理方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-11
(45)【発行日】2023-01-19
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   H05K 13/04 20060101AFI20230112BHJP
【FI】
H05K13/04 Z
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2021534485
(86)(22)【出願日】2019-07-24
(86)【国際出願番号】 JP2019029046
(87)【国際公開番号】W WO2021014613
(87)【国際公開日】2021-01-28
【審査請求日】2021-12-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000237271
【氏名又は名称】株式会社FUJI
(74)【代理人】
【識別番号】110000017
【氏名又は名称】弁理士法人アイテック国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】徳永 浩子
(72)【発明者】
【氏名】三治 満
【審査官】三宅 達
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-069332(JP,A)
【文献】特開2017-211685(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 13/00-13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
部品を実装対象物に実装する処理を実行する実装システムに用いられる情報処理装置であって、
前記部品を採取する採取部材において、前記部品に当接する当接部位の形状を含む複数の当接部位データと、前記採取部材を装着する装着部に装着される装着部位の形状を含む複数の装着部位データと、前記当接部位と前記装着部位とを接続する接続部位の形状を含む複数の接続部位データとを記憶する記憶部と、
前記記憶部に記憶された前記当接部位データ、前記装着部位データ及び前記接続部位データのうち1以上を出力する制御部と、を備え
前記制御部は、前記部品を識別可能な識別情報とサイズと形状とのうちいずれか1以上を含む部品情報を取得したのち、該部品情報に基づいて該部品を採取可能な前記当接部位データ、前記装着部位データ及び前記接続部位データの候補を検索し、検索した前記当接部位データの候補を選択可能に表示出力し、前記装着部位データの候補を選択可能に表示出力し、前記接続部位データの候補を選択可能に表示出力する、情報処理装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記当接部位が前記部品に当接する指定領域を含む領域情報を取得したのち、該指定領域のサイズ、形状、数及び位置のうち1以上に応じた前記当接部位データの候補を検索し、検索した該当接部位データを出力する、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記装着部を識別可能な識別情報とサイズと形状とのうちいずれか1以上を含む装着部情報を取得したのち、該装着部情報に応じた前記装着部位データの候補を検索し、検索した該装着部位データを出力する、請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記部品を識別可能な識別情報とサイズと形状とのうちいずれか1以上を含む部品情報と前記装着部を識別可能な識別情報とサイズと形状とのうちいずれか1以上を含む装着部情報とを取得したのち、該部品情報に基づいて前記当接部位データの候補を検索し、前記装着部情報に基づいて前記装着部位データの候補を検索し、検索した候補に応じた前記接続部位データの候補を検索し、検索した該接続部位データを出力する、請求項1~のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記記憶部は、前記当接部位、前記装着部位及び前記接続部位のうちいずれか1以上の材質に関する素材情報を対応づけた前記当接部位データ、前記装着部位データ及び前記接続部位データを記憶し、
前記制御部は、前記素材情報も出力する、請求項1~のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記採取部材は、前記部品を圧力付与により採取するノズル及び前記部品を物理的に採取するメカチャックのうち1以上であり、
前記採取部材が前記ノズルである場合、前記当接部位には丸ノズル、角ノズル及び先割れノズルのうち1以上が含まれ、
前記採取部材が前記メカチャックである場合、前記接続部位には前記当接部位を駆動するアクチュエータが含まれる、請求項1~のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記部品を採取する際に当接部位を当接させることができる部品上の部位を指定する指定領域を入力可能に前記部品を表示出力し、前記指定領域が入力されると、該指定領域に当接可能な前記当接部位データを検索する、請求項1~6のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記当接部位データ、前記装着部位データ及び前記接続部位データを出力したのち、前記当接部位データ、前記装着部位データ及び前記接続部位データが確定すると、確定した該採取部材の形状に応じて定められた、前記装着部に装着する前に待機する際に該採取部材を収容する収容空間が形成された収容部材の形状を含む収容部材データを出力する、請求項1~7のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記制御部は、確定した前記採取部材の形状に応じて定められた前記収容部材の形状に応じたシャッタ部材の形状を含むシャッタデータを出力する、請求項8に記載の情報処理装置。
【請求項10】
部品を実装対象物に実装する処理を実行する実装システムに用いられる情報処理方法であって、
前記部品を採取する採取部材において、前記部品に当接する当接部位の形状を含む複数の当接部位データと、前記採取部材を装着する装着部に装着される装着部位の形状を含む複数の装着部位データと、前記当接部位と前記装着部位とを接続する接続部位の形状を含む複数の接続部位データとを有し、前記部品を識別可能な識別情報とサイズと形状とのうちいずれか1以上を含む部品情報を取得したのち、該部品情報に基づいて該部品を採取可能な前記当接部位データ、前記装着部位データ及び前記接続部位データの候補を検索し、検索した前記当接部位データの候補を選択可能に表示出力し、検索した前記装着部位データの候補を選択可能に表示出力し、検索した前記接続部位データの候補を選択可能に表示出力するステップ、
を含む情報処理方法。
【請求項11】
請求項10に記載の情報処理方法のステップを1以上のコンピュータが実行するプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書では、情報処理装置、情報処理方法及びプログラムを開示する。
【背景技術】
【0002】
従来、実装装置に用いられるシステムとしては、特定形状の部品やこの部品を収容する部材の情報を取得し、取得した情報に基づいて設計された装着部材の設計データを依頼者の端末へ出力するものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。このシステムでは、設計データに基づいて依頼者側で採取部材を製造するため、より適した作業分担として装着部材を提供することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開公報2016/084122号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した特許文献1のシステムでは、特定形状の部品を採取する採取部材の設計データは、設計者のスキルに応じて作成されるものであり、新たな採取部材をより容易に作製することが望まれていた。
【0005】
本開示は、このような課題に鑑みなされたものであり、新たな採取部材の作製や利用をより容易に実現することができる情報処理装置、情報処理方法及びプログラムを提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示では、上述の主目的を達成するために以下の手段を採った。
【0007】
本開示の情報処理装置は、
部品を実装対象物に実装する処理を実行する実装システムに用いられる情報処理装置であって、
前記部品を採取する採取部材において、前記部品に当接する当接部位の形状を含む複数の当接部位データと、前記採取部材を装着する装着部に装着される装着部位の形状を含む複数の装着部位データと、前記当接部位と前記装着部位とを接続する接続部位の形状を含む複数の接続部位データとを記憶する記憶部と、
前記記憶部に記憶された前記当接部位データ、前記装着部位データ及び前記接続部位データのうち1以上を出力する制御部と、
を備えたものである。
【0008】
この情報処理装置では、部品に当接する当接部位の形状を含む複数の当接部位データと、採取部材を装着する装着部に装着される装着部位の形状を含む複数の装着部位データと、当接部位と装着部位とを接続する接続部位の形状を含む複数の接続部位データとを記憶し、当接部位データ、装着部位データ及び接続部位データのうち1以上を出力する。
一般的に、例えば、特定形状(特殊形状)の部品を採取する採取部材は、その部品の形状やサイズに応じて個別に設計される。そして、設計された採取部材の設計データは、その全体をひとまとまりとして管理するため、その開発資源が有効に生かされにくかった。本開示の情報処理装置では、例えば、個別設計された採取部材の当接部位、装着部位及び接続部位に分割した状態でデータとして記憶しているため、個別の特殊部品があるときに、各部位を適宜組み合わせて利用することができる。したがって、本開示の情報処理装置では、各部位ごとにデータを管理することによって、新たな採取部材の作製や利用をより容易に実現することができる。ここで、接続部位は、1つの構造物としてもよいし2以上に分割した構造物としてもよい。即ち、接続部位データは、複数の部分のデータとしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実装開発システム10及び実装システム30の概略説明図。
図2】実装装置40の構成の概略を示す説明図。
図3】採取部材50A及び部品PAの構成の概略を示す説明図。
図4】採取部材50B及び部品PBの構成の概略を示す説明図。
図5】採取部材50C及び部品PCの構成の概略を示す説明図。
図6】採取部材50D及び部品PDの構成の概略を示す説明図。
図7】採取部材50E及び部品PEの構成の概略を示す説明図。
図8】採取部材50F及び部品PFの構成の概略を示す説明図。
図9】記憶部25に記憶される情報の説明図。
図10】採取部材情報出力処理ルーチンの一例を示すフローチャート。
図11】採取部材設計画面70の部品入力後の一例を示す説明図。
図12】採取部材設計画面70の検索後の一例を示す説明図。
図13】設計データ表示画面76の一例を示す説明図。
図14】採取部材保管部設計処理ルーチンの一例を示すフローチャート。
図15】採取部材50Gを収納する採取部材保管部55Gを設計する説明図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本明細書で開示する情報処理装置20の好適な実施形態を図面を参照しながら以下に説明する。図1は、情報処理装置20を備える実装開発システム10、及び実装関連装置としての実装装置40を備える実装システム30の概略説明図である。図2は、実装装置40の構成の概略を示す説明図である。図3~8は、採取部材50A~50F及び部品PA~PFの構成の概略を示す説明図である。図9は、記憶部25に記憶される装着部位データベース61、当接部位データベース63及び接続部位データベース65の説明図である。なお、本実施形態において、左右方向(X軸)、前後方向(Y軸)及び上下方向(Z軸)は、図2に示した通りとする。また、実装システム30には、実装対象物としての基板S(図2参照)に部品Pを実装する実装装置40のほか、基板に対して所定の塗布剤(例えば、はんだペーストや接着剤)を塗布する印刷装置や、基板に塗布した塗布剤を硬化させる硬化処理装置(例えば、リフロー炉)、基板や部品の状態を検査する検査装置、基板を搬送処理する搬送装置などが含まれる。また、実装対象部としては、基板Sのほか、立体的な基材なども含まれる。
【0011】
供給者側が有する実装開発システム10は、図1に示すように、LAN12に接続された複数の設計パソコン(PC)13と、LAN12に接続された情報処理装置20とを備えている。設計PC13は、実装システム30に組み込まれる装置や、実装装置40に装着する装着部材の設計などを行うコンピュータである。情報処理装置20は、部品Pを基板Sに実装する実装処理に関する処理を実行する実装関連装置に関する情報を取り扱うサーバとして構成されている。情報処理装置20は、例えば、実装装置40に装着される装着部材の受注納入や設計データなどを提供するものである。この情報処理装置20は、インターネットなどのネットワーク11を介して顧客PC33へデータを送信したり、顧客PC33から情報を受信する。この情報処理装置20は、装置全体の制御を司る制御部21と、各種アプリケーションプログラムや各種データファイルを記憶する記憶部25と、各種情報を表示するディスプレイ26と、作業者が各種指令を入力するキーボード及びマウス等の入力装置27と、設計PC13など外部機器と通信を行う通信部28とを備えている。制御部21は、CPU22を中心とするマイクロプロセッサーとして構成されており、各種処理プログラムなどを記憶したROM23と、一時的にデータを記憶するRAM24と、を備えている。
【0012】
顧客側のシステムでは、実装システム30と、顧客PC33と、3Dプリンタ34とがそれぞれLAN32に接続されている。顧客PC33は、CPUなどを含む制御部と、ディスプレイと、入力装置と、通信部とを備える。この顧客PC33は、実装システム30の管理PC35などとデータのやりとりを行ったり、ネットワーク11を介して情報処理装置20とデータのやりとりを行う。3Dプリンタ34は、設計データに基づいて例えば樹脂やカーボン、金属などの素材を用いて立体物を成形するものである。実装システム30は、部品Pを基板Sに実装する生産ラインとして構成されており、複数の実装装置40や、図示しない印刷装置、検査装置、リフロー炉などを備えている。また、実装システム30は、実装装置40などで用いる情報を管理する管理PC35を備えている。
【0013】
実装装置40は、図2に示すように、制御装置41と、基板処理部42と、実装部43と、部品供給部46とを備える。制御装置41は、CPUを中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、装置全体を制御するものである。この制御装置41は、基板処理部42、実装部43及び部品供給部46などと双方向通信可能に接続されており、これらのユニットなどと信号をやりとりする。制御装置41は、実装装置40に装着される装着部材に関する部材管理情報を記憶しており、この部材管理情報を用いてどのような装着部材が装着されているかを把握しながら、実装処理を実行する。実装部43は、部品Pを部品供給部46から採取し、基板処理部42に固定された基板Sへ配置するユニットである。実装部43は、実装ヘッド44と、実装ヘッド44を移動する移動部と、マークカメラ49と、採取部材50と、採取部材保管部55とを備えている。実装ヘッド44は、1以上の部品を採取して移動部によりXY方向へ移動するものである。この実装ヘッド44は、スライダに取り外し可能に装着されている。実装ヘッド44の下面には、1以上の採取部材50が取り外し可能に装着部45に装着されている。採取部材50は、圧力付与により部品Pを採取するノズル及び部品Pを把持して物理的に採取するメカチャックのうち1以上である。マークカメラ49は、実装ヘッド44が装着されたスライダの下面側に配設され、実装ヘッド44の移動に伴い、XY方向に移動し、基板Sに形成されたマークなどを撮像する。また、マークカメラ49は、採取部材50に形成された識別情報や採取部材保管部55に形成された識別情報を読み取る際にも用いられる。部品供給部46は、実装部43へ部品Pを供給するユニットである。この部品供給部46は、部品Pを保持したテープを装着したフィーダ47を複数備えると共に、部品を複数配列してトレイに載置したトレイユニット48を有する。
【0014】
採取部材保管部55は、採取部材50を装着部45に装着する前に待機する際に採取部材50を収容、保持するユニットである。この採取部材保管部55は、収容部材56と、シャッタ部材57と、図示しない駆動部とを有する。収容部材56は採取部材50を収容する収容空間が形成された上部が開口した部材である。シャッタ部材57は、収容部材56に収容された採取部材50を固定保持、及び固定解除する平板状の部材であり、採取部材50が通過可能な通過孔が平板面に形成されている。シャッタ部材57は、採取部材50の有するフランジや上面などに通過孔の縁部が当接して採取部材50を係止、固定する。このシャッタ部材57は、採取部材50を固定する固定位置へ常時付勢されており(図2吹出上図参照)、採取部材50を取り出す際に、駆動部により固定解除位置へ移動される(図2吹出下図参照)。
【0015】
ここで、採取部材50について説明する。実装装置40では、図3~8に示すように、特殊形状及び/又は特殊用途の部品PA~PFを基板Sに実装する、このため、実装装置40は、図3~8に示すように、特殊形状を有する採取部材50A~50G(図15参照)を用いる。なお、ここでは、採取部材50A~50Gを採取部材50と総称し、装着部位51A~51Gを装着部位51と総称し、当接部位52A~52Gを当接部位52と総称し、接続部位53A~53Gを接続部位53と総称する。採取部材50は、便宜的に、採取部材50を装着する装着部45に装着される装着部位51と、部品Pに当接する当接部位52と、装着部位51と当接部位とを接続する接続部位53とに分類することができる。なお、装着部位51、当接部位52及び接続部位53は、一体成形されていてもよいし、別部材が結合されているものとしてもよい。装着部位51は、実装ヘッド44の装着部45により形状やサイズが定まる。当接部位52は、所定の形状を有する部品Pを採取するのに適するよう形状やサイズが定まる。接続部位53は、当接部位52に対応した構造を有し、更に装着部位51と適切に接続するよう形状やサイズが定まる。具体的には、例えば、図3に示す採取部材50Aは、採取する部品PAが円筒形であり丸ノズルの当接部位52Aを有し、円筒状の接続部位53Aを有する。図4に示す採取部材50Bは、採取する部品PBが球体面を有しており先割れノズルの当接部位52Bを有し、円筒状の接続部位53Bを有する。図5に示す採取部材50Cは、採取する部品PBが段差のある面を有しており先割れノズルの複数の当接部位52Cを有し、複数の当接部位52Cのそれぞれに圧力を分岐する接続部位53Cを有する。図6に示す採取部材50Dは、採取する部品PDの隙間に挿入する角ノズルの当接部位52Dを有し、円筒状の接続部位53Dを有する。図7に示す採取部材50Eは、採取する部品PEの側面の複数箇所を把持する把持爪を有する当接部位52Eを有し、当接部位52Eを駆動するアクチュエータとしての接続部位53Eを有する。接続部位53Eは、装着部位51Eから供給された圧力によって作動するエアシリンダを有する。図7に示す採取部材50Fは、採取する部品PFのピンの間に挿入される固定部材とピンを外側から把持する把持爪とを有する当接部位52Fを有し、当接部位52Fを駆動するアクチュエータとしての接続部位53Fを有する。接続部位53Fは、装着部位51Fから供給された圧力によって作動するエアシリンダを有する。
【0016】
次に、供給者側が有する情報処理装置20の記憶部25に記憶される情報について説明する。記憶部25には、例えば、図9に示すように、装着部位データベース61や、当接部位データベース63、接続部位データベース65のほか、図示しない部品情報データベースなどが記憶されている。なお、図9では、理解の容易のため各部位の模式図を付している。装着部位データベース61は、装着部位51に関する情報を含む装着部位情報62を複数種含むデータベースとして構成される。装着部位情報62は、装着部位51のサイズを含むサイズ情報、装着部位51の形状データを含む形状情報及び装着部位51を形成する材質を示す素材情報などが装着部位51の識別情報(ID)に対応づけられている。素材情報には、その部位を形成する3Dプリンタ34で使用可能な材質として、例えば、各種樹脂、金属、カーボンなどの情報が含まれている。当接部位データベース63は、当接部位52に関する情報を含む当接部位情報64を複数種含むデータベースとして構成される。当接部位情報64は、当接部位52のサイズを含むサイズ情報、当接部位52の形状データを含む形状情報、当接部位52を形成する材質を示す素材情報及び一例としてその当接部位52で採取する部品の情報などが当接部位52の識別情報(ID)に対応づけられている。接続部位データベース65は、接続部位53に関する情報を含む接続部位情報66を複数種含むデータベースとして構成される。接続部位データベース65は、接続部位53のサイズを含むサイズ情報、接続部位53の形状データを含む形状情報及び接続部位53を形成する材質を示す素材情報などが接続部位53の識別情報(ID)に対応づけられている。なお、上述した各部位情報は、CADデータを含むものとしてもよい。このように、記憶部25には、採取部材50の各構成が分割されたものが保存され、使用者に利用可能な状態で管理されている。情報処理装置20は、設計PC13や、顧客PC33などからの依頼に応じて、各部位の情報を出力し、これらに情報を提供する。部品情報データベースには、部品のサイズ情報や形状情報、素材情報が部品IDに対応付けられた部品情報を複数含むものである。部品IDからその部品の情報を得ることができる。作業者は、新たな部品が現れ、新たな採取部材50を設定したときなどに、上述した各データベースに登録し、他の作業者に利用可能な状態とする。
【0017】
次に、本実施形態の実装開発システム10の動作、まず、顧客側の使用者が特殊形状又は、特殊用途の部品Pを取り扱うため、採取部材50の情報提供が依頼されたときの動作について説明する。ここでは、主として、情報処理装置20と顧客PC33との情報のやりとりについて説明する。また、ここでは、主として吸着ノズルの採取部材50を新規設計する場合について説明する。例えば、顧客側の使用者は、顧客が有する採取部材50では採取できない特定部品を新たに実装処理する場合に、顧客PC33から情報処理装置20にアクセスし、採取部材50に関する設計データの入手依頼を行う。図10は、情報処理装置20のCPU22が実行する採取部材情報出力処理ルーチンの一例を示すフローチャートである。このルーチンは、記憶部25に記憶され、外部機器からのアクセスがあったあとに実行される。このルーチンを開始すると、制御部21のCPU22は、採取部材設計画面70を顧客PC33へ出力する(ステップS100)。
【0018】
図11は、例えば顧客PC33のディスプレイに表示出力される採取部材設計画面70の一例を示す説明図である。図11では、部品情報の入力後の一例を示している。図12は、採取部材設計画面70の各部位を検索した一例を示す説明図である。採取部材設計画面70は、使用者が各情報を入力し、それに適した採取部材50の各部位の候補を検索し、所望の採取部材50の設計を支援する画面である。採取部材設計画面70には、カーソル71、情報入力欄72、装着部位候補表示欄73、当接部位候補表示欄74、接続部位候補表示欄75などが含まれている。カーソル71は、画面上に配置された入力欄に対して作業者が選択及び入力指示するものであり、入力装置27の操作により画面上を移動する。情報入力欄72は、部品Pや、装着部45その他関連する情報を入力する欄である。この情報入力欄72には、部品情報入力欄と、装着部情報入力欄と、領域情報入力欄と、実装情報入力欄と、部品画像表示欄と検索キーなどが含まれている。部品情報入力欄には、部品IDの入力欄、部品ファイルを指定する欄、サイズや質量などを入力する自由入力欄などがある。各入力欄は、プルダウンメニューで入力内容を選択可能に構成してもよい。装着部情報入力欄には、実装ヘッドID入力欄、装着部ID入力欄などが含まれている。実装ヘッドIDは、実装ヘッドを特定する情報であり、装着部IDは、装着部自体を特定する情報である。これらは、いずれも採取部材50を装着させる部分の形状を特定する情報である。領域情報入力欄は、当接部位52が部品Pに当接する指定領域を含む。指定領域は、部品Pを採取する際に当接部位52を当接させることができる部品P上の部位を使用者が指定する領域である。ここでは、使用者の操作により、部品画像表示欄で部品の画像上に直接、指定領域を指定できるものとする。例えば、図12の斜線領域に示すように、使用者は、カーソル71の操作により、指定領域を指定することができる。この領域情報入力欄には、指定領域の設定を実行するチェックボックスと、ノズル吸着による部品Pの採取と、メカチャックによる部品Pの採取のいずれを選択するかのチェックボックスが含まれている。なお、領域情報入力欄には、当接部位の数を入力可能な入力欄を設けてもよい。実装情報入力欄は、その他の実装処理に関する情報を入力する欄である。例えば、実装対象物が立体物であり、ストロークの短長や、他の構造物と部品Pとの距離(マージン)に制限がある場合、使用者は、その条件をこの入力欄に入力する。実装情報入力欄に入力された情報は、例えば、接続部位53の形状や長さを特定する際に用いられる。部品画像表示欄には、部品Pの画像が立体的に表示される。使用者は、部品画像表示欄に表示された部品画像をクリックしてカーソル71を操作することにより、三次元的に部品Pを回転させることができる。検索キーは、入力した内容で検索を開始する際に押下されるキーである。装着部位候補表示欄73は、装着部位51の候補を表示する欄であり、装着部位51の画像及びIDなどの情報が表示される(図12参照)。当接部位候補表示欄74は、当接部位52の候補を表示する欄であり、当接部位52の画像及びIDなどの情報が表示される。接続部位候補表示欄75は、接続部位53の候補を表示する欄であり、接続部位53の画像及びIDなどの情報が表示される。使用者は、情報入力欄72へ部品情報や装着部情報、領域情報、実装情報などの各種情報を入力する。
【0019】
さて、採取部材設計画面70を出力したあと、CPU22は、部品情報入力欄への入力内容を取得することにより部品情報を取得し(S110)、装着部情報入力欄への入力内容を取得することにより装着部情報を取得する(S120)。また、CPU22は、領域情報入力欄への入力内容を取得することにより部品に当接する指定領域を含む領域情報を取得し(S130)、実装情報入力欄への入力内容を取得することにより部品Pを採取、配置する状態に関する実装情報を取得する(S140)。なお、CPU22は、各入力欄へ情報が入力されるたびに、上記各種情報を取得するものとしてもよく、上記各種情報の取得順は上記のステップ順でないものとしてもよい。
【0020】
次に、CPU22は、採取部材設計画面70で検索キーが押下されると、入力された情報に応じた採取部材50の各部位のデータを検索する処理を実行する(S150~170)。具体的には、CPU22は、取得した装着部情報に基づいて、指定された装着部45に装着可能である装着部位51のデータを装着部位データベース61に登録されたものの中から検索する(S150)。また、CPU22は、取得した領域情報に含まれる指定領域のサイズ、形状、数及び位置のうち1以上に応じた当接部位52のデータを当接部位データベース63に登録されたものの中から検索する(S160)。また、CPU22は、検索結果である装着部位51と当接部位52とを接合可能な接続部位53のデータを接続部位データベース65に登録されたものの中から検索する(S170)。なお、CPU22は、登録された各部位データに対して、例えば、伸張や拡大、縮小など変形を加えたものを含めて検索してもよい。CPU22は、装着部位データにおいては、装着部情報に応じたものを一義的に抽出することができる。また、CPU22は、当接部位データにおいては、指定領域である部品Pの当接面の形状やサイズ、位置に対応する形状やサイズを有するものを抽出する。例えば、採取部材50が吸着ノズルである場合、CPU22は、指定領域のサイズを超えない程度の当接面を有する当接部位データを抽出する。また、CPU22は、指定領域が矩形である場合、矩形の当接面を有するものや、その矩形内に内包される円形の当接面を有するものを抽出することができる。また、CPU22は、指定領域が複数ある場合は、先割れノズルなど複数の当接面を有するものを抽出するか、更には複数のノズルを複数箇所に用いるものとして抽出してもよい。また、CPU22は、上記抽出した装着部位データ及び当接部位データの組み合わせごとに接続部位データを抽出するものとしてもよい。
【0021】
次に、CPU22は、検索した結果である装着部位データ、当接部位データ及び接続部位データをそれぞれ、装着部位候補表示欄73、当接部位候補表示欄74及び接続部位候補表示欄75に表示出力する(S180)。CPU22は、採取部材設計画面70の各表示欄に各部位の画像が表示されるようにデータを出力する(図12参照)。使用者は、表示された画像をクリックすることによりそれを選択することができる。また、使用者は、各表示欄の画像をダブルクリックすることにより編集ソフトウエアを起動し、その部位データのサイズ、形状及び材質などの修正、編集を行うことができる。次に、CPU22は、部位データのいずれかが選択されたか否かを判定し(S190)、部位データが選択されていないときにはそのまま待機する。一方、部位データが選択されたときには、CPU22は、選択された部位データを修正可能な対象に設定し(S200)、選択された部位データが修正されるか否かを判定する(S210)。例えば、使用者は、編集ソフトウエアの操作により、部位データのサイズ、形状及び材質などを修正、編集する。部位データが修正されたときには、CPU22は、修正内容を反映させ、表示欄に表示させる(S220)。このとき、CPU22は、部位のサイズが大きくなるよう変更された場合に、その部位の空間を占める体積から重量を求め、求めた重量が所定の閾値を超えた場合は、閾値を超えないようその材質をより軽いものに変更する処理を行ってもよい。
【0022】
S220のあと、またはS210で部位データに修正がないときには、CPU22は、全ての部位データが確定したか否かを判定する(S230)。部位データの確定は、例えば、装着部位候補表示欄73、当接部位候補表示欄74及び接続部位候補表示欄75に表示された確定キーが押下されたか否かで判定することができる(図12参照)。全ての部位データが確定していないときには、CPU22は、S210以降の処理を実行する。一方、全ての部位データが確定したときには、CPU22は、修正内容がある場合は、その修正した内容を新規にデータベースに登録し(S240)、設計した採取部材の設計データを表示する設計データ表示画面76を表示出力させ(S250)、このルーチンを終了する。
【0023】
図13は、設計データ表示画面76の一例を示す説明図である。設計データ表示画面76は、特定形状を有する部品Pを採取可能に設計された採取部材50を表示する画面である。この設計データ表示画面76には、採取部材表示欄や、装着部位51に関する装着部位情報表示欄、当接部位52に関する当接部位情報表示欄、接続部位53に関する接続部位情報表示欄、戻るキー、編集キー、保存キー、3D印刷キーなどが含まれている。使用者は、表示内容を確認し、編集キーを押下して再編集したり、保存キーを押下して顧客PC33の記憶部にこの設計データを記憶したり、3D印刷キーを押下して3Dプリンタ34によって採取部材50を製造することができる。
【0024】
次に、新たに設計した採取部材50を収容する採取部材保管部55を設計、製造する処理について説明する。ここでは、採取部材50Gを収容する採取部材保管部55Gを設計、製造する場合を具体例として説明する。図14は、顧客PC33のCPUが実行する採取部材保管部設計処理ルーチンの一例を示すフローチャートである。このルーチンは、顧客PC33の記憶部に記憶され、新たに採取部材50Gが設計されたあとなどに実行される。このルーチンを開始すると、顧客PC33のCPUは、新たに設計された採取部材50Gの設計データを取得し(S300)、採取部材50がシャッタ部材57に係止される係止部位を設定し、採取部材50の形状に基づいて採取部材50を収容する収容空間を設定し、収容部材56の形状を設定する(S310)。
【0025】
図15は、採取部材50Gを収納する採取部材保管部55Gを設計する説明図であり、図15Aが採取部材50Gの収容空間を設定する図、図15Bが収容部材56Gの形状を設計する図、図15Cがシャッタ部材57Gを設計する図である。採取部材50Gには、装着部位51Gにシャッタ部材57Gに係止可能な上面が係止部位としてあることから、CPUは、この上面までを収容する深さに収容空間を設定する。また、採取部材50Gの通過が比較的容易になるように、CPUは、採取部材50Gが収容される範囲における最も大きい幅(直径)に対して所定のマージンを加えた直径の空間を設定する(図15A)。次に、CPUは、係止部位を考慮し、シャッタ部材57Gの開口部を設定する(S320)。CPUは、開口部の形状を円形、楕円形、切欠部を有する円形などのうちから選択することができる。CPUは、固定位置で採取部材50を係止し、固定解除位置で採取部材50が通過可能な形状に開口部を設定する。次に、CPUは、設計した収容部材56及びシャッタ部材57を採取部材保管部55の設計データとして出力する(S330)。ここでは、顧客PC33のディスプレイに収容部材56G及びシャッタ部材57Gの画像を表示出力する。次に、CPUは、表示した収容部材56やシャッタ部材57に修正が入力されたか否かを判定し(S340)、修正が入力されたときには、修正内容を反映させた設計データを記憶すると共に表示出力する(S350)。
【0026】
S350のあと、またはS340で修正が入力されていないときには、CPUは、設計データが確定されたか否かを判定し(S360)、設計データが確定されていないときには、S340以降の処理を実行する。一方、S360で設計データが確定されたときには、CPUは、設計データを顧客PC33の記憶部に記憶させ(S370)、このルーチンを終了する。使用者は、この設計データを用いて、3Dプリンタ34により収容部材56及びシャッタ部材57を印刷出力し、製造することができる(図15C参照)。
【0027】
ここで、本実施形態の構成要素と本発明の構成要素との対応関係を明らかにする。本実施形態の情報処理装置20が本開示の情報処理装置に相当し、記憶部25が記憶部に相当し、制御部21が制御部に相当する。なお、本実施形態では、情報処理装置20の動作を説明することにより本開示の情報処理方法の一例も明らかにしている。
【0028】
以上説明した本実施形態の情報処理装置20では、部品Pに当接する当接部位52の形状を含む複数の当接部位データと、採取部材50を装着する装着部45に装着される装着部位51の形状を含む複数の装着部位データと、当接部位52と装着部位51とを接続する接続部位53の形状を含む複数の接続部位データとを記憶し、当接部位データ、装着部位データ及び接続部位データのうち1以上を顧客PC33などの外部機器へ出力する。一般的に、例えば、特定形状(特殊形状)の部品Pを採取する採取部材50は、その部品の形状やサイズに応じて個別に設計される。そして、設計された採取部材50の設計データは、その全体をひとまとまりとして管理するため、その開発資源が有効に生かされにくかった。この情報処理装置20では、例えば、個別設計された採取部材50の当接部位52、装着部位51及び接続部位53に分割した状態でデータとして記憶しているため、個別の特殊部品があるときに、各部位を適宜組み合わせて利用することができる。したがって、この情報処理装置20では、各部位ごとにデータを管理することによって、新たな採取部材50の作製や利用をより容易に実現することができる。
【0029】
また、制御部21は、部品Pを識別可能な識別情報(部品ID)とサイズと形状とのうちいずれか1以上を含む部品情報を取得したのち、この部品情報に基づいて部品Pを採取可能な当接部位データ、装着部位データ及び接続部位データの候補を検索し、検索したデータを出力する。この情報処理装置20では、各部位の候補を自動で検索するため、新たな採取部材50の作製をより容易に実現することができる。更に、制御部21は、当接部位52が部品Pに当接する指定領域を含む領域情報を取得したのち、この指定領域のサイズ、形状、数及び位置のうち1以上に応じた当接部位データの候補を検索し、検索した当接部位データを出力する。この情報処理装置20では、指定領域に基づいて当接部位データを検索することができる。更にまた、制御部21は、装着部45を識別可能な識別情報(実装ヘッドIDや装着部ID)とサイズと形状とのうちいずれか1以上を含む装着部情報を取得したのち、この装着部情報に応じた装着部位データの候補を検索し、検索した装着部位データを出力する。この情報処理装置20では、装着部45の情報に基づいて装着部位データを検索することができる。そしてまた、制御部21は、部品情報に基づいて検索した当接部位データの候補と装着部情報に基づいて検索した装着部位データの候補とに応じた接続部位データの候補を検索し、検索した接続部位データを出力する。この情報処理装置20では当接部位データ及び装着部位データに応じた接続部位データを検索することができる。
【0030】
また、記憶部25は、当接部位52、装着部位51及び接続部位53のうちいずれか1以上の材質に関する素材情報を対応づけた当接部位データ、装着部位データ及び接続部位データを記憶し、制御部21は、素材情報も出力する。この情報処理装置20では、素材情報を含めて採取部材50の各部位データを提供することができる。このため、使用者は、各部位の材質を参考として各部位を作製することができる。更に、採取部材50は、部品Pを圧力付与により採取するノズル及び部品Pを物理的に採取するメカチャックのうち1以上であり、採取部材がノズルである場合、当接部位52には丸ノズル、角ノズル及び先割れノズルのうち1以上が含まれ、採取部材50がメカチャックである場合、接続部位53には当接部位52を駆動するアクチュエータが含まれる。この情報処理装置20では、ノズルやメカチャックなどの様々な採取部材50のデータを提供することができる。更にまた、制御部21は、当接部位データ、装着部位データ及び接続部位データを出力したのち、当接部位データ、装着部位データ及び接続部位データが確定すると、確定した採取部材50の形状に応じて定められた、装着部45に装着する前に待機する際に採取部材50を収容する収容空間が形成された収容部材56の形状を含む収容部材データを出力する。この情報処理装置20では、新たに作製する採取部材50を収容する収容部材56のデータを出力することにより、このデータに基づいて収容部材56を作製可能であるため、新たに作製する採取部材50をより容易に利用することができる。そしてまた、制御部21は、確定した採取部材50の形状に応じて定められた収容部材56の形状に応じたシャッタ部材57の形状を含むシャッタデータを出力する。この情報処理装置20では、更に、新たなシャッタ部材57を作製可能であるため、新たに作製する採取部材50をより容易に利用することができる。
【0031】
また、実装システム30では、顧客側の使用者が採取部材50に設計データを用いて、3Dプリンタ34により採取部材50を作製することができるため、使用者は、極めて短期間で新たな採取部材50を使用開始することができる。また、実装システム30では、顧客PC33に設計データが残るため、採取部材50を廃棄してもまた必要に応じて設計データから採取部材50を作製することができる。このため、使用頻度が低いことが多い特定部品に用いられる採取部材50を保管する場所をより低減することができる。
【0032】
なお、本開示は上述した実施形態に何ら限定されることはなく、本開示の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。
【0033】
例えば、上述した実施形態では、制御部21は、部品情報や、領域情報、装着部情報、装着部位データの候補及び当接部位データの候補から、当接部位データ、装着部位データ及び接続部位データの候補を検索するものとしたが、これら以外の情報を用いて、当接部位データ、装着部位データ及び接続部位データの候補を検索するものとしてもよい。あるいは、上述した実施形態では、部品情報に基づいて当接部位データ、装着部位データ及び接続部位データの候補を検索するものとしたが、特にこれに限定されず、この検索処理を省略してもよい。この情報処理装置20によっても、採取部材50の各部位データを別々に記憶するから、各部位を適宜組み合わせて利用することができ、新たな採取部材50の作製や利用をより容易に実現することができる。
【0034】
上述した実施形態では、素材情報を含む装着部位情報62、当接部位情報64及び接続部位情報66を記憶部25に記憶するものとしたが、特にこれに限定されず、素材情報を省略してもよい。この情報処理装置20においても、採取部材50の各部位データを別々に記憶するから、新たな採取部材50の作製や利用をより容易に実現することができる。
【0035】
上述した実施形態では、接続部位53を1つの構造物として説明したが、特にこれに限定されず、例えば、接続部位53を2以上に分割した構造物としてもよい。即ち、接続部位データは、複数の部分のデータを含むものとしてもよい。接続部位は、自由に構成できることから、1または2以上の構造物として管理しても構わない。
【0036】
上述した実施形態では、採取部材50を設計したのち、採取部材保管部55として、収容部材56やシャッタ部材57の設計処理を実行するものとして説明したが、この採取部材保管部55の設計処理を省略してもよい。新たな採取部材50が既存の採取部材保管部55に収容することができる場合があるからである。
【0037】
上述した実施形態では、本開示を情報処理装置20として説明したが、特にこれに限定されず、情報処理方法としてもよいし、情報提供プログラムとしてもよい。
【0038】
ここで、本開示の情報処理装置は、以下のように構成するものとしてもよい。例えば、本開示の情報処理装置において、前記制御部は、前記部品を識別可能な識別情報とサイズと形状とのうちいずれか1以上を含む部品情報を取得したのち、該部品情報に基づいて該部品を採取可能な前記当接部位データ、前記装着部位データ及び前記接続部位データの候補を検索し、検索したデータを出力するものとしてもよい。この情報処理装置では、各部位の候補を自動で検索するため、新たな採取部材の作製をより容易に実現することができる。
【0039】
本開示の情報処理装置において、前記制御部は、前記当接部位が前記部品に当接する指定領域を含む領域情報を取得したのち、該指定領域のサイズ、形状、数及び位置のうち1以上に応じた前記当接部位データの候補を検索し、検索した該当接部位データを出力するものとしてもよい。この情報処理装置では、指定領域に基づいて当接部位データを検索することができる。
【0040】
本開示の情報処理装置において、前記制御部は、前記装着部を識別可能な識別情報とサイズと形状とのうちいずれか1以上を含む装着部情報を取得したのち、該装着部情報に応じた前記装着部位データの候補を検索し、検索した該装着部位データを出力するものとしてもよい。この情報処理装置では、装着部の情報に基づいて装着部位データを検索することができる。
【0041】
本開示の情報処理装置において、前記制御部は、前記部品を識別可能な識別情報とサイズと形状とのうちいずれか1以上を含む部品情報と前記装着部を識別可能な識別情報とサイズと形状とのうちいずれか1以上を含む装着部情報とを取得したのち、該部品情報に基づいて前記当接部位データの候補を検索し、前記装着部情報に基づいて前記装着部位データの候補を検索し、検索した候補に応じた前記接続部位データの候補を検索し、検索した該接続部位データを出力するものとしてもよい。この情報処理装置では当接部位データ及び装着部位データに応じた接続部位データを検索することができる。
【0042】
本開示の情報処理装置において、前記記憶部は、前記当接部位、前記装着部位及び前記接続部位のうちいずれか1以上の材質に関する素材情報を対応づけた前記当接部位データ、前記装着部位データ及び前記接続部位データを記憶し、前記制御部は、前記素材情報も出力するものとしてもよい。この情報処理装置では、素材情報を含めて採取部材の各部位データを提供することができる。このため、使用者は、各部位の材質を参考として各部位を作製することができる。
【0043】
本開示の情報処理装置において、前記採取部材は、前記部品を圧力付与により採取するノズル及び前記部品を物理的に採取するメカチャックのうち1以上であり、前記採取部材が前記ノズルである場合、前記当接部位には丸ノズル、角ノズル及び先割れノズルのうち1以上が含まれ、前記採取部材が前記メカチャックである場合、前記接続部位には前記当接部位を駆動するアクチュエータが含まれるものとしてもよい。
【0044】
本開示の情報処理装置において、前記制御部は、前記当接部位データ、前記装着部位データ及び前記接続部位データを出力したのち、前記当接部位データ、前記装着部位データ及び前記接続部位データが確定すると、確定した該採取部材の形状に応じて定められた、前記装着部に装着する前に待機する際に該採取部材を収容する収容空間が形成された収容部材の形状を含む収容部材データを出力するものとしてもよい。この情報処理装置では、新たに作製する採取部材を収容する収容部材のデータを出力することにより、このデータに基づいて収容部材を作製可能であるため、新たに作製する採取部材をより容易に利用することができる。
【0045】
収容部材データを出力する態様の本開示の情報処理装置において、前記制御部は、確定した前記採取部材の形状に応じて定められた前記収容部材の形状に応じたシャッタ部材の形状を含むシャッタデータを出力するものとしてもよい。この情報処理装置では、更に、新たなシャッタ部材を作製可能であるため、新たに作製する採取部材をより容易に利用することができる。
【0046】
本開示の情報処理方法は、
部品を実装対象物に実装する処理を実行する実装システムに用いられる情報処理方法であって、
前記部品を採取する採取部材において、前記部品に当接する当接部位の形状を含む複数の当接部位データと、前記採取部材を装着する装着部に装着される装着部位の形状を含む複数の装着部位データと、前記当接部位と前記装着部位とを接続する接続部位の形状を含む複数の接続部位データとを有し、前記部品の形状を含む部品情報を取得したのち、該部品情報に基づいて該部品を採取可能な前記当接部位データ、前記装着部位データ及び前記接続部位データの候補を検索し、検索したデータを出力するステップ、
を含むものである。
【0047】
この情報処理方法では、上述した情報処理装置と同様に、各部位ごとにデータを管理することによって、新たな採取部材の作製や利用をより容易に実現することができる。なお、この情報処理方法において、上述した情報処理装置の態様を採用してもよいし、上述した情報処理装置の機能を発現するステップを含むものとしてもよい。
【0048】
本開示のプログラムは、上述した情報処理方法の各ステップを1以上のコンピュータが実行するものである。このプログラムは、コンピュータが読み取り可能な記録媒体(例えばハードディスク、ROM、FD、CD、DVDなど)に記録されていてもよいし、伝送媒体(インターネットやLANなどの通信網)を介してあるコンピュータから別のコンピュータへ配信されてもよいし、その他どのような形で授受されてもよい。このプログラムを1つのコンピュータに実行させるか又は複数のコンピュータに各ステップを分担して実行させれば、上述した情報処理方法の各ステップが実行されるため、この方法と同様の作用効果が得られる。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本明細書で開示する情報処理装置、情報提供方法及びそのプログラムは、実装対象物に対して部品を実装する装置の技術分野に利用可能である。
【符号の説明】
【0050】
10 実装開発システム、11 ネットワーク、12 LAN、13 設計PC、20 情報処理装置、21 制御部、22 CPU、23 ROM、24 RAM、25 記憶部、26 ディスプレイ、27 入力装置、28 通信部、30 実装システム、32 LAN、33 顧客PC、34 3Dプリンタ、35 管理PC、40 実装装置、41 制御装置、42 基板処理部、43 実装部、44 実装ヘッド、45 装着部、46 部品供給部、47 フィーダ、48 トレイユニット、49 マークカメラ、50,50A~50G 採取部材、51,51A~51G 装着部位、52,52A~52G 当接部位、53,53A~53G 接続部位、55,55G 採取部材保管部、56,56G 収容部材、57,57G シャッタ部材、61 装着部位データベース、62 装着部位情報、63 当接部位データベース、64 当接部位情報、65 接続部位データベース、66 接続部位情報、70 採取部材設計画面、71 カーソル、72 情報入力欄、73 装着部位候補表示欄、74 当接部位候補表示欄、75 接続部位候補表示欄、76 設計データ表示画面、P 部品、S 基板。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15