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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-11
(45)【発行日】2023-01-19
(54)【発明の名称】緊急脱出用キット
(51)【国際特許分類】
   A62B 99/00 20090101AFI20230112BHJP
   A62B 3/00 20060101ALI20230112BHJP
   A62B 18/02 20060101ALI20230112BHJP
【FI】
A62B99/00 C
A62B3/00 Z
A62B18/02 B
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2021544250
(86)(22)【出願日】2020-01-29
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-22
(86)【国際出願番号】 KR2020001343
(87)【国際公開番号】W WO2020159221
(87)【国際公開日】2020-08-06
【審査請求日】2021-07-28
(31)【優先権主張番号】10-2019-0012174
(32)【優先日】2019-01-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2019-0012175
(32)【優先日】2019-01-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2019-0012176
(32)【優先日】2019-01-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】20-2019-0000473
(32)【優先日】2019-01-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】520424065
【氏名又は名称】ピノストーリー カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】PINOSTORY CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】1-905ho, 9th F1., 98, Gasan digital 2-ro, Geumcheon-gu, Seoul 08506, Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100121382
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 託嗣
(72)【発明者】
【氏名】イ,ミョン ウォン
【審査官】久保田 信也
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2016-0093317(KR,A)
【文献】韓国公開特許第10-2010-0085601(KR,A)
【文献】登録実用新案第3044461(JP,U)
【文献】特表2017-524597(JP,A)
【文献】特開2002-011107(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A62B 99/00
A62B 3/00
A62B 18/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
窓ガラスなどの障害物に密着可能に備えられる障害物密着部を備え、前記障害物密着部を挟んで前記障害物と反対の側を加圧して前記障害物を破砕することができるように備えられる緊急脱出用パンチと、
前記緊急脱出用パンチに対して結合及び分離可能に備えられ、前記緊急脱出用パンチに結合される場合には前記緊急脱出用パンチの一部を外部と遮断し、前記緊急脱出用パンチから分離されてユーザーの呼吸器に密着する場合には外側からの有毒ガスの流入を遮断する防毒マスクと、を含み
前記緊急脱出用パンチは、
パンチ本体と、
前記パンチ本体の内側に備えられ、前記障害物とは反対の側を加圧する場合に前記障害物を破砕することができるように、前記障害物に向かって一部が突出するハンマーと、
前記ハンマーに結合され、前記ハンマーが前記障害物に向かって突出してから自動的に前記パンチ本体の内側に戻るようにするテイクバック(take back)が可能なようにハンマーを支持するハンマー支持弾性体と、を含み、
前記パンチ本体は、
前記障害物密着部、及び前記ハンマーをガイドするハンマー吐出用貫通孔を有するパンチ上部ハウジングと、
前記パンチ上部ハウジングに結合され、前記ハンマーの一部を外部に吐出させるために加圧する加圧部を形成するパンチ下部ハウジングと、を含むことを特徴とする緊急脱出用キット。
【請求項2】
前記ハンマーは、
前記ハンマー吐出用貫通孔を通じて一方の側が前記パンチ本体の外側に突出することができるように円錐状に備えられる円錐状部と、
前記円錐状部に連結され、円筒状に備えられる円筒状部と、を含むことを特徴とする、請求項に記載の緊急脱出用キット。
【請求項3】
前記円筒状部は、
円筒の断面が前記円錐状部の底面の広さよりも小さい広さで形成される第1円筒部と、
円筒の断面が前記第1円筒部の断面の広さよりも小さい広さで形成される第2円筒部と、を含むことを特徴とする、請求項に記載の緊急脱出用キット。
【請求項4】
前記パンチ上部ハウジングは、
前記円錐状部に隣接して備えられ、前記円錐状部の底面を係止するハンマー係止部を含むことを特徴とする、請求項に記載の緊急脱出用キット。
【請求項5】
窓ガラスなどの障害物に密着可能に備えられる障害物密着部を備え、前記障害物密着部を挟んで前記障害物と反対の側を加圧して前記障害物を破砕することができるように備えられる緊急脱出用パンチと、
前記緊急脱出用パンチに対して結合及び分離可能に備えられ、前記緊急脱出用パンチに結合される場合には前記緊急脱出用パンチの一部を外部と遮断し、前記緊急脱出用パンチから分離されてユーザーの呼吸器に密着する場合には外側からの有毒ガスの流入を遮断する防毒マスクと、を含み
前記防毒マスクは、
前記緊急脱出用パンチの一部を収容することが可能な空間である緊急脱出用パンチ収容空間を内側に形成することで、前記緊急脱出用パンチに結合される場合には前記緊急脱出用パンチ収容空間に前記緊急脱出用パンチの一部を収容し、前記緊急脱出用パンチから分離されてユーザーの呼吸器に密着する場合には前記ユーザーの呼吸器を受け入れつつ前記ユーザーの顔面部に密着できるように弾性材質からなる防毒マスク本体と、
前記防毒マスク本体に分離可能に結合されて有毒ガスをフィルタリング(filtering)する有毒ガスフィルタリングモジュールと、を含み
前記有毒ガスフィルタリングモジュールは、
前記防毒マスク本体に連結され、外部流体の流入を遮断する接合フレームを備えるフィルター上部ハウジングと、
有毒ガスをフィルタリングする有毒ガスフィルターを受け入れる空間である有毒ガスフィルター収容空間を形成し、前記フィルター上部ハウジングと結合するフィルター下部ハウジングと、
前記有毒ガスフィルターと前記フィルター上部ハウジングとの間に配置され、水溶性物質を収容する水溶性物質収容バッグと、を含むことを特徴とする緊急脱出用キット。
【請求項6】
前記フィルター上部ハウジングは、
前記有毒ガスフィルターの外側板面に隣接して備えられ、外側の空気が前記有毒ガスフィルターを経て内側に流動するか、内側の空気が前記有毒ガスフィルターを経て外側に流動することができるように貫通形成される外側空気流動フレームと、
前記水溶性物質収容バッグから離隔して、前記外側空気流動フレームから前記フィルター下部ハウジングの側へと向かって突設されるとともに、前記外側空気流動フレームを外側から加圧する場合に前記水溶性物質収容バッグを切開可能に備えられる突出ピンと、
前記接合フレーム及び前記外側空気流動フレームに連結され、前記フィルター下部ハウジングと係合可能に凹設される陥没係止領域を備える上部結合フレームと、を含むことを特徴とする、請求項に記載の緊急脱出用キット。
【請求項7】
前記フィルター下部ハウジングは、
前記陥没係止領域の側へと突出して前記陥没係止領域に係合される突出係止領域を備え、内側に前記有毒ガスフィルター収容空間を形成する下部結合フレームと、
前記下部結合フレームの長さ方向と交差するように連結され、内側空気の流動のための内側空気流動部を形成する内側空気流動フレームと、を含むことを特徴とする、請求項に記載の緊急脱出用キット。
【請求項8】
前記フィルター下部ハウジングは、
前記下部結合フレームの外側に多段に形成され、前記防毒マスク本体に結合される本体結合部をさらに含むことを特徴とする、請求項に記載の緊急脱出用キット。
【請求項9】
前記防毒マスク本体は、
前記有毒ガスフィルタリングモジュールの側へと突出して前記有毒ガスフィルタリングモジュールに係合される第1突出部と、
前記緊急脱出用パンチの側の末端から前記緊急脱出用パンチ収容空間の内側中心へと向かって突設されて前記緊急脱出用パンチに係合される第2突出部と、
前記第1突出部と前記第2突出部との間にて前記緊急脱出用パンチ収容空間の内側中心へと向かって突設される第3突出部と、を含むことを特徴とする、請求項に記載の緊急脱出用キット。
【請求項10】
窓ガラスなどの障害物に密着可能に備えられる障害物密着部を備え、前記障害物密着部を挟んで前記障害物と反対の側を加圧して前記障害物を破砕することができるように備えられる緊急脱出用パンチと、
前記緊急脱出用パンチに対して結合及び分離可能に備えられ、前記緊急脱出用パンチに結合される場合には前記緊急脱出用パンチの一部を外部と遮断し、前記緊急脱出用パンチから分離されてユーザーの呼吸器に密着する場合には外側からの有毒ガスの流入を遮断する防毒マスクと、を含み
前記緊急脱出用パンチに連結され、カッター刃を取り付けて、非常時に車両安全ベルトなどのベルトを切断するベルトカッターを、さらに含み
前記ベルトカッターは、
前記カッター刃を取り付けるカッター刃取付部を形成するベルトカッター本体と、
前記ベルトカッター本体に結合して前記カッター刃を支持するカッター刃支持カバーと、を含み、
前記ベルトカッター本体は、
カッター本体ベースと、
前記カッター刃に向かって前記ベルトが引き込まれうるように前記カッター本体ベースの一側に凹設されるベルト引込部と、
前記ベルト引込部に隣接するように傾斜面を形成して、切断された前記ベルトをガイドする第1ベルトガイド部と、を含み、
前記カッター刃支持カバーは、
前記第1ベルトガイド部と、前記カッター本体ベースの板面を基準にして対向するように備えられ、切断された前記ベルトをガイドする第2ベルトガイド部を含むことを特徴とする緊急脱出用キット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、緊急脱出用キットに係り、より詳細には、車両や建物などに火災などの緊急状況が発生した場合、車両や建物などの窓ガラスといった障害物を破砕して脱出できるようにする緊急脱出用パンチ(punch)と、有毒ガスによる被害を最小限に抑えることができるように有毒ガスをフィルタリングする防毒マスクとを含む、緊急脱出用キットに関する。
【背景技術】
【0002】
車両や建物などに火災などの緊急状況が発生した場合、緊急に窓ガラスなどの障害物を破砕して脱出することができなければならない。また、火災などが発生した場合には、火災発生の際に生成される有毒ガスによる被害を最小限に抑えなければならない。
【0003】
このように、非常時に被害を最小限に抑えながら、火災などが発生したところから脱出するためには、緊急脱出用キットがユーザーに隣接して備えられ、速やかに使用できなければならない。
【0004】
しかし、従来には、障害物を破砕して脱出できるようにする緊急脱出用パンチと、有毒ガスをフィルタリングする防毒マスクが個別に備えられており、これらを同時に携帯することが難しく、非常時に緊急脱出のために迅速に活用することが難しいという問題点があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、本発明が解決しようとする技術的課題は、車両や建物などに火災などの緊急状況が発生した場合、車両や建物などの窓ガラスといった障害物を破砕して脱出できるようにする緊急脱出用パンチ(punch)と、有毒ガスによる被害を最小限に抑えることができるように有毒ガスをフィルタリングする防毒マスクとを、効率よく結合して携帯性を向上させる緊急脱出用キットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するための本発明は、(1)窓ガラスなどの障害物に密着可能に備えられる障害物密着部を備え、前記障害物密着部を挟んで前記障害物とは反対の側を加圧して前記障害物を破砕することができるように備えられる緊急脱出用パンチ(punch)と、(2)前記緊急脱出用パンチに対して結合及び分離が可能に備えられるとともに、前記緊急脱出用パンチに結合される場合には前記緊急脱出用パンチの一部を外部と遮断し、前記緊急脱出用パンチから分離されてユーザーの呼吸器に密着する場合には外側からの有毒ガスの流入を遮断する防毒マスクと、を含むことを特徴とする、緊急脱出用キットが提供できる。
【0007】
前記防毒マスクは、(1)前記緊急脱出用パンチの一部を受け入れることが可能な空間である緊急脱出用パンチ収容空間を内側に形成して、前記緊急脱出用パンチに結合される場合には前記緊急脱出用パンチ収容空間に前記緊急脱出用パンチの一部を受け入れるとともに、前記緊急脱出用パンチから分離されてユーザーの呼吸器に密着する場合には前記ユーザーの呼吸器を受け入れつつ前記ユーザーの顔面部に密着されうるように、弾性材質からなる防毒マスク本体と、(2)前記防毒マスク本体に分離可能に結合され、有毒ガスをフィルタリング(filtering)する有毒ガスフィルタリングモジュールと、を含むことができる。
【0008】
前記有毒ガスフィルタリングモジュールは、(1)前記防毒マスク本体に連結され、外部流体の流入を遮断する接合フレームを備えるフィルター上部ハウジングと、(2)有毒ガスをフィルタリングする有毒ガスフィルターを受け入れる空間である有毒ガスフィルター収容空間を形成し、前記フィルター上部ハウジングと結合するフィルター下部ハウジングと、前記有毒ガスフィルターと前記フィルター上部ハウジングとの間に配置され、水溶性物質を受け入れる水溶性物質収容バッグと、を含むことができる。
【0009】
前記フィルター上部ハウジングは、(1)前記有毒ガスフィルターの外側の板面に隣接して備えられ、外側空気が前記有毒ガスフィルターを経て内側に流動するか、内側空気が前記有毒ガスフィルターを経て外側に流動することができるように貫通形成される外側空気流動フレームと、(2)前記水溶性物質収容バッグに離隔して前記外側空気流動フレームから前記フィルター下部ハウジング側に向かって突設され、前記外側空気流動フレームを外側から加圧する場合に前記水溶性物質収容バッグを切開可能に備えられる突出ピンと、(3)前記接合フレーム及び前記外側空気流動フレームに連結され、前記フィルター下部ハウジングと係合可能に凹設される陥没係止領域を備える上部結合フレームと、を含むことができる。
【0010】
前記フィルター下部ハウジングは、(1)前記陥没係止領域側に突出して前記陥没係止領域に係合される突出係止領域を備え、内側に前記有毒ガスフィルター収容空間を形成する下部結合フレームと、(2)前記下部結合フレームの長さ方向と交差するように連結され、内側空気の流動のための内側空気流動部を形成する内側空気流動フレームと、を含むことができる。
【0011】
前記フィルター下部ハウジングは、前記下部結合フレームの外側に形成され、前記防毒マスク本体に結合される本体結合部をさらに含むことができる。
【0012】
前記防毒マスク本体は、(1)前記有毒ガスフィルタリングモジュールの側へと突出して前記有毒ガスフィルタリングモジュールに掛け止め結合される第1突出部と、(2)前記緊急脱出用パンチの側の末端から前記緊急脱出用パンチ収容空間の内側中心に向かって突設されて前記緊急脱出用パンチに係合される第2突出部と、(3)前記第1突出部と前記第2突出部との間にて前記緊急脱出用パンチ収容空間の内側中心に向かって突設される第3突出部と、を含むことができる。
【0013】
前記緊急脱出用パンチは、パンチ本体と、前記パンチ本体の内側に備えられ、前記障害物とは反対の側を加圧する場合に前記障害物を破砕することができるように、前記障害物に向かって一部が突出するハンマーと、前記ハンマーに結合され、前記ハンマーが前記障害物に向かって突出してから自動的に前記パンチ本体の内側に戻るようにするテイクバック(take back)が可能にハンマーを支持するハンマー支持弾性体と、を含むことができる。
【0014】
前記パンチ本体は、前記障害物密着部と、前記ハンマーをガイドするハンマー吐出用貫通孔を有するパンチ上部ハウジングと、前記パンチ上部ハウジングに結合され、前記ハンマーの一部を外部へと吐出させるために、加圧する加圧部を形成するパンチ下部ハウジングと、を含むことができる。
【0015】
前記ハンマーは、前記ハンマー吐出用貫通孔を通じて一側が前記パンチ本体の外側に突出することができるように、円錐状に備えられる円錐状部と、前記円錐状部に連結されて、円筒状に備えられる円筒状部と、を含むことができる。
【0016】
円筒状部は、円筒の断面が前記円錐状部の底面の広さよりも小さい広さで形成される第1円筒部と、円筒の断面が前記第1円筒部の断面の広さよりも小さい広さで形成される第2円筒部と、を含むことができる。
【0017】
前記パンチ上部ハウジングは、前記円錐状部に隣接して備えられ、前記円錐状部の底面を係止するハンマー係止部を含むことができる。
【0018】
前記パンチ下部ハウジングは、前記加圧部の一側に備えられる外部IGS(International Global positioning system Service)システムへIGS情報を送信するIGS情報送受信モジュールと、前記IGS情報送受信モジュールを内部に収容するIGS情報送受信モジュール収容部と、前記IGS情報送受信モジュール収容部を覆って外部の衝撃から前記IGS情報送受信モジュールを保護するIGS情報送受信モジュール収容部保護カバーと、を含むことができる。
【0019】
前記緊急脱出用パンチに連結され、カッター刃を取り付けることで、非常時に車両安全ベルトなどのベルトを切断するベルトカッターをさらに含むことができる。
【0020】
前記ベルトカッターは、前記カッター刃を取り付けるカッター刃取付部を形成するベルトカッター本体と、前記ベルトカッター本体に結合して前記カッター刃を支持するカッター刃支持カバーと、を含むことができる。
【0021】
前記ベルトカッター本体は、カッター本体ベースと、(1)前記カッター刃に向かって前記ベルトが引き込まれうるように、前記カッター本体ベースの一側に凹設されるベルト引込部と、(2)前記ベルト引込部に隣接するように傾斜面を形成して、切断された前記ベルトをガイドする第1ベルトガイド部と、を含み、前記カッター刃支持カバーは、前記第1ベルトガイド部に対して、前記カッター本体ベースの板面を基準に対向するように備えられ、切断された前記ベルトをガイドする第2ベルトガイド部とを含むことができる。
【0022】
前記ベルト引込部は、前記カッター本体ベースの長さ方向の軸と交差するように、前記ベルトの初期引込方向を決定させるために、前記カッター本体ベースの一側長辺と、前記ベルトの初期引込方向との間でなす角度のうちの、小さい方の角度である第1引込角度で傾斜するように備えられる第1引込傾斜路と、記第1引込傾斜路に連結され、前記第1引込傾斜路の最小引込幅である第1引込幅よりも大きく備えられる第2引込幅を有し、前記カッター刃が外部へと突出するように凹設される第2引込傾斜路と、を含むことができる。
【0023】
前記カッター刃は、前記カッター刃が取り付けられて、前記カッター刃の側辺の延長線と、前記カッター本体ベースの一側長辺とがなす角度のうちの小さい方の角度であるカッター刃取付角度を、前記第1引込角度よりも大きくするようにして装着できる。
【0024】
前記カッター本体ベースには、前記緊急脱出用パンチと前記カッター本体ベースとの間に連結される連結部が結合可能に貫通する連結孔が備えられ、前記ベルトカッター本体は、一側に「コ」の字状に折り曲げられて一端が開放されるように備えられ、外部物体と係合可能である係合部をさらに含むことができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、車両や建物などに火災などの緊急状況が発生した場合、車両や建物などの窓ガラスのような障害物を破砕して脱出できるようにする緊急脱出用パンチ(punch)と、有毒ガスによる被害を最小限に抑えることができるように有毒ガスをフィルタリングする防毒マスクとを、簡単且つコンパクトな構造を介して効率よく結合することで、携帯性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明の一実施形態による緊急脱出用キットの斜視図である。
図2図1の緊急脱出用キットの分解斜視図である。
図3図1の緊急脱出用キットから緊急脱出用パンチを分離して示す緊急脱出用パンチの斜視図である。
図4図3の緊急脱出用パンチの分解斜視図である。
図5図3の緊急脱出用パンチの分解断面図である。
図6図1の緊急脱出用キットから防毒マスクを分離して示す防毒マスクの斜視図である。
図7図6の防毒マスクの他の側面斜視図である。
図8図6の防毒マスクの分解斜視図である。
図9図6の防毒マスクの分解断面図である。
図10図1の緊急脱出用キットの平面図である。
図11】(a)は図10のA-A’に沿って切断した断面図、(b)は図10のB-B’に沿って切断した断面図である。
図12】本発明の他の実施形態による緊急脱出用キットの斜視図である。
図13図12の緊急脱出用キットからベルトカッターを分離して示すベルトカッターの斜視図である。
図14図13のベルトカッターの平面図である。
図15図13のベルトカッターの分解斜視図である。
図16図1の緊急脱出用キットから分離された緊急脱出用パンチの使用状態図である。
図17図1の緊急脱出用キットから分離された防毒マスクの使用状態図である。
図18図12のベルトカッターの使用状態図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明、本発明の動作上の利点、及び本発明の実施によって達成される目的を十分に理解するためには、本発明の好適な実施形態を例示する添付図面、及び添付図面に記載された内容を参照しなければならない。
【0028】
本明細書に開示されている本発明の概念による実施形態についての特定の構造的または機能的説明は、単に本発明の概念による実施形態を説明するための目的で例示されたもので、本発明の概念による実施形態は、様々な形態で実施でき、本明細書に説明された実施形態に限定されない。
【0029】
本発明の概念による実施形態は、様々な変更を加えることができ、様々な形態を持つことができるので、実施形態を図面に例示し、本明細書で詳細に説明しようとする。しかし、これは、本発明の概念による実施形態を特定の開示形態に対して限定しようとするものではなく、本発明の思想及び技術範囲に含まれるすべての変更、均等物、または代替物を含む。
【0030】
「第1」または「第2」などの用語は、様々な構成要素を説明するために使用できるが、これらの構成要素は、これらの用語によって限定されてはならない。これらの用語は、一つの構成要素を他の構成要素から区別する目的のみで、例えば、本発明の概念に基づく権利範囲から逸脱することなく、第1構成要素は第2構成要素と命名されてもよく、同様に第2構成要素は第1構成要素と命名されてもよい。
【0031】
ある構成要素が他の構成要素に「連結されて」いる或いは「接続されて」いるとしたときは、その他の構成要素に直接連結されている或いは接続されている場合もあるが、それらの間に別の構成要素が介在する場合もあると理解されるべきである。一方、ある構成要素が他の構成要素に「直接連結されて」いる或いは「直接接続されて」いるとしたときは、それらの間に別の構成要素が介在しないものと理解されるべきである。構成要素間の関係を説明するための他の表現、すなわち「~の間に」と「すぐ~の間に」又は「~に隣接する」と「~に直接隣接する」などの表現も同様に解釈されるべきである。
【0032】
本明細書で使用した用語は、単に特定の実施形態を説明するために使用されたものであって、本発明を限定しようとするものではない。単数の表現は、文脈上明白に異なる意味を有しない限り、複数の表現を含む。明細書において、「含む」又は「有する」などの用語は、本明細書に記載された特徴、数字、ステップ、動作、構成要素、部分品又はこれらの組み合わせが存在することを指定しようとするものであり、一つ又はそれ以上の他の特徴、数字、ステップ、構成要素、部分品又はこれらの組み合わせの存在又は付加可能性を予め排除しないものと理解されるべきである。
【0033】
別に定義しない限り、技術的或いは科学的用語を含んで、ここで使用される全ての用語は、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者であれば一般的に理解されるのと同一の意味を有する。一般に使用される辞典に定義されている用語は、関連技術の文脈上において有する意味と一致する意味であると解釈されるべきであり、本明細書において明白に定義しない限りは、理想的または過度に形式的な意味で解釈されない。
【0034】
以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態を説明することにより、本発明を詳細に説明する。各図面に提示された同一の参照符号は、同一の部材を示す。
【0035】
図1は本発明の一実施形態による緊急脱出用キットの斜視図、図2図1の緊急脱出用キットの分解斜視図、図3図1の緊急脱出用キットから緊急脱出用パンチを分離して示す緊急脱出用パンチの斜視図、図4図3の緊急脱出用パンチの分解斜視図、図5図3の緊急脱出用パンチの分解断面図である。
【0036】
図1乃至図5に詳細に示されているように、本実施形態による緊急脱出用キット1は、緊急脱出用パンチ(punch)100と、防毒マスク200と、を含む。
【0037】
本実施形態による緊急脱出用キット1は、緊急脱出用パンチ(punch)100と防毒マスク200を、簡単かつコンパクトな構造を介して効率よく結合することで、携帯性を向上させる。
【0038】
まず、緊急脱出用パンチ100について説明する。
【0039】
緊急脱出用パンチ100は、火災などの緊急状況が発生した場合には、窓ガラスなどの障害物に密着可能に備えられる障害物密着部111cと、加圧可能に備えられる加圧部112’と、を含む。本実施形態による障害物密着部111cは、粘着性のある粘着物質で形成される。したがって、緊急状況発生の際に、障害物に障害物密着部111cを粘着して、加圧部112’を加圧することにより、障害物Gを破砕することができる。
【0040】
つまり、緊急脱出用パンチ100は、障害物密着部111cを挟んで障害物と反対の側に備えられる、加圧部112’を外部から加圧して、障害物を容易に破砕することができるように備えられ、パンチ本体110、ハンマー120及びハンマー支持弾性体130を含む。
【0041】
パンチ本体110は、パンチ上部ハウジング111及びパンチ下部ハウジング112を含む。
【0042】
パンチ上部ハウジング111は、前述した障害物密着部111cと、ハンマー120をガイドするハンマー吐出用貫通孔111aとを有する。ハンマー吐出用貫通孔111aは、外部の一側から加圧部112’を加圧する場合に、ハンマー120の一部を、加圧部112’とは反対の側に吐出されるようにガイドする。
【0043】
つまり、ハンマー吐出用貫通孔111aは、非常時にユーザーが加圧部112’を加圧すると、外部の障害物を破砕することができるようにするために、ハンマー120の一部が吐出されるようにガイドするのであるが、ハンマー120の吐出長さを、予め決定された安全長さに制限することができる。
【0044】
このように、ハンマー120の吐出長さを、予め決定された安全長さに制限することにより、ハンマー120が過度に吐出されてユーザーに付随的な損傷が発生するということを防止することができる。
【0045】
パンチ上部ハウジング111は、ハンマー120の円錐状部121に隣接して備えられ、円錐状部121の底面を係止するハンマー係止部111bをさらに含む。このように、ハンマー係止部111bが、ハンマー120の円錐状部121を係止して、ハンマー120を安定的に支持することができるのであり、加圧部112’を加圧する場合に、即時に反応して障害物を素早く破砕することができるという効果がある。
【0046】
パンチ下部ハウジング112は、パンチ上部ハウジング111に結合され、ハンマー120の一部を外部に吐出させるために加圧することができる加圧部112’が備えられる。パンチ下部ハウジング112は、IGS情報送受信モジュール112aと、IGS情報送受信モジュール受入部112bと、IGS情報送受信モジュール受入部112bを覆って外部の衝撃からIGS情報送受信モジュール112aを保護するIGS情報送受信モジュール受入部保護カバー112cと、を含む。
【0047】
IGS情報送受信モジュール112aは、外部のIGS(International Global positioning system Service)衛星(図示せず)を通じてIGS情報を送受信する。IGS衛星(図示せず)は、GPS(Global Positioning System、グローバルポジショニングシステム)とも呼ぶ。IGS情報送受信モジュール112aは、IGS衛星から送信された信号を受信し、ユーザーの位置情報をIGS衛星に送信して、IGS情報送受信モジュール112aの位置を決定することができる。IGS衛星から送信された信号と、IGS情報送受信モジュール112aから受信された信号との時間差を測定して、IGS衛星とIGS情報送受信モジュール112aとの間の距離を求めることができ、少なくとも3つのIGS衛星とIGS情報送受信モジュール112aとの間の距離、及び、各IGS衛星の位置を用いて、三辺測量などの方法でもって、IGS情報送受信モジュール112aの位置を計算することができ、これにより、緊急脱出用キット1を使用するユーザーの位置を確認することができるため、非常時にユーザーの位置信号と救助信号などを一緒に発送して、緊急状況に直面しているユーザーの救助を容易に行うことができる。
【0048】
IGS情報送受信モジュール収容部112bは、前述したIGS情報送受信モジュール112aを内部に受け入れる空間であり、パンチ下部ハウジング112の一部にコンパクトな構造で形成されるため、IGS情報送受信モジュール112aが、緊急脱出用キット1の携帯性を損なうことなく、ユーザーの位置信号と救助信号を効率よく送受信することができるように備えられる。
【0049】
一方、ハンマー120は、パンチ本体110の内側に備えられるが、障害物とは反対の側を加圧する場合に障害物を破砕することができるように障害物に向かって一部が突出するのは前述した通りである。そして、本実施形態によるハンマー120は、円錐状部121と円筒状部122を含む。しかし、本発明の権利範囲はこれに限定されるものではなく、必要に応じて、異なる形状のハンマー120として備えられてもよい。
【0050】
円錐状部121は、ハンマー吐出用貫通孔111aを通じて、一側がパンチ本体の外側に突出可能に円錐状に備えられ、非常時に障害物を破砕することができる部分である。このようにハンマー120が障害物を破砕する側が、円錐状部121として備えられ、障害物に外部から加圧力を伝達する尖頭部分が、外部加圧力を分散させずに集中させることができる。したがって、多少低い加圧力だけでも障害物を効率よく破砕させることができるという利点がある。
【0051】
円筒状部122は、円錐状部121に連結されるが、円筒状に備えられ、円筒の断面が円錐状部の底面の広さよりも小さい広さで形成される第1円筒部122aと、円筒の断面が前記第1円筒部の断面の広さよりも小さい広さで形成される第2円筒部122bと、を含む。このように、円筒状部122は、断面の広さが異なる複数の円筒部を備え、多段に形成される。多段に形成された円筒状部122は、ハンマー支持弾性体130と結合して、ハンマー120が自動的にテイクバック(take back)されるようにするとともに、突発離脱することを防止する。
【0052】
ハンマー支持弾性体130は、前述したように、多段に形成されたハンマー120と結合されるが、ハンマー120が障害物に向かって突出してから、再びパンチ本体110の内側に戻るようにするテイクバック(take back)が可能なようにハンマー120を支持し、ハンマー120の突発の離脱を防止する。
【0053】
このように、本実施形態によるハンマー支持弾性体130は、加圧部112’を加圧してハンマー120の一部を吐出させて障害物を破砕させた後、再びハンマー120を別の措置なしにテイクバックさせることができるので、ハンマー120が突出した状態に維持されることでユーザーにハンマー120による別途の被害が生じることを防止することができる。
【0054】
また、加圧部112’を一次加圧することで障害物が一度の加圧で破砕されていない場合でも、加圧部112’を再加圧することで、自動的にテイクバックされたハンマー120を、障害物に再び吐出させて障害物を効率よく破砕させることができるという利点がある。
【0055】
図6図1の緊急脱出用キットから防毒マスクを分離して示す防毒マスクの斜視図であり、図7図6の防毒マスクの他の側面の斜視図であり、図8図6の防毒マスクの分解斜視図であり、図9図6の防毒マスクの分解断面図である。
【0056】
防毒マスク200は、これらの図に詳細に示されているように、緊急脱出用パンチ100に対して結合及び分離可能に備えられる。
【0057】
本実施形態による防毒マスク200が、緊急脱出用パンチ100に結合される場合には、緊急脱出用パンチ100の一部を外部と遮断することができる。よって、ユーザーや外部のその他の物品に、緊急脱出用パンチ100の突発の離脱による損傷が発生することを防止する。
【0058】
そして、緊急脱出用パンチ100から分離されてユーザーの呼吸器に密着する場合には、外側からユーザーの呼吸器に有毒ガスが流入することを遮断して、非常時に、ユーザーに有毒ガスによる被害が発生することを防止することができる。このように、防毒マスク200は、防毒マスク本体210と、有毒ガスフィルタリングモジュール220と、を含む。
【0059】
防毒マスク本体210は、緊急脱出用パンチ100の一部を受け入れることが可能な空間である緊急脱出用パンチ収容空間sを内側に形成する。よって、防毒マスク本体210が緊急脱出用パンチ100に結合される場合には、緊急脱出用パンチ収容空間sに緊急脱出用パンチ100の一部を受け入れることができる。
【0060】
このように、緊急脱出用パンチ100を防毒マスク本体210に受け入れて携帯性を高める。また、緊急脱出用パンチ100が突発離脱してユーザーに付随的な損傷が発生することを防止するという利点がある。
【0061】
そして、このような緊急脱出用パンチ収容空間sは、緊急脱出用パンチ100から分離されてユーザーの呼吸器に密着する場合には、ユーザーの呼吸器を受け入れることができる。このように、緊急脱出用パンチ収容空間sにユーザーの呼吸器を受け入れる場合、防毒マスク200は、ユーザーの顔面部に効率よく密着できるように、防毒マスク本体210が弾性材質で製造される。
【0062】
防毒マスク本体210は、切頭円錐状(円錐台形)に備えられる本体部210’と、本体部210’の内側の一部に、段差をなすように形成され、ユーザーの使用部位の大きさに合わせて伸縮できる軟性部214と、を含む。
【0063】
軟性部214は、本体部210’に連結され、本体部210’の厚さよりも薄く形成される第1軟性面214aと、第1軟性面214aに流線形の形状に連結され、第1軟性面214aの厚さよりも薄く形成される第2軟性面214bと、を含む。これに加えて、本実施形態による防毒マスク本体210は、第1突出部211、第2突出部212及び第3突出部213を含む。
【0064】
第1突出部211は、有毒ガスフィルタリングモジュール220の側へと突出して前記有毒ガスフィルタリングモジュール220と掛け止め結合され、第2突出部212は、緊急脱出用パンチ100側の末端から緊急脱出用パンチ収容空間sの内側中心へと向かって突設されて、緊急脱出用パンチ100と掛け止め結合されるのであり、第3突出部213は、第1突出部211と第2突出部212との間で緊急脱出用パンチ収容空間sの内側中心に向かって突設され、防毒マスク本体210との結合力を向上させる。
【0065】
有毒ガスフィルタリングモジュール220は、防毒マスク本体210に分離可能に結合されて有毒ガスをフィルタリング(filtering)し、フィルター上部ハウジング221、フィルター下部ハウジング222、及び水溶性物質収容バッグ224を含む。このように有毒ガラスフィルタリングモジュールが防毒マスク本体210に分離可能に結合されるので、防毒マスク200を非常時に使用して有毒ガスフィルタリングモジュール220が有毒ガスで汚染された場合でも、有毒ガスフィルタリングモジュール220のみを交換して再利用することができる。
【0066】
フィルター上部ハウジング221は、防毒マスク本体210に連結されて外部流体の流入を遮断する接合フレーム221dを備え、外側空気流動フレーム221a、突出ピン221b、上部結合フレーム221c、及び接合フレーム221dを含む。
【0067】
外側空気流動フレーム221aは、有毒ガスフィルター223の外側の板面に隣接して備えられ、外側空気が、有毒ガスフィルター223を経て内側に流動するか、或いは内側空気が有毒ガスフィルターを経て外側に流動することができるように、貫通形成される。
【0068】
突出ピン221bは、水溶性物質収容バッグ224と離隔して外側空気流動フレーム221aからフィルター下部ハウジング222側に向かって突設される。このように、突出ピン221bが水溶性物質収容バッグ224と離隔して備えられ、平素は水溶性物質が漏れない。しかし、緊急状況が発生した場合、外側空気流動フレーム221aを加圧して水溶性物質収容バッグ224を効果的に切開することができる。ここで、水溶性物質は、水、エチルアルコール(ethylalcohol)、3-メトキシ-3-メチル-1-ブタノール(3-Methoxy-3-Methyl-1-Butanol、MMB)、炭酸プロピレン(propylene carbonate)、ジメチルスルホキシド(dimethyl sulfoxide)及び酢酸(acetic acid)の中から選択された少なくとも1種以上として備えられうる。
【0069】
つまり、有毒ガスが漏れた場合、外側空気流動フレーム221aを加圧して突出ピン221bが水溶性物質収容バッグ224を切開すると、前記水溶性物質は、水、エチルアルコール(ethylalcohol)、3-メトキシ-3-メチル-1-ブタノール(3-Methoxy-3-Methyl-1-Butanol、MMB)、炭酸プロピレン(propylene carbonate)、ジメチルスルホキシド(dimethyl sulfoxide)及び酢酸(acetic acid)の中から選択された少なくとも1種の水溶性物質が、有毒ガスフィルター223に吸収されて、有毒ガスを効率よくフィルタリングすることができる。
【0070】
上部結合フレーム221cは、接合フレーム221d及び外側空気流動フレーム221aに連結されるが、フィルター下部ハウジング222と係合されるように凹設される陥没係止領域を備える。
【0071】
接合フレーム221dは、防毒マスク本体210に接して、外部から有毒ガスが侵入することを防止する。
【0072】
フィルター下部ハウジング222は、有毒ガスをフィルタリングする有毒ガスフィルター223を受け入れる空間である有毒ガスフィルター収容空間s1を形成する。そして、フィルター下部ハウジング222は、フィルター上部ハウジング221に結合し、下部結合フレーム222a、内側空気流動フレーム222b及び本体結合部222cを含む。
【0073】
下部結合フレーム222aは、陥没係止領域221c’の側へと突出して陥没係止領域に掛け止め結合される突出係止領域222a’を備え、内側に前記有毒ガスフィルター収容空間s1を形成する。
【0074】
内側空気流動フレーム222bは、下部結合フレーム222aの長さ方向と交差するように連結されるが、内側空気の流通のための内側空気流動部222b’を形成する。
【0075】
本体結合部222cは、下部結合フレーム222aの外側に多段に突設され、防毒マスク本体210と結合される。
【0076】
水溶性物質収容バッグ224は、有毒ガスフィルター223とフィルター上部ハウジング221との間に配置され、水溶性物質lを受け入れる。一方、有毒ガスフィルター223は、第1有毒ガスフィルター223a、第2有毒ガスフィルター223b、及び第3有毒ガスフィルター223cを含むことができる。
【0077】
第1有毒ガスフィルター223a、第2有毒ガスフィルター223b及び第3有毒ガスフィルター223cは、互いに異なる成分のフィルターとして備えられうるのであり、複数の層に備えられる有毒ガスフィルター223を通じて、様々な有毒ガスの各成分に合わせてフィルタリングすることができる。ただし、本発明の権利範囲は、これに限定されるものではなく、必要に応じて4つ以上の複数の層を備えるフィルターとして備えられうる。
【0078】
図10図1の緊急脱出用キットの平面図であり、図11の(a)は図10のA-A’に沿って切断した断面図であり、図11の(b)は図10のB-B’に沿って切断した断面図である。
【0079】
これらの図に詳細に示されているように、緊急脱出用パンチ100と防毒マスク200とは、効率よく結合して携帯性を高める。
【0080】
次に、緊急脱出用パンチ100と防毒マスク200との結合構造について詳しく説明する。
【0081】
緊急脱出用パンチ100は、前述したように、一般的に、防毒マスク本体210に備えられる緊急脱出用パンチ収容空間sに収容されることで、ユーザーが緊急脱出用パンチ100と防毒マスク200とを同時に携帯することができるように備えられる。そして、緊急脱出用パンチ100は、非常時に防毒マスク本体210から分離される。分離された緊急脱出用パンチ100は、障害物に密着して障害物を破砕させることができ、防毒マスク200は、防毒マスク本体210にユーザーの呼吸器を密着させて、有毒ガスがユーザーの呼吸器に流入することを防止することができる。
【0082】
パンチ下部ハウジング112は、防毒マスク本体210の第2突出部212に掛け止め結合することができるので、前述したように、ユーザーは、緊急脱出用パンチ100と防毒マスク200とを結合した状態で、容易に携帯することができる。
【0083】
また、第3突出部213は、パンチ上部ハウジング111を支持して安定性を高める。そして、第1突出部211には、有毒ガスフィルタリングモジュール220を分離可能に結合することができる。したがって、有毒ガスフィルタリングモジュール220を再利用することができるため、使用利便性を増大させることができるのは、前述したとおりである。
【0084】
図12は本発明の他の実施形態による緊急脱出用キットの斜視図であり、図13図12の緊急脱出用キットからベルトカッターを分離して示すベルトカッターの斜視図であり、図14図13のベルトカッターの平面図であり、図15図13のベルトカッターの分解斜視図である。
【0085】
本実施形態による緊急脱出用キット2は、ベルトカッター300をさらに含むのが、前述した実施形態との違いである。
【0086】
図12乃至図15を参照して、本発明の一実施形態と異なる部分のみを説明し、本発明の一実施形態と同じ部分はその説明を省略する。
【0087】
これらの図に詳細に示されているように、ベルトカッター300は、カッター刃CTを取り付けることができるように備えられるカッター刃取付部CPを備えることで、非常時に、車両用安全ベルトなどのように剛性の高いベルトbを、カッター刃CTを通じて切断することができるように備えられるベルトカッター本体310と、ベルトカッター本体310に結合してカッター刃CTを支持するカッター刃支持カバー320と、を含む。
【0088】
ベルトカッター本体310は、カッター本体ベース311、ベルト引込部312、第1ベルトガイド部313、及び係合部314を含む。
【0089】
カッター本体ベース311は、カッター刃取付部CPを形成して、カッター刃を安定的に支持する。
【0090】
ベルト引込部312は、カッター刃CTに向かってベルトbが引き込まれうるようにカッター本体ベース311の一側に凹設される。本実施形態によるベルト引込部312は、カッター本体ベース311の長辺側に凹設され、第1引込傾斜路312aと、第2引込傾斜路312bとを含む。
【0091】
第1引込傾斜路312aは、カッター本体ベース311の長さ方向の軸L1と交差するようにベルトbの初期引込方向を決定させるために、カッター本体ベース311の一側長辺とベルトbの初期引込方向との間でなす角度のうち小さい角度である、第1引込角度θ1で傾斜するように備えられる。したがって、ユーザーが車両の事故発生時に誤作動するベルトbを容易に引き込ませることができる。
【0092】
第2引込傾斜路312bは、第1引込傾斜路312aに連結されるが、第1引込傾斜路312aの最小引込幅である第1引込幅d1よりも大きい第2引込幅d2を備えて、カッター刃CTが外部に突出するように凹設される。したがって、第1引込傾斜路312aを通じて引き込まれたベルトbを受け入れる空間を広げることで、ベルトbに伝達される外力によってベルトが重畳する(重なり合う)場合でも、重畳したベルトbを効率よく受け入れることができ、傾斜したカッター刃CTを通じてベルトbを容易に切断することができる。
【0093】
つまり、ベルトbの切断のために、ベルトbは、第1引込傾斜路312aから第2引込傾斜路312bへと移動する。第1引込傾斜路312aは、初期引込幅から、次第にその幅が減少するように形成される。すなわち、ベルトbの初期引込の際に引込幅が大きいことから引き込みをスムーズにするのであり、次第に減少する引込幅でもって、ベルトbを、切断しやすいように整列する。
【0094】
そして、第1引込傾斜路312aの幅の最小幅である第1引込幅d1が、第2引込傾斜路312bの第2引込幅d2よりも狭く形成されているので、ベルトbを効率よく整列させる役割をする。したがって、整列されたベルトbは、第2引込傾斜路312bへと突出したカッター刃CTによって、容易に切断できる。また、第2引込傾斜路312bの第2引込幅d2は、第1引込幅d1よりも広く形成され、ベルトbを迅速に引き込ませることにより、ベルトbが重畳しても受け入れが可能な空間を形成する。
【0095】
また、本実施形態によるカッター刃CTにおいては、カッター刃CTが取り付けられて、カッター刃CTの測辺の延長線L2と、カッター本体ベース311の一側長辺との間でなす角度のうちの、小さい方の角度であるカッター刃取付角度θ2が、第1引込角度θ1よりも大きく設けられ、ベルトbとの接触面積を広げて、ベルトbが切断されやすくする。
【0096】
第1ベルトガイド部313は、ベルト引込部312に連結されるが、ベルトカッター本体310の板面に対して内側に傾斜するように備えられ、切断された第1ベルトb1をガイドする。第1ガイド傾斜面313aは、カッター刃CTから延びて傾斜面を形成するので、ベルトbが切断されて外部に容易に吐出されうるように、切断された第1ベルトb1をガイドする。
【0097】
係合部314は、一側に「コ」の字状に折り曲げられて一端が開放されるように備えられ、外部物体と掛け止め結合可能である。つまり、ユーザーが、外部の物体と係合部314を容易に掛け止めして結合することで携帯性が増大するので、非常時に、本実施形態によるベルトカッター300を迅速に使用することができる。
【0098】
カッター刃支持カバー320は、第1ベルトガイド部313とは、カッター刃CTを挟んで反対側の面に傾斜するように備えられる第2ガイド傾斜面323bを形成し、切断された第2ベルトb2をガイドする第2ベルトガイド部323を含む。
【0099】
本実施形態による第1ベルトガイド部313の長さ方向の軸と、第2ベルトガイド部323の長さ方向の軸とがなす夾角である傾斜角は、カッター刃CTの刃側尖頭断面の角度よりも大きく備えられ、切断されたベルトb1、b2を効率よく広げて容易に分離することができる。
【0100】
すなわち、図15に拡大された部分の断面に詳しく示されているように、第1ベルトガイド部313の長さ方向の軸と第2ベルトガイド部323の長さ方向の軸とがなす夾角であるガイド傾斜角θ4は、カッター刃CTの刃側尖頭断面の角度θ3よりも大きく備えられ、切断されたベルトb1、b2を容易に分離することができる。
【0101】
以下、このような構成を有する緊急脱出用キット1、2の使用方法について説明する。
【0102】
図16図1の緊急脱出用キットから分離された緊急脱出用パンチの使用状態図であり、図17図1の緊急脱出用キットから分離された防毒マスクの使用状態図であり、図18図12のベルトカッターの使用状態図である。
【0103】
一般的に、ユーザーは、本発明の緊急脱出用キット1、2を結合された一つのキットとして携帯することができる。したがって、携帯利便性を向上させることができる。
【0104】
ただし、前述したように、火災などの緊急状況が発生した場合には、緊急脱出用パンチ100、防毒マスク200及びベルトカッター300を、それぞれ分離して使用することができる。
【0105】
分離された緊急脱出用パンチ100は、図16に詳細に示されているように、障害物密着部111cを障害物に密着させた後、加圧部112’を加圧して障害物を破砕させることができる。そして、防毒マスク200は、図17に詳細に示されているように、ユーザーの呼吸器に密着させて、外部から流入する有毒ガスを遮断することができる。
【0106】
また、ベルトカッター300は、図18に詳細に示されているように、車両用安全ベルトのようなベルトbをベルト引込部312に引き込ませて切断することができる。切断されたベルトは、第1ベルトガイド部313と第2ベルトガイド部323を通じて、第1ベルトb1と第2ベルトb2に容易に分離され、ユーザーの脱出を容易にする。
【0107】
ベルトカッター300は、カッター刃CTを取り付けることができるように備えられるカッター刃取付部CPを備えて、非常時に車両用安全ベルトなどのように剛性の高いベルトbを、カッター刃CTを通じて切断可能に備えられるベルトカッター本体310と、ベルトカッター本体310に結合してカッター刃CTを支持するカッター刃支持カバー320と、を含む。
【0108】
ベルトカッター本体310は、カッター本体ベース31と、ベルト引込部312、第1ベルトガイド部313、及び係合部314を含む。
【0109】
カッター本体ベース311は、カッター刃取付部CPを形成してカッター刃を安定的に支持する。
【0110】
ベルト引込部312は、カッター刃CTに向かってベルトbが引き込まれうるように、カッター本体ベース311の一側に凹設される。本実施形態によるベルト引込部312は、カッター本体ベース311の長辺側に凹設され、第1引込傾斜路312aと第2引込傾斜路312bを含む。
【0111】
第1引込傾斜路312aは、カッター本体ベース311の長さ方向の軸L1と交差するようにベルトbの初期引込方向を決定させるために、カッター本体ベース311の一側長辺とベルトbの初期引込方向との間でなす角度のうちの小さい角度である、第1引込角度θ1で傾斜するように備えられる。したがって、ユーザーが車両の事故発生時に誤作動するベルトbを容易に引き込ませることができる。
【0112】
第2引込傾斜路312bは、第1引込傾斜路312aに連結されるが、第1引込傾斜路312aの最小引込幅である第1引込幅d1よりも大きい第2引込幅d2を備えて、カッター刃CTが外部に突出するように凹設される。したがって、第1引込傾斜路312aを介して引き込まれたベルトbを受け入れる空間を広げて、ベルトbに伝達される外力によってベルトが重畳する場合でも、重畳したベルトbを効率よく収容することができ、傾斜したカッター刃CTを介してベルトbを容易に切断することができる。
【0113】
つまり、ベルトbの切断のために、ベルトbは、第1引込傾斜路312aから第2引込傾斜路312bへ移動する。第1引込傾斜路312aは、初期引込幅から次第にその幅が減少するように形成される。すなわち、ベルトbの初期引込時に引込幅が大きくて引き込みをスムーズにし、次第に減少する引込幅にベルトbを切断しやすく整列する。
【0114】
そして、第1引込傾斜路312aの幅の最小幅である第1引込幅d1が第2引込傾斜路312bの第2引込幅d2よりも狭く形成されているので、ベルトbを効率よく整列させる役割をする。したがって、整列されたベルトbは、第2引込傾斜路312bに突出したカッター刃CTによって容易に切断できる。また、第2引込傾斜路312bの第2引込幅d2は、第1引込幅d1より広く形成されてベルトbを迅速に引き込ませることで、ベルトbが重畳しても受入可能な空間を形成する。
【0115】
また、本実施形態によるカッター刃CTは、カッター刃CTが取り付けられてカッター刃CTの側辺の延長線L2とカッター本体ベース311の一側長辺との間でなす角度のうち小さな角度であるカッター刃取付角度θ2が、第1引込角度θ1より大きく備えられ、ベルトbとの接触面積を広げてベルトbが容易に切断されるようにする。
【0116】
第1ベルトガイド部313は、ベルト引込部312に連結され、ベルトカッター本体310の板面に対して内側に傾斜するように備えられ、切断された第1ベルトb1をガイドする。第1ガイド傾斜面313aは、カッター刃CTから延びて傾斜面を形成するので、ベルトbが切断されて外部に容易に吐出できるように、切断された第1ベルトb1をガイドする。
【0117】
係合部314は、一側に「コ」の字状に折り曲げられて一端が開放されるように備えられ、外部物体と掛け止め結合可能である。つまり、ユーザーが、外部の物体と係合部314を容易に掛け止めして結合することで携帯性が増大するので、非常時に、本実施形態によるベルトカッター300を迅速に使用することができる。
【0118】
カッター刃支持カバー320は、第1ベルトガイド部313とはカッター刃CTを挟んで反対側の面に、傾斜するように備えられる第2ガイド傾斜面323bを形成することで、切断された第2ベルトb2をガイドする第2ベルトガイド部323を含む。
【0119】
本実施形態による、第1ベルトガイド部313の長さ方向の軸と、第2ベルトガイド部323の長さ方向の軸とがなす夾角である傾斜角は、カッター刃CTにおける刃側の尖頭断面の角度よりも大きく備えられ、切断されたベルトb1、b2を効率よく広げて容易に分離することができる。
【0120】
つまり、図15に拡大された部分の断面に詳しく示されているように、第1ベルトガイド部313の長さ方向の軸と第2ベルトガイド部323の長さ方向の軸とがなす夾角であるガイド傾斜角θ4が、カッター刃CTの刃側の尖頭断面の角度θ3よりも大きく設けられ、切断されたベルトb1、b2を容易に分離することができる。
【0121】
上述したような構造と作用を有する本実施形態によれば、簡単且つコンパクトな構造を通じて、車両及び建物などに、火災などの緊急状況が発生した場合、車両及び建物などの窓ガラスといった障害物を破砕して脱出することができるようにする緊急脱出用パンチ(punch)と、有毒ガスによる被害を最小限に抑えることができるように有毒ガスをフィルタリングする防毒マスクとを、効率よく結合して携帯性を向上させることができる。
【0122】
このように、本発明は、記載された実施形態に限定されるものではなく、本発明の思想及び範囲を逸脱することなく様々な修正及び変形を加え得るのは、当該技術分野における通常の知識を有する者にとって自明である。よって、それらの修正例又は変形例も本発明の請求の範囲に属するものと理解すべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11(a)】
図11(b)】
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18