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特許7209117LED照明装置、検査ユニット及び検査方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-11
(45)【発行日】2023-01-19
(54)【発明の名称】LED照明装置、検査ユニット及び検査方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/84 20060101AFI20230112BHJP
   G01B 11/00 20060101ALI20230112BHJP
   G03B 15/05 20210101ALI20230112BHJP
   H05B 47/125 20200101ALI20230112BHJP
【FI】
G01N21/84 E
G01B11/00
G03B15/05
H05B47/125
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2022000624
(22)【出願日】2022-01-05
【審査請求日】2022-06-09
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000106760
【氏名又は名称】CKD株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111095
【弁理士】
【氏名又は名称】川口 光男
(72)【発明者】
【氏名】村瀬 浩一郎
【審査官】野木 新治
(56)【参考文献】
【文献】特許第6161262(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/84
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
機械装置の動作に合わせて撮像を繰り返し行う撮像手段と、
前記撮像手段により得られた画像に基づく検査処理を行う画像処理手段とを有する検査装置用のLED照明装置であって、
前記撮像手段による撮像対象に向けて光を照射するLED照明と、
前記LED照明における点灯及び消灯を制御するLED制御手段とを備え、
前記LED制御手段は、
前記機械装置の動作速度に応じて、前記撮像手段による撮像タイミングに合わせて前記LED照明を間欠的に点灯させる間欠点灯制御と、前記撮像タイミングに関わらず前記LED照明を連続的に点灯させる連続点灯制御と、を切換えて行うことが可能に構成されており、
前記機械装置の動作速度が所定の基準速度よりも低い場合には、前記間欠点灯制御を行い、
前記機械装置の動作速度が所定の基準速度よりも高い場合には、前記連続点灯制御を行うことを特徴とするLED照明装置。
【請求項2】
前記間欠点灯制御と、前記連続点灯制御の切換えを判定する判定手段を備え、
前記判定手段は、前記LED制御手段に設けられていることを特徴とする請求項1に記載のLED照明装置。
【請求項3】
前記LED制御手段に対し、少なくとも前記間欠点灯制御が行われるときにおける前記LED照明の1回当たりの点灯時間を入力可能な入力手段を備え、
前記LED制御手段は、入力された前記点灯時間に基づき前記LED照明の制御を行うことを特徴とする請求項1又は2に記載のLED照明装置。
【請求項4】
前記間欠点灯制御と、前記連続点灯制御の切換えを判定する判定手段を備え、
前記判定手段は、前記機械装置の動作速度に応じて定まる前記LED照明の点灯周期に対する、前記間欠点灯制御が行われるときにおける前記LED照明の発光継続時間の大小に応じて、前記間欠点灯制御と、前記連続点灯制御の切換えを判定することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のLED照明装置。
【請求項5】
機械装置の動作に合わせて撮像を繰り返し行う撮像手段、及び、前記撮像手段により得られた画像に基づく検査処理を行う画像処理手段を有する検査装置と、
前記撮像手段による撮像対象に向けて光を照射するLED照明を有するLED照明装置とを備えた検査ユニットであって、
前記LED照明装置は、前記LED照明における点灯及び消灯を制御するLED制御手段を有し、
前記LED制御手段は、
前記機械装置の動作速度に応じて、前記撮像手段による撮像タイミングに合わせて前記LED照明を間欠的に点灯させる間欠点灯制御と、前記撮像タイミングに関わらず前記LED照明を連続的に点灯させる連続点灯制御と、を切換えて行うことが可能に構成されており、
前記機械装置の動作速度が所定の基準速度よりも低い場合には、前記間欠点灯制御を行い、
前記機械装置の動作速度が所定の基準速度よりも高い場合には、前記連続点灯制御を行うことを特徴とする検査ユニット。
【請求項6】
前記間欠点灯制御と、前記連続点灯制御の切換えを判定する判定手段を備え、
前記判定手段は、前記LED制御手段に設けられていることを特徴とする請求項5に記載の検査ユニット。
【請求項7】
機械装置の動作に合わせて撮像を繰り返し行う撮像工程と、
前記撮像工程により得られた画像に基づく検査処理を行う画像処理工程と、
所定のLED照明によって前記撮像工程における撮像対象に向けて光を照射する照射工程とを有する検査方法であって、
前記照射工程では、
前記機械装置の動作速度に応じて、前記撮像工程における撮像タイミングに合わせて前記LED照明を間欠的に点灯させる間欠点灯工程と、前記撮像タイミングに関わらず前記LED照明を連続的に点灯させる連続点灯工程と、が切換えて行われ、
前記機械装置の動作速度が所定の基準速度よりも低い場合には、前記間欠点灯工程が行われ、
前記機械装置の動作速度が所定の基準速度よりも高い場合には、前記連続点灯工程が行われることを特徴とする検査方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機械装置の動作に合わせて撮像を繰り返し行う撮像手段を有してなる検査装置用のLED照明装置、該LED照明装置を備えた検査ユニット、及び、LED照明を用いた検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、所定の照射手段から光の照射された検査対象を撮像する撮像手段と、該撮像手段により得られた画像に基づき検査処理を行う画像処理手段とを有する検査装置が知られている。検査装置は、例えば生産装置などの各種機械装置に適用されて、この機械装置によって処理・生産されるワークや製品の検査などに用いられる。
【0003】
また、検査装置の撮像手段は、適用される機械装置の動作に合わせて撮像を繰り返し行うように構成されることがある。例えば、回転可能な巻芯を有し、該巻芯の回転により各種シートを巻回して巻回素子を得るための巻回装置に適用される検査装置において、撮像手段は、機械装置の位相(すなわち巻芯の回転角度)が一定の値となる度に各種シートの撮像を行うように構成されることがある(例えば、特許文献1等参照)。
【0004】
さらに、照射手段(照明ランプ)の寿命を延ばすことを目的として、撮像タイミングに合わせて前記照射手段を間欠点灯させるランプ照明装置が提案されている(例えば、特許文献2等参照)。このランプ照明装置では、撮像タイミング(カメラシャッタの開放)に先立って、照射手段(照明ランプ)の点灯が開始される。これは、図18に示すように、照射手段から照射される光の輝度が十分に増大するまでに多少の立上り時間txを要するためである。
【0005】
尚、照射手段としては、省電力化などを図るべく、LED照明が広く利用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2018-170103号公報
【文献】特開平7-333174号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、上記のような撮像を繰り返し行う検査装置に対し、撮像タイミングに合わせて間欠点灯する照射手段を適用し、さらに、照射手段としてLED照明を採用することが考えられる。この場合、図19に示すように、立上り時間txを考慮して、撮像タイミングとなったときに(つまり、機械装置の位相が角度θ2となったときに)LED照明から照射される光の輝度が十分に高い状態となるように、機械装置の位相が角度θ2よりも小さな角度θ1となった段階で、LED照明の点灯を開始させる必要がある。
【0008】
上記のように構成した場合において、機械装置の動作速度がさほど高くないときには、LED照明の点灯開始から撮像開始までの時間(角度θ1から角度θ2になるまでの時間)Δtは、立上り時間txよりも十分に長いものとなる。従って、LED照明から十分に高輝度の光が照射された状態で撮像が行われることとなり、撮像した画像に基づく検査処理に何ら支障は生じない。
【0009】
ところが、機械装置の動作速度が高くなると、時間Δtが立上り時間txよりも短いものとなる。従って、光の輝度が低い状態で撮像が行われることとなり、ひいては撮像した画像に基づく検査の精度が低下するおそれがある。
【0010】
これに対し、機械装置の動作速度が高いときであっても高輝度の光が照射された環境での撮像が行われるようにすべく、機械装置の動作中(例えば巻芯の回転中)にLED照明を連続点灯することが考えられる。しかしながら、この場合には、LED照明の寿命を延ばすという目的が果たされなくなる。また、連続点灯に伴い、LED照明の接合部における温度上昇が生じ、LED照明から照射される光の波長がシフトするおそれがある。波長のシフトが生じると、得られる画像にも変化が生じるため、検査精度の低下を招くおそれがある。
【0011】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、LED照明の長寿命化を図ることができるとともに、検査装置による検査精度の低下をより確実に防止することができる、検査装置用のLED照明装置などを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
以下、上記目的を解決するのに適した各手段につき、項分けして説明する。なお、必要に応じて対応する手段に特有の作用効果を付記する。
【0013】
手段1.機械装置の動作に合わせて撮像を繰り返し行う撮像手段と、
前記撮像手段により得られた画像に基づく検査処理を行う画像処理手段とを有する検査装置用のLED照明装置であって、
前記撮像手段による撮像対象に向けて光を照射するLED照明と、
前記LED照明における点灯及び消灯を制御するLED制御手段とを備え、
前記LED制御手段は、
前記機械装置の動作速度に応じて、前記撮像手段による撮像タイミングに合わせて前記LED照明を間欠的に点灯させる間欠点灯制御と、前記撮像タイミングに関わらず前記LED照明を連続的に点灯させる連続点灯制御と、を切換えて行うことが可能に構成されており、
前記機械装置の動作速度が所定の基準速度よりも低い場合には、前記間欠点灯制御を行い、
前記機械装置の動作速度が所定の基準速度よりも高い場合には、前記連続点灯制御を行うことを特徴とするLED照明装置。
【0015】
上記手段1によれば、例えば機械装置の動作速度が比較的低い場合にはLED照明の間欠点灯を行い、機械装置の動作速度が比較的高い場合にはLED照明の連続点灯を行うことが可能となる。従って、連続点灯のみを行う構成と比べてLED照明の点灯時間(通電時間)を減少させることができ、LED照明の長寿命化を図ることができる。また、LED照明から照射される光の波長のシフトが生じにくくなり、検査精度の低下を抑制することができる。
【0016】
一方、機械装置の動作速度が高く撮像間隔が短くなったときには、連続点灯制御により、LED照明から十分に高輝度の光が照射された状態で撮像を行うことができる。そのため、検査に支障が生じない良好な画像を得ることができ、検査精度の低下をより確実に防止することができる。
【0017】
尚、間欠点灯制御又は連続点灯制御の切換えに関する判定は、次述する手段2のようにLED制御手段で行われるようにしてもよいし、LED制御手段以外の装置(例えば機械装置など)で行われるようにしてもよい。
【0018】
手段2.前記間欠点灯制御と、前記連続点灯制御の切換えを判定する判定手段を備え、
前記判定手段は、前記LED制御手段に設けられていることを特徴とする手段1に記載のLED照明装置。
【0019】
上記手段2によれば、間欠点灯制御又は連続点灯制御の切換えを判定する判定手段が、LED制御手段に設けられている。従って、機械装置側に判定手段を設ける場合と比べて、機械装置側の設定や構成などを過度に変更する必要がなくなる。これにより、上記手段1による作用効果をより容易に得ることができる。
【0020】
手段3.前記LED制御手段に対し、少なくとも前記間欠点灯制御が行われるときにおける前記LED照明の1回当たりの点灯時間を入力可能な入力手段を備え、
前記LED制御手段は、入力された前記点灯時間に基づき前記LED照明の制御を行うことを特徴とする手段1又は2に記載のLED照明装置。
【0021】
尚、「点灯時間」とあるのは、より正確には、LED照明に対し電流を供給している時間をいう。
【0022】
上記手段3によれば、入力手段によって、LED制御手段に対し、間欠点灯制御を行うときにおけるLED照明の1回当たりの点灯時間を入力することができる。これにより、検査条件や使用環境などに応じた適切な設定を容易に行うことができる。
【0023】
手段4.前記間欠点灯制御と、前記連続点灯制御の切換えを判定する判定手段を備え、
前記判定手段は、前記機械装置の動作速度に応じて定まる前記LED照明の点灯周期に対する、前記間欠点灯制御が行われるときにおける前記LED照明の発光継続時間の大小に応じて、前記間欠点灯制御と、前記連続点灯制御の切換えを判定することを特徴とする手段1乃至3のいずれかに記載のLED照明装置。
【0024】
尚、「点灯周期」とは、LED照明に対する電流の供給開始(点灯開始)から次の電流の供給開始までの時間をいう。また、「発光継続時間」とは、LED照明が発光している時間をいう。LED照明は、電流の供給が停止された後にも所定の立下り時間の間だけ発光が続く。発光継続時間は、点灯時間(電流の供給時間)と立下り時間との合計時間ということができる。
【0025】
上記手段4によれば、発光継続時間がLED照明の点灯周期よりも小さいときには間欠点灯制御を行い、発光継続時間が点灯周期よりも大きいときには連続点灯制御を行うことが可能となる。従って、間欠点灯制御時(発光継続時間がLED照明の点灯周期よりも小さいとき)においては、LED照明に対する電流の供給停止から次の供給開始までの時間を立下り時間以上の時間とすることができる。これにより、電流の供給に係る処理負担の低減を図ることができ、動作安定性の向上を図ることができる。また、電流切換に係る応答速度がさほど高くない機器を利用することができ、コストの低減を図ることができる。
【0026】
手段5.機械装置の動作に合わせて撮像を繰り返し行う撮像手段、及び、前記撮像手段により得られた画像に基づく検査処理を行う画像処理手段を有する検査装置と、
前記撮像手段による撮像対象に向けて光を照射するLED照明を有するLED照明装置とを備えた検査ユニットであって、
前記LED照明装置は、前記LED照明における点灯及び消灯を制御するLED制御手段を有し、
前記LED制御手段は、
前記機械装置の動作速度に応じて、前記撮像手段による撮像タイミングに合わせて前記LED照明を間欠的に点灯させる間欠点灯制御と、前記撮像タイミングに関わらず前記LED照明を連続的に点灯させる連続点灯制御と、を切換えて行うことが可能に構成されており、
前記機械装置の動作速度が所定の基準速度よりも低い場合には、前記間欠点灯制御を行い、
前記機械装置の動作速度が所定の基準速度よりも高い場合には、前記連続点灯制御を行うことを特徴とする検査ユニット。
【0027】
上記手段5によれば、上記手段1と同様の作用効果が奏される。
【0028】
手段6.前記間欠点灯制御と、前記連続点灯制御の切換えを判定する判定手段を備え、
前記判定手段は、前記LED制御手段に設けられていることを特徴とする手段5に記載の検査ユニット。
【0029】
上記手段6によれば、上記手段2と同様の作用効果が奏される。
【0030】
手段7.機械装置の動作に合わせて撮像を繰り返し行う撮像工程と、
前記撮像工程により得られた画像に基づく検査処理を行う画像処理工程と、
所定のLED照明によって前記撮像工程における撮像対象に向けて光を照射する照射工程とを有する検査方法であって、
前記照射工程では、
前記機械装置の動作速度に応じて、前記撮像工程における撮像タイミングに合わせて前記LED照明を間欠的に点灯させる間欠点灯工程と、前記撮像タイミングに関わらず前記LED照明を連続的に点灯させる連続点灯工程と、が切換えて行われ、
前記機械装置の動作速度が所定の基準速度よりも低い場合には、前記間欠点灯工程が行われ、
前記機械装置の動作速度が所定の基準速度よりも高い場合には、前記連続点灯工程が行われることを特徴とする検査方法。
【0031】
上記手段7によれば、上記手段1と同様の作用効果が奏される。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】電池素子の構成を示す斜視模式図である。
図2】電池素子の構成を示す平面模式図である。
図3】巻回装置の概略構成図である。
図4】巻回部の概略構成図である。
図5】巻回ユニットの電気的構成を示すブロック図である。
図6】巻回工程のフローチャートである。
図7】撮像工程のフローチャートである。
図8】検査工程のフローチャートである。
図9】制御態様判定工程のフローチャートである。
図10】照射工程のフローチャートである。
図11】カメラによって得られる画像の模式図である。
図12】巻回が開始される際の巻回部の概略構成図である。
図13】セパレータシートが切断される際の巻回部の概略構成図である。
図14】点灯周期や立上り時間などを説明するためのグラフである。
図15】巻芯の回転速度とLED照明の制御態様との関係を示すためのグラフである。
図16】巻芯の位相、LED照明の輝度及びLED照明に対する電流供給などについて、タイミングや変化の一例を示す図である。
図17】別の実施形態におけるLED照明の輝度及びLED照明に対する電流供給などについて、タイミングや変化の一例を示す図である。
図18】照射手段における立上り時間を説明するためのグラフである。
図19】撮像タイミングに合わせて照射手段を間欠点灯させる技術などを検査装置に適用した場合における、機械装置の位相やLED照明の輝度などについてのタイミングや変化の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、一実施形態について図面を参照しつつ説明する。まず、巻回装置によって得られる巻回素子としてのリチウムイオン電池素子の構成について説明する。
【0034】
図1,2に示すように、リチウムイオン電池素子1(以下、単に「電池素子1」という)は、2枚のセパレータシート2,3を介して、正電極シート4及び負電極シート5が重ね合わされた状態で巻回されることにより製造される。尚、以下においては、セパレータシート2,3及び電極シート4,5を総称する場合、「各種シート2~5」ということがある。
【0035】
セパレータシート2,3は、それぞれ同一の幅を有する帯状をなしており、異なる電極シート4,5同士が互いに接触して短絡を起こしてしまうのを防止すべく、ポリプロピレン(PP)等の絶縁素材により構成されている。セパレータシート2,3は、透明又は半透明である。従って、セパレータシート2,3を通して、正電極シート4や負電極シート5を視認することが可能である。
【0036】
電極シート4,5は、薄板状の金属シートよりなり、その表裏両面には活物質が塗布されている。正電極シート4には例えばアルミニウム箔シートが用いられ、その表裏両面に正極活物質(例えば、マンガン酸リチウム粒子等)が塗布されている。負電極シート5には例えば銅箔シートが用いられ、その表裏両面に負極活物質(例えば、活性炭等)が塗布されている。尚、セパレータシート2,3や電極シート4,5の材質は、特に限定されるわけではなく、適宜変更してもよい。
【0037】
電極シート4,5は、連続塗工形態の電極シートであり、シート幅方向における所定部分が活物質塗工部4a,5a(図2中、散点模様を付した部位)となり、残りの部分が活物質不塗工部4b,5bとなっている。そして、活物質塗工部4a,5aを介して、正電極シート4及び負電極シート5間におけるイオン交換ができるようになっている。より詳しくは、充電時には、正電極シート4側から負電極シート5側へとイオンが移動し、放電時には、負電極シート5側から正電極シート4側へとイオンが移動する。
【0038】
また、負電極シート5は、セパレータシート2,3よりも幅狭とされ、正電極シート4は、負電極シート5よりも幅狭とされている。そして、電池素子1においては、負電極シート5で正電極シート4が覆われた状態になっている。これにより、正電極シート4が負電極シート5で覆われないことに伴う不具合(例えば、正電極シート4に針状の析出物が形成され、セパレータシート2,3に傷がついてしまうこと等)が抑制され、電池素子1の品質向上が図られている。
【0039】
さらに、正電極シート4の幅方向一端縁からは図示しない複数の正極リードが延出するとともに、負電極シート5の幅方向他端縁からは図示しない複数の負極リードが延出している。
【0040】
リチウムイオン電池を得るに際しては、電池素子1が金属製で筒状をなす図示しない電池容器(ケース)内に配設されるとともに、前記正極リード及び負極リードがそれぞれまとめられる。そして、まとめられた正極リードを正極端子部品(図示せず)に接続するとともに、同じくまとめられた負極リードを負極端子部品(図示せず)に接続し、両端子部品が前記電池容器の両端開口に塞ぐように設けられることで、リチウムイオン電池を得ることができる。
【0041】
次に、電池素子1を製造するための巻回装置10と、巻回装置10によって巻回される各種シート2~5の検査を行うための検査ユニット100とを備えた巻回システム200(図5参照)について説明する。本実施形態では、巻回装置10が「機械装置」を構成する。まず、巻回装置10について説明する。
【0042】
図3に示すように、巻回装置10は、各種シート2~5を巻回するための巻回部11と、正電極シート4を巻回部11へ供給するための正電極シート供給機構31と、負電極シート5を巻回部11へ供給するための負電極シート供給機構41と、セパレータシート2,3をそれぞれ巻回部11へ供給するためのセパレータ供給機構51,61と、制御装置81とを備えている。巻回部11や各供給機構31,41,51,61など、巻回装置10内の各種装置は、制御装置81により動作制御される。
【0043】
正電極シート供給機構31は、正電極シート4がロール状に巻回されてなる正電極シート原反32を備えている。正電極シート原反32は、図示しない駆動手段によって回転可能な支持軸33により支持されている。支持軸33の回転に伴い、正電極シート原反32から正電極シート4が引き出される。
【0044】
また、正電極シート供給機構31は、シート挿入機構71と、シート切断カッタ72と、テンション付与機構73と、バッファ機構75とを備えている。
【0045】
シート挿入機構71は、正電極シート4を巻回部11へ供給するものであり、正電極シート4の搬送経路に沿って、巻回部11に接近する接近位置と、巻回部11から離間する離間位置との間を移動可能に構成されている。シート挿入機構71は、正電極シート4を把持可能な一対のチャック71a,71bを備えている。チャック71a,71bは、図示しない駆動手段により開閉動作可能に構成されている。そして、正電極シート4を巻回部11へ供給する際には、チャック71a,71bにより正電極シート4を把持した上で、シート挿入機構71が巻回部11側に接近するようになっている。
【0046】
シート切断カッタ72は、正電極シート4を切断するためのものであり、正電極シート4の表裏両側にそれぞれ位置する一対の刃部72a,72bを備えている。シート切断カッタ72は、その一対の刃部72a,72bが正電極シート4を挟むように位置するシート切断位置と、正電極シート4の搬送経路外へ退避する退避位置との間を移動可能に構成されている。
【0047】
正電極シート4の切断は、前記チャック71a,71bにより正電極シート4が把持された状態で行われる。尚、巻回部11へと正電極シート4を供給すべく、シート挿入機構71が巻回部11側へ接近移動する際には、一対の刃部72a,72bがそれぞれ正電極シート4の搬送経路から離間することで、シート挿入機構71の移動を阻害しないようになっている。
【0048】
テンション付与機構73は、一対のローラ73a,73bと、両ローラ73a,73b間において揺動自在に設けられたダンサローラ73cとを有している。ダンサローラ73cは、所定の定トルクモータ(図示せず)により動作し、正電極シート4に対し常に一定の張力を付与するように構成されている。正電極シート4に張力が付与されることで、正電極シート4の弛み防止が図られている。
【0049】
バッファ機構75は、正電極シート原反32から送り出された正電極シート4を一旦貯留するものである。バッファ機構75は、一対の従動ローラ75a,75bと、両ローラ75a,75b間において上下方向に変位可能に設けられた昇降ローラ75cとを有している。昇降ローラ75cは、正電極シート4の貯留量に基づき上下位置が変位する。
【0050】
負電極シート供給機構41は、その最上流側において、負電極シート5がロール状に巻回されてなる負電極シート原反42を備えている。負電極シート原反42は、図示しない駆動手段によって回転可能な支持軸43により支持されている。支持軸43の回転に伴い、負電極シート原反42から負電極シート5が引き出される。
【0051】
また、負電極シート供給機構41は、正電極シート供給機構31と同様に、シート挿入機構71、シート切断カッタ72、テンション付与機構73及びバッファ機構75を備えている。これらは、負電極シート5を対象として機能する点を除き、正電極シート供給機構31に設けられたものと同様である。従って、これらについての詳細な説明は省略する。
【0052】
一方、セパレータ供給機構51,61は、それぞれセパレータシート2,3がロール状に巻回されてなるセパレータ原反52,62を備えている。セパレータ原反52,62は、自由回転可能な状態で支持されており、ここから適宜セパレータシート2,3が引き出される。
【0053】
さらに、セパレータ供給機構51,61は、電極シート供給機構31,41と同様に、テンション付与機構73を備えている。該テンション付与機構73は、セパレータシート2,3を対象として機能する点を除き、正電極シート供給機構31に設けられたものと同様である。従って、これについての詳細な説明は省略する。
【0054】
また、各種シート2~5の搬送経路の途中には、一対のニップローラ78a,78bが設けられている。ニップローラ78a,78bは、各種シート2~5が同一の搬送経路に沿って搬送されるように各種シート2~5を重ねた状態とするものである。巻回部11に対しては、ニップローラ78a,78bにより重ねられた状態の各種シート2~5が供給される。
【0055】
加えて、ニップローラ78a,78bの回転量(本実施形態では、ニップローラ78bの回転量)は、図示しないニップローラ用エンコーダにより把握可能となっている。そして、該ニップローラ用エンコーダからニップローラ78bの回転量に関する情報が制御装置81へと入力される。ニップローラ78bの回転量は、各種シート2~5の送り量に対応したものである。
【0056】
次に、巻回部11の構成について説明する。図4に示すように、巻回部11は、図示しない駆動機構により回転可能に設けられた相対向する2枚の円盤状のテーブルからなるターレット12と、当該ターレット12の回転方向に180°間隔で設けられた2つの巻芯13,14と、チャック部15a,15bと、セパレータカッタ16と、巻回後の各種シート2~5がばらけるのを抑えるための押えローラ17と、所定の固定用テープを貼付するためのテープ貼付機構18とを備えている。
【0057】
巻芯13,14は、それぞれ自身の外周側において各種シート2~5を巻取るためのものであり、図示しない駆動機構により自身の中心軸を回転軸として回転可能に構成されている。巻芯13,14の回転角度や回転量は巻芯用エンコーダ82(図5参照)により検出され、該巻芯用エンコーダ82から巻芯13,14の回転角度や回転量に関する情報が制御装置81へと入力される。
【0058】
また、巻芯13,14は、ターレット12の軸線方向(図4等の紙面奥行方向)に沿って、ターレット12を構成する一方のテーブルに対し出没可能に設けられている。尚、巻芯13,14は、前記一方のテーブルから突出した状態となったときに、その先端部が他方のテーブルに形成された受け用の穴に挿通され、両テーブルによって回転可能な状態で支持されるようになっている。
【0059】
加えて、巻芯13,14は、それぞれ回転軸と直交する断面において外形線が非円形状をなすように構成されている。本実施形態において、巻芯13,14は、自身の回転軸と直交する断面において、楕円形状をなしている。但し、巻芯13,14の形状はこれに限定されるものではなく、例えば外周形状が円形状、長方形状(扁平状)、多角形状、長円形状等となる巻芯を採用してもよい。
【0060】
さらに、巻芯13(14)は、それぞれ自身の軸線方向(図4の紙面奥行方向)に沿って延びる一対の芯片13a,13b(14a,14b)を備えている。芯片13a,13b(14a,14b)間には隙間13c(14c)が形成されている。
【0061】
また、巻芯13,14は、ターレット12が回転することにより、巻回ポジションP1と、取外しポジションP2との間を旋回移動可能に構成されている。
【0062】
巻回ポジションP1は、巻芯13,14により各種シート2~5を巻回するポジションである。巻回ポジションP1に対し上記各供給機構31,41,51,61から各種シート2~5が供給される。
【0063】
取外しポジションP2は、巻回後の各種シート2~5、すなわち電池素子1の取外しを行うためのポジションである。取外しポジションP2の周辺部には、巻芯13,14から電池素子1の取外しを行うための取外装置(不図示)等が設けられている。
【0064】
チャック部15a,15bは、巻回ポジションP1及び取外しポジションP2間においてセパレータシート2,3を挟持するためのものである。チャック部15a,15bは、図示しない駆動手段によって、ターレット12や巻芯13,14の回転軸と平行な回動軸を中心として旋回移動可能に構成されている。そして、チャック部15a,15bは、それぞれ挟持位置と退避位置との間で移動可能とされている。チャック部15a,15bがそれぞれ挟持位置に移動すると、チャック部15a,15bによってニップローラ78a,78bから取外しポジションP2にかけて配されたセパレータシート2,3を挟持することが可能となる(図12,13参照)。一方、チャック部15a,15bは、それぞれ退避位置に移動すると、巻芯13,14やセパレータシート2,3等の移動を妨げない位置に配置される(図3参照)。
【0065】
セパレータカッタ16は、巻回ポジションP1及び取外しポジションP2間に配置され、チャック部15a,15bよりも取外しポジションP2側に設けられている。セパレータカッタ16は、所定の上方位置と下方位置との間で上下方向に沿って往復移動可能となっており、上方位置から下方位置へと移動することでセパレータシート2,3を切断する。
【0066】
押えローラ17は、取外しポジションP2の近傍に配置されており、ターレット12に接近し各種シート2~5を押さえる近接位置と、ターレット12から離間し巻芯13,14の移動を妨げない退避位置との間で移動可能に構成されている。
【0067】
テープ貼付機構18は、取外しポジションP2の近傍に配置されており、巻回終了時にセパレータシート2,3の終端部に前記固定用テープを貼付する。前記固定用テープの貼付により、電池素子1の巻止めがなされる。
【0068】
次いで、制御装置81について説明する。制御装置81は、演算手段としてのCPUや、各種プログラムを記憶するROM、演算データや入出力データなどの各種データを一時的に記憶するRAM、演算データ等を長期記憶するハードディスクなどを備えている。
【0069】
制御装置81は、各種シート2~5を巻取る際に、次のように動作する。すなわち、制御装置81は、巻芯13,14の回転を開始させて各種シート2~5の巻回工程を開始させるとともに、各種シート2~5を巻取っている巻芯13,14の回転角度が予め設定された一定の撮像実行角度θ2となる度に、検査ユニット100のカメラ120(図5参照)に対し撮像信号を出力する。
【0070】
また、制御装置81は、巻芯13,14の回転角度が所定角度となる度に、後述するLED制御部112に対し所定のパルス信号を出力する。
【0071】
さらに、制御装置81は、各種シート2~5の巻回時に、カメラ120を移動させるためのサーボモータの駆動を制御する。すなわち、制御装置81は、各種シート2~5の巻回が開始されると、巻芯13,14の回転速度に応じた速さでカメラ120が移動するように、前記サーボモータの駆動を制御する。
【0072】
加えて、制御装置81は、巻芯13,14に対し正電極シート4が所定量だけ巻回された段階で、前記サーボモータに対し移動停止信号及び位置リセット信号を出力することにより、カメラ120を停止させるとともに、後述する初期位置へと移動させる。但し、制御装置81は、巻回途中の各種シート2~5が不良品と判定された場合、正電極シート4が所定量巻回される前の時点で、移動停止信号及び位置リセット信号を出力する。
【0073】
そして、制御装置81は、各種シート2~5に不良が生じることなく各種シート2~5が所定量巻取られると、巻芯13,14の回転速度を徐々に低下させて、最終的に巻芯13,14の回転を停止させる。
【0074】
次いで、検査ユニット100について説明する。検査ユニット100は、図5に示すように、LED照明装置110及び検査装置150を備えている。
【0075】
LED照明装置110は、LED照明111a,111bと、該LED照明111a,111bを制御するLED制御部112と、各種情報をLED制御部112に入力するための入力部113とを備えている。本実施形態では、LED制御部112が「LED制御手段」を構成し、入力部113が「入力手段」を構成する。
【0076】
LED照明111a,111b及びカメラ120は、それぞれ巻回ポジションP1に対応して配設されている(図4参照)。
【0077】
LED照明111a,111bは、LED(発光ダイオード)及び該LEDを点灯させるための点灯回路などを有している。LED照明111a,111bは、巻回ポジションP1に位置する巻芯13,14に巻回された、検査対象としての各種シート2~5における少なくとも幅方向端縁を含む部位に対し所定の光(例えば、赤色光などの可視光や赤外光など)を照射する。尚、カメラ120によって各種シート2~5をより鮮明に撮像するという点では、セパレータシート2,3を透過する性質を持った赤色光や赤外光を照射することが好ましい。
【0078】
本実施形態において、LED照明111a,111bは、LED制御部112から電流の供給が開始されると、点灯を開始する。但し、電流の供給開始からLED照明111a,111bの輝度が十分に高いものとなるまでには多少の時間(立上り時間tx)を要する(図14参照)。
【0079】
また、LED照明111a,111bは、LED制御部112からの電流供給が停止されると、消灯する。但し、電流の供給停止からLED照明111a,111bの発光が完全に消えるまでには多少の時間(立下り時間ty)を要する。
【0080】
LED制御部112は、CPUやRAM、記憶媒体などを有するコンピュータにより構成されている。LED制御部112は、電流の供給又は供給停止を切換えることによりLED照明111a,111bの点灯又は消灯を切換える。
【0081】
また、本実施形態において、LED制御部112には、後述する間欠点灯制御が行われるときにおけるLED照明111a,111bの1回当たりの点灯時間t1、カメラ120による撮像時間(後述する撮像素子122の露光時間)t2、及び、点灯開始時間t3が記憶されている(時間t1~t3については図14,16参照)。点灯開始時間t3は、カメラ120による撮像開始タイミングを基準としたLED照明111a,111bに対する電流の供給タイミングを示す時間である。
【0082】
さらに、LED制御部112には、LED照明111a,111bに対する供給電流値、及び、LED照明111a,111bの立上り時間txや立下り時間ty(図14,16参照)についての情報が記憶されている。供給電流値を増減させることで、LED照明111a,111bの輝度を増減させることができる。
【0083】
また、LED制御部112は、巻回装置10の動作速度に応じて、間欠点灯制御又は連続点灯制御を切換えて行う。間欠点灯制御は、カメラ120による撮像タイミングに合わせてLED照明111a,111bを間欠的に点灯させる制御である。連続点灯制御は、カメラ120による撮像タイミングに関わらずLED照明111a,111bを連続的に点灯させる制御である。
【0084】
本実施形態において、LED制御部112は、巻回装置10における巻芯13,14の動作速度が所定の基準速度よりも低い場合には、間欠点灯制御を行う。間欠点灯制御を行う場合、LED制御部112は、巻芯13,14が1回転する度に次のような動作を行う。
【0085】
すなわち、LED制御部112は、制御装置81から送られるパルス信号や点灯開始時間t3(図16参照)などを利用して、巻芯13,14の回転角度(位相)が撮像実行角度θ2となる前の、電流の供給開始タイミングを算出する。
【0086】
そして、LED制御部112は、算出した供給開始タイミングになると、LED照明111a,111bに対する電流の供給を開始する。この電流供給の開始により、巻芯13,14の回転角度が撮像実行角度θ2となった段階では、LED照明111a,111bが十分に高い輝度で発光することとなる。
【0087】
その後、LED制御部112は、電流の供給開始から点灯時間t1が経過したタイミングで、LED照明111a,111bに対する電極の供給を停止する。
【0088】
LED制御部112が上記のように動作することで、間欠点灯制御を行うときには、LED照明111a,111bの点灯及び消灯が交互に繰り返し行われる。尚、消灯は、LED照明111a,111bに対する電力の供給を行っていない状態をいう。
【0089】
さらに、LED制御部112は、巻芯13,14の動作速度が前記基準速度よりも高い場合に、連続点灯制御を行う。連続点灯制御を行う場合、LED制御部112は、LED照明111a,111bに対し電流を継続的に供給する。そのため、連続点灯制御を行うときには、LED照明111a,111bが点灯し続けることになる。
【0090】
尚、LED制御部112は、連続点灯制御を行うときにおいても電流の供給開始タイミングを算出している。但し、連続点灯制御が行われるときにおいて、算出した電流の供給開始タイミングは、LED照明111a,111bに対する電力供給のためには利用されず、次述する判定部112aによる判定のために利用される。
【0091】
さらに、LED制御部112は、間欠点灯制御又は連続点灯制御の切換えを判定する判定部112aを有している。判定部112aは、巻回装置10(巻芯13,14)の動作速度に対応する点灯周期T(図16参照)と、前記基準速度に対応する基準周期とを利用して判定を行う。点灯周期Tは、電流の供給開始タイミング同士の時間間隔をいう。一方、基準周期は、点灯時間t1等に基づき設定される、判定用の閾値である。尚、本実施形態において、基準周期は、点灯時間t1と等しい時間に設定されている。
【0092】
上記判定について詳述すると、判定部112aは、巻芯13,14が1回転する度に、算出された電流の供給開始タイミングに基づき、LED照明111a,111bの点灯周期Tを算出する。その上で、判定部112aは、算出した点灯周期Tが前記基準周期よりも大きい場合、つまり、巻芯13,14の動作速度が前記基準速度よりも低いといえる場合には、間欠点灯制御を行うものと判定し、連続点灯フラグをオフとする。連続点灯フラグは、間欠点灯制御及び連続点灯制御のどちらを実行するのかについて判別するための情報である。連続点灯フラグがオフであれば間欠点灯制御が行われ、連続点灯フラグがオンであれば連続点灯制御が行われる。
【0093】
一方、判定部112aは、算出した点灯周期Tが前記基準周期よりも小さい場合、つまり、巻芯13,14の動作速度が前記基準速度よりも高いといえる場合には、連続点灯制御を行うものと判定し、連続点灯フラグをオンとする。本実施形態において、判定部112aは、回転周期Tと前記基準周期とが等しい場合、つまり、巻芯13,14の動作速度が前記基準速度と等しいといえる場合にも、連続点灯制御を行うものと判定し、連続点灯フラグをオンとする。
【0094】
上記のようにLED制御部112が構成されることで、図15,16に示すように、巻芯13,14の動作速度(回転速度)が比較的低く、点灯周期Tが比較的長くなる各種シート2~5の巻取初期では、連続点灯フラグがオフとされ、間欠点灯制御が行われる。従って、LED照明111a,111bに対する電流供給が間欠的に行われ、LED照明111a,111bは点灯及び消灯を交互に繰り返す。
【0095】
そして、巻芯13,14の動作速度が増大して各種シート2~5の巻取中期に至り、点灯周期Tが基準周期よりも小さなものとなると、連続点灯フラグがオフからオンに切換えられ、間欠点灯制御から連続点灯制御に切換わる。連続点灯制御への切換えに伴い、LED制御部112からLED照明111a,111bへと電流が継続的に供給されることとなり、LED照明111a,111bは連続的に点灯した状態となる。
【0096】
その後、各種シート2~5がさらに巻取られて、各種シート2~5の巻取終期に至ると、巻芯13,14の動作速度(回転速度)が徐々に減少していくため、連続点灯フラグがオンからオフに切換えられ、連続点灯制御から間欠点灯制御に切換わる。その結果、LED照明111a,111bに対する電流供給が再び間欠的に行われることになり、LED照明111a,111bは点灯及び消灯を交互に繰り返す状態となる。尚、各種シート2~5の巻取りがほぼ完了した段階で、LED照明111a,111bは消灯される。
【0097】
入力部113は、LED制御部112に対する各種情報の入力に用いられる。入力部113によって、それぞれ上述した点灯時間t1、撮像時間t2、点灯開始時間t3、立上り時間tx及び立下り時間tyなどをLED制御部112に入力することができる。但し、入力可能な撮像時間t2は、点灯時間t1から立上り時間tx及び立下り時間tyを減じた時間以下に自動的に制限される。また、入力可能な点灯開始時間t3は、立上り時間tx以上の時間に自動的に制限される。尚、LED照明111a,111bの長寿命化をより確実に図るべく、予め設定された上限時間以下の点灯時間t1のみが入力可能となるように構成してもよい。
【0098】
図5に戻り、検査装置150は、カメラ120及び画像処理装置130を備えている。本実施形態では、カメラ120が「撮像手段」を構成し、画像処理装置130が「画像処理手段」を構成する。
【0099】
カメラ120は、LED照明111a,111bから照射される光の波長領域に感度を有するものであり、少なくともLED照明111a,111bにより光の照らされた各種シート2~5(検査対象)を撮像するものである。
【0100】
本実施形態において、LED照明111a,111b及びカメラ120は、二組設けられており、一組は、各種シート2~5の幅方向一端縁に対応して設けられ、その他の一組は、各種シート2~5の幅方向他端縁に対応して設けられている。
【0101】
さらに、カメラ120による撮像範囲では、最外周に正電極シート4が位置し、その下にセパレータシート3が位置し、その下に負電極シート5が位置し、その下にセパレータシート2が位置した状態となっている。従って、カメラ120によって、少なくとも正電極シート4と、セパレータシート3と、セパレータシート3を透過して視認可能な負電極シート5と、セパレータシート2とが一度に撮像される。
【0102】
カメラ120は、レンズ121、撮像素子122、画像メモリ123及びカメラ制御部124を備えている。
【0103】
レンズ121は、LED照明111a,111bから照射される光のうち、各種シート2~5などを反射した光を集め、撮像素子122に対し像を結ぶものである。レンズ121は、一般レンズであってもよいし、テレセントリックレンズであってもよい。
【0104】
撮像素子122は、レンズ121を通った光を電気信号に変換するものであり、例えば、CMOSイメージセンサやCCDイメージセンサにより構成されている。
【0105】
画像メモリ123は、撮像素子122から入力された画像を記憶する。本実施形態では、各種シート2~5の巻回時において巻芯13,14が1回転する間に、1枚の画像が得られるとともに、この1枚の画像が画像メモリ123に記憶される。また、得られた画像は、画像処理装置130へと送られる。
【0106】
カメラ120により得らえる画像には、正電極シート4と、セパレータシート3と、セパレータシート3を透過して撮像された負電極シート5と、セパレータシート2とが含まれる(図11参照)。但し、セパレータシート2,3の各エッジ部2E,3E(幅方向端縁)は通常重なるため、画像中においてセパレータシート2を判別できないことがある。尚、本実施形態において、カメラ120における被写界深度は比較的浅くなるように構成されており、得られる画像は解像度の比較的高いもの、つまり、計測分解能が比較的高いものとなっている。
【0107】
カメラ制御部124は、カメラ120に係る各種制御を行う。例えば、カメラ制御部124は、撮像素子122に対しトリガ信号を出力する。トリガ信号が出力される度に、撮像素子122が露光されるとともに、撮像素子122から各種シート2~5に係る画像(画像データ)が画像メモリ123へと出力される。トリガ信号の出力は、制御装置81から撮像信号が入力される度に行われる。従って、カメラ120は、巻芯13,14の動作に合わせて撮像を繰り返し行うことになる。尚、カメラ制御部124は、LED制御部112に記憶された撮像時間t2を利用して、撮像素子122の露光時間を調節可能なものであってもよい。
【0108】
加えて、カメラ120は、レンズ121の光軸OP(図4参照)と平行に延びる図示しないボールねじに取付けられており、当該ボールねじは図示しないサーボモータが駆動することで回転する。その結果、カメラ120は、前記サーボモータの駆動により、レンズ121の光軸OP方向に沿って、巻回ポジションP1に位置する巻芯13,14に対し相対移動する。
【0109】
また、カメラ120は、少なくとも巻芯13,14に対する各種シート2~5の巻回開始直前に、予め設定された初期位置に配置されるようになっている。初期位置に配置されたカメラ120は、巻芯13,14の外周面にピントが合う状態となっている。
【0110】
そして、制御装置81による前記サーボモータの制御が行われることで、巻芯13,14に対する各種シート2~5の巻回中に、最外周に位置する各種シート2~5に対してピントが合うように、巻芯13,14に巻き付けられた各種シート2~5の厚さに応じてカメラ120が移動する。
【0111】
尚、制御装置81から所定の移動停止信号が入力されると、前記サーボモータは、カメラ120の移動を停止させる。また、制御装置81から所定の位置リセット信号が入力されると、前記サーボモータは、カメラ120の位置を前記初期位置にリセットする。
【0112】
画像処理装置130は、カメラ120により得られた画像に基づき、各種シート2~5の位置ずれ等に関する検査工程を行う。検査結果は、制御装置81へと送られる。尚、検査工程については後述する。
【0113】
次に、上記の巻回装置10による各種シート2~5の巻回工程について説明する。尚、巻回工程に先立って、一方の巻芯13(14)における隙間13c(14c)に、セパレータシート2,3が予め配置され、また、該セパレータシート2,3は、チャック部15a,15bにより保持された状態となっている(図12参照)。
【0114】
巻回工程では、図6に示すように、まず、ステップS11において、一方の巻芯13(14)を所定数だけ回転させることで、一方の巻芯13(14)に対しセパレータシート2,3が所定量だけ巻き取られた状態とする。その後、チャック部15a,15bをそれぞれ退避位置に移動させる。
【0115】
次いで、ステップS12において、負電極シート供給機構41のシート挿入機構71により、一方の巻芯13(14)側に対し負電極シート5が供給される。具体的には、負電極シート5を把持するシート挿入機構71が巻回部11側に接近し、セパレータシート2,3間に負電極シート5が挿入されることで、負電極シート5が供給される。尚、挿入後、シート挿入機構71による負電極シート5の把持が解除されるとともに、該シート挿入機構71が元の位置に戻る。
【0116】
続くステップS13では、負電極シート5の供給後、一方の巻芯13(14)が所定数(例えば1)だけ回転した段階で、正電極シート供給機構31のシート挿入機構71により、一方の巻芯13(14)側に対し正電極シート4が供給される。具体的には、正電極シート4を把持するシート挿入機構71が巻回部11側に接近し、セパレータシート2,3間に正電極シート4が挿入されることで、正電極シート4が供給される。尚、挿入後、シート挿入機構71による正電極シート4の把持が解除されるとともに、該シート挿入機構71が元の位置に戻る。
【0117】
次に、ステップS14において、撮像工程が実行される。撮像工程は、巻芯13,14によって各種シート2~5の巻回を行いつつ、カメラ120によって各種シート2~5の撮像を繰り返し行う工程である。
【0118】
撮像工程では、図7に示すように、まず、ステップS31において、一方の巻芯13(14)の回転が開始されることで、各種シート2~5が巻回されていく。尚、各種シート2~5の巻回開始に伴い、カメラ120は、巻芯13,14の回転速度に応じた速さで該巻芯13(14)から遠ざかるようにして移動していく。
【0119】
続くステップS32では、正電極シート4の送り量が予め設定された所定量に到達したか否かが判定される。すなわち、撮像工程の終了条件を満たすか否かが判定される。正電極シート4の送り量としては、前記ニップローラ用エンコーダにより取得された、巻回開始からの各種シート2~5の送り量が用いられる。また、この所定量は、電池素子1ひとつ分を構成する正電極シート4の長さに対応するものとされる。正電極シート4が前記所定量だけ巻芯13,14へと送られることで、一素子分の正電極シート4の終端部がシート切断カッタ72に対応して配置された状態となる。
【0120】
ステップS32で肯定判定された場合には、撮像工程の終了タイミングであるため、ステップS38に移行する。
【0121】
一方、ステップ32にて否定判定された場合には、ステップS33にて、画像処理装置130による検査工程によって得られた最新の検査結果に基づき、巻回されている各種シート2~5つまり巻回途中の電池素子1に不良があるか否かが判定される。
【0122】
巻回途中の電池素子1に不良がない場合(ステップS33:No)、ステップS36に移行する。一方、巻回途中の電池素子1に不良がある場合(ステップS33:Yes)、ステップS34にて各種シート2~5の巻回を途中で中止するとともに、ステップS35にて巻回途中の電池素子1が不良品であると判定し、ステップS40に移行する。
【0123】
ステップS36では、巻芯用エンコーダ82から出力された一方の巻芯13(14)の回転角度に関する情報に基づき、一方の巻芯13(14)の回転角度が前記撮像実行角度θ2であるか否かが判定される。つまり、カメラ120による撮像タイミングであるか否かが判定される。
【0124】
ステップS36で否定判定された場合には、カメラ120による撮像の実行タイミングではないため、ステップS32へと戻る。これに対し、ステップS36で肯定判定された場合には、カメラ120による撮像を実行すべく、ステップS37に移行し、制御装置81からカメラ120に対し撮像信号が出力される。これにより、カメラ制御部124からトリガ信号が出力されて、カメラ120により巻回中の各種シート2~5が撮像される。撮像により得られた画像は、カメラ120から画像処理装置130に出力される。ステップS37の後には、ステップS32に戻る。
【0125】
尚、各種シート2~5の巻取が進み、一方の巻芯13(14)に巻き付けられた各種シート2~5の合計厚さが増大するのに合わせて、カメラ120は、光軸OP方向に沿って一方の巻芯13(14)から離れる方向に徐々に移動していく。その結果、一方の巻芯13(14)の回転角度が撮像実行角度θ2となる度に、各種シート2~5のうち最も外側に巻かれた部分からカメラ120までの距離がほぼ一定となり、カメラ120のピントが合う範囲に各種シート2~5が位置する状態となる。そのため、ピントの合った画像が取得される。
【0126】
検査が順調に行われ、正電極シート4の送り量が所定量になると(ステップS32:YES)、ステップS38に移行し、一方の巻芯13,14の回転が停止される。次いで、ステップS39にて、巻回途中の電池素子1が最終的に良品と判定され、ステップS40へと移行する。
【0127】
巻回途中の電池素子1が良品又は不良品と判定されると、ステップS40において、制御装置81から前記サーボモータへと移動停止信号が出力されることで、カメラ120が停止される。その上で、ステップS41において、前記サーボモータへと位置リセット信号が出力されることで、カメラ120が初期位置に戻り、撮像工程が終了される。
【0128】
図6に戻り、ステップS14の撮像工程が行われた後には、ステップS15にて、シート挿入機構71により正電極シート4が把持された上で、シート切断カッタ72により正電極シート4が切断される。尚、検査工程にて、巻回途中の電池素子1が良品と判定されていれば、一素子分の正電極シート4の終端部にて切断される。一方、検査工程にて、巻回途中の電池素子1が不良品と判定されていれば、前記終端部よりも手前の位置で正電極シート4が切断される。
【0129】
続くステップS16では、検査工程にて良判定が行われたか否かが判定される。良判定された場合には、一方の巻芯13(14)の回転が再開された上で、ステップS17へと移行する。
【0130】
一方、ステップS16にて否定判定された場合には、一方の巻芯13(14)の回転を再開させることなく、ステップS18へと移行する。すなわち、巻回途中の電池素子1が不良品と判定されている場合には、負電極シート5がこれ以上供給されないようにする。
【0131】
ステップS17では、供給開始からの負電極シート5の送り量が所定量に到達したか否かの判定が、当該条件を満たすまで繰り返し行われる。この所定量は、電池素子1ひとつ分を構成する負電極シート5の長さに対応するものとされる。負電極シート5の送り量は、前記ニップローラ用エンコーダにより取得された各種シート2~5の送り量に基づき導出される。ステップS17で肯定判定された場合、すなわち、現在巻回されている一素子分の負電極シート5の終端部がシート切断カッタ72に到達した場合には、一方の巻芯13(14)の回転が一時停止された上で、ステップS18へと移行する。
【0132】
ステップS18では、シート挿入機構71により負電極シート5が把持された上で、シート切断カッタ72により負電極シート5が切断される。
【0133】
次いで、ステップS19において、一方の巻芯13(14)の回転を再開させることにより、電極シート4,5の終端部分(巻き残し部分)が巻き取られる。
【0134】
ステップS19に続くステップS20では、セパレータシート2,3が切断されることなく、ターレット12が反時計回りに回転させられる。これにより、巻回ポジションP1にあった一方の巻芯13(14)がセパレータ供給機構51,61からセパレータシート2,3を引き出しつつ、取外しポジションP2側へと移動していく。一方、取外しポジションP2にあった他方の巻芯14(13)が、ターレット12の一方のテーブルに没した状態で、巻回ポジションP1側へと移動していく。
【0135】
続いて、ステップS21において、ターレット12の回転に合わせて、各種シート2~5の巻回されている一方の巻芯13(14)が回転させられる。
【0136】
そして、次のステップS22において、巻終わり処理が実行されることで、巻回工程が終了される。
【0137】
巻終わり処理では、まず、巻芯用エンコーダ82により把握される、負電極シート5の切断時からの一方の巻芯13(14)の回転量が所定量に到達した時点で、一方の巻芯13(14)の回転が停止させられる。尚、一方の巻芯13(14)の回転が停止する前後、又は、停止すると同時に、ターレット12の回転が停止される。
【0138】
一方の巻芯13(14)及びターレット12の回転が停止されると、巻回ポジションP1にあった一方の巻芯13(14)が取外しポジションP2に位置し、取外しポジションP2にあった他方の巻芯14(13)が巻回ポジションP1に位置した状態となる。
【0139】
この状態で、押えローラ17が一方の巻芯13(14)に接近移動させられることで、押えローラ17により各種シート2~5が押さえられる。また、チャック部15a,15bが退避位置から挟持位置へと移動させられることで、両ポジションP1,P2間にてセパレータシート2,3が保持される。その上で、セパレータカッタ16がセパレータシート2,3に接近することにより、セパレータシート2,3が切断される(図13参照)。
【0140】
また、他方の巻芯14(13)がターレット12の一方のテーブルから突出することで、他方の巻芯14(13)の隙間14c(13c)にセパレータシート2,3が配置される。次回の巻回工程では、他方の巻芯14(13)が所定量だけ回転することにより、その外周にセパレータシート2,3が所定量だけ巻き付けられた状態となる。そして、このセパレータシート2,3が巻き付けられた他方の巻芯14(13)へと電極シート4,5が供給される。
【0141】
セパレータシート2,3の切断後、押えローラ17により各種シート2~5が押さえられた状態のまま、一方の巻芯13(14)が回転させられる。これにより、各種シート2~5の終端部分がばらけることなく完全に巻取られる。その後、テープ貼付機構18により、セパレータシート2,3の終端部が前記固定用テープにより巻止めされ、巻終わり処理が終了される。巻止めされた電池素子1は、前記取外装置によって一方の巻芯13(14)から取外される。そして、良品と判定された電池素子1は、正規のラインへと送り出される。一方、不良品と判定された電池素子1は、所定の不良品排出機構へと送り出される。
【0142】
次いで、撮像工程と並行して行われる、画像処理装置130による検査工程について説明する。本実施形態では、検査工程が「画像処理工程」に相当する。
【0143】
検査工程では、図8に示すように、まず、ステップS61にて、カメラ120から新たな画像の入力があったか否かが繰り返し判定される。そして、画像が入力されると、ステップS62に移行する。
【0144】
ステップS62では、入力された画像に対し所定の閾値を基準とした二値化処理を行うとともに、この処理により得られた二値化画像に基づき、セパレータシート3のエッジ部3E(幅方向端縁部)、セパレータシート2のエッジ部2E、正電極シート4のエッジ部4E、及び、負電極シート5のエッジ部5Eの抽出が行われる(図11参照)。尚、エッジ部2E,3Eが重なりエッジ部2Eを抽出できない場合には、エッジ部3Eをエッジ部2Eとして扱う。
【0145】
続くステップS63では、入力された画像を基に、正電極シート4における活物質塗工部4a及び活物質不塗工部4bの境界部4Tと、負電極シート5における活物質塗工部5a及び活物質不塗工部5bの境界部5Tとが抽出される(図11参照)。
【0146】
次に、ステップS64において、上記ステップS62,63で抽出したエッジ部2E,3E,4E,5Eや境界部4T,5Tを基に各種距離の算出が行われる。つまり、一方の巻芯13(14)に巻き付けられた各種シート2~5の位置ずれ量が算出される。
【0147】
具体的には、エッジ部3Eを基準として、シート幅方向における境界部4Tまでの距離L1と、シート幅方向におけるエッジ部4Eまでの距離L2と、シート幅方向における境界部5Tまでの距離L3と、シート幅方向におけるエッジ部5Eまでの距離L4と、シート幅方向におけるエッジ部2Eまでの距離(不図示)とが算出される(図11参照)。
【0148】
その後、ステップS65において、上記ステップS64で算出した各距離を基に、各距離が予め設定された許容範囲にあるか否かが判定される。
【0149】
ここで、各距離のうちのいずれかが許容範囲にないと判定された場合、すなわち、各種シート2~5における巻きずれや活物質塗工部4a,5aの塗布位置ずれが発生していると考えられる場合には、ステップS66において、巻回途中の電池素子1に不良があると判定されて、ステップS61に戻る。
【0150】
一方、ステップS65において、各距離のいずれもが許容範囲にあると判定された場合には、ステップS67において、巻回途中の電池素子1に不良がないと判定されて、ステップS61に戻る。
【0151】
尚、検査工程における良否判定手法を適宜変更してもよい。例えば、各種シート2~5の相対位置ではなく、絶対位置に基づき良否判定を行うこととしてもよい。この場合、例えば、巻芯13,14に付された目印を用い、各種シート2~5の絶対位置を得てもよい。また、検査工程にて行われる検査項目を適宜変更してもよい。
【0152】
次いで、撮像工程と並行して行われる、判定部112aによる制御態様判定工程について説明する。制御態様判定工程は、間欠点灯制御及び連続点灯制御のうちのいずれを行うかについて判定するための工程である。
【0153】
制御態様判定工程では、図9に示すように、まず、ステップS81にて、点灯周期Tを算出するタイミングであるか否かが判定される。算出タイミングであるか否かは、例えば制御装置81から送られるパルス信号に基づき判定される。
【0154】
そして、ステップS81にて肯定判定された場合には、ステップS82において、点灯周期Tが算出される。次いで、ステップS83にて、算出した点灯周期Tが前記基準周期よりも大きいか否かが判定される。点灯周期Tが基準周期よりも大きい場合(ステップS83:Yes)、ステップS84にて連続点灯フラグをオフとして、ステップS81に戻る。
【0155】
一方、ステップS83にて否定判定された場合、つまり、算出した点灯周期Tが前記基準周期よりも小さい場合には、ステップS85にて、連続点灯フラグをオンとして、ステップS81に戻る。尚、点灯周期Tと前記基準信号とが等しい場合にも、ステップS85にて連続点灯フラグをオンとして、ステップS81に戻る。
【0156】
次いで、撮像工程と並行して行われる、LED照明装置110による照射工程について説明する。照射工程では、図10に示すように、まず、ステップS101にて、連続点灯フラグがオンであるか否かが判定される。つまり、間欠点灯制御及び連続点灯制御のうちのどちらの制御を実行するのかについて判定する。
【0157】
ステップS101で否定判定された場合、すなわち、間欠点灯制御を行う場合には、ステップS102にて、LED照明111a,111bの消灯を行うタイミングであるか否かが判定される。これは、電流の供給開始タイミングから点灯時間t1が経過したか否かに基づき判定される。
【0158】
ステップS102にて肯定判定された場合には、ステップS103に移行し、LED照明111a,111bに対する電流の供給を停止して、ステップS104に移行する。電流供給の停止によりLED照明111a,111bは消灯する。これに対し、ステップS102にて否定判定された場合には、ステップS103をスキップして、ステップS104に移行する。尚、ステップS102で否定判定された場合、LED照明111a,111bに対し電流を供給している状態、又は、LED照明111a,111bに対する電流供給を停止している状態が継続されることになる。
【0159】
ステップS104では、LED照明111a,111bの点灯を行うタイミングであるか否かが判定される。これは、LED制御部112により算出された電流の供給開始タイミングに基づき判定される。
【0160】
ステップS104で肯定判定された場合には、ステップS105に移行し、LED照明111a,111bに対する電流の供給を開始(再開)して、ステップS101に戻る。一方、ステップS104で否定判定された場合には、ステップS105をスキップして、ステップS101に戻る。尚、ステップS104で否定判定された場合、LED照明111a,111bに対し電流を供給している状態、又は、LED照明111a,111bに対する電流供給を停止している状態が継続されることになる。本実施形態では、ステップS102~S105の工程が「間欠点灯工程」に相当する。
【0161】
また、ステップS101で肯定判定された場合、すなわち、連続点灯制御を行う場合には、ステップS106に移行して、LED照明111a,111bに対する電流の供給を開始又は継続し、ステップS101に戻る。本実施形態では、ステップS106の工程が「連続点灯工程」に相当する。
【0162】
以上詳述したように、本実施形態によれば、巻回装置10の動作速度が比較的低い場合にはLED照明111a,111bの間欠点灯が行われ、巻回装置10の動作速度が比較的高い場合にはLED照明111a,111bの連続点灯が行われる。従って、連続点灯のみを行う構成と比べてLED照明111a,111bの点灯時間(通電時間)を減少させることができ、LED照明111a,111bの長寿命化を図ることができる。また、LED照明111a,111bから照射される光の波長のシフトが生じにくくなり、検査精度の低下を抑制することができる。
【0163】
一方、巻回装置10の動作速度が高く撮像間隔が短くなったときには、連続点灯制御により、LED照明111a,111bから十分に高輝度の光が照射された状態で撮像を行うことができる。そのため、検査に支障が生じない良好な画像を得ることができ、検査精度の低下をより確実に防止することができる。
【0164】
さらに、間欠点灯制御又は連続点灯制御の切換えを判定する判定部112aは、LED制御部112に設けられている。従って、巻回装置10側(例えば制御装置81)に判定部を設ける場合と比べて、巻回装置10側の設定や構成などを過度に変更する必要がなくなる。これにより、上述したLED照明111a,111bの長寿命化などの作用効果をより容易に得ることができる。
【0165】
また、入力部113によって、LED制御部112に対し点灯時間t1などを入力することができる。これにより、検査条件や使用環境などに応じた適切な設定を容易に行うことができる。
【0166】
尚、上記実施形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。勿論、以下において例示しない他の応用例、変更例も当然可能である。
【0167】
(a)上記実施形態において、判定部112aは、点灯周期Tに基づき、間欠点灯制御又は連続点灯制御の切換えに係る判定を行うように構成されている。これに対し、判定部112aは、点灯周期T以外の、巻回装置10の動作速度に応じて変動する値〔例えば、消灯時間(図14参照)など〕を基づき、該判定を行うものであってもよい。
【0168】
(b)上記実施形態では、LED制御部112に設けられた判定部112aによって、連続点灯制御又は間欠点灯制御の切換えに係る判定が行われるように構成されている。これに対し、巻回装置10側(例えば制御装置81)が該判定を行うように構成してもよい。この場合、制御装置81からLED制御部112に判定結果を送り、LED制御部112は、送られた判定結果に基づき、LED照明111a,111bの制御を行えばよい。
【0169】
また、上記実施形態では、制御装置81からLED制御部112に対しパルス信号が送られ、LED制御部112は、このパルス信号を利用して、LED照明111a,111bの点灯又は消灯を制御するように構成されている。これに対し、巻芯用エンコーダ82からLED制御部112に対し、巻芯13,14の位相を示すエンコーダ信号が入力され、LED制御部112が、該エンコーダ信号から把握される巻芯13,14の位相を利用してLED照明111a,111bの制御を行うように構成してもよい。
【0170】
(c)上記実施形態では、「機械装置」としての巻回装置10を挙げているが、機械装置は巻回装置に限定されるものではない。「機械装置」は、例えば、PTPシートを製造するためのPTP包装機などであってもよい。
【0171】
PTP包装機は、容器フィルムを搬送する搬送手段(例えばフィルム送りロールなど)、搬送される容器フィルムにポケット部を形成する手段、ポケット部に内容物(錠剤など)を充填する手段、内容物の充填後にポケット部を塞ぐように容器フィルムにカバーフィルムを取着する手段、容器フィルムにカバーフィルムが取着されてなるPTPフィルムを切離してPTPシートを得る手段などを有する。
【0172】
また、PTP包装機には、該PTP包装機(特に搬送手段)の動作(容器フィルムの搬送)に合わせて撮像を繰り返し行う撮像手段と、撮像手段により得られた画像に基づく検査処理を行う画像処理手段とを有する検査装置が設けられることがある。撮像手段は、ポケット部や内容物などの検査対象の撮像を行う。
【0173】
このような検査装置に対し、本発明に係るLED照明装置を次のようにして適用することができる。すなわち、間欠搬送される撮像対象(検査対象)に向けて光を照射するようにLED照明を設定する。撮像対象は、移動開始及び移動停止を繰り返し行う。より詳しくは、撮像対象は、停止状態から徐々に加速して所定の最高速度となった後に徐々に減速し、最終的に再度停止するという動きを繰り返す。
【0174】
そして、LED制御手段は、PTP包装機の動作速度に応じて、間欠点灯制御又は連続点灯制御を切換えて行う。例えば、PTP包装機の動作速度(撮像対象の搬送速度)が所定の基準速度よりも低い場合には、撮像手段による撮像タイミングに合わせてLED照明を間欠的に点灯させ、PTP包装機の動作速度が前記基準速度よりも高い場合には、LED照明を連続的に点灯させる。
【0175】
上記のように本発明に係るLED照明装置をPTP包装機に設けられた検査装置へと適用することで、上記実施形態と同様に、LED照明の長寿命化を図ることができるとともに、検査精度の低下をより確実に防止することができる。
【0176】
(d)上記実施形態では、間欠点灯制御が行われるときに、カメラ120による撮像開始時から点灯開始時間t3だけ前のタイミングで、LED照明111a,111bに対する電流の供給が開始されるように構成されている。従って、電流の供給を開始する際における巻芯13,14の回転角度は種々異なるものとなり得る。これに対し、間欠点灯制御が行われるときに、巻芯13,14の回転角度が一定の回転角度となるタイミングで、LED照明111a,111bに対する電流の供給を開始するように構成してもよい。すなわち、電流の供給を開始する際における巻芯13,14の回転角度が常に一定となるように構成してもよい。尚、このように構成する場合には、巻芯13,14の回転角度が前記一定の角度から撮像実行角度θ2となるまでに要する時間と、立上り時間txとを比較すること等により、連続点灯制御又は間欠点灯制御の切換えに係る判定を行うようにしてもよい。
【0177】
(e)上記実施形態において、判定部112aは、基準周期(点灯時間t1)及び点灯周期Tに基づき、間欠点灯制御又は連続点灯制御の切換えを判定するように構成されている。これに対し、判定部112aは、点灯周期Tに対する発光継続時間ta(図17参照)の大小に基づき、上記判定を行うものであってもよい。発光継続時間taは、間欠点灯制御が行われるときにおいて、LED照明111a,111bの発光が継続する時間をいう。発光継続時間taは、立下り時間tyを含むものであり、点灯時間t1及び立下り時間tyの合計時間といえる。
【0178】
上記のように判定部112aを構成した場合には、発光継続時間taが点灯周期Tよりも小さいときには間欠点灯制御を行い、発光継続時間taが点灯周期Tよりも大きいときには連続点灯制御を行うことができる。従って、図17に示すように、間欠点灯制御時には、LED照明111a,111bに対する電流の供給停止から次の供給開始までの時間を立下り時間ty以上の時間とすることができる。これにより、電流の供給に係る処理負担の低減を図ることができ、動作安定性の向上を図ることができる。また、電流切換に係る応答速度がさほど高くない機器を利用することができ、コストの低減を図ることができる。
【0179】
(f)間欠点灯制御又は連続点灯制御の切換えを判定するときに利用される基準(上記実施形態では基準周期がこれに相当する)は、1の数値であってもよいし、ある程度の幅を有する数値範囲であってもよい。後者の場合、例えば、機械装置の動作速度に応じて変動する値(例えば、点灯周期Tなど)がこの数値範囲に含まれることとなったか否かに基づき、判定を行うようにしてもよい。
【0180】
(g)上記実施形態では、撮像工程を行うときに、点灯時間t1や点灯開始時間t3等が変動しないように構成されているが、機械装置の動作速度に応じて、点灯時間t1や点灯開始時間t3等が自動的に変動するように構成してもよい。
【0181】
(h)上記実施形態では、各種シート2~5の巻取時に、カメラ120が移動するように構成されているが、カメラ120が移動しない構成であってもよい。
【符号の説明】
【0182】
10…巻回装置(機械装置)、100…検査ユニット、110…LED照明装置、111a,111b…LED照明、112…LED制御部(LED制御手段)、112a…判定部(判定手段)、113…入力部(入力手段)、120…カメラ(撮像手段)、130…画像処理装置(画像処理手段)、150…検査装置。
【要約】
【課題】LED照明の長寿命化が図られるとともに、検査装置による検査精度の低下をより確実に防止することができる、検査装置用のLED照明装置などを提供する。
【解決手段】LED照明装置110は、カメラ120による撮像対象に向けて光を照射するLED照明111a,111bと、LED照明111a,111bを制御するLED制御部112とを備える。LED制御部112は、機械装置の動作速度に応じて、LED照明111a,111bを間欠的に点灯させる間欠点灯制御、又は、LED照明111a,111bを連続的に点灯させる連続点灯制御を切換えて行う。これにより、連続点灯のみを行う構成と比べてLED照明111a,111bの点灯時間を減少させることができ、また、機械装置の動作速度が高いときであっても、連続点灯制御を行うことで、検査に支障が生じない良好な画像を得ることができる。
【選択図】 図5
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19