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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-11
(45)【発行日】2023-01-19
(54)【発明の名称】吸引装置
(51)【国際特許分類】
   A24F 40/53 20200101AFI20230112BHJP
【FI】
A24F40/53
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2022530734
(86)(22)【出願日】2021-12-17
(86)【国際出願番号】 JP2021046761
【審査請求日】2022-05-25
(31)【優先権主張番号】P 2021075849
(32)【優先日】2021-04-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000004569
【氏名又は名称】日本たばこ産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104880
【弁理士】
【氏名又は名称】古部 次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100125346
【弁理士】
【氏名又は名称】尾形 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100118108
【弁理士】
【氏名又は名称】久保 洋之
(72)【発明者】
【氏名】吉田 亮
(72)【発明者】
【氏名】青山 達也
(72)【発明者】
【氏名】川中子 拓嗣
(72)【発明者】
【氏名】長浜 徹
(72)【発明者】
【氏名】藤木 貴司
【審査官】永安 真
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-068762(JP,A)
【文献】特開平09-152235(JP,A)
【文献】特開2009-265296(JP,A)
【文献】特開2003-110740(JP,A)
【文献】特開平10-174203(JP,A)
【文献】特開昭61-090295(JP,A)
【文献】国際公開第2020/193200(WO,A1)
【文献】特開平05-052354(JP,A)
【文献】特開2015-033981(JP,A)
【文献】特開2003-091983(JP,A)
【文献】実公昭53-006895(JP,Y2)
【文献】特開2018-171182(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F 40/00 - 47/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアロゾル源を保持する基材を電池からの電力により加熱してエアロゾルを生成する加熱部と、
自装置の状態を表示するための一列に配置された複数の表示部と、
自装置にエラーが発生した場合に、当該エラーが発生した旨を前記複数の表示部に表示するように制御する制御部と
を備え、
前記エラーの種別は、自装置に対する操作によって回復不可能なエラーの種別を含み、
前記制御部は、前記エラーが発生した状態で、外部から電力が供給された場合に、当該エラーが発生した旨を前記複数の表示部に表示するように制御する、吸引装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸引装置、表示装置、表示方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、通知部が、電源部に生じた不具合に応じてデータに基づき制御部によって生成されたエラー信号を受けた場合に、エラー信号にしたがって例えば光および/または音を出力するエアロゾル生成装置が開示されている。そして、通知部は、例えば、LEDなどの発光装置でよいこと、及び、制御部は、エラー信号によって、通知部を青色と赤色とに交互に点滅させる回数を変えることが記載されている。
【0003】
特許文献2には、制御部が、非通常状態の内容や原因に基づいたエラー信号を生成し、通知部に、エラー信号に応じた通知をさせるエアロゾル生成装置が開示されている。そして、通知部は、例えば、発光ダイオードであり、例えば、電源ユニットの上流端部又は電源ボタンの周方向に沿って設けられてよいこと、及び、制御部は、非通常状態を検知する処理の内容によって、通知部に暖色系統、寒色系統の発光を交互に点滅させる回数を変えることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2020-68762号公報
【文献】特開2020-68690号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
機器が動作を行っている場合の機器の状態には、例えば、電池の残量の状態や、電池の充電の状態がある。このような状態を表示する場合、一列に配置された複数の表示部のどの程度まで進んだかによって表示すると分かり易い。
【0006】
また、機器に発生するエラーには、様々な種別がある。機器にエラーが発生した場合にエラーが発生した旨を表示する場合、一列に配置された複数の表示部であれば様々な表示態様で表示できてエラーが発生した旨が分かり易い。
【0007】
機器が動作を行っている場合の機器の状態及び機器にエラーが発生した場合のエラーが発生した旨を表示する複数の表示部が一列に配置されていない構成を採用したのでは、機器の状態及びエラーが発生した旨を分かり易く表示することができない。
【0008】
本発明の目的は、機器が動作を行っている場合の機器の状態及び機器にエラーが発生した場合のエラーが発生した旨を分かり易く表示することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
かかる目的のもと、本発明は、エアロゾル源を保持する基材を電池からの電力により加熱してエアロゾルを生成する加熱部と、自装置が動作を行っている場合に自装置の状態を表示するための一列に配置された複数の表示部と、自装置にエラーが発生した場合に、エラーが発生した旨を複数の表示部に表示するように制御する制御部とを備える、吸引装置を提供する。
【0010】
制御部は、エラーが発生した旨を、エラーの種別に応じた表示態様で複数の表示部に表示するように制御する、ものであってよい。
【0011】
その場合、エラーの種別に応じた表示態様は、複数の表示部の全部又は一部を点滅させる表示態様を含む、ものであってよい。
【0012】
また、その場合、エラーの種別に応じた表示態様は、複数の表示部の全部又は一部を、予め定められた期間点灯させた後、予め定められた期間消灯させる表示態様を含む、ものであってもよい。
【0013】
更に、その場合、エラーの種別に応じた表示態様は、複数の表示部の第1の部分及び第2の部分を点灯させ、複数の表示部の第3の部分を消灯させる表示態様を含む、ものであってもよい。そして、第1の部分は、複数の表示部の一方の端部の1つの表示部を含み、第2の部分は、複数の表示部の他方の端部の1つの表示部を含む、ものであってよい。
【0014】
その場合、エラーの種別は、自装置のシステムにおける警告レベルのエラーの種別、及び、自装置の温度が予め定められた温度範囲外にあることによるエラーの種別の少なくとも何れか一方を含む、ものであってよい。そして、制御部は、エラーが発生した状態で、エアロゾル源を加熱するための操作が行われた場合に、エラーが発生した旨を複数の表示部に表示するように制御する、ものであってよい。
【0015】
また、その場合、エラーの種別は、自装置に対する操作及び時間の経過の何れによっても回復不可能なエラーの種別を含む、ものであってもよい。そして、制御部は、エラーが発生した状態で、外部から電力が供給された場合に、エラーが発生した旨を複数の表示部に表示するように制御する、ものであってよい。
【0016】
更に、その場合、エラーの種別は、自装置を保護する部材が取り外されていることによるエラーの種別を含む、ものであってもよい。そして、制御部は、エラーが発生した状態で、禁止された状態に遷移するための操作が行われた場合に、エラーが発生した旨を複数の表示部に表示するように制御する、ものであってよい。
【0017】
動作は、基材を加熱する動作、エアロゾルを吸引させる動作、電池の残量を通知する動作、及び電池を充電する動作の少なくとも1つであってよい。
【0018】
また、本発明は、機器が動作を行っている場合に機器の状態を表示するための一列に配置された複数の表示部と、機器にエラーが発生した場合に、エラーが発生した旨を複数の表示部に表示するように制御する制御部とを備える、表示装置も提供する。
【0019】
制御部は、エラーが発生した旨を、エラーの種別に応じた表示態様で複数の表示部に表示するように制御する、ものであってよい。
【0020】
更に、本発明は、機器が動作を行っている場合に、機器の状態を、一列に配置された複数の表示部に表示するステップと、機器にエラーが発生した場合に、エラーが発生した旨を複数の表示部に表示するステップとを含む、表示方法も提供する。
【0021】
更にまた、本発明は、コンピュータに、機器が動作を行っている場合に、機器の状態を、一列に配置された複数の表示部に表示する機能と、機器にエラーが発生した場合に、エラーが発生した旨を複数の表示部に表示する機能とを実現させるためのプログラムも提供する。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、機器が動作を行っている場合の機器の状態及び機器にエラーが発生した場合のエラーが発生した旨を分かり易く表示することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】(a),(b)は、本発明の実施の形態における吸引装置の全体斜視図である。
図2】(a),(b)は、本発明の実施の形態における吸引装置のパネル及び本体ハウジングの外観図である。
図3】本発明の実施の形態における吸引装置の構成例を示す模式図である。
図4】(a)~(e)は、吸引装置がスティック型基材を予備加熱する動作を行う際のLEDの表示例を示した図である。
図5】(a)~(e)は、吸引装置がエアロゾルを吸引させる動作を行う際のLEDの表示例を示した図である。
図6】(a)~(e)は、吸引装置がバッテリ残量を通知する動作を行う際のLEDの表示例を示した図である。
図7】(a)~(e)は、吸引装置が充電式バッテリを充電する動作を行う際のLEDの表示例を示した図である。
図8】システム系エラーが発生した場合におけるLEDの全部点滅態様での表示の例を示した図である。
図9】温度エラーが発生した場合におけるLEDのアニメーション態様での表示の例を示した図である。
図10】永久故障エラーが発生した場合におけるLEDの歯抜け態様での表示の例を示した図である。
図11】パネルエラーが発生した場合におけるLEDの一部点滅態様での表示の例を示した図である。
図12】本発明の実施の形態における吸引装置の制御部のシステム系エラー又は温度エラーが発生した場合の動作例を示したフローチャートである。
図13】本発明の実施の形態における吸引装置の制御部の永久故障エラーが発生した場合の動作例を示したフローチャートである。
図14】本発明の実施の形態における吸引装置の制御部のパネルエラーが発生した場合の動作例を示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0025】
[吸引装置の外観構成例]
図1(a),(b)は、本実施の形態における吸引装置1の全体斜視図である。図1(a)は、斜め上方からの全体斜視図を示し、図1(b)は、斜め下方からの全体斜視図を示す。図示するように、吸引装置1は、パネル10と、パネル10を着脱可能な本体ハウジング20と、シャッタ50とを備える。パネル10及び本体ハウジング20は別部材で構成される。パネル10は、その表面に透明な素材で構成される表示窓60を備える。本体ハウジング20は、吸引装置1の本体30を収容する。また、本体ハウジング20は、USBタイプCのコネクタ等の外部接続端子70を備える。
【0026】
パネル10が本体ハウジング20に対して取り付けられることにより、吸引装置1の最外のハウジング40が構成される。また、吸引装置1は、パネル10を備えることにより、本体30が発熱した場合も外部に放出される熱を緩衝することができる。つまり、パネル10は、本体30の加熱部から生じる熱を断熱するように機能する。更に、パネル10は、表面が略曲面となるように形成される。そして、本体ハウジング20に取り付けられると、パネル10は本体ハウジング20の表面と共に内部空間を画定する。
【0027】
ハウジング40は、ユーザの手に収まるようなサイズとするのがよい。ユーザは、指先をパネル10の表面に接触させながら、吸引装置1を片手で保持する。また、ユーザが指先でパネル10の表面を押し込むことにより、パネル10は、本体ハウジング20に向けて凹みを形成するように変形する。このようなパネル10の変形の結果、パネル10に設けた突起が、本体ハウジング20の表面に設けられた操作ボタンと接触することにより、操作ボタンが押下される。即ち、パネル10の表面の指先で押し込まれる部分はボタン領域15を形成する。
【0028】
尚、ユーザがパネル10を変形させるには、例えば、複数の指を使ってボタン領域15を同時に押し込む必要がある。例えば、ハウジングの表面に突出するように設けた単一のボタンをユーザが単一の指で押下するのと比較して、より大きな押圧力を必要とする。即ち、本実施の形態における吸引装置1は、鞄の中で誤って操作ボタンが押下されることをはじめ、ユーザによる意図しない誤操作を防止することができる点で有利である。また、吸引装置1の使用者としては適切でない子供の押圧力では、簡単にパネル10のボタン領域15を押し込むことができないため、いたずら防止(チャイルドレジスタンス)の点でも有利である。
【0029】
本体ハウジング20はスティック型基材が挿入される開口を備えるが、図1では、シャッタ50が開口を閉塞しているように示している。シャッタ50は、スライド機構を有し、開口を閉塞する第1位置と、開口を開放する第2位置との間を、外殻の表面に沿って移動可能とする。尚、開口の開閉は、第1位置及び/又は第2位置の近傍にセンサ(不図示)を設けることにより検出可能である。例えば、シャッタ50には磁石が配置され、磁気センサによって開口の開閉が検出される。
【0030】
ユーザが指を掛けて側面に沿ってシャッタ50をスライドさせることにより、開口が開放される。開口が開放される結果、ユーザはスティック型基材を挿入することができる。そして、ユーザは、スティック型基材を挿入した後に、パネル10の表面を指で押し込んで操作ボタンを押下することにより、吸引装置1の電源を投入することができる。
【0031】
[パネル及び本体ハウジングの各外観構成例]
図2(a),(b)は、吸引装置1のパネル10及び本体ハウジング20の外観図である。図2(a)はパネル10の内側表面の外観図を示し、図2(b)は本体ハウジング20の外側表面の外観図を示す。パネル10が本体ハウジング20に取り付けられる状態で、パネル10の内側表面と、本体ハウジング20の外側表面とが相互に対向する。
【0032】
図2(a)に示すように、パネル10の内側表面には、磁石11、突起12、磁石13、及び磁石14が長手方向に沿って配置されている。磁石11及び磁石14は、パネル10を本体ハウジング20に取り付けると、それらの磁力(磁気的引力)により、本体ハウジング20に吸着させる。これによりパネル10が本体ハウジング20に保持される。突起12は、本体ハウジング20の表面に設けた操作ボタン22を押下する。磁石13は、本体30のセンサ部に対する磁場印加部として構成される。つまり、磁石13から印加する磁場に対し、本体ハウジング20の磁気センサ23でその磁力を検出させることにより、パネル10を検出させる。
【0033】
図2(b)に示すように、本体ハウジング20の外側表面には、磁石21、通過孔25、操作ボタン22、及び磁石24が、シャッタ50の側から長手方向に沿って配置されている。また、本体ハウジング20の内側表面(より正確には、内側表面に対して略ゼロ距離となる基板上)には、長手方向に沿って操作ボタン22と磁石24の間となる位置に磁気センサ23が配置されている。本体ハウジング20の磁石21、操作ボタン22、磁気センサ23、及び磁石24は、パネル10の磁石11、突起12、磁石13、及び磁石14にそれぞれ対応する。つまり、パネル10を本体ハウジング20に取り付けたときに、それぞれに対して位置合わせされ、対向することになる。
【0034】
本体ハウジング20の磁石21及び磁石24は、それらの磁力(磁気的引力)により、パネル10の磁石11及び磁石14とそれぞれ吸着する。つまり、磁石11及び磁石21と、磁石14及び磁石24とが相互に引き合うことにより、パネル10を本体ハウジング20に取り付け可能に保持する。尚、パネル10の磁石11及び磁石14、並びに本体ハウジング20の磁石21及び磁石24は、永久磁石によって構成されるのがよい。
【0035】
操作ボタン22は、パネル10を取り付ける表面に設けられる。つまり、操作ボタン22は、パネル10が本体ハウジング20に取り付けられたときに、パネル10によって覆われ、パネル10の突起12によって押下される。これにより、例えば、吸引装置1の電源オンと電源オフを切り替えることができる。
【0036】
磁気センサ23は、パネル10における磁石13から印加される磁場に基づく磁力を検出する。例えば、磁気センサ23は、ホール素子を用いて構成されるホールセンサとするのがよい。これにより、パネル10の本体ハウジング20への取り付けを検出することができる。
【0037】
本体ハウジング20の磁気センサ23は、パネル10が本体ハウジング20に取り付けられた状態で、本体ハウジング20の内側表面を介して、パネル10の磁石13に対向するように配置されている。つまり、パネル10が本体ハウジング20に取り付けられたときに、本体ハウジング20の磁気センサ23と、パネル10の磁石13との距離は最小となる。
【0038】
また、本体ハウジング20の磁気センサ23は、本体ハウジング20の2つの磁石21及び磁石24がそれぞれ生成する磁場を検知しないように構成される。具体的には、本体ハウジング20の内側表面において、本体ハウジング20の外側表面の2つの磁石21及び磁石24から離間した位置に磁気センサ23を配置するのがよい。これにより、磁気センサ23において、これら2つの磁石21及び磁石24からの磁場の影響を略ゼロとすることができる。
【0039】
更に、本体ハウジング20において磁気センサ23と磁石24(又は磁石21)との間の離間された距離が、パネル10が本体ハウジング20に取り付けられた状態の磁石13と磁気センサ23との間の距離よりも大きくなるように構成するのがよい。これにより、パネル10の本体ハウジング20への取り付けを検出する際に、磁気センサ23において、磁石24の磁場の影響を考慮することなく、磁石13から印加される磁場の影響のみを適切に考慮することができる。
【0040】
通過孔25は、本体30内に配置された1つ以上のLED(Light Emitting Diode)と位置合わせされた開口であり、LEDからの光を、パネル10の表示窓60まで通過させる。これにより、ユーザは、パネル10の外側表面からその光を視認することができる。
【0041】
[吸引装置の構成例]
図3は、吸引装置1の構成例を示す模式図である。吸引装置1では、例えば、吸引成分源であるエアロゾル源及び香味源を含む充填物等の香味発生基材を有するスティック型基材100が挿入される。尚、エアロゾル源は液体に限られるものではなく、固体であってもよい。挿入されたスティック型基材100は、その外周から加熱されることによって、香味を含むエアロゾルを生成する。
【0042】
図3に示すように、吸引装置1は、制御部90、電源部91、センサ部92、通知部93、記憶部94、通信部95、保持部80、加熱部81、及び断熱部82を含む。尚、吸引装置1のこれらの要素は、図1に示した本体30内に収納される。
【0043】
制御部90は、演算処理装置及び制御装置として機能し、各種プログラムに従って吸引装置1内の動作全般を制御する。制御部90は、例えばCPU(Central Processing Unit)、マイクロプロセッサ等の電子回路によって実現される。
【0044】
電源部91は、電力を蓄積する。そして、電源部91は、制御部90による制御に基づいて、吸引装置1の各構成要素に電力を供給する。電源部91は、例えば、リチウムイオン二次電池等の充電式バッテリにより構成され得る。
【0045】
センサ部92は、吸引装置1に関する各種情報を取得する。一例として、センサ部92は、マイクロホンコンデンサ等の圧力センサ、流量センサ又は温度センサ等により構成され、ユーザによる吸引に伴う値を取得する。他の一例として、センサ部92は、ボタン又はスイッチ等の、ユーザからの情報の入力を受け付ける入力装置により構成される。
【0046】
また、センサ部92は、パネルの本体ハウジングへの取り付けを検出する。例えば、センサ部92は、磁気センサ(例えば、ホール効果を用いて磁気を検出するホール素子を用いたホールセンサ)によって構成される。そして、センサ部92は、磁気センサに対して磁場を印加する磁場印加部(例えば、磁石及び/又は磁性体)を備えるパネルがセンサ部92の近傍にあることを検出する。
【0047】
通知部93は、情報をユーザに通知する。通知部93は、例えば、LED等の発光素子からなる表示部、画像を表示する表示装置、音を出力する音出力装置、又は振動する振動装置等により構成される。
【0048】
尚、例えば、LEDは所定の発光態様により、吸引装置1の動作情報を通知する。具体的には、LEDは、吸引装置1が電源オンであるかの状態、予備加熱の進捗状況、吸引状況(吸引可能な残り時間等)、現在吸引装置1がどの動作モードにあるか(例えば、吸引モード及び/又は通信モード等)をユーザに提示するために発光する。
【0049】
記憶部94は、吸引装置1の動作のための各種情報を記憶する。記憶部94は、例えば、フラッシュメモリ等の不揮発性の記憶媒体により構成される。また、記憶部94は、吸引装置1を動作させるためのコンピュータ実行可能命令に加えて、ファームウェアのようなプログラム等も格納する。
【0050】
通信部95は、有線又は無線の任意の通信規格に準拠した通信を行うことが可能な通信インタフェースである。かかる通信規格としては、無線通信の場合は、例えば、Wi-Fi(登録商標)、又はBluetooth(登録商標)等が採用され得る。また、有線通信の場合は、外部接続端子70を通じて、例えば、データ通信ケーブルを接続する。これにより、外部装置との間で吸引装置1の動作に関連するデータの入/出力を行う。
【0051】
尚、通信部95は、シャッタ50の開口84が開放されたことを契機として通信機能を活性化し、Bluetooth(登録商標)等を用いて、外部端末との通信を開始してもよい。また、シャッタ50の開口84が閉塞されたことを契機として、通信中の外部端末との通信を終了してもよい。通信部95と外部端末との間のBluetooth(登録商標)接続は、特に、BLE(Bluetooth Low Energy)による接続とするのがよい。
【0052】
保持部80は、内部空間83を有し、内部空間83にスティック型基材100の一部を収容しながらスティック型基材100を保持する。保持部80は、内部空間83を外部に連通する開口84を有し、開口84から内部空間83に挿入されたスティック型基材100を保持する。例えば、保持部80は、開口84及び底部85を底面とする筒状体であり、柱状の内部空間83を画定する。尚、本明細書において、スティック型基材100が内部空間83に挿入される方向を、吸引装置1の長手方向とする。
【0053】
保持部80は、内部空間83の内側の壁に、長手方向に沿って押圧部及び非押圧部(何れも不図示)を有する。内部空間83がスティック型基材100を受け入れると、押圧部はスティック型基材100を長手方向の垂直方向に押圧する。そして、スティック型基材100は押圧部により押圧され変形されながら保持部80によって挟持される。その結果、スティック型基材100は、押圧されながら、加熱部81によって外周から加熱されることになる。
【0054】
一方、非押圧部とスティック型基材100との間には空隙(不図示)が形成される。これにより、空隙を通じて開口84及び底部85が連通される。
【0055】
保持部80は、スティック型基材100へ供給される空気の流路を画定する機能も有する。かかる流路への空気の入り口である空気流入孔86は開口84である。より正確には、空気流入孔86は、非押圧部とスティック型基材100との間の空隙である。ユーザによる吸引に伴い空気流入孔86から流入した空気は、点線で示した矢印に沿って、スティック型基材100を通じて、流路からの空気の出口である空気流出孔87に輸送される。
【0056】
スティック型基材100は、基材部101、及び吸口部102を含む。基材部101は、エアロゾル源を含む。スティック型基材100が保持部80に保持された状態において、基材部101の少なくとも一部は内部空間83に収容され、吸口部102の少なくとも一部は開口84から突出する。そして、開口84から突出した吸口部102をユーザが咥えて吸引すると、空気流入孔86から内部空間83に空気が流入し、点線で示した矢印に沿って、底部85を介して吸口部102の空気流出孔87に輸送され、基材部101から発生するエアロゾルと共にユーザの口腔内に到達する。スティック型基材100は、エアロゾル源を保持する基材の一例である。
【0057】
加熱部81は、エアロゾル源を加熱することで、エアロゾル源を霧化してエアロゾルを生成する。加熱部81は、フィルム状に構成され、保持部80の外周を覆うように配置される。そして、加熱部81が発熱すると、スティック型基材100の基材部101が外周から加熱され、エアロゾルが生成される。加熱部81は、電源部91から給電されると発熱する。一例として、ユーザが吸引を開始したこと、所定のユーザ入力操作を受け付けたこと、及び/又は所定の情報が入力されたことがセンサ部92により検出された場合に、給電されてもよい。そして、ユーザが吸引を終了したこと、所定のユーザ入力操作を受け付けたこと、及び/又は所定の情報が入力されたことが、センサ部92により検出された場合に、電力の供給が停止されてもよい。加熱部81は、基材を電池からの電力により加熱してエアロゾルを生成する加熱部の一例である。
【0058】
断熱部82は、加熱部81から他の構成要素への伝熱を防止する。例えば、断熱部82は、真空断熱材、又はエアロゲル断熱材等により構成される。
【0059】
以上、吸引装置1の構成例を説明した。もちろん吸引装置1の構成は上記に限定されず、以下に例示する多様な構成をとり得る。
【0060】
一例として、加熱部81は、ブレード状に構成され、保持部80の底部85から内部空間83に突出するように配置されてもよい。その場合、ブレード状の加熱部81は、スティック型基材100の基材部101に挿入され、スティック型基材100の基材部101を内部から加熱する。他の一例として、加熱部81は、保持部80の底部85を覆うように配置されてもよい。また、加熱部81は、保持部80の外周を覆う第1の加熱部、ブレード状の第2の加熱部、及び保持部80の底部85を覆う第3の加熱部のうち、2以上の組み合わせとして構成されてもよい。
【0061】
また、エアロゾル源を霧化する手段は、加熱部81による加熱に限定されない。例えば、エアロゾル源を霧化する手段は、誘導加熱であってもよい。
【0062】
[吸引装置の動作の概要]
以上のような吸引装置1において、本実施の形態では、通知部93を、自装置が動作を行っている場合に自装置の状態を表示するための一列に配置された複数の表示部により構成する。そして、制御部90は、自装置にエラーが発生した場合に、エラーが発生した旨を複数の表示部に表示するように制御する。
【0063】
ここで、動作は、通常動作であり、スティック型基材100を加熱する動作、エアロゾルを吸引させる動作、電源部91の充電式バッテリの残量を通知する動作、及び電源部91の充電式バッテリを充電する動作の少なくとも1つでよい。
【0064】
また、制御部90は、エラーが発生した旨を、エラーの種別に応じた表示態様で複数の表示部に表示するように制御してもよい。
【0065】
その場合、エラーの種別は、第一に、自装置のシステムにおける警告レベルのエラーの種別を含んでよい。エラーの種別は、第二に、自装置の温度が予め定められた温度範囲外にあることによるエラーの種別を含んでよい。エラーの種別は、第三に、自装置に対する操作及び時間の経過の何れによっても回復不可能なエラーの種別を含んでよい。エラーの種別は、第四に、自装置を保護する部材が取り外されていることによるエラーの種別を含んでよい。
【0066】
また、その場合、エラーの種別に応じた表示態様は、第一に、複数の表示部の全部又は一部を点滅させる表示態様を含んでよい。エラーの種別に応じた表示態様は、第二に、複数の表示部の全部又は一部を、予め定められた期間点灯した後、予め定められた期間消灯させる表示態様を含んでよい。エラーの種別に応じた表示態様は、第三に、複数の表示部の第1の部分及び第2の部分を点灯し、複数の表示部の第3の部分を消灯させる表示態様を含んでよい。
【0067】
ここでは、複数の表示部をN個のLEDとする(Nは自然数)。
【0068】
また、自装置のシステムにおける警告レベルのエラーの種別を「システム系エラー」と称する。警告レベルのエラーの種別という意味で「アラームエラー」としてもよいが、「システム系エラー」で統一する。自装置の温度が予め定められた温度範囲外にあることによるエラーの種別を「温度エラー」と称する。自装置に対する操作及び時間の経過の何れによっても回復不可能なエラーの種別を「永久故障エラー」と称する。自装置を保護する部材が取り外されていることによるエラーの種別を、自装置を保護する部材としてパネル10を例にとり、「パネルエラー」と称する。但し、自装置を保護する部材は、パネル10に限らず、如何なる部材であってもよい。
【0069】
更に、N個のLEDの全部を点滅させる表示態様を「全部点滅態様」と称する。N個のLEDの一部を点滅させる表示態様を「一部点滅態様」と称する。N個のLEDの全部又は一部を、予め定められた期間点灯した後、予め定められた期間消灯させる表示態様を「アニメーション態様」と称する。N個のLEDの第1の部分及び第2の部分を点灯し、N個のLEDの第3の部分を消灯させる表示態様を「歯抜け態様」と称する。
【0070】
このように、エラーの種別には、システム系エラー、温度エラー、永久故障エラー、及びパネルエラーがあり、エラーの種別に応じた表示態様には、全部点滅態様、一部点滅態様、アニメーション態様、及び歯抜け態様がある。ここで、エラーの種別と表示態様との関連付けがなされていれば、どのエラーが発生した場合にエラーが発生した旨をどの表示態様で表示してもよい。但し、以下では、システム系エラーが発生した場合に、その旨を全部点滅態様でN個のLEDに表示するものとして説明する。温度エラーが発生した場合に、その旨をアニメーション態様でN個のLEDに表示するものとして説明する。永久故障エラーが発生した場合に、その旨を歯抜け態様でN個のLEDに表示するものとして説明する。パネルエラーが発生した場合に、その旨を一部点滅態様でN個のLEDに表示するものとして説明する。
【0071】
[吸引装置の通常動作の具体例]
吸引装置1の通常動作として、スティック型基材100を予備加熱する動作、エアロゾルを吸引させる動作、電源部91の充電式バッテリの残量を通知する動作、及び電源部91の充電式バッテリを充電する動作を例にとって説明する。
【0072】
図4(a)~(e)は、吸引装置1がスティック型基材100を予備加熱する動作を行う際に表示窓60から見えるN個のLED600の表示例を示した図である。ここで、スティック型基材100を予備加熱する動作は、スティック型基材100を加熱する動作の一例である。
【0073】
スティック型基材100を予備加熱する前においては、図4(a)に示すように、N個のLED600は全て消灯している。この状態で、ユーザがボタン領域15を数秒間押し込むと、吸引装置1は、スティック型基材100を予備加熱する動作を開始する。
【0074】
吸引装置1がスティック型基材100を予備加熱する動作を開始すると、N個のLED600は、消灯しているLEDを下方から順に点灯し、点灯しているLEDの個数を徐々に増やすことにより、予備加熱の進捗状況を表す。例えば、図4(b)は、予備加熱時間の4分の1が経過した時点での表示を示しており、N個のLED600の4分の1が点灯している。図4(c)は、予備加熱時間の4分の2が経過した時点での表示を示しており、N個のLED600の4分の2が点灯している。図4(d)は、予備加熱時間の4分の3が経過した時点での表示を示しており、N個のLED600の4分の3が点灯している。図4(e)は、予備加熱時間が終了した時点での表示を示しており、N個のLED600の全てが点灯している。
【0075】
図5(a)~(e)は、吸引装置1がエアロゾルを吸引させる動作を行う際に表示窓60から見えるN個のLED600の表示例を示した図である。
【0076】
エアロゾルを吸引させる前においては、図5(a)に示すように、N個のLED600は全て点灯している。この状態で、吸引装置1は、スティック型基材100を加熱することにより生成されたエアロゾルをユーザに吸引させる動作を開始する。
【0077】
吸引装置1がエアロゾルを吸引させる動作を開始すると、N個のLED600は、点灯しているLEDを上方から順に消灯し、点灯しているLEDの個数を徐々に減らすことにより、吸引可能な残り時間の減り具合を表す。例えば、図5(b)は、吸引可能期間の4分の1が経過した時点での表示を示しており、N個のLED600の4分の3が点灯している。図5(c)は、吸引可能期間の4分の2が経過した時点での表示を示しており、N個のLED600の4分の2が点灯している。図5(d)は、吸引可能期間の4分の3が経過した時点での表示を示しており、N個のLED600の4分の1が点灯している。図5(e)は、吸引可能期間が終了した時点での表示を示しており、N個のLED600の全てが消灯している。
【0078】
図6(a)~(e)は、吸引装置1が電源部91の充電式バッテリの残量(以下、「バッテリ残量」という)を通知する動作を行う際に表示窓60から見えるN個のLED600の表示例を示した図である。
【0079】
電源部91のバッテリ残量が100%の時点においては、図6(a)に示すように、N個のLED600は全て点灯している。この状態で、吸引装置1は、充電式バッテリの使用を開始する。
【0080】
吸引装置1が充電式バッテリの使用を開始すると、N個のLED600は、点灯しているLEDを上方から順に消灯し、点灯しているLEDの個数を徐々に減らすことにより、バッテリ残量の減り具合を表す。例えば、図6(b)は、バッテリ残量が75%になった時点での表示を示しており、N個のLED600の4分の3が点灯している。図6(c)は、バッテリ残量が50%となった時点での表示を示しており、N個のLED600の4分の2が点灯している。図6(d)は、バッテリ残量が25%となった時点での表示を示しており、N個のLED600の4分の1が点灯している。図6(e)は、バッテリ残量が残り1本のスティック型基材100を吸引可能な残量となった時点での表示を示しており、N個のLED600の下方のLEDが点滅している。
【0081】
図7(a)~(e)は、吸引装置1が電源部91の充電式バッテリを充電する動作を行う際に表示窓60から見えるN個のLED600の表示例を示した図である。
【0082】
充電式バッテリを充電する前においては、図7(a)に示すように、N個のLED600は全て消灯している。この状態で、ユーザがUSBケーブル700を外部接続端子70に接続すると、吸引装置1は、充電式バッテリを充電する動作を開始する。
【0083】
吸引装置1が充電式バッテリを充電する動作を開始すると、N個のLED600は、消灯しているLEDを下方から順に点灯し、点灯しているLEDの個数を徐々に増やすことにより、充電式バッテリの充電の進捗状況を表す。例えば、図7(b)は、充電式バッテリの充電が25%進んだ時点での表示を示しており、N個のLED600の4分の1が点灯している。図7(c)は、充電式バッテリの充電が50%進んだ時点での表示を示しており、N個のLED600の4分の2が点灯している。図7(d)は、充電式バッテリの充電が75%進んだ時点での表示を示しており、N個のLED600の4分の3が点灯している。図7(e)は、充電式バッテリの充電が終了した時点での表示を示しており、N個のLED600の全てが点灯している。
【0084】
[吸引装置のエラー発生時の動作の具体例]
吸引装置1のエラー発生時の動作として、システム系エラー、温度エラー、永久故障エラー、及びパネルエラーが発生した場合の動作を例にとって説明する。以下では、N個のLED600として縦1列に配置された8個のLEDを例にとり、この8個のLEDを上から順にLED#8、LED#7、・・・、LED#1と表記することにする。
【0085】
まず、システム系エラーが発生した場合の動作の具体例について説明する。システム系エラーとは、アラームエラーのことである。その意味で、システム系エラーは、自装置のシステムにおける警告レベルのエラーの種別の一例である。
【0086】
システム系エラーには、加熱部81が異常に加熱されて高温になるエラーがある。また、システム系エラーには、加熱部81の抵抗値が異常となるエラーもある。ここで、加熱部81の抵抗値が異常となるとは、加熱部81の抵抗値が低くなる、つまり、ショートに近い状態になることや、加熱部81の抵抗値が高くなる、つまり、断線に近い状態になることをいう。更に、システム系エラーには、加熱部81に印加される電圧が異常となる、つまり、電圧が高くなる又は低くなるというエラーもある。
【0087】
制御部90は、スティック型基材100が保持するエアロゾル源を加熱するための操作をユーザが行った場合に、システム系エラーが発生していれば、その旨を8個のLED600に表示する。ここで、エアロゾル源を加熱するための操作とは、例えば、シャッタ50を開放する操作や、ボタン領域15を押下する操作である。そして、ユーザがハードウェアリセットを行うと、システム系エラーは解除される。
【0088】
図8は、システム系エラーが発生した場合における8個のLED600の全部点滅態様での表示の例を示した図である。この場合、制御部90は、LED#1~#8の全てを、太破線枠内にクロスハッチングで示すように超高速点滅させている。本明細書において、LEDを超高速点滅させるとは、LEDを200ミリ秒周期で点滅させることをいうものとする。但し、これには限らず、LEDを超高速点滅させるとは、LEDを200ミリ秒周期以外の周期で点滅させることであってもよい。
【0089】
次に、温度エラーが発生した場合の動作の具体例について説明する。温度エラーは、自装置の温度が予め定められた温度範囲外にあることによるエラーの種別の一例である。
【0090】
制御部90は、スティック型基材100が保持するエアロゾル源を加熱するための操作をユーザが行った場合に、温度エラーが発生していれば、その旨を8個のLED600に表示する。ここで、エアロゾル源を加熱するための操作とは、例えば、シャッタ50を開放する操作や、ボタン領域15を押下する操作である。そして、温度状態が変化し、自装置が動作可能な温度になると、温度エラーは解除される。
【0091】
図9は、温度エラーが発生した場合における8個のLED600のアニメーション態様での表示の例を示した図である。
【0092】
図示するように、最初、制御部90は、LED#1~#8の表示を状態601のようにする。つまり、制御部90は、LED#1~#8を太実線枠内にドットハッチングで示すように通常点灯させる。そして、400ミリ秒後、制御部90は、LED#1~#8の表示を状態602のように変更する。つまり、制御部90は、LED#1~#8を細実線枠内に白地で示すように消灯させる。
【0093】
また、200ミリ秒後、制御部90は、LED#1~#8の表示を状態603のように変更する。つまり、制御部90は、LED#1~#8を太実線枠内にドットハッチングで示すように通常点灯させる。そして、400ミリ秒後、制御部90は、LED#1~#8の表示を状態604のように変更する。つまり、制御部90は、LED#1~#8を細実線枠内に白地で示すように消灯させる。
【0094】
また、200ミリ秒後、制御部90は、LED#1~#8の表示を状態605のように変更する。つまり、制御部90は、LED#1~#8を太実線枠内にドットハッチングで示すように通常点灯させる。そして、400ミリ秒後、制御部90は、LED#1~#8の表示を状態606のように変更する。つまり、制御部90は、LED#1~#8を細実線枠内に白地で示すように消灯させる。
【0095】
更に、3000ミリ秒後、制御部90は、LED#1~#8の表示を再び状態601のように変更する。つまり、制御部90は、LED#1~#8を太実線枠内にドットハッチングで示すように通常点灯させる。
【0096】
そして、制御部90は、このように状態601から状態602~606を経て状態601へ戻る表示パターンを3回繰り返す。即ち、制御部90は、このような1パターンが4600ミリ秒の表示パターンを3回表示する。
【0097】
尚、本明細書において、LEDを通常点灯させるとは、LEDを例えばデューティ比100%で点灯させることをいうものとし、LEDを消灯させるとは、LEDのデューティ比を0%とすることをいうものとする。
【0098】
制御部90は、このような表示が終了する前にシャッタ50が閉塞された場合、表示を中断してもよい。また、制御部90は、シャッタ50が開放されたままこのような表示が終了した後にボタン領域15が押下された場合、このような表示を再度行うようにしてもよい。
【0099】
尚、ここでは、8個のLED600の全部を、予め定められた期間点灯した後、予め定められた期間消灯させたが、これには限らない。8個のLED600の一部を、予め定められた期間点灯した後、予め定められた期間消灯させるようにしてもよい。その際、8個のLED600の一部を点灯させる度に、点灯させる部分を変更して、点灯するLEDが移動するように見せてもよい。
【0100】
次に、永久故障エラーが発生した場合の具体例について説明する。永久故障エラーとは、ハードウェアリセットでも復帰しないエラーである。また、永久故障エラーとは、温度エラーのように時間が経過することで解除されることもないエラーでもある。その意味で、永久故障エラーは、自装置に対する操作及び時間の経過の何れによっても回復不可能なエラーの種別の一例である。
【0101】
永久故障エラーが発生すると電源部91から電源が供給されなくなるので、制御部90は、永久故障エラーが発生した状態で外部から電力が供給された場合に、永久故障エラーが発生した旨を8個のLED600に表示する。例えば、ユーザがパワードUSBケーブルを外部接続端子70に接続して吸引装置1が非充電状態になった場合に、永久故障エラーが発生していれば、制御部90は、その旨を8個のLED600に表示する。
【0102】
図10は、永久故障エラーが発生した場合における8個のLED600の歯抜け態様での表示の例を示した図である。この場合、制御部90は、LED#1,#4~#8を、太実線枠内にドットハッチングで示すように通常点灯させている。一方、制御部90は、LED#2,#3を、細実線枠内に白地で示すように消灯させている。制御部90は、このような表示を5000ミリ秒間行う。
【0103】
ここで、歯抜け態様とは、8個のLED600の第1の部分及び第2の部分を点灯させ、8個のLED600の第3の部分を消灯させる表示態様である。この場合、第1の部分、第2の部分、第3の部分は、8個のLED600のどの部分であってもよいが、それぞれ、一方の端部のLEDを含む部分、他方の端部のLEDを含む部分、それ以外の部分であることが望ましい。例えば、図10の例において、制御部90は、LED#1を含む部分及びLED#8を含む部分を点灯させ、それ以外の部分を消灯させることが望ましい。LED#1を消灯させると、ユーザがLEDはLED#2からLED#8までであると勘違いする可能性があり、LED#8を消灯させると、ユーザがLEDはLED#1からLED#7までであると勘違いする可能性があるからである。
【0104】
また、歯抜け態様は、より一般化して、8個のLED600の3つ以上の部分を点灯させ、8個のLED600のこれらの部分で挟まれた残りの部分を消灯させる表示態様としてもよい。例えば、図10の例において、制御部90は、LED#1,#3,#5~#8を点灯させ、LED#2,#4を消灯させてもよい。或いは、制御部90は、LED#1~#4,#6,#8を点灯させ、LED#5,#7を消灯させてもよい。
【0105】
制御部90は、図10の表示が終了すると、吸引装置1をスリープモードに遷移させる。ここで、スリープモードとは、シャッタ50の開放、USBケーブルの接続等を検知する機能や、バッテリ残量を監視する機能を除き、殆どの機能を使用できないモードのことをいう。制御部90は、スリープモードでシャッタ50の開放、ボタン領域15の押下、又はパネル10の取り外しが行われた場合、図10の表示を再度行う。また、制御部90は、USBケーブルが抜去されると、吸引装置1をシッピングモード(パワーオフ)に遷移させる。
【0106】
次に、パネルエラーが発生した場合の具体例について説明する。パネルエラーとは、パネル10が取り外されていることによるエラーである。パネル10は、自装置を保護する部材の一例であり、パネルエラーは、自装置を保護する部材が取り外されていることによるエラーの種別の一例である。
【0107】
制御部90は、パネルエラーが発生した場合に、その旨を8個のLED600に表示する。即ち、制御部90は、パネル10が取り外されている場合に、その旨を8個のLED600に表示する。
【0108】
また、制御部90は、パネルエラーが発生した状態で、禁止された状態に遷移するための操作が行われた場合に、パネルエラーが発生した旨を8個のLED600に表示する。パネル10が取り外された状態では、バッテリ残量を通知する動作及び充電式バッテリを充電する動作のみが可能となっている。従って、それ以外の禁止された状態に遷移する動作が指示された場合、制御部90は、パネル10が取り外されている旨を8個のLED600に表示する。
【0109】
尚、制御部90は、吸引装置1がスリープモードにある場合においても、パネル10が取り外されたことの検出を割り込みとして受け付け、パネル10が取り外されたことを8個のLED600に表示する。そして、パネル10が取り付けられると、パネルエラーは解除される。
【0110】
図11は、パネルエラーが発生した場合における8個のLED600の一部点滅態様での表示の例を示した図である。この場合、制御部90は、LED#8を、太破線枠内に斜線ハッチングで示すように高速点滅させている。本明細書において、LEDを高速点滅させるとは、LEDを500ミリ秒周期で点滅させることをいうものとする。但し、これには限らず、LEDを高速点滅させるとは、LEDを500ミリ秒周期以外の周期で点滅させることであってもよい。
【0111】
ここで、一部点滅態様とは、8個のLED600の一部を点滅させる表示態様である。この場合、8個のLED600の一部とは、8個のLED600のうちの何個のLEDからなる部分であってもよいし、8個のLED600のどの位置にある部分であってもよい。例えば、永久故障エラーが発生した際の歯抜け態様と同様に複数に分かれた部分を点滅させることが考えられるが、上記では、8個のLED600の上端の1個のLEDであるLED#8を点滅させる場合を例にとっている。
【0112】
[吸引装置のエラー発生時の動作の詳細]
図12は、本実施の形態における吸引装置1の制御部90のシステム系エラー又は温度エラーが発生した場合の動作例を示したフローチャートである。
【0113】
図示するように、制御部90は、まず、シャッタ50を開放する操作が行われたかどうかを判定する(ステップ901)。シャッタ50を開放する操作が行われたと判定しなければ、制御部90は、ステップ901を繰り返す。ステップ901でシャッタ50を開放する操作が行われたと判定すれば、制御部90は、システム系エラーが発生しているかどうかを判定する(ステップ902)。
【0114】
ステップ902でシステム系エラーが発生していると判定すれば、制御部90は、LED#1~#8を超高速点滅させる(ステップ903)。そして、制御部90は、ハードウェアリセットが行われたかどうかを判定する(ステップ904)。ハードウェアリセットが行われたと判定しなければ、制御部90は、ステップ904を繰り返す。ステップ904でハードウェアリセットが行われたと判定すれば、システム系エラーは解除されるので、制御部90は、処理を終了する。
【0115】
一方、ステップ902でシステム系エラーが発生していると判定しなければ、制御部90は、温度エラーが発生しているかどうかを判定する(ステップ905)。
【0116】
ステップ905で温度エラーが発生していると判定すれば、制御部90は、LED#1~#8をアニメーション態様で点灯及び消灯させる(ステップ906)。例えば、制御部90は、LED#1~#8を点灯させ、400ミリ秒後消灯させ、200ミリ秒後再度点灯させ、400ミリ秒後消灯させ、200ミリ秒後再度点灯させ、400ミリ秒後消灯させる。
【0117】
そして、制御部90は、シャッタ50を閉塞する操作が行われたかどうかを判定する(ステップ907)。シャッタ50を閉塞する操作が行われたと判定すれば、制御部90は、ステップ906のアニメーション態様での点灯及び消灯を再度実行することなく、処理を終了する。ステップ907でシャッタ50を閉塞する操作が行われたと判定しなければ、制御部90は、3000ミリ秒が経過したかどうかを判定する(ステップ908)。3000ミリ秒が経過したと判定しなければ、制御部90は、ステップ908を繰り返す。ステップ908で3000ミリ秒が経過したと判定すれば、制御部90は、ステップ906を3回実行したかどうかを判定する(ステップ909)。ステップ906を3回実行したと判定しなければ、制御部90は、処理をステップ906へ戻し、ステップ906のアニメーション態様での点灯及び消灯を再度実行する。
【0118】
ステップ909でステップ906を3回実行したと判定すれば、制御部90は、ボタン領域15を押下する操作が行われたかどうかを判定する(ステップ910)。ボタン領域15を押下する操作が行われたと判定すれば、制御部90は、処理をステップ906へ戻し、ステップ906~ステップ909を繰り返す。ステップ910でボタン領域15を押下する操作が行われたと判定しなければ、制御部90は、自装置の温度が動作可能な温度になったかどうかを判定する(ステップ911)。自装置の温度が動作可能な温度になったと判定しなければ、制御部90は、処理をステップ910へ戻す。ステップ911で自装置の温度が動作可能な温度になったと判定すれば、温度エラーは解除されるので、制御部90は、処理を終了する。
【0119】
一方、ステップ905で温度エラーが発生していると判定しなければ、制御部90は、ボタン領域15を押下する操作が行われたかどうかを判定する(ステップ912)。ボタン領域15を押下する操作が行われたと判定しなければ、制御部90は、ステップ912を繰り返す。ステップ912でボタン領域15を押下する操作が行われたと判定すれば、制御部90は、システム系エラーが発生しているかどうかを判定する(ステップ913)。
【0120】
ステップ913でシステム系エラーが発生していると判定すれば、制御部90は、処理をステップ903へ進める。ステップ903及びステップ904の処理内容については既に述べたので、ここでの説明は省略する。
【0121】
一方、ステップ913でシステム系エラーが発生していると判定しなければ、制御部90は、温度エラーが発生しているかどうかを判定する(ステップ914)。
【0122】
ステップ914で温度エラーが発生していると判定すれば、制御部90は、処理をステップ906へ進める。ステップ906~ステップ911の処理内容については既に述べたので、ここでの説明は省略する。
【0123】
一方、ステップ914で温度エラーが発生していると判定しなければ、制御部90は、処理を終了する。
【0124】
図13は、本実施の形態における吸引装置1の制御部90の永久故障エラーが発生した場合の動作例を示したフローチャートである。
【0125】
図示するように、制御部90は、まず、USBケーブル700が外部接続端子70に接続されたかどうかを判定する(ステップ921)。USBケーブル700が外部接続端子70に接続されたと判定しなければ、制御部90は、ステップ921を繰り返す。ステップ921でUSBケーブル700が外部接続端子70に接続されたと判定すれば、制御部90は、永久故障エラーが発生しているかどうかを判定する(ステップ922)。
【0126】
ステップ922で永久故障エラーが発生していると判定すれば、制御部90は、LED#1~#8を歯抜け態様で点灯させる(ステップ923)。例えば、制御部90は、LED#1,#4~#8を点灯させ、LED#2,#3を消灯させる。そして、制御部90は、吸引装置1をスリープモードに遷移させる(ステップ924)。
【0127】
その後、制御部90は、シャッタ50を開放する操作が行われたかどうかを判定する(ステップ925)。シャッタ50を開放する操作が行われたと判定すれば、制御部90は、処理をステップ923へ戻し、ステップ923の歯抜け態様での点灯を再度行う。
【0128】
ステップ925でシャッタ50を開放する操作が行われたと判定しなければ、制御部90は、ボタン領域15を押下する操作が行われたかどうかを判定する(ステップ926)。ボタン領域15を押下する操作が行われたと判定すれば、制御部90は、処理をステップ923へ戻し、ステップ923の歯抜け態様での点灯を再度行う。
【0129】
ステップ926でボタン領域15を押下する操作が行われたと判定しなければ、制御部90は、パネル10が取り外されたかどうかを判定する(ステップ927)。パネル10が取り外されたと判定すれば、制御部90は、処理をステップ923へ戻し、ステップ923の歯抜け態様での点灯を再度行う。
【0130】
ステップ927でパネル10が取り外されたと判定しなければ、制御部90は、USBケーブル700が外部接続端子70から抜去されたかどうかを判定する(ステップ928)。また、ステップ922で永久故障エラーが発生していると判定しなかった場合も、制御部90は、電源部91の充電式バッテリの充電等の通常動作を行った後、USBケーブル700が外部接続端子70から抜去されたかどうかを判定する(ステップ928)。
【0131】
ステップ928でUSBケーブル700が外部接続端子70から抜去されたと判定しなければ、制御部90は、ステップ928を繰り返す。ステップ928でUSBケーブル700が外部接続端子70から抜去されたと判定すれば、制御部90は、処理を終了する。即ち、制御部90は、吸引装置1をシッピングモードに遷移させる。
【0132】
図14は、本実施の形態における吸引装置1の制御部90のパネルエラーが発生した場合の動作例を示したフローチャートである。
【0133】
図示するように、制御部90は、まず、パネル10が取り外されたかどうかを判定する(ステップ941)。パネル10が取り外されたと判定しなければ、制御部90は、ステップ941を繰り返す。ステップ941でパネル10が取り外されたと判定すれば、制御部90は、LED#8を高速点滅させる(ステップ942)。
【0134】
次に、制御部90は、何らかの動作を指示する操作が行われたかどうかを判定する(ステップ943)。何らかの動作を指示する操作が行われたと判定しなければ、制御部90は、ステップ943を繰り返す。ステップ943で何らかの動作を指示する操作が行われたと判定すれば、制御部90は、その動作がパネル10なしでの実行を禁止された動作であるかどうかを判定する(ステップ944)。その動作がパネル10なしでの実行を禁止された動作であると判定すれば、制御部90は、パネル10が取り外されているかどうかを判定する(ステップ945)。パネル10が取り外されていると判定すれば、制御部90は、LED#8を高速点滅させる(ステップ946)。
【0135】
ステップ944でその指示された動作がパネル10なしでの実行を禁止された動作であると判定しなかった場合や、ステップ945でパネル10が取り外されていると判定しなかった場合、制御部90は、その指示された動作を実行する(ステップ947)。
【0136】
その後、制御部90は、パネル10が取り付けられたかどうかを判定する(ステップ948)。パネル10が取り付けられたと判定しなければ、制御部90は、処理をステップ943へ戻す。ステップ948でパネル10が取り付けられたと判定すれば、制御部90は、処理を終了する。
【0137】
[変形例]
上記では、本発明を加熱式たばこに適用した場合について説明したが、これには限らない。本発明は、電子たばこやネブライザ等、エアロゾルを吸引するための様々な吸引装置に適用される。また、生成される吸引成分は、エアロゾル以外にも、不可視の蒸気のような気体も含み得る。更に、本発明は、吸引装置以外の機器に接続されてその機器の情報を表示する表示装置に適用してもよい。その場合、N個のLED600は、機器が動作を行っている場合に機器の状態を表示するための一列に配置された複数の表示部の一例となる。そして、制御部90は、機器にエラーが発生した場合に、エラーが発生した旨を複数の表示部に表示するように制御する制御部の一例となる。
【0138】
[本実施の形態の効果]
本実施の形態における吸引装置1では、自装置が動作を行っている場合に自装置の状態を、一列に配置された複数の表示部に表示し、自装置にエラーが発生した場合に、エラーが発生した旨を複数の表示部に表示するようにした。これにより、本実施の形態では、自装置が動作を行っている場合の自装置の状態及び自装置にエラーが発生した場合のエラーが発生した旨を分かり易く表示することが可能となった。
【符号の説明】
【0139】
1…吸引装置、10…パネル、20…本体ハウジング、30…本体、40…ハウジング、50…シャッタ、60…表示窓、70…外部接続端子、80…保持部、81…加熱部、82…断熱部、90…制御部、91…電源部、92…センサ部、93…通知部、94…記憶部、95…通信部
【要約】
機器が動作を行っている場合に機器の状態を表示するための一列に配置された複数の表示部と、機器にエラーが発生した場合に、エラーが発生した旨を複数の表示部に表示するように制御する制御部とを備える、表示装置。
図1
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