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特許7209131車両ホイール用タイヤのベルトアセンブリを構築するための方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-11
(45)【発行日】2023-01-19
(54)【発明の名称】車両ホイール用タイヤのベルトアセンブリを構築するための方法
(51)【国際特許分類】
   B29D 30/70 20060101AFI20230112BHJP
   B29D 30/20 20060101ALI20230112BHJP
【FI】
B29D30/70
B29D30/20
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2022534226
(86)(22)【出願日】2020-12-18
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-08
(86)【国際出願番号】 IB2020062176
(87)【国際公開番号】W WO2021124241
(87)【国際公開日】2021-06-24
【審査請求日】2022-07-26
(31)【優先権主張番号】102019000024694
(32)【優先日】2019-12-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(31)【優先権主張番号】102020000014677
(32)【優先日】2020-06-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】598164186
【氏名又は名称】ピレリ・タイヤ・ソチエタ・ペル・アツィオーニ
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】コンティ,ダビデ
(72)【発明者】
【氏名】デ コル,クリスティアン
(72)【発明者】
【氏名】ポルチナーリ,ジャンニ エンリコ
【審査官】岩本 昌大
(56)【参考文献】
【文献】欧州特許出願公開第1767337(EP,A2)
【文献】特開2018-065323(JP,A)
【文献】特表2007-530325(JP,A)
【文献】特開2007-185888(JP,A)
【文献】特開2007-185886(JP,A)
【文献】特開平1-249429(JP,A)
【文献】国際公開第2008/152453(WO,A1)
【文献】欧州特許出願公開第0503532(EP,A1)
【文献】国際公開第2016/075576(WO,A1)
【文献】国際公開第80/00327(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29D 30/00-30/72
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両ホイール用タイヤのベルトアセンブリを構築するための方法であって、
- クロスベルト構造体(8)を略円筒状の第1の形成ドラム(25)上に構築することと、
- 製造するタイヤ(2)のタイプに応じて、円筒状成形を有するベルトアセンブリ(8’)を構築するか、トロイダル成形を有するベルトアセンブリ(8’)を構築するかを選択することと
を含み、
円筒状成形を有するベルトアセンブリ(8’)を構築するために、前記方法は、
- 前記クロスベルト構造体(8)に対して半径方向外側位置で、少なくとも1つのゼロ度ベルト層(8c)を前記第1の形成ドラム(25)上に堆積させることを含み、
トロイダル成形を有するベルトアセンブリ(8’)を構築するために、前記方法は、
- 前記クロスベルト構造体(8)を前記第1の形成ドラム(25)から取り上げることと、
- 前記クロスベルト構造体(8)をトロイダル成形することと、
- 前記トロイダル成形されたクロスベルト構造体(8)を第2の形成ドラム(210)上に移送することと、
- 前記トロイダル成形されたクロスベルト構造体(8)に対して半径方向外側位置で、少なくとも1つのゼロ度ベルト層(8c)を前記第2の形成ドラム(210)上に堆積させることと
を含む、方法。
【請求項2】
前記クロスベルト構造体(8)は、第1の作業領域(W1)内で前記略円筒状の第1の形成ドラム(25)上に構築され、前記少なくとも1つのゼロ度ベルト層(8c)は、第1の移動方向(A)に関して前記第1の作業領域(W1)の下流に配置された第2の作業領域(W2)内で、前記第1の形成ドラム(25)上または前記第2の形成ドラム(210)上に堆積され、前記クロスベルト構造体(8)は、前記第1の移動方向(A)に関して前記第2の作業領域(W2)の下流に配置された第1のサービス領域(S1)内でトロイダル成形される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
円筒状のベルトアセンブリ(8’)を構築するために、前記第1の形成ドラム(25)は、前記第1の移動方向(A)に沿って、前記第1の作業領域(W1)から前記第2の作業領域(W2)に移動し、かつ前記第2の作業領域(W2)から、前記第1の移動方向(A)に関して前記第1のサービス領域(S1)の下流に配置された第2のサービス領域(S2)に移動し、前記第2の作業領域(W2)から前記第2のサービス領域(S2)への移動中、前記第1の形成ドラム(25)は、前記第1のサービス領域(S1)で停止することなく前記第1のサービス領域(S1)を通過する、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
トロイダル状のベルトアセンブリ(8’)を構築するために、前記第1の形成ドラム(25)は、前記第1の移動方向(A)に沿って、前記第1の作業領域(W1)から前記第1のサービス領域(S1)に、前記第2の作業領域(W2)で停止することなく前記第2の作業領域(W2)を通過して移動する、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
トロイダル状のベルトアセンブリ(8’)を構築するために、前記第2の形成ドラム(210)は、前記第1の移動方向(A)と反対向きの第2の移動方向(B)に沿って、前記第1のサービス領域(S1)から前記第2の作業領域(W2)に移動する、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
トロイダル状のベルトアセンブリ(8’)を構築するために、前記第2の形成ドラム(210)を前記第1のサービス領域(S1)から前記第2の作業領域(W2)に移動させた後、前記第2の形成ドラム(210)は、前記第1の移動方向(A)に沿って、前記第2の作業領域(W2)から、前記第1のサービス領域(S1)で停止することなく前記第1のサービス領域(S1)を通過して移動する、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
トロイダル状のベルトアセンブリ(8’)を構築するために、前記第2の形成ドラム(210)を前記第1のサービス領域(S1)から前記第2の作業領域(W2)に移動させる前に、前記第2の形成ドラム(210)は、前記第2の移動方向(B)に沿って、第2のサービス領域(S2)から前記第1のサービス領域(S1)に移動し、
前記第2のサービス領域(S2)は、前記第1の移動方向(A)に関して前記第1のサービス領域(S1)の下流に配置される、請求項5または6に記載の方法。
【請求項8】
前記クロスベルト構造体(8)をトロイダル成形することは、
- 前記クロスベルト構造体(8)を前記第1の形成ドラム(25)から環状保持部材(30)に移送することを含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記環状保持部材(30)は前記第1のサービス領域(S1)内に配置される、請求項2~7のいずれか一項に従属するときの請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記クロスベルト構造体(8)をトロイダル成形することは、
- 前記環状保持部材(30)に対して半径方向内側位置に前記第2の形成ドラム(210)を配置することを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記クロスベルト構造体(8)をトロイダル成形することは、
前記環状保持部材(30)に対して半径方向内側位置に前記第2の形成ドラム(210)を配置した後、
- 前記第2の形成ドラム(210)が前記クロスベルト構造体(8)に接触し、前記クロスベルト構造体(8)をトロイダル状になるまで変形させる膨張状態になるまで、前記第2の形成ドラム(210)を半径方向に膨張させることを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記クロスベルト構造体(8)を前記第1の形成ドラム(25)から前記環状保持部材(30)に移送することは、
- 前記環状保持部材(30)に対して半径方向内側位置に前記第1の形成ドラム(25)を配置することを含む、請求項8~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記クロスベルト構造体(8)を前記第1の形成ドラム(25)から前記環状保持部材(30)に移送することは、
- 前記環状保持部材(30)を、前記クロスベルト構造体(8)に接触するまで半径方向に収縮させることを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記クロスベルト構造体(8)を前記第1の形成ドラム(25)から前記環状保持部材(30)に移送することは、前記環状保持部材(30)を半径方向に収縮させた後、
- 前記第1の形成ドラム(25)を半径方向に収縮させて、前記クロスベルト構造体(8)を前記環状保持部材(30)に関連付けたままにすることを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記第2の形成ドラム(210)は略トロイダル状である、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両ホイール用タイヤのベルトアセンブリを構築するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
車両ホイール用タイヤは、一般に、カーカス構造体と、カーカス構造体に対して半径方向外側位置に配置されたクラウン構造体と、タイヤの回転軸に垂直な中央平面に対してタイヤの軸方向外面である1対のサイドウォールとを備える。
【0003】
カーカス構造体は、エラストマー材料のマトリックスに組み込まれた補強コードから形成された、少なくとも1つのカーカスプライを含む。カーカスプライは、環状固定構造体にそれぞれ係合する両端縁を有する。環状固定構造体は、通常「ビード」という名称で特定されるタイヤの領域に配置され、各々が、通常、略円周環状のインサートまたは「ビードコア」から形成される。このインサートまたは「ビードコア」に、少なくとも1つの充填インサートが半径方向外側位置で付けられ、この充填インサートは回転軸から離れる方に半径方向にテーパ状になっている。
【0004】
タイヤへのトルク伝達を向上させる機能を有する特定の補強インサートを、ビードに設けることができる。
【0005】
「チューブレス」タイヤ、すなわち空気室なしタイヤの場合、一般に「ライナ」と呼ばれるエラストマー材料の層を、カーカス構造体に対して半径方向内側位置に設けて、タイヤの膨張空気に対する必要な不透過性を提供することもできる。一般に、ライナは一方のビードから他方のビードに延びる。
【0006】
クラウン構造体は、ベルト構造体と、ベルト構造体に対して半径方向外側位置に、エラストマー材料から作られたトレッドバンドとを含む。
【0007】
ベルト構造体は、1つのベルト層または互いに対して半径方向に並置された複数のベルト層を含み、このベルト層は、タイヤの円周伸長方向に略平行な向き(ゼロ度ベルト層)、または複数のベルト層の場合には交差した向きを有する補強コードを含む。この後者の場合において、前記ゼロ度ベルト層を、交差した向きを有するベルト層に対して半径方向外側位置に設けることができる。
【0008】
一般的に、縦溝および横溝がトレッドバンドに形成され、所望のトレッドパターンを画定するように配置される。トレッドバンドとベルト構造体との間に、いわゆる「トレッドバンドの下層」を配置することができ、この下層は、ベルト構造体とトレッドバンド自体との安定した結合を得るのに適した特性を有するエラストマー材料から作られる。
【0009】
サイドウォールは、エラストマー材料から作られ、タイヤの軸方向外面、すなわち、環状固定構造体、1つまたは複数のカーカスプライ、1つまたは複数のベルト層、および場合によりトレッドバンドの少なくとも一部に対して、軸方向最外位置に配置される面を画定する。例えば、各サイドウォールは、トレッドバンドの側縁のうちの1つからそれぞれのビードの環状固定構造体まで延びる。
【0010】
この説明全体を通じて、かつ特許請求の範囲において、任意の数値は、例えば、参照分野に特有の寸法公差を考慮に入れるために、示されたものとわずかに異なる任意の数値も示すように「約」という用語が先行するものとみなされる。
【0011】
「エラストマー材料」という用語は、少なくとも1つのエラストマーポリマーと少なくとも1つの補強充填材とを含む組成物を示すために使用される。このような組成物は、例えば、架橋剤および/または可塑剤のような添加剤を含むこともできる。架橋剤があることにより、このような材料を加熱によって架橋して、最終製品を形成することができる。
【0012】
「グリーンタイヤ」という用語は、構築プロセスから得られ、まだ成型および加硫されていないタイヤを示すために使用される。
【0013】
「完成タイヤ」という用語は、グリーンタイヤに対して成型加硫プロセスを行うことによって得られるタイヤを示すために使用される。
【0014】
「タイヤ」という用語は、完成タイヤまたはグリーンタイヤを示すために使用される。
【0015】
「軸方向の」、「軸方向に」、「半径方向の」、「半径方向に」、「円周方向の」、および「円周方向に」という用語は、タイヤに関して、またはタイヤの製造プロセスで使用される形成ドラムに関して使用される。
【0016】
特に、「軸方向の」および「軸方向に」という用語は、タイヤまたは形成ドラムの回転軸に略平行な方向に配置/測定された、または延びる基準/パラメータを示すために使用される。
【0017】
「半径方向の」および「半径方向に」という用語は、タイヤまたは形成ドラムの回転軸に略垂直な方向に配置/測定された、または延びる、そのような回転軸を含む平面にある基準/パラメータを示すために使用される。
【0018】
「円周方向の」および「円周方向に」という用語は、タイヤまたは形成ドラムの回転軸の周りに延びる円周に沿って配置/測定された、または延びる基準/パラメータを示すために使用される。
【0019】
タイヤの「構造部品」という用語は、機能を果たすことができるタイヤの任意の部分またはその一部を示すために使用される。タイヤの構造部品の例として、カーカス構造体、クラウン構造体、またはその一部、例えば、ライナ、アンダライナ、耐摩耗性インサート、ビードコア、ビードの領域の充填インサート(したがって、ビードコアおよびそれぞれの充填インサートによって画定される環状固定構造体)、1つまたは複数のカーカスプライ、1つまたは複数のベルト層、ベルト下層、トレッドバンドの下層、サイドウォール、サイドウォールインサート、トレッドバンド、繊維または金属材料から作られた補強インサート、エラストマー材料から作られた補強インサート、もしくはその一部が挙げられる。
【0020】
「クロスベルト構造体」という用語は、少なくとも2つのベルト層を含むベルト構造体を示すために使用され、これらのベルト層は、互いに重なって半径方向に並置され、各々が、タイヤの円周伸長方向に対して(したがってタイヤの軸方向中央平面に対して)傾斜している複数の繊維および/または金属および/またはハイブリッドの平行な補強コードを含み、一方のベルト層の補強コードは、別のベルト層の補強コードとは反対向きで、タイヤの前記軸方向中央平面に対して同じ角度だけ傾斜している。
【0021】
「ベルトアセンブリ」という用語は、クロスベルト構造体と、クロスベルト構造体に対して半径方向外側位置に配置されたゼロ度ベルト層とを含む環状アセンブリを示すために使用される。
【0022】
ベルトアセンブリの「円筒状成形」という用語は、略円筒状のベルトアセンブリを得ることを目的とした構築サイクルを示すために使用される。
【0023】
ベルトアセンブリの「トロイダル成形」という用語は、略トロイダル状で、かつ対応する完成タイヤの半径方向断面のプロファイルに近い半径方向断面のプロファイルを有するベルトアセンブリを得ることを目的とした構築サイクルを示すために使用される。
【0024】
「略トロイダル状の形成ドラム」という用語は、外面が半径方向断面のプロファイルを有し、そのプロファイルが、加工中のタイヤを構築する間に形成ドラム上に堆積される半製品が何であっても、その半製品は、完成タイヤがとる形状に近い形状をとるようなプロファイルである形成ドラムを示すために使用される。
【0025】
「加工中のタイヤ」という用語は、少なくとも1つの構造部品の構築から完成タイヤの取得までの関連する製造プロセスの任意の段階におけるタイヤを示すために使用される。例えば、加工中のタイヤは、ベルトアセンブリの構築に特化した作業ステーションから出て、存在する場合はトレッドバンドの下層や補強インサート、およびトレッドバンド自体をベルトアセンブリに堆積させることに特化した作業ステーションに向かって進むタイヤである。
【0026】
「機能的に独立している」という用語は、提供される機能を、自律的な方式で、すなわち、その機能を実行するために設けられる他の部材またはデバイスと相互作用または協働することなく実行する部材またはデバイスの能力を示すために使用される。
【0027】
「通常運転」という用語は、タイヤ製造プラントの通常の運転状態を示すために使用され、したがって、例えば製造バッチの変更に関連する、プラント自体の起こり得る開始または停止過渡期間を除外する。
【0028】
「構築デバイスのサイクルタイム」という用語は、通常運転状態において、加工中のタイヤが構築デバイスから出てから、次の加工中のタイヤが同じ構築デバイスから出るまでの間に経過した時間を示すために使用される。したがって、構築デバイスのサイクルタイムは、加工中のタイヤを構築デバイスに装填するのに必要な時間、構築活動を行うのに必要な時間、および加工中のタイヤを構築デバイスから取り出すのに必要な時間の合計によって与えられる。
【0029】
「構築プラントの総サイクルタイム」という用語は、通常運転状態において、加工中のタイヤが構築プラントから出てから、次のタイヤが同じ構築プラントから出るまでの間に経過した時間を示すために使用される。
【0030】
「下流」/「先端」および「上流」/「後端」という用語は、移動方向に関して使用される。したがって、例えば左から右への移動方向を想定すると、任意の基準要素に対する「下流」または「先端」位置は、前記基準要素の右の位置を示し、「上流」または「後端」位置は、前記基準要素の左の位置を示す。
【0031】
タイヤの製造サイクルによって、タイヤ自体の様々な構造部品を構築し組み立てるグリーンタイヤの構築プロセスの後に、グリーンタイヤは成型加硫ラインに移送され、そこで、所望の幾何形状およびトレッドパターンに従って完成タイヤの構造体を画定するように適合された成型加硫プロセスが行われる。
【0032】
タイヤの構造部品の構築およびそれに続く組立ては、適切な形成ドラム上で行われる。例えば、カーカス構造体を、第1段ドラムとして知られる第1の形成ドラム上で構築することができ、クラウン構造体を、補助または第2段ドラムとして知られる第2の形成ドラム上で構築することができる。クラウン構造体へのカーカス構造体の組付けを第1の形成ドラム上で行うことができ、その場合、第1段ドラムは単段もしくは「ユニステージ」ドラムと呼ばれ、または、クラウン構造体へのカーカス構造体の組付けを、成形ドラムとして知られる異なる形成ドラム上で行うことができる。
【0033】
グリーンタイヤを製造するためのプラントの一例がWO2010/070374に記載されている。このようなプラントは、
- 第1の形成ドラム上でカーカス構造体を構築するための少なくとも1つの構築ラインであって、連続シリーズに従って配置された複数の作業ステーションを含む構築ラインと、
- 少なくとも1つの第2の形成ドラム上でクラウン構造体を構築するための少なくとも1つの構築ラインであって、連続シリーズに従って配置された複数の作業ステーションを含む構築ラインと、
- カーカス構造体を、加工中のタイヤのクラウン構造体に組み付けることによって、カーカス構造体を第1の形成ドラム上で成形するように適合された、加工中のタイヤの少なくとも1つの成形組立ステーションとを備える。
【0034】
上記のWO2010/070374に記載されるようなタイヤ製造プロセスにおいて使用できる第1段形成ドラムおよび/または第2段形成ドラムの例が、WO2008/152453およびUS2012/0318460に記載されている。どちらの場合も、形成ドラムは、半径方向に収縮可能/膨張可能な略円筒状の形成ドラムである。
【0035】
引用文献に記載の形成ドラムは、ベルトアセンブリの円筒状成形を行うタイヤの製造サイクルにおいて広く使用される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0036】
本出願人は、例えばレース用タイヤまたは高性能タイヤの製造サイクルにおいて、所望の反応性および駆動精度をタイヤに提供するために、成型加硫プロセス中にグリーンタイヤが受ける変形を適切に制御できる必要があることに注目した。これを行うことができるように、成型加硫プロセスを作動させる前に、完成タイヤの形状にできるだけ近い略トロイダル形状をベルトアセンブリに与えるようなトロイダル成形を提供することが望ましい。
【0037】
技術的および動作的に柔軟な製造プラントを作って、プラントならびにそのデバイスおよび装置の製造コストとそのようなデバイスおよび装置が占める空間とを削減することを目的として、本出願人は、ベルトアセンブリの円筒状成形とベルトアセンブリのトロイダル成形との両方を同じベルトアセンブリ構築デバイスによって行い、その都度、製造するタイヤのタイプに応じて、2つのタイプの成形のうちのどちらを行う必要があるかを選択するのに適した解決策を特定することが望ましいと考えた。
【0038】
本出願人は、このような解決策が、ベルトアセンブリの円筒状成形を行う必要があるときには、ベルトアセンブリを略円筒状の形成ドラム上で構築し、ベルトアセンブリのトロイダル成形を行う必要があるときには、ベルトアセンブリを略トロイダル状の形成ドラム上で構築することを提供できることに注目した。
【0039】
しかしながら、本出願人によれば、クロスベルト構造体のベルト層(各々が、サイズに合わせて切断された略平坦なストリップ状の半製品によって画定される)が略トロイダル状の形成ドラム上に堆積される場合、ベルト層の端部を自動的に(すなわち手動ではなく)接合可能にすることは極めて困難である。
【0040】
したがって、本出願人は、ベルトアセンブリの円筒状成形の場合にゼロ度ベルト層をその後に堆積させるための同じ形成ドラムと、ベルトアセンブリのトロイダル成形の場合にゼロ度ベルト層をその後に堆積させるための異なる形成ドラムとを使用して、ベルトアセンブリの円筒状成形の場合だけでなく、ベルトアセンブリのトロイダル成形の場合にも、クロスベルト構造体を略円筒状の形成ドラム上で構築することを提供する代替解決策を特定することが好ましいと考えた。実際に、この後者の動作は、接合を行う必要がないため、任意の形状(トロイダル状でも)を有する形成ドラム上で行うことができる。
【0041】
本出願人は、最終的に、ベルトアセンブリの円筒状成形を行うときと、ベルトアセンブリのトロイダル成形を行うときとの両方で、略円筒状の形成ドラムを使用する、クロスベルト構造体の構築に特化したサイクルの第1の部分と、ベルトアセンブリの円筒状成形を行うときには、上記の略円筒状の形成ドラムを引き続き使用し、一方、ベルトアセンブリのトロイダル成形を行うときには、クロスベルト構造体が略円筒状の形成ドラムから取り上げられて、トロイダル成形された後に別の形成ドラム上に移送され、次いで、トロイダル成形されたクロスベルト構造体へのゼロ度ベルト層の堆積を進める、ゼロ度ベルト層の堆積に特化したサイクルの第2の部分とを有するベルトアセンブリの構築サイクルを提供することができることを見出した。
【課題を解決するための手段】
【0042】
したがって、本発明は、車両ホイール用タイヤのベルトアセンブリを構築するための方法に関する。
【0043】
好ましくは、クロスベルト構造体が略円筒状の第1の形成ドラム上に構築される。
【0044】
好ましくは、製造するタイヤのタイプに応じて、円筒状成形を有するベルトアセンブリを構築するか、トロイダル成形を有するベルトアセンブリを構築するかが選択される。
【0045】
好ましくは、円筒状成形を有するベルトアセンブリを構築するために、方法は、前記クロスベルト構造体に対して半径方向外側位置で、少なくとも1つのゼロ度ベルト層を前記第1の形成ドラム上に堆積させることを含む。
【0046】
好ましくは、トロイダル成形を有するベルトアセンブリを構築するために、方法は、前記クロスベルト構造体を前記第1の形成ドラムから取り上げることを含む。
【0047】
好ましくは、トロイダル成形を有するベルトアセンブリを構築するために、方法は、前記クロスベルト構造体をトロイダル成形することを含む。
【0048】
好ましくは、トロイダル成形を有するベルトアセンブリを構築するために、方法は、前記トロイダル成形されたクロスベルト構造体を第2の形成ドラム上に移送することを含む。
【0049】
好ましくは、トロイダル成形を有するベルトアセンブリを構築するために、方法は、前記トロイダル成形されたクロスベルト構造体に対して半径方向外側位置で、少なくとも1つのゼロ度ベルト層を前記第2の形成ドラム上に堆積させることを含む。
【0050】
本出願人は、本発明による方法が、ベルトアセンブリの円筒状成形とベルトアセンブリのトロイダル成形との両方を同じ構築デバイスによって行うことにより、使用するデバイスおよび装置の数ならびにそのようなデバイスおよび装置が占める空間を最小限に抑えることを可能にすると確信している。これは、ベルトアセンブリの円筒状成形を行うときと、ベルトアセンブリのトロイダル成形を行うときとの両方で、クロスベルト構造体が略円筒状の形成ドラム上に構築されることによる。
【0051】
さらに、ベルトアセンブリのトロイダル成形を行うときに、予めトロイダル成形されたクロスベルト構造体上にゼロ度補強層が堆積されることにより、自動的(すなわち手動ではなく)かつ容易にクロスベルト構造体のベルト層の端部を接合することができる。
【0052】
本発明は、以下で説明する好ましい特徴のうちの少なくとも1つを有することができる。
【0053】
好ましくは、前記クロスベルト構造体は、第1の作業領域内で前記略円筒状の第1の形成ドラム上に構築される。これは、ベルトアセンブリの円筒状成形を行うときと、ベルトアセンブリのトロイダル成形を行うときとの両方に当てはまる。
【0054】
クロスベルト構造体が第1の形成ドラム上に構築されると、ベルトアセンブリの円筒状成形を行う必要があるか、ベルトアセンブリのトロイダル成形を行う必要があるかに応じて、異なる工程が予測される。
【0055】
好ましくは、前記少なくとも1つのゼロ度ベルト層は、第2の作業領域内で、前記第1の形成ドラム上に堆積され(円筒状成形を有するベルトアセンブリを構築するため)、または前記第2の形成ドラム上に堆積される(トロイダル成形を有するベルトアセンブリを構築するため)。
【0056】
好ましくは、前記第2の作業領域は、第1の移動方向に関して前記第1の作業領域の下流に配置される。
【0057】
好ましくは、ベルトアセンブリのトロイダル成形を行う必要があるときに、前記クロスベルト構造体は、第1のサービス領域内でトロイダル成形される。
【0058】
好ましくは、前記第1のサービス領域は、前記第1の移動方向に関して前記第2の作業領域の下流に配置される。
【0059】
好ましくは、円筒状成形を有するベルトアセンブリを構築するために、前記第1の形成ドラムは、前記第1の移動方向に沿って、前記第1の作業領域から前記第2の作業領域に移動する。
【0060】
好ましくは、円筒状成形を有するベルトアセンブリを構築するために、前記第1の形成ドラムは、前記第1の移動方向に沿って、前記第2の作業領域から第2のサービス領域に移動する。
【0061】
好ましくは、前記第2のサービス領域は、前記第1の移動方向に関して前記第1のサービス領域の下流に配置される。
【0062】
好ましくは、円筒状成形を有するベルトアセンブリを構築する必要があるとき、前記第2の作業領域から前記第2のサービス領域への移動中、第1の形成ドラムは、前記第1のサービス領域で停止することなく前記第1のサービス領域を通過する。
【0063】
好ましくは、トロイダル成形を有するベルトアセンブリを構築するために、前記第1の形成ドラムは、前記第1の移動方向に沿って、前記第1の作業領域から前記第1のサービス領域に、停止することなく前記第2の作業領域を通過して移動する。
【0064】
好ましくは、トロイダル成形を有するベルトアセンブリを構築する必要があるとき、前記第2の形成ドラムは、前記第1の移動方向と反対の第2の移動方向に沿って、前記第1のサービス領域から前記第2の作業領域に移動する。したがって、このような移動は、第1の形成ドラムの経路と部分的に同一の経路に沿って生じ、その結果、空間が最適化される。
【0065】
好ましくは、前記第2の形成ドラムを前記第1のサービス領域から前記第2の作業領域に移動させた後、前記第2の形成ドラムは、前記第1の移動方向に沿って、前記第2の作業領域から、停止することなく前記第1のサービス領域を通過して移動する。
【0066】
好ましくは、前記第2の形成ドラムを前記第1のサービス領域から前記第2の作業領域に移動させる前に、前記第2の形成ドラムは、前記第2の移動方向に沿って、第2のサービス領域から前記第1のサービス領域に移動する。
【0067】
好ましくは、前記第2のサービス領域は、前記第1の移動方向に関して前記第1のサービス領域の下流に配置される。
【0068】
好ましくは、前記クロスベルト構造体をトロイダル成形することは、前記クロスベルト構造体を前記第1の形成ドラムから環状保持部材に移送することを含む。
【0069】
好ましくは、前記環状保持部材は前記第1のサービス領域内に配置される。
【0070】
好ましくは、前記クロスベルト構造体をトロイダル成形することは、前記環状保持部材に対して半径方向内側位置に前記第2の形成ドラムを配置することを含む。
【0071】
好ましくは、前記クロスベルト構造体をトロイダル成形することは、前記環状保持部材に対して半径方向内側位置に前記第2の形成ドラムを配置した後、膨張状態になるまで前記第2の形成ドラムを半径方向に膨張させることを含む。
【0072】
好ましくは、前記膨張状態で、前記第2の形成ドラムは前記クロスベルト構造体に接触し、前記クロスベルト構造体をトロイダル状になるまで変形させる。
【0073】
好ましくは、前記クロスベルト構造体を前記第1の形成ドラムから前記環状保持部材に移送することは、前記環状保持部材に対して半径方向内側位置に前記第1の形成ドラムを配置することを含む。
【0074】
好ましくは、前記クロスベルト構造体を前記第1の形成ドラムから前記環状保持部材に移送することは、前記環状保持部材を、前記クロスベルト構造体に接触するまで半径方向に収縮させることを含む。
【0075】
好ましくは、前記クロスベルト構造体を前記第1の形成ドラムから前記環状保持部材に移送することは、前記環状保持部材を半径方向に収縮させた後、前記第1の形成ドラムを半径方向に収縮させて、前記クロスベルト構造体を前記環状保持部材に関連付けたままにすることを含む。
【0076】
好ましくは、前記第2の形成ドラムは略トロイダル状である。
【0077】
好ましい実施形態において、第1の形成ドラムは半径方向に収縮可能/膨張可能である。
【0078】
上記の好ましい実施形態またはさらなる好ましい実施形態において、第2の形成ドラムは半径方向に収縮可能/拡張可能である。
【0079】
上記の好ましい実施形態またはさらなる好ましい実施形態において、環状保持部材は半径方向に収縮可能/膨張可能である。
【0080】
本発明のさらなる特徴および利点は、添付図面を参照してなされる好ましい実施形態の以下の詳細な説明から、より明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0081】
図1】本発明の方法を行うプロセスおよびプラントによって作ることができるタイヤの概略半径方向半断面図である。
図2】本発明の方法を行う実施形態による車両ホイール用タイヤを製造するためのプラントの概略上面図である。
図3】本発明によるベルトアセンブリのトロイダル成形中にとられる動作構成における、図2のプラントのベルトアセンブリ構築ラインの概略上面図である。
図4】本発明によるベルトアセンブリのトロイダル成形中にとられる動作構成における、図2のプラントのベルトアセンブリ構築ラインの概略上面図である。
図5】本発明によるベルトアセンブリのトロイダル成形中にとられる動作構成における、図2のプラントのベルトアセンブリ構築ラインの概略上面図である。
図6】本発明によるベルトアセンブリのトロイダル成形中にとられる動作構成における、図2のプラントのベルトアセンブリ構築ラインの概略上面図である。
図7】本発明によるベルトアセンブリのトロイダル成形中にとられる動作構成における、図2のプラントのベルトアセンブリ構築ラインの概略上面図である。
図8】本発明によるベルトアセンブリのトロイダル成形中にとられる動作構成における、図2のプラントのベルトアセンブリ構築ラインの概略上面図である。
図9】本発明によるベルトアセンブリのトロイダル成形中にとられる動作構成における、図2のプラントのベルトアセンブリ構築ラインの概略上面図である。
図10】本発明によるベルトアセンブリのトロイダル成形中にとられる動作構成における、図2のプラントのベルトアセンブリ構築ラインの概略上面図である。
図11】本発明によるベルトアセンブリのトロイダル成形中にとられる動作構成における、図2のプラントのベルトアセンブリ構築ラインの概略上面図である。
図12】本発明によるベルトアセンブリのトロイダル成形中にとられる動作構成における、図2のプラントのベルトアセンブリ構築ラインの概略上面図である。
図13】本発明によるベルトアセンブリのトロイダル成形中にとられる動作構成における、図2のプラントのベルトアセンブリ構築ラインの概略上面図である。
図14】本発明によるベルトアセンブリのトロイダル成形中にとられる動作構成における、図2のプラントのベルトアセンブリ構築ラインの概略上面図である。
図15】本発明によるベルトアセンブリのトロイダル成形中にとられる動作構成における、図2のプラントのベルトアセンブリ構築ラインの概略上面図である。
図16】本発明によるベルトアセンブリのトロイダル成形中にとられる動作構成における、図2のプラントのベルトアセンブリ構築ラインの概略上面図である。
図17】本発明によるベルトアセンブリのトロイダル成形中にとられる動作構成における、図2のプラントのベルトアセンブリ構築ラインの概略上面図である。
図18図3図17の構築ラインに設けられた環状保持部材の概略正面図である。
図19】動作構成における、図3~17の構築ラインに設けられたマニピュレータの概略斜視図である。
図20図19とは異なる動作構成における、図3~17の構築ラインに設けられたマニピュレータの概略斜視図である。
図21】本発明の方法によるベルトアセンブリの円筒状成形中にとられる動作構成における、図2のプラントのベルトアセンブリ構築ラインの概略上面図である。
図22】本発明の方法によるベルトアセンブリの円筒状成形中にとられる動作構成における、図2のプラントのベルトアセンブリ構築ラインの概略上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0082】
図1で、車両ホイール用タイヤを製造するためのプラントにおいて製造できるタイヤの一例を、参照符号2で示す。このようなタイヤは、本発明の方法を行うことによって製造することができる。
【0083】
タイヤ2は、その回転軸Rに垂直な中央平面Aを有する(図2で、タイヤ2の断面に対する回転軸Rの位置は、暗示的かつ概略的に示される)。中央平面Aは、タイヤ2を第1の軸方向半部2aと第2の軸方向半部とに分割する。図示を簡略化するために、図2は、タイヤ2の第1の軸方向半部2aのみを示し、他方の半部は、実質的に第1の軸方向半部2aの鏡像である(上記の中央平面Aに対して対称でなくてもよいトレッドパターンを除く)。
【0084】
タイヤ2は、1つまたは2つのカーカスプライ4a、4bを有するカーカス構造体3を実質的に含む。不浸透性エラストマー材料またはいわゆるライナ5の層が、カーカスプライ4a、4bに対して半径方向内側位置に付けられる。
【0085】
2つの環状固定構造体6(軸方向半部のうちの一方2aのみが図2に示される)は、(中央平面Aに対して)軸方向に対向する位置で、カーカスプライ4a、4bのそれぞれの端縁に係合している。2つの環状固定構造体6の各々は、半径方向外側位置でエラストマー充填材6bを担持するいわゆるビードコア6aを含む。2つの環状固定構造体6は、通常「ビード」7の名称で特定される領域(軸方向半部のうちの一方2aのみが図2に示される)の近くで一体化され、そこで、通常、タイヤ2とそれぞれの取付リムとの係合が行われる。
【0086】
クラウン構造体9’が、カーカス構造体3に対して半径方向外側位置に配置され、クラウン構造体9’は、ベルトアセンブリ8’と、ベルトアセンブリ8’に対して半径方向外側位置に配置されたトレッドバンド9とを含む。
【0087】
ベルトアセンブリ8’はクロスベルト構造体8を含み、クロスベルト構造体8は、半径方向に並置された2つのベルト層8a、8bと、クロスベルト構造体8に対して半径方向外側位置に配置されたゼロ度ベルト層8cとを含む。
【0088】
クロスベルト構造体8を、いわゆる「アンダベルトインサート」10に関連付けることができ、このアンダベルトインサート10の各々は、カーカスプライ4a、4bとクロスベルト構造体8の軸方向両端縁のうちの一方との間に配置される。
【0089】
対応するビード7からトレッドバンド9の対応する側縁へ各々延びる2つのサイドウォール11が、カーカスプライ4a、4b上の(中央平面Aに対して)軸方向に対向する位置に付けられる。トレッドバンド9のそれぞれの側縁に近い各サイドウォール11の部分と、それぞれのサイドウォール11に近いトレッドバンド9の各部分とのアセンブリは、タイヤ2のショルダ12と呼ばれる。
【0090】
図2は、本発明の方法の実施形態を行う車両ホイール用タイヤ2を製造するためのプラント1を示す。
【0091】
プラント1は、カーカス構造体構築ライン100と、クラウン構造体構築ライン200と、グリーンタイヤ2’を得るための成形組立機300と、完成タイヤ2を得るための成型加硫ステーション400とを備える。
【0092】
プラント1の通常運転において、カーカス構造体構築ライン100は、それぞれの構築デバイスを含む複数の作業ステーション(例えば、以下で参照符号125で示すものなど)を含み、これらの構築デバイスは、第1のドラム収納領域111から選択されたそれぞれの形成ドラム110上に複数のカーカス構造体を構築するように構成される。
【0093】
同様に、クラウン構造体構築ライン200は、それぞれの構築デバイスを含む複数の作業ステーション(例えば図3図17に示すものなど)を含み、これらの構築デバイスは、第2のドラム収納領域211から選択されたそれぞれの形成ドラム210上に複数のクラウン構造体を構築するように構成される。
【0094】
好ましくは、形成ドラム110は略円筒状である。
【0095】
代わりに、形成ドラム210に関しては、ベルトアセンブリの円筒状成形を行わなければならない場合には略円筒状であり、または、ベルトアセンブリのトロイダル成形を行わなければならない場合には略トロイダル状である。
【0096】
以下で、特に明記しない限り、略トロイダル状の形成ドラム210について常に言及する。
【0097】
カーカス構造体構築ライン100は第1の経路120を含み、第1の経路120は、カーカス構造体の構造部品の第1の部分を形成ドラム110上に堆積させるように構成された構築デバイスを含む。
【0098】
カーカス構造体構築ライン100の第1の経路120は、例えば、
- ライナを付けるように構成されたステーションと、
- アンダライナを付けるように構成されたステーションと、
- カーカスプライを付けるように構成された少なくとも1つのステーションと、
- 金属および/または繊維補強材を付けるように構成された任意選択のステーションと、
- アンダベルトインサートを付けるように構成された任意選択のステーションとを含む。
【0099】
カーカス構造体構築ライン100は第2の経路130も含み、第2の経路130は、カーカス構造体の構造部品の第2の部分を形成ドラム110上で構築するように構成された構築デバイスを含む。
【0100】
カーカス構造体構築ライン100の第2の経路130は、例えば、
- 第1段形成ドラム110の周りに連続した細長い要素を螺旋状に巻き付けることにより、耐摩耗性インサートを付けるように構成されたステーションと、
- 形成ドラム110の周りに連続した細長い要素を螺旋状に巻き付けることにより、サイドウォールの少なくとも一部を付けるように構成された任意選択のステーションとを含む。
【0101】
好ましくは、カーカス構造体構築ライン100の第1の経路120は、略直線状である。
【0102】
好ましくは、カーカス構造体構築ライン100の第2の経路130は、略直線状かつ第1の経路120に垂直である。
【0103】
カーカス構造体構築ライン100の第1の経路120と第2の経路130との間のコーナ領域に、タイヤのビードを形成するように構成された作業ステーション125が配置される。
【0104】
カーカス構造体構築ライン100はまた、形成ドラム110を第1の経路120からビード形成ステーション125に移送するように構成された第1の移送デバイス121と、形成ドラム110をビード形成ステーション125から第2の経路130に移送するように構成された第2の移送デバイス122とを含む。
【0105】
このような移送デバイス121、122の各々は、擬人化ロボット(例えば、少なくとも6つの移動軸を有するロボット化アーム)または非擬人化デカルト移動デバイスを含むことができ、この非擬人化デカルト移動デバイスは、3つのデカルト軸X、Y、Zに従った移動、および好ましくは、前記デカルト軸X、Yのうちの少なくとも1つ、より好ましくは2つを中心とする回転を可能にする。軸X、Yは図2に示され、軸Zは軸X、Yに垂直である。
【0106】
好ましくは、各形成ドラム110は、カーカス構造体構築ライン100の様々な作業ステーションの空間シーケンスと同一または異なるシーケンスにおいて、そのような作業ステーション間を移動することができる。
【0107】
好ましくは、各形成ドラム110は、トロリ(図示せず)によって、カーカス構造体構築ライン100の第1の経路120に沿って移動する。好ましくは、トロリは、適切なモータによって駆動されて、適切なガイドに沿って(好ましくは直線状に)2つの反対向きの進行方向に移動可能である。
【0108】
好ましくは、カーカス構造体の部品の第1の部分の構築は、形成ドラム110が軸方向に対向する1対の支持リング(図示せず)に関連付けられている間に、カーカス構造体構築ライン100の第1の経路120に沿って行われる。
【0109】
形成ドラム110は、ビード形成ステーション125内で、及び、カーカス構造体構築ライン100の第2の経路130に沿って、上記の1対の支持リングから切り離される。
【0110】
クラウン構造体構築ライン200は第1の経路220を含み、第1の経路220は、クラウン構造体の構造部品の第1の部分を形成ドラム210上で構築するように構成された構築デバイスを含む。
【0111】
クラウン構造体構築ライン200の第1の経路220は、例えば、
- アンダベルトインサートを付けるように構成された任意選択のステーション(このようなステーションは、カーカス構造体構築ライン100の第1の経路120に既に含まれていない場合に設けられる)と、
- 少なくとも1つのベルトアセンブリ構築ステーションと、
- 下層を付けるように構成された任意選択のステーションとを含む。
【0112】
クラウン構造体構築ライン200は第2の経路230も含み、第2の経路230は、クラウン構造体の構造部品の第2の部分を構築するように構成された構築デバイスを含む。
【0113】
クラウン構造体構築ライン200の第2の経路230は、例えば、
- 形成ドラム210の周りに連続した細長い要素を螺旋状に巻き付けることにより、トレッドバンドを付けるように構成された少なくとも1つのステーションと、
- 形成ドラム210の周りに連続した細長い要素を螺旋状に巻き付けることにより、サイドウォールの少なくとも一部を付けるように構成された任意選択のステーションとを含む。この任意選択のステーションは、少なくとも、カーカス構造体構築ライン100の前記第2の経路130またはクラウン構造体構築ライン200の前記第2の経路230のいずれかに設けられる。
【0114】
クラウン構造体構築ライン200は、形成ドラム210を第1の経路220から第2の経路230に移送するように構成されたドラム移送デバイス221も含む。
【0115】
ドラム移送デバイス221は、擬人化ロボット(例えば、少なくとも6つの移動軸を有するロボット化アーム)または非擬人化デカルト移動デバイスを含むことができ、この非擬人化デカルト移動デバイスは、3つのデカルト軸X、Y、Zに従った移動、および好ましくは、前記デカルト軸X、Yのうちの少なくとも1つ、より好ましくは2つを中心とする回転を可能にする。
【0116】
好ましくは、各形成ドラム210は、クラウン構造体構築ライン200の様々な作業ステーションの空間シーケンスと同一または異なるシーケンスにおいて、そのような作業ステーション間を移動することができる。
【0117】
好ましくは、クラウン構造体構築ライン200の第1の経路220は、略直線状である。
【0118】
より好ましくは、クラウン構造体構築ライン200の第1の経路220は、カーカス構造体構築ライン100の第1の経路120に略平行である。
【0119】
好ましくは、クラウン構造体構築ライン200の第2の経路230は、略直線状かつ第1の経路220に垂直である。
【0120】
成形組立機300は、カーカス構造体がカーカス構造体構築ライン100から到着したときに、カーカス構造体を一度に1つずつ順次成形し、クラウン構造体がクラウン構造体構築ライン200から到着したときに、カーカス構造体をそれぞれのクラウン構造体に組み付けて、それぞれのグリーンタイヤ2’を得るように構成される。本明細書に示す具体例において、成形組立機300は、成形ドラム330上で、カーカス構造体を成形して、それぞれのクラウン構造体に組み付けるように構成される。したがって、成形組立機300は、それぞれの形成ドラム110、210から切り離されたカーカス構造体およびクラウン構造体上で動作する。このような形成ドラム110、210は、それぞれの収納領域111、211に戻るように移動する。
【0121】
構築されたグリーンタイヤ2’は、成形組立機300から出て、成型加硫ステーション400に移送され、そこで、所望の幾何形状およびトレッドパターンに従ってタイヤの構造を画定するように構成された成型加硫プロセスが行われ、これにより、完成タイヤ2が得られる。
【0122】
図3図17を参照すると、クラウン構造体構築ライン200は、ベルトアセンブリ構築デバイス201を含む。好ましくは、このようなデバイス201は、クラウン構造体構築ライン200の第1の経路220に配置される。
【0123】
ベルトアセンブリ構築デバイス201は、略直線状のトラック21a上で移動可能なトロリ21を含む。トラック21aは、好ましくはクラウン構造体構築ライン200の第1の経路220に平行な直線状の移動方向Aに沿ったトロリ21の移動、および移動方向Aとは反対の移動方向Bに沿ったトロリ21の移動が得られるように配置される。
【0124】
以下で説明するように、トロリ21は、移動中に、略円筒状の形成ドラム25を支持して、ベルトアセンブリの円筒状成形を行う必要がある(この場合、トロリ21は、常に略円筒状の形成ドラム25のみを支持する)か、ベルトアセンブリのトロイダル成形を行う必要がある(この場合、トロリ21は、ベルトアセンブリ構築プロセスの第1の部分のための略円筒状の形成ドラム25と、ベルトアセンブリ構築プロセスの残りの部分のための略トロイダル状の形成ドラム210とを支持する)かに応じて、ベルトアセンブリまたはその一部のみを略円筒状の形成ドラム25上で構築する。
【0125】
形成ドラム25、210は、半径方向に収縮可能/膨張可能である。形成ドラム25、210の両方が、同期して半径方向に移動可能な複数の角度セクタを含む。形成ドラム25の角度セクタは、どのような半径方向寸法であっても、形成ドラム25に略円筒幾何形状を提供するように成形され、一方、形成ドラム210の角度セクタは、どのような半径方向寸法であっても、形成ドラム210に略トロイダル幾何形状を提供するように成形される。
【0126】
ベルトアセンブリ構築デバイス201は、移動方向Aに関してトロリ21の開始位置P0の下流に配置された第1の作業領域W1と、移動方向Aに関して第1の作業領域W1の下流に配置された第2の作業領域W2とを含む。開始位置P0を、第1の作業領域W1内に画定してもよい。
【0127】
第1の作業領域W1は、クロスベルト構造体構築デバイス22を含む。このために、第1の作業領域W1は、第1の向きで傾斜した複数の第1の補強コードを有する第1のベルト層を堆積させるように構成された堆積装置22aを含む第1の動作ステーションW1aと、移動方向Aに関して第1の動作ステーションW1aの下流に配置され、上記の第1のコードの向きに対して交差した向きで傾斜した複数の第2の補強コードを有する第2のベルト層を堆積させるように構成された堆積装置22bを含む第2の動作ステーションW1bとを含む。
【0128】
第2の作業領域W2は、ゼロ度ベルト層を堆積させるように構成された堆積デバイス23を含む。
【0129】
ベルトアセンブリ構築デバイス201は、移動方向Aに関して第2の作業領域W2の下流に、第1のサービス領域S1を含む。
【0130】
第1のサービス領域S1は、図18にさらに詳細に示す環状保持部材30を含む。
【0131】
環状保持部材30は、ベースブロック31と、ベースブロック31に固定して関連付けられた環状体32とを含む。
【0132】
環状体32は複数の角度セクタ35(図18に示す具体例では8つ)を含み、これらの角度セクタ35は、円周方向に互いに隣接し、かつ、好ましくは適切な電気指令または空気指令を受けると、半径方向最外動作位置と半径方向最内非動作位置との間で、同期して半径方向に移動可能である。したがって、角度セクタ35の移動の可能性により、環状保持部材30は半径方向に収縮可能/膨張可能である。
【0133】
図18では、角度セクタ35が非動作位置で示されている。このような非動作位置は、環状保持部材30の最大半径方向収縮の構成に対応する。
【0134】
図3図17を参照すると、ベルトアセンブリ構築デバイス201は、移動方向Aに関して第1のサービス領域S1の下流に、第2のサービス領域S2も含む。
【0135】
第2のサービス領域S2に2つの支持部材41、45が設けられる。支持部材41は、第1の形成ドラム(例えば、図19および図20に示す形成ドラム25)を支持するように構成され、一方、支持部材45は、第2の形成ドラム(例えば、図19および図20に示す形成ドラム210)を支持するように構成される。
【0136】
図19および図20に示す特定の実施形態において、2つの支持部材41、45は、単一のマニピュレータ40の一部である。
【0137】
マニピュレータ40は、第2のサービス領域S2に取り外し不能に配置され、すなわち、使用時に、地面に対して常に同じ位置に留まる。
【0138】
マニピュレータ40は、地面に安定して位置決めされたベースフレーム40aと、地面に対して斜めの回転軸Rを中心にベースフレーム40aに対して回転可能な可動群40bとを含む。特に、回転軸Rは、地面に対して45°に等しい角度だけ傾斜している。
【0139】
可動群40bは、ベースフレーム40aのサービス面44に関連付けられる。このようなサービス面は、地面に対して45°に等しい角度だけ傾斜している。
【0140】
2つの支持部材41、45は、可動群40bに固定して関連付けられ、可動群40bがベースフレーム40aに対して回転軸Rを中心に回転することにより、支持部材41、45が回転軸Rを中心に回転するようになっている。このような回転は、図では見えないモータアセンブリによって駆動することができる。回転角度は所望通りに設定することができる。
【0141】
各支持部材41、45は、それぞれの支持アーム42、46とそれぞれの取付軸とを含む。支持部材42、46がそれぞれの形成ドラムを支持するとき、その取付軸はそれぞれの形成ドラムの回転軸と一致する。
【0142】
2つの支持アーム42、46は、互いに略垂直な方向に沿って延び、形成ドラムを支持するように構成されて、2つの支持部材41、45のうちの一方の取付軸(したがって、2つの形成ドラムのうちの一方の回転軸)が略水平方向に沿って配置され、他方の支持部材41、45の取付軸(したがって、他方の形成ドラムの回転軸)が略鉛直方向に沿って配置されるようになっている。
【0143】
図19に示す動作構成において、支持アーム42は略円筒状の形成ドラム25を支持して、支持部材41が装填/取出し位置にあり、かつ形成ドラム25の回転軸(したがって、支持部材41の取付軸)が水平方向に沿って配置されるようにし、一方、支持アーム46は略トロイダル状の形成ドラム210を支持して、支持部材45が待機位置にあり、かつ形成ドラム210の回転軸(したがって、支持部材45の取付軸)が鉛直方向に沿って配置されるようにする。
【0144】
図20に示す動作構成において、可動群40bは回転軸Rを中心に180°回転している。この構成では、支持部材41、45の位置が入れ替わっており、支持アーム42は略円筒状の形成ドラム25を支持して、支持部材41が上記の待機位置にあり、かつ形成ドラム25の回転軸が上記の鉛直方向に沿って配置されるようにし、一方、支持アーム46は略トロイダル状の形成ドラム210を支持して、支持部材45が上記の装填/取出し位置にあり、かつ形成ドラム210の回転軸が上記の水平方向に沿って配置されるようにする。
【0145】
各形成ドラム25、210は、形成ドラム25、210の可能な軸方向移動を補償することができるそれぞれの減衰デバイス43、47によって、それぞれの支持アーム42、46により支持される。
【0146】
好ましくは、各減衰デバイス43、47は、複数の空気圧シリンダを含み、そのうちの少なくとも一部は他のシリンダから機能的に独立して、形成ドラム25、210の回転軸が水平方向に沿って延びて配置されているか、垂直方向に沿って延びて配置されているかに応じて、程度の異なる補償を可能にするようになっている。
【0147】
前述したように、ベルトアセンブリ構築デバイス201により、ベルトアセンブリの円筒状成形およびベルトアセンブリのトロイダル成形の両方を行うことが可能になる。
【0148】
ベルトアセンブリのトロイダル成形を行う必要がある場合、ベルトアセンブリ構築デバイス201は、図3に示す動作構成をとるように構成される。この動作構成において、トロリ21は、その開始位置P0(または、開始位置P0が第1の作業領域W1内に画定される場合には第1の作業領域W1内)にあり、略円筒状の形成ドラム25を支持する。この動作構成において、マニピュレータ40の支持アーム42は、支持部材41が上記の装填/取出し位置に配置されるように向けられ(したがって、支持部材41の取付軸が水平方向に沿って向けられる)、一方、支持アーム46は、支持部材45が上記の待機位置に配置されるように向けられ(したがって、支持部材45の取付軸が鉛直方向に沿って向けられる)、図19に示すように略トロイダル状の形成ドラム210を支持する。
【0149】
その後、トロリ21は、形成ドラム25と共に、形成ドラム25が第1の作業領域W1に導かれるまで移動方向Aに沿って移動する。このような移動は、開始位置P0が第1の作業領域W1内に画定されるときには作動しない。
【0150】
図4に示すように、形成ドラム25が第1の動作ステーションW1aにあるときにトロリ21は停止し、そこで、例えば図1のタイヤ2のベルト層8aのような第1のベルト層が、堆積装置22aによって形成ドラム25上に堆積される。
【0151】
図5に示すように、トロリ21は、続いて、移動方向Aに沿って移動し、形成ドラム25が第2の動作ステーションW1bにあるときに停止し、そこで、例えば図1のタイヤ2のベルト層8bのような第2のベルト層が、堆積装置22bによって、第1のベルト層に対して半径方向外側位置で形成ドラム25上に堆積され、これにより、例えば図1のタイヤ2のクロスベルト構造体8のようなクロスベルト構造体を形成ドラム25上で構築する。
【0152】
図6に示すように、トロリ21は、続いて、移動方向Aに沿って移動し、クロスベルト構造体を担持している形成ドラム25が第1のサービス領域S1に到達し、環状保持部材30に対して半径方向内側位置に配置されると、停止する。
【0153】
クロスベルト構造体は、次いで、形成ドラム25から環状保持部材30に移送される。このような移送は、最初に、角度セクタ35がクロスベルト構造体に接触するまで、角度セクタ35の同期半径方向移動により環状保持部材30が半径方向に収縮することと、その後に、相対角度セクタの同期半径方向移動により形成ドラム25が半径方向に収縮することとを含む。
【0154】
この時点で、クロスベルト構造体は、環状保持部材30に固定接続されたままであり、トロリ21は、移動方向Aに沿って移動して、形成ドラム25を、クロスベルト構造体がその上にない状態で、第2のサービス領域S2に導き、そこで、図7に示すように、形成ドラム25は第1の支持部材41に移送される。
【0155】
その後、図8に示すように、トロリ21は、第2のサービス領域S2から離れるように移動方向Bに沿って移動する。
【0156】
図9に示すように、この時点で、マニピュレータ40の可動群40bは、回転軸Rを中心に180°の角度だけ回転駆動される。このような回転により、支持部材41は、支持部材45がもともと占めていた待機位置に導かれるまで回転軸Rを中心に回転し、同時に、支持部材45は、支持部材41がもともと占めていた装填/取出し位置に導かれるまでを回転軸Rを中心に回転する。したがって、図20に示すように、形成ドラム25の回転軸は鉛直方向に沿って向けられ、形成ドラム210の軸は水平方向に沿って向けられる。
【0157】
その後、図10に示すように、トロリ21は、支持部材45から形成ドラム210を取り上げるように移動方向Aに沿って移動する。
【0158】
その後、図11に示すように、トロリ21は、形成ドラム210が環状保持部材30に対して半径方向内側位置で第1のサービス領域S1内に配置されるまで、移動方向Bに沿って移動する。
【0159】
クロスベルト構造体は、次いで、環状保持部材30から形成ドラム210に移送される。このような移送は、角度セクタが形成ドラム210を膨張状態(上記の角度セクタが環状保持部材30によって支持されたクロスベルト構造に接触する状態)にするまで、その角度セクタの同期半径方向移動により形成ドラム210が半径方向に膨張することを含む。上記の移送を容易にするために、形成ドラム210が上記の膨張状態をとったときに、環状保持部材30の半径方向膨張を提供することができる。環状保持部材30の半径方向膨張は、形成ドラム210の半径方向膨張と少なくとも部分的に同時であってもよい。
【0160】
好ましくは、形成ドラム210は、クラウン構造体構築サイクルの終了まで上記の膨張状態に留まる。
【0161】
クロスベルト構造体が形成ドラム210に移送されると、図12に示すように、トロリ21は、移動方向Bに沿って移動して、形成ドラム210を、クロスベルト構造体がその上にある状態で、第2の作業領域W2に導き、そこで、例えば図1のタイヤ2のゼロ度ベルト層8cのようなゼロ度ベルト層が、クロスベルト構造体に対して半径方向外側位置で形成ドラム210上に堆積される。このようにして、例えば図1のタイヤ2のベルトアセンブリ8’のようなベルトアセンブリの所望のトロイダル成形が得られる。
【0162】
その後、図13に示すように、トロリ21は移動方向Aに沿って移動して、形成ドラム210を、ベルトアセンブリがその上に形成された状態で、第2のサービス領域S2へ導き、そこで、形成ドラム210は第2の支持部材45に移送される。
【0163】
トロリ21は、続いて、図14に示すように、第2のサービス領域S2から離れるように移動方向Bに沿って移動する。
【0164】
図15に示すように、この時点で、マニピュレータ40の可動群40bは、回転軸Rを中心に180°の角度だけ回転駆動される。このような回転により、支持部材45は、支持部材41が前に占めていた待機位置に導かれるまで回転軸Rを中心に回転し、同時に、支持部材41は、支持部材45が前に占めていた装填/取出し位置に導かれるまで回転軸Rを中心に回転する。したがって、図19に示すように、形成ドラム210の回転軸は鉛直方向に沿って向けられ、形成ドラム25の軸は水平方向に沿って向けられる。
【0165】
その後、図16に示すように、トロリ21は、形成ドラム25を支持部材41から取り上げるように移動方向Aに沿って移動する。
【0166】
その後、図17に示すように、トロリ21は、形成ドラム25と共に、その開始位置P0(または、開始位置P0が第1の作業領域W1内に画定される場合には第1の作業領域W1)に戻るまで移動方向Bに沿って移動する。このような移動中、形成ドラム25は、環状保持部材30に対して半径方向内側位置を通り、第1のサービス領域S1、第2の作業領域W2、および、開始位置P0が第1の作業領域W1内に画定されない場合にはそのような第1の作業領域W1内で、停止しない。
【0167】
トロリ21を移動させて形成ドラム25を第2のサービス領域S2から開始位置P0(または、開始位置P0が第1の作業領域W1内に画定される場合には第1の作業領域W1)に導く直前、またはその間、またはその直後に、図2に示すドラム移送デバイス221は、形成ドラム210を支持部材45から取り上げて、クラウン構造体構築ライン200の経路230に送り、図17に示す新しい略トロイダル状の形成ドラム210’が、好ましくは再びドラム移送デバイス221によって支持部材45上に配置される。
【0168】
したがって、前述したベルトアセンブリの構築デバイス201は、トロイダル成形を有するベルトアセンブリの新しい構築サイクルを進め、前述した動きを繰り返すことができる。
【0169】
上記の説明から、図2のプラントの通常運転では、複数の略トロイダル状の形成ドラム210、210’は、ベルトアセンブリ構築デバイス201に連続して出入りし、一方、形成ドラム25は、そのような構築デバイス201の内部に常に留まることが明らかである。
【0170】
好ましくは、図2のプラントには、クラウン構造体構築ライン200内で同時に循環する5つまたは6つの略トロイダル状の形成ドラムがある。
【0171】
このような形成ドラムは、その収縮構成において、好ましくは500mm~900mmの直径を有し、300mmに等しい最大半径方向膨張を可能にする。その結果、環状保持部材30も同様の半径方向膨張を有することができなければならない。
【0172】
ベルトアセンブリの円筒状成形を行う必要がある場合、ベルトアセンブリの構築デバイス201は、支持部材45が、前述した形成ドラム25と完全に同等の略円筒状の形成ドラム250も支持するという点においてのみ、図3に示すものと異なる動作構成をとるように構成される。形成ドラム250を図21に示す。
【0173】
その後、トロリ21は、形成ドラム25と共に、形成ドラム25が第1の作業領域W1に導かれるまで、移動方向Aに沿って移動する。
【0174】
図4に示すものと同様の方法で、トロリ21は、形成ドラム25が第1の動作ステーションW1aに位置するときに停止し、そこで、第1のベルト層が堆積装置22aによって形成ドラム25上に堆積される。
【0175】
図5に示されるものと同様の方法で、トロリ21は、続いて移動方向Aに沿って移動し、形成ドラム25が第2の動作ステーションW1bにあるときに停止し、そこで、第2のベルト層が、堆積装置22bによって、第1のベルト層に対して半径方向外側位置で形成ドラム25上に堆積され、これにより、クロスベルト構造体を形成ドラム25上で構築する。
【0176】
その後、図21に示すように、トロリ21は、続いて移動方向Aに沿って移動し、形成ドラム25が第2の作業領域W2に到達したときに停止し、そこで、ゼロ度ベルト層が、堆積デバイス23によって、クロスベルト構造体に対して半径方向外側位置で形成ドラム25上に堆積され、これにより、ベルトアセンブリの所望の円筒状成形が得られる。
【0177】
その後、図22に示すように、形成ドラム25が、第1のサービス領域S1で停止することなく第1のサービス領域S1を横切り、かつ環状保持部材30に対して半径方向内側位置を通った後に、第2のサービス領域S2に到達して、そこで支持部材41に移送されるまで、トロリ21は移動方向Aに沿って移動する。
【0178】
その後、トロリ21は、図8に示すものと同様の方法で(ただし、形成ドラム210の代わりに形成ドラム250があることを理解されたい)、移動方向Bに沿って、第2のサービス領域S2から離れるように移動する。
【0179】
この時点で、マニピュレータ40の可動群40bは、図9に示すものと同様の方法で(ここでも、形成ドラム210の代わりに形成ドラム250があることを理解されたい)、回転軸Rを中心に180°の角度だけ回転駆動される。このような回転により、形成ドラム25は、形成ドラム250がもともと占めていた位置に導かれ、形成ドラム250は、形成ドラム25がもともと占めていた位置に導かれる。したがって、形成ドラム25の回転軸は鉛直方向に沿って向けられ、形成ドラム250の軸は水平方向に沿って向けられる。
【0180】
その後、トロリ21は、図10に示すものと同様の方法で(ここでも、形成ドラム210の代わりに形成ドラム250があることを理解されたい)、移動方向Aに沿って、形成ドラム250を支持部材45から取り上げるように移動する。
【0181】
その後、トロリ21は、形成ドラム250と共に、その開始位置P0(または、開始位置P0が第1の作業領域W1内に画定される場合には第1の作業領域W1)に戻るまで移動方向Bに沿って移動する。このような移動中、形成ドラム250は、環状保持部材30に対して半径方向内側位置を通り、第1のサービス領域S1、第2の作業領域W2、および第1の作業領域W1内で停止しない。
【0182】
トロリ21の移動が形成ドラム250を第2のサービス領域S2から開始位置P0(または、開始位置P0が第1の作業領域W1内に画定される場合には第1の作業領域W1)に導く直前、またはその間、またはその直後に、図2に示すドラム移送デバイス221は、形成ドラム25を支持部材41から取り上げて、クラウン構造体構築ライン200の経路230に送り、新しいベルトアセンブリの円筒状成形を行わなければならない場合には、前述した形成ドラム25と完全に同等のさらなる略円筒状の形成ドラム、または、ベルトアセンブリのトロイダル成形を行わなければならない場合には、例えば図3図17に示す形成ドラム210、210’のような略トロイダル状の形成ドラムが、好ましくは再びドラム移送デバイス221によって支持部材41上に配置される。
【0183】
本発明を、いくつかの好ましい実施形態を参照して説明した。以下の特許請求の範囲によって定義される本発明の保護の範囲内で、前述した実施形態に異なる変更を加えることができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22