(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-12
(45)【発行日】2023-01-20
(54)【発明の名称】めっき線材の製造方法およびめっき線材の製造装置
(51)【国際特許分類】
B21C 51/00 20060101AFI20230113BHJP
B21B 38/00 20060101ALI20230113BHJP
B21C 1/00 20060101ALI20230113BHJP
C25D 5/48 20060101ALI20230113BHJP
G01N 21/892 20060101ALI20230113BHJP
G01N 27/90 20210101ALI20230113BHJP
H01B 5/02 20060101ALI20230113BHJP
H01B 13/00 20060101ALI20230113BHJP
【FI】
B21C51/00 P
B21B38/00 F
B21C1/00 C
C25D5/48
G01N21/892 C
G01N27/90
H01B5/02
H01B13/00
(21)【出願番号】P 2019569857
(86)(22)【出願日】2019-08-22
(86)【国際出願番号】 JP2019032871
(87)【国際公開番号】W WO2020071002
(87)【国際公開日】2020-04-09
【審査請求日】2022-02-21
(31)【優先権主張番号】P 2018186596
(32)【優先日】2018-10-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】591174368
【氏名又は名称】富山住友電工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100116713
【氏名又は名称】酒井 正己
(74)【代理人】
【識別番号】100179844
【氏名又は名称】須田 芳國
(72)【発明者】
【氏名】土田 斉
(72)【発明者】
【氏名】加茂川 大
(72)【発明者】
【氏名】大村 忠司
(72)【発明者】
【氏名】中川 俊隆
【審査官】松岡 徹
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-539008(JP,A)
【文献】特開2015-120966(JP,A)
【文献】特開2015-029995(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B21C 51/00
B21B 38/00
B21C 1/00
C25D 5/48
G01N 21/892
G01N 27/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
伸線された線状の母材と前記母材の表面に設けられているめっき皮膜とを有するめっき線材前駆体を用意する工程であって、前記母材は第1金属からなり、前記めっき皮膜は前記第1金属とは組成が異なる第2金属からなる、工程と、
ダイスを用いて前記めっき線材前駆体にスキンパス加工を行いめっき線材中間体を得る工程と、
前記スキンパス加工後に、渦流探傷器およびカメラ検査装置を用いて前記めっき線材中間体における欠陥の有無を検査する工程と、
前記検査する工程において検出された前記めっき線材中間体における欠陥を除去してめっき線材を得る工程と、
を有するめっき線材の製造方法。
【請求項2】
前記カメラ検査装置は、
前記めっき線材中間体の表面に光を照射する光源と、
前記光源からの光が前記めっき線材中間体の表面で反射された反射光を検出する撮像機構と、
を有し、
前記撮像機構により撮像した画像から、複数の色調成分の画像を抽出し、前記複数の色調成分の画像間の輝度の差分量を元に前記めっき線材中間体における欠陥を検出する、
請求項1に記載のめっき線材の製造方法。
【請求項3】
前記撮像した画像から抽出する前記複数の色調成分の画像は、カラー画像または白黒画像である、
請求項2に記載のめっき線材の製造方法。
【請求項4】
前記撮像した画像から抽出する前記複数の色調成分は、赤、青および緑の3成分のうち2つ以上である、
請求項2または請求項3に記載のめっき線材の製造方法。
【請求項5】
前記光源は、バー照明である、
請求項2から請求項4のいずれか一項に記載のめっき線材の製造方法。
【請求項6】
前記光源は、白色LEDである、
請求項2から請求項5のいずれか一項に記載のめっき線材の製造方法。
【請求項7】
前記めっき線材中間体の断面は四角形であり、
前記カメラ検査装置は、ミラーを用いて前記めっき線材中間体の少なくとも一組の対向する両面における欠陥の有無を同時に検査する、
請求項1から請求項6のいずれか一項に記載のめっき線材の製造方法。
【請求項8】
線状の母材と前記母材の表面に設けられているめっき皮膜を有するめっき線材前駆体が巻回されているリールから前記めっき線材前駆体を繰り出す供給部と、
ダイスを用いて前記めっき線材前駆体をスキンパス加工してめっき線材中間体を得る加工部と、
渦流探傷器およびカメラ検査装置を用いて、前記めっき線材中間体における欠陥の有無を検査する検査部と、
前記めっき線材中間体における欠陥の除去を行いめっき線材を得る除去機構と、
を有するめっき線材の製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、めっき線材の製造方法およびめっき線材の製造装置に関する。本出願は、2018年10月1日に出願した日本特許出願である特願2018-186596号に基づく優先権を主張する。当該日本特許出願に記載された全ての記載内容は、参照によって本明細書に援用される。
【背景技術】
【0002】
従来、電気部品を相互に接続するために金属端子が用いられている。例えば、金属端子を樹脂台座に固定して電気部品としてのプリント基板に半田付けすることで基板用コネクタを構成し、外部電線の末端に設けられた他方の電気部品としてのコネクタとプリント基板を相互に接続したり、基板間接続端子として、電気部品としての一対のプリント基板を相互に接続したりすることが行われている。
【0003】
金属端子は、導電性金属板の表面に金属がめっきされたものをプレス打ち抜き加工したり、金属線材に金属めっきが施されためっき線材を所定の長さで切り出したりすることにより製造されている。このような金属端子は、例えば、特開2004-303680号公報(特許文献1)に開示されている。
【0004】
近年、自動車の電装化が進行し、電気機器の回路数が増加している。このため端子の多極化が進んでいる。端子の数に比例して組立て時の挿入力が上昇するため、作業負荷の増加を抑制すること及び接続を安定的に確保することが課題になっている。
例えば、挿抜可能な金属端子の材料については、導体素材の最外層に金属めっき層又は金属との合金層を生成させたり、更に合金層の露出度を規定したりすることによって、摩擦係数の低減を図ることが行われている(例えば、特開2003-147579号公報(特許文献2)参照)。
【0005】
また、金属角線コネクタ端子の製造方法としては、ダイス又は圧延ローラー等で成型加工された導電性金属に金属めっきを施し、熱処理後にダイス引き加工してなるめっき線材を用いる方法も知られている(例えば、特開2015-120966号公報(特許文献3)参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2004-303680号公報
【文献】特開2003-147579号公報
【文献】特開2015-120966号公報
【発明の概要】
【0007】
本開示の一態様に係るめっき線材の製造方法は、
伸線された線状の母材と前記母材の表面に設けられているめっき皮膜とを有するめっき線材前駆体を用意する工程であって、前記母材は第1金属からなり、前記めっき皮膜は前記第1金属とは組成が異なる第2金属からなる、工程と、
ダイスを用いて前記めっき線材前駆体にスキンパス加工を行いめっき線材中間体を得る工程と、
前記スキンパス加工後に、渦流探傷器およびカメラ検査装置を用いて前記めっき線材中間体における欠陥の有無を検査する工程と、
前記検査する工程において検出された前記めっき線材中間体における欠陥を除去してめっき線材を得る工程と、
を有するめっき線材の製造方法、
である。
なお、本開示においてスキンパス加工とは、めっき線材前駆体を圧延または引抜き加工することをいうものとする。
【0008】
本開示の一態様に係るめっき線材の製造装置は、
線状の母材と前記母材の表面に設けられているめっき皮膜を有するめっき線材前駆体が巻回されているリールから前記めっき線材前駆体を繰り出す供給部と、
ダイスを用いて前記めっき線材前駆体をスキンパス加工してめっき線材中間体を得る加工部と、
渦流探傷器およびカメラ検査装置を用いて、前記めっき線材中間体における欠陥の有無を検査する検査部と、
前記めっき線材中間体における欠陥の除去を行いめっき線材を得る除去機構と、
を有するめっき線材の製造装置、
である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、本開示の実施形態に係るめっき線材の製造装置の一例を表す概略図である。
【
図2】
図2は、めっき線材の構成の一例を表す概略図である。
【
図3】
図3は、めっき線材中間体に生じた欠陥の一例を表す概略図である。
【
図4】
図4は、めっき線材中間体に生じた欠陥の別の一例を表す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[本開示が解決しようとする課題]
金属端子に大電流を通流させるためには、金属端子の大径化及び他部材との接触性の確保が重要である。金属からなる母材の表面に金属めっきが施されることによって形成されためっき線材を用いた金属端子の場合には、上記母材の傷及び、金属めっきのめっき不良等の欠陥は、金属端子の接触抵抗を上げる原因となってしまう。また、金属からなる母材の表面に金属めっきを施しためっき線材を熱処理してからダイス引き加工すると、金属めっきに傷又は剥離が生じてしまう場合がある。
【0011】
本開示は上記の問題点に鑑みて、金属からなる母材の表面に金属めっきが施されてなるめっき線材について、母材と金属めっきとの界面及び、金属めっきの表面に存在する欠陥を高精度で検出し、前記欠陥が少ないめっき線材の製造方法およびこれを実施可能なめっき線材の製造装置を提供することを目的とする。
【0012】
[本開示の効果]
本開示によれば、金属からなる母材の表面に金属めっきが施されてなるめっき線材について、母材と金属めっきとの界面及び、金属めっきの表面に存在する欠陥を高精度で検出し、前記欠陥が少ないめっき線材の製造方法およびこれを実施可能なめっき線材の製造装置を提供することができる。
【0013】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。
(1)本開示の一態様に係るめっき線材の製造方法は、
伸線された線状の母材と前記母材の表面に設けられているめっき皮膜とを有するめっき線材前駆体を用意する工程であって、前記母材は第1金属からなり、前記めっき皮膜は前記第1金属とは組成が異なる第2金属からなる、工程と、
ダイスを用いて前記めっき線材前駆体にスキンパス加工を行いめっき線材中間体を得る工程と、
前記スキンパス加工後に、渦流探傷器およびカメラ検査装置を用いて前記めっき線材中間体における欠陥の有無を検査する工程と、
前記検査する工程において検出された前記めっき線材中間体における欠陥を除去してめっき線材を得る工程と、
を有するめっき線材の製造方法、
である。
上記(1)に記載の実施態様によれば、第1金属からなる母材の表面に第2金属からなる金属めっき(めっき皮膜)が施されてなるめっき線材について、母材と金属めっきとの界面又は、金属めっきの表面に存在する欠陥を高精度で検出し、前記欠陥が少ないめっき線材の製造方法を提供することができる。
本開示の実施形態に係るめっき線材の製造方法において検出可能な欠陥には、金属めっきが剥がれた部分だけでなく、母材が露出していない金属めっき表面の傷も含まれる。
【0014】
(2)上記(1)に記載のめっき線材の製造方法は、
前記カメラ検査装置は、
前記めっき線材中間体の表面に光を照射する光源と、
前記光源からの光が前記めっき線材中間体の表面で反射された反射光を検出する撮像機構と、を有し、
前記撮像機構により撮像した画像から、複数の色調成分の画像を抽出し、前記複数の色調成分の画像間の輝度の差分量を元に前記めっき線材中間体における欠陥を検出する、
ことが好ましい。
上記(2)に記載の実施態様によれば、めっき線材の表面のめっき皮膜の剥離による欠陥を高精度で検出することができる。
【0015】
(3)上記(2)に記載のめっき線材の製造方法は、
前記撮像した画像から抽出する前記複数の色調成分の画像が、カラー画像または白黒画像である、ことが好ましい。
上記(3)に記載の実施態様によれば、目的に応じて、めっき線材の表面の、大面積のめっき皮膜の剥離による欠陥又は、小面積のめっき皮膜の剥離による欠陥を検出することができる。
【0016】
(4)上記(2)または上記(3)に記載のめっき線材の製造方法は、
前記撮像した画像から抽出する前記複数の色調成分が、赤、青および緑の3成分のうち2つ以上である、ことが好ましい。
上記(4)に記載の実施態様によれば、赤、青および緑の三原色を用いて画像を抽出することで標準的な装置の使用が可能となり、装置を簡便化することができる。
【0017】
(5)上記(2)から上記(4)のいずれか一項に記載のめっき線材の製造方法は、
前記光源がバー照明(直線照明)である、ことが好ましい。
上記(5)に記載の実施態様によれば、光源による色ムラを生じにくくして、欠陥の誤検出を抑制することができる。
なお、バー照明とは、発光素子が直線上に配列して面発光する照明のことをいうものとする。
【0018】
(6)上記(2)から上記(5)のいずれか一項に記載のめっき線材の製造方法は、
前記光源が白色LEDである、ことが好ましい。
上記(6)に記載の実施態様によれば、光源が、可視光の全てを含むため、どの色も同じ明るさの2値化が可能となる。
【0019】
(7)上記(1)から上記(6)のいずれか一項に記載のめっき線材の製造方法は、
前記めっき線材中間体の断面が四角形であり、
前記カメラ検査装置が、ミラーを用いて前記めっき線材中間体の少なくとも一組の対向する両面における欠陥の有無を同時に検査する、
ことが好ましい。
上記(7)に記載の実施態様によれば、1回の測定でめっき線材の少なくとも一組の対向する両面における欠陥の有無を検査することができる。
【0020】
(8)本開示の一態様に係るめっき線材の製造装置は、
線状の母材と前記母材の表面に設けられているめっき層(めっき皮膜)を有するめっき線材前駆体が巻回されているリールから前記めっき線材前駆体を繰り出す供給部と、
ダイスを用いて前記めっき線材前駆体をスキンパス加工してめっき線材中間体を得る加工部と、
渦流探傷器およびカメラ検査装置を用いて、前記めっき線材中間体における欠陥の有無を検査する検査部と、
前記めっき線材中間体における欠陥の除去を行いめっき線材を得る除去機構と、
を有するめっき線材の製造装置、
である。
上記(8)に記載の実施態様によれば、母材の表面に金属めっきが施されてなるめっき線材について、母材と金属めっきとの界面又は、金属めっきの表面に存在する欠陥を高精度で検出し、前記欠陥が少ないめっき線材の製造方法を実施可能なめっき線材の製造装置を提供することができる。
【0021】
[本開示の実施態様の詳細]
本開示の実施態様に係るめっき線材の製造方法およびめっき線材の製造装置の具体例を、以下に、より詳細に説明する。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0022】
<めっき線材の製造方法>
本開示の実施形態に係るめっき線材の製造方法は、めっき線材前駆体を用意する工程(用意工程)と、前記めっき線材前駆体にスキンパス加工を行いめっき線材中間体を得る工程(加工工程)と、前記スキンパス加工後に前記めっき線材中間体における欠陥の有無を検査する工程(検査工程)と、を有する。以下に各工程を詳述する。
【0023】
(用意工程)
用意工程は、伸線された線状の導電性金属母材(以下、単に「母材」という。)と前記母材の表面に設けられているめっき皮膜とを有するめっき線材前駆体を用意する工程である。本実施形態において、前記母材は第1金属からなる。また、前記めっき皮膜は前記第1金属とは組成が異なる第2金属からなる。
図2にめっき線材20の構成の概略図を示す。本実施形態の一側面において、
図2はめっき線材前駆体20aの構成の概略図と把握することもできるし、後述するめっき線材中間体20bの構成の概略図と把握することもできる。めっき線材20は伸線された線状のものであればよく、断面形状は特に限定されるものではない。めっき線材20の断面形状は、例えば、円、楕円、正方形、長方形、または正方形若しくは長方形の角部が弧状になったものなどであればよい。また、前記めっき線材20は、伸線された線状の母材21の表面に、前記母材21を構成する第1金属とは異なる第2金属からなるめっき皮膜22を有するものであればよい。
なお、めっき皮膜22は、前記母材21の全周に亘って形成されている。また、めっき皮膜22は一層だけでなく、複数層であってもよい。
【0024】
前記母材21を構成する第1金属としては、単体金属であっても、合金であってもよく、例えば、銅、タフピッチ銅、銅合金(黄銅等)、鉄、鉄合金、アルミニウム及びアルミニウム合金などが挙げられる。
前記めっき皮膜22を構成する第2金属としては、単体金属であっても、合金であってもよく、銅、ニッケル、スズ、銀及び金などが挙げられる。
本開示の実施形態に係るめっき線材の製造法によって得られるめっき線材20を、金属端子として用いることを考慮すると、接触抵抗、接触信頼性、耐久性、半田付け性、経済性などの観点から、母材21を構成する第1金属は銅又は銅合金であることが好ましく、めっき皮膜22を構成する第2金属はスズであることが好ましい。また、前記めっき皮膜22としては、銅又はニッケルなどの下地めっき皮膜を有し、その表面にスズ又はスズを主成分とする合金によるめっき皮膜が形成されたものも好ましい。また、めっき線材20はアニール処理を行われたものであってもよい。
【0025】
めっき線材の断面の寸法は特に限定されるものではなく、所望の寸法に調整されていればよい。めっき皮膜22の厚みも限定的ではなく、適宜選択可能である。
【0026】
(加工工程)
加工工程は、前記用意工程で用意しためっき線材前駆体にスキンパス加工を行う工程である。スキンパス加工はダイスを用いて行えばよい。当該加工工程を行うことで、めっき線材中間体を得ることができる。
めっき線材前駆体にスキンパス加工を行うことで、めっき線材中間体の表面の形状を所望の形状に加工することができる。例えば、母材が平角状であり、その表面に比較的不均一な膜厚のめっき皮膜が形成されためっき線材前駆体であっても、ダイスを用いてスキンパス加工を行うことで、めっき皮膜の膜厚が均一でかつ薄いめっき線材中間体を得ることができる。
【0027】
しかしながら、スキンパス加工は加工対象物に比較的強い力が加わる。そのため、めっき線材前駆体20aに対してスキンパス加工を行うと、めっき線材中間体20bの表面のめっき皮膜22に傷が付いて凹んだり(
図3参照)、母材21とめっき皮膜22との界面で剥離が生じてしまったりする(
図4参照)場合がある。めっき皮膜22に傷及び剥離等の欠陥が生じためっき線材中間体20bを金属端子に加工して用いると、金属端子と他の接続部材との接触性が悪く、接触抵抗が大きくなってしまう。このため、めっき線材の製造過程において前記めっき線材中間体における欠陥が生じた部分は除去する必要がある。
本開示の実施形態に係るめっき線材の製造方法においては、前記検査工程においてめっき線材中間体20bに生じた欠陥の有無を検査し、また、これに続けて行う前記除去工程において前記めっき線材中間体における欠陥の除去を行う。
【0028】
なお、一般に、めっき線材前駆体にはスキンパス加工を行う前から母材の表面におけるめっき皮膜の付着力が弱いめっき不良部も存在し得る。このようなめっき不良部は、例えばめっき線材前駆体をリールに巻き取ったりする場合にめっき皮膜が剥離し、欠陥となって顕在化することがある。また、欠陥として顕在化しなかったとしても、めっき線材を金属端子に加工して用いた場合に、金属端子と他の接続部材との接触抵抗が大きくなる原因となるため、前記めっき不良部は除去する必要がある。しかしながら前記めっき不良部はめっき線材中間体を外観から観察しただけでは検出が困難である。
本開示の実施形態に係るめっき線材の製造方法においては、加工工程において行うスキンパス加工がストレス検査のような役割も果たし、めっき線材中間体中に潜在する前記めっき不良部を欠陥として顕在化させることができる。すなわち、スキンパス加工を行うことによって、前記めっき不良部でめっき皮膜の剥離が生じ、前記めっき不良部は外観上の欠陥として検出可能な状態になる。
【0029】
(検査工程)
検査工程は、前記スキンパス加工後に、渦流探傷器およびカメラ検査装置を用いて前記めっき線材中間体における欠陥の有無を検査する工程である。本実施形態の一側面において、渦流探傷器を用いた検査とカメラ検査装置を用いた検査との順序は特に制限されない。渦流探傷器を用いた検査を先に行ってもよいし、カメラ検査装置を用いた検査を先に行ってもよい。
-渦流探傷器-
渦流探傷器を用いてめっき線材中間体の検査を行うことで、主として、
図3に示すようなめっき線材中間体20bの表面に形成された傷及び、めっき皮膜22の表面に付着した不純物のように、段差を伴う欠陥を検出することができる。渦流探傷器としては、従来公知のものを用いることができる。
一般に、渦流探傷器による検査をしている際に検査対象物が揺れると、検査対象物に傷があると誤って判断されてしまう。めっき線材中間体のように搬送時に線ブレが生じやすい検査対象物の場合には、誤って傷があると判断されるノイズが生じやすい。
本開示の実施形態に係るめっき線材の製造方法においては、渦流探傷器による検査の直前に、めっき線材前駆体のスキンパス加工を行うため、めっき線材中間体がダイスによってしっかりと固定されている。このため、めっき線材中間体に線ブレが生じにくくなっており、渦流探傷器による検査をより高精度で行うことができる。
【0030】
-カメラ検査装置-
カメラ検査装置を用いてめっき線材中間体の検査を行うことで、主として、
図4に示すようなめっき線材中間体20bの表面に生じためっき皮膜22の剥離を検出することができる。
めっき線材中間体20bにおいて、めっき皮膜22の剥離が生じている部分は母材21が表面に露出している。母材21とめっき皮膜22とでは反射する光の波長が異なるため、めっき線材中間体20bに光を照射してその反射光の成分を解析することで、めっき皮膜22の剥離を伴う欠陥の有無を判断することができる。
具体的には、まずは、適当な光源を用いてめっき線材中間体20bの表面に光を照射する。そして、めっき線材中間体の表面で反射された反射光を撮像機構によって検出する。撮像機構では、撮像した画像から複数の色調成分の画像を抽出し、前記複数の色調成分の画像間の輝度の差分量を元にすることで、めっき線材中間体の表面の欠陥の有無を検査することができる。
【0031】
前記撮像した画像から抽出する前記複数の色調成分の画像は、カラー画像であってもよいし、白黒画像であってもよい。また、複数のカラー画像を抽出してその複数の色調成分の画像間の輝度の差分量を元にして比較することと、カラー画像を白黒(グレーまたは2値化)画像に変換して検出処理を行うことの両方を行ってもよい。撮像した画像を白黒画像に変換して検出処理を行う場合には、カラー画像から明度だけを取り出し、グレー画像(白黒画像)に変換して検出処理を行えばよい。
【0032】
複数のカラー画像を抽出してその複数の色調成分の画像間の輝度の差分量を元にして検出処理を行う場合(カラー検査)には、比較的大きい面積のめっき皮膜22の剥離(直径が0.20mm以上の面積)を検出することができる。
また、カラー画像を白黒画像に変換して検出処理を行う場合には、比較的小さい面積のめっき皮膜22の剥離(直径が0.15mm以上の面積)も検出することができる。
【0033】
前記撮像したカラー画像から抽出する複数の色調成分は、例えば、赤、緑および青の3成分のうち2つ以上であることが好ましい。赤、緑および青の三原色のうちいずれか2種以上を抽出する場合には、標準的な装置の使用が可能となり、装置を簡便化することができる。赤、緑および青の画像の色比較は、色相、明度、彩度に分けて1セグメント毎に比較、検出処理を行う。また、2成分のみを使用して処理を行う場合には、3成分を使用して処理を行う場合よりも高速な処理が可能となる。
【0034】
なお、めっき線材中間体20bの表面の検査においては、平面方向の視野をいくつかの部分(例えば、中央部、角部等)に分割して撮像してもよい。また、めっき線材中間体20bの表面を平面方向に視野を分割して撮像した場合には、それぞれ画像において異なる処理(例えば、上記のカラー画像による処理や白黒画像による処理)を行ってもよい。
【0035】
前記光源は、めっき線材中間体に光を照射可能なものであればよく、例えば、同軸落射照明又はバー照明(直線照明)を利用することができる。
同軸落射照明は、レンズの方向からめっき線材中間体に向かって垂直に光を照射するものであり、照射光はめっき線材中間体の表面で垂直に反射し、レンズに向かって直進する。同軸落射照明は、例えば、前記レンズとしてハーフミラーを用いることで作ることができる。
めっき線材中間体が、例えば
図2に示すような幅広の平角形状である場合に同軸落射照明を利用すると、めっき線材中間体の表面に均一に光を照射することが難しく、色ムラが生じてしまう場合がある。また、めっき線材中間体の表面で垂直に反射する正反射光はハレーションの原因になり得る。
【0036】
めっき線材中間体が幅広の平角形状の場合であっても、前記光源としてバー照明(直線照明)を利用することで、めっき線材中間体の表面に均一に光を照射することができる。光源としてバー照明を利用する場合には、ハレーションの原因となる正反射光が発生させないように、めっき線材中間体の表面に対して斜めから光が照射するようにバー照明を配置すればよい。そして、拡散反射光を検出して撮像し、欠陥の有無を判別すればよい。
また、バー照明と同じ角度となるようにカメラを傾けて正反射光をとらえることで、エッジ成分を際立たせることもできる。
【0037】
前記光源としては、白色LED(Light Emitting Diode)を用いることが好ましい。白色光は全ての可視光を含むため、色の明るさ(明度)が同じであれば、どの色も同じ明るさでグレー化(2値化)することができる。めっき線材中間体の色が多色の場合に白色LEDを使用すると、色の影響に左右されることなく、特異点を捉えることが可能である。
【0038】
めっき線材中間体の断面が四角形の平角形状である場合には、カメラ検査装置は、ミラーを用いて前記めっき線材中間体の少なくとも一組の対向する両面における欠陥の有無を同時に検査することが好ましい。本実施形態において「四角形」とは幾何学的な四角形に限られず略四角形も含む概念である。例えば、正方形又は長方形における角部が円弧状に形成されている形状等も上述の「四角形」の範疇である。ミラーを用いてめっき線材中間体の上下面の両面を同時に検査することで、検査時間を短縮したり、装置構成を簡略化したりすることができる。また、上下面だけでなく、左右面の両面を同時に検査可能なようにミラーを配置することで、めっき線材中間体の全周囲を同時に検査することもできる。
【0039】
(除去工程)
除去工程は、前記検査工程において検出された前記めっき線材中間体における欠陥を除去する工程である。この除去工程を経ることで前記めっき線材中間体から完成品であるめっき線材が得られる。前記めっき線材中間体における欠陥を除去することで、他部材との接触抵抗が小さい金属端子を製造可能なめっき線材を製造することができる。前記めっき線材中間体における欠陥を除去する方法は特に限定されず、例えば、欠陥部位をカッター及びナイフなどで切断除去すればよい。
また、欠陥部位を除去した後に切断されためっき線材中間体同士を溶接等によって接続してもよいし、あるいは、欠陥部位を除去したままめっき線材中間体の接続をせずにそれぞれ別のリールに巻き取りをしてもよい。更に、欠陥を検出した際に直ぐに欠陥の除去は行わず、欠陥部位にマーキングをしておき、所望の段階で再度画像処理を行う等により欠陥を検出し、欠陥部位の切断除去をしてもよい。
【0040】
本開示の実施形態に係るめっき線材の製造方法によって得られるめっき線材は、コネクタの端子の他にも、電線用導体、ばね用素材、通信機器用配線材、計測機器用配線材、ソーラーパネル用めっき平角線、接点端子、コネクタ、リレー、チップ部品、自動車電装品、デジタル家電用部品、電子部品等、種々の用途に用いることができる。
【0041】
<めっき線材の製造装置>
本開示の実施形態に係るめっき線材の製造装置の構成の一例の概略を
図1に示す。
図1に示すように、本開示の実施形態に係るめっき線材の製造装置10は、めっき線材前駆体20aが巻回されているリールからめっき線材前駆体20aを繰り出す供給部15と、前記めっき線材前駆体20aをスキンパス加工してめっき線材中間体20bを得る加工部13と、渦流探傷器11およびカメラ検査装置12を用いて前記めっき線材中間体20bにおける欠陥の有無の検査を行う検査部と、前記めっき線材中間体20bにおける欠陥の除去を行いめっき線材20を得る除去機構17と、を有する。本実施形態の一側面において、渦流探傷器11とカメラ検査装置12との配置順序は特に制限されない。渦流探傷器11を先に配置してもよいし、カメラ検査装置12を先に配置してもよい。
【0042】
リールに巻回されためっき線材前駆体20aは、前述の本開示の実施形態に係るめっき線材の製造方法について説明した用意工程によって用意されたものであればよい。供給部15から繰り出されためっき線材前駆体20aは、曲がった状態でクセがついている場合があるため、矯正ローラー部14によって直線状に矯正することが好ましい。
【0043】
めっき線材前駆体20aをスキンパス加工してめっき線材中間体20bを得る加工部13は、前述の加工工程において説明したように、ダイヤモンドダイスのようなダイスを用いてめっき線材前駆体20aを所望の形状に加工可能な構成となっていればよい。
加工部13の下流側に位置する渦流探傷器11およびカメラ検査装置12は、前述の本開示の実施形態に係るめっき線材の製造方法について説明したものと同じ構成のものを用いることができる。渦流探傷器11およびカメラ検査装置12により、めっき線材中間体20b上の種々の欠陥を検出することができる。
【0044】
本開示の実施形態に係るめっき線材の製造装置10は、渦流探傷器11およびカメラ検査装置12によって検出されためっき線材中間体20b上の種々の欠陥を除去可能な除去機構17を有する。除去機構17は、前記めっき線材中間体20bにおける欠陥を除去することが可能な構成であればよく、例えば、カッター及びナイフなどであればよい。
除去機構17によって欠陥部位が切断除去されためっき線材20は再び矯正ローラー14を通過してから、巻き取り部16においてリールに巻き取られる。なお、欠陥部位を切断した後に、溶接等によってめっき線材20を接続してもよいし、接続せずにそれぞれ別のリールに巻き取りをしてもよい。
【0045】
以上の説明は、以下に付記する特徴を含む。
(付記1)
伸線された線状の導電性金属母材の表面に前記導電性金属とは異なる金属のめっき皮膜を有するめっき線材を用意する用意工程と、
ダイスを用いて前記めっき線材にスキンパス加工を行う加工工程と、
前記スキンパス加工後に、渦流探傷器およびカメラ検査装置を用いて前記めっき線材の欠陥の有無の検査を行う検査工程と、
前記検査工程において検出された前記めっき線材の欠陥を除去する除去工程と、
を有するめっき線材の製造方法。
(付記2)
前記欠陥は、前記めっき線材の表面を構成する前記金属が反射する光とは異なる波長の光を反射するものであり、
前記カメラ検査装置は、
前記めっき線材の表面に光を照射する光源と、
前記光源からの光が前記めっき線材の表面で反射された反射光を検出する撮像機構と、
を有し、
前記撮像機構により撮像した画像から、複数の色調成分の画像を抽出し、前記複数の色調成分の画像間の輝度の差分量を元に前記欠陥を検出する、
付記1に記載のめっき線材の製造方法。
(付記3)
前記撮像した画像から抽出する前記複数の色調成分の画像は、カラー画像または白黒画像である、
付記2に記載のめっき線材の製造方法。
(付記4)
前記撮像した画像から抽出する前記複数の色調成分は、赤、青および緑の3成分のうち2つ以上である、
付記2または付記3に記載のめっき線材の製造方法。
(付記5)
前記光源は、バー照明である、
付記2から付記4のいずれかに記載のめっき線材の製造方法。
(付記6)
前記光源は、白色LEDである、
付記2から付記5のいずれかに記載のめっき線材の製造方法。
(付記7)
前記めっき線材の断面は略四角形であり、
前記カメラ検査装置は、ミラーを用いて前記めっき線材の少なくとも一組の対向する面の両面の欠陥の有無を同時に検査する、
付記1から付記6のいずれかに記載のめっき線材の製造方法。
(付記8)
線状の導電性金属母材の表面に前記導電性金属とは異なる金属のめっき層を有するめっき線材が巻回されているリールから前記めっき線材を繰り出す供給部と、
ダイスを用いて前記めっき線材をスキンパス加工する加工部と、
渦流探傷器およびカメラ検査装置を用いて、前記スキンパス工程後の前記めっき線材の欠陥の有無の検査を行う検査部と、
前記めっき線材の欠陥の除去を行う除去機構と、
を有するめっき線材の製造装置。
【実施例】
【0046】
以下、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、これらの実施例は例示であって、本発明のめっき線材の製造方法等はこれらに限定されるものではない。本発明の範囲は請求の範囲の記載によって示され、請求の範囲の記載と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0047】
(実施例1)
-用意工程-
ダイスで成型加工された0.65mm×1.05mmのタフピッチ銅の平角線材を母材として用いた。この母材の表面に、銅めっきによる下地めっきを施し、下地めっきに続けてスズめっきを施してめっき皮膜を形成することによりめっき線材前駆体を作製した。
銅(Cu)めっきのめっき条件は、硫酸銅浴(硫酸銅250g/L、硫酸40g/L)、液温度25℃、電流密度5A/dm2とし、1μmの銅めっき皮膜が形成されるようにした。
スズ(Sn)めっきのめっき条件は、硫酸スズ浴(硫酸スズ80g/L、硫酸80g/L、添加剤10g/L)、液温25℃、電流密度5A/dm2とし、1.3μmのスズめっき皮膜が形成されるようにした。
【0048】
図1に示すめっき線材の製造装置10を用いてめっき線材を製造した。
-加工工程-
上記用意工程で用意しためっき線材前駆体は、250℃で3分のリフロー処理を実施した。その後、ダイヤモンドダイスを用いてめっき線材前駆体にスキンパス加工を実施し、0.64mm×1.5mmに伸線した。すなわち、加工工程を行うことでめっき線材前駆体からめっき線材中間体を得た。
【0049】
-検査工程-
スキンパス加工に続けて、渦流探傷器を用いて、めっき線材中間体の表面に形成された傷及び、めっき線材中間体の表面に付着した不純物の有無を検査した。
渦流探傷器による検査に続けて、カメラ検査装置を用いて、めっき線材中間体の表面におけるめっき皮膜の剥離の有無を検査した。めっき線材中間体の表面の観察は、めっき線材中間体の表面を中央部およびその両端の角部に視野を分割して行った。カメラ検査装置の光源としては白色LEDによる同軸落射照明を用いた。そして、正反射光を撮像機構で検出して撮像した。また、ミラーを用いてめっき線材中間体の上面と下面の両面について欠陥の有無を同時に検査した。
撮像機構により撮像した画像から赤成分と青成分を抽出し、その色調成分の画像間の輝度の差分量を元にして比較することと、カラー画像を白黒(グレーまたは2値化)画像に変換して検出処理を行うことの両方を行った。
【0050】
-除去工程-
検査工程において検出された、めっき線材中間体における傷及びめっき膜の剥離などの欠陥部位をカッターにより切断除去して、欠陥部位が除去されためっき線材No.1を得た。
【0051】
(実施例2)
実施例1の検査工程において、カメラ検査装置の光源として、以下の構成のものを用いた以外は実施例1と同様にしてめっき線材No.2を製造した。
カメラ検査装置の光源としては白色LEDによるバー照明を用い、めっき線材中間体の表面に対して斜めに光が照射するようにした。そして、拡散反射光を撮像機構で検出して撮像した。
【0052】
(比較例1)
実施例1において加工工程を行わず、また、検査工程において渦流探傷器による検査のみを行い、カメラ検査装置による検査を行わなかった以外は実施例1と同様にしてめっき線材No.3を製造した。
【0053】
(比較例2)
実施例1の検査工程において渦流探傷器による検査のみを行い、カメラ検査装置による検査を行わなかった以外は実施例1と同様にしてめっき線材No.4を製造した。
【0054】
(比較例3)
実施例1において加工工程を行わなかった以外は実施例1と同様にしてめっき線材No.5を製造した。
【0055】
(比較例4)
実施例2において加工工程を行わなかった以外は実施例2と同様にしてめっき線材No.6を製造した。
【0056】
<評価結果>
めっき線材No.1~No.6を製造する過程において検出することが出来た欠陥の種類を、表1にまとめた。
【0057】
【0058】
表1に示す欠陥の種類の詳細は次の通りである。
・めっき不良1
めっき皮膜22と母材21との密着性が悪く、めっき線材20を曲げると母材21が露出してしまう状態
・めっき不良2
めっき皮膜22が形成されておらず母材21が露出してしまっている状態
・スジ
めっき皮膜22の表面の薄い線状の凹み(めっき皮膜22の厚さ以下のもの)がある状態
・凹み・傷1
めっき皮膜22の表面に凹みまたは傷がある状態
・凹み・傷2
めっき皮膜22の表面に凹みまたは傷がある状態
・異物付着1
めっき皮膜22の表面にめっきカスが付着した状態(付着物がめっき皮膜22と同色の場合)
・異物付着2
めっき皮膜22の表面にめっき色調が異なるものが付着した状態
・被り傷
母材21の銅被り(母材21にクラックがありその表面にめっき皮膜が形成されている状態)
【0059】
表1に示すように、実施例1および実施例2のめっき線材の製造方法においては、めっき線材20(めっき線材20b)上の全ての種類の欠陥を検出することができ、これを除去することで欠陥の少ない高品位のめっき線材を得ることができた。
【符号の説明】
【0060】
10 めっき線材の製造装置、 11 渦流探傷器、 12 カメラ検査装置、 13 加工部、 14 矯正ローラー部、 15 供給部、 16 巻き取り部、17 除去機構、 20 めっき線材、 20a めっき部材前駆体、 20b めっき部材中間体、 21 母材、 22 めっき皮膜。