(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-12
(45)【発行日】2023-01-20
(54)【発明の名称】ロールペーパーホルダー
(51)【国際特許分類】
A47K 10/36 20060101AFI20230113BHJP
【FI】
A47K10/36 D
A47K10/36 K
(21)【出願番号】P 2018248894
(22)【出願日】2018-12-14
【審査請求日】2021-12-03
(73)【特許権者】
【識別番号】591075043
【氏名又は名称】楠本 義夫
(74)【代理人】
【識別番号】100071892
【氏名又は名称】河野 隆一
(72)【発明者】
【氏名】楠本 義夫
【審査官】七字 ひろみ
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-143736(JP,A)
【文献】特開2016-41229(JP,A)
【文献】実開昭61-25894(JP,U)
【文献】特開平9-103389(JP,A)
【文献】特開平2-34129(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47K 10/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸は一端側にロールペーパー保持手段を具備し、他端側に案内ピンが供回り可能に取り付けられ、
ケーシング内には回転軸の回転運動をシャフトの上下運動に変換する手段を具備し、
使用者のロールペーパー引き出し力によりロールペーパー保持手段と回転軸は供回りし、シャフトを上昇させ、シャフト上端に設けた案内ピン係止片が最上位置に達すると、案内ピン係止片で案内ピンが係止され回転軸の回転動を停止し、
該回転軸停止状態下でロールペーパー保持手段が空転して使用者が所望長さのペーパーを引き出し、ロールペーパーを切断すると、回転軸はロールペーパー引き出し力から解放され、正面方向に回転動し、該回転動に応じた長さのペーパーが自動的に繰り出されるようにしたロールペーパーホルダーにおいて、
ケーシングには弾性部材が設けられ、
回転軸には回転軸と供回りする案内板が偏心して取り付けられ、
案内板の周端面には弾性部材が摺動可能な案内溝が凹設され、
案内板は、側面から視て回転方向に於ける回転軸の軸心と最も近い位置から軸心と最も離れた位置までの範囲は、弾性部材を案内溝の溝底で弾性変形させ弾性部材にエネルギーを蓄積可能な曲線部と、
回転方向に於ける回転軸の軸心と最も離れた位置から軸心と最も近い位置までの範囲は、復元された弾性部材が案内板と接触不可能に軸心からの距離が設定された非接触部よりなり、
使用者によるロールペーパーの引き出し力で回転軸が案内ピン及び案内板と共に正面方に回転動をし、上昇した案内ピン係止片に案内ピンが係止して回転軸が停止し、
一方、弾性部材は回転軸の軸心に最も近い位置側から案内溝に入り、案内板の回転により案内溝を摺動しながら弾性変形され、軸心に最も離れた位置の案内溝にて弾性変形状態で回転軸が停止し、
回転軸の停止状態下で使用者がロールペーパーを切断すると、回転軸は使用者の引き出し力から解放され、同時に弾性部材は復元力で案内板に付勢し案内板を正面方向に回転動させ、案内板の重心が回転軸の軸心真下に位置するように回転動をし、該回転動に応じた長さのロールペーパーを繰り出すようにしたことを特徴とするロールペーパーホルダー。
【請求項2】
上記回転軸の他端が、上記ケーシングの側壁を回転可能に貫通し、ケーシングの外側にて摘みを設けたことを特徴とする請求項1に記載のロールペーパーホルダー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使用者がロールペーパーを切断後に、自動的にロールペーパーが正面方向に一定量回転動をし、カバー体の正面端縁から一定長さのペーパーが自動的に繰り出し、この繰り出されたペーパーが次の使用の際の摘み代となるようにしたロールペーパーホルダーに関する。
【背景技術】
【0002】
ロールペーパーホルダーとしては特許文献1~3に開示のものが提案されている。特許文献1~3に開示のロールペーパーホルダーは、トイレットペーパー等のロールペーパーのうち繰り出されたペーパーを切断の際に、ロールペーパー上面を覆うカバー体を押さえるために手で触れる必要性があった。手がカバー体に接触すると、手指に付着している物質や大腸菌等の雑菌がカバー体に付着する可能性があり、カバー体の衛生が保持されず、又、爪に装飾を施した女性にとっては爪が痛むおそれがあるという欠点があった。
この欠点に鑑みて、本願発明者はロールペーパーがカバー体の正面端縁に設けた切断刃で切断分離されると同時に、ロールペーパーを自動的に正面方に一定量回転動させることで、カバー体の正面端縁よりロールペーパーが一定長さ繰り出され、この繰り出されたペーパーが、次にロールペーパーを使用する者の摘み代となるように構成されたロールペーパーホルダーを創案し、特願2014-177513として特許出願した(特許文献4参照)。特許文献4に開示の発明は、手指がカバー体を含むロールペーパーホルダーに接触することがなくペーパーを切断することができるので、ロールペーパーホルダー表面の衛生状態が保持され、又、使用者の手指の爪先等を損傷しないという長所がある。
本願発明者は研究を重ね、ロールペーパーを回転動させる基端回転軸に板カム、錘及び案内ピンを有する錘用腕杆を供回り可能に取り付け、ペーパーを正面方向に引き出すと回転軸と板カム及び錘用腕杆が同期回転し、この回転動に伴い、上端に案内ピン係止壁を有する従節シャフトを上昇させ、且つ案内ピンを正面方向に回転動させ、案内ピンが案内ピン係止壁に係止状態でペーパーをカバー体正面端縁で切断後、回転軸は使用者の引っ張り力から解放され、錘の重力でロールペーパーが正面方向に一定量周回動可能な構成のロールペーパーホルダーを開発し、特願2017-63856として特許出願した(特許文献5参照)。特許文献5に開示の発明は、ロールペーパーホルダーに手指が接触することがなくペーパーを引き出すことができ、衛生的であるという効果がある。
特許文献5に開示の発明は、使用者は回転軸を錘と共に回転させる引っ張り力をもってペーパーを引き出し、ペーパー切断後は錘が回転軸の軸心真下に位置するように錘の自重で回転軸を回転動させる。そのため、使用者がロールペーパーを引き出すには、錘と共に回転軸を回転させる程度以上の引っ張り力が必要であり、力の弱い高齢者や子供には不向きであり、又、錘を有する為にロールペーパーホルダー全体として重量があるという問題点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2003-472号公報
【文献】特開2013-198714号公報
【文献】特開2009-106717号公報
【文献】特開2016-41229号公報
【文献】特開2018-143736号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本願発明の解決しようとする課題は、ペーパーの引き出しの際に使用者のペーパー引っ張り力の軽減化、及びロールペーパーホルダー自体の重量の軽量化である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために本願発明のうち請求項1に記載の発明は、回転軸は一端側にロールペーパー保持手段を具備し、他端側に案内ピンが供回り可能に取り付けられ、ケーシング内には回転軸の回転運動をシャフトの上下運動に変換する手段を具備し、使用者のロールペーパー引き出し力によりロールペーパー保持手段と回転軸は供回りし、シャフトを上昇させ、シャフト上端に設けた案内ピン係止片が最上位置に達すると、案内ピン係止片で案内ピンが係止され回転軸の回転動を停止し、該回転軸停止状態下でロールペーパー保持手段が空転して使用者が所望長さのペーパーを引き出し、ロールペーパーを切断すると、回転軸はロールペーパー引き出し力から解放され、正面方向に回転動し、該回転動に応じた長さのペーパーが自動的に繰り出されるようにしたロールペーパーホルダーにおいて、ケーシングには弾性部材が設けられ、回転軸には回転軸と供回りする案内板が偏心して取り付けられ、案内板の周端面には弾性部材が摺動可能な案内溝が凹設され、案内板は、側面から視て回転方向に於ける回転軸の軸心と最も近い位置から軸心と最も離れた位置までの範囲は、弾性部材を案内溝の溝底で弾性変形させ弾性部材にエネルギーを蓄積可能な曲線部と、回転方向に於ける回転軸の軸心と最も離れた位置から軸心と最も近い位置までの範囲は、復元された弾性部材が案内板と接触不可能に軸心からの距離が設定された非接触部よりなり、使用者によるロールペーパーの引き出し力で回転軸が案内ピン及び案内板と共に正面方に回転動をし、上昇した案内ピン係止片に案内ピンが係止して回転軸が停止し、一方、弾性部材は回転軸の軸心に最も近い位置側から案内溝に入り、案内板の回転により案内溝を摺動しながら弾性変形され、軸心に最も離れた位置の案内溝にて弾性変形状態で回転軸が停止し、回転軸の停止状態下で使用者がロールペーパーを切断すると、回転軸は使用者の引き出し力から解放され、同時に弾性部材は復元力で案内板に付勢し案内板を正面方向に回転動させ、案内板の重心が回転軸の軸心真下に位置するように回転動をし、該回転動に応じた長さのロールペーパーを繰り出すようにしたことを特徴とする。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の回転軸の他端が側壁を回転可能に貫通し、ケーシングの外側にて摘みを設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
ペーパー切断と同時に、ロールペーパーが正面方向に回転し、ペーパーがカバー体正面端縁より自動的に繰り出され、この繰り出されたペーパーが次の使用の摘み代となるので、カバー体等に手指が触れることがなく、衛生的であるという効果がある。
案内ピンが案内ピン係止壁に係止した状態で使用者がペーパーを所望長さ引き出し切断すると、弾性部材に蓄積された弾性変形エネルギー、すなわち弾性部材の復元力が案内板に正面方向に回転するように作用し、偏心して取り付けられた案内板の最も軸心から離れた位置が回転軸軸心の真下に位置するように案内板を正面方向に回転させるので、錘を必要とせず、ロールペーパーホルダーを構成する部品点数の一層の減少化を図ることができ経済性が向上し、又、全体としての軽量化を図ることができたという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】カバー体を開いた状態において、案内ピンが案内ピン係止片の案内ピン係止壁に当接しているケーシングの内部状態を示すロールペーパーホルダーの一部切欠正面説明図である。(実施例1)
【
図2】カバー体を開いた状態において、従節シャフトが下降し案内板の最も軸心から離れた位置が回転軸軸心の真下に位置したケーシングの内部状態を示すロールペーパーホルダーの一部切欠正面説明図である。(実施例1)
【
図3】ケーシングの内部状態の斜視説明図である。(実施例1)
【
図4】ロールペーパーを引き出す前のケーシング内部を示す側面説明図である。(実施例1)
【
図5】ロールペーパーを引き出している状態の弾性部材と案内板の関係を示す側面説明図である。(実施例1)
【
図6】ロールペーパーを引き出し、ロールペーパーが停止した状態を示す側面説明図である。(実施例1)
【
図7】ロールペーパーを切断時の側面説明図である。(実施例1)
【
図8】案内ピン係止片の背面における案内ピンの作動状態を示す拡大説明図である。(実施例2)
【
図9】摘みを取り付けた状態を示す一部切欠正面図である。(実施例3)
【発明を実施するための形態】
【0008】
回転軸に偏心して取り付けられた案内板の周端面に案内溝を設け、案内溝で回転軸の回転に応じて弾性部材を弾性変形させ、ペーパー切断と同時に弾性部材に蓄積した弾性エネルギーを放出させ、弾性部材が案内板に正面方向に回転させるように作用し、この回転で繰り出したペーパーを次の使用のための摘み代とすることで、ロールペーパーの引き出し及び切断に必要な力の軽減化及び軽量化を実現した。
【実施例1】
【0009】
図1~
図7に基いて実施例1を説明する。ロールペーパーホルダーは、背面部材1と、側部材2と、ケーシング3と、側部材2とケーシング3と背面部材1で囲まれる空間部の上方にて起伏動する紙切断機能を具備するカバー体4、ロールペーパー保持手段、回転軸5及び回転軸5を回転停止する手段を設けてなる。側部材2は、背面部材1の正面に対して90度から180度の角度の範囲で回動可能に、背面部材1の横幅方向の一方の側縁に枢着されている。ケーシング3は正面方に突き出すように、背面部材1の横方向の他方の側縁に固定的に取り付けられている。ケーシング3は、側壁301、302、及び周壁303よりなり、側壁301、302、周壁303の内側に回転軸5の回転停止機構を収納可能な空間を設けている。背面部材1は正背視が矩形の同厚板状物よりなり、構築物壁面への取り付け手段を具備する。
【0010】
回転軸5は側壁301を回転可能に貫通軸架されている。回転軸5の一端にはロールペーパー保持手段が設けられている。ロールペーパー保持手段は、回転軸5の一端に設けた取付部6と、取付部6を介して取り付けられた1対の挿し込み片7、7と、挿し込み片7、7を離隔する方向に付勢するロールペーパー保持用バネ8、及び取付部6に取り付けられたラチェット機構よりなる。詳しくは、取付部6には回転軸5をラチェット軸と共用し、ラチェットギア10を設け、ラチェット爪11はラチェットギア10の歯溝に食い込んで回転軸5の背面方向への回転を阻止するようにしている。ラチェットギア10は回転軸5と供回りし、回転軸5を停止させると空転可能に取付けられている。挿し込み片7、7は、断面形状が外方に膨出した弧状彎曲面よりなる短冊状に形成されている。取付部6には1対の挿し込み片7、7のうち一方の挿し込み片7の基部が固着されている。1対の挿し込み片7、7のうち他方の挿し込み片7の基部は、一方の挿し込み片7の基部に枢着されて取付部6に取り付けられている。ロールペーパー保持用バネ8は、挿し込み片7、7の対向面を離すように付勢している。側部材2には、側部材2を側壁301と互いに平行な位置関係となるように回動すると、回転軸5の一端部を軸架する受孔(図示せず)が開設されている。本実施例では、ロールペーパー保持手段が、ロールペーパー保持用バネ8の復元力でロールペーパー12の中芯の内周面に対して挿し込み片7、7が加圧し、ロールペーパー12が挿し込み片7、7の外面にずれることなく取り付けられることで固定的取り付け状態を保持しているものを例に説明したが、これに限定するものではない。
【0011】
側壁301に軸架された回転軸5の他端側は、ケーシング3内に於いて板カム13、案内ピン用腕杆14、及び案内板15が回転軸5と供回り可能に取り付けられている。案内ピン用腕杆14の先端には、案内ピン16が取り付けられている。案内ピン16は、先端が側壁301を向き、且つ回転軸5と平行な位置関係となるように設けられている。
【0012】
案内板15は所定の同厚平板を材料とし、側面から視て曲線部と直線部の周縁を有する形状に形成されている。曲線部の周端面には案内溝17が凹設されてなる。案内板15は回転軸5に供回り可能に偏心して取り付けられている。案内板15の周縁曲線部と回転軸5の軸心との直線距離は、周縁曲線部前端を最も短くし、案内板の正面回りに漸次長くし、周縁曲線部の後端は最も長くして周壁303の内側面に最も近くなるようにし、後述する弾性部材18を案内溝17からの作用で漸次弾性変形させるようにしている。案内板15は正面周りの周縁曲線部後端と周縁部前端間は直線部にし、後述する弾性部材18と接触しない非接触部にして、弾性部材18を復元するようにしている。
【0013】
板カム13の真上には、板カム13の回転運動を上下運動に変換する従節シャフト19が配設されている。支持部20は側壁31に固定的に取り付けられ、従節シャフト19が摺動する孔が上下方向に貫設されている。回転軸5と従節シャフト19は、従節シャフト19の軸心線の下方延長線が回転軸5の軸心線と直交する位置関係となるように配設されている。従節シャフト19の下端には接触片21を設けている。回転軸5の正面回りの回転により、板カム13の縁部のうち最も突出する最突出縁部が接触片21の下面を押し上げ、従節シャフト19を上昇させるようにしている。従節シャフト19の上端には、案内ピン係止片22を設けている。案内ピン係止片22は、回転軸5の回転方向である正面方向とは反対側の背面側壁面で案内ピン16を係止可能に垂直面に形成されている。接触片21と支持部20の下面との間には、接触片21を押し下げる方向に付勢するバネ23が介在している。接触片21の一側面には、歯を外側を向くラック24が取り付けられている。ラック24は、従節シャフト19の軸心線と平行な位置関係になるように接触片21の背面に取り付けられている。側壁301には、ラック24と噛合するピニオン25が取り付けられている。
【0014】
回転軸5の軸心から案内ピン用腕杆14の案内ピン16の取付位置までの回転軸5の半径外方向直線距離は、案内ピン係止片22が最上位置に位置したときの回転軸5の軸心から案内ピン係止片22の背面の縦方向中途位置までの距離と略同じで、案内ピン係止片22が下降したときの回転軸5の軸心から案内ピン係止片22の背面頂部までの直線距離よりは長く設定されている。板カム13の最突出縁部が接触片21を押し上げたときに、案内ピン係止片22の背面に案内ピン16が当接可能に、板カム13の最突出縁部と案内ピン16の取り付け位置が設定されている。
【0015】
弾性部材18は線材よりなる片持ちバネよりなり、片持ちバネの固定端が周壁303に固定的に取り付けられている。弾性部材18は屈曲部181を有し、屈曲部181より自由端側はガイド部としての作用をなすようにしている。
【0016】
背面部材1の上端には枢軸取付片26が設けられている。側壁301と枢軸取付片26にはカバー体4が起伏動可能に枢着されている。側壁301とカバー体4とを枢着する枢軸27にはレバー28が連設されている。側壁301には取付片29が固着されている。捩じりバネ30の一端はレバー28に固着され、他端は取付片29に固着され、枢軸27が正面方に回転するように付勢してカバー体4を伏せるようにしている。
【0017】
次に作用について説明する。側部材2を開き、回転軸5の一端側からロールペーパー12の中芯中空部に挿し込み片7、7を挿し込む。ロールペーパー保持用バネ8の復元力で、挿し込み片7、7はロールペーパー中芯の内周面側から加圧し、ロールペーパー12は挿し込み片7、7にずれることなく安定的に保持される。使用前は、
図4に示すように回転軸5の軸心と最も離れた位置が最も下方に位置している。
図5に示すように、使用者がロールペーパー12の摘み代を正面方に引き出すと、使用者によるペーパー引き出し力で回転軸5は正面方向回りに回転を開始する。回転軸5の回転と共に、案内板15も正面方向回りに回転する。弾性部材18の屈曲部181から自由端側は、案内溝17に入り込む。案内板15の回転により、弾性部材18の屈曲部181から自由端側は、案内溝17の溝底で周壁303の正面側に加圧される。弾性部材18は、案内板15の正面回りの回転動に応じ、徐々に立ち上がり弾性変形する。
図6に示すように、ロールペーパー12の引き出しを続けると、ロールペーパーの引き出し力で回転軸5は正面回りに回転する。回転軸5と板カム13は供回りし、板カム13の最突出縁部が回転軸5の軸心の真上に位置したときに、板カム13の最突出縁部で接触片21は押し上げられ、従節シャフト19は上昇する。案内ピン係止片22も上昇する。案内ピン係止片22が最上位置に達したときに、案内ピン16は案内ピン係止片22の背面に係止され、回転軸5の回転は停止する。
図7に示すように、弾性部材18は回転軸5の軸心から直線距離で最も離れた位置の案内溝17で弾性変形状態で、回転軸5が回転動を停止している。使用者が所望量のペーパーを繰り出すと、回転軸5が停止状態でラチェット機構を設けた取付部6は空転する。使用者がペーパーをカバー体4の正面端縁で切断すると、回転軸5に負荷されていた正面方向への作用力から回転軸5は解放される。弾性部材18に蓄積されていた弾性エネルギーが放出される。弾性部材18は、案内板15を正面方向に回転させるように付勢し、案内板15は周縁のうち軸心に直線距離で最も離れた位置が真下に位置するように回転する。案内板15の回転量に対応する長さのペーパーがカバー体5の正面端縁から繰り出され、次の使用の際の摘み代となる。
【実施例2】
【0018】
図8に示される実施例2について説明する。
図1~
図7に示される実施例1と異なる点は、案内ピン32がゴム等の弾性部材を材料とし、所定幅及び所定厚を有する板状物よりなり、案内ピン用腕杆14の先端部に於いて先端が回転方向側に向けて取り付けられている点である。案内ピン係止片22が最上位置に達したときに、案内ピン32が案内ピン係止片22の背面に接触すると同時にバネ23の復元力で接触片21が下降するという事態を生じさせないようにした。
【実施例3】
【0019】
図9に示される実施例3について説明する。
図1~
図7に示される実施例1と異なる点は、回転軸5が側壁302を回転自在に貫通し、回転軸5の他端はケーシング3の外側にて摘み31を取り付けている点である。使用中にロールペーパー12が無くなった場合に、使用者が摘み31を正面方に回転して
図4に示す初期状態に戻すことができる。
【符号の説明】
【0019】
3 ケーシング
5 回転軸
6 取付部
12 ロールペーパー
15 案内板
16、32 案内ピン
17 案内溝
18 弾性部材
19 シャフト
22 案内ピン係止片
302 側壁