(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-12
(45)【発行日】2023-01-20
(54)【発明の名称】ロータリーバルブおよび光学選別機
(51)【国際特許分類】
B65G 65/48 20060101AFI20230113BHJP
B02B 7/00 20060101ALI20230113BHJP
B07C 5/342 20060101ALI20230113BHJP
【FI】
B65G65/48 G
B02B7/00 C
B07C5/342
(21)【出願番号】P 2018205165
(22)【出願日】2018-10-31
【審査請求日】2021-07-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000001812
【氏名又は名称】株式会社サタケ
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100120112
【氏名又は名称】中西 基晴
(74)【代理人】
【識別番号】100167243
【氏名又は名称】上田 充
(72)【発明者】
【氏名】山口 陽理
(72)【発明者】
【氏名】山本 真輝
【審査官】大塚 多佳子
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-170122(JP,A)
【文献】特開2004-279229(JP,A)
【文献】特開昭56-078732(JP,A)
【文献】特開2012-193012(JP,A)
【文献】実開昭56-029040(JP,U)
【文献】特開2009-279553(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 65/48
B02B 7/00
B07C 5/342
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学選別機のシュートに粒状物を供給するためのロータリーバルブであって、
回転軸線を中心として回転可能に構成されたフィードローラ
と、
前記フィードローラに対向するように設けられ、該フィードローラと反対方向に回転可能に構成された補助ローラと、を備え、
前記フィードローラは、前記回転軸線を中心とする外周面を備え、
前記外周面には、前記粒状物を収容可能な、所定の深さを有する凹部が形成されており、
前記所定の深さは、該所定の深さ内において、前記粒状物を1つ収容可能であるが深さ方向に2つ以上並べることができないように設定され
、
前記フィードローラの周速度は、前記補助ローラの周速度よりも大きく設定され、
前記フィードローラと前記光学選別機の筐体との間の隙間の寸法は、前記粒状物の1粒分の厚み程度に設定され、
前記フィードローラと前記補助ローラとの間の隙間の寸法は、前記粒状物の1粒分の厚みの半分以下に設定されている
ロータリーバルブ。
【請求項2】
請求項
1に記載のロータリーバルブであって、
前記外周面は、前記回転軸線に平行な方向に延在する第1の隔壁であって、前記凹部を前記フィードローラの回転方向に沿った複数の領域に区画する第1の隔壁を備える
ロータリーバルブ。
【請求項3】
請求項1
または請求項
2に記載のロータリーバルブであって、
前記外周面は、前記フィードローラの回転方向に延在する第2の隔壁であって、前記凹部を前記回転軸線に平行な方向に沿った複数の領域に区画する第2の隔壁を備える
ロータリーバルブ。
【請求項4】
粒状物用の光学選別機であって、
前記粒状物を流下させるためのシュートと、
前記シュート上に粒状物を供給するための請求項1ないし請求項
3のいずれか一項に記載のロータリーバルブと
を備える光学選別機。
【請求項5】
請求項
4に記載の光学選別機であって、
前記フィードローラに近接して設けられた吸引口と、
前記吸引口に連通する吸引ファンと
を備える光学選別機。
【請求項6】
請求項
3を従属元に含む請求項
4または請求項
5に記載の光学選別機であって、
前記シュートは、前記粒状物を流下させるための流下面を備え、
前記流下面は、前記第2の隔壁に対応する位置に設けられ、前記流下面に沿って上下方向に延在する第3の隔壁を備える
光学選別機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学選別機のシュートに粒状物を供給するためのロータリーバルブ、および、光学選別機に関する。
【背景技術】
【0002】
粒状物を選別する装置として、シュート式の光学選別機が知られている(例えば、下記の特許文献1)。かかる光学選別機では、供給装置によって粒状物がシュート上に定量供給される。供給された粒状物は、シュート上を流下され、シュート下流端から落下する。その際、粒状物は、光学的に検知され、良品であるか、それとも不良品であるかが判別される。そして、良品および不良品の一方がエジェクタノズルから噴射されたエアによって軌道を変えられる。その結果、良品と不良品とは、互いに異なる軌道で落下することになる。こうして、粒状物は、良品と不良品とに選別される。
【0003】
上記の供給装置として、ロータリーバルブが知られている。公知のロータリーバルブは、回転方向に沿って等間隔で設けられた複数の凹部を備えている。凹部の各々には、多数の粒状物が収容される。ロータリーバルブの回転に伴って、凹部に収容された多数の粒状物がシュート上に供給される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のロータリーバルブでは、凹部に収容された多数の粒状物が一度にシュート上に供給されるので、粒状物は、水平方向および上下方向の少なくとも一方において、他の粒状物と重なった状態、または、接触した状態でシュートから落下することがある。そのような状況が生じると、選別精度が低下する。例えば、エジェクタノズルから1つの粒状物に対してエアを噴射した際に、エアの噴射軌道上に他の粒状物が当該1つの粒状物と重なって存在すると、あるいは、1つの粒状物と他の粒状物とが接触した状態で存在すると、当該1つの粒状物と一緒に当該他の粒状物も軌道を変えられることがある(以下では、このような事象を「巻き添え誤射」とも呼ぶ)。このようなことから、シュート式の光学選別機において、巻き添え誤射を抑制して選別精度を向上することが求められる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上述の課題を解決するためになされたものであり、例えば、以下の形態として実現することが可能である。
【0007】
本発明の第1の形態によれば、光学選別機のシュートに粒状物を供給するためのロータリーバルブが提供される。このロータリーバルブは、回転軸線を中心として回転可能に構成されたフィードローラを備えている。フィードローラは、回転軸線を中心とする外周面を備えている。外周面には、粒状物を収容可能な凹部が形成されている。凹部の深さは、1.7mm以上、3.4mm未満である。
【0008】
かかるロータリーバルブは、厚みが1.7mm以上、3.4mm未満の粒状物(例えば、玄米、白米など)をシュート式の光学選別機に供給するのに好適である。このようなサイズの粒状物を光学選別機で処理する場合、複数の粒状物が、凹部の深さ方向に重なった状態で凹部内に収容されることがない。このため、凹部内に収容された粒状物をシュート上に供給する際も、複数の粒状物がシュート上で互いに重なることを抑制できる。したがって、巻き添え誤射を抑制して光学選別機の選別精度を向上できる。
【0009】
本発明の第2の形態によれば、光学選別機のシュートに粒状物を供給するためのロータリーバルブが提供される。このロータリーバルブは、回転軸線を中心として回転可能に構成されたフィードローラを備えている。フィードローラは、回転軸線を中心とする外周面を備えている。外周面には、粒状物を収容可能な、所定の深さを有する凹部が形成されている。所定の深さは、所定の深さ内において、粒状物を1つ収容可能であるが深さ方向に2つ以上並べることができないように設定される。
【0010】
かかるロータリーバルブによれば、複数の粒状物が、凹部の深さ方向に重なった状態で凹部内に収容されることがないので、第1の形態と同様に、光学選別機の選別精度を向上できる。
【0011】
本発明の第3の形態によれば、第1または第2の形態において、外周面は、回転軸線に平行な方向に延在する第1の隔壁であって、凹部をフィードローラの回転方向に沿った複数の領域に区画する第1の隔壁を備えていてもよい。かかる形態によれば、粒状物は、複数の領域ごとに、少なくとも第1の隔壁の厚み分だけ回転方向に互いに離間した状態で、凹部内に収容される。このため、これらの粒状物がシュート上に供給される際も、シュート上において、粒状物は、複数の領域に対応する群ごとに、少なくとも第1の隔壁の厚みに対応する距離だけ上下方向に離間される。その結果、巻き添え誤射が抑制されるので、光学選別機の選別精度を向上できる。
【0012】
本発明の第4の形態によれば、第1ないし第3のいずれかの形態において、外周面は、フィードローラの回転方向に延在する第2の隔壁であって、凹部を回転軸線に平行な方向に沿った複数の領域に区画する第2の隔壁を備えていてもよい。かかる形態によれば、粒状物は、複数の領域ごとに、少なくとも第2の隔壁の厚み分だけ回転軸線に平行な方向に互いに離間した状態で、凹部に収容される。このため、これらの粒状物がシュート上に供給される際も、シュート上において、粒状物は、複数の領域に対応する群ごとに、少なくとも第2の隔壁の厚みに対応する距離だけ水平方向に離間される。その結果、巻き添え誤射が抑制されるので、光学選別機の選別精度を向上できる。
【0013】
本発明の第5の形態によれば、第1または第2の形態において、凹部は、回転軸線に平行な方向に延在する第1の隔壁と、第1の隔壁と交差し、フィードローラの回転方向に延在する第2の隔壁と、によって、複数の領域に区画されていてもよい。複数の領域の各々は、回転方向の長さが5.0mm以上、10.0mm未満であり、回転軸線に平行な方向の幅が2.6mm以上、5.2mm未満であってもよい。かかる形態は、高さ(長手寸法)が5.0mm以上、10.0mm未満であり、幅(短手寸法)が2.6mm以上、5.2mm未満の粒状物(例えば、玄米、白米など)をシュート式の光学選別機に供給するのに好適である。このようなサイズの粒状物を光学選別機で処理する場合、複数の領域には、それぞれ、1粒の粒状物のみが収容される。より具体的には、粒状物の各々は、少なくとも第1の隔壁の厚み分だけ回転方向に互いに離間した状態、かつ、少なくとも第2の隔壁の厚み分だけ回転軸線に平行な方向に互いに離間した状態で、凹部内に収容される。このため、これらの粒状物がシュート上に供給される際も、シュート上において、粒状物の各々は、上下方向および水平方向に離間される。その結果、巻き添え誤射を著しく低減することができる。
【0014】
本発明の第6の形態によれば、第1または第2の形態において、凹部は、回転軸線に平行な方向に延在する第1の隔壁と、第1の隔壁と交差し、フィードローラの回転方向に延在する第2の隔壁と、によって、複数の領域に区画されていてもよい。複数の領域の各々は、粒状物を1つ収容可能であるが、2つ以上は収容可能ではない大きさを有していてもよい。かかる形態によれば、複数の領域には、それぞれ、1粒の粒状物のみが収容されるので、第5の形態と同様の効果を奏する。
【0015】
本発明の第7の形態によれば、第1ないし第6のいずれかの形態において、ロータリーバルブは、フィードローラに対向するように設けられ、フィードローラと反対方向に回転可能に構成された補助ローラを備えていてもよい。フィードローラと補助ローラとの隙間は、粒状物の1粒分の厚みよりも小さくてもよい。かかる形態によれば、凹部内の粒状物の上に、凹部からはみ出すように別の粒状物が重なって配置された場合であっても、フィードローラと補助ローラとの隙間が粒状物の1粒分の厚みよりも小さいので、別の粒状物は、当該隙間を通ることが抑制される。このため、別の粒状物が凹部内の粒状物と同時にシュート上に供給されることが抑制される。つまり、複数の粒状物が、互いに重なった状態でシュート上に供給されることをいっそう抑制できる。しかも、かかる形態によれば、補助ローラは、フィードローラと反対方向に回転可能に構成される。このため、凹部内の粒状物の上に、凹部からはみ出すように別の粒状物が重なって配置された状態で、これらの粒状物がフィードローラと補助ローラとの間の隙間に供給されたとしても、フィードローラに対向して設けられる部材が静的である場合と比べて、これらの粒状物が損傷することを抑制できる。粒状物が食品の場合、粒状物の損傷は、食品の品質を低下させることがある。また、粒状物が細かく粉砕されると、光学選別機で適正に選別できなくなることがある。本形態によれば、そのような事象の発生を抑制できる。
【0016】
本発明の第8の形態によれば、第7の形態において、補助ローラの表面は、弾性部材によって形成されていてもよい。かかる形態によれば、粒状物が損傷することをいっそう抑制できる。
【0017】
本発明の第9の形態によれば、第1ないし第8のいずれかの形態において、ロータリーバルブは、外周面に対向して設けられ、凹部内まで延在する掻き出し爪を備えていてもよい。かかる形態によれば、粒状物が、凹部内に引っ掛かかり、シュート上に供給されることなく凹部内に留まったとしても、当該粒状物を掻き出し爪で凹部から除去することができる。
【0018】
本発明の第10の形態によれば、粒状物用の光学選別機が提供される。この光学選別機は、粒状物を流下させるためのシュートと、シュート上に粒状物を供給するための第1ないし第9のいずれかの形態のロータリーバルブと、を備えていてもよい。かかる形態によれば、第1ないし第9のいずれかの形態と同様の効果を奏する。
【0019】
本発明の第11の形態によれば、第10の形態において、光学選別機は、フィードローラに近接して設けられた吸引口と、吸引口に連通する吸引ファンと、を備えていてもよい。かかる形態によれば、凹部内にダストが付着したとしても当該ダストを効率的に吸引して除去することができる。具体的には、本形態のフィードローラの凹部は、従来のフィードローラの凹部と比べて深さが非常に小さいので、凹部の底部と吸引口との距離が、従来と比べて著しく小さくなる。吸引口に吸引される空気の風速は、当該距離が小さくなるほど指数的に大きくなるので、本形態によれば、凹部の底部付近の空気を大きな風速で吸い込んで、効率的に集塵することができる。
【0020】
本発明の第12の形態によれば、第4ないし第6のいずれかの形態を含む第10または第11の形態において、シュートは、粒状物を流下させるための流下面を備えていてもよい。流下面は、第2の隔壁に対応する位置に設けられ、流下面に沿って上下方向に延在する第3の隔壁を備えていてもよい。かかる形態によれば、複数の粒状物が水平方向に互いに離間した状態でシュート上に供給された際に、当該離間状態をシュート上でも第3の隔壁によって確実に維持することができる。したがって、光学選別機の選別精度をいっそう向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の一実施形態による選別機の概略断面図である。
【
図2】
図1の選別機が備えるロータリーバルブの拡大図である。
【
図3】ロータリーバルブのフィードローラの断面図である。
【
図6】シュートとロータリーバルブのフィードローラとの位置関係を示す図である。
【
図7】シュート上を落下する米の様子を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1は、本発明の一実施形態による光学選別機10(以下、単に選別機10とも呼ぶ)の概略断面図である。選別機10は、種々の粒状物(例えば、穀物、プラスチックなど)を光学的に選別するために使用することができる。以下では、特に説明がない場合には、粒状物として米(例えば、玄米)を選別するものとして選別機10を説明する。
【0023】
図1に示すように、選別機10は、投入口20と、タンク30と、ロータリーバルブ40と、光学選別部70と、を備えている。投入口20に投入された米は、搬送装置(図示省略)によってタンク30に搬送される。タンク30に貯留された米は、ロータリーバルブ40によって定量ずつ切り出され、光学選別部70において選別される。
【0024】
光学選別部70は、いわゆるシュート式であり、シュート71を備えている。タンク30からロータリーバルブ40によってシュート71上に定量供給された米は、シュート71上を流下され、シュート71の下流端から落下した際に、良品と不良品とに光学的に選別される。
【0025】
具体的には、光学選別部70は、検知部72と、エジェクタノズル73と、判断部(図示省略)と、を備えている。検知部72は、シュート71から落下した米に可視光線および近赤外線を照射し、米からの反射光または透過光を検知する。判断部は、検知部72によって検知された光から得られる画像に基づいて、米が良品であるか、不良品であるかを米粒ごとに判断する。不良品であると判断された米は、エジェクタノズル73から噴射されたエアによって軌道を変えられ、不良品排出樋に導かれ、その後、機外へ排出される。一方、良品であると判断された米は、軌道を変えることなく落下する。こうして、米は良品と不良品とに選別される。
【0026】
図2は、
図1に示したロータリーバルブ40の拡大図である。ロータリーバルブ40は、フィードローラ41と、補助ローラ42と、を備えている。フィードローラ41は、その上部がタンク30の下部に露出するように配置されている。フィードローラ41は、回転軸線43を中心として回転方向D1(本実施形態では、反時計回り方向)に回転可能に構成される。補助ローラ42は、フィードローラ41に対向するように配置されており、フィードローラ41と反対方向(本実施形態では時計回り方向)に回転するように構成される。補助ローラ42は、フィードローラ41よりも小さい直径を有している。
【0027】
図3は、回転軸線43に直交する方向に沿ったフィードローラ41の断面図である。
図4は、
図3に示す領域A3の拡大図である。
図3に示すように、ロータリーバルブ40は、回転軸線43を中心とする外周面44を備えている。外周面44には、米を収容可能な凹部45が形成されている。凹部45の深さ(
図4の深さDE1)は、当該深さ内において、粒状物を1つ収容可能であるが、深さ方向に2つ以上並べることができないように設定される。本実施例では、選別機10は、米を選別するために使用される。米の厚みは、一般的に、1.7mm~2.5mm程度である。このため、本実施例では、凹部45の深さDE1は、厚み1.7mmの米が処理対象となる場合であっても、米を深さ方向に2つ以上並べることができないように、1.7mm以上、3.4mm未満に設定される。ただし、凹部45の深さDE1は、選別機10の処理対象となる米の種類、または、他の種類の粒状物の大きさに応じて、適宜設定されてもよい。例えば、小麦の厚みは、一般的に1.4mm~4.7mm程度であるから、処理対象が小麦である場合には、凹部45の深さDE1は、1.4mm以上、4.7mm未満に設定されてもよい。
【0028】
図5に示すように、フィードローラ41の外周面44は、複数の第1の隔壁50と、複数の第2の隔壁51と、を備えている。第1の隔壁50の各々は、回転軸線43に平行な方向D2に延在している。これらの第1の隔壁50によって、凹部45は、フィードローラ41の回転方向D1に沿った複数の領域に区画される。第2の隔壁51の各々は、回転方向D1に延在しており、第1の隔壁50と垂直に交差している。これらの第2の隔壁51によって、凹部45は、回転軸線43に平行な方向D2に沿った複数の領域に区画される。複数の第1の隔壁50は、回転方向D1に沿って等間隔で配置されている。同様に、第2の隔壁51も、方向D2に沿って等間隔で配置されている。
【0029】
本実施形態では、第1の隔壁50と第2の隔壁51とによって区切られた各領域(つまり、各々の凹部45)は、米を1粒収容可能であるが、2粒以上は収容可能ではない大きさを有している。一般的に、米の寸法は、長さ(長手寸法)が5.0mm~6.0mm程度、幅(短手寸法)が2.6mm~3.4mm程度である。このため、本実施形態では、各領域の回転方向D1の長さDE2は、5.0mm以上、10.0mm未満に設定され、各領域の回転軸線43に平行な方向D2の幅DE3は、2.6mm以上、5.2mm未満に設定される。ただし、長さDE2および幅DE3は、選別機10の処理対象となる米の種類、または、他の種類の粒状物の大きさに応じて、適宜設定されてもよい。例えば、一般的に、小麦の長さは4.5mm~8.5mm程度であり、幅は1.4mm~4.7mm程度であるから、処理対象が小麦である場合には、長さDE2は、4.5mm以上、9.0mm未満に設定されてもよく、幅DE3は、4.7mm未満に設定されてもよい。
【0030】
図5に示すように、フィードローラ41のシャフトは、ギア41aに連結されている。また、補助ローラ42のシャフトは、ギア42aに連結されている。ギア41aとギア42aとは、互いに噛み合うように構成されている。このため、モータ(図示省略)によって、フィードローラ41を回転させると、その回転力は、ギア41aおよびギア42aを介して、補助ローラ42に伝達される。その結果、補助ローラ42は、フィードローラ41の回転方向D1と反対方向に回転することになる。
【0031】
かかるロータリーバルブ40が回転方向D1に回転すると、タンク30に貯留された米が凹部45に順次収容される。そして、凹部45に収容された米は、フィードローラ41と補助ローラ42との間からシュート71上に送り出される。フィードローラ41の回転速度を調節することによって、米に初速を調節可能である。米の初速を一定以上確保することによって、単位時間当たりのシュート71上を落下される米の量を増大させることができる。したがって、選別機10を大型化することなく、所望の処理能力を確保しやすい。
【0032】
図6は、フィードローラ41とシュート71との位置関係を示す図である。図示するように、シュート71のうちの、米を流下させるための流下面74には、複数の第3の隔壁75が形成されている。第3の隔壁75は、流下面74に沿って上下方向に延在している。この第3の隔壁75の位置は、フィードローラ41の第2の隔壁51の位置に対応している。換言すれば、第3の隔壁75の位置は、第2の隔壁51の位置に整合している。
【0033】
上述した選別機10によれば、フィードローラ41の凹部45の深さDE1は、当該深さ内において、米を1つ収容可能であるが、深さ方向に2つ以上並べることができないように設定されている。このため、複数の米が、凹部45の深さ方向に重なった状態で凹部45内に収容されることがない。したがって、フィードローラ41および補助ローラ42を回転させて、凹部45内に収容された米をシュート71上に供給する際も、複数の米がシュート71上で互いに重なることを抑制できる。したがって、巻き添え誤射を抑制でき、選別機10の選別精度を向上できる。
【0034】
しかも、本実施形態では、凹部45は、第1の隔壁50と第2の隔壁51とによって、米1粒のみを収容できる複数の領域に区切られている。このため、米の各々は、上下方向および水平方向に互いに離間した状態で凹部45内に収容される。この米の離間状態は、米がシュート71上に供給された後も維持される。
【0035】
より詳しく説明すると、
図7に示すように、凹部45からシュート71上に供給された米90同士は、第1の隔壁50の厚みよりも大きい離間距離76だけ上下方向に離間される。また、凹部45からシュート71上に供給された米90同士は、第2の隔壁51の厚みよりも大きい離間距離77だけ水平方向に離間される。このように、米90の各々は、上下方向および水平方向に互いに離間した状態でシュート71上を落下する。したがって、巻き添え誤射を著しく低減することができ、選別機10の選別精度が向上する。
【0036】
しかも、本実施形態では、シュート71の流下面74には、第3の隔壁75が形成されているので、米90同士の水平方向の離間距離77を確実に維持することができる。したがって、選別機10の選別精度がいっそう向上する。
【0037】
図8は、
図2に示す領域A1の拡大図である。本実施形態では、選別機10の筐体31とフィードローラ41との間の隙間の寸法DE5は、米粒1つ分の厚み程度に設定されている。このため、凹部45内の米の上に、凹部45からはみ出すように別の米が重なって配置された場合には、これらの2つの米が重なった状態で筐体31とフィードローラ41との間に進入することがあり得る。しかしながら、本実施形態では、補助ローラ42とフィードローラ41との間の隙間の寸法DE4は、米粒1つ分の厚みよりも小さく設定されている。このため、2つの米が重なった状態で筐体31とフィードローラ41との間に進入したとしても、凹部45からはみ出している米が、補助ローラ42とフィードローラ41との間を通ることが抑制される。したがって、複数の米が、互いに重なった状態でシュート71上に供給されることをいっそう抑制できる。この効果は、寸法DE4が小さくなるほど大きくなるので、寸法DE4は、例えば、米粒1つ分の厚みの半分以下に設定されてもよい。
【0038】
また、本実施形態では、フィードローラ41の周速度は、補助ローラ42の周速度よりも大きく設定される。このため、2つの米が重なった状態で筐体31とフィードローラ41との間に進入したとしても、凹部45からはみ出している米が補助ローラ42とフィードローラ41との間を通る際に、当該はみ出している米に対してブレーキ作用(すなわち、米がシュート71側に供給されることを制限する作用)を働かせることができる。
【0039】
さらに、本実施形態では、補助ローラ42は、フィードローラ41と反対方向に回転するように構成されているので、フィードローラ41に対向して設けられる部材が静的である場合と比べて、2つの米が重なった状態で筐体31とフィードローラ41との間を通って補助ローラ42に到達したとしても、これらの米が損傷することを抑制できる。しかも、補助ローラ42の表面は、弾性部材(例えば、ゴム)によって形成されている。したがって、米が損傷することをいっそう抑制できる。
【0040】
図9は、
図2に示す領域A1の拡大図である。図示するように、ロータリーバルブ40は、掻き出し爪60を備えている。掻き出し爪60は、タンク30をフィードローラ41の回転の起点と捉えた場合、回転方向D1において、補助ローラ42よりも後段に配置されている。この掻き出し爪60は、外周面44に対向して設けられ、凹部45内まで延在している。かかる構成によれば、米が、凹部45内に引っ掛かかり、フィードローラ41と補助ローラ42との間を通過した際にシュート71上に供給されることなく、凹部45内に留まったとしても、当該米を掻き出し爪60によって凹部45から除去することができる。掻き出し爪60は、例えば、ブラシの形態で実施されてもよい。
【0041】
さらに、
図1に示すように、選別機10は、フィードローラ41に近接して設けられた吸引口80と、吸引口80に連通する吸引ファン81と、を備えている。かかる構成によれば、凹部45内にダストが付着したとしても当該ダストを効率的に吸引して除去することができる。具体的には、本実施形態のフィードローラ41の凹部の深さDE1は、従来のフィードローラの凹部の深さと比べて非常に小さいので、凹部45の底部と吸引口80との距離が、従来と比べて著しく小さくなる。一般的に、吸引口に吸引される空気の風速は、当該距離が小さくなるほど指数的に大きくなるので、この構成によれば、凹部45の底部付近の空気を大きな風速で吸い込んで、効率的に集塵することができる。吸引した空気は、集塵機(図示省略)を通って機外へ排出されてもよい。
【0042】
以上、本発明のいくつかの実施形態について説明してきたが、上記した発明の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得るとともに、本発明にはその均等物が含まれる。また、上述した課題の少なくとも一部を解決できる範囲、または、効果の少なくとも一部を奏する範囲において、特許請求の範囲および明細書に記載された各構成要素の組み合わせ、または、省略が可能である。
【0043】
例えば、凹部45は、米を2粒以上収容可能な大きさ(上述の長さDE2および幅DE3)を有していてもよい。あるいは、第1の隔壁50および第2の隔壁51のいずれか一方または両方は、省略されてもよい。あるいは、第3の隔壁75は、省略されてもよい。このような構成であっても、深い凹部を有するフィードローラを備える従来のロータリーバルブと比べて、巻き添え誤射を抑制することができる。また、補助ローラ42は、モータ駆動されることなく、回転可能に構成されていてもよい。あるいは、補助ローラ42は、省略されてもよい。この場合、別機10の筐体31とフィードローラ41との間の隙間の寸法DE5を上述の寸法DE4(補助ローラ42とフィードローラ41との間の隙間の寸法)相当まで小さくしてもよい。この場合、筐体31の表面は、弾性部材で形成されていてもよい。
【符号の説明】
【0044】
10…光学選別機
20…投入口
30…タンク
31…筐体
40…ロータリーバルブ
41…フィードローラ
41a…ギア
42…補助ローラ
42a…ギア
43…回転軸線
44…外周面
45…凹部
50…第1の隔壁
51…第2の隔壁
60…掻き出し爪
70…光学選別部
71…シュート
72…検知部
73…エジェクタノズル
74…流下面
75…第3の隔壁
76,77…離間距離
80…吸引口
81…吸引ファン
90…米
D1…回転方向