(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-12
(45)【発行日】2023-01-20
(54)【発明の名称】油中水型乳化化粧料
(51)【国際特許分類】
A61K 8/06 20060101AFI20230113BHJP
A61K 8/37 20060101ALI20230113BHJP
A61K 8/25 20060101ALI20230113BHJP
A61K 8/891 20060101ALI20230113BHJP
A61Q 1/10 20060101ALI20230113BHJP
【FI】
A61K8/06
A61K8/37
A61K8/25
A61K8/891
A61Q1/10
(21)【出願番号】P 2018234004
(22)【出願日】2018-12-14
【審査請求日】2021-10-29
(73)【特許権者】
【識別番号】592262543
【氏名又は名称】日本メナード化粧品株式会社
(72)【発明者】
【氏名】木全 翔太郎
【審査官】松本 要
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-088369(JP,A)
【文献】特開2015-180678(JP,A)
【文献】特開2006-248999(JP,A)
【文献】国際公開第2006/064821(WO,A1)
【文献】特開2013-043875(JP,A)
【文献】特開2001-181136(JP,A)
【文献】国際公開第2019/188842(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00-8/99
A61Q 1/00-90/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の成分(A)~(D);
(A)HLBが4~7のソルビタン脂肪酸エステル
(B)有機変性粘土鉱物
(C)n-オクチルトリエトキシシラン処理された粉体
(D)揮発性シリコーン油
を含有し、
成分(A)と(B)との総含有量が全組成中の3~5重量%であり、成分(A)と成分(B)との重量比が1:5~1:10であり、成分(C)の含有量が全組成中の3~6重量%であり、成分(D)の含有量が全組成中の35~45重量%であることを特徴とする
メイクアップ用油中水型乳化化粧料。
【請求項2】
メイクアップ用油中水型乳化化粧料が眉目化粧料である、
請求項1記載の
メイクアップ用油中水型乳化化粧料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、HLBが4~7のソルビタン脂肪酸エステル、有機変性粘土鉱物、n-オクチルトリエトキシシラン処理を行った粉体、揮発性シリコーン油を含有した化粧料に関するものであり、良好な乳化状態を有し、肌又は睫毛、眉に塗布した際に付着性やのびが良く、べたつきの無い優れた使用感を有する油中水型乳化化粧料を提供することができる。
【背景技術】
【0002】
油中水型乳化化粧料は、油相を外相、水相を内相としており、撥水性や付着性に優れる事から基礎化粧料、メイクアップ化粧料、毛髪化粧料といった幅広い化粧料に適用されている。
【0003】
睫毛や眉などのアイメイクは、従来、顔料を含む粉末状、固形粉末状の剤型で、チップ、ペンシル、筆等を用いて描くタイプの化粧料であり、これらを実際に使用した場合、塗膜の持続性の低さや、摩擦や汗、水等により安易に取れてしまうといった点が問題点であった。しかし、最近開発されたアイメイクの油中水型乳化化粧料は、特にこれら問題点を解消し得る剤型として注目されている。さらに、油相成分に疎水化処理がされていない球状粉体を配合することによって、睫毛や眉への付着性を高め、さらには使用性を向上させるような試みや、スポンジや筆等を用いて皮膚を直接染色し、擬似眉を作るといった試みもされている。(特許文献1、2)
【0004】
しかしながら、疎水化処理がされていない球状粉体を多量に配合することによって、粉体成分が睫毛の先端に付き粉体の不均一な凝集が発生し、べたつきが無くなる代わりに粉っぽいといった使用性や、ツヤの無い仕上がり等の点が目立ってしまうという欠点も見られた。
【0005】
また一般的な油中水型乳化化粧料は、外相(油相)の粘度を高くし安定性の高い化粧料を得るため、固形状又は半固形状の油剤を含有するものが多い。このため油剤自身の油っぽさやべたつき感、のびの悪さが強くなり、不快な感触を与えるという欠点があった。このような欠点を改善するために、比較的多くの内相(水相)を含有し、油相中の固形状又は半固形状の油分を少なくした化粧料も開発された。(特許文献3、4)
【0006】
しかしながら、これらの組成物を含有する乳化化粧料も肌又は睫毛、眉への塗布時には粉が凝集しダマになったりすることで、化粧料が毛先まで滑らかにのびないといったのびの悪さ、塗布中にベースのべたつきを感じる点、さらにこれらの欠点に起因して、毛に均一に付着せず塗布後の見た目が悪いといった欠点があった。
【文献】特許第5955048号
【文献】特開2006-063020号
【文献】特開昭53-21393号
【文献】特開昭61-129033号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本願発明は、油中水型乳化化粧料であり、良好な乳化状態を有し、肌又は睫毛、眉に塗布した際にのびや付着性が良く、かつ優れた使用感を有する油中水型乳化化粧料を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願発明者らは鋭意研究を行った結果、下記成分(A)~(D)を化粧料に含有することにより、肌又は睫毛、眉に塗布した際にのびや付着性が良く、良好な乳化状態を有し、かつべたつきの無い優れた使用感を有する油中水型乳化化粧料が得られることを見出し、本願発明を完成するに至った。すなわち本願発明は、次の成分(A)~(D)を含有することを特徴とする油中水型乳化化粧料である。
(A)HLBが4~7のソルビタン脂肪酸エステル
(B)有機変性粘土鉱物
(C)n-オクチルトリエトキシシラン処理された粉体
(D)揮発性シリコーン油
【発明の効果】
【0009】
本願発明では、(A)HLBが4~7のソルビタン脂肪酸エステル、(B)有機変性粘土鉱物、(C)n-オクチルトリエトキシシラン処理された粉体、(D)揮発性シリコーン油を含有することにより、良好な乳化状態を有し、肌又は睫毛、眉に塗布した際にべたつきを感じず、のびや付着性が良い優れた使用感を有する油中水型乳化化粧料を提供するものである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本願発明を詳細に説明する。
【0011】
本願発明に用いられる成分(A)HLBが4~7のソルビタン脂肪酸エステルとしては、具体的には、例えば、モノオレイン酸ソルビタン、イソステアリン酸ソルビタン、セスキイソステアリン酸ソルビタン、セスキオレイン酸ソルビタン等のソルビタン脂肪酸エステルが挙げられる。市販品としてはNIKKOL SO-10V、NIKKOL SS-10V、NIKKOL SI-15RV、NIKKOL SO-15V(以上、日光ケミカルズ社製)、リケマール S-300W、ポエム S-60V(以上、理研ビタミン研究所社製)等がある。なかでも特にセスキイソステアリン酸ソルビタンが好ましい。また、これらは必要に応じて一種又は二種以上を用いることができる。
【0012】
ここで成分(A)であるHLBが4~7のソルビタン脂肪酸エステルのHLB値とは、乳化法による実測値によるものであり、測定の方法は「ハンドブック-化粧品・製剤原料-改定版 日光ケミカルズ株式会社 1977年,854~855ページ」に記載されている方法を準用し、実験的に得られる値である。
【0013】
本願発明に用いられる成分(B)有機変性粘土鉱物は、三層構造を有するコロイド性含水ケイ酸アルミニウムの一種である粘土鉱物を第四級アンモニウム塩型カチオン性界面活性剤で処理して得られるものである。
【0014】
具体的には、例えば、モンモリロナイト、サポナイト、ベントナイト、およびヘクトライト等の天然又は合成(式中のOH基がフッ素で置換されたもの)のモンモリロナイト群、およびナトリウムシリシックマイカやナトリウムテニオライト又はリチウムテニオライトの名で知られる合成雲母等の粘土鉱物を第四級アンモニウム塩型カチオン性界面活性剤で処理して得られる。粘土鉱物の市販品としてはビーガムK(VANDERBILT MINERAL CORP社製)、クニピアF(クニミネ工業社製)等がある。
【0015】
粘土鉱物を有機変性するために用いる第四級アンモニウム塩型カチオン性界面活性剤は、下記一般式(1)で表されるものである。
【0016】
【化1】
式中、R1は炭素数10~22のアルキル基又はベンジル基、R2はメチル基又は炭素数10~22のアルキル基、R3とR4は炭素数1~3のアルキル基又はヒドロキシアルキル基、Xはハロゲン原子又はメチルサルフェート残基を表す。
【0017】
例えば、ドデシルトリメチルアンモニウムクロリド、ミリスチルトリメチルアンモニウムクロリド、セチルトリメチルアンモニウムクロリド、ステアリルトリメチルアンモニウムクロリド、アラキルトリメチルアンモニウムクロリド、ベヘニルトリメチルアンモニウムクロリド、ミリスチルジメチルアンモニウムクロリド、セチルジメチルアンモニウムクロリド、ステアリルジメチルアンモニウムクロリド、アラキルジメチルアンモニウムクロリド、ベヘニルジメチルアンモニウムクロリド、セチルジエチルアンモニウムクロリド、ステアリルジエチルアンモニウムクロリド、アラキルジエチルアンモニウムクロリド、ベヘニルジエチルアンモニウムクロリド、ベンジルジメチルミリスチルアンモニウムクロリド、ベンジルジメチルセチルアンモニウムクロリド、ベンジルジメチルステアリルアンモニウムクロリド、ベンジルジメチルベヘニルアンモニウムクロリド、ベンジルメチルエチルセチルアンモニウムクロリド、ベンジルメチルエチルステアリルアンモニウムクロリド、ジステアリルジメチルアンモニウムクロリド、ジベヘニルジヒドロキシエチルアンモニウムクロリド、および相当するブロミド等、さらにジパルミチルプロピルエチルアンモニウムメチルサルフェート等が挙げられ、これらのうち一種又は二種以上が任意に選択されて処理される。
【0018】
なお、上記の第四級アンモニウム塩型カチオン性界面活性剤で粘土鉱物を処理する際には非イオン性界面活性剤を併用して処理することも可能である。
【0019】
本願発明に用いられる有機変性粘土鉱物は、例えば、水、アセトンあるいは低級アルコール等の低沸点溶媒中で上述の粘土鉱物と、第四級アンモニウム塩型カチオン性界面活性剤とを分散撹拌処理し低沸点溶媒を除去することによって得られる。
【0020】
本願発明に用いる有機変性粘土鉱物中の第四級アンモニウム塩型カチオン性界面活性剤の含有量は粘土鉱物100gに対して60~140ミリ当量であることが好ましい。
【0021】
本願発明に好ましく使用される有機変性粘土鉱物の代表的なものとしては、ジステアルジモニウムヘクトライト、ジメチルジステアリルアンモニウムヘクトライト、ステアラルコニウムヘクトライト、ジメチルジステアリルアンモニウムベントナイト、ジメチルアルキルアンモニウムヘクトライト、ベンジルジメチルステアリルアンモニウムヘクトライト、ジオクタデシルジメチルアンモニウム塩変性モンモリロナイト、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム処理ケイ酸アルミニウムマグネシウム等が挙げられる。市販品としては、スメクトン-SAN、モイストナイト-WO(以上、クニミネ工業社製)、ベントン38V、ベントン27V(以上、Elementis Specialities社製)等がある。
【0022】
本願発明に用いられる成分(A)HLBが4~7のソルビタン脂肪酸エステル及び成分(B)有機変性粘土鉱物との含有量は特に限定されず、求める使用感に応じて適宜調整することができるが、成分(A)と成分(B)の総含有量が、全組成中の1~10重量%であることが、肌、眉、及び睫毛等への付着性、安定性、のびの良さ、及びべたつきの無さの点から好ましい。さらに好ましいのは3~5重量%である。
【0023】
本願発明に用いられる成分(A)HLBが4~7のソルビタン脂肪酸エステル及び成分(B)有機変性粘土鉱物との重量比は特に限定されず、求める使用感に応じて適宜調整することができるが、成分(A)と成分(B)との重量比が1:5~1:10であることが好ましい。
【0024】
本願発明に用いられる成分(C)n-オクチルトリエトキシシラン処理された粉体及び成分(D)揮発性シリコーン油は、肌、眉、及び睫毛等への付着性、安定性、のびの良さ、及びべたつきの無さを得るために用いる。
【0025】
本願発明に用いられる成分(C)n-オクチルトリエトキシシラン処理された粉体は、表面処理剤であるn-オクチルトリエトキシシランで疎水化処理を施した粉体であり、撥水性の向上や優れた付着性が得られる。表面処理剤の使用量は、処理前の粉体重量に対して0.1~10重量%、さらに2~9重量%であるのが好ましい。疎水化処理の方法は特に制限されず、通常の方法に従って行うことができる。
【0026】
本願発明に用いられる成分(C)n-オクチルトリエトキシシラン処理された粉体の含有量は特に限定されず、求める使用感に応じて適宜調整することができるが、成分(C)の総含有量が全組成中の1~10重量%であることが好ましい。さらに好ましいのは3~6重量%である。
【0027】
本願発明に用いられる成分(D)揮発性シリコーン油は、室温(25℃)、常圧(1気圧すなわち9.8×104Pa)で揮発するシリコーン油をいう。揮発性シリコーン油としては、直鎖状、環状又は分岐状シリコーン油が挙げられ、具体的には、例えば直鎖状のシリコーン油で動粘度が1.0~3.0センチストークス(cs)であるジメチルポリシロキサンが挙げられる。市販品としては、例えばKF-96L-1cs(動粘度1cs)、KF-96A(動粘度2cs)(以上、信越化学工業社製)が挙げられる。また、環状シリコーン油としては、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサンが挙げられ、市販品としては、例えばKF-995、KF-994(以上、信越化学工業社製)等が挙げられる。さらに、分岐状のシリコーン油としては、トリストリメチルシロキシシラン、テトラキストリメチルシロキシシランを用いることができ、市販品としてはシリコーンTMF1.5(信越化学工業社製)等が挙げられる。なかでも環状シリコーン油が最も好ましく、含有することで塗布時ののび、化粧料の乾きが良く良好である。
【0028】
本願発明で用いられる揮発性シリコーン油の含有量は特に限定されないが20~60重量%が好ましく、さらに30~50重量%がより好ましく、特に35~45重量%がより好ましい。この範囲で含有させると、塗布した際の化粧料の乾きや塗布時ののびが良く、べたつきも無いため良好である。
【0029】
本願発明の油中水型乳化化粧料には、上記した必須成分の他に発明の効果を損なわない範囲で、その使用目的に応じて各種成分、例えば、シリコーン系界面活性剤、油分、紫外線吸収剤、防腐剤、保湿剤、増粘剤、色剤、金属イオン封鎖剤、酸化防止剤、美容成分、香料、清涼剤、pH調整剤等を適宜含有することができる。
【0030】
本願発明の油中水型乳化化粧料としては、乳液、保湿クリーム、目元用クリーム、美容液、マッサージ料、パック料、ハンドクリーム、ボディクリ-ム等のスキンケア化粧料、化粧用下地化粧料、リキッドファンデーション、アイブロウ、マスカラ等のメイクアップ化粧料を例示することができ、その使用法は、手で使用する方法、不織布等に含浸させて使用する方法、ブラシで塗布する方法等が挙げられる。なかでも、アイブロウ、マスカラ等の眉目化粧料として、ブラシで塗布する方法で使用すると、優れた付着性等に効果が発揮される。
【実施例】
【0031】
以下に、実施例をあげて本願発明をより詳細に説明するが、本願発明はこれらに限定されるものではない。なお、含有量は特記しない限り重量%とする。
【0032】
(実施例1~19及び比較例1~6)眉用マスカラ
本願発明の油中水型乳化化粧料を実施例1~19及び比較例1~6を用いて説明する。本願発明の油中水型乳化化粧料を調製し、以下に示す評価方法及び評価基準により評価した。
【0033】
(乳化状態の評価)
乳化状態は乳化粒子を光学顕微鏡で観察し、以下の基準で評価した。
◎:1μm未満の均一な乳化粒子が観察され、乳化状態が非常に良好である。
○:1~5μm未満の均一な乳化粒子が観察され、乳化状態が良好である。
△:5~10μmで、やや不揃いな乳化粒子が観察され、乳化状態がやや悪い。
×:10μmを超える不揃いな乳化粒子が観察され、乳化状態が悪い。
【0034】
(付着性、のびのなめらかさ、べたつきのなさの評価)
20~40代の化粧品専門パネル5名に、実施例及び比較例のマスカラを眉毛にブラシを用いて使用してもらい、塗布時した際の「付着性」、「のびのなめらかさ」、「べたつきのなさ」について評価してもらい、以下の評価基準により評点を付し、マスカラごとに評点の平均点を算出して、以下に示す判定基準に従って判定した。
<評価基準>
〔評価〕 〔評点〕
非常に良好 :5
良好 :4
普通 :3
やや不良 :2
不良 :1
<判定基準>
〔評点の平均点〕 〔判定〕
4.5以上 :◎
3.5以上4.5未満 :○
2以上3.5未満 :△
2未満 :×
【0035】
表1に示す実施例1~12及び比較例1~8により、眉用マスカラを下記製造方法にて調製し、前記の使用試験方法、評価項目及び評価基準に基づいて評価した。評価結果も併せて表1に示した。なお、表中の※印のついた成分は市販原料である。
【0036】
【表1】
※1 NIKKOL SI-15RV(日光ケミカルズ社製)
※2 NIKKOL SO-30V(日光ケミカルズ社製)
※3 NIKKOL SL-10(日光ケミカルズ社製)
※4 ベントン38V(Elementis Specialities社製)
※5 クニピアF(クニミネ工業社製)
※6 OTS-2 TALC JA-46R(大東化成工業社製)
※7 タルク DS-63D(東色ピグメント社製)
※8 タルク JA-46R(浅田製粉社製)
※9 シリコーンKF-995(信越化学工業社製)
【0037】
(製造方法)
成分9に成分4を添加し、ホモミキサーを用いて分散した。その後、成分1~3、5~8、10~13を加え分散した。別に成分14~16を混合した後、先ほどの成分1~13へ添加し、ホモミキサーを用いて乳化して眉用マスカラを得た。
【0038】
表1の結果から明らかなように、実施例1~5の化粧料を見ると成分(A)HLBが4~7のソルビタン脂肪酸エステルと成分(B)有機変性粘土鉱物の総含有量が、全組成中の1~10重量%であると乳化状態が良好であることがわかった。また、実施例3及び6~8の化粧料を見ると成分(A)と(B)の重量比が1:5~1:10であると乳化状態が良好であることがわかった。
【0039】
実施例3及び9~12の化粧料を見るに成分(C)n-オクチルトリエトキシシラン処理された粉体が含有されることで付着性、のびのなめらかさなどの評価が高く、成分(C)n-オクチルトリエトキシシラン処理された粉体成分を含有していない比較例5、7、8は付着性やのびのなめらかさの評価が低く実施例に比べ使用性が劣っているものがあった。
【0040】
表2に示す実施例13~19及び比較例9、10により、眉用マスカラを下記製造方法にて調製し、前記の使用試験方法、評価項目及び評価基準に基づいて評価した。評価結果も併せて表2に示した。なお、表中※印のついた成分は、下記市販原料である。
【0041】
【表2】
※10 KF-96L-1.5cs(信越化学工業社製)
※11 シリコーン SH200オイル/10CS(東レ・ダウコーニング社製)
※12 PERMETHYL99A(日本光研工業社製)
【0042】
(製造方法)
成分4~7に成分2を添加し、ホモミキサーを用いて分散した。その後、成分1、3、8~11を加えさらに分散した。別に成分12~14を混合した後、先ほどの成分1~11へ添加し、ホモミキサーを用いて乳化して眉用マスカラを得た。
【0043】
実施例13~19の結果から、成分(D)揮発性シリコーン油が含有されることでのびのなめらかさ、べたつきのなさの評価が高く、不揮発性のシリコーン油や炭化水素油である成分6、7を含有した比較例9、10はのびのなめらかさ、べたつきのなさの評価が実施例に比べ劣ることが分かった。
【0044】
以下に、本願発明のその他の実施例を示す。
【0045】
(実施例20)
化粧用下地化粧料
(成分) (重量%)
1.デカメチルシクロペンタシロキサン※8 40.0
2. ジステアルジモニウムヘクトライト※3 3.2
3. セスキイソステアリン酸ソルビタン※1 0.6
4. トリメチルシロキシケイ酸 5.0
5. タルク(n-オクチルトリエトキシシラン2%処理)※5 5.0
6. ジメチルシリル化シリカ 0.5
7. 酸化鉄 0.8
8. 1,3ブチレングリコール 6.0
9. 精製水 残余
10. メチルパラベン 0.2
【0046】
(製造方法)
成分1に成分2を添加し、ホモミキサーを用いて分散した。その後、成分3~7を加えさらに分散した。別に成分8~10を混合し、先ほどの成分1~7へ添加後、ホモミキサーを用いて乳化し、化粧用下地化粧料を得た。
【0047】
実施例20について、前記の評価方法と同様に評価を行った結果、良好な乳化状態で、のびのなめらかさ、べたつきのなさ、付着性に優れた化粧用下地化粧料を得た。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本願発明によれば、HLBが4~7のソルビタン脂肪酸エステル、有機変性粘土鉱物、n-オクチルトリエトキシシラン処理された粉体、揮発性シリコーン油を含有することにより、肌又は睫毛、眉に塗布した際にのびや付着性が良く、良好な乳化状態を有し、かつ優れた使用感を有する油中水型乳化化粧料を開発することができる。