(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-12
(45)【発行日】2023-01-20
(54)【発明の名称】電池ユニット、アダプタ、電動工具システム、充電システム
(51)【国際特許分類】
H01M 50/269 20210101AFI20230113BHJP
B25F 5/00 20060101ALI20230113BHJP
H01M 50/247 20210101ALI20230113BHJP
H01M 10/44 20060101ALN20230113BHJP
H02J 7/00 20060101ALN20230113BHJP
【FI】
H01M50/269
B25F5/00 H
H01M50/247
H01M10/44 Q
H02J7/00 K
H02J7/00 S
H02J7/00 302C
(21)【出願番号】P 2018221668
(22)【出願日】2018-11-27
【審査請求日】2021-06-07
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】池田 昌樹
【審査官】杉田 恵一
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-308268(JP,A)
【文献】特開2007-143284(JP,A)
【文献】特開2007-229827(JP,A)
【文献】特開2011-097766(JP,A)
【文献】特開2011-161602(JP,A)
【文献】特開2011-218510(JP,A)
【文献】特開2014-148013(JP,A)
【文献】特開2019-021603(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第3309947(EP,A1)
【文献】米国特許出願公開第2005/0280393(US,A1)
【文献】国際公開第2018/079722(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/079723(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/079724(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25F 5/00
H01M 10/44
H01M 50/247
H01M 50/269
H02J 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動工具本体に取り外し可能に取り付けられる電池ユニットであって、
第1電池モジュールと、
前記電動工具本体と電気的に接続される工具接続部と、
第2電池モジュールを有する増設バッテリーが電気的に接続されるバッテリー接続部と、
前記第1電池モジュール及び前記第2電池モジュールを、前記工具接続部に対して、電気的に直列又は並列に接続する接続回路と、を備え
、
前記接続回路は、共通端子、第1端子、及び第2端子を具備するスイッチを有し、
前記バッテリー接続部は、並列用接続部と、直列用接続部と、を有し、
前記接続回路は、
前記共通端子と前記第1端子とが電気的に接続されている場合、前記第1電池モジュールと、前記並列用接続部に装着された前記増設バッテリーの前記第2電池モジュールと、を並列に接続し、
前記共通端子と前記第2端子とが電気的に接続されている場合、前記第1電池モジュールと、前記直列用接続部に装着された前記増設バッテリーの前記第2電池モジュールと、を直列に接続する、
電池ユニット。
【請求項2】
前記接続回路は、前記第1電池モジュール及び前記第2電池モジュールの接続状態を、直列と並列とで切替可能である、
請求項1に記載の電池ユニット。
【請求項3】
前記増設バッテリーは、前記電動工具本体に対して直接的に取り付け可能である、
請求項1又は2に記載の電池ユニット。
【請求項4】
前記バッテリー接続部は、前記増設バッテリーを複数接続可能である、
請求項1~3のいずれか1項に記載の電池ユニット。
【請求項5】
前記第1電池モジュールと前記第2電池モジュールとの間で過電流が流れることを抑制する保護回路を、更に備える、
請求項1~4のいずれか1項に記載の電池ユニット。
【請求項6】
前記第1電池モジュールを収容し、前記工具接続部及び前記バッテリー接続部を含む筐体を、更に備える、
請求項1~5のいずれか1項に記載の電池ユニット。
【請求項7】
前記第1電池モジュールを有する電池パックと、
前記工具接続部及び前記バッテリー接続部を有するアダプタと、を更に備え、
前記アダプタは、前記電池パックが電気的に接続される電池パック接続部を更に有する、
請求項1~5のいずれか1項に記載の電池ユニット。
【請求項8】
請求項7に記載の電池ユニットに用いられる、
アダプタ。
【請求項9】
請求項1~7のいずれか1項に記載の電池ユニットと、
前記電動工具本体と、を備える、
電動工具システム。
【請求項10】
請求項1~7のいずれか1項に記載の電池ユニットと、
前記第1電池モジュールを充電する充電器と、を備える、
充電システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に電池ユニット、アダプタ、電動工具システム、充電システムに関し、より詳細には電動工具本体に取り付けられる電池ユニット、アダプタ、電動工具システム、充電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電動工具に装着される電池パック(電池ユニット)がある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載の電池パックは、複数の二次電池を接続してなる組電池と、組電池の正極並びに負極とそれぞれ接続される一対の電源端子と、を備えている。電池パックは、電動工具に装着されたときに電動工具に電力を供給する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の電池パックでは、組電池の出力電圧及び容量が一定であり、電動工具に供給する電力量の調整ができなかった。
【0006】
本開示は、上記事由に鑑みてなされており、その目的は、電動工具本体に供給する電力量の調整が可能な電池ユニット、アダプタ、電動工具システム、充電システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様に係る電池ユニットは、電動工具本体に取り外し可能に取り付けられる。前記電池ユニットは、第1電池モジュールと、工具接続部と、バッテリー接続部と、接続回路と、を備える。前記工具接続部は、前記電動工具本体と電気的に接続される。前記バッテリー接続部は、第2電池モジュールを有する増設バッテリーが電気的に接続される。前記接続回路は、前記第1電池モジュール及び前記第2電池モジュールを、前記工具接続部に対して、電気的に直列又は並列に接続する。前記接続回路は、共通端子、第1端子、及び第2端子を具備するスイッチを有する。前記バッテリー接続部は、並列用接続部と、直列用接続部と、を有する。前記接続回路は、前記共通端子と前記第1端子とが電気的に接続されている場合、前記第1電池モジュールと、前記並列用接続部に装着された前記増設バッテリーの前記第2電池モジュールと、を並列に接続し、前記共通端子と前記第2端子とが電気的に接続されている場合、前記第1電池モジュールと、前記直列用接続部に装着された前記増設バッテリーの前記第2電池モジュールと、を直列に接続する。
【0008】
本開示の一態様に係るアダプタは、前記工具接続部及び前記バッテリー接続部を有する。前記アダプタは、前記第1電池モジュールを有する電池パックが電気的に接続される電池パック接続部を更に有する。
【0009】
本開示の一態様に係る電動工具システムは、前記電池ユニットと、前記電動工具本体と、を備える。
【0010】
本開示の一態様に係る充電システムは、前記電池ユニットと、前記第1電池モジュールを充電する充電器と、を備える。
【発明の効果】
【0011】
本開示では、電動工具本体に供給する電力量を調整することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、本開示の実施形態1に係る電池ユニットを含む電動工具システムのブロック図である。
【
図2】
図2は、同上の電動工具システムの外観斜視図である。
【
図3】
図3Aは、同上の電池ユニットの外観斜視図である。
図3Bは、同上の電池ユニットの平面図である。
【
図4】
図4は、本開示の実施形態1に係る充電システムのブロック図である。
【
図5】
図5は、本開示の実施形態2に係る電動工具システムの外観斜視図である。
【
図6】
図6は、同上の電動工具システムのブロック図である。
【
図7】
図7は、実施形態2の第1変形例に係る電動工具システムのブロック図である。
【
図8】
図8は、実施形態2の第2変形例に係る電動工具システムのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に説明する各実施形態及び変形例は、本開示の一例に過ぎず、本開示は、実施形態及び変形例に限定されない。この実施形態及び変形例以外であっても、本開示の技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。
【0014】
(実施形態1)
・概要
本実施形態に係る電池ユニット1の回路図を
図1に示し、電池ユニット1の概略構成図を
図2に示す。
【0015】
本実施形態の電池ユニット1は、電池パック10で構成されており、電動工具本体3に取り外し可能に取り付けられる。電池ユニット1は、電動工具本体3に取り付けられることにより、電動工具本体3に電力を供給する電源として機能する。
【0016】
電池ユニット1は、増設バッテリー2が取り付け可能に構成されている。
【0017】
電池ユニット1は、第1電池モジュールE1と、工具接続部11と、バッテリー接続部12と、接続回路13と、を備えている。工具接続部11は、電動工具本体3と電気的に接続される。バッテリー接続部12は、第2電池モジュールE2を有する増設バッテリー2が電気的に接続される。接続回路13は、第1電池モジュールE1及び第2電池モジュールE2を、工具接続部11に対して、電気的に直列又は並列に接続(直列接続又は並列接続)する。
【0018】
本実施形態の電池ユニット1では、第1電池モジュールE1と、増設バッテリー2が有する第2電池モジュールE2との出力電力を合わせて電動工具本体3に供給することができるので、電動工具本体3に供給する電力量の調整を図ることができる。
【0019】
・構成
以下に、本実施形態に係る電池ユニット1、及び電動工具システム100の詳細な構成について説明する。
【0020】
本実施形態の電動工具システム100は、電動工具本体3と電池ユニット1とを備えている。
【0021】
本実施形態では、電動工具本体3は、例えば電動のインパクトレンチ(
図2参照)である。電動工具本体3は、筒形状の胴体部31と、胴体部31の周面から径方向に突出するグリップ32と、電池ユニット1が装着される装着部33と、を有している。
【0022】
胴体部31には、駆動部が収容されている。駆動部は、モータを有しており、動力源である電池ユニット1から供給される電力を動力として回転動作するように構成されている。胴体部31の軸方向における一端側からは出力軸341が突出している。出力軸341は、駆動部の回転動作によって回転するように構成されている。出力軸341には、締付部品(ボルト、ナット等)を締め付ける又は緩めるための円筒状のソケット342が取り付けられる。電動工具本体3は、駆動部の回転動作によって出力軸341が回転することにより、締付部品を締め付ける又は緩めるといった作業が可能となる。
【0023】
グリップ32は、作業者が作業を行う際に握る部分であり、トリガスイッチ321、及び正逆切替スイッチ322が設けられている。トリガスイッチ321は、駆動部の回転動作のオン/オフを制御するためのスイッチであり、引込量に応じて駆動部の回転数の調整が可能である。正逆切替スイッチ322は、出力軸341の回転方向を正転と逆転とに切り替えるスイッチである。グリップ32における胴体部31と反対側の端部には装着部33が設けられている。
【0024】
装着部33は、扁平な矩形体状に形成されており、グリップ32と反対側の一面に電池ユニット1が装着される。装着部33に電池ユニット1が装着されることにより、電池ユニット1から駆動部などに電力が供給される。
【0025】
また、装着部33には、操作パネル331が設けられている。操作パネル331は、例えば、複数の押ボタンスイッチ332、及び複数のLED333(Light Emitting Diode)を備えており、電動工具本体3の種々の設定、状態確認等を行うことができる。作業者は、例えば、操作パネル331(押ボタンスイッチ332)を操作することにより、電動工具本体3の動作モードの変更等を行うことができる。
【0026】
本実施形態の電池ユニット1は、電池パック10で構成されている。電池パック10は、電動工具本体3の装着部33に対して着脱自在である。電池パック10は、筐体101を備えている。筐体101は、第1電池モジュールE1を収容し、工具接続部11及びバッテリー接続部12を含む。
【0027】
第1電池モジュールE1は、いわゆる組電池あり、複数の二次電池を備えている。複数の二次電池の各々が、単電池(セル)である。二次電池は、例えばリチウムイオン電池である。第1電池モジュールE1では、定格電圧、定格容量などの仕様に応じて、複数の二次電池が直列接続及び並列接続されている。例えば、リチウムイオン電池の定格電圧は、3.6Vである。第1電池モジュールE1の定格電圧を18Vとする場合、5つのリチウムイオン電池が直列接続される。また、第1電池モジュールE1の定格容量に応じて、5つのリチウムイオン電池の直列回路が、複数(例えば2つ、3つなど)並列接続される。第1電池モジュールE1は、筐体101に収容されている。
【0028】
筐体101は、
図3A、
図3Bに示すように、ボディ102と、ボディ102に結合されたカバー103と、を含む。ボディ102は、カバー103側が開放された箱状である。ボディ102は、第1電池モジュールE1を収容している。カバー103は、ボディ102側が開放された箱状である。
【0029】
カバー103は、ボディ102側とは反対側の一面1031から突出している突台部1032を含む。突台部1032は、偏平な直方体状である。ボディ102は、合成樹脂成形品である。ボディ102の材料は、例えば、ABS樹脂である。ボディ102は、電気絶縁性を有する。カバー103は、合成樹脂成形品である。カバー103の材料は、例えば、ABS樹脂である。カバー103は、電気絶縁性を有する。
【0030】
突台部1032には、工具接続部11が設けられている(
図3A参照)。工具接続部11は、電動工具本体3との電気的な接続に用いられる複数(本実施形態では3つ)の接続端子として正極端子111、負極端子112、正極端子113を備えている。
図1に示すように、正極端子111及び正極端子113は、第1電池モジュールE1の正極に接続されている。具体的には、正極端子111は、スイッチSW1及び保護回路14を介して、第1電池モジュールE1の正極に接続されている。負極端子112は、第1電池モジュールE1の負極に接続されている。電池ユニット1では、第1電池モジュールE1の放電には、正極端子111及び負極端子112が利用される。
【0031】
また、工具接続部11は、充電器4(
図4参照)との電気的な接続にも用いられる。電池ユニット1では、充電器4による第1電池モジュールE1の充電には、正極端子113及び負極端子112が利用される。
【0032】
また、筐体101の突台部1032には、第1通信用コネクタ114が設けられている。第1通信用コネクタ114は、電動工具本体3及び充電器4と通信するためのインタフェースとして利用されるコネクタである。第1通信用コネクタ114は、電動工具本体3及び充電器4への電池情報の出力に用いられる。電池情報とは、例えば温度情報、定格電圧情報等である。温度情報は、第1電池モジュールE1の温度の情報である。定格電圧情報は、第1電池モジュールE1の定格電圧の情報である。
【0033】
電池ユニット1(電池パック10)は、増設バッテリー2が着脱自在である。筐体101のボディ102は、カバー103側とは反対側の一面1021にバッテリー接続部12が設けられている。バッテリー接続部12は、増設バッテリー2との電気的な接続に用いられる。
【0034】
本実施形態では、増設バッテリー2は、電池ユニット1(電池パック10)と同様の構成である。ただし、本実施形態では、増設バッテリー2は、電池ユニット1におけるバッテリー接続部12が省略されている。以下の説明では、増設バッテリー2が備える各構成要素において、本実施形態の電池ユニット1が備える各構成要素と同様の構成については共通の符号を付し、さらに符号の末尾に「E」を付して説明を省略する。
【0035】
増設バッテリー2は、筐体101Eを備えており、筐体101Eに第2電池モジュールE2を収容している。第2電池モジュールE2は、いわゆる組電池であり、複数の二次電池を備えている。複数の二次電池の各々が、単電池(セル)である。二次電池は、例えばリチウムイオン電池である。第2電池モジュールE2では、定格電圧、定格容量などの仕様に応じて、複数の二次電池が直列接続及び並列接続されている。なお、第2電池モジュールE2の定格電圧、定格容量などの仕様は、第1電池モジュールE1と同じであってもよいし、異なっていてもよい。第2電池モジュールE2の正極は、正極端子111E及び正極端子113Eに接続されている。第2電池モジュールE2の負極は、負極端子112Eに接続されている。
【0036】
増設バッテリー2は、電池ユニット1(電池パック10)と同様に、工具接続部11Eを備えている。工具接続部11Eは、正極端子111E、負極端子112E、及び正極端子113Eを備えている。したがって、増設バッテリー2は、電動工具本体3に対して直接的に取り付け可能である。増設バッテリー2は、単体で電動工具本体3の電源としても機能する。
【0037】
バッテリー接続部12は、筐体101のボディ102における一面1021に形成されており、増設バッテリー2の突台部を収容する凹部1022を有する。凹部1022の開口形状は、矩形状である。凹部は、長手方向の一端側が開放されている。
【0038】
バッテリー接続部12は、増設バッテリー2の工具接続部11Eが有する正極端子111E、及び負極端子112Eとそれぞれ接続される正極入力端子121、及び負極入力端子122を備えている。負極入力端子122は、接続回路13を介して第1電池モジュールE1と接続されている。接続回路13の構成は後述する。
【0039】
また、バッテリー接続部12は、増設バッテリー2の第1通信用コネクタ114Eと接続可能な第2通信用コネクタ123を備えている。
【0040】
電池ユニット1に増設バッテリー2が装着されることにより、電池ユニット1の正極入力端子121及び負極入力端子122が、それぞれ増設バッテリー2の正極端子111E及び負極端子112Eと電気的に接続される。また、電池ユニット1に増設バッテリー2が装着されることにより、電池ユニット1の第2通信用コネクタ123が、増設バッテリー2の第1通信用コネクタ114Eと電気的に接続される。
【0041】
また、電池ユニット1は、バッテリー接続部12を保護するために、保護プレート120を備えている。保護プレート120は、正極入力端子121、負極入力端子122、及び第2通信用コネクタ123の各々の上面を露出させた状態で凹部1022の開口を覆う。保護プレート120は、保護プレート120の裏面側に設けられたコイルばねにより支持されている。したがって、電池ユニット1に増設バッテリー2を装着する場合、コイルばねのばね力に抗して増設バッテリー2の突台部を電池ユニット1の凹部1022に挿入する。
【0042】
本実施形態の電池ユニット1では、筐体101の内部に接続回路13及び保護回路14が設けられている。接続回路13及び保護回路14について、
図1を参照して説明する。
【0043】
接続回路13は、第1電池モジュールE1及び第2電池モジュールE2を、工具接続部11に対して、電気的に直列又は並列に接続するように構成されている。具体的には、接続回路13は、第1電池モジュールE1及び第2電池モジュールE2を、工具接続部11における正極端子111と負極端子112との間に、電気的に直列又は並列に接続(直列接続又は並列接続)する。本実施形態では、接続回路13は、第1電池モジュールE1及び第2電池モジュールE2の接続状態を、直列接続と並列接続とで切替可能に構成されている。
【0044】
接続回路13は、スイッチSW1と、スイッチSW2と、スイッチ制御部131と、を備えている。
【0045】
スイッチSW1は、c接点型スイッチであり、共通端子T10と、第1端子T11と、第2端子T12と、を備えている。スイッチSW1は、第1端子T11と第2端子T12とのいずれか一方と、共通端子T10とを電気的に接続する。ただし、ここでいう「端子」は、電線等を接続するための部品でなくてもよく、例えば、電子部品のリード、又は回路基板に含まれる導体の一部であってもよい。スイッチSW1は、機械式スイッチであってもよいし、例えばMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)などの半導体型のスイッチ素子を複数備えた構成であってもよい。スイッチSW1が複数のスイッチ素子を備えた構成である場合、例えば、第1スイッチ素子が共通端子T10と第1端子T11との間に接続され、第2スイッチ素子が共通端子T10と第2端子T12との間に接続される。そして、第1スイッチ素子と第2スイッチ素子とのいずれか一方がオンされる。
【0046】
スイッチSW1において、共通端子T10と第1端子T11とが導通している状態を第1状態とし、共通端子T10と第2端子T12とが導通している状態を第2状態とする。
【0047】
共通端子T10は、保護回路14を介して第1電池モジュールE1の正極と電気的に接続されている。保護回路14の詳細な説明は後述する。第1端子T11は、工具接続部11における正極端子111、及びバッテリー接続部12における正極入力端子121と電気的に接続されている。第2端子T12は、バッテリー接続部12における負極入力端子122と電気的に接続されている。
【0048】
スイッチSW2は、第1電池モジュールE1の負極、及び工具接続部11における負極端子112と、バッテリー接続部12における負極入力端子122との間に接続されている。スイッチSW2の一端は、第1電池モジュールE1の負極、及び工具接続部11における負極端子112と電気的に接続されている。スイッチSW2の他端は、バッテリー接続部12における負極入力端子122と電気的に接続されている。スイッチSW2は、機械式スイッチであってもよいし、例えばMOSFETなどの半導体型のスイッチ素子であってもよい。
【0049】
スイッチ制御部131は、スイッチSW1及びスイッチSW2を制御する。スイッチ制御部131は、例えばメモリ、プロセッサを有するマイコン(マイクロコンピュータ)であり、プロセッサがメモリに格納されたプログラムを実行することにより種々の機能を実現する。プログラムは、予めメモリに記憶されていてもよいし、メモリカードなどの非一時的な記憶媒体に記録されて提供されてもよいし、電気通信回線を通して提供されてもよい。
【0050】
スイッチ制御部131は、スイッチSW1及びスイッチSW2を制御することにより、第1電池モジュールE1と第2電池モジュールE2とを直列接続又は並列接続する。スイッチ制御部131は、第1通信用コネクタ114と電気的に接続されており、第1通信用コネクタ114を介して受信した電動工具本体3からの制御信号に基づいて、スイッチSW1及びスイッチSW2を制御する。電動工具本体3において、操作パネル331は、第1電池モジュールE1と第2電池モジュールE2との電気的な接続状態(直列接続又は並列接続)を指示するための操作入力を受け付ける。電動工具本体3は、操作パネル331が受け付けた操作入力に基づいて、電池ユニット1に制御信号を出力する。制御信号は、第1電池モジュールE1と第2電池モジュールE2との電気的な接続状態(直列接続又は並列接続)の指示が含まれている。
【0051】
第1電池モジュールE1と第2電池モジュールE2とを並列接続する場合、スイッチ制御部131は、スイッチSW1を第1状態(共通端子T10と第1端子T11とが導通した状態)とし、スイッチSW2をオン状態とする。これにより、増設バッテリー2の負極端子112EがスイッチSW2を介して第1電池モジュールE1の負極と電気的に接続される。したがって、工具接続部11における正極端子111と負極端子112との間に、第1電池モジュールE1と第2電池モジュールE2とが並列接続された状態となる。第1電池モジュールE1と第2電池モジュールE2とが並列接続された場合、第1電池モジュールE1の容量と第2電池モジュールE2の容量とが足し合わされる。そのため、電池モジュール(電池パック10)単体が電動工具本体3に電力を供給する場合に比べて、電動工具本体3に供給される電力量が増加する。これにより、電動工具本体3の使用時間の延長を図ることができる。また、第1電池モジュールE1と第2電池モジュールE2とが並列接続されることによって、電池モジュール(電池パック10)単体が電動工具本体3に電力を供給する場合に比べて、電動工具本体3に供給する電流を増加させることができる。
【0052】
第1電池モジュールE1と第2電池モジュールE2とを直列接続する場合、スイッチ制御部131は、スイッチSW1を第2状態(共通端子T10と第2端子T12とが導通した状態)とし、スイッチSW2をオフ状態とする。これにより、増設バッテリー2の負極端子112EがスイッチSW1を介して第1電池モジュールE1の正極と電気的に接続される。したがって、工具接続部11における正極端子111と負極端子112との間に、第1電池モジュールE1と第2電池モジュールE2とが直列接続された状態となる。第1電池モジュールE1と第2電池モジュールE2とが直列接続された場合、第1電池モジュールE1の出力電圧(両端間電圧)と第2電池モジュールE2の出力電圧(両端間電圧)とが足し合わされる。そのため、電池ユニット1(電池パック10)単体が電動工具本体3に電力を供給する場合に比べて、電動工具本体3に供給される電力量が増加、より具体的には電動工具本体3に印加される電圧が増加する。
【0053】
このように本実施形態の電池ユニット1では、増設バッテリー2が装着されることにより、電動工具本体3に供給する電力量の調整(増加)を図ることができる。これにより、例えば、ユーザは、複数の電動工具本体3ごとに電池パックを準備する必要がなく、電動工具本体3の仕様に応じて電池ユニット1と増設バッテリー2とを組み合わせて電動工具本体3に装着することができる。したがって、ユーザの利便性の向上を図ることができる。
【0054】
また、スイッチ制御部131は、通常状態では、スイッチSW1を第1状態(共通端子T10と第1端子T11とが導通した状態)とし、スイッチSW2をオフ状態としている。ここでの「通常状態」とは、スイッチ制御部131が電動工具本体3からの制御信号を受信していない状態である。つまり、スイッチ制御部131は、電動工具本体3からの制御信号を受信した場合に、第1電池モジュールE1とバッテリー接続部12とを電気的に接続する。言い換えれば、スイッチ制御部131は、電動工具本体3からの制御信号を受信していない場合、第1電池モジュールE1とバッテリー接続部12とを電気的に切り離している。したがって、電池ユニット1に増設バッテリー2を装着しただけでは、第1電池モジュールE1と第2電池モジュールE2とが電気的に接続されない。
【0055】
また、本実施形態では、スイッチ制御部131は、電動工具本体3からの制御信号、及び第2通信用コネクタ123を介して受信した増設バッテリー2の電池情報に基づいて、スイッチSW1及びスイッチSW2を制御する。つまり、本実施形態の接続回路13は、増設バッテリー2の電池情報に基づいて、第1電池モジュールE1と第2電池モジュールE2との電気的な接続の可否を判断する。そして、接続回路13は、第1電池モジュールE1と第2電池モジュールE2との電気的な接続が可能であると判断したとする。この場合、接続回路13は、工具接続部11における正極端子111と負極端子112との間に、第1電池モジュールE1と第2電池モジュールE2とを電気的に直列接続又は並列接続する。
【0056】
定格電圧が互いに異なる第1電池モジュールE1と第2電池モジュールE2とを並列接続した場合、定格電圧が高い方の電池モジュールのみから電動工具本体3に電力が供給される。したがって、結果的に第1電池モジュールE1と第2電池モジュールE2との容量が足し合わされない。また、定格電圧が高い方の電池モジュールから定格電圧が低い方の電池モジュールに電流が流れるおそれがある。
【0057】
スイッチ制御部131は、第1電池モジュールE1と第2電池モジュールE2とを並列接続する、という指示が含まれた制御信号を受信したとする。この場合、スイッチ制御部131は、第1電池モジュールE1の定格電圧の値と第2電池モジュールE2の定格電圧の値とを比較する。そして、スイッチ制御部131は、第1電池モジュールE1の定格電圧の値と、第2電池モジュールE2の定格電圧の値との差が、閾値未満である場合、スイッチSW2をオン状態にする。つまり、スイッチ制御部131は、第1電池モジュールE1と第2電池モジュールE2とを並列接続する。一方、スイッチ制御部131は、第1電池モジュールE1の定格電圧の値と、第2電池モジュールE2の定格電圧の値との差が、閾値以上である場合、スイッチSW2をオン状態にしない。つまり、スイッチ制御部131は、第1電池モジュールE1と第2電池モジュールE2とを並列接続しない。これにより、定格電圧が互いに異なる第1電池モジュールE1と第2電池モジュールE2とが並列接続されることが抑制される。
【0058】
なお、スイッチ制御部131は、第1電池モジュールE1の出力電圧(両端電圧)と第2電池モジュールE2の出力電圧(両端電圧)とを比較してもよい。この場合、スイッチ制御部131は、第1電池モジュールE1の出力電圧の値と第2電池モジュールE2の出力電圧の値との差が閾値以上である場合、第1電池モジュールE1と第2電池モジュールE2とを並列接続しない。これにより、例えば、第1電池モジュールE1と第2電池モジュールE2との定格電圧が互いに同じであっても、一方の電池モジュールの出力電圧が定格電圧よりも低下している場合、第1電池モジュールE1と第2電池モジュールE2とが並列接続されない。
【0059】
また、第1電池モジュールE1と第2電池モジュールE2とを直列接続した場合、電動工具本体3の入力電圧の上限値を超える電圧が電動工具本体3に印加されるおそれがある。
【0060】
そこで、スイッチ制御部131は、第1電池モジュールE1と第2電池モジュールE2とを直列接続する、という指示が含まれた制御信号を受信したとする。制御信号には、電動工具本体3の入力電圧の上限値を示す情報が含まれている。スイッチ制御部131は、第1電池モジュールE1の定格電圧と第2電池モジュールE2の定格電圧との合計と、電動工具本体3の入力電圧の上限値とを比較する。そして、第1電池モジュールE1の定格電圧の値と第2電池モジュールE2の定格電圧の値との合計値が、電動工具本体3の入力電圧の上限値以下であるとする。この場合、スイッチ制御部131は、スイッチSW1を第2状態とする、つまり、スイッチ制御部131は、第1電池モジュールE1と第2電池モジュールE2とを直列接続する。一方、スイッチ制御部131は、第1電池モジュールE1の定格電圧の値と第2電池モジュールE2の定格電圧の値との合計値が、電動工具本体3の入力電圧の上限値より大きい場合、スイッチSW1を第2状態にしない。つまり、スイッチ制御部131は、第1電池モジュールE1と第2電池モジュールE2とを直列接続しない。これにより、電動工具本体3の入力電圧の上限値を超える電圧が電動工具本体3に印加されることが抑制される。
【0061】
また、スイッチ制御部131は、第1電池モジュールE1と第2電池モジュールE2との電気的な接続(直列接続又は並列接続)が不可であると判断した場合、電動工具本体3から接続エラーを通知させる。通知方法は、例えばエラー音の発生、エラー表示等がある。これにより、ユーザは、第1電池モジュールE1と第2電池モジュールE2との電気的な接続が不可であることを認識することができる。
【0062】
次に、保護回路14について説明する。保護回路14は、第1電池モジュールE1と第2電池モジュールE2との間で過電流が流れることを抑制するように構成されている。ここでいう「過電流」とは、第1電池モジュールE1及び第2電池モジュールE2の定格電流の値よりも大きい値の電流である。
【0063】
保護回路14は、第1スイッチの基準端子と第1電池モジュールE1の正極との間に、電気的に接続されている。保護回路14は、ヒューズF1とダイオードD1とを備えている。ヒューズF1とダイオードD1とは、スイッチSW1の共通端子T10と第1電池モジュールE1の正極との間に直列接続されている。
【0064】
ヒューズF1は、過電流が流れると電流経路を遮断するように構成されている。したがって、ヒューズF1の遮断により、第1電池モジュールE1と第2電池モジュールE2との間で過電流が流れることが抑制される。なお、ヒューズF1の代わりに、PTCサーミスタ(PTC: Positive Temperature Coefficient)などの電流制限素子が設けられていてもよい。電流制限素子は、所定値以上の電流が流れた場合に抵抗値が増大するように構成されている。電流制限素子の自己発熱によって抵抗値が増大することによって、第1電池モジュールE1と第2電池モジュールE2との間で過電流が流れることが抑制される。
【0065】
ダイオードD1は、アノードが第1電池モジュールE1の正極と電気的に接続され、カソードがヒューズF1を介してスイッチSW1の共通端子T10と電気的に接続されている。ダイオードD1は、第1電池モジュールE1と第2電池モジュールE2とが並列接続されている場合、第2電池モジュールE2から第1電池モジュールE1に電流が流れることを抑制する。つまり、ダイオードD1は、第1電池モジュールE1への電流の逆流を抑制する。
【0066】
電池ユニット1(電池パック10)と同様に、増設バッテリー2は、ダイオードD2を備えている。ダイオードD2は、アノードが第2電池モジュールE2の正極と電気的に接続され、カソードが正極端子111Eと電気的に接続されている。ダイオードD2は、第1電池モジュールE1と第2電池モジュールE2とが並列接続されている場合、第1電池モジュールE1から第2電池モジュールE2に電流が流れることを抑制する。つまり、ダイオードD2は、第2電池モジュールE2への電流の逆流を抑制する。
【0067】
次に、本実施形態の係る充電システム400について
図4を参照して説明する。
【0068】
充電システム400は、電池ユニット1と充電器4とを備えている。
【0069】
充電器4は、充電回路41を備えている。充電器4は、電池ユニット1(電池パック10)又は増設バッテリー2を装着可能な接続ポートを複数(例えば2つ)備えている。したがって、電池ユニット1(電池パック10)と増設バッテリー2との両方を充電器4に装着することができる。
【0070】
充電回路41は、接続ポートに電池ユニット1(電池パック10)が装着されている場合、工具接続部11の正極端子113及び負極端子112を介して、第1電池モジュールE1と電気的に接続される。また、充電回路41は、接続ポートに増設バッテリー2が装着されている場合、工具接続部11Eの正極端子113E及び負極端子112Eを介して、第2電池モジュールE2と電気的に接続される。
【0071】
充電回路41は、商用電源40から供給される電力により、第1電池モジュールE1及び第2電池モジュールE2を充電する。
【0072】
電池ユニット1(電池パック10)における正極端子113は、ダイオードD1のアノードと第1電池モジュールE1の正極との接続点と電気的に接続されている。つまり、正極端子113は、ダイオードD1を介さないで第1電池モジュールE1と電気的に接続されている。したがって、充電経路にダイオードD1が含まれていないので、充電回路41は、第1電池モジュールE1を充電することができる。
【0073】
また、増設バッテリー2における正極端子113Eは、ダイオードD2のアノードと第2電池モジュールE2の正極との接続点と電気的に接続されている。つまり、正極端子113Eは、ダイオードD2を介さないで第2電池モジュールE2と電気的に接続されている。したがって、充電経路にダイオードD2が含まれていないので、充電回路41は、第2電池モジュールE2を充電することができる。
【0074】
また、充電器4に装着された電池ユニット1(電池パック10)の第1電池モジュールE1と、増設バッテリー2の第2電池モジュールE2との定格電圧が互いに同じであったとする。この場合、充電回路41は、第1電池モジュールE1の出力電圧(両端電圧)と第2電池モジュールE2の出力電圧(両端電圧)との差が小さくなるように、第1電池モジュールE1及び第2電池モジュールE2を充電する。これにより、第1電池モジュールE1と第2電池モジュールE2とを並列接続した際に、第1電池モジュールE1の出力電圧と第2電池モジュールE2の出力電圧との差を小さくすることができる。
【0075】
・変形例
次に、本実施形態の電池ユニット1の変形例について説明する。
【0076】
上述した例では、保護回路14のヒューズF1は、スイッチSW1と第1電池モジュールE1との間に電気的に接続されているが、接続箇所は上記箇所に限定されない。例えば、ヒューズF1は、スイッチSW1の第1端子T11と、バッテリー接続部12の正極入力端子121との間に電気的に接続されていてもよい。この場合であっても、ヒューズF1は、第1電池モジュールE1と第2電池モジュールE2とが並列接続されている場合に、第1電池モジュールE1と第2電池モジュールE2との間に過電流が流れることを抑制することができる。
【0077】
また、上述した例では、増設バッテリー2は、電池ユニット1(電池パック10)と比べてバッテリー接続部12が省略された構成であったが、バッテリー接続部12を備えた構成であってもよい。つまり、増設バッテリー2は、電池ユニット1(電池パック10)と同じ構成であってもよい。この場合、増設バッテリー2に対して、更に他の増設バッテリー2を装着することができる。したがって、電動工具本体3に、3つ以上の電池パック(1つの電池ユニットと2つの増設バッテリー2)を連結して装着することができる。
【0078】
また、上述した例では、接続回路13のスイッチ制御部131は、電動工具本体3からの制御信号に基づいて、第1電池モジュールE1と第2電池モジュールE2とを電気的に接続(直列接続又は並列接続)するように構成されていたが、これに限らない。例えば、スイッチ制御部131は、電池ユニット1(電池パック10)に設けられた操作スイッチ(例えばスライドスイッチなど)に基づいて、第1電池モジュールE1と第2電池モジュールE2とを電気的に接続するように構成されていてもよい。
【0079】
また、上述した例では、接続回路13は、第1電池モジュールE1と第2電池モジュールE2との接続状態を、直列接続と並列接続とを切り替え可能に構成されていたが、これに限らない。接続回路13は、第1電池モジュールE1と第2電池モジュールE2とを、直列接続と並列接続とのいずれか一方で接続するように構成されていてもよい。
【0080】
また、上述した例では、増設バッテリー2が電動工具本体3に装着可能に構成されていたが、これに限らない。増設バッテリー2は、電池ユニット1にのみ接続可能な専用バッテリーであってもよいし、電池ユニット1及び電動工具本体3以外の装置にも接続可能な汎用バッテリーであってもよい。
【0081】
また、上述した例では、電動工具本体3は、インパクトレンチであったが、これに限らず、例えば電動ドライバ、電動ドリル、グラインダー等の他の電動工具であってもよい。
【0082】
(実施形態2)
本実施形態に係る電池ユニット1Aについて、
図5、
図6を参照して説明する。
【0083】
本実施形態の電池ユニット1Aは、電池パック10Sと、アダプタ15と、を備えている。
【0084】
本実施形態では、電池パック10Sは、実施形態1の電池パック10と同様の構成である。ただし、本実施形態では、電池パック10Sは、バッテリー接続部12、及び接続回路13等が省略されている。以下の説明では、電池パック10Sが備える各構成要素において、実施形態1の電池パック10が備える各構成要素と同様の構成については共通の符号を付し、さらに符号の末尾に「S」を付して説明を省略する。
【0085】
電池パック10Sは、第1電池モジュールE1を備えている。具体的には、電池パック10Sは、筐体101Sに第1電池モジュールE1を収容している。また、電池パック10Sは、工具接続部11Sを備えている。したがって、電池パック10Sは、電動工具本体3に取り付け可能である。電池パック10Sは、単体で電動工具本体3の電源としても機能する。なお、電池パック10Sは、実施形態1の電池パック10(電池ユニット1)と同じ構成であってもよい。つまり、電池パック10Sは、バッテリー接続部12、及び接続回路13等を備えた構成であってもよい。
【0086】
アダプタ15は、電池パック10S及び増設バッテリー2の両方を電動工具本体3と電気的に接続させる。アダプタ15は、工具接続部11A、バッテリー接続部12A、及び電池パック接続部16を備えている。アダプタ15は、筐体150を更に備えている。
【0087】
筐体150は、扁平な直方体状である。筐体150は、合成樹脂成形品である。筐体150の材料は、例えた、ABS樹脂である。筐体150は、電気絶縁性を有する。筐体150は、電動工具本体3側の第1面に工具接続部11Aが設けられ、電動工具本体3と反対側の第2面にバッテリー接続部12A及び電池パック接続部16が設けられている。また、筐体150内に接続回路13A、保護回路14Aが設けられている。
【0088】
工具接続部11Aは、正極端子111A、及び負極端子112Aを備えている。工具接続部11Aは、実施形態1の工具接続部11と同様の構成であるので、詳細な説明を省略する。
【0089】
電池パック接続部16は、実施形態1のバッテリー接続部12と同様の構成であり、正極入力端子161、及び負極入力端子162を備えている。アダプタ15に電池パック10Sが装着されることにより、正極入力端子161、及び負極入力端子162がそれぞれ電池パック10Sにおける工具接続部11Sの正極端子111S及び負極端子112Sと電気的に接続される。
【0090】
バッテリー接続部12Aは、実施形態1のバッテリー接続部12と同様の構成であり、正極入力端子121A、及び負極入力端子122Aを備えている。アダプタ15に増設バッテリー2が装着されることにより、正極入力端子121A、及び負極入力端子122Aがそれぞれ増設バッテリー2における工具接続部11Eの正極端子111E及び負極端子112Eと電気的に接続される。
【0091】
なお、
図6において、工具接続部11A,11S,11E、バッテリー接続部12A、電池パック接続部16それぞれが有する通信用コネクタの記載を省略している。
【0092】
アダプタ15は、筐体150の内部に接続回路13A及び保護回路14Aが設けられている。
【0093】
接続回路13Aは、スイッチSW3と、スイッチSW4と、スイッチ制御部131Aと、を備えている。
【0094】
スイッチSW3は、共通端子T30と第1端子T31と第2端子T32とを備えている。共通端子T30は、保護回路14Aを介して電池パック接続部16の正極入力端子161と電気的に接続されている。第1端子T31は、工具接続部11Aの正極端子111A及びバッテリー接続部12Aの正極入力端子121Aと電気的に接続されている。第2端子T32は、バッテリー接続部12の負極入力端子122Aと電気的に接続されている。
【0095】
スイッチSW4は、一端が工具接続部11Aの負極端子112A及び電池パック接続部16の負極入力端子162と電気的に接続され、他端がバッテリー接続部12Aの負極入力端子122Aと電気的に接続されている。
【0096】
本実施形態では、保護回路14Aは、ヒューズF1を備えている。また、電池パック10Sは、正極端子111Sと第1電池モジュールE1の正極との間に、逆流防止用のダイオードD1Sが設けられている。
【0097】
スイッチ制御部131Aは、工具接続部11Aが有する通信用コネクタを介して、電動工具本体3からの制御信号を受信する。また、スイッチ制御部131Aは、電池パック接続部16が有する通信用コネクタを介して、電池パック10Sの電池情報を受信する。また、スイッチ制御部131Aは、バッテリー接続部12Aが有する通信用コネクタを介して、増設バッテリー2の電池情報を受信する。スイッチ制御部131は、電動工具本体3からの制御信号、電池パック10の電池情報、及び増設バッテリー2の電池情報に基づいて、スイッチSW3及びスイッチSW4を制御する。スイッチ制御部131Aによる第1電池モジュールE1と第2電池モジュールE2との電気的な接続可否の判断は、実施形態1と同様であるので詳細な説明を省略する。
【0098】
第1電池モジュールE1と第2電池モジュールE2とを並列接続する場合、スイッチ制御部131Aは、スイッチSW3を第1状態(共通端子T30と第1端子T31とが導通した状態)とし、スイッチSW4をオン状態とする。これにより、工具接続部11Aにおける正極端子111Aと負極端子112Aとの間に、第1電池モジュールE1と第2電池モジュールE2とが並列接続される。したがって、電池パック10Sのみが電動工具本体3に電力を供給する場合に比べて、電動工具本体3に供給される電力量が増加する。これにより、電動工具本体3の使用時間の延長を図ることができる。また、第1電池モジュールE1と第2電池モジュールE2とが並列接続されることによって、電池パック10Sのみが電動工具本体3に電力を供給する場合に比べて、電動工具本体3に供給する電流を増加させることができる。
【0099】
第1電池モジュールE1と第2電池モジュールE2とを直列接続する場合、スイッチ制御部131Aは、スイッチSW3を第2状態(共通端子T30と第2端子T32とが導通した状態)とし、スイッチSW4をオフ状態とする。これにより、工具接続部11Aにおける正極端子111Aと負極端子112Aとの間に、第1電池モジュールE1と第2電池モジュールE2とが直列接続される。したがって、電池パック10Sのみが電動工具本体3に電力を供給する場合に比べて、電動工具本体3に供給される電力量が増加、より具体的には電動工具本体3に印加される電圧が増加する。
【0100】
・変形例
次に、本実施形態の電池ユニット1Aの変形例について説明する。
【0101】
(第1変形例)
上述した例では、電動工具本体3からの制御信号に基づいて、スイッチ制御部131Aが第1電池モジュールE1と第2電池モジュールE2との接続状態を直列と並列とで切り替えるように構成されていたが、これに限らない。
【0102】
図7に示すように、アダプタ15のバッテリー接続部12Aは、並列用接続部120pと、直列用接続部120sとを有している。
【0103】
並列用接続部120pは、正極入力端子121p及び負極入力端子122pを備えている。並列用接続部120pにおいて、正極入力端子121pは、電池パック接続部16の正極入力端子161と電気的に接続され、負極入力端子122pは、電池パック接続部16の負極入力端子162と電気的に接続されている。
【0104】
直列用接続部120sは、正極入力端子121s及び負極入力端子122sを備えている。直列用接続部120sにおいて、正極入力端子121sは、接続回路13A(スイッチSW5)を介して工具接続部11Aの正極端子111Aと電気的に接続され、負極入力端子122sは、電池パック接続部16の正極入力端子161と電気的に接続されている。
【0105】
スイッチSW5は、c接点型スイッチであり、共通端子T50と、第1端子T51と、第2端子T52と、を備えている。共通端子T50は、工具接続部11Aの正極端子111Aと電気的に接続されている。第1端子T51は、電池パック接続部16の正極入力端子161、及び並列用接続部120pの正極入力端子121pと電気的に接続されている。第2端子T52は、直列用接続部120sの正極入力端子121sと電気的に接続されている。
【0106】
スイッチSW5の共通端子T50と第1端子T51とが電気的に接続されている場合、電池パック10Sの第1電池モジュールE1と、並列用接続部120pに装着された増設バッテリー2の第2電池モジュールE2とが並列接続される。また、スイッチSW5の共通端子T50と第2端子T52とが電気的に接続されている場合、電池パック10Sの第1電池モジュールE1と、直列用接続部120sに装着された増設バッテリー2の第2電池モジュールE2とが直列接続される。
【0107】
スイッチSW5は、増設バッテリー2が装着された接続部(並列用接続部120p、直列用接続部120s)に応じて接続状態が機械的に切り替わるように構成されている。スイッチSW5は、並列用接続部120pに増設バッテリー2が装着されている場合に、共通端子T50と第1端子T51とを電気的に接続する。スイッチSW5は、直列用接続部120sに増設バッテリー2が装着されている場合に、共通端子T50と第2端子T52とを電気的に接続する。なお、スイッチSW5は、上述した例と同様に、スイッチ制御部131Aによって接続状態が切り替えられるように構成されていてもよい。
【0108】
(第2変形例)
図8に示すように、アダプタ15のバッテリー接続部12Aは、増設バッテリー2を複数接続可能に構成されていてもよい。
図8の例では、バッテリー接続部12Aは、第1接続部120aと第2接続部120bとを有しており、2台の増設バッテリー2を接続可能に構成されている。
【0109】
第1接続部120aは、正極入力端子121a及び負極入力端子122aを備えている。第2接続部120bは、正極入力端子121b及び負極入力端子122bを備えている。
【0110】
接続回路13Aは、スイッチSW3、スイッチSW4、スイッチSW6、及びスイッチSW7を備えている。
【0111】
スイッチSW6は、c接点型スイッチであり、共通端子T60と、第1端子T61と、第2端子T62と、を備えている。共通端子T60は、第1接続部120aの正極入力端子121aと電気的に接続されている。第1端子T61は、工具接続部11Aの正極端子111Aと電気的に接続されている。第2端子T62は、第2接続部120bの負極入力端子122bと電気的に接続されている。
【0112】
スイッチSW7は、一端が第1接続部120aの負極入力端子122aと電気的に接続され、他端が第2接続部120bの負極入力端子122bに接続されている。
【0113】
第1電池モジュールE1と2つの第2電池モジュールE2とを並列接続する場合、スイッチ制御部131Aは、スイッチSW3を第1状態(共通端子T30と第1端子T31とが導通した状態)とし、スイッチSW4をオン状態とする。さらに、スイッチ制御部131Aは、スイッチSW6を第1状態(共通端子T60と第1端子T61とが導通した状態)とし、スイッチSW7をオン状態とする。これにより、第1電池モジュールE1と2つの第2電池モジュールE2とが並列接続される。したがって、電池パック10Sのみが電動工具本体3に電力を供給する場合に比べて、電動工具本体3に供給される電力量が増加する。これにより、電動工具本体3の使用時間の延長を図ることができる。また、第1電池モジュールE1と第2電池モジュールE2とが並列接続されることによって、電池パック10Sのみが電動工具本体3に電力を供給する場合に比べて、電動工具本体3に供給する電流を増加させることができる。
【0114】
第1電池モジュールE1と2つの第2電池モジュールE2とを直列接続する場合、スイッチ制御部131Aは、スイッチSW3を第2状態(共通端子T30と第2端子T32とが導通した状態)とし、スイッチSW4をオフ状態とする。さらに、スイッチ制御部131Aは、スイッチSW6を第2状態(共通端子T60と第2端子T62とが導通した状態)とし、スイッチSW7をオフ状態とする。これにより、第1電池モジュールE1と2つの第2電池モジュールE2とが直列接続される。したがって、電池パック10Sのみが電動工具本体3に電力を供給する場合に比べて、電動工具本体3に供給される電力量が増加、より具体的には電動工具本体3に印加される電圧が増加する。
【0115】
・まとめ
第1態様に係る電池ユニット(1,1A)は、電動工具本体(3)に取り外し可能に取り付けられる。電池ユニット(1,1A)は、第1電池モジュール(E1)と、工具接続部(11,11A)と、バッテリー接続部(12,12A)と、接続回路(13,13A)と、を備える。工具接続部(11,11A)は、電動工具本体(3)と電気的に接続される。バッテリー接続部(12,12A)は、第2電池モジュール(E2)を有する増設バッテリー(2)が電気的に接続される。接続回路(13,13A)は、第1電池モジュール(E1)及び第2電池モジュール(E2)を、工具接続部(11,11A)に対して、電気的に直列又は並列に接続する。
【0116】
この態様によれば、増設バッテリー(2)が装着されることにより、第1電池モジュール(E1)と第2電池モジュール(E2)とを電動工具本体(3)に電気的に接続することができ、電動工具本体(3)に供給する電力量の調整が可能となる。
【0117】
第2態様に係る電池ユニット(1,1A)では、第1態様において、接続回路(13,13A)は、第1電池モジュール(E1)及び第2電池モジュール(E2)の接続状態を、直列と並列とで切替可能である。
【0118】
この態様によれば、電動工具本体(3)に供給する電流の増加、又は電動工具本体(3)に印加する電圧の増加を図ることができる。
【0119】
第3態様に係る電池ユニット(1,1A)では、第1又は第2態様において、増設バッテリー(2)は、電動工具本体(3)に対して直接的に取り付け可能である。
【0120】
この態様によれば、電動工具本体(3)に取り付け可能な増設バッテリー(2)を、電池ユニット(1,1A)に装着することができ、利便性が向上する。
【0121】
第4態様に係る電池ユニット(1,1A)では、第1~第3態様において、バッテリー接続部(12,12A)は、増設バッテリー(2)を複数接続可能である。
【0122】
この態様によれば、第1電池モジュール(E1)と複数の第2電池モジュール(E2)との出力電力とを合わせて電動工具本体(3)に供給することができ、電動工具本体(3)に供給する電力量の調整が可能となる。
【0123】
第5態様に係る電池ユニット(1,1A)では、第1~第4態様において、第1電池モジュール(E1)と第2電池モジュール(E2)との間で過電流が流れることを抑制する保護回路(14,14A)を、更に備える。
【0124】
この態様によれば、第1電池モジュール(E1)と第2電池モジュール(E2)との間で過電流が流れることを抑制することができる。
【0125】
第6態様に係る電池ユニット(1)では、第1~第5態様において、第1電池モジュール(E1)を収容し、工具接続部(11)及びバッテリー接続部(12)を含む筐体(101)を、更に備える。
【0126】
この態様によれば、単体でも電動工具本体(3)に電力を供給可能な電池パックに、増設バッテリー(2)を装着することができる。
【0127】
第7態様に係る電池ユニット(1A)では、第1~第5態様において、電池パック(10S)と、アダプタ(15)と、を更に備える。電池パック(10S)は、第1電池モジュール(E1)を有する。アダプタ(15)は、工具接続部(11A)及びバッテリー接続部(12A)を有する。アダプタ(15)は、電池パック(10S)が電気的に接続される電池パック接続部(16)を更に有する。
【0128】
この態様によれば、アダプタ(15)を介して、第1電池モジュール(E1)と第2電池モジュール(E2)とを電動工具本体(3)に電気的に接続することができる。
【0129】
第8態様に係るアダプタ(15)は、第7態様に係る電池ユニット(1A)に用いられる。
【0130】
この態様によれば、第1電池モジュール(E1)と第2電池モジュール(E2)とを電動工具本体(3)に電気的に接続することができ、電動工具本体(3)に供給する電力量の調整が可能となる。
【0131】
第9態様に係る電動工具システム(100)は、第1~第7態様に係る電池ユニット(1,1A)と、電動工具本体(3)と、を備える。
【0132】
この態様によれば、電動工具本体(3)に供給する電力量の調整が可能となる。
【0133】
第10態様に係る充電システム(400)は、第1~第7態様に係る電池ユニット(1,1A)と、第1電池モジュール(E1)を充電する充電器(4)と、を備える。
【0134】
この態様によれば、第1電池モジュール(E1)を充電することができる。
【符号の説明】
【0135】
1,1A 電池ユニット
10S 電池パック
11,11A 工具接続部
12,12A バッテリー接続部
13,13A 接続回路
14,14A 保護回路
15 アダプタ
16 電池パック接続部
100 電動工具システム
101 筐体
2 増設バッテリー
3 電動工具本体
4 充電器
400 充電システム
E1 第1電池モジュール
E2 第2電池モジュール