(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-12
(45)【発行日】2023-01-20
(54)【発明の名称】継手
(51)【国際特許分類】
F16L 37/091 20060101AFI20230113BHJP
F16L 37/10 20060101ALI20230113BHJP
F16L 21/08 20060101ALI20230113BHJP
【FI】
F16L37/091
F16L37/10
F16L21/08 B
(21)【出願番号】P 2018224425
(22)【出願日】2018-11-30
【審査請求日】2021-08-17
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002686
【氏名又は名称】協明国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】金子 司
(72)【発明者】
【氏名】松崎 大樹
【審査官】▲高▼藤 啓
(56)【参考文献】
【文献】特開平06-272794(JP,A)
【文献】実開昭55-122587(JP,U)
【文献】韓国公開特許第10-2012-0079683(KR,A)
【文献】実開昭53-038021(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L 37/091
F16L 37/10
F16L 21/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸方向第1端側に受入口が設けられた第1筒状部材と、該第1筒状部材の前記受入口に受け入れられ、軸方向第1端側に被接続管の端部が差し込まれる差込口が設けられた第2筒状部材と、
周方向に複数に分割され、かつ差し込まれた前記被接続管の抜き取りを抑制する抜取抑制位置と抜き取りを可能とする抜取可能位置とに前記第2筒状部材に対して
概ね径方向に移動自在に保持された抜止部材と、を備えており、
前記抜止部材には、前記抜取抑制位置において、前記第2筒状部材の軸方向途中部位の内周面から軸心側に向けて突出するように配され、前記被接続管の外周面に食い込むように当接される先端部が設けられており、
前記第2筒状部材は、前記抜取抑制位置とされた前記抜止部材の前記抜取可能位置への移動を抑止するロック位置と前記抜止部材の前記抜取可能位置への移動を許容するロック解除位置とに前記第1筒状部材に対して相対的に移動自在とされ、かつそれぞれの位置において該第1筒状部材に保持される構成とされていることを特徴とする継手。
【請求項2】
請求項
1において、
前記第2筒状部材には、周方向に延びるスリット状とされ、前記抜止部材が収容されて保持される収容凹所が概ね径方向に貫通するように設けられていることを特徴とする継手。
【請求項3】
請求項
2において、
前記第2筒状部材は、前記収容凹所の軸方向両側を区画するように軸方向に分割された軸方向第1部位と軸方向第2部位とを備えていることを特徴とする継手。
【請求項4】
請求項1乃至
3のいずれか1項において、
当該継手の外周側には、前記第1筒状部材に対する前記第2筒状部材の前記ロック位置及び前記ロック解除位置を表示する表示部が設けられていることを特徴とする継手。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配管を接続する継手に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、配管(被接続管)を接続するために使用される継手が知られている。このような継手には、差し込まれた被接続管の抜き取りを抑制する機構が設けられている。
例えば、下記特許文献1には、継手本体に、挿入されたチューブの外周に食い込む食い込み片を有した保持片と、チューブを外す際に操作面が押し操作されることで食い込み片による抜止めを解除する操作部材と、を設けた管継手が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に開示された管継手では、チューブを外す際に操作部材を押し操作しながら行う必要があり、更なる改善が望まれる。
【0005】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、差し込まれた被接続管の抜止が可能でありながらも、抜き取る際における作業性を向上し得る継手を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明に係る継手は、軸方向第1端側に受入口が設けられた第1筒状部材と、該第1筒状部材の前記受入口に受け入れられ、軸方向第1端側に被接続管の端部が差し込まれる差込口が設けられた第2筒状部材と、周方向に複数に分割され、かつ差し込まれた前記被接続管の抜き取りを抑制する抜取抑制位置と抜き取りを可能とする抜取可能位置とに前記第2筒状部材に対して概ね径方向に移動自在に保持された抜止部材と、を備えており、前記抜止部材には、前記抜取抑制位置において、前記第2筒状部材の軸方向途中部位の内周面から軸心側に向けて突出するように配され、前記被接続管の外周面に食い込むように当接される先端部が設けられており、前記第2筒状部材は、前記抜取抑制位置とされた前記抜止部材の前記抜取可能位置への移動を抑止するロック位置と前記抜止部材の前記抜取可能位置への移動を許容するロック解除位置とに前記第1筒状部材に対して相対的に移動自在とされ、かつそれぞれの位置において該第1筒状部材に保持される構成とされていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係る継手は、上述のような構成としたことで、差し込まれた被接続管の抜止が可能でありながらも、抜き取る際における作業性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】(a)、(b)は、本発明の一実施形態に係る継手の一例を模式的に示す概略斜視図である。
【
図4】(a)は、同継手の概略背面図、(b)は、同継手が備える第1筒状部材の一例を模式的に示す概略背面図、(c)は、同継手が備える第2筒状部材及び保護部材の一例を模式的に示す概略背面図である。
【
図5】(a)は、同継手の概略側面図、(b)は、
図4(a)におけるX1-X1線矢視に対応させた概略縦断面図である。
【
図6】(a)、(b)は、
図5(b)に対応させた概略縦断面図である。
【
図7】(a)は、同継手の概略側面図、(b)は、(a)におけるX2-X2線矢視に対応させた概略縦断面図である。
【
図8】(a)は、同継手の概略側面図、(b)は、(a)におけるX3-X3線矢視に対応させた概略縦断面図である。
【
図9】(a)、(b)は、本発明の他の実施形態に係る継手の一例を模式的に示す概略斜視図である。
【
図12】(a)は、
図5(b)に対応させた概略縦断面図、(b)は、
図8(b)に対応させた概略縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に本発明の実施の形態について、図面に基づいて説明する。
なお、一部の図では、他図に付している詳細な符号の一部を省略している。
図1~
図8は、第1実施形態に係る継手の一例を模式的に示す図である。
本実施形態に係る継手1は、
図1及び
図5に示すように、軸方向第1端側に受入口31が設けられた第1筒状部材を構成する外筒部材30を備えている。また、継手1は、この外筒部材30の受入口31に受け入れられ、軸方向第1端側に被接続管8の端部9が差し込まれる差込口21が設けられた第2筒状部材を構成する内筒部材20を備えている。継手1は、これら内筒部材20及び外筒部材30によって継手本体2を構成している。
【0010】
この継手1に接続される被接続管8としては、被接続管8内を通過させる流体の種類等に応じて、適宜の材料から形成されたものでもよい。例えば、被接続管8としては、ポリ塩化ビニル樹脂等の合成樹脂系材料を主材とする樹脂管でもよく、ステンレス鋼等の金属系材料から形成された金属管でもよい。また、被接続管8は、水等の液体やガス等の気体が通過する配管として用いられるものでもよく、例えば、比較的に大径状とされた排水管を構成するものでもよい。
また、この継手1の軸方向第2端側には、適宜の管状部材が固定的に設けられるものでもよい。また、本実施形態に係る2つの継手1,1の軸方向第2端部同士が適宜の管状部材によって連結される構成としてもよい。例えば、2つの継手1,1の軸方向第2端部同士がエルボ状やフレキシブル状の管状部材によって連結される構成としてもよい。
【0011】
また、継手1は、本実施形態では、内筒部材20に対して軸方向に移動可能とされた保護部材10を備えている。この保護部材10は、軸方向第1端側の初期位置と軸方向第2端側の接続完了位置との間を内筒部材20に対して軸方向に移動可能とされ、内筒部材20に差し込まれた被接続管8に押されて接続完了位置に至れば接続完了状態を報知する報知部材を構成する。このような構成とすれば、被接続管8が所定位置まで差し込まれて接続完了状態となったことを作業者に認識させることができる。
また、本実施形態では、後記する外筒部材30が内筒部材20に対して軸回りに回転可能とされ、内筒部材20に対する一方向への相対的な回転に伴って保護部材10を接続完了位置から初期位置に向けて移動させる作動部材として機能する構成とされている。このような構成とすれば、外筒部材30を内筒部材20に対して相対的に回転させることで、接続完了位置とされた保護部材10を初期位置に容易に復帰させることができる。これにより、被接続管8を継手1に再接続する際に、分解等して保護部材10を初期位置に復帰させる必要があるようなものと比べて、作業性を向上させることができる。
【0012】
また、継手1は、内筒部材20の内周側に設けられたシール部材(周面シール部材)19を備えている。
保護部材10は、周面シール部材19を覆う保護位置から周面シール部材19を露出させて被接続管8の外周面8aに密着可能とする露出位置に向けて移動可能とされている。また、保護部材10は、軸方向第2端側に設けられ露出位置に向けて被接続管8の端部9に押される被押当部15と、この被押当部15の軸方向第1端側に設けられ周面シール部材19を覆う筒状部11と、を備えている。このような構成とすれば、被接続管8を差し込む際に、保護位置とされた保護部材10によって周面シール部材19が覆われているので、被接続管8の先端を周面シール部材19に対して非接触状態で差し込むことができ、周面シール部材19の損傷や捩れ等を防止することができる。本実施形態では、この保護部材10の保護位置を軸方向第1端側の初期位置とし、保護部材10の露出位置を軸方向第2端側の接続完了位置としている。つまり、周面シール部材19が保護部材10によって保護された状態が初期位置とされ、周面シール部材19が露出されて被接続管8の外周面8aに密着可能とされた状態が接続完了位置とされている。このような構成とすれば、報知部材を構成する保護部材10が接続完了位置(露出位置)に至れば報知がなされるので、適正に密封状態となったことを作業者に認識させることができる。
【0013】
また、筒状部11の内径を被接続管8の外径よりも大とし、筒状部11における周面シール部材19を覆う部位を含む軸方向第1端側部位の外径を内筒部材20における当該筒状部11が軸方向に移動する部位としての後記する凹段部24の内径よりも小としている。このような構成とすれば、周面シール部材19を保護する保護部材10の筒状部11に被接続管8を容易に差し込むことができる。また、この被接続管8とともに保護部材10を内筒部材20に対して容易に移動させることができ、被接続管8を差し込む際に要する負荷(差込負荷)を軽減することができる。
この保護部材10の筒状部11は、
図2及び
図3に示すように、軸方向に貫通する略円筒状とされている。この筒状部11の内径は、当該筒状部11の最小径部分の内径を指すが、本実施形態では、
図5(b)に示すように、筒状部11の内径を、軸方向の略全体に亘って同径状としている。このような構成とすれば、筒状部11の内周側の軸方向途中部位に突段部や凹段部、屈曲部等があるようなものと比べて、被接続管8を差し込む際に引っ掛かるようなことがなく、筒状部11に対する被接続管8の差込性をより向上させることができる。この筒状部11の内径は、被接続管8の外径よりも僅かに大としてもよい。
【0014】
なお、この筒状部11は、被接続管8の差込側となる軸方向第1端部の内周側縁部に面取状の傾斜面が形成されていて軸方向第1端部の内周側縁部の内径が軸方向第2端側の内径よりも大とされたものでもよい。つまり、筒状部11は、軸方向第1端部に軸方向第2端側の内径よりも大とされた部位が設けられたものでもよい。この場合、軸方向第1端部の内周側縁部の傾斜面の軸方向に沿う寸法を、筒状部11の軸方向に沿う寸法の1/4以下としてもよい。軸方向の略全体に亘って筒状部11の内径が同径状とは、このような傾斜面を設けた場合を含んでもよい。また、このように筒状部11の内径を、軸方向の略全体に亘って同径状とした態様に代えて、軸方向第2端部から軸方向第1端部に向かうに従い僅かに拡開状とした態様としてもよい。
【0015】
また、この筒状部11における周面シール部材19を覆う部位を含む軸方向第1端側部位の外径は、当該部位の最大径部分の外径を指すが、本実施形態では、筒状部11の軸方向第1端側部位の外径を、軸方向第1端側部位の軸方向の略全体に亘って同径状としている。このような構成とすれば、筒状部11の軸方向第1端側部位の外周側の軸方向途中部位に周面シール部材19を押し潰す突段部や凹段部、屈曲部等があるようなものと比べて、周面シール部材19に対して筒状部11を軸方向に円滑に移動させることができる。また、周面シール部材19の捩れ等をより効果的に抑制することもできる。この筒状部11の第1端側部位の外径は、内筒部材20の凹段部24が形成された部位の内径よりも僅かに小としてもよい。
また、図例では、筒状部11の軸方向第1端部の外周側縁部に面取状の傾斜面を設け、軸方向第1端部の外周側縁部の外径を軸方向第2端側の外径よりも小とした例を示している。このような構成とすれば、後記するように保護部材10を露出位置から保護位置に移動させる際に、筒状部11の軸方向第1端部を周面シール部材19に引っ掛かり難くすることができる。つまり、筒状部11は、軸方向第1端部に軸方向第2端側の外径よりも小とされた部位が設けられたものでもよい。この場合、軸方向第1端部の外周側縁部の傾斜面の軸方向に沿う寸法を、筒状部11の軸方向に沿う寸法の1/4以下としてもよい。筒状部11の軸方向第1端側部位の軸方向の略全体に亘って軸方向第1端側部位の外径が同径状とは、このような傾斜面を設けた場合を含んでもよい。なお、このような傾斜面を筒状部11の軸方向第1端部の外周側縁部に設けていない構成としてもよい。
【0016】
保護部材10の被押当部15は、筒状部11の軸方向第2端部から軸心側に向けて突出するように筒状部11に一連状に設けられている。本実施形態では、被押当部15を、筒状部11の軸方向第2端部の周縁の全周に亘って環状に設けた構成としている(
図4(a)も参照)。なお、このような態様に代えて、被押当部15を筒状部11の軸方向第2端部の周縁の一部のみに設けた構成としてもよい。
この被押当部15の軸方向第1端側に向く面に、被接続管8の端部9の端面が当接され、被接続管8の差し込みを伴って保護部材10が軸方向第2端側、つまり、露出位置(接続完了位置)に向けて移動される。
また、この被押当部15によって区画される開口は、
図6(b)に示すように、被接続管8を接続した状態で、被接続管8と当該継手1の軸方向第2端側とを連通させる構成とされている。また、被押当部15によって区画される開口の内径を、被接続管8及び当該継手1の軸方向第2端側部位の内径と略同径状としている。なお、被押当部15によって区画される開口の内径、被接続管8の内径及び当該継手1の軸方向第2端側部位の内径は、略同径状とされたものに限られず、異なる径とされたものでもよい。
【0017】
また、本実施形態では、保護部材10及び内筒部材20に、保護部材10が周面シール部材19を露出させる露出位置となった際にクリック感を付与するクリック機構を構成する係合部13及び被係合部28を設けた構成としている。このような構成とすれば、保護部材10が露出位置となり、被接続管8の外周面8aに周面シール部材19が密着した状態を作業者に感覚的(触覚的)に認識させることができる。これにより、差込不足やシール不足が生じることを抑制することができ、また、差し込む前に被接続管8にマーカー等によって目印を付与する必要性を不要とすることができる。
また、本実施形態では、保護部材10が接続完了位置に至れば、この係合部13が内筒部材20の被係合部28に係合してクリック感を付与することで接続完了状態の報知がなされる構成としている。このような構成とすれば、接続完了状態を視覚や聴覚によって作業者が認識可能としたものと比べて、接続現場が暗い箇所や騒音があるような箇所であっても、感覚的(触感的)に作業者に接続完了状態を認識させることができる。つまり、係合部13及び被係合部28は、保護部材10が露出位置及び接続完了位置となった状態で、クリック感を付与するクリック機構を構成する。
【0018】
係合部13は、
図2及び
図5(b)に示すように、筒状部11の軸方向第2端部の外周縁部に設けられている。この係合部13は、周方向に見て径方向外側に向かうに従い先細状の略三角形状(略山形状)とされている。内筒部材20の被係合部28は、内筒部材20の軸方向第2端部から軸方向第2端側に向けて延びるように設けられた突片部27の先端部に設けられている。突片部27は、径方向に厚さ方向を沿わせた板状とされている。被係合部28は、この突片部27の先端部から軸心側に向けて突出するように設けられ、周方向に見て軸心側に向かうに従い先細状の略三角形状(略山形状)とされている。
図6(a)、(b)に示すように、この被係合部28を、露出位置(接続完了位置)に向けて移動する保護部材10の係合部13が突片部27の弾性変形を伴って乗り越えるようにして移動する際にクリック感が付与される。また、保護部材10が保護位置(初期位置)に向けて移動する際も同様、突片部27の弾性変形を伴って係合部13が被係合部28を乗り越え、保護部材10が保護位置(初期位置)とされる。突片部27の径方向外側には、突片部27の径方向外側への弾性変形を許容する空間が設けられている。
【0019】
また、保護部材10に、露出位置(接続完了位置)とされた状態で、被係合部28を受け入れる凹部12を設けた構成としている。この凹部12は、係合部13の軸方向第1端側に隣接するように、かつ筒状部11の外周面において径方向外側に向けて開口するように設けられている。図例では、この凹部12を、筒状部11を厚さ方向(径方向)に貫通する孔部とした例を示している。
また、本実施形態では、
図2及び
図3に示すように、保護部材10の係合部13及び凹部12並びに内筒部材20の突片部27及び被係合部28を、周方向に間隔を空けて複数箇所(図例では3か所)に設けた構成としている。なお、このような態様に代えて、保護部材10の係合部13及び凹部12並びに内筒部材20の突片部27及び被係合部28をそれぞれ一つのみ設けた構成としてもよい。
【0020】
また、保護部材10には、
図2及び
図3に示すように、内筒部材20に対する当該保護部材10の相対的な軸回りの回転を抑止する回転抑止部14が設けられている。本実施形態では、回転抑止部14を、各突片部27の周方向両側に沿うように配される突条とした例を示している。つまり、突片部27の周方向両側の回転抑止部14,14によって内筒部材20に対する当該保護部材10の相対的な軸回りの回転を抑止する構成としている。
これら両側の回転抑止部14,14は、筒状部11の軸方向第2端側部位の外周面において径方向外側に向けて突出するように、かつ各凹部12の両側縁部に沿って軸方向に延びるように設けられている。また、図例では、各突片部27の基端部に、保護位置とされた保護部材10の回転抑止部14の一部を受け入れる凹部を設けた例を示している。なお、内筒部材20に対する当該保護部材10の回転を抑止する回転抑止部14としては、上記のような構成とされたものに限られず、その他、種々の構成とされたものでもよい。
【0021】
内筒部材20は、
図2、
図3及び
図5(b)に示すように、保護部材10を内装するように保護部材10と同心状の軸方向に貫通する略円筒状とされている。この内筒部材20の軸方向第1端側の開口が当該継手1(継手本体2)の差込口21を構成する。
本実施形態では、内筒部材20の軸方向第2端側に、軸方向第1端側よりも内径が大となるように段下状に形成され、保護部材10の筒状部11を受け入れる凹段部24を設けた構成としている。このような構成とすれば、差込口21側となる軸方向第1端側から差し込んだ被接続管8の先端が筒状部11に引っ掛かり難くなり、筒状部11に対する被接続管8の差込性をより向上させることができる。また、このような凹段部24を設けずに、筒状部11を内筒部材20の内周側に配置したものと比べて、筒状部11を内筒部材20に対して安定的に移動させることができる。
【0022】
この内筒部材20の軸方向第1端側部位の内径は、被接続管8の外径に応じた径とされている。この内筒部材20の軸方向第1端側部位の内径は、被接続管8の外径よりも僅かに大としてもよい。この内筒部材20の軸方向第1端側部位の内径は、軸方向の略全体に亘って同径状とされている。なお、差込口21の開口周縁部に適宜の面取状の傾斜面等を設けた構成としてもよい。
この内筒部材20の凹段部24が設けられた軸方向第2端側部位の内径は、筒状部11の受け入れが可能なように、筒状部11の外径(回転抑止部14を除いた部位の外径)よりも大とされている。また、この内筒部材20の凹段部24が設けられた軸方向第2端側部位の内径は、軸方向の略全体に亘って同径状とされている。本実施形態では、筒状部11の内周面と内筒部材20の軸方向第1端側部位の内周面とが略同一曲面状となるように、凹段部24の径方向に沿う段差寸法を、筒状部11の厚さ寸法と概ね同寸法とした例を示している。また、
図5(b)に示すように、この凹段部24の軸方向第2端側に向く段壁面に、保護位置とされた保護部材10の筒状部11の軸方向第1端側に向く端面が当接または近接対面される。
【0023】
また、本実施形態では、内筒部材20に、周面シール部材19を受け入れる凹溝25を全周に亘って設けた構成としている。このような構成とすれば、周面シール部材19に対して筒状部11を移動させる際における周面シール部材19の移動や捩れ等を抑制することができる。また、筒状部11の軸方向第1端側部位の外径を軸方向の略全体に亘って同径状としているので、ラッパ状とされたものと比べて、露出位置から保護位置に向けて保護部材10を移動させる際に、筒状部11が凹溝25に収容された周面シール部材19に引っ掛かり難くなる。これにより、保護部材10を円滑に保護位置に向けて移動させることができる。
この凹溝25は、内筒部材20の軸方向第2端側部位の内周面を構成する凹段部24の軸心側に向く段底面において軸心側に向けて開口するように設けられている。図例では、この凹溝25を、周方向に見て略方形溝状とした例を示している。
【0024】
この凹溝25は、
図5(b)に示すように、保護位置とされた保護部材10の筒状部11によって軸心側の開口が全周に亘って覆われる構成とされている。つまり、保護部材10が保護位置では、周面シール部材19の内周側に筒状部11が全周に亘って位置し、周面シール部材19が筒状部11に覆い隠された状態となる。
この凹溝25に収容される周面シール部材19は、環状とされ、
図6(b)に示すように、保護部材10が露出位置では、弾性復元を伴って凹溝25の開口から軸心側に向けて突出し、被接続管8の外周面8aに密着する構成とされている。この周面シール部材19の形状は、被接続管8の外周面8aに密着してシール性の確保が可能なように、また、保護位置に向けて移動する保護部材10の筒状部11に引っ掛かり難くなるように、適宜の形状とされたものでもよい。図例では、周面シール部材19を、周方向に見て軸方向第1端側に向けて開口する略U字状とした例を示している。また、この周面シール部材19としては、被接続管8内を通過させる流体の種類等に応じて、適宜の材料から形成されたものでもよい。この周面シール部材19は、軟質合成樹脂系材料やゴム、各種エラストマー材料等から形成されたものでもよい。
【0025】
また、継手1は、
図6(b)及び
図8(b)に示すように、差し込まれた被接続管8の抜き取りを抑制する抜取抑制位置と抜き取りを可能とする抜取可能位置とに内筒部材20に対して移動自在に保持された抜止部材5を備えている。また、内筒部材20は、抜取抑制位置とされた抜止部材5の抜取可能位置への移動を抑止するロック位置と抜止部材5の抜取可能位置への移動を許容するロック解除位置とに外筒部材30に対して相対的に移動自在とされている。また、内筒部材20は、ロック位置及びロック解除位置のそれぞれの位置において外筒部材30に保持される構成とされている。このような構成とすれば、抜取抑制位置とされた抜止部材5によって差し込まれた被接続管8の抜けを抑制することができる。また、内筒部材20を外筒部材30に対して相対的にロック解除位置に位置させて外筒部材30に保持させた状態で被接続管8を抜き取ることができるので、操作部材を押し操作しながら抜き取る必要があるものと比べて、作業性を向上させることができる。また、操作部材がばね等によって付勢されている場合には、周方向に均一に押し操作し難く、また、操作部材をばね等の付勢に抗して押し操作し続ける必要があるが、本実施形態によれば、このような懸念がない。
【0026】
また、本実施形態では、
図2及び
図3に示すように、抜止部材5を、周方向に複数(図例では3つ)に分割され、かつ概ね径方向に移動自在に内筒部材20に保持された構成としている。このような構成とすれば、周方向の全周に亘って設けられたものとし、操作部材によって押し込むようにして軸心側の端部を屈曲させて解除する必要があるものと比べて、抜取可能位置に向けて抜止部材5を円滑に移動させることができる。なお、これら3つの抜止部材5は、互いに同様の構成であるので以下では一つを例にとって説明する。
この抜止部材5は、
図5(b)に示すように、抜取抑制位置において、内筒部材20の軸方向途中部位の内周面から軸心側に向けて突出するように配される先端部6を備えている。この先端部6が被接続管8の外周面8aに食い込むように当接し、被接続管8の抜取方向への移動が抑制される。また、この抜止部材5は、概ね軸方向に厚さ方向を沿わせた薄板状とされている。また、図例では、抜止部材5の軸心側及び径方向外側のそれぞれにおいて開口するように、切込状の凹所を軸心側と径方向外側とに周方向に交互に設けた例を示している。この抜止部材5の被接続管8の外周面8aに当接される先端部6の周方向に沿う寸法は、被接続管8の抜けを抑制する観点等から適宜の寸法としてもよく、例えば、外周面8aの周方向で半周以上に当接されるような寸法としてもよい。
【0027】
また、本実施形態では、内筒部材20に、周方向に延びるスリット状とされ、抜止部材5が収容されて保持される収容凹所23を概ね径方向に貫通させるように設けた構成としている。このような構成とすれば、収容凹所23に概ね径方向に移動自在とされた抜止部材5を収容させて保持させることができる。これにより、内周側において開口する凹所に抜止部材5を保持させるような構成とされたものと比べて、抜止部材5を容易に組み付けることができる。本実施形態では、抜止部材5の個数に対応させて内筒部材20の周方向に間隔を空けて複数(図例では3つ)の収容凹所23を設けた構成としている。これら収容凹所23は、互いに同様の構成とされている。
この収容凹所23は、抜止部材5の先端部6を内周面において露出させるように抜止部材5を収容する構成とされている。本実施形態では、この収容凹所23を、軸心側に向かうに従い軸方向第2端側に向けて傾斜する傾斜状に設けた構成としている。つまり、この収容凹所23に収容された抜止部材5は、軸心側に向かうに従い軸方向第2端側に向けて傾斜するように設けられている。このような構成とすれば、被接続管8の抜取方向への移動を抑制可能としながらも、被接続管8を差し込む際における差込性を向上させることができる。
【0028】
つまり、本実施形態では、抜止部材5を、軸方向に直交する径方向ではなく径方向に対して傾斜する方向に移動自在に内筒部材20に保持させた構成としている。このように径方向に対して移動方向が傾斜する場合にも概ね径方向に含む。つまり、抜取抑制位置と抜取可能位置とに移動する抜止部材5が径方向に拡縮するように移動するようなものでもよい。
また、収容凹所23は、被接続管8を差し込む際に、抜止部材5の先端側部位の軸方向第2端側への弾性変形を許容するように設けられている。また、収容凹所23は、抜止部材5の径方向外側への移動を許容する構成とされている。
また、内筒部材20には、内筒部材20の内周面において先端部6を僅かに突出させた状態で抜止部材5の軸心側への移動を抑制するように抜止部材5を保持する保持部23aが設けられている。また、抜止部材5には、内筒部材20の保持部23aに保持される被保持部7が設けられている。
【0029】
本実施形態では、抜止部材5の周方向両側の径方向外側部位において周方向に突出するように設けられた部位を被保持部7,7としている。また、抜止部材5の周方向中央部位の軸心側に切込状の凹所が設けられた部位を被保持部7としている。つまり、本実施形態では、抜止部材5に、周方向に間隔を空けて複数(図例では3つ)の被保持部7,7,7を設けた構成としている。
収容凹所23の周方向両側内縁には、抜止部材5の周方向両側の被保持部7,7を保持する突段部状の保持部23a,23aが設けられている(
図4(a)参照)。また、収容凹所23の周方向中央部位には、抜止部材5の周方向中央部位の被保持部7を保持する抜止壁状の保持部23aが設けられている(
図1(b)及び
図5(b)等参照)。なお、抜止部材5の被保持部7及び内筒部材20の保持部23aとしては、このような構成とされたものに限られず、その他、種々の変形が可能である。
【0030】
また、本実施形態では、内筒部材20に、当該内筒部材20を外筒部材30に対して相対的に回転させる際に指掛部となる突部22を設けた構成としている。この突部22は、内筒部材20の軸方向第1端部の外周側から径方向外側に向けて突出するように設けられている。また、この突部22は、指掛可能なように外筒部材30の外周面よりも径方向外側に向けて突出している。また、内筒部材20に、周方向に間隔を空けて複数(図例では、3つ)の突部22を設けた構成としている。なお、このような態様に代えて、突部22を一つのみ設けた構成としてもよい。
また、本実施形態では、継手1に、内筒部材20と外筒部材30との間を密封する筒間シール部材18を設けた構成としている。本実施形態では、内筒部材20の軸方向第2端部に、筒間シール部材18を収容する凹溝26を全周に亘って設けた構成としている。
【0031】
この凹溝26は、内筒部材20の突片部27の基端部近傍の軸方向第2端面において軸方向第2端側に向けて開口するように設けられている。図例では、この凹溝26を、周方向に見て略方形溝状とした例を示している。
この凹溝26に収容される筒間シール部材18は、環状とされ、
図5(b)に示すように、外筒部材30の軸方向第1端側に向くように環状に設けられた段壁面36に密着する構成とされている。この筒間シール部材18の形状は、上記同様、シール性の確保が可能なように適宜の形状とされたものでもよい。図例では、筒間シール部材18を、周方向に見て略円形状とされたOリング状とした例を示している。また、この筒間シール部材18としては、上記同様、被接続管8内を通過させる流体の種類等に応じて、軟質合成樹脂系材料やゴム、各種エラストマー材料等、適宜の材料から形成されたものでもよい。
この筒間シール部材18及び周面シール部材19によって被接続管8内及び継手1内が継手1外から密封状態とされる。
【0032】
外筒部材30は、本実施形態では、当該外筒部材30に対して内筒部材20を軸方向第2端側のロック位置と軸方向第1端側のロック解除位置とに相対的に移動自在に保持する構成とされている。また、この外筒部材30は、本実施形態では、保護位置(初期位置)とされた保護部材10の露出位置(接続完了位置)側への移動を抑止する第1位置と保護部材10の露出位置側への移動を許容する第2位置とに内筒部材20に対して相対的に回転可能とされている。
また、本実施形態では、当該継手1の外周側に、
図7(a)及び
図8(a)に示すように、外筒部材30に対する内筒部材20のロック位置及びロック解除位置を表示する表示部29を設けた構成としている。このような構成とすれば、内筒部材20がロック位置であるかロック解除位置であるかを作業者に認識させることができる。これにより、被接続管8の意図しない抜けを抑制することができ、また、被接続管8が無理に引き抜かれるようなことを抑制することができる。
【0033】
本実施形態では、この表示部29を、外筒部材30に対する内筒部材20の第1位置及び第2位置を表示する表示部としても機能する構成としている。このような構成とすれば、内筒部材20に対して相対的に外筒部材30を回転させて保護部材10を保護位置とする際に、保護部材10が保護位置となる、外筒部材30が第1位置となったことを表示部29によって作業者に認識させることができる。また、このように第1位置とした後に、内筒部材20に対して相対的に外筒部材30を回転させて保護部材10を露出位置側に移動可能とする際に、保護部材10が露出位置側に移動可能となる、外筒部材30が第2位置となったことを表示部29によって作業者に認識させることができる。本実施形態では、表示部29を内筒部材20に設けた構成としている。なお、表示部29の具体的構成については後述する。
【0034】
外筒部材30は、
図2、
図3及び
図5(b)に示すように、内筒部材20を内装するように内筒部材20と同心状の軸方向に貫通する略円筒状とされている。外筒部材30は、内筒部材20を受け入れる受入口31が設けられた軸方向第1端側部位の内筒受入部37と、継手1の軸方向第2端側部位を構成する第2端筒状部30aと、第2端筒状部30aと内筒受入部37との間に設けられた中間筒状部35と、を備えている。上記した筒間シール部材18が密着される段壁面36は、中間筒状部35と内筒受入部37との内周側の段差部を構成する。
第2端筒状部30aは、中間筒状部35よりも外径及び内径が小径状とされている。この第2端筒状部30aの内径は、
図6(b)に示すように、本実施形態では、被接続管8の内径と略同径状とされている。この第2端筒状部30aと中間筒状部35との内周側の段差部を構成する軸方向第1端側に向く環状の段壁面32に、上記した露出位置(接続完了位置)とされた保護部材10の被押当部15の軸方向第2端側に向く面が当接または近接対面される。被接続管8が差し込まれた状態では、互いに内径が略同径状とされた第2端筒状部30a、被押当部15及び被接続管8の内周面が概ね同一曲面状に連なるように配される。このような構成とすれば、被接続管8内を流通する流体の継手1部位における圧力損失を低減することができる。
【0035】
また、本実施形態では、
図7(b)及び
図8(b)に示すように、外筒部材30に、当該外筒部材30が内筒部材20に対して一方向に相対的に回転される際に、保護部材10の被当接部(傾斜被ガイド面17)に当接される傾斜ガイド面34を設けた構成としている。この傾斜ガイド面34は、当該外筒部材30が内筒部材20に対して一方向に相対的に回転される際に、保護部材10の被当接部(傾斜被ガイド面17)に当接されて保護部材10を接続完了位置から初期位置に向けて移動させる構成とされている。このような構成とすれば、傾斜ガイド面34のガイド作用によって保護部材10を初期位置に向けて円滑に移動させることができる。
【0036】
また、本実施形態では、保護部材10の被当接部を、外筒部材30の傾斜ガイド面34と平行状に設けられた傾斜被ガイド面17としている。このような構成とすれば、傾斜ガイド面34と傾斜被ガイド面17との互いのガイド作用によって保護部材10を初期位置に向けてより円滑に移動させることができる。ここに、傾斜ガイド面34と傾斜被ガイド面17とは、完全に平行である必要はなく、内筒部材20に対する外筒部材30の回転を伴って互いのガイド作用によって保護部材10が初期位置に向けて移動可能であればよい。例えば、互いの傾斜角度が20度程度異なっていてもよい。
また、本実施形態では、外筒部材30の傾斜ガイド面34及び保護部材10の傾斜被ガイド面17を、周方向に間隔を空けて複数箇所(図例では、3か所)に設けた構成としている。このような構成とすれば、周方向の複数箇所に設けられた傾斜ガイド面34と傾斜被ガイド面17との互いのガイド作用によって保護部材10を初期位置に向けてより円滑に移動させることができる。なお、これら複数の傾斜ガイド面34及び傾斜被ガイド面17は、互いに同様の構成であるので、以下では、それぞれの一つを例にとって説明する。
【0037】
保護部材10の傾斜被ガイド面17は、
図2、
図3及び
図8(b)に示すように、保護部材10の被押当部15の軸方向第2端側に向く面から軸方向第2端側に向けて突出するように設けられた被ガイド突片部16の突出方向先端面とされている。この被ガイド突片部16は、径方向に厚さ方向を沿わせた構成とされている。なお、この被ガイド突片部16は、軸方向に見て当該保護部材10と略同心状の略円弧状とされたものでもよい。
傾斜被ガイド面17は、被ガイド突片部16の周方向一方側縁部から周方向他方側縁部に向かうに従い軸方向第1端側に向けて傾斜するように設けられている。
【0038】
外筒部材30の傾斜ガイド面34は、保護部材10の被ガイド突片部16を受け入れるように段壁面32において開口するガイド凹所33の軸方向第1端側に向く底面とされている。
このガイド凹所33は、
図7(b)及び
図8(b)に示すように、第2端筒状部30aの軸方向第2端側部位よりも外径が大とされて厚さが大とされた軸方向第1端側部位に設けられている。また、このガイド凹所33は、
図4(b)に示すように、周方向に延びるように設けられている。図例では、このガイド凹所33を、軸方向に見て略四半円弧状とした例を示している。
このガイド凹所33の底面を構成する傾斜ガイド面34は、周方向一方側の最深部34aから周方向他方側に向かうに従い軸方向第1端側に向けて傾斜するように設けられ、周方向他方側縁部が段壁面32との境界縁部34bとされている。つまり、ガイド凹所33は、周方向一方側の最深部34aから周方向他方側の境界縁部34bに向かうに従い軸方向に沿う深さ寸法が小となるように形成されている。このガイド凹所33の最深部34aから境界縁部34bまでの軸方向に沿う寸法は、露出位置から保護位置に移動される保護部材10の軸方向に沿う移動寸法に応じた寸法とされている。なお、外筒部材30の傾斜ガイド面34及び保護部材10の傾斜被ガイド面17を複数箇所に設けた態様に代えて、これらをそれぞれ一つのみ設けた構成としてもよい。また、外筒部材30の傾斜ガイド面34に当接される被当接部としては、傾斜被ガイド面17に限られず、突湾曲面状とされた面でもよく、その他、種々の変形が可能である。
【0039】
中間筒状部35は、上記した内筒部材20の突片部27を受け入れるように設けられている。この中間筒状部35の内径は、上記した突片部27の径方向外側への弾性変形を許容する空間が形成されるように適宜の径とされている。
内筒受入部37は、内筒部材20の受け入れが可能なように、その内径が内筒部材20の外径に応じた径とされている。この内筒受入部37の内径は、内筒部材20の外径よりも僅かに大とされたものでもよい。
また、本実施形態では、外筒部材30の内周側に、抜止部材5の径方向外側端部が当接されて抜取可能位置への移動を抑止する当接部と、抜止部材5の抜取可能側となる径方向外側への移動を許容する空間を形成する凹段部38と、を軸方向に隣接させて設けている。また、これら当接部及び凹段部38を、内筒受入部37の内周側に設けた構成としている。
凹段部38は、内筒受入部37の軸方向第1端部の内周側に、軸方向第2端側部位よりも内径が大となるように段下状に設けられている。この凹段部38の径方向に沿う深さ寸法(段差寸法)は、抜取可能位置において抜止部材5の先端部6が内筒部材20の内周面から略突出しない位置となるように適宜の寸法としてもよい。また、この凹段部38の軸方向第2端側に隣接する内筒受入部37の内周面が当接部を構成する。
【0040】
また、外筒部材30には、内筒部材20の被保持部としての表示部29をロック位置及びロック解除位置のそれぞれにおいて保持する保持部を構成するガイド開口39が設けられている。本実施形態では、このガイド開口39を内筒受入部37に設けた構成としている。このガイド開口39は、外筒部材30に対して相対的に移動される内筒部材20の表示部29をガイドするように規制し、かつ露出させる構成とされている。また、このガイド開口39には、表示部29をロック位置において保持するロック位置保持部39aと、表示部29をロック解除位置において保持するロック解除位置保持部としてのガイド部39bと、が設けられている。また、これらロック位置保持部39aとガイド部39bとは、軸方向にずれた位置となるように、かつ周方向に互いに連なるように設けられている。
内筒部材20の表示部29は、内筒部材20の外周面から径方向外側に向けて突出する突起状とされている。図例では、この表示部29を、突出方向(径方向)に見て略円柱状とした例を示している。
【0041】
内筒受入部37のガイド開口39は、内筒受入部37を径方向(厚さ方向)に貫通し、周方向に延びるスリット状とされている。
ロック位置保持部39aは、
図5(a)及び
図7(a)に示すように、ガイド開口39の周方向一端部に設けられ、内筒受入部37に対する表示部29の軸方向第1端側への移動を抑止する。このロック位置保持部39aは、ガイド開口39の周方向他方側部位よりも軸方向第2端側に位置するように、軸方向第2端側に向けて屈曲するように形成されている。また、このロック位置保持部39aには、ガイド開口39に対する表示部29の軸方向第1端側及び周方向他方側への移動を規制する規制部39cが設けられている。
【0042】
表示部29がロック位置保持部39aに位置した状態では、
図5(b)に示すように、抜止部材5は、径方向外側端部が内筒受入部37の当接部を構成する内周面に規制されて径方向外側への移動が抑制された状態となる。また、このロック位置では、表示部29がロック位置保持部39a及び規制部39cによって規制され、内筒部材20が外筒部材30に対してロック位置において軸方向に移動不能に保持された状態となる。
また、このように表示部29がロック位置保持部39aに位置した状態が、保護部材10の露出位置側への移動を許容する第2位置とされる。この状態では、保護部材10の被ガイド突片部16の傾斜被ガイド面17が外筒部材30の傾斜ガイド面34の最深部34aに対面された状態となり、保護位置の保護部材10が露出位置側に移動可能な状態となる。
【0043】
また、ロック位置保持部39aに設けられた規制部39cによる規制を解除するように表示部29を内筒受入部37に対して相対的に周方向他方側に向けて移動させ、屈曲部に位置させれば、表示部29が内筒受入部37に対して相対的に軸方向第1端側に向けて移動可能となる。この状態で、表示部29、つまり、内筒部材20を内筒受入部37に対して相対的に軸方向第1端側に向けて移動させれば、
図8(b)に示すように、抜止部材5の径方向外側に内筒受入部37の凹段部38が位置し、抜止部材5の径方向外側への移動が可能となる。つまり、ロック解除位置となり、この状態では、抜止部材5の径方向外側への移動を伴って被接続管8の継手1からの抜き取りが可能となる。
また、このロック解除位置では、表示部29がガイド開口39の周方向他方側部位に周方向に延びるように設けられたガイド部39bによって規制され、内筒部材20が外筒部材30に対してロック解除位置において軸方向に移動不能に保持された状態となる。
【0044】
また、このガイド部39bに沿って表示部29が相対的に移動し、
図8(a)に示すように、ガイド開口39の周方向他端部に位置した状態が、保護位置とされた保護部材10の露出位置側への移動を抑止する第1位置とされる。この状態では、
図8(b)に示すように、保護部材10の被ガイド突片部16の傾斜被ガイド面17が外筒部材30の傾斜ガイド面34の境界縁部34bに対面された状態となり、保護部材10が露出位置側に移動不能な状態で、かつ保護位置となる。また、このガイド開口39の周方向他端部には、外筒部材30に対して内筒部材20を組み付ける際に表示部29の受け入れを可能とする凹部が設けられている(
図2参照)。なお、ガイド開口39の周方向に沿う寸法は、露出位置とされた保護部材10を保護位置に向けて移動させる際に内筒部材20に対して相対的に回転される外筒部材30の回転角度(図例では、90度程度)に応じて適宜の寸法とすればよい。
また、本実施形態では、これらガイド開口39及び表示部29を、周方向に間隔を空けて複数箇所(図例では、3か所)に設けた構成としている。なお、このような態様に代えて、これらガイド開口39及び表示部29を一つのみ設けた構成としてもよい。また、上記した継手1を構成する抜止部材5、保護部材10、内筒部材20及び外筒部材30は、適宜、硬質の合成樹脂系材料や金属系材料等から形成されたものでもよい。
【0045】
上記構成とされた継手1においては、
図5に示すように、内筒部材20に対して外筒部材30をロック位置及び第2位置とし、保護部材10が露出位置に向けて移動可能に、かつ保護位置とされた状態で、差込口21を介して被接続管8を差し込む。
図6(a)に示すように、被接続管8の端部9の端面を保護部材10の被押当部15に押し当て、保護部材10を内筒部材20に対して軸方向に移動させれば、上記のように保護部材10の係合部13が内筒部材20の被係合部28に当接する。そして、
図6(b)に示すように、被接続管8を更に押し込めば、保護部材10の係合部13が内筒部材20の被係合部28を乗り越えてクリック感が付与され、保護部材10が露出位置となり、周面シール部材19が露出し、被接続管8の外周面8aに密着される。この状態では、保護部材10の被ガイド突片部16の傾斜被ガイド面17が外筒部材30の傾斜ガイド面34の最深部34aに当接または近接対面された状態となる。また、この状態では、抜取抑制位置とされた抜止部材5によって被接続管8の抜き取りが抑制される。
【0046】
上記のように継手1に接続された被接続管8を抜き取る際には、
図8に示すように、ロック位置(第2位置)において規制された表示部29を外筒部材30に対して軸回りに移動させ、かつ軸方向第1端側に移動させるように内筒部材20を外筒部材30に対して相対的に移動させる。つまり、ロック解除位置とする。これにより、上述のように、抜止部材5の径方向外側への移動が可能となり、被接続管8の抜き取りが可能となる。この状態では、保護部材10が露出位置であるので(
図7(b)参照)、被接続管8を抜き取った後、被接続管8を接続する際には、保護部材10を保護位置とすることが望まれる。つまり、
図7(b)及び
図8(b)に示すように、外筒部材30に対して内筒部材20(保護部材10)を相対的に軸回りに第1位置側に向けて回転させる。これにより、外筒部材30の傾斜ガイド面34のガイド作用によって保護部材10の被ガイド突片部16の傾斜被ガイド面17が軸方向第1端側に向けて移動し、保護部材10が保護位置となり、外筒部材30が第1位置となる。この状態では、保護部材10の露出位置側への移動が外筒部材30の傾斜ガイド面34の境界縁部34bによって抑止された状態となる。そのため、上記とは逆に、外筒部材30に対して内筒部材20(保護部材10)を相対的に軸回りにロック位置側に向けて回転させ、かつ軸方向第2端側に移動させて表示部29をロック位置保持部39aに位置させる。これにより、保護位置の保護部材10が露出位置に向けて移動可能となり、かつ抜止部材5の径方向外側への移動が不能となる。
【0047】
次に、他の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
図9~
図12は、第2実施形態に係る継手の一例を模式的に示す図である。
なお、以下の実施形態では、上記第1実施形態との相違点について主に説明し、同様の構成については、同一の符号を付し、その説明を省略または簡略に説明する。また、上記第1実施形態と同様の動作や作用等についても説明を省略または簡略に説明する。
【0048】
本実施形態に係る継手1Aは、
図10及び
図11に示すように、継手本体2Aを構成する内筒部材20A及び外筒部材30Aが軸方向に分割されている点が上記第1実施形態とは主に異なる。
内筒部材20Aは、
図10~
図12に示すように、収容凹所23Aの軸方向両側を区画するように軸方向に分割された軸方向第1部位20Aaと軸方向第2部位20Acとを備えている。このような構成とすれば、例えば、上記第1実施形態のように収容凹所23を一体成形や切込等によって設けたものと比べて、抜止部材5Aの形状の簡略化を図ることができ、製造が容易となる。また、抜止部材5Aを保持する保持部も形成し易くなり、上記のような被保持部7を設けたものと比べて、抜止部材5Aの局所に応力が集中するようなことを緩和することができる。また、被接続管8の外周面8aに当接される先端部6Aの周方向に沿う寸法を効果的に大きくすることもでき、被接続管8の保持力を向上させることができる。また、後記するように、抜止部材5Aを、径方向の途中部位に屈曲部が設けられたものとした場合にも、収容凹所23A内に容易に配置することができる。
軸方向第1部位20Aaと軸方向第2部位20Acとは、接合具としての固着具3によって接合される構成とされている。図例では、軸方向第1部位20Aaに、固着具3の挿通孔20Abを設け、軸方向第2部位20Acに、固着具3がねじ合わされる雌ねじ穴が設けられた締結部20Adを設けた例を示している。また、これら挿通孔20Ab及び締結部20Adを、周方向に間隔を空けて複数箇所(図例では2箇所)に設けた例を示している。
【0049】
軸方向第1端側の軸方向第1部位20Aaには、上記同様、突部22が設けられている。また、この軸方向第1部位20Aaの内径は、上記同様、被接続管8の外径に応じた径とされている。
軸方向第2端側の軸方向第2部位20Acには、上記と概ね同様、周面シール部材19を受け入れる凹溝25、筒間シール部材18を受け入れる凹溝26、突片部27及び表示部29が設けられている。本実施形態では、この軸方向第2部位20Acに、周方向に間隔を空けて2つの突片部27を設けた構成としている。また、これら2つの突片部27,27に対応させて、保護部材10Aの周方向に間隔を空けて2箇所に凹部12及び係合部13を設けた構成としている。また、上記と概ね同様、凹部12の周方向両側に位置するように回転抑止部14A,14Aを設けた構成としている。図例では、これら回転抑止部14A,14Aを軸方向に延びる形状とせずに、径方向に突出する突起状とした例を示している。
【0050】
また、この軸方向第2部位20Acの内径を、上記と概ね同様の凹段部24Aが形成されるように、軸方向第1部位20Aaの内径よりも大径状としている。図例では、この凹段部24Aの段差寸法及び保護部材10Aの筒状部11Aの厚さ寸法を、上記第1実施形態よりも大とした例を示している。
これら軸方向第1部位20Aaと軸方向第2部位20Acとが接合された状態では、これらの間に抜止部材5Aを収容保持する収容凹所23Aが区画される。本実施形態では、周方向に2つに分割された抜止部材5Aを設けた構成としている。
この抜止部材5Aには、先端部6A側部位を周方向に分割するように切込状の凹所が設けられている。図例では、抜止部材5Aに周方向に等間隔を空けて複数(図例では5つ)の切込状の凹所を設けた例を示している。また、本実施形態では、抜止部材5Aの径方向外側部位には切込状の凹所を設けずに、この径方向外側部位を、軸方向第2端側に向けて傾斜状とされた先端部6A側部位に対して屈曲状とされ、径方向に延びるように設けた構成としている。
【0051】
また、この抜止部材5Aの被保持部7Aを、切込状の凹所の底部を構成する径方向外側部位としている。つまり、本実施形態においても、抜止部材5Aに周方向に間隔を空けて複数の被保持部7Aを設けた構成としている。
内筒部材20Aの保持部23Aaは、
図11に示すように、軸方向第2部位20Acの軸方向第1端部から軸方向第1端側に向けて突出する突起状とされている。この保持部23Aaが抜止部材5Aの切込状の凹所に挿通されて被保持部7Aの径方向内側への移動が抑制される。また、軸方向第2部位20Acに、周方向に間隔を空けて複数の保持部23Aaを設けた構成としている。図例では、抜止部材5Aの切込状の凹所と同数の保持部23Aaを設けた例を示しているが、保持部23Aaの個数を切込状の凹所よりも少ない個数としてもよい。
【0052】
なお、抜止部材5Aとしては、上記のように切込状の凹所によって先端部6A側部位が周方向に分割されたものに代えて、分割されていないものとしてもよい。この場合は、突起状の保持部23Aaが挿通される径方向に長径の貫通孔を抜止部材5Aに設けた構成等としてもよい。
また、抜止部材5Aの被保持部7A及びこれを保持する保持部23Aaとしては、上記したような態様に限られない。例えば、本実施形態のように、径方向外側部位を先端部6A側部位に対して屈曲状とした場合には、屈曲部を被保持部とし、内筒部材20Aに屈曲部を保持する適宜の保持部を設けた構成等としてもよい。この場合は、突起状の保持部23Aaを設けていない構成としてもよい。抜止部材5A及びこれを保持する内筒部材20Aとしては、その他、種々の変形が可能である。
【0053】
外筒部材30Aは、
図9に示すように、上記と概ね同様なガイド開口39Aの軸方向両側を区画するように軸方向に分割された軸方向第1部位37Aaと軸方向第2部位37Acとを備えている。つまり、外筒部材30Aは、内筒受入部37Aを軸方向に分割した構成とされている。このような構成とすれば、上記第1実施形態のような外筒部材30の軸方向第1端側部位の内周面に表示部29の受け入れを可能とする凹部を設けずとも表示部29をガイド開口39A内に位置させることができる。
また、これら軸方向第1部位37Aaと軸方向第2部位37Acとは、接合具としての固着具4によって接合される構成とされている。図例では、軸方向第1部位37Aaの外周部に、固着具4の挿通孔が設けられた突部37Abを設け、軸方向第2部位37Acの外周部に、固着具4がねじ合わされる雌ねじ穴が設けられた締結部37Adを設けた例を示している。また、これら突部37Ab及び締結部37Adを、周方向に間隔を空けて複数箇所(図例では3箇所)に設けた例を示している。
【0054】
軸方向第2端側の軸方向第1部位37Aaの軸方向第1端部には、
図10及び
図11に示すように、ガイド開口39Aのロック位置保持部39Aaを区画する凹部が設けられている。
軸方向第1端側の軸方向第2部位37Acの軸方向第2端部には、ガイド開口39Aのガイド部39Abを区画する凹部が設けられている。また、このガイド部39Abを構成する凹部の周方向一端部には、上記と概ね同様な規制部39Acが設けられている。
上記のような構成とされた継手1Aにおいても、
図12(a)に示すように、ロック位置及び第2位置とされ、保護部材10Aが保護位置とされた状態で、被接続管8を差し込めば、上記同様、保護部材10Aが露出位置となる。つまり、周面シール部材19が露出し、被接続管8の外周面8aに密着され、抜取抑制位置とされた抜止部材5Aによって被接続管8の抜き取りが抑制される。
上記のように継手1Aに接続された被接続管8を抜き取る際には、
図12(b)に示すように、上記同様、内筒部材20Aを外筒部材30Aに対して相対的に移動させてロック解除位置とする。これにより、抜止部材5Aの径方向外側への移動が可能となり、被接続管8の抜き取りが可能となる。
【0055】
なお、上記各実施形態において説明した互いに異なる構成を、適宜、必要に応じて変形し、組み替えて適用したり、組み合わせて適用したりするようにしてもよい。
また、上記各実施形態では、継手1,1Aの外周側に、ロック位置(第2位置)及びロック解除位置(第1位置)を表示する表示部29を設けた例を示しているが、このような表示部29及びこれを露出させるガイド開口39,39Aを設けていない構成としてもよい。この場合は、外筒部材30,30Aに対して内筒部材20,20Aをロック位置(第2位置)及びロック解除位置(第1位置)のそれぞれにおいて保持する適宜の保持部や、
軸方向への移動を規制する規制ガイド等を設けた構成としてもよい。
また、上記各実施形態では、保護部材10,10A及び内筒部材20,20Aに、露出位置となった際にクリック感を付与するクリック機構を構成する係合部13及び被係合部28を設けた例を示しているが、このようなクリック機構を設けていない構成としてもよい。この場合は、保護部材10,10Aが露出位置(接続完了位置)となったことを報知可能な表示窓を報知部として設けたり、音を生じさせて報知する態様としたりしてもよい。更には、このような保護部材10,10Aが露出位置(接続完了位置)となったことを報知する報知機能を備えていない構成としてもよい。
【0056】
また、上記各実施形態では、外筒部材30,30Aを、内筒部材20,20Aに対する一方向への相対的な回転に伴って保護部材10,10Aを露出位置から保護位置に向けて移動させる構成とした例を示しているが、このような態様に限られない。継手1,1Aの外周側から保護部材10,10Aを保護位置に向けて移動させ得る適宜の操作部を設けた構成や、保護部材10,10Aを保護位置とするために内筒部材20,20Aに対して脱離させて再度の組み付けが必要な構成とされたものでもよい。
また、上記各実施形態では、内筒部材20,20Aに、周面シール部材19を受け入れる凹溝25を設けた例を示しているが、このような凹溝25を設けた態様に代えて、周面シール部材19の軸方向第2端側への移動を抑止する段壁部等を設けた構成等としてもよい。また、上記各実施形態では、内筒部材20,20Aに、保護部材10,10Aの筒状部11,11Aを受け入れる凹段部24を設けた例を示しているが、このような凹段部24を設けていない構成としてもよい。
【0057】
また、上記各実施形態では、保護部材10,10Aを、露出位置から保護位置に向けて内筒部材20,20Aに対して移動可能な構成とした例を示しているが、移動不能とされたものでもよい。つまりは、保護位置とされた保護部材10,10Aを、露出位置に向けて移動させた後は、保護位置に向けて移動不能とされたものでもよい。更には、このような周面シール部材19を保護する保護部材10,10Aを設けていない構成としてもよい。
また、上記各実施形態では、内筒部材20,20Aに、概ね径方向に貫通する収容凹所23,23Aを設けた例を示しているが、内周側においてのみ開口する収容凹所としてもよい。
また、上記各実施形態では、周方向に複数に分割された抜止部材5,5Aを設けた例を示しているが、一つの抜止部材5,5Aを設けた構成としてもよい。この場合は、抜止部材5,5Aを、閉環状とされたものとしてもよく、開環状とされたものとしてもよい。
【0058】
また、上記各実施形態では、抜止部材5,5Aが概ね径方向に移動されて抜取可能位置とされる構成とした例を示しているが、このような態様に限られない。例えば、抜止部材5,5Aの先端側部位が軸方向に移動されて抜取可能位置とされる構成としてもよい。この場合は、内筒部材20,20Aの内周側に、抜止部材5,5Aの先端側部位を軸方向に移動させる適宜の操作片等を設けたような構成としてもよい。
また、本実施形態では、外筒部材30,30Aに対して内筒部材20,20Aを相対的に周方向及び軸方向に移動させてロック位置及びロック解除位置とする態様とした例を示しているが、このような態様に限られない。例えば、内筒部材20,20Aを外筒部材30,30Aに対して周方向及び軸方向のうちの一方向に移動させることでロック位置及びロック解除位置とされる態様としてもよい。この場合は、抜止部材5,5Aや内筒部材20,20Aの被保持部(表示部)29、外筒部材30,30Aの保持部(ロック位置保持部39a,39Aa及びロック解除位置保持部としてのガイド部39b,39Ab)を適宜、変形するようにすればよい。上記各実施形態に係る継手1,1Aの上記した各部材及び各部の構成は、一例に過ぎず、その他、種々の変形が可能である。
【符号の説明】
【0059】
1,1A 継手
5,5A 抜止部材
20,20A 内筒部材(第2筒状部材)
20Aa 軸方向第1部位
20Ac 軸方向第2部位
21 差込口
23,23A 収容凹所
29 表示部
30,30A 外筒部材(第1筒状部材)
31 受入口
8 被接続管
9 端部