(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-12
(45)【発行日】2023-01-20
(54)【発明の名称】センサ装置
(51)【国際特許分類】
G01C 19/5783 20120101AFI20230113BHJP
G01C 19/5628 20120101ALI20230113BHJP
G01P 15/08 20060101ALI20230113BHJP
H01L 29/84 20060101ALI20230113BHJP
【FI】
G01C19/5783
G01C19/5628
G01P15/08 102Z
H01L29/84 B
H01L29/84 A
(21)【出願番号】P 2019055531
(22)【出願日】2019-03-22
【審査請求日】2021-09-16
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】前川 佑樹
【審査官】國田 正久
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2006/132277(WO,A1)
【文献】特開2018-146569(JP,A)
【文献】特表2017-502271(JP,A)
【文献】特開2005-283424(JP,A)
【文献】特開2004-294419(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01C 19/56 - 19/5783
G01P 15/08
H01L 29/84
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
角速度センサ素子と、
加速度センサ素子と、
前記角速度センサ素子及び前記加速度センサ素子の両方を搭載する中間部材と、
前記中間部材から離れた位置にある固定部と前記中間部材とに接続する弾性体と、
を備え、
前記中間部材は、前記固定部に加わる振動を受けて振動
し、
前記中間部材の振動は、固有周波数よりも高い周波数で下記式(1)の関係を満たし、かつ前記固有周波数よりも低い周波数で下記式(2)の関係を満たし、
【数1】
式(1)中、ω
g
は前記角速度センサ素子内の駆動周波数を示し、ω
0
は前記固有周波数を示し、ζは減衰比を示し、Aは前記中間部材の振動が減衰する比率である減衰率を示し、
【数2】
式(2)中、ω
a
は前記加速度センサ素子内の応答周波数を示し、ω
0
は前記固有周波数を示し、ζは減衰比を示し、
前記加速度センサ素子の応答周波数は前記固有周波数より低く、
前記角速度センサ素子の駆動周波数は前記固有周波数より高く、
前記中間部材の振動は、前記角速度センサ素子による角速度の検出に干渉せず、かつ前記加速度センサ素子による加速度の検出に干渉しない、
センサ装置。
【請求項2】
前記中間部材の振動は、前記固有周波数よりも高い周波数で減衰する、
請求項
1に記載のセンサ装置。
【請求項3】
前記角速度センサ素子は、振動子を備え、
前記振動子は、前記固有周波数よりも高い周波数で、前記角速度の検出方向と直交する方向に駆動する、
請求項
1又は
2に記載のセンサ装置。
【請求項4】
前記中間部材の振動は、互いに直交する3軸の各々において、前記角速度センサ素子による角速度の検出に干渉しない、
請求項
1~
3のいずれか1項に記載のセンサ装置。
【請求項5】
前記中間部材の振動は、前記固有周波数よりも低い周波数で減衰しない、
請求項
1~4のいずれか1項に記載のセンサ装置。
【請求項6】
前記中間部材の振動は、互いに直交する3軸の各々において、前記加速度センサ素子による加速度の検出に干渉しない、
請求項
1~
5のいずれか1項に記載のセンサ装置。
【請求項7】
前記弾性体は、複数のリードフレームを備え、
前記複数のリードフレームは、前記固定部と前記中間部材とに接続する、
請求項1~
6のいずれか1項に記載のセンサ装置。
【請求項8】
前記角速度センサ素子と、前記加速度センサ素子とは、前記複数のリードフレームのうち少なくとも一部に電気的に接続する、
請求項
7に記載のセンサ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、センサ装置に関し、より詳細には、角速度センサ素子と加速度センサ素子との両方を搭載したセンサ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、セラミックスからなるケース内に、加速度センサ素子と、角速度センサとを収納した装置(センサ装置)が開示されている。加速度センサ素子は、ケース内の多層回路基板に実装された状態で、ワイヤーボンディングにより形成されたワイヤー線を介して端子電極と接続している。また、角速度センサは、多層回路基板から離れた状態となって、振動子を備える載置部材と樹脂製の補強部材の間にある端子で外部からの振動を減衰させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1の場合、加速度センサ素子は多層回路基板に実装されている一方で、角速度センサは多層回路基板から離れた位置にある。すなわち、加速度センサ素子が設けられる部材と角速度センサの設置箇所とが互いに異なる位置にあることから、センサ装置の構造が複雑化すると共に、センサ装置のサイズが大きくなりやすい。
【0005】
本開示の目的は、センサ装置の構造を簡単にさせ、かつセンサ装置のサイズを小さくしても、角速度と加速度との両方を検出することができるセンサ装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係るセンサ装置は、角速度センサ素子と、加速度センサ素子と、中間部材と、弾性体とを備える。中間部材は、前記角速度センサ素子及び前記加速度センサ素子の両方を搭載する。弾性体は、前記中間部材から離れた位置にある固定部と前記中間部材とに接続する。前記中間部材は、前記固定部に加わる振動を受けて振動する。
【発明の効果】
【0007】
本開示の上記態様には、センサ装置の構造を簡単にさせ、かつセンサ装置のサイズを小さくしても、角速度と加速度との両方を検出することができる、という利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、一実施形態に係るセンサ装置の第1例を示す斜視図である。
【
図4】
図4Aは、同上の実施形態に係る加速度センサ素子を示す斜視図である。
図4Bは、同上の加速度センサ素子の説明図である。
【
図5】
図5Aは、同上の実施形態に係る角速度センサ素子を示す斜視図である。
図5Bは、同上の角速度センサ素子の説明図である。
【
図8】
図8は、一実施形態に係るセンサ装置の第2例を示す斜視図である。
【
図10】
図10は、一実施形態に係るセンサ装置の第3例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<第1実施形態>
第1実施形態に係るセンサ装置1を、
図1~
図6を参照して説明する。
【0010】
センサ装置1は、
図1のように、加速度センサ素子2と、角速度センサ素子3と、中間部材4と、弾性体6と、を備える。中間部材4は、角速度センサ素子3及び加速度センサ素子2の両方を搭載する。弾性体6は、
図2のように、固定部71と中間部材4とに接続する。固定部71は、中間部材4から離れた位置にある。中間部材4は、固定部71に加わる振動を受けて振動する。
【0011】
このようなセンサ装置1によれば、中間部材4が角速度センサ素子3及び加速度センサ素子2の両方を搭載するため、センサ装置1の構造を簡単にさせ、かつセンサ装置1のサイズを小さくできる。そして、センサ装置1の構造が簡単で、サイズが小さくても、センサ装置1は、角速度と加速度との両方を検出することができる。
【0012】
次に、本実施形態に係るセンサ装置1を、より詳細に説明する。この説明において、中間部材4と加速度センサ素子2とが並ぶ方向をZ軸方向とし、Z軸方向と直交する方向をX軸方向とし、X軸方向と直交する方向をY軸方向とする。また、Z軸方向と平行な軸は第1軸であってもよく、X軸方向と平行な軸は第2軸であってもよく、Y軸方向と平行な軸は第3軸であってもよい。
【0013】
センサ装置1は、
図1のように、加速度センサ素子2と、複数の角速度センサ素子3と、中間部材4と、枠体5と、弾性体6とを備える。
【0014】
中間部材4は、加速度センサ素子2及び角速度センサ素子3を搭載する。枠体5は、Z軸方向から見た平面視において、中間部材4の外周縁から離れた位置ある枠状の部材である。
【0015】
弾性体6は、
図2のように、基板7が有する固定部71と中間部材4とに接続する。そして、弾性体6の一部は、中間部材4及び枠体5の間で露出する。また、弾性体6の両端部は、それぞれ、中間部材4及び枠体5内にある。
【0016】
弾性体6は、Z軸方向に基板7から離れた位置で中間部材4を支持する。弾性体6は、中間部材4と基板7とが離れた状態で、基板7に加わる振動を受けて変形、及び回復を繰り返すことで生じる振幅により中間部材4を振動させる。すなわち、中間部材4は、弾性体6の振幅に追随して振動する。例えば、弾性体6の振幅がX軸方向と平行であると、中間部材4もX軸方向と平行に振動し、弾性体6の振幅がY軸方向と平行であると、中間部材4もY軸方向と平行に振動し、弾性体6の振幅がX軸方向と平行であると、中間部材4はX軸方向と平行に振動する。
【0017】
弾性体6は、
図1のように複数のリードフレーム61を備える。
図1の例では、弾性体6は複数(24本)のリードフレーム61のみからなる。
【0018】
リードフレーム61は金属製の部材である。このようなリードフレーム61は、例えば、金属板に切断加工及び折り曲げ加工をすることで形成される部材である。この金属板として、銅板が挙げられる。また、リードフレーム61は、銅線等の金属線に折り曲げ加工した部材であってもよい。リードフレーム61は金属製であるため、加速度センサ素子2と、角速度センサ素子3とに電気的に接続できる。
【0019】
リードフレーム61は、固定部71と中間部材4とに接続する(
図2参照)。このようなリードフレーム61の各々は、第1接続部63と、露出部68と、第2接続部64と、端子62と、引き出し部69とを備える。
【0020】
第1接続部63は、
図3のように、中間部材4内にある部分であって、X軸方向と交差すると共に、Y軸方向と交差する。
【0021】
第1接続部63が中間部材4内に複数ある状態で、隣り合う第1接続部63同士間の寸法は、X軸方向及びY軸方向の各々において、中間部材4の外周縁に近い程、大きくなっている。本実施形態では、中間部材4の外周縁は矩形であるため、中間部材4の角を挟んで隣り合う第1接続部63同士間の寸法は、中間部材4の外周縁に近い程、小さくなっている。
【0022】
露出部68は、第1接続部63と第2接続部64との間を接続する部分であって、枠体5と中間部材4との間で露出している。露出部68は、本実施形態では、枠体5と中間部材4との間に接続し、Z軸方向に基板7から離れた位置で中間部材4を支持している(
図2参照)。露出部68が枠体5と中間部材4との間で露出することで、固定部71に加わる振動の周波数が後述の固有周波数f1よりも高い場合に、露出部68が有するバネ性により、中間部材4の振動を減衰できる。本実施形態では、複数の露出部68は、中間部材4の外側面から突出するようして露出し、かつ基板7から離れた位置で中間部材4を支持している。このため、複数の露出部68は、固定部71に加わる振動の周波数が後述の固有周波数f1よりも高い場合に、X軸方向、Y軸方向、及びZ軸方向の各々における中間部材4の振動を減衰できる。
図2の例では、露出部68は直線状である。
【0023】
第2接続部64は、
図2のように、露出部68と引き出し部69との間を接続する部分であって、枠体5内にある。このような第2接続部64は、中間部材4がZ軸方向に基板7から離れる位置に設けられている。第2接続部64は、Z軸方向における断面が直線状の構造を有する。枠体5が後述の液晶ポリマーからなる場合、枠体5は柔軟性を有することができる。枠体5が柔軟性を有する場合、第2接続部64は中間部材4の振動減衰に寄与してもよい。
【0024】
引き出し部69は、リードフレーム61を枠体5の外側面に引き出すようにして形成された部分であって、枠体5の外側面と接する。このような引き出し部69は、加速度センサ素子2と中間部材4とがこの順で並ぶ方向に第2接続部64の先端から突出している。引き出し部69は露出している(
図1及び
図2参照)。
【0025】
端子62は、固定部71に接する部分であって、引き出し部69の先端からZ軸方向と直交する方向に突出している。このような端子62は、本実施形態では、固定部71と枠体5との間に挟まっていて、固定部71に固定されている。これにより、センサ装置1は基板7上で位置決めされる。端子62を固定部71に固定するにあたって、はんだ付け等の任意の固定方法を採用できる。
【0026】
リードフレーム61が引き出し部69を備えることで、固定部71とリードフレーム61との接続を容易にできる。特に固定部71とリードフレーム61との接続にはんだ付けを採用する場合、端子62を固定部71に固定することが難しくても、引き出し部69を固定部71に固定することができるため、固定部71とリードフレーム61との接続を容易にできる。
【0027】
中間部材4は、
図3のように、Z軸方向から見た平面視で矩形状である。
図3の例では、中間部材4の外周縁の一辺に対して6本のリードフレームが設けられている。
【0028】
中間部材4は、加速度センサ素子2と角速度センサ素子3とを搭載した状態で、加速度センサ素子2及び角速度センサ素子3の各々と固定部71とを接続する電気経路の途中にある部材である。このような中間部材4は、インサート成形法により、リードフレーム61と一体化されている。中間部材4は、インサート成形法に利用できる材料から構成されていれば、特に限定されない。中間部材4を構成する材料は、例えば、ポリアセタール樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、及び液晶ポリマー(具体的には、全芳香族系ポリエステル)等の樹脂材料が挙げられる。
【0029】
中間部材4を構成する材料は、液晶ポリマーであってもよい。この場合、中間部材4に耐熱性と、振動吸収性とを付与できると共に、中間部材4に成形バリが生じにくくなる。中間部材4に成形バリが生じにくくなると、中間部材4の寸法精度を高めることができる。また中間部材4が振動吸収性を有すると、中間部材4の振動の減衰を容易に調整できるため、加速度センサ素子2で加速度を、角速度センサ素子3で角速度を容易に検出できる。中間部材4が耐熱性を有すると、加速度センサ素子2と角速度センサ素子3とを搭載する際にPbフリーはんだを用いたはんだ付けを採用しても、中間部材4は変形しにくい。
【0030】
中間部材4は、有底の凹部41を有する(
図2参照)。この凹部41も、Z軸方向から見た平面視で矩形状である。そして、凹部41内に、加速度センサ素子2と、角速度センサ素子3とが搭載されている。
図1の例では、加速度センサ素子2及び角速度センサ素子3からなる合計4つのセンサ素子が凹部41内に、搭載されている。
【0031】
凹部41の底面には、凹部41の周縁の一辺に対して、複数(
図3では3つ)の第1配線66と、複数(
図3では3つ)の第2配線67とが設けられている。これらの第1配線66は前記一辺に沿って等間隔に配置され、第2配線67も前記一辺に沿って等間隔に配置されている。そして、凹部41の角と第1配線66との間の寸法は、隣り合う第1配線66同士の間の寸法よりも大きい。また、凹部41の角と第2配線67との間の寸法は、隣り合う第2配線67同士の間の寸法よりも大きい。
【0032】
第1配線66は、金属製である。このような第1配線66は、本実施形態では、リードフレーム61の一部であるが、リードフレーム61と別体であってもよい。第1配線66とリードフレーム61とが別体である場合、スパッタ等の任意の薄膜形成方法を採用して凹部41の底面に第1配線66を形成でき、この第1配線66はリードフレーム61と電気的に接続する。
【0033】
第2配線67は、金属製である。このような第2配線67は、本実施形態では、リードフレーム61の一部であるが、リードフレーム61と別体であってもよい。第2配線67とリードフレーム61とが別体である場合、スパッタ等の任意の薄膜形成方法を採用して凹部41の底面に第2配線67を形成でき、この第2配線67はリードフレーム61と電気的に接続する。
【0034】
枠体5は、中間部材4の外周縁から離れた位置にある枠状の部材である。このような枠体5は、インサート成形法により、リードフレーム61と一体化されている。枠体5が中間部材4と同じ材料から構成されている場合、枠体5と、中間部材4とを同時に形成できる。
【0035】
枠体5は、インサート成形法に利用できる材料から構成されていれば、特に限定されない。枠体5を構成する材料は、例えば、ポリアセタール樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、及び液晶ポリマー(具体的には、全芳香族系ポリエステル)等の樹脂材料が挙げられる。
【0036】
枠体5を構成する材料は、液晶ポリマーであってもよい。この場合、枠体5に耐熱性と、振動吸収性(上述の柔軟性)とを付与できると共に、枠体5に成形バリが生じにくくなる。枠体5が振動吸収性を有すると、中間部材4の振動を、枠体5でも減衰させることができる。特に中間部材4と加速度センサ素子2とが並ぶ方向と直交する方向に中間部材4が振動しても、この振動を枠体5でも減衰させることができる。枠体5に成形バリが生じにくくなると、枠体5の寸法精度を高めることができる。また枠体5が振動吸収性を有すると、中間部材4の振動の減衰を容易に調整できるため、加速度センサ素子2で加速度を、角速度センサ素子3で角速度を容易に検出できる。枠体5が耐熱性を有すると、第2配線67と固定部71とを接続する際にPbフリーはんだを用いたはんだ付けを採用しても、枠体5は変形しにくい。このため、センサ装置1を基板7に実装することが可能となる。
【0037】
加速度センサ素子2は、センサ装置1に加わる加速度を検出する素子である。加速度センサ素子2は、
図4Aのように、ケース23と、第1端子21と、第2端子22と、を備える。加速度センサ素子2は、
図4Bのように、検出部24を更に備える。ケース23は、加速度センサ素子2の外殻を構成する。第1端子21及び第2端子22は、それぞれ、第1配線66及び第2配線67と電気的に接続するようにして、ケース23の外側面に設けられている。検出部24は、ケース23内に収容された状態で、第1端子21及び第2端子22に電気的に接続している。そして、センサ装置1に加速度が加わると、検出部24が変形するため、この変形により検出部24の電気抵抗が変化する。この電気抵抗の変化による電流の変化量が加速度センサ素子2で検出された信号として後述の処理装置8に入力される。
【0038】
角速度センサ素子3は、センサ装置1の角速度を検出する素子である。角速度センサ素子3は、
図5Aのように、ケース33と、第1端子31と、第2端子32と、を備える。角速度センサ素子3は、
図5Bのように、振動子34を更に備える。ケース33は、角速度センサ素子3の外殻を構成する。第1端子31及び第2端子32は、それぞれ、第1配線66及び第2配線67と電気的に接続するようにして、ケース33の外側面に設けられている。振動子34は、ケース33内に収容された状態で、第1端子21及び第2端子22に電気的に接続している。振動子34は、例えば、音叉形状の振動子である。
【0039】
振動子34は、一対のアームを有する。このアームが第1端子21及び第2端子22からの電力により固有の駆動周波数で屈曲することにより振動子34は駆動する。そして、振動子34が駆動している状態で、アームの長手方向(例えば、Z軸方向)と平行な軸周りに回転すると、この回転の角速度に比例したコリオリ力が振動子34のアームに働く。このコリオリ力により振動子34で生じた電荷は、角速度センサ素子3で検出された信号として後述の処理装置8に入力される。コリオリ力は、振動子34の駆動時にアームが屈曲する方向と直交する方向に作用する。このため、角速度センサ素子3による角速度の検出方向は、振動子34の駆動方向と直交する。このような振動子34は、固有の駆動周波数で屈曲し、かつ角速度を検出する任意の構造を採用できる。
【0040】
センサ装置1によりX軸方向、Y軸方向、及びZ軸方向の角速度を検出する場合、中間部材4に、例えばX軸方向、Y軸方向、及びZ軸方向の各々がアームの長手方向と平行になるようにして3つの角速度センサ素子3を搭載してもよい。
【0041】
固定部71は、基板7にある回路に電気的に接続し、センサ装置1を固定する位置を定める部位である。固定部71は金属製であり、センサ装置1の電極として機能する。このような固定部71の数は、リードフレーム61と同じであってもよい。すなわち、1つの固定部71に1本のリードフレーム61が接続していてもよい。また、固定部71は、本実施形態では、基板7の一部であるが、基板7と別体であってもよい。固定部71と基板7とが別体である場合、固定部71を備える端子部材を基板7に実装することで、固定部71と基板7の回路とを電気的に接続できる。基板7の一例はプリント配線板である。
【0042】
また、センサ装置1は、
図6のように、処理装置8に電気的に接続し、処理装置8は振動計9とに電気的に接続する。処理装置8は、センサ装置1と振動計9とに電気的に接続されていればよく、基板7に実装されていてもよく、基板7とは別の基板に実装されていてもよい。
【0043】
図6の例では、振動計9は基板7に実装されている。この振動計9は、基板7が振動する際の周波数と、振動の振幅とを検出する装置である。振動計9としては、基板7に実装できれば、任意の振動計を用いることができる。
【0044】
処理装置8は、加速度センサ素子2が検出した信号を加速度に処理し、角速度センサ素子3が検出した信号を角速度に処理する装置である。また、処理装置8は、振動計9が検出した振動周波数から、センサ装置1の固有周波数f1(
図7参照)に対応する周波数を判定する装置でもある。処理装置8は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、及びメモリを備える。この場合、CPUがメモリ内のプログラムを実行する。これにより、処理装置8は、固有周波数f1よりも低い周波数における加速度センサ素子2の検出信号を加速度に処理し、固有周波数f1よりも高い周波数における角速度センサ素子3の検出信号を角速度に処理できる。
【0045】
基板7に振動が加わると、この振動が固定部71及び弾性体6を介して中間部材4に伝達する。すなわち、中間部材4は、固定部71に加わる振動を受けて振動する。中間部材4の振動は、
図7のように、固有周波数f1よりも周波数が高くなる程、振幅が小さくなって減衰し、固有周波数f1よりも低い周波数f2では減衰しない。
【0046】
固有周波数f1は、外部からの振動(外部振動)を受けて中間部材4が一旦振動し、その後、外部振動を受けずに中間部材4が振動する際に得られるセンサ装置1が有する固有の周波数である。
【0047】
また、中間部材4が外部振動を受け続け、外部振動の位相と中間部材4の振動の位相とが一致すると、
図7のように、固有周波数f1で共振して中間部材4の振幅が大きくなる。
【0048】
ここで、
図7の縦軸に示す「ゲイン」は、外部振動(例えば、基板7に加わる振動)の振幅に対する中間部材4の振幅の比率の常用対数に比例する値である。外部振動の振幅及び周波数は、振動計9により検出される。なお、中間部材4が振動する際の振幅及び周波数は、任意の非接触型振動計で検出することができる。
【0049】
中間部材4の振動は、上記の通り、固有周波数f1より高い周波数において、減衰する。このため、角速度センサ素子3に加わる振動も減衰し、振動子34の駆動及び検出が干渉されにくくなる。したがって、固有周波数f1よりも高い周波数において、中間部材4の振動は、角速度センサ素子3による角速度の検出に干渉しにくくなる。中間部材4の振動が角速度の検出に干渉しなくなると、角速度センサ素子3における角速度の検出精度を高めることができる。
【0050】
固有周波数f1よりも高い周波数における中間部材4の振動は、好ましくは、下記式(1)の関係を満たす。
【0051】
【0052】
式(1)中、ωgは加速度センサ素子3内にある振動子34の駆動周波数を示し、ω0は固有周波数f1を示し、ζは減衰比を示す。減衰比ζは、中間部材4及び枠体5の各々を構成する材料の物性値である。この材料が液晶ポリマーである場合、減衰比ζは、例えば、0.001以上0.02以下である。さらに、式(1)のAは、中間部材4の振動が減衰する比率である減衰率を示し、具体的には、外部振動の振幅に対する中間部材4の振幅の比率を示す。
【0053】
また、振動子34の駆動周波数ω
gは、
図7のような固有周波数f1よりも高い周波数f3である。このような周波数f3となる減衰率Aは10
-0.75以下であることが好ましい。すなわち、ゲインは-15dB以下であることが好ましい。この場合、振動子34の駆動及び検出がより干渉されにくくなるため、角速度の検出精度を高めることができる。
図7における矢印は、駆動周波数ω
gの好ましい下限値を示す。
【0054】
中間部材4の振動が減衰すると、振動子34は、角速度の検出方向(コリオリ力が働く方向)と直交する方向に駆動することが可能となる。この場合、振動子34の駆動が中間部材4の振動に干渉されないため、角速度の検出する精度を高めることができる。
【0055】
中間部材4は、上記の通り、複数のリードフレーム61と一体となり、このリードフレーム61の各々は、露出部63を備える。このため、外部振動の周波数が固有周波数f1よりも高い場合、X軸方向、Y軸方向、及びZ軸方向の各々において、中間部材4の振動は、複数の露出部63が有するバネ性により緩和されて減衰する。これにより、中間部材4の振動は、角速度センサ素子による角速度の検出に干渉しにくくなる。すなわち、中間部材4の振動は、互いに直交する3軸の各々において、角速度センサ素子3による角速度の検出に干渉しにくくなる。したがって、X軸方向、Y軸方向、及びZ軸方向の各々の角速度を得ることができるため、角速度の検出精度を高めることができる。
【0056】
X軸方向、Y軸方向、及びZ軸方向の各々の角速度を検出するにあたって、周波数f3は、3種の駆動周波数ωgに区分されてもよい。すなわち、周波数f3は、第1駆動周波数ωg1、第2駆動周波数ωg2、第3駆動周波数ωg3に区分されてもよい。第1駆動周波数ωg1は、X軸方向に振動子34が屈曲して駆動する周波数であって、例えば22Hz以上24Hz以下である。第2駆動周波数ωg2は、Y軸方向に振動子34が屈曲して駆動する周波数であって、例えば23Hz以上26Hz以下である。第3駆動周波数ωg3は、Z軸方向に振動子34が屈曲して駆動する周波数であって、例えば28Hz以上32Hz以下である。
【0057】
また、
図7のような周波数f2では、上記の通り、中間部材4の振動は減衰しない。これは、中間部材4の振動が周波数f2の外部振動と共振するためである。中間部材4の振動が減衰しない場合、加速度センサ素子2に加わる振動も減衰しないため、検出部24を変形させる力が振動により緩和されにくくなり、検出部24による加速度の検出が干渉されにくくなる。したがって、周波数f2において、中間部材4の振動は、加速度センサ素子2による加速度の検出に干渉しにくくなる。中間部材4の振動が加速度の検出に干渉しなくなると、加速度センサ素子2における加速度の検出精度を高めることができる。検出部24は、例えばシート状である。また、検出部24は、加速度を検出する任意の構造を採用できる。
【0058】
周波数f2における中間部材4の振動は、好ましくは、下記式(2)の関係を満たす。
【0059】
【0060】
式(2)中、ωaは加速度センサ素子2内の応答周波数を示し、ω0は固有周波数f1を示し、ζは減衰比を示す。
【0061】
ここで、応答周波数ωaは、検出部24が変形して応答する周波数である。この応答周波数は、周波数f2である。このため、検出部24を変形させる力が振動により緩和されにくくなり、加速度の検出精度を高めることができる。
【0062】
また、周波数f2では、中間部材4は、上記の通り、外部振動の位相に共振して振動する。このため、外部振動の周波数が周波数f2である場合、X軸方向、Y軸方向、及びZ軸方向の各々において、中間部材4の振動は減衰しない。これにより、中間部材4の振動は、加速度センサ素子2による加速度の検出に干渉しにくくなる。すなわち、中間部材4の振動は、互いに直交する3軸の各々において、加速度センサ素子2による加速度の検出に干渉しにくくなる。したがって、X軸方向、Y軸方向、及びZ軸方向の各々の加速度を得ることができるため、加速度の検出精度を高めることができる。
【0063】
X軸方向、Y軸方向、及びZ軸方向の各々の加速度を検出するにあたって、加速度センサ素子2として任意の3軸加速度センサ素子を採用することができる。
【0064】
<第2実施形態>
次に、第2実施形態に係るセンサ装置1を、
図8及び
図9を参照して説明する。本実施形態では、第1実施形態と共通する構成は図面に同じ符号を付すことで、この構成の詳細な説明を省略する。
【0065】
センサ装置1は、
図1のような枠体5を備えない(
図8参照)。このため、弾性体6の一部、具体的には、露出部68と、第2接続部64と、端子62とが露出している。また、弾性体6は、
図1のような引き出し部69を備えない。すなわち、リードフレーム61は引き出し部69を備えない(
図9参照)。
【0066】
第2接続部64は、
図9のように、露出部68と端子62との間を接続する部分である。このような第2接続部64は、Y軸方向にセンサ装置1を見た場合に、露出部68と端子62との間で傾斜している。そして、露出部68と端子62との間の距離は、中間部材4がZ軸方向に基板7から離れるように設定されている。第2接続部64は、Z軸方向における断面が波状の構造を有する。
【0067】
端子62は、固定部71に接する部分であって、第2接続部64の先端からZ軸方向と直交する方向に突出している。このような端子62は、本実施形態では、固定部71に固定されている。これにより、センサ装置1は基板7上で位置決めされる。端子62を固定部71に固定するにあたって、はんだ付け等の任意の固定方法を採用できる。
【0068】
センサ装置1が枠体5を備えないことにより、
図9のように、はんだ付け等で端子62を固定部71に固定しやすくなる。しかも枠体5に要するコスト(例えば、材料コスト)を軽減できる。したがって、センサ装置1の作製に要するコストを軽減できる。
【0069】
本実施形態では、露出部68と、第2接続部64とが露出しているため、固有周波数f1よりも高い周波数で中間部材4が振動する際、露出部68と第2接続部64との各々が有するバネ性により、中間部材4の振動を減衰できる。特に、X軸方向、Y軸方向、及びZ軸方向の各々における中間部材4の振動を減衰できる。
【0070】
また、固有周波数f1よりも低い周波数f2では、中間部材4は外部振動と共振して振動するため、中間部材4の振動は減衰しない。
【0071】
<第3実施形態>
次に、第3実施形態に係るセンサ装置1を、
図10~
図13を参照して説明する。本実施形態では、第1実施形態と共通する構成は図面に同じ符号を付すことで、この構成の詳細な説明を省略する。
【0072】
本実施形態に係るセンサ装置1は、
図10のように、加速度センサ素子2と、複数の角速度センサ素子3と、中間部材4と、枠体5と、弾性体6とを備える。
【0073】
弾性体6は、複数のリードフレーム61を備える。リードフレーム61の各々は、第1接続部63と、露出部68と、端子62と、引き出し部69とを備える(
図10及び
図12参照)。また、リードフレーム61は、第2接続部を更に備える。第2接続部は、引き出し部69と露出部68との間を接続することが好ましい。このような第2接続部は、任意の構造を有する。第2接続部は、例えば、Z軸方向における断面が波状であってもよく、または直線状であってもよい。
【0074】
枠体5は、複数(
図10では4つ)の凹部51を備える。凹部51の各々は、枠体5の外側面が中間部材4に向かって凹んだ形状を有する。そして、凹部51内にある枠体5の外側面に複数の引き出し部69が設けられている。引き出し部69の各々は枠体5の外側面と接する。
図10の例では、1つの凹部51に6つの引き出し部69が設けられている。
【0075】
露出部68は、
図10のように、枠体5と中間部材4との間で露出している。露出部68は第1接続部63と第2接続部との間を接続することが好ましい。
【0076】
露出部68は、
図11のように、第1バネ部6aと、第2バネ部6bと、第3バネ部6cとを備える。
【0077】
第3バネ部6cは、中間部材4及び枠体5の間にあり、かつ中間部材4及び枠体5の両方から離れた位置にある。第3バネ部6cは、中間部材4と加速度センサ素子2とがこの順で並ぶ方向に沿って凸となる断面U字状の構造を有する(
図11参照)。このような第3バネ部6cのうち、第1バネ部6a及び第2バネ部6bからZ軸方向に離れた部分を上端部とした場合、この上端部だけで、第1バネ部6aと繋がる部分と、第2バネ部6bと繋がる部分とが一体となっている。このため、第3バネ部6cは、Z軸方向と直交する方向に作用するバネ性を有する。第3バネ部6cは、第1端及び第2端を有する。この第1端は、Z軸方向と直交する方向に第2端と離れている。
【0078】
第1バネ部6aは、第3バネ部6cの第1端からZ軸方向と直交する方向(例えばX軸方向)に突出し、第2バネ部6bから更に離れるようにして第3バネ部6cの側方に突出している。このため、第1バネ部6aは、Z軸方向と直交する。
【0079】
第2バネ部6bは、第3バネ部6cの第2端からZ軸方向と直交する方向(例えばX軸方向)に突出し、第1バネ部6aから更に離れるようにして第3バネ部6cの側方に突出している。このため、第2バネ部6bは、Z軸方向と直交する。
【0080】
第1バネ部6aと第2バネ部6bとの両方は、Z軸方向と直交するため、Z軸方向に作用するバネ性を有する。
【0081】
露出部68が第1バネ部6aと、第2バネ部6bと、第3バネ部6cとを備えることにより、X軸方向、Y軸方向、及びZ軸方向の各々における中間部材4の振動は、固有周波数f1よりも低い周波数で共振し、固有周波数f1よりも高い周波数で減衰できる。
【0082】
露出部68は、
図11のように幅W、奥行きD、及び高さHを有する。
図11の例において、Z軸方向と平行な方向を上下方向とし、第3バネ部6cの第1端から第1バネ部6aが突出する方向を前方とした場合、奥行きDは露出部68の前端面と第3バネ部6cの後面との間の距離である。また、高さHは露出部68の下端面と第3バネ部6cの上端面との間の距離である。幅Wは、中間部材4と枠体5との間の距離と一致する。
【0083】
本実施形態では、
図12のように、中間部材4の外側面から突出するようして複数(例えば12個)の露出部68が露出している。中間部材4の外周縁の一辺毎に、同数で、かつ複数の露出部68が設けられている。具体的には、
図12の例では、中間部材4の外周縁の一辺に対して6つの露出部68が設けられている。中間部材4の一辺毎に複数の露出部68が設けられていることにより、X軸方向、Y軸方向、及びZ軸方向の各々における中間部材4の振動は、固有周波数f1よりも低い周波数で共振し、固有周波数f1よりも高い周波数で減衰できる(
図13参照)。
【0084】
図13に、本実施形態に係るセンサ装置1にZ軸方向に周波数毎の外部振動を与えることで得られるシミュレーション結果を示す。このシミュレーション結果は、外部振動の周波数と、ゲイン(外部振動の振幅に対する中間部材4の振幅の比率の常用対数に比例する値)との関係を曲線で示している。ただし、
図13の結果は、本実施形態の一例に過ぎず、本開示を具体的に制限するものではない。
【0085】
図13の結果から、固有周波数f1よりも大きい周波数f3では、ゲインが好ましくは-15dB未満、すなわち、中間部材4の振動が、好ましくは下記式(3)の関係を満たす。
【0086】
【0087】
中間部材4の振動が式(3)の関係を満たす場合、中間部材4の振動は周波数f3で減衰するため、中間部材4の振動は、角速度センサ素子3による角速度の検出に干渉しにくくなる。このため、角速度の検出精度を高めることができる。
【0088】
また、固有周波数f1よりも小さい周波数f2では、ゲインが好ましくは3dB以下、すなわち、中間部材4の振動が好ましくは、下記式(4)の関係を満たす。
【0089】
【0090】
中間部材4の振動が式(4)の関係を満たす場合、中間部材4の振動が周波数f2で減衰しないため、中間部材4の振動は、加速度センサ素子2による加速度の検出に干渉しにくくなる。このため、加速度の検出精度を高めることができる。
【0091】
なお、
図13に示すシミュレーション結果を得るにあたり、下記に示すパラメータが用いられた。
・枠体5の幅×奥行き=9mm×9mm、
・枠体5の材質:液晶ポリマー、
・中間部材4の幅×奥行き=5.9mm×5.9mm、
・中間部材4の材質:液晶ポリマー、
・露出部68の厚み(第1バネ部6a、第2バネ部6b、及び第3バネ部6cの各々の厚み)T=0.07mm、
・第1バネ部6a、第2バネ部6b、及び第3バネ部6cの各々の幅W1=0.14mm、
・露出部68の材質:ステンレス(SUS304)、
・露出部68の高さH=0.6mm、
・露出部68の奥行きD=0.4mm。
【0092】
(変形例)
上記実施形態では弾性体6は複数のリードフレーム61のみからなるが、変形例では弾性体6は、リードフレーム61以外に任意の形状を有するバネ部材を更に備えることができる。このバネ部材として、例えば、コイルバネが挙げられる。
【0093】
上記実施形態では複数のリードフレーム61のうち、一部のリードフレーム61が加速度センサ素子2に電気的に接続し、残りのリードフレーム61が加速度センサ素子3に電気的に接続している。しかし、変形例ではセンサ装置1は加速度センサ素子2及び加速度センサ素子3のどちらにも電気的に接続しないリードフレーム61を更に備えてもよい。このため、角速度センサ素子3と、加速度センサ素子2とは、複数のリードフレーム61のうち少なくとも一部に電気的に接続する。
【0094】
上記実施形態では、中間部材4と加速度センサ素子2とが並ぶ方向から見た、中間部材4の平面形状は矩形であるが、変形例では中間部材4の平面形状は、楕円等の任意の形状であってもよい。
【0095】
上記実施形態では中間部材4は加速度センサ素子2と角速度センサ素子3とからなる4つのセンサ素子を搭載しているが、変形例では中間部材4は5つ以上のセンサ素子を搭載してもよい。具体的には、中間部材4は3つの加速度センサ素子2と3つの角速度センサ素子3とからなる6つのセンサ素子を搭載してもよい。この3つの加速度センサ素子2は、X軸方向の加速度を検出する1軸加速度センサ素子と、Y軸方向の加速度を検出する1軸加速度センサ素子、及びZ軸方向の加速度を検出する1軸加速度センサ素子とにより構成される。また、3つの角速度センサ素子3は、X軸方向の角速度を検出する1軸角速度センサ素子と、Y軸方向の角速度を検出する1軸角速度センサ素子と、Z軸方向の角速度を検出する1軸角速度センサ素子とにより構成される。
【0096】
上記第1実施形態では第2接続部64は露出部68と引き出し部69との間を接続しているが、変形例では第2接続部64は露出部68と端子62との間を接続してもよい。この変形例において、Y軸方向にセンサ装置1を見た場合に、露出部68と端子62との間で第2接続部64を傾斜させることが好ましい。また露出部68と端子62との間の距離は、中間部材4がZ軸方向に基板7から離れるように設定されていることが好ましい。第2接続部64は、Z軸方向における断面が波状であってもよく、または直線状であってもよい。
【0097】
(まとめ)
上記の通り、第1態様は、センサ装置(1)であって、角速度センサ素子(3)と、加速度センサ素子(2)と、中間部材(4)と、弾性体(6)とを備える。中間部材(4)は、角速度センサ素子(3)及び加速度センサ素子(2)の両方を搭載する。弾性体(6)は、中間部材(4)から離れた位置にある固定部(71)と中間部材(4)とに接続する。中間部材(4)は、固定部(71)に加わる振動を受けて振動する。
【0098】
第1態様によれば、中間部材(4)が角速度センサ素子(3)及び加速度センサ素子(2)の両方を搭載するため、センサ装置(1)の構造を簡単にさせ、かつセンサ装置(1)のサイズを小さくできる。そして、センサ装置(1)の構造が簡単で、かつサイズが小さくても、センサ装置(1)は、角速度と加速度との両方を検出することができる。
【0099】
第2態様は、第1態様のセンサ装置(1)であって、中間部材(4)の振動は、固有周波数(f1)よりも高い周波数で角速度センサ素子(3)による角速度の検出に干渉しない。
【0100】
第2態様によれば、角速度センサ素子(3)における角速度の検出精度を高めることができる。
【0101】
第3態様は、第2態様のセンサ装置(1)であって、中間部材(4)の振動は、固有周波数(f1)よりも高い周波数で減衰する。
【0102】
第3態様によれば、中間部材(4)の振動が特定の周波数で減衰することで、角速度センサ素子(3)における角速度の検出が干渉されにくくなるため、角速度の検出精度を高めることができる。
【0103】
第4態様は、第2又は第3態様のセンサ装置(1)であって、角速度センサ素子(3)は、振動子(34)を備える。振動子(34)は、固有周波数(f1)よりも高い周波数で、前記角速度の検出方向と直交する方向に駆動する。
【0104】
第4態様によれば、振動子(34)の駆動が中間部材(4)の振動に干渉されないため、角速度の検出する精度を高めることができる。
【0105】
第5態様は、第2~第4態様のいずれか1つのセンサ装置(1)であって、中間部材(4)の振動は、下記式(1)の関係を満たす、
【0106】
【0107】
式(1)中、ωgは加速度センサ素子(2)内の駆動周波数を示し、ω0は固有周波数(f1)を示し、ζは減衰比を示し、Aは中間部材(4)の振動が減衰する比率である減衰率を示す。
【0108】
第5態様によれば、センサ装置(1)の構造を簡単にさせ、かつセンサ装置(1)のサイズを小さくできる。そして、センサ装置(1)の構造が簡単で、かつサイズが小さくても、センサ装置(1)は、角速度と加速度との両方を検出することができる。
【0109】
第6態様は、第2~第5態様のいずれか1つのセンサ装置(1)であって、中間部材(4)の振動は、互いに直交する3軸の各々において、角速度センサ素子(3)による角速度の検出に干渉しない。
【0110】
第6態様によれば、3軸の各々の角速度を得ることができるため、角速度の検出精度を高めることができる。
【0111】
第7態様は、第1~第6態様のいずれか1つのセンサ装置(1)であって、中間部材(4)の振動は、固有周波数(f1)よりも低い周波数で加速度センサ素子(2)による加速度の検出に干渉しない。
【0112】
第7態様によれば、加速度センサ素子(2)における加速度の検出精度を高めることができる。
【0113】
第8態様は、第7態様のセンサ装置(1)であって、中間部材(4)の振動は、固有周波数(f1)よりも低い周波数で減衰しない。
【0114】
第8態様によれば、中間部材(4)の振動が特定の周波数で減衰しなくなることにより、加速度センサ素子(2)における加速度の検出が干渉されにくくなるため、加速度の検出精度を高めることができる。
【0115】
第9態様は、第7又は第8態様のセンサ装置(1)であって、中間部材(4)の振動は、下記式(2)の関係を満たす、
【0116】
【0117】
式(2)中、ωaは加速度センサ素子(2)内の応答周波数を示し、ω0は固有周波数(f1)を示し、ζは減衰比を示す。
【0118】
第9態様によれば、センサ装置(1)の構造を簡単にさせ、かつセンサ装置(1)のサイズを小さくできる。そして、センサ装置(1)の構造が簡単で、かつサイズが小さくても、センサ装置(1)は、角速度と加速度との両方を検出することができる。
【0119】
第10態様は、第7~第9態様のいずれか1つのセンサ装置(1)であって、中間部材(4)の振動は、互いに直交する3軸の各々において、加速度センサ素子(2)による加速度の検出に干渉しない。
【0120】
第10態様によれば、3軸の各々の加速度を得ることができるため、加速度の検出精度を高めることができる。
【0121】
第11態様は、第1~第10態様のいずれか1つのセンサ装置(1)であって、弾性体(6)は、複数のリードフレーム(61)を備える。複数のリードフレーム(61)は、固定部(71)と中間部材(4)とに接続する。
【0122】
第11態様によれば、センサ装置(1)の構造を簡単にさせ、かつセンサ装置(1)のサイズを小さくできる。そして、センサ装置(1)の構造が簡単で、かつサイズが小さくても、センサ装置(1)は、角速度と加速度との両方を検出することができる。
【0123】
第12態様は、第11態様のセンサ装置(1)であって、角速度センサ素子(3)と、加速度センサ素子(2)とは、複数のリードフレーム(61)のうち少なくとも一部に電気的に接続する。
【0124】
第12態様によれば、センサ装置(1)の構造を簡単にさせ、かつセンサ装置(1)のサイズを小さくできる。そして、センサ装置(1)の構造が簡単で、かつサイズが小さくても、センサ装置(1)は、角速度と加速度との両方を検出することができる。
【符号の説明】
【0125】
1 センサ装置
2 加速度センサ素子
3 角速度センサ素子
34 振動子
4 中間部材
6 弾性体
61 リードフレーム
71 固定部
f1 固有周波数