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  • 特許-生体貼付用シート 図1
  • 特許-生体貼付用シート 図2A
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-12
(45)【発行日】2023-01-20
(54)【発明の名称】生体貼付用シート
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/73 20060101AFI20230113BHJP
   A61K 8/02 20060101ALI20230113BHJP
   A61K 8/81 20060101ALI20230113BHJP
   A61K 9/70 20060101ALI20230113BHJP
   A61K 47/32 20060101ALI20230113BHJP
   A61K 47/34 20170101ALI20230113BHJP
   A61K 47/38 20060101ALI20230113BHJP
【FI】
A61K8/73
A61K8/02
A61K8/81
A61K9/70 401
A61K47/32
A61K47/34
A61K47/38
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020518975
(86)(22)【出願日】2019-02-07
(86)【国際出願番号】 JP2019004367
(87)【国際公開番号】W WO2019220702
(87)【国際公開日】2019-11-21
【審査請求日】2022-01-14
(31)【優先権主張番号】P 2018095743
(32)【優先日】2018-05-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107641
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 耕一
(74)【代理人】
【識別番号】100163463
【弁理士】
【氏名又は名称】西尾 光彦
(72)【発明者】
【氏名】波潟 佑紀
(72)【発明者】
【氏名】川島 知子
(72)【発明者】
【氏名】青木 貴裕
(72)【発明者】
【氏名】谷池 優子
【審査官】松元 麻紀子
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-036235(JP,A)
【文献】特開平03-035077(JP,A)
【文献】特開2014-140978(JP,A)
【文献】特開2001-161741(JP,A)
【文献】国際公開第2017/115018(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/73
A61K 8/02
A61K 8/81
A61K 9/70
A61K 47/32
A61K 47/34
A61K 47/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
5μm以下の厚みを有し、セルロースを含む生体貼付用膜と、
前記生体貼付用膜を支持している支持体と、を備え、
前記支持体は、ハンセン溶解度パラメータにおける水素結合項δHが2~20MPa1/2であり、かつ、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリアクリロニトリル、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、及びポリエチレンイミドからなる群より選ばれる少なくとも1つでできている、
生体貼付用シート。
【請求項2】
前記支持体は、前記生体貼付用膜で覆われた凹凸を含む、請求項1に記載の生体貼付用シート。
【請求項3】
前記支持体は、不織布である、請求項2に記載の生体貼付用シート。
【請求項4】
前記支持体は、20~70g/m2の目付を有する、請求項1~3のいずれか1項に記載の生体貼付用シート。
【請求項5】
前記セルロースは、30,000以上の重量平均分子量を有する再生セルロースである、請求項1~4のいずれか1項に記載の生体貼付用シート。
【請求項6】
前記生体貼付用膜は、20~1300nmの厚みを有する自己支持型膜である、請求項1~5のいずれか1項に記載の生体貼付用シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、生体貼付用シートに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、皮膚及び臓器等の生体組織に貼付するための生体貼付用シートが知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、ナノ薄膜転写シートが記載されている。このナノ薄膜転写シートにおいて、第1の浸透性基材と、ナノ薄膜層と、第2の浸透性基材とがこの順に積層されている。第1の浸透性基材及び第2の浸透性基材は、溶媒を浸透又は透過させることが可能な基材である。ナノ薄膜層は皮膚貼付用の層として使用される。ナノ薄膜層は、例えば、ポリカチオンを含む溶液を用いて形成されるA層と、ポリアニオンを含む溶液を用いて形成されるB層とを有する。第1の浸透性基材と第2の浸透性基材との間に溶解性支持層及びナノ薄膜層を積層して積層体が形成される。その後、第1の浸透性基材及び第2の浸透性基材に溶解性支持層を溶解させる溶媒を浸透又は透過させることで、積層体における溶解性支持層を溶解させて除去することによって、ナノ薄膜転写シートが製造されている。
【0004】
特許文献2によれば、特許文献1に記載のナノ薄膜転写シートの製造において、溶解性支持層が十分に除去されず、浸透性基材がナノ薄膜層からきれいに剥離できない場合があったことが報告されている。特許文献2には、この課題を解決するためのナノ薄層転写シートが記載されている。そのナノ薄層転写シートは、基材と、基材上に積層されたナノ薄膜層とを有し、その基材が所定の不織布である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2015-16612号公報
【文献】特開2017-164930号公報
【非特許文献】
【0006】
【文献】C. M. Hansen, “Hansen solubility parameters: a user’s handbook”, CRC Press, Boca Raton, 2nd edn., 2007
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1及び2に記載の技術において、セルロースを含む所定の生体貼付用膜を安定的に支持でき、かつ、その生体貼付用膜の生体組織への貼付において生体貼付用膜から確実に剥離できる支持体について検討されていない。そこで、本開示は、セルロースを含む所定の生体貼付用膜を安定的に支持でき、かつ、その生体貼付用膜の生体組織への貼付において生体貼付用膜から確実に剥離できる支持体を備えた生体貼付用シートを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示は、
5μm以下の厚みを有し、セルロースを含む生体貼付用膜と、
前記生体貼付用膜を支持している支持体と、を備え、
前記支持体は、ハンセン溶解度パラメータにおける水素結合項δHが2~20MPa1/2である材料でできている、
生体貼付用シートを提供する。
【0009】
開示された実施形態の追加的な効果および利点は、明細書及び図面から明らかになる。効果及び/又は利点は、明細書及び図面に開示された様々な実施形態又は特徴によって個々に提供され、これらの1つ以上を得るために全てを必要とはしない。
【発明の効果】
【0010】
上記の生体貼付用シートの支持体は、セルロースを含む上記の生体貼付用膜を安定的に支持でき、かつ、生体貼付用膜の生体組織への貼付において生体貼付用膜から確実に剥離できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、本開示の生体貼付用シートの一例を模式的に示す断面図である。
図2A図2Aは、本開示の生体貼付用シートの使用方法を示す図である。
図2B図2Bは、本開示の生体貼付用シートの使用方法を示す図である。
図2C図2Cは、本開示の生体貼付用シートの使用方法を示す図である。
図3図3は、本開示の生体貼付用シートの別の一例を模式的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(本開示の基礎となった知見)
特許文献2には、所定の不織布を支持体として用いることにより、例えば、ポリカチオンを含む溶液を用いて形成されるA層と、ポリアニオンを含む溶液を用いて形成されるB層とを有するナノ薄膜層を支持できることが示唆されている。一方、特許文献2に記載の不織布が特許文献2に記載されているナノ薄膜層とは異なる、セルロースを含む生体貼付用膜の支持体として望ましい特性を有するとは限らない。本発明者らの検討によれば、例えば、ポリプロピレン製の不織布は、セルロースを含む生体貼付用膜の支持体として望ましくないことが判明した。そこで、本発明者らは、セルロースを含む生体貼付用膜の支持体として所望の特性を有する材料について日夜検討を重ねた。その結果、ハンセン溶解度パラメータにおける水素結合項δHが所定の範囲にある材料が支持体の材料として適切であることを新たに見出した。本発明者らは、この新たな知見に基づいて本開示の生体貼付用シートを案出した。
【0013】
本開示に係る態様の概要は、以下の通りである。
【0014】
(項目1)
5μm以下の厚みを有し、セルロースを含む生体貼付用膜と、
前記生体貼付用膜を支持している支持体と、を備え、
前記支持体は、ハンセン溶解度パラメータ(HSP)における水素結合項(δH)が2~20MPa1/2である材料でできている、
生体貼付用シート。
【0015】
(項目2)
前記支持体は、前記生体貼付用膜で覆われた凹凸を含む、項目1に記載の生体貼付用シート。
【0016】
(項目3)
前記支持体は、不織布である、項目2に記載の生体貼付用シート。
【0017】
(項目4)
前記支持体は、20~70g/m2の目付を有する、項目1~3のいずれか1つに記載の生体貼付用シート。
【0018】
(項目5)
前記セルロースは、30,000以上の重量平均分子量を有する再生セルロースである、項目1~4のいずれか1つに記載の生体貼付用シート。
【0019】
(項目6)
前記生体貼付用膜は、20~1300nmの厚みを有する自己支持型膜である、項目1~5のいずれか1つに記載の生体貼付用シート。
【0020】
(項目7)
前記支持体は、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリアクリロニトリル、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、及びポリエチレンイミドからなる群から選ばれる少なくとも1つでできている、項目1~6のいずれか1つに記載の生体貼付用シート。
【0021】
(実施形態)
以下、本開示の実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、以下の実施形態は例示に過ぎず、本開示の生体貼付用シートは以下の実施形態に限定されない。以下の実施形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置、及び接続形態、並びに、ステップ及びステップの順序などの事項は、一例であり、本開示を限定する主旨で記載されたものではない。以下の種々の実施形態は、矛盾が生じない限り互いに組み合わせることが可能である。また、以下の実施形態における構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、必須の構成要素と理解されるべきではない。以下の説明において、実質的に同じ機能を有する構成要素は共通の参照符号で示し、説明を省略することがある。また、図面が過度に複雑になることを避けるために、一部の要素の図示を省略することがある。
【0022】
図1に示す通り、生体貼付用シート1aは、生体貼付用膜11と、支持体12(第一支持体)とを備えている。生体貼付用膜11は、5μm以下の厚みを有し、セルロースを含んでいる。支持体12は、生体貼付用膜11を支持している。支持体12は、ハンセン溶解度パラメータ(HSP)における水素結合項δHが2~20MPa1/2である材料でできている。
【0023】
HSPは、材料同士の親和性を評価するパラメータとして知られている。HSPの値(δ)は、分散項δD、極性項δP、及び水素結合項δHと以下の式(1)の関係を有する。
δ2=δD2+δP2+δH2 (1)
【0024】
生体貼付用膜11はセルロースを含んでおり、生体貼付用膜11には多くの親水基が存在する。このため、生体貼付用膜11を支持する支持体と生体貼付用膜11との親和性には、その支持体の材料の水素結合性を定量的に示す水素結合項δHの値が大きく寄与するものと考えられる。材料のδHの値が大きいほど、その材料と生体貼付用膜11との親和性が高く、これらの密着性が高くなる。例えば、材料の蒸発熱からδを求め、ダイポールモーメントと分子体積とからδPを求め、材料の屈折率(例えば、ナトリウムのD線を用いた25℃における測定値)からδDを計算する。そのうえで、上記の式(1)の関係からδHを決定できる(非特許文献1参照)。
【0025】
支持体12の材料のδHは2MPa1/2以上であるので、生体貼付用膜11と支持体12との密着性が高く、支持体12が生体貼付用膜11を安定的に支持できる。一方、支持体12の材料のδHは20MPa1/2以下であるので、生体貼付用膜11を生体組織に貼り付けるときに、支持体12を生体貼付用膜11から確実に剥離できる。このように、生体貼付用シート1aにおいて、支持体12の生体貼付用膜11への密着性と、生体貼付用膜11を生体組織に貼り付けたときの支持体12の剥離性とが高度に両立されている。
【0026】
支持体12の材料は、その材料のδHが2~20MPa1/2である限り、特定の材料に限定されない。支持体12の材料は、有機材料でもよいし、無機材料でもよい。支持体12の材料は、例えば、合成樹脂、天然ゴム等を含む天然高分子、又はガラス等でありうる。支持体12の表面の全体又は一部には化学的又は物理的な表面処理が施されていてもよい。支持体12は、例えば、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリアクリロニトリル、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、及びポリエチレンイミドからなる群から選ばれる少なくとも1つでできている。これらの材料のδHの値を表1に示す。なお、これらの値は、非特許文献1に記載されている。
【0027】
【表1】
【0028】
生体貼付用膜11を平面視したとき生体貼付用膜11の形状は特に限定されない。生体貼付用膜11は、平面視で、円形、楕円形、又は多角形でありうる。生体貼付用膜11は、平面視で、不定形でありうる。なお、支持体12を平面視したときの生体貼付用膜11の形状は生体貼付用膜11の形状と同一であってもよいし、異なっていてもよい。また、支持体12は、平面視において、生体貼付用膜11と同一の寸法を有していてもよいし、異なった寸法を有していてもよい。例えば、単一の支持体12上に複数の生体貼付用膜11が配置されていてもよい。例えば、生体貼付用膜11が平面視で円形状である場合、その直径は約3mmでありうる。
【0029】
図1に示す通り、生体貼付用膜11は、第一主面Sb及び第二主面Sfを有する。支持体12は、生体貼付用膜11の第一主面Sbに接触している。生体貼付用膜11は、支持体12なしでもその形状を保つことができる。支持体12は、生体貼付用膜11の第一主面Sbから剥離可能である。生体貼付用膜11は、所定の強度を有し、支持体12が剥離された状態でも、その形状を保つことができる。
【0030】
生体貼付用膜11は、例えば、23MPa以上の引張り強さを有する。この場合、例えば、生体貼付用膜11を皮膚に貼り付けても生体貼付用膜11が容易に破れることがなく、生体貼付用膜11を長時間皮膚に貼り付けておくことができる。
【0031】
支持体12は、生体貼付用膜11で覆われた凹凸を含んでいてもよい。これにより、支持体12の生体貼付用膜11で覆われた部分において生体貼付用膜11と支持体12とが所々接触しておらず、生体貼付用膜11を生体組織に貼り付けたときに、支持体12を生体貼付用膜11から剥離させやすい。
【0032】
支持体12は、例えば、不織布、織布、エンボス加工された基材、メッシュ材、多数のピンホールを有する基材、ブラスト処理又は化学的処理によって粗面化された表面を有する基材であってもよい。支持体12は、望ましくは不織布である。
【0033】
支持体12は、例えば、20~70g/m2の目付を有する。支持体12が20g/m2以上の目付を有することにより、支持体12と生体貼付用膜11との接触面積が大きくなりやすい。これにより、支持体12と生体貼付用膜11との密着性が所望の状態となり、支持体12が生体貼付用膜11をより確実に安定的に支持できる。一方、支持体12が70g/m2以下の目付を有することにより、支持体12と生体貼付用膜11との接触面積が大きくなりすぎることを防止でき、生体貼付用膜11を生体組織に貼り付けたときに、支持体12を生体貼付用膜11から剥離させやすい。支持体12は、望ましくは25~70g/m2の目付を有し、より望ましくは25~65g/m2の目付を有する。
【0034】
支持体12の密度は、例えば、160~300kg/m3である。
【0035】
生体貼付用膜11に含まれるセルロースは、例えば、実質的に以下の式(I)で表されるセルロースである。ここで、「実質的に式(I)で表されるセルロース」とは、式(I)で表されるセルロースにおけるグルコース残基のヒドロキシル基が90%以上残っているセルロースを意味する。式(I)で表されるセルロースにおけるグルコース残基のヒドロキシル基の数に対する、生体貼付用膜11に含まれるセルロース中のグルコース残基のヒドロキシル基の数の割合は、例えばX線光電子分光(XPS)等の公知の方法で定量できる。なお、生体貼付用膜11に含まれるセルロースは、場合によっては、分岐構造を含んでいてもよい。人工的に誘導体化されたセルロースは、典型的には、「実質的に式(I)で表されるセルロース」には該当しない。一方、「実質的に式(I)で表されるセルロース」からは、誘導体化を経て再生されたセルロースが排除されるわけではない。誘導体化を経て再生されたセルロースであっても、「実質的に式(I)で表されるセルロース」に該当することがある。
【0036】
【化1】
【0037】
本開示の実施形態では、生体貼付用膜11が再生セルロースで構成されている。天然セルロースのファイバーを水などに分散させた懸濁液から形成された膜の強度は、セルロースのファイバーを構成するナノファイバー間の水素結合が担う。そのため、脆いセルロース膜しか得られない。これに対し、再生セルロースで構成された膜では、ナノファイバーが分子鎖の単位までほぐされているので、再生セルロースで構成された膜の強度は、セルロース分子鎖間の水素結合が担うことになる。すなわち、再生セルロースで構成された膜では、ナノファイバーよりも小さい単位同士の水素結合が均一に形成される。そのため、天然セルロースのファイバーを水などに分散させた懸濁液から膜を形成した場合と比較して、高い強度を有し、かつ、脆さを抑制して、適度な柔軟性を有し、かつ、破れにくいセルロース膜を提供することができる。ここで、「ナノファイバー」は、「ナノフィブリル(またはマイクロフィブリル)」とも呼ばれ、セルロース分子が集合した最も基本となる単位であり、約4nmから約100nm程度の幅を有し、例えば約1μm以上の長さを有する。
【0038】
本明細書おいて、「再生セルロース」は、天然セルロースに特有の結晶構造Iを持たないセルロースを意味する。セルロースの結晶構造は、XRDパターンによって確認することが可能である。天然セルロースはCuKα線を用いたXRDパターンにおいて、結晶構造Iに特有の、14-17°および23°付近のピークが現れるが、再生セルロースは、結晶構造IIであることが多く、12°、20°および22°付近にピークを有し、14-17°および23°付近のピークを有しない。
【0039】
例えば、生体貼付用膜11に含まれる再生セルロースの質量基準で90%以上が、化学修飾及び誘導体化がなされていない再生セルロースである。望ましくは、生体貼付用膜11に含まれる再生セルロースの質量基準で98%以上が、化学修飾又は誘導体化がなされていない再生セルロースでありうる。この場合、生体貼付用膜11には、化学修飾及び誘導体化がなされていないセルロースが多く含まれ、セルロースの1分子鎖あたりにより多くの水酸基が含まれると考えられる。このため、セルロースの分子間により多くの水素結合が形成され、生体貼付用膜11が高い強度を有しやすいと考えられる。生体貼付用膜11に含まれる再生セルロースは、未架橋であってもよい。
【0040】
再生セルロースの原料は、特に限定されない。例えば、再生セルロースの原料は、植物由来の天然セルロース、生物由来の天然セルロース、セロハン等の再生セルロース、又はセルロースナノファイバー等の加工されたセルロースでありうる。再生セルロースの原料における不純物の濃度が10重量%以下であることが有利である。
【0041】
さらに、セルロースは、両親媒性を示すので、親水性の有効成分及び疎水性の有効成分を適切に担持でき、生体貼付用膜11は高い汎用性を有する。
【0042】
生体貼付用膜11は、例えば、20~5000nmの厚みを有する。生体貼付用膜11の厚みが20nm以上であれば、生体貼付用膜11は、高い強度を有し、取り扱いやすい。このため、生体貼付用膜11が生体組織に貼り付け可能な自己支持型の膜として機能しうる。生体貼付用膜11の厚みが5000nm以下であれば、生体貼付用膜11を生体組織に装着するときに生体貼付用膜11が容易に装着できる。また、生体貼付用膜11の厚みがこのような範囲であると、例えば、流水によって生体貼付用膜11を生体組織から容易に剥離させることができる。生体貼付用膜11の厚みは、例えば、生体貼付用膜11の厚みを複数箇所測定し、平均することによって決定される。各箇所における厚みは、例えば、ブルカー ナノ インコーポレイテッド製 触針式プロファイリングシステムDEKTAK(登録商標)を用いて測定できる。
【0043】
生体貼付用膜11の厚みは、100nm以上であってもよい。生体貼付用膜11の厚みが100nm以上であると、生体貼付用膜11の強度が高まり、生体貼付用膜11が取り扱いやすい。生体貼付用膜11の厚みは、300nm以上であってもよい。生体貼付用膜11の厚みが300nm以上であると、生体貼付用膜11の強度がより高まり、生体貼付用膜11が破れにくく容易に使用できる。生体貼付用膜11の厚みは、500nm以上であってもよい。生体貼付用膜11の厚みが500nm以上であると、より多くの美容成分等の有効成分を生体貼付用膜11に保持させることができる。生体貼付用膜11の厚みは、2000nm以下であってもよい。生体貼付用膜11の厚みが2000nm以下であると、生体貼付用膜11の生体組織への密着性が高く、皮膚等の生体組織の表面に生体貼付用膜11を安定的に貼り付けることができる。生体貼付用膜11の厚みは、1300nm以下であってもよい。生体貼付用膜11の厚みが1300nm以下であると、生体貼付用膜11の生体組織への密着性がより高く、皮膚等の生体組織の表面に生体貼付用膜11を長時間安定的に貼り付けた状態を維持することができる。
【0044】
生体貼付用膜11に含まれる再生セルロースは、例えば、30,000以上の重量平均分子量を有する。この場合、生体貼付用膜11の厚みを5μm以下に調整しやすい。
【0045】
生体貼付用膜11に含まれるセルロースは、150,000以上の重量平均分子量を有する再生セルロースでありうる。この場合、生体貼付用膜11を20~1300nmの厚みを有する自己支持型膜として作製できる。生体貼付用膜11に含まれるセルロースが高い分子量を有するので、生体貼付用膜11においてセルロースの分子鎖の延びる方向に沿った強度が高く、更に、1分子鎖において、より多くの水酸基が含まれる。これにより、多くの分子間水素結合を形成することが可能となり、薄くても強い膜を形成することが可能と考えられる。なお、本明細書において、「自己支持型膜」とは、支持体なしに膜の形態を維持できる膜を意味する。例えば、指又はピンセットを用いて自己支持型膜の一部をつまんで自己支持型膜を持ち上げたときに、自己支持型膜を破損させることなく、支持体なしに自己支持型膜の全体を持ち上げることが可能である。
【0046】
皮膚に貼り付ける膜の材料としてポリ乳酸が考えられる。しかし、ポリ乳酸は疎水性の材料であるので、膜を貼り付けた生体の部位が蒸れる可能性があり、ポリ乳酸製の膜は長時間の使用には必ずしも適さないと考えられる。一方、セルロースは、生体適合性を有し、直接皮膚に貼り付けた場合であっても、皮膚に対して物理的又は化学的なストレスを与えにくい。しかも、セルロースは、両親媒性を示し、親水性を示しながら水には溶けないという性質を有するので、汗などの水分によって生体貼付用膜11が溶解することがなく、生体貼付用膜11は優れた耐久性を有する。
【0047】
生体貼付用膜11は、例えば、顔及び腕等の部位において皮膚に貼り付けられて使用される。このため、生体貼付用膜11は、典型的には、7mm2以上の面積を有する。これにより、生体貼付用膜11を皮膚に貼り付けるときに広い領域を覆うことができる。なお、生体貼付用膜11は、臓器等の皮膚以外の生体組織の表面に貼り付けられてもよい。生体貼付用膜11を臓器の表面に貼り付けることによって、臓器を保護できる。例えば、臓器同士の癒着を防止できる。
【0048】
生体貼付用膜11に含まれるセルロースは、例えば、0~12%の結晶化度を有する。この場合、結晶構造の形成に関わる水酸基の量が適度に少なく、生体貼付用膜11の生体への密着性が高くなりやすい。なお、水酸基が存在すべきサイトにおいて所定の化学修飾がなされることにより、生体貼付用膜11が様々な機能を発現しうる。
【0049】
生体貼付用膜11は、例えば、0.3~1.5g/cm3のかさ密度を有する。生体貼付用膜11のかさ密度が0.3g/cm3以上であると、生体貼付用膜11は、生体貼付用膜11の形状を保つのに必要な強度を有しやすい。生体貼付用膜11を生体に貼り付ける場合、水及び化粧水等の液体又はクリームである装着剤を生体貼付用膜11と生体との間に付着させる場合がある。また、生体貼付用膜11は、生体に作用する又は生体を保護する、化粧料、美容成分、及び薬効成分等の有効成分を保持する場合もある。例えば、生体貼付用膜11の空隙においてこれらの成分を生体貼付用膜11に保持させることが可能である。生体貼付用膜11が1.5g/cm3以下のかさ密度を有すると、生体貼付用膜11において有効成分が浸透しやすい。生体貼付用膜11において、生体に作用する又は生体を保護する有効成分は、固体、溶液、分散液、又はエマルジョンの状態で生体貼付用膜11の空隙に存在しうる。なお、セルロースの真密度は約1.5g/cm3である。
【0050】
上記の通り、生体貼付用膜11は、生体に作用する又は生体を保護する有効成分を保持し得る。この場合、有効成分は、生体貼付用膜11の内部に存在していてもよいし、生体貼付用膜11の表面に存在していてもよい。生体貼付用膜11が有効成分を保持しているか否かは、例えば、赤外分光法によって確認できる。生体貼付用膜11はセルロースを含み、セルロースは親水性を有するので、生体貼付用膜11には水溶性の成分を保持させることができる。一方、セルロースは親水性に加えて疎水性を有する両親媒性を示すので、疎水性の成分を生体貼付用膜11に保持させることも可能である。生体貼付用膜11に保持されうる水溶性の成分は、例えば、ヒアルロン酸、ビタミンB、ビタミンC、ビタミンCの誘導体、コラーゲン、及びプラセンタである。生体貼付用膜11に保持されうる疎水性の成分は、例えば、ビタミンA、ビタミンE、セラミド、及びフラーレンである。生体貼付用膜11に保持される有効成分は、薬効成分でありうる。薬効成分は、例えば、タクロリムス、硝酸イソソルビド、フィナステリド、及びミノキシジルである。生体貼付用膜11に保持される有効成分は、サンスクリーン剤でありうる。サンスクリーン剤は、例えば、ジオキシベンゾン及び4-メトキシけい皮酸2-エチルヘキシル等の紫外線を吸収する材料、又は、酸化チタン及び酸化亜鉛等の紫外線を散乱させる材料を含有する。
【0051】
生体貼付用膜11は、単層膜であってもよいし、複数の層が積層された積層構造を有する膜であってもよい。生体貼付用膜11が積層構造を有する膜である場合、複数の層に保持される有効成分は、同一であってもよいし、層毎に異なっていてもよい。なお、生体貼付用膜11は、セルロースを含む層と、セルロース以外の材料で形成された層とが積層された積層構造を有していてもよい。
【0052】
生体貼付用膜11の少なくとも一部は、着色されていてもよい。例えば、生体貼付用膜11の少なくとも一部は、皮膚の色に近い色に着色されていてもよい。この場合、皮膚におけるシミ、ほくろ、及び傷痕を生体貼付用膜11で覆って、これらを目立たなくすることができる。なお、傷痕を覆うように皮膚に貼り付けられた生体貼付用膜11は、外部の刺激から傷痕を保護できる。この場合、生体貼付用膜11が傷跡の治療のための薬効成分を保持していてもよい。また、生体貼付用膜11は、印刷によって付与された所定の模様又は色彩を有していてもよい。この場合、例えば、生体貼付用膜11をタトゥーシール等の加飾用シートとして使用できる。
【0053】
生体貼付用膜11は、例えば、1×104g/m2・24h以上の水蒸気透過度 Water Vapour Transmission Rate(WVTR)を有する。これにより、生体貼付用膜11が汗などの水分を通しやすく、生体貼付用膜11を貼り付けた生体の部位が蒸れにくく、蒸れに起因する不快感を低減できる。
【0054】
生体貼付用膜11は、例えば、0°~30°の、水に対する接触角を有する。生体貼付用膜11が水に対してこのような範囲の接触角を示すと、生体貼付用膜11の表面と水分との親和性が高まり、例えば、生体貼付用膜11が肌上の水分を素早く吸水する。その結果、生体貼付用膜11を皮膚に貼り付けたときの生体貼付用膜11の安定性及び快適性が高い。
【0055】
生体貼付用シート1aの使用方法の一例を説明する。生体貼付用シート1aの生体貼付用膜11は、例えば、顔の皮膚に貼り付けられる。生体貼付用膜11は、腕の皮膚に貼り付けられてもよいし、皮膚以外の生体組織に貼り付けられてもよい。図2Aに示す通り、例えば、生体貼付用膜11の第二主面Sfを生体の特定の部位(例えば、皮膚)に向けて生体貼付用シート1aを近づける。このとき、生体の特定の部位又は生体貼付用膜11の第二主面Sf上に液体又はクリームである装着剤を付着させていてもよい。この装着剤は、例えば、水、油脂、アルコール、又は乳化剤を含有しており、前述の1種以上の有効成分をさらに含有していてもよい。
【0056】
次に、生体貼付用膜11の第二主面Sfを生体の特定の部位に接触させて、生体貼付用シート1aを生体の特定の部位に貼り付ける。その後、図2Bに示す通り、生体貼付用膜11の第一主面Sbから支持体12を剥離する。このとき、生体貼付用膜11は生体に貼り付けられた状態で残る。支持体12が完全に剥離されると、図2Cに示す通り、生体貼付用膜11の第一主面Sbの全体が露出する。
【0057】
生体貼付用シート1aの製造方法の一例を説明する。まず、溶媒にセルロースを溶解させてセルロース溶液を調製する。5μm以下の厚みで生体貼付用膜11を形成する観点から、例えば、30,000以上の重量平均分子量を有するセルロースを用いてセルロース溶液を調製する。必要に応じて、生体貼付用膜11が150,000以上の重量平均分子量を有する再生セルロースを含むように、150,000以上の重量平均分子量を有するセルロースを用いてセルロース溶液を調製する。この場合、1300nm以下の厚みを有する、自己支持型膜である生体貼付用膜11を作製できる。セルロース溶液の調製に使用するセルロースは、所望の重量平均分子量を有する限り、特に制限されない。セルロース溶液の調製に使用するセルロースは、例えば、パルプ及び綿花等の植物由来のセルロース、又は、バクテリア等の生物が生成したセルロースでありうる。セルロースの原料における不純物濃度は、例えば10重量%以下である。
【0058】
再生セルロースの重量平均分子量は、2,000,000以下であると取り扱いが容易となるため有用である。更に望ましくは再生セルロースの重量平均分子量は1,000,000以下である。
【0059】
溶媒は、例えば少なくともイオン液体を含有している溶媒(第1溶媒)である。第1溶媒を用いることにより、150,000以上の重量平均分子量を有するセルロースを比較的短時間で溶解させることができる。イオン液体は、アニオンとカチオンとから構成される塩であり、150℃以下の温度において液体状態を示しうる。第1溶媒に含まれるイオン液体は、例えば、アミノ酸又はアルキルリン酸エステルを含むイオン液体である。第1溶媒がこのようなイオン液体を含有していることにより、セルロースの分子量の低下を抑制しながらセルロースを溶解させることができる。特に、アミノ酸は、生体内に存在する成分であるこので、アミノ酸を含むイオン液体は、生体に対してより安全な生体貼付用膜11を形成するのに有利である。
【0060】
セルロースを析出させない溶媒によって予め希釈されたイオン液体を用いてセルロースを溶解してもよい。例えば、第1溶媒として、非プロトン性極性溶媒とイオン液体との混合物を用いてもよい。非プロトン性極性溶媒は、水素結合を形成しにくく、セルロースを析出させにくい。
【0061】
第1溶媒に含まれるイオン液体は、例えば、下記の式(II)で表されるイオン液体である。式(II)で表されるイオン液体において、アニオンがアミノ酸である。式(II)に記載の通り、このイオン液体において、アニオンは、末端カルボキシル基及び末端アミノ基を含んでいる。式(II)で表されるイオン液体のカチオンは、第四級アンモニウムカチオンであってもよい。
【化2】
【0062】
式(II)中、R1~R6は、独立して、水素原子又は置換基を表す。置換基は、アルキル基、ヒドロキシアルキル基、又はフェニル基でありうる。置換器は、炭素鎖に分岐を含んでいてもよい。置換基は、アミノ基、ヒドロキシル基、又はカルボキシル基等の官能基を含んでいてもよい。
【0063】
第1溶媒に含まれるイオン液体は、下記の式(III)で表されるイオン液体であってもよい。式(III)中、R1、R2、R3、及びR4は、独立して、水素原子又は1~4個の炭素原子を有するアルキル基を表す。
【化3】
【0064】
セルロース溶液を調製する工程において、第2溶媒をさらに加えてもよい。例えば、所定の重量平均分子量を有するセルロースと第1溶媒との混合物に第2溶媒をさらに加えてもよい。第2溶媒は、例えば、セルロースを析出させない溶媒である。第2溶媒は、例えば非プロトン性極性溶媒でありうる。
【0065】
セルロース溶液のセルロースの濃度は、典型的には、0.2~15重量%である。セルロース溶液のセルロースの濃度が0.2重量%以上であれば、生体貼付用膜11の厚みを薄くしつつ、その形状を保つのに必要な強度を有する生体貼付用膜11が得られる。また、セルロース溶液のセルロースの濃度が15重量%以下であれば、セルロース溶液におけるセルロースの析出を抑制できる。セルロース溶液のセルロースの濃度は、1~10重量%であってもよい。セルロース溶液のセルロースの濃度が1重量%以上であると、より高い強度を有する生体貼付用膜11が得られる。セルロース溶液のセルロースの濃度が10重量%以下であると、セルロースの析出がより低減された安定したセルロース溶液を調製できる。
【0066】
次に、基板の表面にセルロース溶液を付着させて、基板の表面上に液膜を形成する。基板の表面の水に対する接触角は、例えば90°以下である。この場合、セルロース溶液の基板に対する濡れ性が適切であり、基板の表面に沿って広がりのある液膜を安定的に形成できる。基板の材料は、特に限定されない。基板は、典型的には、平滑な表面を有する非多孔構造を有する。この場合、基板の内部にセルロース溶液が入り込むことを防止でき、後工程において生体貼付用膜11を基板から分離しやすい。
【0067】
基板は、化学的又は物理的な表面改質がなされてもよい。基板として、例えば、紫外線(UV)照射又はコロナ処理等の表面改質処理がなされたポリマー材料の基板を用いてもよい。例えば、表面改質の方法として、表面改質剤の塗布、表面修飾、プラズマ処理、スパッタリング、エッチング、又はブラストが適用されうる。
【0068】
基板にセルロース溶液の液膜を形成する方法は、例えば、アプリケータなどにより基板の表面との間に所定のギャップを形成するギャップコーティング、スロットダイコーティング、スピンコーティング、バーコーターを用いたコーティング(Metering rod coating)、及びグラビアコーティング等の方法である。ギャップの厚み又はスロットダイの開口の大きさと塗工スピード、スピンコートの回転数、又はバーコーター又はグラビアコートの溝の深さや塗工スピードなどにより調整した液膜の厚みと、セルロース溶液の濃度を調整することによって、生体貼付用膜11の厚みを調整可能である。なお、基板にセルロース溶液の液膜を形成する方法は、キャスティング法、スキージを用いたスクリーン印刷、吹付塗装、又は静電噴霧であってもよい。
【0069】
基板にセルロース溶液の液膜を形成するときに、セルロース溶液及び基板の少なくとも一方を加熱してもよい。この加熱は、例えば、セルロース溶液を安定に保つことができる温度範囲(例えば、40~100℃)で実施されてもよい。
【0070】
基板に形成されたセルロース溶液の液膜は、加熱されてもよい。液膜の加熱は、例えば、第1溶媒に含まれるイオン液体の分解温度よりも低い温度(例えば、50~200℃)でなされる。液膜の加熱は、イオン液体の分解温度よりも低く、かつ、第2溶媒の沸点よりも低い温度でなされてもよい。このような温度で液膜の加熱を実行することにより、イオン液体以外の溶媒(例えば、第2溶媒など)を適度に除去でき、生体貼付用膜11の強度が高くなりやすい。加えて、セルロース溶液中の溶媒の突沸に起因する、生体貼付用膜11の品質低下を抑制できる。液膜の加熱は、減圧環境下で実行されてもよい。この場合、溶媒の沸点よりも低い温度でイオン液体以外の溶媒をより短時間で適度に除去できる。
【0071】
基板にセルロース溶液の液膜を形成した後に、液膜はゲル化されてもよい。例えば、イオン液体に溶解可能であり、かつ、セルロースを溶解させない液体の蒸気に液膜を曝すことにより、液膜をゲル化させ、高分子ゲルシートを得ることができる。例えば、30~100%RHの相対湿度の環境下に液膜を放置すると、液膜中のイオン液体が水と接触することにより、液膜におけるセルロースの溶解度が低下する。これにより、セルロース分子の一部が析出し、3次元構造が形成される。その結果、液膜がゲル化する。ゲル化点の有無は、ゲル化した膜を持ち上げることが可能か否かによって判断できる。
【0072】
なお、液膜の加熱は、液膜のゲル化の前に行われてもよいし、液膜のゲル化の後に行われてもよいし、液膜のゲル化の前後で行われてもよい。
【0073】
次に、セルロースを溶解させない液体であるリンス液に、基板及び高分子ゲルシートを浸漬させる。この工程において、高分子ゲルシートからイオン液体が除去される。この工程は、高分子ゲルシートの洗浄の工程と理解されうる。この工程において、イオン液体に加えて、セルロース溶液に含まれていた成分のうち、セルロース及びイオン液体以外の成分(例えば、第2溶媒)の一部が除去されてもよい。リンス液は、典型的には、イオン液体に溶解可能な液体である。このような液体の例は、水、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、オクタノール、トルエン、キシレン、アセトン、アセトニトリル、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、及びジメチルスルホキシドである。
【0074】
次に、高分子ゲルシートから溶媒等の成分を除去する。換言すると、高分子ゲルシートを乾燥させる。このとき、高分子ゲルシートを不織布等の基材の上に置いた状態で高分子ゲルシートを乾燥させると、乾燥後の高分子ゲルシートを基材から分離させやすい。高分子ゲルシートの乾燥方法として、自然乾燥、真空乾燥、加熱乾燥、凍結乾燥、及び超臨界乾燥等の乾燥方法を適用できる。高分子ゲルシートの乾燥方法は真空加熱であってもよい。高分子ゲルシートの乾燥の条件は、特に限定されない。高分子ゲルシートの乾燥の条件として、第2溶媒及びリンス液の除去に十分な時間及び温度が選択される。高分子ゲルシートから溶媒が除去されることによって、生体貼付用膜11が得られる。
【0075】
高分子ゲルシートを乾燥させる工程において、自然乾燥、真空乾燥、又は加熱乾燥を適用することによって、生体貼付用膜11のかさ密度を比較的高くでき、丈夫な生体貼付用膜11を得ることができる。なお、高分子ゲルシートを乾燥させる工程において、凍結乾燥又は超臨界乾燥を適用すると、自然乾燥、真空乾燥、又は加熱乾燥を適用した場合と比較して、低いかさ密度を有する生体貼付用膜11が得られやすい。生体貼付用膜11のかさ密度は、液膜におけるセルロースの濃度及び高分子ゲルシートを乾燥させるときに高分子ゲルシートに留まっている溶媒の種類等の条件によって調整してもよい。生体貼付用膜11のかさ密度が低いと、生体貼付用膜11が、多くの液体成分及び/又は美容成分等の有効成分を保持可能である。
【0076】
高分子ゲルシートを乾燥させる工程において凍結乾燥を適用する場合、例えば、凍結可能であり、かつ、100~200℃付近の沸点を有する溶媒が用いられる。例えば、水、tert-ブチルアルコール、酢酸、1,1,2,2,3,3,4-ヘプタフルオロシクロペンタン、又はジメチルスルホキシド等の溶媒を利用して凍結乾燥を行うことができる。凍結乾燥に用いる溶媒が、リンス液に溶解可能な溶媒であると有利である。ただし、凍結乾燥に用いる溶媒が、リンス液に溶解できないような溶媒であっても、凍結乾燥を適用できる。例えば、高分子ゲルシートのリンス液への浸漬の後、高分子ゲルシートに留まるリンス液をリンス液に溶解可能な溶媒に置換する。さらに、その溶媒を凍結乾燥のための溶媒に置換することによって、高分子ゲルシートの乾燥において凍結乾燥を適用できる。
【0077】
美容成分等の有効成分を保持させるために、高分子ゲルシートの乾燥させる工程の前及び/又は後に有効成分の溶液に浸漬させることがきる。このとき、溶液は、複数の有効成分を含んでいてもよい。溶液における溶媒は、例えば、水、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、オクタノール、トルエン、キシレン、アセトン、アセトニトリル、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、及びジメチルスルホキシドからなる群から選択される少なくとも1つである。溶液への高分子ゲルシートの浸漬に代えて、噴霧法、蒸着、又は塗工によって高分子ゲルシートに粘着成分を付着させてもよい。高分子ゲルシートは、粘着成分の溶液への浸漬とは別に、上記の有効成分を含む溶液、分散液、又はエマルジョンに浸漬されてもよい。
【0078】
このようにして、生体貼付用膜11が得られる。その後、例えば、基材から生体貼付用膜11を分離して支持体12上に重ねることによって生体貼付用シート1aが得られる。なお、高分子ゲルシートを乾燥させる工程において、高分子ゲルシートを置く基材として支持体12を用いてもよい。この場合、生体貼付用シート1aを製造するために、基材から生体貼付用膜11を分離する必要がない。
【0079】
生体貼付用シート1aは、様々な観点から変更可能である。例えば、生体貼付用シート1aは、図3に示す生体貼付用シート1bのように変更されてもよい。生体貼付用シート1bは、特に説明する場合を除き、生体貼付用シート1aと同様に構成されている。生体貼付用シート1aの構成要素と同一又は対応する生体貼付用シート1bの構成要素には、同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。生体貼付用シート1aに関する説明は、技術
的に矛盾しない限り、生体貼付用シート1bにも当てはまる。
【0080】
図3に示す通り、生体貼付用シート1bは、支持体14(第二支持体)をさらに備える。支持体14は、生体貼付用膜11の第二主面Sfに接触している。支持体14は、支持体12の材料と同一種類の材料又は異なる種類の材料でできている。支持体14は、平面視で、生体貼付用膜11と同一の大きさを有していてもよいし、生体貼付用膜11と異なる大きさを有していてもよい。支持体14は、平面視で、支持体12と同一の大きさを有していてもよいし、支持体12と異なる大きさを有していてもよい。支持体14は、典型的には、生体貼付用膜11から剥離可能である。支持体14によれば、生体貼付用シート1bの使用前に生体貼付用膜11を保護できるとともに、生体貼付用シート1bを使用するときに生体貼付用シート1bのハンドリングが容易になる。
【0081】
生体貼付用シート1bを使用するとき、まず、支持体14が生体貼付用膜11から剥離される。これにより、第二主面Sfが露出する。その後、第二主面Sfを生体の特定の部位に近づけ、生体貼付用シート1aの使用方法と同様にして、生体貼付用膜11が生体の特定の部位に貼り付けられる。
【実施例
【0082】
実施例により、本開示の生体貼付用シートをより詳細に説明する。なお、本開示の生体貼付用シートは、以下の実施例に限定されない。
【0083】
(実施例1)
セルロースの純度が90%以上の、木材を原料とした漂白パルプ由来のセルロースを準備した。漂白パルプ由来のセルロースをイオン液体に溶解させることにより、セルロース溶液を調製した。イオン液体としては、上記の式(III)においてR1がメチル基、R2、R3、及びR4のそれぞれがエチル基であるイオン液体を用いた。
【0084】
次に、平坦な表面を有する基板を用意した。ギャップコーティングにより基板の表面にセルロース溶液を塗布し、基板上にセルロース溶液の液膜を形成した。このとき、再生セルロースを含む生体貼付用膜の厚みが200nmとなるように、ギャップの大きさを調整した。セルロース溶液の液膜を形成した後、20℃及び40~60%RHの環境下に基板及び液膜を十分な期間放置することにより、液膜をゲル化させ、高分子ゲルシートを得た。その後、高分子ゲルシートを水中に浸漬させて水洗し、高分子ゲルシートからイオン液体を除去した。その後、洗浄後の基板及び高分子ゲルシートの積層体を、2.8MPa1/2のδHを有するポリエチレンの不織布上に、高分子ゲルシートと不織布とを接触させた状態で重ねた。その後、不織布及び高分子ゲルシートを加熱乾燥させて、実施例1に係る生体貼付用シートを得た。実施例1に係る生体貼付用シートにおいて、高分子ゲルシート由来の生体貼付用膜が不織布によって支持されていた。生体貼付用膜は、透明な外観を有していた。
【0085】
生体貼付用膜において、複数箇所で厚みを測定し、各測定値を平均して生体貼付用膜の厚みdを決定した。実施例1に係る生体貼付用シートの生体貼付用膜の厚みdは、約210nmであった。生体貼付用膜のかさ密度dBは、1.5g/cm3であった。かさ密度dBは、以下の式(2)により求めた。式(2)において、Wは、生体貼付用膜を切り出して作製した試験片の質量であり、dは試験片の厚みであり、Apは、試験片の面積であ
る。
dB=W/(Apd) (2)
【0086】
Park et al. "Cellulose crystallinity index: measurement techniques and their impact on interpreting cellulase performance", Biotechnology for Biofuels 2010, 3:10において報告されている、13C-NMRを利用した方法に従って、実施例1に係る生体貼付用シートの生体貼付用膜の結晶化度を求めた。この方法によれば、固体13C-NMR測定により取得されたスペクトルにおける、87~93ppm付近のピークを結晶構造に由来するピークと扱い、かつ、80~87ppm付近のブロードなピークを非結晶構造に由来するピークと扱う。前者のピーク面積をX、後者のピーク面積をYとしたとき、下記の式(3)から結晶化度が決定される。なお、式(3)において、「×」は、乗算を表す。
(結晶化度)[%]=(X/(X+Y))×100 (3)
【0087】
13C-NMRの測定には、Varian社製Unity Inova-400及びDoty Scientific,Inc.製の5mmのCP/MASプローブを使用し、CP/MAS法を適用した。測定条件は、MAS速度:10kHz、室温(25℃)、試料回転数:10kHz、観測幅:30.2kHz、観測中心:96ppm、観測周波数:100.574MHzであり、CPパルス(1H→13C)法で、観測核90°パルス:3.9μsec、1H励起パルス:3.8μsec、接触時間:2.0msec、待ち時間:10sec以上、積算回数:8,000回とした。この条件でCP法により測定したセルロースの固体13C-NMRスペクトルは、十分な緩和時間を設定したDD(Dipolar Decouple)法により測定した固体13C-NMRスペクトルとよく一致することが確認された。ここで、固体13C-NMRの基準物質はテトラメチルシラン(TMS)を用いた。算出された実施例1に係る生体貼付用シートの生体貼付用膜の結晶化度は、0%であった。
【0088】
実施例1に係る生体貼付用シートの生体貼付用膜の重量平均分子量をGPC(Gel Permeation Chromatography)-MALS(Multi Angle Light Scattering)法により測定したところ、224,000程度であった。この測定には、島津製作所製の送液ユニットLC-20ADを用い、検出器としてWyatt Technology Corporation製、示差屈折率計Optilab rEX及び多角度光散乱検出器DAWN HELEOSを用いた。カラムとしては東ソー株式会社製のTSKgel α-Mを用い、溶媒には塩化リチウムが0.1M添加されたジメチルアセトアミドを用いた。カラム温度:23℃、流速:0.8mL/minの条件で測定を行った。
【0089】
(実施例2)
ポリエチレンの不織布の代わりに、6.6MPa1/2のδHを有するポリエチレンテレフタレートの不織布を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、実施例2に係る生体貼付用シートを作製した。
【0090】
(実施例3)
ポリエチレンの不織布の代わりに、9.1MPa1/2のδHを有するポリアクリルニトリルの不織布を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、実施例3に係る生体貼付用シートを作製した。
【0091】
(比較例1)
ポリエチレンの不織布の代わりに、1.0MPa1/2のδHを有するポリプロピレンの不織布を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、比較例1に係る生体貼付用シートを作製した。しかし、高分子ゲルシート由来の生体貼付用膜は不織布と全く密着せず浮いてしまい、密着性の良い設置が困難であった。
【0092】
(比較例2)
ポリエチレンの不織布の代わりに、24.0MPa1/2のδHを有するナイロン66の不織布を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、比較例2に係る生体貼付用シートを作製した。
【0093】
(比較例3)
ポリエチレンの不織布の代わりに、29.7MPa1/2のδHを有するセルロースの不織布を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、比較例3に係る生体貼付用シートを作製した。
【0094】
(比較例4)
250,000の重量平均分子量を有するポリ乳酸をクロロホルムに溶解させ、1.5重量%のポリ乳酸溶液を調製した。500程度の重量平均分子量を有するポリビニルアルコール膜が予め形成された基板上に、スピンコーティング(回転速度:2000rpm)によってポリ乳酸溶液を塗布し、その後溶媒であるクロロホルムを揮発させた。次に、水への浸漬によりポリビニルアルコールを除去し、得られたポリ乳酸膜をポリエチレンテレフタレートの不織布上に設置した。しかし、ポリ乳酸膜は不織布と全く密着せず浮いてしまい、密着性の良い設置が困難であった。
【0095】
<設置状態の評価>
各実施例及び各比較例に係る生体貼付用シートにおける不織布と生体貼付用膜との密着状態を目視により確認し、以下の評価基準に基づいて、生体貼付用膜の不織布に対する設置状態を評価した。結果を表2に示す。
AA:生体貼付用膜が不織布から浮いている面積が生体貼付用膜の全面積の10%未満である。
A:生体貼付用膜が不織布から浮いている面積が生体貼付用膜の全面積の10%以上かつ50%未満である。
C:生体貼付用膜が不織布から浮いている面積が生体貼付用膜の全面積の50%以上である。
【0096】
<肌への貼付性の評価>
実施例1~3及び比較例2及び3に係る生体貼付用シートの肌への貼付性を以下の方法で評価した。20μLのグリセリン水溶液(グリセリン濃度:30重量%)を肌に滴下し、その後、1.5cm四方の実施例1~3及び比較例2及び3に係る生体貼付用シートの生体貼付用膜を前腕の内側の肌に貼り付け、不織布を剥がした。このとき、生体貼付用膜が不織布から剥離し肌に貼り付いた場合をOK、生体貼付用膜が肌に貼りつかなかった場合をNGと評価した。結果を表2に示す。
【0097】
【表2】
【0098】
表2から、不織布のδHが2MPa1/2以上であると、生体貼付用膜と不織布との密着性が高まり、生体貼付用膜の不織布への安定的な設置が可能となることが分かる。一方で、δHが20MPa1/2以上であると、生体貼付用膜と不織布との密着性が高くなり過ぎてしまい、生体貼付用膜の肌への貼付が困難になることが分かる。このため、不織布のδHが2~20MPa1/2であれば、生体貼付用膜と支持体とが適度に密着し、生体貼付用膜の安定的な支持と生体貼付用膜の簡便な肌への貼付を両立できることが分かる。
【0099】
(実施例4)
ポリエチレンの不織布の代わりに、20g/m2の目付を有するポリエチレンテレフタレートの不織布を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、実施例4に係る生体貼付用シートを作製した。
【0100】
(実施例5)
ポリエチレンの不織布の代わりに、30g/m2の目付を有するポリエチレンテレフタレートの不織布を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、実施例5に係る生体貼付用シートを作製した。
【0101】
(実施例6)
ポリエチレンの不織布の代わりに、40g/m2の目付を有するポリエチレンテレフタレートの不織布を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、実施例6に係る生体貼付用シートを作製した。
【0102】
(実施例7)
ポリエチレンの不織布の代わりに、50g/m2の目付を有するポリエチレンテレフタレートの不織布を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、実施例7に係る生体貼付用シートを作製した。
【0103】
(実施例8)
ポリエチレンの不織布の代わりに、60g/m2の目付を有するポリエチレンテレフタレートの不織布を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、実施例8に係る生体貼付用シートを作製した。
【0104】
(実施例9)
ポリエチレンの不織布の代わりに、70g/m2の目付を有するポリエチレンテレフタレートの不織布を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、実施例8に係る生体貼付用シートを作製した。
【0105】
<設置状態の評価>
実施例1~3及び比較例1~4と同様にして、生体貼付用膜の不織布に対する設置状態を評価した。結果を表3に示す。
【0106】
<肌への貼付性の評価>
実施例4~9に係る生体貼付用シートの生体貼付用膜の肌への貼付性を以下の方法で評価した。市販美容液20μLを肌に滴下した後に、1.5cm四方の実施例4~9に係る生体貼付用シートの生体貼付用膜を前腕の内側の肌に貼り付け、不織布を剥がした。この作業を16枚の生体貼付用シートに対して行い、生体貼付用膜が不織布から剥離して肌に転写された場合を成功とみなして、肌貼付成功率を算出し、生体貼付用膜の肌への貼付性を評価した。結果を表3に示す。
【0107】
【表3】
【0108】
表3から、不織布の目付が25g/m2以上であると、生体貼付用膜と不織布との密着性がより高まり、生体貼付用膜の不織布へのより安定的な設置が可能となることが分かる。一方で、不織布の目付が65g/m2以上になると、生体貼付用膜と不織布の密着性が高く、生体貼付用膜の肌への貼付がうまくいかない場合があることが分かる。以上から、不織布の目付が25~65g/m2であれば、生体貼付用膜と支持体が適度に密着し、生体貼付用膜の安定的な支持と生体貼付用膜のより簡便な肌への貼付を両立できることが分かる。なお、不織布の目付は、20~70g/m2であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0109】
本開示の生体貼付用シートによれば、接着剤なしに生体貼付用膜を皮膚に貼り付けることができ、皮膚に生体貼付用膜が貼り付けられていることを感じさせにくい。また、皮膚に長時間貼り付けられた場合でも皮膚にストレスを与えにくい。生体貼付用膜は、皮膚及び臓器等の生体に貼り付けられうる。生体貼付用シートは、例えば、美容又は医療を目的とした肌保護シート又は肌ケアシートとして利用できる。また、生体貼付用膜は、例えば美容成分等の、生体に作用、または、生体を保護する有効成分を保持可能である。加えて、生体貼付用膜には、色彩又は模様を付することも可能である。本開示の生体貼付用シートは、美容用又は医療用の機能シートの他、保護用又は加飾用の機能性シートとして利用することも可能である。
【符号の説明】
【0110】
1a、1b 生体貼付用シート
11 生体貼付用膜
12 支持体
図1
図2A
図2B
図2C
図3