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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-12
(45)【発行日】2023-01-20
(54)【発明の名称】電解コンデンサ
(51)【国際特許分類】
   H01G 2/02 20060101AFI20230113BHJP
   H01G 9/008 20060101ALI20230113BHJP
   H01G 9/08 20060101ALI20230113BHJP
   H01G 9/10 20060101ALI20230113BHJP
【FI】
H01G2/02 101
H01G9/008 301
H01G9/08 C
H01G9/10 C
H01G9/10 D
H01G9/10 G
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2018529481
(86)(22)【出願日】2017-07-10
(86)【国際出願番号】 JP2017025091
(87)【国際公開番号】W WO2018020993
(87)【国際公開日】2018-02-01
【審査請求日】2020-07-02
(31)【優先権主張番号】P 2016150856
(32)【優先日】2016-07-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2016150857
(32)【優先日】2016-07-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002745
【氏名又は名称】弁理士法人河崎特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】椿 雄一郎
(72)【発明者】
【氏名】青山 達治
(72)【発明者】
【氏名】武田 博
(72)【発明者】
【氏名】増田 美代子
【審査官】田中 晃洋
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-244081(JP,A)
【文献】特開2016-063186(JP,A)
【文献】特開昭60-245106(JP,A)
【文献】実開昭61-046723(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01G 2/02
H01G 9/008
H01G 9/08
H01G 9/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンデンサ素子と、前記コンデンサ素子を収容し、開口を有するケースと、前記開口を封止する封口部材と、前記封口部材を覆うモールド樹脂層と、前記コンデンサ素子に接続し、かつ前記封口部材および前記モールド樹脂層を貫通するリードと、を備え、
前記リードの一部は、前記モールド樹脂層の実装面に近い側において前記モールド樹脂層から引き出され、
前記リードは、前記封口部材を貫通する第1部分と、前記モールド樹脂層の前記実装面に沿って配される第2部分と、前記第1部分と前記第2部分との間で曲がる曲げ部分と、を有し、
前記曲げ部分は湾曲した形状を有し、前記湾曲した形状の一部は前記モールド樹脂層に埋設されており、他の一部は前記モールド樹脂層から引き出されている、電解コンデンサ。
【請求項2】
前記モールド樹脂層が、さらに、前記開口に続く前記ケースの側面の少なくとも一部を覆っている、請求項1に記載の電解コンデンサ。
【請求項3】
前記曲げ部分における前記湾曲した形状の内側の曲率半径Rと、前記モールド樹脂層と前記封口部材との境界面から、前記モールド樹脂層の前記実装面までの厚みTとは、関係式:
0.1≦R/T≦1.0
を満たす、請求項1または2に記載の電解コンデンサ。
【請求項4】
前記モールド樹脂層の前記実装面に、前記リードの前記第2部分を収容する溝部が設けられている、請求項1~3のいずれか1項に記載の電解コンデンサ。
【請求項5】
前記溝部の深さDと、前記第2部分の厚みdとは、関係式:
0.1≦d/D≦2.0
を満たす、請求項4に記載の電解コンデンサ。
【請求項6】
前記モールド樹脂層から前記リードが露出し始める位置において、前記モールド樹脂層に凹部が設けられており、
前記溝部が、前記凹部に続いて、設けられている、請求項4または5に記載の電解コンデンサ。
【請求項7】
前記溝部および前記凹部を、前記実装面を含む平面に投影した場合の合計面積S1と、前記実装面の面積S2とは、関係式:
0.01≦S1/S2≦0.50
を満たす、請求項6に記載の電解コンデンサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、封口部材を覆うモールド樹脂層を備える電解コンデンサに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の電解コンデンサは、図13に示すように、コンデンサ素子110と、コンデンサ素子110を収容し、開口を有するケース111と、ケース111の開口を封止する封口部材112とを備えており、コンデンサ素子110には、電気を取り出すためのリード114A,114Bが接続されている。封口部材112は、高温環境下で酸化により劣化することがあり、封口部材112が劣化すると、電解コンデンサの封止性が低下する。そこで、電解コンデンサの気密性を高めるために、封口部材112を覆うモールド樹脂層113が設けられている。
【0003】
リード114A,114Bの一部は、モールド樹脂層113の実装面113Sの側から引き出されている。リード114A,114Bは、封口部材112を貫通する部分P11a,P11bと、モールド樹脂層113の実装面113Sに沿って配される部分P12a,P12bと、部分P11a,P11bと部分P12a,P12bとの間で屈曲する部分P13a,P13bと、を有する(例えば、特許文献1)。屈曲する部分P13a,P13bは、リード114A,114Bのモールド樹脂層113から露出したところを略垂直に折り曲げることにより形成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開昭60-245106号公報
【発明の概要】
【0005】
本開示の第1の局面に係る電解コンデンサは、コンデンサ素子と、ケースと、封口部材と、モールド樹脂層と、リードと、を備えている。ケースは、コンデンサ素子を収容し、開口を有する。封口部材は、開口を封止する。モールド樹脂層は、封口部材を覆う。リードは、コンデンサ素子に接続し、かつ封口部材およびモールド樹脂層を貫通する。リードの一部は、モールド樹脂層の実装面に近い側においてモールド樹脂層から引き出される。リードは、第1部分と、第2部分と、第1部分と第2部分との間で曲がる曲げ部分とを有している。第1部分は、封口部材を貫通する。第2部分は、モールド樹脂層の実装面に沿って配される。曲げ部分の少なくとも一部が、モールド樹脂層に埋設されている。
【0006】
本開示の第2の局面に係る電解コンデンサは、コンデンサ素子と、ケースと、封口部材と、モールド樹脂層と、リードと、を備えている。ケースは、コンデンサ素子を収容し、開口を有する。封口部材は、開口を封止する。モールド樹脂層は、封口部材を覆う。リードは、コンデンサ素子に接続し、かつ封口部材およびモールド樹脂層を貫通する。リードの一部は、モールド樹脂層の実装面に近い側においてモールド樹脂層から引き出される。リードは、第1部分と、第2部分と、第1部分と第2部分との間で曲がる曲げ部分とを有している。第1部分は、封口部材を貫通する。第2部分は、モールド樹脂層の実装面に沿って配される。モールド樹脂層は、曲げ部分と向かい合う位置に、傾斜部を有する。
【0007】
本開示によれば、封口部材を覆うモールド樹脂層を備える電解コンデンサにおいて、リードの折り曲げ部分に、亀裂や破断が生じることを抑制し、電解コンデンサの信頼性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1実施形態に係る電解コンデンサの概略断面図である。
図2】第1実施形態の変形例に係る電解コンデンサの要部を示す概略断面図である。
図3図2に示す電解コンデンサの下面図である。
図4】第1実施形態の他の変形例に係る電解コンデンサの要部を示す概略断面図である。
図5】第1実施形態に係る電解コンデンサの製造過程におけるモールド樹脂層を形成する前にリードを少し湾曲させた状態の要部を示す概略断面図である。
図6】上記電解コンデンサが備えるコンデンサ素子の構成を説明するための概略図である。
図7】第2実施形態に係る電解コンデンサの概略断面図である。
図8】第2実施形態の変形例に係る電解コンデンサの要部を示す概略断面図である。
図9】第2実施形態他の変形例に係る電解コンデンサの要部を示す概略断面図である。
図10図9に示す電解コンデンサの下面図である。
図11】第2実施形態のさらに他の変形例に係る電解コンデンサの要部を示す概略断面図である。
図12】第2実施形態に係る電解コンデンサの製造過程におけるモールド樹脂層を形成する前にリードを少し湾曲させた状態の要部を示す概略断面図である。
図13】従来の電解コンデンサの要部を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本開示の実施の形態の説明に先立ち、従来技術における問題点を簡単に説明する。図13に示す従来の電解コンデンサでは、リード114A,114Bは、モールド樹脂層113から露出したところで急激に折り曲げられ、モールド樹脂層113の実装面113Sに沿って配される。このような電解コンデンサは、基板に実装された後、振動などにより、屈曲する部分P13a,P13bの内側にストレスが加わることで、応力が集中して、屈曲する部分P13a,P13bが亀裂を生じたり、破断したりする場合がある。この場合、電解コンデンサの信頼性が低下する。
【0010】
本開示の第1実施形態に係る電解コンデンサは、コンデンサ素子と、ケースと、封口部材と、モールド樹脂層と、リードとを備える。ケースは、コンデンサ素子を収容する。封口部材は、ケースの開口を封止する。モールド樹脂層は、封口部材を覆う。リードは、コンデンサ素子に接続し、かつ封口部材およびモールド樹脂層を貫通する。リードの一部は、モールド樹脂層の実装面に近い側においてモールド樹脂層から引き出されている。リードは、第1部分と、第2部分と、第1部分と第2部分との間で曲がる曲げ部分とを有する。第1部分は、封口部材を貫通する。第2部分は、モールド樹脂層の実装面に沿って配される。ここで、曲げ部分の少なくとも一部は、モールド樹脂層に埋設されている。曲げ部分が湾曲する形状を有するため、曲げ部分に、振動などにより応力が加わった場合でも、応力が分散されやすい。また、曲げ部分の少なくとも一部が、モールド樹脂層に埋設されていることにより、曲げ部分に、振動などによる応力が加わりにくくなる。よって、リードに亀裂や破断が生じにくく、電解コンデンサの信頼性が高められる。
【0011】
本開示の第2実施形態に係る電解コンデンサは、コンデンサ素子と、ケースと、封口部材と、モールド樹脂層と、リードとを備える。ケースは、コンデンサ素子を収容する。封口部材は、ケースの開口を封止する。モールド樹脂層は、封口部材を覆う。リードは、コンデンサ素子に接続し、かつ封口部材およびモールド樹脂層を貫通する。リードの一部は、モールド樹脂層の実装面に近い側においてモールド樹脂層から引き出されている。リードは、第1部分と、第2部分と、第1部分と第2部分との間で曲がる曲げ部分とを有する。第1部分は、封口部材を貫通する。第2部分は、モールド樹脂層の実装面に沿って配される。ここで、モールド樹脂層は、曲げ部分と向かい合う位置に傾斜部を有する。傾斜部の存在により、リードを急激に折り曲げることなく加工できるので、リードに亀裂や破断が生じにくく、電解コンデンサの信頼性が高められる。
【0012】
ここで、傾斜部とは、緩やかに角度が変化する部分であり、例えば、テーパー面もしくは曲面を有する部分である。中でも、曲げ部分の内側の中央領域は、モールド樹脂層の傾斜面と面接触するか、複数の点で点接触することが好ましい。
【0013】
より具体的には、傾斜部では、曲げ部分の第1部分側の一端部と向かい合う部分から、曲げ部分の第2部分側の他端部と向かい合う部分にかけて、角度が緩やかに変化するように、傾斜面が構成されていればよい。このような場合、振動などにより曲げ部分にストレスが加わった場合でも、ストレスを分散しやすくなる。角度が緩やかに変化する割合は、一定でもよく、異なっていてもよい。
【0014】
また、傾斜部により、リードを急激に折り曲げることなく加工できるので、リードを曲げ加工する際に封口部材やモールド樹脂層に損傷が生じにくく、ケース内の気密度を維持できる。
【0015】
以下、本開示の実施形態に係る電解コンデンサを、図面を参照しながら詳細に説明するが、本開示は、これに限定されるものではない。
【0016】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る電解コンデンサの概略断面図である。図1に示すように、電解コンデンサは、コンデンサ素子10と、コンデンサ素子10を収容し、開口を有する有底円筒形のケース11と、を備える。ケース11の材料としては、例えば、アルミニウム、ステンレス鋼、銅、鉄、真鍮などの金属あるいはこれらの合金が挙げられる。
【0017】
電解コンデンサは、ケース11の開口を封止する封口部材12と、封口部材12を覆うモールド樹脂層13とを備える。モールド樹脂層13は、封口部材12のケース11の外側に配される主面とともにケース11の開口を覆うように設けられている。ケース11の開口は、コンデンサ素子10を収容した後、封口部材12およびモールド樹脂層13で封止される。ケース11の開口端近傍は、内側に絞り加工されており、絞り加工されたケース11の開口端近傍に封口部材12を嵌めることによりケース11は封止されている。モールド樹脂層13を設けることで、封口部材12の酸化などによる劣化を抑制するとともに、電解コンデンサの封止性をさらに高めている。
【0018】
図1に示すように、モールド樹脂層13が、さらに、開口に続くケース11の側面の少なくとも一部を覆っていることが好ましい。これにより、電解コンデンサの封止性をさらに高めることができる。なお、本実施形態において、モールド樹脂層13はケース11および封口部材12に接着しているが、部分的に接着していない箇所があってもよい。
【0019】
電解コンデンサは、コンデンサ素子10に接続し、かつ、封口部材12およびモールド樹脂層13を貫通する一対のリード14A,14Bを備える。電解コンデンサが基板に実装された際には、リード14A,14Bを介して、コンデンサ素子10と、基板上の端子とが電気的に接続される。
【0020】
リード14A,14Bは、それぞれ、線状部15A,15Bと、線状部15A,15Bにそれぞれ接続したタブ部16A,16Bとを有する。線状部15A,15Bの形状は特に制限されず、例えば、ワイヤ状であってもよく、リボン状であってもよい。線状部15A,15Bとタブ部16A,16Bとは、溶接などにより接続されている。線状部15A,15Bは、例えば、鉄、銅、ニッケル、錫などを含む。線状部15A,15Bは、例えば、アルミニウムを含む。
【0021】
タブ部16A,16Bは、それぞれ、棒状部17A,17Bと、扁平部18A,18Bとを有する。棒状部17A,17Bと扁平部18A,18Bとは、それぞれ、電気的に接続していればよく、一体化していてもよい。例えば、棒状体の一端部を圧延することで扁平部が形成され、圧延されない領域が棒状部として残ることで、扁平部と棒状部とが一体化したタブ部を形成することができる。
【0022】
棒状部17A,17Bの形状は特に制限されず、丸棒状(例えば、断面が円形や楕円形である棒状)であってもよく、角棒状(例えば、断面が多角形である棒状)であってもよい。
【0023】
棒状部17A,17Bは、それぞれ封口部材12を貫通する部分(第1部分)P1a,P1bを含む。棒状部17A,17Bの先端部は、封口部材12のモールド樹脂層13側の面から露出している。線状部15A,15Bは、棒状部17A,17Bの先端部からそれぞれ延びている。棒状部17A,17Bは、それぞれ、扁平部18A,18Bを介して、コンデンサ素子10に接続されている。扁平部18A,18Bを有することで、リード14A,14Bとコンデンサ素子との接続が容易になる。
【0024】
線状部15A,15Bは、モールド樹脂層13の実装面13Sに近い側においてモールド樹脂層13から外部へ引き出されている部分を有し、当該部分は、モールド樹脂層13の実装面13Sに沿って配される部分(第2部分)P2a,P2bを有する。線状部15A,15Bは、それぞれ、部分P1a,P1bと部分P2a,P2bとの間で円弧状に湾曲する曲げ部分P3a,P3bを有する。部分P2aは、曲げ部分P3a側の端部から線状部15Bと反対側の方向に延びるように配されている。部分P2bは、曲げ部分P3b側の端部から線状部15Aと反対側の方向に延びるように配されている。
【0025】
部分P1a,P1bと部分P2a,P2bとの間で曲げ部分P3a,P3bを設けることにより、リード14A,14Bの曲げ部分P3a,P3bに、振動などにより応力が加わった場合でも、曲げ部分P3a,P3bの円弧状に湾曲する形状により応力が分散される。このため、曲げ部分P3a,P3bに亀裂や破断が生じることが抑制され、電解コンデンサの信頼性を高めることができる。
【0026】
また、曲げ部分P3a,P3bの少なくとも一部は、モールド樹脂層13に埋設されている。これにより、曲げ部分P3a,P3bに、振動などによる応力が加わりにくくなり、亀裂や破断が生じることがさらに抑制され、電解コンデンサの信頼性をさらに高めることができる。
【0027】
本実施形態において曲げ部分P3a,P3bはR形状を有し、R形状の内側15a,15bの曲率半径Ra,Rbは、例えば、0.05mm以上、1.00mm以下である。
【0028】
本実施形態では、曲げ部分P3a,P3bはR形状を有するが、曲げ部分P3a,P3bは必ずしもR形状でなくてもよく、リードが湾曲する部分が滑らかに曲がる形状を有していればよい。曲げ部分P3a,P3bは、円弧状であることが好ましく、角部を有さないことが好ましい。
【0029】
図1に示す、モールド樹脂層13と封口部材12との境界面から実装面13Sまでの厚みTは、特に制限されないが、封口部材12の酸化劣化を抑制する観点から、0.5mm以上であることが好ましく、1.0mm以上、3.0mm以下であることがより好ましい。モールド樹脂層の厚みTは、例えば、電解コンデンサの実装面13Sに対して垂直方向に切断した断面において、モールド樹脂層13と封口部材12との境界面から実装面13Sまでのモールド樹脂層の厚みTを数箇所測定し、その平均から求めることができる。本実施形態において、モールド樹脂層13の厚みTは、ケース11の軸方向(図1中のX方向)における厚みであり、後述するモールド樹脂層13の溝部13A,13Bや凹部20A,20Bが設けられていない領域の厚みである。
【0030】
曲げ部分P3aの内側15aの曲率半径Ra(mm)と、モールド樹脂層の厚みT(mm)とは、関係式:
0.1≦Ra/T≦1
を満たすことが好ましい。Ra/Tが上記範囲内である場合、曲げ部分P3aを設けることによる効果が十分に得られる。曲げ部分P3bの場合も、曲げ部分P3aの場合と同様に、曲げ部分P3bの内側15bの曲率半径Rb(mm)と、上記厚みT(mm)とは、上記関係式を満たすことが好ましい。
【0031】
なお、曲げ部分P3a,P3bがR形状でない場合、実装面13Sと垂直な方向における、リードが湾曲し始める箇所(曲げ部分P3a,P3bの内側の箇所)から、リードの湾曲が終了する箇所(曲げ部分P3a,P3bの内側の箇所)までの、高さ寸法をRaとすることができる。
【0032】
図1のように、モールド樹脂層13の実装面13Sに、リード14A,14Bの部分P2a,P2bを収容する細長状の溝部13A,13Bを設けてもよい。溝部13A,13Bに部分P2a,P2bを収容することで、実装面13S付近に部分P2a,P2bを安定して固定し配置することができる。
【0033】
線状部15Aと線状部15Bとの間での外部短絡を防止するため、溝部13Aと溝部13Bとは、一定の距離(例えば、0.5mm以上、5.0mm以下)だけ離して、実装面13Sに直線状に設けられている。
【0034】
溝部13A,13Bの曲げ部分P3a,P3b側の一端部から、他端部に向かって、徐々に溝部13A,13Bの深さが増大するように、溝部13A,13Bの底面13a,13bが傾斜している。線状部15A,15Bを実装面13Sに対して略平行となるよう折り曲げる際に、線状部15A,15Bは元の形状に戻ろうとする力が働く。この点を考慮して上記のように溝部13A,13Bの底面を傾斜させることで、部分P2a,P2bが実装面13Sから過度に飛び出すことがなく、部分P2a,P2bを溝部13A,13B内に収容させることができる。
【0035】
実装面13Sに対する溝部13A,13Bの底面の傾斜角度は、例えば、3°以上、30°以下である。
【0036】
本実施形態では、溝部13A,13Bの底面を傾斜させているが、溝部13A,13Bの底面を傾斜させずに、溝部13A,13Bの深さは一定としてもよい。
【0037】
溝部13Aの深さD1(mm)と、部分P2aの厚みd1(mm)とは、関係式:
0.1≦d1/D1≦2.0
を満たすことが好ましい。溝部13Bの深さD2(mm)、および実装面13Sと垂直な方向における部分P2bの厚みd2(mm)の場合も、D1およびd1の場合と同様に、上記関係式を満たすことが好ましい。ここで、厚みd1,d2は、具体的には、実装面13Sと垂直な方向における部分P2a,P2bの厚みである。
【0038】
本実施形態のように溝部13A,13Bの底面を傾斜させている場合、深さD1,D2は、溝部13A,13Bの曲げ部分P3a,P3b側の一端部における深さ(最小の深さ)を指す。また、リードが扁平形状や板状である場合、実装面13Sと垂直な方向におけるリードの部分P2a,P2bの厚み寸法をd1とすることができる。
【0039】
d1/D1およびd2/D2が上記範囲内である場合、電解コンデンサの基板への実装を安定して行うことができ、電解コンデンサの基板への実装に対する信頼性を高めることができる。d1/D1およびd2/D2は、より好ましくは、0.5以上、1.2以下である。
【0040】
また、別の形態(変形例)として、図2および図3に示すように、モールド樹脂層13からリード14A,14B(線状部15A,15B)が露出し始める位置において、モールド樹脂層13にそれぞれ凹部20A,20Bが設けられていることが好ましい。図2は、第1実施形態の変形例に係る電解コンデンサの要部を示す概略断面図である。図3は、図2に示す電解コンデンサの下面図であり、図2は、図3のII-II断面図である。
【0041】
凹部20A,20Bを設けることで、電解コンデンサを基板に実装するためにリード14A,14Bをはんだ付けする際に、凹部20A,20B内にはんだを収容することができ、はんだの外部への飛散が抑制される。
【0042】
凹部20A,20Bを設ける場合、曲げ部分P3a,P3bの一部がモールド樹脂層13に埋設されていてもよく、曲げ部分P3a,P3bの全体がモールド樹脂層13に埋設されていなくてもよい。
【0043】
溝部13A,13Bは、それぞれ凹部20A,20Bに続いて設けられている。基板への実装時のはんだの外部への飛散を抑制する観点から、凹部20A,20Bは、溝部13A,13Bよりも深いことが好ましい。
【0044】
溝部13A,13Bの最小深さ(曲げ部分P3a,P3bに最も近い端部の深さ)は、例えば、0.1mm以上、2.0mm以下である。
【0045】
凹部20A,20の深さは、例えば、0.1mm以上、1.5mm以下である。
【0046】
溝部13A,13Bおよび凹部20A,20Bの底面は、封口部材12まで達しないことが好ましい。
【0047】
線状部15Aと線状部15Bとの間での外部短絡を防止するため、凹部20Aと凹部20Bとは、一定の距離(例えば、0.5mm以上、5.0mm以下)だけ離して、設けられていることが好ましい。
【0048】
モールド樹脂層に溝部および凹部を設けるための設計上の観点および凹部を設けることによるはんだの外部への飛散防止の観点から、溝部13A,13Bおよび凹部20A,20Bを、実装面13Sを含む平面に投影した場合の合計面積S1(mm)と、実装面13Sの面積S2(mm)とは、関係式:
0.01≦S1/S2≦1.00
を満たすことが好ましい。上記S1は、図3に示す、溝部13Aと、凹部20Aと、溝部13Bと、凹部20Bとを、合計した面積である。上記S2は、図3に示す実装面13Sの面積である。S1/S2は、より好ましくは0.10以上、0.50以下である。
【0049】
凹部20A,20Bを設けない場合、上記S1は、溝部13A,13Bを、実装面13Sを含む平面に投影した場合の面積を指す。
【0050】
図3に示す凹部20A,20Bの形状は四角形状であるが、凹部20A,20Bの形状は特に制限されず、例えば円形状であってもよい。
【0051】
さらに別の形態(他の変形例)として、図4に示すように、凹部20A,20Bは、それぞれ、その底面に窪み部20a,20bを有することが好ましい。窪み部20aは、凹部20Aにおける凹部20B側に設けられている。窪み部20bは、凹部20Bにおける凹部20A側に設けられている。
【0052】
窪み部20a,20bを設けることで、電解コンデンサを基板に実装するためにリード14A,14Bをはんだ付けする際に、凹部および窪み部にはんだが収容され、はんだの外部への飛散がさらに抑制され、線状部15Aと線状部15Bとの間での外部短絡をさらに防ぐことができる。
【0053】
窪み部20a,20bの深さ(凹部20A,20Bの底面からの深さ)は、例えば、0.2mm以上、0.5mm以下である。
【0054】
封口部材12は、絶縁性物質であればよい。絶縁性物質としては弾性体が好ましい。ゴムなどの弾性体を含む封口部材12を用いることで、高い封止性を確保することができる。高い耐熱性が得られ易い観点からは、シリコーンゴム、フッ素ゴム、エチレンプロピレンゴム、クロロスルホン化ポリエチレンゴム(ハイパロンゴムなど)、ブチルゴム、イソプレンゴムなどが好ましい。
【0055】
封口部材12は、ケース11の開口の形状に対応する形状(例えば、円盤状などのディスク状など)を有する。封口部材12は、後述するリード14A,14B(棒状部17A,17B)を通すための孔を有する。孔の形状やサイズは、リード14A,14B(棒状部17A,17B)の形状やサイズに応じて適宜決定すればよい。
【0056】
モールド樹脂層13は、硬化性樹脂組成物の硬化物を含むことが好ましい。硬化性樹脂組成物は、硬化性樹脂に加え、フィラー、硬化剤、重合開始剤、および触媒などのうち少なくとも1つを含んでいてもよい。硬化性樹脂としては、光硬化性樹脂や熱硬化性樹脂が例示される。
【0057】
硬化性樹脂組成物の硬化物のガラス転移点(Tg)は、例えば、100℃以上、300℃以下である。硬化物のTgはリフロー処理時の温度よりも高いことが好ましい。
【0058】
硬化性樹脂としては、例えば、光や熱の作用により硬化または重合する化合物(例えば、モノマー、オリゴマー、プレポリマーなど)が使用される。このような化合物(または硬化性樹脂)としては、例えば、エポキシ化合物、フェノール樹脂、ユリア樹脂、ポリイミド、ポリウレタン、ジアリルフタレート、不飽和ポリエステルなどが挙げられる。硬化性樹脂組成物は、複数の硬化性樹脂を含んでもよい。
【0059】
フィラーとしては、例えば、絶縁性の粒子(無機系、有機系)または繊維などが好ましい。また、フィラーとして、絶縁性の粒子および繊維などを組み合わせて用いてもよい。フィラーを構成する絶縁性材料としては、例えば、シリカ、アルミナなどの絶縁性の化合物(酸化物など)、ガラス、鉱物材料(タルク、マイカ、クレーなど)などが挙げられる。モールド樹脂層は、これらのフィラーを一種含んでもよく、二種以上組み合わせて含んでもよい。モールド樹脂層中のフィラーの含有量は、例えば、10質量%以上、90質量%以下である。
【0060】
硬化剤、重合開始剤、触媒などは、硬化性樹脂の種類に応じて適宜選択される。
【0061】
また、モールド樹脂層13は、熱可塑性樹脂を含んでいてもよい。熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)などが挙げられる。
【0062】
モールド樹脂層13は、射出成形、インサート成形などの成形技術を用いて形成することができる。モールド樹脂層13は、例えば、所定の金型を用いて、硬化性樹脂組成物または熱可塑性樹脂組成物を封口部材12の外面とともにケース11の開口を覆うように所定の箇所に充填して形成することができる。
【0063】
例えば、モールド樹脂層13を形成した後、所定の治具により、線状部15A,15Bのモールド樹脂層13から引き出された部分を湾曲させることで、曲げ部分P3a,P3bが形成され、部分P2a,P2bが溝部13A,13Bに収容される。
【0064】
図5に示すように、モールド樹脂層13を形成する前に、封口部材12から引き出された線状部15A,15Bの基部付近を予め少し湾曲させておくことが望ましい。これにより、モールド樹脂層13内で緩やかに湾曲する曲げ部分P3a,P3bの一部を形成することができる。また、モールド樹脂層13を形成した後、線状部15A,15Bのモールド樹脂層13から引き出された部分を実装面13Sに沿って湾曲させる際に、線状部15A,15Bのモールド樹脂層13から引き出された部分が急激に折れ曲がったり、脆性破壊したりすることが抑制される。さらに、線状部15A,15Bの曲げ加工の際に、封口部材12にかかるストレスを低減することができるため、電解コンデンサの気密性に対する信頼性をより高めることができる。
【0065】
以下、コンデンサ素子10について説明する。
【0066】
コンデンサ素子10は、例えば、図6に示すような巻回体を備えており、巻回体に導電性高分子を付着させることにより作製してもよい。巻回体は、誘電体層を有する陽極箔21と、陰極箔22と、これらの間に介在するセパレータ23と、電解質と、を備えている。導電性高分子は、陽極箔21と陰極箔22との間において、陽極箔21の誘電体層の表面の少なくとも一部を覆うように付着している。コンデンサ素子10において、陽極箔21にはリード14Aが接続され、陰極箔22にはリード14Bが接続されている。
【0067】
陽極箔21および陰極箔22は、セパレータ23を介して巻回されている。巻回体の最外周は、巻止めテープ24により固定される。なお、図6は、巻回体の最外周を止めずに、一部が展開された状態を示している。
【0068】
陽極箔21としては、例えば、表面が粗面化された金属箔が挙げられる。金属箔を構成する金属の種類は特に限定されないが、誘電体層の形成が容易である点から、アルミニウム、タンタル、ニオブなどの弁作用金属、または弁作用金属を含む合金を用いることが好ましい。
【0069】
金属箔表面の粗面化は、公知の方法により行うことができる。粗面化により、金属箔の表面に、複数の凹凸が形成される。粗面化は、例えば、金属箔をエッチング処理することにより行うことが好ましい。エッチング処理は、例えば、直流電解法または交流電解法などにより行ってもよい。
【0070】
誘電体層は、陽極箔21の表面に形成される。具体的には、誘電体層は、粗面化された金属箔の表面に形成されるため、陽極箔21の表面の孔や窪み(ピット)の内壁面に沿って形成される。
【0071】
誘電体層の形成方法は特に限定されないが、金属箔を化成処理することにより形成することができる。化成処理は、例えば、金属箔をアジピン酸アンモニウム溶液などの化成液に浸漬することにより行ってもよい。化成処理では、必要に応じて、金属箔を化成液に浸漬した状態で、電圧を印加してもよい。
【0072】
通常は、量産性の観点から、大判の弁作用金属などで形成された金属箔に対して、粗面化処理および化成処理が行われる。その場合、処理後の箔を所望の大きさに裁断することによって、誘電体層が形成された陽極箔21が準備される。
【0073】
陰極箔22には、例えば、金属箔が使用される。金属の種類は特に限定されないが、アルミニウム、タンタル、ニオブなどの弁作用金属または弁作用金属を含む合金を用いることが好ましい。陰極箔22には、必要に応じて、粗面化または化成処理を行ってもよい。また、粗面化および化成処理を両方行ってもよい。粗面化および化成処理は、例えば、陽極箔21について記載した方法などにより行なうことができる。
【0074】
セパレータ23としては、特に制限されず、例えば、セルロース、ポリエチレンテレフタレート、ビニロン、ポリアミド(例えば、脂肪族ポリアミド、アラミドなどの芳香族ポリアミド)の繊維を含む不織布などを用いてもよい。
【0075】
コンデンサ素子は、公知の方法により作製することができる。例えば、コンデンサ素子は、誘電体層を形成した陽極箔と陰極箔とを、セパレータを介して重ね合わせた後、陽極箔と陰極箔との間に導電性高分子層を形成することにより作製してもよい。誘電体層を形成した陽極箔と陰極箔とを、セパレータを介して巻回することにより、図6に示されるような巻回体を形成し、陽極箔と陰極箔との間に導電性高分子層を形成することにより作製してもよい。巻回体を形成する際、リードを巻き込みながら巻回することにより、図6に示すように、リード14A,14Bを巻回体から植立させてもよい。
【0076】
陽極箔21、陰極箔22およびセパレータ23のうち、巻回体の最外層に位置するもの(図6では、陰極箔22)の外側表面の端部は、巻止めテープで固定される。なお、陽極箔21を大判の金属箔を裁断することによって準備した場合には、陽極箔21の裁断面に誘電体層を設けるために、巻回体などの状態のコンデンサ素子に対し、さらに化成処理を行ってもよい。
【0077】
電解質としては、電解液、固体電解質、またはその両方を用いることができる。
【0078】
電解液としては、非水溶媒であってもよく、非水溶媒とこれに溶解させたイオン性物質(溶質、例えば、有機塩)との混合物であってもよい。非水溶媒は、有機溶媒でもよく、イオン性液体でもよい。非水溶媒としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、スルホラン、γ-ブチロラクトン、N-メチルアセトアミドなどを用いることができる。有機塩としては、例えば、マレイン酸トリメチルアミン、ボロジサリチル酸トリエチルアミン、フタル酸エチルジメチルアミン、フタル酸モノ1,2,3,4-テトラメチルイミダゾリニウム、フタル酸モノ1,3-ジメチル-2-エチルイミダゾリニウムなどが挙げられる。
【0079】
固体電解質は、例えば、マンガン化合物や導電性高分子を含む。導電性高分子としては、例えば、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアニリンおよびこれらの誘導体などを用いることができる。導電性高分子を含む固体電解質は、例えば、原料モノマーを誘電体層上で化学重合または電解重合を行うことにより、または、化学重合および電解重合の両方を行うことにより、形成することができる。あるいは、導電性高分子が溶解した溶液、または、導電性高分子が分散した分散液を、誘電体層に塗布することにより、形成することができる。
【0080】
電解コンデンサでは、リフロー処理、高温環境下での使用、または長期間の使用などにより、電解液などの液体が気化したり、ケース内にガスが溜まったりする場合がある。このような場合、ケースの内圧が高まり、封口部材やモールド樹脂層に応力が加わる。一方、本実施形態の電解コンデンサでは、曲げ部分の少なくとも一部がモールド樹脂層に埋設されることで、リードとモールド樹脂層の接着力を高めることができるので、ケース内にガスを保持する効果を高めることができる。電解液などの液体を含む電解コンデンサでは、ケース内にガスが発生し易いが、電解液などの液体を含む電解コンデンサに、本実施形態に係る電解コンデンサの構造を採用することで、ケース内にガスを保持する効果がより顕著に得られる。
【0081】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態に係る電解コンデンサについて、図面を参照しながら説明する。図7は、第2実施形態に係る電解コンデンサの概略断面図である。図7に示すように、電解コンデンサは、コンデンサ素子10と、コンデンサ素子10を収容し、開口を有する有底円筒形のケース11と、を備える。ケース11の材料としては、例えば、アルミニウム、ステンレス鋼、銅、鉄、真鍮などの金属あるいはこれらの合金が挙げられる。なお、第2実施形態におけるコンデンサ素子10の構成は、上述の第1実施形態と同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0082】
電解コンデンサは、ケース11の開口を封止する封口部材12と、封口部材12の外側に配されるとともにケース11の開口を覆うモールド樹脂層13と、を備える。ケース11の開口は、ケース11にコンデンサ素子10を収容した後、封口部材12およびモールド樹脂層13で封止される。ケース11の開口端近傍は、内側に絞り加工されており、絞り加工されたケース11の開口端近傍に封口部材12を嵌めることによりケース11は封止されている。モールド樹脂層13を設けることで、封口部材12の酸化などによる劣化を抑制するとともに、電解コンデンサの封止性をさらに高めている。
【0083】
図7に示すように、モールド樹脂層13が、さらに、開口に続くケース11の側面の少なくとも一部を覆っていることが好ましい。これにより、電解コンデンサの封止性をさらに高めることができる。なお、本実施形態において、モールド樹脂層13はケース11および封口部材12に接着しているが、部分的に接着していない箇所があってもよい。
【0084】
電解コンデンサは、コンデンサ素子10に接続し、かつ、封口部材12およびモールド樹脂層13を貫通する一対のリード14A,14Bを備える。電解コンデンサが基板に実装された際には、リード14A,14Bを介して、コンデンサ素子10と、基板上の端子とが電気的に接続される。
【0085】
リード14A,14Bは、それぞれ、線状部15A,15Bと、線状部15A,15Bにそれぞれ接続したタブ部16A,16Bとを有する。線状部15A,15Bの形状は特に制限されず、例えば、ワイヤ状であってもよく、リボン状であってもよい。線状部15A,15Bとタブ部16A,16Bとは、溶接などにより接続されている。線状部15A,15Bは、例えば、鉄、銅、ニッケル、錫などを含む。タブ部16A,16Bは、例えば、アルミニウムを含む。
【0086】
タブ部16A,16Bは、それぞれ、棒状部17A,17Bと、扁平部18A,18Bとを有する。棒状部17A,17Bと扁平部18A,18Bとは、それぞれ、電気的に接続していればよく、一体化していてもよい。例えば、棒状体の一端部を圧延することで扁平部が形成され、圧延されない領域が棒状部として残ることで、扁平部と棒状部とが一体化したタブ部を形成することができる。
【0087】
棒状部17A,17Bの形状は特に制限されず、丸棒状(例えば、断面が円形や楕円形である棒状)であってもよく、角棒状(例えば、断面が多角形である棒状)であってもよい。
【0088】
棒状部17A,17Bは、それぞれ封口部材12を貫通する部分(第1部分)P1a,P1bを含む。棒状部17A,17Bの先端部は、封口部材12から、外側(モールド樹脂層13側)に露出している。線状部15A,15Bは、棒状部17A,17Bの先端部からそれぞれ延びている。棒状部17A,17Bは、それぞれ、扁平部18A,18Bを介して、コンデンサ素子10に接続されている。扁平部18A,18Bを有することで、リード14A,14Bとコンデンサ素子10との接続が容易になる。
【0089】
線状部15A,15Bは、モールド樹脂層13から外部へ引き出されている部分を有し、当該部分は、モールド樹脂層13の実装面13Sに沿って配される部分(第2部分)P2a,P2bを有する。線状部15A,15Bは、それぞれ、部分P1a,P1bと部分P2a,P2bとの間で曲がる曲げ部分P3a,P3bを有する。本実施形態において、曲げ部分P3はR形状に曲げられている。部分P2aは、曲げ部分P3a側の端部から線状部15Bと反対側の方向に延びるように配されている。部分P2bは、曲げ部分P3b側の端部から線状部15Aと反対側の方向に延びるように配されている。
【0090】
モールド樹脂層13は、リード14A,14Bの曲げ部分P3a,P3bと向かい合う部位に、傾斜部19A,19Bを有する。したがって、電解コンデンサが基板に実装された後、振動などにより、曲げ部分P3a,P3bにストレスが加わっても、傾斜部19A,19Bによりストレスを分散できるので、曲げ部分P3a,P3bに亀裂や破断が生じることが抑制され、電解コンデンサの信頼性を高めることができる。
【0091】
また、傾斜部19A,19Bを有する場合、リード14A,14Bが曲がる部分に、リードを曲げ易くするための切り込みや押し込みを形成する必要がない。よって、曲げ部分P3a,P3bに亀裂や破断が生じることが更に抑制され、電解コンデンサの信頼性を高めることができる。
【0092】
さらに、リード14A,14Bの曲げ部分P3a,P3bがR形状を有することにより、電解コンデンサが基板に実装された後、リード14A,14Bの曲げ部分P3a,P3bに加わるストレスをさらに低減できる。
【0093】
傾斜部19A,19Bは、曲面で構成されていることが好ましい。この場合、電解コンデンサが基板に実装された後、リード14A,14Bに加わるストレスをさらに低減できる。
【0094】
傾斜部19A,19Bが曲面により構成される場合、傾斜部19A,19Bの曲率半径は、0.05mm以上、1.0mm以下であることが好ましい。傾斜部19A,19Bの曲率半径が上記範囲内である場合、曲げ部分P3a,P3bへのストレスを低減する効果をさらに高めることができる。また、後述するモールド樹脂層13の厚みTとのバランスの観点からも、傾斜部19A,19Bの曲率半径は上記範囲内であることが好ましい。
【0095】
傾斜部19A,19Bの曲率半径は、より好ましくは0.1mm以上、0.5mm以下である。
【0096】
本実施形態では、傾斜部を曲面で構成したが、必ずしも曲面で構成しなくてもよく、傾斜面の形状は特に限定されない。平面で構成してもよく、曲面と平面とを組み合わせて構成してもよい。例えば、傾斜部19A,19Bの代わりに、図8に示すような平面で構成される傾斜部29A,29Bを設けてもよい(変形例)。傾斜部を平面で構成する場合でも、曲げ部分へのストレスを取り除くことができる。
【0097】
また、本実施形態では、部分P1a,P1bと部分P2a,P2bとの間でR形状の曲げ部分P3a,P3bが設けられているが、必ずしもR形状でなくてもよく、部分P1a,P1bと部分P2a,P2bとの間で曲げ部分が設けられていればよい。曲げ部分の形状としては、R形状を含む湾曲形状以外に、例えば、屈曲形状が挙げられる。ここで、湾曲とは、リードの曲がる部分の内側の曲率半径が0.05mm以上である場合を指す。屈曲とは、リードの曲がる部分の内側の曲率半径が0.05mm未満である場合を指す。
【0098】
曲げ部分P3a,P3bがR形状の場合は、屈曲形状と比べて、各リードは比較的緩やかに塑性変形し、脆性破壊が抑制されるため、曲がる部分が亀裂を生じたり、破断したりすることがさらに抑制される。
【0099】
曲げ部分P3a,P3bがR形状の場合、曲げ部分P3a,P3bの内側15a,15bの曲率半径Ra,Rbは、例えば、0.05mm以上、1.0mm以下である。
【0100】
図7に示す、モールド樹脂層13と封口部材12との境界面から実装面13Sまでの厚みTは、特に制限されないが、封口部材12の酸化劣化を抑制する観点から、0.5mm以上であることが好ましく、1.0mm以上、3.0mm以下であることがより好ましい。モールド樹脂層の厚みTは、例えば、電解コンデンサの実装面13Sに対して垂直方向に切断した断面において、モールド樹脂層13と封口部材12との境界面から実装面13Sまでのモールド樹脂層の厚みTを数箇所測定し、その平均から求めることができる。本実施形態において、モールド樹脂層13の厚みTは、ケース11の軸方向(図7中のX方向)における厚みであり、後述するモールド樹脂層13の溝部13A,13Bや凹部20A,20Bが設けられていない領域の厚みである。
【0101】
曲げ部分P3aの内側15aの曲率半径Ra(mm)と、モールド樹脂層13の厚みT(mm)とは、関係式:
0.1≦Ra/T≦1
を満たすことが好ましい。Ra/Tが上記範囲内である場合、曲げ部分P3aをR形状とすることによる効果が十分に得られる。曲げ部分P3bの場合も、曲げ部分P3aの場合と同様に、曲げ部分P3bの内側15bの曲率半径Rb(mm)と、上記厚みT(mm)とは、上記関係式を満たすことが好ましい。
【0102】
なお、曲げ部分P3a,P3bがR形状でない場合、実装面13Sと垂直な方向における、リードが湾曲し始める箇所(曲げ部分P3a,P3bの内側の箇所)から、リードの湾曲が終了する箇所(曲げ部分P3a,P3bの内側の箇所)までの、高さ寸法をRaとすることができる。
【0103】
また、傾斜部19A,19Bの曲率は、曲げ部分P3a,P3bの曲率よりも大きいことが好ましい。
【0104】
図7のように、モールド樹脂層13の実装面13Sに、傾斜部19A,19Bに続いて、リード14A,14Bの部分P2a,P2bを収容する細長状の溝部13A,13Bを設けてもよい。溝部13A,13Bに部分P2a,P2bを収容することで、実装面13S付近に部分P2a,P2bを安定して固定し配置することができる。
【0105】
線状部15Aと線状部15Bとの間での外部短絡を防止するため、溝部13Aと溝部13Bとは、一定の距離(例えば、0.5mm以上、5.0mm以下)だけ離して、実装面13Sに直線状に設けられている。
【0106】
溝部13A,13Bの傾斜部19A,19B側の一端部から、他端部に向かって、徐々に溝部13A,13Bの深さが増大するように、溝部13A,13Bの底面13a,13bが傾斜している。曲げ部分P3a,P3bを形成するために線状部15A,15Bを実装面13Sに対して略平行となるよう折り曲げる際に、線状部15A,15Bは元の形状に戻ろうとする力が働く。この点を考慮して上記のように溝部13A,13Bの底面を傾斜させることで、部分P2a,P2bが実装面13Sから過度に飛び出すことがなく、部分P2a,P2bの全体を溝部13A,13B内に収容させることができる。
【0107】
実装面13Sに対する溝部13A,13Bの底面の傾斜角度は、例えば、3°以上、30°以下である。
【0108】
本実施形態では、溝部13A,13Bの底面を傾斜させているが、溝部13A,13Bの底面を傾斜させずに、溝部13A,13Bの深さは一定としてもよい。
【0109】
溝部13Aの深さD1(mm)と、部分P2aの厚みd1(mm)とは、関係式:
0.1≦d1/D1≦2.0
を満たすことが好ましい。溝部13Bの深さD2(mm)、および部分P2bの厚みd2(mm)の場合も、D1およびd1の場合と同様に、上記関係式を満たすことが好ましい。ここで、厚みd1,d2は、具体的には、実装面13Sと垂直な方向における部分P2a,P2bの厚みである。
【0110】
本実施形態のように溝部13A,13Bの底面を傾斜させている場合、深さD1,D2は、溝部13A,13Bの傾斜部19A,19B側の一端部における深さ(最小深さ)を指す。また、リードが扁平形状や板状である場合、実装面13Sと垂直な方向におけるリードの部分P2a,P2bの厚み寸法をd1とすることができる。
【0111】
d1/D1およびd2/D2が上記範囲内である場合、電解コンデンサの基板への実装を安定して行うことができ、電解コンデンサの基板への実装に対する信頼性を高めることができる。d1/D1およびd2/D2は、より好ましくは、0.5以上、1.2以下である。
【0112】
また、別の形態(他の変形例)として、図9および図10に示すように、モールド樹脂層13からリード14A,14B(線状部15A,15B)が露出し始める部位において、モールド樹脂層13に、それぞれ凹部20A,20Bが設けられていることが好ましい。図9は、第1実施形態の変形例に係る電解コンデンサの要部を示す概略断面図である。図10は、図9に示す電解コンデンサの下面図であり、図9は、図10のIX-IX断面図である。
【0113】
凹部20A,20Bを設けることで、電解コンデンサを基板に実装するためにリード14A,14Bをはんだ付けする際に、凹部20A,20B内にはんだを収容することができ、はんだの外部への飛散が抑制される。
【0114】
図9および図10に示す傾斜部39A,39Bは、凹部20A,20Bの一側面(溝部13A,13B側の側面)を兼ねるように設けられているが、凹部20A,20B内に、別途、傾斜部を設けてもよい。
【0115】
溝部13A,13Bは、それぞれ凹部20A,20Bに続いて設けられている。基板への実装時のはんだの外部への飛散を抑制する観点から、凹部20A,20Bは、溝部13A,13Bよりも深いことが好ましい。
【0116】
溝部13A,13Bの最小深さ(傾斜部39A,39B側の一端部の深さ)は、例えば、0.1mm以上、2.0mm以下である。
【0117】
凹部20A,20Bの深さは、例えば、0.1mm以上、1.5mm以下である。
【0118】
溝部13A,13Bおよび凹部20A,20Bの底面は、封口部材12まで達しないことが好ましい。
【0119】
線状部15Aと線状部15Bとの間での外部短絡を防止するため、凹部20Aと凹部20Bとは、一定の距離(例えば、0.5mm以上、5.0mm以下)だけ離して、設けられていることが好ましい。
【0120】
モールド樹脂層に溝部および凹部を設けるための設計上の観点および凹部を設けることによるはんだの外部への飛散防止の観点から、溝部13A,13Bおよび凹部20A,20Bを、実装面13Sを含む平面に投影した場合の合計面積S1(mm)と、実装面13Sの面積S2(mm)とは、関係式:
0.01≦S1/S2≦1.00
を満たすことが好ましい。上記S1は、図10に示す、溝部13Aと、凹部20Aと、溝部13Bと、凹部20Bと、を合計した面積である。上記S2は、図10に示す実装面13Sの面積である。S1/S2は、より好ましくは0.10以上、0.50以下である。
【0121】
凹部20A,20Bを設けない場合、上記S1は、溝部13A,13Bを、実装面13Sを含む平面に投影した場合の面積を指す。
【0122】
図10に示す凹部20A,20Bの形状は四角形状であるが、凹部20A,20Bの形状は特に制限されず、例えば円形状であってもよい。
【0123】
さらに別の形態(さらに他の変形例)として、図11に示すように、凹部20A,20Bは、それぞれ、その底面に窪み部20a,20bを有することが好ましい。窪み部20aは、凹部20Aにおける凹部20B側に設けられている。窪み部20bは、凹部20Bにおける凹部20A側に設けられている。
【0124】
窪み部20a,20bを設けることで、電解コンデンサを基板に実装するためにリード14A,14Bをはんだ付けする際に、凹部20A,20Bおよび窪み部20a,20bにはんだが収容され、はんだの外部への飛散がさらに抑制され、線状部15Aと線状部15Bとの間での外部短絡をさらに防ぐことができる。
【0125】
窪み部20a,20bの深さ(凹部20A,20Bの底面からの深さ)は、例えば、0.2mm以上、0.5mm以下である。
【0126】
封口部材12は、絶縁性物質であればよい。絶縁性物質としては弾性体が好ましい。ゴムなどの弾性体を含む封口部材12を用いることで、高い封止性を確保することができる。高い耐熱性が得られ易い観点からは、シリコーンゴム、フッ素ゴム、エチレンプロピレンゴム、クロロスルホン化ポリエチレンゴム(ハイパロンゴムなど)、ブチルゴム、イソプレンゴムなどが好ましい。
【0127】
封口部材12は、ケース11の開口の形状に対応する形状(例えば、円盤状などのディスク状など)を有する。封口部材12は、後述するリード14A,14B(棒状部17A,17B)を通すための孔を有する。孔の形状やサイズは、リード14A,14B(棒状部17A,17B)の形状やサイズに応じて適宜決定すればよい。
【0128】
モールド樹脂層13は、硬化性樹脂組成物の硬化物を含むことが好ましい。硬化性樹脂組成物は、硬化性樹脂に加え、フィラー、硬化剤、重合開始剤、および触媒などのうちの少なくとも1つを含んでいてもよい。硬化性樹脂としては、光硬化性樹脂や熱硬化性樹脂が例示される。
【0129】
硬化性樹脂組成物の硬化物のガラス転移点(Tg)は、例えば、100℃以上、300℃以下である。硬化物のTgはリフロー処理時の温度よりも高いことが好ましい。
【0130】
硬化性樹脂としては、例えば、光や熱の作用により硬化または重合する化合物(例えば、モノマー、オリゴマー、プレポリマーなど)が使用される。このような化合物(または硬化性樹脂)としては、例えば、エポキシ化合物、フェノール樹脂、ユリア樹脂、ポリイミド、ポリウレタン、ジアリルフタレート、不飽和ポリエステルなどが挙げられる。硬化性樹脂組成物は、複数の硬化性樹脂を含んでもよい。
【0131】
フィラーとしては、例えば、絶縁性の粒子または繊維などが好ましい。また、フィラーとして、絶縁性の粒子および繊維などを組み合わせて用いてもよい。フィラーを構成する絶縁性材料としては、例えば、シリカ、アルミナなどの絶縁性の化合物(酸化物など)、ガラス、鉱物材料(タルク、マイカ、クレーなど)などの無機質材料が挙げられる。モールド樹脂層は、これらのフィラーを一種含んでもよく、二種以上組み合わせて含んでもよい。モールド樹脂層中のフィラーの含有量は、例えば、10質量%以上、90質量%以下である。また、モールド樹脂層に耐熱性を高めるために添加剤を加えてもよい。
【0132】
硬化剤、重合開始剤、触媒などは、硬化性樹脂の種類に応じて適宜選択される。
【0133】
また、モールド樹脂層13は、熱可塑性樹脂を含んでいてもよい。熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)などが挙げられる。
【0134】
モールド樹脂層13は、射出成形、インサート成形などの成形技術を用いて形成することができる。モールド樹脂層13は、例えば、所定の金型を用いて、硬化性樹脂組成物または熱可塑性樹脂組成物を封口部材12の外面とともにケース11の開口を覆うように所定の箇所に充填して形成することができる。
【0135】
例えば、モールド樹脂層13を形成した後、所定の治具により、線状部15A,15Bのモールド樹脂層13から引き出された部分を湾曲させることで、曲げ部分P3a,P3bが形成され、部分P2a,P2bが溝部13A,13Bに収容される。
【0136】
モールド樹脂層13に傾斜部を設けることにより、線状部15A,15Bのモールド樹脂層13から引き出された部分を曲げる際に、当該部分が急激に折れ曲がったり、脆性破壊したりすることを抑制することができる。傾斜部39A,39Bは、曲面で構成されている場合、モールド樹脂層から引出されたリードを曲げる際に、リードを傾斜部39A,39Bの曲面に沿って円弧状に曲げ易い。
【0137】
図12に示すように、モールド樹脂層13を形成する前に、封口部材12から引き出された線状部15A,15Bの基部付近を予め少し湾曲させておくことが望ましい。これにより、モールド樹脂層13内で緩やかに湾曲する曲げ部分P3a,P3bの一部を形成することができる。また、モールド樹脂層13を形成した後、線状部15A,15Bのモールド樹脂層13から引き出された部分を実装面13Sに沿って湾曲させる際に、線状部15A,15Bのモールド樹脂層13から引き出された部分が急激に折れ曲がったり、脆性破壊したりすることが抑制される。さらに、線状部15A,15Bの曲げ加工の際に、封口部材12にかかるストレスを低減することができるため、電解コンデンサの気密性に対する信頼性をより高めることができる。
【0138】
電解コンデンサでは、リフロー処理、高温環境下での使用、または長期間の使用などにより、電解液などの液体が気化したり、ケース内にガスが溜まったりする場合がある。このような場合、ケースの内圧が高まり、封口部材やモールド樹脂層に応力が加わる。一方、本開示では、傾斜部により、リードを急激に折り曲げることなく加工できるので、リードを曲げ加工する際に封口部材やモールド樹脂層に損傷が生じにくく、ケース内にガスを保持する効果を維持できる。電解液などの液体を含む電解コンデンサでは、ケース内にガスが発生し易いが、電解液などの液体を含む電解コンデンサに、本開示に係る電解コンデンサの構造を採用することで、ケース内にガスを保持する効果がより顕著に得られる。
【産業上の利用可能性】
【0139】
本開示は、封口部材およびモールド樹脂層を備える電解コンデンサ(蓄電デバイス、ハイブリッド型電解コンデンサ、固体電解コンデンサなど)に利用することができる。
【符号の説明】
【0140】
10,110:コンデンサ素子
11,111:ケース
12,112:封口部材
13,113:モールド樹脂層
13A,13B:溝部
13a,13b:溝部の底面
14A,14B,114A,114B:リード
15A,15B:線状部
15a,15b:曲げ部分の内側
16A,16B:タブ部
17A,17B:棒状部
18A,18B:扁平部
19A,19B,29A,29B,39A,39B:傾斜部
20A,20B:凹部
20a,20b:窪み部
21:陽極箔
22:陰極箔
23:セパレータ
24:巻止めテープ
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