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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-12
(45)【発行日】2023-01-20
(54)【発明の名称】農用資材供給装置
(51)【国際特許分類】
   A01C 15/00 20060101AFI20230113BHJP
   A01C 11/00 20060101ALI20230113BHJP
   A01M 9/00 20060101ALI20230113BHJP
【FI】
A01C15/00 D
A01C11/00 302
A01M9/00 D
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019004697
(22)【出願日】2019-01-15
(65)【公開番号】P2020110118
(43)【公開日】2020-07-27
【審査請求日】2021-09-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(73)【特許権者】
【識別番号】000142643
【氏名又は名称】株式会社啓文社製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】園田 義昭
(72)【発明者】
【氏名】木村 達二
【審査官】吉田 英一
(56)【参考文献】
【文献】実開平04-048927(JP,U)
【文献】実開昭54-069277(JP,U)
【文献】特開平05-059864(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01C 15/00
A01C 11/00
A01M 9/00
A01C 7/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
圃場に供給する農用資材が貯留される資材タンクと
前記資材タンクに接続されて、前記資材タンクから農用資材を取り出し、取り出した農用資材を圃場に供給する取出し供給部と、が備えられ、
前記資材タンクは、タンク本体と、前記タンク本体に開閉軸芯まわりに揺動可能に支持されて、前記タンク本体の資材投入口を開閉する蓋体と、前記タンク本体と前記蓋体とにわたって設けられ、前記蓋体を前記タンク本体に揺動可能に支持させるヒンジ機構と、を有し、
前記ヒンジ機構は、前記タンク本体に設けられるとともに第1ピン穴が形成された支持部と、前記蓋体に設けられるとともに第2ピン穴が形成された連結部と、前記第1ピン穴及び前記第2ピン穴に挿入されるとともに前記開閉軸芯を有し、前記連結部を前記支持部に揺動可能に連結するヒンジピンと、を有し、
前記ヒンジピンは、前記ヒンジピンの中間部に形成されるとともに前記第1ピン穴及び前記第2ピン穴に挿入されて、前記連結部を前記支持部に揺動可能に連結する連結ピン部と、前記ヒンジピンのうちの前記連結ピン部よりも両端側の部分に形成されるとともに前記連結ピン部の外径よりも大きい外径を備えて、前記第1ピン穴及び前記第2ピン穴からの前記ヒンジピンの抜け出しを阻止する抜止め鍔部と、を有し、
前記抜止め鍔部は、前記第1ピン穴及び前記第2ピン穴を通るとき、前記抜止め鍔部の外径が前記第1ピン穴の穴径及び前記第2ピン穴の穴径よりも小さくなるように弾性変形可能に構成され
前記抜止め鍔部が、前記ヒンジピンの端部側ほど小径となる傾斜姿勢のガイド部を有し、前記ガイド部と重複する位置から前記連結ピン部に亘る領域で、前記ヒンジピンの直径方向に貫通する貫通穴が形成されている農用資材供給装置。
【請求項2】
前記両端側の抜止め鍔部のうちの一端側の抜止め鍔部のみが前記弾性変形可能に構成され、
前記両端側の抜止め鍔部のうちの他端側の抜止め鍔部が位置する側における前記ヒンジピンの端が平坦面状に形成されている請求項1に記載の農用資材供給装置。
【請求項3】
前記支持部が一対備えられ、かつ、前記連結部が一対備えられ、
前記一対の支持部のうちの一方の支持部と前記一対の連結部のうちの前記一方の支持部に対応する一方の連結部とを有する第1連結対象部と、前記一対の支持部のうちの他方の支持部と前記一対の連結部のうちの前記他方の支持部に対応する他方の連結部とを有する第2連結対象部と、が備えられ、
前記第1連結対象部と前記第2連結対象部とに振り分けて前記第1連結対象部及び前記第2連結対象部に装着される第1連結ピン部分と第2連結ピン部分とが前記連結ピン部の一端側部分と他端側部分とに振り分けて備えられ、
前記貫通穴は、前記第1連結ピン部分及び前記第2連結ピン部分のうちの第1連結ピン部分のみに対応させて備えられている請求項に記載の農用資材供給装置。
【請求項4】
前記ヒンジピンは、樹脂製である請求項1からのいずれか一項に記載の農用資材供給装置。
【請求項5】
前記タンク本体は、農用資材が貯留される貯留部と、前記貯留部の下部から下向きに延ばされて前記取出し供給部に接続される筒状部と、を有し、
前記取出し供給部は、前記資材タンクから農用資材を取り入れる取出し供給ケースと、前記取出し供給ケースの上部に形成されて前記筒状部に内嵌される環状の接続部と、を有し、
前記筒状部が前記貯留部に一体形成されている請求項1からのいずれか一項に記載の農用資材供給装置。
【請求項6】
前記筒状部の内面側に補強リブが形成されており、
前記補強リブの下部に、前記接続部に対して上方から当接する当り部が形成されている請求項に記載の農用資材供給装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圃場に供給する農用資材が貯留される資材タンクと、前記資材タンクに接続されて、前記資材タンクから農用資材を取り出し、取り出した農用資材を圃場に供給する取出し供給部と、が備えられ、前記資材タンクは、タンク本体と、前記タンク本体に開閉軸芯まわりに揺動可能に支持されて、前記タンク本体の資材投入口を開閉する蓋体と、を有する農用資材供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
上記した農用資材供給装置として、例えば特許文献1に示されるように、農用資材としての種籾を圃場に播種する直播装置、農用資材としての薬剤を圃場に供給する施薬装置、農用資材としての肥料を圃場に供給する施肥装置がある。直播装置では、種子タンクとしての種子貯留部と、種子貯留部から種子を繰り出し、繰り出した種子を圃場に播種する種子繰出部と、が備えられ、種子貯留部に、タンク本体としての種子ホッパと、種子ホッパに揺動可能に支持されて、種子ホッパの種子投入口としての種子補給口を開閉する蓋体と、が備えられている。施薬装置では、薬剤タンクとしての薬剤貯留部と、薬剤貯留部から薬剤を繰り出し、繰り出した薬剤を圃場に供給する薬剤繰出部と、が備えられ、薬剤貯留部に、タンク本体としての薬剤ホッパと、薬剤ホッパに揺動可能に支持されて、薬剤ホッパの薬剤投入口としての薬剤補給口を開閉する蓋体と、が備えられている。施肥装置では、肥料タンクとしての肥料貯留部と、肥料貯留部から肥料を繰り出し、繰り出した肥料を圃場に供給する肥料繰出部と、が備えられ、肥料貯留部に、タンク本体としての肥料ホッパと、肥料ホッパに揺動可能に支持されて、肥料ホッパの肥料投入口としての肥料補給口を開閉する蓋体と、が備えられている。
【0003】
資材タンクは、タンク本体と、タンク本体に開閉軸芯まわりに揺動可能に支持されて、タンク本体の資材投入口を開閉する蓋体と、を有する農用資材供給装置では、タンク本体と蓋体とにわたって設けられ、蓋体をタンク本体に揺動可能に支持させるヒンジ機構が備えられる。そして、ヒンジ機構として、タンク本体に設けられる支持部と、蓋体に設けられる連結部と、連結部を支持部に揺動可能に連結するとともに開閉軸芯を有するヒンジピンと、を備えるものがある。従来、このようなヒンジ機構として、連結部及び支持部の一方がヒンジピンを握持するよう構成することにより、ヒンジピンの抜け止めを行わせるものがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2015-97502号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の場合、蓋体をタンク本体に取付ける作業を行うのに、連結部及び支持部の一方の強い装着反力に抗してヒンジピンを連結部及び支持部に嵌め込まねばならず、工具が必要になり、かつ、強い嵌め込み力が必要になるので、手間が掛かる。
【0006】
本発明は、タンク本体に対する蓋体の取付けを楽にかつ迅速にできる農用資材供給装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明による農用資材供給装置は、
圃場に供給する農用資材が貯留される資材タンクと、
前記資材タンクに接続されて、前記資材タンクから農用資材を取り出し、取り出した農用資材を圃場に供給する取出し供給部と、が備えられ、
前記資材タンクは、タンク本体と、前記タンク本体に開閉軸芯まわりに揺動可能に支持されて、前記タンク本体の資材投入口を開閉する蓋体と、前記タンク本体と前記蓋体とにわたって設けられ、前記蓋体を前記タンク本体に揺動可能に支持させるヒンジ機構と、を有し、
前記ヒンジ機構は、前記タンク本体に設けられるとともに第1ピン穴が形成された支持部と、前記蓋体に設けられるとともに第2ピン穴が形成された連結部と、前記第1ピン穴及び前記第2ピン穴に挿入されるとともに前記開閉軸芯を有し、前記連結部を前記支持部に揺動可能に連結するヒンジピンと、を有し、
前記ヒンジピンは、前記ヒンジピンの中間部に形成されるとともに前記第1ピン穴及び前記第2ピン穴に挿入されて、前記連結部を前記支持部に揺動可能に連結する連結ピン部と、前記ヒンジピンのうちの前記連結ピン部よりも両端側の部分に形成されるとともに前記連結ピン部の外径よりも大きい外径を備えて、前記第1ピン穴及び前記第2ピン穴からの前記ヒンジピンの抜け出しを阻止する抜止め鍔部と、を有し、
前記抜止め鍔部は、前記第1ピン穴及び前記第2ピン穴を通るとき、前記抜止め鍔部の外径が前記第1ピン穴の穴径及び前記第2ピン穴の穴径よりも小さくなるように弾性変形可能に構成され
前記抜止め鍔部が、前記ヒンジピンの端部側ほど小径となる傾斜姿勢のガイド部を有し、前記ガイド部と重複する位置から前記連結ピン部に亘る領域で、前記ヒンジピンの直径方向に貫通する貫通穴が形成されている。
【0008】
本構成によると、支持部の第1ピン穴、及び、連結部の第2ピン穴にヒンジピンを挿入していくと、抜止め鍔部が第1ピン穴及び第2ピン穴を通るとき、抜止め鍔部に対する支持部及び連結部の押圧作用によって抜止め鍔部が縮径側に弾性変形されて抜止め鍔部の外径が第1ピン穴及び第2ピン穴の穴径よりも小さくなり、抜止め鍔部が第1ピン穴及び第2ピン穴を通り抜けて行く。抜止め鍔部が第1ピン穴及び第2ピン穴を通り抜けて支持部及び連結部に対して挿入方向下手側に位置すると、抜止め鍔部に対する支持部及び連結部の押圧がなくなって抜止め鍔部が弾性復元し、抜止め鍔部の外径が第1ピン穴及び第2ピン穴の外径よりも大きい元の大きさになり、ヒンジピンが先に第1ピン穴及び第2ピン穴に挿入された方向と反対方向に第1ピン穴及び第2ピン穴から抜け出ることが元の大きさの外径に弾性復元した抜け止め鍔部によって阻止される。
本構成によると、貫通穴を備えるだけの簡素な構造で抜止め鍔部の弾性変形が可能になるので、タンク本体に対する蓋体の取付けを楽にかつ迅速に行える。また、本構成によると、ガイド部による案内によって抜止め鍔部を第1ピン穴及び第2ピン穴に挿入しやすいので、かつ、抜止め鍔部の縮径のために弾性変形するヒンジピン部分の範囲が広くなって抜止め鍔部を弾性変形させ易いので、ヒンジピンを第1ピン穴及び第2ピン穴により楽にかつスムーズに挿入できる。
【0009】
従って、ヒンジピンを第1ピン穴及び第2ピン穴に向けて押し操作するだけで楽にかつスムーズに、ヒンジピンを連結部と支持部とにわたって装着でき、かつ、ヒンジピンの連結部及び支持部からの抜け出しが両端側の抜止め鍔部によって阻止される状態になり、タンク本体に対する蓋体の取付けを楽にかつ迅速に行える。
【0014】
本発明においては、前記両端側の抜止め鍔部のうちの一端側の抜止め鍔部のみが前記弾性変形可能に構成され、前記両端側の抜止め鍔部のうちの他端側の抜止め鍔部が位置する側における前記ヒンジピンの端が平坦面状に形成されていると好適である。
【0015】
本構成によると、平坦面状の端を押し操作することにより、ヒンジピンを第1ピン穴及び第2ピン穴に挿入するための操作力をヒンジピンに付与し易いので、ヒンジピンを第1ピン穴及び第2ピン穴により楽にかつスムーズに挿入できる。
【0016】
本発明においては、前記支持部が一対備えられ、かつ、前記連結部が一対備えられ、前記一対の支持部のうちの一方の支持部と前記一対の連結部のうちの前記一方の支持部に対応する一方の連結部とを有する第1連結対象部と、前記一対の支持部のうちの他方の支持部と前記一対の連結部のうちの前記他方の支持部に対応する他方の連結部とを有する第2連結対象部と、が備えられ、前記第1連結対象部と前記第2連結対象部とに振り分けて前記第1連結対象部及び前記第2連結対象部に装着される第1連結ピン部分と第2連結ピン部分とが前記連結ピン部の一端側部分と他端側部分とに振り分けて備えられ、前記貫通穴は、前記第1連結ピン部分及び前記第2連結ピン部分のうちの第1連結ピン部分のみに対応させて備えられていると好適である。
【0017】
本構成によると、第1連結対象部及び第2連結対象部の一方における支持部と連結部とは、第2連結ピン部分に比して連結強度が貫通穴のために低い第1連結ピン部分によって連結されるが、第1連結対象部及び第2連結対象部の他方における支持部と連結部とは、第1連結ピン部分に比して連結強度が高い第2連結ピン部分によってしっかり連結されるので、貫通穴の作用によってヒンジピンを容易に装着できながら、蓋体をタンク本体にしっかり支持させることができる。
【0018】
本発明においては、前記ヒンジピンは、樹脂製であると好適である。
【0019】
本構成によると、ヒンジピンを樹脂材によって作製できるので、ヒンジピンを安価に得られる。
【0020】
本発明においては、前記タンク本体は、農用資材が貯留される貯留部と、前記貯留部の下部から下向きに延ばされて前記取出し供給部に接続される筒状部と、を有し、前記取出し供給部は、前記資材タンクから農用資材を取り入れる取出し供給ケースと、前記取出し供給ケースの上部に形成されて前記筒状部に内嵌される環状の接続部と、を有し、前記筒状部が前記貯留部に一体形成されていると好適である。
【0021】
本構成によると、タンク本体に筒状部を一体形成できるので、筒状部を備えるタンク本体を製作容易にかつ安価に得られる。
【0022】
本発明においては、前記筒状部の内面側に補強リブが形成されており、前記補強リブの下部に、前記接続部に対して上方から当接する当り部が形成されていると好適である。
【0023】
本構成によると、資材タンクの荷重を取出し供給ケースに受止め支持させる連結部材に補強リブを活用した簡素な構造の支持構造によって資材タンクを取出し供給ケースによってしっかり支持させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】乗用型田植機の全体を示す左側面図である。
図2】乗用型田植機の全体を示す平面図である。
図3】農用資材供給装置を示す前面図である。
図4図3のIV-IV断面矢視図である。
図5図3のV-V断面矢視図である。
図6図4のVI-VI断面矢視図である。
図7図3のVII-VII断面矢視図である。
図8】ヒンジ機構を示す断面図である。
図9】ヒンジ機構を示す斜視図である。
図10】ヒンジピンを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の一例である実施形態を図面に基づいて説明する。
なお、以下の説明では、乗用型田植機の走行機体に関し、図1,2に示される矢印Fの方向を「機体前方」、矢印Bの方向を「機体後方」、図1に示される矢印Uの方向を「機体上方」、矢印Dの方向を「機体下方」、図2に示される矢印Lの方向を「機体左方」、矢印Rの方向を「機体右方」とする。
【0026】
図1,2に示されるように、乗用型田植機は、左右一対の前車輪1が操向可能かつ駆動可能に装備され、左右一対の後車輪2が駆動可能に装備された走行機体を備えている。走行機体の前部に、エンジン3を有する原動部4が形成されている。走行機体の後部に、運転座席5、及び、前車輪1を操向操作するステアリングホィール6を有する乗用型の運転部7が形成されている。走行機体の機体フレーム8の後部にリンク機構9を介して苗植付装置10が連結されている。苗植付装置10は、機体フレーム8に対するリンク機構9の上下揺動作動によって接地フロート11が圃場面に接地した下降作業状態と、接地フロート11が圃場面に対して上方に離れた上昇非作業状態とにわたって昇降操作される。走行機体の後部に、苗植付装置10による植付苗に粉粒状の肥料を供給する施肥装置20が設けられている。苗植付装置10の後部に、除草用の粉粒状の薬剤を苗植付装置10の後方で走行機体の横幅方向に散布する農用資材供給装置30が設けられている。
【0027】
〔苗植付装置の構成について〕
苗植付装置10は、図1,2に示されるように、走行機体の横幅方向に間隔を空けて並ぶ4つの植付伝動ケース12などによって構成された植付機体13を備えている。4つの植付伝動ケース12それぞれの後部の両横側部分に、苗植付機構14が駆動可能に支持されている。植付機体13の上方に、走行機体の横幅方向に並ぶ八つの苗載置部を有する一つの苗載台15が設けられている。苗載台15は、苗植付機構14の苗植え運動に連動する状態で横方向に往復移送され、各苗載置部に載置されたマット状苗を苗載置部に対応する苗植付機構14に対して左右方向に往復移送する。これにより、各苗植付機構14の一対の植付アーム14aが交互に、苗載置部に載置されたマット状苗から植付け用苗を取り出し、取り出した植付け用苗を保持して圃場に下降して圃場に植え付ける。植付機体13の下部に、走行機体の横幅方向に並べられ、下降作業状態の苗植付装置10を支持し、かつ、圃場のうちの苗植付機構14による苗植付け箇所を苗植付機構14の苗植付けに先立って整地する五つの接地フロート11が支持されている。苗植付装置10は、走行機体の横幅方向に並ぶ八つの苗植付機構14による苗植え付け、すなわち、八条植えの苗植え付けが可能になっている。
【0028】
〔施肥装置の構成について〕
施肥装置20は、図1、2に示されるように、走行機体の横幅方向に並べられた二つの肥料タンク21と、各肥料タンク21の下部に接続された肥料繰出し供給部22と、肥料繰出し供給部22に接続された送風ブロワ23と、を備えている。二つの肥料タンク21の一方の肥料タンク21に接続された肥料繰出し供給部22から四本の施肥ホース24が苗植付装置10に向けて延ばされ、二つの肥料タンク21の他方の肥料タンク21に接続された肥料繰出し供給部22から四本の施肥ホース24が苗植付装置10に向けて延ばされている。八本の施肥ホース24は、八つの苗植付機構14それぞれの横側方に一つずつ設けられた計八つの施肥器25に各別に接続されている。
【0029】
施肥装置20においては、二つの肥料タンク21のそれぞれに接続された肥料繰出し供給部22が肥料タンク21から粉粒状の肥料を繰り出し、繰り出した肥料を送風ブロワ23からの風によって四本の施肥ホース24に供給する。各施肥器25が苗植付機構14による苗付け箇所の横側方で圃場に溝を形成し、形成した溝に施肥ホース24によって供給された肥料を供給する。
【0030】
〔農用資材供給装置の構成について〕
農用資材供給装置30は、図1,2に示されるように、平面視で苗植付装置10の左右方向での中央部に配置された状態で支持フレーム16に支持されている。支持フレーム16による農用資材供給装置30の支持は、資材タンク30Aが上端側ほど前方に位置する前傾の傾斜姿勢になる状態で行われている。支持フレーム16は、四つの植付伝動ケース12のうち、苗植付装置10の左右方向での中心を挟んで隣り合う植付伝動ケース12から上向きに延ばされている。
【0031】
農用資材供給装置30は、図1,3に示されるように、粉粒状の薬剤が貯留される資材タンク30Aと、資材タンク30Aの下部に接続された取出し供給部30Bと、を備えている。取出し供給部30Bは、資材タンク30Aから薬剤を取り出し、取り出した薬剤を苗植付装置10の後方で走行機体の左右方向に飛散させ、圃場のうちの苗植付装置10の横方向での植付範囲に相当する部分に散布することにより、薬剤を圃場に供給する。
【0032】
図5,6に示されるように、資材タンク30Aにおけるタンク本体31に、農用資材が貯留される貯留部31bと、貯留部31bの下部から下向きに延ばされた筒状部32とが備えられている。筒状部32は、タンク本体31を成形するとき、貯留部31bに一体成形されている。タンク本体31及び筒状部32は、樹脂製である。図6に示されるように、筒状部32の内面側に補強リブ33が一体成形されている。補強リブ33は、筒状部32の周方向での複数箇所に設けられている。取出し供給部30Bにおける取出し供給ケース40の上部に環状の接続部41が形成されている。接続部41が筒状部32に内嵌する状態で筒状部32と接続部41とを接続することにより、資材タンク30Aと取出し供給部30Bとが接続されている。資材タンク30Aは、取出し供給ケース40に対して上方に取り外し可能である。筒状部32と接続部41とが接続された状態において、各補強リブ33の下部に形成されている当り部33aが接続部41に対して上方から当接している。資材タンク30Aの荷重が取出し供給ケース40によって補強リブ33を介して下方から受け止め支持される。筒状部32の両横側において、資材タンク30Aを取出し供給ケース40に固定するパチン錠34(図3参照)が筒状部32と取出し供給ケース40とにわたって設けられている。
【0033】
〔取出し供給部の構成について〕
取出し供給部30Bは、図3,4,5,6に示されるように、取出し供給ケース40を備えている。取出し供給ケース40は、図3,5に示されるように、取出し供給ケース40の前部に取付けられた連結部材42を介して支持フレーム16に支持されている。
【0034】
取出し供給ケース40は、図3,4,5,6,7に示されるように、接続部41を有する繰出し供給ケース部43と、繰出し供給ケース部43の下部に接続された原動機構ケース部44と、原動機構ケース部44の左側部に接続された左散布ケース部46と、原動機構ケース部44の右側部に接続された右散布ケース部47と、を備えている。繰出し供給ケース部43、原動機構ケース部44、左散布ケース部46及び右散布ケース部47のそれぞれは、樹脂製である。
【0035】
図4,5,6に示されるように、繰出し供給ケース部43に、繰出し供給部材48が収容されている。繰出し供給部材48の上下向きの回転支軸49が繰出し供給ケース部43のボス部43a、及び、金属支持部材50としての板金部材が有するボス部50bに回転可能に支持されている。繰出し供給部材48は、回転支軸49を揺動支点にして揺動可能な状態で金属支持部材50に支持されている。金属支持部材50は、原動機構ケース部44の内部に設けられている。金属支持部材50の前部の左右側部に下向きの折曲げ連結部50aが備えられている。左右の折曲げ連結部50aが原動機構ケース部44の左右の横壁部51dに連結されており、金属支持部材50は、原動機構ケース部44に支持されている。繰出し供給部材48の遊端側部分に、一対の繰出し供給穴48aが開口されている。繰出し供給部材48は、回転支軸49に設けられた駆動ギヤ52によって回転支軸49を揺動支点して左右方向に往復揺動する状態で駆動され、一対の繰出し供給穴48aによってタンク本体31の漏斗部31aから薬剤を繰り出す。一方の繰出し供給穴48aは、繰り出した薬剤を左散布ケース部46の内部に連通する左供給穴53に落下させて左散布ケース部46の内部に供給する。他方の繰出し供給穴48aは、繰り出した薬剤を右散布ケース部47の内部に連通する右供給穴54に落下させて右散布ケース部47の内部に供給する。図5,6に示される38は、漏斗部31aの薬剤排出口を開閉するシャッターである。シャッター38は、操作レバー38aの揺動作動によってスライド操作されて開閉する。
【0036】
図6に示されるように、右散布ケース部47の内部のうちの右供給穴54の下方の箇所に右飛散部材56が回転可能に収容されている。図6,7に示されるように、右散布ケース部47の下部に右散布口47aが下向きに開口されている。右散布ケース部47においては、繰出し供給部材48によって右散布ケース部47の内部に供給された薬剤が右飛散部材56に供給されて右飛散部材56によって右散布ケース部47の内部に飛散される。飛散された薬剤が右散布ケース部47の内部に形成された右案内部に当って右案内部によって案内され、右散布口47aから圃場のうち、苗植付装置10の植付範囲の右側半部に対応する部分に散布される。
【0037】
図6に示されるように、左散布ケース部46の内部のうちの左供給穴53の下方の箇所に左飛散部材55が回転可能に収容されている。右散布ケース部47と同様に、左散布ケース部46の下部に左散布口46aが下向きに開口されている。左散布ケース部46においては、繰出し供給部材48によって左散布ケース部46の内部に供給された薬剤が左飛散部材55に供給されて左飛散部材55によって左散布ケース部46の内部に飛散される。飛散された薬剤が左散布ケース部46の内部に形成された左案内部に当って左案内部によって案内され、左散布口46aから圃場のうち、苗植付装置10の植付範囲の左側半部に対応する部分に散布される。
【0038】
原動機構ケース部44は、図4,5,6に示されるように、底壁部44aと、底壁部44aの後部における左端部分から上向きに突設された左区画壁51aと、底壁部44aの後部における右端部分から上向きに突設された右区画壁51bと、底壁部44aのうちの左区画壁51a及び右区画壁51bよりも前側の部分における左右端部分から上向きに突設された横壁部51dと、底壁部44aの前端部分から上向きに突設された前縦壁部51cと、を備えている。底壁部44a、左区画壁51a、右区画壁51b、横壁部51d及び前縦壁部51cによって囲われた空間Sに、繰出し供給部材48、左飛散部材55及び右飛散部材56に向けて動力を出力する電気原動機構45が収容されている。
【0039】
電気原動機構45は、空間Sのうちの前側部分に収容され、繰出し供給部材48に向けて動力を出力する繰出し電動モータ57と、空間Sのうちの後側部分に収容され、左飛散部材55及び右飛散部材56に向けて動力を出力する一つの飛散電動モータ59と、を備えている。図4,5に示されるように、繰出し電動モータ57は、金属支持部材50の下面側に支持されている。繰出し電動モータ57の出力軸57aの先端側部分が金属支持部材50の開口から金属支持部材50の上方に突出されている。出力軸57aの先端側部分に相対回転可能に設けられた出力ギヤ58と、駆動ギヤ52とが噛み合わされている。図4,5,6に示されるように、飛散電動モータ59は、左区画壁51a及び右区画壁51bに支持されている。飛散電動モータ59の左出力軸59aの先端側部分が左区画壁51aの開口を通して左散布ケース部46の内部に挿入され、左出力軸59aの先端側部分に左飛散部材55が相対回転不能に支持されている。飛散電動モータ59の右出力軸59bの先端側部分が右区画壁51bの開口を通して右散布ケース部47の内部に挿入され、右出力軸59bの先端側部分に右飛散部材56が相対回転不能に支持されている。
【0040】
図6に示されるように、左区画壁51aは、底壁部44aから飛散電動モータ59のモータ本体と左飛散部材55との間に向けて立設されている。左散布ケース部46の内部と、原動機構ケース部44の内部とが左区画壁51aによって区画されている。右区画壁51bは、底壁部44aから飛散電動モータ59のモータ本体と右飛散部材56との間に向けて立設されている。右散布ケース部47の内部と、原動機構ケース部44の内部とが右区画壁51bによって区画されている。左散布ケース部46や右散布ケース部47の内部で塵埃が発生しても、塵埃が左区画壁51aや右区画壁51bに当って飛散電動モータ59に付着しにくい。
【0041】
〔資材タンクの構成について〕
資材タンク30Aは、図1,3,5に示されるように、薬剤が貯留されるタンク本体31と、タンク本体31の上部に上向きに開口する状態で設けられた資材投入口35を開閉する蓋体36と、を備えている。図3,5に示されるように、蓋体36とタンク本体31とにわたり、蓋体36をタンク本体31に開閉軸芯Pまわりに揺動可能に支持させる左右一対のヒンジ機構70が設けられている。蓋体36は、走行機体の横幅方向に沿う方向の開閉軸芯Pまわりにタンク本体31に対して上昇揺動して資材投入口35を開く開姿勢と、開閉軸芯Pまわりにタンク本体31に対して下降揺動して資材投入口35を閉じる閉姿勢とにわたって上下揺動可能な状態でタンク本体31に支持されている。本実施形態では、ヒンジ機構70は、蓋体36の前部とタンク本体31の前部とにわたって設けられ、蓋体36は、タンク本体31に対してタンク本体31の前側に開く前開き式になっているが、これに限らない。ヒンジ機構70を蓋体36の後部とタンク本体31の後部とにわたって設け、蓋体36をタンク本体31に対してタンク本体31の後側に開く後開き式に構成してもよい。また、ヒンジ機構70を蓋体36の横側部とタンク本体31の横側部とにわたって設け、蓋体36をタンク本体31に対してタンク本体31の横側に開く横開き式に構成してもよい。
【0042】
〔ヒンジ機構の構成について〕
左右のヒンジ機構70は、図8,9に示されるように、タンク本体31に設けられた一対の支持部71と、一対の支持部71の両横外側に分かれて位置する状態で蓋体36に設けられた一対の連結部72と、各支持部71に形成された第1ピン穴73と各連結部72に形成された第2ピン穴74とにわたって挿入されたヒンジピン75と、を有している。ヒンジピン75は、開閉軸芯Pを有し、一対の連結部72を一対の支持部71に対して開閉軸芯Pまわり揺動可能に連結している。
【0043】
ヒンジピン75は、図8,9,10に示されるように、ヒンジピン75の中間部に形成されるとともに第1ピン穴73及び第2ピン穴74に挿入されて、連結部72を支持部71に揺動可能に連結する連結ピン部76と、ヒンジピン75のうちの連結ピン部76よりも両端側の部分に形成された抜止め鍔部77と、を備えている。両端側の抜止め鍔部77のうちの一端側の抜止め鍔部77aの外径D2は、連結ピン部76の外径D1よりも大きく、かつ、第1ピン穴73及び第2ピン穴74の穴径よりも大きく設定されている。両端側の抜止め鍔部77のうちの他端側の抜止め鍔部77bの外径D3は、連結ピン部76の外径D1よりも大きく、かつ、第1ピン穴73及び第2ピン穴74の穴径よりも大きく設定されている。本実施形態では、他端側の抜止め鍔部77bの外径D3は、一端側の抜止め鍔部77aの外径D2よりも大きく設定されているが、これに限らない。両端側の抜止め鍔部77の外径を同じ大きさに設定してもよい。ヒンジピン75の第1ピン穴73及び第2ピン穴74からの抜け出しが両端側の抜止め鍔部77によって阻止される。すなわち、ヒンジピン75が連結部72及び支持部71から抜け出そうとすると、両端側の抜止め鍔部77のうちの抜け出し方向下手側の抜止め鍔部77が連結部72の側面に当接してヒンジピン75の抜け出しを阻止する。
【0044】
図8,9,10に示されるように、ヒンジピン75の一端部に、一端側の抜止め鍔部77aを第1ピン穴73及び第2ピン穴74に入るように案内するガイド部80が備えられている。ガイド部80は、一端側の抜止め鍔部77aからヒンジピン75の端79まで延びる状態で、かつ、端79に至るほど外径が小径になる状態で備えられている。ヒンジピン75のうちの一端側の抜止め鍔部77aに対応する部位に、この部位をヒンジピン75の直径方向に通る貫通穴78が備えられている。
【0045】
連結ピン部76に、第1連結ピン部分Xと第2連結ピン部分Yとが連結ピン部76の一端側部分と他端側部分とに振り分けて備えられている。本実施形態では、第1連結ピン部分Xは、連結ピン部76のうち、一端側の抜止め鍔部77a及びガイド部80と隣り合う方の端側部分に備えられている。第2連結ピン部分Yは、連結ピン部76のうち、他端側の抜止め鍔部77aと隣り合う方の端側部分に備えられている。貫通穴78は、第1連結ピン部分X及び第2連結ピン部分Yのうちの第1連結ピン部分Xのみに対応させて備えられている。貫通穴78は、ガイド部80に対応する部位まで延ばされている。
【0046】
一対の支持部71のうち、資材タンク30Aの横外側の方に位置する外側の支持部71と、一対の連結部72のうち、外側の支持部71に対応する方の連結部72と、を有する連結対象部を第1連結対象部L1とし、一対の支持部71のうち、資材タンク30Aの横内側の方に位置する内側の支持部71と、一対の連結部72のうち、内側の支持部71に対応する方の連結部72と、を有する連結対象部を第2連結対象部L2とする。第1連結ピン部分X及び第2連結ピン部分Yは、第1連結対象部L1と第2連結対象部L2とに振り分けて、かつ、第1連結対象部L1と第2連結対象部L2とに入れ替えて第1連結対象部L1及び第2連結対象部L2に装着可能である。
【0047】
すなわち、一対の支持部71及び一対の連結部72に対して資材タンク30Aの横外側の方からヒンジピン75が装着される場合、第1連結ピン部分Xは、第2連結対象部L2に装着されて第2連結対象部L2における支持部71と連結部72とを連結し、第2連結ピン部分Yは、第1連結対象部L1に装着されて第1連結対象部L1における支持部71と連結部72とを連結する。一対の支持部71及び一対の連結部72に対して資材タンク30Aの横内側の方からヒンジピン75が装着される場合、第1連結ピン部分Xは、第1連結対象部L1に装着されて第1連結対象部L1におけるの支持部71と連結部72とを連結し、第2連結ピン部分Yは、第2連結対象部L2に装着されて第2連結対象部L2における支持部71と連結部72とを連結する。
【0048】
第1連結ピン部分Xは、連結ピン部76の両端側部分のうちの一端側の抜止め鍔部77aが位置し、かつ、ガイド部80が位置する方の端側部分に備えられ、第2連結ピン部分Yは、連結ピン部76の両端側部分のうちの他端側の抜止め鍔部77bが位置する方の端側部分に備えられている。貫通穴78は、第1連結ピン部分X及び第2連結ピン部分Yのうちの第1連結ピン部分Xのみに対応させて備えられている。貫通穴78は、ガイド部80に対応する部位まで延びる状態で備えられている。
【0049】
一端側の抜止め鍔部77aが第1ピン穴73を通るとき、抜止め鍔部77aに対する支持部71の押圧によって抜止め鍔部77aが縮径側に弾性変形されて抜止め鍔部77aの外径が第1ピン穴73の穴径よりも小さくなることを貫通穴78によって可能にされている。一端側の抜止め鍔部77aが第2ピン穴74を通るとき、抜止め鍔部77aに対する連結部72の押圧によって抜止め鍔部77aが縮径側に弾性変形されて抜止め鍔部77aの外径が第2ピン穴74の穴径よりも小さくなることを貫通穴78によって可能にされている。すなわち、一端側の抜止め鍔部77aが第1ピン穴73を通るとき、支持部71が抜止め鍔部77aを押圧し、一端側の抜止め鍔部77aが第2ピン穴74を通るとき、連結部72が抜止め鍔部77aを押圧する。すると、ヒンジピン75のうちの貫通穴78を有する部位Zのうちの他端側の抜止め鍔部77bに近い側の部分を縮径変形の支点側の部分にして、かつ、部位Zのうちの抜止め鍔部77bの側と反対側の端79に近い側の部分を縮径変形の支点側の部分にして、部位Zが縮径変形(弾性変形)し、抜止め鍔部77aが縮径側に弾性変形する。
【0050】
図9,10に示されるように、ガイド部80が位置する側と反対側の抜止め鍔部77bが位置するヒンジピン75の端81は、平坦面に形成されている。連結ピン部76のうちの貫通穴78と抜止め鍔部77bとの間の部分は、横断面形状が十字状になるように構成されている。ヒンジピン75は、全体にわたって樹脂製である。
【0051】
蓋体36をタンク本体31に取付ける際、ヒンジ機構70を次の組み立て要領に基づいて組み立てる。
本実施形態では、第1連結ピン部分Xが第2連結対象部L2に装着され、第2連結ピン部分Yが第1連結対象部L1に装着されているが、第1連結ピン部分Xを第1連結対象部L1に装着し、第2連結ピン部分Yを第2連結対象部L2に装着してもよい。
すなわち、一対の支持部71が一対の連結部72の間に位置し、第1ピン穴73の中心と第2ピン穴74の中心とが合致する位置関係でタンク本体31と蓋体36とが位置するように、タンク本体31に対する蓋体36の位置調節を行う。第1ピン穴73の中心と第2ピン穴74の中心とが合致すると、ヒンジピン75のガイド部80の先端部を一対の連結部72のうちの一方の連結部72の第2ピン穴74に入れる。ガイド部80の先端部が第2ピン穴74に入ると、平坦面の端81を押し操作する。すると、一端側の抜止め鍔部77aがガイド部80によって案内されて第2ピン穴74に入り、連結部72の押圧による抜止め鍔部77aの縮経操作によって抜止め鍔部77aの外径が第2ピン穴74の穴径よりも小さくなって、抜止め鍔部77aが第2ピン穴74を通り抜ける。抜止め鍔部77aが第2ピン穴74を通り抜けると、抜止め鍔部77aがガイド部80によって案内されて一方の支持部71の第1ピン穴73に入る。すると、支持部71の押圧による抜止め鍔部77aの縮経操作によって抜止め鍔部77aの外径が第1ピン穴73の穴径よりも小さくなって、抜止め鍔部77aが第1ピン穴73を通り抜ける。さらに、平坦面の端81を押し操作する。すると、ガイド部80の先端部が他方の支持部71の第1ピン穴73に入り、抜止め鍔部77aがガイド部80によって案内されて第1ピン穴73に入り、支持部71の押圧による抜止め鍔部77aの縮経操作によって抜止め鍔部77aの外径が第1ピン穴73の穴径よりも小さくなって、抜止め鍔部77aが第1ピン穴73を通り抜ける。抜止め鍔部77aが第1ピン穴73を通り抜けると、次に、抜止め鍔部77aが他方の連結部72の第2ピン穴74に入る。すると、連結部72の押圧による抜止め鍔部77aの縮経操作によって抜止め鍔部77aの外径が第2ピン穴74の穴径よりも小さくなって、抜止め鍔部77aが第2ピン穴74を通り抜ける。抜止め鍔部77aが第2ピン穴74を通り抜けて他方の連結部72の横外側に出る。抜止め鍔部77aが他方の連結部72の横外側に出ると、抜止め鍔部77aの弾性復元によって抜止め鍔部77aの外径が初期の大きさになり、すなわち、連結ピン部76の外径D1、第1ピン穴73及び第2ピン穴74の穴径よりも大きくなり、一対の連結部72の両横外側に分かれて位置する両端側の抜止め鍔部77によるに抜止め作用によってヒンジピン75が一対の支持部71及び一対の連結部72から抜けなくなる。そして、連結ピン部76が一対の連結部72にわたって位置し、かつ、一対の支持部71にわたって位置し、一対の連結部72がヒンジピン75によって一対の支持部71に揺動可能に連結される。貫通穴78が対応している第1連結ピン部分Xの強度は、貫通穴789が対応していない第2連結ピン部分Yの強度よりも低いが、第1連結対象部L1及び第2連結対象部L2のうち、第2連結ピン部分Yが装着される第1連結対象部L1または第2連結対象部L2における連結部72と支持部71とが第2連結ピン部分Yによってしっかり連結され、蓋体36がタンク本体31にしっかり支持される。。
【0052】
本実施形態では、ヒンジピン75は、タンク本体31及び蓋体36より脆弱に構成されている。タンク本体31及び蓋体36に無理な外力が加わったとき、ヒンジピン65が破損し、タンク本体31及び蓋体36の破損が防止される。
本実施形態のヒンジピン75は、樹脂製であるが、これに限らない。たとえば、ヒンジピンのうち、弾性変形可能な抜止め鍔部を有する部分をバネ板材によって構成したものであってもよい。本実施形態では、ヒンジピン75は、連結ピン部76のうちの貫通穴78と抜止め鍔部77bとの間に位置する部分の縦断面形状が十字状になるように、かつ、抜止め鍔部77bの開閉軸芯Pに沿う方向での形状が円形になるように構成されているが、これに限らない。たとえば、連結ピン部76の縦断面形状が円形、あるいは、四角形や六角形などの多角形であってもよい。また、抜止め鍔部77bの開閉軸芯Pに沿う方向での形状が十字状、あるいは、四角形や六角形などの多角形であってもよい。
【0053】
〔別実施形態〕
(1)上記した実施形態では、第1連結ピン部分X及び第2連結ピン部分Yは、第1連結対象部L1と第2連結対象部L2とに入れ替えて第1連結対象部L1及び第2連結対象部L2に対して装着可能に構成されているが、これに限らず、第1連結対象部L1と第2連結対象部L2とに入れ替えることができない状態で第1連結対象部L1及び第2連結対象部L2に装着されるものであってもよい。
【0054】
(2)上記した実施形態では、ヒンジ機構70が一対の連結部72及び一対の支持部71を備え、かつ、支持部71が一対の連結部72の間に入る例を示したが、これに限らない。たとえば、連結部72が一対の支持部71の間に入るものであってもよい。また、一対の連結部72と、一対の連結部72の間に入る単一の支持部を備えるものであってもよい。
【0055】
(3)上記した実施形態では、両端側の抜止め鍔部77のうちの一端側のみの抜止め鍔部77aが弾性変形可能である例を示したが、これに限らない。両端側の抜止め鍔部77のいずれもが弾性変形可能であってもよい。ヒンジピン75の両端部にガイド部80を備えるものであってもよい。
【0056】
(4)上記した実施形態では、農用資材供給装置30が8条植え可能な乗用型田植機に装備された例を示したが、7条以下や9条以上の苗植えが可能な乗用型田植機に装備されるものであってもよい。
【0057】
(5)上記実施形態では、農用資材供給装置30が薬剤を供給するよう構成された例を示したが、これに限らない。たとえば、種子や肥料など、各種の農用資材を供給するものであってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明は、薬剤に限らず、種子や肥料など各種の農用資材を供給する農用資材供給装置に適用できる。
【符号の説明】
【0059】
30A 資材タンク
30B 取出し供給部
31 タンク本体
31b 貯留部
32 筒状部
33 補強リブ
33a 当り部
35 資材投入口
36 蓋体
40 取出し供給ケース
41 接続部
70 ヒンジ機構
71 支持部
72 連結部
73 第1ピン穴
74 第2ピン穴
75 ヒンジピン
76 連結ピン部
77 抜止め鍔部
77a 一端側の抜止め鍔部
79 端
80 ガイド部
81 端
L1 第1連結対象部
L2 第2連結対象部
D1 連結ピン部の外径
D2 抜止め鍔部の外径
P 開閉軸芯
X 第1連結ピン部分
Y 第2連結ピン部分
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10