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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-12
(45)【発行日】2023-01-20
(54)【発明の名称】農用資材供給装置
(51)【国際特許分類】
   A01C 15/00 20060101AFI20230113BHJP
   A01C 11/00 20060101ALI20230113BHJP
   A01M 9/00 20060101ALI20230113BHJP
【FI】
A01C15/00 H
A01C11/00 302
A01M9/00 D
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019004698
(22)【出願日】2019-01-15
(65)【公開番号】P2020110119
(43)【公開日】2020-07-27
【審査請求日】2021-09-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(73)【特許権者】
【識別番号】000142643
【氏名又は名称】株式会社啓文社製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】園田 義昭
(72)【発明者】
【氏名】木村 達二
【審査官】吉田 英一
(56)【参考文献】
【文献】実開昭60-72109(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2015/0355573(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01C 15/00
A01C 11/00
A01M 9/00
A01C 7/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
圃場に供給する農用資材が貯留される資材タンクと、
前記資材タンクに接続されて、前記資材タンクから農用資材を取り出し、取り出した農用資材を圃場に供給する取出し供給部と、
前記資材タンクにおける農用資材の貯留量を検出する光学式検出機構と、が備えられ、
前記光学式検出機構は、検出光を投光する投光部、及び、前記投光部が投光した検出光を受光する受光部を備えるとともに前記資材タンクの内部に設けられた検知部と、検出光を発生する光源、及び、前記受光部が受光した検出光を入光し、入光した検出光を電気信号に変換処理する検出光処理部を備えると共に前記資材タンクの外部に設けられた信号処理部と、前記信号処理部と前記検知部とを接続して、前記光源が発生した検出光を前記投光部に伝達し、かつ、前記受光部が受けた検出光を前記検出光処理部に伝達する検出光伝達経路部と、を有し、
前記検出光伝達経路部が、前記光源からの光線を上側に導き、上端の投光部から横方向に光線を送り出す検出光送り部材と、前記投光部からの光線を、上端の受光部で受け下側に導く検出光戻し部材と、前記投光部および前記受光部の間隔を保持するように前記検出光送り部材および前記検出光戻し部材を覆う被覆部とを有し、
前記投光部と前記受光部とが前記資材タンクの内部に露出するように前記検出光伝達経路部が、前記資材タンクの底部で傾斜姿勢の漏斗部を上下に貫通して前記資材タンクに支持され、
前記検出光伝達経路部に、前記検知部と前記信号処理部とを分離可能に接続する接続部が備えられている農用資材供給装置。
【請求項2】
圃場に供給する農用資材が貯留される資材タンクと、
前記資材タンクに接続されて、前記資材タンクから農用資材を取り出し、取り出した農用資材を圃場に供給する取出し供給部と、
前記資材タンクにおける農用資材の貯留量を検出する光学式検出機構と、が備えられ、
前記光学式検出機構は、検出光を投光する投光部、及び、前記投光部が投光した検出光を受光する受光部を備えるとともに前記資材タンクの内部に設けられた検知部と、検出光を発生する光源、及び、前記受光部が受光した検出光を入光し、入光した検出光を電気信号に変換処理する検出光処理部を備えると共に前記資材タンクの外部に設けられた信号処理部と、前記信号処理部と前記検知部とを接続して、前記光源が発生した検出光を前記投光部に伝達し、かつ、前記受光部が受けた検出光を前記検出光処理部に伝達する検出光伝達経路部と、を有し、
前記検出光伝達経路部が、前記光源からの光線を上側に導き、上端の投光部から横方向に光線を送り出す検出光送り部材と、前記投光部からの光線を、上端の受光部で受け下側に導く検出光戻し部材と、前記投光部および前記受光部の間隔を保持するように前記検出光送り部材および前記検出光戻し部材を覆う被覆部とを有し、
前記投光部と前記受光部とが前記資材タンクの内部に露出するように前記検出光伝達経路部が、前記資材タンクの底部で傾斜姿勢の漏斗部を上下に貫通して前記資材タンクに支持され、
前記検出光伝達経路部と前記信号処理部との間に、前記検知部と前記信号処理部とを分離可能に接続する接続部が備えられている農用資材供給装置。
【請求項3】
前記被覆部は、ゴム製である請求項1または2に記載の農用資材供給装置。
【請求項4】
前記取出し供給部は、前記資材タンクの下部に接続される取出し供給ケースと、前記取出し供給ケースの内部に設けられて、農用資材を前記資材タンクから取出し、取り出した農用資材を圃場に供給する取出し供給機構と、を有し、
前記資材タンクは、前記取出し供給ケースに対して上方に取り外し可能であり、
前記信号処理部は、前記取出し供給ケースに支持されており、
前記検出光伝達経路部及び前記検知部は、前記資材タンクの下方から前記資材タンクの内部に挿入されている請求項1からのいずれか一項に記載の農用資材供給装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、農用資材供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
圃場に供給する農用資材が貯留される資材タンクと、資材タンクに接続されて、資材タンクから農用資材を取り出し、取り出した農用資材を圃場に供給する取出し供給部と、が備えられた農用資材供給装置において、資材タンクにおける農用資材の貯留量を検出する光学式検出機構が備えられたものがある。
【0003】
この種のものとしては、例えば特許文献1に示される施肥装置がある。この施肥装置では、肥料を貯留する肥料ホッパと、ホッパ内の肥料を繰り出す繰出し機構とが備えられている。肥料ホッパの内部に、光通過式の肥料残量センサが配備されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2007-325565号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
資材タンクにおける農用資材の貯留量を光学式検出機構によって検出するのには、一般に、投光部及び受光部を備える検知部を資材タンクの内部に設け、検出光を発生する光源、及び、受光部が受けた検出光を電気信号に変換処理する信号処理部を備える信号処理部を検知部に接続する。しかし、従来の技術を採用した場合、検知部と信号処理部とがユニット化されて、信号処理部が検知部とともに資材タンクの内部に位置し、信号処理部が薬剤や肥料などの農用資材の付着によって腐食したり、故障したりしやすい。また、信号処理部を頻繁に清掃する必要があるが、タンク内に位置するので清掃し難い。資材タンクの壁部に取付穴が開口され、取付穴にユニットが支持されて信号処理部がタンク外に露出するものがあるが、薬剤などが取付穴を介して信号処理部に入り込むことがあり、タンク内に位置する信号処理部と同様の問題が発生しやすい。
【0006】
本発明は、信号処理部の故障などが発生し難く、かつ、信号処理部をメンテンスしやすい農用資材供給装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明による農用資材供給装置は、
圃場に供給する農用資材が貯留される資材タンクと、前記資材タンクに接続されて、前記資材タンクから農用資材を取り出し、取り出した農用資材を圃場に供給する取出し供給部と、前記資材タンクにおける農用資材の貯留量を検出する光学式検出機構と、が備えられ、前記光学式検出機構は、検出光を投光する投光部、及び、前記投光部が投光した検出光を受光する受光部を備えるとともに前記資材タンクの内部に設けられた検知部と、検出光を発生する光源、及び、前記受光部が受光した検出光を入光し、入光した検出光を電気信号に変換処理する検出光処理部を備えると共に前記資材タンクの外部に設けられた信号処理部と、前記信号処理部と前記検知部とを接続して、前記光源が発生した検出光を前記投光部に伝達し、かつ、前記受光部が受けた検出光を前記検出光処理部に伝達する検出光伝達経路部と、を有し、前記検出光伝達経路部が、前記光源からの光線を上側に導き、上端の投光部から横方向に光線を送り出す検出光送り部材と、前記投光部からの光線を、上端の受光部で受け下側に導く検出光戻し部材と、前記投光部および前記受光部の間隔を保持するように前記検出光送り部材および前記検出光戻し部材を覆う被覆部とを有し、前記投光部と前記受光部とが前記資材タンクの内部に露出するように前記検出光伝達経路部が、前記資材タンクの底部で傾斜姿勢の漏斗部を上下に貫通して前記資材タンクに支持され、前記検出光伝達経路部に、前記検知部と前記信号処理部とを分離可能に接続する接続部が備えられている。
【0008】
本構成によると、検知部に対して信号処理部を離間させて、資材タンクの農用資材などが信号処理部に付かないようにしても、信号処理部において光源が発生する検出光を検出光伝達経路部によって検知部の投光部に伝達され、検知部の受光部が受けた検出光が検出光伝達経路部によって信号処理部の検出光処理部に伝達されるので、信号処理部の農用資材などの付着による腐食や故障を回避できる。信号処理部と検出部とを接続部によって切り離すことができるので、信号処理部を検出部と分離した状態にして信号処理部の点検などのメンテナンスを行いやすい。
【0009】
別の本発明による農用資材供給装置は、
圃場に供給する農用資材が貯留される資材タンクと、前記資材タンクに接続されて、前記資材タンクから農用資材を取り出し、取り出した農用資材を圃場に供給する取出し供給部と、前記資材タンクにおける農用資材の貯留量を検出する光学式検出機構と、が備えられ、前記光学式検出機構は、検出光を投光する投光部、及び、前記投光部が投光した検出光を受光する受光部を備えるとともに前記資材タンクの内部に設けられた検知部と、検出光を発生する光源、及び、前記受光部が受光した検出光を入光し、入光した検出光を電気信号に変換処理する検出光処理部を備えると共に前記資材タンクの外部に設けられた信号処理部と、前記信号処理部と前記検知部とを接続して、前記光源が発生した検出光を前記投光部に伝達し、かつ、前記受光部が受けた検出光を前記検出光処理部に伝達する検出光伝達経路部と、を有し、前記検出光伝達経路部が、前記光源からの光線を上側に導き、上端の投光部から横方向に光線を送り出す検出光送り部材と、前記投光部からの光線を、上端の受光部で受け下側に導く検出光戻し部材と、前記投光部および前記受光部の間隔を保持するように前記検出光送り部材および前記検出光戻し部材を覆う被覆部とを有し、前記投光部と前記受光部とが前記資材タンクの内部に露出するように前記検出光伝達経路部が、前記資材タンクの底部で傾斜姿勢の漏斗部を上下に貫通して前記資材タンクに支持され、前記検出光伝達経路部と前記信号処理部との間に、前記検知部と前記信号処理部とを分離可能に接続する接続部が備えられている。
【0010】
本構成によると、検知部に対して信号処理部を離間させて、資材タンクの農用資材などが信号処理部に付かないようにしても、信号処理部において光源が発生する検出光を検出光伝達経路部によって検知部の投光部に伝達され、検知部の受光部が受けた検出光が検出光伝達経路部によって信号処理部の検出光処理部に伝達されるので、信号処理部の農用資材などの付着による腐食や故障を回避できる。信号処理部と検出光伝達経路部とを接続部によって切り離すことができるので、信号処理部を検出部に対しても、検出光伝達経路部に対しても分離した状態にして信号処理部の点検などのメンテナンスを行いやすい。
【0013】
本発明においては、前記被覆部は、ゴム製であると好適である。
【0014】
本構成によると、検出光の伝達途中での漏れ出しがゴム製の被覆部によって効果的に防止されるので、検出光の伝達途中での減衰を効果的に防止できる。
きる。
【0015】
本発明において、前記取出し供給部は、前記資材タンクの下部に接続される取出し供給ケースと、前記取出し供給ケースの内部に設けられて、農用資材を前記資材タンクから取出し、取り出した農用資材を圃場に供給する取出し供給機構と、を有し、信号処理部は、前記取出し供給ケースに支持されており、前記検出光伝達経路部及び前記検知部は、前記資材タンクの下方から前記資材タンクの内部に挿入されていると好適である。
【0016】
本構成によると、資材タンクを取出し供給ケースに対して上昇させることにより、資材タンクを取出しケースから取り外すことができ、資材タンクを取出しケースから取り外すことにより、資材タンクの上昇によって検知部と信号処理部とが接続部で分離し、資材タンクの取り外しと、検知部と信号処理部の切り離しと、一挙に行えるようにできる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】乗用型田植機の全体を示す左側面図である。
図2】乗用型田植機の全体を示す平面図である。
図3】農用資材供給装置を示す前面図である。
図4】農用資材供給装置を示す後面図である。
図5図4のV-V断面矢視図である。
図6図4のVI-VI断面矢視図である。
図7図6のVII-VII断面矢視図である。
図8】光学式検出機構を示す正面図である。
図9】光学式検出機構を示す側面図である。
図10】資材タンクを取り外した状態での光学式検出機構を示す正面図である。
図11】別の実施形態を備えた光学式検出機構を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の一例である実施形態を図面に基づいて説明する。
なお、以下の説明では、乗用型田植機の走行機体に関し、図1,2に示される矢印Fの方向を「機体前方」、矢印Bの方向を「機体後方」、図1に示される矢印Uの方向を「機体上方」、矢印Dの方向を「機体下方」、図2に示される矢印Lの方向を「機体左方」、矢印Rの方向を「機体右方」とする。
【0019】
図1,2に示されるように、乗用型田植機は、左右一対の前車輪1が操向可能かつ駆動可能に装備され、左右一対の後車輪2が駆動可能に装備された走行機体を備えている。走行機体の前部に、エンジン3を有する原動部4が形成されている。走行機体の後部に、運転座席5、及び、前車輪1を操向操作するステアリングホィール6を有する乗用型の運転部7が形成されている。走行機体の機体フレーム8の後部にリンク機構9を介して苗植付装置10が連結されている。苗植付装置10は、機体フレーム8に対するリンク機構9の上下揺動作動によって接地フロート11が圃場面に接地した下降作業状態と、接地フロート11が圃場面に対して上方に離れた上昇非作業状態とにわたって昇降操作される。走行機体の後部に、苗植付装置10による植付苗に粉粒状の肥料を供給する施肥装置20が設けられている。苗植付装置10の後部に、除草用の粉粒状の薬剤を苗植付装置10の後方で走行機体の横幅方向に散布する農用資材供給装置30が設けられている。
【0020】
〔苗植付装置の構成について〕
苗植付装置10は、図1,2に示されるように、走行機体の横幅方向に間隔を空けて並ぶ4つの植付伝動ケース12などによって構成された植付機体13を備えている。4つの植付伝動ケース12それぞれの後部の両横側部分に、苗植付機構14が駆動可能に支持されている。植付機体13の上方に、走行機体の横幅方向に並ぶ八つの苗載置部を有する一つの苗載台15が設けられている。苗載台15は、苗植付機構14の苗植え運動に連動する状態で横方向に往復移送され、各苗載置部に載置されたマット状苗を苗載置部に対応する苗植付機構14に対して左右方向に往復移送する。これにより、各苗植付機構14の一対の植付アーム14aが交互に、苗載置部に載置されたマット状苗から植付け用苗を取り出し、取り出した植付け用苗を保持して圃場に下降して圃場に植え付ける。植付機体13の下部に、走行機体の横幅方向に並べられ、下降作業状態の苗植付装置10を支持し、かつ、圃場のうちの苗植付機構14による苗植付け箇所を苗植付機構14の苗植付けに先立って整地する五つの接地フロート11が支持されている。苗植付装置10は、走行機体の横幅方向に並ぶ八つの苗植付機構14による苗植え付け、すなわち、八条植えの苗植え付けが可能になっている。
【0021】
〔施肥装置の構成について〕
施肥装置20は、図1、2に示されるように、走行機体の横幅方向に並べられた二つの肥料タンク21と、各肥料タンク21の下部に接続された肥料繰出し供給部22と、肥料繰出し供給部22に接続された送風ブロワ23と、を備えている。二つの肥料タンク21の一方の肥料タンク21に接続された肥料繰出し供給部22から四本の施肥ホース24が苗植付装置10に向けて延ばされ、二つの肥料タンク21の他方の肥料タンク21に接続された肥料繰出し供給部22から四本の施肥ホース24が苗植付装置10に向けて延ばされている。八本の施肥ホース24は、八つの苗植付機構14それぞれの横側方に一つずつ設けられた計八つの施肥器25に各別に接続されている。
【0022】
施肥装置20においては、二つの肥料タンク21のそれぞれに接続された肥料繰出し供給部22が肥料タンク21から粉粒状の肥料を繰り出し、繰り出した肥料を送風ブロワ23からの風によって四本の施肥ホース24に供給する。各施肥器25が苗植付機構14による苗付け箇所の横側方で圃場に溝を形成し、形成した溝に施肥ホース24によって供給された肥料を供給する。
【0023】
〔農用資材供給装置の構成について〕
農用資材供給装置30は、図1,2に示されるように、平面視で苗植付装置10の左右方向での中央部に配置された状態で支持フレーム16に支持されている。支持フレーム16による農用資材供給装置30の支持は、資材タンク30Aが上端側ほど前方に位置する前傾の傾斜姿勢になる状態で行われている。支持フレーム16は、四つの植付伝動ケース12のうち、苗植付装置10の左右方向での中心を挟んで隣り合う植付伝動ケース12から上向きに延ばされている。
【0024】
農用資材供給装置30は、図1,3に示されるように、粉粒状の薬剤が貯留される資材タンク30Aと、資材タンク30Aの下部に接続された取出し供給部30Bと、を備えている。取出し供給部30Bは、資材タンク30Aから薬剤を取り出し、取り出した薬剤を苗植付装置10の後方で走行機体の左右方向に飛散させ、圃場のうちの苗植付装置10の横方向での植付範囲に相当する部分に散布することにより、薬剤を圃場に供給する。
【0025】
図5,6に示されるように、資材タンク30Aにおけるタンク本体31に、農用資材が貯留される貯留部31bと、貯留部31bの下部から下向きに延ばされた筒状部32とが備えられている。筒状部32は、タンク本体31を成形するとき、貯留部31bに一体成形されている。タンク本体31及び筒状部32は、樹脂製である。図6に示されるように、筒状部32の内面側に補強リブ33が一体成形されている。補強リブ33は、筒状部32の周方向での複数箇所に設けられている。取出し供給部30Bにおける取出し供給ケース40の上部に環状の接続部41が形成されている。接続部41が筒状部32に内嵌する状態で筒状部32と接続部41とを接続することにより、資材タンク30Aと取出し供給部30Bとが接続されている。資材タンク30Aは、取出し供給ケース40に対して上方に取り外し可能である。筒状部32と接続部41とが接続された状態において、各補強リブ33の下部に形成されている当り部33aが接続部41に対して上方から当接している。資材タンク30Aの荷重が取出し供給ケース40によって補強リブ33を介して下方から受け止め支持される。筒状部32の両横側において、資材タンク30Aを取出し供給ケース40に固定するパチン錠34(図4参照)が筒状部32と取出し供給ケース40とにわたって設けられている。
【0026】
〔取出し供給部の構成について〕
取出し供給部30Bは、図3,4,5,6に示されるように、取出し供給ケース40を備えている。取出し供給ケース40は、図3,5に示されるように、取出し供給ケース40の前部に取付けられた連結部材42を介して支持フレーム16に支持されている。
【0027】
取出し供給ケース40は、図3,4,5,6,7に示されるように、接続部41を有する繰出し供給ケース部43と、繰出し供給ケース部43の下部に接続された原動機構ケース部44と、原動機構ケース部44の左側部に接続された左散布ケース部46と、原動機構ケース部44の右側部に接続された右散布ケース部47と、を備えている。繰出し供給ケース部43、原動機構ケース部44、左散布ケース部46及び右散布ケース部47のそれぞれは、樹脂製である。
【0028】
図4,5,6に示されるように、繰出し供給ケース部43に、繰出し供給部材48が収容されている。繰出し供給部材48の上下向きの回転支軸49が繰出し供給ケース部43のボス部43a、及び、金属支持部材50としての板金部材が有するボス部50bに回転可能に支持されている。繰出し供給部材48は、回転支軸49を揺動支点にして揺動可能な状態で金属支持部材50に支持されている。金属支持部材50は、原動機構ケース部44の内部に設けられている。金属支持部材50の前部の左右側部に下向きの折曲げ連結部50aが備えられている。左右の折曲げ連結部50aが原動機構ケース部44の左右の横壁部51dに連結されており、金属支持部材50は、原動機構ケース部44に支持されている。繰出し供給部材48の遊端側部分に、一対の繰出し供給穴48aが開口されている。繰出し供給部材48は、回転支軸49に設けられた駆動ギヤ52によって回転支軸49を揺動支点して左右方向に往復揺動する状態で駆動され、一対の繰出し供給穴48aによってタンク本体31の漏斗部31aから薬剤を繰り出す。一方の繰出し供給穴48aは、繰り出した薬剤を左散布ケース部46の内部に連通する左供給穴53に落下させて左散布ケース部46の内部に供給する。他方の繰出し供給穴48aは、繰り出した薬剤を右散布ケース部47の内部に連通する右供給穴54に落下させて右散布ケース部47の内部に供給する。図5,6に示される38は、漏斗部31aの薬剤排出口を開閉するシャッターである。シャッター38は、操作レバー38aの揺動作動によってスライド操作されて開閉する。
【0029】
図6に示されるように、右散布ケース部47の内部のうちの右供給穴54の下方の箇所に右飛散部材56が回転可能に収容されている。図6,7に示されるように、右散布ケース部47の下部に右散布口47aが下向きに開口されている。右散布ケース部47においては、繰出し供給部材48によって右散布ケース部47の内部に供給された薬剤が右飛散部材56に供給されて右飛散部材56によって右散布ケース部47の内部に飛散される。飛散された薬剤が右散布ケース部47の内部に形成された右案内部に当って右案内部によって案内され、右散布口47aから圃場のうち、苗植付装置10の植付範囲の右側半部に対応する部分に散布される。
【0030】
図6に示されるように、左散布ケース部46の内部のうちの左供給穴53の下方の箇所に左飛散部材55が回転可能に収容されている。右散布ケース部47と同様に、左散布ケース部46の下部に左散布口46aが下向きに開口されている。左散布ケース部46においては、繰出し供給部材48によって左散布ケース部46の内部に供給された薬剤が左飛散部材55に供給されて左飛散部材55によって左散布ケース部46の内部に飛散される。飛散された薬剤が左散布ケース部46の内部に形成された左案内部に当って左案内部によって案内され、左散布口46aから圃場のうち、苗植付装置10の植付範囲の左側半部に対応する部分に散布される。
【0031】
原動機構ケース部44は、図4,5,6に示されるように、底壁部44aと、底壁部44aの後部における左端部分から上向きに突設された左区画壁51aと、底壁部44aの後部における右端部分から上向きに突設された右区画壁51bと、底壁部44aのうちの左区画壁51a及び右区画壁51bよりも前側の部分における左右端部分から上向きに突設された横壁部51dと、底壁部44aの前端部分から上向きに突設された前縦壁部51cと、を備えている。底壁部44a、左区画壁51a、右区画壁51b、横壁部51d及び前縦壁部51cによって囲われた空間Sに、繰出し供給部材48、左飛散部材55及び右飛散部材56に向けて動力を出力する電気原動機構45が収容されている。
【0032】
電気原動機構45は、空間Sのうちの前側部分に収容され、繰出し供給部材48に向けて動力を出力する繰出し電動モータ57と、空間Sのうちの後側部分に収容され、左飛散部材55及び右飛散部材56に向けて動力を出力する一つの飛散電動モータ59と、を備えている。図4,5に示されるように、繰出し電動モータ57は、金属支持部材50の下面側に支持されている。繰出し電動モータ57の出力軸57aの先端側部分が金属支持部材50の開口から金属支持部材50の上方に突出されている。出力軸57aの先端側部分に相対回転可能に設けられた出力ギヤ58と、駆動ギヤ52とが噛み合わされている。図4,5,6に示されるように、飛散電動モータ59は、左区画壁51a及び右区画壁51bに支持されている。飛散電動モータ59の左出力軸59aの先端側部分が左区画壁51aの開口を通して左散布ケース部46の内部に挿入され、左出力軸59aの先端側部分に左飛散部材55が相対回転不能に支持されている。飛散電動モータ59の右出力軸59bの先端側部分が右区画壁51bの開口を通して右散布ケース部47の内部に挿入され、右出力軸59bの先端側部分に右飛散部材56が相対回転不能に支持されている。
【0033】
繰出し供給部材48、左飛散部材55、右飛散部材56、繰出し電動モータ57及び飛散電動モータ59により、農用資材としての薬剤を資材タンク30Aから取り出し、取り出した薬剤を圃場に供給する取出し供給機構Mが構成されている。取出し供給機構Mは、取出し供給ケース40の内部に設けられている。
【0034】
図6に示されるように、左区画壁51aは、底壁部44aから飛散電動モータ59のモータ本体と左飛散部材55との間に向けて立設されている。左散布ケース部46の内部と、原動機構ケース部44の内部とが左区画壁51aによって区画されている。右区画壁51bは、底壁部44aから飛散電動モータ59のモータ本体と右飛散部材56との間に向けて立設されている。右散布ケース部47の内部と、原動機構ケース部44の内部とが右区画壁51bによって区画されている。左散布ケース部46や右散布ケース部47の内部で塵埃が発生しても、塵埃が左区画壁51aや右区画壁51bに当って飛散電動モータ59に付着しにくい。
【0035】
〔光学式検出機構の構成について〕
図3,5に示されるように、農用資材供給装置30の前部に光学式検出機構60が設けられている。詳しくは、光学式検出機構60は、資材タンク30Aの前部と取出し供給ケース40の前部とにわたって設けられている。光学式検出機構60は、資材タンク30Aに貯留された薬剤が設定残量まで減少したことを検出し、検出結果を電気信号にして制御装置(図示せず)に出力することによって警報装置(図示せず)などの装置を作動させるものである。
【0036】
具体的には、光学式検出機構60は、図8,9に示されるように、タンク本体31の内部に設けられた検知部60Aと、資材タンク30Aの外部のうちの繰出し供給ケース部43の上部に設けられた信号処理部60Bと、検知部60Aと信号処理部60Bとを接続する検出光伝達部60Cと、を有している。信号処理部60Bは、繰出し供給ケース部43の内部に設けられている。
【0037】
検知部60Aは、図8に示されるように、検出光をタンク内に投光する投光部61と、投光部61が投光した検出光を受光する受光部62と、を備えている。投光部61は、検出光送り部材63の水平向きに曲げ成形された上端部によって構成されている。受光部62は、検出光戻し部材64の水平向きに曲げ成形された上端部によって構成されている。
【0038】
検知部60Aにおいては、資材タンク30Aに貯留された薬剤の堆積上面が投光部61と受光部62との間に位置し、投光部61が投光する検出光を受光部62が受光することにより、資材タンク30Aにおける薬剤の貯留量が設定残量になったと検出される。
【0039】
信号処理部60Bは、図8に示されるように、処理部ケース65を備えている。処理部ケース65の内部に、検出光を発生する光源66、及び、検出光を電気信号に変換する検出光処理部67が設けられている。
【0040】
信号処理部60Bにおいては、受光部62が受け入れた検出光が検出光伝達部60Cによって信号処理部60Bに伝達され、伝達された検出光を検出光処理部67に入光する。検出光処理部67が入光した検出光を基に検出結果を割り出し、割り出した検出結果を電気信号にして出力する。
【0041】
検出光伝達部60Cは、図8,9に示されるように、光源66が発生した検出光を投光部61に伝達し、受光部62が受光した検出光を検出光処理部67に伝達する検出光伝達経路部68と、検出光伝達経路部68を被覆する被覆部69と、を備えている。。具体的には、検出光伝達経路部68は、図8に示されるように、光源66が発生した検出光を投光部61に伝達する検出光送り部材63と、受光部62が受光した検出光を検出光処理部67に伝達する検出光戻し部材64、とを備えている。検出光送り部材63及び検出光戻し部材64は、ガラス材、樹脂材など、光通過が可能な部材によって構成されている。被覆部69は、ゴム製である。
【0042】
図8に示されるように、検出光伝達経路部68に、検知部60Aと信号処理部60Bとを分離可能に接続する接続部70が備えられている。具体的には、図8,10に示されるように、接続部70は、検出光伝達経路部68のうちの信号処理部側に位置する処理部側の伝達経路部分68Aと、検出光伝達経路部68のうちの検知部側に位置する検知部側の伝達経路部分68Bとを分離可能に接続している。検出光送り部材63は、信号処理部側の分割送り部材63aと、検知部側の分割送り部材63bとに分割可能に構成されている。検出光戻し部材64は、信号処理部側の分割戻し部材64aと、検知部側の分割戻し部材64bとに分割可能に構成されている。処理部側の伝達経路部分68Aは、信号処理部側の分割送り部材63aと、信号処理部側の分割戻し部材64aと、を備えている。検知部側の伝達経路部分68Bは、検知部側の分割送り部材63bと、検知部側の分割戻し部材64bとを備えている。接続部70は、検出光伝達経路部68の途中に備えられ、検出光伝達経路部68の途中で検知部60Aと信号処理部60Bとを分離可能に接続している。
【0043】
被覆部69は、図8,10に示されるように、検出光伝達経路部68のうちの処理部側の伝達経路部分68Aを被覆する処理部側の被覆部分69Aと、検出光伝達経路部68のうちの検知部側の伝達経路部分68Bを被覆する検知部側の被覆部分69Bとに分離可能に構成されている。処理部側の被覆部分69Aと、検知部側の被覆部分69Bとは、噛み合った状態で接続される。本実施形態では、検知部側の被覆部分69Bは、検知部60Aに対して近い部分と、検知部60Aに対して遠い部分とに分割可能に構成されている。検知部に対して近い部分は、検出光送り部材63と検出光戻し部材64とが並ぶ方向に対して交差する方向に二つに分割可能に構成されている。
【0044】
図8,9に示されるように、信号処理部60Bは、繰出し供給ケース部43に形成された支持部71に支持されている。信号処理部60Bは、取出し供給ケース40に支持されている。検出光伝達経路部68及び検知部60Aは、タンク本体31の下方からタンク本体31の内部に挿入されている。被覆部69のうちの処理部側の被覆部分69Aは、信号処理部60Bと共に繰出し供給ケース部43に支持されている。検出光伝達経路部68のうちの処理部側の伝達経路部分68Aは、処理部側の被覆部分69Aを介して繰出し供給ケース部43に支持されている。検出光伝達経路部68のうちの資材タンク30Aの外部に位置する部分、及び、被覆部69のうちの資材タンク30Aの外部に位置する部分を覆うカバー部72がタンク本体31に備えられている。カバー部72は、検知部60A及び検出光伝達部60Cをカバー部72に対して下方から抜き差しできる上下向きの筒状に形成されている。
【0045】
光学式検出機構60においては、光源66が発生する検出光が検出光伝達経路部68の検出光送り部材63によって投光部61に伝達される。投光部61に伝達される検出光は、検出光送り部材63から外部に漏れ出ることが被覆部69によって防止されつつ伝達される。資材タンク30Aにおける薬剤残量が設定残量になると、投光部61が投光した検出光を受光部62が受光し、受光された検出光が検出光伝達経路部68の検出光戻し部材64によって信号処理部60Bに伝達されて検出光処理部67に入光される。信号処理部60Bに伝達される検出光は、検出光戻し部材64から外部に漏れ出ることが被覆部69によって防止されつつ伝達される。検出光が検出光処理部67に入光されると、入光された検出光が検出光処理部67によって検出結果としての電気信号に変換処理され、検出結果としての電気信号が信号処理部60Bから制御装置に出力される。
【0046】
図10に示されるように、資材タンク30Aを取出し供給ケース40に対して上昇させて取出し供給ケース40から取り外すと、資材タンク30Aの上昇力によって光学式検出機構60が信号処理部60Bと検知部60Aとに接続部70で分離し、検知部60Aが資材タンク30Aに付いて行く。また、検出光伝達経路部68が処理部側の伝達経路部分68Aと検知部側の伝達経路部分68Bとに接続部70で分離し、検知部側の伝達経路部分68Bが検知部60Aに付いて行く。被覆部69も信号処理部側の被覆部分69Aと検知部側の被覆部分69Bとに接続部70で分離し、検知部側の被覆部分69Bが検知部側の伝達経路部分68Bに付いて行く。
【0047】
〔別実施形態〕
(1)図12は、別の実施形態を備える光学式検出機構60を示す正面図である。別の実施形態を備える光学式検出機構60では、図12に示されるように、検知部60Aと信号処理部60Bとを分離可能に接続する接続部73が検出光伝達経路部68と信号処理部60Bとの間に備えられている。
【0048】
(2)本実施形態では、資材タンク30Aが取出し供給ケース40に対して上方に取り外されると、検知部60Aが資材タンク30Aに付いて行く構成を採用した例を示したが、これに限らない。すなわち、資材タンク30Aが取出し供給ケース40に対して上方に取り外されると、検知部60Aがタンク本体31に対して下方に抜け出し、資材タンク30Aの外部において、検知部60Aと信号処理部60Bとを接続部70や接続部73で分離させるものであってもよい。
【0049】
(3)上記した実施形態では、被覆部69を備えた例を示したが、検出光伝達部材から検出光が漏れ出し難いにくいものにあって、被覆部69を備えなくてもよい。
【0050】
(4)上記した実施形態では、ゴム製の被覆部を採用した例を示した、これに限らず、皮革製など各種の被覆部の採用が可能である。
【0051】
(5)上記した実施形態では、農用資材供給装置30が8条植え可能な乗用型田植機に装備された例を示したが、7条以下や9条以上の苗植えが可能な乗用型田植機に装備されるものであってもよい。
【0052】
(6)上記実施形態では、農用資材供給装置30が薬剤を供給するよう構成された例を示したが、これに限らない。たとえば、種子や肥料など、各種の農用資材を供給するものであってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明は、薬剤に限らず、種子や肥料など各種の農用資材を供給する農用資材供給装置に適用できる。
【符号の説明】
【0054】
30A 資材タンク
30B 取出し供給部
40 取出し供給ケース
60 光学式検出機構
60A 検知部
60B 信号処理部
61 投光部
62 受光部
66 光源
67 検出光処理部
68 検出光伝達経路部
70 接続部
73 接続部
M 取出し供給機構
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
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図10
図11