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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-12
(45)【発行日】2023-01-20
(54)【発明の名称】撮影装置および外観検査装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/88 20060101AFI20230113BHJP
   G01N 21/90 20060101ALI20230113BHJP
【FI】
G01N21/88 Z
G01N21/90 Z
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2018179349
(22)【出願日】2018-09-25
(65)【公開番号】P2020051810
(43)【公開日】2020-04-02
【審査請求日】2021-06-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000145987
【氏名又は名称】株式会社昭和丸筒
(74)【代理人】
【識別番号】100141092
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 英生
(72)【発明者】
【氏名】重松 則夫
【審査官】田中 洋介
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-153088(JP,A)
【文献】特開平10-157798(JP,A)
【文献】特開昭55-035239(JP,A)
【文献】特開2016-191779(JP,A)
【文献】特開2017-083381(JP,A)
【文献】特開平10-274591(JP,A)
【文献】特開2011-179974(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/84-21/958
G01B 11/00-11/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定位置に設ける背景の色を複数色それぞれに順次切替える背景切替部を有し、
前記背景を前記複数色それぞれとした各状態において、前記背景の前に撮影対象物を重ねた被写体を撮影する撮影装置において、
前記撮影対象物は透光性を有し、両端が開口した略円筒状のハウジングであり、
前記背景切替部は、
前記ハウジングの端部の第1、第2の開口に夫々対応して設けられ、
前記ハウジング内に挿入されて、第1色の前記背景として用いられる第1可動部材と、第2色の前記背景として用いられる前記第1可動部材と別材である第2可動部材とを備え、
前記第1可動部材を対応する前記ハウジングの第1の開口から当該ハウジング内に挿入し、その先端が第2開口より出る状態とする動作と、当該第1可動部材を当該ハウジング内から外側へ排出するタイミングで、前記第2可動部材を当該ハウジングの前記第2開口から当該ハウジング内に挿入し、その先端が前記第1の開口より出る状態とする動作と、当該第2可動部材を中空ハウジングの前記第2の開口から排出する動作とを行うものであり、
前記各背景色毎に当該ハウジングを周方向に回転させながらその全周の撮影を行う撮影部を設けたことを特徴とする撮影装置。
【請求項2】
前記透光性を有し、両端が開口した略円筒状のハウジングは、ダイアライザーの形成に用いられるハウジングであることを特徴とする請求項1に記載の撮影装置。
【請求項3】
略円筒状である前記撮影対象物をその周方向へ回転させながら、ラインカメラを用いて前記被写体を撮影することを特徴とする請求項1又は2に記載の撮影装置。
【請求項4】
複数のカメラを用いて前記撮影対象物を異なる角度から順次撮影する請求項1から請求項3のいずれかに記載の撮影装置であって、
一部の前記カメラでの撮影時に用いる可動式の照明を備え、
使用時の位置と他の前記カメラでの撮影を阻害しない位置との間で前記照明を移動させる照明移動動作を行うことを特徴とする撮影装置。
【請求項5】
前記撮影対象物の向きを順次切替えて、前記複数のカメラを用いた撮影を行う請求項4に記載の撮影装置であって、
前記照明移動動作は、前記向きを切替える動作と並行して行われることを特徴とする撮影装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれかに記載の撮影装置を備え、
前記撮影装置の撮影によって得られた画像に基づいて、前記撮影対象物の外観検査を行うことを特徴とする外観検査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮影装置およびこれを用いた外観検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、透光性を有した被検査物の欠陥検査を行う種々の装置が開発されている。その一例として、透光性を有したシート材の外観検査装置が特許文献1に開示されている。
【0003】
特許文献1の外観検査装置は、色の異なる2つの背景ブロックを有しており、これらはシート材が搬送される方向に配列される。2つの背景ブロックの上方には、撮影手段として2つの受光素子が配置され、それぞれシート材の搬送方向に沿って配列される。一方の受光素子は、搬送方向下流側に配置される一方の背景ブロック(2色目の背景ブロック)上のシート材を撮影可能に搬送方向上流側に配置される。他方の受光素子は、搬送方向上流側に配置される他方の背景ブロック(1色目の背景ブロック)上のシート材を撮影可能に搬送方向下流側に配置される。
【0004】
搬送されるシート材は、まず1色目の背景ブロック上を通過した後、2色目の背景ブロック上を通過する。従って、2つの受光素子は、シート材の同一箇所を時間差で撮影することができる。シート材の同一箇所について、1色目の背景ブロックでの撮影画像と、2色目の背景ブロックでの撮影画像を用いることにより、より精度良く欠陥の有無や種類を検出することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第4903031号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に開示された装置では、1色目の背景ブロック上での撮影と2色目の背景ブロック上での撮影との間で別々に配置された受光素子(撮影手段の一形態)が用いられるため、撮影方向等の撮影条件が異なることになる。外観検査の精度や信頼性等の観点から、背景ごとの撮影条件は極力同じであることが望ましい。
【0007】
上記問題点に鑑み、本発明は、外観検査の精度や信頼性等の向上が容易となる撮影装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明の撮影装置は、所定位置に設ける背景の色を複数色それぞれに順次切替える背景切替部を有し、前記背景を前記複数色それぞれとした各状態において、前記背景の前に撮影対象物を重ねた被写体を撮影する構成とする。
【0009】
本構成によれば、複数の背景色それぞれでの撮影を行うことで、撮影対象物における各種の欠陥等を精度良く検出することが可能となる。また、撮影手段を各背景に共通として、撮影方向等の撮影条件を極力同じとすることが可能であり、外観検査の精度や信頼性等の向上が容易となる。
【0010】
また上記構成としてより具体的には、前記複数色は第1色と第2色を含み、前記背景切替部は第1色の前記背景として用いられる第1可動部材と、第2色の前記背景として用いられる第2可動部材とを備え、前記所定位置に第1可動部材を移動させる第1動作と、前記所定位置に第2可動部材を移動させる第2動作とを行う構成としてもよい。
【0011】
また、前記背景の前に略筒状である前記撮影対象物の側壁を重ねた被写体を撮影する上記構成の撮影装置において、前記所定位置を前記筒状の内側とした構成としてもよい。本構成によれば、撮影時に、撮影対象物の撮影手段側とは反対側の側壁による影響を抑制することができる。
【0012】
また上記構成において、第1動作は、略棒状である第1可動部材を一方の軸方向端部から前記撮影対象物の内側に挿入する動作であり、第2動作は、略棒状である第2可動部材を他方の軸方向端部から前記撮影対象物の内側に挿入する動作である構成としてもよい。本構成によれば、例えば第1可動部材と第2可動部材とを連結した場合に比べて、動作に必要なスペースを削減できる。
【0013】
また上記構成において、前記背景切替部は、周方向の異なる位置に前記複数色それぞれが配された略棒状の部材を備え、前記所定位置に配された前記部材をその周方向へ回転させることにより、前記背景の色を切替える構成としてもよい。本構成によれば、背景色の切替に関わるタクトタイムを短縮することが容易となる。
【0014】
また、上記構成において、略円筒状である前記撮影対象物をその周方向へ回転させながら、ラインカメラを用いて前記被写体を撮影する構成としてもよい。本構成によれば、撮影対象物の側壁を周方向全体に亘って撮影することができ、全周に亘る範囲における各種欠陥を検出可能となる。
【0015】
また、複数のカメラを用いて前記撮影対象物を異なる角度から順次撮影する上記構成の撮影装置において、一部の前記カメラでの撮影時に用いる可動式の照明を備え、使用時の位置と他の前記カメラでの撮影を阻害しない位置との間で前記照明を移動させる照明移動動作を行う構成としてもよい。本構成によれば、他のカメラによる撮影時に照明が干渉することを回避できる。
【0016】
また、前記撮影対象物の向きを順次切替えて、前記複数のカメラを用いた撮影を行う上記構成の撮影装置において、前記照明移動動作は、前記向きを切替える動作と並行して行われる構成としてもよい。本構成によれば、これらの動作を順に行う場合に比べタクトタイムを短縮することができる。
【0017】
また上記構成において、前記撮影対象物は、ダイアライザーの形成に用いられる透光性を有するハウジングである構成としてもよい。本構成によれば、ダイアライザー用のハウジングにおける欠陥の検出性能を向上させることができる。また本発明に係る外観検査装置は、上記構成の撮影装置を備え、前記撮影装置の撮影によって得られた画像に基づいて、前記撮影対象物の外観検査を行う構成とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明の撮影装置によれば、外観検査の精度や信頼性等の向上が容易となる。また本発明に係る外観検査装置によれば、本発明に係る撮影装置の利点を享受することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】ワーク、白棒、および黒棒の配置状態を示す図である。
図2】ワーク内側に白棒を挿入した状態を示す図である。
図3】ワーク内側に黒棒を挿入した状態を示す図である。
図4】バックライトを使用時の位置に移動させた状態を示す図である。
図5】バックライトを不使用時の位置に移動させた状態を示す図である。
図6】ダイアライザー用のハウジングの一例を示す斜視図である。
図7】撮影装置におけるカメラ配置の一例を示す概略斜視図である。
図8】撮影装置におけるカメラ配置の一例を示す側面図である。
図9】カメラごとの撮影対象および種類を示す表である。
図10】撮影装置におけるカメラおよび照明の配置を示す概略斜視図である。
図11】撮影装置のブロック構成図である。
図12】撮影装置の動作フローを示す表である。
図13】撮影装置におけるワークの回転動作フローを示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0021】
1.撮影方法の第1特徴
まず、本発明に係る撮影装置の例により行われる撮影方法の第1特徴について、図1図3の各図を用いて説明する。
【0022】
図1に示すように、当該撮影方法により撮影される撮影対象は、被検査物であるワークWである。ワークWは、透光性を有した被検査物であり、ここでは一例として透明な円筒部材としている。図1に示すように、当該撮影方法では、ワークWを撮影するときの背景として、白棒B1と、黒棒B2を使用する。白棒B1と黒棒B2は、不透明な棒状部材である。白棒B1は、第1色の背景色として白色に着色されている。黒棒B2は、第2色の背景色として黒色に着色されている。
【0023】
円筒部材であるワークWは、中心軸Jを中心として中心軸Jに沿って延びる。以下、中心軸Jの延びる方向を「軸方向」、中心軸Jに対する径方向を「径方向」、中心軸J周りの方向を「周方向」と称する。白棒B1と黒棒B2は、中心軸J上に配列され、それぞれ軸方向に延びる。ワークWは、白棒B1と黒棒B2に挟まれてセットされる。換言すれば、ワークWから見て軸方向の一方側には白棒B1が配置され、他方側には黒棒B2が配置される。
【0024】
ワークWの正面側には、ラインカメラ(ラインセンサカメラ)であるカメラCMが配置される。カメラCMは、1列分のライン状の画像を撮影する。ラインカメラは、矩形状の画像を撮影するためのエリアカメラ(エリアセンサカメラ)よりも、水平方向の画素数を大きくすることができる。中心軸Jを軸としてワークWを回転させつつカメラCMによって撮影することで、ワークWの周方向全体の画像を撮影することができる。
【0025】
白棒B1は、軸方向に移動可能である第1可動部材として機能する。黒棒B2は、軸方向に移動可能である第2可動部材として機能する。図1に示すようにワークWを白棒B1と黒棒B2の間にセットした状態で、まず、図2に示すように、白棒B1を一方の軸方向端部からワークWの内側に挿入する第1動作を行う。第1動作は、背景とする所定位置に第1可動部材である白棒B1を移動させる動作である。白棒B1をワークWの内側に挿入した状態で、ワークWを周方向に回転させつつカメラCMによって撮影を行う。
【0026】
次に、図3に示すように、白棒B1を一方の軸方向端部からワークWの外側へ排出するとともに、黒棒B2を他方の軸方向端部からワークWの内側に挿入する第2動作を行う。第2動作は、上記の所定位置に第2可動部材である黒棒B2を移動させる動作である。黒棒B2をワークWの内側に挿入した状態で、ワークWを周方向に回転させつつカメラCMによって撮影を行う。なお、白棒B1と黒棒B2のワークWに挿入する順序は、上記と逆であってもよい。
【0027】
すなわち、所定位置に設ける背景の色を白棒B1と黒棒B2によって白色および黒色それぞれに順次切替え、背景を白色および黒色それぞれとした各状態において、背景の前に撮影対象物であるワークWを重ねた被写体をカメラCMによって撮影する。この撮影により得られた画像を用いて、ワークWにおける各種の欠陥を検出することが可能である。例えば、黒点汚れ、白点汚れ、ウェルド、気泡、および、ヒケ等の欠陥を検出できる。この際、例えば背景色が白の画像だけが用いられると、背景に同化して白点汚れ等が適切に検出されない虞があるが、背景色が黒の画像も用いることにより、このような問題は解消される。
【0028】
また、上記の手法では背景色を切替えるため、特許文献1に開示された装置のように複数の受光素子を設ける必要が無く、各背景色での撮影において共通のカメラCMを使用することが可能である。そのため、背景ごとの撮影条件を極力同じとすることが可能であり、外観検査の精度や信頼性等の向上が容易である。
【0029】
また、背景である白棒B1と黒棒B2は、ワークWの内側に挿入される。すなわち、背景の前に円筒状である撮影対象物であるワークWの側壁を重ねた被写体を撮影し、上記の所定位置は円筒状の内側としている。これにより、ワークWのカメラCM側(正面側)の反対側である裏側の側壁に影響されずに撮影が可能となり、欠陥を精度良く検出できる。なお、ワークWの裏面側の位置において白棒B1と黒棒B2を切替えて配置する場合、ワークWの正面側の側壁と裏面側の側壁とが重なって撮影され、正面側の側壁での欠陥画像が不明瞭となる虞があるが、本発明の例ではこのような事態は回避される。
【0030】
背景色を切替える他の形態として、白棒B1と黒棒B2を連結して1本の棒とし、ワークWの内側に挿入する形態を採用することも可能である。この場合は、当該棒の挿入の深さを、白棒B1の部分がワークW内に位置する状態と黒棒B2の部分がワークW内に位置する状態との間で切替えれば良い。なおこの形態に比べて、図1に示すように白棒B1と黒棒B2を独立させる場合には、白棒B1と黒棒B2の移動スペースを減らすことができ、装置の小型化が容易となる点で好ましい。
【0031】
背景色を切替える更に別の形態として、例えば円柱状の1本の棒において、軸方向に見た半円部分を白色部とし、残りの半円部分を黒色部としたものを背景部材として用いてもよい。この場合、当該背景部材をワークWの内側に挿入し、当該背景部材を周方向に半回転させれば背景色を切替えることができる。すなわち、周方向の異なる位置に複数色それぞれが配された略棒状の背景部材を備えるようにし、ワークWの内側に配された当該背景部材をその周方向へ回転させることにより、背景色を切替えることができる。この形態では、背景色を3色以上で切替可能とすることも容易であり、例えば、5色で切替可能とする場合には背景部材に72°(=360°/5)ごとに異なる色を配しておき、背景色を切替えようとする度に背景部材を72°ずつ回転させるようにすれば良い。なおこの形態では、背景部材を回転させるだけで背景色を切替えることができるため、背景色の切替に関わるタクトタイムの短縮が容易となる。但しこの形態を採用する場合は、背景部材の動作として、スライド移動とともに回転の動作が必要となる。
【0032】
更に、背景色を切替える別の形態として、発光する1つの背景部材を採用し、発光色あるいは発光の有無等を切替えることにより背景色を切替えてもよい。但しこの形態を採用する場合、発光体や発光の制御装置等が必要となる。
【0033】
また切替える背景色については、撮影対象物の種類やその他の事情に応じて、白色と黒色とは別の色を用いてもよいし、3色以上の色を適用してもよい。またワークWは、透光性を有していれば、円筒状以外の筒状でもよいし、筒状以外の例えばシート状等であってもよい。以上に説明した撮影方法の第1特徴は、後述するとおり、本実施形態に係る撮影装置の作業順29~33(図12を参照)における動作に利用される。
【0034】
2.撮影方法の第2特徴
次に、本発明に係る撮影装置の例により行われる撮影方法の第2特徴について、図4および図5を用いて説明する。
【0035】
図4および図5に示すように、ワークWにおける別々の撮影位置を撮影するために、カメラCM1およびカメラCM2を設ける。バックライトBLは、所定の使用位置と不使用位置との間でスライド移動が可能な可動式の照明であり、カメラCM1により撮影するワークWにおける所定の撮影位置を背面側から照明する。
【0036】
カメラCM1で撮影するときには、図4に示すように、バックライトBLを不使用位置から使用位置へ移動させて使用する。使用位置は、バックライトBLの使用時の位置である。但し、使用位置はカメラCM2とワークWの間に介在し、カメラCM2によるワークWの撮影を阻害してしまう位置でもある。
【0037】
次に、カメラCM2でワークWを撮影するときには、図5に示すように、バックライトBLを使用位置から不使用位置へ移動させる。不使用位置は、バックライトBLの不使用時の位置である。不使用位置は、カメラCM2とワークWの間に介在せず、この位置にバックライトBLがあってもカメラCM2によるワークWの撮影は阻害されない。
【0038】
このように、カメラCM1での撮影時に使用する位置である使用位置と、他のカメラCM2での撮影を阻害しない位置である不使用位置との間で、バックライトBLを移動させる照明移動動作を行う。これにより、カメラCM1での撮影に用いられるバックライトBLの位置が別のカメラCM2での撮影を阻害する位置であっても、カメラCM2による撮影時にはバックライトBLを退避させて、バックライトBLの干渉を防ぐことができる。なお、ワークWの向きを順次切替えて撮影を行うような場合、照明移動動作を当該向きを切替える動作と並行して行うようにすれば、その分、タクトタイム(これらの動作に要する時間)を短縮することができる。以上に説明した撮影方法の第2特徴は、後述するとおり、本実施形態に係る撮影装置の作業順2~6(図12を参照)における動作に利用される。
【0039】
3.ダイアライザーについて
本発明に係る撮影装置は、各種物品の外観検査に利用可能であり、一例として、ダイアライザーを形成するハウジングの外観検査に有用である。ダイアライザーは、血液透析に用いられる器具として知られている。
【0040】
図6は、ダイアライザーを形成する部品となるハウジングの一構成例を示す斜視図である。図6に示すハウジング200は、透明部材であり、略円筒状に形成される。ハウジング200は、胴部201と、第1フランジ部202と、第2フランジ部203と、を有し、ポリスチレン等により一体的に形成される。
【0041】
胴部201は、中心軸Jを中心として軸方向に延びる円筒状である。胴部201の軸方向一方側端面には、径方向に広がって膨らんで形成される第1フランジ部202が連設される。胴部201の軸方向他方側端面には、径方向に広がって膨らんで形成される第2フランジ部203が連設される。
【0042】
第1フランジ部202は、軸方向に貫通する開口部202Aを内部に有する。第2フランジ部202の軸方向一方側端部の外周面には、第1ネジ部202Bが形成される。第2フランジ部202の軸方向他方側の外周面には、第1ノズル204が径方向外側に突出して形成される。
【0043】
第2フランジ部203は、軸方向に貫通する開口部203Aを内部に有する。第2フランジ部203の軸方向他方側端部の外周面には、第2ネジ部203Bが形成される。第2フランジ部203の軸方向一方側の外周面には、第2ノズル205が径方向外側に突出して形成される。第1ノズル204と第2ノズル205は、突出する方向が一致する。
【0044】
第1ネジ部202Bに不図示の第1キャップをネジ止めし、第2ネジ部203Bに不図示の第2キャップをネジ止めし、ハウジング200、第1キャップおよび第2キャップからなる容器に細いストロー状である透析膜(中空糸)の束が収容されることで、ダイアライザーが形成される。
【0045】
上記第1キャップと第2キャップそれぞれがチューブによって血管と接続される。第1ノズル204には、不図示の透析液供給装置から透析液が流入され、第2ノズル205からは透析液が上記透析液供給装置へ流出される。これにより、体内の血管から第2キャップを通してダイアライザー内部へ送り込まれた血液の老廃物や余分な水分は、透析液側に排出されて清浄される。清浄された血液は第1キャップを通して体内の血管へ戻される。
【0046】
このようなダイアライザーを形成するハウジング200において、例えば、汚れを形成する異物や、キズが生じたときに形成された破片等が発生した場合、当該異物や破片等が血液に侵入する虞がある。従って、後述する本実施形態に係る撮影装置によってハウジング200における欠陥を検出することは安全面等で重要である。
【0047】
4.撮影装置の構成
次に、本実施形態に係る撮影装置について説明する。当該撮影装置は、先述した第1特徴および第2特徴に係る撮影方法を行うように形成されている。なお、当該撮影装置の撮影対象物であるワークWは、先述したダイアライザー用のハウジング200であるとする。
【0048】
図7は、本実施形態に係る撮影装置100におけるカメラ配置を示した概略斜視図である。なお、図7において、ワークW(ハウジング200)を搬送する搬送方向上流側をX1、搬送方向下流側をX2として示す。図8は、搬送方向下流側から見て右側の側面からワークWを見た場合のカメラ配置を示す図である。また以下の説明では、搬送方向下流側から見て右側を「右側」、搬送方向下流側から見て左側を「左側」と称する。また、搬送方向下流側正面を「正面」と称する。
【0049】
本実施形態に係る撮影装置100は、図7に示すように、撮影手段として1番カメラC1~12番カメラC12を備える(n番カメラの符号を「Cn」とする)。また、図7に示すように、撮影装置100は、ローラ部1も備える。撮影装置100は、複数のカメラ(1番カメラC1~12番カメラC12)を用いて撮影対象物(ワークW)を異なる角度から順次撮影する。
【0050】
ワークWは、搬送方向上流側から搬入されてローラ部1上にセットされる。1番カメラC1~12番カメラC12は、セットされたワークWの撮影を行う。このとき、後述のように、ワークWは、ローラ部1によって中心軸J周りに回転する。ハウジング200(ワークW)がセットされた状態で、ハウジング200の第1ネジ部202Bが右側、第2ネジ部203Bが左側に配置される。
【0051】
ここで、各カメラの撮影対象および種類について、図9の表に示す。1番カメラC1は、ラインカメラであり、ハウジング200(ワークW)の胴部201における右側部分(胴部右)を撮影対象とする。2番カメラC2は、ラインカメラであり、ハウジング200の胴部201における左側部分(胴部左)を撮影対象とする。
【0052】
3番カメラC3は、エリアカメラであり、ハウジング200の第1ネジ部202B(右ネジ部)を撮影対象とする。4番カメラC4は、エリアカメラであり、ハウジング200の第2ネジ部203B(左ネジ部)を撮影対象とする。5番カメラC5は、エリアカメラであり、ハウジング200の第1ノズル204(右ノズル部)正面を撮影対象とする。6番カメラC6は、エリアカメラであり、ハウジング200の第2ノズル205(左ノズル部)正面を撮影対象とする。
【0053】
7番カメラC7は、エリアカメラであり、ハウジング200の第1ノズル204(右ノズル部)外側を撮影対象とする。8番カメラC8は、エリアカメラであり、ハウジング200の第2ノズル205(左ノズル部)外側を撮影対象とする。9番カメラC9は、エリアカメラであり、ハウジング200の第1ノズル204(右ノズル部)内側を撮影対象とする。10番カメラC10は、エリアカメラであり、ハウジング200の第2ノズル205(左ノズル部)内側を撮影対象とする。
【0054】
11番カメラC11は、エリアカメラであり、ハウジング200の開口部202A(右開口部)を撮影対象とする。12番カメラC12は、エリアカメラであり、ハウジング200の開口部203A(左開口部)を撮影対象とする。
【0055】
また、本実施形態に係る撮影装置100は、撮影用の各種照明も備える。図10は、撮影装置100におけるカメラ配置に加えて照明配置を示した図である。図10に示すように、撮影装置100は、1番照明L1、3番照明L3、4番照明L4、7番照明L7、8番照明L8、9番照明L9、10番照明L10、11番照明L11、12番照明L12、照明L1a、および、照明L1bを備える。
【0056】
9番照明L9および10番照明L10は可動式の照明であり、それ以外の照明は固定式となっている。なお、以下、撮影対象に対して撮影手段(カメラ)が配置される側から撮影対象に光を照射する照明を「フロントライト」と称し、撮影対象に対して撮影手段(カメラ)が配置される側と反対側から撮影対象に光を照射する照明を「バックライト」と称する。
【0057】
1番照明L1は、1番カメラC1および2番カメラC2による撮影時に用いられるフロントライトである。3番照明L3は、3番カメラC3および5番カメラC5による撮影時に用いられるバックライトである。4番照明L4は、4番カメラC4および6番カメラC6による撮影時に用いられるバックライトである。7番照明L7は、7番カメラC7による撮影時に用いられるフロントライトである。8番照明L8は、8番カメラC8による撮影時に用いられるフロントライトである。11番照明L11は、11番カメラC11による撮影時に用いられるフロントライトである。12番照明L12は、12番カメラC12による撮影時に用いられるフロントライトである。照明L1aは、5番カメラC5による撮影時に用いられるフロントライトである。照明L1bは、6番カメラC6による撮影時に用いられるフロントライトである。
【0058】
9番照明L9は、9番カメラC9による撮影時に用いられるバックライトである。9番照明L9は、使用時の位置(使用位置)と10番カメラC10での撮影を阻害しない位置(不使用位置)との間でスライド移動が可能である。10番照明L10は、10番カメラC10による撮影時に用いられるバックライトである。10番照明L10は、使用時の位置(使用位置)と9番カメラC9での撮影を阻害しない位置(不使用位置)との間でスライド移動が可能である。
【0059】
また、本実施形態に係る撮影装置100のブロック構成を図11に示す。図11に示すように、撮影装置100は、ローラ部1と、ローラ駆動部2と、白棒3と、白棒移動機構部4と、黒棒5と、黒棒移動機構部6と、撮影部7と、固定照明部8と、可動照明部9と、照明移動機構部10と、表示部11と、操作部12と、制御部13と、を備える。なお、白棒3、白棒移動機構部4、黒棒5、および黒棒移動機構部6により、背景切替部50が構成される。
【0060】
ローラ部1は、ワークW(ハウジング200)がセットされ、セットされたワークWを中心軸J周りに回転させる。ローラ駆動部2は、ローラ部1を回転駆動する。白棒3および黒棒5は、それぞれ、先述した白棒B1、黒棒B2と同様の構成である。すなわち、白棒3および黒棒5は、ワークW(ハウジング200)内側に挿入されて、撮影時の背景とされる。白棒移動機構部4は、白棒3をワークW内側に挿入したり、ワークW内側から排出させる。黒棒移動機構部6は、黒棒5をワークW内側に挿入したり、ワークW内側から排出させる。
【0061】
撮影部7は、先述した1番カメラC1~12番カメラC12を含む。固定照明部8は、先述した1番照明L1、3番照明L3、4番照明L4、7番照明L7、8番照明L8、11番照明L11、12番照明L12、照明L1a、および、照明L1bを含む。可動照明部9は、先述した9番照明L9、および10番照明L10を含む。照明移動機構部10は、9番照明L9、および10番照明L10をスライド移動させる。
【0062】
表示部11は、撮影部7による撮影画像や設定画面、および各種画像等を表示するものであり、例えば液晶表示装置等により構成される。操作部12は、ユーザが撮影装置100に対する操作を行うためのインタフェースであり、例えばキーボード等により構成される。
【0063】
制御部13は、撮影装置100の各部を統合的に制御する。なお、表示部11、操作部12、および制御部13は、PC(パーソナルコンピュータ)により実現されてもよい。また、制御部13は、撮影部7によって撮影された画像に基づき、ワークWにおける欠陥の有無や欠陥の種類等を検出する。すなわち、撮影装置100は、撮影によって得られた画像に基づいて、撮影対象物の品質を検査する外観検査装置としても捉えられる。
【0064】
5.撮影装置の動作
次に、以上のように構成された撮影装置100による動作を、図12に示す表に沿って説明する。図12に示す表は、左側から順に、作業順、ワークW(ハウジング200)の動き、各種照明および白棒・黒棒の動き、撮影を行うカメラ、および発光を行う照明を概略的に示している。なお、「撮影を行うカメラ」欄の数字は、撮影を行うカメラの番号を示し、「発光を行う照明」欄の数字は、発光を行う照明の番号を示す。
【0065】
まず、ワークWが搬送方向上流側から搬入されて、ローラ部1上にセットされる(作業順1)。この状態で、先述した図1の状態と同様に、ワークWは、白棒3および黒棒5によって軸方向両側から挟まれる。このとき、9番照明L9および10番照明L10は、不使用位置に位置している。
【0066】
次に、制御部13による指令に基づき、ローラ駆動部2はローラ部1を用いて、ワークWを9番カメラC9および10番カメラC10による撮影用の第1回転位置まで回転させる(作業順2)。これに並行して、制御部13による指令に基づき、照明移動機構部10は、9番照明L9を不使用位置から使用位置まで移動させる(作業順2)。
【0067】
続いて制御部13による指令に基づき、9番照明L9は発光し、9番カメラC9は撮影を行う(作業順3)。このとき、10番照明L10は不使用位置に位置するので、9番カメラC9による撮影を阻害しない。次に、制御部13による指令に基づき、照明移動機構部10は、9番照明L9を使用位置から不使用位置まで移動させるとともに、10番照明L10を不使用位置から使用位置まで移動させる(作業順4)。
【0068】
続いて制御部13による指令に基づき、10番照明L10は発光し、10番カメラC10は撮影を行う(作業順5)。このとき、9番照明L9は不使用位置に位置するので、10番カメラC10による撮影を阻害しない。
【0069】
次に、制御部13による指令に基づき、ローラ駆動部2はローラ部1を用いて、ワークWを5番カメラC5および6番カメラC6による撮影用の第2回転位置まで回転させる(作業順6)。第2回転位置は、図13(A)に示すように、ノズル204,205が側面視で鉛直方向頂上部の位置から搬送方向下流側へ所定回転角度(<90°)だけずれた位置である。これに並行して、制御部13による指令に基づき、照明移動機構部10は、10番照明L10を使用位置から不使用位置まで移動させる(作業順6)。
【0070】
なお、作業順2~6における動作は、先述した第2特徴を利用した動作に該当する。また、作業順2においては、ワークWの回転と9番照明L9の移動を並行して行うことにより、これらを順に行う場合に比べてタクトタイムが短縮される。作業順4においては、9番照明L9の移動と10番照明L10の移動を並行して行うことにより、これらを順に行う場合に比べてタクトタイムが短縮される。作業順6においては、ワークWの回転と10番照明L10の移動を並行して行うことにより、これらを順に行う場合に比べてタクトタイムが短縮される。
【0071】
続いて制御部13による指令に基づき、3番照明L3および4番照明L4は発光し、5番カメラC5および6番カメラC6は撮影を行う(作業順7)。次に、制御部13による指令に基づき、照明L1aおよび照明L1bは発光し、5番カメラC5および6番カメラC6は撮影を行う(作業順8)
【0072】
次に、制御部13による指令に基づき、ローラ駆動部2はローラ部1を用いてワークWを第3回転位置(基準位置)まで回転させる(作業順9)。第3回転位置は、図13(B)に示すように、ノズル204,205が側面視で鉛直方向頂上部の位置から搬送方向上流側へ所定回転角度(<90°)だけずれた位置である。そして、制御部13による指令に基づき、3番照明L3および4番照明L4は発光し、3番カメラC3、4番カメラC4、5番カメラC5および6番カメラC6は撮影を行う(作業順10)。
【0073】
続いて、制御部13による指令に基づき、照明L1aおよび照明L1bは発光し、3番カメラC3、4番カメラC4、5番カメラC5および6番カメラC6は撮影を行う(作業順11)。そして、制御部13による指令に基づき、7番照明L7は発光し、7番カメラC7は撮影を行う(作業順12)。次に、制御部13による指令に基づき、8番照明L8は発光し、8番カメラC8は撮影を行う(作業順13)。次に、制御部13による指令に基づき、11番照明L11は発光し、11番カメラC11は撮影を行う(作業順14)。次に、制御部13による指令に基づき、12番照明L12は発光し、12番カメラC12は撮影を行う(作業順15)。
【0074】
次に、制御部13による指令に基づき、ローラ駆動部2はローラ部1を用いてワークWを第4回転位置まで回転させる(作業順16)。第4回転位置は、図13(C)に示すように、第3回転位置からワークW上部が搬送方向下流側から搬送方向上流側へ向かって回転する方向(正転方向)へ90°だけ回転した位置である。
【0075】
続いて、制御部13による指令に基づき、3番照明L3および4番照明L4は発光し、3番カメラC3、および4番カメラC4は撮影を行う(作業順17)。そして、制御部13による指令に基づき、11番照明L11は発光し、11番カメラC11は撮影を行う(作業順18)。更に制御部13による指令に基づき、12番照明L12は発光し、12番カメラC12は撮影を行う(作業順19)。
【0076】
次に、制御部13による指令に基づき、ローラ駆動部2はローラ部1を用いてワークWを第5回転位置まで回転させる(作業順20)。第5回転位置は、図13(D)に示すように、第4回転位置から正転方向へ90°だけ回転した位置である。
【0077】
続いて、制御部13による指令に基づき、3番照明L3および4番照明L4は発光し、3番カメラC3、および4番カメラC4は撮影を行う(作業順21)。そして、制御部13による指令に基づき、照明L1aおよび照明L1bは発光し、3番カメラC3、および4番カメラC4は撮影を行う(作業順22)。次に、制御部13による指令に基づき、11番照明L11は発光し、11番カメラC11は撮影を行う(作業順23)。次に、制御部13による指令に基づき、12番照明L12は発光し、12番カメラC12は撮影を行う(作業順24)。
【0078】
次に、制御部13による指令に基づき、ローラ駆動部2はローラ部1を用いてワークWを第6回転位置まで回転させる(作業順25)。第6回転位置は、図13(E)に示すように、第5回転位置から正転方向へ90°だけ回転した位置である。
【0079】
続いて制御部13による指令に基づき、3番照明L3および4番照明L4は発光し、3番カメラC3、および4番カメラC4は撮影を行う(作業順26)。そして、制御部13による指令に基づき、11番照明L11は発光し、11番カメラC11は撮影を行う(作業順27)。更に制御部13による指令に基づき、12番照明L12は発光し、12番カメラC12は撮影を行う(作業順28)。
【0080】
次に、制御部13による指令に基づき、白棒移動機構部4は、白棒3をワークW(ハウジング200)内側に挿入させる(作業順29)。そして、制御部13による指令に基づいてローラ駆動部2がローラ部1を用いてワークWを360°回転させる(作業順30)。このとき、制御部13による指令に基づき、1番照明L1は発光し、ラインカメラである1番カメラC1および2番カメラC2は撮影を行う(作業順30)。これにより、白色を背景色として、ワークWの胴部201を周方向全体に亘って撮影することができる。
【0081】
次に、制御部13による指令に基づき、白棒移動機構部4は、白棒3をワークW内側から排出させ、黒棒移動機構部6は、黒棒5をワークW内側へ挿入させる(作業順31)。そして、制御部13による指令に基づいてローラ駆動部2がローラ部1を用いてワークWを360°回転させる(作業順32)。このとき、制御部13による指令に基づき、1番照明L1は発光し、ラインカメラである1番カメラC1および2番カメラC2は撮影を行う(作業順32)。これにより、黒色を背景色として、ワークWの胴部201を周方向全体に亘って撮影することができる。
【0082】
次に、制御部13による指令に基づき、ローラ駆動部2はローラ部1を用いてワークWを所定排出位置まで回転させ、黒棒移動機構部6は、黒棒5をワークW内側から排出させる(作業順33)。なお、作業順29~33における動作は、先述した第1特徴を利用した動作に相当する。その後、ワークWが搬送方向下流側へ排出される(作業順34)。
【0083】
以上のように作業順1から作業順34までの一連の動作が行われることにより、ワークWの各部位を適切な角度から撮影した各画像が得られる。外観検査装置としても機能する撮影装置100は、このようにして得られた各画像を用いることにより、ワークWの高精度な外観検査が可能であり、ワークWにおける欠陥の有無や欠陥の種類等を検出することが可能である。
【0084】
6.その他
以上に説明したとおり本実施形態に係る撮影装置100は、所定位置に設ける背景の色を白と黒それぞれに順次切替える背景切替部50を有し、背景を白と黒それぞれとした各状態において、背景の前にワークWを重ねた被写体を撮影する。そのため、複数の背景色それぞれでの撮影を行うことで、ワークWにおける各種の欠陥等を精度良く検出することが可能である。また、撮影手段を各背景に共通として、撮影方向等の撮影条件を極力同じとすることが可能であり、外観検査の精度や信頼性等の向上が容易である。
【0085】
また更に撮影装置100は、複数のカメラを用いてワークWを異なる角度から順次撮影するもの撮影装置であって、一部のカメラでの撮影時に用いる可動式の照明(L9,L10)を備え、使用時の位置(使用位置)と他のカメラでの撮影を阻害しない位置(不使用位置)との間で前記照明を移動させる照明移動動作を行う。そのため、一部のカメラでの撮影に用いられる照明の位置が他のカメラでの撮影を阻害する位置であっても、当該他のカメラによる撮影時には当該照明を退避させて、撮影が阻害されないようにすることが可能である。
【0086】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明の構成は上記実施形態のほか、発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えることが可能である。すなわち上記実施形態は、全ての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきであり、本発明の技術的範囲は、上記実施形態の説明ではなく、特許請求の範囲によって示されるものであり、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内に属する全ての変更が含まれると理解されるべきである。
【符号の説明】
【0087】
1 ローラ部
2 ローラ駆動部
3 白棒
4 白棒移動機構部
5 黒棒
6 黒棒移動機構部
7 撮影部
8 固定照明部
9 可動照明部
10 照明移動機構部
11 表示部
12 操作部
13 制御部
50 背景切替部
100 撮影装置
200 ハウジング
201 胴部
202 第1フランジ部
202A 開口部
202B 第1ネジ部
203 第2フランジ部
203A 開口部
203B 第2ネジ部
204 第1ノズル
205 第2ノズル
W ワーク
B1 白棒
B2 黒棒
CM、CM1、CM2、C1~C12 カメラ
L1、L3、L4、L7~L12、L1a、L1b 照明
BL バックライト
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13