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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-12
(45)【発行日】2023-01-20
(54)【発明の名称】折畳定規
(51)【国際特許分類】
   B43L 7/10 20060101AFI20230113BHJP
   B43L 13/00 20060101ALI20230113BHJP
【FI】
B43L7/10
B43L13/00 X
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019005877
(22)【出願日】2019-01-17
(65)【公開番号】P2020114627
(43)【公開日】2020-07-30
【審査請求日】2021-11-10
(73)【特許権者】
【識別番号】593093423
【氏名又は名称】クツワ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165755
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 典彦
(72)【発明者】
【氏名】橡尾 洋介
【審査官】三橋 健二
(56)【参考文献】
【文献】実開昭54-162340(JP,U)
【文献】特開2016-074097(JP,A)
【文献】実開平06-017995(JP,U)
【文献】登録実用新案第3106092(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B43L 7/10
B43L 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対の定規本体と、該定規本体の各々の一端を連結する連結体と、該定規本体は略長方形の平板の縁に長さの目盛が印字された目盛部と、角度調整部材を差し込むために凹状に形成された差込部と、を備えてなり、
前記連結体は、前記定規本体の各々の一端をそれぞれ回動自在に軸支するための2つの回動軸を有するリンク部材と、前記定規本体間の角度を調整するための角度調整部材と、を有し、
前記差込部は、前記リンク部材の外周面を摺接して前記定規本体を回動し得るように前記定規本体の短手方向の側面中央から長手方向の側面にかけて切り欠いて形成された前記リンク部材と摺接する第一の内周面と、該第一の内周面より一段下がった位置に形成された前記角度調整部材の外周面と摺接する第二の内周面と、を有することを特徴とする折畳定規。
【請求項2】
リンク部材は、定規本体の各々の一端の表面を押えるための押え部と、前記定規本体の差込部の裏面に配置して角度調整部材を受けるための受け部と、を有することを特徴とする請求項1に記載の折畳定規。
【請求項3】
リンク部材の受け部の側面の下端は、定規本体の側面の下端と同一平面上に位置するように固定されることを特徴とする請求項に記載の折畳定規。
【請求項4】
角度調整部材は、定規本体の差込部に差し込みうる平板であり、該平板の両端には前記差込部の第二の内周面と回動自在に摺接するように外周面と、該外周面から側方に突出して、前記定規本体の前記差込部の第二の内周面の凹部と係合する凸部と、を有することを特徴とする請求項に記載の折畳定規。
【請求項5】
角度調整部材は、凸部近傍を弾性変形するように平板の表面から裏面まで略円弧状に貫通して形成された溝部を有することを特徴とする請求項に記載の折畳定規。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、角度の測定及び交差する直線を引くことができる多機能の折畳定規に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の多機能の折畳定規の一例として、一対の直線定規を連結して折畳むことができるものが提案されており、とりわけ、特許文献1、2に記載された折畳定規には、直線定規を連結する連結体に角度目盛を付したものであり、交差する直線の角度を測定することができるものである。
【0003】
しかしながら、上述の折畳定規は、携帯性に優れているとともに交差する直線の角度を測定することができる一方で、角度を測定するための目盛部分が直角の角部分から突出するため連続的に線を引くときの妨げになってしまう欠点を有するものであった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】実公昭09-012017号公報
【文献】登録実用新案第3007421号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、交差する直線のなす角度を測定することができるとともに、直角に交差する角部分の線を連続的に引くことができる折畳定規を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記課題に鑑み、一対の定規本体と、該定規本体の各々の一端を連結する連結体と、該定規本体は略長方形の平板の縁に長さの目盛が印字された目盛部と、角度調整部材を差し込むために凹状に形成された差込部と、を備えてなり、前記連結体は、前記定規本体の各々の一端をそれぞれ回動自在に軸支するための2つの回動軸を有するリンク部材と、前記定規本体間の角度を調整するための角度調整部材と、を有し、前記差込部は、前記リンク部材の外周面を摺接して前記定規本体を回動し得るように前記定規本体の短手方向の側面中央から長手方向の側面にかけて切り欠いて形成された前記リンク部材と摺接する第一の内周面と、該第一の内周面より一段下がった位置に形成された前記角度調整部材の外周面と摺接する第二の内周面と、を有することを特徴とするものである。
【0007】
また、リンク部材は、定規本体の各々の一端の表面を押えるための押え部と、前記定規本体の差込部の裏面に配置して角度調整部材を受けるための受け部と、を有することが好ましい。
【0008】
また、リンク部材の受け部の側面の下端は、定規本体の側面の下端と同一平面上に位置するように固定されることが好ましい。
【0009】
また、上述した構成に加え、角度調整部材は、定規本体の差込部に差し込みうる平板であり、該平板の両端には前記差込部の第二の内周面と回動自在に摺接するように外周面と、該外周面から側方に突出して、前記定規本体の前記差込部の第二の内周面の凹部と係合する凸部と、を有することが好ましい。
【0010】
角度調整部材は、凸部近傍を弾性変形するように平板の表面から裏面まで略円弧状に貫通して形成された溝部を有することが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
請求項1-5記載の発明によれば、交差する直線のなす角度を測定することができるとともに、直角に交差する直線の角部分の線を連続的に引くことができることが可能な折畳定規を提供することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施形態に係る折畳定規の一例を示す裏面から見た分解斜視図である。
図2図1の表面から見た分解斜視図である。
図3図1の折畳定規の閉じた状態を示す正面図である。
図4図3のA-A線断面図である。
図5図1の折畳定規を直角に開いた状態の(a)正面図、及び、(b)背面図である。
図6図1の折畳定規を180度に開いた状態を示す(a)正面図、及び、(b)背面図である。
図7図3のロック部材の断面構造を示す図であり、(a)B-B線拡大断面図、(b)ロック部材をスライドさせた状態を示す拡大断面図である
図8図1の折畳定規を用いて直角に交差する線を引く方法を示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の実施形態について図1-8に基づいて詳細に説明する。
【0014】
(実施形態)
本発明の折畳定規は、一対の定規本体10、10と、該定規本体10、10の各々の一端を連結する連結体20と、を備えてなり、連結体20は、定規本体10、10の一端にそれぞれ回動自在に軸支するための2つの回動軸21、21を有するリンク部材30と、定規本体10、10間の角度を調整し得る角度調整部材40と、を有するものである。
【0015】
定規本体10、10は、略長方形の平板の縁に印字された目盛を有する目盛部11、11と、角度調整部材40を差し込むための差込部12、12と、を有するものである。
【0016】
差込部12は、定規本体10、10の裏面に形成された凹所と、リンク部材30の外周面32b、32bと摺接して定規本体10、10を0度から90度まで回動し得るように、定規本体10、10の短手方向の側面中央から長手方向の側面にかけて略半円状に切り欠き形成された第一の内周面13、13と、該第一の内周面13、13より一段下がった位置に第一の内周面13、13よりも小さい径で形成された第二の内周面14、14と、を有するものである。また、この差込部12は、後述のリンク部材30の第一の軸部31a、31aを挿入するため開孔部15、15を有するものである。
【0017】
この第二の内周面14、14は、後述する角度調整部材40の凸部41a、41aと係合する複数の凹部14a、14aを有するものであり、この凹部14a、14aは、断面略三角形状に形成され、0度から90度の間を約15度間隔で略三角形状の頂点が位置するように配設されるものである。
【0018】
連結体20を構成するリンク部材30は、定規本体10、10の各々の一端の表面を押えるため押え部31と、定規本体10、10の各々の裏面に配置され角度調整部材40を受けるための受け部32と、からなるものであり、後述する押え部31の第一の軸部31a、31aと、受け部32の第二の軸部32a、32aと、を嵌合させることで、定規本体10、10の各々の一端をそれぞれ回動自在に軸支する2つの回動軸21、21を有する。
【0019】
押え部31は、薄板であり、該薄板の表面から突出して形成された2つの第一の軸部31a、31aを有している。この第一の軸部31a、31aの先端は、割れピンのような二股形状であり、その先端に係止爪31b、31bを設けることで、後述する受け部32の第二の軸部32aに形成された被嵌合部32cに嵌合固定することで一対の定規本体10、10の各々の一端同士を回動自在に連結するものである。
【0020】
受け部32は、少なくとも角度調整部材40を定規本体10、10の差込部12、12に差し込んだ状態を覆う薄板であり、該薄板の両端は差込部12、12の第一の内周面13、13に摺接するように略円弧状であり、その表面から突出して形成された第二の軸部32a、32aを有するものである。この、第二の軸部32a、32aは、上面が開口した略円筒状であり、その内部に押え部31の第一の軸部31a、31aの係合爪31bと嵌合固定する内周面に沿う突起状の被嵌合部32cを有するものである。
【0021】
また、この受け部32は、折畳定規を平らな面に設置した際にガタつかずになめらかに直線を引くことができるように、受け部32の側面の下端を定規本体10、10の側面の下端と同一平面上に位置するように差込部12、12に固定されるものである。
【0022】
角度調整部材40は、定規本体10、10の差込部12、12に差し込みうる平板であり、該平板の両端には差込部12、12の第二の内周面14、14と回動自在に摺接するように略半円形状に形成された外周面41、41と、該外周面41、41上から側方に突出して形成された差込部12、12の凹部14a、14aと係合する2つの凸部41a、41aを有するものである。また、受け部32の第二の軸部32a、32aに挿入して固定するための2つの開孔部43、43を有するものである。
【0023】
また、この角度調整部材40は、定規本体10、10の回動する際に凸部41a、41aが差込部12、12の凹部14a、14a間を摺接しながら、凸部41a、41aの近傍を弾性変形して凹部14a、14a間を乗り越えやすくするために、平板の表面から裏面まで略円弧状に貫通して形成された溝部42、42を有するものである。
【0024】
また、この定規本体10、10の差込部の反対側の他端には、図7に示すように、定規本体10、10の長手方向に対して垂直にスライドするロック部材50と係合する係合部16、16を有するものであり、この係合部16、16は、定規本体10、10よりも厚みを薄くするとともに、該係合部16、16の表面及び裏面に、断面略U字状のロック部材50内部に設けられたくぼみ部51と係合する複数の突起16a、16aを有するものである。
【0025】
上記実施形態の折畳定規を使用して、直角に交差する線を作図した際の折畳定規の連結体周辺を図8に示している。一対の定規本体10、10を直角にしたものである。このとき、一方の定規本体10の側面と、リンク部材30の受け部32の側面とが連続する平面となるとともに、受け部32の側面から他方の定規本体10の側面が垂直方向に配置することができる。しかも、定規本体10、10の側面下端とリンク部材30の受け部32の側面下端とが同一平面上に位置するため、直角に交差する線Lの角部分を連続的に引くことが可能である。
【0026】
したがって、上記実施形態の折畳定規は、携帯性に優れ、交差する直線の角度を簡易的に測定することができ、かつ、交差する直線の角部分の線を連続的に引くことができる折畳定規を提供することが可能である。
【符号の説明】
【0027】
10…定規本体、11…目盛部、12…差込部、13…第一の内周面、14…第二の内周面、14a…凹部、15…開孔部、16…係合部、16a…突起、
20…連結体、21…回動軸、
30…リンク部材、
31…押え部、31a…第一の軸部、31b…係合爪、
32…受け部、32a…第二の軸部、32b…外周面、32c…被嵌合部、
40…角度調整部材、41…外周面、41a…凸部、42…溝部、43…開孔部、
50…ロック部材、51…くぼみ部、
L…直角に交差する線。

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8