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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-12
(45)【発行日】2023-01-20
(54)【発明の名称】車両管理装置、車両管理方法及び車両
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/10 20120101AFI20230113BHJP
【FI】
G06Q50/10
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2019068807
(22)【出願日】2019-03-29
(65)【公開番号】P2020166748
(43)【公開日】2020-10-08
【審査請求日】2022-03-24
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100138771
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 将明
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 快
【審査官】石坂 博明
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-094699(JP,A)
【文献】特開2011-241549(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用者間で貸与、借用が可能な車両の管理を行う車両管理システムにおける車両管理装置であって、
当該車両管理システムの利用者に関する会員情報、前記利用者が所有又は管理している車両に関する会員車両情報、及び車両の利用予約に関する予約管理情報を処理する処理部と、
車両の貸与を希望する貸与会員が所有又は管理している貸与車両との間、及び、車両の借用を希望する借用会員が所有又は管理している借用会員車両との間で、それぞれ通信可能な通信部と、を有し、
前記貸与車両から、前記貸与車両を前記借用会員に対して一時利用させる鍵情報による開錠要求を受けたことを知らせる、開錠要求通知を受信すると、前記借用会員車両の状態確認を行い、前記借用会員車両がシステムの管理下にある場合に開錠条件が成立したと判定し、前記貸与車両の電子的錠を開錠する開錠許可情報を送信する、
車両管理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の車両管理装置であって、
前記借用会員車両の位置情報を取得し、前記借用会員車両が、所定の場所に駐車状態であること、他の利用者に貸与可能な状態であること、又は他の利用者に貸与中であることのうちの少なくとも一つの状態によって、前記システムの管理下にあることを判断する、
車両管理装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の車両管理装置であって、
前記貸与会員が使用する貸与会員端末との間、及び、前記借用会員が使用する借用会員端末との間で、それぞれ通信可能であり、
前記貸与会員が貸与可能な貸与期間及び貸与場所、並びに貸与会員の会員車両情報を含む貸与申請情報を取得し、
前記借用会員が利用希望する利用期間及び利用場所、並びに借用会員の会員車両情報を含む利用申請情報を取得し、
前記利用申請情報を含む予約要求に対して前記貸与申請情報から合致するものを抽出し、対応する貸与会員の貸与会員端末に対して貸与許可確認を行って貸与承認を受信し、
前記貸与承認によって前記予約要求に関する予約成立を判定し、成立した予約情報に対応する鍵情報を、前記予約要求を受けた借用会員端末に対して送信する、
車両管理装置。
【請求項4】
請求項3に記載の車両管理装置であって、
前記予約要求を前記借用会員端末から受信し、
前記予約要求に含まれる利用申請情報と保持している前記貸与申請情報とのマッチング処理を行い、前記予約要求に合致する貸与申請情報に対応する貸与会員の貸与会員端末に対して貸与許可確認を行い、
前記貸与会員端末からの貸与承認によって前記予約要求に関する予約成立を判定する、
車両管理装置。
【請求項5】
請求項3又は4に記載の車両管理装置であって、
前記予約成立が判定された場合に、前記予約要求に対応する鍵情報を発行する、或いは、前記予約要求に対応する鍵情報の発行指示を前記貸与車両又は前記貸与会員端末に送信する、
車両管理装置。
【請求項6】
請求項5に記載の車両管理装置であって、
前記鍵情報は、前記予約成立した予約内容に対応する予約番号、前記予約番号を含む認証情報を有した電子的鍵情報又は二次元コード、のうちの少なくともいずれか一つである、
車両管理装置。
【請求項7】
請求項3に記載の車両管理装置であって、
前記会員車両情報に含まれる車両の資産価値を表す車両価値情報に応じて、前記借用会員が利用可能な車種を設定し、前記予約要求に対して合致する貸与車両を決定する、
車両管理装置。
【請求項8】
請求項3又は4に記載の車両管理装置であって、
前記会員情報に含まれる借用会員の信頼度に応じて、前記借用会員が利用可能な車種、利用期間を設定し、前記予約要求に対して合致する貸与車両を決定する、
車両管理装置。
【請求項9】
請求項3、4、7、8のいずれか一項に記載の車両管理装置であって、
前記借用会員による過去の利用における各種履歴を含む履歴情報を保持し、
前記履歴情報は、利用期間、利用時の走行履歴、利用期間中の事故歴、修理歴、他の利用者からの評価に基づく信頼度のうちの少なくとも一つを含む、
車両管理装置。
【請求項10】
利用者間で貸与、借用が可能な車両の管理を行う車両管理システムの車両管理装置における車両管理方法であって、
当該車両管理システムの利用者に関する会員情報、前記利用者が所有又は管理している車両に関する会員車両情報、及び車両の利用予約に関する予約管理情報を処理し、
車両の貸与を希望する貸与会員が所有又は管理している貸与車両との間、及び、車両の借用を希望する借用会員が所有又は管理している借用会員車両との間で、それぞれ通信を行い、
前記貸与車両から、前記貸与車両を前記借用会員に対して一時利用させる鍵情報による開錠要求を受けたことを知らせる、開錠要求通知を受信すると、前記借用会員車両の状態確認を行い、
前記借用会員車両がシステムの管理下にある場合に開錠条件が成立したと判定し、前記貸与車両の電子的錠を開錠する開錠許可情報を送信する、
車両管理方法。
【請求項11】
利用者間で貸与、借用が可能な車両の管理を行う車両管理システムに利用可能な車両であって、
当該車両管理システムを管理する車両管理装置との間で通信を行う車両通信部と、
自車両の貸与を希望する借用会員に対して貸与車両として自車両を一時利用させる鍵情報を処理する鍵情報処理部と、
前記鍵情報に基づいて自車両の電子的錠を開錠する開錠処理部と、を有し、
前記鍵情報による開錠要求を受けた場合、前記車両管理装置に前記借用会員が所有又は管理している借用会員車両の状態確認を行い、前記借用会員車両がシステムの管理下にある場合に開錠条件が成立したと判定し、前記電子的錠を開錠する、
車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車両の貸与、借用に関する管理を行う車両管理システムにおける車両管理装置、車両管理方法及び車両に関する。
【背景技術】
【0002】
車両を複数のユーザで利用するシステムとして、カーシェアリングシステムがある。カーシェアリングシステムは、会員登録された特定のユーザが車両を共用するシステムである。例えば、特許文献1には、駐車場に配車されている複数の車両を識別情報で特定される複数の利用者により共用する共用車両管理システムが開示されている。この従来例の共用車両管理システムでは、利用者の選択条件に合致する複数の車両の中から、利用者のニーズに最もあった好ましい1台を利用者が実際に見た後に選択可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2010-272102号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
カーシェアリングシステムにおいて、利用者間で車両の貸与、借用を行う場合に、更なる改善が求められる。
【0005】
本開示は、上述した従来の事情に鑑みて案出され、カーシェアリングの利用者間で車両の貸与、借用を行う場合に、更なる改善を実現できる車両管理装置、車両管理方法及び車両を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、一態様として、利用者間で貸与、借用が可能な車両の管理を行う車両管理システムにおける車両管理装置であって、当該車両管理システムの利用者に関する会員情報、前記利用者が所有又は管理している車両に関する会員車両情報、及び車両の利用予約に関する予約管理情報を処理する処理部と、車両の貸与を希望する貸与会員が所有又は管理している貸与車両との間、及び、車両の借用を希望する借用会員が所有又は管理している借用会員車両との間で、それぞれ通信可能な通信部と、を有し、前記貸与車両から、前記貸与車両を前記借用会員に対して一時利用させる鍵情報による開錠要求を受けたことを知らせる、開錠要求通知を受信すると、前記借用会員車両の状態確認を行い、前記借用会員車両がシステムの管理下にある場合に開錠条件が成立したと判定し、前記貸与車両の電子的錠を開錠する開錠許可情報を送信する、車両管理装置を提供する。
【0007】
本開示は、一態様として、利用者間で貸与、借用が可能な車両の管理を行う車両管理システムの車両管理装置における車両管理方法であって、当該車両管理システムの利用者に関する会員情報、前記利用者が所有又は管理している車両に関する会員車両情報、及び車両の利用予約に関する予約管理情報を処理し、車両の貸与を希望する貸与会員が所有又は管理している貸与車両との間、及び、車両の借用を希望する借用会員が所有又は管理している借用会員車両との間で、それぞれ通信を行い、前記貸与車両から、前記貸与車両を前記借用会員に対して一時利用させる鍵情報による開錠要求を受けたことを知らせる、開錠要求通知を受信すると、前記借用会員車両の状態確認を行い、前記借用会員車両がシステムの管理下にある場合に開錠条件が成立したと判定し、前記貸与車両の電子的錠を開錠する開錠許可情報を送信する、車両管理方法を提供する。
【0008】
本開示は、一態様として、利用者間で貸与、借用が可能な車両の管理を行う車両管理システムに利用可能な車両であって、当該車両管理システムを管理する車両管理装置との間で通信を行う車両通信部と、自車両の貸与を希望する借用会員に対して貸与車両として自車両を一時利用させる鍵情報を処理する鍵情報処理部と、前記鍵情報に基づいて自車両の電子的錠を開錠する開錠処理部と、を有し、前記鍵情報による開錠要求を受けた場合、前記車両管理装置に前記借用会員が所有又は管理している借用会員車両の状態確認を行い、前記借用会員車両がシステムの管理下にある場合に開錠条件が成立したと判定し、前記電子的錠を開錠する、車両を提供する。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、カーシェアリングの利用者間で車両の貸与、借用を行う場合に、更なる改善を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施の形態に係る車両管理システムの概略構成を示す図
図2】実施の形態に係る車両管理システムの利用形態の一例を説明するシーケンス図(1)
図3】実施の形態に係る車両管理システムの利用形態の一例を説明するシーケンス図(2)
図4】実施の形態において用いる車両情報の一例を示す図
図5】実施の形態において用いる予約管理情報の一例を示す図
図6】実施の形態において用いる予約完了情報の一例を示す図
図7】実施の形態に係る管理サーバの機能構成の第1例を示すブロック図
図8】実施の形態に係る管理サーバの機能構成の第2例を示すブロック図
図9】実施の形態に係る貸与車両の機能構成の一例を示すブロック図
図10】実施の形態に係る借用会員車両の機能構成の一例を示すブロック図
図11】実施の形態に係る管理サーバにおける予約成立までの手順の一例を示すフローチャート
図12】実施の形態に係る管理サーバにおける貸与車両の利用時の手順の一例を示すフローチャート
図13】実施の形態に係る借用会員の端末における手順の一例を示すフローチャート
図14】実施の形態に係る貸与会員の端末における手順の一例を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0011】
(本開示に至った知見)
一般的なカーシェアリングシステムでは、利用者は運営業者等の管理者のシステムに会員登録を行い、管理者に対して車両の予約、利用及び返却を行う。この場合、利用者はシステムの管理者が所有する車両を利用する。ここで、カーシェアリングシステムにおいて、システムに会員登録した会員同士で、すなわち利用者間で車両の利用及び返却を行う、いわゆるC2C型のカーシェアリングシステムを想定する。
【0012】
管理者が存在するカーシェアリングシステムの場合は、管理者が駐車場と車両を準備し、利用者はその駐車場にある対象車両を利用する。これに対し、利用者間で車両の利用及び返却を行うカーシェアリングシステムの場合、貸与を希望する利用者(以下、貸与会員と称する)が所有する車両を対象車両とし、貸与会員が貸与可能な期間に、借用を希望する利用者(以下、借用会員と称する)が対象車両の駐車場所に移動し、貸与会員の車両を借用する。この場合、貸与会員と借用会員との間で、会員の信用度、担保となる車両等の保証が確保されていないと、システムが適切に機能しなくなる可能性がある。貸与会員にとっては、保証が不十分であると、万が一、車両の不正利用(転売など)、無許可利用、遺失、盗難、事故等による破損などが生じた場合、貸与車両の価値が毀損するおそれがある。
【0013】
また、一般的なカーシェアリングシステムの場合、利用者は、管理者が準備した車両の駐車場に移動し、対象車両を利用することになる。一方、利用者間で車両の貸与、借用を行う場合、対象車両は貸与会員が駐車している場所にあるため、駐車場所は分散しており、借用会員は、利用する度に対象車両の駐車場所に移動する手間がかかり、利便性が良くない場合がある。
【0014】
そこで、本開示では、上記事情を鑑み、車両の貸与に関する保証を確保し、利用者間でスムーズに車両の貸与、借用を行うことができる車両管理システムの構成例を示す。
【0015】
(実施の形態)
以下、添付図面を適宜参照しながら、本開示に係る車両管理システム、車両管理方法及び車両を具体的に開示した実施の形態を詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明や実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になることを避け、当業者の理解を容易にするためである。なお、添付図面および以下の説明は、当業者が本開示を十分に理解するために提供されるものであって、これらにより特許請求の範囲に記載の主題を限定することは意図されていない。
【0016】
以下の実施の形態では、車両管理システムの一例として、利用者間で車両の利用及び返却を行うカーシェアリングシステムの構成例を示す。
【0017】
本実施の形態の車両管理システムにおいて、会員は、借用会員として他の会員(貸与会員)が所有する車両を借用することができる。また、会員は、貸与会員として自ら所有する車両を他の会員(借用会員)に貸与することもできる。また、車両の借用と貸与を同期間に実施することも可能である。
【0018】
図1は、実施の形態に係る車両管理システムの概略構成を示す図である。車両管理システムは、車両管理装置の一例として、カーシェアリングシステムの会員情報、車両情報、予約情報等を管理する管理サーバ10を有する。管理サーバ10は、貸与会員が管理している車両21、貸与会員が使用する端末31、借用会員が管理している車両22、借用会員が使用する端末32等と通信を行い、各種の情報、信号等を送受信可能になっている。
【0019】
管理サーバ10は、例えば、プロセッサ等の処理部、メモリ又はストレージ等の記憶部、及び通信部を有するコンピュータ等により構成されるサーバ装置において、その機能が実現される。プロセッサは、MPU(Micro processing Unit)、CPU(Central Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、GPU(Graphical Processing Unit)等を含んでよい。メモリは、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等を含んでよい。ストレージは、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、光ディスク装置、メモリカード等を含んでよい。通信部は、無線通信又は有線通信の通信機能を有する通信インタフェースであり、モバイル通信網、インターネット、無線LANなどによる通信ネットワーク又は通信回線等の通信経路を介して、各種の情報、信号等を送受信可能である。
【0020】
管理サーバ10は、複数の機能ブロックを、同じハードウェア資源によって実装してもよい。また、複数の機能ブロックを、複数のハードウェア資源を相互接続させることで実装してもよい。
【0021】
なお、車両管理装置の一例としての管理サーバ10は、貸与会員や借用会員等の利用者が使用する端末、コンピュータなどにおいてその機能を構成することも可能である。また、複数の利用者が使用する端末等において分散して管理サーバ10の機能を実現してもよい。この場合、システムの管理者等が運用するサーバ装置を介在させず、利用者間でピアツーピアで情報等を送受信し、車両の予約、利用、返却等を実行できる。
【0022】
貸与会員及び借用会員は、それぞれ自身が管理する車両21、22を、カーシェアリングの対象車両とする。本実施の形態において、カーシェアリングの対象車両は、会員が所有している車両、リース契約などに基づき使用している車両、或いは所定の契約等により管理している車両などを対象とする。すなわち、対象車両は、貸与しないときは専ら当該会員が使用又は管理し、車両の資産価値を享受する又は資産価値に対して責務を負うものを想定する。
【0023】
車両21、22は、車両の動作を司る処理部としてのECU(Electronic Control Unit)と、管理サーバ10、端末31、32との間で各種情報を送受信する通信部とを有する。通信部は、無線通信機能を有する通信インタフェースであり、モバイル通信網、インターネット、無線LANなどによる通信ネットワーク又は通信回線等の通信経路を介して、各種の情報、信号等を送受信可能である。車両が電気自動車の場合、通信部は、車両に搭載された電池を充電する充電ケーブルを経由して通信を行うものでもよい。
【0024】
貸与会員及び借用会員がそれぞれ使用する端末31、32は、会員が所持する携帯端末、会員の自宅等にあるコンピュータ、車両21、22に搭載された車載端末など、各種の端末を用いることができる。端末31、32は、プロセッサ等の処理部、メモリ又はストレージ等の記憶部、ディスプレイ等の表示部、及び通信部を有する。ディスプレイは、LCD(Liquid Crystal Display)、OELD(Organic Electro Luminescence Display)等を含んでよい。通信部は、無線通信機能を有する通信インタフェースであり、モバイル通信網、インターネット、無線LANなどによる通信ネットワーク又は通信回線等の通信経路を介して、各種の情報、信号等を送受信可能である。
【0025】
貸与会員及び借用会員は、それぞれ、対象車両とする車両21、22に関して、カーシェアリングシステムに必要な車両情報を端末31、32を用いて管理サーバ10に登録する。貸与会員は、車両21を貸与するのに必要な貸与申請情報として、貸与車両情報、貸与場所情報、貸与期間情報等を端末31を用いて管理サーバ10に入力する。借用会員は、車両を借用するのに必要な利用申請情報として、利用を希望する車両の車種などの希望車両情報、利用場所情報、利用期間情報、自身の車両情報等を含む予約要求を端末32から管理サーバ10に入力し、適合する対象車両がある場合、利用車両の予約を行う。管理サーバ10は、予約情報を管理するための予約管理データベースを有し、借用会員からの予約要求を受信し、予約管理情報に登録して予約要求に適合する車両のマッチングを行い、予約が成立すると予約完了情報を借用会員の端末32に送信する。
【0026】
借用会員が貸与会員の車両21を利用する場合、自身の車両22を所定の駐車場所に駐車しておき、カーシェアリングシステムの管理下に置き、貸与会員の車両21が駐車されている貸与場所に移動する。貸与会員は、自身の車両21を所定の駐車場所に駐車してカーシェアリングシステムの管理下に置き、貸与対象の貸与車両として利用可能にする。貸与会員の車両21は、借用会員の端末32からの予約情報を受け付け、管理サーバ10に問い合わせて所定の開錠条件が成立した場合に、車両の錠を開錠して利用可能状態とする。そして、利用終了後、借用会員は貸与会員の車両21を貸与場所に返却し、車両21又は端末32から利用終了を管理サーバ10に通知する。貸与会員の車両21は、利用終了によって錠を施錠する。管理サーバ10は、利用料金の精算処理を行って端末31、32にそれぞれ通知する。借用会員の車両22は、貸与会員の車両21の利用終了及び精算処理によってカーシェアリングシステムの管理下から解除され、借用会員が任意に使用可能な状態に戻る。
【0027】
ここで、会員の対象車両が本拠の駐車場、又は不使用時に置いておく特定の駐車場(例えば旅行時の空港の駐車場など)等に駐車され、会員自身又は他者が任意の期間に自由に使用できず、カーシェアリングシステムが対象車両の駐車状態、使用状態(不使用状態)を把握可能である状態を、システムの管理下にあるとする。また、会員が対象車両を他の会員に貸与可能な状態で駐車している状態、対象車両を貸与中である状態など、利用可能性が保証された状態についても、システムの管理下にあるとする。
【0028】
(システムの具体例)
本実施の形態のカーシェアリングシステムの利用シーンとして、例えば、利用者が旅行中に、空港の駐車場に駐車している車両を利用する場合を例示する。空港の駐車場に駐車している車両は、その所有者が旅行中は一定期間利用されないと仮定する。所有者の不在期間は、駐車車両をカーシェアリング用途に利用することが可能である。特に、米国運輸省道路交通安全局が定義するレベル2~レベル5の自動運転機能を備えた車両は高価であるため、所有者にとっては車両の貸与による資産活用メリットがあり、利用者に対しては安全運転車両を利用したいというニーズに応えることができる。また、駐車場の運営者にとっても、駐車場の稼働率を向上できるというメリットがある。
【0029】
図2図3は、実施の形態に係る車両管理システムの利用形態の一例を説明するシーケンス図である。本例は、空港の駐車場に駐車している車両を利用する場合の手順を示したものである。本例において、第1の利用者m1が貸与会員、第2の利用者m2が借用会員となり、それぞれが旅行する期間にカーシェアリングシステムを利用する場合を例示する。貸与会員、借用会員は、お互いに車両を貸与、借用し合う形態でもよいし、それぞれが貸与のみ、借用のみを行う形態でもよいし、貸与する会員が別の会員の車両を借用する、借用する会員が別の会員に車両を貸与するなど、種々の態様が考えられる。
【0030】
まず図2において、貸与会員となる利用者m1は、端末31を操作し、利用申請情報として旅行期間情報を端末31から管理サーバ10に通知する(S101)。貸与側の旅行期間情報は、会員情報(利用者ID1)、貸与場所情報(自車両位置情報)(駐車場a(A地域、空港a))、利用場所情報(旅行先(B地域、空港b)、貸与期間情報(旅行期間)、貸与車両情報(自車両情報)(車両ID1)を含む。これにより、利用者m1は、旅行期間中に自身の車両をカーシェアリング用途に貸し出す意思があることを管理サーバ10に登録する。端末31は、利用申請情報を管理サーバ10に送信する。このとき、利用者m1は、B地域に旅行する際に、A地域の空港aの駐車場aまで車両ID1の車両で移動する。車両ID1の車両は、利用者m1の出発時T1dから帰着時T1aまでの期間、駐車場aに駐車されてシステムの管理下となり得る状態であり、貸与車両として他の会員に利用を許可される。なお、利用者m1が他の会員の車両を利用希望して借用会員となる場合は、利用者m2と同様の手順についても実行することになる。
【0031】
借用会員となる利用者m2は、端末32を操作し、利用申請情報として旅行期間情報を端末32から管理サーバ10に通知する(S102)。借用側の旅行期間情報は、会員情報(利用者ID2)、自車両位置情報(駐車場b(B地域、空港b))、利用場所情報(旅行先(A地域、空港a)、利用期間情報(旅行期間)、希望車両情報、担保車両情報(自車両情報(車両ID2)を含む。これにより、利用者m2は、旅行期間中に他の会員の車両の利用を希望する意思、及び借用中に自身の車両をカーシェアリングシステムの管理下に置く意思があることを管理サーバ10に登録する。端末32は、利用申請情報を管理サーバ10に送信し、旅行先のA地域で旅行期間に利用できる車両の有無を管理サーバ10に問い合わせる。このとき、利用者m2は、A地域に旅行する際に、B地域の空港bの駐車場bまで車両ID2の車両で移動する。車両ID2の車両は、利用者m2の出発時T2dから帰着時T2aまでの期間、駐車場bに駐車されてシステムの管理下となり得る状態であり、担保車両となる状態を許可される。なお、利用者m2が自身の車両を貸し出して貸与会員となる場合は、利用者m1と同様の手順についても実行することになる。
【0032】
管理サーバ10は、各会員からの利用申請情報を予約管理情報として予約管理データベースに登録する。管理サーバ10は、利用者m2からの利用申請情報を受信すると、予約管理データベースを参照して登録された予約管理情報のマッチング処理を行い(S103)、予約管理情報の中から利用条件に合致する車両を検索し、利用者m1の車両ID1の車両21が利用条件に合致することを抽出する。そして、管理サーバ10は、利用場所、利用期間等の利用条件の適合状況を示すマッチング結果を利用者m2の端末32に通知する(S104)。端末32は、表示部に利用申請のマッチング結果を表示し、利用者m2の操作を受け付ける。利用者m2は、マッチング結果を参照し、希望する場所、期間、車種等が合致する対象車両(この場合は車両ID1の車両21)がある場合、端末32を操作して予約申込を行う。端末32は、利用者m2の予約申込操作を受け付けると、対象車両の利用を希望する予約要求を管理サーバ10に送信し、予約の申し込みを行う(S105)。
【0033】
管理サーバ10は、利用者m2からの予約要求を受信すると、予約対象の会員(利用者m1)に対し、利用希望者(利用者m2)の情報を利用者m1の端末31に通知する(S106)。端末31は、表示部に利用希望者からの予約要求情報を表示し、利用者m1の操作を受け付ける。利用者m1は、予約要求情報を参照し、自身の車両の貸与を許可する場合は端末31を操作して貸与承認を行う。端末31は、利用者m1の承認操作を受け付けると、車両の貸与許可情報を管理サーバ10に送信し、利用権の一時譲渡を承認する(S107)。管理サーバ10は、利用者m1からの貸与承認を受信すると、利用者m2の端末32に予約完了情報を送信し、利用者m2の予約要求に対して利用者m1による貸与承認がなされ、予約が完了したことを通知する(S108)。
【0034】
利用者m1によって貸与承認がなされると、利用者m1が所有又は管理している車両21(車両ID1)又は端末31において、車両ID1の車両を一時利用させるための鍵情報(一時鍵)としての予約番号等を含む電子的鍵51Bを発行し、対となる電子的錠51Aを車両21に対して設定する(S109)。そして、車両21は、車両ID1の車両の乗車、運転を可能にする電子的鍵51Bを利用者m2の端末32に送信して提供する(S110)。なお、管理サーバ10において電子的鍵51Bを発行し、利用者m2の端末32に送信してもよい。また、管理サーバ10から車両21又は端末31に電子的鍵の発行指示を送信し、電子的鍵51Bを発行させてもよい。
【0035】
続いて図3において、貸与会員となる利用者m1は、貸与のための一時鍵の鍵情報を設定した車両ID1の車両21を、A地域の駐車場aに駐車しておき(S111)、旅行のためB地域に移動する。
【0036】
借用会員となる利用者m2は、自身が所有又は管理している車両22(車両ID2)を、B地域の駐車場bに駐車しておく(S112)。車両22は、車両ID2が駐車場bに駐車状態であることを管理サーバ10に通知する(S113)。この駐車状態通知により、車両ID2の車両22が所定場所に駐車された状態で、カーシェアリングシステムの管理下に置かれる。
【0037】
利用者m2は、旅行のためA地域に移動し、駐車場aに駐車されている車両ID1の車両21を利用するために、端末32を操作して車両21の利用開始操作を行う。端末32は、利用者m2の利用開始操作を受け付けると、車両22から送信され取得していた電子的鍵51Bを用いて、車両ID1の車両21の電子的錠51Aの開錠処理を実行する(S115)。
【0038】
車両21は、電子的鍵51Bによる開錠要求を受け付けると、開錠要求通知を管理サーバ10に送信し、借用会員車両の状態確認として、利用者m2の車両ID2の車両22の駐車状態を管理サーバ10に確認する(S116)。管理サーバ10は、借用会員の車両22(車両ID2)の駐車状態確認要求を、貸与会員の車両21から受け付けると、予め受信していた駐車状態通知に基づき、車両ID2の車両22が所定場所に駐車状態であることを示す駐車状態応答を車両21に返信する(S117)。
【0039】
なお、管理サーバ10は、貸与会員の車両21から借用会員の車両の駐車状態確認要求を受信した時点で、車両ID2の車両22に対して駐車状態確認要求を送信してもよい(S116a)。そして、管理サーバ10は、車両ID2の車両22が所定場所に駐車状態であることを示す駐車状態応答を受信し(S117a)、車両21に返信してもよい。なお、管理サーバ10を介在させず、貸与会員の車両21又は端末31と借用会員の車両22又は端末32との間で、駐車状態確認を相互に行うようにしてもよい。
【0040】
車両21は、車両ID2の車両22の駐車状態応答を受信することにより、カーシェアリングシステムの管理下にあると判断し、車両の電子的錠51Aの開錠条件が成立したと判定する(S118)。なお、管理サーバ10において開錠条件(車両22がシステムの管理下にある状態)を判定し、開錠条件が成立した場合に開錠許可情報を車両21に送信してもよい。そして、車両21は、利用者m2の端末32から提示された電子的鍵51Bによって電子的錠51Aを開錠し、利用者m2が車両ID1の車両21の乗車、運転を可能にする。利用者m2は、車両ID1の車両21を利用を開始する(S119)。
【0041】
上記の手順により、借用会員となる利用者m2は、自身の車両ID2の車両22を所定場所に駐車した状態にしてシステムの管理下に置き、車両借用時の担保となるようにした状態で貸与会員の車両を利用する。貸与会員となる利用者m1は、借用会員の車両がシステムの管理下に置かれ、車両貸与時の保証が確保された状態で、自身の車両ID1の車両21を借用会員に利用させることが可能になる。このように、借用会員(利用者m2)が自身の車両22を所定場所に駐車させている状態を貸与会員(利用者m1)の車両21の開錠条件とすることで、利用者m2の実在性の保証と車両22の資産価値を担保とし、利用者m2による車両21の不正利用(転売など)をさせないための抑止力を働かせる。本実施の形態によれば、利用者m1と利用者m2との間で、手間を増大させることなく、利用時の保証を確保した状態でスムーズに車両の貸与、借用を行うことができる。
【0042】
(システムにおいて用いる各種情報)
次に、本実施の形態の車両管理システムにおいて用いる各種情報を例示する。本実施の形態のカーシェアリングシステムにおいて、貸与会員は、自身の車両をカーシェアリングの対象車両として他の会員(借用会員)に貸与し、利用してもらうことになる。貸与会員は、車両の貸与のために、自身の車両の車両情報、駐車位置情報等を管理サーバ10に提供する。借用会員は、自身の車両をシステムの管理下に置いて他の会員(貸与会員)の車両を借用し、利用することになる。借用会員は、車両の借用のために、自身の車両の車両情報、駐車位置情報等を管理サーバ10に提供する。
【0043】
貸与会員は、貸与する対象の車両情報として、自身が所有又は管理している自車両情報(貸与車両情報)を管理サーバ10に提供する。自車両情報は、車両の型式、年式、装備品などの車両情報を含む。また、貸与会員は、自車両の駐車位置情報を管理サーバ10に提供する。駐車位置情報は、貸与会員の本拠の駐車場、貸与時に駐車しておく駐車場など、貸与期間に紐付けた駐車場の位置情報を提供する。
【0044】
借用会員は、借用時の担保対象の車両情報として、自身が所有又は管理している自車両情報(担保車両情報)を管理サーバ10に提供する。自車両情報は、車両の型式、年式、装備品などの車両情報を含む。また、借用会員は、自車両の駐車位置情報を管理サーバ10に提供する。駐車位置情報は、借用会員の本拠の駐車場、利用時に駐車しておく駐車場など、利用期間に紐付けた駐車場の位置情報を提供する。
【0045】
貸与会員及び借用会員の自車両情報は、管理サーバ10に登録されて会員車両情報として管理され、カーシェアリングシステムの利用時に、互いの車両価値を比較し、利用料金の料金設定、差額調整などに用いることが可能である。貸与会員の車両の駐車位置情報は、借用会員がどこに行けば利用できるか、どこに返却すればよいかなど、利用時の車両場所を特定可能である。借用会員の車両の駐車位置情報は、担保対象となる車両が架空のものではなく実在することを証明し、貸与車両の所有者(貸与会員)に対する保証に用いることが可能である。それぞれの会員の車両の駐車位置情報は、管理サーバ10において会員車両駐車位置情報として保持される。なお、自車両情報には、エンジンやモータ等の動力部の起動状態、燃料やバッテリの容量、故障の有無などの情報を含めてもよく、これによって、システムの管理下にあることの判定、実際に利用可能な状態であるかの判定などに利用可能となる。
【0046】
図4は、実施の形態において用いる会員車両情報の一例を示す図である。会員車両情報D100は、会員の所有車両を特定するための情報である。会員車両情報D100は、車両識別情報D101、車両価値情報D102を含む。
【0047】
車両識別情報D101は、自動車登録番号標、型式/年式、車室内装備情報、乗車可能人数、ボディーカラー、その他特徴などの各会員の車両に関する情報を含む。車室内装備情報は、チャイルドシートなどを含む。乗車可能人数は、型式から最大乗車可能人数が特定可能であるが、チャイルドシート設置による乗車可能人数減等を考慮して設定する。
【0048】
車両価値情報D102は、査定価格、事故歴、修理歴、その他査定情報などの各会員の車両の価値に関する情報を含む。査定価格は、対象車両の型式、年式、装備品等に基づく中古車市場等での査定価格から設定する。中古車市場から取得できない場合は、購入時価格から現在時点までの経年を考慮した原価償却費相当分を差し引いた価格を設定する。その他査定情報は任意であり、例えば、細かなキズの有無、総走行キロ数など、車両価値の判断に資する事項を含めてよい。
【0049】
図5は、実施の形態において用いる予約管理情報の一例を示す図である。予約管理情報D200は、管理サーバ10において保持される予約管理データベースの1つのレコードとなる利用申請情報の登録データである。予約管理情報D200は、会員情報D201、予約情報D202、会員車両情報D100a、会員車両駐車位置情報D203、会員車両貸与許可フラグD204、履歴情報D205を含む。
【0050】
会員情報D201は、会員識別子、会員属性(氏名、居住地等)、会員連絡先情報などの各会員の識別に関する情報を含む。会員情報D201は、他の利用者からの評価に基づく信頼度の情報を含んでよい。予約情報D202は、利用開始日時、利用終了日時、ピックアップ場所情報などの車両の利用予約に関する情報を含む。ピックアップ場所情報は、車両の利用開始/終了場所を表す位置情報である。
【0051】
会員車両情報D100aは、図4に示した各会員の車両情報であり、車両の経年変化、車室内装備の変更等を考慮し、予約時点での最新情報を登録して情報更新する。会員車両駐車位置情報D203は、各会員の車両の駐車期間(日時)、駐車位置座標、駐車場名称、駐車場区画(階数、区画番号)など、会員が所有又は管理している対象車両の駐車時間及び駐車位置に関する情報を含む。駐車期間は、当該会員が車両を貸与可能な期間を示す情報である。会員車両貸与許可フラグD204は、会員が所有している車両を他の利用者に貸与しない場合を考慮し、貸与許可の場合:1、貸与不可の場合:0を設定する。
【0052】
履歴情報D205は、利用期間、利用時の走行履歴、利用期間中の事故歴、修理歴、他の利用者からの評価に基づく信頼度、などの過去の予約時の利用における各種情報の履歴を含む。また、走行履歴には、燃料やバッテリの容量を含めて記録してもよい。履歴情報は複数存在してよい。
【0053】
図6は、実施の形態において用いる予約完了情報の一例を示す図である。予約完了情報D300は、利用車両の予約成立後に借用会員へ提供される情報である。予約完了情報D300は、会員情報D201a、予約番号D301、車両識別情報D101a、車両位置情報D203aを含む。
【0054】
会員情報D201aは、借用会員の識別に関する情報であり、借用会員識別子、会員属性(氏名、居住地等)、会員連絡先情報などを含む。予約番号D301は、予約成立した予約内容に対応して発行される番号であり、文字、記号等のキャラクタを含むもの(予約コード)であってもよい。
【0055】
車両識別情報D101aは、利用予約した貸与会員の車両の識別に関する情報であり、自動車登録番号標、型式/年式、乗車可能人数、ボディーカラー、その他特徴などの情報を含む。車両位置情報D203aは、利用予約した貸与会員の車両の位置情報であり、駐車期間(日時)、駐車位置座標、駐車場名称、駐車場区画(階数、区画番号)などの情報を含む。
【0056】
借用会員は、車両識別情報D101a、車両位置情報D203aによって予約した貸与会員の対象車両を発見する。借用会員は、自身の端末32又は車両21に備えた予約番号入力装置(タッチパッド、キーパッド等)で予約番号を入力し、車両21のドアの錠を開錠する。このとき、予約番号を一時鍵の鍵情報として用いてもよいし、予約番号を含む認証情報を有した二次元コードや電子的鍵情報などを鍵情報として用いてもよい。この場合、車両のエンジン始動及びドアロックのための物理的な鍵は、車両内に保管されているものとする。
【0057】
(システムの機能構成)
次に、本実施の形態の車両管理システムにおける各構成要素の機能的な構成について例示する。
【0058】
図7は、実施の形態に係る管理サーバの機能構成の第1例を示すブロック図である。図7では、管理サーバ10において、借用会員が貸与会員の貸与車両を利用する際の開錠確認処理に関する機能ブロックを示している。各機能ブロックは、管理サーバ10に設けられる処理部、記憶部、及び通信部において所定の処理動作を実行することにより、それぞれの機能が実現される。以下の例では、車両利用時の鍵情報として予約番号を用いる場合を例示する。
【0059】
管理サーバ10は、予約番号受信部101、車両位置確認部102、予約管理データベース103、及び貸与車両開錠部104を有する。予約番号受信部101は、貸与車両20A(車両21)から予約番号の入力イベントを受信する。予約番号は、借用会員が貸与車両を利用する際に、貸与車両に備えた予約番号入力装置によって入力され、貸与車両から管理サーバ10に送信される。なお、予約番号は借用会員の端末32によって貸与車両に入力され、管理サーバ10に送信されるようにしてもよい。
【0060】
車両位置確認部102は、予約番号受信部101より予約番号の入力イベントを受信すると、予約管理データベース103を参照して予約番号に対応する予約管理情報D200を抽出し、借用会員の会員情報、予約情報、会員車両駐車位置情報を取得する。車両位置確認部102は、会員車両駐車位置情報によって、現時点での借用会員の車両位置を取得して所定の駐車場所に駐車状態であるか否か確認し、貸与の許可/不許可を判定する。なお、車両位置確認部102は、借用会員の車両(借用会員車両20B)に対して位置情報検出要求を送信して問合せを行うことにより、借用会員車両20Bの現在位置を取得し、借用会員車両20Bの駐車状態を判定してもよい。
【0061】
貸与車両開錠部104は、車両位置確認部102による駐車状態の確認結果に基づき、貸与許可の判定がされたか、すなわち貸与車両の開錠条件が成立したかを判断し、開錠条件が成立した場合に開錠許可情報を貸与車両20Aに送信する。
【0062】
図8は、実施の形態に係る管理サーバの機能構成の第2例を示すブロック図である。図8では、管理サーバ10において、借用会員が利用車両を予約する際の予約成立処理に関する機能ブロックを示している。
【0063】
管理サーバ10は、貸与車両データ更新部105、予約要求受信部106、予約管理データベース103、貸与判定部107、貸与承認確認部108、及び予約番号発行部109を有する。貸与車両データ更新部105は、貸与車両20A(車両21)から会員車両駐車位置情報を取得し、予約管理データベース103に保持された予約管理情報における会員車両情報D100を更新する。予約要求受信部106は、借用会員の端末32からの予約要求情報を受信し、予約管理データベース103に予約情報D202を含む予約管理情報を登録する。
【0064】
貸与判定部107は、借用会員により登録された予約管理情報の予約情報D202と予め保持されている貸与会員の会員車両駐車位置情報D203とを参照して、予約要求の利用条件に合致する対象車両があるか検索し、利用条件に合致する対象車両が貸与可能であるかどうか判定する。貸与承認確認部108は、貸与会員の会員車両貸与許可フラグD204を参照し、貸与車両20Aの貸与承認を確認する。
【0065】
なお、貸与承認確認部108は、借用会員の履歴情報D205による利用履歴、会員情報D201による信頼度、会員車両情報D100による借用会員車両の資産価値などの借用会員情報に基づき、貸与承認条件を確認してもよい。また、貸与判定部107は、借用会員車両の資産価値に応じて借用会員が利用可能な車種を設定する、借用会員の信頼度に応じて借用会員が利用可能な車種、利用期間を設定する、等の予約要求に合致する対象車両の条件を設定してもよい。
【0066】
予約番号発行部109は、貸与承認確認部108により貸与承認が確認された場合、新規に予約番号D301を発行し、予約管理データベース103を更新する。また、予約番号発行部109は、借用会員の端末32(借用会員端末30B)に予約番号を通知する。
【0067】
図9は、実施の形態に係る貸与車両の機能構成の一例を示すブロック図である。図9では、貸与車両20Aにおいて、電子的錠の開錠処理に関する機能ブロックを示している。各機能ブロックは、貸与車両20Aに設けられる処理部及び通信部において所定の処理動作を実行することにより、それぞれの機能が実現される。
【0068】
貸与車両20Aは、予約番号入力部211、管理サーバ通信部212、ドア開錠部213を有する。予約番号入力部211によって鍵情報処理部の機能が実現され、管理サーバ通信部212及びドア開錠部213によって開錠処理部の機能が実現される。予約番号入力部211は、タッチパッド、キーパッド等による予約番号入力装置を含み、借用会員の入力操作によって予約番号を入力する。なお、予約番号入力部211は、借用会員の端末32から送信される予約番号を受信して入力する通信部を有していてもよい。管理サーバ通信部212は、管理サーバ10との間で通信が可能な通信部を含み、管理サーバ10に予約番号を送信し、管理サーバ10からの開錠許可情報を受信する。ドア開錠部213は、管理サーバ通信部212から開錠許可情報を受信した場合に、車両の電子的錠を開錠する。
【0069】
図10は、実施の形態に係る借用会員車両の機能構成の一例を示すブロック図である。図10では、借用会員車両20Bにおいて、存在確認のための駐車状態確認処理に関する機能ブロックを示している。各機能ブロックは、借用会員車両20Bに設けられる処理部及び通信部において所定の処理動作を実行することにより、それぞれの機能が実現される。
【0070】
借用会員車両20Bは、自車位置検出部221、管理サーバ通信部222を有する。自車位置検出部221は、GNSS(Global Navigation Satellite System)等による測位システム、測位システムと地図情報との組合せ、モバイル通信又は無線LANの基地局との通信結果(受信強度等)などに基づき、自車両の位置を検出する。自車位置検出部221は、車載のナビゲーションシステム等に備えるものを利用可能である。管理サーバ通信部222は、管理サーバ10との間で通信が可能な通信部を含み、管理サーバ10からの位置情報検出要求を受信し、自車位置検出部221にて取得した自車位置情報を管理サーバ10に送信する。
【0071】
(システムの動作例)
次に、本実施の形態の車両管理システムにおける各構成要素の動作手順について例示する。
【0072】
図11は、実施の形態に係る管理サーバにおける予約成立までの手順の一例を示すフローチャートである。管理サーバ10は、借用会員の端末32(借用会員端末30B)から予約要求を受信する(S201)。そして、管理サーバ10は、受信した予約要求の利用申請情報である予約管理情報を予約管理データベース103の予約管理テーブルに追加登録する(S202)。次に、管理サーバ10は、予約管理情報のマッチング処理を行い、予約要求の利用条件に合致する対象車両が存在して貸与可能であり、予約が成立するかを判定する(S203)。管理サーバ10は、予約が成立した場合、貸与車両となる対象車両を所有又は管理している貸与会員の端末31に予約要求に対応する貸与承認要求を送信して通知する(S204)。一方、管理サーバ10は、予約要求の利用条件に合致する対象車両が無く、予約が不成立の場合、予約要求を送信した借用会員の端末32に対して予約不成立を通知する(S205)。
【0073】
管理サーバ10は、貸与会員の端末31から貸与承認情報を受信すると(S206)、予約要求に対応する予約番号を発行する(S207)。続いて、管理サーバ10は、発行した予約番号を含む予約管理情報を予約管理データベース103に入力し、予約管理データベース103の予約管理テーブルを更新する(S208)。そして、管理サーバ10は、予約番号を借用会員の端末32に送信して通知する(S209)。
【0074】
図12は、実施の形態に係る管理サーバにおける貸与車両の利用時の手順の一例を示すフローチャートである。管理サーバ10は、貸与会員の車両21(貸与車両20A)から開錠要求通知としての予約番号入力イベントを受信すると(S211)、予約番号に対応する借用会員の車両の位置情報取得等によって駐車状態確認を行い、借用会員車両20Bの存在を確認する(S212)。管理サーバ10は、借用会員車両20Bの存在確認の可否を判定し(S213)、借用会員車両20Bが存在する場合、借用会員の端末32に利用許可情報を送信して通知する(S214)。一方、管理サーバ10は、借用会員車両20Bの駐車状態確認が不可であり、不存在と判定した場合、借用会員の端末32に利用不可情報を送信して通知する(S215)。
【0075】
管理サーバ10は、借用会員車両20Bの駐車状態確認がなされ、開錠条件が成立した場合、開錠許可情報を貸与車両20Aに送信し、貸与車両20Aのドアの錠を開錠させる(S216)。そして、管理サーバ10は、貸与車両20Aの利用開始情報を含む予約管理情報を予約管理データベース103に入力し、予約管理データベース103の予約管理テーブルを更新する(S217)。そして、借用会員によって貸与車両20Aが利用される。
【0076】
管理サーバ10は、借用会員の端末32(借用会員端末30B)から利用終了情報を受信すると(S218)、貸与車両20Aの位置情報取得等によって貸与車両20Aの位置確認を行う(S219)。管理サーバ10は、貸与車両20Aが返却すべき所定の駐車場所にある場合、車両利用に関する料金精算処理を実行し、借用会員の端末32と貸与会員の端末31にそれぞれ通知する(S220)。
【0077】
図13は、実施の形態に係る借用会員の端末における手順の一例を示すフローチャートである。借用会員の端末32(借用会員端末30B)は、借用会員の入力操作により予約要求を入力する(S301)。端末32は、予約要求の入力を受けると、管理サーバ10に対して予約要求を送信する(S302)。そして、端末32は、管理サーバ10からの予約成立結果を受信する(S303)。予約不成立の場合、端末32は管理サーバ10から予約不成立通知を受信する。一方、予約が成立した場合、端末32は管理サーバ10から予約番号を受信し、記憶部に保存する(S304)。
【0078】
借用会員が予約した貸与車両20Aの駐車場所まで移動し、貸与車両20Aの予約番号入力部の操作、又は端末32を用いた予約番号入力操作により、貸与車両20Aにおいて予約番号が入力される(S305)。そして、借用会員車両20Bの駐車状態確認により開錠条件が成立した場合、予約車両である貸与車両20Aの開錠処理がなされ、貸与車両20Aの利用が可能になる(S306)。借用会員が貸与車両20Aの利用を終了し、借用会員により貸与車両20Aの施錠等による車両返却操作がなされると、端末32は、管理サーバ10に対して車両返却情報を送信して返却通知を行う(S307)。そして、管理サーバ10において、貸与車両20Aの位置確認(返却確認)がなされ、車両利用に関する料金精算処理が実行される。端末32は、利用料金の精算情報を受信する(S308)。
【0079】
図14は、実施の形態に係る貸与会員の端末における手順の一例を示すフローチャートである。貸与会員の端末31は、管理サーバ10から借用会員の予約要求に対応する貸与承認要求を受信すると(S311)、貸与会員による承認入力操作、或いは所定の貸与承認条件の確認等に基づき、貸与車両20Aの貸与許可を判定する(S312)。端末31は、貸与許可と判定した場合、貸与許可情報を管理サーバ10に送信し(S313)、管理サーバ10において予約番号の発行がなされる。一方、貸与不許可と判定した場合、端末31は、貸与不許可情報を管理サーバ10に送信し(S314)、借用会員の端末32に対して貸与不許可の旨を通知する。
【0080】
借用会員が貸与車両20Aの駐車場所まで移動し、貸与車両20Aに対して予約番号を入力して開錠条件が成立し、貸与車両20Aの開錠処理が実行されると、端末31は、管理サーバ10より貸与開始情報を受信する(S315)。そして、借用会員が貸与車両20Aを利用し、利用後に貸与車両20Aが返却されると、管理サーバ10において返却確認処理が実行され、端末31は、貸与車両20Aの返却通知を受信する(S316)。そして、管理サーバ10において、車両利用に関する料金精算処理が実行され、端末31は、利用料金の精算情報を受信する(S317)。
【0081】
なお、利用料金の設定において、貸与会員が所有又は管理している車両21と、借用会員が所有又は管理している車両22の車両価値を比較し、料金設定、利用料金の差額調整などを行ってもよい。例えば、貸与会員の車両21の車両価値が高い場合に高い利用料金が設定される、借用会員の車両22の車両価値が低い場合に高い利用料金が設定される、借用会員の車両22の車両価値が高い場合に低い利用料金が設定される、両者の車両21、22の車両価値の差に応じて利用料金が設定される、等の各種料金設定を実施してもよい。また、借用会員の車両22の車両価値に応じて、利用可能な車両の車種、期間が限定される、或いは選択範囲が拡大されるなど、車両価値に応じた利用条件を設定してもよい。また、利用者間の信頼度に応じて、貸与許可の判定条件、鍵情報の認証条件等を変更し、信頼度に応じた利用形態を設定してもよい。
【0082】
本実施の形態によれば、カーシェアリングシステムの利用者間で車両の貸与、借用を行う場合に、貸与会員は、利用希望している借用会員の車両の状態確認に基づいて車両の貸与に関する保証を確保し、自車両を貸与することが可能となる。このため、C2C型のカーシェアリングシステムにおいて、借用側の不正利用を抑止でき、貸与側のリスクを低減できる。このとき、保証を確保するための準備、手順等を増大させることなく、利用者間でスムーズに車両の貸与、借用を行うことが可能である。したがって、カーシェアリングシステムの利便性を向上させることができる。
【0083】
また、借用会員が自身の車両を所定場所に駐車させた事実を、貸与車両の開錠条件とすることにより、借用会員及び借用会員車両の実在性の保証を確保でき、また、借用会員車両の資産価値を担保とし、借用会員による貸与車両の不正利用に対する抑止力を働かせることができる。
【0084】
また、管理サーバを第三者が運用する構成とし、利用者間で車両の貸与、借用を行う際に第三者が仲介することにより、利用者間の匿名性を保つことも可能である。
【0085】
また、利用者が旅行を行う際に、空港や駅の駐車場を活用して車両の貸与、借用を行うことによって、車両利用者の利便性向上、車両所有者の資産活用メリット、駐車場の稼働率向上などの効果を得られる。
【0086】
以上のように、本実施の形態の車両管理装置は、利用者間で貸与、借用が可能な車両の管理を行う車両管理システムにおける車両管理装置の一例として、管理サーバ10を有する。管理サーバ10は、当該車両管理システムの利用者に関する会員情報、利用者が所有又は管理している車両に関する会員車両情報、及び車両の利用予約に関する予約管理情報を処理する処理部を有する。管理サーバ10は、車両の貸与を希望する貸与会員が所有又は管理している貸与車両20A(車両21)との間、及び、車両の借用を希望する借用会員が所有又は管理している借用会員車両20B(車両22)との間で、それぞれ通信可能な通信部を有する。管理サーバ10は、貸与車両から、貸与車両を借用会員に対して一時利用させる鍵情報による開錠要求を受けたことを知らせる、開錠要求通知を受信すると、借用会員車両の状態確認を行い、借用会員車両がシステムの管理下にある場合に開錠条件が成立したと判定し、貸与車両の電子的錠を開錠する開錠許可情報を送信する。これにより、利用者間で車両の貸与、借用を行う場合に、貸与会員は、利用希望している借用会員の車両の状態確認に基づいて車両の貸与に関する保証を確保し、自車両を貸与することが可能となる。また、保証を確保するための準備、手順等を増大させることなく、利用者間でスムーズに車両の貸与、借用を行うことができ、システムの利便性を向上できる。
【0087】
また、管理サーバ10は、借用会員車両20B(車両22)の位置情報を取得し、借用会員の車両が、所定の場所に駐車状態であること、他の利用者に貸与可能な状態であること、又は他の利用者に貸与中であることのうちの少なくとも一つの状態によって、システムの管理下にあることを判断する。これにより、複雑な構成や手順を設けることなく、簡便な手法で借用会員の車両がシステムの管理下にある状態か否かを判定できる。
【0088】
また、管理サーバ10は、貸与会員が使用する貸与会員端末(端末31)との間、及び、借用会員が使用する借用会員端末(端末32)との間で、それぞれ通信可能である。管理サーバ10は、貸与会員が貸与可能な貸与期間及び貸与場所、並びに貸与会員の会員車両情報を含む貸与申請情報を取得し、借用会員が利用希望する利用期間及び利用場所、並びに借用会員の会員車両情報を含む利用申請情報を取得する。管理サーバ10は、利用申請情報を含む予約要求に対して貸与申請情報から合致するものを抽出し、対応する貸与会員の貸与会員端末に対して貸与許可確認を行って貸与承認を受信する。管理サーバ10は、貸与承認によって予約要求に関する予約成立を判定し、成立した予約情報に対応する鍵情報を、予約要求を受けた借用会員端末に対して送信する。これにより、借用会員が利用希望する利用期間及び利用場所に適合する貸与会員を抽出し、貸与会員の貸与承認に基づいて適切に予約要求に対応する予約を成立させることができる。
【0089】
また、管理サーバ10は、予約要求を借用会員端末(端末32)から受信し、予約要求に含まれる利用申請情報と保持している貸与申請情報とのマッチング処理を行い、予約要求に合致する貸与申請情報に対応する貸与会員の貸与会員端末(端末31)に対して貸与許可確認を行う。管理サーバ10は、貸与会員端末からの貸与承認によって予約要求に関する予約成立を判定する。これにより、利用申請情報と貸与申請情報とのマッチング処理を行って予約要求の内容に適合する貸与車両を検索でき、貸与会員の貸与承認によって適切に予約成立を判定できる。
【0090】
また、管理サーバ10は、予約成立が判定された場合に、予約要求に対応する鍵情報を発行する。或いは、管理サーバ10は、予約成立が判定された場合に、予約要求に対応する鍵情報の発行指示を貸与車両20A(車両21)又は貸与会員端末(端末31)に送信し、鍵情報を発行させる。これにより、予約成立に伴って予約要求に対応する予約番号等による鍵情報を適切に発行し、借用会員端末(端末32)に通知することができる。
【0091】
また、鍵情報は、予約成立した予約内容に対応する予約番号、予約番号を含む認証情報を有した電子的鍵情報又は二次元コード、のうちの少なくともいずれか一つである。これにより、利用者にとって利便性の高い鍵情報を使用し、車両の貸与、借用を行うことが可能になる。
【0092】
また、管理サーバ10は、会員車両情報に含まれる車両の資産価値を表す車両価値情報に応じて、借用会員が利用可能な車種を設定し、予約要求に対して合致する貸与車両を決定する。例えば、借用会員の車両の資産価値が高い場合に、選択可能な車種の範囲が拡大する、利用期間が延長されるなどによって、借用会員の利便性を向上できる。また、借用会員の車両の資産価値が低い場合に、選択可能な車種の範囲が限定される、利用期間が短縮されるなどによって、貸与会員における貸出リスクを軽減できる。これにより、借用会員が所有又は管理する車両の資産価値、貸与会員が所有又は管理する車両の資産価値のいずれか一方、又は両者の資産価値に応じて、適宜利用可能な車種、利用期間を設定し、利用者間で資産価値に応じた合理的な車両の貸与、利用が可能になる。
【0093】
また、管理サーバ10は、会員情報に含まれる借用会員の信頼度に応じて、借用会員が利用可能な車種、利用期間を設定し、予約要求に対して合致する貸与車両を決定する。例えば、借用会員の信頼度が高い場合に、選択可能な車種の範囲が拡大する、利用期間が延長されるなどによって、借用会員の利便性を向上できる。また、借用会員の信頼度が低い場合に、選択可能な車種の範囲が限定される、利用期間が短縮されるなどによって、貸与会員における貸出リスクを軽減できる。これにより、借用会員の信頼度に応じて、適宜利用可能な車種、利用期間を設定し、利用者間で信頼度に応じた合理的な車両の貸与、利用が可能になる。
【0094】
また、管理サーバ10は、借用会員による過去の利用における各種履歴を含む履歴情報を保持し、履歴情報は、利用期間、利用時の走行履歴、利用期間中の事故歴、修理歴、他の利用者からの評価に基づく信頼度のうちの少なくとも一つを含む。これにより、履歴情報を用いて、借用会員の過去の利用履歴や信頼度等に応じて、貸与会員において適切に貸与承認の可否を判断可能となる。
【0095】
本実施の形態の車両管理方法は、利用者間で貸与、借用が可能な車両の管理を行う車両管理システムの車両管理装置における車両管理方法である。車両管理方法は、当該車両管理システムの車両管理装置としての管理サーバ10において、貸与車両20A(車両21)との間、及び、借用会員車両20B(車両22)、との間で、それぞれ通信を行うステップを含む。また、管理サーバ10において、貸与車両20A(車両21)から、貸与車両を借用会員に対して一時利用させる鍵情報による開錠要求を受けたことを知らせる、開錠要求通知を受信すると、管理サーバ10に借用会員車両20B(車両22)の状態確認を行い、借用会員車両がシステムの管理下にある場合に開錠条件が成立したと判定し、貸与車両の電子的錠を開錠する開錠許可情報を送信する。貸与車両20Aにおいて、鍵情報に基づいて車両の電子的錠を開錠する。これにより、利用者間で車両の貸与、借用を行う場合に、貸与会員は、利用希望している借用会員の車両の状態確認に基づいて車両の貸与に関する保証を確保し、自車両を貸与することが可能となる。
【0096】
本実施の形態の車両は、利用者間で貸与、借用が可能な車両の管理を行う車両管理システムに利用可能な車両である。貸与車両20A(車両21)では、当該車両管理システムを管理する車両管理装置としての管理サーバ10との間で通信を行う車両通信部と、自車両の貸与を希望する借用会員に対して貸与車両として自車両を一時利用させる鍵情報を処理する鍵情報処理部と、鍵情報に基づいて自車両の電子的錠を開錠する開錠処理部と、を有する。貸与車両は、鍵情報による開錠要求を受けた場合、管理サーバ10に借用会員が所有又は管理している借用会員車両20B(車両22)の状態確認を行い、借用会員車両がシステムの管理下にある場合に開錠条件が成立したと判定し、電子的錠を開錠する。これにより、利用者間で車両の貸与、借用を行う場合に、貸与会員は、利用希望している借用会員の車両の状態確認に基づいて車両の貸与に関する保証を確保し、自車両を貸与することが可能となる。
【0097】
以上、図面を参照しながら各種の実施の形態について説明したが、本開示はかかる例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例、修正例、置換例、付加例、削除例、均等例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本開示の技術的範囲に属するものと了解される。また、発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上述した各種の実施の形態における各構成要素を任意に組み合わせてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0098】
本開示は、カーシェアリングの利用者間で車両の貸与、借用を行う場合に、更なる改善を実現できる車両管理システムにおける車両管理装置、車両管理方法及び車両として有用である。
【符号の説明】
【0099】
10 管理サーバ
21、22 車両
31、32 端末
51A 電子的錠
51B 電子的鍵
101 予約番号受信部
102 車両位置確認部
103 予約管理データベース
104 貸与車両開錠部
105 貸与車両データ更新部
106 予約要求受信部
107 貸与判定部
108 貸与承認確認部
109 予約番号発行部
211 予約番号入力部
212、222 管理サーバ通信部
213 ドア開錠部
221 自車位置検出部
D100、D100a 会員車両情報
D101、D101a 車両識別情報
D102 車両価値情報
D200 予約管理情報
D201、D201a 会員情報
D202 予約情報
D203 会員車両駐車位置情報
D203a 車両位置情報
D204 会員車両貸与許可フラグ
D205 履歴情報
D300 予約完了情報
D301 予約番号
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