(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-12
(45)【発行日】2023-01-20
(54)【発明の名称】インプラントの残留酸除去方法
(51)【国際特許分類】
A61C 8/00 20060101AFI20230113BHJP
C23G 1/24 20060101ALI20230113BHJP
【FI】
A61C8/00 Z
C23G1/24
(21)【出願番号】P 2021206903
(22)【出願日】2021-12-21
【審査請求日】2021-12-21
(31)【優先権主張番号】10-2021-0092170
(32)【優先日】2021-07-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】521557584
【氏名又は名称】ユニデンタル カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100130111
【氏名又は名称】新保 斉
(72)【発明者】
【氏名】ヤン、ソン ジュン
【審査官】沼田 規好
(56)【参考文献】
【文献】特表2004-508896(JP,A)
【文献】特表2018-522682(JP,A)
【文献】特表2010-528694(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0074098(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61C 8/00
C23G 1/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸を用いて表面処理したインプラントの残留酸除去方法において、
前記インプラントに残存する前記酸を熱分解して除去する熱分解段階と、
前記インプラントに残存する前記酸に塩基を処理することによって、前記酸を中和させて除去する塩基処理段階と、
前記インプラントに残存する前記酸と前記塩基を洗浄水で洗浄して除去する洗浄段階と、を含むインプラントの残留酸除去方法。
【請求項2】
前記熱分解段階は、200℃~500℃で1時間~4時間の間行われることを特徴とする請求項1に記載のインプラントの残留酸除去方法。
【請求項3】
前記塩基は、弱塩基として用意されることを特徴とする請求項1に記載のインプラントの残留酸除去方法。
【請求項4】
前記弱塩基は、炭酸水素ナトリウム水溶液として用意されることを特徴とする請求項3に記載のインプラントの残留酸除去方法。
【請求項5】
前記洗浄段階は、3回~5回行われることを特徴とする請求項1に記載のインプラントの残留酸除去方法。
【請求項6】
前記酸は、硫酸および塩酸のうち少なくともいずれか一つを含むことを特徴とする請求項1に記載のインプラントの残留酸除去方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インプラントの残留酸除去方法に関し、より詳細には、表面処理したインプラントの表面に残留する酸を効果的に除去できるインプラントの残留酸除去方法に関する。
【背景技術】
【0002】
歯科用インプラント10は、一般的にチタンまたはチタン合金を機械的に加工した後、コーティングなど多様な表面処理工程が施されて製作される。
【0003】
このような歯科用インプラント10は、
図1に示されたように、人工歯の形状に形成されるクラウン(crown)11と、クラウン11の下部に結合されて、クラウン11を支持するアバットメント(abutment)12と、歯槽骨に植立した後、上部にアバットメント12が結合されて、アバットメント12を支持するフィクスチャー(fixture)13と、アバットメント12とフィクスチャー13の内部に挿入されて、アバットメント12とフィクスチャー13を堅固に固定させるスクリュー(screw)14とから構成される。
【0004】
なお、上述した歯科用インプラント10の構成要素のうち、フィクスチャー13は、SLA(Sandblast Large grit Acid etch)表面処理、TPS(Titanium Plasma Sprayed surface)表面処理、RBM(Resorbable Blast Media)表面処理など、フィクスチャー13の表面を粗面化させて、骨内適合性を向上させる多様な表面処理工程が施される。
【0005】
これらのうち、SLA表面処理は、アルミニウムなどの金属粒子をブラスティングしてフィクスチャー13の胴体を切削した後、強酸で酸エッチング処理する代表的な表面処理方式であり、フィクスチャー13の表面に一次的に硫酸(H2SO4)を処理し、二次的に塩酸(HCl)を処理することによって、フィクスチャー13の表面を粗面化させる。
【0006】
この際、SLA表面処理後、フィクスチャー13の表面には、硫酸と塩酸が残留し、これを完全に除去せず、インプラントが歯槽骨に植立される場合には、インプラント周辺の歯槽骨が溶けてしまう骨喪失(bone loss)が誘発されて、結果的に、インプラントの失敗を招くことになる問題点がある。
【0007】
これによって、従来の方式では、フィクスチャー13の表面の残留酸を除去するために、水酸化ナトリウム(NaOH)のような有毒性強塩基を処理した後、8回以上の洗浄過程を経て、フィクスチャー13の表面に残留する強酸と強塩基を除去した。
【0008】
しかしながら、このような従来の方式は、数多くの洗浄過程を経なければならないので、インプラントの全体生産収率が低くなる短所があり、数多くの洗浄過程にもかかわらず、フィクスチャー13の表面に強酸だけでなく人体に有害な強塩基も十分に除去されずに残留することになる問題点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、上述した従来の問題点を解決するためのものであって、表面処理したインプラントの表面に残留する酸を効果的に除去できるインプラントの残留酸除去方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的は、本発明によって、酸を用いて表面処理したインプラントの残留酸除去方法において、前記インプラントに残存する前記酸を熱分解して除去する熱分解段階と、前記インプラントに残存する前記酸に塩基を処理することによって、前記酸を中和させて除去する塩基処理段階と、前記インプラントに残存する前記酸と前記塩基を洗浄水で洗浄して除去する洗浄段階と、を含むインプラントの残留酸除去方法により達成される。
【0012】
また、前記熱分解段階は、200℃~500℃で1時間~4時間の間行われてもよい。
【0013】
また、前記塩基は、弱塩基として用意されてもよい。
【0014】
また、前記弱塩基は、炭酸水素ナトリウム水溶液として用意されてもよい。
【0015】
また、前記洗浄段階は、3回~5回行われてもよい。
【0016】
また、前記酸は、硫酸および塩酸のうち少なくともいずれか一つを含んでもよい。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、フィクスチャーの表面に残留する酸を効果的に除去できるので、植立したインプラントの周囲に発生しうる骨喪失(bone loss)の問題を防止できる効果がある。
【0018】
また、本発明によれば、フィクスチャーを洗浄する洗浄段階の回数を大幅に低減できるので、インプラントの全体生産収率が向上することができる効果がある。
【0019】
なお、本発明の効果は、以上で言及した効果に制限されず、以下で説明する内容から通常の技術者に自明な範囲内で多様な効果が含まれ得る。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図2】本発明の一実施形態に係るインプラントの残留酸除去方法の全体段階を示す図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係るインプラントの残留酸除去方法を適用したインプラントのpH測定試験成績書である。
【
図4】本発明の一実施形態に係るインプラントの残留酸除去方法を適用したインプラントのpH測定試験成績書である。
【
図5】本発明の一実施形態に係るインプラントの残留酸除去方法を適用したインプラントのpH測定試験成績書である。
【
図6】本発明の一実施形態に係るインプラントの残留酸除去方法を適用したインプラントのpH測定試験成績書である。
【
図7】本発明の一実施形態に係るインプラントの残留酸除去方法で使用されるトレイである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の一部の実施形態を例示的な図面を参照して詳細に説明する。各図面の構成要素に参照符号を付加するに際して、同じ構成要素については、たとえ他の図面上に表示されても、できるだけ同じ符号を有するようにしていることに留意しなければならない。
【0022】
また、本発明の実施例を説明するに際して、関連した公知の構成または機能に関する具体的な説明が本発明の実施形態に対する理解を妨害すると判断される場合には、その詳細な説明は省略する。
【0023】
また、本発明の実施形態の構成要素を説明するに際して、第1、第2、A、B、(a)、(b)などの用語を使用できる。このような用語は、当該構成要素を他の構成要素と区別するためのものだけであり、その用語により当該構成要素の本質や順序または手順などが限定されない。
【0024】
以下では、添付の図面を参照して、本発明の一実施形態に係るインプラントの残留酸除去方法S100について詳細に説明する。
【0025】
図2は、本発明の一実施形態に係るインプラントの残留酸除去方法S100の全体段階を示す図である。
【0026】
本発明は、酸を用いて表面処理したインプラントの残留酸除去方法S100に関するものであり、
図2に示されたように、本発明の一実施形態に係るインプラントの残留酸除去方法S100は、熱分解段階S110と、塩基処理段階S120と、洗浄段階S130と、を含む。
【0027】
熱分解段階S110は、インプラント、すなわち、硫酸分解反応と塩酸分解反応を通じてフィクスチャー13の表面に残留する硫酸と塩酸を熱分解して除去する段階であり、チューブファーネス(tube furnace)内で行われてもよい。
【0028】
より詳細には、硫酸分解反応は、300℃~450℃の高温で硫酸が気体状の三酸化硫黄(SO3)と水(H20)に分解される熱分解反応であり、硫酸が蒸発して分解し始め、温度が高いほど良好に進行される吸熱反応であり、硫酸分解反応のメカニズムは、下記の化1の通りである。
【0029】
【0030】
塩酸分解反応は、高温で塩酸が気体状の水素(H2)と塩素(Cl2)に分解される熱分解反応であり、塩酸が蒸発して分解し始め、温度が高いほど良好に進行される吸熱反応であり、塩酸分解反応のメカニズムは、下記の化2の通りである。
【0031】
【0032】
前記硫酸分解反応と塩酸分解反応によって、熱分解段階S110は、SLA表面処理したフィクスチャー13がチューブファーネスに引き込まれた後、200℃~500℃の高温で1時間~4時間の間行われることによって、フィクスチャー13の表面に残留する硫酸と塩酸が熱分解されうる。
【0033】
ここで、チューブファーネス内の温度が200℃未満である場合、硫酸分解反応と塩酸分解反応が十分に起こらない問題点があり、チューブファーネス内の温度が500℃以上である場合、下記の化3のように、三酸化硫黄(SO3)が二酸化硫黄(SO2)と酸素(O2)に分解された後、分解された酸素気体によってチタンが酸化して、フィクスチャー13の表面に酸化チタン(二酸化チタン、titanium dioxide,TiO2)膜が形成される問題点がある。
【0034】
【0035】
また、チューブファーネス内の雰囲気は、水素雰囲気として用意されてもよいが、チューブファーネス内流れる水素ガスを通じて熱分解された三酸化硫黄、塩素などのガスが自然に流れることができるように用意されてもよい。
【0036】
なお、チューブファーネス内の雰囲気は、アルゴン雰囲気または水素・アルゴン混合雰囲気として用意されてもよい。
【0037】
なお、チューブファーネス内の環境は、真空状態で用意されてもよい。
【0038】
上述したように、500℃付近またはそれ以上の高温では、さらに、三酸化硫黄が二酸化硫黄と酸素に分解されうるが、この際、発生した酸素気体によってチタンが酸化して、フィクスチャー13の表面に酸化チタン膜が形成され、結果的に、フィクスチャー13の商品性が顕著に低下する問題点がある。
【0039】
これによって、本発明では、チタンが酸化してフィクスチャー13の表面に酸化チタン膜を形成するのを防ぐために、チューブファーネス内の雰囲気は、酸素に対して不活性のアルゴン雰囲気または水素・アルゴン混合雰囲気として用意されてもよい。
【0040】
上述したような熱分解段階S110によれば、フィクスチャー13の表面の硫酸と塩酸を効果的に除去できると同時に、フィクスチャー13の表面に酸化チタン膜が形成されるのを防止できる効果がある。
【0041】
なお、熱分解段階S110におけるチューブファーネスは、複数のフィクスチャー13を保持可能なトレイ110を含んでもよい。すなわち、酸を用いて表面処理した複数のフィクスチャー13は、チューブファーネスに引き込まれるとき、トレイ110に保持された後に引き込まれることができ、このようなトレイ110は、チューブファーネス内の高温に耐えることができるように、チタン合金として用意されることが好ましい。
【0042】
なお、トレイ110がチューブファーネスの内周面に直接当接する場合、高温でチューブファーネスが破損する恐れがある問題点が存在する。これによって、
図7に示されたように、本発明においてトレイ110は、本体部111と、第1挿入部112と、第2挿入部113と、を含む。
【0043】
本体部111は、複数のフィクスチャー13が保持されるものであり、薄いプレート形状に用意され、複数の貫通ホールが形成される。
【0044】
第1挿入部112は、本体部111の一方から長さ方向に延設するものであり、チューブファーネスの一方のカバーに形成された第1挿入溝に挿入される。
【0045】
第2挿入部113は、本体部111の他方から長さ方向に延設するものであり、チューブファーネスの他方のカバーに形成された第2挿入溝に挿入される。
【0046】
すなわち、チューブファーネスの一方のカバーと他方のカバーには、トレイ110の第1挿入部112および第2挿入部113が挿入できる第1挿入溝および第2挿入溝がそれぞれ形成されるが、トレイ110に複数のフィクスチャーを保持させた後、トレイ110をチューブファーネスの内部に引き込ませるとき、第1挿入部112をチューブファーネスの一方のカバーに形成された第1挿入溝に挿入して固定させた後、他方のカバーを閉じるとき、第2挿入部113が第2挿入溝に挿入されて固定されうるようにすれば、トレイ110がチューブファーネスの内部で安定的に固定されると同時に、チューブファーネスの内周面に直接当接しないようにすることができる。
【0047】
なお、第1挿入部112と第2挿入部113は、トレイ110がチューブファーネスの内部で安定的に固定されうるように複数個で形成することができ、第1挿入部112、第2挿入部113、第1挿入溝および第2挿入溝の断面形状は、四角形などの多角形で形成することが好ましい。
【0048】
上述したようなトレイ110によれば、複数のフィクスチャー13をチューブファーネスの内部で安定的に保持することができ、チューブファーネスが高温のトレイ110により破損されるのを防止することができる効果がある。
【0049】
塩基処理段階S120は、フィクスチャー13の表面に残存する酸に塩基を処理することで、酸を中和させて除去する段階であり、上述した熱分解段階S110で熱分解しない残留硫酸と塩酸を弱塩基で中和させて除去する段階である。
【0050】
従来の方式では、フィクスチャー13の表面の残留酸を除去するために、すぐに水酸化ナトリウム(NaOH)のような有毒性強塩基を処理したが、このような方式は、数回の洗浄段階S130を経ても、フィクスチャー13の表面に強塩基が残留することができるので、人体に有害である問題点があった。
【0051】
これによって、本発明では、一次的に熱分解段階S110で残留硫酸と塩酸を熱分解して大部分除去した後、二次的に塩基処理段階S120で人体に無害な弱塩基を処理することによって、熱分解段階S110で未だ熱分解されない少量の残留硫酸と塩酸を中和させて除去することができる。
【0052】
この際、塩基処理段階S120における弱塩基は、代表的な弱塩基であり、人体に無害なものと広く知られた炭酸水素ナトリウム(sodium bicarbonate,NaHCO3)水溶液として用意されてもよい。
【0053】
上述したような塩基処理段階S120によれば、熱分解段階S110でまだ熱分解されない少量の残留硫酸と塩酸を中和させて除去することができ、フィクスチャー13の表面に中和反応に参加しない弱塩基が残留しても、人体に無害であるという利点がある。
【0054】
洗浄段階S130は、中和反応に参加せず、フィクスチャー13の表面に残存する酸と塩基を洗浄水で洗浄して除去する段階であり、ここで、洗浄水は、蒸留水(H2O(l))として用意されてもよい。
【0055】
従来の方式では、強酸である硫酸および塩酸、そして、強塩基である水酸化ナトリウムを除去するために、8回以上の洗浄過程を経なければならなかったが、数多くの洗浄過程によって全体インプラント生産収率が低下する短所があり、洗浄水だけで強酸と強塩基を除去したので、強酸と強塩基が十分に除去されない問題点もあった。
【0056】
しかしながら、本発明では、上述した熱分解段階S110で硫酸と塩酸を十分に除去することができ、塩基処理段階S120で人体に無害な弱塩基を処理して酸を除去するので、より少ない回数の洗浄過程でも酸と塩基を除去することができる。
【0057】
これによって、本発明の洗浄段階S130は、3回~5回繰り返して行われてもよく、好ましくは、4回繰り返して行われてもよい。
【0058】
上述したような洗浄段階S130によれば、フィクスチャー13を洗浄する洗浄段階S130の回数を大幅に低減できるので、インプラントの全体生産収率が向上することができる効果がある。
【0059】
上述したような熱分解段階S110と、塩基処理段階S120と、洗浄段階S130と、を含む本発明の一実施形態に係るインプラントの残留酸除去方法S100によれば、フィクスチャー13の表面に残存する酸を効果的に除去できるので、植立したインプラントの周囲に発生しうる骨喪失(bone loss)問題を防止できる効果がある。
【0060】
また、本発明によれば、フィクスチャー13を洗浄する洗浄段階S130の回数を大幅に低減できるので、インプラントの全体生産収率が向上することができる効果がある。
【0061】
以下、発明の具体的な実施例に基づいて本発明の作用、効果をより具体的に説明することとする。ただし、これは、発明の例示として提示されたものであり、これによって発明の権利範囲がいかなる意味でも限定されるわけではない。
【0062】
実施例:本発明の残留酸除去方法を適用したフィクスチャー
図3~
図6は、本発明の一実施形態に係るインプラントの残留酸除去方法S100を適用したインプラント、すなわち、フィクスチャー13のpH測定試験成績書である。
【0063】
図3~
図6に示されたように、SLA表面処理をした歯科用インプラント10のフィクスチャー13を水素雰囲気チューブファーネスに引き込んだ後、200℃の条件下で2時間の間熱分解してフィクスチャー13の表面の硫酸と塩酸を除去した後、チューブファーネスからフィクスチャー13を引き出して、3%の水酸化ナトリウム水溶液でフィクスチャー13の表面を中和させた。その後、フィクスチャー13を蒸留水で4回洗浄した。
【0064】
実験例:pH測定/溶出物試験
pH測定は、溶出物試験を通じて行われ、4g/20mL/50℃の条件下で72時間の間前処理することによって、検液を溶出して製造した。pH測定は、大韓民国薬典の一般試験法のpH項目に従って行われ、pHメーターは、Mettler社のS220-BIOモデルを使って溶出された検液のpHを測定した。
【0065】
図3に示されたように、本発明の残留酸除去方法を適用したフィクスチャー13のpHは、それぞれ6.48、6.68として導き出されて、フィクスチャー13の表面の残留硫酸と塩酸が効果的に除去されたことを確認できた。
【0066】
以上、本発明の実施形態を構成するすべての構成要素が一つに結合するか、結合して動作すると説明されたといって、本発明が必ずこのような実施形態に限定されるわけではない。すなわち、本発明の目的範囲内で、すべての構成要素が一つ以上で選択的に結合して動作することもできる。
【0067】
また、以上に記載された「含む」、「構成する」または「有する」などの用語は、特に反対になる記載がない限り、当該構成要素が内在することができることを意味するのであるから、他の構成要素を除外するものではなく、他の構成要素をさらに含んでもよいと解すべきである。技術的または科学的な用語を含むすべての用語は、別途定義しない限り、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者により一般的に理解されるのと同じ意味がある。辞書に定義された用語のように、一般的に使用される用語は、関連技術の文脈上の意味と一致するものと解すべきであり、本発明において明白に定義しない限り、理想的または過度に形式的な意味と解されない。
【0068】
また、以上の説明は、本発明の技術思想を例示的に説明したものに過ぎないのであり、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者なら、本発明の本質的な特性を逸脱しない範囲で多様な修正および変形が可能である。
【0069】
したがって、本発明に開示された実施形態は、本発明の技術思想を限定するためのものではなく、説明するためのものであり、このような実施形態により本発明の技術思想の範囲が限定されるわけではない。本発明の保護範囲は、請求範囲により解されるべきであり、それと同等な範囲内にあるすべての技術思想は、本発明の権利範囲に含まれると解すべきであると言える。
【符号の説明】
【0070】
10 歯科用インプラント
11 クラウン
12 アバットメント
13 フィクスチャー
14 スクリュー
S100 本発明の一実施形態に係るインプラントの残留酸除去方法
S110 熱分解段階
S120 塩基処理段階
S130 洗浄段階
【要約】 (修正有)
【課題】酸を用いて表面処理したインプラントの残留酸を効果的に除去する方法を提供する。
【解決手段】インプラントに残存する酸を熱分解して除去する熱分解段階と、前記インプラントに残存する前記酸に塩基を処理することによって、前記酸を中和させて除去する塩基処理段階と、前記インプラントに残存する前記酸と前記塩基を洗浄水で洗浄して除去する洗浄段階と、を含む。
【選択図】
図2