(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-12
(45)【発行日】2023-01-20
(54)【発明の名称】動力伝達装置
(51)【国際特許分類】
F16H 3/10 20060101AFI20230113BHJP
F16H 3/18 20060101ALI20230113BHJP
F16H 3/087 20060101ALI20230113BHJP
F16H 3/08 20060101ALI20230113BHJP
【FI】
F16H3/10
F16H3/18
F16H3/087
F16H3/08
(21)【出願番号】P 2021562903
(86)(22)【出願日】2020-03-30
(86)【国際出願番号】 KR2020004317
(87)【国際公開番号】W WO2020218749
(87)【国際公開日】2020-10-29
【審査請求日】2021-10-20
(31)【優先権主張番号】10-2019-0047102
(32)【優先日】2019-04-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】521460756
【氏名又は名称】エイチジェイ トランスミッション カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】HJ TRANSMISSION CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】215-ho,296,Sandan-ro,Danwon-gu Ansan-si Gyeonggi-do 15433,Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100130111
【氏名又は名称】新保 斉
(72)【発明者】
【氏名】チェ、ヒョン ジン
【審査官】前田 浩
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-252558(JP,A)
【文献】特開2002-165515(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16H 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1変速低段ギヤが第1変速ワンウェイベアリングにより一方向に拘束されるように第1変速入力軸に連結されて設けられ、動力発生部から駆動力の伝達を受ける第1変速入力ギヤが前記第1変速入力軸に一体に設けられており、第1変速後進ギヤを前記第1変速入力軸にクラッチ作動させる後進クラッチ、及び第1変速高段ギヤを前記第1変速入力軸にクラッチ作動させる第1変速高段クラッチが前記第1変速入力軸の両端に連結されて設けられた第1変速入力部と、
前記第1変速入力部の前記第1変速低段ギヤまたは前記第1変速高段ギヤから駆動力が伝達されるように連結されて設けられた第1変速出力部と、
前記第1変速入力部の前記第1変速後進ギヤから後進駆動力が伝達されるように連結されて設けられた後進入力ギヤ部と、
前記第1変速出力部から駆動力の伝達を受ける第2変速入力ギヤが第2変速入力軸に一体に設けられ、第2変速低段ギヤが第2変速ワンウェイベアリングにより一方向に拘束されるように前記第2変速入力軸に連結されており、第2変速中段ギヤを前記第2変速入力軸にクラッチ作動させる第2変速中段クラッチが前記第2変速入力軸の一側端に連結された第2変速入力部と、
前記第1変速出力部の駆動力が前記第2変速入力部に伝達されるように前記第1変速出力部と前記第2変速入力部に連結されて設けられた前進アイドルギヤ部と、
前記後進入力ギヤ部による後進駆動力及び前記第2変速入力部による前進駆動力が伝達されるように連結されて設けられ、前進または後進出力が行われる第2変速出力部と、を含み、
前記第1変速高段クラッチ、前記第2変速中段クラッチのクラッチ作動有無によって前進4段変速が行われ、前記後進クラッチの作動によって後進1段変速が行われるように構成されることを特徴とする、動力伝達装置。
【請求項2】
前記第1、2変速低段ギヤは、動力入力部の正方向駆動時に、前記第1、2変速入力軸の回転力が伝達されるように、前記第1、2変速ワンウェイベアリングにより前記第1、2変速入力軸とそれぞれ連結されて設けられることを特徴とする、請求項1に記載の動力伝達装置。
【請求項3】
前記第1変速入力部は、前記第1変速入力軸と、前記第1変速入力軸と一体に回転駆動され、動力入力部の出力ギヤにかみ合う前記第1変速入力ギヤと、前記第1変速入力軸に前記第1変速ワンウェイベアリングにより支持されるように設けられる前記第1変速低段ギヤと、前記第1変速入力軸の一側端に連結されて設けられる前記後進クラッチと、前記後進クラッチの作動によって前記第1変速入力軸と一体に回転駆動されるように設けられた前記第1変速後進ギヤと、前記第1変速入力軸の他側端に連結されて設けられる前記第1変速高段クラッチと、前記第1変速高段クラッチの作動によって前記第1変速入力軸と一体に回転駆動されるように設けられた前記第1変速高段ギヤと、を含むことを特徴とする、請求項1に記載の動力伝達装置。
【請求項4】
前記第1変速低段ギヤは、前記第1変速高段ギヤよりも少ないギヤの歯数を備えるように構成されることを特徴とする、請求項1または3に記載の動力伝達装置。
【請求項5】
前記第1変速出力部は、第1変速出力軸と、前記第1変速出力軸と一体に回転駆動され、前記第1変速低段ギヤにかみ合う第1変速低段出力ギヤと、前記第1変速出力軸と一体に回転駆動され、前記第1変速高段ギヤにかみ合う第1変速高段出力ギヤと、前記第1変速出力軸と一体に回転駆動され、前進アイドルギヤ部に動力を伝達する第1変速出力ギヤと、を含むことを特徴とする、請求項1に記載の動力伝達装置。
【請求項6】
前記第2変速入力部は、前記第2変速入力軸と、前記第2変速入力軸と一体に回転駆動され、前記前進アイドルギヤ部の前進アイドルギヤにかみ合う前記第2変速入力ギヤと、前記第2変速ワンウェイベアリングにより支持されるように前記第2変速入力軸に設けられる前記第2変速低段ギヤと、前記第2変速入力軸の他側端に連結されて設けられる前記第2変速中段クラッチと、前記第2変速中段クラッチの作動によって前記第2変速入力軸と一体に回転駆動されるように設けられる前記第2変速中段ギヤと、を含むことを特徴とする、請求項1に記載の動力伝達装置。
【請求項7】
前記第2変速低段ギヤは、前記第2変速中段ギヤよりも少ないギヤの歯数を備えるように構成されることを特徴とする、請求項1または6に記載の動力伝達装置。
【請求項8】
前記後進入力ギヤ部は、後進ギヤ入力軸と、前記後進ギヤ入力軸と一体に回転駆動され、前記第1変速後進ギヤにかみ合う後進入力ギヤと、前記後進ギヤ入力軸と一体に回転駆動され、前記第2変速出力部の第2変速後進出力ギヤに連結される後進出力ギヤと、を含み、
前記前進アイドルギヤ部は、アイドルギヤ軸と、前記アイドルギヤ軸と一体に回転駆動され、第1変速出力ギヤ及び前記第2変速入力ギヤにかみ合う前進アイドルギヤと、を含むことを特徴とする、請求項1に記載の動力伝達装置。
【請求項9】
前記第2変速出力部は、第2変速出力軸と、前記第2変速出力軸と一体に回転駆動され、前記第2変速低段ギヤにかみ合う第2変速低段出力ギヤと、前記第2変速出力軸と一体に回転駆動され、前記第2変速中段ギヤにかみ合う第2変速中段出力ギヤと、前記第2変速出力軸と一体に回転駆動され、後進出力ギヤに連結される第2変速後進出力ギヤと、を含むことを特徴とする、請求項1に記載の動力伝達装置。
【請求項10】
前記第2変速入力部は、前記第2変速入力軸と、前記第2変速入力軸と一体に回転駆動され、前記前進アイドルギヤ部の前進アイドルギヤにかみ合う前記第2変速入力ギヤと、前記第2変速ワンウェイベアリングにより支持されるように前記第2変速入力軸に設けられる前記第2変速低段ギヤと、前記第2変速入力軸の一側端に連結されて設けられる第2変速高段クラッチと、前記第2変速高段クラッチの作動によって前記第2変速入力軸と一体に回転駆動されるように設けられた第2変速高段ギヤと、前記第2変速入力軸の他側端に連結されて設けられる前記第2変速中段クラッチと、前記第2変速中段クラッチの作動によって前記第2変速入力軸と一体に回転駆動されるように設けられる前記第2変速中段ギヤと、を含み、
前記第2変速出力部は、第2変速出力軸と、前記第2変速出力軸と一体に回転駆動され、前記第2変速低段ギヤにかみ合う第2変速低段出力ギヤと、前記第2変速出力軸と一体に回転駆動され、第2変速高段ギヤにかみ合う第2変速高段出力ギヤと、前記第2変速出力軸と一体に回転駆動され、前記第2変速中段ギヤにかみ合う第2変速中段出力ギヤと、前記第2変速出力軸と一体に回転駆動され、後進出力ギヤに連結される第2変速後進出力ギヤと、を含むことを特徴とする、請求項1に記載の動力伝達装置。
【請求項11】
前記第2変速低段ギヤ、前記第2変速中段ギヤ、前記第2変速高段ギヤのギヤの歯数は、前記第2変速高段ギヤ>前記第2変速中段ギヤ>前記第2変速低段ギヤの順に構成されることを特徴とする、請求項10に記載の動力伝達装置。
【請求項12】
前記第2変速出力部は、前記第2変速中段出力ギヤと前記第2変速出力軸が出力ワンウェイベアリングにより連結されるように設けられており、前記出力ワンウェイベアリングは、外部の動力源から動力が正方向(前進方向)に入力される時に、前記第2変速中段出力ギヤの回転力が前記第2変速出力軸に伝達されるように設けられることを特徴とする、請求項10に記載の動力伝達装置。
【請求項13】
前記第2変速出力部に連結されるようにディファレンシャルギヤアセンブリーがさらに設けられており、
前記第2変速出力部は、前記第2変速出力軸に第2変速出力ギヤが一体に回転駆動されるように設けられ、前記第2変速出力ギヤに前記ディファレンシャルギヤアセンブリーのリングギヤが結合され、前記第2変速出力部の駆動力が前記ディファレンシャルギヤアセンブリーに伝達されるように構成されることを特徴とする、請求項
10に記載の動力伝達装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、動力伝達装置に関し、簡単な構造を備えており、後進クラッチと2個または3個のクラッチを連結して設けることで、前進4段及び後進1段、または、前進6段及び後進1段への変速が行われることができる動力伝達装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、変速機は、クラッチを介してエンジンに連結された入力軸と、駆動輪に連結された出力軸との間で、移動手段の走行状態の変化に応じてエンジンの回転力を増大または減少させる役割を果たすものであって、両軸間に配置されている複数組のギヤ装置のうち1組が選択的にかみ合って駆動伝達状態になるようにする、ギヤ式変速機が広く知られている。
【0003】
前記ギヤ式変速機は、エンジンの動力の入力を受け、適切な回転力に可変させて出力する遊星ギヤセットと、遊星ギヤセットの各回転要素を固定または回転阻止したり、エンジンの動力により回転させるクラッチまたはブレーキなどの締結要素と、を含むようになっている。かかるギヤ式変速機は、4段または5段を実現する装置が主流となっているが、近年、6段以上が実現可能な装置が開発されている。
【0004】
従来に用いられている4段、5段、6段変速機は、目的の段数に対応するように個別設計されて組み立て、すなわち、それぞれの構造が互いに異なる状態で設計されて組み立てられており、そのため、それぞれの作動要素もほとんど異なるため、クラッチとブレーキの開発及び制御など、新しいメカニズムの開発が必要であるという問題があった。
【0005】
特に、従来に用いられている6段(前進6段、後進1段)の変速機は、その構造が複雑であるだけでなく、殆どの場合2軸変速機からなっているため、全長が過度に長くなるという問題があった。これにより、エンジンルームの空間が狭い前輪駆動方式の移動手段では、各種装置及び附属品の装着設計の基準が非常に厳しく、適用が非常に難しいという問題があった。
【0006】
また、前記2軸の6段変速機についての問題を改善するために3軸の6段変速機が開発されているが、従来の3軸の6段変速機は、全ての駆動ギヤが入力軸に直結されるようになっており、入力軸の回転時に駆動ギヤと従動ギヤがともに回転されるため、互いにかみ合ったギヤの回転による騒音が増加するだけでなく、多数のアイドルギヤが設けられなければならないなど、多くの問題があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、簡単な構造を備えており、部品の追加設置により前進4段及び後進1段から前進6段及び後進1段への変速が行われることができる動力伝達装置を提供することにある。
【0008】
本発明の他の目的は、後進変速のための別の後進クラッチが設けられ、入力軸から出力軸へ後進出力が直結されるようにすることで、後進変速時における動力伝達経路を短縮させ、エネルギーを低減するとともに、後進性能を向上させる動力伝達装置を提供することにある。
【0009】
本発明のさらに他の目的は、変速時における作動騒音及び衝撃を減少させ、変速機の縦方向の長さが縮小されるようにすることで、全体積を減少させることにより、エンジンルームの空間活用性を向上させることができる動力伝達装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、第1変速低段ギヤが第1変速ワンウェイベアリングにより一方向に拘束されるように第1変速入力軸に連結されて設けられ、動力発生部から駆動力の伝達を受ける第1変速入力ギヤが第1変速入力軸に一体に設けられており、第1変速後進ギヤを第1変速入力軸にクラッチ作動させる後進クラッチ、及び第1変速高段ギヤを第1変速入力軸にクラッチ作動させる第1変速高段クラッチが第1変速入力軸の両端に連結されて設けられた第1変速入力部と、第1変速入力部の第1変速低段ギヤまたは第1変速高段ギヤから駆動力が伝達されるように連結されて設けられた第1変速出力部と、第1変速入力部の第1変速後進ギヤから後進駆動力が伝達されるように連結されて設けられた後進入力ギヤ部と、第1変速出力部から駆動力の伝達を受ける第2変速入力ギヤが第2変速入力軸に一体に設けられ、第2変速低段ギヤが第2変速ワンウェイベアリングにより一方向に拘束されるように第2変速入力軸に連結されており、第2変速中段ギヤを第2変速入力軸にクラッチ作動させる第2変速中段クラッチが第2変速入力軸の一側端に連結された第2変速入力部と、第1変速出力部の駆動力が第2変速入力部に伝達されるように第1変速出力部と第2変速入力部に連結されて設けられた前進アイドルギヤ部と、後進入力ギヤ部による後進駆動力及び第2変速入力部による前進駆動力が伝達されるように連結されて設けられ、前進または後進出力が行われる第2変速出力部と、を含み、第1変速高段クラッチ、第2変速中段クラッチのクラッチ作動有無によって前進4段変速が行われ、後進クラッチの作動によって後進1段変速が行われるようになっている。
【0011】
また、本発明は、第2変速入力部の第2変速入力軸の他側端に、第2変速高段ギヤが第2変速入力軸にクラッチされるように作動される第2変速高段クラッチがさらに設けられ、前記第2変速高段ギヤにかみ合う第2変速高段出力ギヤが第2変速出力部の第2変速出力軸に一体に回転されるように設けられており、第1変速高段クラッチ、第2変速中段クラッチ、第2変速高段クラッチのクラッチ作動有無によって前進6段変速が行われ、後進クラッチの作動によって後進1段変速が行われるように構成されることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、簡単な構造を備えており、第1変速入力部に備えられた後進クラッチと高段クラッチ、第2変速入力部に備えられた中段クラッチの組み合わせにより前進4段及び後進1段の変速が行われるようになっていて、変速機の全長を短くすることができ、これにより、振動及び騒音が低減するだけでなく、エンジンルームの空間活用性が向上することができる効果がある。
【0013】
本発明は、第1、2変速低段ギヤが、第1、2変速ワンウェイベアリングにより第1、2変速入力軸にそれぞれ結合されるようになっていて、低段から高段への変速時に、回転差による低段ギヤのアイドリングによって変速が行われるため、別のアイドルギヤを設けなくても、ギヤの変速が円滑に行われる効果がある。
【0014】
本発明は、第1変速入力部に後進のための後進クラッチが設けられており、該後進クラッチにより、第1変速入力部の第1変速入力軸から、第2変速出力部の第2変速出力軸へ後進駆動力が直結伝達されるようになっているため、後進のための動力伝達が迅速に行われるだけでなく、後進性能が向上する効果がある。
【0015】
本発明は、第2変速高段クラッチにより作動される第2変速高段ギヤと、これにかみ合う第2変速高段出力ギヤを設けることによる、後進クラッチ、第1変速高段クラッチ、第2変速中段クラッチ、及び第2変速高段クラッチの組み合わせにより、構造的設計変更しなくても前進6段及び後進1段が容易に実現可能である効果がある。
【0016】
本発明は、第2変速出力ギヤが出力ワンウェイベアリングにより第2変速出力軸に拘束されるようになっていることで、6段及び後進1段の実現において、第2変速中段クラッチと第2変速高段クラッチのクラッチ作動によるギヤ変速時に、変速の待ち時間なしに迅速な変速が行われるだけでなく、変速による騒音及び衝撃が生じることなく、変速感が向上するなどの多くの効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明に係る構成を示した概略例示図である。
【
図2】本発明に係る構成を示した他の概略例示図である。
【
図3】本発明に係る構成を示した例示図(前進6段及び後進1段)である。
【
図4】本発明に係る構成を示した他の例示図(前進6段及び後進1段)である。
【
図5】本発明に係る第1変速入力部の構成を示した例示図である。
【
図6】本発明に係る第2変速入力部の構成を示した例示図である。
【
図7】本発明に係る追加構成が示された概略例示図(前進6段及び後進1段)である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1は、本発明に係る構成を示した概略例示図を示したものであり、本発明は、第1変速低段ギヤ23が第1変速ワンウェイベアリング24により一方向に拘束されるように第1変速入力軸22に連結されて設けられ、動力発生部10から駆動力の伝達を受ける第1変速入力ギヤ21が第1変速入力軸22に一体に設けられており、第1変速後進ギヤ27を第1変速入力軸22にクラッチ作動させる後進クラッチ28、及び第1変速高段ギヤ25を第1変速入力軸22にクラッチ作動させる第1変速高段クラッチ26が第1変速入力軸22の両端にそれぞれ連結されて設けられた第1変速入力部20と、第1変速入力部20の第1変速低段ギヤ23または第1変速高段ギヤ25から駆動力が伝達されるように連結されて設けられた第1変速出力部30と、第1変速入力部の第1変速後進ギヤ27から後進駆動力が伝達されるように連結されて設けられた後進入力ギヤ部80と、第1変速出力部30から駆動力の伝達を受ける第2変速入力ギヤ51が第2変速入力軸52に一体に設けられ、第2変速低段ギヤ53が第2変速ワンウェイベアリング54により一方向に拘束されるように第2変速入力軸52に連結されており、第2変速中段ギヤ55を第2変速入力軸52にクラッチ作動させる第2変速中段クラッチ56が第2変速入力軸52の一側端に連結された第2変速入力部50と、第1変速出力部30の駆動力が第2変速入力部50に伝達されるように第1変速出力部30と第2変速入力部50に連結されて設けられた前進アイドルギヤ部40と、後進入力ギヤ部80による後進駆動力及び第2変速入力部50による前進駆動力が伝達されるように連結されて設けられ、前進または後進出力が行われる第2変速出力部60と、を含み、第1変速高段クラッチ26、第2変速中段クラッチ56のクラッチ作動によって前進4段変速が行われ、後進クラッチ28の作動によって後進1段変速が行われるようになっている。
【0019】
この際、前記第1、2変速低段ギヤ23、53は、動力入力部10の正方向駆動時に、第1、2変速入力軸22、52の回転力が伝達されるように、第1、2変速ワンウェイベアリング24、54により第1、2変速入力軸22、52とそれぞれ連結されている。
【0020】
また、本発明は、
図2に示されたように、第2変速入力部の第2変速入力軸52の他側端に、第2変速高段ギヤ57が第2変速入力軸52にクラッチされるように作動される第2変速高段クラッチ58がさらに設けられ、前記第2変速高段ギヤ57にかみ合う第2変速高段出力ギヤ63が第2変速出力部の第2変速出力軸64に一体に回転されるように設けられており、第1変速高段クラッチ26、第2変速中段クラッチ56、第2変速高段クラッチ58のクラッチ作動によって前進6段変速が行われ、後進クラッチ28の作動によって後進1段変速が行われるように構成されることができる。
【0021】
すなわち、
図2は、本発明に係る構成を示した他の概略例示図を示したものであり、本発明は、第1変速低段ギヤ23が第1変速ワンウェイベアリング24により一方向に拘束されるように第1変速入力軸22に連結されて設けられ、動力発生部10から駆動力の伝達を受ける第1変速入力ギヤ21が第1変速入力軸22に一体に設けられており、第1変速後進ギヤ27を第1変速入力軸22にクラッチ作動させる後進クラッチ28、及び第1変速高段ギヤ25を第1変速入力軸22にクラッチ作動させる第1変速高段クラッチ26が第1変速入力軸22の両端にそれぞれ連結されて設けられた第1変速入力部20と、第1変速入力部20の第1変速低段ギヤ23または第1変速高段ギヤ25から駆動力が伝達されるように連結されて設けられた第1変速出力部30と、第1変速入力部の第1変速後進ギヤ27から後進駆動力が伝達されるように連結されて設けられた後進入力ギヤ部80と、第1変速出力部30から駆動力の伝達を受ける第2変速入力ギヤ51が第2変速入力軸52に一体に設けられ、第2変速低段ギヤ53が第2変速ワンウェイベアリング54により一方向に拘束されるように第2変速入力軸52に連結されており、第2変速中段ギヤ55を第2変速入力軸52にクラッチ作動させる第2変速中段クラッチ56、及び第2変速高段ギヤ57を第2変速入力軸52にクラッチ作動させる第2変速高段クラッチ58が第2変速入力軸52の両端にそれぞれ連結されて設けられた第2変速入力部50と、第1変速出力部30の駆動力が第2変速入力部50に伝達されるように第1変速出力部30と第2変速入力部50に連結されて設けられた前進アイドルギヤ部40と、第2変速低段ギヤ53に結合される第2変速低段出力ギヤ61、第2変速中段ギヤ55に結合される第2変速中段出力ギヤ62、第2変速高段ギヤ57に結合される第2変速高段出力ギヤ63、及び後進入力軸82の後進出力ギヤ83が結合される第2変速後進出力ギヤ66が第2変速出力軸64に連結されて設けられた第2変速出力部60と、を含むように構成されることができる。
【0022】
以下、本発明を添付の図面をともに参照して詳細に説明する。
【0023】
図1は本発明に係る構成を示した概略例示図、
図2は本発明に係る構成を示した他の概略例示図、
図3は本発明に係る構成を示した例示図(前進6段及び後進1段)、
図4は本発明に係る構成を示した他の例示図(前進6段及び後進1段)、
図5は本発明に係る第1変速入力部の構成を示した例示図、
図6は本発明に係る第2変速入力部の構成を示した例示図、
図7は本発明に係る追加構成が示された概略例示図(前進6段及び後進1段)を示している。
【0024】
前記動力入力部10は、外部動力の入力を受けて第1変速入力部20に伝達するものであり、
図1から
図4に示されたように、外部動力の入力を受ける動力入力軸11と、出力ギヤ15を備える動力出力軸14と、動力入力軸11と動力出力軸14に連結されて設けられ、動力を伝達するベベルギヤ12と、を含むように構成されることができる。
【0025】
この際、前記ベベルギヤ12は、動力入力軸11に連結される入力ベベルギヤ12aと、動力出力軸14に連結される出力ベベルギヤ12bと、を含む。
【0026】
また、前記動力入力部10は、駆動モータまたはエンジンなどの動力源90で発生する外部動力が動力出力軸14に直接伝達され、出力ギヤ15が回転駆動されるように構成されることができる。
【0027】
前記第1変速入力部20は、
図1から
図5に示されたように、第1変速入力軸22と、第1変速入力軸22と一体に回転駆動され、動力入力部の出力ギヤ15にかみ合う第1変速入力ギヤ21と、第1変速入力軸22に第1変速ワンウェイベアリング24により支持されるように設けられる第1変速低段ギヤ23と、第1変速入力軸22の一側端に連結されて設けられる後進クラッチ28と、後進クラッチ28の作動によって第1変速入力軸22と一体に回転駆動されるように設けられた第1変速後進ギヤ27と、第1変速入力軸22の他側端に連結されて設けられる第1変速高段クラッチ26と、第1変速高段クラッチ26の作動によって第1変速入力軸22と一体に回転駆動されるように設けられた第1変速高段ギヤ25と、を含む。
【0028】
すなわち、前記第1変速入力部20は、第1変速入力軸22と一体に第1変速入力ギヤ21が連結され、第1変速低段ギヤ23は第1変速ワンウェイベアリング24を介して第1変速入力軸22に連結され、第1変速後進ギヤ27は後進クラッチ28により第1変速入力軸22と一体に回転駆動されるように第1変速入力軸22に連結されて設けられ、第1変速高段ギヤ25は第1変速高段クラッチ26により第1変速入力軸22と一体に回転駆動されるように第1変速入力軸22に連結されている。この際、前記第1変速ワンウェイベアリング24は、動力入力部10の正方向駆動(前進駆動)時に、第1変速入力軸22の回転駆動力が第1変速低段ギヤ23に伝達され、第1変速入力軸22と第1変速低段ギヤ23が一体に回転駆動されるように設けられている。この際、前記第1変速低段ギヤ23は、第1変速高段ギヤ25よりも少ないギヤの歯数を備えるように構成されている。
【0029】
このように構成された第1変速入力部20は、第1変速高段クラッチ26及び後進クラッチ28のクラッチ解除作動時には、動力入力部10の駆動力(正方向)が第1変速入力ギヤ21を介して第1変速入力軸22に伝達され、第1変速入力軸22の回転によって、第1変速低段ギヤ23が第1変速ワンウェイベアリング24により拘束(クラッチ)されて第1変速入力軸22と一体に回転駆動される。
【0030】
また、前記第1変速入力部20は、第1変速高段クラッチ26がクラッチ作動される場合、第1変速入力軸22の回転力が第1変速低段ギヤ23と第1変速高段ギヤ25に伝達される。
【0031】
また、前記第1変速入力部20は、動力入力部10の駆動力(逆方向)が第1変速入力ギヤ21を介して第1変速入力軸22に伝達される時に、後進クラッチ28がクラッチ作動され、前記後進クラッチ28のクラッチ作動により第1変速入力軸22の回転力が第1変速後進ギヤ27に伝達される。
【0032】
前記第1変速出力部30は、第1変速入力部の第1変速低段ギヤ23または第1変速高段ギヤ25により動力入力部10の駆動力の伝達を受け、前進アイドルギヤ部40に伝達するようになっている 。
【0033】
前記第1変速出力部30は、
図1から
図3に示されたように、第1変速出力軸33と、第1変速出力軸33と一体に回転駆動され、第1変速低段ギヤ23にかみ合う第1変速低段出力ギヤ31と、第1変速出力軸33と一体に回転駆動され、第1変速高段ギヤ25にかみ合う第1変速高段出力ギヤ32と、第1変速出力軸33と一体に回転駆動され、前進アイドルギヤ部40に動力を伝達する第1変速出力ギヤ34と、を含む。
【0034】
すなわち、前記第1変速出力部30は、第1変速出力ギヤ34、第1変速低段出力ギヤ31、第1変速高段出力ギヤ32が第1変速出力軸33に一体に連結されて設けられ、第1変速低段出力ギヤ31は第1変速入力部の第1変速低段ギヤ23に、第1変速高段出力ギヤ32は第1変速入力部の第1変速高段ギヤ25にそれぞれかみ合うように連結され、第1変速出力ギヤ34は前進アイドルギヤ部の前進アイドルギヤ41にかみ合うように連結されて設けられている。
【0035】
このように構成された第1変速出力部30は、第1変速低段出力ギヤ31または第2変速高段出力ギヤ32を介して第1変速入力部20から駆動力の伝達を受けて第1変速出力軸33が回転駆動され、前記第1変速出力軸33の駆動力が第1変速出力ギヤ34を介して前進アイドルギヤ部40に伝達されるようになっている。
【0036】
前記前進アイドルギヤ部40は、外部動力源の回転方向による出力方向を切り替えるためのものであり、
図1、
図2、及び
図4に示されたように、アイドルギヤ軸42と、アイドルギヤ軸42と一体に回転駆動され、第1変速出力ギヤ34及び第2変速入力ギヤ51にかみ合う前進アイドルギヤ41と、を含む。すなわち、前記前進アイドルギヤ部50は、第1変速出力部30の駆動力が第2変速入力部50に伝達されるように構成されている。
【0037】
前記第2変速入力部50は、
図1に示されたように、第2変速入力軸52と、第2変速入力軸52と一体に回転駆動され、前進アイドルギヤ部40の前進アイドルギヤ41にかみ合う第2変速入力ギヤ51と、第2変速入力軸52に第2変速ワンウェイベアリング54により支持されるように設けられる第2変速低段ギヤ53と、第2変速入力軸52の一側端に連結されて設けられる第2変速中段クラッチ56と、第2変速中段クラッチ56のクラッチ作動によって第2変速入力軸52と一体に回転駆動されるように設けられる第2変速中段ギヤ55と、を含む。
【0038】
すなわち、前記第2変速入力部50は、第2変速入力軸52に一体に第2変速入力ギヤ51が連結されて設けられ、第2変速低段ギヤ53は第2変速ワンウェイベアリング54を介して第2変速入力軸52に連結されて設けられ、第2変速中段ギヤ55は第2変速中段クラッチ56により第2変速入力軸52と一体に回転駆動されるように第2変速入力軸52に連結されている。この際、前記第2変速ワンウェイベアリング54は、動力入力部10の正方向駆動(前進駆動)時に、第2変速入力軸52の回転駆動力が第2変速低段ギヤ53に伝達され、第2変速入力軸52と第2変速低段ギヤ53が一体に回転駆動されるように設けられている。
【0039】
このように構成された第2変速入力部50は、第2変速中段クラッチ56がクラッチ解除作動される場合、前進アイドルギヤ部40の駆動力が第2変速入力ギヤ51を介して第2変速入力軸52に伝達され、第2変速入力軸52の回転力が第2変速ワンウェイベアリング54により拘束(クラッチ)された第2変速低段ギヤ53を介して第2変速出力部60に伝達されることになり、第2変速中段クラッチ56のクラッチ作動の際には、前進アイドルギヤ部40の駆動力が第2変速入力ギヤ51を介して第2変速入力軸52に伝達され、第2変速入力軸52の回転力が第2変速中段ギヤ55を介して第2変速出力部に伝達される。この際、前記第2変速低段ギヤ53は、第2変速ワンウェイベアリング54によりアイドリング状態が維持されるため、第2変速低段ギヤ53を介した第2変速出力部60への動力伝達は行われなくなる。
【0040】
また、前記第2変速入力部50は、
図2から
図4及び
図6に示されたように、第2変速入力軸52の一側端に連結されて設けられる第2変速高段クラッチ58と、第2変速高段クラッチ58の作動によって第2変速入力軸52と一体に回転駆動されるように設けられた第2変速高段ギヤ57と、をさらに含むことができる。
【0041】
このように構成された第2変速入力部50は、第2変速中段クラッチ56及び第2変速高段クラッチ58がクラッチ解除作動される場合、前進アイドルギヤ部40の駆動力が第2変速入力ギヤ51を介して第2変速入力軸52に伝達され、第2変速入力軸52の回転力が第2変速ワンウェイベアリング54により拘束(クラッチ)された第2変速低段ギヤ53を介して第2変速出力部60に伝達される。
【0042】
また、第2変速中段クラッチ56のクラッチ作動、及び第2変速高段クラッチのクラッチ解除作動の際には、前進アイドルギヤ部40の駆動力が第2変速入力ギヤ51及び第2変速入力軸52を介して第2変速中段ギヤ55に伝達され、第2変速中段ギヤ55を介して第2変速出力部に伝達される。
【0043】
また、第2変速中段クラッチ56のクラッチ解除作動、及び第2変速高段クラッチのクラッチ作動の際には、前進アイドルギヤ部40の駆動力が第2変速入力ギヤ51及び第2変速入力軸52を介して第2変速高段ギヤ57に伝達され、第2変速高段ギヤ57を介して第2変速出力部に伝達される。
【0044】
この際、前記第2変速低段ギヤ53と第2変速中段ギヤ55及び第2変速高段ギヤ57のギヤの歯数は、第2変速高段ギヤ57>第2変速中段ギヤ55>第2変速低段ギヤ53の順に決定されている。
【0045】
前記後進入力ギヤ部80は、
図1から
図4に示されたように、後進ギヤ入力軸82と、後進ギヤ入力軸82と一体に回転駆動され、第1変速後進ギヤ27にかみ合う後進入力ギヤ81と、後進ギヤ入力軸82と一体に回転駆動され、第2変速出力部の第2変速後進出力ギヤ66に連結される後進出力ギヤ83と、を含む。
【0046】
すなわち、前記後進入力ギヤ部80は、後進入力ギヤ81と後進出力ギヤ83が後進ギヤ入力軸82に一体に連結されて設けられ、後進入力ギヤ81は第1変速後進ギヤ27に、後進出力ギヤ83は第2変速後進出力ギヤ66にそれぞれかみ合うように連結されて設けられている。
【0047】
このように構成された後進入力ギヤ部80は、第1変速後進ギヤ27の回転駆動力が後進入力ギヤ81に伝達され、後進入力ギヤ81の回転によって後進ギヤ入力軸82が回転駆動され、前記後進ギヤ入力軸82の回転駆動によって後進出力ギヤ83が回転駆動され、第2変速出力部60の第2変速後進出力ギヤ66に後進のための回転駆動力が伝達されるようになっている。
【0048】
前記第2変速出力部60は、
図1から
図4、及び
図6に示されたように、第2変速出力軸64と、第2変速出力軸64と一体に回転駆動され、第2変速低段ギヤ53にかみ合う第2変速低段出力ギヤ61と、第2変速出力軸64と一体に回転駆動され、第2変速中段ギヤ55にかみ合う第2変速中段出力ギヤ62と、第2変速出力軸64と一体に回転駆動され、後進出力ギヤ83に連結される第2変速後進出力ギヤ66と、を含むように構成されることができる。
【0049】
すなわち、前記第2変速出力部60は、第2変速低段出力ギヤ61、第2変速中段出力ギヤ62が第2変速出力軸64に一体に連結されて設けられ、第2変速低段出力ギヤ61は第2変速低段ギヤ53に、第2変速中段出力ギヤ62は第2変速中段ギヤ55にそれぞれかみ合うように連結されて設けられている。
【0050】
また、前記第2変速出力部60は、第2変速入力部50に第2変速高段ギヤ57及び第2変速高段クラッチ58がさらに備えられる場合、第2変速出力軸64と一体に回転駆動されて第2変速高段ギヤ57にかみ合う第2変速高段出力ギヤ63をさらに含むことができる。
【0051】
このように構成された第2変速出力部60は、第2変速低段出力ギヤ61、または第2変速中段出力ギヤ62、または第2変速高段出力ギヤ63を介して第2変速入力部50から駆動力の伝達を受けて第2変速出力軸64が回転駆動されることになる。
【0052】
また、前記第2変速出力部60は、
図7に示されたように、第2変速中段出力ギヤ62が第2変速出力軸64に出力ワンウェイベアリング67により連結されるように設けられており、第2変速中段出力ギヤ62の一方向の回転駆動のみが第2変速出力軸64に伝達されるように構成されることができる。すなわち、前記出力ワンウェイベアリング67は、外部の動力源から動力が正方向に入力された時に、第2変速中段出力ギヤ62の回転力のみが第2変速出力軸64に伝達されるように設けられている。
【0053】
このように、第2変速中段出力ギヤ62が出力ワンウェイベアリング67により第2変速出力軸64に連結されて設けられる場合、第2変速中段クラッチ56から第2変速高段クラッチ58の作動による変速時に、クラッチの断絶による変速遅延感及びトルクの低下現象が発生しないだけでなく、変速による衝撃やスタンブルが低減される。
【0054】
すなわち、本発明は、第2変速中段クラッチ56のクラッチ解除作動の後、第2変速高段クラッチ58がクラッチ作動されて変速が行われ得るが、第2変速中段出力ギヤ62が出力ワンウェイベアリング67により第2変速出力軸64に正方向回転(前進方向)に対して拘束されるように連結されて設けられている場合、第2変速中段クラッチ56がクラッチ作動された状態で第2変速高段クラッチがクラッチ作動されても、高段への変速が行われることができる。
【0055】
このように、第2変速中段クラッチ56と第2変速高段クラッチ58が同時にクラッチ作動される場合、第2変速高段出力ギヤ63と一体に回転駆動される第2変速出力軸64の回転速度が、第2変速中段出力ギヤ62の回転速度よりも大きくなるため、出力ワンウェイベアリング67により第2変速中段出力ギヤ62は回転差によるアイドリング状態となり、第2変速中段出力ギヤ62の回転駆動力は第2変速出力軸64に伝達されなくなる。これにより、第2変速中段クラッチ56及び第2変速高段クラッチ58が同時にクラッチ作動されると、第2変速高段出力ギヤ63による第2変速出力軸64の出力のみが行われることになる。
【0056】
また、第2変速中段クラッチ56及び第2変速高段クラッチ58が同時にクラッチ作動された状態で、第2変速高段クラッチ58がクラッチ解除される場合、出力ワンウェイベアリング67の拘束力により第2変速中段出力ギヤ62が回転駆動され、第2変速出力軸64の出力が行われる。
【0057】
また、本発明は、
図1から
図4に示されたように、第2変速出力部60に連結されるようにディファレンシャルギヤアセンブリー70がさらに設けられることができる。このようにディファレンシャルギヤアセンブリー70がさらに設けられる場合、第2変速出力部60の第2変速出力軸64に第2変速出力ギヤ65が一体に回転駆動されるようにさらに設けられ、前記第2変速出力ギヤ65を介してディファレンシャルギヤアセンブリー70に駆動力が伝達されるように構成されることができる。
【0058】
一例として、第2変速出力ギヤ65にディファレンシャルギヤアセンブリー70のリングギヤ71が結合され、第2変速出力ギヤ65の回転駆動力がリングギヤ71を介してディファレンシャルギヤアセンブリー70に伝達されるように構成されることができる。すなわち、前記ディファレンシャルギヤアセンブリー70は、リングギヤ71により駆動力が伝達されるように構成されている。前記ディファレンシャルギヤアセンブリー70による動力の出力は公知の技術であるため、これについての詳細な説明は省略する。
【0059】
上記のように構成された本発明は、外部の動力源から動力が正方向(前進方向)に入力され、後進クラッチ28、第1変速高段クラッチ26、第2変速中段クラッチ56、第2変速高段クラッチ58がクラッチ解除されるように作動されると、第2変速出力軸64は最も高いギヤ比で出力が行われるように構成されている。
【0060】
また、本発明は、外部の動力源から動力が正方向(前進方向)に入力され、後進クラッチ28、第2変速中段クラッチ56がクラッチ解除された状態で、第1変速高段クラッチ26と第2変速高段クラッチ58のみがクラッチされるように作動されると、第1変速高段クラッチ58により第1変速入力軸22と第1変速高段ギヤ25がクラッチされて一体に回転駆動され、第2変速高段クラッチ58により第2変速入力軸52と第2変速高段ギヤ57がクラッチされて一体に回転駆動され、第2変速出力軸64は最も低いギヤ比で出力が行われるように構成されている。
【0061】
また、本発明は、外部の動力源から動力が正方向(前進方向)に入力され、後進クラッチ28及び第1変速高段クラッチ26がクラッチ解除された状態で、第2変速中段クラッチ56または第2変速高段クラッチ58がクラッチ作動される場合、第2変速出力軸64は、最も高いギヤ比と最も低いギヤ比の間に該当するギヤ比で出力が行われるように構成されている。
【0062】
また、本発明は、外部の動力源から動力が正方向(前進方向)に入力され、第1変速高段クラッチ26がクラッチ作動された状態で、第2変速中段クラッチ56がクラッチまたはクラッチ解除されるか、第2変速高段クラッチ58がクラッチまたはクラッチ解除されるように作動される場合、第2変速出力軸は、最も高いギヤ比と最も低いギヤ比の間に該当するギヤ比、または最も低いギヤ比で出力が行われるように構成されている。
【0063】
また、本発明は、外部の動力源から動力が逆方向(後進方向)に入力され、第1変速高段クラッチ26、第2変速中段クラッチ56、及び第2変速高段クラッチ58がクラッチ解除された状態で、後進クラッチ28がクラッチ作動される場合、後進クラッチ28により第1変速入力軸22と第1変速後進ギヤ27が一体に回転駆動され、第1変速後進ギヤ27の回転駆動力が後進入力ギヤ部80の後進入力ギヤ81、及び後進出力ギヤ83を介して第1変速後進出力ギヤ66に伝達され、第2変速出力軸64が回転駆動される。
【0064】
この際、前記第2変速出力軸64は、特定の回転方向(動力が正方向に入力される時の回転方向)の逆方向に回転駆動され、特定の回転方向(動力が正方向に入力される時の回転方向)時における最も高いギヤ比よりも高いギヤ比で出力が行われるように構成されている。
【0065】
このように、本発明は、第1変速高段クラッチ26、第2変速中段クラッチ56、第2変速高段クラッチ58、及び後進クラッチ28のクラッチまたはクラッチ解除によって、特定の回転方向(前進方向)に6個のギヤ比で変速(6段変速)が行われ、特定の回転方向に対する反対方向(後進方向)に1個のギヤ比で変速(1段後進変速)が行われる。
【0066】
上記のように構成された本発明は、電気モータまたはエンジンにより駆動される二輪、三輪、四輪などの移動手段に適用される。
【0067】
以下、本発明の作用効果を、
図2から
図7に示された前進6段及び後進1段の動力伝達装置を基準として表1から表7を参照して説明する。表1から表7に記載のギヤの歯数は一つの例示であり、本願発明の技術構成が必ずしもこれに限定されるものではない。
【0068】
【0069】
上記の表1には前進1段変速が例示されており、動力の伝達は、入力ベベルギヤ12a→出力ベベルギヤ12b→出力ギヤ15→第1変速入力ギヤ21→第1変速低段ギヤ23→第1変速低段出力ギヤ31→第1変速出力ギヤ34→前進アイドルギヤ41→第2変速入力ギヤ51→第2変速低段ギヤ53→第2変速低段出力ギヤ61→第2変速出力軸64→第2変速出力ギヤ65→ディファレンシャルギヤアセンブリー70の順に行われる。
【0070】
この際、前記第1変速低段ギヤ23は、第1変速ワンウェイベアリング24により第1変速入力軸22にクラッチ(拘束)されて一体に回転駆動され、第2変速低段ギヤ53は、第2変速ワンウェイベアリング54により第2変速入力軸52にクラッチ(拘束)されて一体に回転駆動される。
【0071】
また、第1変速高段クラッチ26、第2変速中段クラッチ56、第2変速高段クラッチ58、及び後進クラッチ28のクラッチ解除作動によって、第1変速高段ギヤ25、第2変速中段ギヤ55、第2変速高段ギヤ57、及び第1変速後進ギヤ27はアイドリング状態になり、前進1段変速が行われる。
【0072】
【0073】
上記の表2には前進2段変速が例示されており、動力の伝達は、入力ベベルギヤ12a→出力ベベルギヤ12b→出力ギヤ15→第1変速入力ギヤ21→第1変速高段クラッチ26のクラッチによる第1変速高段ギヤ25→第1変速高段出力ギヤ32→第1変速出力ギヤ34→前進アイドルギヤ41→第2変速入力ギヤ51→第2変速低段ギヤ53→第2変速低段出力ギヤ61→第2変速出力軸64→第2変速出力ギヤ65→ディファレンシャルギヤアセンブリー70に行われる。
【0074】
この際、前記第1変速低段ギヤ23は、第1変速ワンウェイベアリング24により第1変速入力軸22にクラッチ(拘束)されて一体に回転駆動されるが、第1変速高段出力ギヤ32と一体に回転駆動される第1変速低段出力ギヤ31による第1変速低段ギヤ23の回転速度が第1変速入力軸22の回転速度よりも大きくなるため、第1変速低段ギヤ23は回転差によりアイドリング状態になる。
【0075】
また、前記第2変速低段ギヤ53は、第2変速ワンウェイベアリング54により第2変速入力軸52にクラッチ(拘束)されて一体に回転駆動される。
【0076】
また、第2変速中段クラッチ56、第2変速高段クラッチ58、及び後進クラッチ28のクラッチ解除作動によって、第2変速中段ギヤ55、第2変速高段ギヤ57、及び第1変速後進ギヤ27はアイドリング状態になり、前進2段変速が行われる。
【0077】
【0078】
上記の表3には前進3段変速が例示されており、動力の伝達は、入力ベベルギヤ12a→出力ベベルギヤ12b→出力ギヤ15→第1変速入力ギヤ21→第1変速低段ギヤ23→第1変速低段出力ギヤ31→第1変速出力ギヤ34→前進アイドルギヤ41→第2変速入力ギヤ51→第2変速中段クラッチのクラッチによる第2変速中段ギヤ55→第2変速中段出力ギヤ62→第2変速出力軸64→第2変速出力ギヤ65→ディファレンシャルギヤアセンブリー70に動力が伝達される。
【0079】
この際、前記第2変速低段ギヤ53は、第2変速ワンウェイベアリング54により第2変速入力軸52にクラッチ(拘束)されて一体に回転駆動されるが、第2変速中段出力ギヤ62と一体に回転駆動される第2変速低段出力ギヤ61による第2変速低段ギヤ53の回転速度が第2変速入力軸52の回転速度よりも大きくなるため、第2変速低段ギヤ53は回転差によってアイドリング状態になる。
【0080】
また、前記第1変速低段ギヤ23は、第1変速ワンウェイベアリング24により第1変速入力軸22にクラッチ(拘束)されて一体に回転駆動される。
【0081】
また、第1変速高段クラッチ26、第2変速高段クラッチ58、及び後進クラッチ28のクラッチ解除作動によって、第1変速高段ギヤ25、第2変速高段ギヤ57、及び第1変速後進ギヤ27はアイドリング状態になり、前進3段変速が行われる。
【0082】
【0083】
上記の表4には前進4段変速が例示されており、動力の伝達は、入力ベベルギヤ12a→出力ベベルギヤ12b→出力ギヤ15→第1変速入力ギヤ21→第1変速低段ギヤ23→第1変速低段出力ギヤ31→第1変速出力ギヤ34→前進アイドルギヤ41→第2変速入力ギヤ51→第2変速高段クラッチ58のクラッチによる第2変速高段ギヤ57→第2変速高段出力ギヤ63→第2変速出力軸64→第2変速出力ギヤ65→ディファレンシャルギヤアセンブリー70に動力が伝達される。
【0084】
この際、前記第2変速低段ギヤ53は、第2変速ワンウェイベアリング54により第2変速入力軸52にクラッチ(拘束)されて一体に回転駆動されるが、第2変速高段出力ギヤ63と一体に回転駆動される第2変速低段出力ギヤ61による第2変速低段ギヤ53の回転速度が第2変速入力軸52の回転速度よりも大きくなるため、第2変速低段ギヤ53は回転差によってアイドリング状態になる。
【0085】
また、前記第1変速低段ギヤ23は、第1変速ワンウェイベアリング24により第1変速入力軸22にクラッチ(拘束)されて一体に回転駆動される。
【0086】
また、第1変速高段クラッチ26、第2変速中段クラッチ56、及び後進クラッチ28のクラッチ解除作動によって、第1変速高段ギヤ25、第2変速中段ギヤ55、及び第1変速後進ギヤ27はアイドリング状態になり、前進4段変速が行われる。
【0087】
【0088】
上記の表5には前進5段変速が例示されており、動力の伝達は、入力ベベルギヤ12a→出力ベベルギヤ12b→出力ギヤ15→第1変速入力ギヤ21→第1変速高段クラッチ26のクラッチ作動による第1変速高段ギヤ25→第1変速高段出力ギヤ32→第1変速出力ギヤ34→前進アイドルギヤ41→第2変速入力ギヤ51→第2変速中段クラッチ56のクラッチ作動による第2変速中段ギヤ55→第2変速中段出力ギヤ62→第2変速出力軸64→第2変速出力ギヤ65→ディファレンシャルギヤアセンブリー70に動力が伝達される。
【0089】
この際、前記第1変速低段ギヤ23は、第1変速ワンウェイベアリング24により第1変速入力軸22にクラッチ(拘束)されて一体に回転駆動されるが、第1変速高段出力ギヤ32と一体に回転駆動される第1変速低段出力ギヤ31による第1変速低段ギヤ23の回転速度が第1変速入力軸22の回転速度よりも大きくなるため、第1変速低段ギヤ23は回転差によってアイドリング状態になる。
【0090】
また、前記第2変速低段ギヤ53も、第2変速ワンウェイベアリング54により第2変速入力軸52にクラッチ(拘束)されて一体に回転駆動されるが、第2変速中段出力ギヤ62と一体に回転駆動される第2変速低段出力ギヤ61による第2変速低段ギヤ53の回転速度が第2変速入力軸52の回転速度よりも大きくなるため、第2変速低段ギヤ53は回転差によってアイドリング状態になる。
【0091】
また、第2変速高段クラッチ58及び後進クラッチ28のクラッチ解除作動によって、第2変速高段ギヤ57及び第1変速後進ギヤ27はアイドリング状態になり、前進5段変速が行われる。
【0092】
【0093】
上記の表6には前進6段変速が例示されており、動力の伝達は、入力ベベルギヤ12a→出力ベベルギヤ12b→出力ギヤ15→第1変速入力ギヤ21→第1変速高段クラッチ26のクラッチ作動による第1変速高段ギヤ25→第1変速高段出力ギヤ32→第1変速出力ギヤ34→前進アイドルギヤ41→第2変速入力ギヤ51→第2変速高段クラッチ58のクラッチ作動による第2変速高段ギヤ57→第2変速高段出力ギヤ63→第2変速出力軸64→第2変速出力ギヤ65→ディファレンシャルギヤアセンブリー70に動力が伝達される。
【0094】
この際、前記第1変速低段ギヤ23は、第1変速ワンウェイベアリング24により第1変速入力軸22にクラッチ(拘束)されて一体に回転駆動されるが、第1変速高段出力ギヤ32と一体に回転駆動される第1変速低段出力ギヤ31による第1変速低段ギヤ23の回転速度が第1変速入力軸22の回転速度よりも大きくなるため、第1変速低段ギヤ23は回転差によってアイドリング状態になる。
【0095】
また、前記第2変速低段ギヤ53も、第2変速ワンウェイベアリング54により第2変速入力軸52にクラッチ(拘束)されて一体に回転駆動されるが、第2変速高段出力ギヤ63と一体に回転駆動される第2変速低段出力ギヤ61による第2変速低段ギヤ53の回転速度が第2変速入力軸52の回転速度よりも大きくなるため、第2変速低段ギヤ53は回転差によってアイドリング状態になる。
【0096】
また、第2変速中段クラッチ56及び後進クラッチ28のクラッチ解除作動によって、第2変速中段ギヤ55及び第1変速後進ギヤ27はアイドリング状態になり、前進6段変速が行われる。
【0097】
【0098】
上記の表7には後進1段変速が例示されており、動力(逆方向駆動力)の伝達は、入力ベベルギヤ12a→出力ベベルギヤ12b→出力ギヤ15→第1変速入力ギヤ21→後進クラッチ28のクラッチ作動による第1変速後進ギヤ27→後進入力ギヤ81→後進出力ギヤ83→第2変速後進出力ギヤ66→第2変速出力軸64→第2変速出力ギヤ65→ディファレンシャルギヤアセンブリー70に動力が伝達される。
【0099】
この際、第1変速低段ギヤ23と第2変速低段ギヤ53は、第1変速入力軸の逆回転差によってアイドリング状態が維持され、第1変速高段クラッチ26、第2変速中段クラッチ56、及び第2変速高段クラッチ58のクラッチ解除作動によって、第1変速高段ギヤ25、第2変速中段ギヤ55、及び第2変速高段ギヤ57はアイドリング状態になり、後進1段変速が行われる。
【0100】
本発明は上述の特定の好ましい実施形態に限定されず、当該発明が属する技術分野において通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲で請求する本発明の要旨を逸脱することなく多様な変形実施が可能であることはいうまでもなく、その変更は特許請求の範囲に記載に属する。
【産業上の利用可能性】
【0101】
本発明の動力伝達装置は、第1変速入力部、第1変速出力部、後進入力ギヤ部、第2変速入力部、前進アイドルギヤ部、及び第2変速出力部を結合し、クラッチ作動によって前進または後進変速が迅速かつ円滑に行われるようにすることができる。
【0102】
また、本発明の動力伝達装置は、前進及び後進のための動力伝達が迅速かつ円滑に行われるように備えられることで、変速による騒音及び衝撃の発生を最小化し、変速感を向上させ、移動手段のエンジンルームなどの空間活用性を向上させることができるため、産業上利用が可能である。