(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-12
(45)【発行日】2023-01-20
(54)【発明の名称】テープフィーダ
(51)【国際特許分類】
H05K 13/02 20060101AFI20230113BHJP
【FI】
H05K13/02 B
(21)【出願番号】P 2020570299
(86)(22)【出願日】2019-02-07
(86)【国際出願番号】 JP2019004458
(87)【国際公開番号】W WO2020161868
(87)【国際公開日】2020-08-13
【審査請求日】2021-01-27
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000237271
【氏名又は名称】株式会社FUJI
(74)【代理人】
【識別番号】110000992
【氏名又は名称】弁理士法人ネクスト
(72)【発明者】
【氏名】遅 暁東
(72)【発明者】
【氏名】岡田 健人
【審査官】中田 誠二郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-125417(JP,A)
【文献】特開2018-073964(JP,A)
【文献】特開2018-190929(JP,A)
【文献】国際公開第2017/098630(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 13/00-13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
テープ化部品から部品が取り外された残テープを外部に排出する経路である搬送経路と、
前記残テープを押付部材の押付面に押さえ付けるテープ押付機構と、
前記テープ押付機構により押さえ付けられた状態の前記残テープを切断するテープ切断機構と
を備え、
前記押付部材の押付面は、前記残テープの搬送経路を区画する部材の区画
面より前記搬送経路から凹んだ位置に配置されるテープフィーダ。
【請求項2】
前記テープ切断機構は、
前記残テープの搬送方向が変換された後に、前記残テープを切断する請求項1に記載のテープフィーダ。
【請求項3】
前記テープ押付機構は、
前記残テープの搬送経路を区画する部材とは異なる押付部材に前記残テープを押さえ付ける請求項1または請求項2に記載のテープフィーダ。
【請求項4】
前記テープ押付機構と前記テープ切断機構とは、1つの駆動源により作動する請求項1ないし請求項3のいずれか1つに記載のテープフィーダ。
【請求項5】
前記テープ切断機構は、
前記テープ押付機構により押さえ付けられた状態の前記残テープを可動刃と固定刃とにより切断し、
前記押付部材の押付面と前記固定刃の刃先とが同一面上に配設される請求項1ないし請求項4のいずれか1つに記載のテープフィーダ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テープ化部品から部品が取り外された残テープを切断するテープ切断機構を備えるテープフィーダに関するものである。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献に記載されているように、テープ化部品から部品が取り外された残テープを切断するテープ切断機構の開発が進められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2008-235353号公報
【文献】特開平11-177279号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
残テープを適切に切断することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本明細書は、テープ化部品から部品が取り外された残テープを外部に排出する経路である搬送経路と、前記残テープを押付部材の押付面に押さえ付けるテープ押付機構と、前記テープ押付機構により押さえ付けられた状態の前記残テープを切断するテープ切断機構とを備え、前記押付部材の押付面は、前記残テープの搬送経路を区画する部材の区画面より前記搬送経路から凹んだ位置に配置されるテープフィーダ。
【発明の効果】
【0006】
本開示によれば、テープ押付機構により押さえ付けられた状態の残テープが切断される。これにより、残テープを適切に切断することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図7】残テープが切断される際の切断装置の作動図である。
【
図8】残テープが切断される際の切断装置の作動図である。
【
図9】残テープが切断される際の切断装置の作動図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明を実施するための形態として、本発明の実施例を、図を参照しつつ詳しく説明する。
【0009】
図1に、部品実装機10を示す。部品実装機10は、回路基材12に対する部品の装着作業を実行するための装置である。部品実装機10は、装置本体20、基材搬送保持装置22、部品装着装置24、マークカメラ26、パーツカメラ28、ばら部品供給装置30、部品供給装置32を備えている。なお、回路基材12として、回路基板、三次元構造の基材等が挙げられ、回路基板として、プリント配線板、プリント回路板等が挙げられる。
【0010】
装置本体20は、フレーム40と、そのフレーム40に上架されたビーム42とによって構成されている。基材搬送保持装置22は、フレーム40の前後方向の中央に配設されており、搬送装置50とクランプ装置52とを有している。搬送装置50は、回路基材12を搬送する装置であり、クランプ装置52は、回路基材12を保持する装置である。これにより、基材搬送保持装置22は、回路基材12を搬送するとともに、所定の位置において、回路基材12を固定的に保持する。なお、以下の説明において、回路基材12の搬送方向をX方向と称し、その方向に直角な水平の方向をY方向と称し、鉛直方向をZ方向と称する。つまり、部品実装機10の幅方向は、X方向であり、前後方向は、Y方向である。
【0011】
部品装着装置24は、ビーム42に配設されており、2台の作業ヘッド60,62と作業ヘッド移動装置64とを有している。各作業ヘッド60,62は、
図2に示すように、吸着ノズル66を有しており、吸着ノズル66によって部品を保持する。また、作業ヘッド移動装置64は、X方向移動装置68とY方向移動装置70とZ方向移動装置72とを有している。そして、X方向移動装置68とY方向移動装置70とによって、2台の作業ヘッド60,62は、一体的にフレーム40上の任意の位置に移動させられる。また、各作業ヘッド60,62は、スライダ74,76に着脱可能に装着されており、Z方向移動装置72は、スライダ74,76を個別に上下方向に移動させる。つまり、作業ヘッド60,62は、Z方向移動装置72によって、個別に上下方向に移動させられる。
【0012】
マークカメラ26は、下方を向いた状態でスライダ74に取り付けられており、作業ヘッド60とともに、X方向、Y方向およびZ方向に移動させられる。これにより、マークカメラ26は、フレーム40上の任意の位置を撮像する。また、パーツカメラ28は、
図1に示すように、フレーム40上の基材搬送保持装置22と部品供給装置32との間に、上を向いた状態で配設されている。これにより、パーツカメラ28は、作業ヘッド60、62の吸着ノズル66に保持された部品を撮像する。
【0013】
ばら部品供給装置30は、フレーム40の前後方向での一方側の端部に配設されている。ばら部品供給装置30は、ばらばらに散在された状態の複数の部品を整列させて、整列させた状態で部品を供給する装置である。つまり、任意の姿勢の複数の部品を、所定の姿勢に整列させて、所定の姿勢の部品を供給する装置である。
【0014】
部品供給装置32は、フレーム40の前後方向での他方側の端部に配設されている。部品供給装置32は、トレイ型部品供給装置96とフィーダ型部品供給装置98とを有している。トレイ型部品供給装置96は、トレイ上に載置された状態の部品を供給する装置である。フィーダ型部品供給装置98は、テープフィーダ100によって部品を供給する装置である。以下に、テープフィーダ100について詳しく説明する。なお、ばら部品供給装置30および、部品供給装置32によって供給される部品として、電子回路部品、太陽電池の構成部品、パワーモジュールの構成部品等が挙げられる。また、電子回路部品には、リードを有する部品,リードを有さない部品等が有る。
【0015】
テープフィーダ100は、
図3に示すように、フィーダ本体102を含み、そのフィーダ本体102において、フレーム40の端部に設けられた装着台(
図1参照)104に着脱可能に装着される。テープフィーダ100は、テープ化部品(
図4参照)106を供給位置に向って送り出し、供給位置においてテープ化部品106から電子部品を供給する。
【0016】
テープ化部品106は、
図4に示すように、キャリアテープ108と、電子部品110と、トップカバーテープ112とから構成されている。キャリアテープ108には、多数の収容凹部114および送り穴116が等ピッチで形成されており、収容凹部114に電子部品110が収容されている。そして、電子部品110が収容された収容凹部114が、トップカバーテープ112によって覆われている。
【0017】
また、テープフィーダ100は、
図3に示すように、テープリール120と送出装置122と剥離装置124と排出経路126と切断装置128とを有している。テープリール120は、フィーダ本体102の端部において回転可能に保持されており、テープリール120には、テープ化部品106が巻回されている。なお、以下の説明において、テープリール120が配設されている側を後方側と記載し、その後方側と反対側を前方側と記載する。そして、そのテープリール120からテープ化部品106が前方に向って引き出され、フィーダ本体102の上端面に延在されている。
【0018】
また、送出装置122は、フィーダ本体102の前方側の端部において、フィーダ本体102の内部に配設されている。送出装置122は、スプロケット(図示省略)を有しており、そのスプロケットは、フィーダ本体102の上端面に延在されているテープ化部品106の送り穴116に係合している。そして、スプロケットが電磁モータ(図示省略)の駆動により回転することで、テープ化部品106が、フィーダ本体102の上端面において、所定のピッチで供給位置130に向かって送り出される。なお、送出装置122によるテープ化部品106の送り出しピッチは、送り穴116の形成ピッチとされている。つまり、送り穴116に係合するスプロケットは、送り穴116の形成ピッチに相当する角度、回転することで、テープ化部品106が、送り穴116の形成ピッチと同じピッチ、供給位置130に向って送り出される。また、電子部品110が収容される収容凹部114の形成ピッチは、送り穴116の形成ピッチと同じである。このため、テープ化部品106が送出装置122により送り出される毎に、電子部品110が収容される収容凹部114が、供給位置130まで送り出される。
【0019】
また、フィーダ本体102の上端面に延在されているテープ化部品106では、供給位置130の後方側において、キャリアテープ108からトップカバーテープ112が剥がされており、その剥がされたトップカバーテープ112が剥離装置124によって引っ張られる。これにより、フィーダ本体102の上端面の供給位置130の後方側において、テープ化部品106の収容凹部114が順次、開放される。そして、開放された収容凹部114が、供給位置130まで送り出された際に、その収容凹部114から電子部品110が吸着ノズル66によって保持される。
【0020】
その供給位置130の前方には、排出経路126が配設されている。排出経路126は、トップカバーテープ112が剥離され、収容凹部114から電子部品110が取り出された状態のキャリアテープ(以下、「残テープ」と記載する)(
図7参照)132をテープフィーダ100の外部に排出するためのものである。排出経路126は、
図3及び
図5に示すように、第1ダクト136と第2ダクト138とにより構成されている。第1ダクト136は、供給位置130から前方に向って延び出した後に、下方に向って湾曲し、更に、後方に向って湾曲している。そして、供給位置130から第1ダクト136の内部に向って残テープ132が送り出される。つまり、供給位置130から送り出された残テープ132の搬送方向が、半円弧上に湾曲する第1ダクト136において、前方から後方に変換される。
【0021】
詳しくは、供給位置130から送り出された直後の残テープ132の搬送方向は、前方であるが、第1ダクト136において、まず、残テープ132の搬送に伴って、前方に向う斜め下方に変換された後に、下方に変換される。そして、更なる残テープ132の搬送に伴って、後方に向う斜め下方に変換される。この際、残テープ132が上下方向に反転する。つまり、供給位置130において、残テープ132は収容凹部114を上方に向けた姿勢とされているが、残テープ132の搬送方向が後方に変換されることで、
図7に示すように、残テープ132は収容凹部114を下方に向けた姿勢とされる。
【0022】
また、第2ダクト138は、
図3に示すように、第1ダクト136から連続し、フィーダ本体102の後方に向って傾斜しつつ直線状に延び出している。そして、第2ダクト138の後端において、フィーダ本体102の下端面に開口している。これにより、第1ダクト136から第2ダクト138に残テープ132が搬送され、第2ダクト138を経由して、残テープ132がテープフィーダ100の外部に搬出される。
【0023】
ただし、第2ダクト138での残テープ132の詰まり等を防止するべく、残テープ132を切断するための切断装置128が、第1ダクト136と第2ダクト138との間に配設されている。切断装置128は、
図5乃至
図7に示すように、ハウジング150とテープ切断機構152とテープ押付機構154とエアシリンダ156と変換機構158とにより構成されている。
【0024】
ハウジング150は、概して箱形状をなし、前方側の面と後方側の面とが開口している。そして、ハウジング150の開口する前方側の面に第1ダクト136が連結され、ハウジング150の開口する後方側の面に第2ダクト138が連結されている。これにより、第1ダクト136の内部とハウジング150の内部とが連通し、第2ダクト138の内部とハウジング150の内部とが連通する。つまり、第1ダクト136と第2ダクト138とが、切断装置128のハウジング150を介して連通する。このため、ハウジング150の内部が排出経路126の一部を構成しており、残テープ132が第1ダクト136から第2ダクト138に搬送される際に、ハウジング150の内部を通過する。
【0025】
また、テープ切断機構152は、可動ブロック160と可動刃162と固定刃164とを有している。可動ブロック160は、上下方向にスライド可能に、ハウジング150の1対の側面166により挟持されている。その可動ブロック160の上面には、可動刃162が固定的に立設されている。また、ハウジング150の上面168には、可動刃162と対向する位置に固定刃164がボルトにより着脱可能に締結されている。このため、固定刃164を容易に交換することが可能とされている。そして、可動ブロック160が上方に向ってスライドすることで、可動刃162が、可動ブロック160とともに上昇し、固定刃164と摺接する。このような構造により、テープ切断機構152は、排出経路126においてハウジング150の内部を通過する残テープ132を、可動刃162と固定刃164とにより切断する。
【0026】
また、テープ押付機構154は、押付ロッド170と固定ブロック172とを有している。押付ロッド170は、可動刃162の後方側において、可動刃162の延び出す方向と同じ方向に延び出すように、可動ブロック160の上面に立設されている。ただし、押付ロッド170は、可動ブロック160により上下方向にスライド可能に保持されており、コイルスプリング(図示省略)により上方に向って付勢されている。
【0027】
なお、コイルスプリングによる押付ロッド170の上方への付勢は、ストッパ(図示省略)により規制されている。この際、押付ロッド170の上方への付勢がストッパにより規制された状態で、押付ロッド170の上端は、
図7に示すように、可動刃162の上端より上方に位置する。ただし、押付ロッド170がコイルスプリングの弾性力に抗して下方に押さえられると、押付ロッド170の下端が可動ブロック160の内部に入り込み、押付ロッド170の上端が、
図9に示すように、可動刃162の上端より下方に位置する。
【0028】
また、固定ブロック172は、押付ロッド170の上端と対向するように、ハウジング150の上面168にボルトにより着脱可能に締結されている。このため、固定ブロック172を容易に交換することが可能とされている。そして、可動ブロック160が上方に向ってスライドすることで、押付ロッド170が、可動ブロック160とともに上昇し、押付ロッド170の先端が固定ブロック172の下面(以下、「押付面」と記載する)174に当接する。この際、押付ロッド170は、押付面174に対して直行した状態で当接する。このような構造により、テープ押付機構154は、排出経路126においてハウジング150の内部を通過する残テープ132を、押付ロッド170によって下方から上方に向って押し上げ、押付面174に対して押し付ける。
【0029】
なお、固定ブロック172の下面、つまり、押付面174は、固定刃164の下端と略同じ高さに位置している。また、押付面174は、排出経路126を区画する第1ダクト136及び第2ダクト138の天板の下面と略同じ高さ、若しくは、天板の下面より僅かに上方に位置している。つまり、固定ブロック172の押付面174と、固定刃164の下端と、第1ダクト136及び第2ダクト138の天板の下面とは、面一、若しくは、固定ブロック172の押付面174と、固定刃164の下端とが、第1ダクト136及び第2ダクト138の天板の下面より僅かに上方に向って凹んでいる。これにより、残テープ132が、ハウジング150の内部を経由して、第1ダクト136から第2ダクト138に搬送される際に、残テープ132が固定刃164及び固定ブロック172に引っかかることを防止することができる。
【0030】
また、エアシリンダ156は、
図5に示すように、ハウジング150の後方、かつ、第2ダクト138の下方において、前後方向に延びるように配設されている。そして、エアシリンダ156のピストンロッド176が、ハウジング150の下端に向って延び出しており、そのピストンロッド176の先端が、変換機構158を介して、可動ブロック160に連結されている。変換機構158は、ピストンロッド176の前後方向の移動を、可動ブロック160の上下方向の移動に変換する。これにより、エアシリンダ156が作動することで、可動ブロック160が上下方向に移動する。このような構造により、切断装置128では、テープ押付機構154により押さえ付けられた状態の残テープ132が、テープ切断機構152により切断される。
【0031】
詳しくは、供給位置130においてキャリアテープ108の収容凹部114から電子部品110が取り出された後に、その電子部品110が取り出されたキャリアテープ108、つまり、残テープ132が、第1ダクト136の内部に向って搬送される。そして、残テープ132の搬送に伴って、残テープ132の搬送方向が、第1ダクト136において、前方から後方に変換される。そして、第1ダクト136からハウジング150の内部に、残テープ132が搬送される。この際、第1ダクト136の内部において、残テープ132は湾曲した状態で搬送されていたが、ハウジング150の内部では、湾曲することなく、真っ直ぐな状態で搬送される。そして、残テープ132は、ハウジング150の内部を経由して、第2ダクト138の内部に向って搬送される。なお、残テープ132は、テープ化部品106が送出装置122により所定ピッチ、送り出される毎に、排出経路126において搬送される。
【0032】
また、残テープ132の搬送時に、切断装置128のエアシリンダ156は、
図7に示すように、収縮しており、可動ブロック160は下降している。このため、可動刃162及び押付ロッド170も、可動ブロック160とともに下降し、排出経路126から退出しているため、排出経路126内での残テープ132の搬送が担保される。そして、送出装置122によるテープ化部品106の送り出しが完了したタイミング、つまり、排出経路126での残テープ132の搬送が停止したタイミングで、エアシリンダ156が伸長する。
【0033】
この際、可動ブロック160は上昇し、可動刃162及び押付ロッド170も、可動ブロック160とともに上昇する。これにより、可動刃162及び押付ロッド170は、
図8に示すように、排出経路126の内部に進入し、押付ロッド170が、排出経路126においてハウジング150の内部を通過する重力で撓んでいる残テープ132を上方に向って押し上げる。そして、押付ロッド170が、残テープ132を押付面174に押し付ける。この際、残テープ132は、コイルスプリングの弾性力により押付面174に押し付けられる。
【0034】
続いて、エアシリンダ156が更に伸長することで、可動刃162が、可動ブロック160とともに更に上昇する。ただし、押付ロッド170は残テープ132を介して押付面174に当接しているため、可動ブロック160の上昇に伴って、押付ロッド170の下端が可動ブロック160の内部に入り込む。この際、
図9に示すように、可動刃162が、押付ロッド170の上端より上方に、押付ロッド170の延びる方向に沿って上昇し、押付ロッド170の前方側において、固定刃164と摺接する。これにより、可動刃162の後方側で押付ロッド170により押付面174に押し付けられた状態の残テープ132が、可動刃162と固定刃164とにより切断される。そして、残テープ132が可動刃162と固定刃164とにより切断されると、エアシリンダ156が収縮し、可動刃162及び押付ロッド170が下降する。これにより、切断された残テープ(以下、「残テープ片」と記載する)が排出経路126の内部を滑落し、テープフィーダ100の外部に排出される。
【0035】
このように、テープフィーダ100では、テープ押付機構154により押さえ付けられた状態の残テープ132が、テープ切断機構152により切断されることで、従来のテープフィーダと比較して、残テープ132を適切に切断することができる。 詳しくは、従来のテープフィーダでは、テープ押付機構154が設けられておらず、テープ切断機構152のみが配設されていた。このため、可動刃162の上昇に伴って、残テープ132が可動刃162により上方に向って押し上げられ、固定刃164と可動刃162とにより切断されていた。つまり、残テープ132は、可動刃162により押し上げられながら切断されるため、不安定な姿勢の残テープ132が、可動刃162と固定刃164とにより切断される。このため、切断時に、可動刃162と固定刃164との間に、残テープ132が挟まったりして、残テープ132を適切に切断することができない場合があった。また、残テープ132、つまり、キャリアテープ108がプラスチック製である場合には、不安定な姿勢で残テープ132が切断されると、残テープ132が適切に切断されず、破砕する場合があった。さらに言えば、残テープ132が切断されず、可動刃162と固定刃164とに挟まれて潰れる場合もあった。このように、残テープ132が適切に切断されない場合には、可動刃162と固定刃164との間に挟まった残テープ132,破砕した残テープ132,潰れた残テープ132などが、排出経路126に詰まる虞がある。
【0036】
一方、テープフィーダ100では、テープ押付機構154により押さえ付けられた状態の残テープ132が、テープ切断機構152により切断される。つまり、残テープ132が、テープ押付機構154により押さえ付けられた後に、テープ切断機構152により切断される。このため、テープ押付機構154により押さえ付けられた姿勢の残テープ132、つまり、安定的な姿勢に保持された残テープ132がテープ切断機構152により切断される。これにより、テープフィーダ100では、残テープ132を適切に切断すること可能となり、排出経路126での残テープ132の詰まりを防止することができる。
【0037】
また、可動刃162と押付ロッド170とは、同じ方向に向って延び出している。そして、押付ロッド170の延びる方向は、押付面174に対して直行している。このため、残テープ132に対して直行し、捩れのない状態で、押付ロッド170が残テープ132を押付面174に押し付けており、可動刃162が残テープ132に対して直行した状態で、残テープ132を切断する。これにより、残テープ132を適切に切断することができる。
【0038】
さらに言えば、押付面174は、固定刃164の下端と略同じ高さに位置している。このため、押付ロッド170により押付面174に押し付けられた残テープ132の底面と、固定刃164の下端とは同じ高さとなる。つまり、テープ化部品106の種類によって、キャリアテープの厚さが異なる場合、つまり、残テープ132の厚さが異なる場合であっても、押付面174に押し付けられた残テープ132の底面の高さにおいて、可動刃162と固定刃164とが摺接し、残テープ132が切断される。これにより、残テープ132の厚さが異なる場合であっても、一定の高さで残テープ132が切断され、残テープ132を安定的に切断することができる。
【0039】
また、切断装置128では、テープ切断機構152とテープ押付機構154とが、エアシリンダ156により連動して作動する。つまり、1つの駆動源により、テープ切断機構152とテープ押付機構154とが連動して作動する。これにより、構造の簡素化,コストの低減,制御の簡素化などを図ることができる。
【0040】
なお、切断装置128による残テープ132の切断タイミングは、送出装置122によるテープ化部品106の送り出しが完了したタイミングで行われるが、送出装置122により任意の回数、テープ化部品106が送り出される毎に、残テープ132が切断される。具体的には、例えば、収容凹部114が大きい場合、つまり、テーピングされた電子部品110が大きい場合などには、残テープ片を小さくするべく、送出装置122によりテープ化部品106が1回送り出される毎に、残テープ132が切断される。一方、例えば、収容凹部114が小さい場合、つまり、テーピングされた電子部品110が小さい場合などには、送出装置122によりテープ化部品106が複数回送り出される毎に、残テープ132が切断される。
【0041】
なお、テープフィーダ100は、テープフィーダの一例である。テープ化部品106は、テープ化部品の一例である。排出経路126は、搬送経路の一例である。残テープ132は、残テープの一例である。テープ切断機構152は、テープ切断機構の一例である。テープ押付機構154は、テープ押付機構の一例である。エアシリンダ156は、駆動源の一例である。固定ブロック172は、押付部材の一例である。
【0042】
また、本発明は、上記実施例に限定されるものではなく、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した種々の態様で実施することが可能である。具体的には、例えば、上記実施例では、押付ロッド170が残テープ132を下方から上方に向って押し付けているが、押付ロッドが残テープ132を上方から下方方に向って押し付けてもよい。つまり、固定ブロック172を押付ロッド170の下方に配設し、押付ロッド170の下降に伴って、押付ロッド170の下端が固定ブロック172に当接するように構成してもよい。
【0043】
また、上記実施例では、可動刃162及び固定刃164の後方側において、残テープ132が押付ロッド170により固定ブロック172に押し付けられているが、可動刃162及び固定刃164の前方側において、残テープ132が押付ロッド170により固定ブロック172に押し付けられてもよい。つまり、押付ロッド170を可動刃162の前方側に配設し、固定ブロック172を固定刃164の前方側に配設してもよい。
【0044】
また、上記実施例では、固定ブロック172が、残テープ132の排出経路であるダクトと別体物であるが、一体物であっても良い。
【0045】
また、上記実施例では、テープ化部品106から電子部品110を供給するテープフィーダ100が採用されているが、テープ化部品からラジアル部品、アキシャル部品などのリード部品を供給するテープフィーダを採用することも可能である。つまり、リードの有無にかかわらず、テープ化部品から部品を供給するテープフィーダを採用することが可能である。
【符号の説明】
【0046】
100:テープフィーダ 106:テープ化部品 126:排出経路 132:残テープ 152:テープ切断機構 154:テープ押付機構 156:エアシリンダ(駆動源) 172:固定ブロック(押付部材)