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特許7209451調理器具の制御方法、制御装置、記憶媒体、及び調理器具
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-12
(45)【発行日】2023-01-20
(54)【発明の名称】調理器具の制御方法、制御装置、記憶媒体、及び調理器具
(51)【国際特許分類】
   A47J 27/00 20060101AFI20230113BHJP
【FI】
A47J27/00 109L
A47J27/00 109M
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2021514461
(86)(22)【出願日】2018-10-29
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-09-02
(86)【国際出願番号】 CN2018112384
(87)【国際公開番号】W WO2019223238
(87)【国際公開日】2019-11-28
【審査請求日】2020-11-18
(31)【優先権主張番号】201810487403.1
(32)【優先日】2018-05-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】519372364
【氏名又は名称】格力電器(武漢)有限公司
【氏名又は名称原語表記】GREE ELECTRIC APPLIANCES(WUHAN)CO.,LTD
【住所又は居所原語表記】No.888,Dongfeng Avenue,Economic&Technology Development Zone,Wuhan,Hubei 430000,China
(73)【特許権者】
【識別番号】512306405
【氏名又は名称】グリー エレクトリック アプライアンシーズ インク オブ ズーハイ
【氏名又は名称原語表記】GREE ELECTRIC APPLIANCES, INC. OF ZHUHAI
【住所又は居所原語表記】Qianshan Jinji West Road,Zhuhai, Guangdong, 519070, P.R. CHINA
(74)【代理人】
【識別番号】110000291
【氏名又は名称】弁理士法人コスモス国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】梅 江
(72)【発明者】
【氏名】孔 進喜
(72)【発明者】
【氏名】陳 海鵬
(72)【発明者】
【氏名】王 暁香
(72)【発明者】
【氏名】宋 利
(72)【発明者】
【氏名】施 芬芬
【審査官】川口 聖司
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-070151(JP,A)
【文献】特開平10-262816(JP,A)
【文献】特表2017-524503(JP,A)
【文献】特開2015-217056(JP,A)
【文献】特開2009-136540(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 27/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
頂部、R部及び底部を備える調理器具を、R部の加熱時間X:底部の加熱時間Y:加熱停止時間Zの比であるデューティサイクル(X:Y:Z)で、R部と底部加熱する制御方法であって、
前記調理器具が第1の特定調理段階に入ったと判定するステップと、
前記R部を第1デューティサイクルで第1時間だけ加熱するステップと、
前記底部を前記第1デューティサイクルで第2時間だけ加熱するステップと、
前記底部の温度を第1所定温度範囲内に維持するステップと、を含み、
前記第1時間は前記第2時間よりも長いことにより、おこげのサクサク感を向上させることを特徴とする調理器具の制御方法。
【請求項2】
調理器具が第1の特定調理段階に入ったと判定する前に、
第2の特定調理段階に入ったと判定するステップをさらに含み、
前記第2の特定調理段階では、第2デューティサイクルで前記R部と前記底部を加熱し、前記第2デューティサイクルでは、前記R部の加熱時間X前記底部の加熱時間Y:前記加熱停止時間Zの比が第1所定閾値以上であることを特徴とする、請求項1に記載の制御方法。
【請求項3】
前記第2の特定調理段階では、
前記第2デューティサイクルで前記R部と前記底部を間欠的に加熱し、間欠的に加熱する過程に、2回の加熱周期の時間間隔が第2所定閾値以下であることを特徴とする、請求項2に記載の制御方法。
【請求項4】
前記第1の特定調理段階では、
前記調理器具が前記第2の特定調理段階に入った後に、前記底部の温度が第3所定閾値よりも大きいことが検出された場合、前記調理器具が前記第1の特定調理段階に入ったと判定するステップを含むことを特徴とする、請求項2に記載の制御方法。
【請求項5】
前記第1所定温度範囲は135℃~165℃であることを特徴とする、請求項1に記載の制御方法。
【請求項6】
前記第1時間及び/又は前記第2時間の範囲は10分~30分であることを特徴とする、請求項1に記載の制御方法。
【請求項7】
前記第2所定閾値は2秒であることを特徴とする、請求項3に記載の制御方法。
【請求項8】
前記第2の特定調理段階では、
前記調理器具が第3の特定調理段階に入った後に、前記底部の温度が第4所定閾値以上であることが検出された場合、前記調理器具が前記第2の特定調理段階に入ったと判定するステップを含み、前記第3の特定調理段階では、第3デューティサイクルで前記R部と前記底部を加熱し、前記底部の温度が前記第4所定閾値より小さいことを特徴とする、請求項2に記載の制御方法。
【請求項9】
前記調理器具が前記第2の特定調理段階に入ったと判定する前に、
前記調理器具が第4の特定調理段階に入った後に、前記底部の温度が第5所定閾値以上であり、かつ前記頂部の温度が第6所定閾値以上であることが検出された場合、前記調理器具が前記第3の特定調理段階に入ったと判定するステップをさらに含み、前記第4の特定調理段階では、第4デューティサイクルで前記底部を加熱し、前記底部の温度が前記第5所定閾値より小さい、又は、前記頂部の温度が前記第6所定閾値より小さいことを特徴とする、請求項8に記載の制御方法。
【請求項10】
頂部、R部及び底部を備える調理器具を、R部の加熱時間X:底部の加熱時間Y:加熱停止時間Zの比であるデューティサイクル(X:Y:Z)で、R部と底部加熱する制御装置であって、
前記調理器具が第1の特定調理段階に入ったと判定する判定モジュールと、
前記R部を第1所定デューティサイクルで第1時間だけ加熱し、前記底部を前記第1所定デューティサイクルで第2時間だけ加熱し、前記底部の温度を第1所定温度範囲内に維持する加熱モジュールと、を備え、
前記第1時間は前記第2時間よりも長いことにより、おこげのサクサク感を向上させることを特徴とする調理器具の制御装置。
【請求項11】
前記判定モジュールは、さらに、前記調理器具が第2の特定調理段階に入ったと判定し、前記第2の特定調理段階では、前記加熱モジュールは、第2デューティサイクルで前記R部と前記底部を加熱し、前記第2デューティサイクルでは、前記R部の加熱時間X前記底部の加熱時間Y:前記加熱停止時間Zの比が第1所定閾値以上であることを特徴とする、請求項10に記載
の制御装置。
【請求項12】
前記加熱モジュールは、さらに、前記第2デューティサイクルで前記R部と前記底部を間欠的に加熱し、間欠的に加熱する過程では、2回の加熱周期の時間間隔が第2所定閾値以下であることを特徴とする、請求項11に記載の制御装置。
【請求項13】
前記判定モジュールは、さらに、前記調理器具が前記第2の特定調理段階に入った後に、前記底部の温度が第3所定閾値よりも大きいことが検出された場合、前記調理器具が前記第1の特定調理段階に入ったと判定することを特徴とする、請求項11に記載の制御装置。
【請求項14】
コンピュータプログラムが記憶された記憶媒体であって、前記コンピュータプログラムが実行される際、前記請求項1~9のいずれか1項に記載の制御方法を実行するように構成されていることを特徴とする記憶媒体。
【請求項15】
コンピュータプログラムが記憶されたメモリと、前記コンピュータプログラムを実行することで請求項1~9のいずれか1項に記載の制御方法を実行するように構成されているプロセッサと、を備えることを特徴とする調理器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御の分野に関し、具体的には、調理器具の制御方法、制御装置、記憶媒体、及び調理器具に関する。
【背景技術】
【0002】
ボウ仔飯(ボウジャイファン)は土鍋飯としても知られており、広東、広西の漢民族の特有の美食であり、広東料理に属する。伝統的なボウ仔飯は、まず、米を1時間以上浸した後、土鍋に入れて適当な水量を加え、強火で米を70%熟成したら具を加え、弱火で炊き上げて、調理が終わったらソースを加えてかき混ぜるという作り方で作られる。
【0003】
炊飯器でボウ仔飯を作ることは、従来技術では手間がかかるという問題を解決し、多くの消費者の中で人気がある。ただし、現在の炊飯器で作られたボウ仔飯の品質は、伝統的なボウ仔飯と比べてまだ一定の差があり、主に、おこげは、サクサクの食感が強く、厚さが大きすぎるなどの点がある。
【0004】
上記問題に対しては、有効な解決策はまだ提案されていない。
【発明の概要】
【0005】
本発明の実施例は、関連技術における調理器具を用いて調理する食品の品質不良によるユーザーエクスペリエンスの低下という技術的課題を少なくとも解決する、調理器具の制御方法、制御装置、記憶媒体、及び調理器具を提供する。
【0006】
本発明の実施例の一態様によれば、
調理器具が第1の特定調理段階に入ったと判定するステップと、
調理器具のR部を第1の所定デューティサイクルで第1時間だけ加熱するステップと、
調理器具の底部を第1の所定デューティサイクルで第2時間だけ加熱し、底部の温度を第1の所定温度範囲内に維持するステップと、を含み、第1時間は第2時間よりも長い調理器具の制御方法を提供する。
【0007】
あるいは、調理器具が第1の特定調理段階に入ったと判定する前に、方法は、調理器具が第2の特定調理段階に入ったと判定するステップをさらに含み、第2の特定調理段階では、調理器具のR部と調理器具の底部を第1の所定閾値以上の第2の所定デューティサイクルで加熱する。
【0008】
あるいは、調理器具のR部と調理器具の底部を第2の所定デューティサイクルで加熱するステップは、
R部と底部を第2の所定デューティサイクルで間欠的に加熱するステップを含み、間欠的に加熱する過程では、2回の加熱周期の間隔時間が第2の所定閾値以下である。
【0009】
あるいは、調理器具が第1の特定調理段階に入ったと判定するステップは、
調理器具が第2の特定調理段階に入った後に、調理器具の底部の温度が第3の所定閾値よりも大きいことが検出された場合、調理器具が第1の特定調理段階に入ったと判定するステップを含む。
【0010】
あるいは、第1の所定温度範囲は135℃~165℃である。
【0011】
あるいは、第1時間及び/又は第2時間の値は10分~30分の範囲内である。
【0012】
あるいは、第2の所定閾値は2秒である。
【0013】
あるいは、調理器具が第2の特定調理段階に入ったと判定するステップは、
調理器具が第3の特定調理段階に入った後に、調理器具の底部の温度が第4の所定閾値以上であることが検出された場合、調理器具が第2の特定調理段階に入ったと判定するステップを含み、第3の特定調理段階では、調理器具のR部と調理器具の底部を第3の所定デューティサイクルで加熱し、調理器具の底部の温度が第4の所定閾値未満である。
【0014】
あるいは、調理器具が第2の特定調理段階に入ったと判定する前に、方法は、
調理器具が第4の特定調理段階に入った後に、調理器具の底部の温度が第5の所定閾値以上であり、かつ調理器具の頂部の温度が第6の所定閾値以上であることが検出された場合、調理器具が第3の特定調理段階に入ったと判定するステップをさらに含み、第4の特定調理段階では、調理器具の底部を第4の所定デューティサイクルで加熱し、調理器具の底部の温度が第5の所定閾値未満であるか、又は調理器具の頂部の温度が第6の所定閾値未満である。
【0015】
あるいは、本発明の実施例の一態様によれば、
調理器具が第1の特定調理段階に入ったと判定するように構成されている判定モジュールと、
調理器具のR部を第1の所定デューティサイクルで第1時間だけ加熱し、調理器具の底部を第1の所定デューティサイクルで第2時間だけ加熱し、底部の温度を第1の所定温度範囲内に維持するように構成されている加熱モジュールと、を備え、第1時間は第2時間よりも長い調理器具の制御装置を提供する。
【0016】
あるいは、判定モジュールは、さらに、調理器具が第2の特定調理段階に入ったと判定するように構成されており、第2の特定調理段階では、加熱モジュールは、調理器具のR部と調理器具の底部を第1の所定閾値以上の第2の所定デューティサイクルで加熱するように構成されている。
【0017】
あるいは、加熱モジュールは、さらに、R部と底部を第2の所定デューティサイクルで間欠的に加熱するように構成されており、間欠的に加熱する過程では、2回の加熱周期の間隔時間が第2の所定閾値以下である。
【0018】
あるいは、判定モジュールは、さらに、調理器具が第2の特定調理段階に入った後に、調理器具の底部の温度が第3の所定閾値よりも大きいことが検出された場合、調理器具が第1の特定調理段階に入ったと判定するように構成されている。
【0019】
本発明の実施例の一態様によれば、
コンピュータプログラムが記憶された記憶媒体であって、前記コンピュータプログラムは、実行されると、前記のいずれか1項に記載の方法を実行するように構成されている記憶媒体を提供する。
【0020】
本発明の実施例の一態様によれば、
コンピュータプログラムが記憶されたメモリと、前記コンピュータプログラムを実行することで上記のいずれか1項に記載の方法を実行するように構成されているプロセッサと、を備える調理器具を提供する。
【0021】
本発明の実施例では、調理器具が第1の特定調理段階に入ったときに、調理器具のR部と底部を一定のデューティサイクルで加熱し、また、R部を加熱する時間を底部を加熱する時間よりも長くし、底部の温度を第1の所定温度範囲内に維持することによって、熱が底部に過度に蓄積されないようにし、温度範囲が一定に維持されたときに、調理器具内の到達温度がより高くなり、調理器具内の食品の品質(たとえば、おこげのサクサク食感)が向上し、それにより、関連技術における調理器具を用いて調理する食品の品質不良によるユーザーエクスペリエンスの低下という技術的課題を解決する。
【0022】
ここで説明する図面は、本発明をさらに理解するために提供されるものであり、本出願の一部を構成し、本発明の例示的な実施例及びその説明は、本発明を説明するために使用され、本発明を不当に限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の実施例に係る調理器具の制御方法の流れの模式図である。
図2】本発明の実施例に係る底部コイルとR部コイルの位置の模式図である。
図3】本発明の好適な実施例に係る炊飯器によるボウ仔飯の料理の制御方法の流れの模式図である。
図4】本発明の実施例に係る調理器具の制御装置の構造ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
当業者が本発明の態様をよりよく理解できるように、以下、本発明の実施例の図面を参照しながら、本発明の実施例における技術案を明確かつ完全に説明するが、明らかに、説明されている実施例は本発明の一部の実施例に過ぎず、全ての実施例ではない。本発明の実施例に基づいて、当業者が創造的な努力を必要とせずに取得する他のすべての実施例は、本発明の特許範囲に属するものとする。
【0025】
なお、本発明の明細書及び特許請求の範囲、並びに上記図面における用語「第1の」、「第2の」などは、類似する対象を区別するためのものであり、特定の順序又は優先順位を説明するとは限らない。このように使用されるデータは、ここで説明する本発明の実施例がここで図示又は説明されたもの以外の順序で実施され得るように、適切な場合に交換され得ることが理解されるべきである。さらに、用語「備える」、「有する」、及び、それらの任意の変形はすべて、排他的でない包含を意図し、たとえば、一連のステップ又はユニットを含むプロセス、方法、システム、製品、又は機器は、明示的に記載されたステップ又はユニットに限定されるものではなく、明示的に記載されていない、又はこれらのプロセス、方法、製品、又は機器に固有の他のステップ又はユニットを含むことができる。
【0026】
本発明の実施例によれば、調理器具の制御方法の方法実施例を提供し、なお、図面のフローチャートに示されるステップは、コンピュータ実行可能命令のセットなどのコンピュータシステムにおいて実行することができ、また、フローチャートには論理的な順序が示されているが、場合によっては、ここでのものとは異なる順序で実行されてもよい。
【0027】
図1は、本発明の実施例に係る調理器具の制御方法の流れの模式図であり、図1に示すように、該方法は、
調理器具が第1の特定調理段階に入ったと判定するステップS102と、
調理器具のR部を第1の所定デューティサイクルで第1時間だけ加熱し、調理器具の底部を第1の所定デューティサイクルで第2時間だけ加熱し、底部の温度を第1の所定温度範囲内に維持するステップS104と、を含み、第1時間は第2時間よりも長い
【0028】
以上のステップでは、調理器具が第1の特定調理段階に入ったときに、調理器具のR部と底部を一定のデューティサイクルで加熱し、R部を加熱する時間を底部を加熱する時間よりも長くし、底部の温度を第1の所定温度範囲内に維持することによって、熱が底部に過度に蓄積しないようにし、温度範囲を一定に維持すると、調理器具内の到達温度がより高くなり、調理器具内の食品の品質(たとえば、おこげのサクサク食感)が向上し、それにより、関連技術における調理器具を用いて調理する食品の品質不良によるユーザーエクスペリエンスの低下という技術的課題を解決する。
【0029】
たとえば、上記食品が米飯である場合、上記第1の特定調理段階は、おこげ焼き段階であってもよく、この段階では、上記方式によりおこげのサクサク食感を向上させることができる。
【0030】
なお、デューティサイクルは、X:Y:Zとして表されてもよいが、これに限定されず、X:Y:Zのデューティサイクルで加熱することは、R部巻線をX秒加熱し、底部巻線をY秒加熱し、加熱をX秒停止するとされてもよく、具体的なX、Y、Zの値は必要に応じて設定することができ、たとえば、調理段階によってデューティサイクルが異なる可能性があるので、調理段階ごとに、異なるX、Y、Zの値を設定して、異なるデューティサイクルを実現することができる。
【0031】
なお、上記R部の加熱はR部の巻線(コイル)の加熱、底部の加熱は底部巻線(コイル)の加熱とされてもよいが、これに限定されず、R部コイルと底部コイルとの位置関係は、図2に示すようにすることができ、図2は、本発明の実施例に係る底部コイルとR部コイルの位置の模式図である。
【0032】
なお、上記第1の所定温度範囲は135℃~165℃であってもよいが、これに限定されない。上記第1時間及び/又は第2時間の値は、10分~30分の範囲であるが、これに限定されない。
【0033】
本発明の一実施例では、上記方法は、上記ステップS102の前に、調理器具が第2の特定調理段階に入ったと判定するステップをさらに含んでもよく、第2の特定調理段階では、調理器具のR部と調理器具の底部を第1の所定閾値以上の第2の所定デューティサイクルで加熱する。
【0034】
なお、調理器具のR部と底部を第2の所定デューティサイクルで加熱するステップは、R部と底部を第2の所定デューティサイクルで間欠的に加熱することであり、間欠的に加熱する過程では、2回の加熱周期の時間間隔が第2の所定閾値以下である。
【0035】
なお、上記第2の所定閾値は2秒であってもよい。
【0036】
なお、上記食品が米飯である場合、上記第2の特定調理段階は、おこげ焼きへの移行段階であってもよく、この段階では、大きなデューティサイクルで加熱し、間隔の小さな周期で加熱する方式を採用することで、米飯の底部の温度が急速に上昇し、最外層の米飯が急速に乾燥して、非常に薄いおこげ層を形成するようにする。
【0037】
上記調理器具の制御方式によれば、調理された食品の食感を良好にすることができ、特にボウ仔飯の場合、調理されたボウ仔飯の粒状感が強く、ベタツキがないだけでなく、形成されたおこげはサクサクしていて、厚みが小さく、伝統的なボウ仔飯と同等の食感を有する。
【0038】
本発明の一実施例では、調理器具が第1の特定調理段階に入ったと判定する際には、調理器具が第2の特定調理段階に入った後に、調理器具の底部の温度が第3の所定閾値よりも大きいことが検出された場合、調理器具が第1の特定調理段階に入ったと判定するようにしてもよい。
【0039】
なお、上記第3の所定閾値の範囲は135℃~165℃であってもよいが、これに限定されない。
【0040】
なお、調理器具が第2の特定調理段階に入ったと判定する際には、調理器具が第3の特定調理段階に入った後に、調理器具の底部の温度が第4の所定閾値以上であることが検出された場合、調理器具が第2の特定調理段階に入ったと判定し、第3の特定調理段階では、調理器具のR部と調理器具の底部を第3の所定デューティサイクルで加熱し、調理器具の底部の温度が第4の所定閾値未満であるようにしてもよい。
【0041】
なお、上記食品が米飯である場合、上記第3の特定調理段階は沸騰段階としてもよく、上記第4の所定閾値は100℃~120℃であってもよいが、これに限定されない。
【0042】
なお、調理器具が第2の特定調理段階に入ったと判定する前に、上記方法は、調理器具が第4の特定調理段階に入った後に、調理器具の底部の温度が第5の所定閾値以上であり、かつ調理器具の頂部の温度が第6の所定閾値以上であることが検出された場合、調理器具が第3の特定調理段階に入ったと判定するステップをさらに含んでもよく、第4の特定調理段階では、調理器具の底部を第4の所定デューティサイクルで加熱し、調理器具の底部の温度が第5の所定閾値未満であるか、調理器具の頂部の温度が第6の所定閾値未満である。
【0043】
なお、上記食品が米飯である場合、上記第4の特定調理段階は加熱昇温段階であってもよく、上記第5の所定閾値は80℃~95℃、前記第6の所定閾値は60℃~75℃であってもよいが、これに限定されない。
【0044】
本発明の実施例をよりよく理解するために、以下、好適な実施例を参照しながら本発明をさらに説明する。
【0045】
以下、上記調理器具が炊飯器であり、調理される食品がボウ仔飯である場合を例に説明するが、本発明の好適な実施例に係る技術案は以下の通りである。
【0046】
(1)沸騰段階終了後、強火でおこげ焼き段階に移行する。おこげ焼き工程への移行過程(上記実施例における第2の特定調理段階に相当)では、大デューティサイクルで加熱し、巻線を継続して加熱するか、又は1加熱周期内の停止時間を2s以下(上記第1の所定閾値に相当)とし、これにより、米飯の底部の温度が急速に上昇し、最外層の米飯が急速に乾燥して、非常に薄いおこげの層を形成することができる。
【0047】
(2)おこげ焼き段階(上記第1の特定調理段階に相当)では、底部温度を[K,L]区間の範囲内に維持し、デューティサイクルをX:Y:Zに維持し、ここで、XはR部の巻線加熱時間、Yは底部巻線の加熱時間、Zは加熱停止時間である。おこげ焼き維持過程
では、R部の巻線作動時間(上記第1時間に相当)を底部の巻線作動時間(上記第2時間に相当)よりも長くする(X>Y)ことにより、熱が底部に過度に蓄積しないようにし、維持温度範囲が一定である場合、鍋内の実際到達温度がより高くなり、おこげのサクサク食感が向上する。
【0048】
具体的には、図3は、本発明の好適な実施例に係る炊飯器によるボウ仔飯の料理の制御方法の流れの模式図であり、図3に示すように、この炊飯制御の流れは、主に加熱昇温段階、沸騰段階、焼きへの移行段階、おこげ焼き段階に分けられる。
【0049】
調理開始後、加熱昇温段階(上記第4の特定調理段階に相当)を開始し、巻線を好ましくは90~110℃の範囲の設定温度T1まで連続的に加熱し、次に、デューティサイクルX1:Y1:Z1(上記第4の所定デューティサイクルに相当)で加熱し、底部温度を設定温度範囲[T1,T2]に維持し、T1は維持温度下限であり、好ましい範囲が90~110℃であり、T2は維持温度上限であり、好ましい範囲が90~110℃である。TB≧T3、TT≧T4を同時に満たすと、沸騰段階に入り、TBは底部温度を表し、T3(上記第5の所定閾値に相当)の好ましい範囲は80~95℃であり、TTは頂部の温度を表し、T4(上記第6の所定閾値に相当)の好ましい範囲は60~75℃である。TB<T3又はTT<T4であると、デューティサイクルX1:Y1:Z1で、設定温度範囲[T1,T2]で加熱する。
【0050】
沸騰段階(上記第3の特定調理段階に相当)では、デューティサイクルX2:Y2:Z2(上記第3の所定デューティサイクルに相当)で加熱し、TB≧T5を満たすと、炊飯段階1に入り、ここで、TBは底部温度を表し、T5(上記第4の所定閾値に相当)の好ましい範囲は100℃~120℃であり、TB<T5であると、デューティサイクルX2:Y2:Z2で加熱する。
【0051】
焼きへの移行段階(上記第2の特定調理段階に相当)では、大デューティサイクルX3:Y3:Z3(上記第2の所定デューティサイクルに相当)で加熱し、ここで、Z3≦2(上記第2の所定閾値に相当)であり、底部温度TB>T6(上記第3の所定の閾値に相当)であると、こげ維持段階に入る。
【0052】
おこげ焼き段階(上記第1の特定調理段階に相当)では、デューティサイクルX4:Y4:Z4(上記第1の所定デューティサイクルに相当)で加熱し、ここで、X4>Y4であり、温度を設定温度範囲[T6,T7]で△t2維持する。ここで、T6は維持温度下限であり、好ましい範囲が135~165℃であり、T7は維持温度上限であり、好ましい範囲が135~165℃であり、△t1の好ましい範囲は10~30minである。おこげ焼き段階の維持時間が切れると、調理を終了する。
【0053】
なお、(1)デューティサイクルX:Y:Zで加熱するとは、R部巻線をX秒間加熱し、底部巻線をY秒間加熱し、加熱をZ秒間停止することをいう。(2)初めて温度区間動作段階に入り、温度区間を満たしていれば、まず、温度下限による加熱を行う。(3)温度区間の説明:温度区間の上限に達すると動作を停止し、温度区間の下限を下回ると動作を開始し、上限から下限に下がる過程では動作せず、下限から上限に上がる。
【0054】
上記方法によれば、ボウ仔飯の粒状感が強く、ベタツキがないだけでなく、パリパリとした厚さの薄いおこげが出来上がり、伝統的なボウ仔飯と同等の食感を得ることができる。米飯のおこげの品質を向上させて、その食感をサクサクして薄くし、おこげは崩壊しやすく、つながっておらず、炊飯時間を短縮させ、ユーザのエクスペリエンスを向上させる。
【0055】
本発明の実施例は、調理器具の制御装置も提供し、図4は、本発明の実施例に係る調理器具の制御装置の構造ブロック図である。図4に示すように、該装置は、調理器具が第1の特定調理段階に入ったと判定するように構成されている判定モジュール42と、上記決定モジュール42に接続され、調理器具のR部を第1の所定デューティサイクルで第1時間だけ加熱し、調理器具の底部を第1の所定デューティサイクルで第2時間だけ加熱し、底部の温度を第1の所定温度範囲内に維持するように構成されている加熱モジュール44と、を備え、第1時間は第2時間よりも長い
【0056】
上記装置によれば、調理器具が第1の特定調理段階に入ったときに、調理器具のR部と底部を一定のデューティサイクルで加熱し、R部を加熱する時間を底部を加熱する時間よりも長くし、底部の温度を第1の所定温度範囲内に維持することによって、熱が底部に過度に蓄積しないようにし、温度範囲を一定に維持すると、調理器具内の到達温度がより高くなり、調理器具内の食品の品質(たとえばおこげのサクサク食感)が向上し、それにより、関連技術における調理器具を用いて調理する食品の品質不良によるユーザーエクスペリエンスの低下という技術的課題を解決する。
【0057】
なお、上記第1の所定温度範囲は135℃~165℃であってもよいが、これに限定されない。上記第1時間及び/又は第2時間の値は、10分~30分範囲内であるが、これに限定されない。
【0058】
本発明の一実施例では、上記判定モジュール42は、さらに、調理器具が第2の特定調理段階に調理器具が入ったと判定するように構成されてもよく、第2の特定調理段階では、加熱モジュールは、調理器具のR部及び調理器具の底部を第1の所定閾値以上の第2の所定デューティサイクルで加熱するように構成されてもよい。
【0059】
なお、上記した第1の所定閾値は、実際の状況に応じて予め設定されていてもよいが、これに限定されない。
【0060】
なお、上記加熱モジュール44は、さらに、R部と底部を第2の所定デューティサイクルで間欠的に加熱するように構成されてもよく、間欠的に加熱する過程では、2回の加熱周期の時間間隔が第2の所定閾値以下である。
【0061】
なお、上記第2の所定閾値は2秒であってもよい。
【0062】
なお、上記食品が米飯である場合、上記第2の特定調理段階は、おこげ焼きへの移行段階であってもよく、この段階では、加熱モジュール44は、大デューティサイクルで加熱し、間隔の小さな周期で加熱する方式を採用することにより、米飯の底部の温度が急速に上昇し、最外層の米飯が急速に乾燥して、非常に薄いおこげの層を形成することができる。
【0063】
本発明の一実施例では、上記判定モジュール42は、さらに、調理器具が第2の特定調理段階に入った後に、調理器具の底部の温度が第3の所定閾値よりも大きいことが検出された場合、調理器具が第1の特定調理段階に入ったと判定するように構成されている。
【0064】
なお、上記第3所定閾値の範囲は135℃~165℃であってもよいが、これに限定されない。
【0065】
なお、上記判定モジュール42は、さらに、調理器具が第3の特定調理段階に入った後に、調理器具の底部の温度が第4の所定閾値以上であることが検出された場合、調理器具が第2の特定調理段階に入ったと判定するように構成されてもよく、第3特定調理段階では、調理器具のR部と調理器具の底部を第3の所定デューティサイクルで加熱し、調理器具の底部の温度が第4の所定閾値未満である。
【0066】
なお、上記食品が米飯である場合、上記第3の特定調理段階は沸騰段階であってもよく、上記第4の所定閾値は100℃~120℃であってもよいが、これに限定されない。
【0067】
なお、上記判定モジュール42は、さらに、調理器具が第4の特定調理段階に入った後に、調理器具の底部の温度が第5の所定閾値以上であり、かつ、調理器具の頂部の温度が第6の所定閾値以上であることが検出された場合、調理器具が第3の特定調理段階に入ったと判定するように構成されてもよく、第4の特定調理段階では、調理器具の底部を第4の所定デューティサイクルで加熱し、調理器具の底部の温度が第5の所定閾値未満であるか、調理器具の頂部の温度が第6の所定閾値未満である。
【0068】
なお、上記食品が米飯である場合、上記第4の特定調理段階は加熱昇温段階であってもよく、上記第5の所定閾値は80℃~95℃であってもよく、上記第6の所定閾値は60℃~75℃であってもよいが、これに限定されない。
【0069】
本発明の実施例は、コンピュータプログラムが記憶された記憶媒体であって、該コンピュータプログラムは、実行されると、上記のいずれか1項に記載の方法の実施例におけるステップを実行するように構成されている記憶媒体を提供する。
【0070】
あるいは、本実施例では、上記記憶媒体は、以下のステップを実行するコンピュータプログラムを記憶するように構成されていてもよい。
S1、調理器具が第1の特定調理段階に入ったと判定する。
S2、調理器具のR部を第1の所定デューティサイクルで第1時間だけ加熱し、調理器具の底部を第1の所定デューティサイクルで第2時間だけ加熱し、底部の温度を第1の所定温度範囲内に維持し、第1時間は第2時間よりも長い
【0071】
あるいは、記憶媒体は、以下のステップを実行するコンピュータプログラムを記憶するようにさらに構成されてもよい。
S1、調理器具のR部と調理器具の底部を第1の所定閾値以上の第2の所定デューティサイクルで加熱する第2の特定調理段階に入ったと判定する。
【0072】
あるいは、本実施例では、上記記憶媒体は、USBメモリ、読み取り専用メモリ(Read-Only Memory、略語ROM)、ランダムアクセスメモリ(Random Access Memory、略語RAM)、リムーバブルハードディスク、磁気ディスクや光ディスクなど、コンピュータプログラムを記憶することができる様々な媒体であってもよい。
【0073】
本発明の実施例は、また、コンピュータプログラムが記憶されたメモリと、コンピュータプログラムを実行することで上記方法のいずれかの実施例におけるステップを実行するように構成されているプロセッサとを備える、調理器具を提供する。
【0074】
あるいは、上記調理器具は、上記プロセッサに接続された送信装置と、上記プロセッサに接続された入出力装置とをさらに備えてもよい。
【0075】
あるいは、本実施例では、上記プロセッサは、コンピュータプログラムによって以下のステップを実行するように構成されてもよい。
S1、調理器具が第1の特定調理段階に入ったと判定する。
S2、調理器具のR部を第1の所定デューティサイクルで第1時間だけ加熱し、調理器具の底部を第1の所定デューティサイクルで第2時間だけ加熱し、底部の温度を第1の所定温度範囲内に維持し、第1時間は第2時間よりも長い
【0076】
あるいは、本実施例の具体例は、上記実施例及び好適な本実施形態に記載された例を参照することができるので、本実施例では詳しく説明しない。
【0077】
上記本発明の実施例の番号は単なる説明であり、実施例の優劣を表すものではない。
【0078】
本発明の上記実施例では、各実施例については重点をもって説明しており、ある実施例において詳細に説明されていない部分については、他の実施例の関連する説明を参照することができる。
【0079】
なお、本出願に係るいくつかの実施例では、開示された技術的内容は、他の形態で実現されてもよい。上記した装置の実施例は、例示的なものに過ぎず、たとえば、前記ユニットの分割は、論理的な機能分割であってもよく、実際に実現するときに、たとえば、複数のユニット又はコンポーネントを結合したり他のシステムに集積してもよいか、いくつかの特徴を無視してもよいか、又は実行しなくてもよいなど、、別の分割方法であってもよい。また、表示又は検討されている相互結合又は直接結合又は通信接続は、いくつかのインターフェース、ユニット、又はモジュールを介した間接的な結合又は通信接続であってもよく、電気的又は他の形態であってもよい。
【0080】
分離された構成要素として説明されたユニットは、物理的に分離されていてもよく、物理的に分離されていなくてもよく、ユニットとして表示された構成要素は、物理的なユニットであってもよく、すなわち、1箇所に配置されていてもよく、複数のユニットに分散されていてもよい。これらのユニットの一部又は全部は、本実施例の目的を達成するために、実際の必要に応じて選択されてもよい。
【0081】
また、本発明の各実施例における各機能ユニットは、1つの処理ユニットに集積されていてもよいし、各ユニットが個別に物理的に存在していてもよいし、複数のユニットが1つのユニットに集積されていてもよい。上記集積ユニットは、ハードウェアの形態で実現されてもよいし、ソフトウェア機能ユニットの形態で実現されてもよい。
【0082】
前記集積ユニットが、ソフトウェア機能ユニットの形態で実現され、独立した製品として販売又は使用される場合は、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体に記憶することができる。このような知見に基づいて、本発明の技術案の主旨、又は従来技術に貢献する部分、この技術案の全部若しくは一部はソフトウェア製品の形態で具現化され得、このコンピュータソフトウェア製品は、記憶媒体に記憶され、1台のコンピュータ機器(パーソナルコンピュータ、サーバ、又はネットワーク機器などであってもよい)に、本発明の様々な実施例に記載の方法のステップの全部又は一部を実行させるためのいくつかの命令を含む。一方、前記記憶媒体は、USBメモリ、読み出し専用メモリ(ROM、Read-Only Memory)、ランダムアクセスメモリ(RAM、Random Access Memory)、リムーバブルハードディスク、磁気ディスク、光ディスクなど、プログラムコードを記憶可能な各種媒体を含む。
【0083】
なお、以上の説明は、本発明の好適な実施例に過ぎず、当業者であれば、本発明の原理を逸脱することなく、いくつかの改良及び修正を行うこともでき、これら改良及び修正も本発明の保護範囲とみなされるべきである。
図1
図2
図3
図4