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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-12
(45)【発行日】2023-01-20
(54)【発明の名称】空気調和システム
(51)【国際特許分類】
   F24F 11/83 20180101AFI20230113BHJP
   F24F 3/14 20060101ALI20230113BHJP
   F24F 110/10 20180101ALN20230113BHJP
   F24F 110/20 20180101ALN20230113BHJP
【FI】
F24F11/83
F24F3/14
F24F110:10
F24F110:20
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2018141028
(22)【出願日】2018-07-27
(65)【公開番号】P2020016419
(43)【公開日】2020-01-30
【審査請求日】2021-07-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000236056
【氏名又は名称】三菱電機ビルソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001461
【氏名又は名称】弁理士法人きさ特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】橋川 貴大
(72)【発明者】
【氏名】濱田 守
(72)【発明者】
【氏名】堀江 勇人
(72)【発明者】
【氏名】浅見 哲平
(72)【発明者】
【氏名】中尾 藍
(72)【発明者】
【氏名】八森 沙希子
(72)【発明者】
【氏名】寺門 知香
【審査官】佐藤 正浩
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/081820(WO,A1)
【文献】特開2007-205604(JP,A)
【文献】特開2009-198021(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 11/83
F24F 3/14
F24F 110/10
F24F 110/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1熱交換器及び該第1熱交換器を収容する第1筐体を有し、前記第1熱交換器を流れる冷媒によって前記第1筐体に吸い込まれた空調対象空間の空気を冷却する室内機と、
第2熱交換器及び該第2熱交換器を収容する第2筐体を有し、前記第2熱交換器を流れる水によって前記第2筐体に吸い込まれた外気を冷却し、冷却された該外気を供給空気として前記空調対象空間に供給する外気供給機と、
前記空調対象空間の温度を検出する第1温度センサーと、
前記空調対象空間の絶対湿度を検出する第1湿度センサーと、
前記空調対象空間の設定温度及び設定湿度を記憶する制御装置と、
を備え、
前記空調対象空間の温度から前記設定温度を減算した値である温度差が第1温度差となっている状態を第1温度差状態とし、前記温度差が前記第1温度差よりも小さい第2温度差となっている状態を第2温度差状態とした場合、
前記第2温度差状態のときに前記第1熱交換器を流れる前記冷媒の温度は、前記第1温度差状態のときに前記第1熱交換器を流れる前記冷媒の温度よりも高くなり、
前記空調対象空間の絶対湿度から前記設定湿度を減算した値である湿度差が第1湿度差となっている状態を第1湿度差状態とし、前記湿度差が前記第1湿度差よりも小さい第2湿度差となっている状態を第2湿度差状態とした場合、
前記第2湿度差状態のときに前記外気供給機から供給される前記供給空気の温度は、前記第1湿度差状態のときに前記外気供給機から供給される前記供給空気の温度よりも高くなる構成であり、
前記外気供給機から供給される前記供給空気の絶対湿度の最大値が、前記設定湿度と同じである空気調和システム。
【請求項2】
第1熱交換器及び該第1熱交換器を収容する第1筐体を有し、前記第1熱交換器を流れる冷媒によって前記第1筐体に吸い込まれた空調対象空間の空気を冷却する室内機と、
第2熱交換器及び該第2熱交換器を収容する第2筐体を有し、前記第2熱交換器を流れる水によって前記第2筐体に吸い込まれた外気を冷却し、冷却された該外気を供給空気として前記空調対象空間に供給する外気供給機と、
前記空調対象空間の温度を検出する第1温度センサーと、
前記空調対象空間の絶対湿度を検出する第1湿度センサーと、
前記空調対象空間の設定温度及び設定湿度を記憶する制御装置と、
を備え、
前記空調対象空間の温度から前記設定温度を減算した値である温度差が第1温度差となっている状態を第1温度差状態とし、前記温度差が前記第1温度差よりも小さい第2温度差となっている状態を第2温度差状態とした場合、
前記第2温度差状態のときに前記第1熱交換器を流れる前記冷媒の温度は、前記第1温度差状態のときに前記第1熱交換器を流れる前記冷媒の温度よりも高くなり、
前記空調対象空間の絶対湿度から前記設定湿度を減算した値である湿度差が第1湿度差となっている状態を第1湿度差状態とし、前記湿度差が前記第1湿度差よりも小さい第2湿度差となっている状態を第2湿度差状態とした場合、
前記第2湿度差状態のときに前記外気供給機から供給される前記供給空気の温度は、前記第1湿度差状態のときに前記外気供給機から供給される前記供給空気の温度よりも高くなる構成であり、
前記温度差が第1閾値を第1規定時間以上上回っている場合、前記外気供給機から供給される前記供給空気の温度が下がる構成である空気調和システム。
【請求項3】
第1熱交換器及び該第1熱交換器を収容する第1筐体を有し、前記第1熱交換器を流れる冷媒によって前記第1筐体に吸い込まれた空調対象空間の空気を冷却する室内機と、
第2熱交換器及び該第2熱交換器を収容する第2筐体を有し、前記第2熱交換器を流れる水によって前記第2筐体に吸い込まれた外気を冷却し、冷却された該外気を供給空気として前記空調対象空間に供給する外気供給機と、
前記空調対象空間の温度を検出する第1温度センサーと、
前記空調対象空間の絶対湿度を検出する第1湿度センサーと、
前記空調対象空間の設定温度及び設定湿度を記憶する制御装置と、
を備え、
前記空調対象空間の温度から前記設定温度を減算した値である温度差が第1温度差となっている状態を第1温度差状態とし、前記温度差が前記第1温度差よりも小さい第2温度差となっている状態を第2温度差状態とした場合、
前記第2温度差状態のときに前記第1熱交換器を流れる前記冷媒の温度は、前記第1温度差状態のときに前記第1熱交換器を流れる前記冷媒の温度よりも高くなり、
前記空調対象空間の絶対湿度から前記設定湿度を減算した値である湿度差が第1湿度差となっている状態を第1湿度差状態とし、前記湿度差が前記第1湿度差よりも小さい第2湿度差となっている状態を第2湿度差状態とした場合、
前記第2湿度差状態のときに前記外気供給機から供給される前記供給空気の温度は、前記第1湿度差状態のときに前記外気供給機から供給される前記供給空気の温度よりも高くなる構成であり、
前記湿度差が第2閾値を第2規定時間以上上回っている場合、前記第1熱交換器を流れる前記冷媒の温度が下がる構成である空気調和システム。
【請求項4】
前記外気の温度を検出する第2温度センサーと、
前記外気の絶対湿度を検出する第2湿度センサーと、
を備え、
前記外気の温度が第1温度となっている状態を第1温度状態とし、前記外気の温度が前記第1温度よりも低い第2温度となっている状態を第2温度状態とした場合、
前記第2温度状態のときに前記第2熱交換器を流れる前記水の温度は、前記第1温度状態のときに前記第2熱交換器を流れる前記水の温度よりも高くなり、
前記外気の絶対湿度が第1絶対湿度となっている状態を第1湿度状態とし、前記外気の絶対湿度が前記第1絶対湿度よりも低い第2絶対湿度となっている状態を第2湿度状態とした場合、
前記第2湿度状態のときに前記第2熱交換器を流れる前記水の温度は、前記第1湿度状態のときに前記第2熱交換器を流れる前記水の温度よりも高くなる構成である請求項1~請求項3のいずれか一項に記載の空気調和システム。
【請求項5】
前記第2熱交換器に流れる前記水の流量を調節する流量調節機構を備え、
前記第2熱交換器を流れる前記水の流量と、前記第2熱交換器を流れる前記水の温度とを変更することにより、前記外気供給機から供給される前記供給空気の温度が変更される構成である請求項1~請求項4のいずれか一項に記載の空気調和システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、部屋内等の空調対象空間に外気を供給する外気供給機を備えた空気調和システムに関する。
【背景技術】
【0002】
空気調和機には、直膨式空気調和機と間膨式空気調和機とがある。直膨式空気調和機と間膨式空気調和機とは、空調対象空間に供給する空気の空気調和方式が異なる。直膨式空気調和機では、空調対象空間に供給する空気を加熱又は冷却する熱交換器に、冷媒が供給される。そして、直膨式空気調和機では、この熱交換器に供給された冷媒によって、空調対象空間に供給する空気が冷却又は加熱される。一方、間膨式空気調和機では、熱源機内で、水が冷媒によって加熱又は冷却される。そして、間膨式空気調和機では、空調対象空間に供給する空気を加熱又は冷却する熱交換器に、当該水が供給される。そして、間膨式空気調和機では、この熱交換器に供給された水によって、空調対象空間に供給する空気が冷却又は加熱される。
【0003】
現在、中小規模のビル等においては、ビル用マルチエアコン等の直膨式空調機が多く採用されている。しかしながら、フロンの排出を抑制するという観点から、冷媒総量の少ない間膨式空気調和機が見直されている。このため、今後、直膨式空調機及び間膨式空気調和機の双方を用いた空気調和システムの普及が想定される。
【0004】
ここで、室内機内に吸い込まれた空調対象空間の空気を加熱又は冷却し、加熱又は冷却された該空気を空調対象空間に戻す空気調和機は、内調機と呼ばれる。また、換気のために外気供給機内に吸い込まれた外気を加熱又は冷却し、加熱又は冷却された該外気を空調対象空間に戻す空気調和機は、外調機と呼ばれる。内調機に直膨式空気調和機を使用し、外調機に間膨式空気調和機を使用する建物が増えている。
【0005】
従来、内調機である直膨式空気調和機と外調機である間膨式空気調和機とは、互いに独立して制御されている。このため、内調機と外調機とを合わせた空調システム全体としての消費電力には、削減の余地があると言える。
【0006】
このため、内調機である直膨式空気調和機と外調機である間膨式空気調和機とを備えた従来の空気調和システムには、消費電力の低減を図った空気調和システムも提案されている(特許文献1参照)。詳しくは、特許文献1に記載の空気調和システムは、快適性指標の範囲毎に対応づけた複数の最適負荷分配関数が生成される。また、特許文献1に記載の空気調和システムは、複数の最適負荷分配関数のうちから、ユーザーが設定した快適性指標に基づいていずれかの最適負荷分配関数を選択する。そして、特許文献1に記載の空気調和システムは、選択された最適負荷分配関数に基づいて、空気調和システム全体としての消費電力が低減されるように、内調機の空調負荷及び外調機の空調負荷を決定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特許第5951526号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1に記載の空気調和システムは、内調機及び外調機のそれぞれをモデル化し、事前のシミュレーションによって最適負荷分配関数を作成しておく必要がある。このため、特許文献1に記載の空気調和システムは、製造する際に手間がかかってしまうという課題があった。
【0009】
本発明は、上述の課題を解決するためになされたものであり、製造する際に手間がかかることを抑制でき、消費電力を抑制することができる空気調和システムを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る空気調和システムは、第1熱交換器及び該第1熱交換器を収容する第1筐体を有し、前記第1熱交換器を流れる冷媒によって前記第1筐体に吸い込まれた空調対象空間の空気を冷却する室内機と、第2熱交換器及び該第2熱交換器を収容する第2筐体を有し、前記第2熱交換器を流れる水によって前記第2筐体に吸い込まれた外気を冷却し、冷却された該外気を供給空気として前記空調対象空間に供給する外気供給機と、前記空調対象空間の温度を検出する第1温度センサーと、前記空調対象空間の絶対湿度を検出する第1湿度センサーと、前記空調対象空間の設定温度及び設定湿度を記憶する制御装置と、を備え、前記空調対象空間の温度から前記設定温度を減算した値である温度差が第1温度差となっている状態を第1温度差状態とし、前記温度差が前記第1温度差よりも小さい第2温度差となっている状態を第2温度差状態とした場合、前記第2温度差状態のときに前記第1熱交換器を流れる前記冷媒の温度は、前記第1温度差状態のときに前記第1熱交換器を流れる前記冷媒の温度よりも高くなり、前記空調対象空間の絶対湿度から前記設定湿度を減算した値である湿度差が第1湿度差となっている状態を第1湿度差状態とし、前記湿度差が前記第1湿度差よりも小さい第2湿度差となっている状態を第2湿度差状態とした場合、前記第2湿度差状態のときに前記外気供給機から供給される前記供給空気の温度は、前記第1湿度差状態のときに前記外気供給機から供給される前記供給空気の温度よりも高くなる構成であり、前記外気供給機から供給される前記供給空気の絶対湿度の最大値が、前記設定湿度と同じである
【発明の効果】
【0011】
内調機は主に顕熱負荷を処理し、外調機は主に潜熱負荷を処理する。内調機の室内機の第1熱交換器を流れる冷媒の温度、及び外調機の外気供給機から供給される空気の温度を本発明のように変化させることにより、内調機の空調負荷を顕熱負荷に応じた負荷にでき、外調機の空調負荷を潜熱負荷に応じた負荷にできる。このため、本発明に係る空気調和システムは、空気調和システム全体としての消費電力を低減することができる。また、本発明に係る空気調和システムは、事前の複雑なモデル化作業及びシミュレーション作業を必要としない。このため、本発明に係る空気調和システムは、製造する際に手間がかかることも抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施の形態1に係る空気調和システムの概略構成を示す図である。
図2】本発明の実施の形態1に係る空気調和システムの内調機の冷媒回路を示す図である。
図3】本発明の実施の形態1に係る空気調和システムの外調機の冷媒回路及び水回路を示す図である。
図4】本発明の実施の形態1に係る空気調和システムにおける外調機の外気供給機の概略構成を示す図である。
図5】本発明の実施の形態1に係る空気調和システムにおける、第1熱交換器を流れる冷媒の目標蒸発温度の決定方法を説明するための図である。
図6】本発明の実施の形態1に係る空気調和システムにおける、外気供給機から部屋内へ供給される供給空気の目標供給空気温度の決定方法を説明するための図である。
図7】本発明の実施の形態1に係る空気調和システムにおける、第2熱交換器を流れる水の目標水温の決定方法を説明するための空気線図である。
図8】本発明の実施の形態1に係る空気調和システムにおける、第2熱交換器を流れる水の目標水温の算出方法を説明するための空気線図である。
図9】本発明の実施の形態1に係る空気調和システムが冷房除湿運転を行うときの制御フローを説明するための図である。
図10】本発明の実施の形態2に係る空気調和システムの概略構成を示す図である。
図11】本発明の実施の形態2に係る空気調和システムにおける外調機の外気供給機の概略構成を示す図である。
図12】本発明の実施の形態2に係る空気調和システムにおける、外気供給機から部屋内へ供給される供給空気の目標供給空気温度の上限値の決定方法を説明するための空気線図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、各実施の形態において、本発明に係る空気調和システムの一例について説明する。なお、本発明に係る空気調和システムの具体的な構成は、以下の各実施の形態で示される構成に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で変更可能である。
【0014】
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1に係る空気調和システムの概略構成を示す図である。図2は、本発明の実施の形態1に係る空気調和システムの内調機の冷媒回路を示す図である。図3は、本発明の実施の形態1に係る空気調和システムの外調機の冷媒回路及び水回路を示す図である。図4は、本発明の実施の形態1に係る空気調和システムにおける外調機の外気供給機の概略構成を示す図である。
【0015】
図1に示すように、本実施の形態1に係る空気調和システム100は、内調機1及び外調機2を備えている。
【0016】
内調機1は、室外機10及び室内機11を備えている。室外機10は、屋外に配置されている。室内機11は、内部が空調対象空間となる部屋101に設けられている。室内機11は、部屋101内の空気を吸い込んで冷却し、冷却された空気を部屋101内へ吹き出すものである。室外機10と室内機11とは、冷媒配管18で接続されている。なお、図1で示す室外機10及び室内機11の数は、一例である。例えば、図1では、1つの部屋101に複数の室内機11が設けられているが、1つの部屋101に1つの室内機11が設けられていてもよい。また例えば、1つの室内機11で複数の部屋101を冷却してもよい。また、図1では、内調機1は複数の室外機10を備えているが、内調機1は1つの室外機10のみを備えていてもよい。すなわち、1つの室外機10に全ての室内機11が接続されていてもよい。
【0017】
外調機2は、熱源機の一例であるチラー30と、例えばエアーハンドリングユニットである外気供給機31とを備えている。チラー30は、屋外に配置されている。外気供給機31は、外気を取り込み、該外気を冷却して部屋101内に供給するものである。チラー30と外気供給機31とは、水配管46で接続されている。なお、図1に示すチラー30及び外気供給機31の数は、一例である。例えば、本実施の形態1では、1つの外気供給機31から、ダクト等を介して複数の部屋101に外気が供給される構成となっている。これに限らず、部屋101毎に外気供給機31を設ける等、外調機2が複数の外気供給機31を備えていてもよい。また例えば、複数の外気供給機31のそれぞれに1つずつのチラー30を接続する等、外調機2が複数のチラー30を備えていてもよい。
【0018】
図2に示すように、内調機1は、冷媒回路12を備えている。冷媒回路12の各構成要素は、室外機10又は室内機11に収容されている。詳しくは、冷媒回路12は、構成要素として、圧縮機13、室外熱交換器14、膨張弁15、及び、室内熱交換器である第1熱交換器16を備えている。そして、これらの構成要素が冷媒配管で接続されて、冷媒回路12が構成されている。すなわち、室外機10に収容された冷媒回路12の構成要素と、室内機11に収容された冷媒回路12の構成要素とを接続する冷媒配管が、図1に示す冷媒配管18となる。
【0019】
圧縮機13は、冷媒を圧縮するものである。室外熱交換器14は、凝縮器として機能する熱交換器である。室外熱交換器14は、圧縮機13の吐出口と接続されている。また、室外熱交換器14は、膨張弁15を介して第1熱交換器16とも接続されている。圧縮機13及び室外熱交換器14は、室外機10に収容されている。また、室外機10には、室外機ファン19も収容されている。室外機ファン19は、室外熱交換器14に、該室外熱交換器14を流れる冷媒の熱交換対象である外気を供給するものである。
【0020】
膨張弁15は、冷媒を膨張させて減圧させるものである。第1熱交換器16は、蒸発器として機能する熱交換器である。第1熱交換器16は、上述のように、膨張弁15を介して室外熱交換器14に接続されている。また、第1熱交換器16は、圧縮機13の吸入口と接続されている。膨張弁15及び第1熱交換器16は、室内機11の第1筐体11aに収容されている。また、室内機11の第1筐体11aには、室内機ファン20も収容されている。すなわち、第1筐体11a内で室内機ファン20が回転すると、第1筐体11aに、部屋101内の空気が吸い込まれる。そして、第1筐体11aに吸い込まれた空気は、第1熱交換器16を流れる冷媒によって冷却され、部屋101内へ吹き出される。なお、膨張弁15を室外機10に収容してもよい。
【0021】
ここで、本実施の形態1では、1つの冷媒回路12に、2つの室内機11を備えている。このため、冷媒回路12には、膨張弁15及び第1熱交換器16の組が2つ設けられている。そして、膨張弁15及び第1熱交換器16の組のそれぞれは、室外熱交換器14と圧縮機13の吸入口との間に、並列に接続されている。
【0022】
また、図2に示すように、本実施の形態1に係る冷媒回路12は、室内機11において冷房運転及び暖房運転の双方を可能とするため、圧縮機13の吐出側に設けられた四方弁17を備えている。この四方弁17は、圧縮機13の吐出口の接続先を、切り替えるものである。詳しくは、圧縮機13の吐出口が室外熱交換器14と接続される状態に四方弁17の流路がなっている場合、圧縮機13の吸入口は、第1熱交換器16と接続される。この場合、室外熱交換器14は凝縮器として機能し、第1熱交換器16は蒸発器として機能する。また、圧縮機13の吐出口が第1熱交換器16と接続される状態に四方弁17の流路がなっている場合、圧縮機13の吸入口は、室外熱交換器14と接続される。この場合、室外熱交換器14は蒸発器として機能し、第1熱交換器16は凝縮器として機能する。四方弁17は、室外機10に収容されている。なお、第1熱交換器16を凝縮器として機能させる必要が無い場合、四方弁17を設ける必要はない。
【0023】
図3に示すように、外調機2は、冷媒回路32及び水回路40を備えている。冷媒回路32の各構成要素は、チラー30に収容されている。水回路40の構成要素は、チラー30又は外気供給機31に収容されている。
【0024】
冷媒回路32は、構成要素として、圧縮機33、冷媒-空気熱交換器34、膨張弁35、及び水-冷媒熱交換器36を備えている。すなわち、圧縮機33、冷媒-空気熱交換器34、膨張弁35、及び水-冷媒熱交換器36の冷媒流路が冷媒配管で接続されて、冷媒回路32が構成されている。圧縮機33、冷媒-空気熱交換器34、膨張弁35、及び水-冷媒熱交換器36は、上述のように、チラー30に収容されている。また、チラー30には、チラーファン38も収容されている。
【0025】
圧縮機33は、冷媒を圧縮するものである。冷媒-空気熱交換器34は、凝縮器として機能する熱交換器である。具体的には、冷媒-空気熱交換器34を流れる冷媒は、チラーファン38から供給された外気によって冷却され、凝縮する。冷媒-空気熱交換器34は、圧縮機33の吐出口と接続されている。また、冷媒-空気熱交換器34は、膨張弁35を介して、水-冷媒熱交換器36の冷媒流路とも接続されている。膨張弁35は、冷媒を膨張させて減圧させるものである。
【0026】
水-冷媒熱交換器36は、蒸発器として機能する熱交換器である。具体的には、水-冷媒熱交換器36の冷媒流路を流れる冷媒は、水-冷媒熱交換器36の水流路を流れる冷媒を冷却する際に加熱され、蒸発する。水-冷媒熱交換器36の冷媒流路は、上述のように、膨張弁35を介して冷媒-空気熱交換器34に接続されている。また、水-冷媒熱交換器36の冷媒流路は、圧縮機33の吸入口と接続されている。ここで、後述のように、水-冷媒熱交換器36の水流路には、水回路40を循環する水が流れる。このため、水-冷媒熱交換器36が蒸発器として機能する場合、水-冷媒熱交換器36で冷却された水によって、部屋101内に供給される外気が冷却されることとなる。
【0027】
なお、本実施の形態1に係る冷媒回路32は、圧縮機33の吐出側に設けられた四方弁37を備えている。この四方弁37は、圧縮機33の吐出口の接続先を、切り替えるものである。詳しくは、圧縮機33の吐出口が冷媒-空気熱交換器34と接続される状態に四方弁37の流路がなっている場合、圧縮機33の吸入口は水-冷媒熱交換器36の冷媒流路と接続される。この場合、冷媒-空気熱交換器34は凝縮器として機能し、は水-冷媒熱交換器36は蒸発器として機能する。また、圧縮機33の吐出口が水-冷媒熱交換器36の冷媒流路と接続される状態に四方弁37の流路がなっている場合、圧縮機33の吸入口は、冷媒-空気熱交換器34と接続される。この場合、冷媒-空気熱交換器34は蒸発器として機能し、水-冷媒熱交換器36は凝縮器として機能する。この場合、水-冷媒熱交換器36で加熱された水によって、部屋101内に供給される外気が加熱されることとなる。なお、部屋101内に供給される外気を加熱する必要が無い場合、四方弁37を設ける必要はない。
【0028】
水回路40は、構成要素として、ポンプ41、水-冷媒熱交換器36及び第2熱交換器42を備えている。そして、ポンプ41、水-冷媒熱交換器36の水流路、及び第2熱交換器42が水配管で接続されて、水回路40が構成されている。上述のように、水回路40の構成要素は、チラー30又は外気供給機31に収容されている。このため、チラー30に収容された水回路40の構成要素と、外気供給機31に収容された水回路40の構成要素とを接続する水配管が、図1に示す水配管46となる。
【0029】
ポンプ41は、吸い込んだ水を吐出し、水回路40内に水を循環させるものである。水-冷媒熱交換器36は、上述のように、冷媒流路を流れる冷媒と水流路を流れる水とが熱交換するものである。第2熱交換器42は、該第2熱交換器42を流れる水によって、外気を冷却又は加熱するものである。
【0030】
また、本実施の形態1に係る水回路40は、第2熱交換器42に流れる水の流量を調節する流量調節機構43を備えている。この流量調節機構43は、バイパス配管44及び三方弁45を備えている。バイパス配管44は、第2熱交換器42をバイパスするように設けられている。三方弁45は、水-冷媒熱交換器36と第2熱交換器42とを接続する水配管と、バイパス配管44との接続箇所に設けられている。すなわち、三方弁45の3つの開口部のうちの1つ目は、水-冷媒熱交換器36と接続されている。三方弁45の3つの開口部のうちの2つ目は、第2熱交換器42と接続されている。三方弁45の3つの開口部のうちの3つ目は、バイパス配管44に接続されている。三方弁45によってバイパス配管44に流れる水の流量を多くするほど、第2熱交換器42に流れる水の流量が少なくなっていく。
【0031】
水回路40の構成要素のうち、ポンプ41、水-冷媒熱交換器36及び流量調節機構43は、チラー30に収容されている。水回路40の構成要素のうち、第2熱交換器42は、外気供給機31の第2筐体50に収容されている。なお、流量調節機構43を外気供給機31の第2筐体50に収容してもよい。
【0032】
図4に示すように、外気供給機31の第2筐体50には、第1吸込口51及び第1吹出口52が形成されている。第1吸込口51は、第2筐体50に外気を取り込むための吸込口である。第1吸込口51は、例えばダクト等を介して、屋外と連通している。第1吹出口52は、第2筐体50に取り込まれた外気を第2筐体50外へ吹き出すための吹出口である。第1吹出口52は、例えばダクト等を介して、各部屋101内と連通している。また、第2筐体50には、給気用ファン55が収容されている。ここで、上述のように、第2筐体50には、水回路40の第2熱交換器42が収容されている。このため、給気用ファン55が回転することにより、第1吸込口51から第2筐体50に吸い込まれた外気は、第2熱交換器42を流れる水によって冷却又は加熱される。そして、冷却又は加熱された外気は、第1吹出口52及びダクトを介して、供給空気として各部屋101内へ供給される。
【0033】
なお、本実施の形態1に係る第2筐体50には、第2吸込口53及び第2吹出口54も形成されている。第2吸込口53は、第2筐体50に部屋101内の空気を取り込むための吸込口である。第2吸込口53は、例えばダクト等を介して、各部屋101内と連通している。第2吹出口54は、第2筐体50に取り込まれた部屋101内の空気を第2筐体50外へ吹き出すための吹出口である。第2吹出口54は、例えばダクト等を介して、屋外と連通している。また、第2筐体50には、排気用ファン56が収容されている。排気用ファン56が回転することにより、第2吸込口53から第2筐体50に部屋101内の空気が吸い込まれ、第2筐体50に吸い込まれた部屋101内の空気が第2吹出口54から屋外へ吹き出される。また、本実施の形態1に係る第2筐体50には、第1吸込口51から吸い込まれた外気と第2吸込口53から吸い込まれた部屋101内の空気とが熱交換する全熱交換器57も設けられている。
【0034】
また、図1に示すように、空気調和システム100は、複数のセンサー、及び、これらのセンサーの検出値に基づいて空気調和システム100の各構成を制御する制御装置60を備えている。
【0035】
具体的には、空気調和システム100は、第1温度センサー71、第2温度センサー72、温度センサー73、第1湿度センサー81、及び第2湿度センサー82を備えている。
【0036】
第1温度センサー71は、部屋101内の温度つまり空調対象空間の温度を検出するセンサーである。第1温度センサー71は、部屋101内に少なくとも1つあればよい。また、第1温度センサー71の設置位置は、部屋101内の温度を検出できれば任意である。なお、本実施の形態1では、各室内機11に、第1温度センサー71を設けている。第2温度センサー72は、外気の温度を検出するセンサーである。第2温度センサー72の設置位置は、外気の温度を検出できれば任意である。なお、本実施の形態1では、外気供給機31の第2筐体50内において、第1吸込口51近傍に第2温度センサー72を設置している。温度センサー73は、外気供給機31から部屋101内に供給される供給空気の温度を検出するセンサーである。温度センサー73の設置位置は、外気供給機31から部屋101内に供給される供給空気の温度を検出できれば任意である。なお、本実施の形態1では、外気供給機31の第2筐体50内において、第1吹出口52近傍に温度センサー73を設置している。なお、本実施の形態1では、特に言及しない限り、温度とは乾球温度を指すこととする。
【0037】
第1湿度センサー81は、部屋101内の絶対湿度つまり空調対象空間の絶対湿度の温度を検出するセンサーである。第1湿度センサー81は、部屋101内に少なくとも1つあればよい。また、第1湿度センサー81の設置位置は、部屋101内の絶対湿度を検出できれば任意である。なお、本実施の形態1では、各部屋101内において、各部屋101内と外気供給機31とを連通するダクト近傍に、第1湿度センサー81を設置している。第2湿度センサー82は、外気の絶対湿度を検出するセンサーである。第2湿度センサー82の設置位置は、外気の絶対湿度を検出できれば任意である。なお、本実施の形態1では、外気供給機31の第2筐体50内において、第1吸込口51近傍に第2湿度センサー82を設置している。なお、本実施の形態1では、特に言及しない限り、湿度とは絶対湿度を指すこととする。
【0038】
制御装置60は、専用のハードウェア、又はメモリに格納されるプログラムを実行するCPU(Central Processing Unit)で構成されている。なお、CPUは、中央処理装置、処理装置、演算装置、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、又はプロセッサともいう。
【0039】
制御装置60が専用のハードウェアである場合、制御装置60は、例えば、単一回路、複合回路、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、又はこれらを組み合わせたものが該当する。制御装置60が実現する各機能部のそれぞれを、個別のハードウェアで実現してもよいし、各機能部を一つのハードウェアで実現してもよい。
【0040】
制御装置60がCPUの場合、制御装置60が実行する各機能は、ソフトウェア、ファームウェア、又はソフトウェアとファームウェアとの組み合わせにより実現される。ソフトウェア及びファームウェアはプログラムとして記述され、メモリに格納される。CPUは、メモリに格納されたプログラムを読み出して実行することにより、制御装置60の各機能を実現する。ここで、メモリは、例えば、RAM、ROM、フラッシュメモリ、EPROM、又はEEPROM等の、不揮発性又は揮発性の半導体メモリである。
【0041】
制御装置60の機能の一部を専用のハードウェアで実現し、一部をソフトウェア又はファームウェアで実現するようにしてもよい。
【0042】
本実施の形態1に係る制御装置60は、機能部として、入力部61、第1演算部62、第2演算部63、第3演算部64、制御部65、及び記憶部66を備えている。
【0043】
入力部61は、第1温度センサー71、第2温度センサー72、温度センサー73、第1湿度センサー81、及び第2湿度センサー82の検出値等が入力される機能部である。また、入力部61には、図示せぬリモートコントローラ等から、室内機11及び外気供給機31の動作モードも入力される。また、入力部61には、部屋101内の設定温度及び設定湿度も入力される。
【0044】
第1演算部62は、室内機11の第1熱交換器16が蒸発器として機能する際、第1熱交換器16を流れる冷媒の目標蒸発温度を演算する機能部である。目標蒸発温度とは、第1熱交換器16を流れる冷媒の温度を制御する際の制御目標値である。第2演算部63は、外気供給機31から部屋101内へ供給される供給空気の目標供給空気温度を演算する機能部である。目標供給空気温度とは、外気供給機31から部屋101内へ供給される供給空気の温度を制御する際の制御目標値である。第3演算部64は、外気供給機31の第2熱交換器42を流れる水の目標水温を演算する機能部である。目標水温とは、第2熱交換器42を流れる水の温度を制御する際の制御目標値である。
【0045】
制御部65は、入力部61に入力された情報及び上述の各演算部が演算した制御目標値等に基づいて、空気調和システム100の各構成を制御する機能部である。記憶部66は、入力部61に入力された情報、上述の各演算部が制御目標値を演算する際に用いる情報、上述の各演算部の演算結果、及び、制御部65が制御に用いる情報等を記憶する機能部である。
【0046】
続いて、本実施の形態1に係る空気調和システム100の動作について説明する。なお、以下では、空気調和システム100が冷房除湿運転を行うときの動作について説明する。
【0047】
空気調和システム100が冷房除湿運転を行う場合、内調機1の室内機11は、部屋101内の空気を第1筐体11aに吸い込む。そして、内調機1の室内機11は、部屋101内の温度が設定温度となるように、第1熱交換器16を流れる冷媒によって第1筐体11aに吸い込まれ空気を冷却し、冷却された空気を部屋101内に供給する。また、空気調和システム100が冷房除湿運転を行う場合、外調機2の外気供給機31は、外気を第2筐体50に吸い込む。そして、外調機2の外気供給機31は、部屋101内の絶対湿度が設定湿度となるように、第2熱交換器42を流れる水によって第2筐体50に吸い込まれ外気を冷却して除湿し、冷却された外気を供給空気として部屋101内に供給する。
【0048】
ここで、本実施の形態1に係る空気調和システム100は、内調機1の空調負荷が顕熱負荷に応じた負荷となるように、第1熱交換器16を流れる冷媒の目標蒸発温度を以下のように決定している。
【0049】
本実施の形態1に係る空気調和システム100の制御装置60の第1演算部62は、第1温度センサー71の検出温度から記憶部66に記憶されている部屋101内の設定温度を減算し、温度差ΔTを演算する。換言すると、第1演算部62は、部屋101内の温度から部屋101内の設定温度を減算し、温度差ΔTを演算する。そして、第1演算部62は、温度差ΔTに応じて、第1熱交換器16を流れる冷媒の目標蒸発温度Te_tgtを決定する。
【0050】
詳しくは、温度差ΔTが大きいときは、顕熱負荷が大きい。このため、室内機11の第1筐体11aに吸い込まれた空気を冷却するためのエネルギーが多く必要となる。一方、温度差ΔTが小さいときは、顕熱負荷が小さい。このため、室内機11の第1筐体11aに吸い込まれた空気を冷却するためのエネルギーは少なくてもよい。したがって、第1演算部62は、温度差ΔTが大きいときには目標蒸発温度Te_tgtを下げ、温度差ΔTが小さいときには目標蒸発温度Te_tgtを上げる。すなわち、本実施の形態1に係る空気調和システム100においては、温度差ΔTが第1温度差となっている状態を第1温度差状態とし、温度差ΔTが第1温度差よりも小さい第2温度差となっている状態を第2温度差状態とした場合、第2温度差状態のときに第1熱交換器16を流れる冷媒の温度は、第1温度差状態のときに第1熱交換器16を流れる冷媒の温度よりも高くなる。
【0051】
なお、1つの部屋101内に複数の第1温度センサー71が設置されている場合、第1演算部62は、全ての第1温度センサー71の検出温度に対して温度差ΔTを演算する。そして、第1演算部62は、最も大きな値の温度差ΔTを用いて、第1熱交換器16を流れる冷媒の目標蒸発温度Te_tgtを決定する。また、1つの部屋101内に複数の室内機11が設置され、室内機11毎に設定温度が設定されている場合、第1演算部62は、全ての室内機11の設定温度に対して温度差ΔTを演算する。そして、第1演算部62は、最も大きな値の温度差ΔTを用いて、第1熱交換器16を流れる冷媒の目標蒸発温度Te_tgtを決定する。また、1つの部屋101内に複数の室内機11が設置され、室内機11毎に第1温度センサー71が設けられている場合、第1演算部62は、室内機11毎にΔTを演算する。そして、第1演算部62は、最も大きな値の温度差ΔTを用いて、第1熱交換器16を流れる冷媒の目標蒸発温度Te_tgtを決定する。このように、目標蒸発温度Te_tgtを決定することにより、内調機1が顕熱負荷に対して能力不足になってしまうことを防止できる。
【0052】
具体的には、本実施の形態1では、第1演算部62は、次のように目標蒸発温度Te_tgtを決定している。
【0053】
図5は、本発明の実施の形態1に係る空気調和システムにおける、第1熱交換器を流れる冷媒の目標蒸発温度の決定方法を説明するための図である。なお、図5の横軸は、第1温度センサー71の検出温度から部屋101内の設定温度を減算した値である温度差ΔTとなっている。また、図5の縦軸は、第1熱交換器16を流れる冷媒の目標蒸発温度Te_tgtとなっている。
【0054】
制御装置60の記憶部66には、目標蒸発温度Te_tgtの上限値Te_max及び目標蒸発温度Te_tgtの下限値Te_minが予め記憶されている。そして、温度差ΔT<0のとき、第1演算部62は、目標蒸発温度Te_tgtを上限値Te_maxに決定する。また、温度差ΔT>ΔT1のとき、第1演算部62は、目標蒸発温度Te_tgtを下限値Te_minに決定する。また、0≦温度差ΔT≦ΔT1のとき、第1演算部62は、上限値Te_maxと下限値Te_minとの間で、温度差ΔTが小さいほど目標蒸発温度Te_tgtが大きくなるように、目標蒸発温度Te_tgtを決定する。なお、ΔT1は、例えば、設定温度に対する部屋101内の温度の許容される上場幅である。ΔT1は、固定値として予め記憶部66に記憶されていてもよいし、入力部61を介してユーザーが記憶部66に記憶させた値であってもよい。
【0055】
また、本実施の形態1に係る空気調和システム100は、外調機2の空調負荷が潜熱負荷に応じた負荷となるように、外気供給機31から部屋101内へ供給される供給空気の目標供給空気温度を以下のように決定している。
【0056】
本実施の形態1に係る空気調和システム100の制御装置60の第2演算部63は、第1湿度センサー81の検出湿度から記憶部66に記憶されている部屋101内の設定湿度を減算し、湿度差Δxを演算する。換言すると、第2演算部63は、部屋101内の絶対湿度から部屋101内の設定湿度を減算し、湿度差Δxを演算する。そして、第2演算部63は、湿度差Δxに応じて、外気供給機31から部屋101内へ供給される供給空気の目標供給空気温度TSA_tgtを決定する。
【0057】
詳しくは、湿度差Δxが大きいときは、潜熱負荷が大きい。このため、外気供給機31の第2筐体50に吸い込まれ外気をより低温まで冷却し、外気からより多くの水分を除去する必要がある。一方、湿度差Δxが小さいときは、潜熱負荷が小さい。このため、外気供給機31の第2筐体50に吸い込まれ外気を冷却して水分を除去する量は、少なくてよい。したがって、第2演算部63は、湿度差Δxが大きいときには目標供給空気温度TSA_tgtを下げ、湿度差Δxが小さいときには目標供給空気温度TSA_tgtを上げる。すなわち、本実施の形態1に係る空気調和システム100においては、湿度差Δxが第1湿度差となっている状態を第1湿度差状態とし、湿度差Δxが第1湿度差よりも小さい第2湿度差となっている状態を第2湿度差状態とした場合、第2湿度差状態のときに外気供給機31から部屋101内へ供給される供給空気の温度は、第1湿度差状態のときに外気供給機31から部屋101内へ供給される供給空気の温度よりも高くなる。
【0058】
なお、1つの部屋101内に複数の第1湿度センサー81が設置されている場合、第2演算部63は、全ての第1湿度センサー81の検出湿度に対して湿度差Δxを演算する。そして、第2演算部63は、最も大きな値の湿度差Δxを用いて外気供給機31から部屋101内へ供給される供給空気の目標供給空気温度TSA_tgtを決定する。また、1つの外気供給機31によって複数の部屋101内に供給空気を供給する場合、第2演算部63は、全ての部屋101に対して湿度差Δxを演算する。そして、第2演算部63は、最も大きな値の湿度差Δxを用いて外気供給機31から部屋101内へ供給される供給空気の目標供給空気温度TSA_tgtを決定する。
【0059】
具体的には、本実施の形態1では、第2演算部63は、次のように目標供給空気温度TSA_tgtを決定している。
【0060】
図6は、本発明の実施の形態1に係る空気調和システムにおける、外気供給機から部屋内へ供給される供給空気の目標供給空気温度の決定方法を説明するための図である。なお、図6の横軸は、第1湿度センサー81の検出湿度から部屋101内の設定湿度を減算した値である湿度差Δxとなっている。また、図6の縦軸は、外気供給機31から部屋101内へ供給される供給空気の目標供給空気温度TSA_tgtとなっている。
【0061】
制御装置60の記憶部66には、目標供給空気温度TSA_tgtの上限値TSA_max及び目標供給空気温度TSA_tgtの下限値TSA_minが予め記憶されている。そして、湿度差Δx<0のとき、第2演算部63は、目標供給空気温度TSA_tgtを上限値TSA_maxに決定する。また、湿度差Δx>Δx1のとき、第2演算部63は、目標供給空気温度TSA_tgtを下限値TSA_minに決定する。また、0≦湿度差Δx≦Δx1のとき、第2演算部63は、上限値TSA_maxと下限値TSA_minとの間で、湿度差Δxが小さいほど目標供給空気温度TSA_tgtが大きくなるように、目標供給空気温度TSA_tgtを決定する。なお、Δx1は、例えば、設定湿度に対する部屋101内の湿度の許容される上場幅である。Δx1は、固定値として予め記憶部66に記憶されていてもよいし、入力部61を介してユーザーが記憶部66に記憶させた値であってもよい。
【0062】
第1熱交換器16を流れる冷媒の目標蒸発温度Te_tgtを上述のように決定することにより、内調機1の空調負荷が顕熱負荷に応じた負荷となる。また、外気供給機31から部屋101内へ供給される供給空気の目標供給空気温度TSA_tgtを上述のように決定することにより、外調機2の空調負荷が潜熱負荷に応じた負荷となる。このため、本実施の形態1に係る空気調和システム100は、空気調和システム100全体としての消費電力を低減することができる。
【0063】
ここで、第1熱交換器16を流れる冷媒の目標蒸発温度Te_tgtが下限値Te_minとなっている状態において、温度差ΔTが予め設定された閾値ΔT_maxを上回る状態が、予め設定された時間以上連続するとする。この場合、第2演算部63は、外気供給機31から部屋101内へ供給される供給空気の目標供給空気温度TSA_tgtを下限値TSA_minとする。換言すると、温度差ΔTが第1閾値を第1規定時間以上上回っている場合、本実施の形態1に係る空気調和システム100では、外気供給機31から部屋101内へ供給される供給空気の温度が下がる。このように外調機2の顕熱処理能力を上げることで、空気調和システム100が顕熱負荷に対して能力不足になってしまうことを防止できる。
【0064】
また、外気供給機31から部屋101内へ供給される供給空気の目標供給空気温度TSA_tgtが下限値TSA_minとなっている状態において、湿度差Δxが予め設定された閾値Δx_maxを上回る状態が、予め設定された時間以上連続するとする。この場合、第1演算部62は、第1熱交換器16を流れる冷媒の目標蒸発温度Te_tgtを下限値Te_minとする。換言すると、湿度差Δxが第2閾値を第2規定時間以上上回っている場合、第1熱交換器16を流れる冷媒の温度が下がる。このように内調機1における潜熱処理能力を上げることで、空気調和システム100が潜熱負荷に対して能力不足になってしまうことを防止できる。
【0065】
なお、1つの外気供給機31によって複数の部屋101内に供給空気を供給し、部屋101毎に冷房を担う室内機11が異なる場合には、第2演算部63は、異なる室内機11が担う部屋101毎に、湿度差Δxを参照する。そして、ある部屋101において、湿度差Δxが閾値Δx_maxを上回る状態が、予め設定された時間以上連続するとする。この場合、第1演算部62は、当該部屋101内の冷房を担う室内機11の目標蒸発温度Te_tgtを下限値Te_minとする。また、1つの部屋101内に複数の第1湿度センサー81が設置されている場合、第2演算部63は、全ての第1湿度センサー81の検出湿度に対して湿度差Δxを演算する。この場合、最も大きな値の湿度差Δxを用いる。
【0066】
また、本実施の形態1に係る空気調和システム100においては、外気供給機31の第2熱交換器42に流れる水の温度を外気条件に応じて変更し、消費電力をさらに低減している。
【0067】
ここで、外気供給機31から部屋101内へ供給される供給空気の温度を変更する方法として、外気供給機31の第2熱交換器42に流れる水の温度を変更する方法と、外気供給機31の第2熱交換器42に流れる水の流量を変更する方法とが考えられる。外気供給機31の第2熱交換器42に流れる水の温度を変更する方法の場合、外気供給機31の第2熱交換器42に流れる水の温度を上げることによってチラー30の消費電力を低減できる。このため、空気調和システム100の消費電力を低減できる。しかしながら、外気供給機31の第2熱交換器42に流れる水の温度を実際に異ならせるためには、チラー30の水-冷媒熱交換器36で冷却された水が第2熱交換器42に到達するのを待つ必要がある。このため、外気供給機31の第2熱交換器42に流れる水の温度を変更する方法の場合、外気供給機31の第2熱交換器42に流れる水の流量を変更する方法と比べ、応答が遅く、外気供給機31から部屋101内へ供給される供給空気の温度を目標水温に細かく追従させることが難しい。
【0068】
そこで、本実施の形態1に係る空気調和システム100においては、外気供給機31の第2熱交換器42に流れる水の温度を外気条件に応じて変更し、その上で外気供給機31の第2熱交換器42に流れる水の流量を変更して、外気供給機31から部屋101内へ供給される供給空気の温度を変更している。すなわち、本実施の形態1に係る空気調和システム100においては、第2熱交換器42を流れる水の流量と、第2熱交換器42を流れる水の温度とを変更することにより、外気供給機31から部屋101内へ供給される供給空気の温度が変更される。これにより、外気供給機31から部屋101内へ供給される供給空気の温度を目標水温に細かく追従させることができ、空気調和システム100の消費電力を低減することもできる。
【0069】
図7は、本発明の実施の形態1に係る空気調和システムにおける、第2熱交換器を流れる水の目標水温の決定方法を説明するための空気線図である。なお、図7の横軸が乾球温度を示しており、図7の縦軸が絶対湿度を示している。
制御装置60の第3演算部64は、例えば図7のように外気温度及び外気絶対湿度に応じて領域を分け、領域毎に外気供給機31の第2熱交換器42を流れる水の目標水温を決定する。具体的には、第3演算部64は、第2温度センサー72が検出する外気の温度及び第2湿度センサー82が検出する外気の絶対湿度に基づいて、外気条件がどの領域に該当するかを判断する。そして、第3演算部64は、該当する領域の条件に基づいて、外気供給機31の第2熱交換器42を流れる水の目標水温を決定する。
【0070】
各領域の目標水温は、空調負荷が高くなる外気条件の領域ほど低くなる。例えば、図7に示す領域Aは、図7に示す領域Bと比べ、空調負荷が高い。このため、領域Aの目標水温は、領域Bの目標水温よりも低い。同様に、図7に示す領域Bは、図7に示す領域Cと比べ、空調負荷が高い。このため、領域Bの目標水温は、領域Cの目標水温よりも低い。換言すると、外気の温度が第1温度となっている状態を第1温度状態とし、外気の温度が第1温度よりも低い第2温度となっている状態を第2温度状態とした場合、第2温度状態のときに第2熱交換器42を流れる水の温度は、第1温度状態のときに第2熱交換器42を流れる水の温度よりも高くなる。また、外気の絶対湿度が第1絶対湿度となっている状態を第1湿度状態とし、外気の絶対湿度が第1絶対湿度よりも低い第2絶対湿度となっている状態を第2湿度状態とした場合、第2湿度状態のときに第2熱交換器42を流れる水の温度は、第1湿度状態のときに第2熱交換器42を流れる水の温度よりも高くなる。
【0071】
図8は、本発明の実施の形態1に係る空気調和システムにおける、第2熱交換器を流れる水の目標水温の算出方法を説明するための空気線図である。なお、図8の横軸が乾球温度を示しており、図8の縦軸が絶対湿度を示している。
各領域では、その領域において最も外気温度及び外気湿度が高い点で、空調負荷が最も高くなる。各領域では、その領域において空調負荷を処理するために必要な第2熱交換器42を流れる水の温度は、その領域において最も外気温度及び外気湿度が高い点で、最も低くなる。各領域において、空調負荷を処理するために必要な第2熱交換器42を流れるこの水の温度を、第2熱交換器42を流れる水の目標水温としている。なお、領域Bにおいて最も外気温度及び外気湿度が高い点は、図7に示すD点となる。また、領域Cにおいて最も外気温度及び外気湿度が高い点は、図7に示すE点となる。
【0072】
図8を用いて、第2熱交換器42を流れる水の目標水温の具体的な算出方法を説明する。図8の点OAは、例えば目標水温を算出する時点での外気環境を示している。また、図8の点RAは、部屋101内の設定温度及び設定湿度を示している。まず、点OAに示す外気環境と、点RAに示す部屋101内の設定温度及び設定湿度と、全熱交換器57の熱交換効率とに基づいて、第2熱交換器42に流入する空気の環境を算出する。第2熱交換器42に流入する空気の環境は、図8の点Coil_inとなる。なお、ここでいう環境とは、温度及び絶対湿度である。
【0073】
図8の点SAは、外気供給機31から部屋101内へ供給される供給空気の目標供給空気温度と、外気供給機31から部屋101内へ供給される供給空気が該目標空気温度となった場合の絶対湿度とを示す点である。図8の点Twは、空調負荷を処理するために必要な第2熱交換器42を流れる水の温度と、当該温度の飽和空気の絶対湿度とを示す点である。図8に示すΔx2は、点Coil_inの絶対湿度と点SAの絶対湿度との差である。図8に示すΔx3は、点Coil_inの絶対湿度と点Twの絶対湿度との差である。点Coil_inを上述のように算出した後、点Coil_inの環境、点SAに示す環境、及び、Δx2とΔx3との比率が一定であるとの条件に基づいて、点Twを算出する。そして、点Twの温度を、第2熱交換器42を流れる水の目標水温とする。
【0074】
最後に、空気調和システム100が冷房除湿運転を行うときの制御フローについて説明する。
【0075】
図9は、本発明の実施の形態1に係る空気調和システムが冷房除湿運転を行うときの制御フローを説明するための図である。
空気調和システム100の冷房除湿運転が開始されると、ステップS1において、第1演算部62は、第1温度センサー71の検出温度から部屋101内の設定温度を減算し、温度差ΔTを算出する。また、ステップS1において、第2演算部63は、第1湿度センサー81の検出湿度から部屋101内の設定湿度を減算し、湿度差Δxを算出する。
【0076】
ステップS2において、第1演算部62は、温度差ΔTに応じて、第1熱交換器16を流れる冷媒の目標蒸発温度Te_tgtを決定する。また、ステップS2において、第2演算部63は、湿度差Δxに応じて、外気供給機31から部屋101内へ供給される供給空気の目標供給空気温度TSA_tgtを決定する。
【0077】
ステップS3において、第1演算部62は、温度差ΔTが閾値ΔT_maxを上回る状態が、予め設定された時間だけ連続しているか否かを判定する。温度差ΔTが閾値ΔT_maxを上回る状態が、予め設定された時間だけ連続していない場合、ステップS5に進む。一方、温度差ΔTが閾値ΔT_maxを上回る状態が、予め設定された時間だけ連続している場合、ステップS4において第2演算部63は、外気供給機31から部屋101内へ供給される供給空気の目標供給空気温度TSA_tgtを下限値TSA_minに変更する。
【0078】
ステップS5において、第2演算部63は、湿度差Δxが予め設定された閾値Δx_maxを上回る状態が、予め設定された時間だけ連続しているか否かを判定する。湿度差Δxが予め設定された閾値Δx_maxを上回る状態が、予め設定された時間だけ連続してない場合、ステップS7に進む。一方、湿度差Δxが予め設定された閾値Δx_maxを上回る状態が、予め設定された時間だけ連続している場合、ステップS6において第1演算部62は、第1熱交換器16を流れる冷媒の目標蒸発温度Te_tgtを下限値Te_minに変更する。
【0079】
ステップS7において、第3演算部64は、第2熱交換器42を流れる水の目標水温Tw_tgtを決定する。
【0080】
ステップS8において、制御部65は、第1熱交換器16を流れる冷媒の温度が目標蒸発温度Te_tgtとなり、外気供給機31から部屋101内へ供給される供給空気の温度が目標供給空気温度TSA_tgtとなり、第2熱交換器42を流れる水の温度が目標水温Tw_tgtとなるように、空気調和システム100の各構成を制御する。
【0081】
ステップS9において、制御装置60は、冷房除湿運転の終了指令が入力されているか否かを判定する。冷房除湿運転の終了指令が入力されていない場合、上述のステップS1からステップS8が繰り返される。一方、冷房除湿運転の終了指令が入力されている場合、冷房除湿運転の制御フローは終了する。
【0082】
以上、本実施の形態1に係る空気調和システム100は、室内機11と、外気供給機31と、部屋101内の温度を検出する第1温度センサー71と、部屋101内の絶対湿度を検出する第1湿度センサー81と、部屋101内の設定温度及び設定湿度を記憶する制御装置60と、を備えている。室内機11は、第1熱交換器16及び該第1熱交換器16を収容する第1筐体11aを有し、第1熱交換器16を流れる冷媒によって第1筐体11aに吸い込まれた部屋101内の空気を冷却する。外気供給機31は、第2熱交換器42及び該第2熱交換器42を収容する第2筐体50を有し、第2熱交換器42を流れる水によって第2筐体50に吸い込まれた外気を冷却し、冷却された該外気を供給空気として部屋101内に供給する。そして、本実施の形態1に係る空気調和システム100においては、部屋101内の温度から設定温度を減算した値である温度差ΔTが第1温度差となっている状態を第1温度差状態とし、温度差ΔTが第1温度差よりも小さい第2温度差となっている状態を第2温度差状態とした場合、第2温度差状態のときに第1熱交換器16を流れる冷媒の温度は、第1温度差状態のときに第1熱交換器16を流れる冷媒の温度よりも高くなる。また、本実施の形態1に係る空気調和システム100においては、部屋101内の絶対湿度から設定湿度を減算した値である湿度差Δxが第1湿度差となっている状態を第1湿度差状態とし、湿度差Δxが第1湿度差よりも小さい第2湿度差となっている状態を第2湿度差状態とした場合、第2湿度差状態のときに外気供給機31から供給される供給空気の温度は、第1湿度差状態のときに外気供給機31から供給される供給空気の温度よりも高くなる。
【0083】
内調機1は主に顕熱負荷を処理し、外調機2は主に潜熱負荷を処理する。内調機1の室内機11の第1熱交換器16を流れる冷媒の温度、及び外調機2の外気供給機31から供給される供給空気の温度を本実施の形態1のように変化させることにより、内調機1の空調負荷を顕熱負荷に応じた負荷にでき、外調機2の空調負荷を潜熱負荷に応じた負荷にできる。このため、本実施の形態1に係る空気調和システム100は、空気調和システム100全体としての消費電力を低減することができる。また、本実施の形態1に係る空気調和システム100は、事前の複雑なモデル化作業及びシミュレーション作業を必要としない。このため、本実施の形態1に係る空気調和システム100は、製造する際に手間がかかることも抑制できる。
【0084】
実施の形態2.
外気供給機31から部屋101内へ供給される供給空気の目標供給空気温度TSA_tgtの上限値TSA_maxを以下のように算出することにより、空気調和システム100の消費電力をさらに低減することができる。なお、本実施の形態2において、特に記述しない項目については実施の形態1と同様とし、実施の形態1と同一の機能及び構成については同一の符号を用いて述べることとする。
【0085】
図10は、本発明の実施の形態2に係る空気調和システムの概略構成を示す図である。また、図11は、本発明の実施の形態2に係る空気調和システムにおける外調機の外気供給機の概略構成を示す図である。
【0086】
本実施の形態2に係る空気調和システム100は、温度センサー74及び湿度センサー83を備えている。温度センサー74は、第2熱交換器42に流入する空気の温度を検出するセンサーである。湿度センサー83は、第2熱交換器42に流入する空気の絶対湿度を検出するセンサーである。温度センサー74及び湿度センサー83は、例えば、外気供給機31の第2筐体50内において、全熱交換器57よりも空気流れの下流側となり、第2熱交換器42よりも空気流れの上流側となる位置に設置されている。
【0087】
また、本実施の形態2に係る空気調和システム100の制御装置60は、機能部として第4演算部67を備えている。第4演算部67は、外気供給機31から部屋101内へ供給される供給空気の目標供給空気温度TSA_tgtの上限値TSA_maxを演算する機能部である。
【0088】
続いて、外気供給機31から部屋101内へ供給される供給空気の目標供給空気温度TSA_tgtの上限値TSA_maxの決定方法について説明する。
【0089】
図12は、本発明の実施の形態2に係る空気調和システムにおける、外気供給機から部屋内へ供給される供給空気の目標供給空気温度の上限値の決定方法を説明するための空気線図である。なお、図12の横軸が乾球温度を示しており、図12の縦軸が絶対湿度を示している。
【0090】
本実施の形態2では、外気供給機31の第2熱交換器42により、潜熱負荷のうちの外気を設定湿度に除湿するための負荷である換気潜熱負荷を処理することが可能なように、上限値TSA_maxを決定する。
【0091】
具体的には、次のように上限値TSA_maxを求める。図8の点Coil_inは、第2熱交換器42に流入する空気の環境を示している。すなわち、図8の点Coil_inは、温度センサー74で検出された第2熱交換器42に流入する空気の温度と、湿度センサー83で検出された第2熱交換器42に流入する空気の絶対湿度とを示している。図8の点RAは、部屋101内の設定温度及び設定湿度を示している。図8の点Twは、第2熱交換器42を流れる水の目標水温Tw_tgtと、目標水温Tw_tgtのときの飽和空気の絶対湿度とを示している。
【0092】
上限値TSA_maxを決定する際、まず、点Coil_inと点Twとを直線で結ぶ。そして、そして、当該直線上において部屋101内の設定湿度と同湿度になる点を求める。当該点における温度が、上限値TSA_maxとなる。
【0093】
したがって、上限値TSA_maxを算出する式は、次式(1)のようになる。
TSA_max=TCoil_in-(TCoil_in-Tw_tgt)×(xCoil_in-xRA_set)÷(xCoil_in-xw)・・・(1)
なお、TCoil_inは、点Coil_inでの温度である。つまり、TCoil_inは、温度センサー74で検出された第2熱交換器42に流入する空気の温度である。xCoil_inは、点Coil_inでの絶対湿度である。つまり、xCoil_inは、湿度センサー83で検出された第2熱交換器42に流入する空気の絶対湿度である。xRA_setは、部屋101内の設定湿度である。xwは、目標水温Tw_tgtのときの飽和空気の絶対湿度である。
【0094】
本実施の形態2のように上限値TSA_maxを決定することにより、潜熱負荷が小さく、外気供給機31から部屋101内へ供給される供給空気の目標供給空気温度TSA_tgtが上限値TSA_maxとなった際、外気供給機31の第2熱交換器42は、潜熱負荷のうち、外気を設定湿度に除湿するための負荷である換気潜熱負荷を処理することとなる。換言すると、本実施の形態2に係る空気調和システム100においては、外気供給機31から供給される供給空気の絶対湿度の最大値が、設定湿度と同じとなる。
【0095】
以上、本実施の形態2に係る空気調和システム100においては、潜熱負荷が小さい場合、外気供給機31の第2熱交換器42は換気潜熱負荷のみを処理すればよいので、外気供給機31から部屋101内へ供給される供給空気の目標供給空気温度TSA_tgtを高く設定することができる。このため、本実施の形態2のように上限値TSA_maxを決定することにより、空気調和システム100の消費電力をさらに低減することができる。
【符号の説明】
【0096】
1 内調機、2 外調機、10 室外機、11 室内機、11a 第1筐体、12 冷媒回路、13 圧縮機、14 室外熱交換器、15 膨張弁、16 第1熱交換器、17 四方弁、18 冷媒配管、19 室外機ファン、20 室内機ファン、30 チラー、31 外気供給機、32 冷媒回路、33 圧縮機、34 冷媒-空気熱交換器、35 膨張弁、36 水-冷媒熱交換器、37 四方弁、38 チラーファン、40 水回路、41 ポンプ、42 第2熱交換器、43 流量調節機構、44 バイパス配管、45 三方弁、46 水配管、50 第2筐体、51 第1吸込口、52 第1吹出口、53 第2吸込口、54 第2吹出口、55 給気用ファン、56 排気用ファン、57 全熱交換器、60 制御装置、61 入力部、62 第1演算部、63 第2演算部、64 第3演算部、65 制御部、66 記憶部、67 第4演算部、71 第1温度センサー、72 第2温度センサー、73 温度センサー、74 温度センサー、81 第1湿度センサー、82 第2湿度センサー、83 湿度センサー、100 空気調和システム、101 部屋。
図1
図2
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図4
図5
図6
図7
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図10
図11
図12