(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-12
(45)【発行日】2023-01-20
(54)【発明の名称】排気装置
(51)【国際特許分類】
F01N 3/24 20060101AFI20230113BHJP
F01N 3/00 20060101ALI20230113BHJP
F01N 3/18 20060101ALI20230113BHJP
F01N 11/00 20060101ALI20230113BHJP
F01N 13/00 20100101ALI20230113BHJP
F02D 35/00 20060101ALI20230113BHJP
【FI】
F01N3/24 N
F01N3/00 F
F01N3/18 C
F01N11/00
F01N13/00 A
F02D35/00 368B
(21)【出願番号】P 2018176615
(22)【出願日】2018-09-20
【審査請求日】2021-08-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000005348
【氏名又は名称】株式会社SUBARU
(74)【代理人】
【識別番号】110000936
【氏名又は名称】弁理士法人青海国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】齊藤 陽介
(72)【発明者】
【氏名】志岐 昌美
(72)【発明者】
【氏名】戸邊 祥太
(72)【発明者】
【氏名】細野 直之
【審査官】小川 克久
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-299486(JP,A)
【文献】特開2016-183573(JP,A)
【文献】特開2011-149289(JP,A)
【文献】特表2012-501414(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01N 3/24
F01N 3/00
F01N 3/18
F01N 11/00
F01N 13/00
F02D 35/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンに接続され、前記エンジンから排出される排気ガスが流通する排気管と、
前記排気管内に設けられたセンサと、
前記排気管における前記センサよりも上流側に設けられ、前記排気管の流路を縮径する絞り機構と、
前記センサの検出値に基づき、前記センサの応答遅れを判定する判定部と、
前記判定部により前記センサの応答遅れが判定された場合に、前記排気管の流路を縮径するように前記絞り機構を制御する駆動制御部と、
を備え
、
前記絞り機構は、前記排気管の流路を縮径した際に、前記排気ガスの風向がセンサに向かうように配置される排気装置。
【請求項2】
前記判定部は、エンジン回転数とエンジン負荷とを参照して閾値を決定し、前記センサの検出値に基づき導出される値と前記閾値とを比較して、前記センサの応答遅れを判定する請求項1に記載の排気装置。
【請求項3】
エンジンに接続され、前記エンジンから排出される排気ガスが流通する排気管と、
前記排気管内に設けられたセンサと、
前記排気管における前記センサよりも上流側に設けられ、前記排気管の流路を縮径する絞り機構と、
前記エンジンの始動から所定時間に亘って、前記排気管の流路を縮径するように前記絞り機構を制御する駆動制御部と、
を備え
、
前記絞り機構は、前記排気管の流路を縮径した際に、前記排気ガスの風向がセンサに向かうように配置される排気装置。
【請求項4】
前記センサは、A/Fセンサである請求項1から
3のいずれか一項に記載の排気装置。
【請求項5】
前記駆動制御部は、エンジン回転数およびエンジン負荷を参照して、予め設定された解除条件が成立した場合に、前記排気管の流路の縮径を解除するように前記絞り機構を制御する請求項1から
4のいずれか一項に記載の排気装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排気装置に関する。
【背景技術】
【0002】
エンジンから排出された排気ガスには、炭化水素、一酸化炭素、窒素酸化物および煤等の粒子状物質が含まれている。これらの粒子状物質が、排気管内に設けられたセンサに付着した場合、センサの性能に影響を及ぼす場合がある。特許文献1には、排気管の内部におけるセンサの上流側に、排気ガスの一部がセンサに対して斜めに当たるように、排気ガスを整流するための整流板を備える技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1では、整流板によって、排気管内の排気ガスの流通を常に制限することになり、センサへの粒子状物質の堆積を効率よく抑制できないといった問題があった。
【0005】
そこで、本発明は、排気管内のセンサに煤等の粒子状物質が堆積することを効率的に抑制することができる排気装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の排気装置は、エンジンに接続され、エンジンから排出される排気ガスが流通する排気管と、排気管内に設けられたセンサと、排気管におけるセンサよりも上流側に設けられ、排気管の流路を縮径する絞り機構と、センサの検出値に基づき、センサの応答遅れを判定する判定部と、判定部によりセンサの応答遅れが判定された場合に、排気管の流路を縮径するように絞り機構を制御する駆動制御部と、を備え、絞り機構は、排気管の流路を縮径した際に、排気ガスの風向がセンサに向かうように配置される。
【0007】
また、判定部は、エンジン回転数とエンジン負荷とを参照して閾値を決定し、センサの検出値に基づき導出される値と閾値とを比較して、センサの応答遅れを判定するとよい。
【0008】
また、上記課題を解決するために、本発明の排気装置は、エンジンに接続され、エンジンから排出される排気ガスが流通する排気管と、排気管内に設けられたセンサと、排気管におけるセンサよりも上流側に設けられ、排気管の流路を縮径する絞り機構と、エンジンの始動から所定時間に亘って、排気管の流路を縮径するように絞り機構を制御する駆動制御部と、を備え、絞り機構は、排気管の流路を縮径した際に、排気ガスの風向がセンサに向かうように配置される。
【0010】
また、センサは、A/Fセンサであるとよい。
【0011】
また、駆動制御部は、エンジン回転数およびエンジン負荷を参照して、予め設定された解除条件が成立した場合に、排気管の流路の縮径を解除するように絞り機構を制御するとよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、排気管内のセンサに煤等の粒子状物質が堆積することを効率的に抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図3】A/Fセンサの応答遅れを説明するための概略図である。
【
図4】絞り機構の制御処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値等は、発明の理解を容易にするための例示に過ぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0015】
図1は、排気装置200を備えたエンジン102の概略図である。
図1に示すように、エンジン102は、例えば、水平対向4気筒エンジンである。エンジン102では、クランクシャフト2を挟んで2つのシリンダブロック3が配される。シリンダブロック3は、シリンダボア3aがそれぞれ2つ設けられており、各シリンダブロック3のシリンダボア3aが対向する。ここでは、水平対向4気筒エンジンを例示するが、エンジン102の種類は問わない。なお、
図1中、信号の流れを破線の矢印で示す。
【0016】
シリンダブロック3には、クランクケース4が一体形成される。シリンダブロック3のうち、クランクケース4とは反対側には、シリンダヘッド5が固定されている。クランクシャフト2は、クランク室6内に回転自在に支持される。クランク室6は、クランクケース4によって形成される。
【0017】
クランクシャフト2には、コネクティングロッド7を介してピストン8が連結される。ピストン8は、シリンダボア3aに摺動可能に収容されている。燃焼室9は、シリンダボア3aと、シリンダヘッド5と、ピストン8の冠面とによって囲まれた空間である。
【0018】
シリンダヘッド5には、吸気ポート10および排気ポート11が燃焼室9に連通するように形成される。吸気ポート10と燃焼室9との間には、吸気弁12の先端(傘部)が位置する。排気ポート11と燃焼室9との間には、排気弁13の先端(傘部)が位置する。
【0019】
シリンダヘッド5およびヘッドカバー14に囲まれた空間がカム室である。カム室内には、吸気弁用カム15および排気弁用カム16が設けられる。吸気弁用カム15は、吸気弁12の他端に当接する。吸気弁用カム15が回転することで、吸気弁12が軸方向に移動する。これにより、吸気弁12は、吸気ポート10と燃焼室9との間を開閉する。排気弁用カム16は、排気弁13の他端に当接する。排気弁13が回転することで、排気弁13が軸方向に移動する。これにより、排気弁13は、排気ポート11と燃焼室9との間を開閉する。
【0020】
吸気ポート10の上流側には、インテークマニホールド17が設けられる。インテークマニホールド17は、吸気ポート10に連通する。インテークマニホールド17は、吸気が流通する吸気管18の一部を構成する。吸気管18は、インテークマニホールド17および吸気管上流部18aによって構成される。
【0021】
インテークマニホールド17は、集合部21と、吸気管下流部22とを有している。集合部21は、吸気管上流部18aに連通する。集合部21は、吸気管上流部18aから吸気が流入するタンクである。吸気管下流部22は、集合部21から分岐して下流端が吸気ポート10に接続される。
【0022】
吸気管上流部18aには、上流側からエアクリーナ23およびスロットルバルブ24が順に設けられる。エアクリーナ23は、吸気に含まれる塵や埃などの異物を除去する。スロットルバルブ24は、インテークマニホールド17に供給する吸気の流量を可変する。スロットルバルブ24の開度は、不図示のアクチュエータによって調整される。なお、スロットルバルブ24の開度は、予め設定されている所定のマップを参照して決定される。この所定のマップには、アクセル開度と、エンジン回転数に対してスロットルバルブ24の開度が予め設定される。
【0023】
ECU201は、中央処理装置(CPU)、プログラム等が格納されたROM、ワークエリアとしてのRAM等を含むマイクロコンピュータで構成され、エンジン102全体を統括制御する。ECU201は、アクセル開度センサ220やクランク角センサ221からエンジン102の運転状況(エンジン回転数およびエンジン負荷)を取得する。また、ECU201は、A/Fセンサ222から排気管20中の排気ガスの空燃比の情報を取得する。また、ECU201は、アクチュエータ211を制御する駆動制御部203として機能する。
【0024】
スロットルバルブ24により流量が調整された吸気は、インテークマニホールド17の集合部21に流入する。集合部21に流入した吸気は、吸気管下流部22へ分配され、吸気ポート10を介して燃焼室9へ導かれる。燃焼室9に導かれた空気は、不図示のインジェクタから噴射された燃料と混合する。そして、吸気と燃料との混合気は、シリンダヘッド5に設けられた不図示の点火プラグによって点火される。
【0025】
混合気の燃焼により、ピストン8がシリンダボア3a内で往復運動を行う。ピストン8の往復運動の動力は、コネクティングロッド7を通じてクランクシャフト2の回転運動の動力に変換される。排気ガスは、燃焼室9から、排気ポート11を介して排気装置200に導かれる。エキゾーストマニホールド19は、排気ポート11の下流側に設けられる。エキゾーストマニホールド19は、排気ポート11に連通する。エキゾーストマニホールド19は、排気ガスが流通する排気管20の一部を構成する。
【0026】
排気装置200は、排気管20と、ECU201と、絞り機構210と、アクセル開度センサ220と、クランク角センサ221と、A/F(Air By Fuel)センサ222と、触媒25とを備える。排気ガスは、触媒25で浄化された後、車外へ排出される。
【0027】
絞り機構210は、A/Fセンサ222よりも上流側に設けられる。絞り機構210は、複数枚の板状部材から形成される絞り部210a(
図2参照)と、絞り部210aが固定される絞り基板210b(
図2参照)によって構成される。絞り機構210は、アクチュエータ211によって絞り部210aが移動され、絞り部210aが排気管20を開閉するように動作する。以下では、排気管20が閉じられているときの絞り部210aを閉状態と称し、排気管20が開かれているときの絞り部210aを閉状態と称する。
【0028】
A/Fセンサ222は、排気管20内における触媒25の上流に設けられている。A/Fセンサ222は、排気ガスの空燃比を検出する。A/Fセンサ222によって検出された空燃比を示す信号は、ECU201に送信される。ECU201は、A/Fセンサ222から取得した空燃比を示す信号に基づいて現時点の空燃比を導出する。
【0029】
また、ECU201は、エンジン102で燃焼される混合気の空燃比を制御する空燃比制御部204として働く。空燃比制御部204は、現時点の空燃比に基づいて、エンジン102の燃焼室に供給する燃料の量と空気の量とを、例えば理論空燃比となるようにフィードバック制御する。
【0030】
また、ECU201は、A/Fセンサ222から取得した空燃比を示す信号に応答遅れが生じているか否かを判定する判定部202として働く。判定部202は、ECU201によって導出されたアクセル開度に基づいて、A/Fセンサ222において応答遅れが生じているかを判定する。判定部202が、A/Fセンサ222において応答遅れが生じていると判定した場合、駆動制御部203は、絞り部210aを閉状態とするようにアクチュエータ211を作動させて絞り制御を実行する。また、駆動制御部203は、エンジン102の始動時においても同様に、絞り部210aを閉状態とするようにアクチュエータ211を作動させて絞り制御を実行する。ただし、絞り制御の実行中において、予め設定された所定の解除条件が成立したと判定部202によって判定された場合には、駆動制御部203は、絞り部210aを開状態とするようにアクチュエータ211を作動させて絞り制御を終了する。
【0031】
図2は、絞り機構210の概略図である。
図2中、排気ガスの流れを実線矢印で示す。
図2(a)、(b)は、駆動制御部203が絞り部210aを開状態とするようにアクチュエータ211を作動させている場合の概略図である。
図2(a)に示すように、絞り部210aが開状態に制御されている場合には、絞り部210aは大きく開口しており、絞り機構210の上流側と下流側とでは、排気ガスの流速に大きな変化は生じない。そのため、例えば、排気管20内を流通する排気ガスの流速が遅い場合、
図2(b)に示すように、排気ガスに含まれる煤等の粒子状物質300がA/Fセンサ222に堆積する場合がある。A/Fセンサ222に粒子状物質300が堆積すると、A/Fセンサ222に堆積した粒子状物質300の影響により、A/Fセンサ222の応答遅れが生じることとなる。
【0032】
図2(c)は、駆動制御部203が絞り部210aを閉状態とするようにアクチュエータ211を作動させている場合の概略図である。本実施形態では、A/Fセンサ222に堆積した粒子状物質300の影響により、A/Fセンサ222に、予め設定した閾値以上の応答遅れが生じた場合、駆動制御部203が絞り部210aを閉状態とするようにアクチュエータ211を作動させる。
図2(c)に示すように、絞り部210aが閉状態に制御されている場合、絞り部210aの開口が小さくなるため、絞り機構210の上流側よりも下流側の排気ガスの流速が早くなる。また、絞り機構210は、絞り部210aが閉状態に制御されている場合に、排気ガスの風向がA/Fセンサ222に向かうように配置されている。これにより、
図2(c)に示すように、流速が増大した排気ガスがA/Fセンサ222に衝突して、A/Fセンサ222に堆積した粒子状物質300を吹き飛ばすことが可能となる。
【0033】
また、エンジン102の始動直後は、排気ガス中に含まれる水分量が比較的多い。排気ガス中に含まれる水分がA/Fセンサ222の表面に付着して、A/Fセンサ222の表面が濡れている状態だと、A/Fセンサ222に粒子状物質300が堆積(付着)しやすくなってしまう。そこで、本実施形態では、エンジン102の始動から所定時間が経過するまでの間についても、駆動制御部203が絞り部210aを閉状態とするようにアクチュエータ211を作動させる。これにより、排気ガス中に含まれる水分量が比較的多いエンジン102の始動直後であっても、排気ガス中に含まれる水分がA/Fセンサ222の表面に付着することを抑制することができる。そのため、A/Fセンサ222に粒子状物質300が堆積することを抑制することが可能となる。
【0034】
ただし、絞り部210aが閉状態に制御されている場合であっても、エンジン102の運転状況(エンジン回転数およびエンジン負荷)が、予め設定した所定の解除条件を満たしていると判定部202によって判断された場合には、駆動制御部203が絞り部210aを開状態とするようにアクチュエータ211を作動させる。例えば、エンジン回転数が所定値以上となる高回転時、かつ、エンジン負荷が所定値以上となる高負荷時を所定の解除条件として設定している。高回転時、かつ、高負荷時においては、排気管20内における圧力が上昇しているため、絞り部210aを開状態とすることで、エンジン102に必要以上の圧力がかかることを抑制することが可能となる。また、高回転時、かつ、高負荷時においては、絞り部210aが開状態であったとしても、排気管20内を流通する排気ガスの流速が高いため、A/Fセンサ222に粒子状物質300が堆積するおそれは低い。
【0035】
図3は、A/Fセンサ222の応答遅れを説明するための概略図である。
図3(a)は、ECU201によって導出されたアクセル開度と、ECU201によって導出されたA/F値(空燃比)との関係を示すグラフである。
図3中のA/F値は、実線を正常時の値、破線を応答遅れ時の値を示している。
【0036】
A/F値の変化は、車両の加減速時に生じる。
図3では、加速時におけるA/F値の変化を示している。例えば、A/Fセンサ222において応答遅れが生じていない正常時の場合に、加速が終了した時点から、
図3(b)に示すように、A/F値が所定の値a(例えば、理論空燃比)へと収束する時点までの間の時間T1が予め設定されている。そして、実際にECU201によって導出されたA/F値において、A/F値が所定の値aへと収束する際に、時間T2がかかったとする。判定部202は、時間T1に対する時間T3の割合が閾値以上である場合に応答遅れが発生していると判定し、時間T1に対する時間T3の割合が閾値未満である場合に、応答遅れが発生していないと判定する。
【0037】
このとき、応答遅れの判定に用いる閾値としては、固定値であってもよいし、エンジン102の運転状況(エンジン回転数およびエンジン負荷)と、応答遅れの判定に用いる閾値とが対応付けられたマップを参照して、閾値を決定してもよい。
【0038】
以下では、ECU201による絞り機構210の制御処理の流れについて説明する。
図4は、絞り機構210の制御処理の流れを示すフローチャートである。絞り機構210の制御処理は、エンジン102が駆動しているときに実行される。
【0039】
絞り機構210の制御処理が開始されると、判定部202は、エンジン102の始動時であるか否か判定する(S10)。その結果、エンジン102が始動時であれば(ステップS10におけるYES)、駆動制御部203は、絞り部210aを閉状態とするようにアクチュエータ211を作動させる絞り制御を実行する(S12)。その後、判定部202は、エンジン102の始動から所定時間が経過したか否かを判定する(S14)。
【0040】
そして、エンジン102の始動から所定時間が経過していなければ(ステップS14のNO)、判定部202は、エンジン102の運転状況(エンジン回転数およびエンジン負荷)を取得する(ステップS16)。判定部202は、上記ステップS16において取得したエンジン102の運転状況(エンジン回転数およびエンジン負荷)に基づいて、絞り制御の解除条件が成立するか否かを判定する(ステップS18)。判定部202は、エンジン102の始動から所定時間が経過する(ステップS14のYES)か、または、絞り制御の解除条件が成立する(ステップS18のYES)までの間、ステップS12~16の処理を繰り返し、絞り制御の実行を継続する。エンジン102の始動から所定時間が経過した場合(ステップS14のYES)、および、絞り制御の解除条件が成立した場合(ステップS18のYES)、駆動制御部203は、絞り部210aを開状態とするようにアクチュエータ211を作動させ(絞り制御を終了する:S20)、当該絞り機構210の制御処理を終了する。
【0041】
一方、エンジン102が始動時でなければ(ステップS10におけるNO)、ECU201は、エンジン102の運転状況(エンジン回転数およびエンジン負荷)およびA/Fセンサ222の検出値を取得する(ステップS22)。判定部202は、上記ステップS22において取得したエンジン102の運転状況(エンジン回転数およびエンジン負荷)およびA/Fセンサ222の検出値に基づいて、A/Fセンサ222の応答遅れが閾値以上であるか否かを判定する(ステップS24)。その結果、A/Fセンサ222の応答遅れが閾値以上であれば(ステップS24のYES)、駆動制御部203は、絞り部210aを閉状態とするようにアクチュエータ211を作動させる(絞り制御を実行する:S26)。ECU201は、上記ステップS22において取得したエンジン102の運転状況(エンジン回転数およびエンジン負荷)に基づいて、絞り制御の解除条件が成立するか否かを判定する(ステップS28)。その後、ECU201は、A/Fセンサ222の応答遅れが閾値未満となる(ステップS24のNO)か、または、絞り制御の解除条件が成立する(ステップS28のYES)までの間、ステップS22~28を繰り返し、絞り制御の実行を継続する。A/Fセンサ222の応答遅れが閾値未満となった場合(ステップS24のNO)、および、絞り制御の解除条件が成立した場合(ステップS28のYES)、駆動制御部203は、絞り部210aを開状態とするようにアクチュエータ211を作動させ(絞り制御を終了する:S20)、当該絞り機構210の制御処理をリターンする。
【0042】
このように、本実施形態では、絞り機構210の駆動を限定的にすることで、排気管20内のA/Fセンサ222に煤等の粒子状物質が付着することを効率的に抑制することができる。
【0043】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0044】
例えば、上記実施形態では、排気管20内にA/Fセンサ222が設けられる場合について示したが、排気管20内に設けられるセンサは、特に限定されない。例えば、排気管20内に設けられるO2センサや、圧力センサ、NOxセンサ等に対して本発明を適用してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明は、排気装置に利用できる。
【符号の説明】
【0046】
102 エンジン
20 排気管
202 判定部
210 絞り機構
222 A/Fセンサ