(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-12
(45)【発行日】2023-01-20
(54)【発明の名称】分割式斜張構造フレーム
(51)【国際特許分類】
B62K 15/00 20060101AFI20230113BHJP
【FI】
B62K15/00
(21)【出願番号】P 2018213312
(22)【出願日】2018-10-26
【審査請求日】2021-10-22
(73)【特許権者】
【識別番号】599053883
【氏名又は名称】荒井 正
(72)【発明者】
【氏名】荒井 正
【審査官】結城 健太郎
(56)【参考文献】
【文献】実開昭50-38037(JP,U)
【文献】特開2006-123565(JP,A)
【文献】特開2009-143339(JP,A)
【文献】特公昭47-30154(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62K 15/00,19/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自転車フレームを分割し容易に折り畳み、分解、再組立が可能な自転車において、メインパイプ後端と後ろ三角の立てパイプをシートピラーが挿入される部分で分割した構造とし、メインパイプ後端に筒状の上シート耳を設ける、後ろ三角の立てパイプ上端にも筒状の立シート耳を設け、上シートピンが上シート耳と後ろ三角のシートステーに設けた貫通穴を貫通する、立シートピンはメインパイプに設けたシートピンプレートと立シート耳を貫通する、シートピラーをメインパイプ後端と後ろ三角の立てパイプを貫通して挿入し上シートピン及び立シートピンを締め分割された構造を固定する、シートピンを緩め抜き取りシートピラーを抜き取れば分割する、1本のシートピンを残すとこれを中心に回転し折り畳める自転車フレーム。
【請求項2】
前記フレームにおいてメインパイプ部材のヘッドパイプと後ろ三角部材の立てパイプ下端または下端及び上端をロープなどの柔軟で引張強度の強い部材で連結して斜張構造とした請求項1に記載の自転車フレーム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本考案は携帯の利便に優れ、容易に折り畳み、分解、再組立が可能な分割式自転車フレームに関するものである。
【背景技術】
【0002】
今日、自転車の使用形態も多岐に亘り、自転車を自動車に積載、あるいは携帯用袋等に納めるなどして、列車や航空機で使用地まで運搬し、そこで再組立し使用することがよく見られ、これに対応すべく折り畳み自転車、分割可能自転車が各種提供されている、例えば、折畳み機能を有する自転車に対応できる自転車用フレームとしては、フレームの前後車軸中間部になる位置にヒンジ状の回動軸により折畳み自在に構成された自転車用折畳みフレームは多様なものが提案され、実公昭37-13506号公報に開示された考案や、実公昭63-18560号公報に関示されたものがある、同様にヒンジ状の回転軸をフレームの構成部材とした特開平11-129967号公報に開示されている。
【0003】
この様なフレームの前後車軸中間部になる位置にヒンジ状の回動軸により前部後部のフレームをそれぞれ接合された折畳みフレームでは、前部フレームおよび後部フレームの側辺に蝶番および支軸からなるヒンジを設け、該ヒンジの対向側又は上下からカムレバーによって固定される構造が一般的である。
【先行技術文献】
【0004】
【文献】実用新案公告 昭37-13506
【文献】実用新案公告 昭63-18560号
【文献】特許出願公開番号 特開平11-268679
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来からのヒンジ状の回転軸により折畳み自在に構成された自転車用折畳みフレームはヒンジ部や結合部の強度確保のために全重量が増大して携帯性に問題が有る。
【0006】
本発明の課題は軽量にしてコンパクトであり、分解時の収納をサイズ小さくした携帯可能な分割式自転車フレームを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本考案はフレームを構成する、メインパイプ、立てパイプは分割された構造としてこの結合部の保持に、ロープなどの柔軟で引張強度の強い部材を用いた1組以上の斜張構造として乗員の荷重を保持する、この結合部は回転軸や自由端で有っても斜張構造を維持する。
【0008】
このフレームのメインパイプ、立てパイプ結合部の結合及び解除はサドルを保持するためにフレーム挿入される、シートピラーとそれを固定するシートピンで結合し、シートピラーを抜き取るとメインパイプ、立てパイプに分割、又はシートピンを中心軸として回転可能として、繊維の柔軟性を利用して、各部材の分解・収納時の配置を自在にして収納サイズを小さくする。
【発明の効果】
【0009】
本考案のフレームではシートピラーを抜き取るとメインパイプ、立てパイプに分割される、組立はシートピラーをメインパイプ、立てパイプに貫通して挿入してシートピンで固定される。
【0010】
分割可能なメインパイプ、立てパイプの結合はメインパイプ、立てパイプを結ぶ繊維ロープでの斜張構造とし十分な強度を持ち、繊維の柔軟性を利用して、分解・収納時の部材配置を自在として、携帯の利便に優れ、容易に折り畳み、分解、再組立が可能な分割式自転車を提供できる。
【実施の形態】
【実施例1】
【0011】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する、
図1は本考案の自転車の全体側面図であり、フレームは上パイプ(11)に溶接などで結合されたヘッドパイプ(14)で構成されたメインパイプ(1A)、これに回転自在に固定されるフロントホーク(15)の先端に前車輪(31)が取り付く、この回転を操作するハンドル部(19)により操作されるのは通常の自転車と変わりない。
【0012】
立てパイプ(12)は駆動部(4)が組み付けられる、これを保持するチェーンステー(16)とシートステー(17)が溶接などで接合された後ろ三角(1B)、この端部には後車輪(32)が固定される、ペダル(41)を踏んで後車輪(32)に駆動力を与え走行するのは、通常の自転車と変わりない。
【0013】
フレームはメインパイプ(11)と立パイプ(12)これを連結するロープ(13)で構成した斜張構造とする、構造物として斜張橋は古くから有り、結合部が回転軸や自由端である場合に用いられ、接合部に十分な剛性が無い場合に使われ、ロープ(13)は引張強度が高く、比重の小さい高機能繊維といわれる物が良いが、通常の鋼線を束ねたワイヤーロープでも良い。
【0014】
通常の自転車ではサドルはシートピラーを立てパイプに挿入して立てパイプにシートピンにより固定される、本考案ではメインパイプ(1A)と後ろ三角(1B)の結合を解除可能な構造にするために、立てパイプ(12)と上パイプ(11)結合部の下より分割する、上パイプ(11)の後端にはシートピラー(21)が挿入され、上シートピン(27)でシートピラー(21)を固定する、立てパイプ(12)上端にも立シートピン(22)を設け、シートピラー(21)は上パイプ(11)の後端を貫通して立パイプ(12)の内径に挿入される。
【0015】
図4はシートピラー(21)が固定される立シートピン(22)と上シートピン(27)部分の斜視図になる、シートピラー(21)は立シートピン(22)と上シートピン(27)の螺合による締め付けにより直径収縮して固定される
【0016】
メインパイプ(1A)と後ろ三角(1B)は前車輪(31)と後車輪(32)の車輪中心面を同一の平面に保持する位置にフレームを組立する必要がある、立てパイプ(12)は後ろ三角(1B)の構造物の一部で、上パイプ(11)はメインパイプ(1A)構造物の一部であるので、立てパイプ(12)と上パイプ(11)の位置を規制するために、立てパイプ(12)上端には筒状の立シート耳(23)が溶接などにより接合され上パイプ(11)にはシートピンプレート(24)を上パイプ(11)に溶接などにより接合される、立シートピン(22)はシートピンプレート(24)を貫通して、次に立シート耳(23)を貫通して螺合により固定するので、立てパイプ(12)と上パイプ(11)は立シートピン(22)を軸として回転方向に位置が規制される。
【0017】
上パイプ(11)の後端には筒状の上シート耳(25)が溶接などにより接合され、上シートピン(27)はシートステー(17)の上端穴(26)を通して上シート耳(25)を貫通して固定可能とするのでシートステー(17)と上パイプ(11)は上シートピン(27)を軸として回転方向に位置が規制される。
【0018】
図5は上シートピン(27)と立シートピン(22)の螺合を解除して、シートピラー(21)を抜き取り、上シートピン(27)をシートステー(17)の上端穴(26)から抜き取るとメインパイプ(1A)が、後ろ三角(1B)が立シートピン(22)を軸として回転した部分の斜視図を表し、この全体側面図である
図2の様に折り畳める、立シートピン(22)をシートピンプレート(24)抜き取るとメインパイプ(1A)が後ろ三角(1B)が分離する、この分離した状態は図示しない。
【0019】
立てパイプ(12)と上パイプ(11)を挿入されシートピラー(21)の固定と共に、ロープ(13)でメインパイプ(1A)部材のヘッドパイプ(14)と後ろ三角(1B)部材の立てパイプ(12)下端を連結して斜張構造として、柔軟な繊維の糸およびこれを数本束ねたロープをフレームの部材にして、分解・収納時の配置を自在にし、軽量にしてコンパクトであり、分解時の収納サイズ極限まで小さくした携帯可能な分割式自転車フレームを提供できる。
【実施例2】
【0020】
図3はメインパイプ(1A)の上下にロープを配して、上下2つの斜張構造として上からの荷重だけではなく、急ブレーキなどで発生する前からの荷重も受ける物である。
【0021】
立てパイプ(12)の上部に延長立てパイプ(12A)を上シートピン(27)に回転自在に連結される、延長立てパイプ(12A)の上端とメインパイプ(1A)部材のヘッドパイプ(14)の上端を上ロープ(13B)で連結する、実施例1と同様の操作により延長立てパイプ(12A)も回転・分離可能となり、実施例1と同様の効果を得る事が出来る。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図面の簡単な説明】
【
図1】 本発明の実施例1による自転車の全体側面図。
【
図2】 本発明の折畳み時による自転車の全体側面図。
【
図3】 本発明の実施例2による自転車の全体側面図。
【
図4】
図1の状態でのシートピン分割部分の斜視図
【
図5】
図2の状態でのシートピン分割部分の斜視図。
【符号の説明】
【0023】
1A メインパイプ
1B 後ろ三角
4 駆動部
11 上パイプ
12 立パイプ
12A 延長立パイプ
13 ロープ
14 ヘッドパイプ
15 フロントホーク
16 チェーンステー
17 シートステー
19 ハンドル部
21 シートピラー
22 立シートピン
23 立シート耳
24 シートピンプレート
25 上シート耳
26 上端穴
27 上シートピン
31 前車輪
32 後車輪