IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ サンコール株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-電流遮断システム 図1
  • 特許-電流遮断システム 図2
  • 特許-電流遮断システム 図3
  • 特許-電流遮断システム 図4
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-12
(45)【発行日】2023-01-20
(54)【発明の名称】電流遮断システム
(51)【国際特許分類】
   B60R 16/02 20060101AFI20230113BHJP
【FI】
B60R16/02 650S
B60R16/02 650V
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2018240947
(22)【出願日】2018-12-25
(65)【公開番号】P2020100339
(43)【公開日】2020-07-02
【審査請求日】2021-11-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000175722
【氏名又は名称】サンコール株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100154014
【弁理士】
【氏名又は名称】正木 裕士
(74)【代理人】
【識別番号】100154520
【弁理士】
【氏名又は名称】三上 祐子
(72)【発明者】
【氏名】村上 建二
(72)【発明者】
【氏名】麦島 昭夫
【審査官】菅 和幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-312491(JP,A)
【文献】特開2013-091424(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 16/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリから負荷部へ流れる電流値を計測するシャント抵抗器と、
前記シャント抵抗器にて計測された電流値が予め設定された閾値を超えた否かを検出する閾値検出部と、
前記閾値検出部が、前記閾値を超えたことを検出すると、前記シャント抵抗器を切断するパイロスイッチと、を有し、
前記パイロスイッチは、ヒータ点火部を備えてなり、
前記閾値検出部から出力される電流が前記ヒータ点火部に流れるか否かを監視する監視部と、
前記監視部にて監視された内容を車両ECUに送信する送信部と、をさらに有してなる電流遮断システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電流遮断システムに関し、特に、電気自動車(EV車)、ハイブリット車(HV車)、プラグインハイブリット車(PHV車)等で使用される高電圧用途のバッテリからモータへ流れる電流経路の電流値を計測する際に用いられるシャント抵抗器を、所定条件に基づき、パイロスイッチにて切断する電流遮断システムに関する。
【背景技術】
【0002】
回路内で短絡または過電流が検出されたときに回路を遮断するパイロスイッチというものが知られている(例えば、特許文献1参照)。この種のパイロスイッチは、電気自動車(EV車)、ハイブリット車(HV車)、プラグインハイブリット車(PHV車)等の車両内にも設けられている。
【0003】
この点、従来のシステムを、図4を参照して具体的に説明する。図4(a)に示すように、車両内に設けられているバッテリBとモータMとの間には、バッテリBからモータMへ流れる電流Iの電流値を計測する際に用いられるシャント抵抗器100が接続されている。このシャント抵抗器100は、抵抗体101と、銅等の金属からなる母材102(所謂バスパー)と、で主に構成されている。しかして、このようなシャント抵抗器100の母材102上には、図4(a)に示すように、パイロスイッチ200が設けられている。このパイロスイッチ200は、車両の事故時に衝突を検出して動作するエアバック制御装置からの信号を受信するヒータ点火部201と、ヒータ点火部201の発動によって爆発する火薬202と、爆発した火薬202によって、図4(b)に示すように、シャント抵抗器100の母材102を切断する切断部203と、で構成されている。なお、ヒータ点火部201には、ヒータ点火部201を動作させるための電源Vが接続されている。
【0004】
かくして、このように、車両内にパイロスイッチ200を設けておくことにより、車両の事故時に衝突を検出して動作するエアバック制御装置からの信号を契機として、バッテリBの配線を安全に切断することができることとなる。すなわち、車両の事故時、車両の変形の結果としてバッテリBの配線の切断やショート等の毀損が生じると、大電流が流れ、配線やバッテリBの発熱・発火等の2次的被害の恐れが高まることとなる。しかしながら、このように、パイロスイッチ200を設け、シャント抵抗器100の母材102を切断することにより、このような恐れを防止することが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特表2003-534523号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、車両の事故時に衝突を検出して動作するエアバック制御装置からの信号を契機として、シャント抵抗器100の母材102を切断するようにすると、車両の事故時、バッテリBの配線の切断やショート等の毀損が生じていなくとも、エアバック制御装置からの信号を受信すると、パイロスイッチ200が動作してしまい、もって、シャント抵抗器100の母材102を切断してしまうこととなる。これにより、バッテリBから供給される全電源の喪失により、モータM等に電力が供給されなくなることによって、例えば、車両のドアが開かなくなり、もって、車両外に出られないという問題があった。
【0007】
また、車両の事故時、エアバック制御装置からの信号が毀損してしまい、もって、パイロスイッチ200が動作しなくなり、バッテリBの配線を安全に切断することができないという問題があった。
【0008】
さらに、ヒータ点火部201とエアバック制御装置からの信号との配線に断線が生じていると、エアバック制御装置からの信号を受信することができないため、パイロスイッチ200が動作せず、もって、バッテリBの配線を安全に切断することができないという問題があった。また、そのような状態を検出することができないという問題があった。
【0009】
そこで、本発明は、上記問題に鑑み、パイロスイッチを用いて、バッテリの配線をより安全に切断することができる電流遮断システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記本発明の目的は、以下の手段によって達成される。なお、括弧内は、後述する実施形態の参照符号を付したものであるが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0011】
請求項1の発明によれば、バッテリ(B)から負荷部(例えば、モータM)へ流れる電流値を計測するシャント抵抗器(100)と、
前記シャント抵抗器(100)にて計測された電流値が予め設定された閾値を超えた否かを検出する閾値検出部(10)と、
前記閾値検出部(10)が、前記閾値を超えたことを検出すると、前記シャント抵抗器(100)を切断するパイロスイッチ(200)と、を有し、
前記パイロスイッチ(200)は、ヒータ点火部(201)を備えてなり、
前記閾値検出部(10)から出力される電流が前記ヒータ点火部(201)に流れるか否かを監視する監視部(11)と、
前記監視部(11)にて監視された内容を車両ECUに送信する送信部(例えば、CAN通信部12)と、をさらに有してなることを特徴としている。
【発明の効果】
【0013】
次に、本発明の効果について、図面の参照符号を付して説明する。なお、括弧内は、後述する実施形態の参照符号を付したものであるが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0014】
請求項1に係る発明によれば、バッテリ(B)から負荷部(例えば、モータM)へ流れる電流値を計測するシャント抵抗器(100)にて計測された電流値が予め設定された閾値を超えた否かを閾値検出部(10)にて検出し、閾値を超えたことを検出すると、パイロスイッチ(200)にてシャント抵抗器(100)を切断するようにしている。これにより、バッテリ(B)の配線の切断やショート等の毀損が生じていない場合に、パイロスイッチ(200)を動作させてしまうことが無くなり、もって、バッテリ(B)からモータ(M)の電力が得られなくなることによって、車両のドアが開かなくなり、車両外に出られないという問題を解決することができる。さらに、閾値検出部(10)がシャント抵抗器(100)にて計測した電流値が閾値を超えたことを検出するため、閾値検出部(10)がシャント抵抗器(100)の近傍に位置し、パイロスイッチ(200)にてシャント抵抗器(100)を切断する関係上、パイロスイッチ(200)がシャント抵抗器(100)の近傍に位置する。それゆえ、閾値検出部(10)がパイロスイッチ(200)の近傍に、設けられることとなる。これにより、シャント抵抗器(100)にて計測した電流値が閾値を超えたことを示す信号配線が、パイロスイッチ(200)の近傍に位置することとなる。それゆえ、従来のように、車両の事故時、エアバック制御装置からの信号が毀損してしまう事態を低減することができる。
【0015】
しかして、本発明によれば、パイロスイッチを用いて、バッテリの配線をより安全に切断することができる。
【0016】
さらに、請求項に係る発明によれば、監視部(11)にて、閾値検出部(10)の出力と、パイロスイッチ(200)のヒータ点火部(201)との電気的な接続状態を監視し、送信部(例えば、CAN通信部12)にて、その監視内容を車両ECUに送信するようにしている。これにより、電気的な接続状態を常に監視することができるため、断線が生じているか否かを確認することができる。それゆえ、従来のように、断線が生じていることに気付かず、パイロスイッチ(200)が動作しないという問題を解決することができ、もって、バッテリ(B)の配線をより安全に切断することができる。また、車両の各部を制御する車両ECUに監視内容を送信することにより、車両ECUにて断線が発生していることを早期に検出することができ、もって、不具合が生じていることを早期に報知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の一実施形態に係るシステムを示す概念ブロック図である。
図2】(a)は同実施形態に係るシステムの一部を示し、特に、パイロスイッチが動作した後の状態を示す概念ブロック図、(b)は、同実施形態に係るシステムの一部を示し、特に、パイロスイッチが動作した後に発生するエネルギーを抑制する方法を説明する概念ブロック図である。
図3】同実施形態に係るシステムの一使用例を示すフローチャート図である。
図4】従来のシステムを示し、(a)はパイロスイッチが動作する前の状態を示し、(b)はパイロスイッチが動作した後の状態を示す概念ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明に係るシステムの一実施形態を、図面を参照して具体的に説明する。なお、以下の説明において、上下左右の方向を示す場合は、図示正面から見た場合の上下左右をいうものとする。また、従来と同一の部材は同一の符号を付し、詳細な説明は省略することとする。
【0019】
本実施形態に係るシステムは、図1に示すように、電流検出センサ1と、抑制部2と、バッテリBとモータMとの間に設けられ、バッテリBからモータMへ流れる電流Iの電流値を計測するシャント抵抗器100と、シャント抵抗器100の母材102上に設けられているパイロスイッチ200と、で構成されている。
【0020】
電流検出センサ1は、図1に示すように、閾値検出部10と、監視部11と、CAN通信部12と、で構成されている。閾値検出部10は、シャント抵抗器100にて計測したバッテリBからモータMへ流れる電流Iの電流値を増幅する増幅器10aと、増幅器10aにて増幅された電流値が予め設定された閾値(例えば、2000A)を超えたか否かを検出する比較器10bと、で構成されている。なお、比較器10bの出力と、パイロスイッチ200のヒータ点火部201とは電気的に接続されている。また、パイロスイッチ200は、従来と異なり、予め設定された閾値(例えば、2000A)を超えたことによる信号を受信することによって、動作するようになっている。
【0021】
一方、監視部11は、閾値検出部10(比較器10b)の出力と、パイロスイッチ200のヒータ点火部201との電気的な接続状態を監視するものである。具体的には、閾値検出部10(比較器10b)から出力される電流がヒータ点火部201に流れるか否かを監視するものである。これにより、閾値検出部10(比較器10b)の出力と、パイロスイッチ200のヒータ点火部201との配線に断線が生じているか否かを確認することができる。かくして、監視部11にて監視された内容は、監視部11からCAN通信部12に出力されることとなる。なお、閾値検出部10(比較器10b)から出力される電流は、ヒータ点火部201が発動しない程度の微小電流である。
【0022】
一方、CAN通信部12は、CAN(Controller Area Network)を通信プロトコルとして用いた通信部であって、監視部11より出力された内容を受信するものである。そして、このCAN通信部12は、受信した内容を、車両の各部を制御する車両ECU(Electronic Control Unit)に送信されることとなる。
【0023】
抑制部2は、パイロスイッチ200の切断部203にて、シャント抵抗器100の母材102が切断される(図2参照)ことによって発生するエネルギーを抑制するものである。具体的には、図1に示すように、抑制部2は、ダイオード20からなるもので、ダイオード20のカソード側20aが、シャント抵抗器100の母材102とモータMとの間に接続され、アノード側20bが、モータMに接続されている。
【0024】
かくして、上記のように構成されるシステムは、次のように使用される。
【0025】
図3に示すように、まず、閾値検出部10の比較器10bに閾値(例えば、2000A)が設定される(ステップS1)。
【0026】
次いで、バッテリBからモータMへ電流I(図1参照)が流れると、シャント抵抗器100にて電流値が計測されることとなる(ステップS2)。
【0027】
次いで、シャント抵抗器100にて計測した電流値を増幅器10aに増幅し、増幅した電流値が予め設定された閾値(例えば、2000A)を超えたか否かを比較器10bにて検出する(ステップS3)。
【0028】
閾値を超えていなければ(ステップS3:NO)、閾値検出部10(比較器10b)の出力と、パイロスイッチ200のヒータ点火部201との電気的な接続状態を監視部11にて監視する(ステップS4)。そして、監視部11にて監視された内容は、監視部11からCAN通信部12に出力され、CAN通信部12にて受信されることとなる。これにより、監視された内容がCAN通信部12から車両ECUに送信されることとなる(ステップS5)。
【0029】
しかして、このようにすれば、従来の問題点を解決することができる。すなわち、従来においては、図4に示すように、エアバック制御装置からの信号を契機として、パイロスイッチ200を動作させるようにしている。そのため、ヒータ点火部201とエアバック制御装置からの信号との配線に断線が生じていると、エアバック制御装置からの信号を受信することができないため、パイロスイッチ200が動作せず、もって、バッテリBの配線を安全に切断することができないという問題があった。また、そのような状態を検出することができないという問題があった。
【0030】
この点、本実施形態に示すように、閾値検出部10(比較器10b)の出力と、パイロスイッチ200のヒータ点火部201との電気的な接続状態を監視部11にて監視し、CAN通信部12を介して、車両ECUに送信することにより、電気的な接続状態を常に監視することができる。それゆえ、閾値検出部10(比較器10b)の出力と、パイロスイッチ200のヒータ点火部201との配線に断線が生じているか否かを確認することができる。これにより、従来のように、断線が生じていることに気付かず、パイロスイッチ200が動作しないという問題を解決することができ、もって、バッテリBの配線をより安全に切断することができることとなる。また、車両の各部を制御する車両ECUに監視内容を送信することにより、車両ECUにて断線が発生していることを早期に検出することができ、もって、不具合が生じていることを早期に報知することができることとなる。
【0031】
一方、閾値を超えていれば(ステップS3:YES)、閾値検出部10(比較器10b)より、閾値を超えたことを示す信号が出力され、もって、ヒータ点火部201にてその信号が受信されることとなる。これを受けて、ヒータ点火部201が発動することとなる。これにより、火薬202が爆発し、爆発した火薬202によって切断部203が動作することとなる(ステップS6)。切断部203が動作すると、図2(a)に示すように、切断部203にて、シャント抵抗器100の母材102が切断されることとなり、もって、バッテリBの配線が切断されることとなる(ステップS7)。
【0032】
しかして、このように、シャント抵抗器100にて計測した電流値が閾値を超えたことにより、パイロスイッチ200を動作させるようにすれば、従来の問題点を解決することができる。すなわち、従来においては、図4に示すように、車両の事故時、バッテリBの配線の切断やショート等の毀損が生じていなくとも、エアバック制御装置からの信号を受信すると、パイロスイッチ200が動作してしまい、もって、シャント抵抗器100の母材102を切断してしまうこととなる。これにより、バッテリBから供給される全電源の喪失により、モータM等に電力が供給されなくなることによって、例えば、車両のドアが開かなくなり、もって、車両外に出られないという問題があった。
【0033】
この点、本実施形態に示すように、シャント抵抗器100にて計測した電流値が閾値を超えたことにより、パイロスイッチ200を動作させるようにすれば、バッテリBの配線の切断やショート等の毀損が生じていない場合(バッテリBの配線の切断やショート等の毀損が生じていなければ、閾値(例えば、2000A)を超えることはない)に、パイロスイッチ200を動作させてしまうことが無くなり、もって、バッテリBから供給される全電源の喪失により、モータM等に電力が供給されなくなることによって、例えば、車両のドアが開かなくなり、車両外に出られないという問題を解決することができる。
【0034】
また、本実施形態に示すように、電流検出センサ1(閾値検出部10)がシャント抵抗器100にて計測した電流値が閾値を超えたことを検出するため、電流検出センサ1(閾値検出部10)がシャント抵抗器100の近傍に位置し、パイロスイッチ200にてシャント抵抗器100を切断する関係上、パイロスイッチ200がシャント抵抗器100の近傍に位置することとなる。それゆえ、電流検出センサ1(閾値検出部10)がパイロスイッチ200の近傍に、設けられることとなる。これにより、シャント抵抗器100にて計測した電流値が閾値を超えたことを示す信号配線が、パイロスイッチ200の近傍に位置することとなるから、従来のように、車両の事故時、エアバック制御装置からの信号(図4参照)が毀損してしまう事態を低減することができる。それゆえ、従来のように、パイロスイッチ200が動作しなくなり、もって、バッテリBの配線を安全に切断することができないという事態を低減させることができる。
【0035】
しかして、本実施形態によれば、パイロスイッチ200を用いて、バッテリBの配線をより安全に切断することができることとなる。
【0036】
ところで、図4(b)に示すように、パイロスイッチ200によって、シャント抵抗器100の母材102を切断し、バッテリBの配線を切断すると、バッテリBの配線や部品の持つインダクタンスに蓄積されたエネルギーによって高電圧が発生し、もって、火花が生じて、バッテリBや周辺デバイスの破壊・焼損に至る場合があるという問題があった。
【0037】
そこで、本実施形態においては、パイロスイッチ200の切断部203にて、シャント抵抗器100の母材102が切断される(図2参照)ことによって発生するエネルギーを抑制する抑制部2を設けている。すなわち、閾値検出部10(比較器10b)より出力された閾値を超えたことを示す信号を契機として、図2(a)に示すように、切断部203にて、シャント抵抗器100の母材102が切断されると、バッテリBの配線や部品の持つインダクタンスに蓄積されたエネルギーによってモータM側に高電圧が発生することとなる。それゆえ、モータM側に抑制部2を設けることにより、図2(b)に示すように、矢印Y1方向に電流が還流されることとなる。これにより、パイロスイッチ200の切断部203にて、シャント抵抗器100の母材102が切断される(図2参照)ことによって発生するエネルギーを抑制することができることとなる。しかして、本実施形態によれば、従来のように、バッテリBの配線や部品の持つインダクタンスに蓄積されたエネルギーによって高電圧が発生し、もって、火花が生じて、バッテリBや周辺デバイスの破壊・焼損に至るという事態を低減させることができる。これにより、本実施形態に示すシステム自体を保護することができる。
【0038】
しかして、本実施形態によれば、パイロスイッチ200を用いて、バッテリBの配線を切断した際発生するエネルギーを、抑制することができることとなる。
【0039】
また、抑制部2をダイオード20で構成することにより、ダイオード20のカソード側20aを、シャント抵抗器100の母材102とモータMとの間に接続し、アノード側20bを、モータMに接続するだけで良いため、簡易な回路構成で構成できることとなる。
【0040】
なお、本実施形態において示した電流検出センサ1は、あくまで一例であり、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において種々の変形・変更が可能である。例えば、閾値検出部10として、増幅器10aと、比較器10bとで構成する例を示したが、それに限らず、比較器10bだけで構成しても良い。また、閾値検出部10は、シャント抵抗器100にて計測したバッテリBからモータMへ流れる電流Iの電流値と、予め設定された閾値(例えば、2000A)とを比較するものであれば、どのような回路構成でも良い。
【0041】
また、本実施形態においては、シャント抵抗器100にてバッテリBからモータMへ流れる電流Iの電流値を計測する例を示したが、それに限らず、シャント抵抗器100にてバッテリBからモータM以外の他の負荷部へ流れる電流の電流値を計測するようにしても良い。
【0042】
一方、電流検出センサ1とパイロスイッチ200とを、製造するにあたっては、別体で製造しても良いし、一体として製造しても良い。一体として製造すれば、コンパクトにすることができ、設置スペースを小さくするこができる。
【0043】
また一方、本実施形態においては、パイロスイッチ200を動作させる契機として、予め設定された閾値(例えば、2000A)を超えたことによる信号を契機としたが、この信号と合わせて、エアバック制御装置からの信号を用いても良い。
【0044】
また一方、抑制部2は、上記説明したシステム以外でも、図4に示す従来のシステムにも適用することが可能である。
【符号の説明】
【0045】
1 電流検出センサ
2 抑制部
10 閾値検出部
11 監視部
12 CAN通信部(送信部)
20 ダイオード
20a カソード側
20b アノード側
100 シャント抵抗器
200 パイロスイッチ
B バッテリ
M モータ(負荷部)

図1
図2
図3
図4