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特許7209538生理的パラメータを監視するための装置および方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-12
(45)【発行日】2023-01-20
(54)【発明の名称】生理的パラメータを監視するための装置および方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/0205 20060101AFI20230113BHJP
   A61B 5/0295 20060101ALI20230113BHJP
   A61B 5/087 20060101ALI20230113BHJP
   A61B 5/33 20210101ALI20230113BHJP
   A61B 5/349 20210101ALI20230113BHJP
   A61M 16/00 20060101ALI20230113BHJP
【FI】
A61B5/0205
A61B5/0295
A61B5/087
A61B5/33
A61B5/349
A61M16/00 370Z
【請求項の数】 23
(21)【出願番号】P 2018525441
(86)(22)【出願日】2016-11-15
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-01-10
(86)【国際出願番号】 US2016061993
(87)【国際公開番号】W WO2017087366
(87)【国際公開日】2017-05-26
【審査請求日】2019-11-11
(31)【優先権主張番号】62/255,915
(32)【優先日】2015-11-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/264,734
(32)【優先日】2015-12-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/302,684
(32)【優先日】2016-03-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/331,263
(32)【優先日】2016-05-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/402,244
(32)【優先日】2016-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】517233911
【氏名又は名称】レスピリックス,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002516
【氏名又は名称】弁理士法人白坂
(72)【発明者】
【氏名】ルソン,エヴァン・エス.
(72)【発明者】
【氏名】バーネット,ダニエル・アール.
(72)【発明者】
【氏名】ベルガラ,アレキサンダー
(72)【発明者】
【氏名】ツィーグラー,マーク
(72)【発明者】
【氏名】ヴィスワナタン,ニキル
(72)【発明者】
【氏名】ヘマティ,マイケル
【審査官】山口 裕之
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第06186956(US,B1)
【文献】特表2007-525267(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0025597(US,A1)
【文献】特開2015-033568(JP,A)
【文献】特表2015-508672(JP,A)
【文献】国際公開第2015/134895(WO,A1)
【文献】特開平02-195941(JP,A)
【文献】特表2015-526114(JP,A)
【文献】特表2014-524326(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0364758(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/0205
A61B 5/087
A61B 5/33
A61B 5/346
A61B 5/0295
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
心機能の直接的な指標であり、心拍出量、一回拍出量と直接相関する心原性オシレーションを捕捉し、当該心原性オシレーションを経時的に追跡することによって、ユーザの健康状態を判定するための気道装置であって、
マウスピース部と、同マウスピース部を通る1つまたは複数の気道内腔を画定する開口部と、
前記マウスピース部と接続されたハンドピースと、
前記1つ以上の気道内腔と流体連通し、前記ユーザが前記1つ以上の気道内腔を吸息または呼息するときに気道内圧を検知するように構成される第1のセンサと、
前記ハンドピース上に配置され、前記ユーザの一部に接触して前記ユーザから心拍に関する生理的信号を検知するように構成される第2のセンサと、
前記第1のセンサおよび前記第2のセンサと通信する制御装置とを備え、
前記制御装置は、前記第1のセンサから受信した前記気道内圧の心原性オシレーションに基づき、前記心原性オシレーションの圧力曲線を生成し、前記心原性オシレーションの圧力曲線を、健常な場合の心原性オシレーションの圧力曲線と比較することによって、前記ユーザの健康状態を判定するものであって、前記心原性オシレーションを、前記第2のセンサから受信した心拍対応する圧力データに同期させ、前記心原性オシレーションの圧力曲線を、前記心拍のタイミングに基づいて分割することにより、一心拍当たりの前記圧力曲線を複数収集し、複数の前記心原性オシレーションの圧力曲線を平均化、または、前記複数の前記心原性オシレーションの圧力曲線の中央値曲線を構築するようにプログラムされ、
前記制御装置は、前記生理的信号を検知するときに、前記ユーザに、前記ユーザ自身による呼吸パターンの変更と、前記ユーザ自身による呼吸パターンの変更の停止とを促すインジケータを提示するようにプログラムされていることを特徴とする気道装置。
【請求項2】
前記第2のセンサは、心電図センサを備えることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記第1のセンサは、前記気道内圧における前記心原性オシレーションを検知するように構成されていることを特徴とする請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記制御装置は、前記気道内圧内の前記心原性オシレーションを、前記生理的信号から検知される収縮期脈拍データまたは拡張期脈拍データと相関させるようにプログラムされることを特徴とする請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記制御装置は、前記気道内圧内の前記心原性オシレーションを、前記生理的信号から検知されるQRS複合体と相関させるようにプログラムされることを特徴とする請求項3に記載の装置。
【請求項6】
前記第2のセンサは、パルスオキシメータまたはフォトプレチスモグラフセンサを含むことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記第2のセンサは、同第2のセンサが前記ユーザの手または指に接触するように前記ハンドピースの表面上に配置されることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記制御装置は、前記ユーザからの呼息中に前記気道内圧を検知し、同気道内圧が予め定められた範囲内にあるかどうかを判断するようにさらにプログラムされていることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記制御装置は、前記ユーザから、前記制御装置による促しの結果として生じる呼息圧力を検知するようにさらにプログラムされていることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項10】
前記制御装置は、前記結果として生じた呼息圧力が、修正バルサルバ法の操作から検知されるように、前記ユーザが修正バルサルバ法の操作を行うように促すようにさらにプログラムされていることを特徴とする請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記制御装置は、前記結果として生じる呼息圧力が予め定められた圧力の範囲内にあるかどうかを前記ユーザに示すようにプログラムされることを特徴とする請求項9に記載の装置。
【請求項12】
前記予め定められた圧力の範囲が5乃至20mmHgであることを特徴とする請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記制御装置は、予め定められた期間にわたって前記結果として生じる呼息圧力を検知するようにプログラムされることを特徴とする請求項9に記載の装置。
【請求項14】
前記予め定められた期間は、10秒までであることを特徴とする請求項13に記載の装置。
【請求項15】
前記制御装置は、前記結果として生じる呼息圧力のパラメータに関して前記ユーザにフィードバックを提供するようにさらにプログラムされることを特徴とする請求項9に記載の装置。
【請求項16】
前記気道装置から遠隔に位置するサーバをさらに備え、前記気道装置は前記サーバと通信することを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項17】
前記制御装置は、前記ユーザに、前記ユーザの身体の位置を変更するように求めるプロンプトを提供するようにさらにプログラムされることを特徴とする請求項1に記載の装置
【請求項18】
前記身体の位置が仰臥位または座位を含むことを特徴とする請求項17に記載の装置。
【請求項19】
前記マウスピース部および前記開口部は、互いに分離された呼息気道内腔および吸息気道内腔を含むことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項20】
前記呼息気道内腔または前記吸息気道内腔が、一方向弁をさらに備えることを特徴とする請求項19に記載の装置。
【請求項21】
前記1つまたは複数の気道内腔を通る空気流を制限するリストリクタをさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項22】
前記制御装置は、前記第1のセンサおよび前記第2のセンサと通信するスマートフォンを備えることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項23】
前記気道装置上に配置され、前記ユーザの唾液中の検体または化合物を検知するように構成された第3のセンサをさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、心臓機能を監視する分野に関する。
【背景技術】
【0002】
本明細書で言及した全ての刊行物および特許出願は、そのような個々の刊行物または特許出願のそれぞれが具体的かつ個別に示されているのと同程度に参照により本明細書に組み込まれる。心不全(HF)は、米国における65歳以上の成人の入院の主因である。2014年に米国で510万人以上の人々がHFの診断を受けており、毎年9人に1人がこの病気に起因する合併症に帰する。急性代償不全は、生命を脅かすHFの結果であり、胸腔内の制御されない体液滞留により、心臓の十分な循環を維持することが妨げられる場合に生じる。HF患者を管理する重要な要素は、心機能に応じて患者の薬物療法を調整することによって適切な体液量を維持することにある。呼吸困難、浮腫、および体重増加などの体液量測定値は、心機能の悪化の間接的指標として自宅の患者によって監視することができるが、高度に非特異的であり、入院率に影響を及ぼす十分な解決を伴う代償不全リスクを予測することはできない。最近の証拠によると、移植可能なセンサを介して心臓機能を直接監視することにより、投薬調整によりいつ代償不全および入院の必要性を防ぐことができるかどうかを判断するための遠隔監視ツールが医師に提供される。しかしながら、これらのセンサのコストおよび侵襲的な性質により、臨床的採用の可能性が厳しく制限される。
【0003】
様々な機構が、心機能および健康を判断するために用いられている。これらには、動脈波形モニタリング装置などの侵襲性の低い技術に対するスワンガンツカテーテル(登録商標)や肺動脈移植物などの侵襲的な技術や、生体インピーダンスモニタのような表面装着型技術および体重監視用の測定器のような非接触技術が含まれる。侵襲的な技術はより正確であるが、より危険でもあり、非侵襲的な技術はリスクは低いが、扱いにくく、一般的にそれほど正確ではない。採取された体液、末梢浮腫、腹水、胸水および体重の存在も、CHF患者の心機能を監視するために使用することができるが、これらのパラメータは、実際の心拍出量との相関が低い症候的な代用物に過ぎない。
【0004】
必要とされるものは、診療所、病院および/または家庭環境において心拍出量の一貫した測定が可能である心機能パラメータおよび他の生理的パラメータの単純で再現可能かつ正確な監視である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、心拍出量、一回拍出量、および心機能を追跡するための使い易い家庭ベースの装置および方法を提供する。本発明は、心臓弁の病状などの構造的問題を診断するのに有用な、心周期の機械的位相を監視するためにさらに使用することができる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、遠隔設定において心臓機能を直接監視することができる非侵襲的呼吸モニタである。呼吸モニタまたは気道装置/制御装置は、心周期に対応する肺血流量の変化によって生成される心原性オシレーション(COS)として周知の呼息気流圧力のわずかな変動を検知する。心臓オシレーションの強度、大きさ、または大きさの変化は、心機能の直接的な指標であり、一回拍出量と直接相関し、肺動脈圧に反比例する。
【0007】
心原性オシレーションまたは心臓パルスによって引き起こされる軽微かつ周期的な波形は、呼息および吸息のバルク圧力および流量の測定で検知することができる。本発明の方法および装置は、動物またはヒトの気道における検知された圧力プロファイル内の心臓オシレーションまたは脈動を検知および分離するこの能力を利用する。被験者の気道内で約100Hz、または約80Hz乃至約120Hzで測定される圧力は、圧力信号の優れた分解能を可能にする。気道内の圧力をこの周波数で測定すると、結果として生じる圧力曲線において心原性オシレーションが視認される。これらの脈動は呼息終了時または息止め中に最もよく見られるが、呼吸周期を通して見ることができる。この結果は、肺に近接して心臓が鼓動し、続いて圧力変動が気管を介して口および鼻に伝わる結果である。それはまた、肺の血流の結果でもあり、これは、心臓が鼓動するにつれて肺をわずかに圧迫し得る。
【0008】
心臓オシレーションの大きさは、心臓オシレーション圧力波形の標準偏差または変動によって示され、心機能の直接的な指標であり、一回拍出量と直接相関し、肺動脈圧に反比例する。心不全患者の心機能は、健康な個人の心機能と比較して低下し、健康な被験者に対して心臓オシレーションの曲線を減衰させる。
【0009】
本明細書に開示の一実施形態による気道装置では、装置は、マウスピース部と、このマウスピース部を通る1つ以上の気道内腔を画定する開口部とを通常含む。気道装置は、1つまたは複数の気道内腔と流体連通し、かつユーザが1つまたは複数の気道内腔を吸息または呼息するときに気道内圧を検知するように構成された第1のセンサと、ユーザの一部に接触するようにハンドピース上に配置され、かつユーザからの生理的信号を検知するように構成された第2のセンサと、第1および第2のセンサと通信する制御装置とを備え、制御装置は、第1のセンサから受信した気道内圧の圧力オシレーションを、第1のセンサ、第2のセンサから受信される心拍、または大まかな気道内圧に対応する圧力データと相関させるようにプログラムされている。
【0010】
一実施形態による生理的パラメータを相関させる方法において、この方法は、一般に、マウスピース部および開口部を有する呼吸装置の1つまたは複数の気道内腔を介してユーザが吸息または呼息する間、ユーザの気道内圧を第1のセンサによって検知する工程と、呼吸装置のハンドピース上に配置された第2のセンサによって、第2のセンサと接触しているユーザから検知される生理的信号を検知する工程と、制御装置によって、第1のセンサから受信した気道内圧の圧力オシレーションを、第1のセンサ、第2のセンサから受信される心拍のタイミング、または大まかな気道内圧に対応する圧力データに相関させる工程とを含む。
【0011】
本発明は、(患者の鼻または口を介して)気道を1つまたは複数の圧力センサ、流量センサ、および/または他のセンサに暴露することによって気道内の圧力および/または流れを検知する。喉頭蓋が開いたとき、気道へのこの暴露により、圧力センサおよび/または流量センサは、心機能中に生じる小さな脈動を検知することができる。これらの変動はまた、喉頭蓋が閉鎖されたときに、敏感なセンサで検知され得る。適切な感度の高いセンササンプリングを高速周波数で行うことにより、心臓の収縮、弛緩および弁開口に対応する気道内の波形を視認できる。この現象は反復可能であることが分かっており、心臓および肺の機能および/または症状(すなわち、肺水腫、胸水、うっ血性心不全、大動脈弁閉鎖不全、僧帽弁、肺動脈、三尖弁閉鎖不全など)の追跡のみならず、気道装置を使用する患者の疾患を診断するために使用される。ECGは、心臓に送られる電気信号に基づいて心臓状態を監視および診断するために使用されるが、本発明は、心臓の実際の機械的機能に基づく追加の情報を提供する。
【0012】
好ましくは、圧力および/または流量データの曲線の下の振幅および/または面積は、相対肺血流量、相対一回拍出量、および/または相対肺動脈圧を測定するために使用することができる。例えば、肺血流量が増加するにつれて、呼吸中の流れ脈動の振幅が増加する。圧力曲線の傾き、曲線の変化または曲線の標準偏差などの追加のパラメータもまた、相対心機能を判断するために使用することができる。経時的に追跡されると、これらのパラメータは患者の心臓の健康状態の変化を非侵襲的に把握し、それに応じて看護を調整するために使用することができる。これは、状態の変化について定期的に監視されている心不全患者などの人々に特に有用である。患者の圧力/流量曲線データは、特定の患者または患者群の健康を評価するために、健常または不健常な患者集団のデータと比較することもできる。
【0013】
いくつかの実施形態では、患者は、制御装置によって、数周期の間自然に装置に呼吸するよう促される。これは制御装置によって自動的に行われる。さらに、日常生活の活動中に気道装置を単純に口に入れて着用することにより、呼吸速度を自然に検知することができ、また、進行中の病気の別の強力な予測因子および指標を与えることができる。いくつかの実施形態では、気道装置/制御装置は、心拍出量および肺機能を一貫して測定できるように、呼息の速度を計算するとともに各患者について呼吸の同じ段階で心原性オシレーションを捕捉することができる。他の実施形態では、サンプルの平均値または中央値をその特定の測定値の代表値として使用する。例えば、患者は、圧力、流れ、および他の信号が捕捉される間に、2分、5分、または10分間定期的に呼吸し、最後に、心原性オシレーションによって引き起こされる信号の平均振幅などのセッション値が報告される。このようにして、測定内変動が低減されるとともに信号対雑音比が改善される。
【0014】
さらに、いくつかの実施形態では、患者は、深く吸息して呼吸を止めるように制御装置によって促され(または、人工呼吸器と併用される場合、人工呼吸器は吸息終了時、呼息終了時、あるいは他のときに、手動で、または好ましくは、気道装置/制御装置と人工呼吸器との間の通信、若しくは人工呼吸器への気道装置/制御装置の組み込みにより自動的に停止可能であり)、圧力波形に対する呼吸の影響を確認する。呼吸脈圧波形の変動は、水分状態および体積状態を判定するために使用することができる。脱水または血液量減少の患者は、呼吸に伴って変化する胸郭圧とともに心機能の変化により呼吸周期全体にわたって変化する脈圧波形を確認することになる。流体の状態が回復すると、この変動は減少し、変動がないと、流体の状態が回復したという強力な指標が得られる。脈圧変動に加えて、心拍変動を用いて流体状態を評価してもよい。変動は、自然換気または機械換気の間に連続的に評価され、または呼吸器の休止中に評価され、変動を追跡するために時間の経過とともに吸息終了時および/または呼息終了時の変化を確認してもよい。呼吸中または息止め中の終了吸息パルス振幅対終了呼息パルス振幅の比を測定する。他のパラメータに加えて、波形ピーク対ピーク周期および振幅の変化が測定される。
【0015】
いくつかの実施形態では、患者は、咽喉を開放したままにして(すなわち、声門および/または喉頭蓋を開放したままにして)抵抗に対して呼息するように制御装置によって促されてもよい。これを「修正バルサルバ法」すなわちMVMと呼ぶ。患者/ユーザは、特定の圧力範囲内および特定の時間内に呼息するように促される。例えば、ユーザは、少なくとも5秒間、10mmHg(プラスマイナス0.5mmHg)(約1.333kPa(プラスマイナス約0.066kPa))の圧力で呼息するように促される。「呼息」には、閉鎖されたシステムまたは開放されたシステムへの呼息が含まれる。システムが例えば抵抗制御オリフィスにより開放されている場合、抵抗制御オリフィスは、所与の時間枠内でユーザが所与の圧力で呼息するのに十分なほど小さくなければならない。すなわち、換気口は、必要なMVM圧力で息の空気容量以上を逃がすことができない。ユーザは、適切なパラメータ(開放咽喉、圧力、および時間)内でMVMを実行するように、制御装置によって促されるか、または指示される。
【0016】
呼吸停止は、人工呼吸器停止後の呼吸終期のCO2における心拍出量変化の別の測定要因を提供するために使用されてもよい。呼吸脈圧波形分析を呼吸終期CO法と組み合わせて使用することにより、結果の精度が向上し、この方法が脈圧変動の影響を受けにくくなる。
【0017】
加えて、実際の、または絶対的な心拍出量は、気道装置/制御装置を用いた較正なしに測定することができる。気道装置/制御装置を肺活量計または人工呼吸器と組み合わせることにより、肺内の空気量を正確に推定することができる。加えて、実際の、または絶対的な心拍出量は、エアフローセンサおよび酸素センサだけでなく、呼吸終期COを測定するためにCOセンサを使用して測定することができる。心拍出量を測定するための計算は、Brian P. Young、MD、およびLewis L. Low、MDの「Noninvasive Monitoring Cardiac Output Using Partial CO2 Rebreathing」に記載されているように行うことができる。肺活量計および/または人工呼吸器は、固定式または歩行式であってもよく、または小型でマウスピース自体に内蔵されてもよい。
【0018】
別の実施形態では、絶対的一回拍出量、心拍出量、および/または肺動脈圧は、相関係数が血圧を推定するためにパルス通過時間とともに使用される方法と同様に、気道内の圧力または流れ曲線の振幅を肺内の空気量と比較し、性別および身長などの患者ベースの変数に基づく相関係数を使用して推定することができる (Gesche, Heiko, et al.による“Continuous blood pressure measurement by using the pulse transit time: comparison to a cuff-based method.”(2011)を参照のこと)。このようにして、本発明は、真の一回拍出量を表す、心臓パルスによって肺内で移動された実際の量を推定するために使用される。ECGまたはパルスオキシメトリ信号を使用することによりパルス通過時間を測定することが支援される。
【0019】
さらに、低脈圧の可変性の設定において、この技術は、肺の死腔を計算するために使用することもできる。これは、吸息終了時および呼息終了時の心臓脈圧波形を比較することによって行うことができる。一回換気量が分かっている場合(すなわち、肺活量測定または機械換気を用いて)、心臓パルスが一定であると仮定すると、心臓パルスの大きさを調べるとともに心臓パルスの予測される振幅を計算し、心臓パルスの実際の振幅を測定し、2つの振幅間の差から死腔情報を判定することにより(余分な死腔がさらに圧縮されているため)、肺の死腔を計算することができる。総肺容積は、固定量の検体または肺への少量の気体/空気の適用、次いで、当該量の空気の送達後(吸息時における息止めを想定)の分析物の得られた濃度または最終圧力の計算によってさらに計算される。
【0020】
その使い易さと非侵襲性のために、本発明は自宅での健康管理の監視に適している。好ましい実施形態では、気道装置はハンドヘルドまたは身体装着される(しかし、必ずしもその態様にある必要はない)。気道装置は、気道内の流量/容積、圧力、温度、および/または気体濃度を連続的または断続的に測定する。患者の操作が、気道装置/制御装置によって要求され(すなわち、「呼吸を深くしてから5秒間息を止める」)、気道装置/制御装置は、抽出された情報を患者および/または医療提供者に自動的に若しくは手動で、またはモバイル装置、コンピュータ、サーバ、若しくは他の装置により伝達することができる。差し迫った問題や危険を警告するため、またはその使用を通してユーザを案内するために、気道装置および/または制御装置に警告をプログラムしてもよい。気道装置/制御装置は、圧力を連続的に検知することによって、改善されたデータ捕捉のための患者の操作(すなわち、「息の速度を遅くする」)を最適化するために、患者の操作の妥当性に関する連続フィードバックを提供する。警告は、可聴、視覚的、振動などであってもよい。警告は、医師、モニタ、病院、EMRなどに送信されてもよい。警告は、モバイル装置、コンピュータ、サーバなどを含む任意の装置に無線で送信されてもよい。
【0021】
温度検知の実施形態では、気道装置/制御装置は吸息および呼息温度を検知し、制御装置は、流量/熱交換アルゴリズムに基づいて、患者の体温を報告する。これに代えて、気道装置/制御装置は、患者が正常な温度にあったときに取得されたベースラインデータに基づいて温度の傾向を報告してもよい。ベースラインデータからのこの偏差は、検知されたパラメータのいずれかと組み合わせて利用することができ、これにより、いずれかのパラメータの実際の値を知ることなく、いずれかのパラメータにおける相対的な変化を判定することができる。
【0022】
本発明の気道装置/制御装置の在宅健康、診療所または病院の実施形態のいずれかにおいて、温度検知、呼吸機能モニタリング(すなわち肺活量測定)、音響モニタリング(喘息患者の喘鳴追跡など)、呼気中の検体および/または化合物の検知(すなわち、尿素、感染の標識、O、CO、水蒸気など)、唾液中の検体の検知(いくつかの実施形態では、口中に装置を配置するため)を含む追加の機能を組み込んでもよい。追加の空気センサは、アルコール、および/または麻薬、マリファナ、タバコなどの他の薬物を含む。
【0023】
加えて、例えば唇、指、手などの身体に接触する物理的センサは、ECGセンサ、パルスセンサ、粘膜接触センサなどを含む。ECGセンサが定位置にある場合に、周期的な信号を識別し、信号の関連する部分のみを評価し、ノイズの量を低減するために、心原性オシレーションからの呼吸における脈動信号のサンプリングをECG信号と同期させる。例えば、設定時間(例えば、200msまたは500ms)の間の圧力および/または流量信号の変化の大きさは、患者の心臓の健康状態を監視するために経時的に追跡される関数の変数である。2リードECGを使用してもよい。ECG信号のR波は、同期のために使用されてもよい。パルスオキシメトリを使用してもよい。
【0024】
心臓オシレーションの振幅は、直線的に肺血流(PBF)によって直接的に影響され、この心臓オシレーションピークの振幅は、収縮期から拡張期までの肺の血液量の変化として定義される肺血液量変化(PBVV)と相関する可能性が高い。PBVVは、心不全時の心機能の指標として以前に研究されている。PBVVは、肺の肺胞に至る従順な細気管支網に作用する毛細血管容積の増加を反映し、心臓周期の収縮期の間に気道内圧の高周波ピークを生成する。心臓オシレーションのこれらのピークを検知することができる。PBVVは一回拍出量に比例し、両方の値は心不全時に心拍出量が減少するにつれて減少する。PBVVはまた、肺気道内に拡張して肺高血圧に寄与する肺毛細血管の能力を制限する、心不全と同時の血管抵抗の増加に反比例する。したがって、心臓オシレーション(SDCOS)の標準偏差は、心拍出量に直接比例し、肺動脈圧(PAP)に反比例する:
【数1】
【0025】
ここで、aおよびbは、それぞれ、肺動脈および細気管支の従順性を表す定数である。
【0026】
肺動脈従順性
【0027】
肺動脈従順性(PAC)は、心臓の心不全(CHF)に関連し、CHFの強力な指標である。肺動脈がうっ血になると、PAPが増加し、PAPが増加すると、肺動脈が伸びる。しかしながら、より高い圧力(約25mmHg(約3.333kPa)を超える)では、肺動脈がさらに伸びにくくなり、肺動脈内の脈圧(肺動脈圧、すなわちPAPP)が上昇する。肺動脈内のより高い圧力の結果として、より多くの仕事が右心室から必要とされ、一回拍出量(SV)が増加する。
【0028】
PACはSV/PAPP(mL/mmHg)として計算することができる。
【0029】
肺動脈従順性は、心臓血管の死亡または合併症の強力な指標であることが示されている。PACが減少すると、心血管合併症または死亡の可能性が増す。加えて、心不全の治療は、PACを増加させることが示されている。現在、PACを測定する唯一の信頼できる方法は、侵襲的カテーテル法である。
【0030】
心原性オシレーションは、肺脈管構造における心臓脈動によって発生し、PACに直接関連する。心不全が悪化すると、一回拍出量が減少し、これにより、PAC振幅が減少することになる。また、PAPが増加し、肺動脈が硬くなり、PAPPが増加することによっても、PAC振幅が減少することになる。PACまたはPAC振幅の減少は、心臓の健康悪化の強力な指標である。この場合の振幅は、曲線のピーク対ピーク振幅を指す。
【0031】
1つの使用事例では、気道装置/制御装置を使用してうっ血性心不全患者を追跡することができる。気道装置/制御装置を使用している患者において、一回拍出量が減少しているか、(圧力センサおよび/またはフローセンサにより)肺動脈圧が増加していること、(肺活量計または圧力センサにより)胸膜および/または肺の空間および/または心臓の拡大における体液の蓄積により肺容積が減少かつ/または呼吸従順性が低下していること、(音響センサ/マイクロフォンにより)病的肺音が増加していること、(圧力センサまたは肺活量計により)呼吸終期のCOが増加かつ/または呼吸数が増加していることが判明した場合、医療提供者または患者に対して、状態が悪化していることを警告する。
【0032】
家庭における健康管理の実施形態では、患者は、続いて繰り返し測定のために、ネットワーク接続された装置を備え帰宅する(または診療所に戻る)。この装置がネットワークスケールで毎日の計量と組み合わせて使用される場合、気道装置/制御装置は、スケールまたは他の在宅患者監視装置によって提供される既存のネットワークまたは任意のネットワークと通信して、ユーザおよび/または医療提供者に警告する。このようにして、患者の心臓の健康状態を遠隔かつ非侵襲的に監視することができる。この技術は、手術後に肺胞または血胸郭を探すための放射線検査の代わりに使用されてもよい。緊急気胸および任意の他の肺病変の検知は、この技術を用いて、病院、医院、または在宅設定でも達成することができる。
【0033】
別の実施形態では、気道装置/制御装置は、気道内で直接雑音を記録する。本実施形態では、気道装置/制御装置は、気道装置(またはこれに代えて、人工呼吸器、ベントチューブ、または気管内チューブ)に取り付けられた使い捨てまたは再使用可能なマイクロフォンを組み込んでもよい。マイクロフォンは呼吸音を追跡し、呼吸窮迫、肺炎、老化、ラ音、または肺音の他の変化の開始を迅速に報告することができる。好ましい実施形態では、気道装置/制御装置は、ノイズ除去機能を組み込む。そのような実施形態の1つでは、気道装置内に2つのマイクロフォンを使用し、一方のマイクロフォンは気道に面し、他方のマイクロフォンは気道装置内の同様の位置にあるが気道から密閉されている。密閉されたマイクロフォンからの信号は、続いて気道に開いたマイクロフォンから減算され、それによって周囲雑音を相殺し、生理学的音(心臓、呼吸器、胃腸など)を分析することができる。
【0034】
いくつかの実施形態では、気道装置/制御装置は、気管内チューブ(ET)の配置および/または連続的なモニタリングに使用することができる。ET配置は、人工呼吸器感染肺炎患者の感染の原因と関連しており、すなわち不適切に配置されると、流体のプールをもたらし、流体内で、細菌のコロニー形成が生じ、次いで、ETを、またはETのカフの周囲を通り抜けて肺内に移動する場合がある。流体のプールおよび/または呼吸流量/圧力の変化は、感染の早期発症の徴候を得るために監視することができる。細菌はまた、装置上のセンサによって検知されてもよい。
【0035】
さらに別の実施形態では、気道装置/制御装置は、心臓弁の病理学的挙動を検知することができる。例えば、ECGと組み合わせて使用される場合、予想される機械的心臓挙動および心臓周期のタイミングは周知である。電気的および機械的信号を比較することにより、心房または心室の収縮および心臓弁の開閉のタイミングなどの不適切な機械的機能を検知することができる。さらに、これらの信号の強度およびタイミングは、病理診断、例えば、僧帽弁逆流症の場合など、心周期の特定の段階が延長または不完全であるかどうかにも使用することができる。この情報は、単独で、または上記の音声情報と、または心臓の鼓動を診断するための任意の他の技術と組み合わせて使用して、心臓の機能または機能不全をよりよく理解することができる。
【0036】
本明細書および本明細書に開示される任意の実施形態は、連続的または断続的に利用されてもよい。気道装置は、ユーザが着用するように構成されてもよく、または機能するために追加の装置を必要とし、鼻および/または口に適用されてもよいし、気管内チューブに直接適用されてもよい。気道装置/制御装置およびその機能の一部または全部は、在宅、医院、診療所、病棟、ASC、またはICUを含む任意の設定で使用されてもよい。
【0037】
気道装置/制御装置は、呼吸数、体温、一回拍出量、心拍数、一回換気量、肺音、心音、GI音、pO、pCO、pH、または監視されるパラメータのうちの任意の他のものに影響を与える可能性のあるCOPD、喘息、CHF、癌、脳卒中、肺塞栓症、および任意の他の症状を含む慢性状態を監視するために、かつ/または急性状態を検知するために使用されてもよい。
【0038】
気道装置は、様々なセンサからの信号を分析するための制御装置を組み込んでもよい。これに代えて、制御装置の全部または一部が気道装置とは別に存在し、気道装置と無線(インターネット、イントラネット、WAN、LANまたは他のネットワークを介して、またはブルートゥース(登録商標)、Wi-Fi等を介してローカルにあってもよい)または有線のいずれかで通信する。接続が有線である場合、接続は連続的または断続的に行われてもよい。例えば、気道装置からのデータは、データが収集された後に、USB接続または他のタイプの接続を介して定期的に送信されてもよい。無線接続は、連続的でも断続的でもよい。制御装置は、1つまたは複数のモバイル装置、コンピュータ、サーバなどであってもよいし、これらと通信してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0039】
図1】一実施形態による気道装置/制御装置を示す図。
図2】一実施形態による気道装置/制御装置を示す図。
図3】気道内圧データに重畳されたECGを示すグラフ。
図4】動物の換気チューブからの圧力データを示すグラフ。
図5】ECG曲線および対応する心原性オシレーション波形を示すグラフ。
図6】一実施形態による気道装置/制御装置を示す図。
図7】一実施形態による気道装置/制御装置を示す図。
図8】一実施形態による気道装置/制御装置を示す図。
図9】一実施形態による、スマートフォンの形態の制御装置とともに無線で使用される気道装置を示す図。
図10】一実施形態による、有線接続を使用してスマートフォンの形態の制御装置に接続された気道装置を示す図。
図11】本発明の任意の実施形態により使用されるデータ処理システムを示すブロック図。
図12】一実施形態による、リストリクタを含むマウスピースを示す図。
図13】一実施形態による、機械的フィルタを組み込んだマウスピースを示す図。
図14】リストリクタとサンプリング出口とを組み合わせた一実施形態を示す図。
図15】フローフィルタを組み込んだ一実施形態を示す図。
図16】脈圧変動性を示すグラフ。
図17】一実施形態による、制御装置機能のうちの少なくともいくつかとハンドピースとを含む気道装置/制御装置を示す図。
図18】別例による気道装置/制御装置を示す図。
図19】いくつかの心原性オシレーション圧力曲線およびそれらの平均を示す図。
図20A】代替的なグラフィカル表示を示す図。
図20B】代替的なグラフィカル表示を示す図。
図20C】代替的なグラフィカル表示を示す図。
図21A】いくつかの実施形態による、ハンドピースを含む気道装置/制御装置を示す図。
図21B】一実施形態による、ハンドピースを含む気道装置/制御装置を示す図。
図22】一実施形態による、CPAP装置に組み込まれた気道装置/制御装置を示す図。
図23】一実施形態による、スタンドアローンであるかCPAP装置に組み込まれる気道装置/制御装置を示す図。
図24】一実施形態による、スタンドアローンであるかCPAP装置に組み込まれる気道装置/制御装置を示す図。
図25】粗圧センサ、検知差圧センサ、およびECGからの圧力信号を示すグラフ。
図26A】いくつかの実施形態による気道装置のマウスピース領域を示す図。
図26B】いくつかの実施形態による気道装置のマウスピース領域を示す図。
図27】一実施形態によるハンドピースの上面図。
図28】一実施形態によるハンドピースの底面図。
図29】一実施形態による気道装置制御装置と、システムがデータをどのように通信するかとを示す図。
図30】ディスプレイ上に示される画面の例を示す図。
図31】一実施形態による気道装置/制御装置の使用方法を示す概説図。
図32】一実施形態による、肺活量計およびその他の要素を組み込んだ気道装置を示す図。
図33】トレーニングアプリの画面例を示す図。
図34】トレーニングアプリの画面例を示す図。
図35】調査の画面例を示す図。
図36】調査の画面例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0040】
図1は、一実施形態による、患者の口内に装着された気道装置を示す。このような携帯用の実施形態の効果の1つは、被験者が覚醒し、挿管されていないだけでなく、直立して動的であっても着用できることにある。すなわち、気道装置の使用は、人工呼吸器、CPAP、または他の静止した医療装置上の患者に限定されない。気道装置/制御装置は、患者/ユーザに対して、追加の換気支援または気道内圧の支援を伴うことなく使用されてもよい。すなわち、気道装置/制御装置は、人工呼吸器やCPAP装置あるいは追加の流体源、または任意の種類の人工呼吸器や気道内圧サポートなしで患者に使用されてもよい。気道装置/制御装置は、自然にまたは正常に呼吸している患者/ユーザによって使用されてもよいし、制御装置が自然に呼吸すること以外の何かをするようにユーザに促す「プロンプトモード」で使用されてもよい。例えば、制御装置は、ユーザに対して、呼吸を止め、吸息後に呼吸を止め、呼息後に呼吸を止め、呼吸を「今」止め、一定期間、所与の圧力でMVMを実行するなどさせる。
【0041】
気道装置は、気道内圧、気道流量、温度、音、呼吸数、一回拍出量、心拍数、一回換気量、肺音、心音、GI音、pO、pCO、pH、ECG、脈拍数、脈圧、肺活量測定、呼吸中の検体および/または化合物(すなわち、尿素、感染の指標、O、CO、尿素、水蒸気、アルコール、薬物など)、あるいはグルコースなどの唾液中の検体および/または化合物を測定および/または計算することができる1つまたは複数のセンサを含む。
【0042】
制御装置は、気道装置に、あるいは気道装置と無線で若しくは有線接続を介して通信する別体の装置に組み込まれる。制御装置は、人工呼吸器、CPAP、独立型装置に組み込まれるか、コンピュータおよび/またはスマートフォンに組み込まれるか、コンピュータおよび/またはスマートフォンと通信する。
【0043】
好ましい実施形態では、制御装置は、気道装置と連続的または断続的に無線通信するスマートフォンに組み込まれる。制御装置から転送されたデータは、例えば、インターネットまたはイントラネットを介して、遠隔のサーバに、またはサーバから送信される。制御装置からのデータは、匿名化される。傾向分析のために、匿名化されたデータを患者全体に集約する。収集されたデータは、患者ID、タイムスタンプ、患者の病歴、例えば体重、薬物などのメタデータを含む。本明細書における「気道装置」という用語の使用は、制御装置コンポーネントを含む。
【0044】
気道装置は、口内に一部を有するか、または完全に外部にある。気道装置は、口の代わりに、または口に加えて、鼻の上にあってもよい。気道装置は、鼻を意図的に塞ぐことがある。気道装置はまた、気管内チューブに組み込まれてもよい。
【0045】
図2は、一実施形態による気道装置200の詳細図を示す。本実施形態は、外部開口部204と、マウスピース部206と、ネック部208とを含む。本実施形態によるマウスピース装置は、少なくとも2つの気道内腔、呼息気道内腔210、および吸息気道内腔212を含む。本実施形態では、2つの管腔は、分離器214によって分離される。これに代えて、例えば呼息管腔のみなど1つの管腔のみであってもよい。
【0046】
呼息気道内腔内のガス流出換気口216は、肺活量測定機能を含む。換気口はまた、呼吸中に被験者の気道が開いたままであり、特定のパラメータを検知する能力を支援するように、若干の正の圧力をさらに維持するか維持させる。
【0047】
空気流入、または吸息気道内腔、および/または呼息気道内腔は、呼吸中に呼息気道内腔を通して呼息を導くことを支援するための一方向弁218を含む。
【0048】
センサ222、224、および226は、ここに列挙したパラメータのうちのいずれかを検知する。センサは、呼息気道内腔210内、吸息気道内腔212内、または気道装置の外側に配置される。装置の外側にあるセンサ222は、通常ECGセンサのような粘膜および/または唇と接触検知するためのものである。呼息気道内腔内のセンサ224は、圧力、流れ、音、O、CO、尿素、水蒸気、アルコール、薬物などを含む、呼息に関連付けられるパラメータを測定する。吸息気道内腔内のセンサ226は、O、CO、尿素、水蒸気、アルコール、薬物などを含む吸息空気に関連付けられるパラメータを測定する。
【0049】
通常、センサは気道装置の長さに沿ってどこにでも配置することができるが、特定の種類のセンサは特定の場所に配置するのが効果的である。例えば、吐き出された空気中で測定される温度、水蒸気、アルコール、薬物などのセンサは、被験者のより近傍に配置される方がより好ましい。
【0050】
流量センサおよび/または圧力センサは、気道装置の長さに沿ってどこにでも配置することができるが、ネック部208内のような気道装置の狭小かつ/または一定の直径部分にこれらのセンサを配置するのが効果的である。1つまたは複数のセンサをガス流出換気口216上に配置してもよい。センサは遠隔であってもよい。例えば、圧力センサ、例として圧力トランスデューサは、内腔を有するチューブを介してマウスピースと流体連通する。
【0051】
1つの使用障壁が、気道装置の無菌性を維持するためにマウスピース部206を覆うことに使用される。これに代えて、使い捨てのマウスピース部を気道装置に取り付け、使用後に取り外してもよい。熱-水分交換器を使用して、装置に入る呼吸からの湿気を防いでもよい。これに代えて、気道装置は、滅菌可能であっても使い捨てであってもよい。
【0052】
気道装置200は、制御装置として機能するか、または制御装置と通信するためのハードウェアおよび/またはソフトウェアを組み込んでもよい。気道装置は、「部分制御装置」としても機能し、制御装置活動のいくつかは気道装置内で行われ、一部は別体の制御器装置内で行われる。
【0053】
気道装置は、ポリマ、金属、もしくは任意の他の材料、または材料の任意の組み合わせを含む任意の適切な1つまたは複数の材料から形成される。気道装置は、好ましくは比較的軽量かつ可搬性を備える。
【0054】
流量/圧力センサは、オリフィスプレート、圧力トランスデューサ、コーン装置、ピトーチューブ、ベンチュリチューブ、フローノズル、フレッシュまたはリリータイプの空気圧測定器、または任意の他の適切な技術を含む。センサの分解能は通常高い。圧力センサの感度は、約+/-0.5mmHg(約66.661Pa)である。圧力センサの感度は、約+/-1mmHg(約133.322Pa)であってもよい。圧力センサの感度は、約+/-2mmHg(約266.644Pa)であってもよい。これに代えて、圧力センサの感度は、約+/-10mmHg(約1.333kPa)であってもよい。これに代えて、圧力センサの感度は、約+/-20mmHg(約2.666kPa)であってもよい。
【0055】
図3は、同時に測定された気道内圧データを伴うECGのグラフを示す。ECGデータ304は気道内圧データ302の下に示されている。気道内圧内では、収縮期脈拍データ306および拡張期脈拍データ308がはっきりと視認される。3リードECGデータ内では、P波310、QRS群312、およびT波314がすべて視認される。二重矢印の線は、QRS複合ピークが圧力データの谷と並ぶ位置を示す。
【0056】
図4は、グラフ402に示す呼吸間の圧力データの詳細図を示す。心原性オシレーションは、圧力対時間の詳細な図404において視認可能である。これらのパルスの曲線下の振幅または面積は、相対心拍出量および/または肺動脈圧の指標として使用することができる。図示しないが、同様に、流れ信号中の心原性オシレーションも有用である。
【0057】
図5は、ECG曲線、1つ以上の圧力センサからのデータを使用して生成された心原性オシレーション波形、および1つ以上の流量センサからのデータを使用して生成された心原性オシレーション波形のグラフを示す。また、心原性オシレーション波形の振幅および周波数も示されている。
【0058】
図6は、別例による気道装置を示す。ネック部602は、マウスピース部としても機能するように拡張され、先に示した実施形態よりもストロー状にある。
【0059】
図7は、別例による気道装置を示す。マウスピース領域702は平坦であり、唇/口の上を覆うように構成される。ストラップ704は、被験者の顔上に装置を保持する。
【0060】
図8は、別例による気道装置を示す。本実施形態の外部開口部802は、先に示した実施形態よりも長尺状にあるとともにより狭小である。開口部802は、可撓性チューブのように可撓性を備えてもよく、または剛性を備えてもよく、または部分的に可撓性を備えかつ部分的に剛性を備えてもよい。マウスピース部804は、装置を所定の位置に保持することを支援するためのマウスシールド806を含む。様々なセンサおよび/または弁が、本実施形態の長さに沿った任意の場所に設けられる。
【0061】
図9は、一実施形態による気道装置および制御装置を示し、制御装置は、気道装置とは個別であり、気道装置の少なくとも一部から隔離される。本実施形態では、制御装置904はスマートフォンであり、無線データ送信機を含む気道装置902と無線で通信する。
【0062】
図10は、一実施形態による気道装置と制御装置とを示し、制御装置は、気道装置から少なくとも部分的に分離されている。本実施形態では、制御装置1002はスマートフォンであり、「ワイヤ」またはケーブル、例えばUSBケーブルを介して気道装置1004と通信する。本実施形態では、データを収集するとともに気道装置1004に格納し、定期的にケーブルを介して制御装置1002にアップロードする。これに代えて、データは、少なくとも部分的に制御装置に格納されてもよい。
【0063】
制御装置は、気道装置とは個別のものでも、気道装置に組み込まれているものでも、または機能の一部が気道装置に設けられていても、個別に配置されているものであっても、以下のように機能する。制御装置は、様々なセンサからデータを収集するとともにそれらを分析して、心拍出量、一回拍出量および/または心機能および/または他のパラメータを測定する。加えて、制御装置は、センサからデータを得るのを支援するように被験者に促してもよい。例えば、制御装置は、被験者に呼吸を止めるよう促してもよい。呼吸保持プロンプトは、吸息および/または呼息の前後のような、呼吸サイクルの特定の段階で起こり得る。制御装置は、被験者に一定の速度で呼吸し、または一定時間若しくは一定の目標圧力範囲内で吸息、呼息、または息を止めるように促す。被験者の時間特定の活動を支援するために、または呼息圧力のような特定の呼吸目標を達成するために、インジケータが制御装置および/または気道装置に設けられてもよい。例えば、制御装置は、制御装置および/または気道装置のランプが緑色に変わるまで、または聴覚信号が聞こえるまで、被験者に息を止めるように促してもよい。
【0064】
制御装置は、収集しているデータが分析に適しているかどうかをさらに判断する。例えば、被験者の気道が呼吸間で閉塞している場合、または呼息中に、データの分析が困難な場合がある。制御装置は、圧力/流量プロファイルまたは他のパラメータのいずれかによってこれが生じている場合を検知することができ、被験者が呼吸を調整するように促すことができる。例えば、制御装置は、被験者に呼吸をより緩慢にするように促すか、または安静に座るように促す。加えて、制御装置は、気道を開いた状態に保持することを支援するために、気道装置の正圧を変更してもよい。制御装置が被験者に提供するいくつかの可能なプロンプトは、
【0065】
-息をx秒間止める
-インジケータがxになるまで息を止める
-インジケータがxになるまで正常に呼吸する
-インジケータに示すような一定の圧力で呼息する
-インジケータに示すような一定の圧力でx秒間(または、インジケータがx秒間経過するまで)呼息する
-x秒間インジケータに示すような一定の圧力で咽喉を開いて呼息する
-x秒間MVMを実行する
-呼息して息を止める
-吸息して息を止める
-正常に呼吸する
-より緩慢に呼吸する
-より迅速に呼吸する
-緩慢に吸息する
-緩慢に呼息する
-迅速に吸息する
-迅速に呼息する
-試験が完了した
-運動を開始する
-運動を終了するを含む。
【0066】
他のプロンプトも可能である。プロンプトは、収集されるデータに応じて異なる場合がある。例えば、気道が呼吸間、呼吸中、または呼息中に閉鎖していると制御装置が判断すると、プロンプトは被験者に異なるように呼吸するように指示してもよく、あるいは制御装置は気道装置に、気道に対して正圧を印加させてもよい。加えて、ユーザは、1日の特定の時間に装置を使用するように促されてもよく、これにより、装置は毎日同じ時間に使用される。例えば、装置は、起床時に装置を使用するようにユーザに促す。
【0067】
被験者の呼吸がデータ収集に最適であるかどうかを判断する際に考慮され得る他のパラメータには、ピーク間の周期および振幅の変動、波形形状などが含まれる。
【0068】
制御装置は、センサからのデータを分析して、呼吸数、温度、一回拍出量、心拍数、一回換気量、肺音、心音、GI音、pO、pCO、pH、アルコール、尿素、薬物、または監視されるパラメータのうちの任意の他のものに影響を与え得るCOPD、喘息、CHF、癌、脳卒中、肺塞栓症、呼吸困難、発作性呼吸困難、夜間呼吸困難、肺気腫、および任意の他の症状を含む他の症状を判断する。
【0069】
迷走神経系のトーン/血管収縮症候群も、本発明を用いて判断される。呼吸周期の異なる段階における振幅、レート、波形形状などを含む心拍パラメータのわずかな変化を測定し、迷走神経系のトーンを判断することができる。例えば、吸息中に心拍数が増加する場合、これは高い迷走神経系のトーンを示す。
【0070】
データ処理システムの例
【0071】
図11は、本発明の任意の実施形態と組み合わせて使用するデータ処理システムのブロック図である。例えば、システム1100は、制御装置、サーバ、モバイル装置、ハンドピース、コンピュータ、タブレットなどの一部として使用される。なお、図11は、コンピュータシステムの様々なコンポーネントを示しているが、コンポーネントを相互接続する特定のアーキテクチャまたは方法を表すことを意図するものではなく、したがって、このような詳細は本発明と密接に関連しているものではない。ネットワークコンピュータ、ハンドヘルドコンピュータ、モバイル装置、タブレット、携帯電話、およびより少ないコンポーネントまたはおそらくより多くのコンポーネントを有する他のデータ処理システムも、本発明と組み合わせて使用することができることも理解されよう。
【0072】
図11に示すように、コンピュータシステム1100は、データ処理システムの形態であり、1つまたは複数のマイクロプロセッサ1103、ROM1107、揮発性RAM1105、および不揮発性メモリ1106に連結されたバスまたは相互接続部1102を含む。マイクロプロセッサ1103は、キャッシュメモリ1104に連結される。バス1102は、これらの様々なコンポーネントを相互接続し、これらのコンポーネント1103,1107,1105,1106をディスプレイ制御装置およびディスプレイ装置1108、ならびにマウス、キーボード、モデム、ネットワークインターフェース、プリンタ、および当該技術分野で周知の他の装置を含む入力/出力(I/O)装置1110にさらに相互接続する。
【0073】
通常、入力/出力装置1110は、入力/出力制御装置1109を介してシステムに連結される。揮発性RAM1105は、通常、メモリ内のデータをリフレッシュまたは維持するために連続的に電力を必要とするダイナミックRAM(DRAM)として実装される。不揮発性メモリ1106は、通常、磁気ハードドライブ、磁気光学ドライブ、光学ドライブ、若しくはDVD-RAM、または電源がシステムから取り払われた後でもデータを維持する他のタイプのメモリシステムである。通常、不揮発性メモリもまたランダムアクセスメモリであるが、これは必須ではない。
【0074】
なお、図11は、不揮発性メモリが、データ処理システム内の残りのコンポーネントに直接連結されたローカル装置であることを示しているが、本発明は、モデムまたはイーサネット(登録商標)インターフェースのようなネットワークインターフェースを介してデータ処理システムに連結されたネットワーク記憶装置のような、システムから遠隔の不揮発性メモリを利用してもよい。バス1102は、当該技術分野で周知のように、様々なブリッジ、制御装置、および/またはアダプタを介して互いに接続された1つまたは複数のバスを含む。一実施形態では、I/O制御装置1109は、USB周辺機器を制御するためのUSB(ユニバーサルシリアルバス)アダプタを含む。これに代えて、I/O制御装置1109は、FireWire(登録商標)装置を制御するための、FireWire(登録商標)アダプタとしても周知のIEEE-1394アダプタを含んでもよい。
【0075】
前述の詳細な説明のいくつかの部分は、コンピュータメモリ内のデータビットに対する演算のアルゴリズムおよび記号表現に関して提示されている。これらのアルゴリズム記述および表現は、データ処理技術の当業者が、当業者の仕事の内容を他の当業者に最も効果的に伝えるために使用される方法である。アルゴリズムは、ここでは通常、所望の結果を導く動作の自己一貫したシーケンスであると考えられる。演算は、物理量の物理的操作を必要とする演算である。
【0076】
しかしながら、これらの用語および類似の用語は全て、適切な物理量に関連付けられ、これらの量に適用される便利なラベルに過ぎないことに留意すべきである。上記の説明から明らかなように特に断らない限り、以下の特許請求の範囲に記載されているような用語を利用する論議は、本明細書の全体にわたって、コンピュータシステムのレジスタおよびメモリ内の物理(電子)量として表されるデータを、コンピュータシステムメモリまたはレジスタまたは他のそのような情報記憶装置、伝送または表示装置内の物理量として同様に表される他のデータに操作するとともに変換するコンピュータシステムまたは同様の電子計算装置の動作およびプロセスを指しているものといえる。
【0077】
図示の技術は、1つまたは複数の電子装置上に格納されるとともに実行されるコードおよびデータを使用して実装することができる。このような電子装置は、非一時的なコンピュータ読み取り可能な記憶媒体(例えば、磁気ディスク、光ディスク、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリーメモリ、フラッシュメモリーデバイス、相変化メモリ)および一時的なコンピュータ可読伝送媒体、(例えば、搬送波、赤外線信号、デジタル信号などの電気的、光学的、音響的または他の形式の伝播信号)を使用して、コードおよびデータを格納するとともに通信する(内部的におよび/またはネットワーク上の他の電子デバイスと)。
【0078】
本明細書の図に示すプロセスまたは方法は、ハードウェア(例えば、回路、専用論理など)、ファームウェア、ソフトウェア(例えば、非一時的コンピュータ可読媒体上で実施される)、または両者の組み合わせを含む論理を実施することにより行われる。プロセスまたは方法は、いくつかの逐次演算の観点から上記で説明されているが、記載された演算のいくつかは、異なる順序で実行されてもよいことが理解されるべきである。さらに、いくつかの演算は、順次ではなく並列で実行されてもよい。
【0079】
図12は、一実施形態による、リストリクタを含む気道装置を示す。リストリクタは、気道装置内の乱流を低減することを支援する。本実施形態の気道装置1202は、リストリクタ1206よりも大きい口用開口部1204を有する。リストリクタ1206は周囲空気に対して開放されている。ユーザが気道装置内に息を吐くと、リストリクタ1206は気道を制限し、気道装置内の気流の層状性を高める。本実施形態では、ユーザが開口部1204を通して呼吸するにつれて、いくらかの空気がリストリクタ1206を退出するが、若干の空気、好ましくは層状に優勢に流れる空気がサンプリング出口または管腔1208を退出する。サンプリング出口1208は、圧力センサあるいは他のセンサに直接接続され、または、可撓性または剛性を備えたチューブであるコネクタ1210を介して圧力センサまたは他のセンサに接続される。リストリクタ1206の目的は、気道装置内の気流の乱れを低減して、サンプリング出口1208を出る空気ができるだけ薄層であるようにすることにある。この図は呼息内腔のみを示していることに留意する。個別の吸息内腔を装置に組み込んでもよく、かつ/または被験者は、鼻を通して、または装置を口から取り外すことによって、個別に吸息するように求められてもよい。これに代えて、患者は吸息のために呼息内腔を使用してもよい。
【0080】
図13は、一実施形態による、機械的フィルタを組み込んだ気道装置を示す。本実施形態では、少なくとも2つのサンプリングルーメン1302,1304が設けられる。サンプリングルーメンのうちの1つは機械的ハイパスフィルタ1306を含む。本実施形態の圧力センサは、差圧センサである。差圧センサ1308は、少なくとも2つのサンプリングルーメンまたは入力と流体連通しており、2つのルーメン間の圧力読取値を比較する。この構成により、呼吸からの圧力を濾過するとともにそれらを心原性オシレーションから分離させることによって、回路基板1310による分析のためのより鮮明な圧力信号が生成される。回路基板1310は、気道装置に組み込まれてもよく、または例えば個別の制御装置上の別体であってもよく、無線または有線を介して通信されてもよい。本実施形態では、回路基板は気道装置に組み込まれるとともに無線送信機1312を介して制御装置と通信する。本実施形態では、制御装置を定義する目的で、回路基板1310および無線送信機1312も制御装置の一部であるとみなされる。フィルタ1306は、発泡体または空気に対して半透過性を備える任意の膜を含む任意の適切な材料から形成される。この図は呼息内腔のみを示していることに留意する。個別の吸息内腔を装置に組み込んでもよく、かつ/または被験者は、鼻を通して、または装置を口から取り外すことによって、個別に吸息するように求められてもよい。これに代えて、患者は吸息のために呼息内腔をさらに使用してもよい。
【0081】
機械式ハイパスフィルタは、より高い周波数の心臓オシレーション信号を自然呼吸に関連付けられるより低い周波数の圧力信号から分離する。このフィルタは、差動検知と基準入力との間に部分的に不浸透性の障壁を使用する。高周波の心臓オシレーション信号は検知入力によって視認されるが、呼吸に起因する圧力変化は膜を横断して平衡するのに十分低い周波数であり、両方の入力で検知される。わずかな呼息停止、またはMVMを使用して装置に呼吸することにより、心原性オシレーション信号を確実に捕捉することができる。いくつかの実施形態は、呼吸サイクル全体を監視するとともに呼吸の大きさおよび頻度について患者にフィードバックを提供するようにより感度の低い追加の圧力センサを組み込んでもよく、これにより、測定間の再現性が向上する。
【0082】
図14は、リストリクタとサンプリング出口とを組み合わせた一実施形態を示す。リストリクタ1402は、空気が気道装置に出入りする際の気流の乱れを低減する。呼吸した空気は出口1404を介して退出するが、ここを介して入ってもよい。差圧センサ1308は、気道装置を通して空気を流すか、気道装置のそばを通して気道装置を退出させ、あるいは、これに代えて、気道装置は、追加の空気出口(図示しない)を有してもよい。この図は呼息内腔のみを示していることに留意する。個別の吸息内腔を装置に組み込んでもよく、かつ/または被験者は、鼻を通して、または装置を口から取り外すことによって、個別に吸息するように求められてもよい。
【0083】
リストリクタは、流量制御弁、圧力制御弁などの何らかの適切なものであってもよいことに留意されたい。
【0084】
図15は、フローフィルタを組み込んだ実施形態を示す。フローフィルタ1502は、気道装置に流入する気流の乱れを低減する。本実施形態では、リストリクタに代えてフローフィルタ1502が使用される。気道装置は、追加の空気出口(図示しない)を有してもよい。フローフィルタ1502は、ポリマなどの任意の適切な材料から、ハニカムまたは平行毛管構造体のような任意の適切な構造体で形成される。この図は呼息内腔のみを示していることに留意する。個別の吸息内腔を装置に組み込んでもよく、かつ/または被験者は、鼻を通して、または装置を口から取り外すことによって、個別に吸息するように求められてもよい。
【0085】
本明細書の実施形態のいずれも、口の内部で、または部分的に口の内部で使用するように構成可能である。例えば、口のより深い位置の気道装置は、より清潔な圧力測定のために気道を開いた状態に保持することに効果的である。さらに、本明細書の実施形態のいずれも、気管挿管された患者に使用するように構成されてもよく、この場合、開示される装置は、気管チューブに取り付けられるか、または気管チューブとインラインで接続される。
【0086】
図16は、脈圧変動性を示すグラフを示す。上述したように、呼吸脈圧波形の変動性を用いて、水分状態、ならびに容積状態、および肺動脈従順性を測定することができる。図16のグラフは、吸息終了時と呼息終了時の脈圧を示す。脈圧は、収縮期血圧と拡張期血圧の差、または波形の振幅(最低点から最高点)の差として定義される。これら2つの波形間の振幅の差は脈圧の変動性である。大きな変動性は、脱水を示すことがあり、経時的な変動性の減少は、水和が回復されているか回復されたかの指標である。
【0087】
図17は、一実施形態による、ハンドピースと制御装置機能の少なくともいくつかを含む気道装置/制御装置を示す。本実施形態の気道装置は、2つのマウスピース1702および1704を含む。ユーザは、これらのマウスピースのうちの1つに呼息し、他のマウスピースを介して息を出す。ハンドピース1706は、ユーザまたはユーザの医師によって保持される。ディスプレイ1708は、1つまたは複数の表示領域1710を表示する。これらの表示領域は、設定や、波形、すなわちHR(心拍数)、SV(一回拍出量)、CO(心拍出量)、PAC(肺動脈従順性など)などを示す波形、波形解析の解析結果、アラーム/通知のトリガなどのようなより多くの情報へのボタンやリンクを含む。本実施形態の気道装置/制御装置は、1つまたは複数のモバイル装置、コンピュータ、サーバなどと無線で、または有線で通信する。
【0088】
図18は、別例による気道装置/制御装置を示す。本実施形態は、制御装置1802、信号伝送管1804、熱水分交換器/フィルタ1806、およびマウスピース1808を含む。本実施形態では、圧力/流量センサは制御装置内にあってもよい。使用中、ユーザがマウスピースに呼吸する間、気道内の圧力は、マウスピース1808および管1804を介して圧力/流量センサに伝達される。制御装置1802は、制御装置機能のうちのいくつかを含むコンピュータ/モバイル装置/ネットワークサーバなどと通信することに留意する。
【0089】
気道装置/制御装置の実施形態はまた、標準的なまたは特殊な吸息器、例えば喘息用に組み込まれてもよい。これらの実施形態における気道装置/制御装置は、気道装置および/または吸息器の使用状況を追跡して使用コンプライアンスを監視する機能を含む。
【0090】
気道装置/制御装置の実施形態は、電子健康記録(EMR)または他のシステムと統合することを含む。例えば、制御装置からのデータは、データをEMRのデータと統合するインターネット内のサーバに無線(または有線)で送信される。患者ID(おそらく匿名化されている)は、データが正しい患者の医療記録と統合されるように、制御装置によって送信されたデータのメタデータに統合されてもよい。
【0091】
複数の気道装置/制御装置からデータを収集し、集計し、傾向について分析することができる。このデータは、プライバシールールに準拠するために匿名化することができる。
【0092】
気道装置/制御装置のいくつかの実施形態では、呼吸性洞不整脈(呼吸による心拍数の変化)が、心臓の健康または心不全の指標として追跡されてもよい。傾向からの逸脱は、心不全の問題を示す可能性があり、警告を提供してもよい。気道装置によって収集されたデータは、例えば、ユーザが眠っている間に連続的であるので、(患者または患者集団のいずれかの)基準からの逸脱は、健康、特に心臓の健康状態の変化を示し得る。
【0093】
気道装置/制御装置のいくつかの実施形態では、装置は、歩行可能に使用される。すなわち、ユーザは、歩き回ったり、テレビを見たり、仕事をしたり、寝たり、休息したり、運動したり、毎日の活動をしている間に、この装置を使用する。ユーザは、固定された装置、病院、診療所に縛られない。
【0094】
気道装置/制御装置に接続されたセンサは、血液酸素飽和度センサまたは血液CO飽和度センサ、または任意の他のタイプの酸素/COセンサを含む。例えば、血中酸素飽和度は、唇、舌、口腔粘膜および/または指/四肢と接触しているパルスオキシメトリセンサによって測定する。1つまたは複数のEKGセンサ(これらの位置または他の位置と接触していてもよい)から収集されたこの信号および/またはEKG信号は、パルス通過時間を測定するために使用される。
【0095】
組織O/COは、舌または口腔粘膜または他の場所に接触するか、または近接した空気圧力測定センサを用いて測定される。このタイプのセンサは、センサと本体との間に空気透過性膜を含む。
【0096】
絶対一回拍出量は、以下のように測定してもよい。圧力変化により心臓収縮毎に置換された容積または空気は、最初に肺の空気量を測定することによって測定される。これは、以下の1つまたは複数の方法で実行される。
【0097】
1)パルス空気法-既知量の空気を肺に脈動させ、圧力の変化を測定する。このことから、肺における死腔の容積が測定される。
【0098】
2)肺活量測定-総肺容量は肺活量測定から推定することができる。
【0099】
3)ガス希釈-既知の量および濃度の標的ガスが肺に注入される。次いで、吐き出された呼息中の標的ガスの濃度を測定して、どの程度の空気が標的ガスと混合したかを測定し、これにより肺容量の推定値を得る。
【0100】
一回拍出量のばらつきも測定/算出される。例えば、制御装置は、ユーザに深呼吸を促す。制御装置は、1つ以上のセンサから取り込まれたデータを使用して、吸息終了時および呼息終了時に一回拍出量の測定値を得て、一回拍出量のばらつきを判定する。制御装置は、肺活量測定(呼吸量を測定する)またはパルス空気法、またはガス希釈法を用いて肺容量の変化による心臓パルスサイズの変化を補正する。
【0101】
肺活量測定は、0.5秒、1.0秒(FEV1)、2.0秒、3.0秒、および他の間隔の時間間隔での肺活量(VC)、努力肺活量(FVC)、努力呼気量(FEV)、努力呼気流量25乃至75%(FEF25乃至75)、最大呼吸能および最大瞬間呼気速度(PEF)としても周知の最大換気量(MVV)並びに任意の他のパラメータを含むいくつかのパラメータのうちの1つまたは複数を測定することに使用される。他の試験が行われてもよい。結果は、類似の特性(身長、年齢、性別、ときには人種および体重)を有する患者の生データ(リットル、リットル/秒)および「予測値」のパーセントとしてのパーセント予測試験結果として提供されてもよく、あるいは結果は他の方法で提供されてもよい。
【0102】
気道装置/制御装置のいくつかの実施形態では、ユーザのECG信号が心原性オシレーションデータと同時に収集される。このようにして、心拍の正確な長さおよび/またはタイミングを(ECG信号によって)測定することができ、心原性オシレーション圧力曲線を正確な心拍に分割することができる。すなわち、各心拍に関連する心原性オシレーション曲線の開始および終了がECG信号によって正確に識別されるので、1つの心拍に関連する1つまたは複数の心原性オシレーション曲線を収集し、識別し、平均化することができる。これにより、複数の心原性オシレーション曲線を収集し、それらを平均してより正確な心原性オシレーション曲線データを得ることが可能になる。1つまたは複数のECGセンサ/電極が、マウスピースまたは気道装置のハンドヘルド部に配置されてもよい。1つ以上のECGセンサ/電極が、ユーザの口、1本以上の指、片手若しくは両手、または身体の他の場所と接触していてもよい。ECG曲線の様々な特徴を用いて、心原性オシレーション圧力曲線を「ゲート」させてもよい。例えば、Rピーク、あるいはP、Q、S、T、U領域を使用してもよい。
【0103】
これに代えて、または加えて、パルス酸素濃度計/フォトプレチスモグラフからの信号を使用して、心拍周期の正確な長さ/タイミングを測定するために心原性オシレーション圧力曲線を同様にゲートしてもよい。同様に、ECG曲線の特徴は、ゲーティング特徴(例えば、R波のピーク間の時間を用いる)として使用することができ、パルスオキシメータ曲線の特徴、ピーク、谷、勾配、長さなどを、ECG曲線の代わりに、またはECG曲線に加えて使用してもよい。これに代えて、複数のECG信号および/または複数のパルスオキシメータ信号を使用してもよい。例えば、装置は、パルスオキシメータ用の1つ以上の電極/センサと、片手用のECGを有し、これにより2つのパルスオキシメータ信号に加えて2つのECG信号を得る。これにより、心原性オシレーション圧力曲線をゲートするのに最良の信号を使用することが可能になる。最良の信号は、振幅、識別可能なピーク、一貫性などによって選択することができる。このようにして、ユーザがすべての電極/センサに完全に接触していなくても、または接触されていなくても、良好な信号が得られる可能性がある。冗長センサが心原性オシレーション圧力曲線をゲートするために使用される場合、冗長センサは、それぞれ異なるゲインで設定されてもよい。このようにして、信号のうちの1つが曲線のピークを識別することが困難となる最大限に達する、すなわち脱線すると、他方の信号がより低くなり、より識別可能なピークを有する。このような状況は、ユーザが圧力をかけてセンサを押すと発生する。このようにして、異なる利得で設定される異なるセンサを有する1つの装置は、異なる指圧を有するユーザに適応する。
【0104】
分析結果を最適化するために、外れ値またはあまり有用でないデータも、分析からのECG信号および/またはパルスオキシメトリ信号を使用して取り払われてもよい。2つ以上の収集されたECG/パルスオキシメトリ信号がさらに分析に使用されてもよい。1つまたは複数のパルスオキシメータ/フォトプレチスモグラフセンサ/電極が、マウスピースまたは気道装置のハンドヘルド部に配置される。1つ以上のパルスオキシメータ/フォトプレチスモグラフセンサ/電極は、ユーザの口、1本以上の指、片手若しくは両手、または身体の他の場所と接触していてもよい。
【0105】
これに代えて、または加えて、大まかな圧力センサからの信号を用いて、心拍の正確な長さ/タイミングを測定するために、心臓の圧力曲線を同様にゲートしてもよい。制御装置に対する心拍の長さ/タイミングを測定するとともに通信する任意のセンサを用いて、心原性オシレーション圧力曲線をゲートする。
【0106】
いずれのゲーティング曲線においても、曲線の規則的に繰り返す特徴すなわちピークが、ゲーティングとして、およびゲーティング自体のために使用されるゲーティング曲線の品質または相対的品質を評価するために使用されてもよい。
【0107】
図19は、互いに重ね合わされたいくつかのゲートされた心原性オシレーション圧力曲線および曲線の平均を示す。より細い線1902は、いくつかの心拍から得られた個別の心原性オシレーション曲線を表す。心拍は、互いに重なり合って分離され、平均曲線1904は、制御装置によって計算される。各心拍の開始点および終了点は時間の経過とともにわずかに変化し、これにより、各心拍の開始点および終了点(すなわち、ゲート)を正確に特定することなく曲線を平均化することが困難になる。ここで、制御装置は、患者から同時に取得されたECG信号を用いてこれを行う。ECGの1つまたは複数の点、例えばRピークを選択することにより、各心拍の開始点および終了点を正確に識別することができ、その結果、複数の心拍からの心原性オシレーション曲線を平均化することができる。制御装置は、心拍識別に使用するECGの最良点を判断するように実装され、例えば、ECG曲線は、最も一貫した領域/ピーク、最も識別可能な領域/ピーク、最も鋭いピーク/領域などについて分析することができる。
【0108】
図19に示す分析では、中央値曲線は、平均曲線の代わりに、または平均曲線と組み合わせて使用されてもよい。中央値曲線を構築するために、各時点(例えば、Rピークの検知後1、2、3...ミリ秒)における中央値が計算される。これは、個別の異常値曲線の影響を低減するのに役立つかもしれないが、平均を計算する際に指定された偏差の範囲外にある点を除外するなど、同じ目的を達成するために他の技術を使用してもよい。
【0109】
心原性オシレーション曲線の形状を解析することにより、患者に関する情報が得られる。それはまた、患者特異的であり、健康な患者の間でさえ、心原性オシレーション曲線形状は、個々の個体に特有であることを意味する。このようにして、患者を識別するためのサインとして曲線の形状を使用することができる。心原性オシレーション曲線の変化は、特定の疾患状態または相対的な疾患状態を示す。例えば、曲線の形状(すなわち、正常なものと比較した曲線の形状の変化若しくは経時的な曲線の形状の変化)を解析して、以下の疾患状態のいずれかを判定し、かつ/または経時的に追跡する。
【0110】
大動脈狭窄症、大動脈不全、僧帽弁狭窄症、僧帽弁不全(逆流)、肺動脈狭窄症、三尖弁狭窄症、三尖弁逆流、肺高血圧症、肺線維症、うっ血性心不全、急性呼吸窮迫症候群、人工呼吸器による肺炎、肺炎、心房中隔欠損症、卵円孔開存症、単心室、その他
【0111】
加えて、経時的な、または異なる位置の患者の心原性オシレーション曲線の形状に対する変化は、水和のような他の患者パラメータを示す。例えば、患者の脚を上げたときのPACの改善を示す心原性オシレーション曲線は、脱水症状の指標となる。水和状態は、患者の位置および/または呼吸圧力を変化させることによって評価してもよい。例えば、ユーザは、制御装置によって、立ったり、仰臥位になったり、座ったり、脚を上げたり、特定の角度で倒立させたりなどして測定を行うよう促されてもよい。これらの測定値間の関係は、患者の健康状態を判定するためにデータ分析において使用される。例えば、仰臥位COSデータと座位COSデータとの間の比率を分析に使用してもよい。
【0112】
いくつかの実施形態では、任意の心臓血管および/または肺パラメータを複数の患者位置において収集し、パラメータ間の関係を患者の健康状態を判定するために使用してもよい。例えば、セントジュードメディカル社(St. Jude Medical)によって製造されたCardioMEMS(登録商標)装置のような他の利用可能な装置は、患者が複数の位置にあるときに、肺動脈圧などの患者パラメータを収集するために使用される。これらの異なる位置で収集されたデータは、患者の健康状態を判断するために、互いに関連して(例えば、座位のデータと仰臥位のデータとの比)使用することができる。
【0113】
気道装置/制御装置のいくつかの実施形態では、ユーザは、圧力信号を得るために1つまたは複数の特定の方法で呼吸するように促される。ユーザは、呼吸の圧力、時間、または他のパラメータに関するフィードバックを表示するディスプレイを制御装置が制御すると同時に、装置に対して呼吸(呼息、吸息、または両方またはいずれもしないまたはMVM)するように要求される。例えば、ユーザは、圧力範囲内の一定の圧力で、一定の時間、吐き出すように要求されてもよく、ライト、グラフィックディスプレイなどのディスプレイは、その圧力および時間に関するフィードバックをユーザに示してもよく、あるいは、これに代えて、制御装置は可聴フィードバックを提供してもよい。
【0114】
図20A乃至図20Cは、圧力範囲内の一定の圧力で呼吸するようにユーザを導くことができるいくつかの代替的なグラフィカル表示を示す。図20Aは、インジケータライト2002を有する制御装置2004を示す。この例では、色、明るさ、形状などが異なる3種類のライトが設けられる。ライトは、呼息圧力が高すぎる、低すぎる、または範囲内にあることを示す。この例では、中間の3つのライトは、呼息圧力が最適な範囲にあることを示す。ユーザは、マウスピースの中に呼息して、中間のライト内に呼息圧力を収めるように試みる。グラフィカルイメージ、音声、ダイヤルなどをライトの代わりに使用してもよい。
【0115】
グラフィカル(または可聴)ディスプレイは、ユーザが目標範囲(圧力範囲など)の下限または上限にいるときにユーザに表示してもよく、これによりユーザは範囲内に収まるように小さな調整を行うことができる。
【0116】
いくつかの実施形態では、目標呼息圧力は、約7乃至約8mmHg(約0.933kPa乃至約1.066kPa)である。いくつかの実施形態では、目標呼息圧力は、約9乃至約11mmHg(約1.199kPa乃至約1.466kPa)である。いくつかの実施形態では、目標呼息圧力は、約5乃至約7mmHg(約0.666kPa乃至約0.933kPa)である。いくつかの実施形態では、目標呼息圧力は、約5乃至約20mmHg(約0.666kPa乃至約2.666kPa)である。いくつかの実施形態では、目標呼息圧力は、約5乃至約15mmHg(約0.666kPa乃至約1.999kPa)である。いくつかの実施形態では、目標呼息圧力は、約10乃至約20mmHg(約1.333kPa乃至約2.666kPa)である。いくつかの実施形態では、目標呼息圧力は、約5乃至約10mmHg(約0.666kPa乃至約1.333kPa)である。いくつかの実施形態では、目標呼息圧力は、約7.5乃至約12.5mmHg(約0.999kPa乃至約1.666kPa)である。
【0117】
いくつかの実施形態では、目標呼息時間は、約5秒である。いくつかの実施形態では、目標呼息時間は、約4乃至6秒である。いくつかの実施形態では、目標呼息時間は、約3乃至7秒である。いくつかの実施形態では、目標呼息時間は、約2乃至5秒である。いくつかの実施形態では、目標呼息時間は、10秒までの任意の時間に設定される。
【0118】
図20Bは、グラフィカルディスプレイの別の配置を示す。この場合において、ライト2006が使用されるが、これらは、より湾曲した制御装置2008上で円形または楕円形のパターンにある。
【0119】
図20Cは、気道装置/制御装置の代替の配置を示す。この例では、マウスピース2010は、センサ、フィルタ等、およびブルートゥース(登録商標)送信機のような無線送信機を含む。マウスピースには制御装置のコンポーネントも含まれる。制御装置の少なくともいくつかのコンポーネントは、ポータブル装置2012に含まれている。ポータブル装置は、携帯電話、タブレット、コンピュータなどであってもよく、無線受信機およびディスプレイを含む。本実施形態では、圧力センサ情報は、制御装置に無線で送信され、制御装置は、ユーザに対してフィードバックを表示または伝達する。フィードバックは、呼吸圧力フィードバック、時間、および任意の他のフィードバックを含む。マウスピースと制御装置との間の接続は有線であってもよい。制御装置の異なるコンポーネントが、マウスピースと制御装置との間に分配されてもよい。
【0120】
制御装置のいくつかのコンポーネントは、例えば、ローカル制御装置と通信している、インターネットに接続されたサーバ上に、遠隔で存在してもよい。
【0121】
図21Aおよび図21Bは、「センサハンドピース」を含む気道装置/制御装置の実施形態を示す。センサハンドピースは、様々な生理的パラメータを検知するために、ハンドピース自体に複数のセンサおよび/または電極を含む。センサ/電極は、ユーザの1本以上の指および/または片手乃至両手と容易に接触する、センサハンドピースの表面上にあってもよい。センサハンドピースは、その表面上に複数のECGセンサ/電極、および/またはパルスオキシメータ/複数のフォトプレチスモグラフセンサ/複数の電極などのセンサを含む。本実施形態では、センサハンドピースは、ユーザが保持している人間工学的な例であり、これにより、指は、筐体の表面上にある様々な適切なセンサと接触する。図21Aでは、センサハンドピース2102は、複数のECGセンサ/電極2104と、パルスオキシメータ/フォトプレチスモグラフセンサ/電極2106とを含む。ユーザは、2本の指/親指がECGセンサに接触し、別の1本の指/親指がパルスオキシメータセンサに接触するように、センサハンドピースを両手で保持する。これに代えて、より少ない指が必要とされるように、異なるタイプのセンサを組み合わせてもよい。
【0122】
図21Bは、制御装置に接続されたセンサハンドピースを示す。この接続は、無線または有線である。これに代えて、センサハンドピースを制御装置と組み合わせてもよい。制御装置/センサハンドピースは、グラフィックディスプレイおよびセンサを含む。
【0123】
いくつかの実施形態では、気道装置/制御装置は、CPAP(連続気道陽圧)装置に組み込まれる。これらの実施形態では、制御装置は、制御装置の心原性オシレーション圧力曲線の解析に基づいて、CPAP装置によって送達された正圧を制御する。
【0124】
図22は、一実施形態によるCPAP装置に組み込まれた気道装置/制御装置を示す。様々なセンサが、マスク2202、換気管2204または制御装置2206内に設けられる。図21A図21Bに示すようなハンドヘルドユニットは、ユーザが覚醒しているときに使用するために設けられてもよく、複数のECGおよびフォトプレチスモグラフセンサなどのセンサを含んでも含まなくてもよい。インジケータグラフィックス2208は、セットアップのために、またはユーザが覚醒している場合のためにも設けられる。マスク内のセンサは、換気管に埋め込まれたワイヤ2210を介して制御装置と通信してもよく、または通信は無線であってもよい。センサがマスクではなく制御装置内に設けられる場合、通信は必要ない。心原性オシレーションおよび他のパラメータ(ECG、パルスなど)は、マスク、制御装置、またはセンサハンドピース内の他の場所などのセンサを介してCPAPシステムにより検知される。CPAP装置は、ユーザが覚醒しているときに読み取り値を得るために、テストモードまたはセットアップモードで動作し、また、ユーザが眠っている間に読み取り値を得るために、スリープモードでも動作する。例えば、ユーザは、覚醒している間に特定の時間枠の間、一定の圧力で呼吸してベースラインを設定するように促されてもよい。ユーザが眠っている間に読み取り値を収集し、CPAP気道内圧を読み取り値の変化に基づいて自動的に調整する。加えて、またはこれに代えて、読み取り値の特定の変化が検知されたときにユーザを覚醒させるべく警告を鳴らしてもよい。
【0125】
CPAP装置または他の陽圧装置と組み合わされる気道装置の実施形態では、心臓の健康状態は診断されるだけでなく、治療される。気道装置は、心拍の正確なタイミング(ECG、フォトプレチスモグラフ、大まかな息圧、心原性オシレーションなど)を測定するので、心拍と同期して気道を介して肺に正圧を印加することができる。心室の収縮後に肺圧を上昇させることができ、次の心収縮の前に肺圧を下げて心臓の負荷を軽減することができる。
【0126】
図23は、一実施形態による、単体であっても、CPAP装置に組み込まれていてもよいし、または追加の制御装置コンポーネントと組み合わせて使用されてもよい気道装置/制御装置を示す。筐体2302は、制御装置の機構を格納する。気道管2304は、制御装置とマウスピース2306との間で流体連通している。本実施形態では、センサおよび制御装置はすべて筐体2302内にあるが、他の実施形態は、例えば、ECGおよびパルスオキシメトリセンサを含むセンサハンドピース2402が示される図24に示すように、他の場所のセンサおよび制御装置機能とともに設けられ、かつ/または実施形態において、制御装置の計算機能の一部または全部がリモートサーバ上で実行される。
【0127】
機械的フィルタ2308および2310は、気道管を通る空気の流れを制限および制御することを支援する。この例において、大まかな圧力センサ管2312は、大まかな圧力センサ2318および気道管2304と流体連通している。微差圧センサ2320は、大まかな圧力センサ管2312と流体連通する管2314および2316と流体連通している。インライン流量リストリクタ2322は、精細な差圧センサ2320と流体連通する1本の管を通る流れを制限するために、管2314に組み込まれる。他の管2316は、流量リストリクタを有さないか、または流量リストリクタ2322とは異なる制限レベルを有する流量リストリクタを有する。流量リストリクタ2322は、1つまたは複数の機械的フィルタを備えてもよい。大まかな圧力センサ2318からの信号は、精細な差圧センサ2320からの信号から減算されて、呼吸、移動、咳などからアーチファクトを取り除く。図25を参照のこと。これに代えて、大まかなセンサからの圧力信号を使用して、ユーザが一定の目標圧力で呼息していると判断してもよい。例えば、大まかな圧力センサ信号は、ユーザが目標圧力範囲内にあるときにユーザに示す光のようなグラフィックディスプレイを駆動してもよい。この状況では、心原性オシレーション信号は微差圧センサから抽出される。
【0128】
精細な圧力センサの感度は、約+/-2mmHg(約0.266kPa)であってもよい。大まかな圧力センサの感度は、約+/-10mmHg(約1.333kPa)であってもよい。これに代えて、精細な圧力センサの感度は、約+/-0.5mmHg乃至+/-3mmHg(約+/-0.066kPa乃至+/-0.399kPa)であってもよい。大まかな圧力センサの感度は、約+/-5mmHg乃至+/-15mmHg(約+/-0.666kPa乃至+/-1.999kPa)であってもよい。精細な圧力センサまたは大まかな圧力センサは、差圧センサであってもよい。
【0129】
本明細書の他の箇所で述べたように、パルスオキシメトリ/フォトプレチスモグラフによって測定されたECG信号(例えば、Rピーク)と心拍との間の時間を評価することによって、パルス通過時間を測定してもよい。パルス通過時間はまた、ECG信号と心原性オシレーション曲線におけるピークとの間の時間を測定することによっても測定される。これは、心臓弁開放圧力および/または開放時間を含む異なる情報を提供する。
【0130】
図26Aおよび図26Bは、2つの実施形態による、気道装置のマウスピース領域を示す。マウスピース開口部2604を有するマウスピース2602は、気道管2610と連通しているフィルタ部2608と連通しており、これにより、管腔はマウスピース開口部2604から制御装置(図示しない)まで延びている。フィルタ部2608は、約2マイクロメートル乃至約4マイクロメートルの範囲の孔径を有する疎水性フィルタ膜を含む。これに代えて、フィルタの孔径は、約1マイクロメートル乃至約5マイクロメートルの範囲にある。好ましくは、フィルタ孔径により、水蒸気がフィルタを通過することが防止される。
【0131】
本実施形態は、マウスピースを介して息を吹いている間にユーザが感じる抵抗を制御する抵抗制御オリフィス2606を含む。いくつかの実施形態では、ユーザは、相対的な一定の呼息圧力で約1乃至5秒または約5乃至10秒間呼息するように求められる。抵抗制御オリフィスは、呼息抵抗を制御することができる。より小さい径の抵抗制御オリフィスは、より高い呼息抵抗に相当する。より大きな径の抵抗制御オリフィス、または複数の抵抗オリフィスは、より低い呼息抵抗をもたらす。好ましくは、抵抗制御オリフィスは、形状がほぼ円形にあり、直径または最大径が約0.3mm乃至約0.5mmの範囲にある。これに代えて、抵抗制御オリフィスの最大径は、約0.1mm乃至約1.0mmである。これに代えて、抵抗制御オリフィスの最大径は、約0.5mm乃至約1.0mmである。
【0132】
フィルタ部2608は、一般的なルアータイプのアダプタ、またはルアーロック、ねじ締め、スナップオン、アダプタ上の接着剤などの任意の他の適切なアダプタによって、マウスピース2602および/または気道管2610に適応する。
【0133】
図26Bは、オリフィスシース2612を追加した、図26Aに示す実施形態と同様の実施形態を示す。オリフィスシースは、抵抗制御オリフィスがユーザの指などによって塞がれないように保護する。オリフィスシースは、ユーザがオリフィス/オリフィスシース領域上に指を置いていても、空気を抵抗制御オリフィスから自由に流出(または吸息中に流入)させる開口部2614を含む。オリフィスシースは、好ましくは、ポリマなどの剛性を備える材料から形成され、マウスピース2602および/またはフィルタ部2608と一体的であってもよい。
【0134】
図27および図28は、一実施形態による、制御装置機能のうちの少なくともいくつかを含む気道装置のセンサハンドピースの頂面図および底面図をそれぞれ示す。センサハンドピースは筐体2702を含む。筐体頂部上には、1つまたは複数の心臓パルスセンサ/電極(フォトプレチスモグラフ/パルスオキシメトリセンサ)2704、気道管コネクタ2706、電源ボタン2708、1つ以上の呼吸圧力インジケータ2710、1つ以上の呼吸圧力目標インジケータ2712、ディスプレイ2714、およびモードボタン2716が設けられる。
【0135】
図28は、一実施形態による、1つ以上のECG電極2802および電池カバー2804を含むセンサハンドピースの底面図を示す。センサ/電極のいずれも筐体上のいずれの箇所に設けられてもよい。
【0136】
センサハンドピースを保持するとき、ユーザは、好ましくは、片手の親指または両手の親指が1つ以上の脈拍センサ2704に接触し、1本または複数の指が1つ以上のECG電極2802に接触する。ユーザが指/親指をセンサ上に置く前に、マウスピースを口に入れることが好ましい。しかしながら、センサとの接触のために片手のみが必要な場合には、試験が開始される前にいつでもマウスピースをユーザの口に入れてもよい。
【0137】
データ収集の間、ユーザは、ディスプレイ2714または聴覚的に、あるいはその両方によって様々な工程を介して案内される。これに代えて、ディスプレイは、ユーザの携帯電話/コンピュータ上に設けられ、有線接続、無線接続、または携帯電話/コンピュータのポートを介する直接接続のいずれかによって携帯電話/コンピュータと通信するセンサハンドピースの他の機能を備えてもよい。1つ以上のインジケータ2710は、この図では、ライト、視覚バー、可聴音、触覚フィードバック(振動のような)などであり、インジケータは、呼息圧力、および呼息圧力の一貫性を示すライトであり、また、呼息圧力が、所要時間の間、適正圧力範囲内に一貫している場合を示す。好ましくは、ユーザは、一定の圧力を保持するためにインジケータによって案内される。加えて、またはこれに代えて、ユーザは、特定の目標圧力を保持するためにインジケータによって案内される。目標圧力は、予め設定されていてもよく、または、個別のユーザおよび安定した呼息圧力を保持するためのユーザの快適な呼息圧力範囲に応じて設定されてもよい。圧力目標インジケータ2712は、定位置に固定されてもよく、または個別のユーザに適合するように移動可能であってもよい。ソフトウェアは、目標インジケータ2712が同じ位置にとどまるが異なる個人の異なる呼息圧力を参照するように、インジケータ2710を調整する機能を含んでもよい。例えば、セットアップ手順の一部として、ユーザは快適な圧力でx秒間呼息するように求められる。装置上のボタンを押して、圧力を特定の個人の「目標」圧力として設定してもよい。
【0138】
図29は、一実施形態において、気道装置制御装置およびシステムがどのようにデータを通信するかを示す。本実施形態では、制御装置機能は、センサハンドピース2902、携帯電話/装置/コンピュータ2904、クラウド/インターネット/イントラネットサーバ2908、およびダッシュボードコンピュータ2910に分散される。一般に、センサハンドピース2902を介してデータが収集され、モバイル装置2904と(ブルートゥース(登録商標)、Wi-Fiまたは他の有線または無線接続を介して)ローカルで通信され、モバイル装置2904は(Wi-Fi、モバイルネットワーク、有線または無線通信などを介して)サーバ2908と遠隔通信し、サーバ2908は、続いてデスクトップコンピュータ、ラップトップコンピュータ、モバイル装置、タブレット、クライアントなどの任意の装置と(Wi-Fi、モバイルネットワーク、有線または無線通信などを介して)通信することができる。
【0139】
センサハンドピースから転送されたデータ2906は、装置ID(ハンドピースの一意の識別子であり、MACアドレスまたは他のIDの形式である)、データファイルID(装置内のデータファイルの一意の識別子)、治療データ、位置データ(座位、側臥位など)、合否データ(収集されたセンサデータが分析に適しているかどうか、さらに適切なレベルのデータであるかどうか)、1つ以上のタイムスタンプ、ECGデータ、パルスオキシメータ/フォトプレチスモグラフデータ、息のデータ、および他の関連データを含む。
【0140】
センサハンドピース2902は、本明細書で開示される実施形態のいずれかを組み込んでもよい。サーバ2908は、リモートまたはローカルであってもよく、インターネット、イントラネットまたはローカルネットワーク上にあってもよい。ダッシュボードコンピュータ2910は、異なるアクセス権を有してもよい。例えば、患者/気道装置のユーザは、1つのアクセスレベルを有し、医師または保険会社または臨床試験管理者または別のタイプの管理者は、別のアクセスレベルを有する。データは、ユーザに応じて様々な方法で表示される。例えば、臨床試験の管理者は、複数のユーザから集められたデータを見ることができるが、ユーザの身元を見ることはできない。患者は自分のデータのみを見てもよく、傾向、警告、提案などを見てもよい。患者の医師は、警告、データ傾向などで、それぞれ特定された複数の患者のデータを見る。ダッシュボードコンピュータまたはサーバは、電子健康記録と一体化されてもよい。気道装置からのデータは、患者の個人的な電子健康記録と一体化されてもよい。気道装置からのデータは、他の装置/ソースからのデータの有無にかかわらず診断を行うために使用される。サーバ2908は、気道装置からのデータおよび任意選択で他のデータ収集装置からのデータを組み込んで分析して結果を予測するアルゴリズムを含む。
【0141】
図30は、図27に示すディスプレイ2714上に示されるスクリーンの例を示す。画面3002は、ようこそ画面サンプルを示す。画面3004は、情報画面サンプルを示す。画面3006は、ユーザがどの位置で開始するかを示す位置インジケータ3007を含む開始画面サンプルを示す。例えば、ここでは、ユーザは座位で開始する。他の位置は、仰臥位、脚を上げた仰臥位、立位などを含む。ブルートゥース(登録商標)インジケータは、ユーザがブルートゥース(登録商標)を介してモバイル装置に接続されていることを示し、ユーザはモードボタンを押して試験を開始することが促進される。ユーザは、ハンドピースを保持する方法、および1本以上の指および親指を置く位置を含む、より多くの情報を見ることができる。画面3008は、試験が今開始されたことを示す。まず、システムは、ECG信号とパルス信号が適切であるかどうかを判断することによって、センサとの適切な接触が検知されたことを確認するための試験をする。「適切」または「良好」には、信号の大きさ、一貫性、形状、傾向、または信号の他の属性を判定するために信号を経時的に測定することが含まれる。ECG信号適否インジケータ3011およびパルス信号適否インジケータ3013は、適切な信号が得られるまで、不適切な信号を示す。両インジケータは、1つ以上の信号が不適切でありかつ/または適切であることをユーザに知らせる赤いインジケータ、開放インジケータ、X、または音声、または振動などの触覚インジケータを示す。画面3012は、ECG信号が不適切であることをユーザに示す画面である。このタイプの画面は、適切な信号で複数回試行した後、または信号が一定期間不適切な場合にポップアップする。ユーザーが適切な信号を得るのを補助するために、追加の指示を与えてもよい。画面3014は、適切なパルス信号が得られていない場合の同様の画面を示す。
【0142】
画面3016は、適切なECG信号およびパルス信号が得られていることを示す画面を示す。ユーザは続いて呼吸を開始するように指示される。呼吸とは、自然呼吸や長期にわたる安定した呼息または吸息を意味する。好ましくは、ユーザは、安定した長期間の呼息を生成するように求められる。再び、システムは、呼吸信号が適切か不適切かを判定するために信号を評価する。呼吸信号の妥当性は、信号の長さ、信号の一貫性、信号の大きさ、信号の形状(圧力信号など)、規則的なピークの存在などを含む。画面3018は、呼吸信号が不適切であると判定された場合に表示されるサンプル画面を示す。画面は、呼吸の長さ、息の安定性、呼吸の大きさなどの追加情報を提供してもよい。例えば、ここでは、ユーザは少なくとも10秒間呼吸するように求められる。ユーザはまた、「ホワイトゾーン」の中間で呼吸することを要求され、これは図27に示すインジケータ2710が目標範囲内にあるように呼吸することを意味する。インジケータを目標範囲内に保持することにより、呼吸信号の振幅と呼吸信号の定常性の両方が制御される。これらのプロンプトはすべてユーザに提供されてもよく、または信号の長さ、振幅または定常性が欠如しているかどうかに応じて異なるプロンプトが提供されてもよい。
【0143】
画面3020は、呼吸、ECGおよびパルス信号がすべて適切である場合の試験の進行を示す。システムは、リアルタイムで結果を分析して、総信号が適切であるかどうかを判断することができ、それによって信号を適切に分析することができる。信号を適切に分析できない場合、ユーザーは試験を繰り返すように促される。
【0144】
画面3022は、次の試験の開始を示し、前の試験とは位置が異なる。例えば、この画面は、ユーザが側臥位にあることを示す。ユーザが横たわってモードボタンを押すと、画面3008乃至3020に示されるものと同様の画面が表示される。位置に加えて他の要因は、異なる試験に対して変更されてもよい。例えば、ユーザは、試験間に運動をするように、または異なるように若しくは異なる時間にわたって呼吸するように求められてもよい。画面3024は、セッションのすべての試験が完了したときの終了画面サンプルである。
【0145】
図31は、一実施形態による気道装置/制御装置の使用方法を概説する。これらは、一実施形態において制御装置が実行する工程である。工程3102は、ユーザがブルートゥース(登録商標)または他の技術を介してハンドピースをモバイル装置に接続することによって試験を開始するのを待つ制御装置を待機状態にすることを表す。ユーザが試験を開始し、ブルートゥース(登録商標)を介して接続すると、制御装置は、工程3104に示すように、座位、立位、または側臥位などの特定の位置を占めるようにユーザに促す。工程3106は、制御装置がユーザに1本以上の指および親指を適切なセンサに当てるように促すことを示す。より具体的な指示を与えてもよい。工程3108は、信号が適切であるかどうかを制御装置が確認することを示す。信号が不適切である場合、制御装置は、1つ以上の信号の妥当性を高める方法でユーザを促す。信号が適切である場合、制御装置は工程3110に移動し、ユーザは装置のマウスピースに呼息することによって試験を開始するように促される。工程3120は、制御装置が複数のハンドピースセンサ(すなわち、ECGおよびパルス)ならびに1つ以上の呼吸センサ(すなわち、圧力および/または流量)からデータを収集することを表す。工程3118は、試験シーケンスの終了を表す。この時点で、制御装置は、試験シーケンス中に収集されたデータが適切であるかどうかを判断する(工程3116)。データが適切である場合、制御装置は、工程3114によって表される現在の試験セッションを終了する。工程3114において、制御装置は、例えば、異なる位置で実行される必要があるさらなる試験があるかどうかをユーザに促し、またはユーザに通信する。実行すべき試験がさらにある場合、制御装置は工程3104に戻る。実行すべき試験がそれ以上存在しない場合、制御装置は、工程3132に示すように、装置をシャットダウンする。収集されたデータが適切でない場合、制御装置は、工程3104,3106などの前の工程に戻ることによって、工程3124によって表されるように、試験セッションを再開する。
【0146】
気道装置のいくつかの実施形態は、医者、看護師、家族、隣人などの介護者と通信する能力を含む。この通信は、Wi-Fi接続または携帯電話接続を介して無線で行われてもよい。これに代えて、通信は有線構成で行われてもよい。この通信は、ネットワークまたは直接ピアツーピアであってもよい。ネットワークは、インターネット、イントラネットまたは他のネットワークであってもよい。これらの通信により、介護者はユーザの健康状態を監視することを支援される。例えば、うっ血性心不全、PAC、肺疾患(COPD、肺気腫、喘息、肺容量、肺音、喘息、息切れなど)、他の心臓の問題(心房細動、弁逆流または脱出、プラーク形成、心雑音、心音など)、糖尿病、脳卒中、栄養、投薬遵守、日常的な順守、体力、身体的な器用さ、水分補給、温度、血圧、心拍数、呼吸数、一回換気量、ECG、呼吸音、唾液化学、呼吸化学、安定/震え、聴覚などに関するデータが通信される。これらの状態は経時的に監視され、パターンの変化は問題を示し、1人以上の介護者に伝達される。これに代えて、特定の閾値が、介護者に警報をトリガするデータから予め定義されるか、または「学習」されてもよい。様々な治療の有効性を経時的に監視してもよい。
【0147】
データがネットワークを介して送信される状況では、プライバシーが最大の懸念事項である。データはHIPAA標準に準拠するために暗号化、匿名化などがなされる。加えて、ユーザの身元は、データの一貫性(セッションのデータは過去のセッションのデータと十分に類似する)、指紋ID(装置のハンドヘルド部上のパッドまたは他の場所から収集されてもよく、例えば携帯電話の画面上など)、DNA ID(唾液などから収集されてもよい)、調査質問などに基づき確認される。
【0148】
より具体的には、COPD、気腫、喘息などの肺疾患は、肺活量計または呼吸流量を測定する他の方法によって監視される。例えば、呼吸流量は、超音波、ドップラー、機械的に(ピンホイールタイプの装置のように)測定される。肺内の流体の指標または肺に関する他の問題である、亀裂または喘鳴などの肺音を検知するために、マイクロフォンを気道装置に組み込んでもよい。症状/状態が悪化するか改善するかを見るために、このタイプのデータを経時的に調べることによって、薬物療法の遵守および/または有効性を監視する。また、特定の薬物療法/治療の使用を確認するために、呼吸および唾液中の化学的指標を監視することができる。
【0149】
(本明細書に広く開示されている)心不全症状の監視に加えて、AFIB(心房細動)、弁の問題(逆流、不規則性など)プラークの蓄積のような他の心臓血管の状態も監視する。例えば、弁逆流、不規則性および/または心房細動に関連付けられるような心音を検知するために、マイクロフォンを気道装置に組み込んでもよい。ECGを監視するために、1つまたは複数のECGセンサを気道装置のハンドヘルド部または装置の他の場所に組み込んでもよい。加えて、PAC(本明細書の他の箇所に開示)は、心不全以外の心臓の症状を監視するのにも有用である。例えば、PACは、プラークの蓄積または心臓血管動脈内の他の問題を監視するために使用される。
【0150】
図32は、一実施形態による、肺活量計または流量計を組み込んだ気道装置を示す。センサハンドピース3202は、マウスピース3204、エンドピース3206、マウスピースとエンドピースとを接続する内側ルーメン3208、ピンホイール3210、圧力トランスデューサ3211、電極またはセンサ3212(センサハンドステムの頂面および/または底面上に設けられる)、ディスプレイ3214、ボタン3216、キャップ3218、抵抗制御オリフィス3219、および送信機能3220を含む。本実施形態はまた、マウスピース/内側ルーメン/エンドピースの内部またはマウスピースの外側の、温度センサ、マイクロフォン、検体センサなどの、口と接触する他のセンサ3222を含む。温度センサは、マウスピースの内部にあってもよいし、マウスピースの外側にあってもよい。マイクロフォンは、マウスピースまたは内側ルーメンの内側にあってもよい。検体センサは、マウスピースの外側にあってもよい。
【0151】
図32に示す気道装置は、心臓血管の健康状態を監視することに加えて、COPD、気腫、喘息などの肺疾患を診断および/または監視するために使用することができる。装置は、肺機能を評価するためにキャップ3218を取り外した状態で使用される。このモードでは、ユーザは、マウスピース3204を通して呼吸するように、定期的に、または強制的に呼息するように、制御装置によって促され、これにより、空気流は、マウスピース3204を通って、呼吸温度、音などを評価する複数のセンサ3222を越え、空気流を検知するピンホイール3210を越え、内側ルーメン3208を通って、このモードで開放されるエンドピース3206を介して装置を退出する。
【0152】
装置は、心臓血管の健康状態を評価するために適所にキャップ3218と組み合わせて使用される。このモードでは、ユーザは、特定の方法でセンサ3212に接触するように制御装置によって促される(センサ接触は、肺機能モードの制御装置によって要求されてもよい)。また、ユーザは、例えば、MVMを介して、咽喉が開いた状態でマウスピース内に呼息するように、制御装置によって促される。ディスプレイ3214上のインジケータ、または可聴インジケータ、または触覚インジケータは、ユーザが所要時間、要求された位置において要求された圧力でMVMを実行することを支援する。ボタン3216は、オン/オフ、ディスプレイ設定、ナビゲーションなどの他の機能を果たす。データは、ブルートゥース(登録商標)、Wi-Fi、セルラネットワークなどを介して無線で装置から送信されてもよい。データは、USBなどの有線接続を介して転送されてもよい。圧力トランスデューサ3211は、キャップ3218に組み込まれてもよく、センサハンドピース本体に組み込まれてもよい。ディスプレイ3214は、センサハンドピース本体上にあってもよいし、携帯電話やタブレットのようなモバイル装置上にあってもよく、あるいはディスプレイは両方の装置に組み込まれてもよい。
【0153】
本明細書の他の箇所で述べたように、心原性オシレーションは、圧力に対する呼息中にユーザが咽喉を開いている(すなわち、声門および/または喉頭蓋を開放したままにしている)「変形バルサルバ法」すなわちMVM中に検知可能である。これを「変形バルサルバ法」すなわちMVMと呼ぶ。患者/ユーザは、特定の圧力範囲内および特定の時間内に呼息するように促される。ユーザは、適切なパラメータ(開放咽喉、圧力、および時間)内でMVMを実行するように、制御装置によって促されるか、または指示される。
【0154】
ユーザがMVMを適切に実行していることを確認するために、ユーザはトレーニングアプリの使用を指示されてもよい。トレーニングアプリは、制御装置機能(すなわち、検知しているハンドピースと通信する携帯電話上のアプリ)の一部であってもよい。トレーニングアプリは、マウスピースを口に配置し、複数の指/親指をセンサハンドピース上のセンサ上に置くようにユーザに促す。トレーニングアプリは、続いてユーザに、センサハンドピースを保持したままマウスピース内に呼息するように求める。ユーザは、ディスプレイ上に表示された一定の圧力で、設定時間の間、咽喉を開いたまま呼息するように求められる。例えば、ディスプレイ上の光インジケータが指示された範囲内にとどまるように、ユーザは、5秒間、一定の圧力で呼息するように求められる。アプリは、続いて試験の結果を表示する。図33および図34に表示されるデータの例を示す。図33は、許容可能なECGデータ、左フォトプレチスモグラフデータ、右フォトプレチスモグラフデータ、および心原性オシレーション(呼吸微圧)データの例を示す。図34は、許容できないECGデータ、左フォトプレチスモグラフデータ、右フォトプレチスモグラフデータ、および心原性オシレーション(呼吸微圧)データの例を示す。いくつかの実施形態では、ユーザ(または医師、アシスタント、技術者または看護師)は、データ曲線を視覚的に評価して、データ曲線が許容可能か否かを判断するように促される。例えば、許容可能なECG曲線は、ユーザの心拍を表す顕著かつ周期的なR波スパイク3302を有する。許容可能なフォトプレチスモグラフ曲線は、ユーザの心拍を表す顕著かつ周期的なスパイク3304を有する。許容できるCOS曲線は顕著かつ周期的なピーク3306を有する。
【0155】
いくつかの実施形態では、様々なセンサの信号曲線データが、制御装置によって同様の方法で形状について解析される。これらの実施形態では、データはディスプレイ上に表示されなくてもよい。制御装置(またはユーザ)は、ユーザに実際のデータ収集を続行するように促すために、1つの許容可能なゲート信号(ECGまたはフォトプレチスモグラフ信号)と許容可能なCOS信号を必要とするのみでよい。例えば、左フォトプレチスモグラフ信号およびCOS信号が許容可能である場合、左フォトプレチスモグラフ信号を使用してCOS信号をゲートする。
【0156】
ECG信号が許容不可である場合、ユーザは、例えばより多くの圧力、より少ない圧力、またはより多くのセンサ範囲で、異なるようにECGセンサに接触するように制御装置によって促されてもよい。フォトプレチスモグラフ信号が許容不可である場合、ユーザは、例えばより多くの圧力、より少ない圧力、またはより多くのセンサ範囲で、異なるようにECGセンサに接触するように制御装置によって促されてもよい。COS信号が許容不可である場合、例えば、(呼息圧力が十分に長い範囲内にないと、大まかな圧力センサが判断した場合、またはCOS信号曲線に識別可能なピークがない場合)呼吸をより安定して止めるように、(呼息圧力が十分に長い範囲内にないと大まかな圧力センサが判断した場合、またはCOS信号曲線に識別可能なピークがない場合)より長い時間にわたり呼息するように、多かれ少なかれ圧力をかけて呼息するように、(COS曲線に識別可能なピークがない場合)呼息中の咽喉を開放するようになど、制御装置はユーザに異なるように呼吸するように促してもよい。
【0157】
ユーザがトレーニングアプリを介して許容可能なデータを取得すると、ユーザは分析および傾向分析のために実際のデータ収集に移る。ユーザは、制御装置によって、自分の健康に関する調査に記入するように周期的に促される。調査は、1回/データ収集セッション、または任意の他の間隔、例えば1回/日、1回/週、1回/月などで要求される。
【0158】
図35および図36は、制御装置によってユーザに表示される調査画面の例を示す。使用される調査の一例は、ミネソタ州心不全アンケートである。
【0159】
いくつかの実施形態による気道装置は、装置のハンドヘルド部上に1つまたは複数の加速度計を含む。加速度計からのデータは、確実に適切な位置決め(例えば、被験者が角度に基づいて横たわっているか座っているか)を行うように装置の位置を検知するために、または震えの存在または悪化検知するために、使用される。
【0160】
気道装置のいくつかの実施形態は、音をマウスピース/管に導入するためのスピーカを含む。いくつかの実施形態は、例えば、制御装置によって生成された聴覚トーンに応答してハンドヘルド部上の特定のセンサに触れる、聴力検査を含む。
【0161】
気道装置のいくつかの実施形態は、インピーダンスセンサ(例えば、マウスピース上、またはハンドヘルド部上、片手または両手に接触する)を含む。例えば、左手用に1つと右手用に1つの2つの個別のインピーダンスセンサをハンドヘルド部上に設けて、インピーダンス測定を両手で行うことができる。インピーダンス測定により、ユーザの水分を測定することができる。インピーダンスセンサからのデータは、単独で、または他のセンサからのデータと併せて使用してもよい。例えば、インピーダンスデータをPACデータと組み合わせて使用して、ユーザの水分を判定してもよい。インピーダンス測定は、ユーザの体重および/または脂肪の組成を判定するために使用してもよい。
【0162】
いくつかの実施形態による気道装置は、例えば、唾液、呼吸、または皮膚上の分析物を監視することによって、糖尿病を監視することができる。
【0163】
いくつかの実施形態による気道装置は、生理的データに加えて使用パターンに関するデータを収集して、ユーザがルーチンから逸脱しているかどうかを判断する。ルーチンからの逸脱は、脳卒中、認知症などの健康問題の指標となる可能性がある。
【0164】
気道装置のいくつかの実施形態は、指圧を判断するためにハンドヘルド部上に1つまたは複数のひずみゲージを含む。これらのデータは、装置使用のコンプライアンス(ユーザが自分の指を装置上に適切に配置しているか)、および/または指の強さや安定性などの生理的データのために使用される。いくつかの実施形態は、ユーザが特定のセンサに迅速に触れるように要求される、または制御装置によって生成された音声および/またはライトまたは他のインジケータによって示されるテストパターンにおける器用さの試験を含む。
【0165】
気道装置のいくつかの実施形態は、複数の病状の複数のユーザにわたるデータを使用して較正される。これに代えて、または加えて、気道装置のいくつかの実施形態は、経時的に被験者のユーザから学んだデータを使用して較正され、任意により調査または健康関連情報を得る他の手段により増強されてもよい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20A
図20B
図20C
図21A
図21B
図22
図23
図24
図25
図26A
図26B
図27
図28
図29
図30
図31
図32
図33
図34
図35
図36