(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-12
(45)【発行日】2023-01-20
(54)【発明の名称】炊飯器
(51)【国際特許分類】
A47J 27/00 20060101AFI20230113BHJP
【FI】
A47J27/00 109E
(21)【出願番号】P 2019066295
(22)【出願日】2019-03-29
【審査請求日】2021-09-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100168583
【氏名又は名称】前井 宏之
(72)【発明者】
【氏名】上田 真也
(72)【発明者】
【氏名】宇野 正行
(72)【発明者】
【氏名】東 幸靖
【審査官】川口 聖司
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-000951(JP,A)
【文献】特開2015-092856(JP,A)
【文献】特開平07-255591(JP,A)
【文献】特開2014-000283(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 27/00-29/06
A47J 33/00-36/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
米および炭酸水を入れるための釜と、
前記釜を加熱する加熱部と、
前記加熱部を制御する制御部と
を備え、
前記制御部は、炭酸水を用いて炊飯するために設定された炭酸水炊飯モードで前記釜を加熱するように前記加熱部を制御
し、
前記制御部は、水を用いて炊飯するために設定された水炊飯モードで前記釜を加熱するように前記加熱部を制御可能であり、
前記炭酸水炊飯モードで炊飯する場合の前記加熱部の加熱プロファイルは、前記水炊飯モードで炊飯する場合の前記加熱部の加熱プロファイルとは異なり、
前記炭酸水炊飯モードで炊飯する場合の吸水期間は、前記水炊飯モードで炊飯する場合の吸水期間よりも短い、炊飯器。
【請求項2】
米および炭酸水を入れるための釜と、
前記釜を加熱する加熱部と、
前記加熱部を制御する制御部と
を備え、
前記制御部は、炭酸水を用いて炊飯するために設定された炭酸水炊飯モードで前記釜を加熱するように前記加熱部を制御し、
前記制御部は、水を用いて炊飯するために設定された水炊飯モードで前記釜を加熱するように前記加熱部を制御可能であり、
前記炭酸水炊飯モードで炊飯する場合の前記加熱部の加熱プロファイルは、前記水炊飯モードで炊飯する場合の前記加熱部の加熱プロファイルとは異なり、
前記炭酸水炊飯モードで炊飯する場合、前記制御部は、吸水期間において前記加熱部による前記釜の加熱を停止する、炊飯器。
【請求項3】
米および炭酸水を入れるための釜と、
前記釜を加熱する加熱部と、
前記加熱部を制御する制御部と
を備え、
前記制御部は、炭酸水を用いて炊飯するために設定された炭酸水炊飯モードで前記釜を加熱するように前記加熱部を制御し、
前記制御部は、水を用いて炊飯するために設定された水炊飯モードで前記釜を加熱するように前記加熱部を制御可能であり、
前記炭酸水炊飯モードで炊飯する場合の前記加熱部の加熱プロファイルは、前記水炊飯モードで炊飯する場合の前記加熱部の加熱プロファイルとは異なり、
前記炭酸水炊飯モードで炊飯する場合の沸騰期間は、前記水炊飯モードで炊飯する場合の沸騰期間よりも短い、炊飯器。
【請求項4】
前記炭酸水炊飯モードおよび
前記水炊飯モードのいずれで炊飯するかを選択するための操作部をさらに備える、請求項
1から3のいずれかに記載の炊飯器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、炊飯器に関する。
【背景技術】
【0002】
米をおいしく炊くために炊飯器は種々改良されている。炊飯は、釜の中で米を加熱することによって行われるが、釜内の場所に応じて、米の炊き上がりにムラが生じることがある(例えば、特許文献1)。特許文献1の電気炊飯器では、側面ヒーターの内周側に光透過板を配置するとともに、側面ヒーターの外周側に光反射板を設けることにより、釜内の水の吸水ムラおよび炊きムラを抑制している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の電気炊飯器では、米を炊くことができるものの、米の炊き上がりをさらに向上させることが求められている。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、米の炊き上がりを向上可能な炊飯器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る炊飯器は、釜と、加熱部と、制御部とを備える。前記釜には米および炭酸水を入れる。前記加熱部は、前記釜を加熱する。前記制御部は、前記加熱部を制御する。前記制御部は、炭酸水を用いて炊飯するために設定された炭酸水炊飯モードで前記釜を加熱するように前記加熱部を制御する。
【発明の効果】
【0007】
本発明の炊飯器によれば、米の炊き上がりを向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】(a)および(b)は本実施形態の炊飯器の模式的な斜視図であり、(c)は炊飯器の模式的な上面図である。
【
図2】本実施形態の炊飯器による炊飯処理を説明するためのフロー図である。
【
図3】(a)は水を用いて炊飯するために設定されたモードの温度変化を示すグラフであり、(b)は炭酸水を用いて炊飯するために設定された炭酸水炊飯モードの温度変化を示すグラフである。
【
図4】本実施形態の炊飯器の模式的な上面図である。
【
図5】本実施形態の炊飯器による炊飯処理を説明するためのフロー図である。
【
図6】本実施形態の炊飯器の模式的な斜視図である。
【
図8】本実施形態の炊飯器による炊飯処理を説明するためのフロー図である。
【
図9】本実施形態の炊飯器による炊飯処理を説明するためのフロー図である。
【
図10】(a)~(c)は本実施形態の炊飯器による温度変化を示すグラフである。
【
図11】(a)および(b)は本実施形態の炊飯器による温度変化を示すグラフである。
【
図12】本実施形態の炊飯器による温度変化を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して、本発明に係る炊飯器の実施形態を説明する。なお、図中、同一または相当部分については同一の参照符号を付して説明を繰り返さない。
【0010】
[実施形態1]
まず、
図1を参照して、本発明に係る炊飯器100の実施形態を説明する。
図1(a)および
図1(b)は、本実施形態の炊飯器100の模式的な斜視図であり、
図1(c)は、本実施形態の炊飯器100の模式的な上面図である。
図1(a)は、炊飯器100において本体部112に対して蓋114が閉じた状態の模式図であり、
図1(b)は、炊飯器100において本体部112に対して蓋114が開いた状態の模式図である。
【0011】
図1(a)および
図1(b)に示すように、炊飯器100は、本体部112と、蓋114と、釜120と、加熱部130と、制御部140とを備える。本体部112は、上部の開放した形状を有しており、本体部112の中央には、穴が設けられている。釜120は、本体部112の穴に載置される。蓋114は、本体部112の一端に取り付けられる。蓋114は、本体部112に対して開閉自在に設けられる。
【0012】
釜120は、本体部112の内部に載置され、本体部112に装着される。なお、釜120は、本体部112から脱着可能である。
【0013】
釜120が本体部112に装着される場合、蓋114が本体部112に対して閉じることにより、釜120は本体部112および蓋114に覆われる。蓋114が本体部112に対して開くことにより、釜120が露出される。
【0014】
釜120には米および炭酸水が入れられる。釜120の米は炭酸水を用いて炊かれる。なお、釜120には米および炭酸水に加えて水が入れられてもよい。
【0015】
加熱部130は、本体部112に配置される。加熱部130は、本体部112に載置された釜120を加熱する。加熱部130は、電磁方式によって熱を発生させてもよい。加熱部130は、コイルを含んでもよい。
【0016】
制御部140は、加熱部130を制御する。制御部140は、蓋114に配置される。制御部140は、炭酸水を用いた炊飯のために設定された炭酸水炊飯モードで釜120を加熱するように加熱部130を制御する。
【0017】
制御部140は、プロセッサーおよびメモリを含む。プロセッサーは、中央処理演算素子(Central Processing Unit:CPU)または特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)等によって構成されるハードウェア回路である。プロセッサーは、メモリに記憶された制御プログラムを読み出して実行することによって、炊飯器100の各部の動作を制御する。例えば、加熱部130が米および炭酸水の入った釜120を加熱することにより、米を炊くことができる。一例では、釜の温度の時間変化を示す加熱プロファイルに従って、加熱部130が釜120を加熱するように制御される。典型的には、加熱プロファイルは、米の量に応じて設定されている。
【0018】
本実施形態の炊飯器100は、炭酸水を用いた炊飯のために設定された炭酸水炊飯モードで炊飯する。このため、釜120に米とともに炭酸水を入れて加熱することにより、水を用いた炊飯と比べて米をふっくら炊き上げることができ、米の炊き上がりを向上できる。
【0019】
蓋114には内蓋114aが設けられる。内蓋114aは、釜120の上部に嵌るように設けられる。蓋114が本体部112に対して閉じる場合、内蓋114aは、釜120の上部に嵌められる。
【0020】
また、蓋114にはカバー114bが設けられる。カバー114bは内蓋114aに取り付けられる。
【0021】
図1(a)および
図1(c)に示すように、炊飯器100は、表示部160および操作部170をさらに備えることが好ましい。例えば、表示部160および操作部170は蓋114に設けられる。制御部140は、表示部160および操作部170を制御する。
【0022】
表示部160は、数字および画像を表示する。表示部160は、ディスプレーを有する。例えば、ディスプレーは液晶ディスプレーを含む。
【0023】
操作部170は、ユーザーの操作を受け付ける。例えば、操作部170は、ユーザーの操作を受け付けるための操作スイッチを含む。操作スイッチは、物理的な押下を受け付けるスイッチであってもよいし、静電容量式タッチキーであってもよい。操作スイッチが静電容量式タッチキーである場合には、インジケータに替えてタッチキーのバックライトが用いられてもよい。なお、表示部160および操作部170は、両者の一体化されたタッチパネルであってもよい。操作部170は、炊飯の開始・終了、保温の開始・終了、炊く米の量および/または炊飯完了時刻の変更を入力できることが好ましい。
【0024】
ここでは、操作部170は、操作スイッチとして、複数の操作ボタンを含む。各操作ボタンには、ボタンに対応する動作が実行中であることを示すインジケータが設けられる。インジケータは、発光ダイオード(Light Emitting Diode:LED)を含む。
【0025】
例えば、操作部170は、炊飯開始ボタン172を含む。ユーザーが炊飯開始ボタン172を2回押下することにより、炊飯が開始する。この場合、炊飯開始ボタン172のインジケータが点灯する。
【0026】
また、ユーザーが炊飯開始ボタン172を1回押下することにより、表示部160は、直前の炊飯時に炊いた米の量を表示する。例えば、ユーザーが炊飯器100で昨日3合の米を炊いた後で、翌日、炊飯器100で米を炊く場合、表示部160は、3合の量を表示する。炊飯開始ボタン172が再度押下されると、制御部140は、炊飯を開始する。この場合、炊飯開始ボタン172のインジケータが点灯する。
【0027】
また、操作部170は、保温/取消ボタン174aを含む。ユーザーが保温/取消ボタン174aを押下するごとに、保温および取消が切り替わる。
【0028】
また、操作部170は、予約ボタン174bを含む。ユーザーが予約ボタン174bを2回押下することにより、炊飯が所定の時刻に開始または完了するように予約できる。この場合、予約ボタン174bのインジケータが点灯する。
【0029】
典型的には、予約ボタン174bが1回押下されると、表示部160は炊飯完了時刻を表示する。その後、予約ボタン174bが再度押下されると、炊飯の予約が完了し、予約ボタン174bのインジケータが点灯する。
【0030】
また、操作部170は、増加ボタン176aおよび減少ボタン176bを含む。ユーザーが炊飯開始ボタン172を押下して表示部160が米の量として直前の炊飯時の米の量を表示する場合、増加ボタン176aを押下することにより、表示部160は増加ボタン176aの押下前よりも多い米の量を表示する。その後、炊飯開始ボタン172が再度押下されると、炊飯予定の米の量の入力が完了し、炊飯開始ボタン172のインジケータが点灯する。
【0031】
一方、ユーザーが炊飯開始ボタン172を押下して表示部160が米の量として直前の炊飯時の米の量を表示する場合、減少ボタン176bを押下することにより、表示部160は減少ボタン176bの押下前よりも少ない米の量を表示する。その後、炊飯開始ボタン172が再度押下されると、炊飯予定の米の量の入力が完了し、炊飯開始ボタン172のインジケータが点灯する。
【0032】
また、ユーザーが予約ボタン174bを押下して表示部160が炊飯完了時刻を表示する場合、増加ボタン176aを押下することにより、表示部160は増加ボタン176aの押下前よりも後の炊飯完了時刻を表示する。その後、予約ボタン174bが再度押下されると、炊飯の予約が完了し、予約ボタン174bのインジケータが点灯する。
【0033】
一方、ユーザーが予約ボタン174bを押下して表示部160が炊飯完了時刻を表示する場合、ユーザーが減少ボタン176bを押下することにより、表示部160は減少ボタン176bの押下前よりも前の炊飯完了時刻を表示する。その後、予約ボタン174bが再度押下されると、炊飯の予約が完了し、予約ボタン174bのインジケータが点灯する。
【0034】
次に、
図1および
図2を参照して本実施形態の炊飯器100による炊飯処理を説明する。
図2は、炊飯器100による炊飯処理を説明するためのフロー図である。
【0035】
ステップS12において、計量した米および炭酸水の入った釜120を本体部112に装着する。例えば、ユーザーは、米と、米を炊くために必要な量の炭酸水とを計量し、計量した米および炭酸水を入れた釜120を本体部112に装着する。米の量は、ユーザーの所望する量である。ただし、炭酸水の量は、米に対応して設定される。例えば、5合のご飯を炊く場合、750gの米を入れるとともに、約1000mLの炭酸水を入れる。
【0036】
炭酸水は市販品であってもよい。炭酸水の炭酸濃度は、10ppm以上2000ppm以下であってもよく、50ppm以上1500ppm以下であってもよい。
【0037】
ステップS14において炊飯を開始する。典型的には、ユーザーが操作部170の炊飯開始ボタン172を押下することにより、炊飯が開始される。
【0038】
ステップS16において、釜120内において米に炭酸水を吸収させる。吸水時には、米粒全体が炭酸水に浸っていることが好ましい。なお、本明細書において、米が水を吸収するときだけでなく米が炭酸水を吸収することも吸水と記載することがある。吸水時には、加熱部130は、釜120を加熱しなくてもよい。この場合、釜120の温度は室温である。例えば、吸水期間は、10分以上30分以下であってもよく、15分以上25分以下であってもよい。
【0039】
ステップS18において、加熱を開始する。詳細には、加熱部130は、釜120を加熱する。なお、ステップS18における加熱部130の加熱は、ステップS16において米が炭酸水を吸収するときに開始されてもよい。ただし、この場合でも、釜120の温度は、米が糊化しない温度に設定される。例えば、米の吸水時に加熱する場合、釜120の温度は、60℃以下に設定される。米の糊化を避ける観点から、米の吸水時の釜120の温度は、50℃以下に設定されることが好ましく、45℃以下に設定されることがさらに好ましい。
【0040】
ステップS20において、釜120の温度を上昇させる。加熱部130は、釜120の温度が上昇するように釜120を加熱する。なお、ステップS18における加熱の開始に引き続いて、釜120の温度を上昇させてもよい。釜120の水温が上昇すると、釜120内の米は糊化を開始する。米が糊化すると、米の表面に保護膜が形成され、米は吸水しにくくなる。典型的には、米の糊化開始温度は55℃以上60℃以下である。釜120の温度が上昇していくと、釜120の炭酸水から炭酸が蒸発し、炭酸水の炭酸濃度が減少する。炭酸濃度が略ゼロになるとき、炭酸水はほぼ水となり、釜120の温度が100℃に達して、釜120の炭酸水が沸騰する。釜120の温度の上昇を開始してから釜120の炭酸水が沸騰するまでの時間は、5分以上20分以下であってもよく、7分以上15分以下であってもよい。
【0041】
ステップS22において、釜120の炭酸水が沸騰した状態で、釜120の加熱は継続され、釜120内の炭酸水の沸騰状態が維持される。典型的には、沸騰期間は4分以上10分以下で維持される。
【0042】
ステップS24において、釜120内の米を蒸らす。典型的には、米の蒸らし期間において、釜120の温度は90℃以上100℃未満に設定される。また、蒸らし期間は5分以上30分以下である。米の蒸らし期間が終了すると、炊飯は完了する。
【0043】
その後、必要に応じて、ステップS26において、釜120内の米を保温してもよい。例えば、米は、温度70℃で保温される。例えば、炊飯器100は、ユーザーからの指示に基づいて、保温を終了する。なお、ステップS26の保温は省略されてもよい。以上のようにして、米の炊飯処理は終了する。
【0044】
本実施形態の炊飯器100は、炭酸水を用いた炊飯のために設定された炭酸水炊飯モードで炊飯できる。このため、釜120に米とともに炭酸水を入れて加熱することにより、水を用いた炊飯と比べて米の炊き上がりを向上できる。
【0045】
次に、
図1~
図3を参照して、水を用いた炊飯と炭酸水を用いた炊飯とを比較して本実施形態の炊飯器100による炊飯処理を説明する。
図3(a)は水を用いた炊飯の場合の温度変化を示すグラフであり、
図3(b)は、本実施形態の炊飯器100において炭酸水を用いた炊飯の場合の温度変化を示すグラフである。
【0046】
まず、
図3(a)を参照して、水を用いた炊飯の場合の温度変化を説明する。
図3(a)において、期間は、吸水期間Pw1、昇温期間Pw2、沸騰期間Pw3、蒸らし期間Pw4および保温期間Pw5の順番に変化する。
【0047】
図3(a)に示すように、まず、吸水期間Pw1が開始する。典型的には、米および水の入れた釜120を本体部112に装着した後、ユーザーが炊飯開始ボタン172を押すと、吸水期間Pw1が開始する。吸水期間Pw1において、米は水を吸収する。ここでは、釜120の温度は室温である。例えば、吸水期間Pw1は、15分以上35分以下であってもよく、20分以上30分以下であってもよい。
【0048】
次に、昇温期間Pw2において、釜120を加熱する。釜120の温度が米の糊化開始温度を超えるように加熱部130は釜120を加熱する。糊化開始温度は、例えば、50℃より高く60℃以下である。昇温期間Pw2において、釜120の温度は上昇して100℃に到達し、釜120の水は沸騰する。例えば、昇温期間Pw2は、5分以上20分以下であってもよく、7分以上15分以下であってもよい。
【0049】
次に、沸騰期間Pw3において、釜120を加熱して釜120の水の沸騰を維持する。釜120の温度は100℃に維持される。沸騰期間Pw3において、釜120の水は蒸発し続け、釜120の水は減少する。釜120の水が減少して釜120から水が消失することはドライアップとも呼ばれる。ドライアップするまで、釜120の温度は上昇する。沸騰期間Pw3の終了時の釜120の温度は、一例では115℃であるが、101℃以上あればよい。また、例えば、沸騰期間Pw3は、4分以上10分以下であってもよい。
【0050】
次に、蒸らし期間Pw4において、釜120の温度が略95~100℃を維持するように加熱量を調整する。例えば、蒸らし期間Pw4は、5分以上30分以下であってもよく、15分以上25分以下であってもよい。蒸らし期間Pw4が完了すると、炊飯は完了する。ただし、必要に応じて、米は保温されてもよい。
【0051】
次に、保温期間Pw5において、釜120の温度がさらに低くなるように釜120を加熱し続ける。釜120の温度が保温温度になるまで釜120の温度は徐々に低下する。例えば、保温温度は、60℃以上80℃以下である。例えば、保温期間Pw5は、1分以上12時間以下である。以上のようにして、水を用いた炊飯が行われる。
【0052】
上述したように、本実施形態の炊飯器100は、炭酸水を用いた炊飯のために設定された炭酸水炊飯モードで炊飯する。炊飯器100でも、期間は、吸水期間、昇温期間、沸騰期間、蒸らし期間および保温期間の順番に変化する。ただし、炊飯器100における吸水期間、昇温期間、沸騰期間、蒸らし期間および保温期間の少なくとも1つは、水を用いて炊飯するときの吸水期間、昇温期間、沸騰期間、蒸らし期間および保温期間とは異なる。
【0053】
なお、炊飯時の吸水時間、加熱時の温度プロファイルは、米の量に応じて変化するが、ここでは、水を用いた炊飯と炭酸水を用いた炊飯との米の量は等しいものとして比較する。
【0054】
図3(b)は、炊飯器100が炭酸水を用いて炊飯を行う場合の温度変化を示すグラフである。期間は、吸水期間Pc1、昇温期間Pc2、沸騰期間Pc3、蒸らし期間Pc4および保温期間Pc5の順番に変化する。
【0055】
図3(b)に示すように、まず、吸水期間Pc1が開始する。典型的には、米および炭酸水を釜120に入れ、釜120を本体部112に装着した後、ユーザーが炊飯開始ボタン172を押すと、吸水期間Pc1が開始する。吸水期間Pc1において、米が炭酸水を吸収する。ここでは、釜120の温度は室温である。
【0056】
吸水期間Pc1は、吸水期間Pw1よりも短い。炭酸水は酸性を示すことから、炭酸水は水よりも米に吸収されやすいため、吸水期間Pc1を短縮できる。例えば、吸水期間Pc1は、10分以上30分以下であってもよく、15分以上25分以下であってもよい。
【0057】
次に、昇温期間Pc2において、釜120を加熱する。釜120の温度が米の糊化開始温度を超えるように加熱部130は釜120を加熱する。糊化開始温度は、例えば、50℃より高く60℃以下である。糊化開始温度は、多量の米粒のうちの少なくとも1つが糊化を開始する温度であってもよい。炭酸水が入った釜120を本体部112に装着した場合、温度の上昇に伴って炭酸水から炭酸成分が蒸発すると、炭酸水の炭酸濃度が略ゼロとなり、昇温期間Pc2において、釜120の温度は上昇して100℃に達する。このとき、釜120の炭酸水は沸騰する。例えば、昇温期間Pc2は、5分以上20分以下であってもよく、7分以上15分以下であってもよい。
【0058】
次に、沸騰期間Pc3において、釜120を加熱して釜120の炭酸水の沸騰を維持する。釜120の温度は100℃に維持される。沸騰期間Pc3において、釜120の炭酸水は蒸発し続け、釜120の炭酸水が減少する。ドライアップするまで、釜120の温度は上昇する。例えば、沸騰期間Pc3の終了時には、釜120の温度は110℃以上130℃以下である。
【0059】
なお、沸騰期間Pc3は、沸騰期間Pw3よりも短い。炭酸水を用いた場合、釜120内で泡が立ちやすいため、沸騰期間Pc3を短縮することが好ましい。例えば、沸騰期間Pc3は、3分以上8分以下である。
【0060】
次に、蒸らし期間Pc4において、釜120の温度が低くなるように釜120を加熱する。釜120の温度が炭酸水の沸点近傍になるまで釜120の温度は徐々に低下する。例えば、釜120の温度が炭酸水の沸点よりもわずかに低くなるまで釜120の温度を徐々に低下させる。例えば、蒸らし期間Pc4は、5分以上30分以下であってもよく、10分以上25分以下であってもよい。蒸らし期間Pc4が完了すると、米は炊き上がり、炊飯は完了する。ただし、必要に応じて、米は保温されてもよい。
【0061】
次に、保温期間Pc5において、釜120の温度がさらに低くなるように釜120を加熱し続ける。釜120の温度が保温温度になるまで釜120の温度は徐々に低下する。例えば、保温温度は、60℃以上80℃以下である。例えば、保温期間Pc5は、1分以上12時間以下である。以上のようにして、炊飯器100の期間は、吸水期間Pc1、昇温期間Pc2、沸騰期間Pc3、蒸らし期間Pc4および保温期間Pc5の順番に変化する。
【0062】
以上のように、本実施形態の炊飯器100は、炭酸水に適した温度プロファイルにしたがって炊飯する。例えば、炊飯器100における吸水期間Pc1は、吸水期間Pw1よりも短くできる。
【0063】
なお、
図1~
図3を参照して上述した説明では、炊飯器100は、炭酸水を用いて炊飯するために設定された炭酸水炊飯モードで炊飯を行ったが、本実施形態はこれに限定されない。炊飯器100は、炭酸水炊飯モードで炊飯可能であるとともに、水を用いて炊飯するために設定された水炊飯モードで炊飯を行ってもよい。
【0064】
[実施形態2]
次に、
図1~
図5を参照して、本実施形態の炊飯器100を説明する。炊飯器100は、炭酸水炊飯モードで炊飯可能であるとともに、水炊飯モードでも炊飯可能である。
図4は、本実施形態の炊飯器の模式的な上面図である。なお、
図4は、操作部170が水炊飯モード選択ボタン178aおよび炭酸水炊飯モード選択ボタン178bをさらに有する点を除いて
図1(c)を参照して上述した説明と同様であり、冗長を避けるために重複する記載を省略する。
【0065】
本実施形態の炊飯器100は、水炊飯モードおよび炭酸水炊飯モードの両方で炊飯できる。炊飯器100が水炊飯モードで炊飯する場合、炊飯器100は、水を用いて炊飯するために設定されたモードに従って炊飯を実行する。水炊飯モードで炊飯する場合、制御部140は、釜120の温度が
図3(a)に示した温度プロファイルにしたがうように加熱部130を制御する。
【0066】
一方、炊飯器100が炭酸水炊飯モードで炊飯する場合、炊飯器100は、炭酸水を用いて炊飯するために設定されたモードに従って炊飯を実行する。炭酸水炊飯モードで炊飯する場合、制御部140は、釜120の温度が
図3(b)に示した温度プロファイルにしたがうように加熱部130を制御する。
【0067】
例えば、米の量が等しい場合、炭酸水炊飯モードにおける吸水期間は水炊飯モードにおける吸水期間よりも短く設定される。また、米の量が等しい場合、炭酸水炊飯モードにおける沸騰期間は炊飯モードにおける沸騰期間よりも短く設定される。
【0068】
図4に示すように、操作部170は、炊飯開始ボタン172、保温/取消ボタン174a、予約ボタン174b、増加ボタン176aおよび減少ボタン176bに加えて、水炊飯モード選択ボタン178aおよび炭酸水炊飯モード選択ボタン178bをさらに有する。ユーザーが水炊飯モード選択ボタン178aを押下する場合、炊飯器100は、水を用いて炊飯するために設定されたモードに従って米を炊く。ユーザーが炭酸水炊飯モード選択ボタン178bを押下する場合、炊飯器100は、炭酸水を用いて炊飯するために設定されたモードに従って米を炊く。
【0069】
次に、
図5を参照して本実施形態の炊飯器100による炊飯処理を説明する。
図5は、炊飯器100による炊飯処理を説明するためのフロー図である。
【0070】
まず、ステップS12において、ユーザーは釜120を本体部112に装着する。このとき、釜120には、計量された米および計量された水または炭酸水が入れられる。
【0071】
ステップS14において炊飯を開始する。ユーザーが、操作部170の炊飯開始ボタン172を押下すると、炊飯が開始される。このとき、ユーザーは、水炊飯モードで炊飯するか炭酸水炊飯モードで炊飯するかを選択する。例えば、ユーザーが何も操作しない場合、水炊飯モードがデフォルトで選択されてもよい。あるいは、ユーザーが何も操作しない場合、炭酸水炊飯モードがデフォルトで選択されてもよい。
【0072】
その後、ステップS14aにおいて、制御部140は、水炊飯モードおよび炭酸水炊飯モードのいずれで炊飯を行うかを判定する。水炊飯モードで炊飯を行うと判定された場合、ステップS16aに進む。炭酸水炊飯モードで炊飯を行うと判定された場合、ステップS16に進む。
【0073】
ステップS16aにおいて、釜120内において米は水を吸収する。吸水時には、米粒全体が水に浸っていることが好ましい。吸水時には、加熱部130は、釜120を加熱しなくてもよい。
【0074】
ステップS18aにおいて、加熱を開始する。加熱部130は、釜120を加熱する。なお、ステップS18aにおける加熱部130の加熱は、ステップS16aにおいて米が吸水するときに開始されてもよい。ただし、この場合でも、釜120の温度は、米が糊化しない温度に設定される。
【0075】
ステップS20aにおいて、釜120の温度を上昇させる。加熱部130は、釜120の温度が上昇するように釜120を加熱する。なお、ステップS18aにおける加熱の開始に引き続いて、釜120の温度を上昇させてもよい。釜120の温度が上昇して100℃に達すると、釜120の水が沸騰する。
【0076】
ステップS22aにおいて、釜120の水が沸騰した状態で釜120の加熱を継続し、釜120内の水の沸騰状態が維持される。典型的には、沸騰期間は4分以上10分以下である。
【0077】
ステップS24aにおいて、釜120内の米を蒸らす。典型的には、米の蒸らし期間において、釜120の温度は90℃以上100℃未満に設定される。また、蒸らし期間は5分以上30分以下である。米の蒸らし期間が終了すると、炊飯は完了する。
【0078】
その後、必要に応じて、ステップS26aにおいて、釜120内の米を保温してもよい。例えば、米は、温度70℃で保温される。例えば、炊飯器100は、ユーザーからの指示に基づいて、保温を終了する。なお、ステップS26aに示した米の保温は省略されてもよい。
【0079】
ステップS16において、釜120内において米に炭酸水を吸収させる。吸水時には、米粒全体が炭酸水に浸っていることが好ましい。その後、ステップS18移行のステップは
図2のフロー図と同様であるため、説明を省略する。
【0080】
本実施形態では、ユーザーは、水炊飯モードおよび炭酸水炊飯モードのいずれでも炊飯を行うかを選択できる。このため、ユーザーの嗜好に応じて米を炊き上げることができる。
【0081】
なお、
図1~
図5を参照して上述した説明では、炭酸水または水の入った釜120を本体部112に装着して炊飯を行ったが、本実施形態はこれに限定されない。炊飯器100は、釜120を本体部112に装着した後に釜120に炭酸水または水を供給して炊飯してもよい。
【0082】
[実施形態3]
次に、
図1、
図6および
図7を参照して、本実施形態の炊飯器100を説明する。
図6は、本実施形態の炊飯器100の模式的な斜視図である。本実施形態の炊飯器100は、給水部150をさらに備え、カバー114bに貫通孔114cが設けられる点を除いて、
図1(b)を参照した上述の炊飯器100と同様である。このため、冗長を避けるために重複する記載を省略する。
【0083】
本実施形態の炊飯器100は、本体部112、蓋114、釜120、加熱部130および制御部140に加えて、給水部150をさらに備える。蓋114には内蓋114aが設けられ、内蓋114aにはカバー114bが取り付けられる。カバー114bには、カバー114bの厚さを貫通する貫通孔114cが設けられる。
【0084】
給水部150は、釜120に炭酸水または水を供給する。なお、本明細書において、釜120に水を供給するだけでなく炭酸水を供給することを給水または加水と記載することがある。
【0085】
給水部150は、本体部112および蓋114に配置される。給水部150は、加熱部130が釜120を加熱した後に、釜120に炭酸水または水を供給する。なお、給水部150は、加熱部130が釜120を加熱する前に、釜120に炭酸水または水を供給してもよい。制御部140は、加熱部130および給水部150を制御する。
【0086】
次に、
図1、
図6および
図7を参照して、本実施形態の炊飯器100を説明する。
図7は、本実施形態の炊飯器100の模式図である。
図7は、本体部112に対して蓋114が閉じた状態の炊飯器100を示しているが、
図7では、本体部112および蓋114は省略して示している。
【0087】
本体部112に対して蓋114を閉じた場合、釜120は内蓋114aと係合する。内蓋114aは、釜120に対して着脱自在に設けられる。内蓋114aの内側には、カバー114bが取り付けられる。
【0088】
上述したように、加熱部130は、釜120を加熱する。加熱部130は、釜120に対向して設けられる。
【0089】
給水部150は、タンク151と、配管152と、流量計153と、ポンプ154と、ヒーター155とを含む。タンク151、流量計153およびポンプ154は、本体部112に設けられる。配管152は、本体部112および蓋114に設けられる。
【0090】
ここでは、タンク151は、炭酸水または水を貯留する。なお、タンク151は、本体部112から着脱可能であることが好ましい。ただし、タンク151は、本体部112から着脱できなくてもよい。
【0091】
配管152は、タンク151と釜120とを連絡する。配管152の一端はタンク151に接続され、配管152の他端は内蓋114aに接続される。配管152には、流量計153およびポンプ154が設けられる。
【0092】
流量計153は、配管152を流れる炭酸水または水の流量を計測する。ポンプ154は、タンク151の炭酸水または水を釜120に供給する。配管152を流れる炭酸水または水は、釜120内のカバー114b上に到達し、カバー114bの貫通孔114cを通過して釜120に到達する。
図1に示した制御部140は、流量計153の計測結果に基づいて、ポンプ154を駆動することにより、タンク151内の所定量の炭酸水または水を釜120に供給する。
【0093】
ヒーター155は、配管152を流れる液体を加熱する。給水部150が水を供給する場合、給水部150は、ヒーター155を備えることが好ましい。ヒーター155は、配管152を流れる水を加熱する。ヒーター155により、加熱した水を釜120に供給できる。これにより、加熱部130が釜120を加熱するときに給水部150が釜120に水を供給しても、釜120内の水温の変化を抑制できる。
【0094】
炊飯器100は、温度測定部182を備えることが好ましい。温度測定部182は、釜120の温度を測定する。制御部140は、温度測定部182の測定結果に基づいて、加熱部130を制御してもよい。
【0095】
炊飯器100は、重量測定部184をさらに備える。重量測定部184は、釜120の重量を測定する。重量測定部184は、本体部112に設置される。
【0096】
重量測定部184は、釜120自体の重量とともに釜120に入った内容物の重量を合わせて測定する。制御部140のメモリは釜120自体の重量を記憶しているため、制御部140は、釜120に入った内容物の重量を取得できる。例えば、釜120に米および炭酸水が入っている場合、制御部140は、米および炭酸水の重量を取得できる。
【0097】
また、制御部140は、米の重量および炭酸水の重量を個別に取得できる。例えば、制御部140は、釜120に入った米および炭酸水の重量と、加熱部130による加熱量に対する釜120の温度変化に基づいて、米の重量および炭酸水の重量を個別に取得できる。制御部140のメモリは、米の重量および炭酸水の重量ごとに加熱量に対する温度変化を記憶している。
【0098】
図8は、炊飯器100による炊飯処理を説明するためのフロー図である。なお、
図8のフロー図は、吸水を開始した後で米の重量を取得して釜120に炭酸水または水を供給する点を除いて
図2を参照して上述したフロー図と同様であり、冗長を避けるために重複する記載を省略する。
【0099】
ステップS12において、米および炭酸水の入った釜120を本体部112に装着する。典型的には、ユーザーは、米および炭酸水の入った釜120を本体部112に装着する。ただし、このとき、ユーザーは、米および炭酸水を計量しなくてもよい。ただし、釜120には米粒全体が浸る程度の炭酸水が入っていることが好ましい。
【0100】
ステップS14において炊飯を開始する。典型的には、ユーザーは、操作部170の炊飯開始ボタン172を押下すると、炊飯が開始する。重量測定部184は、米および炭酸水の入った釜120の重量を測定する。これにより、制御部140は、釜120内の米および炭酸水の重量を取得する。制御部140は、重量測定部184の測定結果に基づいて釜120内の米および炭酸水の重量を取得する。
【0101】
ステップS16aにおいて、吸水を開始する。米は炭酸水を吸収する。
【0102】
ステップS16bにおいて、釜120内の米の重量を取得する。このとき、加熱部130は釜120を短期間加熱し、温度測定部182は釜120の温度を測定する。加熱部130による釜120の温度上昇は5℃以下であることが好ましい。制御部140は、加熱量と、釜120の温度変化とから、釜120内の米の重量を取得する。
【0103】
ステップS16cにおいて、給水部150は、釜120に炭酸水または水を供給する。制御部140は、釜120内の米の吸水に適した量の炭酸水および/または水が貯留するように給水部150を制御する。
【0104】
ステップS16dにおいて、吸水は終了する。ステップS18以降は、
図2を参照した上述の説明と同様であるため、説明を省略する。ここでも、炭酸水を用いて炊飯するため、米の炊き上がりを向上できる。
【0105】
図8を参照した説明では、ステップS14において炊飯を開始した後のステップS16aの吸水からステップS16dの吸水終了までの間に釜120に炭酸水または水を供給する。このため、ユーザーは、釜120を本体部112に装着する際に釜120の米および炭酸水の重量を厳密に計量していなくても、適量の炭酸水および/または水で米を適切に炊くことができる。
【0106】
なお、
図8を参照して上述した説明では、米および炭酸水の入った釜120が本体部112に装着されたが、本実施形態はこれに限定されない。炭酸水および水なしで米の入った釜120が本体部112に装着されてもよい。
【0107】
次に、
図6、
図7および
図9を参照して本実施形態の炊飯器100による炊飯処理を説明する。
図9は、炊飯器100による炊飯処理を説明するためのフロー図である。なお、
図9のフロー図は、釜120を本体部112に装着する際に釜120に炭酸水および水のいずれも入っていない点を除いて
図8を参照して上述したフロー図と同様であり、冗長を避けるために重複する記載を省略する。
【0108】
ステップS12において、米の入った釜120を本体部112に装着する。
【0109】
ステップS14において炊飯を開始する。典型的には、ユーザーは、操作部170の炊飯開始ボタン172を押下すると、炊飯が開始する。重量測定部184は、米の入った釜120の重量を測定する。これにより、制御部140は、釜120に入った米の重量を取得する。制御部140は、重量測定部184の測定結果に基づいて釜120内の米の重量を取得する。
【0110】
ステップS16sにおいて、給水部150は、釜120に炭酸水を供給する。制御部140は、釜120内の米粒全体が炭酸水に浸る程度に水が貯留するように給水部150を制御する。
【0111】
引き続いて、ステップS16tにおいて、吸水を開始する。米は炭酸水を吸収する。
【0112】
ステップS16uにおいて、加熱部130は、釜120を加熱する。ただし、加熱部130による釜120の温度上昇は5℃以下であることが好ましい。制御部140は、加熱部130による加熱量と、温度測定部182によって測定された温度との関係から、釜120内の米の重量を取得する。
【0113】
ステップS16vにおいて、給水部150は、釜120に炭酸水を供給する。制御部140は、釜120内の米の吸水に適した量の炭酸水が貯留するように給水部150を制御する。
【0114】
ステップS16wにおいて、吸水を終了する。ステップS18以降は、
図2および
図8を参照した上述の説明と同様であるため、説明を省略する。なお、ここでも、米を炊く際に炭酸水を用いるとともに炭酸水炊飯モードで炊飯するため、米の炊き上がりを向上できる。
【0115】
図9を参照して説明したように、炊飯器100では、ステップS14において炊飯を開始した後のステップS16uおよびステップS16vにおいて炭酸水を供給する。このため、ユーザーは、釜120を本体部112に装着する際に釜120の炭酸水をいれなくても、米の炊き上がりを向上できる。
【0116】
なお、
図8および
図9を参照した上述の説明では、ステップS16dまたはステップS16wの吸水終了前に加水したが、本実施形態はこれに限定されない。本実施形態は、ステップS18の加熱を開始した後に加水してもよい。
【0117】
次に、
図1~
図11を参照して本実施形態の炊飯器100における温度変化を説明する。
図10(a)は、炊飯器100における釜120の温度の時間変化を説明するためのグラフである。本実施形態の炊飯器100において、炊飯を開始した後、期間は、吸水期間P1、昇温期間P2、沸騰期間P3、蒸らし期間P4および保温期間P5の順番に変化する。
【0118】
図10(a)に示すように、まず、吸水期間P1が開始する。吸水期間P1において、米に炭酸水を吸収させる。吸水時には、釜120内の米粒全体が炭酸水に浸っていることが好ましい。
【0119】
典型的には、米および炭酸水の入った釜120を本体部112に装着した後、ユーザーが炊飯開始ボタン172を押すと、吸水期間P1が開始する。吸水期間P1において、米が炭酸水を吸収する。ここでは、釜120の温度は室温である。例えば、吸水期間P1は、10分以上30分以下であってもよく、15分以上25分以下であってもよい。
【0120】
次に、昇温期間P2において、釜120を加熱する。昇温期間P2では、釜120の温度が米の糊化開始温度を超えるように加熱部130は釜120を加熱する。糊化開始温度は、例えば、50℃より高く60℃以下である。糊化開始温度は、多量の米粒のうちの少なくとも1つが糊化を開始する温度であってもよい。米および炭酸水の入った釜120を本体部112に装着した場合、昇温期間P2において、釜120の温度は上昇し100℃に達する。このとき、釜120の炭酸水は沸騰する。
【0121】
次に、沸騰期間P3において、釜120を加熱して釜120の炭酸水の沸騰を維持する。このため、釜120の温度は100℃を維持する。沸騰期間P3において、釜120の炭酸水は蒸発し続け、釜120の炭酸水が減少する。釜120の炭酸水が減少して消失するまで、釜120の温度は上昇する。
【0122】
次に、蒸らし期間P4において、釜120の温度が略95~100℃を維持するように加熱量を調整する。蒸らし期間P4が完了すると、米は炊き上がり、炊飯は完了する。ただし、必要に応じて、米を保温してもよい。
【0123】
次に、保温期間P5において、釜120の温度がさらに低くなるように釜120の加熱量を低下する。釜120の温度が保温温度になるまで釜120の温度は徐々に低下する。例えば、保温温度は、60℃以上80℃以下である。例えば、保温期間P5は、1分以上12時間以下である。以上のようにして、炊飯器100の期間は、吸水期間P1、昇温期間P2、沸騰期間P3、蒸らし期間P4および保温期間P5の順番に変化する。
【0124】
図10(a)では、給水部150は、ステップSW1として、昇温期間P2に釜120に炭酸水または水を供給する。このため、昇温期間P2以降に必要な炭酸水または水が補充される。したがって、昇温期間P2の開始時の釜120の炭酸水の量は少なくてもよい。昇温期間P2の開始時の釜120の炭酸水の量を低減できるため、温度ムラを抑制できるとともに糊化までの時間を短縮できる。
【0125】
なお、ステップSW1において給水部150が釜120に炭酸水または水を供給する場合、給水部150は、ヒーター155で加熱した水を供給することが好ましい。この場合、給水部150による水の供給による釜120内の水温の変化を抑制できる。あるいは、ステップSW1において給水部150が釜120に炭酸水を供給する場合、ヒーター155で加熱することなく釜120に炭酸水を供給することが好ましい。これにより、釜120内の泡立ちを抑制できる。
【0126】
なお、
図10(a)では、給水部150は、ステップSW1において昇温期間P2に釜120に水を供給したが、本実施形態はこれに限定されない。給水部150は、沸騰期間P3に釜120に炭酸水または水を供給してもよい。
【0127】
図10(b)は、炊飯器100における釜120の温度の時間変化を説明するためのグラフである。
図10(b)において、期間は、吸水期間P1、昇温期間P2、沸騰期間P3、蒸らし期間P4および保温期間P5の順番に変化する。
【0128】
図10(b)では、給水部150は、ステップSW2として、沸騰期間P3に釜120に炭酸水または水を供給する。このため、沸騰期間P3以降に必要な炭酸水または水が補充される。これにより、昇温期間P2の開始からステップSW2までの期間の釜120の炭酸水または水の量を低減できるため、加熱を開始してからステップSW2の加水までの間の釜120の温度ムラを抑制できるとともに昇温期間P2および/または沸騰期間P3を短縮できる。
【0129】
ここでは、ステップSW2として、釜120の温度が略100℃で維持されている期間に給水部150は釜120に炭酸水または水を供給する。このため、ドライアップ温度の上昇以降の期間に必要な炭酸水または水が補充される。これにより、昇温期間P2の開始から釜120の温度が略100℃に達するまでの期間の釜120の炭酸水または水の量を低減できるため、釜120の温度ムラを抑制できるとともに昇温期間P2および/または沸騰期間P3を短縮できる。
【0130】
なお、
図10(b)では、給水部150は、ステップSW2において、釜120の温度が略100℃に維持された期間に水を供給したが、本実施形態はこれに限定されない。給水部150は、釜120の温度が略100℃を超えた期間に釜120に水を供給してもよい。
【0131】
図10(c)は、炊飯器100における釜120の温度の時間変化を説明するためのグラフである。
図10(c)において、期間は、吸水期間P1、昇温期間P2、沸騰期間P3、蒸らし期間P4および保温期間P5の順番に変化する。
【0132】
図10(c)では、給水部150は、ステップSW2’として、釜120の温度が100℃を超えている期間に釜120に炭酸水または水を供給する。このため、蒸らし期間P4以降に必要な炭酸水または水が補充される。これにより、昇温期間P2の開始から沸騰期間P3までの期間の水の量を低減できるため、釜120の温度ムラを抑制できるとともに昇温期間P2および/または沸騰期間P3を短縮できる。
【0133】
釜120の温度が略100℃を超えた期間にステップSW2’において炭酸水または水を供給する場合、釜120の温度は、一旦低下した後、再び上昇する。その後、100℃を超えて、ドライアップ温度まで上昇する。このため、沸騰期間P3において、釜120の温度は2回ピークに達する。
【0134】
ステップSW2および/またはステップSW2’において給水部150が釜120に水を供給する場合、給水部150は、ヒーター155で加熱した水を供給することが好ましい。この場合、給水部150による水の供給による釜120内の水温の変化を抑制できる。あるいは、ステップSW2において給水部150が釜120に炭酸水を供給する場合、ヒーター155で加熱することなく釜120に炭酸水を供給することが好ましい。これにより、釜120内の泡立ちを抑制できる。
【0135】
なお、
図10(b)および
図10(c)では、給水部150は、ステップSW2またはステップSW2’において沸騰期間P3に釜120に水を供給したが、本実施形態はこれに限定されない。給水部150は、蒸らし期間P4に釜120に炭酸水または水を供給してもよい。
【0136】
図11(a)は、炊飯器100における釜120の温度の時間変化を説明するためのグラフである。
図11(a)において、期間は、吸水期間P1、昇温期間P2、沸騰期間P3、蒸らし期間P4および保温期間P5の順番に変化する。
【0137】
図11(a)では、給水部150は、ステップSW3として、蒸らし期間P4に釜120に炭酸水または水を供給する。ステップSW3において、炭酸水または水を供給するため、米の乾燥を抑制できる。
【0138】
ステップSW3において給水部150が釜120に水を供給する場合、給水部150は、ヒーター155で加熱した水を供給することが好ましい。この場合、給水部150による水の供給による釜120内の水温の変化を抑制できる。あるいは、ステップSW3において給水部150が釜120に炭酸水を供給する場合、ヒーター155で加熱することなく釜120に炭酸水を供給することが好ましい。これにより、釜120内の泡立ちを抑制できる。
【0139】
なお、
図11(a)では、給水部150は、ステップSW3において、蒸らし期間P4に釜120に水を供給したが、本実施形態はこれに限定されない。給水部150は、保温期間P5に釜120に炭酸水または水を供給してもよい。
【0140】
図11(b)は、炊飯器100における釜120の温度の時間変化を説明するためのグラフである。
図11(b)において、期間は、吸水期間P1、昇温期間P2、沸騰期間P3、蒸らし期間P4および保温期間P5の順番に変化する。
【0141】
図11(b)では、給水部150は、ステップSW4として、保温期間P5に釜120に炭酸水または水を供給する。ステップSW4において、炭酸水または水を供給するため、米の乾燥を抑制できる。
【0142】
なお、
図10(a)~
図11(b)を参照した上述の説明では、昇温期間P2、沸騰期間P3、蒸らし期間P4および保温期間P5にステップSW1~SW4として釜120に水を供給したが、本実施形態はこれに限定されない。昇温期間P2、沸騰期間P3、蒸らし期間P4または保温期間P5の任意の同一期間内に、ステップSW1、SW2、SW3またはSW4として釜120に炭酸水または水を複数回供給してもよい。例えば、給水部150は、昇温期間P2に、釜120に炭酸水または水を複数回供給してもよい。
【0143】
さらに、
図10(a)~
図11(b)を参照した上述の説明では、昇温期間P2、沸騰期間P3、蒸らし期間P4および保温期間P5にステップSW1~SW4として釜120に炭酸水または水を供給したが、本実施形態はこれに限定されない。昇温期間P2、沸騰期間P3、蒸らし期間P4および保温期間P5の任意の期間のステップSW1~SW4を任意に組みわせて釜120に炭酸水または水を複数回供給してもよい。例えば、給水部150は、昇温期間P2にステップSW1として炭酸水または水を供給した後、沸騰期間P3にステップSW2として炭酸水または水を供給してもよい。
【0144】
本実施形態の炊飯器100では、昇温期間P2から保温期間P5の終了までの間に給水部150は釜120に水を供給する。これにより、昇温期間P2の開始から給水までの期間の釜120の炭酸水または水の量を低減できるため、加熱を開始してから給水までの間の釜120の温度ムラを抑制できるとともに昇温期間P2、沸騰期間P3および/または蒸らし期間P4を短縮できる。
【0145】
なお、
図10および
図11を参照した上述の説明では、吸水期間P1において釜120の温度は室温であったが、本実施形態はこれに限定されない。吸水期間P1において、加熱部130は釜120を加熱してもよい。
【0146】
次に、
図6~
図12を参照して本実施形態の炊飯器100における温度変化を説明する。
図12は、炊飯器100における釜120の温度の時間変化を説明するためのグラフである。
図12において、期間は、吸水期間P1、昇温期間P2、沸騰期間P3、蒸らし期間P4および保温期間P5の順番に変化する。なお、
図12は、吸水期間P1において釜120の温度が上昇する点を除いて、
図10(a)と同様であり、冗長を避けるために重複する記載を省略する。
【0147】
図12に示すように、吸水期間P1が開始する。典型的には、米および炭酸水の入った釜120を本体部112に装着した後、ユーザーが炊飯開始ボタン172を押すと、吸水期間P1が開始する。吸水期間P1において、米は炭酸水を吸収する。典型的には、釜120の温度は室温である。
【0148】
なお、吸水期間P1における釜120の温度が室温よりも高くなるように釜120を加熱する。ただし、吸水期間P1では、釜120の温度は、糊化開始温度よりも低い温度に設定される。例えば、釜120の温度は、50℃以下に設定されることが好ましく、45℃以下に設定されることがさらに好ましい。
【0149】
吸水期間P1において、米に炭酸水を吸収させる。吸水期間P1において炭酸水を加熱することにより、常温の水を吸水する場合と比べて吸水期間P1を短縮できる。例えば、吸水期間P1は、12分以上28分以下であってもよく、15分以上25分以下であってもよい。なお、昇温期間P2以降は、
図10(a)~
図11(b)を参照した上述の説明と同様であるため、説明を省略する。
【0150】
本実施形態によれば、吸水期間P1において炭酸水を加熱するため、吸水期間P1を短縮できる。なお、吸水期間P1において、炭酸水の加熱を開始した後で、給水部150は釜120に炭酸水または水を供給してもよい。この場合も、加熱を開始してから給水までの間の釜120の温度ムラを抑制できるともに、吸水期間P1を短縮できる。
【0151】
例えば、
図12に示すように、給水部150は、ステップSW0として、吸水期間P1に釜120に炭酸水または水を供給してもよい。このため、ステップSW0以降に必要な炭酸水または水が補充される。したがって、吸水期間P1における加熱の開始からステップSW0までの釜120の炭酸水の量は少なくてもよく、温度ムラを抑制できるとともに吸水期間を短縮できる。
【0152】
なお、ステップSW0において給水部150が釜120に水を供給する場合、給水部150は、ヒーター155で加熱した水を供給することが好ましい。この場合、給水部150による水の供給による釜120内の水温の変化を抑制できる。あるいは、ステップSW1において給水部150が釜120に炭酸水を供給する場合、ヒーター155で加熱することなく釜120に炭酸水を供給することが好ましい。これにより、釜120内の泡立ちを抑制できる。
【0153】
なお、
図1~
図12を参照して上述した説明では、炊飯器100は、炊飯に用いられたが、本実施形態はこれに限定されない。炊飯器100は、炊飯以外の用途としても用いられてもよい。例えば、炊飯器100は、炊飯以外の用途として自動調理鍋として用いられてもよい。一例では、炊飯器100は、1機能として炊飯可能な自動調理鍋であってもよい。
【0154】
以上、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明した。ただし、本発明は、上記の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の態様において実施することが可能である。また、上記の実施形態に開示されている複数の構成要素を適宜組み合わせることによって、種々の発明の形成が可能である。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。図面は、理解しやすくするために、それぞれの構成要素を主体に模式的に示しており、図示された各構成要素の厚さ、長さ、個数、間隔等は、図面作成の都合上から実際とは異なる場合もある。また、上記の実施形態で示す各構成要素の材質、形状、寸法等は一例であって、特に限定されるものではなく、本発明の効果から実質的に逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0155】
本発明は、炊飯器の分野に有用である。
【符号の説明】
【0156】
100 炊飯器
112 本体部
114 蓋
120 釜
130 加熱部
140 制御部
150 給水部