(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-12
(45)【発行日】2023-01-20
(54)【発明の名称】シャッターカーテン用巻取軸の中子構造体の製造装置及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
E06B 9/56 20060101AFI20230113BHJP
B23K 9/00 20060101ALI20230113BHJP
【FI】
E06B9/56 Z
B23K9/00 501P
(21)【出願番号】P 2019082741
(22)【出願日】2019-04-24
【審査請求日】2021-11-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000239714
【氏名又は名称】文化シヤッター株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【氏名又は名称】山川 茂樹
(74)【代理人】
【識別番号】100153006
【氏名又は名称】小池 勇三
(74)【代理人】
【識別番号】100095212
【氏名又は名称】安藤 武
(72)【発明者】
【氏名】小沢 力
(72)【発明者】
【氏名】河村 知和
(72)【発明者】
【氏名】巣瀬 佑輔
【審査官】素川 慎司
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-254778(JP,A)
【文献】特開2006-316442(JP,A)
【文献】特開2002-018575(JP,A)
【文献】実開昭57-009428(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 9/00 - 9/92
B23K 9/00 - 9/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シャッターカーテンを繰り出し自在に巻き取るための巻取軸の軸方向の端部の軸首部を形成する棒状部材と、中心部に設けられている中心孔に前記棒状部材が挿入されることでこの棒状部材に配置されるとともに、この棒状部材に溶接で結合され、前記巻取軸の本体を形成している丸筒状部材の内部で外周部がこの丸筒状部材の内周部に結合される中子部材とを含んで構成されるシャッターカーテン用巻取軸の中子構造体を製造するための装置であって、
前記棒状部材の長さ方向に離れて配置された2個の保持手段と、前記中子部材を前記棒状部材にこの棒状部材の全周に渡って溶接するための溶接手段とを有し、前記2個の保持手段のうち、一方の保持手段は、前記棒状部材の長さ方向の端部を保持し、他方の保持手段は、前記一方の保持手段により前記棒状部材の長さ方向の前記端部が保持されて、前記溶接手段により前記中子部材が前記棒状部材にこの棒状部材の全周に渡って溶接されているときに、前記棒状部材の長さ方向の前記端部から離れている前記棒状部材の長さ方向の箇所を保持している
ものであり、
前記一方の保持手段は、前記棒状部材の長さ方向の前記端部を保持しながらこの棒状部材を回転させるものとなっており、前記溶接手段は、前記棒状部材及び前記中子部材に対して回転しないものとなっており、
前記他方の保持手段には、前記棒状部材の長さ方向の前記端部から離れている前記棒状部材の長さ方向の前記箇所を回転自在に支持する回転部材が設けられており、
前記他方の保持手段は、前記棒状部材の円周方向に配置されている複数個の爪部材が、前記棒状部材の内外径方向に移動自在となっているスクロールチャック式の保持手段であり、それぞれの前記爪部材に前記回転部材が取り付けられていることを特徴とするシャッターカーテン用巻取軸の中子構造体の製造装置。
【請求項2】
請求項1に記載のシャッターカーテン用巻取軸の中子構造体の製造装置において、前記棒状部材の円周方向に配置されている前記爪部材の個数は、前記棒状部材の円周方向に等角度間隔で配置された3個であることを特徴とするシャッターカーテン用巻取軸の中子構造体の製造装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のシャッターカーテン用巻取軸の中子構造体の製造装置において、前記中子部材は、前記棒状部材の軸方向に間隔をあけて複数個設けられていることを特徴とするシャッターカーテン用巻取軸の中子構造体の製造装置。
【請求項4】
請求項1~3のいずれかに記載のシャッターカーテン用巻取軸の中子構造体の製造装置において、前記他方の保持手段は、それぞれの前記爪部材により前記中子部材を保持するものとなっていることを特徴とするシャッターカーテン用巻取軸の中子構造体の製造装置。
【請求項5】
請求項4に記載のシャッターカーテン用巻取軸の中子構造体の製造装置において、前記他方の保持手段のそれぞれの前記爪部材の内径側の先端部には、内径側が開放されていて、外径側が閉じられている窪み部が設けられ、これらの窪み部は、それぞれの前記爪部材における前記一方の保持手段とは反対側の側面において、前記一方の保持手段側に窪んで形成され、それぞれの爪部材の内径側の先端部には、前記窪み部よりも前記一方の保持手段側において、前記回転部材が取り付けられ、これらの回転部材の一部が前記窪み部の内径側の端部から内径方向に突出していることを特徴とするシャッターカーテン用巻取軸の中子構造体の製造装置。
【請求項6】
請求項5に記載のシャッターカーテン用巻取軸の中子構造体の製造装置において、前記他方の保持手段のそれぞれの前記爪部材の前記窪み部は、壁部によって前記外径側が閉じられているものとなっていることを特徴とするシャッターカーテン用巻取軸の中子構造体の製造装置。
【請求項7】
請求項6に記載のシャッターカーテン用巻取軸の中子構造体の製造装置において、前記他方の保持手段のそれぞれの前記爪部材による前記中子部材を保持は、前記壁部で前記中子部材の外周部を挟着することにより行われることを特徴とするシャッターカーテン用巻取軸の中子構造体の製造装置。
【請求項8】
請求項4~7のいずれかに記載のシャッターカーテン用巻取軸の中子構造体の製造装置において、前記棒状部材の長さ方向のうち、前記他方の保持手段に対して前記一方の保持手段が配置されている側とは反対側には、前記棒状部材を保持する棒状部材保持手段が配置され、この棒状部材保持手段と前記他方の保持手段とのうち、少なくとも一方の保持手段は互いに近づく方向に移動自在となっていて、この移動により、前記棒状部材保持手段により保持された前記棒状部材が前記他方の保持手段により保持されている前記中子部材の前記中心孔に挿入されることを特徴とするシャッターカーテン用巻取軸の中子構造体の製造装置。
【請求項9】
シャッターカーテンを繰り出し自在に巻き取るための巻取軸の軸方向の端部の軸首部を形成する棒状部材と、中心部に設けられている中心孔に前記棒状部材が挿入されることでこの棒状部材に配置されるとともに、この棒状部材に溶接で結合され、前記巻取軸の本体を形成している丸筒状部材の内部で外周部がこの丸筒状部材の内周部に結合される中子部材とを含んで構成されるシャッターカーテン用巻取軸の中子構造体を製造するための方法であって、
前記棒状部材の長さ方向に離れて配置された2個の保持手段のうち、一方の保持手段により前記棒状部材の長さ方向の端部を保持するための作業工程と、
前記一方の保持手段により前記棒状部材の長さ方向の前記端部が保持されて、溶接手段により前記中子部材が前記棒状部材にこの棒状部材の全周に渡って溶接されているときに、前記2個の保持手段のうち、他方の保持手段により、前記棒状部材の長さ方向の前記端部から離れている前記棒状部材の長さ方向の箇所を保持するための作業工程と、
を含
み、
前記一方の保持手段は、前記棒状部材の長さ方向の前記端部を保持しながらこの棒状部材を回転させるものとなっており、前記溶接手段は、前記棒状部材及び前記中子部材に対して回転しないものとなっており、
前記他方の保持手段には、前記棒状部材の長さ方向の前記端部から離れている前記棒状部材の長さ方向の前記箇所を回転自在に支持する回転部材が設けられており、
前記他方の保持手段は、前記棒状部材の円周方向に配置されている複数個の爪部材が、前記棒状部材の内外径方向に移動自在となっているスクロールチャック式の保持手段であり、それぞれの前記爪部材に前記回転部材が取り付けられており、
前記一方の保持手段により前記棒状部材の長さ方向の前記端部を保持するための前記作業工程を行った後に、前記一方の保持手段によって前記棒状部材の回転させるための作業が行われ、
前記一方の保持手段により前記棒状部材の長さ方向の前記端部が保持されて、前記溶接手段により前記中子部材が前記棒状部材にこの棒状部材の全周に渡って溶接されているときに、前記2個の保持手段のうち、前記他方の保持手段により、前記棒状部材の長さ方向の前記端部から離れている前記棒状部材の長さ方向の前記箇所を保持するための前記作業工程は、前記回転部材によって前記棒状部材を回転自在に支持させて行われることを特徴とするシャッターカーテン用巻取軸の中子構造体の製造方法。
【請求項10】
請求項9に記載のシャッターカーテン用巻取軸の中子構造体の製造方法において、前記棒状部材の円周方向に配置されている前記爪部材の個数は、前記棒状部材の円周方向に等角度間隔で配置された3個であることを特徴とするシャッターカーテン用巻取軸の中子構造体の製造方法。
【請求項11】
請求項9又は10に記載のシャッターカーテン用巻取軸の中子構造体の製造方法において、それぞれの前記回転部材の一部は、それぞれの前記爪部材の内径側の端部から内径方向に突出していることを特徴とするシャッターカーテン用巻取軸の中子構造体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シャッターカーテンを繰り出し自在に巻き取る巻取軸のための中子構造体を製造する装置及びその方法に係り、例えば、出入口等の開口部を開閉するシャッターカーテンや、全閉となることで防火区画を形成するシャッターカーテン等のための巻取軸の中子構造体を製造するために利用できるものである。
【背景技術】
【0002】
下記の特許文献1には、シャッターカーテンを繰り出し自在に巻き取る巻取軸が中子構造体を含んで構成されていることが示されている。この中子構造体は、シャッターカーテンを繰り出し自在に巻き取るための巻取軸の軸方向の端部の軸首部を形成する棒状部材と、中心部に設けられている中心孔に棒状部材が挿入されることでこの棒状部材に配置されるとともに、この棒状部材に溶接で結合され、巻取軸の本体を形成している丸筒状部材の内部で外周部がこの丸筒状部材の内周部に結合される中子部材とを含んで構成されたものとなっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
以上のように棒状部材に配置された中子部材を溶接で棒状部材に結合することで中子構造体を製造することは、作業者による手作業で行われており、このため、作業時間の短縮を実現し、作業効率を向上させるために、中子部材を棒状部材に溶接で結合する作業を自動的に行える装置及び方法が求められる。
【0005】
本発明の目的は、中子部材を棒状部材に溶接で結合する作業を自動作業で行えるとともに、この作業を棒状部材に撓みが生ずることを抑制して実施できるようになるシャッターカーテン用巻取軸の中子構造体の製造装置及びその製造方法を提供するところにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るシャッターカーテン用巻取軸の中子構造体の製造装置は、シャッターカーテンを繰り出し自在に巻き取るための巻取軸の軸方向の端部の軸首部を形成する棒状部材と、中心部に設けられている中心孔に前記棒状部材が挿入されることでこの棒状部材に配置されるとともに、この棒状部材に溶接で結合され、前記巻取軸の本体を形成している丸筒状部材の内部で外周部がこの丸筒状部材の内周部に結合される中子部材とを含んで構成されるシャッターカーテン用巻取軸の中子構造体を製造するための装置であって、前記棒状部材の長さ方向に離れて配置された2個の保持手段と、前記中子部材を前記棒状部材にこの棒状部材の全周に渡って溶接するための溶接手段とを有し、前記2個の保持手段のうち、一方の保持手段は、前記棒状部材の長さ方向の端部を保持し、他方の保持手段は、前記一方の保持手段により前記棒状部材の長さ方向の前記端部が保持されて、前記溶接手段により前記中子部材が前記棒状部材にこの棒状部材の全周に渡って溶接されているときに、前記棒状部材の長さ方向の前記端部から離れている前記棒状部材の長さ方向の箇所を保持していることを特徴とするものである。
【0007】
このように本発明に係るシャッターカーテン用巻取軸の中子構造体の製造装置は、棒状部材の長さ方向に離れて配置された2個の保持手段と、中子部材を棒状部材にこの棒状部材の全周に渡って溶接するための溶接手段とを有しており、2個の保持手段のうち、一方の保持手段は、棒状部材の長さ方向の端部を保持し、他方の保持手段は、この一方の保持手段により棒状部材の長さ方向の端部が保持されて、溶接手段により中子部材が棒状部材にこの棒状部材の全周に渡って溶接されているときに、棒状部材の長さ方向の端部から離れている棒状部材の長さ方向の箇所を保持しているため、溶接手段により中子部材が棒状部材に自動作業として全周溶接されるときに、棒状部材に撓みが生ずることを抑制でき、これにより、中子部材を棒状部材に一層正確に全周溶接することができる。
【0008】
以上の本発明に係るシャッターカーテン用巻取軸の中子構造体の製造装置において、棒状部材に配置される中子部材の個数は、1個でもよく、あるいは、棒状部材の軸方向に間隔をあけて配置される複数個でもよい。
【0009】
また、以上の本発明に係るシャッターカーテン用巻取軸の中子構造体の製造装置において、中子部材を棒状部材に全周溶接できるようにするためには、前記一方の保持手段を、棒状部材の長さ方向の端部を保持しながらこの棒状部材を回転させるものとし、前記溶接手段を、棒状部材及び中子部材に対して回転しないものとしてもよく、あるいは、前記一方の保持手段を、棒状部材の長さ方向の端部を保持するだけでこの棒状部材を回転させないものとし、前記溶接手段を、棒状部材及び中子部材に対して回転するものとしてもよい。
【0010】
しかし、前者によると、製造装置全体の構成を簡単化することができる。
【0011】
また、上述のように前記一方の保持手段を、棒状部材の長さ方向の端部を保持しながらこの棒状部材を回転させるものとし、溶接手段を、棒状部材及び中子部材に対して回転しないものとする場合には、前記他方の保持手段には、棒状部材の長さ方向の端部から離れている棒状部材の長さ方向の箇所を回転自在に支持する回転部材を設けることが好ましい。
【0012】
これによると、一方の保持手段を、棒状部材の長さ方向の端部を保持しながらこの棒状部材を回転させているときに、前記他方の保持手段により、棒状部材の長さ方向の端部から離れている棒状部材の長さ方向の箇所を回転部材によって回転自在に支持することができるため、この支持を摩擦等の発生を抑制して有効に行える。
【0013】
また、棒状部材の長さ方向の端部から離れている棒状部材の長さ方向の箇所を保持するための前記他方の保持手段の保持構造は、この箇所の保持を行えるものであれば任意の形式、形態のものでよい。その一例の前記他方の保持手段は、棒状部材の円周方向に配置されている複数個の爪部材が棒状部材の内外径方向に移動自在となっているスクロールチャック式の保持手段である。
【0014】
このように棒状部材の長さ方向の端部から離れている棒状部材の長さ方向の箇所を保持するための前記他方の保持手段を、棒状部材の円周方向に配置されている複数個の爪部材が棒状部材の内外径方向に移動自在となっているスクロールチャック式の保持手段とする場合には、それぞれの爪部材に、棒状部材の長さ方向の前記箇所を回転自在に支持するための前記回転部材を取り付けてもよい。
【0015】
また、前記他方の保持手段を、それぞれの爪部材により前記中子部材を保持するものとしてもよい。
【0016】
これによると、中子部材の中心部に設けられている中心孔に棒状部材を挿入する作業を行う際に、この中子部材を前記他方の保持手段により保持しておくことができる。
【0017】
また、以上のように前記他方の保持手段を、棒状部材の円周方向に配置されている複数個の爪部材が棒状部材の内外径方向に移動自在となっているスクロールチャック式の保持手段とし、それぞれの爪部材に、棒状部材の長さ方向の前記箇所を回転自在に支持する回転部材を取り付けるとともに、これらの爪部材により中子部材を保持できるようにするためには、例えば、前記他方の保持手段のそれぞれの爪部材の内径側の先端部に、内径側が開放されていて、外径側が閉じられている窪み部を設け、これらの窪み部を、それぞれの爪部材における前記一方の保持手段とは反対側の側面において、前記一方の保持手段側に窪んで形成し、また、それぞれの爪部材の内径側の先端部に、窪み部よりも前記一方の保持手段側において、前記回転部材を取り付けて、これらの回転部材の一部を窪み部の内径側の端部から内径方向に突出させればよい。
【0018】
また、前述したように、前記他方の保持手段を、それぞれの爪部材により前記中子部材を保持するものとする場合には、棒状部材の長さ方向のうち、前記他方の保持手段に対して前記一方の保持手段が配置されている側とは反対側に、棒状部材を保持する棒状部材保持手段を配置し、この棒状部材保持手段と前記他方の保持手段とのうち、少なくとも一方の保持手段を互いに近づく方向に移動自在とし、この移動により、棒状部材保持手段により保持された棒状部材が前記他方の保持手段により保持されている中子部材の前記中心孔に挿入されるようにしてもよい。
【0019】
なお、このように棒状部材保持手段と前記他方の保持手段とのうち、少なくとも一方の保持手段を互いに近づく方向に移動自在とし、この移動により、棒状部材保持手段により保持されている棒状部材が他方の保持手段により保持されている中子部材の中心孔に挿入されるようにするためには、棒状部材保持手段を前記他方の保持手段に向かって前進させてもよく、あるいは、棒状部材保持手段に向かって前記他方の保持手段を前進させてもよく、あるいは、棒状部材保持手段と前記他方の保持手段の両方を互いに近づく方向に前進させてもよい。
【0020】
本発明に係るシャッターカーテン用巻取軸の中子構造体の製造方法は、シャッターカーテンを繰り出し自在に巻き取るための巻取軸の軸方向の端部の軸首部を形成する棒状部材と、中心部に設けられている中心孔に前記棒状部材が挿入されることでこの棒状部材に配置されるとともに、この棒状部材に溶接で結合され、前記巻取軸の本体を形成している丸筒状部材の内部で外周部がこの丸筒状部材の内周部に結合される中子部材とを含んで構成されるシャッターカーテン用巻取軸の中子構造体を製造するための方法であって、前記棒状部材の長さ方向に離れて配置された2個の保持手段のうち、一方の保持手段により前記棒状部材の長さ方向の端部を保持するための作業工程と、前記一方の保持手段により前記棒状部材の長さ方向の前記端部が保持されて、溶接手段により前記中子部材が前記棒状部材にこの棒状部材の全周に渡って溶接されているときに、前記2個の保持手段のうち、他方の保持手段により、前記棒状部材の長さ方向の前記端部から離れている前記棒状部材の長さ方向の箇所を保持するための作業工程と、を含んでいることを特徴とするものである。
【0021】
このように本発明に係るシャッターカーテン用巻取軸の中子構造体の製造方法には、棒状部材の長さ方向に離れて配置された2個の保持手段のうち、一方の保持手段により棒状部材の長さ方向の端部を保持するための作業工程と、一方の保持手段により棒状部材の長さ方向の前記端部が保持されて、溶接手段により中子部材が棒状部材にこの棒状部材の全周に渡って溶接されているときに、2個の保持手段のうち、他方の保持手段により、棒状部材の長さ方向の端部から離れている棒状部材の長さ方向の箇所を保持するための作業工程と、が含まれているため、溶接手段により中子部材が棒状部材に自動作業として全周溶接されるときに、棒状部材に撓みが生ずることを抑制でき、これにより、中子部材を棒状部材に一層正確に全周溶接することができる。
【0022】
このシャッターカーテン用巻取軸の中子構造体の製造方法においても、中子部材を棒状部材に全周溶接できるようにするためには、前記一方の保持手段により棒状部材の長さ方向の端部を保持するための前記作業工程を、棒状部材の長さ方向の端部を保持しながらこの棒状部材を回転させるための作業工程にして、溶接手段を、棒状部材及び中子部材に対して回転しないものとしてもよく、あるいは、前記一方の保持手段により棒状部材の長さ方向の端部を保持するための前記作業工程を、前記一方の保持手段により棒状部材の長さ方向の端部を保持するだけの作業工程にして、溶接手段を、棒状部材及び中子部材に対して回転するものとしてもよい。
【0023】
以上説明した本発明に係るシャッターカーテン用巻取軸の中子構造体の製造装置及びその製造方法は、任意の用途のためのシャッターカーテンを繰り出し自在に巻き取る巻取軸の中子構造体を製造するために用いることができ、このシャッターカーテンは、例えば、複数個が連設されるスラットや、パネル、パイプ等によって少なくとも一部が形成され、出入口等の開口部を開閉するためのシャッターカーテンでもよく、あるいは、耐火性や防火性を有するシート等によって少なくとも一部が形成され、全閉となることにより防火区画を形成するためのシャッターカーテン等でもよい。
【発明の効果】
【0024】
本発明によると、中子部材を棒状部材に溶接で結合する作業を自動作業で行えるとともに、この作業を棒状部材に撓みが生ずることを抑制して実施できるようになるという効果を得られる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】
図1は、巻取軸で繰り出し自在に巻き取られるシャッターカーテンを備えているシャッター装置の全体を示す正面図である。
【
図2】
図2は、中子構造体を含んで構成されている巻取軸を示す一部省略の正面図である。
【
図4】
図4は、中子構造体の製造装置の全体を示す正面図である。
【
図5】
図5は、中子構造体の製造装置の全体を示す平面図である。
【
図6】
図6は、第1保持手段を示し、(A)は、左側面図、(B)は、正面図である。
【
図7】
図7は、第2保持手段を示し、(A)は、右側面図、(B)は、正面図である。
【
図8】
図8は、第3保持手段を示し、(A)は、左側面図、(B)は、正面図である。
【
図9】
図9は、中子構造体を製造する際の最初の作業を示す概略正面図である。
【
図10】
図10は、中子構造体を製造する際の次の作業を示す
図9と同様の図である。
【
図75】
図75は、中心孔に面取り部が設けられている別実施形態の中子部材を示す
図17と同様の図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下に本発明を実施するための形態を図面に基づいて説明する。
図1には、本発明の一実施形態に係る装置及び方法で製造される中子構造体を有する巻取軸で開閉移動するシャッターカーテン1が示されている。このシャッターカーテン1は、左右一対のガイドレール2と、巻取軸3が内部に収納されたシャッターケース4と、床5とにより囲まれた出入口等の開口部6を開閉するものであり、多数のスラット1Aが上下に連設されることで主要部が形成されているシャッターカーテン1は、このシャッターカーテン1の上端が連結されている巻取軸3が図示しない開閉機により正回転することで巻取軸3に巻き取られ、また、巻取軸3が開閉機により逆回転することで巻取軸3から繰り出され、これにより、シャッターカーテン1は左右一対のガイドレール2に案内されて上下に開閉移動する。なお、巻取軸3の軸方向の両端部は、ブラケット9により回転自在に支持されている。
【0027】
図2には、長さ方向の一部が省略された巻取軸3が示されている。この巻取軸3は、巻取軸3の軸方向の両端部の軸首部3Aと、これらの軸首部3Aの間の本体3Bとを有するものとなっており、
図1のブラケット9で回転自在に支持されるそれぞれの軸首部3Aは、金属製の丸棒による棒状部材7で形成されており、本体3Bは、巻取軸3の全長よりも少し短い長さ寸法の金属製の丸筒状部材8により形成されている。また、左右2個の棒状部材7のうち、一方の棒状部材7には、電動モータとブレーキの組み合せで構成される上述の開閉機からの駆動力がチェーンで伝達される図示しないスプロケットホイールが取り付けられ、これにより、巻取軸3は開閉機からの駆動力により正逆回転する。
【0028】
軸首部3Aを形成しているそれぞれの棒状部材7には、それぞれ金属製板材により円板状に形成された第1中子部材11と第2中子部材12と第3中子部材13とが棒状部材7の軸方向の間隔をあけて配置されており、厚さ寸法が同じであって、外径寸法も同じになっているこれらの第1~第3中子部材11~13を棒状部材7に配置するために、
図2のS3-S3線断面図である
図3からも分かるように、第1~第3中子部材11~13の中心部には、棒状部材7の外径よりも内径が少し大きい丸孔による中心孔11A,12A,13Aが設けられ、これらの中心孔11A~13Aに棒状部材7が挿入された後に、棒状部材7と第1~第3中子部材11~13とが、第1~第3中子部材11~13の厚さ方向両側において、棒状部材7の全周に渡る溶接部14~19で結合され、これらの全周溶接部14~19により、棒状部材7に第1~第3中子部材11~13が結合されている。
【0029】
以上の棒状部材7と第1~第3中子部材11~13とにより、
図2で示すように左右対称形状となっている2個の中子構造体20が製造され、これらの中子構造体20を構成する部材のうち、第1~第3中子部材11~13は、巻取軸3の本体3Bを形成する丸筒状部材8の内部に挿入されて、第1~第3中子部材11~13の外周部を丸筒状部材8の内周部に結合することにより、本体3Bの軸方向の両端部に、中子構造体20の棒状部材7により軸首部3Aが設けられた巻取軸3が製造される。
【0030】
なお、第1~第3中子部材11~13の外周部を丸筒状部材8の内周部に結合するために、
図2及び
図3では、丸筒状部材8に、第1~第3中子部材11~13の配置箇所と一致する位置において、
図3で示されている孔8Aを円周方向に複数個設け、これらの孔8Aにおいて、丸筒状部材8と第1~第3中子部材11~13とを、溶接棒を用いる電気溶接によりスポット溶接している。しかし、第1~第3中子部材11~13のうち、丸筒状部材8の軸方向の端部側に配置される第3中子部材13については、丸筒状部材8の軸方向の端部の開口部から丸筒状部材8の内部に挿入した溶接棒を用いる電気溶接手段により、この第3中子部材13の外周部の全周を丸筒状部材8の内周部に溶接してもよい。
【0031】
また、
図2に示されているように、左右対称形状となっている2個の中子構造体20を構成しているそれぞれの棒状部材7の軸方向の両端面には、これらの両端面の外周部を切削加工することによって面取り部7A,7Bが形成され、これらの面取り部7A,7Bのうち、丸筒状部材8の外側に突出している面取り部7Aが形成されている棒状部材7の端面は、この棒状部材7の先端面7Cとなっており、丸筒状部材8の内部に配置された面取り部7Bが形成されている棒状部材7の端面は、この棒状部材7の後端面7Dである。
【0032】
図4には、本発明の一実施形態に係る中子構造体20の製造装置30の正面図が示され、
図5は、この製造装置30の平面図である。製造装置30には、台座30Aの上に、後述から分かるように、棒状部材7と第1~第3中子部材11~13とを保持するための第1保持手段31と、棒状部材7を保持するための棒状部材保持手段ともなっている第2保持手段32と、棒状部材7を保持しかつこの棒状部材7を回転させるための第3保持手段33とが、棒状部材7の長さ方向、すなわち、前述した巻取軸3の軸方向となっている左右方向に離れて配置されており、第2保持手段32と第3保持手段33との間に配置されている第1保持手段31は、台座30Aに固定設置されている。また、第2保持手段32は、ガイドレール34で案内されて第1保持手段31に対し前後進自在となっているスライダ35の上に配置され、第3保持手段33も、ガイドレール36で案内されて第1保持手段31に対し前後進自在となっているスライダ37の上に配置されている。
【0033】
スライダ35には、
図4で示す電動モータ38からの駆動力がベルト等で構成された駆動力伝達手段39を介して伝達される送りねじ部材40に螺合されているナット部材41が取り付けられ、これにより、第2保持手段32とスライダ35は、電動モータ38の正逆回転により第1保持手段31に対し前後進する。また、スライダ37には、
図4で示す電動モータ42からの駆動力がベルト等で構成された駆動力伝達手段43を介して伝達される送りねじ部材44に螺合されているナット部材45が取り付けられ、これにより、第3保持手段33とスライダ37も、電動モータ42の正逆回転により第1保持手段31に対し前後進する。
【0034】
図6は、第1保持手段31を示し、
図6(A)は、左側面図であり、
図6(B)は、正面図である。第1保持手段31は、台座30Aに固定設置されたリング状の本体50と、この本体50の第2保持手段32と対向する側面に、第1保持手段31で保持される棒状部材7と第1~第3中子部材11~13の円周方向に等角度間隔で3個配置された爪部材51とを含んで構成されたものとなっており、それぞれの爪部材51は、本体50の第2保持手段32と対向する側面に形成された案内溝52で案内されて、棒状部材7と第1~第3中子部材11~13の内外径方向に移動自在である。なお、リング状の本体50の中心部に設けられている円形の開口孔50Aは、爪部材51が外径方向に移動しているときに、棒状部材7を含めて第1~第3中子部材11~13を通過させることができる大きさとなっている。
【0035】
図5に示されているように、本体50には、ブラケット53を介して電動モータ54が取り付けられ、この電動モータ54の駆動力はベベルギヤ機構55を介して本体50の内部に入力している。また、本体50の内部には、
図6(A)で示されているリング状の円盤部材56が回転自在に収納され、本体50の内部に入力した電動モータ54の駆動力は、本体50の内部に配置されているベベルギヤ機構を介して円盤部材56に伝達されるため、電動モータ54の駆動軸の回転方向に応じて、円盤部材56は正回転又は逆回転する。また、円盤部材56には渦巻き状の凸条が形成されており、それぞれの爪部材51には、この渦巻き状の凸条に係合する凹条が設けられているため、円盤部材56が正回転すると、それぞれの爪部材51は内径方向に移動することで棒状部材7や第1~第3中子部材11~13を保持し、円盤部材56が逆回転すると、それぞれの爪部材51は外径方向に移動することで棒状部材7や第1~第3中子部材11~13の保持を解除する。
【0036】
このため、第1保持手段31は、棒状部材7と第1~第3中子部材11~13の円周方向に3個配置された爪部材51が棒状部材7と第1~第3中子部材11~13の内外径方向に移動して、棒状部材7や第1~第3中子部材11~13の保持と保持解除とを行うスクロールチャック式の保持手段となっている。
【0037】
図6(B)で示されているように、それぞれの爪部材51の内径側の先端部には、内径側が開放されていて、外径側が壁部57Aで閉じられている窪み部57が設けられ、これらの窪み部57は、それぞれの爪部材51における前述した第3保持手段33とは反対側の側面51A、言い換えると、それぞれの爪部材51における前述した第2保持手段32側の側面51Aにおいて、第3保持手段33側に窪んで形成されている。また、それぞれの爪部材51の内径側の先端部には、窪み部57よりも第3保持手段33側において、回転部材58が取り付けられ、これらの回転部材58は軸方向が水平方向となっている軸58Aを中心に回転自在となっており、また、それぞれの回転部材58の一部は、窪み部57の内径側の端部から内径方向に突出している。
【0038】
図7は、前述した棒状部材保持手段ともなっている第2保持手段32を示し、
図7(A)は、右側面図であり、
図7(B)は、正面図である。第2保持手段32は、
図4及び
図5で示したスライダ35に固定設置されたリング状の本体60と、この本体60の第1保持手段31と対向する側面に、第2保持手段32で保持される棒状部材7の円周方向に等角度間隔で3個配置された爪部材61とを含んで構成されたものとなっており、それぞれの爪部材61は、本体60の第1保持手段31と対向する側面に形成された案内溝62で案内されて棒状部材7の内外径方向に移動自在である。
【0039】
図5に示されているように、本体60には、ブラケット63を介して電動モータ64が取り付けられ、この電動モータ64の駆動力はベベルギヤ機構65を介して本体60の内部に入力し、本体60の内部には、
図7(A)で示されているリング状の円盤部材66が回転自在に収納されている。本体60の内部に入力した電動モータ64の駆動力は、本体60の内部に配置されているベベルギヤ機構を介して円盤部材66に伝達され、これにより、電動モータ64の駆動軸の回転方向に応じて、円盤部材66は正回転又は逆回転する。また、この円盤部材66にも、渦巻き状の凸条が形成されており、それぞれの爪部材61には、この渦巻き状の凸条に係合する凹条が設けられているため、円盤部材66が正回転すると、それぞれの爪部材61は内径方向に移動することで棒状部材7を保持し、円盤部材66が逆回転すると、それぞれの爪部材61は外径方向に移動することで棒状部材7の保持を解除する。
【0040】
このため、第2保持手段32も、棒状部材7の円周方向に3個配置された爪部材61が棒状部材7の内外径方向に移動して、この棒状部材7の保持と保持解除とを行うスクロールチャック式の保持手段となっている。
【0041】
図8は、第3保持手段33を示し、
図8(A)は、左側面図であり、
図8(B)は、正面図である。第3保持手段33は、
図4及び
図5で示したスライダ37に固定設置されている基台37Aに水平軸を中心に回転自在となって配置されたリング状の本体70と、この本体70の第1保持手段31と対向する側面に、第3保持手段33で保持される棒状部材7の円周方向に等角度間隔で3個配置された爪部材71とを含んで構成されたものとなっている。それぞれの爪部材71は、本体70の第1保持手段31と対向する側面に形成された案内溝72で案内されて棒状部材7の内外径方向に移動自在である。
【0042】
図5に示されているように、基台37Aには、ブラケット73を介して電動モータ74が取り付けられ、この電動モータ74の駆動力はベベルギヤ機構75を介して本体70の内部に入力し、この本体50の内部には、
図8(A)で示されているリング状の円盤部材76が回転自在に収納されている。本体70の内部に入力した電動モータ54の駆動力は、本体70の内部に配置されているベベルギヤ機構を介して円盤部材76に伝達され、このため、電動モータ74の駆動軸の回転方向に応じて、円盤部材76は正回転又は逆回転する。この円盤部材76にも渦巻き状の凸条が形成され、それぞれの爪部材71には、この渦巻き状の凸条に係合する凹条が設けられているため、円盤部材76が正回転すると、それぞれの爪部材71は内径方向に移動することで棒状部材7を保持し、円盤部材76が逆回転すると、それぞれの爪部材71は外径方向に移動することで棒状部材7の保持を解除する。
【0043】
このため、第3保持手段33も、棒状部材7の円周方向に3個配置された爪部材71が棒状部材7の内外径方向に移動して、この棒状部材7の保持と保持解除とを行うスクロールチャック式の保持手段となっている。
【0044】
また、この第3保持手段33には、本体70と連結されたリングギヤ77が設けられ、本体70とリングギヤ77とを連結するために、リング状の本体70の中心部に、本体70とリングギヤ77とを連結するための筒状連結部材が設けられている。本体70の全周に渡るリングギヤ77には、
図4及び
図5で示されているように、基台37Aにブラケット78を介して取り付けられた電動モータ79で回転するギヤ80が噛合しており、このため、この電動モータ79の駆動力により、本体70は基台37Aに対して水平軸を中心に回転し、この本体70と共に3個の爪部材71も水平軸を中心に回転する。
【0045】
このため、第3保持手段33の3個の爪部材71は、電動モータ74による棒状部材7の内外径方向への移動と、電動モータ79による水平軸を中心とした回転とを行い、3個の爪部材71が棒状部材7を保持しているときに、これらの爪部材71が回転することで棒状部材7も回転する。
【0046】
したがって、この第3保持手段33では、後述するように3個の爪部材71が棒状部材7を保持しているときに、電動モータ79により本体70と3個の爪部材71とが水平軸を中心に回転するようになっている。この作動を実現するために、電動モータ79により本体70と3個の爪部材71とが水平軸を中心に回転しているときに、電動モータ74の駆動力で3個の爪部材71が棒状部材7の保持を持続するようになっており、あるいは、電動モータ79により本体70と3個の爪部材71とが水平軸を中心に回転しているときに、電動モータ74の電力供給回路が遮断されて、図示しない電磁ブレーキ等の作動により、棒状部材7を保持した3個の爪部材71が外径方向に移動することが阻止されるようになっている。
【0047】
図5に示されているように、本実施形態に係る中子構造体20の製造装置30には、棒状部材7の供給を行うとともに、第1保持手段31に棒状部材7と第1~第3中子部材11~13を供給するための供給手段85と、棒状部材7に第1~第3中子部材11~13をスポット溶接するための第1溶接手段86と、棒状部材7に第1~第3中子部材11~13を棒状部材7の全周に渡って溶接するための第2溶接手段87とが配備されている。これらの供給手段85と、溶接棒を用いる電気溶接手段となっている第1及び第2溶接手段86,87は、例えば、ロボットにより第1~第3保持手段31~33に対して進退移動及び左右移動する。なお、供給手段85は、後述するように、棒状部材7の全周に渡って第1~第3中子部材11~13がこの棒状部材7に溶接された中子構造体20を取り出すために用いてもよく、また、第1及び第2溶接手段86,87を共通化された1個の溶接手段としてもよい。
【0048】
次に、
図9~
図74により、
図4及び
図5で示した製造装置30によって
図2の中子構造体20を製造するための作業の手順について説明する。以下に説明するこの作業は、コンピュータのプログラムによるシーケンス手段により、製造装置30の台座30Aに配置されている
図4の電動モータ38,42と、
図5で示されている第1保持手段31の電動モータ54と、第2保持手段32の電動モータ64と、第3保持手段33の電動モータ74,79と、ロボットを含む供給手段85と、ロボットを含む第1及び第2溶接手段86,87とを制御することによる自動作業として行われる。
【0049】
図9に示されているように、最初に、
図5で示した供給手段85により棒状部材7が製造装置30に供給され、この供給は、第1保持手段31の
図6で示した本体50の円形の開口孔50Aに棒状部材7を挿入して行われ、次に、
図10に示されているように、第2保持手段32が第1保持手段31に向かって前進し、この後に、
図11に示されているように、第2保持手段32のそれぞれの爪部材61が内径方向に移動して棒状部材7を保持する。次いで、
図12に示されているように、第2保持手段32が第1保持手段31から後退した後に、
図13に示されているように、第1中子部材11が供給手段85により第1保持手段31に供給されて、
図14に示されているように、第1保持手段31のそれぞれの爪部材51が内径方向に移動して第1中子部材11を保持する。この保持は、
図6で示したそれぞれの爪部材51の窪み部57において、これらの窪み部57の外径側の壁部57Aで第1中子部材11の外周部を挟着することで行われる。
【0050】
次いで、
図15に示されているように、第2保持手段32は第1保持手段31に向かって前進し、この前進により、棒状部材7の
図2でも示されている先端面7Cが第1中子部材11に近づくと、
図16に示されているように、第1保持手段31のそれぞれの爪部材51は外径方向に少し移動する。これにより、第1保持手段31における第1中子部材11の保持が緩和されることになる。このときに第1中子部材11は自重で少し下側に移動するが、爪部材51の外径方向への移動量は、窪み部57についての内外径方向の長さ寸法よりも充分に小さいため、第1中子部材11がそれぞれの爪部材51から脱落することはなく、このため、第1保持手段31での第1中子部材11の保持は維持されながら、この保持が緩和されることになる。
【0051】
図17には、このときにおける
図16の一部拡大図が、第1中子部材11が断面として示されている。棒状部材7の先端面7Cには、
図2で説明したように、この先端面7Cの外周面を切削加工することで形成された面取り部7Aが設けられている。このため、棒状部材7の中心軸N1と、第1中子部材11の中心部に設けられている前述の中心孔11Aの中心軸N2とに、たとえ上下方向や、前後方向(
図17では紙面の表裏方向)の芯ずれが生じていても、
図18に示されているように、第2保持手段32が第1保持手段31に向かって前進すると、面取り部7Aにより、第1保持手段31での保持が緩和されている第1中子部材11が上下方向や前後方向の内外径方向に移動することによって芯ずれが解消されることになり、これにより、棒状部材7は、先端面7Cから第1中子部材11の中心孔11Aに挿入される。
【0052】
このため、本実施形態によると、製造装置30での第1保持手段31や第2保持手段32についての設置精度に、たとえ上下方向や前後方向の誤差があり、この誤差により、棒状部材7の中心軸N1と、第1中子部材11の中心孔11Aの中心軸N2とに、上下方向や前後方向の芯ずれが生じていても、このような誤差及び芯ずれを面取り部7Aにより解消して、棒状部材7を、先端面7Cから第1中子部材11の中心孔11Aに挿入することができ、この第1中子部材11を棒状部材7に配置することができる。
【0053】
また、以上のことから分かるように、第1保持手段31は、それぞれの爪部材51で第1中子部材11を保持するものとなっており、また、第2保持手段32は、それぞれの爪部材61により棒状部材7を保持するものとなっており、第1保持手段31に対して第3保持手段33が配置されている側とは反対側において、棒状部材保持手段となって配置されているこの第2保持手段32は、第1保持手段31に対して近づく方向に移動自在となっているため、第1中子部材11を保持した第1保持手段31に対して、棒状部材7を保持した第2保持手段32を前進させることにより、棒状部材7を第1中子部材11の中心孔11Aに挿入して、この第1中子部材11を棒状部材7に配置することができる。
【0054】
図18の作業の後に、
図19に示されているように、第1保持手段31のそれぞれの爪部材51はさらに少し外径側に移動し、このときの移動量は、第1中子部材11の外径側端部が爪部材51の窪み部57に係止している状態を維持する移動量であるため、次に、
図20に示されているように、棒状部材7を保持している第2保持手段32が第1保持手段31に向かって前進すると、第1中子部材11についての棒状部材7の前進方向への位置は、第1保持手段31の爪部材51の窪み部57により規制されているため、棒状部材7における第1中子部材11の配置位置は、棒状部材7の長さ方向に移動して、
図2で示されている棒状部材7の後退面7Dに近づくことになる。
【0055】
この後に、
図21に示されているように、第1保持手段31のそれぞれの爪部材51は外径方向に移動し、次いで、
図22に示されているように、棒状部材7を保持している第2保持手段32が第1保持手段31から後退することにより、棒状部材7及びこの棒状部材7に配置されている第1中子部材11も第1保持手段31から後退する。
【0056】
次いで、
図23に示されているように、第2中子部材12が供給手段85により第1保持手段31に供給されるとともに、この第1保持手段31のそれぞれの爪部材51が内径方向に移動することにより、これらの爪部材51により第2中子部材12は保持される。このときの保持も、
図14のときと同様に、
図6で示したそれぞれの爪部材51の窪み部57において、これらの窪み部57の外径側の壁部57Aで第2中子部材12の外周部を挟着することで行われる。この後に、
図24に示されているように、第2保持手段32は第1保持手段31に向かって前進し、この前進により、棒状部材7の先端面7Cが第2中子部材12に近づくと、
図25に示されているように、第1保持手段31のそれぞれの爪部材51は外径方向に少し移動し、これにより、第1保持手段31における第2中子部材12の保持が緩和されることになる。このときも第2中子部材12は自重で少し下側に移動するが、爪部材51の外径方向への移動量は、窪み部57についての内外径方向の長さ寸法よりも充分に小さいため、第2中子部材12がそれぞれの爪部材51から脱落することはなく、このため、第1保持手段31での第2中子部材12の保持は維持されながら、この保持は緩和されることになる。
【0057】
次いで、
図26に示されているように、第2保持手段32が第1保持手段31側へ前進すると、前述したように製造装置30での第1保持手段31や第2保持手段32についての設置精度に上下方向や前後方向の誤差があるために、棒状部材7の中心軸と、第2中子部材12の中心孔12Aの中心軸とに、上下方向や前後方向の芯ずれが生じていても、
図17及び
図18のときと同様に、このような誤差及び芯ずれは、棒状部材7の先端面7Cに形成されている面取り部7Aにより解消され、棒状部材7は先端面7Cから第2中子部材12の中心孔12Aに挿入されて、この第2中子部材12は棒状部材7に配置されることになる。
【0058】
この後に、
図27に示されているように、第1保持手段31の爪部材51は、外径方向に
図19のときと同じ移動量だけ移動し、これにより、第2中子部材12の外径側端部が爪部材51の窪み部57に係止している状態が維持され、次に、
図28に示されているように、棒状部材7を保持している第2保持手段32が第1保持手段31に向かって前進することにより、第2中子部材12の棒状部材7における配置位置は、棒状部材7の長さ方向に移動して、この棒状部材7の先端面7C側から後退面7D側へと変更される。この後に、
図29に示されているように、第1保持手段31のそれぞれの爪部材51は外径方向に移動し、次いで、
図30に示されているように、棒状部材7を保持している第2保持手段32が第1保持手段31から後退することにより、棒状部材7及びこの棒状部材7に配置されている第1及び第2中子部材11,12も第1保持手段31から後退する。
【0059】
この後に、
図31に示されているように、第3中子部材13が
図5の供給手段85により第1保持手段31に供給されるとともに、この第1保持手段31のそれぞれの爪部材51が内径方向に移動することで第3中子部材13は第1保持手段31により保持される。このときの保持も、
図14及び
図23のときと同様に、
図6で示したそれぞれの爪部材51の窪み部57において、これらの窪み部57の外径側の壁部57Aで第3中子部材13の外周部を挟着することで行われる。この後に、
図32に示されているように、第2保持手段32は第1保持手段31に向かって前進し、この前進により、棒状部材7の先端面7Cが第3中子部材13に近づくと、
図33に示されているように、第1保持手段31のそれぞれの爪部材51は外径方向に少し移動し、これにより、第3中子部材13は、第1保持手段31における保持が緩和されることになる。このときも第3中子部材13は自重で少し下側に移動するが、爪部材51の外径方向への移動量は、窪み部57についての内外径方向の長さ寸法よりも充分に小さいため、第3中子部材13がそれぞれの爪部材51から脱落することはなく、このため、第1保持手段31での第3中子部材13の保持は維持されながら、この保持は緩和されることになる。
【0060】
次いで、
図34に示されているように、第2保持手段32が第1保持手段31側へ前進すると、このときも、製造装置30での第1保持手段31や第2保持手段32についての設置精度に上下方向や前後方向の誤差があるために、棒状部材7の中心軸と、第3中子部材13の中心孔13Aの中心軸とに、上下方向や前後方向の芯ずれが生じていても、
図17及び
図18、
図26のときと同様に、このような誤差及び芯ずれは、棒状部材7の先端面7Cに形成されている面取り部7Aにより解消されて、棒状部材7は先端面7Cから第3中子部材13の中心孔13Aに挿入され、この第3中子部材13は棒状部材7に配置される。この後に、
図35に示されているように、第1保持手段31の爪部材51は、外径方向に
図19と
図27のときと同じ移動量だけ移動し、これにより、第3中子部材13の外径側端部が爪部材51の窪み部57に係止している状態が維持される。
【0061】
次に、
図36に示されているように、棒状部材7を保持している第2保持手段32が第1保持手段31に向かって前進し、これにより、第3中子部材13の棒状部材7における配置位置は、棒状部材7の長さ方向に移動して、この棒状部材7の先端面7C側から後退面7D側へと変更される。この後に、
図37に示されているように、第1保持手段31のそれぞれの爪部材51は外径方向に移動し、次いで、
図38に示されているように、棒状部材7を保持している第2保持手段32が第1保持手段31に向かって前進し、これにより、棒状部材7及びこの棒状部材7に配置されている第1~第3中子部材11~13は、第3保持手段33側へ前進する。
【0062】
そして、
図39に示されているように、第3保持手段33が第1保持手段31に向かって前進するとともに、この第3保持手段33のそれぞれの爪部材71が内径方向に移動することにより、棒状部材7の先端面7C側の端部が第3保持手段33により保持される。この後に、
図40に示されているように、第1保持手段31のそれぞれの爪部材51は内径方向に移動し、これにより、これらの爪部材51の位置が
図19及び
図27のときと同じ位置になった後に、
図41に示されているように、棒状部材7を保持している第2保持手段32と第3保持手段33は、第2保持手段32が第1保持手段31に向かって前進する方向であって、第3保持手段33が第1保持手段31から後退方向に移動する。これにより、第1中子部材11の外径側端部が爪部材51の窪み部57に当接するため、棒状部材7における第1中子部材11の配置位置は、棒状部材7の後端面7D側へ変更される。
【0063】
次いで、
図42に示されているように、第1保持手段31の爪部材51は、内径方向に移動して第1中子部材11を窪み部57により保持し、この後に、
図43に示されているように、第2保持手段32のそれぞれの爪部材61が外径方向に移動することにより、第2保持手段32による棒状部材7の保持が解除される。次いで、
図44に示されているように、第2保持手段32が第1保持手段31から後退した後に、
図45に示されているように、第2保持手段32のそれぞれの爪部材61が内径方向に移動することにより、第2保持手段32は棒状部材7を再度保持する。この後に、
図46に示されているように、棒状部材7を保持している第2保持手段32と第3保持手段33は、第2保持手段32が第1保持手段31に向かって前進する方向であって、第3保持手段33が第1保持手段31から後退する方向に移動し、これにより、第1保持手段31の爪部材51により保持されている第1中子部材11の棒状部材7における配置位置は、この棒状部材7の後端面7Dに一層近い位置に変更されることになり、この変更により、棒状部材7における第1中子部材11は、
図2で示されている棒状部材7における第1中子部材11の配置位置に達する。
【0064】
次いで、
図47に示されているように、第2保持手段32のそれぞれの爪部材61が外径方向に移動することにより、この第2保持手段32による棒状部材7の保持が解除され、この後に、
図48に示されているように、第2保持手段32が第1保持手段31から後退する。この後退によって第2保持手段32と第1中子部材11との間にできるスペースに
図5で示した第1溶接手段86が挿入され、この第1溶接手段86により、
図49に示されているように、第1中子部材11が棒状部材7にスポット溶接されることにより、第1中子部材11は、棒状部材7にスポット溶接部90により位置決めされて仮結合される。
【0065】
この後に、
図50に示されているように、第2保持手段32が第1保持手段31に向かって前進し、次いで、
図51に示されているように、第2保持手段32のそれぞれの爪部材61が内径方向に移動することにより、この第2保持手段32により棒状部材7が保持された後に、
図52に示されているように、第1保持手段31の爪部材51が外径方向に移動して第1中子部材11の保持を解除する。この後に、
図53に示されているように、棒状部材7を保持している第2保持手段32と第3保持手段33は、第2保持手段32が第1保持手段31から後退する方向であって、第3保持手段33が第1保持手段31に向かって前進する方向に移動し、これにより、第2中子部材12の位置は、第1保持手段31の爪部材51の配置位置と対応する位置に変更される。
【0066】
次いで、
図54に示されているように、第1保持手段31のそれぞれの爪部材51は内径方向に移動し、この移動量は、これらの爪部材51が
図40のときと同じ位置に達する移動量であるため、第2中子部材12の外径側端部が爪部材51の窪み部57に当接する。この後に、
図55に示されているように、棒状部材7を保持している第2保持手段32と第3保持手段33は、第2保持手段32が第1保持手段31に向かって前進する方向であって、第3保持手段33が第1保持手段31から後退する方向に移動し、これにより、棒状部材7における第2中子部材12の位置は、
図2で示されている棒状部材7における第2中子部材12の配置位置に達する。次いで、
図56に示されているように、第1保持手段31のそれぞれの爪部材51が内径方向に移動することにより、第2中子部材12は第1保持手段31により保持され、この後に、
図57に示されているように、
図5の第1溶接手段86により、第2中子部材12が棒状部材7にスポット溶接されて、この第2中子部材12は、棒状部材7にスポット溶接部91により位置決めされて仮結合される。
【0067】
次いで、
図58に示されているように、第1保持手段31のそれぞれの爪部材51は外径方向に移動して第2中子部材12の保持を解除した後に、
図59に示されているように、棒状部材7を保持している第2保持手段32と第3保持手段33は、第2保持手段32が第1保持手段31から後退する方向であって、第3保持手段33が第1保持手段31に向かって前進する方向に移動し、これにより、第3中子部材13の位置は、第1保持手段31における爪部材51の配置位置と対応する位置に変更される。この後に、
図60に示されているように、第1保持手段31のそれぞれの爪部材51は内径方向に移動し、この移動により、これらの爪部材51は、
図40及び
図54で示されている位置と同じ位置に達するため、第3中子部材13の外径側端部が爪部材51の窪み部57に当接する。この後に、
図61に示されているように、棒状部材7を保持している第2保持手段32と第3保持手段33は、第2保持手段32が第1保持手段31に向かって前進する方向であって、第3保持手段33が第1保持手段31から後退する方向に移動し、これにより、棒状部材7における第3中子部材13の位置は、
図2で示されている棒状部材7における第3中子部材13の配置位置に達する。
【0068】
次いで、
図62に示されているように、第1保持手段31のそれぞれの爪部材51が内径方向に移動することにより、第3中子部材13は第1保持手段31により保持され、この後に、
図63に示されているように、
図5の第1溶接手段86により、第3中子部材13が棒状部材7にスポット溶接されて、この第3中子部材13は、棒状部材7にスポット溶接部92により位置決めされて仮結合される。
【0069】
次いで、
図64に示されているように、第1保持手段31の爪部材51が外径方向に移動することにより、この第1保持手段31による第3中子部材13の保持が解除され、この後に、
図65に示されているように、棒状部材7を保持している第2保持手段32と第3保持手段33は、第2保持手段32が第1保持手段31に向かって前進する方向であって、第3保持手段33が第1保持手段31から後退する方向に移動する。これにより、第1保持手段31の爪部材51の配置位置が、棒状部材7にスポット溶接部91,92により位置決めされて仮結合されている第2中子部材12と第3中子部材13との間の位置となる。
【0070】
この後に、
図66に示されているように、第1保持手段31のそれぞれの爪部材51は内径方向に移動し、これにより、これらの爪部材51により棒状部材7は保持され、この保持は、それぞれの爪部材51の内径側の先端部に、
図6で説明したように、回転自在に配置されている回転部材58によって行われる。すなわち、それぞれの爪部材51の内径側の先端部には窪み部57が設けられているが、この窪み部57よりも第3保持手段33側において、爪部材51の内径側の先端部に回転部材58が取り付けられ、それぞれの回転部材58の一部は、窪み部57の内径側の端部から内径方向に突出しているため、それぞれの爪部材51が内径方向に移動すると、これらの爪部材51に回転自在に設けられている回転部材58により棒状部材7は保持されることになる。
【0071】
次いで、
図67に示されているように、第2保持手段32のそれぞれの爪部材61が外径方向に移動することにより、この第2保持手段32による棒状部材7の保持が解除され、この後に、
図5で示されている第2溶接手段87が第3中子部材13に近づく作動を行うとともに、棒状部材7を保持している第3保持手段33のそれぞれの爪部材71が、
図4及び
図5で示されている電動モータ79の駆動によって回転し、棒状部材7も回転する。これにより、
図68に示されているように、第3中子部材13は、この第3中子部材13の厚さ方向のうち、前述したスポット溶接部92が設けられていない一方の片側において、棒状部材7に第2溶接手段87による全周溶接部19によって棒状部材7の全周に渡って溶接結合されることになり、この全周溶接部19は
図2にも示されている。
【0072】
このようにして実施される第3中子部材13の棒状部材7に対する本実施形態に係る全周溶接作業では、以上の説明から分かるように、第3保持手段33の爪部材71により棒状部材7の長さ方向の一方の端部、すなわち、棒状部材7の前述した先端面7C側の端部が保持されていて、第2溶接手段87により第3中子部材13が棒状部材7にこの棒状部材7の全周に渡って溶接されているときに、第1保持手段31により、先端面7C側の端部から離れている棒状部材7の長さ方向の箇所を保持していることになる。このため、第3保持手段33の爪部材71により棒状部材7の長さ方向の先端面7C側の端部だけが保持されていて、第2保持手段32の爪部材61が回転しないものとなっているために、この第2保持手段32により棒状部材7の長さ方向の先端面7Cとは反対側の端部を保持できなくても、棒状部材7の長さ方向の先端面7C側の端部から棒状部材7の長さ方向に離れている箇所に撓みが生ずることを第1保持手段31により抑制して、第3中子部材13を棒状部材7に全周溶接する作業を実施することができ、これにより、第3中子部材13を棒状部材7に一層正確に全周溶接できる。
【0073】
特に、本実施形態では、第1保持手段31のそれぞれの爪部材51の内径側の先端部には、回転部材58が回転自在に取り付けられ、第1保持手段31が、棒状部材7の長さ方向の先端面7C側の端部から棒状部材7の長さ方向に離れている箇所を保持することは、これらの回転部材58により棒状部材7を回転自在に支持して行われるため、この支持を摩擦等の発生を抑制して有効に行える。
【0074】
また、本実施形態では、棒状部材7の長さ方向の先端面7C側の端部を保持している第3保持手段33の爪部材71は回転し、これにより、棒状部材7も回転するため、第3中子部材13を棒状部材7に全周溶接部19により棒状部材7の全周に渡って溶接する作業を、第2溶接手段87を棒状部材7及び第3中子部材13に対して回転しないものにして実施できることになり、これにより、第2溶接手段87の構造等を簡単化することができる。
【0075】
また、
図16~
図18等の説明から分かるように、第1保持手段31は、第2保持手段32によって保持された棒状部材7が第1中子部材11等の中子部材の中心孔に挿入されるときに、爪部材51により第1中子部材11等の中子部材を保持するものとなっているが、この保持は、それぞれの爪部材51の内径側の先端部に、内径側が開放されていて、外径側が閉じられて設けられた窪み部57により行われるとともに、これらの窪み部57は、
図6(B)に示されているように、それぞれの爪部材51における第3保持手段33とは反対側の側面51Aにおいて、第3保持手段33側に窪んで形成されており、また、それぞれの爪部材51の内径側の先端部には、窪み部57よりも第3保持手段33において、回転部材58が取り付けられ、これらの回転部材58の一部が窪み部57の内径側の端部から内径方向に突出しているため、第1中子部材11等の中子部材を保持することと、棒状部材7の長さ方向の先端面7C側の端部から棒状部材7の長さ方向に離れている箇所を摩擦等の発生を抑制して有効に支持することとの両方を、窪み部57と回転部材58とが設けられている第1保持手段31の爪部材51によって達成することができる。
【0076】
図68の作業の後に、
図69に示されているように、第1中子部材11と第2中子部材12のそれぞれの厚さ方向のうち、互いに向かい合っている一方の片側について、すなわち、第1中子部材11に関しては、スポット溶接部90が設けられていない片側について、第2中子部材12に関しては、スポット溶接部91が設けられる片側について、これらの第1及び第2中子部材11,12が、第3保持手段33の爪部材71により回転している棒状部材7に、第2溶接手段87による全周溶接部15,16によって棒状部材7の全周に渡って溶接結合され、これらの全周溶接部15,16も
図2にも示されている。この全周溶接作業も、第1保持手段31の爪部材51に設けられた回転部材58により、棒状部材7の長さ方向の先端面7C側の端部から棒状部材7の長さ方向に離れている箇所が支持されながら行われるため、棒状部材7に撓みが生じることを抑制できる。
【0077】
次いで、
図70に示されているように、第1保持手段31の爪部材51は外径方向に移動し、爪部材51に設けられている回転部材58による棒状部材7の保持が解除され、この後に、
図71に示されているように、第2保持手段32と第3保持手段33は、第2保持手段32が第1保持手段31に向かって前進する方向であって、第3保持手段33が第1保持手段31から後退する方向に移動し、これにより、第1保持手段31の爪部材51の配置位置が、棒状部材7に全周溶接部15,16で溶接されている第1中子部材11と第2中子部材12との間の位置となる。この後に、
図72に示されているように、第1保持手段31のそれぞれの爪部材51が内径方向に移動することにより、これらの爪部材51に設けられている回転部材58によって棒状部材7は、第1中子部材11と第2中子部材12との間において、再度回転自在に支持される。次いで、
図73に示されているように、第2保持手段32は第1保持手段31から後退する。
【0078】
この後に、
図74に示されているように、
図5の第2溶接手段87により、第3保持手段33の爪部材71によって回転している棒状部材7に、第1~第3中子部材11~13が、これらの第1~第3中子部材11~13の厚さ方向のうち、これまで全周溶接されていないそれぞれの片側について、第2溶接手段87による全周溶接部14,17,18によって棒状部材7の全周に渡って溶接結合され、これらの全周溶接部14,17,18も
図2にも示されている。
【0079】
この全周溶接作業も、第1保持手段31の爪部材51に設けられた回転部材58により、棒状部材7の長さ方向の先端面7C側の端部から棒状部材7の長さ方向に離れている箇所が支持されながら行われるため、棒状部材7の長さ方向の両端部のうち、先端面7C側の端部だけが第3保持手段33により保持されていても、棒状部材7に撓みが生じることを抑制できる。また、全周溶接部14,17,18のうち、全周溶接部14が、棒状部材7の長さ方向の両端面のうち、第2保持手段32側の端面、すなわち、前述した後端面7Dに近い位置に設けられるものとなっていても、全周溶接部14により第1中子部材11を棒状部材7に溶接結合する作業を行うときには、第2保持手段32は第1保持手段31から後退しているため、全周溶接部14のための第2溶接手段87を棒状部材7に近づけることができるスペースを、第1中子部材11と第2保持手段32との間に確保できる。
【0080】
以上により、棒状部材7と第1~第3中子部材11~13とからなる
図2で示した中子構造体20が製造されたことになる。
【0081】
次いで、図面には示されていないが、第3保持手段33のそれぞれの爪部材71の回転が停止した後に、これらの爪部材71は外径方向に移動して棒状部材7の保持を解除し、そして、第3保持手段33は第1保持手段31から後退する移動を行い、また、第1保持手段31のそれぞれの爪部材51も外径方向に移動して、回転部材58による棒状部材7の保持を解除する。
【0082】
この後に、中子構造体20は、図示しない取り出し手段により、
図4及び
図5に示されている本実施形態に係る製造装置30から取り出される。なお、この取り出し作業を、
図5で示した供給手段85により実施してもよい。
【0083】
図75には、別実施形態に係る第1~第3中子部材11’,12’,13’が示されている。これらの第1~第3中子部材11’~13’の中心部に丸孔として設けられている中心孔11A’,12A’,13A’には、これらの中心孔11A’~13A’における棒状部材7の先端面7Cが挿入する側の端部の内周部において、面取り部93が形成されている。これによると、前述したように、製造装置30での第1保持手段31や第2保持手段32についての設置精度に、たとえ上下方向や前後方向の誤差があり、この誤差により、棒状部材7の中心軸N1と、第1~第3中子部材11’~13’の中心孔11A’~13A’の中心軸N2とに、上下方向や前後方向の大きな芯ずれが生じていても、面取り部93と、棒状部材7の先端面7Cの外周部に形成された面取り部7Aとの両方により、このような誤差及び芯ずれを解消して、棒状部材7を、先端面7Cから第1~第3中子部材11’~13’の中心孔11A’~13A’に挿入することができる。
【産業上の利用可能性】
【0084】
本発明は、出入口等の開口部を開閉するシャッターカーテンや、全閉となることで防火区画を形成するシャッターカーテン等のための巻取軸を構成する中子構造体を製造するために利用することができる。
【符号の説明】
【0085】
1 シャッターカーテン
3 巻取軸
3A 軸首部
3B 本体
7 棒状部材
8 丸筒状部材
11,11’ 第1中子部材
11A,11A’ 中心孔
12,12’ 第2中子部材
12A,12A’ 中心孔
13,13’ 第3中子部材
13A,13A’ 中心孔
14~19 全周溶接部
20 中子構造体
30 製造装置
31 他方の保持手段である第1保持手段
32 棒状部材保持手段となっている第2保持手段
33 一方の保持手段である第3保持手段
51 第1保持手段の爪部材
57 窪み部
58 回転部材
61 第2保持手段の爪部材
71 第3保持手段の爪部材
85 棒状部材や第1~第3中子部材を供給するための供給手段
86 棒状部材に第1~第3中子部材をスポット溶接するための第1溶接手段
87 棒状部材に第1~第3中子部材を全周溶接するための第2溶接手段