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  • 特許-化粧品及び化粧品を製造するための方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-12
(45)【発行日】2023-01-20
(54)【発明の名称】化粧品及び化粧品を製造するための方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/34 20060101AFI20230113BHJP
   A61K 8/55 20060101ALI20230113BHJP
   A61K 8/92 20060101ALI20230113BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20230113BHJP
   A61Q 19/02 20060101ALI20230113BHJP
   A61Q 17/04 20060101ALI20230113BHJP
【FI】
A61K8/34
A61K8/55
A61K8/92
A61Q19/00
A61Q19/02
A61Q17/04
【請求項の数】 24
(21)【出願番号】P 2020129023
(22)【出願日】2020-07-30
(62)【分割の表示】P 2018500848の分割
【原出願日】2016-03-10
(65)【公開番号】P2020172555
(43)【公開日】2020-10-22
【審査請求日】2020-08-26
(31)【優先権主張番号】102015003841.9
(32)【優先日】2015-03-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】517336164
【氏名又は名称】ゲーツェーテー ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100154612
【弁理士】
【氏名又は名称】今井 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】マルティン アルブレヒト
(72)【発明者】
【氏名】ベルント コンプ
【審査官】松井 一泰
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-051872(JP,A)
【文献】特表2006-522059(JP,A)
【文献】特表2012-523381(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00- 8/99
A61Q 1/00- 90/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水に加えて、少なくとも0.7重量%の濃度の少なくとも1つの水素化リン脂質、少なくとも1つの二価及び/又は三価アルコール、及び少なくとも1つの植物蝋を含有する化粧品であって、
a)前記化粧品において、前記水素化リン脂質と前記植物蝋の重量比が1:0.3~1:1.5の間にあり、
b)前記化粧品において、前記水素化リン脂質は斜方晶系ラメラ結晶構造内に少なくとも部分的に存在し、及び
c)前記植物蝋が前記斜方晶系ラメラ結晶構造に組み込まれ、
d)前記植物は、葉、針葉、茎、根、外皮、ぬか、皮、種子、花及び/又は果実から分離される、ことを特徴とする化粧品。
【請求項2】
前記少なくとも1つの水素化リン脂質は、水素化ホスファチジルエタノールアミン、水素化ホスファチジルイノシトール、水素化ホスファチジルコリン、水素化リゾホスファチジルコリン、水素化ホスファチジルセリン及び水素化ホスファチジン酸から成る群から選択される、ことを特徴とする請求項1に記載の化粧品。
【請求項3】
前記水素化リン脂質は水素化ホスファチジルコリンであり、少なくとも60重量%の水素化ホスファチジルコリンの濃度を有する、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の化粧品。
【請求項4】
前記植物蝋は、カルナウバ蝋、カンデリラ蝋、オーリクリ蝋、サトウキビ蝋、レタモ蝋、ヤシ蝋、ラフィア蝋、オダマキ蝋、エスパルト蝋、アルファルファ蝋、竹蝋、麻蝋、米松蝋、ココナッツ蝋、シサル蝋、亜麻蝋、綿蝋、ダンマル蝋、穀草蝋、茶蝋、コーヒー蝋、オカチラ蝋、陳皮蝋、イチジク蝋、オレンジ蝋、ヒマワリ種蝋、ヒマワリ種殻蝋、スプラウトケール蝋、たばこ蝋、カボチャの種蝋、トウモロコシ蝋、ウチワサボテン蝋及びオレアンダー蝋から成る群から選択される、ことを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の化粧品。
【請求項5】
前記植物蝋が、カルナウバ蝋、ヒマワリ種蝋、米蝋、米ぬか蝋又これらの蝋の混合物である、ことを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の化粧品。
【請求項6】
前記カルナウバ蝋、前記ヒマワリ種蝋、前記米蝋及び/又は前記米ぬか蝋が、飽和C22-C26脂肪酸の主脂肪酸成分を包含する、ことを特徴とする請求項5に記載の化粧品。
【請求項7】
前記化粧品が、カルナウバ蝋、ヒマワリ種蝋、米蝋及び/又は米ぬか蝋を有し、それぞれの蝋の主脂肪酸成分が、それぞれの蝋の重量に基づいて15重量%~33重量%の濃度で存在する、ことを特徴とする請求項6に記載の化粧品。
【請求項8】
前記化粧品がカルナウバ蝋、ヒマワリ種蝋、米蝋及び/又は米ぬか蝋を有し、それぞれの蝋の主脂肪酸成分が、それぞれの蝋の重量に基づいて23重量%~28重量%の濃度で存在する、ことを特徴とする請求項7に記載の化粧品。
【請求項9】
前記蝋が、遊離C16-C24脂肪酸を含有する、ことを特徴とする請求項6~8のいずれか一項に記載の化粧品。
【請求項10】
前記蝋が、それぞれの蝋の重量に基づいて1重量%~1.8重量%の濃度の遊離C16-C24脂肪酸を含有する、ことを特徴とする請求項9に記載の化粧品。
【請求項11】
遊離脂肪酸における不飽和脂肪酸の濃度は、それぞれの蝋の重量に基づいて、0.05重量%~0.4重量%の間にある、ことを特徴とする請求項10に記載の化粧品。
【請求項12】
前記化粧品が、二価又は三価アルコールとしてジオール及び/又はグリセリンを含む、ことを特徴とする請求項1~11のいずれか一項に記載の化粧品。
【請求項13】
前記化粧品が、アルコールとして、グリセリン、ペンチレングリコール、を含む、ことを特徴とする請求項1~12のいずれか一項に記載の化粧品。
【請求項14】
前記化粧品が、0.5重量%~35重量%の濃度の更なる成分としてイソステアリン酸イソステアリルを含有する、ことを特徴とする請求項1~13のいずれか一項に記載の化粧品。
【請求項15】
前記化粧品が、0.7重量%~8重量%の濃度の水素化ホスファチジルコリンを含有する、ことを特徴とする請求項1~14のいずれか一項に記載の化粧品。
【請求項16】
前記化粧品が、UVフィルター、肌保護有効成分、肌ケア有効成分、スムージング有効成分、肌軟化有効成分、肌ホワイトニング有効成分、日焼け有効成分、脱臭有効成分、脱毛有効成分、保湿有効成分、過敏性肌のケア及び治療のための有効成分、感染、炎症又は罹病肌の治療及びケアのための有効成分、虫刺され予防のための有効成分、潤滑有効成分、抗炎症有効成分及び/又は潤い付与有効成分をさらに有する、ことを特徴とする請求項1~15のいずれか一項に記載の化粧品。
【請求項17】
前記化粧品が、ブチルシクロヘキサノール、レゾルビン、ピロリン酸ファルネシル、カプサゼピン、シンナミド、カルボキサミド及び/又はパルミトイルトリペプチド-8から成る群から選択される有効物質を有する、ことを特徴とする請求項1~16のいずれか一項に記載の化粧品。
【請求項18】
前記化粧品が、ブチルシクロヘキサノールとして、少なくとも1つの第三ブチルシクロヘキサノール及び4-t-ブチルシクロヘキサノールを含む、ことを特徴とする請求項1~17のいずれか一項に記載の化粧品。
【請求項19】
前記化粧品が、ブチルシクロヘキサノールとペンチレングリコールの混合物を有する、ことを特徴とする請求項17又は18に記載の化粧品。
【請求項20】
前記化粧品における前述した有効成分の濃度が0.01重量%~2.5重量%の間にある、ことを特徴とする請求項17~19のいずれか一項に記載の化粧品。
【請求項21】
前記水素化リン脂質と前記植物蝋の重量比が1:0.7~1:1.1の間にある、ことを特徴とする請求項1~20のいずれか一項に記載の化粧品。
【請求項22】
請求項1~21のいずれか一項に記載の化粧品を製造するための方法であって、
a)コンセントレートを水システムを用いた希釈によって調製し、
b)前記コンセントレートは、少なくとも1つの水素化リン脂質、水、少なくとも1つの二価又は三価アルコール及び少なくとも1つの植物蝋を含み、
c)前記コンセントレートは、化粧品の形成により1:0.3~1:15の体積比で水システムによって希釈でき、
d)所望の希釈に依存して、希釈によりそれから作られる化粧品が少なくとも0.7重量%の前記水素化リン脂質を含むように、前記コンセントレートは前記水素化リン脂質の濃度を有し、
e)前記コンセントレートにおいて、前記水素化リン脂質と前記植物蝋の重量比は1:0.3~1:1.5の間にあり、
f)前記コンセントレートにおいて、前記水素化リン脂質は、斜方晶系ラメラ結晶構造内に少なくとも部分的に存在し、
g)前記コンセントレートにおいて、前記植物蝋は前記斜方晶系ラメラ結晶構造に組み込まれる、ことを特徴とする方法。
【請求項23】
前記水システムが少なくとも1つの美容有効成分を含有する、ことを特徴とする請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記水素化リン脂質と前記植物蝋の重量比が1:0.7~1:1.1の間にある、ことを特徴とする請求項22又は23に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特許請求項1のプレアンブルの特徴を有する化粧品、及び請求項22のプレアンブルの特徴を有するこのような化粧品を製造するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許請求項1のプレアンブルの特徴を有する化粧品が特許文献1から知られている。ここで公知の組成は、成分として、少なくとも0.7重量%の濃度の水素化リン脂質、少なくとも1つの二価及び/又は三価アルコール、及び少なくとも1つの蝋(ワックス)を含有し、実施形態Mにおいてのみ、米ぬか蝋である蝋の濃度が0.1重量%で定量化されているが、この例示の実施形態では水素化ホスファチジルコリンの濃度は1.5重量%と特定されている。これから、水素化リン脂質の蝋に対する比は1:0.066であると計算される。しかしながら、主に、特許文献1は積み重なって配置されたサンドウィッチ状のラメラ二重膜層(lamellar double membrane layers)を有するラメラ構造を備えた公知の調合物・配合物(formulation)を議論している。内部水性相の層が、互いに平行に配置された隣接する二重膜層の間にそれぞれ備えられている。有効成分は、それらが親油性か親水性かにかかわらず、二重膜と内部水性相とにしかし異なる濃度でそれぞれに配置される一方、ラメラ構造を取り囲む外側水性相は概ね有効成分が無い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】WO2009/043341
【非特許文献】
【0004】
【文献】J.C. Garson 等、J. Invest. Dermatol. 96: 43-49, 1991
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、肌のバリア障害の防止又は排除に関して特に高い活性(activity)を有する特定された種類の化粧品を提供することである。
【0006】
さらに、本発明は、コンセントレートから化粧品が水性システムで希釈することで特に簡単かつ迅速に調製できる化粧品を製造するための方法を提供するという目的に基づく。
【課題を解決するための手段】
【0007】
これらの目的は、本発明に従い特許請求項1の特徴的な特徴を有する化粧品、及び特許請求項22の特徴的な特徴を有する方法によって達成される。
【0008】
ゆえに、本発明によれば、水に加えて、前述した調合物が少なくとも0.7重量%の濃度の少なくとも1つの水素化リン脂質、少なくとも1つの二価及び/又は三価のアルコール、及び少なくとも1つの植物蝋を含有する化粧品が提案される。しかしながら、前述の公知の調合物とは異なり、本発明に従う化粧品では水素化リン脂質の植物蝋に対する重量比は、本発明に従う化粧品では水素化リン脂質と植物蝋の重量比が1:0.3~1:1.5の間、特に1:0.7~1:1.1の間にあるという効果に定量化される。さらに、本発明に従う化粧品では、水素化リン脂質は斜方晶系ラメラ結晶構造内に少なくとも部分的に存在する。この斜方晶系ラメラ結晶構造は以下で詳細に説明する。斜方晶系ラメラ結晶構造では、植物蝋が斜方晶系ラメラ結晶構造に組み込まれる。
【0009】
本願の発明者等が驚くべきことに確認したように、先に記載した公知の組成もラメラ構造を有しているが、このラメラ構造は六方晶系ラメラ構造であり、本発明により提案されるように斜方晶系ラメラ結晶構造ではない。さらに、本発明によれば、水素化リン脂質の植物蝋に対する重量比が1:0.3~1:1.5の間、特に1:0.7~1:1.1の間にあるときのみ、本発明に従う化粧品に含有される所望の斜方晶系ラメラ結晶構造が形成されることが本質とみなされる。例示の実施形態において以下で詳細に記載し、議論するように、この重量比より低下したり超過したりすると、液体ラメラ構造又は六方晶系ラメラ構造がそこに組み込まれた蝋と水素化リン脂質から形成されるが、斜方晶系ラメラ結晶構造はそこから形成されない。
【0010】
それはまさに、先に定量化された水素化リン脂質の植物蝋に対する重量比でのみ形成されるこれら斜方晶系ラメラ結晶構造であり、肌のバリア障害を防止しさらに肌のバリア障害を特に効率的に排除することができ、そのため本発明に従う化粧品は肌のバリア障害の治療のために予防的だけでなく治療的にも素晴らしく使用できる。それは、例示の実施形態に記載された効能研究に基づいて後で立証される。
【0011】
本発明に従う化粧品の前述した改良された予防的かつ治療的な美容効能は本発明者等を次の事実に帰着させる。すなわち、本発明に従う化粧品は、たこのできた肌の細胞間脂質における欠陥の存在や欠陥の発生を特に効果的に防止又は排除し、それにより前述したバリア障害の尺度である経皮水分損失が、健康で損傷の無い肌に対応する範囲に保持され又は戻される。分子の低い移動性と六方晶系ラメラ構造に比べてよりコンパクトな構造とを有する、より堅固でよりコンパクトな構造の斜方晶系ラメラ結晶構造のために、本発明に従う化粧品は本質的により良く、六方晶系ラメラ構造や液体ラメラ構造よりもより良好、より早く及びより効率的に、前述したバリア障害及び特に細胞間脂質の欠陥を排除又は防止することができる。本発明に従う製品はまた、肌の下層まであまり深く進入せず、むしろカルス層(角質層)に主に留まり、ここで角質の多層の扁平上皮の間に存在する細胞間脂質が欠陥を全く形成しないか殆ど形成せず、そこに存する欠陥が斜方晶系ラメラ結晶構造により修理されることを保証する。
【0012】
本発明に従う化粧品に含有される水素化リン脂質としては、基本的に、前述した重量比の蝋を有する斜方晶系ラメラ結晶構造を作るどんな水素化リン脂質も適する。特に、本発明に従う化粧品では、水素化ホスファチジルエタノールアミン、水素化ホスファチジルイノシトール、水素化ホスファチジルコリン、水素化リゾホスファチジルコリン、水素化ホスファチジルセリン及び水素化ホスファチジン酸から成る群から選択されるこのような水素化リン脂質が提供される。
【0013】
バリア障害の、特に細胞間脂質の欠陥の防止及び/又は排除、及び従って健康な肌の維持及び/又は損傷した肌の治療に関する特に良好な結果は、水素化リン脂質が植物性リン脂質、好ましくは大豆レシチン(soy lecithin)又はヒマワリレシチン(sunflower lecithin)から成り、水素化によって創出され、使用される水素化リン脂質に基づいて少なくとも60重量%の水素化ホスファチジルコリンの濃度を有する、本発明に従う化粧品のこのような実施形態を有する。本発明に従う化粧品の予防的かつ治療的な有効性は、70重量%~85重量%、特に90重量%~98重量%の水素化ホスファチジルコリンの濃度を有する水素化リン脂質を使用することでさらに改良される。
【0014】
本発明に従う化粧品に含有されていて、前述した重量比の水素化リン脂質と共に斜方晶系ラメラ結晶構造を形成する蝋に関して、葉、針葉、茎、根、外皮、ぬか、皮、種子、花及び/又は果実から分離・単離された植物蝋が特に選択される。これらは特に、カルナウバ蝋、カンデリラ蝋、オーリクリ蝋(ouricuri wax)、サトウキビ蝋、レタモ蝋(retamo wax)、ヤシ蝋(caranday wax)、ラフィア蝋、オダマキ蝋、エスパルト蝋、アルファルファ蝋、竹蝋、麻蝋、米松蝋、ココナッツ蝋、シサル蝋、亜麻蝋、綿蝋、ダンマル蝋、穀草蝋、茶蝋、コーヒー蝋、オカチラ蝋(ocatilla wax)、陳皮蝋(citrus aurantium dulcis peel wax)、イチジク蝋、オレンジ蝋、ヒマワリ種蝋、ヒマワリ種殻蝋、スプラウトケール蝋、たばこ蝋、カボチャの種蝋、トウモロコシ蝋、ウチワサボテン蝋(prickly cactus wax)及びオレアンダー蝋から成る群から選択されるこのような植物蝋(単体又は混合物)を含む。
【0015】
本発明に従う化粧品の特に好適な非常に有効な実施形態が、特に、カルナウバ蝋、ヒマワリ種蝋、米蝋又は米ぬか蝋を単体で又は互いの混合物で又は先に記載した蝋との混合物で有する。特に、化学的にエステルとみなされる蝋及び好ましくはカルナウバ蝋、ヒマワリ種蝋、米蝋及び/又は米ぬか蝋が、主脂肪酸成分として飽和C22-C26脂肪酸を包含するとき、本発明に従う化粧品の冒頭で述べた利点が特に高い程度で実現され、使用される蝋及び好ましくはカルナウバ蝋、ヒマワリ種蝋、米蝋及び/又は米ぬか蝋が、それぞれの蝋の重量に基づいて15重量%~33重量%、特に23重量%~28重量%の濃度のこの主脂肪酸成分を含有すると特に好ましい。
【0016】
本発明に従う化粧品の別な特に好ましい実施形態はここで、蝋及び好ましくはカルナウバ蝋、ヒマワリ種蝋、米蝋又は米ぬか蝋が、それぞれの蝋の重量に基づいて特に1重量%~16重量%の脂肪酸濃度の、遊離リニアC30-C34アルコール及び/又は遊離C16-C24脂肪酸をさらに含有すると特に好ましいことを提案する。
【0017】
本発明に従う化粧品の貯蔵安定度を改善するために、前述した遊離C16-C24脂肪酸における不飽和脂肪酸の濃度を制限すると特に有利である。特に、遊離脂肪酸における不飽和脂肪酸の濃度は、特定の蝋又は蝋混合物の重量に基づいて、また特にカルナウバ蝋、ヒマワリ種蝋、米蝋及び/又は米ぬか蝋の重量に基づいて、0.05重量%~0.4重量%であるか、それに設定される。
【0018】
さらに、本発明に従う化粧品の別な実施形態は、本発明に従う化粧品がここで少なくとも1つの酸化防止剤を有することで、貯蔵安定度の伸長と望まれない酸化の防止をもたらす。好ましくは、この酸化防止剤は、トコフェロール、ポリフェノール、エピガロカテキン、没食子酸エピガロカテキン、カフェー酸、フラボノイド、エラグ酸、クルクミン誘導体、ジヒドロケルセチン、テトラヒドロクルクミノイド、テトラヒドロジフェルロイルメタン(tetrahydrodiferuloyl-methane)、L-カルノシン、N-アセチルシステイン、フィチン酸、キレート剤、特にチオクト酸及び/又はEDTA,BHA,BHT、植物成分(トウヒ属モミ属エキス、ピクノジェノール、バクチオール、ヒドロキシチロソール及び誘導体)、ビスエチルヘキシルヒドロキシジメトキシベンジルマロン酸(Ronacare AP、製造業者Merck)lipochroman、特にlipochroman-6から成る群から選択される。特定の酸化防止剤に依存して、その濃度は好ましくは、使用準備のできた化粧品に基づいて0.01重量%~10重量%の間で変化する。
【0019】
既に上で述べたように本発明に従う化粧品の場合、化粧品は二価及び/又は三価のアルコールを含有し、それは好ましくはジオール及び/又はグリセリンである。特に好ましいアルコールは、グリセロールに加えて、ペンチレングリコール、特に1,2-ペンタンジオール、ヘキシレングリコール、特に1,2-ヘキサンジオール、オクタンジオール及び/又はブチルシクロヘキサノール、好ましくは第三ブチルシクロヘキサノール及び特に4-t-ブチルシクロヘキサノール、それぞれに単体又はいずれかの望ましい混合物、である。特に前述したアルコールは特に高い肌適合性を有し、斜方晶系ラメラ結晶構造の形成を促進する。
【0020】
本発明に従う化粧品の特に好ましい実施形態によれば、化粧品は、1重量%~20重量%の濃度の更なる成分としてイソステアリン酸イソステアリルを含有する。特に、これによれば、化粧品は肌保護特性を有する。
【0021】
アルコールにおいて既に述べたブチルシクロヘキサノール、及び特に第三ブチルシクロヘキサノール、及び好ましくは4-t-ブチルシクロヘキサノールは好ましいアルコールであるだけでなく、TRPV1防止剤(TRPV1_=transient receptor potential channel, vanilloid subfamily member 1)の群に属する優れた有効成分でもある。それらは、肌の炎症閾値を低下させ、とりわけ敏感なバリア障害の肌状態で生じる皮膚反応を中和する。
【0022】
本発明に従う化粧品における水素化ホスファチジルコリンの濃度に関して、この濃度は特に0.7重量%~8重量%、好ましくは1.2重量%~5重量%の間で変わることに留意されたい。
【0023】
本発明に従う化粧品はさらに、光保護フィルター、UVフィルター、肌保護有効成分、肌ケア有効成分、スムージング(皺伸ばし)有効成分、肌軟化有効成分、肌ホワイトニング有効成分、日焼け有効成分、脱臭有効成分、脱毛有効成分、保湿有効成分、過敏性肌のケア及び治療のための有効成分、感染、炎症又は罹病肌の治療及びケアのための有効成分、虫刺され予防のための有効成分、潤滑有効成分、抗炎症有効成分及び/又は潤い付与(モイスチャライジング)有効成分を有する。
【0024】
好ましい光保護フィルター及びUVフィルターは特に、ペンゾフェノン-3、ベンゾフェノン-4、ベンゾフェノン-5,3-ベンジリデンカンフル、スルホン酸ベンジリデンカンフル、ブチルメトキシジベンゾイルメタン、メト硫酸カンフルベンズアルコニウム、ジエチルヘキシルブタミドトリアゾン、エチルヘキシルジメチルPABA、エチルヘキシルメチキシシンナメート、サリチル酸エチルヘキシル、エチルヘキシルトリアゾン、ホモサラート、イソアミル p-メトキシシンナメート、4-メチルベンジリデンカンフル、オクトクリレン、PABA(p-アミノ安息香酸)、PEG-25 PABA、スルホン酸フェニルベンズイミダゾール、ポリアクリルアミドメチルベンジリデンカンフル、カリウムフェニルベンズイミダゾール、ナトリウムフェニルベンズイミダゾールスルホネート、TEA-フェニルベンズイミダゾールスルホネート及びスルホン酸テレフタルイリデンジカンフル、オキシベンゼン、BEMT、オクトクリレン、ベンゾフェノン-9、ジエチルアミノ-ヒドロキシベンゾイルヘキシルベンゾアート、ドロメトリゾールトリシロキサン、4-メチルベンジリデンカンフル、3-ベンジリデンカンフル、オクチルサリチル酸、メチレンビス-ベンゾトリアゾリルテトラメチルブチルフェノール、ビス-エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン、エチルヘキシルメトキシシンナメート、ジエチルヘキシルブタミドトリアゾン、スルホン酸フェニルベンズイミダゾール、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイルヘキシルベンゾアート、ジナトリウムフェニルジベンズイミダゾールテトラスルホネート、二酸化チタン、酸化亜鉛、及びスルホン酸テレフタルイリデンジカンフルである。
【0025】
それぞれの光保護フィルター又はUVフィルターに依存して、本発明に従う化粧品におけるその濃度は、それぞれ使用準備のできた化粧品の重量に基づいて5重量%~30重量%、特に10重量%~20重量%である。
【0026】
別の実施形態では、本発明に従う化粧品は、アラントイン、クロロゲン酸、初乳、乳酸菌/藻類酵素、昆布(laminaria digitate)エキス、真昆布エキス、ミモザ(mimosa tenuiflora)樹皮エキス、オオバコエキス(Plangago ovata extract)、ソバエキス、アスコルビン酸トコフェロールリン酸カリウム、PVP/エイコセンコポリマー、PVP/ヘキサデカンコポリマー、サルビア薬用植物エキス、エンジュ属ジャポニカエキス、スフィンゴリピド、スピルリナプラテンシスエキス、トコフェロールリノレート、ブドウ種エキス及び/又は酵母βグルカンを有し、その好ましい濃度は特に、0.005重量%~40重量%、より好ましくは0.005重量%~10重量%の間で変わる。
【0027】
本発明に従う化粧品に個々に又は混合物として場合により存在する好ましい肌ケア有効成分は、特に、アクテリグルコサミン、アデノシン、リン酸環状アデノシン、リン酸アデノシン、三リン酸アデノシン、ハゴロモグサエキス、アンミビスナガエキス、グリチルリジン酸アンモニウム、ローマカツミレエキス、アルブチン、ゴボウエキス、アジア酸、アスペルギルス酵素、アテロコラーゲンサティバ蛋白質(atelocollagenatela sativa protein)、β-カロテン、β-グルカン、β-シトステロール、バイオサッカリドガム-1、ビオチン、カイコガエキス、シアバター(butyrospermum parkii butter)、C12-20イソパラフィン、C14-18グリコール、C16-36アルキルステアレート、C18-30グリコール、C20-24オレフィン、C20-30グリコール、C24-28オレフィン、C30-45アルキルジメチコン、C30-50アルキル蜜蝋、C30-50アルキルステアレート、C40-60アルキルステアレート、セラミド1、セラミド1A、セラミド2、セラミド4、セラミド5、セラミド6II、セラミド3、DI-C12-13アルキル酒石酸塩、エキナセアエキス、エラスチン、アミノ酸エラスチン、葉酸、グルコロノラクトン、グルタミン、グリセリルステアレートシトレート、グリシン、グリシン大豆エキス、グリシン大豆花、グリシン大豆種エキス、グリシン大豆油、グリシン大豆油(不鹸化物)、グリシン大豆蛋白質、グリシルレチン酸、グリシルレチニルステアレート、グリシルレチン酸ステアレート(glycyrrhetinyl stearate)、グリシルリジン酸、グアーヒドロキシプロピルチモニウムクロリド、ハルパゴフィツムプロカンベンスエキス、ヒマワリエキス、ヒマワリ種エキス、ヒマワリ種油、ヘリオトロピン、ヘキサメチルジシロキサン、ヘキサミジンジイセチオン酸塩、サジー油、オオムギエキス、水素化綿実グリセリド、水素化綿実油、水素化ホホバ油、水素化ホホバ蝋、水素化ラノリンアルコール、水素化パームグリセリド、水素化パームグリセリドシトレート、水素化パーム核グリセリド、水素化パーム油、水素化パーム/パーム核油PEG-6エステル、水素化ピーナツ油、水素化ポリイソブチレン、水素化菜種油、水和植物グリセリド、水素化植物油、加水分解蛋白質、加水分解カゼイン、加水分解コラーゲン、加水分解トウモロコシ蛋白質、加水分解コーンスターチ、加水分解DNA、加水分解卵殻膜、加水分解エラスチン、加水分解エクステンシン、加水分解フィブロネクチン、加水分解タラ蛋白質、加水分解ゼラチン、加水分解グリコサミノグリカン、加水分解グリチルリジン酸、加水分解毛髪ケラチン、加水分解ミルク蛋白質、加水分解シルク、加水分解大豆、加水分解大豆蛋白質、加水分解大豆スターチ、加水分解植物性蛋白質、加水分解小麦グルテン、加水分解小麦蛋白質、加水分解小麦蛋白質/ジメチコンコポリオルリン酸-コポリマー、加水分解小麦スターチ、加水分解酵母、加水分解酵母蛋白質、加水分解ゼイン、ヒドロキシラウロイルフイトスフィンゴシン、ヒドロキシプロリン、ヒドロキシプロピルシクロデキストリン、ヒドロキシプロピルトリモニウム加水分解米ぬか蛋白質、ヒドロキシプロピルトリモニウム加水分解シルク、ヒドロキシプロピルトリモニウム加水分解大豆蛋白質、ヒドロキシプロピルトリモニウム加水分解植物性蛋白質、イソアミルラウリン酸、ミリスチン酸イソブチル、パルミチン酸イソブチル、ペラルゴン酸イソブチル、ステアリン酸イソブチル、牛脂脂肪酸イソブチル、ベヘン酸イソセチル、イソステアリン酸イソセチル、イソデシルネオペンタネート、イソヘキサデカン、ラウリン酸イソヘキシル、イソヘキシルネオペンタネート、パルミチン酸イソヘキシル、ベヘン酸イソラウリル、イソステアリン酸イソプロピル、イソステアリン酸イソステアリル、ホホバアルコール、ホホバエステル、ケラチン、ケラチンアミノ酸、乳酸、乳酸桿菌酵素、ラクトフェリン、ラクトグロブリン、乳糖、ラクトイルフィトスフィンゴシン、ラノリン、ラノリン黄蝋、ラノステロール、ラウラミドプロピルベタイン(lauramidopropyl betaine)、ラウリルジモニウムヒドロキシプロピル加水分解大豆蛋白質、ラウリルジモニウムヒドロキシプロピル加水分解小麦蛋白質、レシチン、リノール酸、リノレン酸、亜麻エキス、亜麻油、忍冬エキス、リジン、アスパラギン酸リジン、マカダミアエキス、アスコルビン酸マグネシウム、グルコン酸マグネシウム、マグネシウムPCA、マルトデキストリン、ニバハッカエキス、アルファルファ油(不鹸化物)、アザディラクタエキス、ラウリン酸メチル、リノレン酸メチル、ミリスチン酸メチル、マンヌロン酸メチルシラノール、ミルクアミノ酸、モリンガ種子油、タネツケバナ種子油、モリンガバターミリスチル乳酸、ミリスチン酸ミリスチル、ミリスチルネオペンタネート、メマツヨイグサエキス、オリーブエキス、ジャノヒゲエキス、イネ蝋、イネエキス、イネ蝋、オリザノール、パンテノール、パントテン酸、パパイン、PCAジメチコン、パルミチン酸PEA、フィトスフィンゴシン、ポリクォータニウム47、アスパラギン酸カリウム、カリウムココイル加水分解穀粒蛋白質、グリチルリジン酸カリウム、プロコラーゲン、プロリン、プロテアーゼ、PTFE、ピリジンジカルボン酸、リン酸ピリドキサール-5、ピリドキシン-HCL、ナシリンゴエキス、クォータニウム-79加水分解シルク、クォータニウム-79加水分解大豆蛋白質、クォータニウム-79加水分解小麦蛋白質、モクセイソウエキス、酢酸レゾルシノール、レチノール、酢酸レチニル、リノール酸レチニル、パルミチン酸レチニル、プロピオン酸レチニル、クロスグリエキス、リボフラビン、ロイヤルゼリー、ロイヤルゼリーエキス、ラスコゲニン、ナギイカダエキス、ヘンルーダエキス、ルチン、サッカロミセス酵素、サッカロミセスライセートエキス、サリックスアルバ皮エキス、サルビア、サルビアエキス、セリシン、セリン、血清アルブミン、血清蛋白質、セラック蝋、シルクアミノ酸、ケイ質脂質、シリバムマリアナムエキス、シメチコン、ジョジョバ蝋、ジョジョバエキス、アスコルビン酸ナトリウム/リン酸コレステリル、ヒアルロン酸ナトリウムクロスポリマー、ナトリウムヒアルロン酸ジメチルシラノール、イセチオン酸ナトリウム、ナトリウムラウロイルイセチオン酸、ナトリウムラウロイルオート麦アミノ酸、ナトリウムラウロイルサルコシネート、ナトリウムラウロイルシルクアミノ酸、ナトリウムレブリネート、ナトリウムPCA、ナトリウムPCAメチルシラノール、ポリグルタミン酸ナトリウム、ソルビトール、大豆アステロール、スフィンゴリピド、スクアラン、ステアルアミドプロピルベタイン、グリチルレチン酸ステアリル、ステアリルアセテート、スクロース、ヒマワリ種子油、グリセリド、ヒレハリソウエキス、カカオエキス、リノール酸トコフェロール、コムギエキス、トロキセルチン、チロシン、ユビキノン、ウンデシルアルコール、尿素、植物性グリセリドリン酸塩、クマツズラエキス、ビタミン及びそれらの誘導体、好ましくはビタミンA及びE、小麦アミノ酸、トウモロコシ、アスパラギン酸亜鉛、亜鉛DNA、グルコヘプトン酸亜鉛、グルコン酸亜鉛、グルタミン酸亜鉛、亜鉛加水分解コラーゲン、及び/又は亜鉛PCAである。
【0028】
それぞれの有効物質とその意図する使用に依存して、上に挙げた肌ケア有効物質の好ましい濃度は0.005重量%~40重量%の間で変わる。
【0029】
スムージング又は皺減少有効成分のために、ボスウェリアエキス、ツボクサエキス、カンゾウ、カンゾウエキス、クワエキス、ナイアシンニコチンアミド、アボカドエキス、セリシン、ペンタペプチド、ヘキサペプチド、特にヘキサペプチド-2及び/又はヘキサペプチド-9、ヘプタペプチド、銅ペプチド、TGF-βファミリーの成長因子、MPCミルクペプチド、MTPミルクトリペプチド、パルミトイルオリゴペプチド/マトリックス、特にPal KTTKS(製造業者:Sederma)及び/又はPal-VGVAPG(製造業者:Sederma)、アセチルヘキサペプチド3、パルミトイルペンタペプチド、パルミトイルトリペプチド-5、セリレジン(serilesine)(=ラミニン、製造業者:Lipotec)、リペプチド(lipeptide)(=オリゴペプチド、製造業者:Lipotec)、トリペプチド10-シトルリン、アルデニン(Aldenine)(製造業者:Lipotec)、ポリガンマ-グルタミン酸、アラニン、セリン、グリシン、アルギニン、グルタミン酸、ヒスチジン及びスピルリナマキシマエキスが、0.001重量%~40重量%の好ましい濃度で本発明に従う化粧品に含まれる。
【0030】
軟化有効成分の群は、特に、落花生油、ゴボウ種子油、エンバクエキス、ベヒニルアルコール、ボラゴエキス、ボラゴ種子油、小松菜油、シアバター、シアバターエキス、シアバター(不鹸化物)、キンセンカエキス、キンセンカ油、キャンデリラ蝋、カノラ油、カプリリルグリコール、ベニバナエキス、ベニバナ油、蜜蝋、カルナウバ蝋、イナゴマメエキス、セテアリルアルコール、イソノナン酸セテアリル、セチルアルコール、エチルヘキサン酸セチル、パルミチン酸セチル、ステアリン酸セチル、コレステロール、ヒドロキシステアリン酸コレステリル、イソステアリン酸コレステリル、コレステリルマカダメート(cholesteryl macadamate)、ノナン酸コレステリル、ステアリン酸コレステリル、ココグリセリド、ココヤシエキス、ココヤシ油、グルタミン酸ココイル、補酵素A、コリアンダー種子油、シクロヘキサシロキサン、シクロヘチコン、シクロペンタシロキサン、シクロテトラシロキサン、シクロトリシロキサン、アジピン酸ジブチル、セバシン酸ジブチル、セバシン酸ジエチル、コハク酸ジエチル、ジヒドロコレステロール、酪酸ジヒドロコレステリル、イソステアリン酸ジヒドロコレステリル、ジヒドロコレステリルマカダメート、ノナン酸ジヒドロコレステリル、オクチルデカン酸ジヒドロコレステリル、オレイン酸ジヒドロコレステリル、アジピン酸ジイソブチル、スギナエキス、アラキジン酸エルシル、エルカ酸エルシル、オリーブ油脂肪酸エチル、カプリン酸グリセリル、カプリル酸グリセリル、カプリル酸/カプリン酸グリセリル、ヤシ油脂肪酸グリセリル、ジアラキジン酸グリセリル、ジベヘン酸グリセリル、ジエルカ酸グリセリル、ジヒドロキシステアリン酸グリセリル、ジイソパルミチン酸グリセリル、ジイソステアリン酸グリセリル、ジラウリン酸グリセリル、ジリノール酸グリセリル、ジミリスチン酸グリセリル、ジオレイン酸グリセリル、ジパルミチン酸グリセリル、ジパルミトレイン酸グリセリル、ジリシノール酸グリセリル、ジステアリン酸グリセリル、エルカ酸グリセリル、エチルヘキサン酸/ステアリン酸/アジピン酸グリセリル、水素化グリセリルソイエート、ヒドロキシステアリン酸グリセリル、イソステアリン酸グリセリル、イソステアリン酸/ミリスチン酸グリセリル、イソステアリン酸グリセリル、ラノリン脂肪酸グリセリル、ラウリン酸グリセリル、ラウリン酸/オレイン酸グリセリル、リノール酸グリセリル、ミリスチン酸グリセリル、オレイン酸グリセリル、オレイン酸/エライジン酸グリセリル、パルミチン酸グリセリル、パルミチン酸乳酸グリセリル、パルミチン酸/ステアリン酸グリセリル、リシノール酸グリセリル、リノール酸SEグリセリル、セスキオレイン酸グリセリル、ステアリン酸グリセリル、ステアリン酸クエン酸グリセリル、ステアリン酸二酢酸グリセリル、ステアリン酸乳酸グリセリル、ステアリン酸コハク酸グリセリル、ステアリン酸/酢酸グリセリル、ステアリン酸/マレイン酸グリセリル、牛脂脂肪酸グリセリル、ヒドロキシステアリン酸グリセリルトリアセチル、リシノール酸グリセリルトリアセチル、オレイン酸/ヒドロキシステアリン酸グリセリル/ソルビトール、スフィンゴ糖脂質、カンゾウ(甘草)、カンゾウエキス、綿実油、ヒマワリエキス、ヒマワリ種子油、ジイセチオン酸ヘキサミジン、サジー油、オオムギエキス、ホップエキス、水素化ココグリセリド、水素化ホホバ油、水素化ホホバ蝋、水素化ラノリン、水素化パームグリセリド、水素化パーム核油、水素化ポリデセン、水素化菜種油、水素化植物油、加水分解コラーゲン、セイヨウオトギリソウ油、イソヘキサデカン、イソステアリン酸イソプロピル、ラウリルジモニウムヒドロキシプロピルコラーゲンリムナンテスアルバ種子油、マカダミアエキス、パルミトイルコラーゲン(加水分解)、チョウセンニンジンエキス、パラフィン、パラフィンリキダム(白色鉱油)、クロスグリエキス、クロスグリ油、ホホバ蝋、ホホバエキス、ホホバ油、トマト油、ジステアリン酸ソルビタン、キャンデリラ蝋(合成)、カルナウバ(合成)、木蝋(合成)、ホホバ油(合成)、蝋(合成)、クエン酸トリエチルヘキシル及びクマツズラエキスを含む。これらの軟化有効成分の好ましい濃度は、0.5重量%~40重量%である。
【0031】
本発明に従う化粧品に存在し得る肌ホワイトニング有効成分の群は、特に、アスコルビン酸リン酸マグネシウム、アスコルビン酸リン酸二ナトリウム、テトラヒドロジフェルロイルメタン、コショウソウ芽エキス、ヒドロキノン、トレチノイン、アゼライン酸(azelainic acid)、コウジ酸、ジパルミチン酸コジク(kojiic dipalmitate)、アルブチン、ヤマモモエキス、カジノキエキス、グラブリジン、カンゾウエキス、アスコルビン酸、ウラルカンゾウエキス、メラノスタット(melanostat)、オクタデセン酸、フェニルプロパノイド、亜鉛-グリシン複合物、トレチノイン、ワルテリアインディカ葉エキス、ヒドロキシフェノキシプロピオン酸、ウンデシレノイルフェニルアラニン、アスコルビン酸テトライソパルミチン酸、マンドレシーエキス(mandresey extract)、アスコルビン酸2-グルコシド、及び、4-(1-フェニルエチル)1,3-ベンゼンジオールを含む。特定の有効成分に依存して、その濃度は好ましくは0.01重量%~7重量%の間で変化する。
【0032】
日焼け有効成分として、アセチルチロシン、エリトルロース及びジヒドロキシアセトンが、本発明に従う化粧品に0.1重量%~10重量%の好ましい濃度で存在すると好ましい。
【0033】
防臭有効成分のために、0.1重量%~15重量%の好ましい濃度のアルミニウムクロロハイドレート、クエン酸トリエチル、クエン酸銀、カプロイル/ラウロイル乳酸ナトリウムが、本発明に従う化粧品に挙げられる。
【0034】
脱毛有効成分の群は、特に、5重量%~10重量%の好ましい濃度のチオ乳酸アンモニウム、チオグリコール酸カルシウム、メルカプトプロピオン酸、チオグリコール酸カリウム、チオグリコール酸ナトリウム、及び、メルカプトプロピオン酸を含む。
【0035】
保湿有効成分は好ましくは、使用準備のできた化粧品の重量に基づいて、0.05重量%~25重量%の好ましい濃度の、アルギニンPCA、ブチレングリコール、ブチルオクタノール、グルコン酸カルシウム、カルボキシメチル-キトサンコハク酸アミド、キトサンPCA、銅-アセチル-チロシネート-メチルシラノール、銅PCA、銅-PCA-メチルシラノール、セリン、グリシン、アラニン、ポリアスパラギン酸ナトリウム、ベタイン、尿素、グリチルリジン酸二カリウム、エリスリトール、エトキシジグリコール、エトキシヘキシル-PCA、ガラクトノラクトン、グルカミン、グルタミン酸、グリチルリジン酸、ヒアルロン酸、イノシトール-ヘキサ-PCA、イソマルト、リジンPCA、マグネシウムPCA、マルチトール、フィタントリオール、カリウムPCA、サッカリド加水分解物、ナトリウムカルボキシメチルキチン、ヒアルロン酸ナトリウム、ナトリウムヒアルロン酸クロスポリマー、ナトリウムヒアルロン酸ジメチルシラノール、乳酸ナトリウム、ナトリウムPCA、ポリアスパラギン酸ナトリウム、ポリグルタミン酸ナトリウム、ソルビトール、ソヤステロール、尿素、キシリトール、キシロース、マデカッソシドなどのフィラグリン刺激物質、小麦蛋白質、アルテロモナス発酵ろ液、加水分解β-グルカン(hydreis、impag)、revidrate(Sederma)、PCA(カルボン酸ピロリドン)、及び、誘導体である。
【0036】
特に、挙げるべき有効成分は、ブチルシクロヘキサノール、好ましくは(複数の)ブチルシクロヘキサノール及び4-t-ブチルシクロヘキサノール及びパルミトイルトリペプチド-8である。それらは、本発明に従う化粧品に、過敏性肌のケア又は治療のために、0.01重量%~2.5重量%の間の好ましい濃度で存在する。
【0037】
健康的な肌バリアの観点及び損傷した肌バリアの回復の観点で特に高い美容効果が、特に第三ブチルシクロヘキサノール及び好ましくは4-t-ブチルシクロヘキサノールからのブチルシクロヘキサノールとプロピレングリコール及び/又はペンチレングリコールの混合物を有する本発明に従う製品によって本発明に従う化粧品の更なる発展形態において実現される。
【0038】
本発明に従う化粧品によって特に感染した、炎症した又は罹病の肌領域を治療するために、更なる発展形態によれば、本発明に従う化粧品は、ウルソール酸、ソヤステロール、18-β-グリチルレチン酸、γ-オリザノール、フェルラ酸、アベナンスラミド、ボスウェリア酸、アジアチコシド、マデカッソシド、CMグルカン、トロキセルチン、ルチン、モノアルカノールアミド、ロスマリン酸、マリーゴールドエキス、セイヨウオトギリソウエキス、フウセンカズラエキス、カミツレエキス、エキナセアエキス、及び、前述した抗炎症又は抗痒み有効成分の誘導体から成る群から選択される抗炎症有効物質を含み、その好ましい濃度は0.01重量%~5重量%である。
【0039】
本発明に従う化粧品で虫刺されに対する予防を実現するために、本発明に従う製品のこの実施形態は、イカリジン、チョウジ油、シトロネラール、セダー油、ラベンダー油、桂皮油、ペルメトリン及びクロタミトンから成る群から選択される有効成分を有する。特に、これらの有効成分は、使用者が特に蚊、ノミ、シラミ及び/又はマダニに刺されることを防止し、その好ましい濃度は0.1重量%~10重量%の間で変わる。
【0040】
本発明に従う化粧品は好ましくは、潤滑油有効成分として、0.1重量%~5重量%の間の好ましい濃度の麦芽グリセリドを有する。
【0041】
本発明に従う化粧品は特に、潤い付与有効成分として、0.05重量%~5重量%の間の好ましい濃度のヒアルロン酸ジメチルシラノール、大豆エキス、カンゾウ及び/又はマンガンPCAを含む。
【0042】
神経性誘発肌炎症に対する、特に病毒に敏感な肌のケア及び治療のために使用される本発明に従う化粧品の更なる実施形態は、有効成分として、ブチルシクロヘキサノール、レゾルビン、ピロリン酸ファルネシル、カプサゼピン、シンナミド、カルボキサミド及び/又はパルミトイルトリペプチド-8を有し、これらの有効成分の好ましい濃度は0.01重量%~1重量%である。
【0043】
本発明はさらに、本発明に従う前述した化粧品を製造するためのコンセントレートに関する。コンセントレートは水システムを用いた希釈によって調製でき、コンセントレートは、少なくとも1つの水素化リン脂質、水、少なくとも1つの二価又は三価アルコール及び少なくとも1つの植物蝋を含む。本発明によれば、コンセントレートは、化粧品の形成により1:0.3~1:15の体積比で水システムによって希釈できることが提案され、所望の希釈に依存して、希釈により作られる化粧品が少なくとも0.7重量%の水素化リン脂質を含むように、コンセントレートは水素化リン脂質の濃度を有する。さらに、本発明に従うコンセントレートでは、水素化リン脂質と植物蝋の重量比は1:0.3~1:1.5の間、特に1:0.7~1:1.1の間で変わる。本発明に従うコンセントレートでは、水素化リン脂質は、斜方晶系ラメラ結晶構造内に少なくとも部分的に存在し、蝋は本発明に従うコンセントレートでは斜方晶系ラメラ結晶構造に組み込まれる
【0044】
本発明に従うコンセントレートに対して、本発明に従う化粧品のために上で記載した全ての利点が類似又は同一であり、これは本発明に従う化粧品において上で記載した実施形態及び配合にも当てはまる。本発明に従うコンセントレートの特有の利点は、多数の異なって構成される化粧品が単一のコンセントレートから作られること、及び小さい単位に詰められる多数の化粧品と比べてコンセントレートの取り扱い及び輸送が特に経済的に有利であり、さらに単純化されることにある。
【0045】
本発明に従うコンセントレートの更なる実施形態は、水システムが少なくとも1つの美容有効成分を有することを提案する。本発明に従うコンセントレートのこの実施形態は、既に上で記載した利点に加えて、劣化に敏感な有効成分のために、これらの有効物質が調製の直前に水システムに与えられ、コンセントレートと混合され、それにより特に敏感な美容有効成分を備えたこの種類の化粧品のために、これらの化粧品が出荷の直前に製造されるという付加的な利点を有する。
【0046】
本発明はさらに、本発明に従う上で記載した化粧品の使用及びやはり上で説明した本発明に従うコンセントレートに関する。
【0047】
特に、本発明に従う製品又は本発明に従うコンセントレートは、感染した、炎症した又は罹病の肌、特に乾癬、内成湿疹、放射線損傷、光皮膚炎、口角炎、光線性角化症、接触性皮膚炎、脂漏性皮膚炎、おむつ皮膚炎、ざ瘡(couperosis)、床ずれ、魚鱗癬、口唇ヘルペス、ほくろ、口周囲皮膚炎、疥癬、じんましん、1度熱傷、及び/又は、電離放射線及び/又は細胞分裂停止によって生成される肌疾患のアジュバントケアのために、予防のために及び/又は治療のために使用される。
【0048】
前述した使用に依存して、有効化合物が、本発明に従う製品又は本発明に従うコンセントレートにこの目的のために使用される。当該有効化合物は特許請求項16に記載され、好ましい有効成分として付随する記載において強調されており、繰り返しを避けるためにそれを参照されたい。
【0049】
繰り返し記載している本発明に従う化粧品及び本発明に従うコンセントレートにおける斜方晶系ラメラ結晶構造を検出するために、以下に例示の実施形態にてより詳細に記載するように、X線構造解析が実施される。
【0050】
水素化リン脂質と蝋のそれぞれの比率に依存して、蝋が組み込まれる斜方晶系ラメラ結晶構造に少なくとも部分的に存在する水素化リン脂質の相転位温度は、72℃~95℃の間で変わる。
【0051】
本明細書で使用される用語「及び/又は」は付加的と二者択一の両方として理解されたい。同様に、単数で使用される調合物は複数をもカバーし、複数で使用される調合物は単数もカバーする。
【0052】
米ぬか蝋は、しばしば米蝋(ライスワックス)とも呼ばれる。
【0053】
本発明に従う化粧品及び本発明に従うコンセントレートの有利な更なる発展形態は従属請求項で特定される。
【0054】
本発明に従う化粧品は、2つの効能研究の図1~3,4,5,5A及び6に従う概略図及び例示の実施形態1~12に関連してより詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0055】
図1】斜方晶系ラメラ結晶構造の概略図である。
図2図1に描かれた斜方晶系ラメラ結晶構造の単一面の概略図である。
図3】六方晶系ラメラ結晶構造の単一面の概略図である。
図4】X線構造解析の結果を示す図である。
図5】X線構造解析の結果を示す図である。
図5A】X線構造解析の結果を示す図である。
図6】第1効能研究の結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0056】
図1は、実施形態1~12に詳細に記載するように、製造条件下で水素化リン脂質、特に水素化ホスファチジルコリンを形成する斜方晶系ラメラ結晶構造を概略的に示す。水素化リン脂質分子(例示的に1で示される)は、白い円で特徴づけられる。この構造内では、組み込まれた黒い蝋分子(例示的に2で示される)が示されている。
【0057】
図1に示された構造は、例えば、平坦な第1二重膜層3と、部分的にのみ示された平坦な第2二重膜層4を有し、これら2つの二重膜層3及び4は積み重なって両者の間に挟まれている。
【0058】
完全に例示されている二重膜層3は2つの層から成り、水素化リン脂質1と蝋2の個々の分子は図1に示すように各層内で一直線上に揃っている。
【0059】
図2では、斜方晶系ラメラ結晶構造が単一面の或る部分で概略的に描かれている。この単一面は図1で5で識別される平面の面に対応し、従って、図1に示されたラメラ構造の平面図を表す。
【0060】
図2に示される斜方晶系ラメラ結晶構造に対して、この面5の方向に見て、6で示される分子距離は3.71Åであるのに対して、7で示される分子の横間隔は4.16Åである。
【0061】
図2と異なり、図3は、六方晶系ラメラ結晶構造を示す。ここでは、それらの位置に関して図2に示された構造の距離6,7に対応する分子距離8,9はそれぞれ4.16Åである。
【0062】
一方で図2に従う斜方晶系ラメラ結晶構造に対する3.71Å及び4.16Åの、他方で図3に従う六方晶系ラメラ結晶構造での4.16Å(両方向)の分子距離の前述した差は、以下で説明するX線構造解析により明らかに実証される。
【0063】
この立証は、(本発明に従う)調合物A及び比較調合物Bでそこで指定された、以下に説明する第1比較効能研究で使用された2つの調合物に対する対応するX線構造解析結果を反映した図4により実証される。
【0064】
図5及び5Aは、実施形態1~12に記載された全ての組成が斜方晶系ラメラ結晶構造を形成することを示し、例示の実施形態1~6及び7~12は、参照番号1~6及び7~12によってこれら2つの図の右側に識別される。そこに示される全てのX線構造解析結果は2つのピークを有し、1つは3.71Åに、第2のピークは4.16Åにある。
【0065】
図4,5及び5Aに対して、強度は較正されていないことを特筆する。というのも、図4は、第1効能研究で互いに比較された2つの調合物A及びBの2つのX線構造解析結果の再現であり、図5は、実施形態1~6に対するX線構造解析結果の再現であり、その各々が図に要約されるからである。図5Aは、例示の実施形態7~12のX線構造解析の結果を図式的に再現する。
【0066】
斜方晶系構造の立証
本願に記載された斜方晶系ラメラ結晶構造と六方晶系ラメラ結晶構造はX線構造解析によって以下のように検出される。
【0067】
装置:MARCCD-345X X線回折装置
-回転CuアノードX線発生器、λ=1.5418Å
-光線:直径:1×1mm
-透過ジオメトリ:試料表面に垂直なビーム
-検出:画像域カメラ、2300×2300ピクセル、ピクセルサイズ:150×150μm
-試料検出器距離:250mm
-網状距離の範囲:50Å~2.7Å、前方散乱ベクトルS(=1/d):0.020~0.37Å-1
-露光時間:900s
-T=21℃、40%相対室湿度
データ解析:
-試料の外側で測定された背景信号(空気)の除去
-ソフトウェア:FIT2D
【0068】
X線図(図4)において4.16Åで単一のピークを有する試験された試料は六方晶系結晶ラメラ構造を特徴とするが、X線図が4.16Åの第1ピーク及び3.71Åの第2ピークを示すそれら試料(図4,5,5A)は斜方晶系ラメラ結晶構造を特徴とする。従って、(本発明に従う)調合物Aは斜方晶系ラメラ結晶構造を有し、比較調合物Bは六方晶系結晶構造を有する。
【0069】
第1比較効能研究
第1比較効能研究が、斜方晶系ラメラ結晶構造を有する本発明の化粧品の実施形態と、六方晶系ラメラ構造を有する調合物(比較調合物)との間で実施された。
【0070】
この比較に使用された水素化リン脂質は、以下に記載する実施例1~12のケースのように、水素化リン脂質の重量に基づいて、93重量%±3重量%の水素化ホスファチジルコリンの濃度を含む。
【0071】
本発明に従う調合物Aと比較調合物Bの組成は以下のようだった。
【0072】
【表1】
【0073】
第1比較効能研究に必要とされた2つの調合物は、同じ製造方法に従って製造された。
【0074】
相1は一様な攪拌によって90℃に加熱された。次いで相2も90℃に加熱された。90℃で、相2を相1に加え、次いで3分間Ultra Turraxを用いて15000rpmで均質化(ホモジナイズ)した。次いで、混合物は、1.5℃/分の冷却速度で均質化(Ultra Turraxによる12000rpm)によって77℃に冷却された。
【0075】
その結果生じたプリディスパージョンは、高圧ホモジナイザーによって細かく分散された。3つのサイクルが800barで必要とされた。次に、混合物は攪拌しながら25℃(冷却速度1℃/分)まで冷却された。
【0076】
ゆえに、調製された2つの調合物は以下に記載する工程内管理(in-process control)を受けた。両調合物は、均一な大きさの粒子を有する均質なディスパージョン(分散系)だった。
【0077】
本比較効能研究は10人の対象を用いて実施された。その対象は年齢が37~52歳の女性だった。平均年齢は45歳だった。対象の中にテストに関連する病気や肌変質を持つものはいなかった。経皮水分損失は、効能基準として機能し、Aquaflux AF 200測定装置(製造業者:Biox)を用いて測定、評価された。評価及び文書化は、BIOXにより提供される64ビットソフトウェアシステムを用いて実行された。
【0078】
研究の1日目には、4つの肌領域が、2×2cmの面積で左右前腕の肘屈曲部から5cmの距離のところでそれぞれの対象にて確認された。4つのマークされた肌領域のうちの3つで、0.0125mlの15%の水酸化ナトリウム溶液を用いてそれぞれの肌領域を炎症させることで意図的なバリア障害が生成された。肌は、水酸化ナトリウム溶液の適用前に炎症も損傷も示さなかった。水酸化ナトリウム溶液は、プラスチックへらでそれぞれの肌領域上に広げられた。5分のさらし時間後に、水酸化ナトリウム溶液は、生理食塩液を用いたすすぎにより除去され、その後炎症した肌領域は軽くたたかれ、20分間空気乾燥された。次に、このように作られたこの肌のバリア障害は20分間もう一度同一に繰り返されたが、水酸化ナトリウム溶液のさらし時間は3分だけだった。このように処理された肌は、上に記載したようにすすがれ、拭き取られ、乾かされた。
【0079】
この炎症後、肌は僅かに腫れ、紅斑の意味で赤さを示した。表皮の範囲を超えるより深い肌損傷は確認できなかった。経皮水分損失は、全ての4つの肌領域(3つの損傷領域及び比較領域)から決定され、以下のテーブルに「初期値」として示されている。損傷後の経皮水分損失は45.07gHO/mの平均値を有していた。標準偏差は4.2gHO/mだった。
【0080】
上述した第2損傷の20分後に、本発明に従う調合物A(0.01ml、右前腕)と比較調合物B(0.01ml、左前腕)が、マイクロリットル注射器によりそれぞれの腕の損傷肌領域上へ炎症した肌領域へ適用され、へらで分配された。
【0081】
他のマークされた肌表面は処置しないままだった。
【0082】
損傷の1日目には、経皮水分損失の9の実験が20分の時間間隔で実行された。
【0083】
2日目の朝及び3日目の朝に、比較すべき調合物が上述したように対応する肌領域に再び適用された。
【0084】
2日目及び3日目に、比較すべき調合物の更なる適用後約5時間後に、経皮水分損失が再び測定された。測定の全ての結果は以下のテーブルに与えられている。
【0085】
<テーブル1>
【0086】
【表2】
【0087】
上のテーブル1は、第1比較効能研究における経皮水分損失の測定を示す。第1日目には、比較すべき2つの調合物A及びBの適用の20分後に、経皮水分損失の明らかに測定可能な減少が観察された。1日目の第1適用後の120分後に、本発明に従う調合物Aの経皮水分損失は比較調合物Bにおけるよりも低かった。本発明に従う調合物Aにより処置された肌領域と従来型の比較調合物Bにより処置された肌領域の間の経皮水分損失における差が、測定値から明らかに見られる。この証拠は2日目と3日目に増大し、それにより本発明に従う調合物Aは、従来型の比較調合物Bよりかなり早く水酸化ナトリウム溶液による処置により作られたバリア障害を治癒した。
【0088】
上のテーブル1に示された結果は図6に図式的に示されている。ここで、下側曲線(1で表示される)は、損傷が無く治療されていない肌領域の経皮水分損失を示す。点線曲線(2で表示される)は、本発明に従う調合物Aにより後で処置された損傷肌領域の経皮水分損失を表す一方、実線四角で表わされる図解曲線(3で表示される)は、従来型の比較調合物Bにより処置された損傷肌領域の経皮水分損失を表す。最上部曲線(4で表示される)は、損傷しているが治療されていない肌領域の経皮水分損失を表す。
【0089】
X線構造解析は、比較すべき調合物により、それらの定量化された組成とそれらの効能に関してなされた。このX線構造解析の結果は図4に示されている。
【0090】
これは、本発明に従う調合物が4.16Åと3.71Åの両方でピークを有し(上方の曲線)、したがって斜方晶系ラメラ結晶構造を有する一方、従来型の比較調合物Bが4.16Åで単一のピークしか有さず(下方の曲線)、対応して六方晶系ラメラ結晶構造を有することを、明らかに証明している。
【0091】
さらに、以下に記載する実施例1~12が製造された。
【0092】
<実施例>
一般に、実施例1~12に関して、そこで記載される全ての冷却工程は、全ての製造工程に対して1.5℃/分±0.5℃/分の冷却速度で実施された。
【0093】
実施例1,2,4,7,8,9及び11では、ペンチレングリコールを有する4-t-ブチルシクロヘキサノールの溶媒又は有効化合物混合物が使用された。これは、Symrise AG社から市販されている商品Symsitiveだった。
【0094】
全ての実施例で記載された工程内管理は、光学顕微鏡(system microscope Olympus CH2, model CHT, Nikon Coolpix)を用いて100倍の倍率で実施された。それぞれのディスパージョンの均質性とその同質性は目視で評価された。
【0095】
以下の実施例1~12に記載される化粧品は、実験用の高圧ホモジナイザーAPV Gaulin Micron Lab 40にて実施された。
【0096】
<実施例1>
敏感なアレルギー傾向肌用のクリーム
【0097】
【表3】
【0098】
相1は一様な攪拌によって90℃に加熱された。次いで相2も90℃に加熱された。90℃で、相2を相1に加え、次いで3分間Ultra Turraxを用いて15000rpmで均質化した。次いで、混合物は、均質化(Ultra Turraxによる12000rpm)によって77℃に冷却され、初めに記載した工程内管理を受けた。
【0099】
このようにして調製された混合物は、一様に大きい粒子を有する均質なディスパージョン(分散系)を有した。
【0100】
その結果生じたプリディスパージョンは、高圧ホモジナイザーによって細かく分散された。3つのサイクルが800barで必要とされた。次に、混合物は攪拌しながら35℃まで冷却された。プリフェーズ混合物は300barで高圧均質化を受け(1サイクル)、35℃で別個の容器に一時的に貯蔵された。次にバッチ容器にて、相3が攪拌によって50℃に加熱され、脂質が完全に溶けるまで攪拌された。別な容器では、相4が50℃で攪拌される一方、透明なゲルディスパージョンが得られるまで分散された。次に相4は相3に加えられ、次に50℃でUltra Turraxを用いて20000rpmで7分間均質化された。
【0101】
続いて、相5が、相3+4の混合物に加えられ、Ultra Turraxを用いて12000rpmで2分間均質化された。続いて、相6が、相3+4+5の混合物に加えられ、Ultra Turraxを用いて12000rpmで連続均質化工程の間、35℃の目標温度に下がるまで均質化された。この工程は12分かかった。続いて、相1+2からのプリディスパージョンが、相3+4+5+6の混合物に加えられ、10分間連続攪拌により20000rpmで均質化された。最後に、混合物は、12000rpmでの連続均質化の下で25℃まで冷却された。この工程は19分かかった。
【0102】
<実施例2>
過敏性アレルギー傾向肌用のボディクリームローション
【0103】
【表4】
【0104】
相1が一様な攪拌によって90℃に加熱された。次いで相2も90℃に加熱された。90℃で、相2を相1に加え、次いで6分間Ultra Turraxを用いて15000rpmで均質化した。次いで、混合物は、均質化(Ultra Turraxによる12000rpm)によって77℃に冷却され、初めに記載した工程内管理を受けた。
【0105】
このようにして調製された混合物は、一様に大きい粒子を有する均質なディスパージョン(分散系)だった。
【0106】
その結果生じたプリディスパージョンは、高圧ホモジナイザーによって細かく分散された。5つのサイクルが800barで必要とされた。次に、混合物は攪拌しながら35℃まで冷却された。プリフェーズ混合物は500barで高圧均質化を受け(1サイクル)、35℃で別個の容器に一時的に貯蔵された。次に、相3がバッチ容器にて攪拌されながら40℃に加熱された。別な容器では、相4が40℃で攪拌され、透明なゲルディスパージョンが得られるまで分散された。次に相4は相3に加えられ、次に40℃でUltra Turraxを用いて12000rpmで4分間均質化された。
【0107】
続いて、相5が、相3+4の混合物に加えられ、Ultra Turraxを用いて10000rpmで2分間均質化された。続いて、相6が、相3+4+5の混合物に加えられ、Ultra Turraxを用いて12000rpmで2分間均質化された。次いで、混合物は、Ultra Turraxを用いて12000rpmで連続均質化工程の間、35℃の目標温度に下がるまで均質化された。この工程は6分かかった。続いて、相1+2からのプリディスパージョンが、相3+4+5+6の混合物に加えられ、5分間の連続攪拌により15000rpmで均質化された。最後に、混合物は、12000rpmでの連続均質化の下で25℃まで冷却された。この工程は15分かかった。
【0108】
<実施例3>
極端な環境影響に晒されたときの保護クリーム
【0109】
【表5】
【0110】
相1が一様な攪拌によって90℃に加熱された。次いで相2も90℃に加熱された。90℃で、相2を相1に加え、次いで3分間Ultra Turraxを用いて15000rpmで均質化した。次いで、混合物は、均質化(Ultra Turraxによる12000rpm)によって77℃に冷却され、初めに記載した工程内管理を受けた。
【0111】
このようにして調製された混合物は、一様に大きい粒子を有する均質なディスパージョン(分散系)を有した。
【0112】
その結果生じたプリディスパージョンは、高圧ホモジナイザーによって細かく分散された。3つのサイクルが800barで必要とされた。次に、混合物は攪拌しながら35℃まで冷却された。プリフェーズ混合物は300barで高圧均質化を受け(1サイクル)、35℃で別個の容器に一時的に貯蔵された。次にバッチ容器にて、相3が攪拌によって80℃に加熱され、UVフィルターが完全に溶けるまで攪拌が継続された。別な容器では、相4が80℃で攪拌される一方、透明なゲルディスパージョンが得られるまで分散された。次に相4は相3に加えられ、次に80℃でUltra Turraxを用いて24000rpmで8分間均質化された。
【0113】
続いて、相5が、相3+4の混合物に加えられ、Ultra Turraxを用いて20000rpmで4分間均質化された。続いて、相6が、相3+4+5の混合物に加えられ、Ultra Turraxを用いて20000rpmで均質化された。次に、混合物はUltra Turraxを用いて12000rpmで連続均質化工程の間、35℃の目標温度に下がるまで均質化された。この工程は30分かかった。続いて、相1+2からのプリディスパージョンが、相3+4+5+6の混合物に加えられ、5分間連続攪拌により20000rpmで均質化された。最後に、混合物は、18000rpmでの連続均質化の下で25℃まで冷却された。この工程は17分かかった。
【0114】
<実施例4>
罹病肌の神経性皮膚炎用の補助治療を伴うケアクリーム
【0115】
【表6】
【0116】
相1が一様な攪拌によって90℃に加熱された。次いで相2も90℃に加熱された。90℃で、相2を相1に加え、次いで8分間Ultra Turraxを用いて15000rpmで均質化した。次いで、混合物は、均質化(Ultra Turraxによる12000rpm)によって77℃に冷却され、初めに記載した工程内管理を受けた。
【0117】
このようにして調製された混合物は、不規則に大きい粒子を有する不均質なディスパージョン(分散系)を有した。
【0118】
この理由のため、混合物は再び攪拌によって90℃に加熱され、次いで5分間Ultra Turraxを用いて18000rpmで均質化され、混合物は、均質化(Ultra Turraxによる18000rpm)によって77℃に冷却された。
【0119】
新たな工程内管理が、一様に大きい粒子を有する均質なディスパージョン(分散系)を与えた。
【0120】
その結果生じたプリディスパージョンは、高圧ホモジナイザーによって細かく分散された。5つのサイクルが800barで必要とされた。次に、混合物は攪拌しながら35℃まで冷却された。プリフェーズ混合物は600barで高圧均質化を受け(1サイクル)、35℃で別個の容器に一時的に貯蔵された。次に、相3がバッチ容器にて攪拌されながら50℃に加熱された。別な容器では、相4が50℃で攪拌される一方、透明なゲルディスパージョンが得られるまで分散された。次に相4は相3に加えられ、次に50℃でUltra Turraxを用いて18000rpmで3分間均質化された。
【0121】
続いて、相5が、相3+4の混合物に加えられ、Ultra Turraxを用いて20000rpmで5分間均質化された。次に、混合物はUltra Turraxを用いて15000rpmでの連続均質化工程の間、35℃の目標温度に下がるまで均質化された。この工程は14分かかった。続いて、相1+2からのプリディスパージョンが、相3+4+5の混合物に加えられ、7分間連続攪拌により20000rpmで均質化された。最後に、混合物は、20000rpmでの連続均質化の下で25℃まで冷却された。この工程は18分かかった。
【0122】
<実施例5>
PLD(多形日光皮膚疾患)の傾向のある肌用の日焼け止め
【0123】
【表7】
【0124】
相1が一様な攪拌によって86℃に加熱された。次いで相2も86℃に加熱された。86℃で、相2を相1に加え、次いで4分間Ultra Turraxを用いて15000rpmで均質化した。次いで、混合物は、均質化(Ultra Turraxによる10000rpm)によって75℃に冷却され、初めに記載した工程内管理を受けた。
【0125】
このようにして調製された混合物は、一様に大きい粒子を有する均質なディスパージョン(分散系)を有した。
【0126】
その結果生じたプリディスパージョンは、高圧ホモジナイザーによって細かく分散された。3つのサイクルが800barで必要とされた。次に、混合物は攪拌しながら35℃まで冷却された。プリフェーズ混合物は300barで高圧均質化を受け(1サイクル)、35℃で別個の容器に一時的に貯蔵された。次に相3がバッチ容器にて攪拌によって80℃に加熱され、UVフィルターが完全に溶けるまで攪拌が継続された。別な容器では、相4が80℃で攪拌される一方、透明なゲルディスパージョンが得られるまで分散された。次に相4は相3に加えられ、次に80℃でUltra Turraxを用いて24000rpmで10分間均質化された。
【0127】
続いて、相5が、相3+4の混合物に加えられ、Ultra Turraxを用いて18000rpmで5分間均質化された。次に、混合物はUltra Turraxを用いて24000rpmで連続均質化工程の間、35℃の目標温度に下がるまで均質化された。この工程は34分かかった。続いて、相1+2からのプリディスパージョンが、相3+4+5の混合物に加えられ、7分間連続攪拌により24000rpmで均質化された。最後に、混合物は、15000rpmでの連続均質化の下で25℃まで冷却された。この工程は16分かかった。
【0128】
<実施例6>
ヘルペス傾向用のリップケアクリーム
【0129】
【表8】
【0130】
相1が一様な攪拌によって92℃に加熱された。次いで相2も92℃に加熱された。92℃で、相2を相1に加え、次いで12分間Ultra Turraxを用いて15000rpmで均質化した。次いで、混合物は、均質化(Ultra Turraxによる13000rpm)によって77℃に冷却され、初めに記載した工程内管理を受けた。
【0131】
このようにして調製された混合物は、不規則に大きい粒子を有する不均質なディスパージョン(分散系)を有した。
【0132】
この理由のため、混合物は再び攪拌によって92℃に加熱され、次いで9分間Ultra Turraxを用いて18000rpmで均質化され、混合物は、均質化(Ultra Turraxによる18000rpm)によって77℃に冷却された。新たな工程内管理が、一様に大きい粒子を有する均質なディスパージョン(分散系)を与えた。
【0133】
その結果生じたプリディスパージョンは、高圧ホモジナイザーによって細かく分散された。3つのサイクルが800barで必要とされた。次に、混合物は攪拌しながら35℃まで冷却された。プリフェーズ混合物は700barで高圧均質化を受け(1サイクル)、35℃で別個の容器に一時的に貯蔵された。
【0134】
次に、相3がバッチ容器にて攪拌されながら80℃に加熱され、UVフィルターが完全に溶けるまで攪拌が継続された。別な容器では、相4が80℃で攪拌される一方、透明なゲルディスパージョンが得られるまで分散された。次に相5が連続攪拌によって相4に加えられ、透明なディスパージョンが形成するまで攪拌が継続された。次に相4が相3に加えられ、次に80℃でUltra Turraxを用いて18000rpmで5分間均質化された。
【0135】
続いて、相6が、相3+4+5の混合物に加えられ、Ultra Turraxを用いて24000rpmで5分間均質化された。次に、混合物はUltra Turraxを用いて24000rpmでの連続均質化工程の間、35℃の目標温度に下がるまで均質化された。この工程は19分かかった。続いて、相1+2からのプリディスパージョンが、相3+4+5+6の混合物に加えられ、11分間連続攪拌により24000rpmで均質化された。最後に、混合物は、18000rpmでの連続均質化の下で25℃まで冷却された。この工程は19分かかった。
【0136】
また、これら実施形態1~6から、X線構造解析が上述した条件下で実行された。このX線構造解析の結果は図5に要約されている。
【0137】
これは、実施例1~6に従う本発明に従う調合物は全て4.16Å及び3.71Åでピークを有し、したがって全ての調合物が斜方晶系ラメラ結晶構造を有することを明瞭に立証している。
【0138】
<実施例7>
過敏性の傾向を有する肌用のクリーム
【0139】
【表9】
【0140】
相1は一様な攪拌によって85℃に加熱された。次いで相2も90℃に加熱された。85℃で、相2を相1に加え、次いで5分間Ultra Turraxを用いて15000rpmで均質化した。次いで、混合物は、均質化(Ultra Turraxによる12000rpm)によって78℃に冷却され、初めに記載した工程内管理を受けた。
【0141】
このようにして調製された混合物は、一様に大きい粒子を有する均質なディスパージョン(分散系)を有した。
【0142】
その結果生じたプリディスパージョンは、高圧ホモジナイザーによって細かく分散された。3つのサイクルが800barで必要とされた。次に、混合物は9000rpm(Ultra Turrax)での攪拌及び一様な均質化によって35℃まで冷却された。プリフェーズ混合物は350barで高圧均質化を受け(1サイクル)、35℃で別個の容器に一時的に貯蔵された。次にバッチ容器にて、相3が攪拌によって55℃に加熱され、脂質が完全に溶けるまで攪拌された。別な容器では、相4が55℃で攪拌される一方、透明なゲルディスパージョンが得られるまで分散された。次に相4は相3に加えられ、次に50℃でUltra Turraxを用いて20000rpmで6分間均質化された。
【0143】
続いて、相5が、相3+4の混合物に加えられ、Ultra Turraxを用いて12000rpmで3分間均質化された。続いて、相6が、相3+4+5の混合物に加えられ、Ultra Turraxを用いて12000rpmでの連続均質化工程の間、35℃の目標温度に下がるまで均質化された。この工程は16分かかった。続いて、相1+2からのプリディスパージョンが、相3+4+5+6の混合物に加えられ、10分間連続攪拌により22000rpmで均質化された。最後に、混合物は、12000rpmでの連続均質化の下で25℃まで冷却された。この工程は21分かかった。
【0144】
<実施例8>
過形成性瘢痕を防止するためのクリーム
【0145】
【表10】
【0146】
相1は一様な攪拌によって85℃に加熱された。次いで相2も90℃に加熱された。85℃で、相2を相1に加え、次いで5分間Ultra Turraxを用いて15000rpmで均質化した。次いで、混合物は、均質化(Ultra Turraxによる12000rpm)によって78℃に冷却され、初めに記載した工程内管理を受けた。
【0147】
このようにして調製された混合物は、一様に大きい粒子を有する均質なディスパージョン(分散系)を有した。
【0148】
その結果生じたプリディスパージョンは、高圧ホモジナイザーによって細かく分散された。3つのサイクルが800barで必要とされた。次に、混合物は9000rpm(Ultra Turrax)での攪拌及び一様な均質化によって35℃まで冷却された。プリフェーズ混合物は350barで高圧均質化を受け(1サイクル)、35℃で別個の容器に一時的に貯蔵された。次にバッチ容器にて、相3が攪拌によって85℃に加熱され、脂質UVフィルターが完全に溶けるまで攪拌が継続された。別な容器では、相4が85℃で攪拌される一方、透明なゲルディスパージョンが得られるまで分散された。次に相4は相3に加えられ、次に85℃でUltra Turraxを用いて20000rpmで6分間均質化された。
【0149】
続いて、相5が、相3+4の混合物に加えられ、Ultra Turraxを用いて18000rpmで3分間均質化された。続いて、相3+4+5からのディスパージョンがUltra Turraxを用いて18000rpmで50℃まで冷却された。続いて、相6が、相3+4+5の混合物に加えられ、Ultra Turraxを用いて18000rpmでの連続均質化工程の間、35℃の目標温度に下がるまで均質化された。この工程は20分かかった。続いて、相1+2からのプリディスパージョンが、相3+4+5+6からの混合物に加えられ、14分間連続攪拌により24000rpmで均質化された。最後に、混合物は、18000rpmでの連続均質化の下で25℃まで冷却された。この工程は17分かかった。
【0150】
<実施例9>
光線性角化症を防止するためのクリーム
【0151】
【表11】
【0152】
相1は一様な攪拌によって85℃に加熱された。次いで相2も90℃に加熱された。85℃で、相2を相1に加え、次いで5分間Ultra Turraxを用いて15000rpmで均質化した。次いで、混合物は、均質化(Ultra Turraxによる12000rpm)によって78℃に冷却され、初めに記載した工程内管理を受けた。
【0153】
このようにして調製された混合物は、一様に大きい粒子を有する均質なディスパージョン(分散系)を有した。
【0154】
その結果生じたプリディスパージョンは、高圧ホモジナイザーによって細かく分散された。3つのサイクルが800barで必要とされた。次に、混合物は9000rpm(Ultra Turrax)での攪拌及び一様な均質化によって35℃まで冷却された。プリフェーズ混合物は350barで高圧均質化を受け(1サイクル)、35℃で別個の容器に一時的に貯蔵された。
【0155】
次にバッチ容器にて、相3が攪拌によって85℃に加熱され、脂質UVフィルターが完全に溶けるまで攪拌が継続された。別な容器では、相4が85℃で攪拌される一方、透明な黄色っぽいゲルディスパージョンが得られるまで分散された。次に相4は相3に加えられ、次に85℃でUltra Turraxを用いて18000rpmで5分間均質化された。
【0156】
続いて、相5が、相3+4の混合物に加えられ、Ultra Turraxを用いて18000rpmで5分間均質化された。次いで、相3+4+5からのプリディスパージョンが、Ultra Turraxを用いて18000rpmで50℃に冷却された。続いて、相6が、相3+4+5の混合物に加えられ、Ultra Turraxを用いて18000rpmでの連続均質化工程の間、35℃の目標温度に下がるまで均質化された。この工程は17分かかった。続いて、相1+2からのプリディスパージョンが、相3+4+5+6の混合物に加えられ、16分間連続攪拌により20000rpmで均質化された。最後に、混合物は、18000rpmでの連続均質化の下で25℃まで冷却された。この工程は14分かかった。
【0157】
<実施例10>
光誘発肌老化症状を防止するためのケアクリーム
【0158】
【表12】
【0159】
相1は一様な攪拌によって85℃に加熱された。次いで相2も90℃に加熱された。85℃で、相2を相1に加え、次いで5分間Ultra Turraxを用いて15000rpmで均質化した。次いで、混合物は、均質化(Ultra Turraxによる12000rpm)によって78℃に冷却され、初めに記載した工程内管理を受けた。
【0160】
このようにして調製された混合物は、一様に大きい粒子を有する均質なディスパージョン(分散系)を有した。
【0161】
その結果生じたプリディスパージョンは、高圧ホモジナイザーによって細かく分散された。3つのサイクルが800barで必要とされた。次に、混合物は9000rpm(Ultra Turrax)での攪拌及び一様な均質化によって35℃まで冷却された。プリフェーズ混合物は350barで高圧均質化を受け(1サイクル)、35℃で別個の容器に一時的に貯蔵された。
【0162】
次にバッチ容器にて、相3が攪拌によって85℃に加熱され、脂質UVフィルターが完全に溶けるまで攪拌が継続された。別な容器では、相4が85℃で攪拌される一方、透明な黄色っぽいゲルディスパージョンが得られるまで分散された。次に相4は相3に加えられ、次に85℃でUltra Turraxを用いて18000rpmで5分間均質化された。
【0163】
続いて、相5が、相3+4の混合物に加えられ、Ultra Turraxを用いて18000rpmで5分間均質化された。次いで、相3+4+5からのプリディスパージョンが、Ultra Turraxを用いて18000rpmで50℃に冷却された。続いて、相6が、相3+4+5の混合物に加えられ、Ultra Turraxを用いて18000rpmでの連続均質化工程の間、35℃の目標温度に下がるまで均質化された。この工程は17分かかった。続いて、相1+2からのプリディスパージョンが、相3+4+5+6の混合物に加えられ、16分間連続攪拌により20000rpmで均質化された。最後に、混合物は、18000rpmでの連続均質化の下で25℃まで冷却された。この工程は14分かかった。
【0164】
<実施例11>
多形日光皮膚疾患の傾向のある肌用の光保護クリーム
【0165】
【表13】
【0166】
相1は一様な攪拌によって85℃に加熱された。次いで相2も90℃に加熱された。85℃で、相2を相1に加え、次いで5分間Ultra Turraxを用いて15000rpmで均質化した。次いで、混合物は、均質化(Ultra Turraxによる12000rpm)によって78℃に冷却され、初めに記載した工程内管理を受けた。
【0167】
このようにして調製された混合物は、一様に大きい粒子を有する均質なディスパージョン(分散系)を有した。
【0168】
その結果生じたプリディスパージョンは、高圧ホモジナイザーによって細かく分散された。3つのサイクルが800barで必要とされた。次に、混合物は9000rpm(Ultra Turrax)での攪拌及び一様な均質化によって35℃まで冷却された。プリフェーズ混合物は350barで高圧均質化を受け(1サイクル)、35℃で別個の容器に一時的に貯蔵された。
【0169】
次にバッチ容器にて、相3が攪拌によって85℃に加熱され、脂質UVフィルターが完全に溶けるまで攪拌が継続された。別な容器では、相4が85℃で攪拌される一方、透明な黄色っぽいゲルディスパージョンが得られるまで分散された。次に相4は相3に加えられ、次に85℃でUltra Turraxを用いて16000rpmで5分間均質化された。
【0170】
続いて、相5が、相3+4の混合物に加えられ、Ultra Turraxを用いて18000rpmで5分間均質化された。次いで、相3+4+5からのディスパージョンが、Ultra Turraxを用いて16000rpmで45℃に冷却された。続いて、相6が、完全な溶液になるように45℃で攪拌された。続いて、この相は、相3+4+5の混合物に加えられ、Ultra Turraxを用いて16000rpmでの連続均質化工程の間、35℃の目標温度に下がるまで均質化された。この工程は17分かかった。続いて、相1+2からのプリディスパージョンが、相3+4+5+6からの混合物に加えられ、16000rpmで16分間連続攪拌により均質化された。最後に、混合物は、16000rpmでの連続均質化の下で25℃まで冷却された。この工程は12分かかった。
【0171】
<実施例12>
乾燥及び炎症の傾向のある敏感肌用のケアクリーム
【0172】
【表14】
【0173】
相1は一様な攪拌によって85℃に加熱された。次いで相2も90℃に加熱された。85℃で、相2を相1に加え、次いで5分間Ultra Turraxを用いて15000rpmで均質化した。次いで、混合物は、均質化(Ultra Turraxによる12000rpm)によって78℃に冷却され、初めに記載した工程内管理を受けた。
【0174】
このようにして調製された混合物は、一様に大きい粒子を有する均質なディスパージョン(分散系)を有した。
【0175】
その結果生じたプリディスパージョンは、高圧ホモジナイザーによって細かく分散された。3つのサイクルが800barで必要とされた。次に、混合物は9000rpm(Ultra Turrax)での攪拌及び一様な均質化によって35℃まで冷却された。プリフェーズ混合物は350barで高圧均質化を受け(1サイクル)、35℃で別個の容器に一時的に貯蔵された。
【0176】
次にバッチ容器にて、相3が攪拌によって50℃に加熱され、脂質成分が完全に溶けるまで攪拌が継続された。別な容器では、相6も攪拌によって50℃にもたらされ、透明なゲルディスパージョンが得られるまで攪拌された。
【0177】
次に、相4及び5が攪拌しながら相3に加えられ、その直後に相6が相混合物に加えられた。次いで、混合物は、50℃でUltra Turraxを用いて18000rpmで5分間均質化された。
【0178】
続いて、相7,8及び9が、相3+4+5+6の混合物に加えられ、Ultra Turraxを用いて18000rpmで8分間均質化された。次いで、相3+4+5+6+7+8+9からのディスパージョンが、Ultra Turraxを用いて18000rpmで45℃に冷却された。続いて、相10が、相3+4+5+6+7+8+9の混合物に加えられ、Ultra Turraxを用いて18000rpmでの連続均質化工程の間、35℃の目標温度に下がるまで均質化された。この工程は14分かかった。続いて、相1+2からのプリディスパージョンが、相3+4+5+6+7+8+9+10からの混合物に加えられ、18000rpmで18分間連続攪拌により均質化された。最後に、混合物は、18000rpmでの連続均質化の下で25℃まで冷却された。この工程は11分かかった。
【0179】
第2効能研究
第2効能研究が、5人の対象についてのカプサイシン感応性ショートスタディーとして実施され、標準エマルジョンとして調合された従来型製品C、水素化リン脂質が斜方晶系ラメラ結晶構造に少なくとも部分的に存在する本発明に従い調合された製品D、及びリン脂質の六方晶系ラメラ結晶構造を有する別な従来型製品Eが互いに比較された。全ての3つの製品C~Eは、同一濃度の4-t-ブチルシクロヘキサノールを有していた。
【0180】
このショートスタディーのために、39歳の平均年齢を有する5人の対象(4人の男性、1人の女性)が使用された。
【0181】
まず、各々の対象の左右の鼻唇溝が2%のラウリル硫酸ナトリウム溶液を用いて掃除された。この目的のために、0.2mlの2%のラウリル硫酸ナトリウム溶液が左右の鼻唇溝に適用され、試験領域ごとに5秒間優しくマッサージされた。続いて、表面を流れる温水(温度35℃±2℃)で2分間慎重に洗った。洗浄溶液が完全に除去されるように気を付けた。続いて、対応して特徴付けられる鼻唇溝領域を、柔らかい市販のペーパータオルにより慎重に一様に軽くたたくことで乾燥させた。さらに10分後、0.05gの製品C及びDの各々を(鼻の左右に)適用し、優しくマッサージした。
【0182】
8~10分後、0.02gの液体カプサイシンエキスをピペットにより全ての試験領域に適用した。購入すべきこのカプサイシン液体エキスはヒマワリ油により1:10の比率で3%に希釈された。
【0183】
3分後、各々の対象は個々に、しかし人の試験対象、焼け及び痛みの強度により影響なしに評価された。ここで、0=焼け/痛み無し、1=軽い焼け/痛み、2=中くらいの焼け/痛み、3=痛い又は非常に不快な焼け/痛み、を意味する。
【0184】
4日後、同じ5人の対象によりショートスタディーは繰り返された。先に記載したショートスタディーの第一部分との唯一の差は互いに比較して製品C及びDではなく、むしろ製品D及びEだった。
【0185】
製品Cは以下の成分を有していて、以下のように調製された。
【0186】
調合物Cの成分
【0187】
【表15】
【0188】
相1が一様な攪拌によって25℃まで加熱された。ゲル体はこの相において一様に分散された。次いで相2も25℃に加熱された。次いで、相2を相1に加え、次いで5分間Ultra Turraxを用いて16000rpmで均質化し、微視的な工程内管理を受けた。
【0189】
このようにして調製された混合物は、一様に最小の粒子を有する均質なディスパージョン(分散系)を有した。
【0190】
続いて、相3が、相1+2の混合物に加えられ、Ultra Turraxを用いて19000rpmで5分間均質化された。この時間の後、滑らかなディスパージョンが生成していた。
【0191】
製品Dは以下の成分を有していて、以下のように調製された。
【0192】
【表16】
【0193】
相1は一様な攪拌によって85℃に加熱された。次いで相2も90℃に加熱された。85℃で、相2を相1に加え、次いで5分間Ultra Turraxを用いて16000rpmで均質化した。次いで、混合物は、均質化(Ultra Turraxによる14000rpm)によって78℃に冷却され、微視的な工程内管理を受けた。
【0194】
このようにして調製された混合物は、一様に大きい粒子を有する均質なディスパージョン(分散系)を有した。
【0195】
その結果生じたプリディスパージョンは、高圧ホモジナイザーによって細かく分散された。3つのサイクルが800barで必要とされた。次に、混合物は10000rpm(Ultra Turrax)での攪拌及び一様な均質化によって35℃まで冷却された。プリフェーズ混合物は350barで高圧均質化を受け(1サイクル)、35℃で別個の容器に一時的に貯蔵された。
【0196】
次にバッチ容器にて、相3が攪拌によって50℃に加熱され、脂質成分が完全に溶けるまで攪拌が継続された。別な容器では、相4が50℃で攪拌される一方、透明な黄色っぽいゲルディスパージョンが得られるまで分散された。次に相4は相3に加えられ、次に85℃でUltra Turraxを用いて19000rpmで5分間均質化された。
【0197】
続いて、相5が、相3+4の混合物に加えられ、Ultra Turraxを用いて19000rpmで5分間均質化された。次いで、相3+4+5からのディスパージョンが、Ultra Turraxを用いて18000rpmで45℃に冷却された。続いて、相6が、相3+4+5の混合物に加えられ、Ultra Turraxを用いて18000rpmでの連続均質化工程の間、35℃の目標温度に下がるまで均質化された。この工程は16分かかった。続いて、相1+2からのプリディスパージョンが、相3+4+5+6からの混合物に加えられ、18分間連続攪拌により20000rpmで均質化された。最後に、混合物は、18000rpmでの連続均質化の下で25℃まで冷却された。この工程は16分かかった。
【0198】
製品Eは以下の成分を有していて、以下のように調製された。
【0199】
【表17】
【0200】
相1は一様な攪拌によって85℃に加熱された。次いで相2も90℃に加熱された。85℃で、相2を相1に加え、次いで5分間Ultra Turraxを用いて12000rpmで均質化した。次いで、混合物は、均質化(Ultra Turraxによる12000rpm)によって78℃に冷却され、初めに記載した工程内管理を受けた。
【0201】
このようにして調製された混合物は、一様に大きい粒子を有する均質なディスパージョン(分散系)を有した。
【0202】
その結果生じたプリディスパージョンは、高圧ホモジナイザーによって細かく分散された。2つのサイクルが790barで必要とされた。次に、混合物は8000rpm(Ultra Turrax)での攪拌及び一様な均質化によって35℃まで冷却された。プリフェーズ混合物は100barで高圧均質化を受け(1サイクル)、35℃で別個の容器に一時的に貯蔵された。
【0203】
次にバッチ容器にて、相3が攪拌によって50℃に加熱され、脂質成分が完全に溶けるまで攪拌が継続された。別な容器では、相4が50℃で攪拌される一方、透明な黄色っぽいゲルディスパージョンが得られるまで分散された。次に相4は相3に加えられ、次に85℃でUltra Turraxを用いて19000rpmで5分間均質化された。
【0204】
続いて、相5が、相3+4の混合物に加えられ、Ultra Turraxを用いて19000rpmで5分間均質化された。次いで、相3+4+5からのディスパージョンが、Ultra Turraxを用いて18000rpmで45℃に冷却された。続いて、相6が、相3+4+5の混合物に加えられ、Ultra Turraxを用いて18000rpmでの連続均質化工程の間、35℃の目標温度に下がるまで均質化された。この工程は16分かかった。続いて、相1+2からのプリディスパージョンが、相3+4+5+6からの混合物に加えられ、14分間連続攪拌により16000rpmで均質化された。最後に、混合物は、14000rpmでの連続均質化の下で25℃まで冷却された。この工程は12分かかった。
【0205】
この第2効能研究の結果は以下のテーブル2及び3に要約されている。
【0206】
テーブル2
【0207】
【表18】
【0208】
テーブル3
【0209】
【表19】
【0210】
上述したX線構造研究が製品D及びEに対して行われた。その結果、製品Dは4.16Å及び3.71Åで2つのピークを有し、したがって斜方晶系ラメラ結晶構造を含んでいたのに対し、製品EはX線図では4.16Åでの単一のピークしか示さず、したがって六方晶系ラメラ結晶構造しか含んでいなかった。
【0211】
本発明に従う調合物の明確な優位性がこの第2効能研究によっても明確に証明されている。
【0212】
<人の肌から分離された角質層に関する更なる研究>
本願で頻繁に記載される、一方で公知の六方晶系ラメラ結晶構造及び他方で斜方晶系ラメラ結晶構造を有する組成の、構造的変化への影響の点で損傷した肌への生理学的影響を調査するために、以下に記載する研究が実施された。この目的のために、文献、特に、脱脂された角質層の使用を推奨する(これが生体内の肌条件に最も近いので)非特許文献1を参照されたい。
【0213】
研究は、1μmの空間解像度で角質層試料上の小さくて広い角度散乱パターンの検出を可能にするX線散乱シンクロトロンマイクロビーム源を用いて実施された。角質層は、腹部形成外科により、56℃の水への浸漬及び後続の40℃でのトリプシン消化による真皮からの分離により得られた肌組織から分離された。その後、一部が、クロロホルム/メタノール(2:1)での6時間抽出により細胞間角質層脂質から脱脂された。
【0214】
以下により詳細に記載する2つの製品F及びGが、上述したように処理された角質層の外側に3mg/cmの量で適用され、0.5×3mmの大きな片が保持装置に挟持された。
【0215】
このX線構造研究のための技術パラメータは、先に記載した文献を考慮して以下のようだった。
実験は、ESRFビームラインID13により実行された。
-エネルギー:13.6keV、すなわち、λ=0.9117Å、モード16バンチ
-ビームサイズ:断面1.5(v)×2(h)μm
-透過ジオメトリ:角質層の表面に平行な光線
-検出:Frelonカメラ、ピクセルサイズ:50×50μm
-距離パターン検出器:133.9mm
-網状距離の範囲:15~0.3nm、例えば:散乱ベクトルS(=1/d):0.070~3.3nm-1
-露光時間:0.5s
-各々の資料に対して、散乱データは3D走査に沿って収集された、角質層の全厚さにわたって(2μmの距離を置いて3×40位置)、3つの異なる位置で3走査/試料が実行された、T=22.5℃、相対湿度30%。
【0216】
データ解析
-狭角赤道(角質層の表面に平行)に沿う直角積分
-広角子午線(角質層の表面に平行)に沿う角積分(-20°~+20°)
-FIT2Dソフトウェアを用いたデータ解析
【0217】
この研究で使用された製品F及びGは以下の成分を有していた。
【0218】
【表20】
【0219】
製品Fは斜方晶系ラメラ結晶構造を有するのに対し、製品Gは六方晶系ラメラ結晶構造を有する。
【0220】
製品Fは以下のように調製された。
相1は一様な攪拌によって85℃に加熱された。次いで相2も90℃に加熱された。85℃で、相2を相1に加え、次いで5分間Ultra Turraxを用いて16000rpmで均質化した。次いで、混合物は、均質化(Ultra Turraxによる14000rpm)によって78℃に冷却され、初めに記載した工程内管理を受けた。
【0221】
このようにして調製された混合物は、一様に大きい粒子を有する均質なディスパージョン(分散系)を有した。
【0222】
その結果生じたプリディスパージョンは、高圧ホモジナイザーによって細かく分散された。3つのサイクルが800barで必要とされた。次に、混合物は10000rpm(Ultra Turrax)での攪拌及び一様な均質化によって35℃まで冷却された。プリフェーズ混合物は350barで高圧均質化を受け(1サイクル)、35℃で別個の容器に一時的に貯蔵された。
【0223】
次にバッチ容器にて、相3が攪拌によって50℃に加熱され、脂質成分が完全に溶けるまで攪拌が継続された。別な容器では、相4が50℃で攪拌される一方、透明な黄色っぽいゲルディスパージョンが得られるまで分散された。次に相4は相3に加えられ、次に85℃でUltra Turraxを用いて19000rpmで5分間均質化された。
【0224】
続いて、相5が、相3+4の混合物に加えられ、Ultra Turraxを用いて19000rpmで5分間均質化された。次いで、相3+4+5からのディスパージョンが、Ultra Turraxを用いて18000rpmで45℃に冷却された。続いて、相6が、相3+4+5の混合物に加えられ、Ultra Turraxを用いて18000rpmでの連続均質化工程の間、35℃の目標温度に下がるまで均質化された。この工程は16分かかった。続いて、相1+2からのプリディスパージョンが、相3+4+5+6からの混合物に加えられ、20000rpmで18分間連続攪拌により均質化された。最後に、混合物は、18000rpmでの連続均質化の下で25℃まで冷却された。この工程は16分かかった。
【0225】
製品Gは以下のように調製された。
相1は一様な攪拌によって85℃に加熱された。次いで相2も90℃に加熱された。85℃で、相2を相1に加え、次いで5分間Ultra Turraxを用いて12000rpmで均質化した。次いで、混合物は、均質化(Ultra Turraxによる12000rpm)によって78℃に冷却され、初めに記載した工程内管理を受けた。
【0226】
このようにして調製された混合物は、一様に大きい粒子を有する均質なディスパージョン(分散系)を有した。
【0227】
その結果生じたプリディスパージョンは、高圧ホモジナイザーによって細かく分散された。2つのサイクルが790barで必要とされた。次に、混合物は8000rpm(Ultra Turrax)での攪拌及び一様な均質化によって35℃まで冷却された。プリフェーズ混合物は100barで高圧均質化を受け(1サイクル)、35℃で別個の容器に一時的に貯蔵された。
【0228】
次にバッチ容器にて、相3が攪拌によって50℃に加熱され、脂質成分が完全に溶けるまで攪拌が継続された。別な容器では、相4が50℃で攪拌される一方、透明な黄色っぽいゲルディスパージョンが得られるまで分散された。次に相4は相3に加えられ、次に85℃でUltra Turraxを用いて19000rpmで5分間均質化された。
【0229】
続いて、相5が、相3+4の混合物に加えられ、Ultra Turraxを用いて19000rpmで5分間均質化された。次いで、相3+4+5からのディスパージョンが、Ultra Turraxを用いて18000rpmで45℃に冷却された。続いて、相6が、相3+4+5の混合物に加えられ、Ultra Turraxを用いて18000rpmでの連続均質化工程の間、35℃の目標温度に下がるまで均質化された。この工程は16分かかった。続いて、相1+2からのプリディスパージョンが、相3+4+5+6からの混合物に加えられ、16000rpmで14分間連続攪拌により均質化された。最後に、混合物は、14000rpmでの連続均質化の下で25℃まで冷却された。この工程は12分かかった。
【0230】
調査の結果、X線散乱測定により検出された2つの適用された製品F及びGの構造、製品Fの斜方晶系ラメラ結晶構造及び製品Gの六方晶系ラメラ結晶構造はそれぞれ、処理された角質層の表面に存在することに留意されたい。
【0231】
製品Fにより処理された角質層の表面では、X線角散乱測定は、製品Fの斜方晶系ラメラ結晶構造の特徴を示す4.16Å及び3.71Åで2つの鋭いピークを有する一方、製品Gで処理された角質層の表面のX線角散乱測定は、従来型製品Gの六方晶系ラメラ結晶構造の特徴を示す4.16Åでの単一のピークしか示さなかった。
【0232】
しかしながら、角質層のより深い層では、このピークが製品Gで処理された角質層の4.16Åで消えるのに対し、本発明に従う製品Fで処理された角質層のより深い層では、両方のピークが4.16Å及び3.71Åにあることが証明される。
【0233】
これから、従来型製品Gの結晶度は角質層のより深い層では完全に失われ、これがバリア支持機能の損失をもたらすのに対し、本発明に従う製品Fは角質層のより深い層でもその結晶度を保持し、したがって肌保護及び肌ケアに必要とされ望まれるバリア支持機能は角質層の表面だけでなく、深い部分にも作用する。
【符号の説明】
【0234】
1 水素化リン脂質(図1
2 蝋(図1
3 第1二重膜層(図1
4 第2二重膜層(図1
図1
図2
図3
図4
図5
図5A
図6