(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-12
(45)【発行日】2023-01-20
(54)【発明の名称】部品実装ライン
(51)【国際特許分類】
H05K 13/04 20060101AFI20230113BHJP
H05K 13/02 20060101ALI20230113BHJP
【FI】
H05K13/04 A
H05K13/04 C
H05K13/02 B
H05K13/02 D
(21)【出願番号】P 2020150201
(22)【出願日】2020-09-08
(62)【分割の表示】P 2018512744の分割
【原出願日】2016-04-22
【審査請求日】2020-09-08
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000237271
【氏名又は名称】株式会社FUJI
(74)【代理人】
【識別番号】100191433
【氏名又は名称】片岡 友希
(72)【発明者】
【氏名】岩城 範明
【審査官】板澤 敏明
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-025320(JP,A)
【文献】国際公開第2015/063880(WO,A1)
【文献】特開2010-171280(JP,A)
【文献】国際公開第2015/173947(WO,A1)
【文献】特開2010-135364(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 13/00-13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
小型部品
とツールを供給する複数の
幅サイズが規格化されたフィーダーと
、
前記
幅サイズが規格化されたフィーダーとは異なり、前記小型部品よりサイズの大きい中型部品を供給する複数のスティックフィーダーと
、
前記
幅サイズが規格化されたフィーダーおよびスティックフィーダーとは異なり、前記中型部品より大きい部品高さが25mm超の大型部品を供給する複数の大型部品供給装置と
、
第1コンベアと、前記
幅サイズが規格化されたフィーダーと前記スティックフィーダーとを取り付ける載置台を備え、前記小型部品および中型部品を基板の所定位置に
前記ツールの吸着または把持による表面実装、もしくは挿入する第1装着機と、
第2コンベアと、前記スティックフィーダーと前記大型部品供給装置とを取り付ける載置台を備え、前記第1装着機から搬送される前記基板の所定位置に前記中型部品を表面実装、もしくは挿入し、さらに前記大型部品を前記基板の所定位置に挿入する第2装着機と、
前記第1装着機と前記第2装着機とによる生産時間が短縮されるようにそれぞれの装着機に取り付けられる前記スティックフィーダーの本数をシミュレートするコンピュータとを備え、
前記スティックフィーダーは、前記第1コンベアと前記第2コンベアによって形成されるコンベアラインによって分けられるエリアの一方側にある前記第1実装機と前記第2実装機の載置台に取り付けられることを特徴する部品装着ライン。
【請求項2】
前記小型部品とは部品高さが3mmまで、中型部品とは、部品高さ3mmから25mmまであることを特徴とする請求項1記載の部品装着ライン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の部品を基板に実装する部品実装ラインに関する。
【背景技術】
【0002】
小型、中型、大型の電子部品を基板に装着する場合、小型、中型の部品は部品装着機を用いて装着し、大型部品については、後工程において、作業者が手作業で挿入している。一方、大型部品を挿入する部品装着機もあるが、一般的に小型、中型部品を装着する部品装着機よりも、価格は高く、さらに1個の部品を装着する時間(タクト)は、遅い。このため、中型、大型部品を装着/挿入する生産においても、人件費と兼ね合いから、人手による作業に頼る傾向がる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明の解決しようとする課題】
【0004】
大型部品を挿入する場合においても、人手に頼らず、しかも経済的にも採算の取れる部品実装ラインを提供することを課題とする。
【0005】
上記課題を解決するために、部品実装ラインを小型、中型部品を実装する装着機と、大型部品を挿入する装着機とで構成したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
このことにより、従来、人手で作業していた大型部品の挿入は、大型部品を挿入する装着機で可能となる。しかも、大型部品を挿入できる装着機よりも高速に中型部品を装着できる装着機を併せ持つことにより、部品実装ライン全体としては、部品装着速度は速くなり、人手と併用した方法よりも、経済的に採算の取れるラインとなる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の一実施例を図を参照しながら説明する。
【実施例】
【0009】
図1に示すように、部品実装ライン1は、第1装着機3と第2装着機5とが図示しないコンベアを介し連結されている。第1装着機3には、小型部品を供給する複数の第1フィーダー7と中型部品を供給する複数の第2フィーダー9とが図示しない載置台上に取り付けられている。また、第2装着機5には、大型部品を供給する複数の第3フィーダー11と中型部品を供給する複数の第4フィーダー13とが図示しない載置台に取り付けられている。
【0010】
第1フィーダー7は、例えばテープに収められたコンデンサー、抵抗などの小型の表面実装用電子部品を供給するテープフィーダーである。第2フィーダー9および第4フィーダー13は、例えばテープに収められたリード部品、SOICなど中型電子部品を供給する例えば、スティックフィーダーである。第3フィーダー11もテープに収められた大型の電子部品を供給するテープフィーダーである。それぞれのフィーダーの幅サイズは規格化されており、第1装着機3の載置台に取り付ける第1フィーダー7の取り付け本数を減らして第2フィーダー9の本数を増やすことも、その逆も可能である。第2装着機5についても同様である。1本の第3フィーダー11に対し、2本の第4フィーダー13を交換できる。
【0011】
なお、部品を供給する装置としては、テープフィーダー、スティックフィーダーの他に、トレイ供給、ラジアルテープフィーダー、アキシャルテープフィーダー、ボウルフィーダーなどもある。
【0012】
第1装着機3には図示しない装着ヘッドが設けられ、吸着もしくは把持によってピックアップされる部品によって、適宜選択されるツールがその先端に取付けられる。ツールは、第1フィーダー7および第2フィーダー9から供給される、小型、中型部品をピックアップする。このヘッドは、第1装着機3の基板投入口15から搬送された基板の所定位置に小型部品、中型部品をそれぞれ表面実装、もしくは挿入する。第1装着機3で部品の装着が完了した基板は、コンベア(図示せず)により、第2装着機5に搬送される。第2装着機5も、図示しない装着ヘッドを備え、ピックアップする部品に応じて、その先端に取付けるツールを選択している。そして、この装着ヘッドは、第3フィーダー11および第4フィーダー13から供給される、大型、中型部品をピックアップし、第2装着機5に搬送された基板のそれぞれの所定位地に表面実装、もしくは挿入する。
【0013】
ここで、小型、中型、大型のおおよそのサイズ、部品種、装着ツール、装着方法を次の表に示す。
【0014】
第1装着機3は、大型部品よりも、部品高さが低く、しかも軽い部品を扱うため、ヘッドの上下動が少なく、しかも軽い部品を扱うため、第2装着機5よりも、高速に部品を装着することができる。
【0015】
次にこの実施例の経済的な採算性を第2装着機5の代わりに人手で行なう場合と比較したい。次の表のように、それぞれ場合のコストと単位時間当たりに装着できる部品数を次の表のように表す。
【0016】
本実施例の部品実装ラインと、第2装着機の代わりに人手を使ったときのそれぞれの単位コスト当たりの部品装着数を比較し、仮に前者が高いと仮定すると、その式は次のように表せる。
【0017】
式(1)を第2装着機のコストBについて展開すると、
【0018】
式(2)において、b=c、すなわち、第2装着機、人手の単位時間当たりに装着できる部品数が同じとすると、式(2)は、
となる。
【0019】
すなわち、第2装着機のコストが、人手のコストよりも下回っていないと上記仮定は成立しない。しかしながら、通常、人手よりも機械の方が単位時間当たりに装着できる部品数は多いので、b>cの関係が成り立つ、このため、式(2)の右辺は人手コストCよりも大きくなる。すなわち、人手コストCよりも第2装着機のコストBが多少高くても式(1)が成立する。つまり、単位コスト当たりの部品装着数は、第1装着機3と第2装着機5とからなる部品実装ラインの方が第1装着機3と人手とを使うラインよりも多くなる。
【0020】
一般にこのような部品実装ラインは、人手で行なう場合、2交替勤務が実施されるため、また機器の償却は2~3年で見積もられるため、人手コストCは2~3年分の作業者2人の人件費となる。
【0021】
次に、式(2)において、a、b以外のA、C、cは固定値とすると、aを大きくするよりは、bを大きくした方が、右辺の値は大きくなることが、理解できる。つまり、第2装着機5のコストBが大きくても式(1)は成立する。一般に生産される電子部品基板に実装される中小型の部品の数は、大型の部品数よりも多い。従って、第2装着機5で実装する大型部品の数が少ないときは、第1装着機3で実装していた中型部品を、第2装着機5で実装した方が、bは大きくなる。
【0022】
第2図は、本実施例のブロック図を示す。第1装着機3および第2装着機5は、ホストコンピュータ16と接続されている。ホストコンピュータ16は、生産される基板に応じて、それぞれの実装、挿入される大型、中型、小型の部品を第1装着機3および第2装着機5に振り分ける。第1装着機3で実装/挿入を終える時間と第2装着機5で実装/挿入を終える時間とをできるだけバランスさせた方が全体の生産時間は短縮できる。また、実装/装着する部品によって、また、部品を実装/挿入位置によって、さらに部品をピックアップする位置にもよっても、個々の部品のピックアップから実装/挿入時間は異なるため、ホストコンピュータ16は、何通りものフィーダーの配列をシミュレートして、その中で全体の実装/装着時間が最短になるフィーダーの配列を選ぶ。
【0023】
本実施例においては、中型部品を供給する第2フィーダー9と第4フィーダー13は、第1装着機3および第2装着機5にも装着できるため、ホストコンピュータ16のシミュレーション結果で要求された本数の第2フィーダー9と第4フィーダー13が第1装着機3および第2装着機5の載置台に取付けられる。このように第2フィーダー9と第4フィーダー13は、基板に装着される部品種および部品数により、生産時間が短縮されるように中型用部品供給装置を第1装着機3、もしくは第2装着機5にそれぞれ割り振られる。このように中型部品は第1装着機3、第2装着機5のどちらでも実装/挿入できる。
【0024】
ホストコンピュータ16は、生産される基板ごとに、どの部品が実装/挿入されたか記録することができる。従って、ある特定の部品に不具合が判明した場合、どの基板にその部品が実装/挿入されたかトレースすることできる。リコール等が要求される車載、スマートメータなどには本実施例はさらに有効である。
【0025】
本実施例では、第2、第4フィーダーとしてスティックフィーダーを使用したが、その他に、テープフィーダーでもトレイ供給でもよい。また、第1装着機3、第2装着機5の順に並べたが、逆でも良いし、それぞれの台数も2台以上であってもよい。
【符号の説明】
【0026】
1:部品実装ライン 3:第1装着機 5:第2装着機 7:第1フィーダー
9:第2フィーダー 11:第3フィーダー 13:第4フィーダー
15:基板投入口 17:ホストコンピュータ