(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-12
(45)【発行日】2023-01-20
(54)【発明の名称】ダイホルダーモーションテーブルを備えたダイボンドヘッド装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/52 20060101AFI20230113BHJP
【FI】
H01L21/52 F
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020207456
(22)【出願日】2020-12-15
【審査請求日】2021-02-10
(32)【優先日】2019-12-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】504133796
【氏名又は名称】エーエスエムピーティー・シンガポール・ピーティーイー・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】チュン・シュン・ユン
(72)【発明者】
【氏名】パク・キン・リャン
【審査官】堀江 義隆
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2013/0122610(US,A1)
【文献】国際公開第2015/146442(WO,A1)
【文献】国際公開第2013/161891(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ダイボンドヘッド装置であって、
ダイボンドヘッドモーションテーブルに、少なくとも一つの軸線に沿って動かされるよう結合され
たダイボンドヘッド本体と、
前記ダイボンドヘッド本体に取り付けられたダイホルダーモーションテーブルと、
半導体ダイを基板に固定するために使用中に動作可能であるダイホルダーであって、前記ダイボンドヘッドモーションテーブルとは独立して、前記ダイホルダーを前記少なくとも一つ
の軸線に沿って動かすべく前記ダイホルダーモーションテーブルによって位置決め可能であるダイホルダーと、
前記基板
の上方に配置され、前記基板上の配置位置を画像化するために使用中に動作可能である画像化デバイスであって、前記ダイホルダーモーションテーブルが該画像化デバイスと前記基板との間の位置に移動できるように構成され、該位置において前記ダイホルダーおよび/または該ダイホルダーに保持された前記半導体ダイの少なくとも一部を画像化すべくさらに動作可能とされて、前記ダイホルダーおよび/または前記半導体ダイの位置および配向の少なくとも一方を提供するとともに、前記ダイホルダーおよび/または前記半導体ダイの位置および配向が前記配置位置に対して調整される、画像化デバイスと、
を具備するダイボンドヘッド装置。
【請求項2】
前記ダイボンドヘッドモーションテーブルは、前記ダイボンドヘッド本体の第1の端部に結合され、かつ、前記ダイホルダーモーションテーブルは、前記第1の端部から遠位の前記ダイボンドヘッド本体の第2の端部に取り付けられる、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記ダイホルダーモーションテーブルは、前記ダイボンドヘッド本体および前記ダイボンドヘッドモーションテーブルの少なくとも一つに対して前記ダイホルダーを変位させるために使用中に動作可能である、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記ダイホルダーモーションテーブルは、平面上の複数の軸線に沿って、前記ダイホルダーを変位させるために使用中に動作可能である、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記ダイホルダーモーションテーブルは、前記ダイボンドヘッドモーションテーブルが前記ダイボンドヘッド本体を変位させるために使用中に動作可能であるよりも高い精度を伴って、前記ダイホルダーを変位させるために使用中に動作可能である、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記ダイホルダーモーションテーブルは、前記ダイボンドヘッドモーションテーブルよりも小さな変位範囲を有する、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記ダイホルダーモーションテーブルは、ダイボンドヘッド本体によって保持されるテーブル支持構造体と、前記テーブル支持構造体に対して変位可能な可動構造体とを有する、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記ダイホルダーモーションテーブルは、前記テーブル支持構造体に対して前記可動構造体を変位させるために使用中に動作可能である少なくとも一つのアクチュエータを備える、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記少なくとも一つのアクチュエータは、前記可動構造体を複数の軸線に沿って変位させるために使用中に動作可能である、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記ダイホルダーモーションテーブルは、前記可動構造体を前記テーブル支持構造体と結合すると共に前記テーブル支持構造体に対する前記可動構造体の移動を容易にするために使用中に動作可能であるベアリングおよびフレクシャの少なくとも一つを備える、請求項7に記載の装置。
【請求項11】
前記ダイホルダーモーションテーブルは、前記可動構造体の位置の表示を提供するように動作可能な位置識別機構を含む、請求項7に記載の装置。
【請求項12】
前記位置識別機構は、前記可動構造体および前記テーブル支持構造体に別個に取り付けられた、それぞれの構成要素を有するリニアエンコーダを含む、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記可動構造体は、前記ダイホルダーによって保持された前記半導体ダイの少なくとも一部の画像化のために配置された前記可動構造体を通過する少なくとも一つの検査光経路を含む、請求項7に記載の装置。
【請求項14】
前記検査光経路は前記可動構造体内のボイドを含む、請求項13に記載の装置。
【請求項15】
前記ダイボンドヘッドモーションテーブルを使用して前記ダイボンドヘッド本体の位置を操作することにより、前記ダイホルダーを接合位置に近接して配置し、かつ、前記ダイホルダーモーションテーブルを使用して前記ダイホルダーの位置を操作することにより、位置および配向情報の少なくとも一つに応答して前記ダイホルダーによって保持される前記半導体ダイの位置および配向の少なくとも一つを修正するために、使用中に動作可能であるコントローラーを備える、請求項1に記載の装置。
【請求項16】
請求項1に記載の前記ダイボンドヘッド装置の前記ダイホルダーを、前記ダイボンドヘッドモーションテーブルを使用して前記ダイボンドヘッド本体の位置を操作することによって、接合位置に近接して配置するステップと、
前記ダイホルダーモーションテーブルを使用して前記ダイホルダーの位置を操作することによって、前記ダイホルダーによって保持されている前記半導体ダイの位置および向きの少なくとも一つを修正するステップと、
その後、前記接合位置で前記半導体ダイを接合するステップと
を含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体ダイを表面に高精度で接合するためのダイボンドヘッド装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
高精度の半導体パッケージング機器では、接合中の基板に対するダイの位置などの重要な位置を特定するために、ビジョンシステムがよく使用される。ダイの位置と基板との間のオフセットは、基板上のダイの配置精度を保証するために、ダイ保持ツールを支持しているボンドヘッドの動きによって補償される。
【0003】
しかしながら、基板上のダイ配置の精度およびダイ配置の速度は、既存の装置では制限されることがある。これは、ダイ位置の補償は、通常、ボンドヘッドを保持するダイを制御するモーションテーブルによって実行されるためである。
【0004】
一般に、ボンドヘッドのダイ保持ツールの先端は、ダイボンドヘッドモーションテーブルの制御点に配置されていない。したがって、補償後でも、ビジョンシステムによって認識されるダイ位置はサブミクロンの精度を達成できない可能性がある。
【0005】
従来技術と比較して、より正確で迅速なダイ配置を実現することは有益であろう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、本発明の目的は、先行技術の上述した問題の少なくともいくつかを克服する装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様によれば、ダイボンドヘッドモーションテーブルに結合されたダイボンドヘッド本体と、ダイボンドヘッド本体に取り付けられたダイホルダーモーションテーブルと、半導体ダイを基板に固定するために使用中に動作可能であるダイホルダーであって、ダイボンドヘッドモーションテーブルとは独立してダイホルダーモーションテーブルによって位置決め可能であるダイホルダーとを備えたダイボンドヘッド装置が提供される。第1の態様は、既存のダイボンドヘッド装置の問題は、基板上のダイの高い配置精度を達成するのが難しいことである、ということを認めている。これは、ダイボンドヘッド本体によって運ばれるダイホルダーとダイボンドヘッド本体を駆動するモーションテーブルとの間の距離が比較的大きくなる可能性がある(これはモーションテーブルの動きがダイホルダーの予期しない位置決めにつながる可能性があることを意味する)という事実に起因し得る。特に、ダイホルダーのサブミクロンの位置決め精度は、モーションテーブルによって駆動される場合には達成できない場合がある。また、モーションテーブルを駆動する制御システムは、ダイホルダーの位置が意図した位置から変化する不安定な動作を引き起こす可能性がある。
【0008】
したがって装置が提供される。当該装置はダイボンドヘッド装置であってもよい。装置はダイボンドヘッド本体を備えてもよい。ダイボンドヘッド本体は、ダイボンドヘッドモーションテーブルに結合されても、それに取り付けられても、あるいはそれによって運搬されてもよい。装置はダイホルダーモーションテーブルを備えてもよい。ダイホルダーモーションテーブルは、ダイボンドヘッド本体に結合されても、それに取り付けられても、あるいはそれによって運搬されてもよい。装置はダイホルダーを備えてもよい。ダイホルダーは、ダイホルダーモーションテーブルに結合されても、それに取り付けられても、あるいはそれによって運搬されてもよい。ダイホルダーは、半導体ダイを基板上に固定し、配置し、あるいは位置決めするために使用されてもよい。ダイホルダーは、ダイホルダーモーションテーブルによって位置決めあるいは配置されてもよい。このようにして、一方のモーションテーブルがダイボンドヘッド本体(ダイホルダーを含む)を動かし、第2のモーションテーブルがダイホルダーを動かすデュアルモーションテーブル構成が提供される。これにより、ダイボンドヘッド本体を基板上のダイ配置位置の近くに配置することができ、ダイホルダーモーションテーブルはダイホルダーを配置位置に正確に配置することができる。これにより、ダイホルダー自体とダイホルダーモーションテーブルとの間の距離を短縮できるが、これは、ダイホルダーモーションテーブルの移動はダイホルダーのより正確な位置決めにつながり得ることを意味する。特に、サブミクロンの位置決め精度は、それがダイホルダーモーションテーブルによって駆動されるときにダイホルダーによって達成可能である。また、ダイホルダーモーションテーブルを駆動する制御システムは、ダイホルダーを意図された位置に、より迅速かつ正確に配置することができる。
【0009】
一実施形態では、ダイボンドヘッドモーションテーブルはダイボンドヘッド本体の第1の端部に結合され、ダイホルダーモーションテーブルは、第1の端部から遠位のダイボンドヘッド本体の第2の端部に取り付けられる。したがって、ダイボンドヘッドモーションテーブルは、ダイボンドヘッド本体の一端に向かって配置されてもよく、一方、ダイホルダーモーションテーブルは、ダイボンドヘッド本体の他端に向かって配置されてもよい。これは、ダイボンドヘッドモーションテーブルによるダイボンドヘッドの不正確な配置が、ダイホルダーの近くに配置されたダイホルダーモーションテーブルによって修正され得ることを意味する。
【0010】
一実施形態では、ダイホルダーモーションテーブルは、ダイボンドヘッド本体およびダイボンドヘッドモーションテーブルの少なくとも一つに対してダイホルダーを変位させるために使用中に動作可能である。したがって、ダイホルダーモーションテーブルは、ダイボンドヘッド本体および/またはダイボンドヘッドモーションテーブルに対するダイホルダーの位置を変更することができる。
【0011】
一実施形態では、ダイホルダーモーションテーブルは、平面上の複数の軸線に沿ってダイホルダーを変位させるために使用中に動作可能である。したがって、ダイホルダーモーションテーブルは、平面の一方または両方の軸線に沿って、ダイホルダーを変位または移動させることができる。
【0012】
一実施形態では、ダイホルダーモーションテーブルは、ダイボンドヘッドモーションテーブルと共通の少なくとも一つの軸線に沿って、ダイホルダーを変位させるために使用中に動作可能である。ダイボンドヘッドモーションテーブルは、平面上の複数の軸線に沿って、かつ、その平面を横切る軸線に沿って、ダイボンドヘッド本体を変位させることができる。ダイホルダーモーションテーブルは、ダイボンドヘッドモーションテーブルと同じ軸線の一つ以上に沿って、ダイホルダーを変位させることができる。
【0013】
一実施形態では、ダイホルダーモーションテーブルは、ダイボンドヘッドモーションテーブルがダイボンドヘッド本体を変位させるために使用中に動作可能であるよりも高い精度を伴って、ダイホルダーを変位させるために使用中に動作可能である。したがって、ダイホルダーモーションテーブルは、ダイボンドヘッドモーションテーブルがダイボンドヘッド本体を位置決めするよりも正確にダイホルダーを位置決めすることができる。
【0014】
一実施形態では、ダイホルダーモーションテーブルは、ダイボンドヘッドモーションテーブルよりも小さい変位範囲を有する。したがって、ダイホルダーモーションテーブルは、ダイボンドヘッドモーションテーブルよりも狭い範囲の移動位置を有することができる。
【0015】
一実施形態では、ダイホルダーモーションテーブルは、ダイボンドヘッド本体によって保持されるテーブル支持構造体と、このテーブル支持構造体に対して変位可能な可動構造体とを有する。したがって、ダイボンドヘッドモーションテーブルは、ダイボンドヘッド本体に取り付けられるテーブル支持体または固定構造体と、テーブル支持構造体に対して可動である可動または変位可能な構造体とを有することができる。
【0016】
一実施形態では、ダイホルダーモーションテーブルは、テーブル支持構造体に対して可動構造体を変位させるために使用中に動作可能である少なくとも一つのアクチュエータを備える。したがって、操作されるとテーブル支持構造体に対して可動構造体を移動または再配置する一つ以上のアクチュエータを設けることができる。
【0017】
一実施形態では、少なくとも一つのアクチュエータは、複数の軸線に沿って可動構造体を変位させるために使用中に動作可能である。したがって、アクチュエータを使用して、平面上の一つ以上の軸線に沿って可動構造体を移動させることができる。
【0018】
一実施形態では、少なくとも一つのアクチュエータは、可動構造体を少なくとも一つの軸線の周りで回転させるために使用中に動作可能である。したがって、アクチュエータを使用して、平面を横切って延びる軸線の周りで可動構造体を回転または旋回させることができる。
【0019】
一実施形態では、ダイホルダーモーションテーブルは、可動構造体をテーブル支持構造体と結合するベアリングおよびフレクシャの少なくとも一つを含み、テーブル支持構造体に対する可動構造体の移動を容易にするために使用中に動作可能である。したがって、ベアリングおよび/またはフレクシャカップリングを提供して、テーブル支持構造体に対する可動構造体の移動を支援または可能にすることができる。
【0020】
一実施形態では、ダイホルダーモーションテーブルは、可動構造体の位置の表示を提供するように動作する位置識別機構を含む。したがって、可動構造体の所在または位置を識別するのを助けるための情報を提供できる識別機構を設けることができる。
【0021】
一実施形態では、ダイホルダーは可動構造体によって運ばれる。したがって、ダイホルダーは、可動構造体に取り付けられるか、または可動構造体によって支持されてもよい。
【0022】
一実施形態では、ダイホルダーは、基板に面するように可動構造体上に配置される。したがってダイホルダーは、基板に向かって運ばれると、それが、基板に接してダイホルダーによって保持されたダイに当接するように配置することができる。
【0023】
一実施形態では、位置識別機構は、可動構造体およびテーブル支持構造体に別個に取り付けられた、それぞれの構成要素を有するリニアエンコーダを含む。したがって、テーブル支持構造体に対する可動構造体の位置情報を提供するために、一つ以上のリニアエンコーダを設けることができる。
【0024】
一実施形態では、可動構造体は、ダイホルダーによって保持された半導体ダイの少なくとも一部の画像化のために配置された、可動構造体を通過する少なくとも一つの検査光経路を含む。したがって、半導体ダイの位置は、可動構造体に設けられた検査光経路を介して画像化することによって特定することができる。
【0025】
一実施形態では、検査光経路は可動構造体内のボイドを含む。
【0026】
一実施形態では、装置は、半導体ダイの位置および配向情報の少なくとも一つを提供するために、ダイホルダーによって保持される半導体ダイの少なくとも一部を画像化するために使用中に動作可能な少なくとも一つの画像化デバイスを備える。したがって、画像化デバイスは、半導体ダイを画像化して、半導体ダイに関連する位置および/または配向情報を提供することができる。
【0027】
一実施形態では、装置は、ダイボンドヘッドモーションテーブルを使用してボンドヘッド本体の位置を操作することによってダイホルダーを接合位置に近接して配置し、かつ、ダイホルダーモーションテーブルを使用してダイホルダー位置を操作することにより位置および配向情報の少なくとも一つに応答してダイホルダーによって保持される半導体ダイの位置および配向の少なくとも一つを修正するために、使用中に動作可能なコントローラーを備える。したがって、ボンドヘッド本体を接合位置の近くに配置するためにダイボンドヘッドモーションテーブルを動作させることができ、そしてダイホルダーモーションテーブルはダイホルダーを接合位置に、より正確に配置することができる。
【0028】
本発明の第2の態様によれば、第1の態様のダイボンドヘッド装置のダイホルダーを、ダイボンドヘッドモーションテーブルを使用してボンドヘッド本体位置を操作することによって接合位置に近接して配置するステップと、ダイホルダーモーションテーブルを使用してダイヘッド位置を操作することにより、ダイホルダーによって保持された半導体ダイの位置および配向の少なくとも一つを修正するステップと、接合位置で半導体ダイを接合するステップとを含む方法が提供される。
【0029】
上記およびその他の特徴、態様および利点は、説明セクション、特許請求の範囲および添付の図面に関して、よりよく理解されるであろう。
【0030】
以下、本発明の実施形態を単なる例として添付の図面を参照して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】本発明の第1実施形態に係るダイボンドヘッド装置の概略図である。
【
図2】第1実施形態に係るダイボンドヘッド装置の側面図である。
【
図3】本発明の第2実施形態に係るダイボンドヘッド装置の側面図である。
【
図4】第1実施形態に係る可動平面テーブルおよびテーブル支持構造体の平面図である。
【
図5】第1実施形態に係る可動平面テーブルおよびテーブル支持構造体の上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
図面では、同様の部品は同様の参照符号で示されている。
【0033】
実施形態をさらに詳細に説明する前に、最初に概要を提供する。実施形態は、モーションテーブルに取り付けられた本体を有する装置を提供し、さらなるモーションテーブルがホルダーを搭載する本体に取り付けられている。二つのモーションテーブルは、互いに独立して動作可能であり、ホルダーを所望の位置に配置する。一般に、ホルダーを搭載したモーションテーブルの位置制御は、本体を搭載したモーションテーブルの位置制御よりも正確である。この二つのモーションテーブルの解決策は、単一のモーションテーブルを使用して可能となる場合よりも、より正確かつ迅速にホルダーを位置決めするのに役立つ。例えば、一実施形態は少なくとも一つのモーションテーブルシステムを含む。モーションテーブルシステムは、X軸およびY軸に沿った方向ならびに(通常はZ軸を中心とする)回転方向の移動を可能にするミニモーションテーブルと、XY方向のミニモーションテーブル用のエンコーダスケールと、ミニモーションテーブル用のエンコーダ読み取りヘッドとを含む。ミニモーションテーブルはボンドヘッドモジュールに取り付けられており、かつ、XYアクチュエータ、例えばボイスコイルモーターと、エアベアリングと、XYスケールとを含む。読み取りヘッドは、例えば光学システムなどの別のモジュールに取り付けられる。ミニモーションテーブルの位置は光学システム上の基準読み取りヘッドで制御されるため、ミニモーションテーブルの位置は光学システムに対して制御される。したがって、光経路を介して光学システムによって視認されかつ特定されるミニモーションテーブルの位置は、ミニモーションテーブルおよびビジョンシステムが異なる横方向の振動を受けても、リアルタイムで維持される。したがって、ミニモーションテーブルの位置は、常にビジョンシステムが視認している場所に置かれる。このような解決策は、ダイを接合位置に置く前に、ダイと接合位置との間の相対オフセットの補正中のダイの位置および配向の精度を改善することができる。
【0034】
ダイボンドヘッド装置
図1は、本発明の第1実施形態に係るダイボンドヘッド装置を概略的に示している。ダイボンドヘッドモーションテーブル2が設けられ、それに対してダイボンドヘッド本体1が一端付近に取り付けられている。ダイボンドヘッドモーションテーブル2は、通常、ダイボンドヘッド本体1をX,YおよびZ軸に沿って変位させるように構成されている。ダイホルダーモーションテーブル3が設けられ、これもまた、ダイボンドヘッド本体1の別の端部付近でダイボンドヘッド本体1に取り付けられている。ダイホルダーモーションテーブル3は、X軸およびY軸に沿った移動と、Z軸周りの回転を可能にする。ダイホルダーモーションテーブル3は、ダイホルダー4および位置エンコーダスケール5を搭載している。ダイホルダーモーションテーブル3は、ダイボンドヘッド本体1を介してダイボンドヘッドモーションテーブル2に効果的に取り付けられている。光学システム7はモーションテーブルに搭載されている。光学システム7は、エンコーダスケール5を読み取るエンコーダ読み取りヘッド6を搭載している。
【0035】
動作中、光学システム7は、通常、光学システムモーションテーブルを使用して、ダイ(図示せず)が基板(図示せず)上に配置される配置位置に位置決めされる。光学システム7は、基板上の配置位置を画像化する。ダイボンドヘッドモーションテーブル2は、ダイボンドヘッド本体1をピックアップ位置に移動させ、ダイホルダー4を使用してダイをピックアップする。ダイ(これはダイホルダー4によって保持されている)をピックアップした後、ダイボンドヘッドモーションテーブル2は、配置位置において光学システム7の近傍にボンドヘッド本体1(およびそれと共にダイホルダーモーションテーブル3およびダイを保持するダイホルダー4)を位置決めする。光学システム7、特にエンコーダ読み取りヘッド6は、ダイを保持するダイホルダー4が配置位置に近いときに、エンコーダスケール5の現在の示度を検出する。次に、ダイボンドヘッドモーションテーブル2は、ダイボンドヘッド本体1の移動を停止し、代わりに、ダイホルダーモーションテーブル3が作動させられて、ダイホルダーモーションテーブル3およびダイを保持するダイホルダー4を配置位置へと位置決めする。ダイホルダーモーションテーブル3の制御は、エンコーダスケール5を読み取るときにエンコーダ読み取りヘッド6によって提供されるフィードバックによって達成される。正しい位置になると、ダイホルダー4は、正しい配置位置で基板上にダイを配置することができる。
【0036】
ダイボンドヘッドモーションテーブル2(これはダイボンドヘッド本体1の位置を移動させる)および別個の独立して制御されるダイホルダーモーションテーブル3(これはダイホルダー4の位置を調整する)を有することにより、ダイのより正確な位置決めを達成することができる。特に、ダイホルダーモーションテーブル3なしでは、ダイのサブミクロンの配置精度を達成するのが難しいことがわかっている。これは、高い位置精度を達成しようとすると、ダイボンドヘッドモーションテーブル2の動きにより、ダイボンドヘッド本体1(およびそれと共にダイホルダー4)の位置が(光学システム7によって検出される)意図された位置から変化する可能性があるためである。これにより、続いて、ダイボンドヘッドモーションテーブル2を再び作動させ、ダイボンドヘッド本体1(およびそれと共にダイホルダー4)をさらに移動させて、(依然としてダイホルダー4の位置を意図された位置から変化させる可能性がある)変動を修正することができる。この問題は、ダイボンドヘッド本体1の屈曲またはダイボンドヘッド本体1の動きを引き起こす熱効果によって悪化する可能性がある。しかしながら、別個のモーションテーブルを提供することにより、配置位置でのダイホルダー4の位置決めを、より正確かつ迅速に達成することができる。特に、ダイホルダーモーションテーブル3のサイズおよび動作変位は、ダイボンドヘッドモーションテーブル2のそれよりも大幅に小さくてもよく、これは、ダイホルダーモーションテーブル3の位置をより正確に制御することができ、そしてそれはダイボンドヘッド本体1が被る機械的および熱的影響を受け難いことを意味する。
【0037】
コレット基準マーク
図2は、本発明の第1実施形態によるダイボンドヘッド装置の側面図である。構成は
図1に示されているものと同様であり、この図は、光学システム7Aおよびダイホルダーモーションテーブル3Aの配置に焦点を合わせている。図からわかるように、ダイホルダーモーションテーブル3Aはダイボンドヘッド本体1Aに接続されている。ダイホルダーモーションテーブル3Aは、ダイボンドヘッド本体1Aに固定されたテーブル支持構造体20Aと、テーブル支持構造体20Aに対して可動である可動平面テーブル30Aとを有する。テーブル支持構造体20Aに対する可動平面テーブル30Aの移動を容易にするために、いくつかのエアベアリング11Aが設けられる。多数のミニXYコイル9Aが可動平面テーブル30A上に設けられるが、これらは、テーブル支持構造体20A上に設けられる対応する数のミニXY磁石10Aと相互作用する。光学システム7Aの視野に面する表面上には、いくつかのエンコーダスケール5Aが配置される。
【0038】
ダイホルダー(コレット)4Aは、可動平面テーブル30Aの主面上に配置され、その上にダイ16Aが配置される基板17Aに面している。ダイホルダー4Aは、ダイ16Aをピックアップして所定の位置に保持するように動作可能である。ダイホルダー4Aは、可動平面テーブル30Aの開口40Aを通して光学システムが認識可能である、いくつかのコレット基準マーク19Aを有する。光学システム7Aは、コレット基準マーク19Aを画像化するカメラ50Aを有する。読み取りヘッド6Aは光学システム7Aに取り付けられている。
【0039】
動作中、光学システム7Aは、そのモーションテーブルによって位置決めされ、ダイが配置される位置で基板17A上の基板基準マーク18Aを画像化する。換言すれば、基板17Aの目標接合位置は、調整および配置のためにダイボンドヘッド本体1Aがそこに移動させられる前に、光学システム7Aを使用して、基板基準マーク18Aによって特定される。
【0040】
ダイボンドヘッド本体1Aは、ピックアップ位置でダイをピックアップするように位置決めされる。次に、ダイボンドヘッドモーションテーブル2Aは、ダイボンドヘッド本体1Aを配置位置の近くに移動させる。これにより、可動平面テーブル30Aは光学システム7Aの視野12Aに入る。ダイボンドヘッドモーションテーブル2Aの制御下でのダイボンドヘッド本体1Aの動きが停止すると、光学システム7Aは、コレット基準マーク19Aを画像化することによってダイ16Aの位置を特定する。ミニXYコイル9Aは、エンコーダ読み取りヘッド6Aからのフィードバックおよびコレット基準マーク19Aの画像化に依存して、可動平面テーブル30Aを正しい位置へと変位させるために適切に給電される。ダイ16Aが配置位置において正しく位置決めされかつ/または配向されると、ダイボンドヘッド本体1Aを基板17Aに向かってZ方向に変位させることにより、ダイ16Aは基板17A上に配置される。
【0041】
換言すれば、ダイホルダーモーションテーブル3Aは、読み取りヘッド6Aによって提供される情報に基づいて制御される。したがって、ダイホルダーモーションテーブル3A上のダイ16Aおよびダイホルダー4Aは、光学システム7Aに対して制御される、それらの位置を有する。ダイ16Aの位置は、光経路12Aおよびコレット基準マーク19Aを画像化するための開口14Aの形態のモーションテーブル中空特徴部を介して、光学システム7Aによって認識される。ボンドヘッドモーションテーブル2Aおよびフレーム光学システム7Aが相対位置において独立した横方向の変動を受けている場合でさえ、位置はサブミクロンレベルの精度にリアルタイムで維持され得る。最悪の場合、フレーム光学システム7Aは、ダイホルダーモーションテーブル3Aの位置が異なる基準フレームで制御されるように、第2のモーションテーブル上に着座することができる。したがって、ダイボンドヘッドモーションテーブル2Aおよび光学システムは、既知の位置関係を伴わずに、二つの異なる基準フレーム内に配置されることがある。この不確実性を取り除くために、ダイボンドヘッドモーションテーブル2Aの位置は、フレーム光学システム7Aに取り付けられた読み取りヘッド6A、または光学システムモーションテーブルが移動可能である場合は光学システムモーションテーブルを参照して、さらに制御することができる。ダイホルダーモーションテーブル3AがXY方向に移動してビジョンシステムによって認識された誤差を補償した後、ダイ16Aの位置は、フレーム光学システム7Aによって再び認識されるターゲット領域内で移動する。次に、ダイホルダーモーションテーブル3Aがダイ16Aを駆動し、サブミクロンレベルの結合精度を達成することができる。
【0042】
ダイ基準マーク
図3は、本発明の第2実施形態を示している。この実施形態は、ダイホルダー4Bが上記のダイホルダー4Aよりも小さいことを除いて(これはダイ基準マーク15Bが光学システム7Bによって直接画像化されることを可能にする)、
図2に示されるものと同一である。これは、ダイ16Bを基板17Bと位置合わせするためにミニXYコイル9Bに通電することによって可動平面テーブル30BをZ軸の周りに回転させることによって、Z軸の周りのダイ16Bの回転オフセットを許容する。
【0043】
図4は、光学システム7Bによって観察されるような可動平面テーブル30Bの平面図であり、これは、開口14Bの形態のモーションテーブル中空特徴部を通してダイ16Bのダイ基準マーク15Bを画像化するように構成される。図からわかるように、ミニXY磁石10BおよびミニXYコイル9Bは、可動平面テーブル30Bの両側に配置されて、X軸およびY軸に沿った(エアベアリング11Bによって支援される)それらの動きを容易にすると共にZ軸を中心とした可動平面テーブル30Bの回転を可能とする。可動平面テーブル30Bの現在の位置に関するフィードバックがエンコーダスケール5Bによって提供される。
【0044】
図5は、可動平面テーブルおよびテーブル支持構造体の代替構成を示している。この構成では、エアベアリングを有する代わりに、一つ以上のフレクシャ11Cが設けられ、これは、可動平面テーブル30Cがテーブル支持構造体20Cに対して移動することを可能にしながら、テーブル支持構造体20C内で可動平面テーブル30Cを支持する。
【0045】
本発明について特定の実施形態を参照して詳細に説明しきたが、他の実施形態も可能である。特に可動平面テーブルは、ボイスコイルモーターまたは圧電アクチュエータによって作動させることができる。
【0046】
したがって、特許請求の範囲の精神および範囲は本明細書に含まれる実施形態の説明に限定されるべきではない。
【符号の説明】
【0047】
1 ダイボンドヘッド本体
1A ダイボンドヘッド本体
2 ダイボンドヘッドモーションテーブル
2A ダイボンドヘッドモーションテーブル
3 ダイホルダーモーションテーブル
3A ダイホルダーモーションテーブル
4 ダイホルダー
4A ダイホルダー
4B ダイホルダー
5 位置エンコーダスケール
5A エンコーダスケール
5B エンコーダスケール
6 ヘッド
6A ヘッド
7 光学システム
7A 光学システム
7B 光学システム
9A ミニXYコイル
9B ミニXYコイル
10A ミニXY磁石
10B ミニXY磁石
11A エアベアリング
11B エアベアリング
11C フレクシャ
12A 視野(光経路)
14A 開口
14B 開口
15B ダイ基準マーク
16A ダイ
16B ダイ
17A 基板
17B 基板
18A 基板基準マーク
19A コレット基準マーク
20A テーブル支持構造体
20C テーブル支持構造体
30A 可動平面テーブル
30B 可動平面テーブル
30C 可動平面テーブル
40A 開口
50A カメラ