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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-12
(45)【発行日】2023-01-20
(54)【発明の名称】車両フラップの駆動装置
(51)【国際特許分類】
   F16D 55/06 20060101AFI20230113BHJP
   B60J 5/04 20060101ALI20230113BHJP
   E05F 15/662 20150101ALI20230113BHJP
【FI】
F16D55/06 A
B60J5/04 K
E05F15/662
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020500153
(86)(22)【出願日】2018-07-06
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-08-27
(86)【国際出願番号】 DE2018100624
(87)【国際公開番号】W WO2019007467
(87)【国際公開日】2019-01-10
【審査請求日】2021-07-05
(31)【優先権主張番号】102017115183.4
(32)【優先日】2017-07-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】511079078
【氏名又は名称】エドゥシャ エンジニアリング ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100102842
【弁理士】
【氏名又は名称】葛和 清司
(72)【発明者】
【氏名】ヴィルト,アンドレ
(72)【発明者】
【氏名】バルス,ヨッヘン
【審査官】山田 康孝
(56)【参考文献】
【文献】特表2012-526950(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0312514(US,A1)
【文献】特開昭54-060651(JP,A)
【文献】西独国特許出願公開第03506740(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16D 49/00-71/04
B60J 5/04
E05F 15/662
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
旋回可能な車両フラップの駆動装置であって、
第1ハウジング部(3)と、
第2ハウジング部(4)であって、第1ハウジング部(3)および第2ハウジング部(4)は、駆動装置(1)の軸方向延長部(x)の方向に互いに対して移動可能に設計されている、前記第2ハウジング部(4)と、
第1ハウジング部(3)および第2ハウジング部(4)の一方に回転可能に配置されたスピンドルロッド(12)と、および、
第1ハウジング部(3)および第2ハウジング部(4)の他方に回転不能に配置されたスピンドルナット(13)と、
第1制動要素(20)、第1ハウジング部(3)および第2ハウジング部(4)の一方に回転不能に接続された第2制動要素(22)を含む、制動装置(19)であって、第1制動要素(20)は、制動力を生成するために第2制動要素(22)と相互作用することができる、前記制動装置(19)と、および、
磁場を生成するための磁石配置(23)とを含み、
第1制動要素(20)はスピンドルロッド(12)に回転不能に接続されており、第制動要素(20)は磁場によって第2制動要素(22)に向かってスピンドルロッド(12)の軸方向(x)に変位できることを特徴とする、前記駆動装置。
【請求項2】
第1ハウジング部(3)および第2ハウジング部(4)が、駆動装置(1)のハウジング(2)の構成要素であり、第1ハウジング部(3)および第2ハウジング部(4)が互いに対して同心円状に配置されることを特徴とする、請求項1に記載の駆動装置。
【請求項3】
磁石配置(23)が、電磁石(24)を含むことを特徴とする、請求項1または2に記載の駆動装置。
【請求項4】
磁石配置(23)が、永久磁石(25)を含むことを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の駆動装置。
【請求項5】
永久磁石(25)が、第1制動要素(20)および第2制動要素(22)の一方を磁気的に引き付け、第1制動要素(20)および第2制動要素(22)の他方に向かって軸方向に変位可能に設計されていることを特徴とする、請求項4に記載の駆動装置。
【請求項6】
第1制動要素(20)および第2制動要素(22)の一方が、第1制動要素(20)および第2制動要素(22)の他方に向かって軸方向(x)に変位可能で、第1制動要素(20)と第2制動要素(22)とが互いに接触できることを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載の駆動装置。
【請求項7】
第1制動要素(20)が、第1摩擦面(20a)を有し、第2制動要素(22)が、第2摩擦面(22a)を有することを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載の駆動装置。
【請求項8】
第1摩擦面(20a)と第2摩擦面(22a)とが互いに向き合い、スピンドルロッド(12)の軸方向(x)に対して垂直に整列していることを特徴とする、請求項7に記載の駆動装置。
【請求項9】
磁石配置(23)が、第1制動要素(20)または第2制動要素(22)に配置されることを特徴とする、請求項1~8のいずれか一項に記載の駆動装置。
【請求項10】
磁石配置(23)が、第1ハウジング部(3)および第2ハウジング部(4)の一方に回転不能に接続された第2制動要素(22)上に配置されることを特徴とする、請求項1~9のいずれか一項に記載の駆動装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前文に記載の旋回可能な車両フラップのための駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
旋回可能な車両フラップ用の駆動装置は、第1端部で車両の車体部にヒンジ式に接続され、第2端部で車両ドアにヒンジ式に接続されている。駆動装置は、一般に、動作中、駆動装置の第1端部と駆動装置の第2端部とが互いに対して直線的に移動できるように、線形駆動装置として設計されており、その結果、車両ドアはモータ駆動で旋回する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
したがって、駆動装置の役割は、車両ドアを閉位置と開位置の間で自動的に旋回可能にし、さらに全閉位置と全開位置の間の任意の位置で車両ドアを停止させることである。したがって、旋回可能な車両フラップ用の駆動装置は、駆動機能に加えて、車両フラップの変位中に制動機能も提供する必要がある。
【0004】
DE19752543A1は、第1回転固定制動要素および第2回転可能制動要素を有する磁気制動を開示している。磁気制動の制動位置では、第1制動要素が第2制動要素によって保持または少なくとも制動されるように、第1制動要素と第2制動要素は摩擦的または積極的に相互接続される。その中の磁気制動は電磁石を備え、適切な電流供給により、第1および第2制動要素を互いに対して制動位置または非係合位置に変位させ、制動位置での制動力は特定の値を有する。
【0005】
磁気制動は、電磁石に加えて、永久磁石と、第1制動要素と第2制動要素を制動位置に向けて付勢するばね装置とを備えている。開示された磁気制動の欠点は、制動力を柔軟に適合させることができず、制動位置で特定の値のみを実質的に仮定することである。
【0006】
DE102007026796A1は、車両ドア用のドアアレスタを開示しており、ドアアレスタは制動装置を備え、制動装置は第1制動要素と第2制動要素を備え、制動要素はそれぞれ互いに対向する摩擦面を有し、第2制動要素に対する第1制動要素の回転運動は、摩擦面の接触により減速される。その中の第1制動要素および第2制動要素は強磁性材料で作られており、制動要素は可逆的に磁化可能である。
【0007】
制動装置は、第2要素に対して第1制動要素を制動装置の非係合位置に向かって付勢するばね要素をさらに備える。開示されたドアアレスタの欠点は、制動装置の制動力がばね要素によって大きく影響され、永久的な制動動作を達成するために電磁石に通電しなければならないことである。ばねを設けることにより、制動装置も故障しやすくなる。
【0008】
DE3906069A1は、第1制動要素および第2制動要素を含む制動装置を開示しており、制動要素はそれぞれ制動パッドと、各制動要素に関連付けられた少なくとも1つの圧縮ばねとを有する。制動装置は、通電磁気コイルが収容されるハウジングを有する。各制動要素に関連付けられた圧縮ばねは、各制動パッドが互いに接触し、したがって制動装置が制動位置にあるように、制動要素を付勢する。
【0009】
コイルに通電することにより、制動要素が互いに対して変位し、制動要素の制動パッドが接触しなくなるように、制動装置が非係合位置になる。開示された制動装置の欠点は、追加のばねが各制動要素に関連付けられていることであり、その結果、制動装置の故障に対する感受性が高まり、制動力を正確に制御できない。
【0010】
DE102015221067A1は、第1ハウジング部と第2ハウジング部とを備える旋回可能な車両フラップ用の駆動装置を開示している。ここで、第1ハウジング部と第2ハウジング部は、駆動装置の軸方向延長部に互いに対して移動可能であるように設計されている。スピンドルロッドが第1ハウジング部に回転可能に配置され、スピンドルナットが第2ハウジング部に回転不能に配置される。駆動装置が第1ハウジング部に配置され、駆動装置は電動モータを含む。電動モータはハウジングを有し、戻り要素と戻り要素に堅固に接続された永久磁石要素とからなる第1制動要素が、ハウジングの内壁に堅く接続されている。
【0011】
さらに、電気モータは駆動シャフトを備え、その上に、同様に戻り要素および永久磁石要素からなる第2制動要素が回転不能に配置されている。中間要素は永久磁石要素の間に配置される。永久磁石要素は、制動要素間に制動力を生成するため、したがって電動機の駆動軸を減速するために使用される。
開示された駆動装置の欠点は、制動力が可変ではなく、保持力が柔軟ではないことである。これは、永久磁石によって規定され、それ以上変更できないからである。
【0012】
本発明の目的は、旋回可能な車両フラップのための駆動装置を提供することであり、この駆動装置は、車両フラップのための簡単かつ信頼性の高い自動旋回ならびに柔軟な保持力を提供する。上記の目的は、本発明によれば、請求項1の特徴を有する駆動装置により達成される。
【0013】
本発明の一態様によれば、第1ハウジング部と第2ハウジング部とを備える旋回可能な車両フラップ用の駆動装置が提供される。ここで、第1ハウジング部と第2ハウジング部は、駆動装置の軸方向延長部に互いに対して移動可能であるように設計されている。駆動装置は、スピンドルロッドをさらに備え、スピンドルロッドは、第1ハウジング部および第2ハウジング部の一方に回転可能に配置される。駆動装置は、第1ハウジング部および第2ハウジング部の他方に回転不能に配置されたスピンドルナットと、制動装置とをさらに備える。
【0014】
制動装置は、スピンドルロッドに回転不能に接続された第1制動要素と、第1ハウジング部および第2ハウジング部の一方に回転不能に接続された第2制動要素とを含み、ここで、第1制動要素は、第2制動要素と相互作用して、制動力を生成することができる。最後に、駆動装置は、磁場を生成するための磁石配置を備えている。本発明による駆動装置は、第1制動要素および第2制動要素の少なくとも一方が、スピンドルロッドの軸方向に磁場によって変位可能であることを特徴とする。これにより、有利には、磁場の磁場強度を制御することにより、制御された方法で制動装置によって引き起こされる制動力に影響を与えることが可能になる。特に有利には、磁場強度を設定することにより、温度、開口角、外部から車両ドアに作用する力など、さまざまな状況および外部環境で車両ドアを連続的に保持することができる。
【0015】
第1ハウジング部および第2ハウジング部は、便宜上、駆動装置のハウジングの構成要素であり、第1ハウジング部と第2ハウジング部とは、互いに同心円状に配置されている。ハウジングは、有利には、駆動装置の可動の機械的および電気的構成要素を汚れおよび他の外部の影響から保護することを可能にする。加えて、したがって、ユーザーが駆動装置の内部コンポーネントと接触し、プロセス中に怪我をする可能性が回避される。
【0016】
特に好ましい実施形態では、磁石配置は電磁石を含む。その結果、電磁石を流れる電流強度を指定することにより、磁場強度、したがって制動装置によって生成される制動力を定義できることが特に有利に達成される。これにより、特に制動装置は、電磁石の電流強度または電力を制御できる電気制御装置を備えることが好ましい。電磁石の電流強度または電力の制御装置は、特に好ましい状況に応じて制動装置の所定の挙動がいつでも可能であるようにプログラム可能であることが特に好ましい。この場合、電気コントローラーによって制御される電流強度または電力は、旋回可能な車両フラップの瞬間的な加速度や、外部から旋回可能な車両フラップに作用する力などの外部パラメーターに依存する。
【0017】
磁石配置は、永久磁石を含むことが好ましい。これにより、追加の電力を必要とせずに、制動装置によって永続的な制動力を提供することが有利に可能になる。制動力は、永久磁石または永久磁石によって生成される磁場強度を適切に選択することにより、適切に指定できる。制動装置は、電磁石の非通電状態においても制動力が生成されるため、特に好ましくは、電磁石と永久磁石の両方を含み、電磁石を通る電流の方向を適切に選択することにより、制動力をキャンセルし、制動力を増加させることが可能になる。
【0018】
永久磁石は、特に有利には、軸方向に変位可能に設計された第1制動要素および第2制動要素の一方を、第1制動要素および第2制動要素の他方に向かって磁気的に引き付ける。さらなる開発において、第1制動要素および第2制動要素のうちの一方は、第1制動要素と第2制動要素が接触できるように、第1制動要素と第2制動要素の他方に向かって、スピンドルロッドの軸方向に変位させることができる。特に好ましくは、第1制動要素は第1摩擦面を有し、第2制動要素は第2摩擦面を有する。この場合、第1摩擦面と第2摩擦面は互いに都合よく向かい合っており、スピンドルロッドの軸方向に実質的に垂直に整列している。
【0019】
有利に、スピンドルロッド上の自由表面間の摩擦により生成される制動力は、電磁石を制御することにより状況に応じて設定できる。特に、第1制動要素と第2制動要素とが互いに接触しないように、第1制動要素と第2制動要素とを互いに対して変位させることができるようになっている。この場合、駆動装置に設けられたモータの寸法を小さくできる利点があるため、車両ドアを手動で開くことと、車両ドアを電動で動かすことの両方が容易になる。
【0020】
適切な実施形態では、磁石配置は、第1制動要素または第2制動要素に配置される。特に有利には、磁石配置は、第1ハウジング部および第2ハウジング部の一方に回転不能に接続された第2制動要素に配置される。有利には、制動装置に必要な設置スペースが削減され、したがって、駆動装置全体がより省スペースになるように設計されている。磁石配置によって生成され得る磁場は、軸方向に変位可能に設計された第1制動要素および第2制動要素の一方を貫通することが好ましい。結果として、制動要素の軸方向変位または第1制動要素と第2制動要素との間の制動力は、磁場強度によって有利に制御される。
【0021】
さらなる発展形態では、軸方向に変位可能に設計された第1制動要素および第2制動要素の一方が、少なくとも部分的に強磁性になるように設計されることが特に有利に提供される。それにより、磁石配置が発生する磁場によって、磁石配置が軸方向に変位可能なように設計された第1制動要素と第2制動要素の一方に軸方向の力を加えることが好都合に達成される。磁石配置の磁束、したがって制動装置の制動力は、電気制御装置を介して特に有利に制御可能である。
【0022】
駆動装置は、便宜上、ボールベアリングを備え、ボールベアリングは、スピンドルロッドの一部を半径方向に囲み、スピンドルロッドを回転可能に支持する。ボールベアリングは、スピンドルナットと制動装置との間に配置されることが特に好ましい。ボールベアリングと磁石配置との間隔により、ボールベアリングが制動装置内の磁石配置の磁場に影響を与えたり、逆に磁場がボールベアリングの金属成分に影響を与えたりすることが有利に防止される。
【0023】
駆動装置のさらなる発展形態では、ハウジングは第3ハウジング部を含む。第3ハウジング部には、スピンドルロッドを駆動するための駆動手段が配置されることが好ましい。そこでは、車両フラップおよび車体の一方にヒンジ接続するための第1締付装置が、第3ハウジング部から離れた第1ハウジング部の端部に適切に配置される。さらに、第1ハウジング部から離れた第3ハウジング部の端部に、車両ドアおよび車体の他方にヒンジするための第2締付装置が配置されることが好都合である。そこでは、第1締付装置と第2締付装置の一方がボールソケットとして設計されている。特に好ましくは、第1締付装置および第2締付装置の他方は、ボールジョイントアイ(ball joint eye)として設計される。したがって、駆動装置は、車体と、車体に対して旋回される車両フラップとの間にヒンジ式に有利に配置することができる。
【0024】
特に好ましい実施形態では、第1ハウジング部から離れた第3ハウジング部の端部は、少なくとも部分的にプラスチックからなる。有利なことに、駆動装置の全体重量はこれにより低減される。特に有利には、第3ハウジング部に面する第2締付装置の端部は、第1ハウジング部から離れ、部分的にプラスチックからなる第3ハウジング部の端部に確実に受け入れられる。特に好ましくは、第3ハウジング部に面する第2締付装置の端部のオーバーモールド(overmoulding)が提供される。有利なことに、これにより、水分などの外部の影響に対する締付装置の特に高い強度と良好なシールが得られる。
【0025】
第1ハウジング部に面する第1締付装置の端部は、少なくとも部分的に第1ハウジング部に確実に受け入れられることが好都合である。特に好ましくは、第1ハウジング部に面する第1締付装置の端部が、第1ハウジング部の開口部に押し込まれることが提供される。第1ハウジング部は、好ましくは中空円筒状であり、第1ハウジング部に面する第1締付装置の端部を同心円状に囲む。
【0026】
好ましい実施形態では、第1締付装置は、半径方向に周方向の第1溝を有し、内径に対して内向きに先細になる第1ハウジング部の一部が溝内に突出する。結果として、第1締付装置は、有利には、軸方向に第1ハウジング部にしっかりと受け入れられ、軸方向の変位に対して固定される。
【0027】
第1締付装置は、第2半径方向周方向溝を有することが好都合であり、第2半径方向周方向溝にシールリングが設けられ、このシールリングは第1ハウジング部に対して第1締付装置をシールする。したがって、湿気がハウジングに浸透することが防止されるため、有利である。
【0028】
特に好ましくは、第1ハウジング部および第2ハウジング部の他方は、スピンドルロッドの軸方向延長部と平行に延びる少なくとも1つの溝を備えることが提供される。スピンドルナットは、少なくとも1つの溝に突出する少なくとも1つの半径方向の突起を有することが好都合である。したがって、スピンドルナットの外部トルク支持が不要な駆動装置が有利に提供される。
【0029】
駆動装置のさらなる発展形態では、スピンドルナットは、少なくとも1つの溝の軸方向延長部に沿って移動可能であることが提供される。その結果、雄ねじのあるスピンドルロッドを回転させることにより、次に、スピンドルナットに設けられた雌ねじと係合しているスピンドルナットは、駆動装置またはスピンドルロッドの軸方向延長部に沿って有利に移動できる。
【0030】
少なくとも1つの溝は、少なくとも1つの放射状突起の雌型として都合よく設計されている。スピンドルナットが溝に正確に沿って案内され、スピンドルロッドを介して伝達されるトルクに関してスピンドルナットがハウジングに対して支持されることも有利である。
【0031】
駆動装置は、便宜上、駆動要素を備え、駆動要素は、第3ハウジング部に対して同心円状に駆動ハウジング内に配置される。特に有利には、駆動ハウジングは中空円筒として設計され、その外周に沿って少なくとも部分的に第3ハウジング部に溶接されることが提供される。したがって、駆動要素または受容駆動ハウジングが第3ハウジング部に特にしっかりとしっかりと配置されることが有利に達成される。さらに、特に制動装置に設けられた磁石配置の動作のために、必要な電気供給線の敷設など、さらなる取り付けオプションを実現できるという利点がある。この目的のために、駆動ハウジングの外周と第3ハウジング部の内周との間に対応するギャップが設けられ、それを通してギャップの給電線を敷設することができる。
【0032】
好都合には、第1ハウジング部は、シールリングによって第2ハウジング部に対して並進的にシールされることが提供される。その結果、第2ハウジング部に対する第1ハウジング部の変位中であっても、湿気に対する適切なシールが有利に達成される。有利な実施形態では、第2ハウジング部に対する第1ハウジング部の変位中にシールリングが軸方向に変位するのを防ぐために、シールリングは固定要素によって軸方向の変位に対して固定される。固定要素は、特に好ましくは、スライドブッシュ(sliding bush)として設計される。スライドブッシュは、ラッチ要素によって第2ハウジング部に適切に固定することができる。これにより、特に有利には、簡単な方法でシールリングを交換することが可能になる。好ましい実施形態では、シールリングは、少なくとも1つの支持リングによって軸方向の変位に対してさらに固定される。
【0033】
本発明のさらなる利点、特徴および特性は、好ましい実施形態の以下の説明および従属請求項から明らかになるであろう。ここで、添付の図面を参照して、本発明の好ましい実施形態に基づいて本発明をより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1図1は、本発明による駆動装置の実施形態の縦断面図を示す。
図2図2は、図1の駆動装置の制動装置の拡大図を示す。
図3図3は、車体部に配置され、駆動装置を有する車両フラップを示す。
【発明を実施するための形態】
【0035】
図1は、駆動装置1の好ましい実施形態の断面図である。駆動装置1は、第1ハウジング部3、第2ハウジング部4、および第3ハウジング部5を備えるハウジング2を備える。第1、第2および第3ハウジング部3、4、5はそれぞれ、互いに実質的に同心円状に配置された中空円筒として設計されている。第1ハウジング部3は鋼製であり、第2ハウジング部4から離れた第1ハウジング部3の第1端部3aは開口部を有する。この場合、第1締付装置6は、駆動装置1を車体および車両フラップの一方にヒンジ留めするための少なくとも一部で受け入れられる。
【0036】
第1締付装置6は、第1ハウジング部3から離れた端部にボールジョイントアイ6aを有する。ボールジョイントアイ6aから離れた第1締付装置6の端部6bは、第1半径方向周溝6cおよび第2半径方向周溝6dを有する。第1径方向周溝6cは、第2径方向周溝6dよりもボールジョイントアイ6a側に配置されている。第1半径方向周方向溝6cの領域において、第1ハウジング部3はテーパー3bを有し、第1締付装置6は、第1ハウジング部3に軸方向に固定されるように、このように形成された第1ハウジング部3のテーパー部3bは第1半径方向周方向溝6aに突出する。さらに、第1締付装置6の第2半径方向円周溝6dには、第1ハウジング部3に対して第1締付装置6をシールするシールリング7が設けられている。
【0037】
第1ハウジング部3は、第2ハウジング部4よりも小さい外径を有し、中空円筒状の第2ハウジング部4内に少なくとも部分的に同心円状に変位可能に収容される。第2ハウジング部4に対して第1ハウジング部3をシールするために、シール装置8が第2ハウジング部4の第1端部4aに設けられている。シール装置8は、スライドブッシュ9によって駆動装置1の軸方向に固定されている。スライドブッシュ9は、スナップフックとして設計されたラッチ要素9aを有する。シール装置8は、第2ハウジング部4の内壁4bと第1ハウジング部3の外壁3cとの間に半径方向に配置されている。密封装置8は、2つの支持リング8a、8bを備え、その間に密封リング8cが軸方向に固定されている。シールリング8cは、好ましくはXリングとして設計される。これにより、有利には、第1ハウジング部3と第2ハウジング部4とが互いに対して変位可能となり、ハウジング2への湿気または汚れの侵入がシール装置8によって防止される。
【0038】
第2ハウジング部4は、第2端部4cが第1端部4aから少なくとも部分的に第3ハウジング部5の第1端部5aに突出している。第2ハウジング部4の第2端部4cは、第3ハウジング部5の内側段部5bに当接する環状片持ち梁部4dを有する。これにより、第2ハウジング部4が第1締付装置6に向かって軸方向に確実に固定される。ボールベアリング11は、第3ハウジング部5の段部5bから離れる方向を向いた片持ち梁部4dの前面に当接している。このボールベアリングは、ハウジング2を少なくとも部分的に同心円状に貫通するスピンドルロッド12を半径方向に囲み、したがって回転可能に支持する。
【0039】
スピンドルロッド12は雄ねじ12aを有し、雄ねじ12aはスピンドルナット13の雌ねじ13aと係合している。スピンドルナット13は、第1ハウジング部3の第2端部3dに回転不能に配置されている。スピンドルロッド12の回転運動中に、スピンドルナット13は、第1ハウジング部3とともに第2ハウジング部4に対して軸方向に変位する。その中のスピンドルナット13は、第1ハウジング部3の第2端部3dに突出する第1部13bを有し、これにより、スピンドルナット13と第1ハウジング部3とが相互接続される。スピンドルナットの第2部13cは、半径方向に突出し、第2ハウジング部の内壁4bに沿って延びる溝4e内に突出する少なくとも1つの突起13dを有する。
【0040】
第1端部12bにおいて、スピンドルロッド12は、第1ハウジング部3内でスピンドルロッド12を半径方向に案内するために使用されるガイドリング14を有する。スピンドルロッド12の第2端部12cにおいて、スピンドルロッド12は、軸方向に延び、スピンドルロッド12の回転運動を駆動するために使用される複数のノッチ12dを有する。その中のスピンドルロッド12の第2端部12dは、スピンドルロッドの軸方向xに延びるノッチ12dを介して、ギア15と回転固定係合しており、ここで、歯車15は、連結ロッド16を介して駆動要素17に接続されている。駆動要素17は、中空円筒形の駆動ハウジング18に収容され、駆動ハウジング18の外壁18aは、少なくとも部分的に第3ハウジング部5の内壁5cに溶接されている。第2締付装置40は、第3ハウジング部5の第2端部5dに配置される。締付装置40は、駆動装置1を車体および車両フラップの一方にヒンジ留めできるようにボールソケットとして設計される。
【0041】
制動装置19は、歯車15とボールベアリング11との間に軸方向に設けられている。制動装置19の構造およびその動作モードは、図2を参照して以下により詳細に説明される。
【0042】
図2に、図1の駆動装置の制動装置の拡大図を示す。制動装置19は、スピンドルロッド12に回転不能に接続され、取り付けられた第1制動要素20を含み、軸方向xに関して浮動するように、スピンドルロッド12のノッチ12dに回転固定式に押し付けられたフランジハブ21上にある。その結果、制動要素20は、フランジハブ21または従動スピンドルロッド12と一緒に回転しながら、駆動装置1の軸方向に変位することができる。制動要素20は、強磁性材料で作られた第1摩擦面20aを有する環状制動ディスクとして設計されている。
【0043】
制動装置19は、第3ハウジング部5の内壁5cに回転不能に当接する第2制動要素22をさらに備える。したがって、第2制動要素22は、回転固定制動ステータとして機能し、第2制動要素22は、第1制動要素20の第1摩擦面20aに面する第2摩擦面22aを有する。ここで、第1摩擦面20aは、ここに示される制動装置19の非係合状態で第2摩擦面22aに接触しない。第2制動要素22は、磁石配置23が収容される環状空洞22bを有する。
【0044】
磁石配置23は、電磁石24と永久磁石25とを備え、これらは駆動装置1の軸方向に連続して配置されている。その中の永久磁石25は、電磁石24よりも第1制動要素20からさらに離れている。電磁石24は、電力供給ライン26を介して給電される。電気供給ライン25は、駆動ハウジング18の外周18aと第3ハウジング部5の内壁5cとの間のギャップ27内に延びている。制動装置19の動作モードを、図2に示す実施形態を参照して以下に説明する。
【0045】
図2に示す状態では、第1制動要素20は、第1摩擦面20aと第2摩擦面22aとが接触しないほど下方に変位している。設計に応じて、この状態は、永久磁石25の磁場が方向付けられている場合、強磁性制動要素20は永久磁石25により反発されるように、電磁石24の非通電状態で存在し得る。しかしながら、この場合、永久磁石25の磁場は、好ましくは、第1制動要素20が第2制動要素22に向かって引き付けられるように配向される。制動装置19の図示の非係合状態は、永久磁石25によって生成される磁場と反対方向の磁束によって達成され、この磁束は電磁石24によって生成される。
【0046】
車両ドアの旋回中に増加した制動力が必要な場合、第1制動要素20の第1摩擦面20aと第2制動要素22の第2摩擦面22aとが接触するように、電磁石24はオフにされる。ここで生じる摩擦力により、第1制動要素20に回転不能に連結されたスピンドルロッド12の回転運動は減速される。制動力をさらに増加する必要がある場合、電磁石24は、電磁石24によって生成された磁束が第2制動要素22に向かう第1制動要素20の増加した吸引力を提供するように逆方向に電力を供給される。
【0047】
図3は、車体部70に旋回可能に配置され、駆動装置101を備える車両フラップ80を示す。この場合、駆動装置101は、第1端部103aが第2端部105dに対して変位すると、車両フラップ80が枢動するように、第1端部103aで車体部70に、第2端部105dで車両フラップ80にヒンジ式に接続される。この目的のために、駆動装置101の第1端部103aは、車両ドア80の凹部71を通して案内される。
【0048】
駆動装置は、第1制動要素のみが軸方向に移動できる実施形態を参照して上記で開示された。追加的または代替的に、第2制動要素を浮動式に取り付けることができ、第2制動要素は依然としてハウジングに対して回転固定されたままであり、第1制動要素はスピンドルロッドと共に回転する。
【0049】
駆動装置は、実施形態を参照して上に開示されており、この装置では、ハウジング部は、少なくとも部分的に、互いに突き出ており、互いに対してシールされている。したがって、ハウジング部は、ハウジング部で構成されるハウジングが駆動装置のほぼ全長を包むように細長い。ハウジング部品は、スピンドルロッドとスピンドルナットのみを包むようなコンパクトな設計を有してもよいことを理解しなければならない。ハウジングの部品は、互いに密閉する必要はない。その結果、駆動装置の自重と材料費を削減できる。
図1
図2
図3