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<図1>
  • 特許-変性トリアジン機能性化合物 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-12
(45)【発行日】2023-01-20
(54)【発明の名称】変性トリアジン機能性化合物
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/0567 20100101AFI20230113BHJP
   H01G 9/20 20060101ALI20230113BHJP
   H01G 11/52 20130101ALI20230113BHJP
   H01G 11/60 20130101ALI20230113BHJP
   H01G 11/64 20130101ALI20230113BHJP
   H01M 4/36 20060101ALI20230113BHJP
   H01M 4/38 20060101ALI20230113BHJP
   H01M 4/485 20100101ALI20230113BHJP
   H01M 4/505 20100101ALI20230113BHJP
   H01M 4/525 20100101ALI20230113BHJP
   H01M 4/58 20100101ALI20230113BHJP
   H01M 4/587 20100101ALI20230113BHJP
   H01M 6/16 20060101ALI20230113BHJP
   H01M 10/054 20100101ALI20230113BHJP
   H01M 10/0568 20100101ALI20230113BHJP
   H01M 10/0569 20100101ALI20230113BHJP
   H01M 12/08 20060101ALI20230113BHJP
   H01M 50/417 20210101ALI20230113BHJP
   H01M 50/42 20210101ALI20230113BHJP
   H01M 50/423 20210101ALI20230113BHJP
   H01M 50/426 20210101ALI20230113BHJP
   H01M 50/429 20210101ALI20230113BHJP
【FI】
H01M10/0567
H01G9/20 107B
H01G9/20 107C
H01G11/52
H01G11/60
H01G11/64
H01M4/36 C
H01M4/38 Z
H01M4/485
H01M4/505
H01M4/525
H01M4/58
H01M4/587
H01M6/16 A
H01M10/054
H01M10/0568
H01M10/0569
H01M12/08 K
H01M50/417
H01M50/42
H01M50/423
H01M50/426
H01M50/429
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2020501472
(86)(22)【出願日】2018-07-17
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-09-17
(86)【国際出願番号】 US2018042548
(87)【国際公開番号】W WO2019018435
(87)【国際公開日】2019-01-24
【審査請求日】2021-06-29
(31)【優先権主張番号】62/533,270
(32)【優先日】2017-07-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518343040
【氏名又は名称】ノームズ テクノロジーズ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】モガンティー、シュリヤ、エス.
(72)【発明者】
【氏名】アッバッテ、ルイジ
(72)【発明者】
【氏名】シニクロピ、ジョン
(72)【発明者】
【氏名】トーレス、ガブリエル
(72)【発明者】
【氏名】ブラウン、ケビン
(72)【発明者】
【氏名】ウー、ユエ
【審査官】結城 佐織
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-134283(JP,A)
【文献】国際公開第2015/016283(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第106229548(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/0567
H01G 9/20
H01G 11/52
H01G 11/60
H01G 11/64
H01M 4/38
H01M 4/505
H01M 4/525
H01M 4/58
H01M 4/587
H01M 6/16
H01M 10/0568
H01M 10/0569
H01M 12/08
H01M 50/417
H01M 50/42
H01M 50/426
H01M 50/429
H01M 10/054
H01M 4/36
H01M 4/485
H01M 50/423
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気エネルギー貯蔵装置用電解質であって、
a)非プロトン性有機溶媒系と、
b)アルカリ金属塩と
)以下の式によるトリアジン部分を含む変性化合物
【化1】

とを含む、
電気エネルギー貯蔵装置用電解質。
【請求項2】
前記非プロトン性有機溶媒が、開鎖若しくは環状カーボナート、カルボン酸エステル、ニトライト、エーテル、スルホン、ケトン、ラクトン、ジオキソラン、グライム、クラウンエーテル、シロキサン、リン酸エステル、ホスファイト、モノ若しくはポリホスファゼン又はそれらの混合物を含む、請求項1に記載の電解質。
【請求項3】
前記アルカリ金属塩のカチオンが、リチウム、ナトリウム、アルミニウム又はマグネシウムを含む、請求項1に記載の電解質。
【請求項4】
c)添加剤、をさらに含み、前記添加剤が、硫黄含有化合物、リン含有化合物、ホウ素含有化合物、シリコン含有化合物、フッ素含有化合物、窒素含有化合物、少なくとも1つの不飽和炭素-炭素結合を含有する化合物、カルボン酸無水物又はそれらの混合物を含む、請求項1に記載の電解質。
【請求項5】
前記添加剤が、前記電解質中で約0.1重量%~約5重量%の濃度を有する、請求項に記載の電解質。
【請求項6】
イオン液体をさらに含む、請求項1に記載の電解質。
【請求項7】
前記イオン液体が、N-アルキル-N-アルキル-ピロリジニウム、N-アルキル-N-アルキル-ピリジニウム、N-アルキル-N-アルキル-スルホニウム、N-アルキル-N-アルキル-アンモニウム又はN-アルキル-N-アルキル-ピペリジニウムを含む有機カチオンを含む、請求項6に記載の電解質。
【請求項8】
前記イオン液体が、テトラフルオロボラート、ヘキサフルオロホスファート、ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、ビス(ペンタフルオロエチルスルホニル)イミド又はトリフルオロアセタートを含むアニオンを含む、請求項6に記載の電解質。
【請求項9】
電気エネルギー貯蔵装置であって、
カソードと、
アノードと、
請求項1に記載の電解質とを含む電気エネルギー貯蔵装置。
【請求項10】
前記カソードが、リチウム金属酸化物、スピネル、オリビン、炭素被覆オリビン、LiFePO、LiCoO、LiNiO、LiNi1xCoMet、LiMn0.5Ni0.5、LiMn0.3Co0.3Ni0.3、LiMn、LiFeO、Li1+x’NiαMnβCoγMet’δ2-z’z’、An’(XO(NASICON)、酸化バナジウム、過酸化リチウム、硫黄、ポリスルフィド、一フッ化炭素リチウム又はその任意の2つ以上の混合物を含み、式中、MetはAl、Mg、Ti、B、Ga、Si、Mn又はCoであり、Met’はMg、Zn、Al、Ga、B、Zr又はTiであり、AはLi、Ag、Cu、Na、Mn、Fe、Co、Ni、Cu又はZnであり、BはTi、V、Cr、Fe又はZrであり、XはP、S、Si、W又はMoであり、式中、0≦x≦0.3、0≦y≦0.5、0≦z≦0.5、0≦x’≦0.4、0≦α≦1、0≦β≦1、0≦γ≦1、0≦δ≦0.4、0≦z’≦0.4及び0≦h’≦3である、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記アノードが、リチウム金属、黒鉛状材料、アモルファス炭素、LiTi12、スズ合金、シリコン合金、金属間化合物又はそれらの混合物を含む、請求項9に記載の装置。
【請求項12】
前記装置が、リチウム電池、リチウムイオン電池、リチウム硫黄電池、リチウム空気電池、ナトリウムイオン電池、マグネシウム電池、電気化学セル、キャパシタ、リチウム/MnO電池、Li/ポリ(一フッ化炭素)電池又は太陽電池を含む、請求項9に記載の装置。
【請求項13】
前記アノードとカソードとを互いに分離する多孔質セパレータをさらに含む、請求項9に記載の装置。
【請求項14】
前記多孔質セパレータが、電子ビーム処理された微多孔性ポリオレフィンセパレータ、又はナイロン、セルロース、ニトロセルロース、ポリスルホン、ポリアクリロニトリル、ポリフッ化ビニリデン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリブテン、若しくは任意の2つ以上のそのようなポリマーのコポリマー若しくはブレンドを含む微多孔性ポリマーフィルムを含む、請求項13に記載の装置。
【請求項15】
前記非プロトン性有機溶媒が、開鎖若しくは環状カーボナート、カルボン酸エステル、ニトライト、エーテル、スルホン、ケトン、ラクトン、ジオキソラン、グライム、クラウンエーテル、シロキサン、リン酸エステル、ホスファイト、モノ若しくはポリホスファゼン又はそれらの混合物を含む、請求項9に記載の装置。
【請求項16】
前記アルカリ金属塩のカチオンが、リチウム、ナトリウム、アルミニウム又はマグネシウムを含む、請求項9に記載の装置。
【請求項17】
前記電解質が、c)添加剤、をさらに含み、前記添加剤が、硫黄含有化合物、リン含有化合物、ホウ素含有化合物、シリコン含有化合物、フッ素含有化合物、窒素含有化合物、少なくとも1つの不飽和炭素-炭素結合を含有する化合物、カルボン酸無水物又はそれらの混合物を含む、請求項9に記載の装置。
【請求項18】
イオン液体をさらに含む、請求項9に記載の装置。
【請求項19】
前記イオン液体が、N-アルキル-N-アルキル-ピロリジニウム、N-アルキル-N-アルキル-ピリジニウム、N-アルキル-N-アルキル-スルホニウム、N-アルキル-N-アルキル-アンモニウム又はN-アルキル-N-アルキル-ピペリジニウムを含む有機カチオンを含む、請求項18に記載の装置。
【請求項20】
前記イオン液体が、テトラフルオロボラート、ヘキサフルオロホスファート、ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、ビス(ペンタフルオロエチルスルホニル)イミド又はトリフルオロアセタートを含むアニオンを含む、請求項18に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
<関連出願の相互参照>
本出願は、2017年7月17日に出願された米国仮特許出願第62/533270号明細書の出願日の利益を主張し、参照によりその全体を本明細書に組み込む。
【0002】
本開示は、トリアジン部分(triazine moiety)を含むリン含有難燃性材料、その材料を含有する電解質、及びその電解質を含有する電気エネルギー貯蔵装置に関する。
【背景技術】
【0003】
室温イオン液体(IL)の合成及び電気化学分析の最近の進歩により、次世代リチウムイオン電池用の電解質として、このユニークなクラスの材料の有望性が確立された。ILは、100°C未満の融点を有する有機塩であり、一般に嵩高いカチオンと無機アニオンとから構成されている。カチオンサイズが大きいため、電荷の非局在化及びスクリーニングが可能になり、その結果、格子エネルギーが低下し、それによって融点又はガラス転移温度が低下する。ILには、無視できる程度の蒸気圧、不燃性、良好な室温イオン導電率、広い電位窓(electrochemical window)、並びに好ましい化学的安定性及び熱的安定性などのユニークな物理化学的特性がある。これらの特性は、リチウム電池用のILベース電解質を提供するのに望ましい。
【0004】
ただし、乱用状態又は通常状態でのリチウムイオン電池の燃焼性などの安全性の課題は依然として存在する。Zhangらの米国特許第8,697,291号明細書は、トリアジン系添加剤を含有する電解質組成物の使用を教示しているが、イオン液体の使用については言及していない。したがって、難燃性を有する新規のイオン液体をリチウムイオン電池に組み込む必要がある。
【発明の概要】
【0005】
本開示は、トリアジン部分を含むリン含有難燃性材料、及びそれを含有する電気化学セル用電解質に関する。
【0006】
本開示の一態様によれば、蓄電装置に使用するための電解質が提供され、電解質は、非プロトン性有機溶媒と、アルカリ金属塩と、添加剤と、少なくとも1つのトリアジン部分を含有するイオン液体化合物とを含む。
【0007】
本開示の別の態様によれば、電気エネルギー貯蔵装置内の電解質が提供され、電解質は、非プロトン性有機溶媒と、アルカリ金属塩と、添加剤と、トリアジン部分を含むリン含有難燃性材料とを含み、有機溶媒は、開鎖若しくは環状カーボナート、カルボン酸エステル、ニトライト(nitrites)、エーテル、スルホン、スルホキシド、ケトン、ラクトン、ジオキソラン、グライム(glymes)、クラウンエーテル、シロキサン、リン酸エステル、ホスファート、ホスファイト、モノ若しくはポリホスファゼン又はそれらの混合物である。
【0008】
本開示の別の態様によれば、電気エネルギー貯蔵装置内の電解質が提供され、電解質は、非プロトン性有機溶媒と、アルカリ金属塩と、添加剤と、トリアジン部分を含むリン含有難燃性材料とを含み、アルカリ金属塩のカチオンは、リチウム、ナトリウム、アルミニウム又はマグネシウムである。
【0009】
本開示の別の態様によれば、電気エネルギー貯蔵装置内の電解質が提供され、電解質は、非プロトン性有機溶媒と、アルカリ金属塩と、添加剤と、トリアジン部分を含むリン含有難燃性材料とを含み、添加剤は、硫黄含有化合物、リン含有化合物、ホウ素含有化合物、シリコン含有化合物、少なくとも1つの不飽和炭素-炭素結合を含有する化合物、カルボン酸無水物又はそれらの混合物を含有する。
【0010】
本開示のこれら及び他の態様は、以下の詳細な説明及び添付の特許請求の範囲を検討することによって明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】比較例0の電解質と、変性トリアジン化合物を含む電解質(例1)との室温サイクル寿命比較である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本開示は、少なくとも1つのカチオン及び少なくとも1つのアニオンを含むイオン液体化合物に関し、少なくとも1つのカチオンは、少なくとも1つのトリアジン部分に共有結合している。
【0013】
一実施形態では、電気エネルギー貯蔵装置用電解質は、a)非プロトン性有機溶媒系(aprotic organic solvent system)と、b)アルカリ金属塩と、c)添加剤と、d)トリアジン部分を含むリン含有難燃性材料とを含む。
【0014】
一実施形態では、変性(modified)難燃性材料は、以下の式によるトリアジン部分を含み、
【化1】

式中、
Rは、環上の水素原子のうちの少なくとも1つがハロゲン、アルキル、アルコキシ、シリル、アミド、スルホキシド基、過フッ素化アルキル、シラン、スルホキシド、アゾ、エーテル若しくはチオエーテル基又はそれらの組合せで置換されたフェニル環であり、
Qは、アルケニル、アルキルシロキシ、シリル、チオエーテル、スルホキシド、アゾ、アミノ又はシラン基であり、
Xは、(a)C-Cアルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、エステル、カルボニル、フェニル、チオエーテル、スルホキシド、アゾ若しくはアリール基を含むリンカーであり、その中の炭素又は水素原子のいずれかは、場合により、ハロゲン化物でさらに置換されているリンカー、(b)O、S、N若しくはC、又は(c)リンカーに付加されたO、S、N若しくはCである。
【0015】
一実施形態では、変性難燃性材料は、電解質の約0.01重量%~約50重量%の量で存在する。
【0016】
一実施形態では、電解質はリチウム塩を含む。例えば、Li[CFCO]、Li[CCO]、Li[ClO]、Li[BF]、Li[AsF]、Li[PF]、Li[PF(C]、Li[PF]、Li[CFSO]、Li[N(CPSO]、Li[C(CFSO]、Li[N(SO]、リチウムアルキルフルオロホスファート、Li[B(C]、Li[BF]、Li[B1212-j]、Li[B1010-j’j’]又はそれらの任意の2つ以上の混合物を含む様々なリチウム塩が使用されてもよく、式中、Zは、出現ごとに独立してハロゲンであり、jは0~12の整数であり、j’は1~10の整数である。
【0017】
リチウムイオン電池用の配合物など、本電解質のいくつかの用途では、非プロトン性溶媒と、トリアジン部分を含む本リン含有難燃性材料とを組み合わせて、粘度を低下させ、電解質の導電率を高める。環状炭酸エステル、直鎖炭酸エステル、リン酸エステル、オリゴエーテル置換シロキサン/シラン、環状エーテル、鎖状エーテル、ラクトン化合物、鎖状エステル、ニトリル化合物、アミド化合物、スルホン化合物、シロキサン、リン酸エステル、ホスファート、ホスファイト、モノ又はポリホスファゼンなどを含む最も適切な非プロトン性溶媒は、交換可能なプロトンを欠く。これらの溶媒は、単独で使用してもよく、それらのうちの少なくとも2つを混合して使用してもよい。電解質系を形成するための非プロトン性溶媒又は担体の例には、限定するものではないが、ジメチルカーボナート、エチルメチルカーボナート、ジエチルカーボナート、メチルプロピルカーボナート、エチルプロピルカーボナート、ジプロピルカーボナート、ビス(トリフルオロエチル)カーボナート、ビス(ペンタフルオロプロピル)カーボナート、トリフルオロエチルメチルカーボナート、ペンタフルオロエチルメチルカーボナート、ヘプタフルオロプロピルメチルカーボナート、パーフルオロブチルメチルカーボナート、トリフルオロエチルエチルカーボナート、ペンタフルオロエチルエチルカーボナート、ヘプタフルオロプロピルエチルカーボナート、パーフルオロブチルエチルカーボナートなど、フッ素化オリゴマー、メチルプロピオナート、エチルプロピオナート、ブチルプロピオナート、ジメトキシエタン、トリグライム、ジメチルビニレンカーボナート、テトラエチレングリコール、ジメチルエーテル、ポリエチレングリコール、トリフェニルホスファート、トリブチルホスファート、ヘキサフルオロシクロトリホスファゼン、2-エトキシ-2,4,4,6,6-ペンタフルオロ-1,3,5,2-5,4-5,6-5トリアザトリホスフィニン、トリフェニルホスファイト、スルホラン、ジメチルスルホキシド、エチルメチルスルホン、エチルビニルスルホン、アリルメチルスルホン、ジビニルスルホン、フルオロフィネルメチルスルホン(fluorophynelmethyl sulfone)及びガンマブチロラクトンが挙げられる。
【0018】
一実施形態では、電解質は、電極を劣化から保護する添加剤をさらに含む。したがって、本技術の電解質は、負極の表面上で還元又は重合して負極の表面上でパッシベーション膜を形成する添加剤を含んでもよい。同様に、電解質は、正極の表面で酸化又は重合して正極の表面上でパッシベーション膜を形成することができる添加剤を含むことができる。さらに、電解質は、水、酸及び望ましくない金属イオンの掃去剤として作用する添加剤を含んでもよい。一実施形態では、本技術の電解質は、3つの種類の添加剤の混合物をさらに含む。
【0019】
一実施形態では、添加剤は、少なくとも1つの酸素原子及び少なくとも1つのアリール、アルケニル又はアルキニル基を含む置換又は非置換の直鎖、分岐又は環状炭化水素である。このような添加剤から形成される不動態化膜は、置換アリール化合物又は置換若しくは非置換ヘテロアリール化合物から形成されてもよく、ここで添加剤は少なくとも1つの酸素原子を含む。
【0020】
代表的な添加剤には、グリオキサールビス(ジアリルアセタール)、テトラ(エチレングリコール)ジビニルエーテル、1,3,5-トリアリル-1,3,5-トリアジン-2,4,6(1H,3H,5H)-トリオン、1,3,5,7-テトラビニル-1,3,5,7-テトラメチルシクロテトラシロキサン、2,4,6-トリアリルオキシ-1,3,5-トリアジン、1,3,5-トリアクリロイルヘキサヒドロ-1,3,5-トリアジン、1,2-ジビニルフロアート、1,3-ブタジエンカーボナート、1-ビニルアゼチジン-2-オン、1-ビニルアジリジン-2-オン、1-ビニルピペリジン-2-オン、1ビニルピロリジン-2-オン、2,4-ジビニル-1,3-ジオキサン、2-アミノ-3-ビニルシクロヘキサノン、2-アミノ-3-ビニルシクロプロパノン、2アミノ-4-ビニルシクロブタノン、2-アミノ-5-ビニルシクロペンタノン、2-アリールオキシ-シクロプロパノン、2-ビニル-[1,2]オキサゼチジン、2ビニルアミノシクロヘキサノール、2-ビニルアミノシクロプロパノン、2-ビニルオキセタン、2-ビニルオキシ-シクロプロパノン、3-(N-ビニルアミノ)シクロヘキサノン、3,5-ジビニルフロアート、3-ビニルアゼチジン-2-オン、3ビニルアジリジン-2-オン、3-ビニルシクロブタノン、3-ビニルシクロペンタノン、3-ビニルオキサジリジン、3-ビニルオキセタン、3-ビニルピロリジン-2-オン、2-ビニル-1,3-ジオキソラン、アクロレインジエチルアセタール、アクロレインジメチルアセタール、4,4-ジビニル-3-ジオキソラン-2-オン、4-ビニルテトラヒドロピラン、5-ビニルピペリジン-3-オン、アリルグリシジルエーテル、ブタジエンモノオキシド、ブチル-ビニル-エーテル、ジヒドロピラン-3-オン、ジビニルブチルカーボナート、ジビニルカーボナート、ジビニルクロトナート、ジビニルエーテル、ジビニルエチレンカーボナート、ジビニルエチレンシリカート、ジビニルエチレンスルファート、ジビニルエチレンサルファイト、ジビニルメトキシピラジン、ジビニルメチルホスファート、ジビニルプロピレンカーボナート、エチルホスファート、メトキシ-o-テルフェニル、メチルホスファート、オキセタン-2-イル-ビニルアミン、オキシラニルビニルアミン、ビニルカーボナート、ビニルクロトナート、ビニルシクロペンタノン、ビニルエチル-2-フロアート、ビニルエチレンカーボナート、ビニルエチレンシリカート、ビニルエチレンスルファート、ビニルエチレンサルファイト、ビニルメタクリラート、ビニルホスファート、ビニル-2-フロアート、ビニルシクロプロパノン、ビニルエチレンオキシド、β-ビニル-γ-ブチロラクトン又はそれらの任意の2つ以上の混合物が挙げられる。いくつかの実施形態では、添加剤は、F、アルキルオキシ、アルケニルオキシ、アリールオキシ、メトキシ、アリルオキシ基又はそれらの組合せで置換されたシクロトリホスファゼンであってよい。例えば、添加剤は、(ジビニル)-(メトキシ)(トリフルオロ)シクロトリホスファゼン、(トリビニル)(ジフルオロ)(メトキシ)シクロトリホスファゼン、(ビニル)(メトキシ)(テトラフルオロ)シクロトリホスファゼン、(アリールオキシ)(テトラフルオロ)(メトキシ)シクロトリホスファゼン又は(ジアリールオキシ)(トリフルオロ)(メトキシ)シクロトリホスファゼン化合物又は2つ以上のそのような化合物の混合物であってよい。いくつかの実施形態では、添加剤は、ビニルエチレンカーボナート、ビニルカーボナート若しくは1,2-ジフェニルエーテル又は任意の2つ以上のそのような化合物の混合物である。
【0021】
他の代表的な添加剤には、フェニル、ナフチル、アントラセニル、ピロリル、オキサゾリル、フラニル、インドリル、カルバゾリル、イミダゾリル、チオフェニル、フッ素化カーボナート、スルトン、スルフィド、無水物、シラン、シロキシ、ホスファート又はホスファイト基を有する化合物が挙げられる。例えば、添加剤は、フェニルトリフルオロメチルスルフィド、フルオロエチレンカーボナート、1,3,2-ジオキサチオラン2,2-ジオキシド、1-プロペン1,3-スルトン、1,3-プロパンスルトン、1,3-ジオキソラン-2-オン、4-[(2,2,2-トリフルオロエトキシ)メチル]、1,3-ジオキソラン-2-オン、4-[[2,2,2-トリフルオロ-1-(トリフルオロメチル)エトキシ]メチル]-、メチル2,2,2-トリフルオロエチルカーボナート、ノナフルオロヘキシルトリエトキシシラン、オクタメチルトリシロキサン、メチルトリス(トリメチルシロキシ)シラン、テトラキス(トリメチルシロキシ)シラン、(トリデカフルオロ-1,1,2,2-テトラヒドロオクチル)トリエトキシシラン、トリス(1H.1H-ヘプタフルオロブチル)ホスファート、3,3,3-トリフルオロプロピルトリス(3,3,3-トリフルオロプロピルジメチルシロキシ)シラン、(3,3,3-トリフルオロプロピル)トリメトキシシラン、トリメチルシリルトリフルオロメタンスルホナート、トリス(トリメチルシリル)ボラート、トリプロピルホスファート、ビス(トリメチルシリルメチル)ベンジルアミン、フェニルトリス(トリメチルシロキシ)シラン、1,3-ビス(トリフルオロプロピル)テトラメチルジシロキサン、トリフェニルホスファート、トリス(トリメチルシリル)ホスファート、トリス(1H.1H,5H-オクタフルオロペンチル)ホスファート、トリフェニルホスファイト、トリラウリルトリチオホスファイト、トリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイト、トリ-p-トリルホスファイト、トリス(2,2,3,3,3-ペンタフルオロプロピル)ホスファート、無水コハク酸、1,5,2,4-ジオキサジチアン2,2,4,4-テトラオキシド、トリプロピルトリチオホスファート、アリールオキシピロール(aryloxpyrrole)、アリールオキシエチレンスルファート、アリールオキシピラジン、アリールオキシ-カルバゾールトリビニルホスファート、アリールオキシ-エチル-2-フロアート、アリールオキシ-o-テルフェニル、アリールオキシ-ピリダジン、ブチル-アリールオキシ-エーテル、ジビニルジフェニルエーテル、(テトラヒドロフラン-2-イル)-ビニルアミン、ジビニルメトキシビピリジン、メトキシ-4-ビニルビフェニル、ビニルメトキシカルバゾール、ビニルメトキシピペリジン、ビニルメトキシピラジン、ビニルメチルカーボナート-アリルアニソール、ビニルピリダジン、1-ジビニルイミダゾール、3-ビニルテトラヒドロフラン、ジビニルフラン、ジビニルメトキシフラン、ジビニルピラジン、ビニルメトキシイミダゾール、ビニルメトキシピロール、ビニル-テトラヒドロフラン、2,4-ジビニルイソオキサゾール、3,4ジビニル-1-メチルピロール、アリールオキシオキセタン、アリールオキシ-フェニルカーボナート、アリールオキシ-ピペリジン、アリールオキシ-テトラヒドロフラン、2-アリール-シクロプロパノン、2-ジアリールオキシ-フロアート、4-アリルアニソール、アリールオキシ-カルバゾール、アリールオキシ-2-フロアート、アリールオキシ-クロトナート、アリールオキシ-シクロブタン、アリールオキシ-シクロペンタノン、アリールオキシ-シクロプロパノン、アリールオキシ-シクロホスファゼン、アリールオキシ-エチレンシリカート、アリールオキシ-エチレンスルファート、アリールオキシ-エチレンサルファイト、アリールオキシ-イミダゾール、アリールオキシ-メタクリラート、アリールオキシ-ホスファート、アリールオキシ-ピロール、アリールオキシキノリン、ジアリールオキシシクロトリホスファゼン、ジアリールオキシエチレンカーボナート、ジアリールオキシフラン、ジアリールオキシメチルホスファート、ジアリールオキシ-ブチルカーボナート、ジアリールオキシ-クロトナート、ジアリールオキシ-ジフェニルエーテル、ジアリールオキシ-エチルシリカート、ジアリールオキシ-エチレンシリカート、ジアリールオキシ-エチレンスルファート、ジアリールオキシエチレンサルファイト、ジアリールオキシ-フェニルカーボナート、ジアリールオキシ-プロピレンカーボナート、ジフェニルカーボナート、ジフェニルジアリールオキシシリカート、ジフェニルジビニルシリカート、ジフェニルエーテル、ジフェニルシリカート、ジビニルメトキシジフェニルエーテル、ジビニルフェニルカーボナート、メトキシカルバゾール、又は2,4-ジメチル-6-ヒドロキシ-ピリミジン、ビニルメトキシキノリン、ピリダジン、ビニルピリダジン、キノリン、ビニルキノリン、ピリジン、ビニルピリジン、インドール、ビニルインドール、トリエタノールアミン、1,3-ジメチルブタジエン、ブタジエン、ビニルエチレンカーボナート、ビニルカーボナート、イミダゾール、ビニルイミダゾール、ピペリジン、ビニルピペリジン、ピリミジン、ビニルピリミジン、ピラジン、ビニルピラジン、イソキノリン、ビニルイソキノリン、キノキサリン、ビニルキノキサリン、ビフェニル、1,2-ジフェニルエーテル、1,2-ジフェニルエタン、oテルフェニル、N-メチルピロール、ナフタレン、又は任意の2つ以上のそのような化合物の混合物であってよい。
【0022】
一実施形態では、本技術の電解質は、非プロトン性ゲルポリマー担体/溶媒を含む。好適なゲルポリマー担体/溶媒には、ポリエーテル、ポリエチレンオキシド、ポリイミド、ポリホスファジン、ポリアクリロニトリル、ポリシロキサン、ポリエーテルグラフトポリシロキサン、上述のものの誘導体、上述のもののコポリマー、上述のものの架橋及び網状構造体、上述のもののブレンドなどが挙げられ、これに好適なイオン性電解質塩が添加される。他のゲルポリマー担体/溶媒には、ポリプロピレンオキシド、ポリシロキサン、スルホン化ポリイミド、過フッ素化膜(ナフィオン樹脂)、ジビニルポリエチレングリコール、ポリエチレングリコール-ビス-(メチルアクリラート)、ポリエチレングリコール-ビス(メチルメタクリラート)、上述のものの誘導体、上述のもののコポリマー並びに上述のものの架橋及び網状構造体から誘導されたポリマーマトリックスから調製されたものが挙げられる。
【0023】
塩を含有する電解液は導電性が高く、有機溶媒への溶解性が高く、電気化学装置用の電解液として使用するのに適している。電気化学装置の例は、電気二重層キャパシタ、二次電池、顔料増感剤型太陽電池、エレクトロクロミック装置及びコンデンサであるが、この列挙に限定されるものではない。電気化学装置として特に適しているのは、電気二重層キャパシタ及び二次電池、例えばリチウムイオン電池である。
【0024】
さらに別の態様では、カソードと、アノードと、本明細書に記載のトリアジンを含有する変性イオン液体を含む電解質とを含む電気化学装置が提供される。一実施形態では、電気化学装置はリチウム二次電池である。一実施形態では、二次電池は、リチウム電池、リチウムイオン電池、リチウム硫黄電池、リチウム空気電池、ナトリウムイオン電池又はマグネシウム電池である。一実施形態では、電気化学装置は、キャパシタなどの電気化学セルである。一実施形態では、キャパシタは非対称キャパシタ又はスーパーキャパシタである。一実施形態では、電気化学セルは一次電池である。一実施形態では、一次電池は、リチウム/MnO電池又はLi/ポリ(一フッ化炭素)電池である。一実施形態では、電気化学セルは太陽電池である。
【0025】
好適なカソードには、限定するものではないが、リチウム金属酸化物、スピネル、オリビン、炭素被覆オリビン、LiFePO、LiCoO、LiNiO、LiNi1xCoMet、LiMn0.5Ni0.5、LiMn0.3Co0.3Ni0.3、LiMn、LiFeO、Li1+x’NiαMnβCoγMet’δ2-z’z’、An’(XO(NASICON)、酸化バナジウム、過酸化リチウム、硫黄、ポリスルフィド、一フッ化炭素リチウム(LiCFxとしても知られる)又はその任意の2つ以上の混合物などのカソードが挙げられ、式中、MetはAl、Mg、Ti、B、Ga、Si、Mn又はCoであり、Met’はMg、Zn、Al、Ga、B、Zr又はTiであり、AはLi、Ag、Cu、Na、Mn、Fe、Co、Ni、Cu又はZnであり、BはTi、V、Cr、Fe又はZrであり、XはP、S、Si、W又はMoであり、式中、0≦x≦0.3、0≦y≦0.5、0≦z≦0.5、0≦x’≦0.4、0≦α≦1、0≦β≦1、0≦γ≦1、0≦δ≦0.4、0≦z’≦0.4及び0≦h’≦3である。いくつかの実施形態によれば、スピネルは、Li1+xMn2-zMet’’’4-mX’の式を有するスピネルマンガン酸化物であり、式中、Met’’’はAl、Mg、Ti、B、Ga、Si、Ni又はCoであり、X’はS又はFであり、式中、0≦x≦0.3、0≦y≦0.5、0≦z≦0.5、0≦m≦0.5及び0≦n≦0.5である。一実施形態では、オリビンは、Li1+xFe1zMet’’PO4-mX’の式を有し、式中、Met’’は、Al、Mg、Ti、B、Ga、Si、Ni、Mn又はCoであり、X’はS又はFであり、式中、0≦x≦0.3、0≦y≦0.5、0≦z≦0.5、0≦m≦0.5及び0≦n≦0.5である。
【0026】
好適なアノードには、リチウム金属、黒鉛状材料、アモルファス炭素、LiTi12、スズ合金、シリコン合金、金属間化合物又は任意の2つ以上のそのような材料の混合物などのアノードが挙げられる。好適な黒鉛状材料には、天然黒鉛、人工黒鉛、黒鉛化メソカーボンマイクロビーズ(MCMB)及び黒鉛繊維並びに任意のアモルファス炭素材料が挙げられる。いくつかの実施形態では、アノードとカソードとは、多孔質セパレータによって互いに分離される。
【0027】
リチウム電池のセパレータは、多くの場合、微多孔性ポリマーフィルムである。フィルムを形成するためのポリマーの例には、ナイロン、セルロース、ニトロセルロース、ポリスルホン、ポリアクリロニトリル、ポリフッ化ビニリデン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリブテン又は任意の2つ以上のそのようなポリマーのコポリマー若しくはブレンドが挙げられる。いくつかの場合では、セパレータは、電子ビーム処理された微多孔性ポリオレフィンセパレータである。電子処理は、セパレータの変形温度を改善することができ、それに応じて、セパレータの高温性能を向上させることができる。追加的又は代替的に、セパレータはシャットダウンセパレータであってよい。シャットダウンセパレータは、電気化学セルが約130°Cまでの温度で動作することができるように、約130°Cを超えるトリガ温度を有することができる。
【0028】
本開示は、以下の具体的な例を参照してさらに説明される。これらの例は例示として与えられ、本開示又は後述の特許請求の範囲を限定することを意図していないことを理解されたい。
【実施例
【0029】
<例1> 4-フルオロフェニル-ジメトキシトリアジンの合成
【化2】
【0030】
磁気撹拌棒を備えた20mLバイアルに、4-フルオロフェノールをDCM(10mL)中に溶解させた。ピペットを用いてトリエチルアミンを加え、混合物を10分間撹拌した。
【0031】
室温で撹拌しながら、2-クロロ-4,6-ジメトキシ-1,3,5-トリアジンをDCM(5mL)中に部分的に溶解させ、加えた。温度上昇は観察されなかった。混合物を44℃で1時間加熱した。混合物はゆっくりと無色になり、混濁し、白色固体ppt(トリエチルアミン-HCl)が急速に形成された。混合物をゆっくりと室温に戻し、1時間撹拌した。
【0032】
DI水(2×20mL)を加え、有機相をDCM(10mL)に抽出し、分離し、MgSO4上で乾燥させ、回転蒸発により溶媒をストリップした。収量:無色油状物、2.4g(99%)。
【0033】
NMR:(CDCl3)δppm 7.14(m,2H),7.10(t,2H),4.00(s,6H).
【0034】
19 NMR:(CDCl3)δppm -116.73(s).未反応のフルオロフェノールが存在する。
【0035】
油状物は放置すると結晶化して白色固体になり、これを試薬アルコール中でスラリー化し、真空濾過により収集した。収量:白色固体、1.1g(50%)。H NMR:(CDCl3)δppm 7.14(m,2H),7.08(t,2H),4.00(s,6H).F19 NMR:(CDCl3)δppm -116.74(s).
【0036】
<例2> トリス(4-フルオロフェニル)シアヌラートの合成
【化3】

【表1】
【0037】
磁気撹拌棒を備えた20mLバイアルに、4-フルオロフェノールをDCM(10mL)中に溶解させた。ピペットを用いてトリエチルアミンを加え、混合物を10分間撹拌した。
【0038】
室温で撹拌しながら、塩化シアヌルのDCM溶液(5mL)をピペットを用いてゆっくり加えた。穏やかな発熱が観察され、混合物は急速に混濁し、白色固体ppt(トリエチルアミン-HCl)が形成された。黄色混合物をゆっくりと室温に戻し、1時間撹拌した。
【0039】
DI水(20mL)を加え、有機相をDCM(20mL)に抽出し、分離し、MgSO4上で乾燥させ、回転蒸発により溶媒をストリップした。収量:黄色固体、1.2g(99%)。
【0040】
固体を試薬アルコール中でスラリー化し、真空濾過により収集した。収量:白色固体、0.4g(33%)。濾液は黄色のままであり、回転蒸発により油状物にストリップした。
【0041】
NMR:(CDCl3)δppm 7.08(m,2H),7.04(t,2H).F19 NMR:(CDCl3)δppm -116.23(s).
【0042】
<例3>
【0043】
バイアル中の全電解質成分を混合し、塩の完全な溶解を確実にするために24時間撹拌することによって、乾燥アルゴンを充填したグローブボックス内で電解質配合物を調製した。エチレンカーボナート「EC」とエチルメチルカーボナート「EMC」との重量比3:7の混合物を含み、1Mの六フッ化リン酸リチウム「LiPF6」をその中に溶解させたベース電解質配合物に、添加剤としてトリアジン変性イオン液体化合物を含める。
【0044】
調製された電解質配合物を表Aに要約する。
【0045】
【表2】

【表3】
【0046】
<例4>
【0047】
リチウムNMC622カソード活物質と、アノード活物質としての黒鉛とを含む200mAh 403520リチウムイオンポリマーパウチセル内の電解質として、調製した電解質配合物を使用する。各電解質を3つのセルに充填する。各セルに0.9mlの電解質配合物を添加し、真空封止及び試験の前に1時間セルに浸漬させる。次いで、セルを4.4Vまで充電し、形成のためにC/10レートで3.0Vまで放電し、次いで室温で1C放電及び充電レートサイクルを行った。このサイクル試験の結果を図1に要約する。図1では、電解質1は、比較例0の電解質よりもサイクル寿命にわたって良好な容量保持を示すことが示されている。
【0048】
本明細書では様々な実施形態を詳細に図示及び説明してきたが、本開示の精神から逸脱することなく、様々な修正、追加、置換などを行うことができることは当業者には明らかであり、したがって、これらは、特許請求の範囲で定義される本開示の範囲内にあると考えられる。
図1