(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-12
(45)【発行日】2023-01-20
(54)【発明の名称】ウコン残渣物、その方法および組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 36/9066 20060101AFI20230113BHJP
A61K 38/02 20060101ALI20230113BHJP
A61K 31/198 20060101ALI20230113BHJP
A61K 31/718 20060101ALI20230113BHJP
A61K 9/14 20060101ALI20230113BHJP
A61P 19/02 20060101ALI20230113BHJP
A61P 25/04 20060101ALN20230113BHJP
A61P 29/00 20060101ALN20230113BHJP
【FI】
A61K36/9066
A61K38/02
A61K31/198
A61K31/718
A61K9/14
A61P19/02
A61P25/04
A61P29/00 101
A61P29/00
(21)【出願番号】P 2020503985
(86)(22)【出願日】2018-07-17
(86)【国際出願番号】 US2018042390
(87)【国際公開番号】W WO2019022991
(87)【国際公開日】2019-01-31
【審査請求日】2021-07-12
(31)【優先権主張番号】201741026215
(32)【優先日】2017-07-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IN
(73)【特許権者】
【識別番号】501394435
【氏名又は名称】サミ-サビンサ グループ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【氏名又は名称】服部 博信
(74)【代理人】
【識別番号】100218578
【氏名又は名称】河井 愛美
(72)【発明者】
【氏名】ナガブシャナム カリヤナム
(72)【発明者】
【氏名】バート ビーナ
(72)【発明者】
【氏名】マジード ムハンメド
(72)【発明者】
【氏名】サンカラン ナタラジャン
【審査官】濱田 光浩
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2013/0053339(US,A1)
【文献】国際公開第2004/104036(WO,A1)
【文献】特表2003-509464(JP,A)
【文献】特表平09-503528(JP,A)
【文献】特表2009-530305(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2014-0115725(KR,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0151440(US,A1)
【文献】特開昭60-067428(JP,A)
【文献】特表2014-512400(JP,A)
【文献】特開2008-069143(JP,A)
【文献】特表2003-500362(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 36/9066
A61K 38/00
A61P 19/02
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウコン残渣物材料から得られるタンパク質組成物であって、
a)ウコン残渣物を、65℃の温度で6時間、随時撹拌しながら、ウコン残渣物と水の比を約1:10~約1:50として、最も好ましくは比を1:10として水で抽出して、ウコン残渣物の水抽出物およびウコン残渣物材料-2を得るステップと、
b)ステップ(a)の水抽出物を遠心分離して砂または塵粒子を捕捉して、清澄な濾液を得るステップと、
c)ステップ(b)の濾液を60℃で高真空によって濃縮して濃縮物を得、前記濃縮物をさらに冷却するステップと、
d)ステップ(c)の濃縮物に、
アセトンを、
アセトンと濃縮物の比を1:2として加えた後、随時撹拌し、室温で4時間インキュベートして、アセトン中にタンパク質沈殿を形成し、前記タンパク質沈殿を、上部に上清を伴って十分に沈降させるステップと、
e)ステップ(d)の上清を、タンパク質沈殿をかき乱さずにデカントした後、濾過し、沈殿をアセトンで洗浄して水分を除去し、再び濾過するステップと、
f)ステップ(e)のタンパク質沈殿を直ちに60℃で高真空乾燥して、微細なタンパク質(糖タンパク質)粉末を得るステップと
を含むウコン残渣物の水抽出によって取得される、タンパク質組成物。
【請求項2】
律速アミノ酸であるシステインおよびメチオニンを含む、
請求項1に記載の植物タンパク質組成物。
【請求項3】
多糖を疎水性タンパク質と共に含む多糖組成物であって、ウコン残渣物から、
a)ウコン残渣物を、65℃の温度で6時間、随時撹拌しながら、ウコン残渣物と水の比を約1:10~約1:50として、最も好ましくは比を1:10として水で抽出して、ウコン残渣物の水抽出物およびウコン残渣物材料-2を得るステップと、
b)ステップ(a)の水抽出物を遠心分離して砂または塵粒子を捕捉して、清澄な濾液を得るステップと、
c)ステップ(b)の濾液を60℃で高真空によって濃縮して濃縮物を得、前記濃縮物をさらに冷却するステップと、
d)ステップ(c)の濃縮物に、
アセトンを、
アセトンと濃縮物の比を1:2として加えた後、随時撹拌し、室温で4時間インキュベートして、アセトン中にタンパク質沈殿を形成し、前記タンパク質沈殿を、上部に上清を伴って十分に沈降させるステップと、
e)ステップ(d)の上清を、タンパク質沈殿をかき乱さずにデカントした後、濾過し、沈殿をアセトンで洗浄して水分を除去し、再び濾過するステップと、
f)ステップ(e)のタンパク質沈殿を直ちに60℃で高真空乾燥して、微細なタンパク質(糖タンパク質)粉末を得るステップと、
g)ステップ(f)のタンパク質を含有しない、ステップ(a)のウコン残渣物材料-2を、浸るほどの量のアセトンおよびメタノールによって、それぞれ46℃および30℃で4時間ずつ洗浄して極微量のクルクミノイドおよびシュウ酸分を除去して、洗浄されたウコン残渣物材料-2を形成するステップと、
h)ステップ(g)の洗浄されたウコン残渣物材料-2を24時間乾燥させて残留溶媒を除去した後、粉末にし、ふるい分けして、ウコンデンプン(多糖)を得るステップであって、多糖は、疎水性タンパク質と共に存在する、ステップと
を含む方法によって取得される、多糖組成物。
【請求項4】
前記多糖組成物が、疎水性糖タンパク質と共に存在する、90%のグルコース残基がα-1,4結合(アミロース)およびα-1,6結合(アミロペクチン)によって連結されている難消化性デンプンとして特徴付けられる、請求項3に記載の植物多糖組成物。
【請求項5】
非ヒト哺乳動物において炎症を処置する方法であって、前記非ヒト哺乳動物に、有効量のウコン残渣物タンパク質またはウコン残渣物デンプンを投与して、炎症を軽減する効果を生じさせるステップを含み、前記タンパク質およびデンプンは、
a)ウコン残渣物を、65℃の温度で6時間、随時撹拌しながら、ウコン残渣物と水の比を約1:10~約1:50として、最も好ましくは比を1:10として水で抽出して、ウコン残渣物の水抽出物およびウコン残渣物材料-2を得るステップと、
b)ステップ(a)の水抽出物を遠心分離して砂または塵粒子を捕捉して、清澄な濾液を得るステップと、
c)ステップ(b)の濾液を60℃で高真空によって濃縮して濃縮物を得、前記濃縮物をさらに冷却するステップと、
d)ステップ(c)の濃縮物に、
アセトンを、
アセトンと濃縮物の比を1:2として加えた後、随時撹拌し、室温で4時間インキュベートして、アセトン中にタンパク質沈殿を形成し、前記タンパク質沈殿を、上部に上清を伴って十分に沈降させるステップと、
e)ステップ(d)の上清を、タンパク質沈殿をかき乱さずにデカントした後、濾過し、沈殿をアセトンで洗浄して水分を除去し、再び濾過するステップと、
f)ステップ(e)のタンパク質沈殿を直ちに60℃で高真空乾燥して、微細なタンパク質(糖タンパク質)粉末を得るステップと、
g)ステップ(f)のタンパク質を含有しない、ステップ(a)のウコン残渣物材料-2を、浸るほどの量のアセトンおよびメタノールによって、それぞれ46℃および30℃で4時間ずつ洗浄して極微量のクルクミノイドおよびシュウ酸分を除去して、洗浄されたウコン残渣物材料-2を形成するステップと、
h)ステップ(g)の洗浄されたウコン残渣物材料-2を24時間乾燥させて残留溶媒を除去した後、粉末にし、ふるい分けして、ウコンデンプン(多糖)を得るステップであって、多糖は、疎水性タンパク質と共に存在する、ステップと
を含む方法によって取得される、方法。
【請求項6】
非ヒト哺乳動物において関節リウマチを処置する方法であって、前記非ヒト哺乳動物に、有効量のウコン残渣物タンパク質またはウコン残渣物デンプンを投与して、前記非ヒト哺乳動物における関節リウマチの症状を軽減させる効果を生じさせるステップを含み、前記タンパク質およびデンプンは、
a)ウコン残渣物を、65℃の温度で6時間、随時撹拌しながら、ウコン残渣物と水の比を約1:10~約1:50として、最も好ましくは比を1:10として水で抽出して、ウコン残渣物の水抽出物およびウコン残渣物材料-2を得るステップと、
b)ステップ(a)の水抽出物を遠心分離して砂または塵粒子を捕捉して、清澄な濾液を得るステップと、
c)ステップ(b)の濾液を60℃で高真空によって濃縮して濃縮物を得、前記濃縮物をさらに冷却するステップと、
d)ステップ(c)の濃縮物に、
アセトンを、
アセトンと濃縮物の比を1:2として加えた後、随時撹拌し、室温で4時間インキュベートして、アセトン中にタンパク質沈殿を形成し、前記タンパク質沈殿を、上部に上清を伴って十分に沈降させるステップと、
e)ステップ(d)の上清を、タンパク質沈殿をかき乱さずにデカントした後、濾過し、沈殿をアセトンで洗浄して水分を除去し、再び濾過するステップと、
f)ステップ(e)のタンパク質沈殿を直ちに60℃で高真空乾燥して、微細なタンパク質(糖タンパク質)粉末を得るステップと、
g)ステップ(f)のタンパク質を含有しない、ステップ(a)のウコン残渣物材料-2を、浸るほどの量のアセトンおよびメタノールによって、それぞれ46℃および30℃で4時間ずつ洗浄して極微量のクルクミノイドおよびシュウ酸分を除去して、洗浄されたウコン残渣物材料-2を形成するステップと、
h)ステップ(g)の洗浄されたウコン残渣物材料-2を24時間乾燥させて残留溶媒を除去した後、粉末にし、ふるい分けして、ウコンデンプン(多糖)を得るステップであって、多糖は、疎水性タンパク質と共に存在する、ステップと
を含む方法によって取得される、方法。
【請求項7】
関節リウマチの症状が、腫脹、浮腫、並びにIL-6およびTNF-αという血清マーカーの減少からなる群から選択される、請求項6に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2017年7月24日出願のインド国出願第201741026215号の優先権を主張するPCT出願である。
発明の分野
本発明は、一般に、Curcuma longa(ウコン)に関する。より詳細には、本発明は、疎水性タンパク質と共に見出される生理活性糖タンパク質および多糖のウコン残渣物(spent turmeric)からの単離、その強力な抗炎症活性、および関節リウマチの治療管理への適用に関する。
【背景技術】
【0002】
ウコン残渣物は、ウコン粉末(Curcuma longaの粉末状乾燥根茎)の溶媒抽出後に残る不溶性固形物をなす。産業廃棄物とみなされている。それにもかかわらず、ウコン残渣物の治療への潜在的可能性が業界で報告されている。
Gurusiddiah Suresh Kumar et al, “Effect of spent turmeric on kidney glycoconjugates in streptozotocin-induced diabetic rats”, J Diabetes Metab Disord. 2014; 13: 78は、糖タンパク質やヘパラン硫酸などの複合糖質に関連した、糖尿病の腎臓合併症のコントロールにおける、ウコン残渣物の有益な効果を開示している。
Han KH et al, “Spent turmeric reduces fat mass in rats fed a high-fat diet”, Food Funct. 2016 Apr; 7(4):1814-24.
ウコン残渣物の生理活性成分を特徴付ける予備的な調査によって、有用な技術的見通しが得られている。Smitha Sらは、Biochemie. 2009 Sep; 91 (9): 1156-1162において、ウコン廃棄グリットからの34kDaの糖タンパク質(ベータ-ターメリン)を報告している。
したがって、ウコン残渣物中のあらゆる種類の生理活性成分およびその治療への潜在的可能性という性質を探ることが技術上求められている。
【発明の概要】
【0003】
本発明の主要な目的は、新規の生理活性物質および治療におけるその潜在的可能性の解明を求めて、ウコン残渣物材料を処理するための、新規の非自明な工業的に適用可能な工程スキームを開示することである。
本発明の別の目的は、ウコン残渣物を処理するための、新規の非自明な工業的に適用可能な工程スキームによって得られる、ウコン残渣物の免疫刺激性/抗炎症性糖タンパク質およびデンプン成分を開示することである。
本発明は、前述の目的を果たし、さらなる関連利益をもたらす。
【0004】
ウコン(Curcuma longa)残渣物から生理活性成分を単離する方法、および前記生理活性成分を含む組成物を記載する。さらに、本発明は、前記生理活性組成物の強力な抗炎症活性、および関節リウマチにおけるその治療用途も明らかにする。本発明の高価値の利点は、本発明の方法によって、植物タンパク質源には滅多に見出されない、律速アミノ酸であるシステインおよびメチオニンをかなりの量で含む糖タンパク質が得られたという技術的効果である。したがって、本発明の方法を使用して単離された糖タンパク質は、ウコン根茎残渣物からの「完全タンパク質」とみなしてもよい。
本明細書に記載される本発明の科学的文脈が理解されるよう、以下の用語法を含める。
A.律速アミノ酸:食事にいずれかの必須アミノ酸が不十分である場合、そのアミノ酸が利用可能である速度を超えてタンパク質合成が進行することはない。そのような必須アミノ酸を「律速アミノ酸」または単に「制限アミノ酸」と呼ぶ。
B.総溶解固形物(TDS):総溶解固形物(TDS)は、液体中に含まれるすべての無機および有機物質の総合的な含有量の尺度である。TDSは、分子形態、イオン化形態、または微粒状形態などの形で懸濁させることができる(コロイドゾル)。
C.クルクミノイド:クルクミノイドは、必ずしも限定されないが、クルクミン、デメトキシクルクミン、およびビスデメトキシクルクミンを含む、ウコン中に見出される天然の化学化合物である。
【0005】
本発明の他の特色および利点は、添付の画像と併せて取り扱われる以下のより詳細な記述から明白となり、詳細な記述は、本発明の原理を例示によって説明するものである。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】有効濃度(100mg/体重kg、200mg/体重kg、および400mg/体重kg)のウコン残渣物多糖およびウコン残渣物糖タンパク質が、結核菌を含有する完全アジュバントの投与によって誘発されたラットの足における炎症(ラットにおけるアジュバント誘発関節リウマチ)を軽減しうる比較上の能力(足の厚さの軽減によって測定される)を示すグラフである。
【
図2】有効濃度(100mg/体重kg、200mg/体重kg、および400mg/体重kg)のウコン残渣物多糖およびウコン残渣物糖タンパク質が、28日間の処置後に、結核菌を含有する完全アジュバントの投与によって誘発されたラットの足における炎症(ラットにおけるアジュバント誘発関節リウマチ)を軽減しうる比較上の能力(足の厚さの軽減によって測定される)を示すグラフである。
【
図3】有効濃度(100mg/体重kg、200mg/体重kg、および400mg/体重kg)のウコン残渣物多糖およびウコン残渣物糖タンパク質が、28日間の処置後に、結核菌を含有する完全アジュバントの投与によって誘発されたラットの足における炎症(ラットにおけるアジュバント誘発関節リウマチ)を軽減しうる比較上の能力(足浮腫の軽減によって測定される)を示すグラフである。
【
図4】有効濃度(100mg/体重kg、200mg/体重kg、および400mg/体重kg)のウコン残渣物多糖およびウコン残渣物糖タンパク質が、28日間の処置後に、結核菌を含有する完全アジュバントの投与によって誘発されたラットの足における炎症(ラットにおけるアジュバント誘発関節リウマチ)を軽減しうる比較上の能力(足の厚さおよび浮腫の軽減によって測定される)を示す写真である。
【
図5】有効濃度(100mg/体重kg、200mg/体重kg、および400mg/体重kg)のウコン残渣物多糖およびウコン残渣物糖タンパク質が、28日間の処置後に、結核菌を含有する完全アジュバントの投与後の血清炎症マーカーIL-6(ラットにおけるアジュバント誘発関節リウマチ)を減少させうる比較上の能力を示すグラフである。
【
図6】有効濃度(100mg/体重kg、200mg/体重kg、および400mg/体重kg)のウコン残渣物多糖およびウコン残渣物糖タンパク質が、28日間の処置後に、結核菌を含有する完全アジュバントの投与後の血清炎症マーカーTNF-α(ラットにおけるアジュバント誘発関節リウマチ)を減少させうる比較上の能力を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0007】
[
図1、2、3、4、5、および6]
最も好ましい実施形態では、本発明は、ウコン残渣物の水抽出の方法であって、
a)ウコン残渣物を、65℃の温度で6時間、随時撹拌しながら、ウコン残渣物と水の比を1:10として水で抽出して、ウコン残渣物の水抽出物およびウコン残渣物材料-2を得るステップと、
b)ステップ(a)の水抽出物を遠心分離して砂または塵粒子を捕捉して、清澄な濾液を得るステップと、
c)ステップ(b)の濾液を、高真空下で20%の総溶解固形物(TDS)に濃縮し、流量を100L/時として120℃で噴霧乾燥して、タンパク質(糖タンパク質)粉末を得るステップと、
d)ステップ(c)のタンパク質を含有しない、ステップ(a)のウコン残渣物材料-2を、120℃で24時間の乾燥後、粉末にし、ふるい分けして、ウコンデンプン(多糖)を得るステップであって、多糖は、疎水性タンパク質と共に存在する、ステップと
を含む方法に関する。
【0008】
好ましい実施形態では、ステップ(a)におけるウコン残渣物と水の比は、1:10~1:50の範囲にある。
別の最も好ましい実施形態では、本発明は、ウコン残渣物の水抽出の方法であって、
a)ウコン残渣物を、65℃の温度で6時間、随時撹拌しながら、ウコン残渣物と水の比を1:10として水で抽出して、ウコン残渣物の水抽出物およびウコン残渣物材料-2を得るステップと、
b)ステップ(a)の水抽出物を遠心分離して砂または塵粒子を捕捉して、清澄な濾液を得るステップと、
c)ステップ(b)の濾液を60℃で高真空によって濃縮して濃縮物を得、前記濃縮物をさらに冷却するステップと、
d)ステップ(c)の濃縮物に、有機溶媒、好ましい実施形態ではアセトンを、有機溶媒と濃縮物の比、好ましい実施形態ではアセトンと濃縮物の比を1:2として加えた後、随時撹拌し、室温で4時間インキュベートして、アセトン中にタンパク質沈殿を形成し、前記タンパク質沈殿を、上部に上清を伴って十分に沈降させるステップと、
e)ステップ(d)の上清を、タンパク質沈殿をかき乱さずにデカントした後、濾過し、沈殿をアセトンで洗浄して水分を除去し、再び濾過するステップと、
f)ステップ(e)のタンパク質沈殿を直ちに60℃で高真空乾燥して、微細なタンパク質(糖タンパク質)粉末を得るステップと、
g)ステップ(f)のタンパク質を含有しない、ステップ(a)のウコン残渣物材料-2を、浸るほどの量のアセトンおよびメタノールによって、それぞれ46℃および30℃で4時間ずつ洗浄して極微量のクルクミノイドおよびシュウ酸分を除去して、洗浄されたウコン残渣物材料-2を形成するステップと、
h)ステップ(g)の洗浄されたウコン残渣物材料-2を24時間乾燥させて残留溶媒を除去した後、粉末にし、ふるい分けして、ウコンデンプン(多糖)を得るステップであって、多糖は、疎水性タンパク質と共に存在する、ステップと
を含む方法に関する。
【0009】
好ましい実施形態では、ステップ(a)におけるウコン残渣物と水の比は、1:10~1:50の範囲にある。
さらに別の最も好ましい実施形態では、本発明は、哺乳動物において炎症を処置する方法であって、前記哺乳動物に、有効量のウコン残渣物タンパク質またはウコン残渣物デンプンを投与して、炎症を軽減する効果を生じさせるステップを含み、前記タンパク質およびデンプンは、
a)ウコン残渣物を、65℃の温度で6時間、随時撹拌しながら、ウコン残渣物と水の比を1:10として水で抽出して、ウコン残渣物の水抽出物およびウコン残渣物材料-2を得るステップと、
b)ステップ(a)の水抽出物を遠心分離して砂または塵粒子を捕捉して、清澄な濾液を得るステップと、
c)ステップ(b)の濾液を、高真空下で20%の総溶解固形物(TDS)に濃縮し、流量を100L/時として120℃で噴霧乾燥して、タンパク質(糖タンパク質)粉末を得るステップと、
d)ステップ(c)のタンパク質を含有しない、ステップ(a)のウコン残渣物材料-2を、120℃で24時間の乾燥後、粉末にし、ふるい分けして、ウコンデンプン(多糖)を得るステップであって、多糖は、疎水性タンパク質と共に存在する、ステップと
を含む方法によって取得される、方法に関する。
【0010】
好ましい実施形態では、ステップ(a)におけるウコン残渣物と水の比は、1:10~1:50の範囲にある。
さらに別の最も好ましい実施形態では、本発明は、哺乳動物において炎症を処置する方法であって、前記哺乳動物に、有効量のウコン残渣物タンパク質またはウコン残渣物デンプンを投与して、炎症を軽減する効果を生じさせるステップを含み、前記タンパク質およびデンプンは、
a)ウコン残渣物を、65℃の温度で6時間、随時撹拌しながら、ウコン残渣物と水の比を1:10として水で抽出して、ウコン残渣物の水抽出物およびウコン残渣物材料-2を得るステップと、
b)ステップ(a)の水抽出物を遠心分離して砂または塵粒子を捕捉して、清澄な濾液を得るステップと、
c)ステップ(b)の濾液を60℃で高真空によって濃縮して濃縮物を得、前記濃縮物をさらに冷却するステップと、
d)ステップ(c)の濃縮物に、有機溶媒、好ましい実施形態ではアセトンを、有機溶媒と濃縮物の比、好ましい実施形態ではアセトンと濃縮物の比を1:2として加えた後、随時撹拌し、室温で4時間インキュベートして、アセトン中にタンパク質沈殿を形成し、前記タンパク質沈殿を、上部に上清を伴って十分に沈降させるステップと、
e)ステップ(d)の上清を、タンパク質沈殿をかき乱さずにデカントした後、濾過し、沈殿をアセトンで洗浄して水分を除去し、再び濾過するステップと、
f)ステップ(e)のタンパク質沈殿を直ちに60℃で高真空乾燥して、微細なタンパク質(糖タンパク質)粉末を得るステップと、
g)ステップ(f)のタンパク質を含有しない、ステップ(a)のウコン残渣物材料-2を、浸るほどの量のアセトンおよびメタノールによって、それぞれ46℃および30℃で4時間ずつ洗浄して極微量のクルクミノイドおよびシュウ酸分を除去して、洗浄されたウコン残渣物材料-2を形成するステップと、
h)ステップ(g)の洗浄されたウコン残渣物材料-2を24時間乾燥させて残留溶媒を除去した後、粉末にし、ふるい分けして、ウコンデンプン(多糖)を得るステップであって、多糖は、疎水性タンパク質と共に存在する、ステップと
を含む方法によって取得される、方法に関する。
【0011】
さらに別の最も好ましい実施形態では、本発明は、哺乳動物において関節リウマチを処置する方法であって、前記哺乳動物に、有効量のウコン残渣物タンパク質またはウコン残渣物デンプンを投与して、疼痛、腫脹、浮腫を含む前記哺乳動物における関節リウマチの症状を軽減し、IL-6およびTNF-αという血清マーカーを減少させる効果を生じさせるステップを含み、前記タンパク質およびデンプンは、
a)ウコン残渣物を、65℃の温度で6時間、随時撹拌しながら、ウコン残渣物と水の比を1:10として水で抽出して、ウコン残渣物の水抽出物およびウコン残渣物材料-2を得るステップと、
b)ステップ(a)の水抽出物を遠心分離して砂または塵粒子を捕捉して、清澄な濾液を得るステップと、
c)ステップ(b)の濾液を、高真空下で20%の総溶解固形物(TDS)に濃縮し、流量を100L/時として120℃で噴霧乾燥して、タンパク質(糖タンパク質)粉末を得るステップと、
d)ステップ(c)のタンパク質を含有しない、ステップ(a)のウコン残渣物材料-2を、120℃で24時間の乾燥後、粉末にし、ふるい分けして、ウコンデンプン(多糖)を得るステップであって、多糖は、疎水性タンパク質と共に存在する、ステップと
を含む方法によって取得される、方法に関する。
【0012】
好ましい実施形態では、ステップ(a)におけるウコン残渣物と水の比は、1:10~1:50の範囲にある。
さらに別の最も好ましい実施形態では、本発明は、哺乳動物において関節リウマチを処置する方法であって、前記哺乳動物に、有効量のウコン残渣物タンパク質またはウコン残渣物デンプンを投与して、疼痛、腫脹、浮腫を含む前記哺乳動物における関節リウマチの症状を軽減し、IL-6およびTNF-αという血清マーカーを減少させる効果を生じさせるステップを含み、前記タンパク質およびデンプンは、
a)ウコン残渣物を、65℃の温度で6時間、随時撹拌しながら、ウコン残渣物と水の比を1:10として水で抽出して、ウコン残渣物の水抽出物およびウコン残渣物材料-2を得るステップと、
b)ステップ(a)の水抽出物を遠心分離して砂または塵粒子を捕捉して、清澄な濾液を得るステップと、
c)ステップ(b)の濾液を60℃で高真空によって濃縮して濃縮物を得、前記濃縮物をさらに冷却するステップと、
d)ステップ(c)の濃縮物に、有機溶媒、好ましい実施形態ではアセトンを、有機溶媒と濃縮物の比、好ましい実施形態ではアセトンと濃縮物の比を1:2として加えた後、随時撹拌し、室温で4時間インキュベートして、アセトン中にタンパク質沈殿を形成し、前記タンパク質沈殿を、上部に上清を伴って十分に沈降させるステップと、
e)ステップ(d)の上清を、タンパク質沈殿をかき乱さずにデカントした後、濾過し、沈殿をアセトンで洗浄して水分を除去し、再び濾過するステップと、
f)ステップ(e)のタンパク質沈殿を直ちに60℃で高真空乾燥して、微細なタンパク質(糖タンパク質)粉末を得るステップと、
g)ステップ(f)のタンパク質を含有しない、ステップ(a)のウコン残渣物材料-2を、浸るほどの量のアセトンおよびメタノールによって、それぞれ46℃および30℃で4時間ずつ洗浄して極微量のクルクミノイドおよびシュウ酸分を除去して、洗浄されたウコン残渣物材料-2を形成するステップと、
h)ステップ(g)の洗浄されたウコン残渣物材料-2を24時間乾燥させて残留溶媒を除去した後、粉末にし、ふるい分けして、ウコンデンプン(多糖)を得るステップであって、多糖は、疎水性タンパク質と共に存在する、ステップと
を含む方法によって取得される、方法に関する。
【0013】
好ましい実施形態では、ステップ(a)におけるウコン残渣物と水の比は、1:10~1:50の範囲にある。
さらに別の最も好ましい実施形態では、本発明は、
a)ウコン残渣物を、65℃の温度で6時間、随時撹拌しながら、ウコン残渣物と水の比を1:10として水で抽出して、ウコン残渣物の水抽出物およびウコン残渣物材料-2を得るステップと、
b)ステップ(a)の水抽出物を遠心分離して砂または塵粒子を捕捉して、清澄な濾液を得るステップと、
c)ステップ(b)の濾液を、高真空下で20%の総溶解固形物(TDS)に濃縮し、流量を100L/時として120℃で噴霧乾燥して、タンパク質(糖タンパク質)粉末を得るステップと
を含むウコン残渣物の水抽出によって取得される、ウコン残渣物材料から得られるタンパク質組成物に関する。
【0014】
さらに別の最も好ましい実施形態では、本発明は、
a)ウコン残渣物を、65℃の温度で6時間、随時撹拌しながら、ウコン残渣物と水の比を1:10として水で抽出して、ウコン残渣物の水抽出物およびウコン残渣物材料-2を得るステップと、
b)ステップ(a)の水抽出物を遠心分離して砂または塵粒子を捕捉して、清澄な濾液を得るステップと、
c)ステップ(b)の濾液を60℃で高真空によって濃縮して濃縮物を得、前記濃縮物をさらに冷却するステップと、
d)ステップ(c)の濃縮物に、有機溶媒、好ましい実施形態ではアセトンを、有機溶媒と濃縮物の比、好ましい実施形態ではアセトンと濃縮物の比を1:2として加えた後、随時撹拌し、室温で4時間インキュベートして、アセトン中にタンパク質沈殿を形成し、前記タンパク質沈殿を、上部に上清を伴って十分に沈降させるステップと、
e)ステップ(d)の上清を、タンパク質沈殿をかき乱さずにデカントした後、濾過し、沈殿をアセトンで洗浄して水分を除去し、再び濾過するステップと、
f)ステップ(e)のタンパク質沈殿を直ちに60℃で高真空乾燥して、微細なタンパク質(糖タンパク質)粉末を得るステップと
を含むウコン残渣物の水抽出によって取得される、ウコン残渣物材料から得られるタンパク質組成物に関する。
【0015】
さらに別の最も好ましい実施形態では、本発明は、ウコン残渣物から、
a)ウコン残渣物を、65℃の温度で6時間、随時撹拌しながら、ウコン残渣物と水の比を1:10として水で抽出して、ウコン残渣物の水抽出物およびウコン残渣物材料-2を得るステップと、
b)ステップ(a)の水抽出物を遠心分離して砂または塵粒子を捕捉して、清澄な濾液を得るステップと、
c)ステップ(b)の濾液を、高真空下で20%の総溶解固形物(TDS)に濃縮し、流量を100L/時として120℃で噴霧乾燥して、タンパク質(糖タンパク質)粉末を得るステップと、
d)ステップ(c)のタンパク質を含有しない、ステップ(a)のウコン残渣物材料-2を、120℃で24時間の乾燥後、粉末にし、ふるい分けして、ウコンデンプン(多糖)を得るステップであって、多糖は、疎水性タンパク質と共に存在する、ステップと
を含む方法によって取得される、多糖を疎水性タンパク質と共に含む多糖組成物に関する。
【0016】
好ましい実施形態では、ステップ(a)におけるウコン残渣物と水の比は、1:10~1:50の範囲にある。
さらに別の最も好ましい実施形態では、本発明は、ウコン残渣物から、
a)ウコン残渣物を、65℃の温度で6時間、随時撹拌しながら、ウコン残渣物と水の比を1:10として水で抽出して、ウコン残渣物の水抽出物およびウコン残渣物材料-2を得るステップと、
b)ステップ(a)の水抽出物を遠心分離して砂または塵粒子を捕捉して、清澄な濾液を得るステップと、
c)ステップ(b)の濾液を60℃で高真空によって濃縮して濃縮物を得、前記濃縮物をさらに冷却するステップと、
d)ステップ(c)の濃縮物に、有機溶媒、好ましい実施形態ではアセトンを、有機溶媒と濃縮物の比、好ましい実施形態ではアセトンと濃縮物の比を1:2として加えた後、随時撹拌し、室温で4時間インキュベートして、アセトン中にタンパク質沈殿を形成し、前記タンパク質沈殿を、上部に上清を伴って十分に沈降させるステップと、
e)ステップ(d)の上清を、タンパク質沈殿をかき乱さずにデカントした後、濾過し、沈殿をアセトンで洗浄して水分を除去し、再び濾過するステップと、
f)ステップ(e)のタンパク質沈殿を直ちに60℃で高真空乾燥して、微細なタンパク質(糖タンパク質)粉末を得るステップと、
g)ステップ(f)のタンパク質を含有しない、ステップ(a)のウコン残渣物材料-2を、浸るほどの量のアセトンおよびメタノールによって、それぞれ46℃および30℃で4時間ずつ洗浄して極微量のクルクミノイドおよびシュウ酸分を除去して、洗浄されたウコン残渣物材料-2を形成するステップと、
h)ステップ(g)の洗浄されたウコン残渣物材料-2を24時間乾燥させて残留溶媒を除去した後、粉末にし、ふるい分けして、ウコンデンプン(多糖)を得るステップであって、多糖は、疎水性タンパク質と共に存在する、ステップと
を含む方法によって取得される、多糖を疎水性タンパク質と共に含む多糖組成物に関する。
【0017】
さらに別の最も好ましい実施形態では、本発明は、律速アミノ酸であるシステインおよびメチオニンを含むことを特徴とする、ウコン残渣物から得られる植物タンパク質組成物に関する。
【0018】
さらに別の最も好ましい実施形態では、本発明は、疎水性糖タンパク質と共に存在する、90%のグルコース残基がα-1,4結合(アミロース)およびα-1,6結合(アミロペクチン)によって連結されている難消化性デンプンとして特徴付けられる、ウコン残渣物から得られる植物多糖組成物(デンプン)に関する。
本発明の技術的特色および技術的効果が盛り込まれている前述の最も好ましい実施形態について、以下で、実例となる実施例によって説明する。
【実施例】
【0019】
(実施例1)
1kgのウコン残渣物を、65℃で6時間、随時撹拌しながら水(1:10の比)で抽出して、ウコン残渣物の水抽出物およびウコン残渣物部分-2を得た。6時間の抽出後直ちに、水抽出物を、Hyflo床を用いた遠心機によって濾過して、あらゆる砂または塵粒子を捕捉した。得られた7Lの濾液を、高真空下で20%の総溶解固形物(TDS)に濃縮した。さらに、水抽出物を、流量を100L/時として120℃で噴霧乾燥した。淡褐色の粉末が収率4%で得られた。粗水抽出物試料をCHNS(炭素、水素、窒素、および硫黄)分析およびブラッドフォード法によって分析して、タンパク質の総百分率を推定した。総タンパク質百分率は、CHNS法によって6.73%、ブラッドフォード法(タンパク質定量法)によって3%であることが判明した。さらに、アミノ酸分析によって、ウコン残渣物タンパク質は、18種の重要なアミノ酸からなり、アスパラギン酸およびグルタミン酸の割合(それぞれ、1030mg/100gおよび985mg/100g)が高いことが示され、噴霧乾燥水抽出物の総タンパク質の割合は、4.91g/100gになることがわかった。システインおよびメチオニンは、植物タンパク質供給源には滅多に見出されない2種の律速アミノ酸である。ウコン残渣物からの糖タンパク質は、糖タンパク質100gあたり50mgのシステインおよび110mgのメチオニンからなっていた。これらのアミノ酸がウコン残渣物糖タンパク質中に存在することで、ウコン残渣物糖タンパク質は、「完全タンパク質」になる。残渣物部分-2を、熱気オーブンにおいて120℃で24時間さらに乾燥させ、微細な粉末にし、80番メッシュスクリーンでふるい分けして、ウコン残渣物からのデンプンを得た。ウコンデンプンは、収率80%で生産され、総デンプンの割合は、49%であると判明した。ウコン残渣物デンプン(多糖)は、疎水性タンパク質を伴って存在した。
【0020】
(実施例2)
有機溶媒(実例としてアセトン)を使用する沈殿によるタンパク質濃縮
1kgのウコン残渣物を、65℃で6時間、随時撹拌しながら水(1:10の比)で抽出して、ウコン残渣物の水抽出物および残渣物部分-2を得た。6時間の抽出後直ちに、水抽出物を、Hyflo床を用いた遠心機によって濾過して、あらゆる砂または塵粒子を捕捉した。得られた7Lの水濾液を、高真空によって60℃で濃縮して1リットルにした。冷却した後、水抽出物に、1:2の比のアセトンを、随時撹拌しながら加え、室温で4時間インキュベートを続け、沈殿を十分に沈降させた。上清を、沈殿をかき乱さずに慎重にデカントし、ワットマン濾紙で濾過した。アセトンで洗浄した後、ワットマン濾紙で濾過することにより、沈殿の中の水分を除去した。得られたタンパク質沈殿は、直ちに、微細なクリーム色のタンパク質粉末になるまで60℃で高真空乾燥した。収率4%で粉末が得られ、試料をCHNS分析によって分析して、総タンパク質の割合を推定した。総タンパク質の割合は、3g/100gであることが判明した。CHNS分析では、タンパク質が9%w/wと示され、アミノ酸分析では、タンパク質が8.595%w/wと示された。アミノ酸分析は、6N HClを使用して110℃で24時間酸加水分解を実施した後、HCl試料を過ギ酸によって酸化させることにより(システインおよびメチオニンの定量については、システイン酸およびメチオニンスルホンとして)行った。加水分解された試料に、NorLeu希釈緩衝液を加え、ボルテックス撹拌し、沈降させた。クエン酸ナトリウム緩衝系を使用してアミノ酸を分離するためのイオン交換クロマトグラフィーカラムに続く、ポストカラムニンヒドリン反応検出系(アミノ酸の分離、検出、および分析)からなる、L-8800 Hitachi分析計に、50μlの加水分解物を装入した。アミノ酸分析によって、ウコン残渣物からのタンパク質は、18種の重要なアミノ酸からなり、アスパラギン酸およびグルタミン酸の量(%w/w)(1170mg/100gおよび1044mg/100g)が高いことが示され、乾燥タンパク質粉末の総タンパク質の割合は、8.595g/100gになることがわかった。残渣物部分-2を、それぞれ46℃および30℃の、浸るほどの量のアセトンおよびメタノールで4時間ずつ洗浄して、極微量のクルクミノイドおよびシュウ酸分を除去した。ウコン残渣物デンプンアセトン母液(濾液)は、0.2%の収率を含有し、総クルクミノイドの定量結果w/wは、16%であった(クルクミン-11.99%、デメトキシクルクミン-2.68%、およびビスデメトキシクルクミン-1.50%)。次いで、デンプンの豊富なウコン残渣物を熱気オーブンにおいて24時間乾燥させて、残留溶媒を除去し、微細な粉末にし、80番メッシュスクリーンでふるい分けした。ウコンデンプンは、収率75%で生産され、総デンプンの割合は、60%であると判明した。ウコン残渣物からの多糖(デンプン)は、疎水性タンパク質を伴って存在した。
【0021】
総デンプン分析:
試料を2M KOHと共に4℃で撹拌した後、酢酸ナトリウム緩衝液で中和し、α-アミラーゼで加水分解することにより、ウコン残渣物からのデンプンを予め溶解させる。熱安定性のα-アミラーゼは、デンプンを可溶性の分岐および非分岐マルトデキストリンへと加水分解する。アミログルコシダーゼ(Amyloglucocidase)は、マルトデキストリンをD-グルコースへと定量的に加水分解する。D-グルコースは、過酸化水素の放出を伴って、D-グルコン酸に酸化され、ペルオキシダーゼおよびキノンイミン色素の生成を用いる比色反応において、定量的に測定される。
【0022】
グルコースの割合および連結パターン:
グリコシル組成分析およびグリコシル結合分析を、ガスクロマトグラフィーおよび質量分析を組み合わせることによって行った。グリコシル組成分析については、試料を、HClメタノール溶液を使用して80℃で17時間酸性メタノリシスを行い、単糖であるメチル配糖体を生成し、これをGC-MSによって分析した。グリコシル結合分析については、試料を、完全メチル化し、解重合させ、還元し、アセチル化し、得られた、部分的にメチル化されたアルジトール酢酸エステルを、GC-MSによって分析した。ウコン残渣物からのデンプンは、約90%のグルコースを含み、また合計ピーク面積の90%となる4結合型グルコース残基を示しており、これは、試料がデンプンに富んでいたということであった。
本発明の方法(溶媒による、例としてはアセトンによる抽出)によって得られたウコン残渣物多糖100gの栄養学的プロファイルを、表Aに示す。
【0023】
【表1】
本発明の方法(溶媒を使用せず水抽出のみ)によって得られたウコン残渣物多糖100gの栄養学的プロファイルを、表Bに示す。
【0024】
【表2】
本発明の方法(溶媒による、例としてはアセトンによる抽出)によって得られたウコン残渣物糖タンパク質100gの栄養学的プロファイルを、表Cに示す。
【0025】
【表3】
本発明の方法(溶媒による、例としてはアセトンによる抽出)によって得られたウコン残渣物糖タンパク質のアミノ酸プロファイルを、表Dに示す。
【0026】
【表4】
ウコン残渣物糖タンパク質(溶媒なしの水性抽出物)100gの栄養学的プロファイルを、表Eに示す。
【0027】
【表5】
ウコン残渣物の水性抽出物(溶媒なしの水性抽出物)のアミノ酸プロファイルを、表Fに示す。
【0028】
【0029】
(実施例III)
in vitro抗炎症活性
リポ多糖によって刺激(LPS=100ng/ml、24時間)したヒト単球細胞株THP-1またはネズミマクロファージ細胞株J774によるサイトカイン産生に対する、ウコン残渣物タンパク質(TP)およびウコン残渣物多糖(デンプン)(TPS)の抗炎症活性を、表1に示す。細胞上清において、サイトカインであるTNF-αを測定した。
【0030】
【表7】
結果:ウコン残渣物多糖は、TNF-α放出の41.3%の阻害を示し、ウコン残渣物糖タンパク質は、TNF-αを50.7%阻害した。
【0031】
(実施例IV)
in vivo生物(抗関節炎)活性
1日目~28日目において、体重が150~180gである雄Wistarラットに、100、200、および400mg/kgのウコン残渣物多糖を経口的に投与した。研究7日、15日、21日、および28日目に、動物に、足において、0.1mlの投与量レベルでフロイント完全アジュバントの皮内注射を施して、関節炎を誘発した。7日、15日、21日、および28日目に、アジュバントによって誘発された浮腫を、足体積の増量として測定した。研究の終わりに、動物を屠殺し、炎症パラメーターを分析するため、血液および組織を集めた。研究対象となった炎症パラメーターには、以下が含まれた。
a.足における炎症
b.血液生化学
c.脂質過酸化
d.血清中の還元型グルタチオン
e.血清におけるスーパーオキシドジスムターゼ活性
f.酸およびアルカリホスファターゼのレベル
g.TNF-αレベル
h.IL6レベル
【0032】
結果:
a.ウコン残渣物糖タンパク質および多糖で処置すると、足浮腫(炎症)の有意な軽減が認められ、炎症の血清マーカーであるIL-6、TNF-αも同時に減少した(
図1、2、3、4、5、および6)。
b.さらに、ウコン残渣物タンパク質および多糖での処置によって、脂質過酸化、スーパーオキシドジスムターゼ活性は低下し、関節炎動物血清中の還元型グルタチオンの濃度は増大した(表2)。
【0033】
【表8】
c.ウコン残渣物タンパク質および多糖によって、関節炎動物における高レベルの酸ホスファターゼ(ACP)およびアルカリホスファターゼ(ALP)も低下した(表3)。
【0034】
【表9】
d.ウコン残渣物タンパク質および多糖によって、関節炎動物における血球細胞(RBC、WBC、および血小板)数の上昇も、常態に回復した(表4)。
【0035】
【0036】
本発明に対する他の改変および変更は、前述の開示および教示から、当業者に明白となる。したがって、本発明のある特定の実施形態だけを本明細書で詳細に述べてきたが、本発明の真意および範囲から逸脱することなく、これに対して数多くの改変を行ってもよいことは言うまでもない。
本発明のまた別の態様は、以下のとおりであってもよい。
〔1〕ウコン残渣物の水抽出の方法であって、
a)ウコン残渣物を、65℃の温度で6時間、随時撹拌しながら、ウコン残渣物と水の比を約1:10~約1:50として、最も好ましくは比を1:10として水で抽出して、ウコン残渣物の水抽出物およびウコン残渣物材料-2を得るステップと、
b)ステップ(a)の水抽出物を遠心分離して砂または塵粒子を捕捉して、清澄な濾液を得るステップと、
c)ステップ(b)の濾液を、高真空下で20%の総溶解固形物(TDS)に濃縮し、流量を100L/時として120℃で噴霧乾燥して、タンパク質(糖タンパク質)粉末を得るステップと、
d)ステップ(c)のタンパク質を含有しない、ステップ(a)のウコン残渣物材料-2を、120℃で24時間の乾燥後、粉末にし、ふるい分けして、ウコンデンプン(多糖)を得るステップであって、多糖は、疎水性タンパク質と共に存在する、ステップと
を含む方法。
〔2〕ウコン残渣物の水抽出の方法であって、
a)ウコン残渣物を、65℃の温度で6時間、随時撹拌しながら、ウコン残渣物と水の比を約1:10~約1:50として、最も好ましくは比を1:10として水で抽出して、ウコン残渣物の水抽出物およびウコン残渣物材料-2を得るステップと、
b)ステップ(a)の水抽出物を遠心分離して砂または塵粒子を捕捉して、清澄な濾液を得るステップと、
c)ステップ(b)の濾液を60℃で高真空によって濃縮して濃縮物を得、前記濃縮物をさらに冷却するステップと、
d)ステップ(c)の濃縮物に、有機溶媒、好ましい実施形態ではアセトンを、有機溶媒と濃縮物の比、好ましい実施形態ではアセトンと濃縮物の比を1:2として加えた後、随時撹拌し、室温で4時間インキュベートして、アセトン中にタンパク質沈殿を形成し、前記タンパク質沈殿を、上部に上清を伴って十分に沈降させるステップと、
e)ステップ(d)の上清を、タンパク質沈殿をかき乱さずにデカントした後、濾過し、沈殿をアセトンで洗浄して水分を除去し、再び濾過するステップと、
f)ステップ(e)のタンパク質沈殿を直ちに60℃で高真空乾燥して、微細なタンパク質(糖タンパク質)粉末を得るステップと、
g)ステップ(f)のタンパク質を含有しない、ステップ(a)のウコン残渣物材料-2を、浸るほどの量のアセトンおよびメタノールによって、それぞれ46℃および30℃で4時間ずつ洗浄して極微量のクルクミノイドおよびシュウ酸分を除去して、洗浄されたウコン残渣物材料-2を形成するステップと、
h)ステップ(g)の洗浄されたウコン残渣物材料-2を24時間乾燥させて残留溶媒を除去した後、粉末にし、ふるい分けして、ウコンデンプン(多糖)を得るステップであって、多糖は、疎水性タンパク質と共に存在する、ステップと
を含む方法。
〔3〕哺乳動物において炎症を処置する方法であって、前記哺乳動物に、有効量のウコン残渣物タンパク質またはウコン残渣物デンプンを投与して、炎症を軽減する効果を生じさせるステップを含み、前記タンパク質およびデンプンは、
a)ウコン残渣物を、65℃の温度で6時間、随時撹拌しながら、ウコン残渣物と水の比を約1:10~約1:50として、最も好ましくは比を1:10として水で抽出して、ウコン残渣物の水抽出物およびウコン残渣物材料-2を得るステップと、
b)ステップ(a)の水抽出物を遠心分離して砂または塵粒子を捕捉して、清澄な濾液を得るステップと、
c)ステップ(b)の濾液を、高真空下で20%の総溶解固形物(TDS)に濃縮し、流量を100L/時として120℃で噴霧乾燥して、タンパク質(糖タンパク質)粉末を得るステップと、
d)ステップ(c)のタンパク質を含有しない、ステップ(a)のウコン残渣物材料-2を、120℃で24時間の乾燥後、粉末にし、ふるい分けして、ウコンデンプン(多糖)を得るステップであって、多糖は、疎水性タンパク質と共に存在する、ステップと
を含む方法によって取得される、方法。
〔4〕哺乳動物において炎症を処置する方法であって、前記哺乳動物に、有効量のウコン残渣物タンパク質またはウコン残渣物デンプンを投与して、炎症を軽減する効果を生じさせるステップを含み、前記タンパク質およびデンプンは、
a)ウコン残渣物を、65℃の温度で6時間、随時撹拌しながら、ウコン残渣物と水の比を約1:10~約1:50として、最も好ましくは比を1:10として水で抽出して、ウコン残渣物の水抽出物およびウコン残渣物材料-2を得るステップと、
b)ステップ(a)の水抽出物を遠心分離して砂または塵粒子を捕捉して、清澄な濾液を得るステップと、
c)ステップ(b)の濾液を60℃で高真空によって濃縮して濃縮物を得、前記濃縮物をさらに冷却するステップと、
d)ステップ(c)の濃縮物に、有機溶媒、好ましい実施形態ではアセトンを、有機溶媒と濃縮物の比、好ましい実施形態ではアセトンと濃縮物の比を1:2として加えた後、随時撹拌し、室温で4時間インキュベートして、アセトン中にタンパク質沈殿を形成し、前記タンパク質沈殿を、上部に上清を伴って十分に沈降させるステップと、
e)ステップ(d)の上清を、タンパク質沈殿をかき乱さずにデカントした後、濾過し、沈殿をアセトンで洗浄して水分を除去し、再び濾過するステップと、
f)ステップ(e)のタンパク質沈殿を直ちに60℃で高真空乾燥して、微細なタンパク質(糖タンパク質)粉末を得るステップと、
g)ステップ(f)のタンパク質を含有しない、ステップ(a)のウコン残渣物材料-2を、浸るほどの量のアセトンおよびメタノールによって、それぞれ46℃および30℃で4時間ずつ洗浄して極微量のクルクミノイドおよびシュウ酸分を除去して、洗浄されたウコン残渣物材料-2を形成するステップと、
h)ステップ(g)の洗浄されたウコン残渣物材料-2を24時間乾燥させて残留溶媒を除去した後、粉末にし、ふるい分けして、ウコンデンプン(多糖)を得るステップであって、多糖は、疎水性タンパク質と共に存在する、ステップと
を含む方法によって取得される、方法。
〔5〕哺乳動物において関節リウマチを処置する方法であって、前記哺乳動物に、有効量のウコン残渣物タンパク質またはウコン残渣物デンプンを投与して、疼痛、腫脹、浮腫を含む前記哺乳動物における関節リウマチの症状を軽減し、IL-6およびTNF-αという血清マーカーを減少させる効果を生じさせるステップを含み、前記タンパク質およびデンプンは、
a)ウコン残渣物を、65℃の温度で6時間、随時撹拌しながら、ウコン残渣物と水の比を約1:10~約1:50として、最も好ましくは比を1:10として水で抽出して、ウコン残渣物の水抽出物およびウコン残渣物材料-2を得るステップと、
b)ステップ(a)の水抽出物を遠心分離して砂または塵粒子を捕捉して、清澄な濾液を得るステップと、
c)ステップ(b)の濾液を、高真空下で20%の総溶解固形物(TDS)に濃縮し、流量を100L/時として120℃で噴霧乾燥して、タンパク質(糖タンパク質)粉末を得るステップと、
d)ステップ(c)のタンパク質を含有しない、ステップ(a)のウコン残渣物材料-2を、120℃で24時間の乾燥後、粉末にし、ふるい分けして、ウコンデンプン(多糖)を得るステップであって、多糖は、疎水性タンパク質と共に存在する、ステップと
を含む方法によって取得される、方法。
〔6〕哺乳動物において関節リウマチを処置する方法であって、前記哺乳動物に、有効量のウコン残渣物タンパク質またはウコン残渣物デンプンを投与して、疼痛、腫脹、浮腫を含む前記哺乳動物における関節リウマチの症状を軽減し、IL-6およびTNF-αという血清マーカーを減少させる効果を生じさせるステップを含み、前記タンパク質およびデンプンは、
a)ウコン残渣物を、65℃の温度で6時間、随時撹拌しながら、ウコン残渣物と水の比を約1:10~約1:50として、最も好ましくは比を1:10として水で抽出して、ウコン残渣物の水抽出物およびウコン残渣物材料-2を得るステップと、
b)ステップ(a)の水抽出物を遠心分離して砂または塵粒子を捕捉して、清澄な濾液を得るステップと、
c)ステップ(b)の濾液を60℃で高真空によって濃縮して濃縮物を得、前記濃縮物をさらに冷却するステップと、
d)ステップ(c)の濃縮物に、有機溶媒、好ましい実施形態ではアセトンを、有機溶媒と濃縮物の比、好ましい実施形態ではアセトンと濃縮物の比を1:2として加えた後、随時撹拌し、室温で4時間インキュベートして、アセトン中にタンパク質沈殿を形成し、前記タンパク質沈殿を、上部に上清を伴って十分に沈降させるステップと、
e)ステップ(d)の上清を、タンパク質沈殿をかき乱さずにデカントした後、濾過し、沈殿をアセトンで洗浄して水分を除去し、再び濾過するステップと、
f)ステップ(e)のタンパク質沈殿を直ちに60℃で高真空乾燥して、微細なタンパク質(糖タンパク質)粉末を得るステップと、
g)ステップ(f)のタンパク質を含有しない、ステップ(a)のウコン残渣物材料-2を、浸るほどの量のアセトンおよびメタノールによって、それぞれ46℃および30℃で4時間ずつ洗浄して極微量のクルクミノイドおよびシュウ酸分を除去して、洗浄されたウコン残渣物材料-2を形成するステップと、
h)ステップ(g)の洗浄されたウコン残渣物材料-2を24時間乾燥させて残留溶媒を除去した後、粉末にし、ふるい分けして、ウコンデンプン(多糖)を得るステップであって、多糖は、疎水性タンパク質と共に存在する、ステップと
を含む方法によって取得される、方法。
〔7〕ウコン残渣物材料から得られるタンパク質組成物であって、
a)ウコン残渣物を、65℃の温度で6時間、随時撹拌しながら、ウコン残渣物と水の比を約1:10~約1:50として、最も好ましくは比を1:10として水で抽出して、ウコン残渣物の水抽出物およびウコン残渣物材料-2を得るステップと、
b)ステップ(a)の水抽出物を遠心分離して砂または塵粒子を捕捉して、清澄な濾液を得るステップと、
c)ステップ(b)の濾液を、高真空下で20%の総溶解固形物(TDS)に濃縮し、流量を100L/時として120℃で噴霧乾燥して、タンパク質(糖タンパク質)粉末を得るステップと
を含むウコン残渣物の水抽出によって取得される、タンパク質組成物。
〔8〕ウコン残渣物材料から得られるタンパク質組成物であって、
a)ウコン残渣物を、65℃の温度で6時間、随時撹拌しながら、ウコン残渣物と水の比を約1:10~約1:50として、最も好ましくは比を1:10として水で抽出して、ウコン残渣物の水抽出物およびウコン残渣物材料-2を得るステップと、
b)ステップ(a)の水抽出物を遠心分離して砂または塵粒子を捕捉して、清澄な濾液を得るステップと、
c)ステップ(b)の濾液を60℃で高真空によって濃縮して濃縮物を得、前記濃縮物をさらに冷却するステップと、
d)ステップ(c)の濃縮物に、有機溶媒、好ましい実施形態ではアセトンを、有機溶媒と濃縮物の比、好ましい実施形態ではアセトンと濃縮物の比を1:2として加えた後、随時撹拌し、室温で4時間インキュベートして、アセトン中にタンパク質沈殿を形成し、前記タンパク質沈殿を、上部に上清を伴って十分に沈降させるステップと、
e)ステップ(d)の上清を、タンパク質沈殿をかき乱さずにデカントした後、濾過し、沈殿をアセトンで洗浄して水分を除去し、再び濾過するステップと、
f)ステップ(e)のタンパク質沈殿を直ちに60℃で高真空乾燥して、微細なタンパク質(糖タンパク質)粉末を得るステップと
を含むウコン残渣物の水抽出によって取得される、タンパク質組成物。
〔9〕多糖を疎水性タンパク質と共に含む多糖組成物であって、ウコン残渣物から、
a)ウコン残渣物を、65℃の温度で6時間、随時撹拌しながら、ウコン残渣物と水の比を約1:10~約1:50として、最も好ましくは比を1:10として水で抽出して、ウコン残渣物の水抽出物およびウコン残渣物材料-2を得るステップと、
b)ステップ(a)の水抽出物を遠心分離して砂または塵粒子を捕捉して、清澄な濾液を得るステップと、
c)ステップ(b)の濾液を、高真空下で20%の総溶解固形物(TDS)に濃縮し、流量を100L/時として120℃で噴霧乾燥して、タンパク質(糖タンパク質)粉末を得るステップと、
d)ステップ(c)のタンパク質を含有しない、ステップ(a)のウコン残渣物材料-2を、120℃で24時間の乾燥後、粉末にし、ふるい分けして、ウコンデンプン(多糖)を得るステップであって、多糖は、疎水性タンパク質と共に存在する、ステップと
を含む方法によって取得される、多糖組成物。
〔10〕多糖を疎水性タンパク質と共に含む多糖組成物であって、ウコン残渣物から、
a)ウコン残渣物を、65℃の温度で6時間、随時撹拌しながら、ウコン残渣物と水の比を約1:10~約1:50として、最も好ましくは比を1:10として水で抽出して、ウコン残渣物の水抽出物およびウコン残渣物材料-2を得るステップと、
b)ステップ(a)の水抽出物を遠心分離して砂または塵粒子を捕捉して、清澄な濾液を得るステップと、
c)ステップ(b)の濾液を60℃で高真空によって濃縮して濃縮物を得、前記濃縮物をさらに冷却するステップと、
d)ステップ(c)の濃縮物に、有機溶媒、好ましい実施形態ではアセトンを、有機溶媒と濃縮物の比、好ましい実施形態ではアセトンと濃縮物の比を1:2として加えた後、随時撹拌し、室温で4時間インキュベートして、アセトン中にタンパク質沈殿を形成し、前記タンパク質沈殿を、上部に上清を伴って十分に沈降させるステップと、
e)ステップ(d)の上清を、タンパク質沈殿をかき乱さずにデカントした後、濾過し、沈殿をアセトンで洗浄して水分を除去し、再び濾過するステップと、
f)ステップ(e)のタンパク質沈殿を直ちに60℃で高真空乾燥して、微細なタンパク質(糖タンパク質)粉末を得るステップと、
g)ステップ(f)のタンパク質を含有しない、ステップ(a)のウコン残渣物材料-2を、浸るほどの量のアセトンおよびメタノールによって、それぞれ46℃および30℃で4時間ずつ洗浄して極微量のクルクミノイドおよびシュウ酸分を除去して、洗浄されたウコン残渣物材料-2を形成するステップと、
h)ステップ(g)の洗浄されたウコン残渣物材料-2を24時間乾燥させて残留溶媒を除去した後、粉末にし、ふるい分けして、ウコンデンプン(多糖)を得るステップであって、多糖は、疎水性タンパク質と共に存在する、ステップと
を含む方法によって取得される、多糖組成物。
〔11〕律速アミノ酸であるシステインおよびメチオニンを含むことを特徴とする、ウコン残渣物から得られる植物タンパク質組成物。
〔12〕疎水性糖タンパク質と共に存在する、90%のグルコース残基がα-1,4結合(アミロース)およびα-1,6結合(アミロペクチン)によって連結されている難消化性デンプンとして特徴付けられる、ウコン残渣物から得られる植物多糖組成物(デンプン)。