(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-12
(45)【発行日】2023-01-20
(54)【発明の名称】第1および第2の誘電体部分を有する誘電体共振器アンテナ
(51)【国際特許分類】
H01Q 15/08 20060101AFI20230113BHJP
H01P 5/08 20060101ALI20230113BHJP
【FI】
H01Q15/08
H01P5/08 H
(21)【出願番号】P 2020529545
(86)(22)【出願日】2019-01-15
(86)【国際出願番号】 US2019013579
(87)【国際公開番号】W WO2019140421
(87)【国際公開日】2019-07-18
【審査請求日】2021-12-03
(32)【優先日】2018-01-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2018-02-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2018-07-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-01-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-01-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-01-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】596024851
【氏名又は名称】ロジャーズ コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】ジョージ、ロシン ローズ
(72)【発明者】
【氏名】パンセ、クリスティ
【審査官】佐藤 当秀
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-175624(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0264012(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0035714(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01P 5/00- 5/22
H01Q 15/00- 19/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の電磁(EM)信号フィードを備える電磁デバイスであって、
前記第1のEM信号フィードに隣接して配置された第2のEM信号フィードと、
前記第1のEM信号フィード上に配置された第1の長尺キャビティと、前記第2のEM信号フィード上に配置された第2の長尺キャビティと、前記第1および第2のEM信号フィードの間に配置される導電性隆起領域であって前記第1および第2のEM信号フィードに対して隆起した導電性隆起領域を形成する導電性長尺フィンガーとを含む基板と、
前記第1および第2のEM信号フィードを含むフィード基板であって、上部導電層と、下部導電層と、前記下部導電層と前記上部導電層との間に配置された誘電体層とを含む前記フィード基板と、を備え
、
前記第1および第2のEM信号フィードの各々が前記上部導電層の導電性材料の欠如部分を介して前記上部導電層内に形成されており、
前記導電性長尺フィンガーが前記フィード基板の前記上部導電層に電気的に接続されていることを特徴とする電磁デバイス。
【請求項2】
前記第1の長尺キャビティは、前記第1のEM信号フィードの長さにわたって配置され、
前記第2の長尺キャビティは、前記第2のEM信号フィードの長さにわたって配置され、
前記導電性隆起領域を形成する前記導電性長尺フィンガーが前記第1および第2のEM信号フィードの間に長尺に配置されるとともに前記第1および第2のEM信号フィードに対して隆起している、請求項1に記載の電磁デバイス。
【請求項3】
前記基板が金属めっき基板を含む、請求項1に記載の電磁デバイス。
【請求項4】
前記フィード基板は、前記第1および第2のEM信号フィードが配置された第1の部分と、前記第1の部分を延長した部分であって複数の誘電体構造のための支持領域を提供する第2の部分とを含み、
前記複数の誘電体構造のうちの第1のセットが前記第1のEM信号フィードと電磁的に協働するように配置され、前記複数の誘電体構造のうちの第2のセットが前記第2のEM信号フィードと電磁的に協働するように配置されており、
前記第1および第2のEM信号フィードが、前記第2の部分ではなく前記第1の部分の上に配置されている、請求項
1~3のいずれか一項に記載の電磁デバイス。
【請求項5】
前記複数の誘電体構造が前記第2の部分の前記支持領域上に配置されている、請求項4に記載の電磁デバイス。
【請求項6】
前記複数の誘電体構造の各々が、
近位端および遠位端を有するとともに空気以外の誘電体材料を含む第1の誘電体部分(FDP)
であって、前記近位端が前記遠位端よりも前記フィード基板の近くに位置する前記FDPと、
近位端および遠位端を有するとともに空気以外の誘電体材料を含む第2の誘電体部分(SDP)であって、前記SDPの近位端が前記FDPの遠位端に近接して配置された前記SDPと、を含み、
前記FDPの誘電体材料が、前記SDPの誘電体材料の平均誘電率よりも大きい平均誘電率を有する、請求項4または5に記載の電磁デバイス。
【請求項7】
少なくとも前記FDPが誘電体共振器構造である、請求項6に記載の電磁デバイス。
【請求項8】
各前記SDPの遠位端が、隣接するSDPを一体的に相互接続する相対的に薄い接続構造を有し、当該相対的に薄い接続構造が、側面視における所与のSDPの近位端の全体幅寸法W1に対して相対的に薄い厚さtを有する、請求項6または7に記載の電磁デバイス。
【請求項9】
前記FDPが、10以上
20以下の第1の誘電率Dk1を有し、
前記SDPが、空気の誘電率よりも大きく且つ9以下の第2の誘電率Dk2を有する、請求項6~8のいずれか一項に記載の電磁デバイス。
【請求項10】
前記SDPが側面視において全体高さ寸法HSを有し、前記SDPの近位端が側面視において全体幅寸法W1を有し、
HSがW1の2.5倍以上55倍以下である、請求項6~9のいずれか一項に記載の電磁デバイス。
【請求項11】
複数の電磁反射部を有する電磁反射(EMR)構造をさらに備え、前記複数の電磁反射部の各々が前記複数の誘電体構造のうちの対応する1つの周囲に当該対応する誘電体構造と1対1の対応関係で配置されており、
前記EMR構造は前記フィード基板の前記第2の部分と電気的に導通するように配置されており、かつ、
前記EMR構造は前記第1および第2のEM信号フィードの間に配置された前記導電性隆起領域と電気的に導通するように配置されている、請求項4~9のいずれか一項に記載の電磁デバイス。
【請求項12】
前記フィード基板が基板集積導波路(SIW)であり、該フィード基板がさらに、
前記下部導電層と前記上部導電層との間に配置されるとともに当該下部および上部導電層と電気的に導通するように配置された複数の導電性ビアであって、前記第1および第2のEM信号フィードとそれぞれ電磁的に協働する前記SIWの第1および第2電磁(EM)導波路を形成するように配置された前記複数の導電性ビアを含み、
前記SIWの第1の部分が、前記第1および第2のEM信号フィードを有するコプレーナ信号フィード構造を含み、
前記SIWの第2の部分が、前記SIWの前記第1の部分を延長した部分であって、複数の誘電体共振器構造のための支持部を提供するものであり、
前記複数の誘電体共振器構造のうちの第1のセットが前記第1のEM導波路と電磁的に協働するように配置され、前記複数の誘電体共振器構造のうちの第2のセットが前記第2のEM導波路と電磁的に協働するように配置され、
前記第1および第2のEM信号フィードが、前記第2の部分ではなく前記第1の部分の上に配置されている、請求項
1に記載の電磁デバイス。
【請求項13】
前記第1および第2のEM信号フィードの各々が信号入力領域と信号出力領域を有し、
前記信号出力領域が前記第2の部分から距離dを置いて配置されており、
dはゼロよりも大きく且つλ/20以下であり、λは前記電磁デバイスの動作周波数における動作波長である、請求項
12に記載の電磁デバイス。
【請求項14】
複数の電磁反射部を有する電磁反射(EMR)構造であって、前記複数の電磁反射部の各々が前記複数の誘電体共振器構造のうちの対応する1つの周囲に当該対応する誘電体共振器構造と1対1の対応関係で配置されており、
前記EMR構造は、前記SIWの前記第2の部分における前記上部導電層と電気的に導通するように配置されており、
前記EMR構造は、前記第1および第2のEM信号フィードの間に配置された前記導電性隆起領域と電気的に導通するように配置されている、請求項12
または13に記載の電磁デバイス。
【請求項15】
前記コプレーナ信号フィード構造の前記第1および第2のEM信号フィードの各々が、約50オームの信号入力インピーダンスと、50オームよりも大きい信号出力インピーダンスとを有する、請求項12~
14のいずれか一項に記載の電磁デバイス。
【請求項16】
前記第1および第2のEM導波路のうちの対応する1つの前記複数の導電性ビアは、対応する前記EM信号フィードの各側に且つ当該EM信号フィードに近接して配置されるとともに、前記SIWの側面視において、重なり合うビアの壁を形成して対応する前記EM信号フィードからの横方向信号リークを低減するように互いに配置されている、請求項12~
14のいずれか一項に記載の電磁デバイス。
【請求項17】
前記複数の誘電体共振器構造の各々が、
近位端および遠位端を有するとともに空気以外の誘電体材料を含む第1の誘電体部分(FDP)
であって、前記近位端が前記遠位端よりも前記フィード基板の近くに位置する前記FDPと、
近位端および遠位端を有するとともに空気以外の誘電体材料を含む第2の誘電体部分(SDP)であって、前記SDPの近位端が前記FDPの遠位端に近接して配置された前記SDPと、
を含み、前記FDPの誘電体材料が、前記SDPの誘電体材料の平均誘電率よりも大きい平均誘電率を有する、請求項
12に記載の電磁デバイス。
【請求項18】
前記FDPが、10以上
20以下の第1の誘電率Dk1を有し、
前記SDPが、空気の誘電率よりも大きく且つ9以下の第2の誘電率Dk2を有する、請求項
17に記載の電磁デバイス。
【請求項19】
前記SDPが側面視において全体高さ寸法HSを有し、前記SDPの近位端が側面視において全体幅寸法W1を有し、
HSがW1の2.5倍以上55倍以下である、請求項
17または18に記載の電磁デバイス。
【請求項20】
複数の誘電体構造を備える電磁デバイスであって、
前記複数の誘電体構造の各々が、
近位端および遠位端を有するとともに空気以外の誘電体材料を含む第1の誘電体部分(FDP)と、
近位端および遠位端を有するとともに空気以外の誘電体材料を含む第2の誘電体部分(SDP)であって、前記SDPの近位端が前記FDPの遠位端に近接して配置された前記SDPと、を含み、
前記FDPの誘電体材料が、前記SDPの誘電体材料の平均誘電率よりも大きい平均誘電率を有し、
前記SDPが側面視において
当該SDPの近位端から遠位端まで全体高さ寸法HSを有し、前記SDPの近位端が側面視において
HSと直交する方向に全体幅寸法W1を有し、
HSがW1の2.5倍以上55倍以下であ
り、
各前記SDPの遠位端が、隣接するSDPを一体的に相互接続する相対的に薄い接続構造を有し、当該相対的に薄い接続構造が、W1に対して相対的に薄い厚さtを有する、電磁デバイス。
【請求項21】
HSがW1の3倍以上である、請求項
20に記載の電磁デバイス。
【請求項22】
前記SDPが略円筒形状を有する、請求項
20または21に記載の電磁デバイス。
【請求項23】
前記複数の誘電体構造が配置された基板集積導波路(SIW)をさらに備える請求項
20~22のいずれか一項に記載の電磁デバイス。
【請求項24】
前記SIWが、
下部導電層と、
上部導電層と、
前記下部導電層と前記上部導電層との間に配置された誘電体層と、
前記下部導電層と前記上部導電層との間に配置されるとともに当該下部および上部導電層と電気的に導通するように配置された複数の導電性ビアであって、前記SIWの電磁(EM)導波路を形成するように配置された前記複数の導電性ビアと、を含み、
前記SIWの第1の部分が、前記上部導電層の導電性材料の欠如部分を介して当該上部導電層内に形成されるとともに前記EM導波路と電磁的に協働するように配置されたコプレーナ信号フィードを含み、
前記SIWの第2の部分が、前記SIWの第1の部分を延長した部分であって、前記EM導波路と電磁的に協働するように配置された前記複数の誘電体構造の支持部を提供するものであり、
前記信号フィードが、前記第2の部分ではなく前記第1の部分の上に配置されている、請求項
23に記載の電磁デバイス。
【請求項25】
前記信号フィードが信号入力領域と信号出力領域とを有し、
前記信号出力領域が前記第2の部分から距離dを置いて配置されており、
dはゼロよりも大きく且つλ/20以下であり、λは前記電磁デバイスの動作周波数における動作波長である、請求項
24に記載の電磁デバイス。
【請求項26】
複数の電磁反射部を有する電磁反射(EMR)構造をさらに備え、前記複数の電磁反射部の各々が前記複数の誘電体構造のうちの対応する1つの周囲に当該対応する誘電体構造と1対1の対応関係で配置されており、
前記EMR構造が前記SIWの前記第2の部分における前記上部導電層と電気的に導通するように配置されている、請求項
24または
25に記載の電磁デバイス。
【請求項27】
前記EMR構造が、HSの0.25倍以下の高さHRを有する、請求項
26に記載の電磁デバイス。
【請求項28】
前記コプレーナ信号フィードが、約50オームの信号入力インピーダンスと、50オームよりも大きい信号出力インピーダンスとを有する、請求項
24または
25に記載の電磁デバイス。
【請求項29】
前記EM導波路の前記複数の導電性ビアのうちの一部が、前記信号フィードの各側に且つ前記信号フィードに近接して配置されるとともに、前記SIWの側面視において、重なり合うビアの壁を形成して前記信号フィードからの横方向信号リークを低減するように互いに配置されている、請求項
24または
25に記載の電磁デバイス。
【請求項30】
所与のSIW内の複数の誘電体構造の各々が、前記電磁デバイスのz軸に平行な中心垂直軸であって、前記電磁デバイスの平面視において、対応する前記SIWの領域内で互いに横方向にオフセットされた中心垂直軸を有する、請求項
24または
25に記載の電磁デバイス。
【請求項31】
所与のSIW内の前記複数の誘電体構造のうち最も近くに隣接する誘電体構造同士の前記中心垂直軸がλ/2の距離で互いに離れて配置されている、請求項
30に記載の電磁デバイス。
【請求項32】
前記電磁デバイスが、約52.5GHz~約65GHzの間の周波数の信号フィードにおける電気的励起に応答して、少なくとも4つの横方向電気(TE)放射モードを有する電磁放射場を放射するように動作可能である、請求項
26に記載の電磁デバイス。
【請求項33】
前記電磁デバイスが4つのTE放射モードにおいて少なくとも10dBiの利得で動作可能である、請求項
32に記載の電磁デバイス。
【請求項34】
電磁アレイであって、
互いに並んで一体的に配置された請求項
26に記載の複数の電磁デバイスを備え、
各前記下部導電層が連続するとともに、各前記上部導電層が連続し、さらには各前記誘電体層が連続し、各前記電磁デバイスの各前記EMR構造の組み合わせにより集合EMR構造が形成されており、
前記集合EMR構造が、前記複数の電磁反射部を含む第1の部分と、複数の電磁反射(EMR)延長部を含む第2の部分とを有し、隣接する前記信号フィード間の信号分離を改善するように各前記信号フィードの各側に前記複数のEMR延長部の1つが隣接している、電磁アレイ。
【請求項35】
所与のSIW内の前記複数の誘電体構造のうち最も近くに隣接する誘電体構造同士の中心垂直軸がλ/2の距離で互いに離れて配置されている、請求項
34に記載の電磁アレイ。
【請求項36】
隣接するSIW内の前記複数の誘電体構造のうち最も近くに隣接する誘電体構造同士の前記中心垂直軸がλ/4の距離で互いに離れて配置されている、請求項
35に記載の電磁アレイ。
【請求項37】
前記FDPが第1の誘電率値Dk1を有し、
前記SDPが第2の誘電率値Dk2を有し、
前記SIWの前記誘電体層が第3の誘電率値Dk3を有し、
Dk2がDk1よりも小さく、Dk3がDk1よりも小さい、請求項
34~
36のいずれか一項に記載の電磁アレイ。
【請求項38】
Dk3がDk2以上である、請求項
37の電磁アレイ。
【請求項39】
Dk3がDk1の0.5倍以下である、請求項
37の電磁アレイ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して電磁デバイス、特に誘電体共振器アンテナ(DRA)システムに関し、より詳細には、DRAシステム内の複数の誘電体構造に関連する利得、反射損失、および絶縁性を高めるための第1および第2の誘電体部分を有するDRAシステムに関する。この出願は、2018年7月2日に出願された米国仮出願番号第62/693,057号の利益を主張する2019年1月14日に出願された米国出願番号第16/246,886号の利益を主張するものであり、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。また、この出願は、2018年2月21日に出願された米国仮出願番号第62/633,256号の利益を主張する2019年1月14日に出願された米国出願番号第16/246,892号の利益を主張するものであり、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。また、この出願は、2018年1月15日に出願された米国仮出願番号第62/617,358号の利益を主張する2019年1月14日に出願された米国出願番号第16/246,880号の利益を主張するものであり、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
既存のDRA共振器およびアレイはそれらの意図した目的に適したものであり得る一方、遠距離場における高い指向性を備えた高利得DRAシステムを構築するための改善されたDRA構造によりDRAの技術を向上して、例えば、帯域幅の制限、効率の制限、利得の制限、指向性の制限、または製造技術の複雑さなどの既存の欠点を克服することが可能となり得る。
【発明の概要】
【0003】
一実施形態は、電磁デバイスを含み、前記電磁デバイスは、第1の電磁(EM)信号フィードと、前記第1のEM信号フィードに隣接して配置された第2のEM信号フィードと、前記第1および第2のEM信号フィードの間に配置され、前記第1および第2のEM信号フィードに対して隆起した導電性隆起領域とを有する。
【0004】
一実施形態は、複数の誘電体構造を有する電磁デバイスを含み、前記複数の誘電体構造の各々は、近位端および遠位端を有するとともに空気以外の誘電体材料を有する第1の誘電体部分(FDP)と、近位端および遠位端を有するとともに空気以外の誘電体材料を有する第2の誘電体部分(SDP)であって、前記SDPの近位端が前記FDPの遠位端に近接して配置される前記SDPと、を有し、前記FDPの誘電体材料は、前記SDPの誘電体材料の平均誘電率よりも大きい平均誘電率を有し、前記SDPは、側面視において全体高さ寸法HSを有し、前記SDPの近位端は、側面視において全体幅寸法W1を有し、HSはW1の2.5倍以上55倍以下である。
【0005】
本発明の上記の特徴および利点ならびに他の特徴および利点は、添付の図面と併せて本発明の以下の詳細な説明から容易に明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
添付の図面において同様の要素に同様な符号が付された例示的かつ非限定的な図面を参照する。
【
図1A】一実施形態による、電磁(EM)デバイスのユニットセルを示す回転斜視図。
【
図1B】一実施形態による、
図1Aのユニットセルを示す側面図。
【
図1C】一実施形態による、
図1Aに示されたものに対する代替的なユニットセルを示す回転斜視図。
【
図1D】一実施形態による、
図1Cのユニットセルを示す側面図。
【
図2】一実施形態による、
図1Bおよび
図1Dのものと類似するが代替的なユニットセルを示す側面図。
【
図3】一実施形態による、
図1B、
図1D、および
図2のものと類似するが代替的なユニットセルを示す側面図。
【
図4】一実施形態による、
図1Bの複数のユニットセルのM×Nアレイ(M=6)を示す側面図。
【
図5A】一実施形態による、
図1Bの複数のユニットセルのM×Nアレイ(M=2)を示す側面図。
【
図5B】一実施形態による、
図5AのM×Nアレイの分解されたアセンブリを示す側面図。
【
図6A】一実施形態による、
図5Aのものと類似するが代替的な複数のユニットセルのM×Nアレイ(M=2)を示す側面図。
【
図6B】一実施形態による、
図6AのM×Nアレイの分解されたアセンブリを示す側面図。
【
図7A】一実施形態による、
図5Aおよび
図6Aのものと類似するが代替的な複数のユニットセルのM×Nアレイ(M=2)を示す側面図。
【
図7B】一実施形態による、
図7AのM×Nアレイの分解されたアセンブリを示す側面図。
【
図8A】一実施形態による、
図6Aのものと類似するが代替的な複数のユニットセルのM×Nアレイ(M=2)を示す側面図。
【
図8B】一実施形態による、
図7Aのものと類似するが代替的な複数のユニットセルのM×Nアレイ(M=2)を示す側面図。
【
図9A】一実施形態による、
図8Aのものと類似するが代替的な複数のユニットセルのM×Nアレイ(M=2)を示す側面図。
【
図10】一実施形態による、
図9Aのものと類似するが代替的な複数のユニットセルのM×Nアレイ(M=2)を示す側面図。
【
図11】一実施形態による、
図5Aのものと類似するが代替的な複数のユニットセルのM×Nアレイ(M=2)を示す側面図。
【
図12】一実施形態による、
図11のものと類似するが代替的な複数のユニットセルのM×Nアレイ(M=2)を示す側面図。
【
図13】一実施形態による、基板上の複数の第1の誘電体部分のM×Nアレイ(M=2およびN=2)を示す平面図。
【
図14A】一実施形態による、接続構造を介して相互接続された、複数の第2の誘電体部分のM×Nアレイ(M=2およびN=2)と複数の取付部分とを含むモノリシック構造を示す平面図。
【
図14B】一実施形態による、
図14Aのものと類似するが代替的なモノリシック構造を示す平面図。
【
図16】一実施形態による、
図14A~
図15のものと類似するが代替的なモノリシック構造を示す平面図。
【
図17】一実施形態による、
図14A~
図16のものと類似するが代替的なモノリシック構造を示す平面図。
【
図18】一実施形態による、
図14A~
図17のものと類似するが代替的なモノリシック構造を示す平面図。
【
図19】一実施形態による、
図14A~
図18のものと類似するが代替的なモノリシック構造を示す平面図。
【
図20】一実施形態による、
図14A~
図19のものと類似するが代替的なモノリシック構造を示す平面図。
【
図21】一実施形態による、
図14A~
図20のものと類似するが代替的なモノリシック構造を示す平面図。
【
図22】一実施形態による、単一のユニットセルの数学的モデリングの性能特性を示す図。
【
図23】一実施形態によるユニットセルのS(1,1)反射損失の性能特性を、同実施形態による要素を有さない同様のユニットセルのものと比較した、一実施形態による数学的性能特性を示す図。
【
図24A】一実施形態によるEMデバイスを示す透過的な回転斜視図。
【
図24B】一実施形態によるEMデバイスを示す透過的側面図。
【
図24C】一実施形態によるEMデバイスを示す透過的上面図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下の詳細な説明は例示の目的で多くの詳細を含むが、当業者は以下の詳細に対する多くの変形および変更が特許請求の範囲内に含まれることを理解し得る。したがって、以下の例示的な実施形態は、特許請求の範囲の発明に対する一般性を失うことなく、かつ制限を課すことなく説明される。
【0008】
一実施形態は、種々の図面によって示され説明されるように、第1の誘電体部分とその第1の誘電体部分に対して戦略的に配置された第2の誘電体部分とを有する誘電体構造の形態を有する電磁デバイスを提供し、少なくとも第1の誘電体部分が電磁的に励起されて遠距離場に電磁場を放射する(例えば、電磁的に共鳴して放射する)ときの、利得の改善、帯域幅の改善、反射損失の改善、および/または絶縁性の改善をもたらす。一実施形態では、第1の誘電体部分のみが電磁的に励起されて遠距離場に電磁場を放射する。別の実施形態では、第1の誘電体部分および第2の誘電体部分の両方が電磁的に励起されて遠距離場に電磁場を放射する。第1の誘電体部分のみが電磁的に励起されて遠距離場に電磁場を放射する実施形態では、第1の誘電体部分が電磁誘電体共振器と見なされ、第2の誘電体部分が誘電体電磁ビーム成形器と見なされ得る。第1の誘電体部分と第2の誘電体部分の両方が電磁的に励起されて遠距離場に電磁場を放射する実施形態では、第1の誘電体部分と第2の誘電体部分の組み合わせが電磁誘電体共振器と見なされ、第2の誘電体部分が誘電体電磁ビーム成形器と見なされ得る。一実施形態では、誘電体構造は全誘電体構造である(例えば、埋め込み金属または金属粒子が存在しない)。
【0009】
図1Aおよび
図1Bは、第1の誘電体部分2020と第2の誘電体部分2520とから構成された誘電体構造2000を有する電磁(EM)デバイス1000を示す。第1の誘電体部分2020は、近位端2040および遠位端2060を有するとともに、直交xyz座標系のz軸に平行に配向された、近位端2040から遠位端2060への隆起方向を有する3次元(3D)形状2080を有する。本明細書に開示される目的において、直交xyz座標系のz軸は、関連する第1の誘電体部分2020の中心垂直軸と整列かつ一致しており、ここで、xz平面、yz平面、およびxy平面は図示されるように種々の図面において配向され、z軸はEMデバイス1000の基板に直交している。ただし、z’軸がEMデバイス1000の基板に直交しない回転変換された直交x’y’z’座標系が使用されてもよいことが理解され得る。本明細書に開示される目的に適したすべてのそのような直交座標系が考慮され、本明細書に開示された発明の範囲内に含まれると見なされる。第1の誘電体部分2020は、空気以外の誘電体材料(Dk材)を含むが、一実施形態において、第1の誘電体部分2020が中空を有する場合には、第1の誘電体部分2020は、本明細書に開示される目的に適した空気、真空、または他のガスの内部領域を含んでもよい。一実施形態では、第1の誘電体部分2020は、半球ドーム形の3D形状であるか、あるいはドーム形状の上端すなわち遠位端2060と垂直側壁とを備えた長尺ドーム形の3D形状であるか、または、概して凸状の遠位端2060を有する形の3D形状を有する。一実施形態では、第1の誘電体部分2020は、半球ドームを形成するための誘電体シェルの積層配置を含み、各連続する外側配置層は実質的に埋め込まれて、隣接する内側配置層に直接接触している。第2の誘電体部分2520は、近位端2540および遠位端2560を有し、第2の誘電体部分2520の近位端2540は、第1の誘電体部分2020の遠位端2060に近接して配置されて誘電体構造2000を形成する。第2の誘電体部分2520は、空気以外の誘電体材料を含む。第2の誘電体部分2520は、第2の誘電体部分2520の近位端2540に近接する第1のxy平面断面領域2580と、第2の誘電体部分2520の近位端2540と遠位端2560との間の第2のxy平面断面領域2600とを有する3D形状を有し、ここで、第2のxy平面断面領域2600は第1のxy平面断面領域2580よりも大きい。一実施形態では、第1のxy平面断面領域2580および第2のxy平面断面領域2600は円形であるが、他のいくつかの実施形態では、楕円形、または本明細書に開示される目的に適した任意の他の形状であってもよい。一実施形態では、第2の誘電体部分2520は、第2のxy平面断面領域2600と遠位端2560との間に配置された第3のxy平面断面領域2640を有し、ここで、第3のxy平面断面領域2640は第2のxy平面断面領域2600よりも大きい。一実施形態では、第2の誘電体部分2520の遠位端2560は平面である。一実施形態では、第1の誘電体部分2020の誘電体材料は、第2の誘電体部分2520の誘電体材料の平均誘電率よりも大きい平均誘電率を有する。一実施形態では、誘電体構造2000は、例えば、埋め込み金属または金属粒子が存在しない全誘電体構造である。一実施形態では、第1の誘電体部分2020は単一の誘電体材料である。
【0010】
一実施形態では、第1の誘電体部分2020の誘電体材料は10以上の平均誘電率を有し、第2の誘電体部分2520の誘電体材料は9以下の平均誘電率を有する。あるいは、第1の誘電体部分2020の誘電体材料は11以上の平均誘電率を有し、第2の誘電体部分2520の誘電体材料は5以下の平均誘電率を有する。あるいは、第1の誘電体部分2020の誘電体材料は12以上の平均誘電率を有し、第2の誘電体部分2520の誘電体材料は3以下の平均誘電率を有する。あるいは、第1の誘電体部分2020の誘電体材料は10以上20以下の平均誘電率を有し、第2の誘電体部分2520の誘電体材料は2以上9以下の平均誘電率を有する。あるいは、第1の誘電体部分2020の誘電体材料は10以上15以下の平均誘電率を有し、第2の誘電体部分2520の誘電体材料は2以上5以下の平均誘電率を有する。あるいは、第2の誘電体部分2520の誘電体材料は、空気の誘電率よりも大きくかつ9以下の平均誘電率を有する。
【0011】
一実施形態では、第2の誘電体部分2520は、全体最大高さHSおよび全体最大幅WSを有し、ここで、HSはWSよりも大きい。一実施形態では、HSはWSの1.5倍以上である。あるいは、一実施形態では、HSはWSの2倍以上である。
【0012】
一実施形態では、第1の誘電体部分2020は、全体最大高さHFおよび全体最大幅WFを有し、ここで、HSはHFよりも大きく、WSはWFよりも大きい。一実施形態では、HSはHFの5倍よりも大きく、WSはWFの1.2倍よりも大きい。
【0013】
一実施形態では、第2の誘電体部分2520は、近位端2540に近接する第1のサブ部分2519と、遠位端2560に近接する第2のサブ部分2521とを有し、ここで、第2のxy平面断面領域2600は第1のサブ部分2519内に含まれ、第3のxy平面断面領域2640は第2のサブ部分2521内に含まれる。一実施形態では、第1のサブ部分2519は直径W1の円筒形の3D形状を有し、第2のサブ部分2521は、W1の下部直径をW1よりも大きなWSの上部直径に拡大した切頭円錐形の3D形状を有する。一実施形態では、直径W1は直径WFよりも大きい。
【0014】
図1Cおよび
図1Dを参照すると、一実施形態において、EMデバイス1000に類似し同様な特徴に同様に符号が付されたEMデバイス1001は、
図1Aおよび
図1Bの第2の誘電体部分2520に類似した第2の誘電体部分2550を有するが、このEMデバイス1001は、第2の誘電体部分2550内部に内側領域2700を有しており、この内側領域2700は、第2の誘電体部分2550の残りの外側本体部分の誘電率よりも小さい誘電率を有する材料から形成されている。一実施形態では、内側領域2700は空気である。概略的に説明すると、第2の誘電体部分2550の外側本体部分は第1の誘電率を有する誘電体材料から形成され、内側領域2700は第1の誘電率よりも小さい第2の誘電率を有する誘電体材料から形成されている。EMデバイス1001の他の特徴は、EMデバイス1000の特徴と同様であるかまたは同一である。
【0015】
図2および
図3を参照すると、
図2はEMデバイス1002を示し、
図3はEMデバイス1003を示しており、双方のEMデバイス1002,1003はEMデバイス1000に類似しており、同様な特徴には同様な符号が付されている。
【0016】
一実施形態では、
図2に示されたEMデバイス1002は、
図1Aおよび
図1Bの第2の誘電体部分2520に類似した第2の誘電体部分2522を有するが、この第2の誘電体部分2522は、第2の誘電体部分2522の高さHS全体にわたって直径W1を有する円筒形状を有している。すなわち、第2の誘電体部分2522は、EMデバイス1000の第2の誘電体部分2520の第1のサブ部分2519を拡張した形態に類似している。一実施形態では、第2の誘電体部分2522は、全体最大高さHSおよび全体最大幅W1を有し、ここで、HSはW1よりも大きい。一実施形態では、HSはW1の1.5倍以上である。あるいは、一実施形態では、HSはW1の2倍以上である。
【0017】
一実施形態では、
図3に示されたEMデバイス1003は、EMデバイス1002の第2の誘電体部分2522と同様な全体最大幅W1および全体最大高さHSを有する第2の誘電体部分2523を有しているが、この第2の誘電体部分2523は、実質的に垂直な側壁を有する下側部分2524と、切頭楕円形状を有する上側部分2525とを有する3D形状を有している。
図3を、
図1A、
図1B、
図1C、
図1D、および
図2と比較すると、第1の誘電体部分2020が凸状の遠位端2060を有し得るだけでなく、第2の誘電体部分2523も凸状の遠位端2560を有し得ることが分かる。一実施形態では、第2の誘電体部分2523は、全体最大高さHSおよび全体最大幅W1を有し、ここで、HSはW1よりも大きい。一実施形態では、HSはW1の1.5倍以上である。あるいは、一実施形態では、HSはW1の2倍以上である。
【0018】
本明細書に開示される第2の誘電体部分2520,2521,2522の高さ対幅の比を調整することにより、より高いTE(横方向電気(transverse electric))モードがサポートされ、より広い遠距離場TE放射帯域幅が得られる。
【0019】
一実施形態では、第2の誘電体部分2520,2521,2522,2523は、第1の誘電体部分2020と直接密着して配置される。しかしながら、本発明の範囲はそのようなものに限定されない。一実施形態では、第2の誘電体部分2520,2521,2522,2523は、
図1Bにおいて破線2530によって示されるように、第1の誘電体部分2020の遠位端2060からλの5倍以下の距離に配置され、ここで、λは、EMデバイス1000の動作中心周波数における自由空間波長である。あるいは、一実施形態では、第2の誘電体部分2520,2521,2522,2523は、第1の誘電体部分2020の遠位端2060からλの3倍以下の距離に配置される。あるいは、一実施形態では、第2の誘電体部分2520,2521,2522,2523は、第1の誘電体部分2020の遠位端2060からλの2倍以下の距離に配置される。あるいは、一実施形態では、第2の誘電体部分2520,2521,2522,2523は、第1の誘電体部分2020の遠位端2060からλの1倍以下の距離に配置される。あるいは、一実施形態では、第2の誘電体部分2520,2521,2522,2523は、第1の誘電体部分2020の遠位端2060からλの1/2倍以下の距離に配置される。あるいは、一実施形態では、第2の誘電体部分2520,2521,2522,2523は、第1の誘電体部分2020の遠位端2060からλの1/10倍以下の距離に配置される。
【0020】
図4を参照すると、同図は、本明細書に開示される任意の誘電体構造によるアレイ3000内の複数の誘電体構造2000を示しており、ここで、複数の誘電体構造2000の各々の第2の誘電体部分2520,2521,2522,2523は、接続構造4000を介して、少なくとも1つの他の第2の誘電体部分2520,2521,2522,2523に物理的に接続されている。一実施形態では、各接続構造4000は、複数の誘電体構造2000のうちの1つの全体外形寸法、例えば、WSまたはHSと比較して(ページの平面内において)相対的に薄い。一実施形態では、各接続構造4000は非ガスの誘電体材料から形成され、それぞれの接続された誘電体構造2000の全体高さHSよりも小さい断面全体高さHCを有する。一実施形態では、各接続構造4000および関連する第2の誘電体部分2520,2521,2522,2523は、単一のモノリシック構造5000を形成する。一実施形態では、各接続構造4000は、関連するEMデバイス1000が動作可能な対応する動作中心周波数の自由空間波長λよりも小さい断面全体高さHCを有する。一実施形態では、接続構造4000は、対応する第2の誘電体部分2520,2521,2522,2523の誘電体材料と同じ誘電体材料で形成される。一実施形態では、接続構造4000および対応する第2の誘電体部分2520,2521,2522,2523は、連続的なシームレス構造として上記単一のモノリシック構造5000を形成する。
【0021】
前述した図面をまとめて全体的に参照し、特に
図4を参照すると、誘電体構造2000のEMデバイス1000,1001,1002,1003または誘電体構造2000のアレイ3000の実施形態は基板3200をさらに含み、この基板3200上に、個々の誘電体構造2000または誘電体構造2000のアレイが配置されている。一実施形態では、基板3200は、誘電体3140と、誘電体3140上に配置された金属フェンス構造3500とを含む。
図4のアレイ3000に関して、基板3200は少なくとも1つの支持部分3020を有し、接続構造4000は少なくとも1つの取付部分4020を有する。一実施形態では、少なくとも1つの取付部分4020の各々は、少なくとも1つの支持部分3020と1対1に対応する関係で配置されている。
【0022】
前述した図面をさらにまとめて全体的に参照し、特に
図4を参照すると、誘電体構造2000のEMデバイス1000,1001,1002,1003または誘電体構造2000のアレイ3000の実施形態では、金属フェンス構造3500は、導電性ベース3514を備えた凹部3512を囲む複数の導電性電磁反射部3510を含み、各導電性電磁反射部3510は、複数の誘電体構造2000のうちの対応する1つと1対1の関係で配置されるとともに、複数の誘電体構造2000のうちの対応する1つを実質的に囲むように配置されている。一実施形態では、金属フェンス構造3500は単一の金属フェンス構造であり、複数の導電性電磁反射部3510は単一の金属フェンス構造3500と一体に形成されている。
【0023】
一実施形態では、各EMデバイス1000,1001,1002,1003は、所与の誘電体構造2000を電磁的に励起するための信号フィード3120を含み、この信号フィード3120は誘電体3140を介して金属フェンス構造3500から分離されており、一実施形態では、この誘電体3140は空気以外の誘電性媒体であり、また、一実施形態では、信号フィード3120はスロット開口3130を備えたマイクロストリップである(例えば、
図1A参照)。しかしながら、所与の誘電体構造2000の励起は、銅線、同軸ケーブル、マイクロストリップ(例えば、スロット開口を有するもの)、ストリップライン(例えば、スロット開口を有するもの)、導波路、表面集積導波路(surface integrated waveguide)、基板集積導波路(substrate integrated waveguide)、または、対応する誘電体構造2000に電磁的に結合される例えば導電性インクなど、本明細書に開示される目的に適した任意の信号フィードによって行われてもよい。当業者によって理解されるように、電磁的に結合されるという表現は、2つの位置の間で物理的接触を必ずしも伴うことなく、一つの位置から別の位置への電磁エネルギーの意図した伝達を指す用語であり、本明細書に開示される一実施形態に関して、より具体的には、関連する誘電体構造2000の電磁共振モードと一致する電磁共振周波数を有する信号ソース間の相互作用を指す。例えば
図1Aに示されるような誘電体構造2000と対応する電磁反射金属フェンス構造3500との組み合わせの1つは、本明細書ではユニットセル1020と呼ばれる。
【0024】
図4に示されるように、誘電体3140および金属フェンス構造3500は、基板3200の少なくとも1つの支持部分3020の位置を規定するそれぞれ軸方向に整列した貫通孔3030,3530をそれぞれ有する。一実施形態では、少なくとも1つの取付部分4020の各々は、少なくとも1つの支持部分3020の各々と1対1に対応して配置されている。一実施形態では、少なくとも1つの取付部分4020の各々は、少なくとも1つの支持部分3020の対応する1つに接着されているかまたは固定されている。
図4は、6幅にわたる複数の誘電体構造2000を有したM×Nアレイ3000(M=6)を示している。一実施形態では、Nも6に等しくてもよく、または本明細書に開示される目的に適した任意の数の誘電体構造2000に等しくてもよい。さらに、本明細書に開示される所与のアレイにおけるM×Nの誘電体構造の数は単に例示の目的であり、MおよびNの双方の値は、本明細書に開示される目的に適した任意の数とすることができることが理解される。したがって、本明細書に開示される本発明の範囲内に含まれる任意のM×Nアレイが考慮される。
【0025】
以下、
図5A~
図10を参照する。
図5Aは、M×Nアレイ3001(M=2、Nは制限されない)を示し、
図4のアレイ3000に類似して、誘電体3140および金属フェンス構造3500は、基板3200の各支持部分3020の位置を規定するそれぞれ軸方向に整列した貫通孔3030,3530をそれぞれ有し、各取付部分4020は、誘電体3140および金属フェンス構造3500のそれぞれ対応する貫通孔3030,3530内に配置されている。
図5Bは、本明細書において上述したモノリシック構造5000に類似したモノリシック構造5010を基板3200にアセンブリする前の
図5Aのアレイ3001を示している。図示されるように、アレイ3001は、接続構造4000を有する接続アレイであり、第2の誘電体部分2520の低Dk材は、第2の誘電体部分2520の近位端2040に示されるように、第1の誘電体部分2020の高Dk材の側面すべてを覆っており、また、第2の誘電体部分2520は、
図5Aの破線5012によって示されるように、第1の誘電体部分2020に直接密着している。
【0026】
図6Aは、M×Nアレイ3002(M=2、Nは制限されない)を示し、
図5Aのアレイ3001に類似して、誘電体3140および金属フェンス構造3500は、基板3200の少なくとも1つの支持部分3020の位置を規定するそれぞれ軸方向に整列した貫通孔3030,3530をそれぞれ有し、各取付部分4020は、金属フェンス構造3500の対応する貫通孔3530内に配置されているが、誘電体3140の貫通孔3030内には配置されていない。一実施形態では、誘電体3140の貫通孔3030には、
図5Aに示されるモノリシック構造5010に類似したモノリシック構造5020の取付部分4020を基板3200に固定する接着剤などの結合材料3012が充填される。
図6Bは、モノリシック構造5020を基板3200にアセンブリする前の
図6Aのアレイ3002を示している。図示されるように、アレイ3002は、接続構造4000を有する接続アレイであり、第2の誘電体部分2520の低Dk材は、第2の誘電体部分2520の近位端2040に示されるように、第1の誘電体部分2020の高Dk材の側面すべてを覆っておらず、第2の誘電体部分2520の近位端2040と、第1の誘電体部分2020が配置される金属フェンス構造3500の導電性ベース3514との間にはギャップ5014が存在し、第2の誘電体部分2520は、
図5Aの破線5012によって示されるように、第1の誘電体部分2020に直接密着している。
【0027】
図7Aは、M×Nアレイ3003(M=2、Nは制限されない)を示し、
図5Aおよび
図6Aのそれぞれアレイ3001,3002に類似しているが、いくつかの代替的特徴を有している。
図7Aに示されるように、誘電体3140は接続構造4030の取付部分4020の領域に貫通孔を有しておらず、接続構造4030は接続構造4000に類似するが代替的な構造であり、金属フェンス構造3500は、取付部分4020が載置される凹状の支持面3540を有し、これにより少なくとも1つの支持部分3020を形成している。一実施形態では、結合材料3012は、モノリシック構造5010,5020に類似したモノリシック構造5030の取付部分4020を凹状の支持面3540に固定する。
図7Bは、モノリシック構造5030を基板3200にアセンブリする前の
図7Aのアレイ3003を示している。換言すると、基板3200の各支持部分3020は上向き支持面3540を含み、接続構造4030の各取付部分4020は、対応する1つの上向き支持面3540と対向して係合するように配置された下向き取付面4024を含む。
【0028】
図示されるように、アレイ3003は、接続構造4030を有する接続アレイであり、第2の誘電体部分2520の低Dk材は、第2の誘電体部分2520の近位端2040に示されるように、第1の誘電体部分2020の高Dk材の側面すべてを覆っておらず、第2の誘電体部分2520の近位端2040と、第1の誘電体部分2020が配置される金属フェンス構造3500の導電性ベース3514との間にはギャップ5014が存在し、第2の誘電体部分2520は、
図7Aのギャップ5016によって示されるように、第1の誘電体部分2020の遠位端2060から離れた距離に配置されている。
図7Aの接続構造4030と
図5Aの接続構造4000とを比較すると、接続構造4000は断面全体高さHCを有し、接続構造4030は断面全体高さHC1を有し、ここで、HC1はHCよりも小さい。一実施形態では、HC1はλの1倍以下であり、ここで、λは、EMデバイス1000の動作中心周波数における自由空間波長である。あるいは、一実施形態では、HC1はλの1/2倍以下である。あるいは、一実施形態では、HC1はλの1/4倍以下である。あるいは、一実施形態では、HC1はλの1/5倍以下である。あるいは、一実施形態では、HC1はλの1/10倍以下である。
【0029】
図8Aは、M×Nアレイ3004(M=2、Nは制限されない)を示し、
図6Aのアレイ3004に類似しているが、接続構造の高さがHCではなくHC1である。
図8および
図6Aにおける他の同様な特徴には同様な符号が付されている。
【0030】
図8Bは、M×Nアレイ3005(M=2、Nは制限されない)を示し、ギャップ5014,5016を有する
図7Aのアレイ3003と結合材料3012を有する
図8Aのアレイ3004との組み合わせに類似しているが、代替の取付機能を有している。一実施形態では、基板3200の各支持部分3020は、金属フェンス構造3500に形成された上向き肩部3024を含み、モノリシック構造5020の各取付部分4020は、対応する1つの上向き肩部3024に配置された下向き肩部4024を含み、取付部分4020の遠位端4026の断面は減少され、この遠位端4026が金属フェンス構造3500の開口部または貫通孔3534と係合している。取付部分4020の遠位端4026の下方において金属フェンス構造3500に形成された空間3536には、モノリシック構造5020を基板3200に固定する結合材料3012が充填されている。
【0031】
図6A、
図8A、および
図8Bを参照すると、一実施形態に含まれる構造では、対応する取付部分4020の一部分のみが金属フェンス構造3500の対応する1つの貫通孔3030,3530,3534内に配置され、結合材料3012が金属フェンス構造3500の残りの貫通孔部分と基板3200の対応する貫通孔に少なくとも部分的に配置されることが分かる。
【0032】
図8Bを参照すると、一実施形態に含まれる構造では、段差付きポスト端部4021を備えた(参照符号4020によって示される)ポストが接続構造4030の取付部分4020に形成され、この段差付きポスト端部4021が金属フェンス構造3500の対応する貫通孔3534内に部分的に配置されることが分かる。一実施形態では、ポスト4020および段差付きポスト端部4021は円筒形である。
【0033】
図9Aは、M×Nアレイ3006(M=2、Nは制限されない)を示し、
図8Aのアレイ3004に類似しているが代替の取付機能を有している。
図9Bは、
図9Aに示される細部9Bである。一実施形態では、基板3200の各支持部分3020は、金属フェンス構造3500に形成された下向きアンダーカット肩部3022を含み、接続構造4030の各取付部分4020は、金属フェンス構造3500の開口部3532を介して対応する下向きアンダーカット肩部3022とスナップフィット係合するように配置された上向きスナップフィット肩部4022を含む。
図9Aおよび
図9Bは、誘電体3140の貫通孔3030を示すが、このような貫通孔3030は、接続構造4030のスナップフィット脚部4050の寸法に応じて必要でない場合もあることが理解され得る。一実施形態では、スナップフィット脚部4050は開口中央領域4052を含み、開口中央領域4052は、前述のスナップフィット係合を容易にするために側部4054が内側に撓むことを可能にする。取付部分4020の遠位端のテーパ状先端(tapered nose)4056は、開口部3532内への取付部分4020の挿入を容易にする。
【0034】
図10は、M×Nアレイ3007(M=2、Nは制限されない)を示し、ギャップ5014,5016を有する
図7Aのアレイ3003と、スナップフィット脚部4050を有する
図9Aのアレイ3005との組み合わせに類似している。
図10、
図9A、および
図7Aの間における他の同様な特徴には同様な符号が付されている。
【0035】
図5A~
図10と組み合わせた
図1~
図4の上述の説明から分かるように、本明細書に開示される多くのEMデバイスの特徴は、本明細書に開示される他のEMデバイスの特徴と置換可能であるとともに、それら他のEMデバイスの特徴とともに使用可能である。したがって、EMデバイスの機能のすべての組み合わせが図示され本明細書に具体的に説明されているわけではないが、当業者は、本明細書に開示される発明の範囲から逸脱することなく、一つのEMデバイスの機能を別のEMデバイスの機能に置換できることを理解し得る。したがって、本明細書に開示されるEMデバイスの特徴のあらゆる組み合わせが本明細書に開示される発明の範囲内にあることが意図されるとともに考慮される。
【0036】
以下、
図11および
図12を参照する。
図11は、M×Nアレイ3008(M=2、Nは制限されない)を示し、
図5Aのアレイ3001に類似しているが、
図5Aに示される接続構造4000を有していない。
図11および
図5Aの間における他の同様な特徴には同様な符号が付されている。
【0037】
図12は、M×Nアレイ3009(M=2、Nは制限されない)を示し、
図11のアレイ3007に類似しているが、接続構造4000を有しておらず、
図3に示すものに類似した第2の誘電体部分2523を有している。
図12および
図11の間における他の同様な特徴には同様な符号が付されている。
【0038】
上述した説明および/または
図1~
図12の例示から分かるように、本発明の実施形態は、接続構造4000を含んでも含んでいなくてもよく、いずれの場合も本明細書に開示される発明の実施形態に従って依然として機能する。したがって、接続構造を含む本明細書に開示された任意の実施形態は、そのような接続構造を有さずに実施されてもよく、同様に、接続構造を有さない本明細書に開示された任意の実施形態は、そのような接続構造を備えて実施されてもよい。
【0039】
以下、
図13を参照すると、同図は、M×Nアレイ3040(M=2、N=2)の実施形態の例示的な平面図を示しているが、本発明はこのような2×2アレイに限定されるものではない。アレイ3040は、
図5A、
図6A、
図7A、
図8A、
図8B、
図9A、
図10にそれぞれ示される上述したアレイ3001,3002,3003,3004,3005,3006,3007のいずれかを代表したものであり、対応する第2の誘電体部分2520,2523、接続構造4000,4030、および/またはモノリシック構造5020を有していない。図示されるように、アレイ3040は、導電性電磁反射部3510および導電性ベース3514(誘電体3140は隠れて見えない)を有する金属フェンス構造3500、第1の誘電体部分2020、スロット付きフィード開口3130(上述したフィード構造のいずれかと置換可能)、および支持部分3020を備えた基板3200を含む。以下、
図14Aを
図13と組み合わせて参照すると、
図14Aは、基板3200へのアセンブリ前のモノリシック構造5010を示している。図示されるように、モノリシック構造5010は、複数の第2の誘電体部分2520と、複数の取付部分4020と、接続構造4000,4030とを有する。接続構造4000,4030は、第2の誘電体部分2520と取付部分4020との間の空間を完全に満たすものとして示されているが、これは例示のみを目的としたものであり、接続構造4000,4030は、第2の誘電体部分2520と取付部分4020とを相互接続してモノリシック構造5010を形成する接続分岐のみを有する必要があることが理解され得る。例えば、
図14Bを参照すると、
図14Bは、
図14Aに示されるものと同じ第2の誘電体部分2520および取付部分4020を示すが、接続構造4000,4030は複数の相互接続リブであり、この組み合わせがモノリシック構造5010を形成する。
図14Aと少なくとも
図5Aおよび
図7Aとの比較は、接続構造4000,4030が基板3200から離れた距離に配置され、空気または任意の非ガスの誘電体材料によって占められ得ることを示す。基板3200に対して距離を置いて配置されたモノリシック構造5010のそれらの部分は、本明細書では非取付ゾーン4222とも呼ばれる。
【0040】
以下、
図15~
図21を参照すると、これらの図は、取付部分4020の代替配置、誘電体構造2000のアレイレイアウト(
図15~
図21では誘電体構造2000の第2の誘電体部分2520のみを図示している)、およびそれらによる接続構造4000,4030を示している。
図15では、第2の誘電体部分2520が直線レイアウトで配置され、取付部分4120が第2の誘電体部分2520(およびそれによる誘電体構造2000)を完全に取り囲むように配置されている。
図16では、第2の誘電体部分2520が直線レイアウトで配置され、取付部分4220が第2の誘電体部分2520を部分的に取り囲んで少なくとも1つの非取付領域4222がモノリシックと基板との間に存在するように配置されている。
図17では、第2の誘電体部分2520が非直線レイアウトで配置され、取付部分4120が
図15のものと同様に第2の誘電体部分2520を完全に取り囲むように配置されている。
図18では、第2の誘電体部分2520が非直線レイアウトで配置され、取付部分4320が
図15および
図17のものに類似して第2の誘電体部分2520を完全に取り囲むように配置される一方、追加のより厚い取付部分4322が例えばアレイのコーナーなどの戦略的位置に配置されている。
図19では、第2の誘電体部分2520が非直線レイアウトで配置され、取付部分4322は、
図18に示される追加のより厚い取付部分4322によって形成されるが
図18に示される周囲の取付部分4320を有しておらず、これによりモノリシックと基板との間に少なくとも1つの非取付領域4222が存在している。
図20では、第2の誘電体部分2520が非直線レイアウトで配置され、取付部分4420は、
図18に示される周囲の取付部分4320のわずかな部分とともに
図18に示される追加のより厚い取付部分4322によって形成されており、これによりモノリシックと基板との間には少なくとも1つの非取付領域4222が存在している。
図21では、第2の誘電体部分2520が非直線レイアウトで配置され、取付部分4520は、
図18に示される周囲の取付部分4320のさらなる部分とともに
図18に示される追加のより厚い取付部分4322によって形成されており、これによりモノリシックと基板との間には少なくとも1つの非取付領域4222が存在している。
図15~
図21の接続構造4000,4030は、本明細書の開示と一致する任意の方法で、対応する取付部分4120,4220,4222,4320,4322,4420,4520と第2の誘電体部分2520とを相互接続するように形成され得る。
【0041】
以上の説明から、本発明の実施形態が含むEMデバイス100では、基板3200の少なくとも1つの支持部分3020の各々と接続構造4000,4030の少なくとも1つの取付部分4020,4120,4220,4222,4320,4322,4420,4520のうちの対応する1つとが互いに取り付けられて第1の取付ゾーン4020,4120,4220,4222,4320,4322,4420,4520を画定し、アレイ3000,3001,3002,3003,3004,3005,3006,3007,3008,3009の各第1の誘電体部分2020と基板3200とが互いに取り付けられて第2の取付ゾーン(第1の誘電体部分2020と基板3200との間の全接触領域)を画定し、単一のモノリシック構造5000,5010と基板3200との間における第1の取付ゾーンまたは第2の取付ゾーン以外のゾーンにより非取付ゾーン4222が画定されることが理解され得る。一実施形態では、第1の取付ゾーンは第2の取付ゾーンを少なくとも部分的に取り囲む。あるいは、一実施形態では、第1の取付ゾーンは第2の取付ゾーンを完全に取り囲む。
【0042】
以上の説明から、本明細書の開示と一致する実施形態を提供するべく取付部分および接続構造とともに誘電体構造のレイアウトを構成するにあたっては多くの変形例が存在するためそれらを網羅的に列挙することはできないことが理解され得る。本明細書の開示と一致するそのような配置のあらゆるものが本明細書に開示される発明の範囲内に含まれることが意図されるとともに考慮される。
【0043】
以下、
図22~23を参照すると、これらの図は、本明細書に開示され、
図7A,
図13,
図14Aによって概略的に表される例示的な実施形態の利点を示す数学的モデリングデータを示している。
図22は、本明細書に開示される実施形態の第1の誘電体部分2020と第2の誘電体部分2520との両方を有する単一の放射誘電体構造2000、より詳細には単一のユニットセル1020の性能特性、より詳細にはdBi利得およびS(1,1)反射損失を示す。図示されているように、帯域幅は69GHz~85GHzの間で-10dBiにおいて21%であり、利得は、この21%帯域幅における79GHzで12.3dBiのピークを有しつつ実質的に一定であり、この21%帯域幅での3つの共振モードはTEモードTE
01,TE
02,TE
03である。
図23は、
図22に関するものと同じユニットセル1020のS(1,1)反射損失性能特性を、第2の誘電体部分2520を備える場合と備えない場合とで比較したものを示しており、本明細書に開示される実施形態の利点を示すために提示されている。曲線2300は、第2の誘電体部分2520を備える場合のS(1,1)特性を示し、曲線2310は、第2の誘電体部分2520を備えない場合のS(1,1)特性を示している。同図から分かるように、第2の誘電体部分2520を使用することで、69GHzから85GHzまでの動作周波数範囲において少なくとも40dBiだけ最小反射損失が向上する。
【0044】
以上の観点から、本明細書に開示されるEMデバイス1000は、異なる中心周波数における少なくとも2つの共振モードを有する動作周波数範囲を有して動作可能であり、それら共振モードのうちの少なくとも1つは第2の誘電体部分2520の存在によってサポートされることが理解され得る。一実施形態では、少なくとも2つの共振モードはTEモードである。また、本明細書に開示されるEMデバイス1000は、異なる中心周波数における少なくとも3つの共振モードを有する動作周波数範囲を有して動作可能であり、それら少なくとも3つの共振モードのうちの少なくとも2つが第2の誘電体部分2520の存在によってサポートされることが理解され得る。一実施形態では、少なくとも3つの共振モードはTEモードである。一実施形態では、EMデバイス1000は、動作周波数範囲内の最小反射損失値を有して動作可能であり、第2の誘電体部分2520を取り除くと、動作周波数範囲内の最小反射損失値が少なくとも5dBi、あるいは少なくとも10dBi、あるいは少なくとも20dBi、あるいは少なくとも30dBi、さらにあるいは少なくとも40dBiだけ増加する。
【0045】
図1C、
図1D、および少なくとも
図4を再度参照すると、一実施形態は、第2の誘電体部分2550(あるいは本明細書では電磁(EM)誘電体レンズと呼ばれる)を含み、この第2の誘電体部分250は、少なくとも1つの誘電体材料で形成された少なくとも1つのレンズ部分(本明細書ではこの部分も参照符号2550によって参照される)を有し、この少なくとも1つのレンズ部分2550は、その少なくとも1つの誘電体材料の境界によって輪郭形成されたキャビティ2700を有することが理解され得る。一実施形態では、少なくとも1つのレンズ部分2550は、複数の積層レンズ部分(破線2552で示される)から形成される。一実施形態では、複数のレンズ部分2550,2552はアレイ状に配置される(例えば、
図4のアレイ3000を参照)。一実施形態では、複数のレンズ部分2550,2552が接続され(例えば、
図4の接続構造4000を参照)、それら複数のレンズ部分2550,2552の接続は少なくとも1つの誘電体材料によってもたらされる。一実施形態では、EM誘電体レンズ2550は全誘電体構造である。
【0046】
本明細書に開示されるEMデバイス1000の構造の以上の説明の観点から、一実施形態は、そのようなEMデバイス1000を形成する方法も含むことが理解され得る。この方法は、基板を提供すること;基板上に複数の第1誘電体部分(FDP)を配置することであって、複数のFDPの各FDPは近位端および遠位端を有するとともに空気以外の誘電体材料を含み、各FDPの近位端が基板上に配置されること;各FDPに近接して第2の誘電体部分(SDP)を配置することであって、各SDPは近位端および遠位端を有するとともに空気以外の誘電体材料を含み、各SDPの近位端は対応するFDPの遠位端に近接して配置されること、を含み、各FDPの誘電体材料は、対応するSDPの誘電体材料の平均誘電率よりも大きい平均誘電率を有しており、各FDPおよび対応するSDPによって誘電体構造が形成される。この方法の一実施形態において、各SDPは、非ガスの誘電体材料で形成された接続構造を介して少なくとも1つの他のSDPに物理的に接続されており、接続構造および接続されたSDPによって単一のモノリシック構造が形成される。この方法の一実施形態において、SDPを配置することは、各FDPに近接して単一のモノリシック構造を配置することを含む。この方法の一実施形態において、単一のモノリシック構造は、シームレスで連続的な構造を有する単一の誘電体材料である。この方法の一実施形態において、方法はさらに、単一のモノリシック構造を基板に取り付けることを含む。この方法の一実施形態において、上記取り付けることは、基板の支持プラットフォーム上に単一のモノリシック構造のポストを結合(bonding)によって取り付けることを含む。この方法の一実施形態において、上記取り付けることは、単一のモノリシック構造のスナップフィットポストを基板の肩部の孔にスナップフィットによって取り付けることを含む。この方法の一実施形態において、上記取り付けることは、単一のモノリシック構造の段差付きポストを一部分のみ基板の貫通孔に取り付けること、およびその貫通孔に結合材料を適用してポストを基板に結合することを含む。この方法の一実施形態において、誘電体構造は全誘電体構造である。
【0047】
以下、上記を全体的に参照するとともに、特に上記実施形態の代替実施形態を示す
図24A~
図31を参照して、種々の態様を説明する。
[態様1](例えば、
図29A,29B,29C,30A,30B,30Cと組み合わせて
図31を参照) 電磁デバイス6600であって、第1の電磁(EM)信号フィード6322.1と、第1のEM信号フィード6322.1に隣接して配置された第2のEM信号フィード6322.2と、第1および第2のEM信号フィード6322.1,6322.2の間に配置されるとともに第1および第2のEM信号フィード6322.1,6322.2に対して隆起した導電性隆起領域6426とを備える電磁デバイス6600。
【0048】
[態様2] 第1および第2のEM信号フィード6322.1,6322.2はフィード基板6300上に配置されており、導電性隆起領域6426が金属めっき基板を含み、該金属めっき基板は、第1のEM信号フィード6322.1上に配置された第1の長尺キャビティ6602と、第2のEM信号フィード6322.2上に配置された第2の長尺キャビティ6604と、第1および第2のEM信号フィード6322.1,6322.2の間に配置された前記導電性領域を形成する導電性長尺フィンガー6426とを含む、態様1の電磁デバイス6600。
【0049】
[態様3] フィード基板6300が上部導電層6304を含み、導電性長尺フィンガー6426がフィード基板6300の上部導電層6304に電気的に結合されている、態様2の電磁デバイス6600。
【0050】
[態様4] フィード基板6300は、第1および第2のEM信号フィード6322.1,6322.2が配置される第1の部分6320と、第1の部分6320を延長した部分であって複数の誘電体構造6200のための支持領域(上部導電層6304の上面)を提供する第2の部分6330と、を含み、前記複数の誘電体構造のうちの第1のセット6200.1が第1のEM信号フィード6322.1と電磁的に協働するように配置され、前記複数の誘電体構造のうちの第2のセット6200.2が第2のEM信号フィード6322.2と電磁的に協働するように配置され、第1および第2のEM信号フィード6322.1,2322.2が、第2の部分6330上ではなく、第1の部分6320上に配置されている、態様2または3の電磁デバイス6600。
【0051】
[態様5] 複数の誘電体構造6200が第2の部分6330の前記支持領域上に配置されている、態様4の電磁デバイス6600。
[態様6] 複数の誘電体構造6200の各々は、近位端6204および遠位端6206を有するとともに空気以外の誘電体材料を含む第1の誘電体部分(FDP)6202と、近位端6254および遠位端6256を有するとともに空気以外の誘電体材料を含む第2の誘電体部分(SDP)6252であって、SDP6252の近位端6254がFDP6202の遠位端6206に近接して配置されたSDP6252とを含み、FDP6202の誘電体材料が、SDP6252の誘電体材料の平均誘電率よりも大きい平均誘電率を有する、態様4または5の電磁デバイス6600。
【0052】
[態様7] 少なくともFDP6202が誘電体共振器構造である、態様6の電磁デバイス6600。
[態様8] 各SDP6252の遠位端6256が、隣接するSDP6252.1,6252.2を一体的に相互接続する相対的に薄い接続構造6280を有し、当該相対的に薄い接続構造6280が、側面視における所与のSDP6252の近位端6254の全体幅寸法W1に対して相対的に薄い、態様6または7の電磁デバイス6600。
【0053】
[態様9] FDP6202が、10以上20以下の第1の誘電率Dk1を有し、SDP6252が、空気の誘電率よりも大きく且つ9以下の第2の誘電率Dk2を有する、態様6~8のいずれか一つの電磁デバイス6600。
【0054】
[態様10] SDP6252は、側面視において全体高さ寸法HSを有し、SDP6252の近位端6254は、側面視において全体幅寸法W1を有し、HSがW1の2.5倍以上55倍以下である、態様6~9のいずれか一つの電磁デバイス6600。
【0055】
[態様11] 電磁デバイス6600がさらに、複数の電磁反射部6410を有する電磁反射(EMR)構造6400を備えており、複数の電磁反射部6410の各々は、複数の誘電体構造6200のうちの対応する1つの周囲に当該対応する誘電体構造6200と1対1の対応関係で配置されており、EMR構造6400は、フィード基板6300の第2の部分6330と電気的に導通するように配置されるとともに、第1および第2のEM信号フィード6322.1,6322.2の間に配置された導電性隆起領域6426と電気的に導通するように配置されている、態様4~9のいずれか一つの電磁デバイス6600。
【0056】
[態様12] 第1および第2のEM信号フィード6322.1,6322.2の各々は、上部導電層6304の導電性材料の欠如部分6324.1,6324.2を介して上部導電層6304内に形成されている、態様1~3のいずれか一つの電磁デバイス6600。
【0057】
[態様13] 前記フィード基板が基板集積導波路(SIW)6300であり、当該フィード基板がさらに、下部導電層6302と、下部および上部導電層6302,6304の間に配置された誘電体層6306と、下部および上部導電層6302,6304の間に配置されるとともにそれらと電気的に導通するように配置された複数の導電性ビア6308であって、第1および第2のEM信号フィード6322.1,6322.2とそれぞれ電磁的に協働するSIW6300の第1および第2の電磁(EM)導波路6310.1,6310.2を形成するように配置された複数の導電性ビア6308と、を含み、SIW6300の第1の部分6320が、第1および第2のEM信号フィード6322.1,6322.2を有するコプレーナ(coplanar)信号フィード構造を含み、SIW6300の第2の部分6330が、SIW6300の第1の部分6320を延長した部分であって、複数の誘電体共振器構造6200(
図24A、
図29A、および
図30Aを参照)のための支持部を提供するものであり、複数の誘電体共振器構造6200のうちの第1のセット6200.1が第1のEM導波路6310.1と電磁的に協働するように配置され、複数の誘電体共振器構造6200のうちの第2のセット6200.2が第2のEM導波路6310.2と電磁的に協働するように配置され、第1および第2のEM信号フィード6322.1,6322.2が、第2の部分6330ではなく第1の部分6320の上に配置されている、態様12の電磁デバイス6600。
【0058】
[態様14] 第1および第2のEM信号フィード6322.1,6322.2の各々は信号入力領域6326と信号出力領域6328を有し(例えば、
図24C参照)、信号出力領域6328は第2の部分6330から距離dを置いて配置され(例えば、
図24C参照)、dはゼロよりも大きく且つλ/20以下であり、λは電磁デバイスの動作周波数における動作波長である、態様12または13の電磁デバイス6600。
【0059】
[態様15](最も良く分かる
図31および
図24Cを参照) 電磁デバイス6600がさらに、複数の電磁反射部6410を有する電磁反射(EMR)構造6400を備えており、複数の電磁反射部6410の各々は、複数の誘電体共振器構造6200のうちの対応する1つの周囲に当該対応する誘電体共振器構造6200と1対1の対応関係で配置されており、EMR構造6400は、SIW6300の第2の部分6330の上部導電層6304と電気的に導通するように配置されるとともに、第1および第2のEM信号フィード6322.1,6322.2の間に配置された導電性隆起領域6426と電気的に導通するように配置されている、態様12~14のいずれか一つの電磁デバイス6600。
【0060】
[態様16] コプレーナ信号フィード構造の第1および第2のEM信号フィード6322.1,6322.2の各々は、約50オームの信号入力インピーダンスおよび50オームよりも大きな信号出力インピーダンスを有する、態様12~15のいずれか一つの電磁デバイス6600。
【0061】
[態様17] 第1および第2のEM導波路6310.1、6310.2のうちの対応する1つの複数の導電性ビア6308は、対応するEM信号フィード6322.1,6322.2の各側に且つその対応するEM信号フィードに近接して配置されるとともに、SIW6300の側面視において、重なり合うビア6312(最も良く分かる
図24Bを参照)の壁を形成して対応するEM信号フィード6322.1,6322.2からの横方向信号リークを低減するように互いに配置されている、態様12~15のいずれか一つの電磁デバイス6600。
【0062】
[態様18] 複数の誘電体共振器構造6200の各々は、近位端6204および遠位端6206を有するとともに空気以外の誘電体材料を含む第1の誘電体部分(FDP)6202と、近位端6254および遠位端6256を有するとともに空気以外の誘電体材料を含む第2の誘電体部分(SDP)6252であって、SDP6252の近位端6254がFDP6202の遠位端6206に近接して配置されるSDP6252とを含み、FDP6202の誘電体材料が、SDP6252の誘電体材料の平均誘電率よりも大きい平均誘電率を有する、態様12または13の電磁デバイス6600。
【0063】
[態様19] FDP6202が10以上20以下の第1の誘電率Dk1を有し、SDP6252が空気の誘電率よりも大きく且つ9以下の第2の誘電率Dk2を有する、態様18の電磁デバイス6600。
【0064】
[態様20] SDP6252が側面視において全体高さ寸法HSを有し、SDP6252の近位端6254が側面視において全体幅寸法W1を有し、HSがW1の2.5倍以上55倍以下である、態様18または19の電磁デバイス6600。
【0065】
[態様21](例えば、
図24A、
図24B、および
図24Cを参照) 一実施形態の電磁(EM)デバイス6100(
図1AのEMデバイス1000に類似するが、代替のEM信号フィードおよび複数の代替の誘電体構造を有する)であって、複数の誘電体構造6200を備え、各誘電体構造が、近位端6204および遠位端6206を有するとともに空気以外の誘電体材料を含む第1の誘電体部分(FDP)6202と、近位端6254および遠位端6256を有するとともに空気以外の誘電体材料を含む第2の誘電体部分(SDP)6252であって、SDP6252の近位端6254がFDP6202の遠位端6206に近接して配置されるSDP6252と、を含み、FDP6202の誘電体材料が、SDP6252の誘電体材料の平均誘電率よりも大きい平均誘電率を有し、SDP6252が側面視において全体高さ寸法HS(例えば、
図24B参照)を有し、SDP6252の近位端6254が側面視において全体幅寸法W1を有し(例えば、
図24B参照)、HSがW1の2.5倍以上55倍以下である、電磁デバイス6100。
【0066】
[態様22] HSがW1の3倍以上である、態様21の電磁デバイス6100。
[態様23] SDP6252が略円筒形状を有する、態様21または22の電磁デバイス6100。
【0067】
[態様24] 各SDP6252の遠位端6256が、隣接するSDP6252.1,6252.2を一体的に相互接続する相対的に薄い接続構造6280を有し、当該相対的に薄い接続構造6280が、W1に対して相対的に薄い厚さtを有する、態様21~23のいずれか一つの電磁デバイス6100。一実施形態では、tは、W1の0.1倍以上0.5倍以下であるか、またはW1の0.1倍以上0.2倍以下である。
【0068】
[態様25] 電磁デバイス6100は、複数の誘電体構造6200が配置される基板集積導波路(SIW)6300をさらに備える、態様21~24のいずれか一つの電磁デバイス6100。
【0069】
[態様26] SIW6300(
図24Aおよび
図24Bと組み合わせることで最も良く分かる
図24Cを参照)は、下部導電層6302と、上部導電層6304と、下部および上部導電層6302,6304の間に配置された誘電体層6306と、下部および上部導電層6302,6304の間に配置されるとともにそれらと電気的に導通するように配置された複数の導電性ビア6308であって、SIW6300の電磁(EM)導波路6310を形成するように配置された複数の導電性ビア6308と、を含み、SIW6300の第1の部分6320が、上部導電層6304の導電性材料の欠如部分6324を介して上部導電層6304内に形成されるとともにEM導波路6310と電磁的に協働するように配置されたコプレーナ(coplanar)信号フィード6322を含み、SIW6300の第2の部分6330が、SIW6300の第1の部分6320を延長した部分であって、EM導波路6310と電磁的に協働するように配置された複数の誘電体構造6200のための支持部を提供するものであり(第1および第2の部分6320,6330の下部導電層6302が同一平面上にあるとともに、第1および第2の部分6320,6330の上部導電層6304が同一平面上にある)、信号フィード6322が、第2の部分6330ではなく第1の部分6320の上に配置されている、態様25の電磁デバイス6100。
【0070】
[態様27] 信号フィード6322が信号入力領域6326と信号出力領域6328を有し、信号出力領域6328が第2の部分6330から距離dを置いて配置されており、dはゼロよりも大きく且つλ/20以下であり、λは電磁デバイス6100の動作周波数における動作波長である、態様26の電磁デバイス6100。
【0071】
[態様28] 電磁デバイス6100がさらに、複数の電磁反射部6410を有する電磁反射(EMR)構造6400を備えており、複数の電磁反射部6410の各々は、複数の誘電体構造6200のうちの対応する1つの周囲に当該対応する誘電体構造6200と1対1の対応関係で配置されており、EMR構造6400は、SIW6300の第2の部分6330の上部導電層6304と電気的に導通するように配置されている、態様26または27の電磁デバイス6100。
【0072】
[態様29] EMR構造6400がHSの0.25倍以下の高さHRを有する、態様28の電磁デバイス6100。
[態様30] コプレーナ信号フィード6322が、約50オームの信号入力インピーダンスおよび50オームよりも大きい信号出力インピーダンスを有する、態様26または27の電磁デバイス6100。
【0073】
[態様31] EM導波路6310の複数の導電性ビア6308のうちの一部6312が、信号フィード6308の各側に且つその信号フィードに近接して配置されるとともに、SIW6300の側面視(例えば、
図24B参照)において、重なり合うビアの壁を形成して信号フィードからの横方向信号リークを低減するように互いに配置されている、態様26または27の電磁デバイス6100。
【0074】
[態様32] 所与のSIW6300内の複数の誘電体構造6200の各々は、電磁デバイス6100のz軸(例えば、
図24A参照)に平行な中心垂直軸6208,6210であって、電磁デバイス6100の平面視(例えば、
図24C参照)において、対応するSIW6300の領域内で互いに横方向にオフセット6212された中心垂直軸6208,6210を有する、態様26または27の電磁デバイス6100。
【0075】
[態様33] 所与のSIW6300内の複数の誘電体構造6200のうち最も近くに隣接する誘電体構造6200同士の中心垂直軸6208,6210がλ/2の距離で互いに離れて配置されている、態様32の電磁デバイス6100。
【0076】
[態様34] 電磁デバイス6100は、約52.5GHz~約65GHzの間の周波数の信号フィード6322における電気的励起に応答して、
図25に示されている分析モデリングデータから観察される少なくとも4つの横方向電気(TE)放射モードを有する電磁放射場を放射するように動作可能である、態様28の電磁デバイス6100。本明細書に開示される背の高い(高アスペクト比の)SDP6252を使用して少なくとも4つのTE放射モードを放射できることの利点は、
図25に示された分析モデリングデータで観察されるように、平坦な利得を有する帯域幅が拡張されることにあり、
図25は、20%の帯域幅で10~12dBiの利得を示している。
図25は、4つのTE放射モード(TE1,TE2,TE3,TE4)のみを示しているが、本明細書に開示される教示を適用することによって、より多くのTE放射モードが可能であり、それにより、利得、帯域幅、またはその両方をさらに改善することが意図されている。
【0077】
[態様35] 電磁デバイス6100が4つのTE放射モードにおいて少なくとも10dBiの利得で動作可能である(例えば、
図25参照)、態様34の電磁デバイス6100。
図26、
図27、および
図28は、電磁デバイス6100の追加の分析モデリングデータを示している。例えば、
図26は、約13.3%の帯域幅で12dBiを超える利得を示しており、
図27は、ファイ=0度で0.6dBiの利得低下のみによる+/-2度のビームスクイントを示しており、
図28は、ファイ=90度で0.6dBiの利得低下のみによる+/-2度のビームスクイントを示している。
【0078】
[態様36](例えば、
図24A、
図24B、
図24Cとともに
図29A、
図29B、
図29Cを参照) 互いに並んで一体に配置された態様28の複数の電磁デバイス6100を備える電磁アレイ6500であって、各下部導電層602が連続するとともに、各上部導電層6304が連続し、さらには各誘電体層6306が連続し、各電磁デバイス6100の各EMR構造6400の組み合わせにより集合EMR構造6420が形成されており、集合EMR構造6420が、複数の電磁反射部6410を含む第1の部分6422と、複数の電磁反射(EMR)延長部6426を含む第2の部分6424とを有し、隣接する信号フィード6322間の信号分離を改善するように各信号フィード6322の各側に複数のEMR延長部6426の1つが隣接している、電磁アレイ6500。
【0079】
[態様37] 所与のSIW6300内の複数の誘電体構造6200のうち最も近くに隣接する誘電体構造6200同士の中心垂直軸6208,6210が、λ/2の距離で互いに距離6212を置いて配置されている、態様36の電磁アレイ6500。
【0080】
[態様38](
図29A、
図29B、
図29Cと組み合わせて全体として
図30Aおよび
図30B、ここでは特に
図30Cを参照) 隣接するSIW6300.1,6300.2内の複数の誘電体構造6200のうち最も近くに隣接する誘電体構造6200同士の中心垂直軸6214,6216が、λ/4の距離で互いに距離6218を置いて配置されている、態様37の電磁アレイ6500。
【0081】
[態様39] FDP6202が第1の誘電率値Dk1を有し、SDP6252が第2の誘電率値Dk2を有し、SIW6300の誘電体層6306が第3の誘電率値Dk3を有し、Dk2がDk1よりも小さく、Dk3がDk1より小さい、態様21~38のいずれか一つの電磁デバイス6100。
【0082】
[態様40] Dk3がDk2以上である、態様39の電磁デバイス6100。
[態様41] Dk3がDk1の0.5倍以下である、態様39の電磁デバイス6100。
【0083】
上述した態様1~41に関して本明細書で使用される隆起という用語への言及は、
図24A、
図29A、および
図30Aに示されるようなxyz直交座標系のz軸に沿った正のz方向の隆起を意味する。
【0084】
以上のすべての観点で、本明細書ではEMデバイスの特徴の特定の組み合わせについて説明したが、これらの特定の組み合わせは例示のみを目的としたものであり、本明細書に開示されるEMデバイスの特徴のいずれかの任意の組み合わせを本発明の実施形態に従って使用できることが理解され得る。このような組み合わせのすべてが本明細書では意図されるとともに本明細書に開示される発明の範囲内にあると見なされる。
【0085】
本明細書では例示的な実施形態を参照して本発明を説明したが、特許請求の範囲から逸脱することなく種々の変更が可能であり等価物で要素を置き換えることができることが当業者には理解され得る。本発明の本質的な範囲から逸脱することなく特定の状況または材料を本発明の教示に適合させるために多くの変形を行うことができる。したがって、本発明は、当該発明を実施するために考慮される最良または唯一の態様として本明細書に開示される特定の実施形態(群)に限定されず、特許請求の範囲内に含まれるすべての実施形態を含むことが意図される。図面および上記の説明では、特定の用語および/または寸法が採用され得るが、例示的な実施形態が開示されるものであり、特に明記されない限り、それらは一般的、例示的、および/または説明的な意味でのみ使用されており限定する目的ではない。したがって、特許請求の範囲はそのように限定されない。層、膜、領域、基板、または他の説明された特徴などの要素が他の要素の「上にある」と記載される場合、その要素は他の要素上に直接存在してもよいし、介在する要素が存在してもよい。これに対して、要素が他の要素の「直接上にある」と記載される場合、介在する要素は存在しない。第1、第2などの用語の使用は順序や重要性を示すものではなく、第1、第2などの用語は、ある要素を他の要素から区別するために使用される。1つなどの用語の使用は数量の制限を示すのではなく、参照される項目の少なくとも1つの存在を示す。本明細書で使用される「備える」という用語は、1つまたは複数の追加の特徴の潜在的包含を排除するものではない。また、本明細書で提供される背景技術の情報は、本明細書に開示された発明に潜在的に関連すると本出願人が考える情報を明らかにするために提供されている。このような背景情報のいずれかが本明細書に開示された発明の実施形態に対する先行技術を構成するものであると認めることを必ずしも意図するものではなくそのように解釈されるべきものでもない。