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特許7209717第1および第2の誘電体部分を有する誘電体共振器アンテナ
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-12
(45)【発行日】2023-01-20
(54)【発明の名称】第1および第2の誘電体部分を有する誘電体共振器アンテナ
(51)【国際特許分類】
   H01Q 9/04 20060101AFI20230113BHJP
   H01Q 15/08 20060101ALI20230113BHJP
   H01Q 21/06 20060101ALI20230113BHJP
【FI】
H01Q9/04
H01Q15/08
H01Q21/06
【請求項の数】 70
(21)【出願番号】P 2020529551
(86)(22)【出願日】2019-01-15
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-04-30
(86)【国際出願番号】 US2019013577
(87)【国際公開番号】W WO2019140420
(87)【国際公開日】2019-07-18
【審査請求日】2021-12-03
(31)【優先権主張番号】62/617,358
(32)【優先日】2018-01-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/633,256
(32)【優先日】2018-02-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】16/246,892
(32)【優先日】2019-01-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】16/246,880
(32)【優先日】2019-01-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】596024851
【氏名又は名称】ロジャーズ コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】パンセ、クリスティ
(72)【発明者】
【氏名】タラスキー、ジャンニ
(72)【発明者】
【氏名】ジョージ、ロシン ローズ
【審査官】岸田 伸太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-008542(JP,A)
【文献】特開2010-141566(JP,A)
【文献】特開平09-223924(JP,A)
【文献】米国特許第05453754(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01Q 9/04
H01Q 15/08
H01Q 21/06
IEEE Xplore
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電磁デバイスであって、
誘電体構造を備え、該誘電体構造が、
近位端および遠位端を有するとともに空気以外の第1の平均誘電率を有する第1の誘電体材料による第1の誘電体部分(FDP)であって、近位端が前記FDPの底部に近接して位置し、遠位端が前記FDPの頂部に近接して位置し、半球ドーム形か、長尺ドーム形か、垂直側壁とドーム形状の遠位端とを備える長尺ドーム形か、または凸状の遠位端を有する誘電体媒体の形の3次元(3D)形状を有する前記FDPと、
近位端および遠位端を有するとともに空気以外の第2の平均誘電率を有する第2の誘電体材料による第2の誘電体部分(SDP)であって、近位端が前記SDPの底部に近接して位置し、遠位端が前記SDPの頂部に近接して位置し、前記SDPの近位端が前記FDPの遠位端に近接して配置される、前記SDPと、を含み、
前記FDPの前記第1の誘電体材料の前記第1の平均誘電率は、前記SDPの前記第2の誘電体材料の前記第2の平均誘電率よりも大きく、
前記SDPは全体最大高さHSおよび全体最大幅WSを有し、HSはWSよりも大きく、
前記SDPは全体中間最大幅W1を有し、
WSは前記SDPの遠位端に近接して位置し、W1は前記SDPの遠位端と近位端との間に位置し、
WSはW1よりも大きく、
前記FDPは全体最大幅WFを有し、
WSおよびW1の少なくとも一方がWFよりも大きく、
HSは、前記SDPの近位端から遠位端への方向に見たものであり、WS、W1、およびWFは、HSと直交する方向に見たものであることを特徴とする電磁デバイス。
【請求項2】
前記誘電体構造が全誘電体構造である、請求項1に記載の電磁デバイス。
【請求項3】
前記FDPが単一の誘電体材料である、請求項1または2に記載の電磁デバイス。
【請求項4】
前記SDPが外側本体と内側領域とを含み、前記外側本体が第1の誘電率を有する誘電体材料を含み、前記内側領域が第1の誘電率よりも小さい第2の誘電率を有する誘電体材料を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の電磁デバイス。
【請求項5】
前記内側領域が空気を含む、請求項4に記載の電磁デバイス。
【請求項6】
前記SDPは、前記SDPの近位端に近接する第1のxy平面断面領域と、前記SDPの近位端と遠位端との間の第2のxy平面断面領域とを有する3D形状を有し、前記第2のxy平面断面領域が前記第1のxy平面断面領域よりも大きい、請求項1~5のいずれか一項に記載の電磁デバイス。
【請求項7】
前記SDPが前記FDPと直接密着して配置されている、請求項1~6のいずれか一項に記載の電磁デバイス。
【請求項8】
前記SDPが前記FDPの遠位端からλの5倍以下の距離に配置されており、ここで、λは、動作中心周波数における自由空間波長である、請求項1~6のいずれか一項に記載の電磁デバイス。
【請求項9】
前記SDPが前記FDPの遠位端からλの3倍以下の距離に配置されており、ここで、λは、動作中心周波数における自由空間波長である、請求項1~6のいずれか一項に記載の電磁デバイス。
【請求項10】
前記SDPが前記FDPの遠位端からλの2倍以下の距離に配置されており、ここで、λは、動作中心周波数における自由空間波長である、請求項1~6のいずれか一項に記載の電磁デバイス。
【請求項11】
前記SDPが前記FDPの遠位端からλの1倍以下の距離に配置されており、ここで、λは、動作中心周波数における自由空間波長である、請求項1~6のいずれか一項に記載の電磁デバイス。
【請求項12】
前記SDPが前記FDPの遠位端からλの1/2倍以下の距離に配置されており、ここで、λは、動作中心周波数における自由空間波長である、請求項1~6のいずれか一項に記載の電磁デバイス。
【請求項13】
前記SDPが前記FDPの遠位端からλの1/10倍以下の距離に配置されており、ここで、λは、動作中心周波数における自由空間波長である、請求項1~6のいずれか一項に記載の電磁デバイス。
【請求項14】
前記FDPの誘電体材料が10以上の誘電率を有し、
前記SDPの誘電体材料が9以下の誘電率を有する、請求項1~13のいずれか一項に記載の電磁デバイス。
【請求項15】
前記FDPの誘電体材料が11以上の誘電率を有し、
前記SDPの誘電体材料が5以下の誘電率を有する、請求項1~13のいずれか一項に記載の電磁デバイス。
【請求項16】
前記FDPの誘電体材料が12以上の誘電率を有し、
前記SDPの誘電体材料が3以下の誘電率を有する、請求項1~13のいずれか一項に記載の電磁デバイス。
【請求項17】
前記FDPの誘電体材料が10以上20以下の誘電率を有し、
前記SDPの誘電体材料が2以上9以下の誘電率を有する、請求項1~13のいずれか一項に記載の電磁デバイス。
【請求項18】
前記FDPの誘電体材料が10以上15以下の誘電率を有し、
前記SDPの誘電体材料が2以上5以下の誘電率を有する、請求項1~13のいずれか一項に記載の電磁デバイス。
【請求項19】
HSがWSの1.5倍以上である、請求項6に記載の電磁デバイス。
【請求項20】
HSがWSの2倍以上である、請求項6に記載の電磁デバイス。
【請求項21】
前記FDPが全体最大高さHFおよび全体最大幅WFを有し、
HSがHFよりも大きく、
WSがWFよりも大きい、請求項6に記載の電磁デバイス。
【請求項22】
HSがHFの5倍よりも大きく、
WSがWFの1.2倍よりも大きい、請求項21に記載の電磁デバイス。
【請求項23】
前記FDPが凸状の遠位端を含み、
前記SDPが平坦な遠位端を含む、請求項1~22のいずれか一項に記載の電磁デバイス。
【請求項24】
前記FDPが凸状の遠位端を含み、
前記SDPが凸状の遠位端を含む、請求項1~22のいずれか一項に記載の電磁デバイス。
【請求項25】
前記SDPの近位端が全体最大幅W1を有し、前記SDPの遠位端が全体最大幅WSを有し、
WSがW1よりも大きい、請求項1~24のいずれか一項に記載の電磁デバイス。
【請求項26】
アレイ状に配置された複数の誘電体構造を備え、
前記複数の誘電体構造の各SDPが、接続構造を介して少なくとも1つの他のSDPに物理的に接続されている、請求項1~25のいずれか一項に記載の電磁デバイス。
【請求項27】
各前記接続構造は、前記複数の誘電体構造のうちの1つの全体外形寸法と比較して相対的に薄く、また、各前記接続構造は、対応する前記接続された誘電体構造の全体高さよりも小さい断面全体高さを有するとともに非ガスの誘電体材料で形成され、各前記接続構造およびそれに関連する前記SDPが単一のモノリシック構造を形成する、請求項26に記載の電磁デバイス。
【請求項28】
各前記接続構造は、前記電磁デバイスが動作可能な対応する動作中心周波数の自由空間波長よりも小さい断面全体高さを有する、請求項27に記載の電磁デバイス。
【請求項29】
前記接続構造は、前記SDPの誘電体材料と同じ誘電体材料で形成されている、請求項26~28のいずれか一項に記載の電磁デバイス。
【請求項30】
前記接続構造および前記SDPは、連続的なシームレス構造として単一のモノリシック構造を形成する、請求項26~29のいずれか一項に記載の電磁デバイス。
【請求項31】
前記誘電体構造のアレイが配置される基板をさらに備え、前記基板が少なくとも1つの支持部分を含み、
前記接続構造が少なくとも1つの取付部分を含み、前記少なくとも1つの取付部分の各々が前記少なくとも1つの支持部分と1対1に対応する関係で配置されている、請求項26~30のいずれか一項に記載の電磁デバイス。
【請求項32】
各前記SDPが、対応する1つの前記FDPの遠位端から規定のギャップによる距離を置いて配置されている、請求項26~31のいずれか一項に記載の電磁デバイス。
【請求項33】
前記基板の前記少なくとも1つの支持部分の各々が下向きアンダーカット肩部を含み、
前記接続構造の前記少なくとも1つの取付部分の各々が、対応する前記下向きアンダーカット肩部とスナップフィット係合するように配置された上向きスナップフィット肩部を含む、請求項31に記載の電磁デバイス。
【請求項34】
前記基板の前記少なくとも1つの支持部分の各々が上向き支持面を含み、
前記接続構造の前記少なくとも1つの取付部分の各々が、対応する前記上向き支持面に対向して係合するように配置された下向き取付面を含む、請求項31に記載の電磁デバイス。
【請求項35】
前記少なくとも1つの取付部分の各々が、前記少なくとも1つの支持部分のうちの対応する1つに接着される、請求項34に記載の電磁デバイス。
【請求項36】
前記基板の前記少なくとも1つの支持部分の各々と、前記接続構造の前記少なくとも1つの取付部分のうちの対応する1つとが互いに取り付けられて第1の取付ゾーンを画定し、
前記アレイの各前記FDPと前記基板とが互いに取り付けられて第2の取付ゾーンを画定し、
前記接続構造と前記SDPとによって形成された単一のモノリシック構造と前記基板との間のゾーンであって、前記第1の取付ゾーンまたは前記第2の取付ゾーン以外のゾーンが非取付ゾーンを画定する、請求項31に記載の電磁デバイス。
【請求項37】
前記第1の取付ゾーンが前記第2の取付ゾーンを少なくとも部分的に取り囲む、請求項36に記載の電磁デバイス。
【請求項38】
前記第1の取付ゾーンが前記第2の取付ゾーンを完全に取り囲む、請求項36に記載の電磁デバイス。
【請求項39】
前記基板は、複数の導電性電磁反射部を含む金属フェンス構造を備え、前記複数の導電性電磁反射部の各々が、前記複数の誘電体構造のうちの対応する誘電体構造と1対1の関係で配置されるとともに当該対応する誘電体構造を実質的に取り囲むように配置されている、請求項31に記載の電磁デバイス。
【請求項40】
前記金属フェンス構造が単一の金属フェンス構造であり、
前記複数の導電性電磁反射部が前記単一の金属フェンス構造と一体的に形成されている、請求項39に記載の電磁デバイス。
【請求項41】
前記基板および前記金属フェンス構造が、前記基板の前記少なくとも1つの支持部分の位置を規定する軸方向に整列した貫通孔をそれぞれ含む、請求項39または40に記載の電磁デバイス。
【請求項42】
前記少なくとも1つの取付部分の各々は、前記金属フェンス構造の複数の貫通孔のうちの対応する1つの内部に一部分のみが配置され、
前記金属フェンス構造の残りの貫通孔部分および前記基板の対応する貫通孔に結合材料が少なくとも部分的に配置される、請求項39~41のいずれか一項に記載の電磁デバイス。
【請求項43】
前記接続構造の前記少なくとも1つの取付部分の各々は段差付きポスト端部を有するポストを形成し、
前記段差付きポスト端部が前記金属フェンス構造の複数の貫通孔のうちの対応する1つの内部に部分的に配置されている、請求項39~42のいずれか一項に記載の電磁デバイス。
【請求項44】
前記ポストおよび前記段差付きポスト端部の少なくとも一方が円筒形である、請求項43に記載の電磁デバイス。
【請求項45】
前記誘電体構造が誘電体共振器アンテナの少なくとも一部を形成する、請求項1~44のいずれか一項に記載の電磁デバイス。
【請求項46】
前記誘電体共振器アンテナが、異なる中心周波数における少なくとも2つの共振モードを含む動作周波数範囲を有して動作可能であり、前記共振モードのうちの少なくとも1つが前記SDPの存在によってサポートされる、請求項45に記載の電磁デバイス。
【請求項47】
前記少なくとも2つの共振モードがTEモードである、請求項46に記載の電磁デバイス。
【請求項48】
前記誘電体共振器アンテナが、異なる中心周波数における少なくとも3つの共振モードを含む動作周波数範囲を有して動作可能であり、前記少なくとも3つの共振モードのうちの少なくとも2つが前記SDPの存在によってサポートされる、請求項45に記載の電磁デバイス。
【請求項49】
前記少なくとも3つの共振モードがTEモードである、請求項48に記載の電磁デバイス。
【請求項50】
前記誘電体共振器アンテナが動作周波数範囲における最小反射損失値を有して動作可能であり、前記SDPを取り除くと、前記動作周波数範囲における前記最小反射損失値が少なくとも5dB増加する、請求項45に記載の電磁デバイス。
【請求項51】
前記誘電体共振器アンテナが動作周波数範囲における最小反射損失値を有して動作可能であり、前記SDPを取り除くと、前記動作周波数範囲における前記最小反射損失値が少なくとも10dB増加する、請求項45に記載の電磁デバイス。
【請求項52】
前記誘電体共振器アンテナが動作周波数範囲における最小反射損失値を有して動作可能であり、前記SDPを取り除くと、前記動作周波数範囲における前記最小反射損失値が少なくとも20dB増加する、請求項45に記載の電磁デバイス。
【請求項53】
前記誘電体共振器アンテナが動作周波数範囲における最小反射損失値を有して動作可能であり、前記SDPを取り除くと、前記動作周波数範囲における前記最小反射損失値が少なくとも30dB増加する、請求項45に記載の電磁デバイス。
【請求項54】
前記誘電体共振器アンテナが動作周波数範囲における最小反射損失値を有して動作可能であり、前記SDPを取り除くと、前記動作周波数範囲における前記最小反射損失値が少なくとも40dB増加する、請求項45に記載の電磁デバイス。
【請求項55】
請求項1に記載の前記電磁デバイスを製造する方法であって、
基板を提供すること、
前記基板上に複数の前記第1の誘電体部分(FDP)を配置することであって、各前記FDPの前記近位端が前記基板上に配置されるように複数の前記FDPを配置すること、
各前記FDPに近接させて複数の前記第2の誘電体部分(SDP)の一つを配置することであって、各前記SDPの前記近位端が対応する前記FDPの前記遠位端に近接して配置されるように複数の前記SDPの一つを配置すること、を備え、各前記FDPおよび対応する前記SDPにより誘電体構造が前記基板上に形成されることを特徴とする方法。
【請求項56】
各前記SDPは、非ガスの誘電体材料で形成された接続構造を介して少なくとも1つの他の前記SDPに物理的に接続されており、前記接続構造および前記接続されたSDPにより単一のモノリシック構造が形成される、請求項55に記載の方法。
【請求項57】
前記SDPを配置することが、
各前記FDPに近接して前記単一のモノリシック構造を配置することを含む、請求項56に記載の方法。
【請求項58】
前記単一のモノリシック構造が、シームレスで連続的な構造を有する単一の誘電体材料である、請求項57に記載の方法。
【請求項59】
前記単一のモノリシック構造を前記基板に取り付けることをさらに備える請求項57または58に記載の方法。
【請求項60】
前記取り付けることが、
前記基板の支持プラットフォーム上に前記単一のモノリシック構造のポストを結合によって取り付けることを含む、請求項59に記載の方法。
【請求項61】
前記取り付けることが、
前記単一のモノリシック構造のスナップフィットポストを前記基板の肩部の孔にスナップフィットによって取り付けることを含む、請求項59に記載の方法。
【請求項62】
前記取り付けることが、
前記単一のモノリシック構造の段差付きポストの一部分のみを前記基板の貫通孔に取り付けること、および、前記貫通孔内に結合材料を適用して前記ポストを前記基板に結合することを含む、請求項59に記載の方法。
【請求項63】
前記誘電体構造が全誘電体構造である、請求項55~62のいずれか一項に記載の方法。
【請求項64】
電磁誘電体レンズであって、
少なくとも1つの誘電体材料で形成された少なくとも1つのレンズ部分を備え、前記少なくとも1つのレンズ部分が、前記少なくとも1つの誘電体材料の境界によって輪郭形成されたキャビティを含み、
前記少なくとも1つのレンズ部分は全体最大高さHSおよび全体最大幅WSを有し、HSはWSよりも大きく、
前記少なくとも1つのレンズ部分は全体中間最大幅W1を有し、
WSは前記少なくとも1つのレンズ部分の遠位端に近接して位置し、W1は前記少なくとも1つのレンズ部分の遠位端と近位端との間に位置し、
WSはW1よりも大きく、
HSは、前記少なくとも1つのレンズ部分の近位端から遠位端への方向に見たものであり、WSおよびW1は、HSと直交する方向に見たものであることを特徴とする電磁誘電体レンズ。
【請求項65】
前記少なくとも1つのレンズ部分が複数のレンズ部分を含む、請求項64に記載の電磁誘電体レンズ。
【請求項66】
前記複数のレンズ部分がアレイ状に配置されている、請求項65に記載の電磁誘電体レンズ。
【請求項67】
前記複数のレンズ部分が接続されている、請求項65に記載の電磁誘電体レンズ。
【請求項68】
前記複数のレンズ部分の接続が前記少なくとも1つの誘電体材料によってもたらされる、請求項67に記載の電磁誘電体レンズ。
【請求項69】
前記電磁誘電体レンズが全誘電体構造である、請求項64~68のいずれか一項に記載の電磁誘電体レンズ。
【請求項70】
前記キャビティは、前記少なくとも1つの誘電体材料の誘電率よりも小さい誘電率を有する誘電体材料を含む、請求項64~69のいずれか一項に記載の電磁誘電体レンズ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して電磁デバイス、特に誘電体共振器アンテナ(DRA)システムに関し、より詳細には、DRAシステム内の複数の誘電体構造に関連する利得、反射損失、および絶縁性を高めるための第1および第2の誘電体部分を有するDRAシステムに関する。この出願は、2018年2月21日に出願された米国仮出願番号第62/633,256号の利益を主張する2019年1月14日に出願された米国出願番号第16/246,892号の利益を主張するものであり、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。また、この出願は、2018年1月15日に出願された米国仮出願番号第62/617,358号の利益を主張する2019年1月14日に出願された米国出願番号第16/246,880号の利益を主張するものであり、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
既存のDRA共振器およびアレイはそれらの意図した目的に適したものであり得る一方、遠距離場における高い指向性を備えた高利得DRAシステムを構築するための改善されたDRA構造によりDRAの技術を向上して、例えば、帯域幅の制限、効率の制限、利得の制限、指向性の制限、または製造技術の複雑さなどの既存の欠点を克服することが可能となり得る。
【発明の概要】
【0003】
一実施形態は、電磁デバイスを含み、前記電磁デバイスは誘電体構造を有し、前記誘電体構造は、近位端および遠位端を有するとともに空気以外の誘電体材料を有する第1の誘電体部分(FDP)と、近位端および遠位端を有する第2の誘電体部分(SDP)であって、前記SDPの近位端が前記FDPの遠位端に近接して配置され、空気以外の誘電体材料を有する前記SDPとを含み、前記FDPの誘電体材料は、前記SDPの誘電体材料の平均誘電率よりも大きい平均誘電率を有する。
【0004】
一実施形態は、電磁デバイスを形成する方法を含み、当該方法は、基板を提供すること、前記基板上に複数の第1の誘電体部分(FDP)を配置することであって、前記複数のFDPの各々が近位端および遠位端を有するとともに空気以外の誘電体材料を有し、各前記FDPの近位端が前記基板上に配置される、前記複数のFDPを配置すること、および、各前記FDPに近接した第2の誘電体部分(SDP)を配置することを含み、各前記SDPは近位端および遠位端を有し、各前記SDPの近位端は対応する前記FDPの遠位端に近接して配置され、各前記SDPは空気以外の誘電体材料を有し、各前記FDPの誘電体材料は、対応する前記SDPの誘電体材料の平均誘電率よりも大きい平均誘電率を有し、各FDPおよび対応するSDPにより誘電体構造が形成される。
【0005】
一実施形態は、少なくとも1つの誘電体材料で形成された少なくとも1つのレンズ部分を有する電磁誘電体レンズを含み、前記少なくとも1つのレンズ部分は、前記少なくとも1つの誘電体材料の境界によって輪郭形成されたキャビティを有する。
【0006】
本発明の上記の特徴および利点ならびに他の特徴および利点は、添付の図面と併せて本発明の以下の詳細な説明から容易に明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
添付の図面において同様の要素に同様な符号が付された例示的かつ非限定的な図面を参照する。
図1A】一実施形態による、電磁(EM)デバイスのユニットセルを示す回転斜視図。
図1B】一実施形態による、図1Aのユニットセルを示す側面図。
図1C】一実施形態による、図1Aに示されたものに対する代替的なユニットセルを示す回転斜視図。
図1D】一実施形態による、図1Cのユニットセルを示す側面図。
図2】一実施形態による、図1Bおよび図1Dのものと類似するが代替的なユニットセルを示す側面図。
図3】一実施形態による、図1B図1D、および図2のものと類似するが代替的なユニットセルを示す側面図。
図4】一実施形態による、図1Bの複数のユニットセルのM×Nアレイ(M=6)を示す側面図。
図5A】一実施形態による、図1Bの複数のユニットセルのM×Nアレイ(M=2)を示す側面図。
図5B】一実施形態による、図5AのM×Nアレイの分解されたアセンブリを示す側面図。
図6A】一実施形態による、図5Aのものと類似するが代替的な複数のユニットセルのM×Nアレイ(M=2)を示す側面図。
図6B】一実施形態による、図6AのM×Nアレイの分解されたアセンブリを示す側面図。
図7A】一実施形態による、図5Aおよび図6Aのものと類似するが代替的な複数のユニットセルのM×Nアレイ(M=2)を示す側面図。
図7B】一実施形態による、図7AのM×Nアレイの分解されたアセンブリを示す側面図。
図8A】一実施形態による、図6Aのものと類似するが代替的な複数のユニットセルのM×Nアレイ(M=2)を示す側面図。
図8B】一実施形態による、図7Aのものと類似するが代替的な複数のユニットセルのM×Nアレイ(M=2)を示す側面図。
図9A】一実施形態による、図8Aのものと類似するが代替的な複数のユニットセルのM×Nアレイ(M=2)を示す側面図。
図9B図9Aの細部9Bを示す拡大図。
図10】一実施形態による、図9Aのものと類似するが代替的な複数のユニットセルのM×Nアレイ(M=2)を示す側面図。
図11】一実施形態による、図5Aのものと類似するが代替的な複数のユニットセルのM×Nアレイ(M=2)を示す側面図。
図12】一実施形態による、図11のものと類似するが代替的な複数のユニットセルのM×Nアレイ(M=2)を示す側面図。
図13】一実施形態による、基板上の複数の第1の誘電体部分のM×Nアレイ(M=2およびN=2)を示す平面図。
図14A】一実施形態による、接続構造を介して相互接続された、複数の第2の誘電体部分のM×Nアレイ(M=2およびN=2)と複数の取付部分とを含むモノリシック構造を示す平面図。
図14B】一実施形態による、図14Aのものと類似するが代替的なモノリシック構造を示す平面図。
図15】一実施形態による、図14Aおよび図14Bのものと類似するが代替的なモノリシック構造を示す平面図。
図16】一実施形態による、図14A図15のものと類似するが代替的なモノリシック構造を示す平面図。
図17】一実施形態による、図14A図16のものと類似するが代替的なモノリシック構造を示す平面図。
図18】一実施形態による、図14A図17のものと類似するが代替的なモノリシック構造を示す平面図。
図19】一実施形態による、図14A図18のものと類似するが代替的なモノリシック構造を示す平面図。
図20】一実施形態による、図14A図19のものと類似するが代替的なモノリシック構造を示す平面図。
図21】一実施形態による、図14A図20のものと類似するが代替的なモノリシック構造を示す平面図。
図22】一実施形態による、単一のユニットセルの数学的モデリングの性能特性を示す図。
図23】一実施形態によるユニットセルのS(1,1)反射損失の性能特性を、同実施形態による要素を有さない同様のユニットセルのものと比較した、一実施形態による数学的性能特性を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下の詳細な説明は例示の目的で多くの詳細を含むが、当業者は以下の詳細に対する多くの変形および変更が特許請求の範囲内に含まれることを理解し得る。したがって、以下の例示的な実施形態は、特許請求の範囲の発明に対する一般性を失うことなく、かつ制限を課すことなく説明される。
【0009】
一実施形態は、種々の図面によって示され説明されるように、第1の誘電体部分とその第1の誘電体部分に対して戦略的に配置された第2の誘電体部分とを有する誘電体構造の形態を有する電磁デバイスを提供し、少なくとも第1の誘電体部分が電磁的に励起されて遠距離場に電磁場を放射する(例えば、電磁的に共鳴して放射する)ときの、利得の改善、帯域幅の改善、反射損失の改善、および/または絶縁性の改善をもたらす。一実施形態では、第1の誘電体部分のみが電磁的に励起されて遠距離場に電磁場を放射する。別の実施形態では、第1の誘電体部分および第2の誘電体部分の両方が電磁的に励起されて遠距離場に電磁場を放射する。第1の誘電体部分のみが電磁的に励起されて遠距離場に電磁場を放射する実施形態では、第1の誘電体部分が電磁誘電体共振器と見なされ、第2の誘電体部分が誘電体電磁ビーム成形器と見なされ得る。第1の誘電体部分と第2の誘電体部分の両方が電磁的に励起されて遠距離場に電磁場を放射する実施形態では、第1の誘電体部分と第2の誘電体部分の組み合わせが電磁誘電体共振器と見なされ、第2の誘電体部分が誘電体電磁ビーム成形器と見なされ得る。一実施形態では、誘電体構造は全誘電体構造である(例えば、埋め込み金属または金属粒子が存在しない)。
【0010】
図1Aおよび図1Bは、第1の誘電体部分2020と第2の誘電体部分2520とから構成された誘電体構造2000を有する電磁(EM)デバイス1000を示す。第1の誘電体部分2020は、近位端2040および遠位端2060を有するとともに、直交xyz座標系のz軸に平行に配向された、近位端2040から遠位端2060への隆起方向を有する3次元(3D)形状2080を有する。本明細書に開示される目的において、直交xyz座標系のz軸は、関連する第1の誘電体部分2020の中心垂直軸と整列かつ一致しており、ここで、xz平面、yz平面、およびxy平面は図示されるように種々の図面において配向され、z軸はEMデバイス1000の基板に直交している。ただし、z’軸がEMデバイス1000の基板に直交しない回転変換された直交x’y’z’座標系が使用されてもよいことが理解され得る。本明細書に開示される目的に適したすべてのそのような直交座標系が考慮され、本明細書に開示された発明の範囲内に含まれると見なされる。第1の誘電体部分2020は、空気以外の誘電体材料(Dk材)を含むが、一実施形態において、第1の誘電体部分2020が中空を有する場合には、第1の誘電体部分2020は、本明細書に開示される目的に適した空気、真空、または他のガスの内部領域を含んでもよい。一実施形態では、第1の誘電体部分2020は、半球ドーム形の3D形状であるか、あるいはドーム形状の上端すなわち遠位端2060と垂直側壁とを備えた長尺ドーム形の3D形状であるか、または、概して凸状の遠位端2060を有する形の3D形状を有する。一実施形態では、第1の誘電体部分2020は、半球ドームを形成するための誘電体シェルの積層配置を含み、各連続する外側配置層は実質的に埋め込まれて、隣接する内側配置層に直接接触している。第2の誘電体部分2520は、近位端2540および遠位端2560を有し、第2の誘電体部分2520の近位端2540は、第1の誘電体部分2020の遠位端2060に近接して配置されて誘電体構造2000を形成する。第2の誘電体部分2520は、空気以外の誘電体材料を含む。第2の誘電体部分2520は、第2の誘電体部分2520の近位端2540に近接する第1のxy平面断面領域2580と、第2の誘電体部分2520の近位端2540と遠位端2560との間の第2のxy平面断面領域2600とを有する3D形状を有し、ここで、第2のxy平面断面領域2600は第1のxy平面断面領域2580よりも大きい。一実施形態では、第1のxy平面断面領域2580および第2のxy平面断面領域2600は円形であるが、他のいくつかの実施形態では、楕円形、または本明細書に開示される目的に適した任意の他の形状であってもよい。一実施形態では、第2の誘電体部分2520は、第2のxy平面断面領域2600と遠位端2560との間に配置された第3のxy平面断面領域2640を有し、ここで、第3のxy平面断面領域2640は第2のxy平面断面領域2600よりも大きい。一実施形態では、第2の誘電体部分2520の遠位端2560は平面である。一実施形態では、第1の誘電体部分2020の誘電体材料は、第2の誘電体部分2520の誘電体材料の平均誘電率よりも大きい平均誘電率を有する。一実施形態では、誘電体構造2000は、例えば、埋め込み金属または金属粒子が存在しない全誘電体構造である。一実施形態では、第1の誘電体部分2020は単一の誘電体材料である。
【0011】
一実施形態では、第1の誘電体部分2020の誘電体材料は10以上の平均誘電率を有し、第2の誘電体部分2520の誘電体材料は9以下の平均誘電率を有する。あるいは、第1の誘電体部分2020の誘電体材料は11以上の平均誘電率を有し、第2の誘電体部分2520の誘電体材料は5以下の平均誘電率を有する。あるいは、第1の誘電体部分2020の誘電体材料は12以上の平均誘電率を有し、第2の誘電体部分2520の誘電体材料は3以下の平均誘電率を有する。あるいは、第1の誘電体部分2020の誘電体材料は10以上20以下の平均誘電率を有し、第2の誘電体部分2520の誘電体材料は2以上9以下の平均誘電率を有する。あるいは、第1の誘電体部分2020の誘電体材料は10以上15以下の平均誘電率を有し、第2の誘電体部分2520の誘電体材料は2以上5以下の平均誘電率を有する。あるいは、第2の誘電体部分2520の誘電体材料は、空気の誘電率よりも大きくかつ9以下の平均誘電率を有する。
【0012】
一実施形態では、第2の誘電体部分2520は、全体最大高さHSおよび全体最大幅WSを有し、ここで、HSはWSよりも大きい。一実施形態では、HSはWSの1.5倍以上である。あるいは、一実施形態では、HSはWSの2倍以上である。
【0013】
一実施形態では、第1の誘電体部分2020は、全体最大高さHFおよび全体最大幅WFを有し、ここで、HSはHFよりも大きく、WSはWFよりも大きい。一実施形態では、HSはHFの5倍よりも大きく、WSはWFの1.2倍よりも大きい。
【0014】
一実施形態では、第2の誘電体部分2520は、近位端2540に近接する第1のサブ部分2519と、遠位端2560に近接する第2のサブ部分2521とを有し、ここで、第2のxy平面断面領域2600は第1のサブ部分2519内に含まれ、第3のxy平面断面領域2640は第2のサブ部分2521内に含まれる。一実施形態では、第1のサブ部分2519は直径W1の円筒形の3D形状を有し、第2のサブ部分2521は、W1の下部直径をW1よりも大きなWSの上部直径に拡大した切頭円錐形の3D形状を有する。一実施形態では、直径W1は直径WFよりも大きい。
【0015】
図1Cおよび図1Dを参照すると、一実施形態において、EMデバイス1000に類似し同様な特徴に同様に符号が付されたEMデバイス1001は、図1Aおよび図1Bの第2の誘電体部分2520に類似した第2の誘電体部分2550を有するが、このEMデバイス1001は、第2の誘電体部分2550内部に内側領域2700を有しており、この内側領域2700は、第2の誘電体部分2550の残りの外側本体部分の誘電率よりも小さい誘電率を有する材料から形成されている。一実施形態では、内側領域2700は空気である。概略的に説明すると、第2の誘電体部分2550の外側本体部分は第1の誘電率を有する誘電体材料から形成され、内側領域2700は第1の誘電率よりも小さい第2の誘電率を有する誘電体材料から形成されている。EMデバイス1001の他の特徴は、EMデバイス1000の特徴と同様であるかまたは同一である。
【0016】
図2および図3を参照すると、図2はEMデバイス1002を示し、図3はEMデバイス1003を示しており、双方のEMデバイス1002,1003はEMデバイス1000に類似しており、同様な特徴には同様な符号が付されている。
【0017】
一実施形態では、図2に示されたEMデバイス1002は、図1Aおよび図1Bの第2の誘電体部分2520に類似した第2の誘電体部分2522を有するが、この第2の誘電体部分2522は、第2の誘電体部分2522の高さHS全体にわたって直径W1を有する円筒形状を有している。すなわち、第2の誘電体部分2522は、EMデバイス1000の第2の誘電体部分2520の第1のサブ部分2519を拡張した形態に類似している。一実施形態では、第2の誘電体部分2522は、全体最大高さHSおよび全体最大幅W1を有し、ここで、HSはW1よりも大きい。一実施形態では、HSはW1の1.5倍以上である。あるいは、一実施形態では、HSはW1の2倍以上である。
【0018】
一実施形態では、図3に示されたEMデバイス1003は、EMデバイス1002の第2の誘電体部分2522と同様な全体最大幅W1および全体最大高さHSを有する第2の誘電体部分2523を有しているが、この第2の誘電体部分2523は、実質的に垂直な側壁を有する下側部分2524と、切頭楕円形状を有する上側部分2525とを有する3D形状を有している。図3を、図1A図1B図1C図1D、および図2と比較すると、第1の誘電体部分2020が凸状の遠位端2060を有し得るだけでなく、第2の誘電体部分2523も凸状の遠位端2560を有し得ることが分かる。一実施形態では、第2の誘電体部分2523は、全体最大高さHSおよび全体最大幅W1を有し、ここで、HSはW1よりも大きい。一実施形態では、HSはW1の1.5倍以上である。あるいは、一実施形態では、HSはW1の2倍以上である。
【0019】
本明細書に開示される第2の誘電体部分2520,2521,2522の高さ対幅の比を調整することにより、より高いTE(横方向(transverse electric))モードがサポートされ、より広い遠距離場TE放射帯域幅が得られる。
【0020】
一実施形態では、第2の誘電体部分2520,2521,2522,2523は、第1の誘電体部分2020と直接密着して配置される。しかしながら、本発明の範囲はそのようなものに限定されない。一実施形態では、第2の誘電体部分2520,2521,2522,2523は、図1Bにおいて破線2530によって示されるように、第1の誘電体部分2020の遠位端2060からλの5倍以下の距離に配置され、ここで、λは、EMデバイス1000の動作中心周波数における自由空間波長である。あるいは、一実施形態では、第2の誘電体部分2520,2521,2522,2523は、第1の誘電体部分2020の遠位端2060からλの3倍以下の距離に配置される。あるいは、一実施形態では、第2の誘電体部分2520,2521,2522,2523は、第1の誘電体部分2020の遠位端2060からλの2倍以下の距離に配置される。あるいは、一実施形態では、第2の誘電体部分2520,2521,2522,2523は、第1の誘電体部分2020の遠位端2060からλの1倍以下の距離に配置される。あるいは、一実施形態では、第2の誘電体部分2520,2521,2522,2523は、第1の誘電体部分2020の遠位端2060からλの1/2倍以下の距離に配置される。あるいは、一実施形態では、第2の誘電体部分2520,2521,2522,2523は、第1の誘電体部分2020の遠位端2060からλの1/10倍以下の距離に配置される。
【0021】
図4を参照すると、同図は、本明細書に開示される任意の誘電体構造によるアレイ3000内の複数の誘電体構造2000を示しており、ここで、複数の誘電体構造2000の各々の第2の誘電体部分2520,2521,2522,2523は、接続構造4000を介して、少なくとも1つの他の第2の誘電体部分2520,2521,2522,2523に物理的に接続されている。一実施形態では、各接続構造4000は、複数の誘電体構造2000のうちの1つの全体外形寸法、例えば、WSまたはHSと比較して(ページの平面内において)相対的に薄い。一実施形態では、各接続構造4000は非ガスの誘電体材料から形成され、それぞれの接続された誘電体構造2000の全体高さHSよりも小さい断面全体高さHCを有する。一実施形態では、各接続構造4000および関連する第2の誘電体部分2520,2521,2522,2523は、単一のモノリシック構造5000を形成する。一実施形態では、各接続構造4000は、関連するEMデバイス1000が動作可能な対応する動作中心周波数の自由空間波長λよりも小さい断面全体高さHCを有する。一実施形態では、接続構造4000は、対応する第2の誘電体部分2520,2521,2522,2523の誘電体材料と同じ誘電体材料で形成される。一実施形態では、接続構造4000および対応する第2の誘電体部分2520,2521,2522,2523は、連続的なシームレス構造として上記単一のモノリシック構造5000を形成する。
【0022】
前述した図面をまとめて全体的に参照し、特に図4を参照すると、誘電体構造2000のEMデバイス1000,1001,1002,1003または誘電体構造2000のアレイ3000の実施形態は基板3200をさらに含み、この基板3200上に、個々の誘電体構造2000または誘電体構造2000のアレイが配置されている。一実施形態では、基板3200は、誘電体3140と、誘電体3140上に配置された金属フェンス構造3500とを含む。図4のアレイ3000に関して、基板3200は少なくとも1つの支持部分3020を有し、接続構造4000は少なくとも1つの取付部分4020を有する。一実施形態では、少なくとも1つの取付部分4020の各々は、少なくとも1つの支持部分3020と1対1に対応する関係で配置されている。
【0023】
前述した図面をさらにまとめて全体的に参照し、特に図4を参照すると、誘電体構造2000のEMデバイス1000,1001,1002,1003または誘電体構造2000のアレイ3000の実施形態では、金属フェンス構造3500は、導電性ベース3514を備えた凹部3512を囲む複数の導電性電磁反射部3510を含み、各導電性電磁反射部3510は、複数の誘電体構造2000のうちの対応する1つと1対1の関係で配置されるとともに、複数の誘電体構造2000のうちの対応する1つを実質的に囲むように配置されている。一実施形態では、金属フェンス構造3500は単一の金属フェンス構造であり、複数の導電性電磁反射部3510は単一の金属フェンス構造3500と一体に形成されている。
【0024】
一実施形態では、各EMデバイス1000,1001,1002,1003は、所与の誘電体構造2000を電磁的に励起するための信号フィード3120を含み、この信号フィード3120は誘電体3140を介して金属フェンス構造3500から分離されており、一実施形態では、この誘電体3140は空気以外の誘電性媒体であり、また、一実施形態では、信号フィード3120はスロット開口3130を備えたマイクロストリップである(例えば、図1A参照)。しかしながら、所与の誘電体構造2000の励起は、銅線、同軸ケーブル、マイクロストリップ(例えば、スロット開口を有するもの)、ストリップライン(例えば、スロット開口を有するもの)、導波路、表面集積導波路(surface integrated waveguide)、基板集積導波路(substrate integrated waveguide)、または、対応する誘電体構造2000に電磁的に結合される例えば導電性インクなど、本明細書に開示される目的に適した任意の信号フィードによって行われてもよい。当業者によって理解されるように、電磁的に結合されるという表現は、2つの位置の間で物理的接触を必ずしも伴うことなく、一つの位置から別の位置への電磁エネルギーの意図した伝達を指す用語であり、本明細書に開示される一実施形態に関して、より具体的には、関連する誘電体構造2000の電磁共振モードと一致する電磁共振周波数を有する信号ソース間の相互作用を指す。例えば図1Aに示されるような誘電体構造2000と対応する電磁反射金属フェンス構造3500との組み合わせの1つは、本明細書ではユニットセル1020と呼ばれる。
【0025】
図4に示されるように、誘電体3140および金属フェンス構造3500は、基板3200の少なくとも1つの支持部分3020の位置を規定するそれぞれ軸方向に整列した貫通孔3030,3530をそれぞれ有する。一実施形態では、少なくとも1つの取付部分4020の各々は、少なくとも1つの支持部分3020の各々と1対1に対応して配置されている。一実施形態では、少なくとも1つの取付部分4020の各々は、少なくとも1つの支持部分3020の対応する1つに接着されているかまたは固定されている。図4は、6幅にわたる複数の誘電体構造2000を有したM×Nアレイ3000(M=6)を示している。一実施形態では、Nも6に等しくてもよく、または本明細書に開示される目的に適した任意の数の誘電体構造2000に等しくてもよい。さらに、本明細書に開示される所与のアレイにおけるM×Nの誘電体構造の数は単に例示の目的であり、MおよびNの双方の値は、本明細書に開示される目的に適した任意の数とすることができることが理解される。したがって、本明細書に開示される本発明の範囲内に含まれる任意のM×Nアレイが考慮される。
【0026】
以下、図5A図10を参照する。
図5Aは、M×Nアレイ3001(M=2、Nは制限されない)を示し、図4のアレイ3000に類似して、誘電体3140および金属フェンス構造3500は、基板3200の各支持部分3020の位置を規定するそれぞれ軸方向に整列した貫通孔3030,3530をそれぞれ有し、各取付部分4020は、誘電体3140および金属フェンス構造3500のそれぞれ対応する貫通孔3030,3530内に配置されている。図5Bは、本明細書において上述したモノリシック構造5000に類似したモノリシック構造5010を基板3200にアセンブリする前の図5Aのアレイ3001を示している。図示されるように、アレイ3001は、接続構造4000を有する接続アレイであり、第2の誘電体部分2520の低Dk材は、第2の誘電体部分2520の近位端2040に示されるように、第1の誘電体部分2020の高Dk材の側面すべてを覆っており、また、第2の誘電体部分2520は、図5Aの破線5012によって示されるように、第1の誘電体部分2020に直接密着している。
【0027】
図6Aは、M×Nアレイ3002(M=2、Nは制限されない)を示し、図5Aのアレイ3001に類似して、誘電体3140および金属フェンス構造3500は、基板3200の少なくとも1つの支持部分3020の位置を規定するそれぞれ軸方向に整列した貫通孔3030,3530をそれぞれ有し、各取付部分4020は、金属フェンス構造3500の対応する貫通孔3530内に配置されているが、誘電体3140の貫通孔3030内には配置されていない。一実施形態では、誘電体3140の貫通孔3030には、図5Aに示されるモノリシック構造5010に類似したモノリシック構造5020の取付部分4020を基板3200に固定する接着剤などの結合材料3012が充填される。図6Bは、モノリシック構造5020を基板3200にアセンブリする前の図6Aのアレイ3002を示している。図示されるように、アレイ3002は、接続構造4000を有する接続アレイであり、第2の誘電体部分2520の低Dk材は、第2の誘電体部分2520の近位端2040に示されるように、第1の誘電体部分2020の高Dk材の側面すべてを覆っておらず、第2の誘電体部分2520の近位端2040と、第1の誘電体部分2020が配置される金属フェンス構造3500の導電性ベース3514との間にはギャップ5014が存在し、第2の誘電体部分2520は、図5Aの破線5012によって示されるように、第1の誘電体部分2020に直接密着している。
【0028】
図7Aは、M×Nアレイ3003(M=2、Nは制限されない)を示し、図5Aおよび図6Aのそれぞれアレイ3001,3002に類似しているが、いくつかの代替的特徴を有している。図7Aに示されるように、誘電体3140は接続構造4030の取付部分4020の領域に貫通孔を有しておらず、接続構造4030は接続構造4000に類似するが代替的な構造であり、金属フェンス構造3500は、取付部分4020が載置される凹状の支持面3540を有し、これにより少なくとも1つの支持部分3020を形成している。一実施形態では、結合材料3012は、モノリシック構造5010,5020に類似したモノリシック構造5030の取付部分4020を凹状の支持面3540に固定する。図7Bは、モノリシック構造5030を基板3200にアセンブリする前の図7Aのアレイ3003を示している。換言すると、基板3200の各支持部分3020は上向き支持面3540を含み、接続構造4030の各取付部分4020は、対応する1つの上向き支持面3540と対向して係合するように配置された下向き取付面4024を含む。
【0029】
図示されるように、アレイ3003は、接続構造4030を有する接続アレイであり、第2の誘電体部分2520の低Dk材は、第2の誘電体部分2520の近位端2040に示されるように、第1の誘電体部分2020の高Dk材の側面すべてを覆っておらず、第2の誘電体部分2520の近位端2040と、第1の誘電体部分2020が配置される金属フェンス構造3500の導電性ベース3514との間にはギャップ5014が存在し、第2の誘電体部分2520は、図7Aのギャップ5016によって示されるように、第1の誘電体部分2020の遠位端2060から離れた距離に配置されている。図7Aの接続構造4030と図5Aの接続構造4000とを比較すると、接続構造4000は断面全体高さHCを有し、接続構造4030は断面全体高さHC1を有し、ここで、HC1はHCよりも小さい。一実施形態では、HC1はλの1倍以下であり、ここで、λは、EMデバイス1000の動作中心周波数における自由空間波長である。あるいは、一実施形態では、HC1はλの1/2倍以下である。あるいは、一実施形態では、HC1はλの1/4倍以下である。あるいは、一実施形態では、HC1はλの1/5倍以下である。あるいは、一実施形態では、HC1はλの1/10倍以下である。
【0030】
図8Aは、M×Nアレイ3004(M=2、Nは制限されない)を示し、図6Aのアレイ3004に類似しているが、接続構造の高さがHCではなくHC1である。図8および図6Aにおける他の同様な特徴には同様な符号が付されている。
【0031】
図8Bは、M×Nアレイ3005(M=2、Nは制限されない)を示し、ギャップ5014,5016を有する図7Aのアレイ3003と結合材料3012を有する図8Aのアレイ3004との組み合わせに類似しているが、代替の取付機能を有している。一実施形態では、基板3200の各支持部分3020は、金属フェンス構造3500に形成された上向き肩部3024を含み、モノリシック構造5020の各取付部分4020は、対応する1つの上向き肩部3024に配置された下向き肩部4024を含み、取付部分4020の遠位端4026の断面は減少され、この遠位端4026が金属フェンス構造3500の開口部または貫通孔3534と係合している。取付部分4020の遠位端4026の下方において金属フェンス構造3500に形成された空間3536には、モノリシック構造5020を基板3200に固定する結合材料3012が充填されている。
【0032】
図6A図8A、および図8Bを参照すると、一実施形態に含まれる構造では、対応する取付部分4020の一部分のみが金属フェンス構造3500の対応する1つの貫通孔3030,3530,3534内に配置され、結合材料3012が金属フェンス構造3500の残りの貫通孔部分と基板3200の対応する貫通孔に少なくとも部分的に配置されることが分かる。
【0033】
図8Bを参照すると、一実施形態に含まれる構造では、段差付きポスト端部4021を備えた(参照符号4020によって示される)ポストが接続構造4030の取付部分4020に形成され、この段差付きポスト端部4021が金属フェンス構造3500の対応する貫通孔3534内に部分的に配置されることが分かる。一実施形態では、ポスト4020および段差付きポスト端部4021は円筒形である。
【0034】
図9Aは、M×Nアレイ3006(M=2、Nは制限されない)を示し、図8Aのアレイ3004に類似しているが代替の取付機能を有している。図9Bは、図9Aに示される細部9Bである。一実施形態では、基板3200の各支持部分3020は、金属フェンス構造3500に形成された下向きアンダーカット肩部3022を含み、接続構造4030の各取付部分4020は、金属フェンス構造3500の開口部3532を介して対応する下向きアンダーカット肩部3022とスナップフィット係合するように配置された上向きスナップフィット肩部4022を含む。図9Aおよび図9Bは、誘電体3140の貫通孔3030を示すが、このような貫通孔3030は、接続構造4030のスナップフィット脚部4050の寸法に応じて必要でない場合もあることが理解され得る。一実施形態では、スナップフィット脚部4050は開口中央領域4052を含み、開口中央領域4052は、前述のスナップフィット係合を容易にするために側部4054が内側に撓むことを可能にする。取付部分4020の遠位端のテーパ状先端(tapered nose)4056は、開口部3532内への取付部分4020の挿入を容易にする。
【0035】
図10は、M×Nアレイ3007(M=2、Nは制限されない)を示し、ギャップ5014,5016を有する図7Aのアレイ3003と、スナップフィット脚部4050を有する図9Aのアレイ3005との組み合わせに類似している。図10図9A、および図7Aの間における他の同様な特徴には同様な符号が付されている。
【0036】
図5A図10と組み合わせた図1図4の上述の説明から分かるように、本明細書に開示される多くのEMデバイスの特徴は、本明細書に開示される他のEMデバイスの特徴と置換可能であるとともに、それら他のEMデバイスの特徴とともに使用可能である。したがって、EMデバイスの機能のすべての組み合わせが図示され本明細書に具体的に説明されているわけではないが、当業者は、本明細書に開示される発明の範囲から逸脱することなく、一つのEMデバイスの機能を別のEMデバイスの機能に置換できることを理解し得る。したがって、本明細書に開示されるEMデバイスの特徴のあらゆる組み合わせが本明細書に開示される発明の範囲内にあることが意図されるとともに考慮される。
【0037】
以下、図11および図12を参照する。
図11は、M×Nアレイ3008(M=2、Nは制限されない)を示し、図5Aのアレイ3001に類似しているが、図5Aに示される接続構造4000を有していない。図11および図5Aの間における他の同様な特徴には同様な符号が付されている。
【0038】
図12は、M×Nアレイ3009(M=2、Nは制限されない)を示し、図11のアレイ3007に類似しているが、接続構造4000を有しておらず、図3に示すものに類似した第2の誘電体部分2523を有している。図12および図11の間における他の同様な特徴には同様な符号が付されている。
【0039】
上述した説明および/または図1図12の例示から分かるように、本発明の実施形態は、接続構造4000を含んでも含んでいなくてもよく、いずれの場合も本明細書に開示される発明の実施形態に従って依然として機能する。したがって、接続構造を含む本明細書に開示された任意の実施形態は、そのような接続構造を有さずに実施されてもよく、同様に、接続構造を有さない本明細書に開示された任意の実施形態は、そのような接続構造を備えて実施されてもよい。
【0040】
以下、図13を参照すると、同図は、M×Nアレイ3040(M=2、N=2)の実施形態の例示的な平面図を示しているが、本発明はこのような2×2アレイに限定されるものではない。アレイ3040は、図5A図6A図7A図8A図8B図9A図10にそれぞれ示される上述したアレイ3001,3002,3003,3004,3005,3006,3007のいずれかを代表したものであり、対応する第2の誘電体部分2520,2523、接続構造4000,4030、および/またはモノリシック構造5020を有していない。図示されるように、アレイ3040は、導電性電磁反射部3510および導電性ベース3514(誘電体3140は隠れて見えない)を有する金属フェンス構造3500、第1の誘電体部分2020、スロット付きフィード開口3130(上述したフィード構造のいずれかと置換可能)、および支持部分3020を備えた基板3200を含む。以下、図14A図13と組み合わせて参照すると、図14Aは、基板3200へのアセンブリ前のモノリシック構造5010を示している。図示されるように、モノリシック構造5010は、複数の第2の誘電体部分2520と、複数の取付部分4020と、接続構造4000,4030とを有する。接続構造4000,4030は、第2の誘電体部分2520と取付部分4020との間の空間を完全に満たすものとして示されているが、これは例示のみを目的としたものであり、接続構造4000,4030は、第2の誘電体部分2520と取付部分4020とを相互接続してモノリシック構造5010を形成する接続分岐のみを有する必要があることが理解され得る。例えば、図14Bを参照すると、図14Bは、図14Aに示されるものと同じ第2の誘電体部分2520および取付部分4020を示すが、接続構造4000,4030は複数の相互接続リブであり、この組み合わせがモノリシック構造5010を形成する。図14Aと少なくとも図5Aおよび図7Aとの比較は、接続構造4000,4030が基板3200から離れた距離に配置され、空気または任意の非ガスの誘電体材料によって占められ得ることを示す。基板3200に対して距離を置いて配置されたモノリシック構造5010のそれらの部分は、本明細書では非取付ゾーン4222とも呼ばれる。
【0041】
以下、図15図21を参照すると、これらの図は、取付部分4020の代替配置、誘電体構造2000のアレイレイアウト(図15図21では誘電体構造2000の第2の誘電体部分2520のみを図示している)、およびそれらによる接続構造4000,4030を示している。図15では、第2の誘電体部分2520が直線レイアウトで配置され、取付部分4120が第2の誘電体部分2520(およびそれによる誘電体構造2000)を完全に取り囲むように配置されている。図16では、第2の誘電体部分2520が直線レイアウトで配置され、取付部分4220が第2の誘電体部分2520を部分的に取り囲んで少なくとも1つの非取付領域4222がモノリシックと基板との間に存在するように配置されている。図17では、第2の誘電体部分2520が非直線レイアウトで配置され、取付部分4120が図15のものと同様に第2の誘電体部分2520を完全に取り囲むように配置されている。図18では、第2の誘電体部分2520が非直線レイアウトで配置され、取付部分4320が図15および図17のものに類似して第2の誘電体部分2520を完全に取り囲むように配置される一方、追加のより厚い取付部分4322が例えばアレイのコーナーなどの戦略的位置に配置されている。図19では、第2の誘電体部分2520が非直線レイアウトで配置され、取付部分4322は、図18に示される追加のより厚い取付部分4322によって形成されるが図18に示される周囲の取付部分4320を有しておらず、これによりモノリシックと基板との間に少なくとも1つの非取付領域4222が存在している。図20では、第2の誘電体部分2520が非直線レイアウトで配置され、取付部分4420は、図18に示される周囲の取付部分4320のわずかな部分とともに図18に示される追加のより厚い取付部分4322によって形成されており、これによりモノリシックと基板との間には少なくとも1つの非取付領域4222が存在している。図21では、第2の誘電体部分2520が非直線レイアウトで配置され、取付部分4520は、図18に示される周囲の取付部分4320のさらなる部分とともに図18に示される追加のより厚い取付部分4322によって形成されており、これによりモノリシックと基板との間には少なくとも1つの非取付領域4222が存在している。図15図21の接続構造4000,4030は、本明細書の開示と一致する任意の方法で、対応する取付部分4120,4220,4222,4320,4322,4420,4520と第2の誘電体部分2520とを相互接続するように形成され得る。
【0042】
以上の説明から、本発明の実施形態が含むEMデバイス100では、基板3200の少なくとも1つの支持部分3020の各々と接続構造4000,4030の少なくとも1つの取付部分4020,4120,4220,4222,4320,4322,4420,4520のうちの対応する1つとが互いに取り付けられて第1の取付ゾーン4020,4120,4220,4222,4320,4322,4420,4520を画定し、アレイ3000,3001,3002,3003,3004,3005,3006,3007,3008,3009の各第1の誘電体部分2020と基板3200とが互いに取り付けられて第2の取付ゾーン(第1の誘電体部分2020と基板3200との間の全接触領域)を画定し、単一のモノリシック構造5000,5010と基板3200との間における第1の取付ゾーンまたは第2の取付ゾーン以外のゾーンにより非取付ゾーン4222が画定されることが理解され得る。一実施形態では、第1の取付ゾーンは第2の取付ゾーンを少なくとも部分的に取り囲む。あるいは、一実施形態では、第1の取付ゾーンは第2の取付ゾーンを完全に取り囲む。
【0043】
以上の説明から、本明細書の開示と一致する実施形態を提供するべく取付部分および接続構造とともに誘電体構造のレイアウトを構成するにあたっては多くの変形例が存在するためそれらを網羅的に列挙することはできないことが理解され得る。本明細書の開示と一致するそのような配置のあらゆるものが本明細書に開示される発明の範囲内に含まれることが意図されるとともに考慮される。
【0044】
以下、図22~23を参照すると、これらの図は、本明細書に開示され、図7A図13図14Aによって概略的に表される例示的な実施形態の利点を示す数学的モデリングデータを示している。図22は、本明細書に開示される実施形態の第1の誘電体部分2020と第2の誘電体部分2520との両方を有する単一の放射誘電体構造2000、より詳細には単一のユニットセル1020の性能特性、より詳細にはdBi利得およびS(1,1)反射損失を示す。図示されているように、帯域幅は69GHz~85GHzの間で-10dBiにおいて21%であり、利得は、この21%帯域幅における79GHzで12.3dBiのピークを有しつつ実質的に一定であり、この21%帯域幅での3つの共振モードはTEモードTE01,TE02,TE03である。図23は、図22に関するものと同じユニットセル1020のS(1,1)反射損失性能特性を、第2の誘電体部分2520を備える場合と備えない場合とで比較したものを示しており、本明細書に開示される実施形態の利点を示すために提示されている。曲線2300は、第2の誘電体部分2520を備える場合のS(1,1)特性を示し、曲線2310は、第2の誘電体部分2520を備えない場合のS(1,1)特性を示している。同図から分かるように、第2の誘電体部分2520を使用することで、69GHzから85GHzまでの動作周波数範囲において少なくとも40dBiだけ最小反射損失が向上する。
【0045】
以上の観点から、本明細書に開示されるEMデバイス1000は、異なる中心周波数における少なくとも2つの共振モードを有する動作周波数範囲を有して動作可能であり、それら共振モードのうちの少なくとも1つは第2の誘電体部分2520の存在によってサポートされることが理解され得る。一実施形態では、少なくとも2つの共振モードはTEモードである。また、本明細書に開示されるEMデバイス1000は、異なる中心周波数における少なくとも3つの共振モードを有する動作周波数範囲を有して動作可能であり、それら少なくとも3つの共振モードのうちの少なくとも2つが第2の誘電体部分2520の存在によってサポートされることが理解され得る。一実施形態では、少なくとも3つの共振モードはTEモードである。一実施形態では、EMデバイス1000は、動作周波数範囲内の最小反射損失値を有して動作可能であり、第2の誘電体部分2520を取り除くと、動作周波数範囲内の最小反射損失値が少なくとも5dBi、あるいは少なくとも10dBi、あるいは少なくとも20dBi、あるいは少なくとも30dBi、さらにあるいは少なくとも40dBiだけ増加する。
【0046】
以上のすべての観点で、本明細書ではEMデバイスの特徴の特定の組み合わせについて説明したが、これらの特定の組み合わせは例示のみを目的としたものであり、本明細書に開示されるEMデバイスの特徴のいずれかの任意の組み合わせを本発明の実施形態に従って使用できることが理解され得る。このような組み合わせのすべてが本明細書では意図されるとともに本明細書に開示される発明の範囲内にあると見なされる。
【0047】
図1C図1D、および少なくとも図4を再度参照すると、一実施形態は、第2の誘電体部分2550(あるいは本明細書では電磁(EM)誘電体レンズと呼ばれる)を含み、この第2の誘電体部分250は、少なくとも1つの誘電体材料で形成された少なくとも1つのレンズ部分(本明細書ではこの部分も参照符号2550によって参照される)を有し、この少なくとも1つのレンズ部分2550は、その少なくとも1つの誘電体材料の境界によって輪郭形成されたキャビティ2700を有することが理解され得る。一実施形態では、少なくとも1つのレンズ部分2550は、複数の積層レンズ部分(破線2552で示される)から形成される。一実施形態では、複数のレンズ部分2550,2552はアレイ状に配置される(例えば、図4のアレイ3000を参照)。一実施形態では、複数のレンズ部分2550,2552が接続され(例えば、図4の接続構造4000を参照)、それら複数のレンズ部分2550,2552の接続は少なくとも1つの誘電体材料によってもたらされる。一実施形態では、EM誘電体レンズ2550は全誘電体構造である。
【0048】
本明細書に開示されるEMデバイス1000の構造の以上の説明の観点から、一実施形態は、そのようなEMデバイス1000を形成する方法も含むことが理解され得る。この方法は、基板を提供すること;基板上に複数の第1誘電体部分(FDP)を配置することであって、複数のFDPの各FDPは近位端および遠位端を有するとともに空気以外の誘電体材料を含み、各FDPの近位端が基板上に配置されること;各FDPに近接して第2の誘電体部分(SDP)を配置することであって、各SDPは近位端および遠位端を有するとともに空気以外の誘電体材料を含み、各SDPの近位端は対応するFDPの遠位端に近接して配置されること、を含み、各FDPの誘電体材料は、対応するSDPの誘電体材料の平均誘電率よりも大きい平均誘電率を有しており、各FDPおよび対応するSDPによって誘電体構造が形成される。この方法の一実施形態において、各SDPは、非ガスの誘電体材料で形成された接続構造を介して少なくとも1つの他のSDPに物理的に接続されており、接続構造および接続されたSDPによって単一のモノリシック構造が形成される。この方法の一実施形態において、SDPを配置することは、各FDPに近接して単一のモノリシック構造を配置することを含む。この方法の一実施形態において、単一のモノリシック構造は、シームレスで連続的な構造を有する単一の誘電体材料である。この方法の一実施形態において、方法はさらに、単一のモノリシック構造を基板に取り付けることを含む。この方法の一実施形態において、上記取り付けることは、基板の支持プラットフォーム上に単一のモノリシック構造のポストを結合(bonding)によって取り付けることを含む。この方法の一実施形態において、上記取り付けることは、単一のモノリシック構造のスナップフィットポストを基板の肩部の孔にスナップフィットによって取り付けることを含む。この方法の一実施形態において、上記取り付けることは、単一のモノリシック構造の段差付きポストを一部分のみ基板の貫通孔に取り付けること、およびその貫通孔に結合材料を適用してポストを基板に結合することを含む。この方法の一実施形態において、誘電体構造は全誘電体構造である。
【0049】
本明細書では例示的な実施形態を参照して本発明を説明したが、特許請求の範囲から逸脱することなく種々の変更が可能であり等価物で要素を置き換えることができることが当業者には理解され得る。本発明の本質的な範囲から逸脱することなく特定の状況または材料を本発明の教示に適合させるために多くの変形を行うことができる。したがって、本発明は、当該発明を実施するために考慮される最良または唯一の態様として本明細書に開示される特定の実施形態(群)に限定されず、特許請求の範囲内に含まれるすべての実施形態を含むことが意図される。図面および上記の説明では、特定の用語および/または寸法が採用され得るが、例示的な実施形態が開示されるものであり、特に明記されない限り、それらは一般的、例示的、および/または説明的な意味でのみ使用されており限定する目的ではない。したがって、特許請求の範囲はそのように限定されない。層、膜、領域、基板、または他の説明された特徴などの要素が他の要素の「上にある」と記載される場合、その要素は他の要素上に直接存在してもよいし、介在する要素が存在してもよい。これに対して、要素が他の要素の「直接上にある」と記載される場合、介在する要素は存在しない。第1、第2などの用語の使用は順序や重要性を示すものではなく、第1、第2などの用語は、ある要素を他の要素から区別するために使用される。1つなどの用語の使用は数量の制限を示すのではなく、参照される項目の少なくとも1つの存在を示す。本明細書で使用される「備える」という用語は、1つまたは複数の追加の特徴の潜在的包含を排除するものではない。また、本明細書で提供される背景技術の情報は、本明細書に開示された発明に潜在的に関連すると本出願人が考える情報を明らかにするために提供されている。このような背景情報のいずれかが本明細書に開示された発明の実施形態に対する先行技術を構成するものであると認めることを必ずしも意図するものではなくそのように解釈されるべきものでもない。
図1A
図1B
図1C
図1D
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6A
図6B
図7A
図7B
図8A
図8B
図9A
図9B
図10
図11
図12
図13
図14A
図14B
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23